説明

再生装置、制御方法及びプログラム

【課題】映像データの倍速再生を行う場合に、映像データをデコードする際の負荷を軽減しつつ、なめらかな映像データの再生が可能な再生装置を提供する。
【解決手段】 本実施形態の再生装置(100)は、インターレース方式の映像データを倍速再生する場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレームをデコードし、該デコードしたピクチャフレームをインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールドに分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールドを各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールドを順次表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な再生装置としては、CD-ROMやハードディスク等の各種メモリに記録されたAV(オーディオ・ビデオ)信号を読み取り、その読み取ったAV信号に含まれるオーディオ成分信号とビデオ成分信号とをそれぞれ伸張し、オーディオ成分信号を伸張したオーディオデータをスピーカ等に出力し、ビデオ成分信号を伸張したビデオデータを表示装置等に出力するものが知られている。
【0003】
なお、上述した再生装置において音声付倍速再生を行う場合は、AV信号に含まれるオーディオ成分信号とビデオ成分信号とをそれぞれ伸張する際の処理量が通常再生時の数倍かかってしまう。
【0004】
もし、再生装置のデータ処理能力が十分高い場合は、音声付倍速再生を行う場合であっても、AV信号に含まれるオーディオ成分信号とビデオ成分信号とをそれぞれ短時間で伸張することができるため、通常再生時と同様に全てのオーディオデータやビデオデータを絶え間なく再生することができる。
【0005】
しかし、再生装置のデータ処理能力が低い場合は、AV信号に含まれるオーディオ成分信号とビデオ成分信号とをそれぞれ短時間で伸張することができないため、通常再生時と同様に全てのオーディオデータやビデオデータを絶え間なく再生することができない。
【0006】
このため、データ処理能力が低い再生装置において音声付倍速再生を行う場合は、再生されないビデオデータフレームが多く発生することになる。このとき、オーディオ成分信号とビデオ成分信号とを再生位置に合わせて同期させないと、オーディオ成分信号とビデオ成分信号との内容がずれて再生されるため、ビデオ成分信号に関するビデオデータフレームを適当に間引く、所謂、コマ落としが必要となる。
【0007】
このようなことから、本発明よりも先に出願された技術文献として、再生装置の再生経過時間の分解能が低い場合でもオーディオ成分信号とビデオ成分信号との同期を合わせる技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
上記特許文献1(特許第3063824号公報)では、オーディオ成分信号の再生データ量からオーディオ成分信号とビデオ成分信号との同期を合わせるための基準時間を算出すると共に、その算出した基準時間に基づいてビデオ成分信号の理想フレーム数を算出する。そして、上記算出した理想フレーム数と実フレーム数とを比較し、ビデオ成分信号の進捗状況を判断し、ビデオ成分信号の進捗状況に基づいてビデオ成分信号が遅れている場合は、コマ落としを実行してオーディオ成分信号に対するビデオ成分信号の遅れを回復し、オーディオ成分信号とビデオ成分信号との同期を合わせることにしている。また、ビデオ成分信号の進捗状況に基づいてビデオ成分信号がオーディオ成分信号よりも進んでいる場合は、ビデオ成分信号のビデオ処理を行わずにビデオ成分信号に対するオーディオ成分信号の遅れを回復し、オーディオ成分信号とビデオ成分信号との同期を合わることにしている。
【0009】
これにより、オーディオ成分信号が途切れ途切れにならず、違和感のない再生を実行することを可能にしている。また、コマ落としを実行する際にも優先順位の高いフレームから行っているため、円滑にビデオ成分信号を再生することを可能にしている。
【0010】
しかし、上記特許文献1のように、優先順位の高いフレームからコマ落としを実行しても、再生するビデオフレームのフレーム間隔が不均一になった場合には、そのビデオフレームを再生した時の映像データがぎこちなく見えることになる。
【0011】
このため、なめらかな映像データの再生を可能にするための技術の開発が必要視されることになる。
【0012】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、再生速度が変わっても、滑らかな出画が可能となる技術について開示された文献がある(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
上記特許文献2(特開2006-203286号公報)では、フィールド補正手段により、フィールド単位の映像を補正しながら、映像間引き手段でフィールド映像を間引く、もしくは映像リピート手段でフィールド映像をリピートすることにより、映像の出画速度が変わったときでも、滑らかな出画をすることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3063824号公報
【特許文献2】特開2006−203286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記特許文献2には、フィールド単位のフィールド映像を間引く点について開示されている。しかし、上記特許文献2の技術では、全ての映像データをデコードしており、映像データのデコード処理に負荷がかかってしまうことになる。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、映像データの倍速再生を行う場合に、映像データをデコードする際の負荷を軽減しつつ、なめらかな映像データの再生が可能な再生装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0018】
本発明にかかる再生装置は、
インターレース方式の映像データを倍速再生する場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレームをデコードし、該デコードしたピクチャフレームをインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールドに分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、前記複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールドを各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールドを順次表示することを特徴とする。
【0019】
本発明にかかる制御方法は、
再生装置で行う制御方法であって、
映像データの倍速再生を行う場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレームをデコードするデコード工程と、
前記倍速再生を行う場合で、且つ、前記映像データがインターレース方式の映像データである場合に、前記デコード工程でデコードしたピクチャフレームをインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールドに分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、前記複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールドを各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールドを順次表示する表示制御工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明にかかるプログラムは、
再生装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
映像データの倍速再生を行う場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレームをデコードするデコード処理と、
前記倍速再生を行う場合で、且つ、前記映像データがインターレース方式の映像データである場合に、前記デコード処理でデコードしたピクチャフレームをインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールドに分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、前記複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールドを各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールドを順次表示する表示制御処理と、を、前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、倍速再生を行う場合に、映像データをデコードする際の負荷を軽減しつつ、なめらかな映像データの再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本施形態の再生装置100の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の再生装置100のコマ落とし対象となるビデオ成分信号のデータ構成例であるMPEGのデータ構成例を示す図である。
【図3】通常再生時の処理動作例を示す図である。
【図4】倍速再生時の好適な処理動作例を示す図である。
【図5】倍速再生時の処理動作例を示す図であり、IP変換(インターレース・プログレッシブ変換)時に、映像フィールドの間引き処理を行わなかった場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<再生装置100の概要>
まず、図1、図4を参照しながら、本実施形態の再生装置100の概要について説明する。
【0024】
本実施形態の再生装置100は、図1に示すように、ビデオデコーダ12と、ビデオ表示制御部14と、を有して構成する。
【0025】
ビデオデコーダ12は、映像データの倍速再生を行う場合に、図4(a)に示すように、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレーム(I、Pピクチャフレーム、若しくは、Iピクチャフレーム)をデコードする。ビデオ表示制御部14は、倍速再生を行う場合で、且つ、映像データがインターレース方式の映像データである場合に、図4(b)に示すように、ビデオデコーダ12でデコードしたピクチャフレーム(I、Pピクチャフレーム、若しくは、Iピクチャフレーム)をインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールド(前方映像フィールド、後方映像フィールド)に分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールド(例えば、後方映像フィールド)を各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールド(前方映像フィールド)を表示装置6に順次表示する。なお、ビデオ表示制御部14は、図4(b)に示すように、全てのピクチャフレームで同一の一方の映像フィールド(例えば、後方映像フィールド)を間引くことにしている。
【0026】
本実施形態の再生装置100は、上記構成を有することで、インターレース方式の映像データを倍速再生する場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレーム(I、Pピクチャフレーム、若しくは、Iピクチャフレーム)をデコードし、該デコードしたピクチャフレーム(I、Pピクチャフレーム、若しくは、Iピクチャフレーム)をインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールド(前方映像フィールド、後方映像フィールド)に分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールド(例えば、後方映像フィールド)を各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールド(前方映像フィールド)を表示装置6に順次表示することになる。但し、本実施形態の再生装置100は、図4(b)に示すように、全てのピクチャフレームで同一の一方の映像フィールド(例えば、後方映像フィールド)を間引くことにしている。これにより、本実施形態の再生装置100は、映像データの倍速再生を行う場合に、映像データをデコードする際の負荷を軽減しつつ、なめらかな映像データの再生が可能となる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の再生装置100について詳細に説明する。
【0027】
<再生装置100の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の再生装置100の構成例について説明する。図1は、本実施形態の再生装置100の基本構成例を示したブロック図である。
【0028】
本実施形態の再生装置100は、データ記憶装置1と、AV(オーディオ・ビデオ)分離部2と、ビデオ処理部3と、オーディオ処理部4と、AV同期制御部5と、表示装置6と、スピーカ7と、を有して構成する。
【0029】
データ記憶装置1は、デジタル圧縮符号化されたAV(オーディオ・ビデオ)信号のデータを格納する。
【0030】
AV分離部2は、データ記録装置1からAV信号のデータを読み出し、多重化されて記録されているAV信号のデータをオーディオ成分信号のデータと、ビデオ成分信号のデータと、に分離する。
【0031】
ビデオ処理部3は、AV分離部2によって分離されたビデオ成分信号のデータの伸張処理を行う。
【0032】
オーディオ処理部4は、AV分離部2によって分離されたオーディオ成分信号のデータの伸張処理を行う。
【0033】
AV同期制御部5は、オーディオ成分信号とビデオ成分信号との同期制御を行う。
【0034】
表示装置6は、ビデオ処理部3で伸張されたビデオ成分信号のデータを表示する。本実施形態では、表示装置6のリフレッシュレートを例えば60Hzとして説明する。
【0035】
スピーカ7は、オーディオ処理部4で伸張されたオーディオ成分信号のデータを再生する。
【0036】
ビデオ処理部3は、圧縮ビデオバッファ11と、ビデオデコーダ12と、フレームバッファ13と、ビデオ表示制御部14と、を有して構成する。
【0037】
圧縮ビデオバッファ11は、AV分離部2によって分離されたビデオ成分信号のデータを圧縮して格納する。ビデオデコーダ12は、圧縮されたビデオ成分信号のデータの属性情報(ビデオヘッダ情報)を解析して伸張する。フレームバッファ13は、ビデオデコーダ12で伸張されたビデオ成分信号のデータを格納する。ビデオ表示制御部14は、フレームバッファ13内のビデオ成分信号のデータを表示装置6に順次送信する。
【0038】
本実施形態のビデオ表示制御部14は、ビデオ成分信号のデータがインターレース方式である場合に、ビデオ成分信号のデータをIP(インターレース・プログレッシブ)変換し、1つの映像フレームを2つの映像フィールドに分割し、分割後の映像フィールドを表示装置6に順次送信する。IP変換は、インターレース方式のビデオ成分信号をプログレッシブ方式に変換する処理であり、TVの場合、1秒間に約60フィールドのデータがTVチューナモジュール(図示せず)から得られる。YUV形式の各フィールドデータは、奇数ライン(又は、偶数ライン)だけで構成されるため、偶数ライン(又は、奇数ライン)を補間することで、1秒間に60枚のプログレッシブなビデオ成分信号に変換する。補間の方法としては、Bob、Weaveと呼ばれる2種類の方法がある。Bobは、フィールドデータの上下のラインから足りないラインを補間する方法である。Weaveは、前後フィールドの同相ラインのデータを利用して補間する方法である。
【0039】
オーディオ処理部4は、圧縮オーディオバッファ21と、オーディオデコーダ22と、PCMバッファ23と、オーディオ再生制御部24と、を有して構成する。
【0040】
圧縮オーディオバッファ21は、AV分離部2によって分離されたオーディオ成分信号のデータを圧縮して格納する。オーディオデコーダ22は、圧縮されたオーディオ成分信号のデータの属性情報(オーディオヘッダ情報)を解析して伸張する。PCMバッファ23は、オーディオデコーダ22で伸張されたオーディオ成分信号のデータを格納する。オーディオ再生制御部24は、PCMバッファ23内のオーディオ成分信号のデータをスピーカ7に順次送信する。
【0041】
AV同期制御部5は、ビデオデコーダ12での処理能力を超えるある一定値以上の倍速再生(例えば、1.5倍以上の倍速再生)を行う場合に、ビデオ成分信号のコマ落としを実行し、ビデオデコーダ12でデコードを行うビデオ成分信号を低減させる。コマ落としの対象となるビデオ成分信号のデータは、例えば、図2に示すように、既存のフレーム間参照による符号化方式の一例であるMPEGのデータにより構成される。
【0042】
ビデオ成分信号のデータは、図2に示すように、何枚かのフレームを一纏めにしたGOP単位で構成されている。GOPは、図2に示すように、Iピクチャフレーム(フレーム内符号化画像の略称を示す)、Pピクチャフレーム(フレーム間順方向予測符号化画像の略称を示す)、Bピクチャフレーム(双方向予測符号化画像の略称)を組み合わせて構成している。この組み合わせを通常フレーム構成と呼んでいる。なお、図2に示す構成は、一例であり、このフレーム構成に限定するものではない。
【0043】
Iピクチャフレームは、参照フレーム無しで伸張可能であり、且つ、それ以降のフレームの伸張時に参照されるキーフレームである。
【0044】
Pピクチャフレームは、直前に伸張されたキーフレームを伸張時に参照フレームとして使用し、且つ、それ以降のフレームの伸張時に参照されるキーフレームである。
【0045】
Bピクチャフレームは、直前に伸張されたキーフレームを伸張時に参照フレームとして使用し、且つ、それ以降のフレームの伸張時に参照されないフレームである。
【0046】
キーフレームは、他のピクチャに参照されるピクチャであるため、キーフレームのコマ落としを行ったときは、以降のPピクチャとBピクチャとの伸張が実行できなくなり、次に出現するIピクチャの手前までコマ落としを実行することになる。このため、本実施形態のAV同期制御部5は、ビデオデコーダ12での処理能力を超えるある一定値以上の倍速再生を行うと判断した場合に、Bピクチャフレーム(若しくは、PピクチャフレームとBピクチャフレーム)のコマ落としを実行し、ビデオデコーダ12でデコードを行うビデオ成分信号を低減させることにしている。これにより、ビデオデコーダ12は、デコード時に参照されないBピクチャフレームを初めからデコードせず、Pピクチャフレーム及びIピクチャフレーム(若しくは、Iピクチャフレーム)のみをデコードすることになるため、デコードを行うビデオ成分信号を低減することができる。このため、ビデオデコーダ12の処理負荷を低減することができる。
【0047】
なお、ビデオデコーダ12での処理能力を超えるある一定値以上の倍速再生を行うか否かの判断方法は特に限定せず、ビデオデコーダ12での処理能力を超えるある一定値以上の倍速再生を行うことをAV同期制御部5で判断することが可能であれば、あらゆる判断方法を適用することが可能である。例えば、AV同期制御部5がビデオデコーダ12の処理量を監視し、そのビデオデコーダ12の処理量が一定の処理量を超えた場合に、ビデオデコーダ12での処理能力を超えるある一定値以上の倍速再生を行うと判断することも可能である。また、一定値以上の倍速再生(例えば、1.5倍以上の倍速再生)の再生指示を再生装置100が受け付けた場合に、ビデオデコーダ12での処理能力を超えるある一定値以上の倍速再生を行うと判断することも可能である。
【0048】
また、AV同期制御部5は、インターレース方式のビデオデータを倍速再生する場合に、映像フィールドの間引き処理を実行し、ビデオ表示制御部14でIP変換した後の映像フィールドを間引き、表示装置6に表示する映像フィールドのフレーム番号の間隔を均等にさせることにしている。これにより、表示装置6に順次表示されるフレーム番号の間隔がほぼ均等になるため、滑らかな映像データを表示装置6に表示することができる。
【0049】
<再生装置100の処理動作例>
次に、図1を参照しながら、本実施形態の再生装置100の処理動作例について説明する。
【0050】
まず、データ記録装置1から多重化された圧縮AVデータを読み込み、AV分離部2おいてオーディオデータ(オーディオ成分信号のデータ)と、ビデオデータ(ビデオ成分信号のデータ)と、に分離する。ビデオデータは、圧縮ビデオバッファ11に格納し、オーディオデータは、圧縮オーディオバッファ21に格納する。
【0051】
オーディオ処理部4は、圧縮オーディオバッファ21に格納されたオーディオデータに関する伸張処理及び再生処理を行う。また、ビデオ処理部3は、圧縮ビデオバッファ11に格納されたビデオデータに関する同期制御処理及びビデオデータの伸張・表示処理を行う。
【0052】
次に、データ記録装置1内に未処理のデータが残っているか否かを判定し、データ記録装置1内に未処理のデータが残っている場合は、再び、データ記録装置1から多重化された圧縮AVデータを読み込み、AV分離部2おいてオーディオデータ(オーディオ成分信号のデータ)と、ビデオデータ(ビデオ成分信号のデータ)と、に分離する。また、データ記録装置1内に未処理のデータが残っていない場合は、再生処理を停止する。これにより、本実施形態の再生装置100は、デジタル圧縮されたAV信号を伸張し、AV信号におけるオーディオ成分信号とビデオ成分信号との同期を取って再生することができる。
【0053】
<ビデオ処理部3の処理動作例>
次に、図3〜図5を参照しながら、本実施形態の特徴部分であるビデオ処理部3の処理動作例について説明する。なお、以下の処理動作は、インターレース方式のビデオデータを再生する場合を例に説明する。図3〜図5は、ビデオデータを表示装置6に表示する際の処理動作例を示す。
【0054】
(通常再生時の処理動作例)
まず、図3を参照しながら、通常再生時の処理動作例について説明する。
【0055】
通常再生時は、ビデオデコーダ12は、図3(a)に示すように、全てのピクチャフレーム(I、B、P)をデコードする。そして、ビデオ表示制御部14は、図3(b)に示すように、ビデオデコーダ12でデコードされた各ピクチャフレーム(I、B、P)をインターレース・プログレッシブ変換しインターレース・プログレッシブ映像フィールド(前方映像フィールド、後方映像フィールド)に分割する。前方映像フィールドは、1つのピクチャフレームの前方側を構成する映像フィールドを意味し、後方映像フィールドは、1つのピクチャフレームの後方側を構成する映像フィールドを意味する。1つのピクチャフレームを2つの映像フィールド(前方映像フィールド、後方映像フィールド)に分割する方法は、MPEGに準拠した方法であるため、具体的な処理については割愛する。次に、ビデオ表示制御部14は、図3(c)に示すように、各映像フィールドを表示装置6に順次送信し、各映像フィールドのビデオデータを表示装置6に順次表示する。これにより、再生装置100は、通常再生時は、全てのビデオデータを絶え間なく再生することができる。
【0056】
(倍速再生時の処理動作例)
次に、図4を参照しながら、倍速再生時の処理動作例について説明する。図4は、3倍速の倍速再生時の処理動作例を示している。
【0057】
倍速再生時は、ビデオデコーダ12は、図4(a)に示すように、Bピクチャフレームのコマ落としを実行し、Bピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレーム(I、P)をデコードする。そして、ビデオ表示制御部14は、図4(b)に示すように、ビデオデコーダ12でデコードされたピクチャフレーム(I、P)をインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールド(前方映像フィールド、後方映像フィールド)に分割する。次に、ビデオ表示制御部14は、図4(b)に示すように、全てのピクチャフレームで後方映像フィールド側を間引き、図4(c)に示すように、前方映像フィールド側のみを表示装置6に順次送信し、前方映像フィールド側のみを表示装置6に順次表示する。これにより、再生装置100は、倍速再生時は、Bピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレーム(I、P)の前方映像フィールド側の映像データを再生することになる。その結果、表示装置6に順次表示されるフレーム番号の間隔がほぼ均等になるため、滑らかな映像データを表示することができる。図4(c)では、フレーム番号が1→7→13→19の映像フィールドを表示装置6に順次表示しているため、表示装置6に順次表示されるフレーム番号の間隔がほぼ均等になる。このため、滑らかな映像データを表示装置6に表示することができる。
【0058】
なお、図5(b)に示すように、全てのピクチャフレームで後方映像フィールド側を間引かず、Bピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレーム(I、P)の前方映像フィールド側及び後方映像フィールド側の映像データを再生した場合は、表示装置6に順次表示されるフレーム番号の間隔が不均等になるため、再生装置100は、滑らかな映像データを表示することができない。図5(c)では、フレーム番号が1→2→7→8→13→14→19→20の映像フィールドを表示装置6に順次表示しているため、表示装置6に順次表示されるフレーム番号の間隔が不均等になる。このため、滑らかな映像データを表示装置6に表示することができない。
【0059】
これに対し、本実施形態の再生装置100は、Bピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレーム(I、P)の前方映像フィールド側の映像データを再生することにしている。このため、本実施形態の再生装置100は、表示装置6に順次表示されるフレーム番号の間隔をほぼ均等にすることができるため、滑らかな映像データを表示装置6に表示することができる。
【0060】
なお、本実施形態の再生装置100においてIP変換時にBobの補間処理を行った場合は、1つのピクチャフレームから得られる2つの映像フィールド(前方映像フィールド、後方映像フィールド)は各々異なる映像データになるため、図4(b)に示すように、全てのピクチャフレームで後方映像フィールド側を間引くことで、滑らかな映像データを表示装置6に表示することができる。
【0061】
但し、本実施形態の再生装置100においてIP変換時にWeaveの補間処理を行った場合は、1つのピクチャフレームから得られる2つの映像フィールド(前方映像フィールド、後方映像フィールド)は各々同じ映像データになるため、図4(b)に示すように、全てのピクチャフレームで後方映像フィールド側を間引いても、間引かなくても、表示装置6に順次表示される映像データは変わらない。このため、図4に示す処理は、IP変換時にBobの補間処理を行う場合に好適な手法となる。
【0062】
また、図4では、Bピクチャフレームを除いた他のピクチャフレーム(I、P)の前方映像フィールドの映像データを再生することにした。しかし、B、Pピクチャフレームを除いたIピクチャフレームの前方映像フィールドの映像データを再生するようにすることも可能である。
【0063】
また、図4では、図4(b)に示すように、全てのピクチャフレームで後方映像フィールド側を間引き、前方映像フィールド側のみを表示装置6に順次送信し、前方映像フィールド側のみを表示装置6に順次表示することにした。しかし、全てのピクチャフレームで前方映像フィールド側を間引き、後方映像フィールド側のみを表示装置6に順次送信し、後方映像フィールド側のみを表示装置6に順次表示することも可能である。
【0064】
<本実施形態の再生装置100の作用・効果>
このように、本実施形態の再生装置100は、インターレース方式の映像データを倍速再生する場合に、図4に示すように、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレーム(I、P)をデコードし、該デコードしたピクチャフレーム(I、P)をインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレーム(I、P)を2つの映像フィールド(前方映像フィールド、後方映像フィールド)に分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールド(例えば、後方映像フィールド)を各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールド(前方映像フィールド)を表示装置6に順次表示する。但し、本実施形態の再生装置100は、図4(b)に示すように、全てのピクチャフレームで同一の一方の映像フィールド(例えば、後方映像フィールド)を間引くことにしている。
【0065】
これにより、本実施形態の再生装置100は、図4に示すように、表示装置6に順次表示されるフレーム番号の間隔をほぼ均等にすることができるため、滑らかな映像データを表示装置6に表示することができる。
【0066】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、表示装置6のリフレッシュレートがある一定の値(例えば、60Hz)であることを前提として説明した。しかし、表示装置6のリフレッシュレートが変わる場合もあるため、再生装置100で行う倍速再生の値(2倍速、3倍速等)及び表示装置6のリフレッシュレート(60Hz、120Hz等)に応じて、ビデオデコーダ12でデコードしないピクチャを変更したり、ビデオ表示制御部14で間引く映像フィールドを変更したりするように構築することも可能である。
【0068】
また、上述した実施形態では、デジタル圧縮されたAV信号を伸張し、AV信号におけるオーディオ成分信号とビデオ成分信号との同期を取って再生することにした。しかし、本実施形態の再生装置100は、ビデオ成分信号のみを再生する場合にも適用可能である。
【0069】
また、上述した本実施形態における再生装置100を構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0070】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0071】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0072】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0073】
また、本実施形態における再生装置100は、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
100 再生装置
1 データ記憶装置
2 AV分離部
3 ビデオ処理部
4 オーディオ処理部
5 AV同期制御部
6 表示装置
7 スピーカ
11 圧縮ビデオバッファ
12 ビデオデコーダ(デコード手段)
13 フレームバッファ
14 ビデオ表示制御部(表示制御手段)
21 圧縮オーディオバッファ
22 オーディオデコーダ
23 PCMバッファ
24 オーディオ再生制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターレース方式の映像データを倍速再生する場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレームをデコードし、該デコードしたピクチャフレームをインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールドに分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、前記複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールドを各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールドを順次表示することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
映像データの倍速再生を行う場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレームをデコードするデコード手段と、
前記倍速再生を行う場合で、且つ、前記映像データがインターレース方式の映像データである場合に、前記デコード手段でデコードしたピクチャフレームをインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールドに分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、前記複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールドを各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールドを順次表示する表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
各ピクチャフレームを、前記ピクチャフレームの前方側を構成する前方映像フィールドと、前記ピクチャフレームの後方側を構成する後方映像フィールドと、の2つの映像フィールドに分割し、各ピクチャフレームに対し、前記前方映像フィールド、または、前記後方映像フィールドのうちいずれか一方を、前記複数のピクチャフレームで共通して間引くことを特徴とする請求項2記載の再生装置。
【請求項4】
前記デコード手段は、
Bピクチャフレームを除いたIピクチャフレーム及びPピクチャフレームをデコードするか、Bピクチャフレーム及びPピクチャフレームを除いたIピクチャフレームのみをデコードすることを特徴とする請求項2または3記載の再生装置。
【請求項5】
再生装置で行う制御方法であって、
映像データの倍速再生を行う場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレームをデコードするデコード工程と、
前記倍速再生を行う場合で、且つ、前記映像データがインターレース方式の映像データである場合に、前記デコード工程でデコードしたピクチャフレームをインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールドに分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、前記複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールドを各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールドを順次表示する表示制御工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項6】
再生装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
映像データの倍速再生を行う場合に、少なくともBピクチャフレームを除いた他の複数のピクチャフレームをデコードするデコード処理と、
前記倍速再生を行う場合で、且つ、前記映像データがインターレース方式の映像データである場合に、前記デコード処理でデコードしたピクチャフレームをインターレース・プログレッシブ変換し、各ピクチャフレームを2つの映像フィールドに分割し、該分割した2つの映像フィールドのうち、前記複数のピクチャフレームで共通の一方の映像フィールドを各ピクチャフレームについてそれぞれ間引き、残りの映像フィールドを順次表示する表示制御処理と、を、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−217168(P2011−217168A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84161(P2010−84161)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】