説明

再生装置及び再生方法

【課題】 再生時に特殊再生用データの欠落があっても、欠落した特殊再生用データを補間し良好な特殊再生用画像を得られるようにする。
【解決手段】 主画像データとそれぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている磁気テープ403から読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出するデータ欠落検出部421と、複数の補間方法を選択的に用いて、欠落が検出された第1のデータと第2のデータとを独立に補間処理する補間処理部425とを備え、特殊再生用データの欠落があっても、補間した画素が目立たないように欠落した特殊再生用データを補間することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置及び再生方法に関し、詳しくは特殊再生画像に係る補間処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号を符号化し、磁気テープに記録再生するデジタルVTRが知られている。また、MPEG(Moving Picture Experts Group)符号化した通常再生用の映像信号とは別にサーチ再生等の高速再生(特殊再生)用のデータを別途生成し、磁気テープ上の決められた領域に記録するVTRも知られている。
【0003】
ここで、一例として1440×1080iの映像をMPEG方式で符号化し、それを磁気テープに記録する場合について説明する。符号化対象となる映像信号の有効画素数は、輝度信号Yについては水平方向1440サンプル、垂直方向1080ラインとなり、色差信号Cb及びCrについては、それぞれ水平方向720サンプル、垂直方向540ラインとなる。
【0004】
これを図1に示すように水平方向に90、垂直方向に68のマクロブロック(MB)に分割して符号化する。輝度信号のマクロブロックは四つのDCTブロックから構成され、色差信号Cr,Cbはそれぞれ一つのマクロブロックが一つのDCTブロックから構成される。また、イントラフレームで構成されるIピクチャのDCTブロックからDC成分を抽出し特殊再生用データを生成する(例えば、特許文献1参照。)。このとき、抽出したDC成分のデータを、輝度信号Yについては6ビットに変換し、色差信号Cb及びCrについてはそれぞれ5ビットに変換する。これにより、特殊再生用データは1マクロブロックあたり(6×4+5×2)=34ビットとなり、1フレームあたり(90×68×34)=208080ビットの固定長となる特殊再生用データが生成可能となる。
【0005】
また、特殊再生用データは、Iピクチャから生成される。例えば図2に示すように1GOP(Group of Picture)がN=15、M=3で構成される場合を考えると、Iピクチャは15フレーム毎に符号化されるため、特殊再生用画像は主画像15フレーム毎に生成される。
【0006】
また、特許文献2に記載の情報記録装置にあるように、上述した特殊再生用データをマクロブロックにおける輝度信号Y0及び色差信号Cb、Crと輝度信号Y1、Y2及びY3とのグループに分け、それぞれを固定長にパケット化した後、独立にエラー訂正符号化処理して磁気テープ上に記録することで、特殊再生用データに欠落があった場合でも容易に画面全体を大まかに表示可能とする方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
このようにマクロブロックにおける輝度信号Y0及び色差信号Cb、Crと輝度信号Y1、Y2及びY3とのグループに分け、それぞれを固定長にパケット化して記録した場合において、各パケットが欠落した様子を図3に示す。図3(a)は輝度信号Y0及び色差信号Cb、Crのパケットが欠落した様子を示しており、図3(b)は輝度信号Y1、Y2及びY3のパケットが欠落した様子を示している。
【0008】
【特許文献1】特開2001−298706号公報
【特許文献2】特開2002−209179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、特殊再生用データがマクロブロックにおける輝度信号Y0及び色差信号Cb、Crと輝度信号Y1、Y2及びY3とのグループに分けられ、それぞれが独立にエラー訂正符号化されて記録されている場合、再生時に、何らかの要因により再生データ中にエラーが存在し、特殊再生用データが欠落すると、マクロブロックにおける輝度データについては、Y0と、Y1、Y2及びY3とが個別に欠落することになる。
【0010】
この欠落した各輝度データは、再生画像における8×8画素の領域に対応するものである。したがって、欠落した領域を同一フレーム内の他のブロックの画像で補間した場合には、再生画像に凹凸模様が目立つ可能性がある。
【0011】
また、補間方法として、以前に再生されたフレームの画像データを用いることも考えられる。しかし、特殊再生用データは、Iピクチャから生成されるため、一般的には主画像の複数フレーム毎に特殊再生画像が生成されることとなる。例えば、図2に示したように1GOPがN=15、M=3で構成される場合、特殊再生用データにおいて1フレーム前の画像は、主画像に換算して15フレーム前の画像にあたる。そのため、欠落したデータをその直前に再生されたフレームの画像データを用いて補間した場合には、周囲のブロックとの差が大きくなり、補間ブロックが目立ってしまう。
【0012】
このように特殊再生用データが輝度信号Y0及び色差信号Cb、Crと輝度信号Y1、Y2及びY3とのグループに分離しパケット化されて記録されている磁気テープを再生する記録再生装置においては、パケット単位での特殊再生用データの欠落を考慮した補間方法が必要となる。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、再生時に特殊再生用データの欠落があっても、欠落した特殊再生用データを補間し良好な特殊再生用画像が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の再生装置は、符号化された通常再生用の主画像データと、それぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている記録媒体から前記主画像データと特殊再生用データを読み出す再生手段と、前記再生手段により読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出する検出手段と、複数の補間方法を選択的に用いて、前記検出手段により欠落が検出された第1のデータと第2のデータとを独立に補間処理する補間処理手段とを備えることを特徴とする。
本発明の再生装置は、符号化された通常再生用の主画像データと、それぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている記録媒体から前記主画像データと特殊再生用データを読み出す再生手段と、前記再生手段により読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された欠落データを補間処理する補間処理手段とを備え、前記補間処理手段は、同一ブロック内の第1のデータが欠落し、第2のデータの欠落がなかった場合、前記第1のデータ及び前記第2のデータの一部を他のデータによって置き換えることを特徴とする。
本発明の再生方法は、符号化された通常再生用の主画像データと、それぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている記録媒体から前記主画像データと特殊再生用データを読み出す再生工程と、前記再生工程で読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出する検出工程と、複数の補間方法を選択的に用いて、前記検出工程にて欠落が検出された第1のデータと第2のデータとを独立に補間処理する補間処理工程とを有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、符号化された通常再生用の主画像データと、それぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている記録媒体から前記主画像データと特殊再生用データを読み出す再生ステップと、前記読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出する検出ステップと、複数の補間方法を選択的に用いて、前記検出ステップにて欠落が検出された第1のデータと第2のデータとを独立に補間処理する補間処理ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出し、複数の補間方法を選択的に用いて、欠落が検出された第1のデータと第2のデータとを独立に補間処理する。これにより、特殊再生時に何らかの要因により特殊再生用データの欠落があっても、第1のデータと第2のデータについて独立に画素補間を適応的に行い、補間した画素が目立たないように欠落した特殊再生用データを補間することができ、欠落した部分に違和感のない良好な特殊再生用画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図4は、本発明の一実施形態による再生装置を適用した磁気テープ再生装置の構成例を示すブロック図である。
【0017】
以下の説明では、代表的な例として1440×1080iの映像をMPEG方式で符号化し、その符号化された通常再生用の主画像データと高速再生(特殊再生)用の特殊再生用データとが記録された磁気テープを再生する磁気テープ再生装置において、主に高速再生(特殊再生)であるサーチ再生する場合について詳細に説明を行い、通常再生についての詳細な説明は省略する。
【0018】
また、特殊再生用データについては、上述したように通常再生用である主画像のIピクチャ内のDCTブロックから低周波成分であるDC成分を抽出して生成するものとする。さらに、特殊再生用データは、輝度信号が分離され、輝度信号Y0及び色差信号Cb、Cr(以下、これらをまとめて「ベース・データ」と称す。)と、輝度信号Y1、Y2及びY3(以下、これらをまとめて「ヘルパー・データ」と称す。)とがそれぞれ個別にパケット化された後、独立にエラー訂正符号化処理され記録されているものとする。
【0019】
図4において、CPU402は、ユーザー操作に応じて操作部401から送信される信号に基づいて本実施形態における磁気テープ再生装置を構成する各機能部を制御する。再生・誤り訂正符号処理部404は、CPU402の制御を受けて磁気テープ403からデータを読み出し、読み出したデータに誤り訂正復号処理を施してデータ分離部405に出力する。データ分離部405は、供給される再生データ中から特殊再生用データ又は通常再生用データ(主画像データ)を選択し、特殊再生用データを特殊再生用データ処理部406に出力し、通常再生用データを復号化処理部408に出力する。
【0020】
特殊再生用データ処理部406は、特殊再生時に磁気テープ403より読み出された特殊再生用データの伸張処理を行う。また、復号化処理部408は、通常再生時に磁気テープ403より読み出された通常再生用の符号化主画像データの復号処理を行う。映像信号処理部409は、特殊再生用データ処理部406又は復号化処理部408にて得られた再生画像を、表示部410に表示するとともに、D/A(ディジタル−アナログ)変換部411を介して外部機器に出力する。
【0021】
操作部401から通常再生の指示がなされると、CPU402は、再生・誤り訂正符号処理部404を制御して磁気テープ403からデータを再生する。再生・誤り訂正符号処理部404は、再生されたデータに対して誤り訂正復号処理を施した後、データ分離部405に出力する。
【0022】
データ分離部405は、再生データ中、通常再生用データ(主画像データ)を選択して復号化処理部408に出力する。復号化処理部408は、通常再生用データを復号して映像信号処理部409に出力する。映像信号処理部409は、復号された映像信号を表示部410に表示すると共に、D/A変換部411を介してアナログ映像信号に変換し外部機器に出力する。
【0023】
一方、操作部401からサーチ再生の指示がなされると、CPU402は、再生・誤り訂正符号処理部404を制御して、磁気テープ403を通常再生時よりも高速の所定速度で搬送しながら、磁気テープ403からサーチ再生用データを再生する。磁気テープ403から読み出された再生データは、再生・誤り訂正符号処理部404で誤り訂正処理が施された後に、正常に取得された再生データのみがデータ分離部405に供給される。
【0024】
データ分離部405は、入力された再生データの内、特殊再生用データのみを分離し、そのデータに正常に更新されたことを示す更新情報を付加して特殊再生用データ処理部406に供給する。データ分離部405から供給される特殊再生用データは、特殊再生用データ処理部406によりRAM407へ格納され、順次取得される特殊再生用データがRAM407に格納される。特殊再生用データ処理部406は、1フレーム分の特殊再生用データが取得された段階で伸張処理を行う。
【0025】
ここで、特殊再生時にRAM407へ格納される特殊再生用データは、磁気テープ403からの読み出しエラー(再生エラー)が発生した場合や磁気テープ403上に繋ぎ記録されている場合などにより、特殊再生用画像1フレーム分のすべての特殊再生用データが揃わないケースが考えられる。特殊再生用データ処理部406は、このようにデータの欠落があった場合に欠落したデータを補間する機能を備えている。
【0026】
特殊再生用データ処理部406は、データ欠落検出部421、伸張処理部422、縦縞検出部423、ラインメモリ424、及び補間処理部425を有する。
【0027】
データ欠落検出部421は、RAM407に格納されている特殊再生用データが、先に書き込まれた特殊再生用データ・パケットであるか、新たに書き込まれた特殊再生用データ・パケットであるかをデータ分離部405により付加された更新情報から判定し、データの欠落を検出する。伸張処理部422は、特殊再生用データを映像信号に変換する。
【0028】
縦縞検出部423は、伸張処理中のラインにおいて隣り合う画素の輝度値を比較し、その差が所定値以上である場合にそのライン上の画素位置を記憶する。そして、縦縞検出部423は、さらに記憶されている画素位置の輝度値と次に処理されるラインの同画素位置の輝度値とを比較し、所定ライン以上連続して近似レベルである場合には縦縞であることを検出する。すなわち、縦縞検出部423は、特殊再生画像の特徴の1つとして縦縞模様の検出を行う。
【0029】
ラインメモリ424は、伸張された特殊再生用データ1ライン分を保持しておくためのものである。また、補間処理部425は、データ欠落検出部421と縦縞検出部423との検出結果に基づいて、エラーにより欠落した特殊再生用データをその周辺のデータ、例えばその欠落した画素に対して水平方向又は垂直方向に隣接する画素のデータにより置き換える。
【0030】
図5は、本実施形態における特殊再生用データの補間処理動作を示すフローチャートである。以下、図5を参照しながら特殊再生用データ処理部406にて行われる補間処理について説明する。
【0031】
データ欠落検出部421は、データの欠落を検出すると、ベース・データ、ヘルパー・データのどちらか又は両方が欠落したか、すなわちどのデータのパケットが欠落したかを判定する(ステップS500、S501)。
【0032】
その結果、ベース・データのみが欠落した場合には、図3(a)に示したように特殊再生用データのマクロブロックにおける輝度信号Y0及び色差信号Cb、Crが欠落している。このとき、欠落した輝度信号Y0については、縦縞検出部423により縦縞であると判定された場合(ステップS502のYes)、補間処理部425は、この欠落した輝度信号Y0に対応する輝度信号Y1を破棄し、ともにラインメモリ424に保持されている上位ラインの輝度信号で置き換える(ステップS503)(図6(a)参照)。一方、縦縞検出部423により縦縞でないと判定された場合には(ステップS502のNo)、補間処理部425は、欠落した輝度信号Y0のみを隣の輝度信号Y1をホールドして置き換える(ステップS504)(図6(b)参照)。さらに、欠落した色差信号Cb、Crについては、補間処理部425は、ラインメモリ424に保持されている上位ラインの色差信号で置き換える(ステップS505)。
【0033】
次に、ステップS501での判定の結果、ヘルパー・データのみが欠落した場合には、図3(b)に示したように特殊再生用データのマクロブロックにおける輝度信号Y1、Y2及びY3が欠落しており、色差信号Cb、Crは正常である。このとき、縦縞検出部423により縦縞であると判定された場合(ステップS506のYes)、補間処理部425は、ラインメモリ424に保持されている上位ラインの輝度信号で置き換える(ステップS507)。具体的には、補間処理部425は、対象となるラインが輝度信号Y0、Y1のラインであれば、欠落した輝度信号Y1に対応する輝度信号Y0を破棄し、輝度信号Y0、Y1を共にラインメモリ424に保持されている上位ラインの輝度信号で置き換える。また、補間処理部425は、対象となるラインが輝度信号Y2、Y3のラインであれば、双方とも欠落しているのでラインメモリ424に保持されている上位ラインの輝度信号で置き換える(図7(a)参照)。
【0034】
一方、縦縞検出部423により縦縞でないと判定された場合には(ステップS506のNo)、補間処理部425は、対象となるラインが輝度信号Y0、Y1のラインであれば、欠落した輝度信号Y1を隣の輝度信号Y0をホールドして置き換え、対象となるラインが輝度信号Y2、Y3のラインであれば、ラインメモリ424に保持されている上位ラインの輝度信号で置き換える(ステップS508)(図7(b)参照)。
【0035】
次に、ステップS501での判定の結果、ベース・データとヘルパー・データの両方が欠落している場合には、輝度信号Y0〜Y3及び色差信号Cb、Crのすべてが欠落しているので、補間処理部425は、欠落した輝度信号及び色差信号のすべてをラインメモリ424に保持されている上位ラインのデータで置き換える(ステップS509)(図8参照)。
以上のような補間処理を、全ラインに対して施すことで特殊再生用データ1フレームに対して補間処理された特殊再生画像が得られる。
【0036】
このようにして特殊再生用データ処理部406により伸張処理された特殊再生画像は、映像信号処理部409に供給され、映像信号処理部409にて表示部410の表示サイズに合わせて画像サイズの変換が行われ、表示部411に出力される。これにより、表示部411にて特殊再生画像が表示される。また、映像信号処理部409に供給された特殊再生画像は、映像信号処理部409よりD/A部411に供給され、D/A部411にてアナログ映像信号へ変換された後にビデオ信号として出力される。
【0037】
図6〜図8は、上述した補間処理を示した図であり、全ラインに対し、エラーの状況に応じて図6〜図8に示す補間処理を適宜施すことで特殊再生用データ1フレームに対して補間処理された特殊再生画像が得られる。なお、図6〜図8においては、映像イメージの輝度信号(輝度値)についてのみ示しており、色差信号については省略する。
【0038】
図6(a)、図6(b)は、ベース・データのみが欠落した場合の補間処理を示している。図6(a)に示すように縦縞模様であると判定された場合には、欠落した輝度信号Y0に対応する、すなわち欠落した輝度信号Y0と同じマクロブロックに属する輝度信号Y1を破棄し、当該輝度信号Y0、Y1が上位ラインの輝度信号Y2、Y3でそれぞれ補間される。また、図6(b)に示すように縦縞模様でないと判定された場合には、欠落した輝度信号Y0がそれに対応する隣の輝度信号Y1(同じマクロブロックに属する輝度信号Y1)で補間される。
【0039】
図7(a)、図7(b)は、ヘルパー・データのみが欠落した場合の補間処理を示している。図7(a)に示すように縦縞模様であると判定された場合には、欠落した輝度信号Y1に対応する、すなわち欠落した輝度信号Y1と同じマクロブロックに属する輝度信号Y0を破棄し、当該輝度信号Y0、Y1が上位ラインの輝度信号Y2、Y3でそれぞれ補間される。さらに、欠落した輝度信号Y2、Y3が、上位ラインの輝度信号、すなわち同じマクロブロックに属する破棄された輝度信号Y0と欠落した輝度信号Y1を補間する上位ラインの輝度信号Y2、Y3でそれぞれ補間される。
【0040】
また、図7(b)に示すように縦縞模様でないと判定された場合には、欠落した輝度信号Y1がそれに対応する隣の輝度信号Y0(同じマクロブロックに属する輝度信号Y0)で補間される。さらに、欠落した輝度信号Y2、Y3が、上位ラインの輝度信号でそれぞれ補間される。したがって、ヘルパー・データのみが欠落し縦縞模様でないと判定された場合には、欠落した輝度信号Y1、Y2及びY3のすべてが、同じマクロブロックに属する輝度信号Y0で補間される。
【0041】
また、図8は、ベース・データ及びヘルパー・データの双方が欠落した場合の補間処理を示している。図8に示すようにベース・データ及びヘルパー・データをともに欠落した場合には、欠落した輝度信号Y0〜Y3が上位ラインの輝度信号で補間される。
【0042】
以上、説明したように本実施形態によれば、特殊再生時に特殊再生用データのベース・データとヘルパー・データについて独立に欠落を検出し、欠落が検出された特殊再生用データの種類(欠落したパケットの種類、言い換えればベース・データであるかヘルパー・データであるか)と縦縞検出部423での検出結果に基づいて、欠落が検出されたパケットに対応するベース・データ、ヘルパー・データの輝度信号を独立に同じマクロブロックに属する輝度信号及び上位ラインの輝度信号を取捨選択して適応的に置き換える。これにより、特殊再生用データの欠落があっても、ベース・データとヘルパー・データについて独立に適応的な補間処理を行い、凹凸の目立たない良好かつ自然な特殊再生用画像を得ることができる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、特殊再生用データ処理部406に縦縞検出部423を設けて特殊再生画像の特徴として縦縞模様であるか否かを検出し、その検出結果に応じて欠落した特殊再生用データの補間処理を行うようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、縦縞検出部を横縞検出部に置き換えて特殊再生画像の特徴として横縞模様であるか否かを検出し、その検出結果に応じて欠落した特殊再生用データの補間処理を行うようにしても良いし、縦縞検出部と横縞検出部との両方を備えて同様に欠落した特殊再生用データの補間処理を行うようにしても良い。このようにした場合でも同様に、その検出結果により適応的に欠落した特殊再生用データの補間処理を行うことが可能である。
【0044】
(本発明の他の実施形態)
上述した実施形態の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、前記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
また、この場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体は本発明を構成する。また、そのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
さらに、供給されたプログラムコードがコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれることは言うまでもない。
【0045】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】通常再生用の主画像と特殊再生用画像との解像度の関係を示す図である。
【図2】特殊再生用画像が生成される時間間隔を説明するための図である。
【図3】特殊再生用データがパケット単位で欠落した様子を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】特殊再生用データの補間処理動作を示すフローチャートである。
【図6】ベース・データが欠落した場合の補間処理を説明するための図である。
【図7】ヘルパー・データが欠落した場合の補間処理を説明するための図である。
【図8】ベース・データ及びヘルパー・データの両方が欠落した場合の補間処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0047】
402 CPU
403 磁気テープ
404 再生・誤り訂正符号処理部
406 特殊再生用データ処理部
408 復号化処理部
409 映像信号処理部
421 データ欠落検出部
422 伸張処理部
423 縦縞検出部
424 ラインメモリ
425 補間処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化された通常再生用の主画像データと、それぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている記録媒体から前記主画像データと特殊再生用データを読み出す再生手段と、
前記再生手段により読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出する検出手段と、
複数の補間方法を選択的に用いて、前記検出手段により欠落が検出された第1のデータと第2のデータとを独立に補間処理する補間処理手段とを備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記特殊再生用データに係る画像の特徴を判定する判定手段を備え、前記補間処理手段は前記判定手段の判定結果に応じて、前記第1のデータと第2のデータの補間方法を決定することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
前記複数の補間方法は、水平方向に隣接する画素のデータを用いて補間処理を行う第1の方法と、垂直方向に隣接する画素のデータを用いて補間処理を行う第2の方法とを含むことを特徴とする請求項1または2記載の再生装置。
【請求項4】
前記複数の補間方法は、同一ブロック内のデータを用いて補間処理を行う第1の補間方法と、他のブロックのデータを用いて補間処理を行う第2の補間方法とを含むことを特徴とする請求項1または2記載の再生装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記画像の特徴として、縦縞模様及び横縞模様の少なくとも一方の判定を行うことを特徴とする請求項2記載の再生装置。
【請求項6】
前記第1のデータと第2のデータはそれぞれ独立にエラー訂正符号化処理されて記録されており、前記検出手段は前記再生手段により再生された特殊再生用データに対してエラー訂正復号処理を施すエラー訂正手段を含み、前記特殊再生用データ中訂正不能なエラーを前記欠落データとして検出することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の再生装置。
【請求項7】
符号化された通常再生用の主画像データと、それぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている記録媒体から前記主画像データと特殊再生用データを読み出す再生手段と、
前記再生手段により読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された欠落データを補間処理する補間処理手段とを備え、
前記補間処理手段は、同一ブロック内の第1のデータが欠落し、第2のデータの欠落がなかった場合、前記第1のデータ及び前記第2のデータの一部を他のデータによって置き換えることを特徴とする再生装置。
【請求項8】
前記特殊再生用データに係る画像の特徴を判定する判定手段を備え、同一ブロック内の第1のデータが欠落し、第2のデータの欠落がなく、且つ、前記判定手段により所定の特徴が判定された場合に前記第1のデータ及び前記第2のデータの一部を他のデータによって置き換え、前記判定手段により所定の特徴が判定されなかった場合には前記第1のデータのみを他のデータで置き換えることを特徴とする請求項7記載の再生装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記特殊再生用データに係る画像が縦縞模様を持つことを判定し、
前記補間処理手段は、当該判定結果に応じて、前記第1のデータ及び前記第2のデータのうち前記第1のデータの水平方向に隣接するデータとを、それぞれ垂直方向に隣接する画素のデータにより置き換えることを特徴とする請求項8記載の再生装置。
【請求項10】
符号化された通常再生用の主画像データと、それぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている記録媒体から前記主画像データと特殊再生用データを読み出す再生工程と、
前記再生工程で読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出する検出工程と、
複数の補間方法を選択的に用いて、前記検出工程にて欠落が検出された第1のデータと第2のデータとを独立に補間処理する補間処理工程とを有することを特徴とする再生方法。
【請求項11】
符号化された通常再生用の主画像データと、それぞれ第1のデータと第2のデータからなる複数のブロックから構成された特殊再生用データとが記録されている記録媒体から前記主画像データと特殊再生用データを読み出す再生ステップと、
前記読み出された特殊再生用データの各ブロックにおける第1のデータと第2のデータについて独立に欠落を検出する検出ステップと、
複数の補間方法を選択的に用いて、前記検出ステップにて欠落が検出された第1のデータと第2のデータとを独立に補間処理する補間処理ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−13664(P2007−13664A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192566(P2005−192566)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】