説明

再生装置

【課題】 音声の種類を指定するだけで、再生データの特定部分だけを自動的に再生することができる再生装置を提供する。
【解決手段】 音声を含む再生データの一部分の再生、及び、音声の種類(例えばステレオ、モノラル、二重音声)が再生途中で切換わる再生データの再生を行う再生装置において、再生すべき音声の種類を受付ける操作部18及び/又はリモコン受信部20と、操作部18又はリモコン受信部20が受付けた種類の音声を含む部分を特定するCPU12とを備え、特定した音声部分のみの再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の音声を含む再生データの再生を行う再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
録画装置として、DVD(Digital Video Disc)ドライブ及び/又はHDD(Hard Disk Drive)を備えた録画装置が広まっている。これらの録画装置においては、録画した動画に対して、再生部分を指定したプレイリストを作成し、指定部分だけを再生することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−219363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、プレイリストの作成はユーザが手動で行っており、再生部分をユーザが1箇所ずつ指定する必要があるなど、非常に手間がかかるという問題を有する。例えば、テレビ放送の録画に含まれている番組部分のみをユーザが1つずつ指定してプレイリストに追加する場合もあれば、CM部分のみをユーザが1つずつ指定してプレイリストに追加する場合もある。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、再生すべき音声の種類を受付ける受付手段と、再生データに対し、受付けた種類の音声を含む部分を特定する特定手段とを備え、特定した部分の再生を行い、他の部分の再生は行わないように構成したことにより、ユーザが音声の種類を指定するだけで、再生データの特定部分だけを自動的に再生することが可能な再生装置を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、音声の種類がステレオ、モノラル、及び二重音声のうちの少なくとも2種類であることにより、ユーザが音声の種類を指定するだけで、番組、CM、又は外国映画などの特定部分だけを自動的に再生することが可能な再生装置を提供することを他の目的とする。
【0006】
また、本発明は、指定された種類の音声を含む部分を、再生データに付加されている情報に基づいて特定するように構成したことにより、指定された種類の音声を含む部分を高速かつ容易に特定することができる再生装置を提供することを他の目的とする。
【0007】
また、本発明は、読取装置が読取った再生データに対し、各種類の音声が含まれている部分を検出する検出手段を備え、指定された種類の音声を含む部分を検出結果に基づいて特定するように構成したことにより、上述した情報が再生データに付加されていない場合であっても、指定された種類の音声を含む部分を特定することができる再生装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る再生装置は、複数種類の音声を含む再生データの再生を行う再生装置において、再生すべき音声の種類を受付ける受付手段と、再生データに対し、前記受付手段が受付けた種類の音声を含む部分を特定する特定手段とを備え、該特定手段が特定した部分の再生を行い、他の部分の再生は行わないように構成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る再生装置は、前記音声の種類は、ステレオ、モノラル、及び二重音声のうちの少なくとも2種類であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る再生装置は、再生データを記憶する記憶装置を備え、該記憶装置が記憶する再生データには、各種類の音声が含まれている部分に関する情報が付加されており、前記特定手段は、前記受付手段が受付けた種類の音声を含む部分を、前記情報に基づいて特定するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る再生装置は、再生データが記憶されている記憶媒体が出入され、記憶媒体から再生データを読取る読取装置と、該読取装置が読取った再生データに対し、各種類の音声が含まれている部分を検出する検出手段とを備え、前記特定手段は、前記受付手段が受付けた種類の音声を含む部分を、前記検出手段の検出結果に基づいて特定するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、再生すべき音声の種類を受付手段で受付け、受付けた種類の音声を含む部分を特定手段で特定し、特定した部分の再生を行い、他の部分の再生は行わない。例えば再生データのステレオ部分とモノラル部分のうち、指定された方のみを含むプレイリストを作成し、指定された方のみの再生を行うことが可能である。ユーザが音声の種類を指定するだけで、自動的に再生データの特定部分だけを含むプレイリストが作成され、再生が行われる。
【0013】
本発明においては、音声の種類は、ステレオ、モノラル、及び二重音声の少なくとも2種類である。例えばテレビ録画した再生データの場合、ステレオ部分はCMの可能性が高く、モノラル部分は番組の可能性が高い。また、二重音声部分は外国映画の可能性が高い。そのため、ステレオの指定を受付けた場合はCM部分だけを選択的に再生し、モノラルの指定を受付けた場合は番組部分だけを選択的に再生し、二重音声の指定を受付けた場合は外国映画部分だけを選択的に再生できる可能性が高い。ユーザが指定した音声の種類に応じて、番組、CM、外国映画などの特定内容だけを含むプレイリストを自動で作成し、再生することが可能となる。
【0014】
本発明においては、記憶装置に記憶されている再生データには、各種類の音声が含まれている部分に関する情報が付加されており、特定手段は前記情報に基づいて再生データを特定する。例えばテレビ録画を行う場合、放送を再生データとして記憶する際に、音声の種類(例えばステレオ、モノラル、二重放送など)を示す情報が付加される場合が多い。この付加されている情報を用いることにより、指定された種類の音声を含む部分を高速かつ容易に特定することができる。
【0015】
本発明においては、読取装置が読取った再生データに対し、各種類の音声が含まれている部分を検出手段で検出し、特定手段は、指定された種類の音声を含む部分を検出結果に基づいて特定する。例えば再生データにステレオ部分とモノラル部分とが含まれている場合、再生データの音声のスキャン(読取)を行い、各種類の音声が含まれている部分を検出することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザは、音声の種類を指定するだけで、再生データの特定部分を自動的に再生することが可能となる。
【0017】
本発明によれば、ユーザは、音声の種類を指定するだけで、番組、CM、又は外国映画などの特定内容だけを自動的に再生することが可能となる。
【0018】
本発明によれば、指定された種類の音声を含む部分を高速かつ容易に特定することができる。
【0019】
本発明によれば、各種類の音声が含まれている部分に関する情報が再生データに付加されていない場合であっても、指定された種類の音声を含む部分を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明に係る再生装置として動作する録再装置の構成例を示すブロック図である。録再装置10は、図示しないアンテナに接続されるチューナ24と、HDD26と、記憶媒体44の読出及び書込が可能な録再ドライブ28と、上述したチューナ24,HDD26,録再ドライブ28及び外部の表示装置40に接続された動画処理部22と、上述した動画処理部22,チューナ24,HDD26及び録再ドライブ28の制御を行うCPU(Central Processing Unit)12と、CPU12に接続されたRAM(Random Access Memory)14、ROM(Read Only Memory)16、操作部18、及び、リモートコントローラ(以下、リモコンという)42から信号を受信するリモコン受信部20とを備える。
【0021】
録再ドライブ(読取装置)28は、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAMなどの記憶媒体44の読出を行うことに加え、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAMなどの記憶媒体44への書込を行うことが可能である。動画処理部22は、チューナ24で受信した映像及び音声を例えばMPEG(Motion Pictures Expert Group)形式の動画データ(再生データ)に変換し、HDD26又は録再ドライブ28(記憶媒体44)に記憶したり、HDD26又は録再ドライブ28(記憶媒体44)から読出した動画データの映像及び音声を表示装置40に出力する。なお、表示装置40は、スピーカを備え、スピーカから音声を出力する。
【0022】
操作部18は、操作ボタン及び表示パネルを備え、操作ボタンの操作に応じた信号をCPU12に送り、CPU12の制御によって前記表示パネルに表示を行う。また、リモコン42は、操作ボタン及び送信器を備え、操作ボタンの操作に応じた信号を送信器から出力する。CPU12は、ROM16に記憶されているプログラムを実行し、操作部18又はリモコン42(リモコン受信部20)で受け付けた操作などに基づいて、録再装置10内の各構成部の制御を行う。
【0023】
操作部18及び/又はリモコン受信部20は、再生すべき音声の種類を受付ける受付手段として動作し、CPU12は、動画データに対し、操作部18又はリモコン受信部20が受付けた種類の音声を含む部分を特定する特定手段として動作し、CPU12は特定した部分のプレイリストを作成し、前記特定した部分の再生を行い、他の部分の再生は行わない。チューナ24で受信した放送を録画する場合、音声の種類は、ステレオ、モノラル、又は二重音声の何れかである。HDD(記憶装置)26に録画された動画データには、各種類の音声が含まれている部分に関する情報が付加されており、CPU12は、前記情報に基づいて各種類の音声を含む部分(ステレオ部分、モノラル部分、二重音声部分)を特定する。例えば、前記情報には、動画データの再生開始時を基準としたステレオ部分、モノラル部分、二重音声部分の各再生開始時間が含まれており、CPU12は、前記再生開始時間に基づいて、各種類の音声を含む部分を特定する。
【0024】
図2(a)は動画データの例を示す概念図である。図2(a)の例では、動画データは、2つのステレオ部分A,Cと、2つのモノラル部分B,Dを含んでいる。以下、図2(a)に示す動画データの再生を例にして説明を行う。通常の再生においては、動画データは、ステレオ部分Aからモノラル部分B,ステレオ部分C,モノラル部分Dの順に再生される。一方、再生する音声の選択要求を操作部18又はリモコン受信部20で受付けた場合、CPU12は、表示装置40に音声の選択画面を表示する。
【0025】
図3は選択画面の例を示す図である。図3の例では、「モノラル」、「ステレオ」、「二重音声」、及び「キャンセル」の選択肢が表示されている。選択画面はROM16に記憶されており、CPU12によってRAM14に読出され、動画処理部22を介して表示装置40に表示される。カーソルCは操作部18又はリモコン42(リモコン受信部20)への操作に応じてCPU12によって上下に移動される。また、操作部18又はリモコン42(リモコン受信部20)への操作によって、CPU12は、カーソルCが位置する選択肢の決定を受付ける。以下、選択画面で「モノラル」が選択された場合を例にして説明を行う。
【0026】
CPU12は、「モノラル」が選択された場合、図2(a)に示す動画データのうち、モノラル部分を特定してプレイリストを作成し、RAM14に記憶する。図2(b)はプレイリストの例を示す概念図である。図2(b)の例では、図2(a)の動画データのうち、モノラル部分B,Dを含んでいる。なお、再生の順番は図2(a)の順番に準ずる。
【0027】
プレイリストを作成した後、CPU12は、作成したプレイリストに基づいて動画データの再生を行う。表示装置40には、動画データのうち、モノラル部分B,Dの映像及び音声だけが出力される。例えば放送録画の番組の音声がモノラルで、CMの音声がステレオの場合、番組だけが再生される。
【0028】
また、図3に示した選択画面で「ステレオ」が選択された場合、CPU12は、図2(a)に示す動画データのうち、ステレオ部分を特定してプレイリストを作成し、RAM14に記憶する。図4(a)はプレイリストの他の例を示す概念図である。図4(a)の例では、図2(a)の動画データのうち、ステレオ部分A,Cを含んでいる。なお、再生の順番は図2(a)の順番に準ずる。図4(a)のプレイリストの場合、表示装置40には、動画データのうち、ステレオ部分A,Cの映像及び音声のみが出力される。例えば放送録画の番組の音声がモノラルで、CMの音声がステレオの場合、CMだけが再生される。
【0029】
上述した実施の形態においては、動画データ(再生データ)に含まれる音声の種類として、ステレオ及びモノラルを例にして説明したが、動画データには二重音声が含まれている場合もある。図4(b)は動画データの他の例を示す概念図である。図4(b)の例では、動画データは、2つのステレオ部分A,Cと、2つの二重音声部分B,Dとを含んでいる。図3に示した選択画面で「二重音声」が選択された場合、CPU12は、図4(b)に示す動画データのうち、二重音声部分を特定してプレイリストを作成し、RAM14に記憶する。図4(c)はプレイリストの他の例を示す概念図である。図4(c)の例では、図4(b)の動画データのうち、二重音声部分B,Dを含んでいる。なお、再生の順番は図4(b)の順番に準ずる。図4(c)のプレイリストの場合、表示装置40には、動画データのうち、二重音声部分B,Dの映像及び音声のみが出力される。例えば放送録画の番組(外国映画)の音声が二重音声で、CMの音声がステレオの場合、番組(外国映画)だけが再生される。
【0030】
録再ドライブ28は、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAMなどの記憶媒体44に、HDD26(記憶装置)と同様に、録画を行うことが可能である。記憶媒体44に録画を行う場合は、HDD26の場合と同様に、動画データ(再生データ)に、各種類の音声を含む部分に関する情報を付加することが可能である。また、録再ドライブ28は、他の装置で動画データを記憶したDVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAMなどの再生を行うことも可能である。しかし、この場合は、動画データを他の装置で記憶しているため、音声の種類を示す情報が動画データに付加されていない場合もある。この場合、CPU12を、録再ドライブ28を制御して記憶媒体44から動画データを読取り、各種類の音声が含まれる部分を検出する検出手段として動作させる。例えばCPU12に、動画データの音声をスキャンさせて、音声の種類が切換わる部分を検出させることが可能である。
【0031】
図5は、本発明に係る再生装置の構成例を示すブロック図である。再生装置30は、図1に示した録再装置10と同様の動画処理部22、CPU12、RAM14、ROM16、操作部18及びリモコン受信部20を備える。また、再生装置30は、図1の録再ドライブ28の代わりに再生ドライブ(読取装置)32を備える。再生ドライブ32は、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAMなどの記憶媒体46の読出を行う。
【0032】
CPU12は、再生ドライブ32を制御して記憶媒体46から動画データを読取り、各種類の音声が含まれる部分を検出する検出手段として動作する。例えば動画データの音声をスキャンして、音声の種類が切換わる部分を検出する。各種類の音声が含まれている部分を検出する以外は、図1の録再装置と同様の処理を行い、ユーザが指定した音声部分(モノラル部分、ステレオ部分、又は二重音声部分)のみを含むプレイリストを作成し、前記指定した音声部分のみの再生を行う。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る再生装置として動作する録再装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】(a)は動画データの例を示す概念図であり、(b)はプレイリストの例を示す概念図である。
【図3】選択画面の例を示す図である。
【図4】(a)はプレイリストの他の例を示す概念図であり、(b)は動画データの他の例を示す概念図であり、(c)はプレイリストの他の例を示す概念図である。
【図5】本発明に係る再生装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
10 録再装置
12 CPU
14 RAM
16 ROM
18 操作部
20 リモコン受信部
22 動画処理部
24 チューナ
26 HDD
28 録再ドライブ
30 再生装置
32 再生ドライブ
40 表示装置
42 リモコン
44、46 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の音声を含む再生データの再生を行う再生装置において、
再生すべき音声の種類を受付ける受付手段と、
再生データに対し、前記受付手段が受付けた種類の音声を含む部分を特定する特定手段と
を備え、該特定手段が特定した部分の再生を行い、他の部分の再生は行わないように構成してあることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記音声の種類は、ステレオ、モノラル、及び二重音声のうちの少なくとも2種類であることを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
再生データを記憶する記憶装置を備え、
該記憶装置が記憶する再生データには、各種類の音声が含まれている部分に関する情報が付加されており、
前記特定手段は、前記受付手段が受付けた種類の音声を含む部分を、前記情報に基づいて特定するように構成してあることを特徴とする請求項1又は2記載の再生装置。
【請求項4】
再生データが記憶されている記憶媒体が出入され、記憶媒体から再生データを読取る読取装置と、
該読取装置が読取った再生データに対し、各種類の音声が含まれている部分を検出する検出手段と
を備え、前記特定手段は、前記受付手段が受付けた種類の音声を含む部分を、前記検出手段の検出結果に基づいて特定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至3の何れかひとつに記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−190348(P2006−190348A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381837(P2004−381837)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】