説明

冗長な、向上したアップリンク割当て要求を最小化するための方法及び装置

【課題】WTRU(無線送受信ユニット)102とノードB104との間で発生する冗長なEU(enhanced uplink:向上したアップリンク)割当てを最小にし、EU送信失敗の障害に耐えること。
【解決手段】WTRU102は、UL EUチャネル110を介して、割当て要求を送信する。1つ実施形態では、E−DCH割当てが予め定められた時間期間内に提供されなかった場合、ノードBは、E−DCH割当て情報を送信することなく、DL EUシグナリングチャネル112を介してWTRUに確認メッセージを送信する。要求はノードBにおける待ち行列に入れられ、時間期間が満了後まで又はリソースが利用可能となるまで、WTRUは同じ要求を送信するのを止める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WTRU(wireless transmit/receive unit:移動無線送受信ユニット)、少なくとも1つのノードB及びRNC(radio network controller:無線ネットワーク制御装置)を含む無線通信システムに関連する。より具体的には、本発明は、冗長なEU(enhanced uplink:向上したアップリンク)割当要求を最小にし、EU送信失敗の障害分離のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
UL(uplink:アップリンク)受信範囲、スループット及び送信待ち時間を改良する方法は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)のR6(リリース6)で研究されてきている。これらの方法を成功裏に遂行するために、RNCがノードBに対する全面的な制御を保有しているとしても、ノードBがRNCよりもより効果的に短期間で決定できUL無線リソースを管理できるように、UL無線リソースのスケジューリング及び割当てはRNC(radio network controller:無線ネットワーク制御装置)からノードBへ移行した。
【0003】
WTRUがE−DCH(enhanced dedicated channel:向上したアップリンク割当て要求)上で送信するために、E−DCHチャネル割当要求をノードBに送信することにより、E−DCH送信の必要性を確認しなければならない。そして、ノードBは、E−DCHの物質リソースの割当を、要求したE−DCHチャネルを有するWTRUに提供する。
【0004】
E−DCHチャネル割当て要求のための十分なULリソースが存在しない場合、ノードBは、E−DCHを要求した全てのWTRUにE−DCH送信のリソースを直ちに割り当てることができない。WTRUが予め定められた時間期間内にE−DCH割当てを受信しない場合、WTRUは、E−DCHチャネル割当て情報を受信するまで要求を再送信することができる。
【0005】
E−DCHチャネル割当て要求の送信は他のWTRUと干渉するので、各WTRUが同じチャネル割当て要求を送信し複数回再送信する時、UL EU チャネルはUL干渉を増加させる。従って、システムの全体的な効率が低下する。
【0006】
従って、適切なスケジューリング動作を維持している間、ULシグナリングチャネルの利用を最小化する必要がある。さらに、EU送信失敗の障害分離のための手順が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
E−DCHチャネル割当て要求の送信が他のWTRUと干渉するので、各WTRUが同じチャネル割当て要求を送信し複数回再送信する時、UL EU チャネルはUL干渉を増加させる。このようにして、システムの全ての効果は低下する。
【0008】
従って、適切なスケジューリング操作を維持している間、ULシグナリングチャネルの利用を最小化する必要がある。さらに、フォールトイソレーティングEU送信の失敗に対する手順が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、WTRUとノードBとの間で発生する、冗長なEU割当て要求を最小化し、EU送信失敗を障害分離する方法及び装置である。WTRUは、E−DCHデータを送信するようスケジュールした時に、UL EU チャネルを介してE−DCH(Enhanced Dedicated Channel:向上した専用チャネル)割当て要求をノードBに送信する。
【0010】
1つの実施形態として、ノードBはチャネル割当て要求を受信し、予め定められたチャネル要求応答時間期間内にチャネル割当てをWTRUに提供することができるかを判定する。予め定められたチャネル要求応答時間期間内にチャネル割当てをWTRUに提供することができる場合、ノードBはスケジュール情報(すなわち、E−DCHチャネル割当て情報)をWTRUに送信する。そうでなければ、ノードBは、チャネル割当てを送信することなく、チャネル割当て要求が受信されたという確認メッセージをWTRUに送信するのみである。確認メッセージに応答して、WTRUは、期間を割り当てるために予め定められた最大時間に対して同じチャネル割当て要求を送信するのを止め、要求はノードBの待ち行列に入れられる。チャネル割当てを受信することなく期間を割り当てるための最大時間が満了した場合、WTRUはチャネル割当て要求を再送信する。
【0011】
他の実施形態では、UL EU チャネルを介してE−DCH割当て要求を配信することが失敗したのか、又は、DL EU シグナリングチャネルを介してチャネル割当て情報を配信することが失敗したのかを判定することによって、EU送信の失敗を訂正するための適切な措置がとられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による無線通信システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による図1のシステムで確立されたUL EU チャネルにおいて輻輳を低減するためのフロー図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるチャネル割当ての間にシグナリングチャネルの失敗を判定し、訂正処置をとるための処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、専門用語「WTRU」は、限定されるものではないが、UE(ユーザ装置)、移動局、固定又は移動加入者装置、ページャ、又は、無線環境で動作可能な任意の他の種類の装置が含まれる。専門用語「ノードB」は、以下で言及する場合、限定するものではないが、基地局、サイトコントローラ、アクセスポイント、又は、無線環境における任意の他の種類のインターフェース装置が含まれる。
【0014】
本発明の機能は、IC(integrated circuit:集積回路)に組み込むことができ、又は、多数の相互接続された部品で構成することができる。
【0015】
図1は、本発明に係る無線通信システム100のブロック図である。システム100は、WTRU102、1又は複数のノードB104及びRNC106を含む。RNC106は、ノードB毎の最大許容EU送信電力又は利用可能なチャネルリソース等の、ノード104及びWTRU102に対するEUパラメータを設定することにより、全面的にEU動作を制御する。WTRU102は、UL EU チャネル110を介してチャネル割当て要求をノードB104に送信し、ノードB104は1又は複数のDL(downlink:ダウンリンク) EU シグナリングチャネル112を介してチャネル割当て情報を送信する。EU無線リソースがWTRU102に割り当てられた後、WTRU102はUL EU チャネル110を介してデータを送信する。ノードB104は、E−DCH割当て要求を入れるための要求優先順位待ち行列116、及び、E−DCH割当て要求応答時間期間を定めるための、タイマを割り当てるための最大時間116を含む。WTRUは、ノードB104からチャネル割当てを受信していない場合に、周期的にチャネル割当て要求を生成するためのチャネル割当て応答タイマ118を含む。
【0016】
図2は、本発明の1実施形態に係るUL EU チャネル110における輻輳を低減するための処理200のフロー図である。WTRU102が送信すべきE−DCHデータを有する場合、WTRU102は、UL EU チャネル110を介してE−DCH割当て要求をノードB104に送信する(ステップS202)。E−DCH割当て要求のシグナリングは、物理層又はMAC(medium access control)層シグナリングの何れかである。
【0017】
WTRU102からE−DCH割当て要求を受信すると、ノードB104は、予め定められたチャネル要求応答時間期間内に、WTRUへのE−DCHの割当てのために利用可能なリソースがあるか判定する(ステップ204)。チャネル要求応答時間期間は、ノードB104がチャネル割当て要求に応答すべき最大時間期間である。ノードB104がE−DCH割当て要求を受信した時に、ノードB104のタイマを割り当てるための最大時間116によって設定されたチャネル要求応答時間期間が始動する。チャネル要求応答時間期間は、システムにおいて固定値とすることができ、又は、RNC106が各EUのRAB(radio access bearer:無線アクセスベアラ)に対して設定することができ、ノードB104及びWTRU102の両方に信号で伝えることができる。
【0018】
E−DCHリソースが利用可能な場合、ノードB104は、E−DCH割当て要求を受信したことを示す確認メッセージをWTRU102に送信し(ステップ206)、チャネル要求応答時間期間内に、DL EU シグナリングチャネル112を介してスケジュール情報(すなわち、E−DCH割当て情報)も送信する(ステップS207)。WTRU102は、スケジュール情報に従って、UL EU チャネル110を介してデータを送信する(ステップ208)。
【0019】
チャネル要求応答時間期間が満了する前にE−DCHリソースを割り当てることができない場合、ノードB104は、チャネル要求応答時間期間が満了する前に、E−DCH割当て要求を受信したがスケジュール情報を送信しないことを示す確認メッセージをWTRU102に送信する(ステップ210)。この確認メッセージはスケジュール情報を含んでおらず、単に、ノードB104がチャネル割当て要求を受信し、リソースが利用可能となった時にその要求を処理することを確認するのみである。
【0020】
本発明の1つの実施形態によれば、E−DCH割当て要求は優先順位を示している。E−DCH割当て要求の受信を確認する確認メッセージをWTRU102に送信した後、E−DCH割当て要求は、示されているその要求の優先順位に基づいて、ノードB104における要求優先順位待ち行列114に保存される(ステップ212)。要求優先順位待ち行列114に要求が入れられると、タイマを割当てるための最大時間116が起動されるか、または、同等なこととして(equivalently)、E−DCH割り当て要求の受信時間が記録される。割当てるべき最大時間は、E−DCH割当て要求が最終的に失敗したことが確定する前に、E−DCH割当て要求に提供するべき最大時間期間である。割当てるべき最大時間は、特定のデータフロー又はデータ優先順位クラスに対応付けられる(map to)各送信に対して一意とすることができる。
【0021】
ノードB104における要求優先順位待ち行列114内の要求に、FIFO(first-in first-out:先入先出)でサービスを提供する(service)ことができる。十分なリソースがない場合、利用可能となるまで割当てはさらに遅れる。利用可能なリソースがある場合、ノードB104は、要求優先順位待ち行列114の中の少なくとも1つの要求にサービスを提供する。
【0022】
E−DCH割当て要求の受信に応答して、ノードB104から確認メッセージを受信すると、WTRU102は、スケジュール情報をも受信したか、又は、チャネル割当て要求のみが認識されたのかを確認する。スケジュール情報が受信されると、WTRU102は、ノードB104によって指定されたスケジュール情報に従って、UL EU チャネル110を介してデータを送信する(ステップ208)。E−DCH割当て要求の受信確認のみが受信された場合、WTRU102はノードB104がE−DCH割当て要求を受信したことを知り、同じ要求を再送信するのを止める(ステップ214)。
【0023】
チャネル割当て要求がスケジュール情報なしで受信され確認された(confirm)後、ノードB104は、要求がノードB104の要求優先順位待ち行列114に入れられているWTRU102に対して、後でEUチャネル割当てを提供することができる。ステップ216で、周期的に、場合によっては各TTI(transmit time interval:送信時間間隔)で、ノードB104は、要求優先順位待ち行列114において要求の割当てに対してリソースを利用可能かを判定する(ステップ218)。利用可能なリソースがある場合、プロセス200はステップ207及び208に進む。
【0024】
利用可能なリソースがない場合、ノードB104はタイマを割当てるための最大時間116が満了したかを判定する(ステップ220)。
【0025】
ステップ220で判定した時にタイマを割当てるための最大時間116が満了していない場合、プロセス200はステップ216で次のTTIを待つ。ノードB104は、割当てのための最大時間の満了に近い割当てを優先させることができる。
【0026】
タイマを割当てるための最大時間116が満了した後、又は、同等のこととして、記録された要求受信時刻後に予め定められた時間期間が経過した後、WTRU102は各E−DCH割当て要求について最大割当て時間期間を追跡する(track)ために、チャネル割当て応答タイマ118を頼りにする(rely on)。WTRU102は、WTRU102がE−DCH割当て要求をノードB104に送信する毎に、チャネル割当て要求タイマ118を設定し、チャネル割当て応答タイマ118の満了により割当ての失敗を認識する。あるいは、WTRU102がそれ自身の等価な(equivalent)チャネル割当て応答タイマ118を保持しない場合、ノードB104はWTRU102に割当てに失敗したことを通知する。WTRU102がそれ自身のチャネル割当て応答時間118を保持している場合、ノードB104はWTRU102に失敗を通知する必要はない。
【0027】
E−DCH割当ての失敗が発生した場合、WTRU102はいくつかのオプションを有する。WTRU102は、E−DCH割当て要求又は更新された要求をノードB104に再送信することができる(ステップ224)。チャネル割当て応答タイマ118が満了する毎に、ステップ224を周期的に実行することができる。代替として、WTRU102が送信すべき追加のE−DCHを有している場合、WTRU102は割当てを要求したデータを破棄し、更新されたE−DCH割当て要求を送信することができる(ステップS226)。
【0028】
図3は、本発明の他の実施形態に係るチャネル割当ての間のシグナリングチャネルの失敗を判定するためのプロセス300のフロー図である。WTRU102が送信すべきEUデータを有する場合、WTRU102はE−DCH割当て要求をノードB104に送信し、チャネル割当て応答タイマ118を起動する(ステップ302)。E−DCH割当て要求を送信した後、WTRU102は、チャネル割当て応答タイマ118が満了するまで、ノードB104からスケジュール情報(すなわち、E−DCH割当て情報)を受信するのを待つ。WTRU102がチャネル割当て応答タイマ118が満了する前にノードB104からスケジュール情報を受信するのに失敗した場合(ステップ304)、WTRU102は、再送信識別子を含む同じE−DCH割当て要求、又は、更新されたE−DCH割当て要求を再送信する(ステップ306)。
【0029】
この場合、WTRU102はUL EU シグナリング(すなわちE−DCH割当て要求)又はDL EU シグナリング(すなわち、チャネル割当て)の何れが失われたのかがわからない。ノードB102がE−DCH割当て要求を受信した場合(ステップ308)、ノードB104はどこで失敗が発生したか(すなわち、UL EU チャネル110におけるE−DCH割当て要求か、又は、DL EU シグナリングチャネル112を介したチャネル割当てか)を判定する。ノードB104が、供給(serve)されていない再送信されたE−DCH割当て要求を受信した場合、ノードB104は、E−DCH割当て要求のUL EU チャネル110上での配信が成功しなかったと判定する(ステップ312)。ノードB104が、供給され再送信されたE−DCH割当て要求を受信した場合、ノードB104は、チャネル割当て情報のDL EU シグナリングチャネル112上での配信が失敗したと判定する(ステップ314)。次に、ステップ312又は314の何れかに対して、ノードB104は判定された失敗に応じた適切な訂正処置をとる。次に、ノードB104は、受信した要求を処理する(ステップ316)。
【0030】
本発明は、E−DCH割当て要求がノードB104に受信されたことを確実にし、ノードB104によってE−DCHチャネル割当てが直ちに提供されなかった場合、EU UL シグナリング負荷は最小化される。本発明の方法を使用することで、ULの物理的リソースをより効果的に使用することができる。
【0031】
本発明の特徴及び要素が、特定の組合せにおける好ましい実施形態で記載されているが、好ましい実施形態の他の特徴及び要素なしで、又は、本発明の他の特徴及び要素を有する又は有さない様々な組合せで、各特徴及び要素を単独で使用することができる。
【0032】
本発明を好ましい実施形態の観点で記載したが、特許請求の範囲に記載される発明の範囲内の他の変形は、当業者にとっては明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノードBおよびWTRU(wireless transmit/receive unit:無線送受信ユニット)において実装され、UL(uplink:アップリンク) EU(enhanced uplink:向上したアップリンク) チャネルの利用を最小化する方法であって、
前記ULEUチャネルを介して第1のデータを送信するためのE−DCH(enhanced dedicated channel:向上した専用チャネル)割当て要求を受信するステップと、
チャネル要求応答期間内で前記E−DCH割当てが提供可能かを判定するステップと、
前記E−DCH割当て要求を受信したことを示す確認メッセージを前記WTRUに送信するステップと、
前記確認メッセージに応答して、予め定められたチャネル要求応答期間内に、前記WTRUによるE−DCH割当てをさらに要求しないようにするステップと
を備え、
前記WTRUは、前記予め定められたチャネル要求応答期間が満了し、かつ前記WTRUが送信すべき第2のデータを有していることを条件に、前記第1および第2のデータを送信するためのE−DCH割当てを要求することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記E−DCH割当て要求は優先順位を示しており、前記E−DCH割当て要求は、前記E−DCH割当て要求の前記優先順位に基づいて前記要求優先順位待ち行列に保存されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記要求優先順位待ち行列に前記E−DCH割当て要求が保存されると、割当てるための最大時間タイマを起動する(activate)ステップと、
前記待ち行列に入れられた要求を割り当てるために利用可能なリソースがあるか判定するステップと、
前記割当てるための最大時間タイマが満了するまでE−DCH割当てが提供されない場合、リソース割当ての失敗を前記WTRUに通知するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ノードBが前記E−DCH割当て要求を受信した時刻を記録するステップと、
前記記録された時刻後予め定められた期間が経過するまでE−DCH割当てが提供されない場合、前記WTRUにリソース割当ての失敗を通知するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−102520(P2013−102520A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−10569(P2013−10569)
【出願日】平成25年1月23日(2013.1.23)
【分割の表示】特願2011−224111(P2011−224111)の分割
【原出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】