説明

冶金ネットワーク組成物の調製およびその使用方法

本発明は電気用途の金属組成物、その調製方法とそれらの使用に関する。より詳細には、本発明は金属と金属合金成分のブレンドされた配合物を含む金属過渡的液相焼結組成物に関し、該組成物は増加した安定性、耐熱ストレスおよび物質の間のCTEミスマッチを緩和する能力を有する相互接続された伝導性冶金学的なネットワークを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2009年11月5日に出願した米国仮出願番号61/258,365の優先権の利益を請求する。その全体の開示が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
技術分野
本発明は金属組成物、その調製方法とそれらの使用に関する。より詳細には、本発明は金属と金属合金成分のブレンドされた配合物を含む金属過渡的液相焼結組成物(metallic transient liquid phase sintering compositions)に関し、該組成物は増加した安定性、耐熱ストレスおよび物質の間のCTEミスマッチを緩和する能力を有する相互接続された伝導性冶金学的なネットワーク(interconnected conductive metallurgical networks)を形成する。
【0003】
発明の背景
ここ数10年間にわたって、エレクトロニクス産業は絶えずより小さい形状で、より高い性能と機能性に向かって開発を進めた。生産レベルでは、これらの原動力はより小さい回路とデザインとなり、より効率的な回路ルーティング、パッケージングレイヤーの除去、および洗練された工学的材料をサポートする製法となった。しかしながら、進歩は異種材料の厳密な並置は、熱力学的応力管理と熱移動の管理をより難しくするという代償を伴った。
【0004】
プリント板および半導体パッケージングのデザインにおける1つの傾向は、速度と性能に関して回路ルーティングを最適化するために、スルーホール垂直内部結線アーキテクチャから、ダイレクトレイヤトウレイヤ内部結線アーキテクチャへの移行である。理想的には、回路部品のレイヤを相互接続する伝導性ビアは、それらが相互接続する回路トレースとサイズにおいて相応であり、頑丈で信頼できる伝導を提供するか、非常に小さいコネクティング回路の特徴を必要として、積み重ねられるか、そうでなければ、回路基板またはパッケージデザインのどこでも自由に配置されることができるだろう。固体金属ビアをメッキして、そのようなレイヤトウレイヤ内部結線を形成することは、ひどく高い費用を要し、めっき溶液の内包化が重要な問題となる。代わりに、ビアホールのトポグラフィーは妥当な厚さまで何度もメッキされる。しかしながら、この戦略は、ビアの縁と、メッキが下層のパッドと接触する点で、力学的応力ポイントを作成する。また、ビアのセンターで作成された窪みは、欠陥のソースである場合がある。伝導性の化合物でビアホールを満たすことができるが、そのような充填材料は銅パッドとの電気的に頑丈なインタフェースを形成しない。
【0005】
小型化に加えて、電子装置またはそれの要素を直接他の物と統合する傾向に向かっている。この傾向の完全な実現には3Dアーキテクチャと適当な製法を必要とするだろう。革新的な内部結線戦略は、積み重ねられた半導体ダイのI/Oの相互接続、ワイヤレス機器のための適合されるかまたは組み込まれたアンテナ構造物の作成、ソーラパネルのコレクショングリッドの作成など、様々な用途に必要とされるだろう。
【0006】
この傾向は、異種材料を一緒に付着しなければならない用途に及んだ。例としては、回路基板への要素の付着、集積回路(IC)のリードフレーム、再配線層およびヒートシンクへの付着があげられる。多くの用途では、被着体の間の熱伝導は電導性と少なくとも同じくらい重要である。良好な接着のための重要な要素は接着結合の品質である。接着剤のバルクな電気的伝導率および熱伝導率;接着剤と被着体の間の界面の熱的、機械的および電気的品質;および接着剤の被着体の熱膨張係数における相違を緩和する能力。はんだは、構成要素を回路基板に付着するため、ヒートシンクを構成要素に接着するため、およびICをパッケージに取り付けるためにしばしば使用される。一般に、ヒートシンクまたはボード/パッケージに構成要素をはんだ付けするためには高温を必要とする。そして、付着が起こるためには、接合されるべき表面ははんだ付けの材料で濡らすことができなければならない。さらに、はんだ付けされた金属間化合物と合金相は、熱的に接続されるべき材料の熱膨張係数とよく適合されていない。それは、高い熱ミスマッチ応力をもたらす。繰り返された温度サイクリングはミクロ構造結晶粒粗大化を引き起こし、クリープ破断をもたらす場合がある。金−シリコンおよび金−スズは、どちらも金の豊富な共晶組成物であり、従来のはんだと接着剤は十分な熱伝導率を与えない大電力半導体用途に使用される。これらの材料の両方の主要な欠点はそれらのコストが非常に高いことである。また、AuSnとAuSiの両方は、他のより低い温度のはんだと比べて、CTE圧を問題とする低延性があり、特に高いダイ接着温度で問題となる。電気的接着のためにはんだを使用する主な利点は、合金化界面と高いバルク熱伝導率である。主な欠点はCTEミスマッチからのダイへのストレスと、次のアセンブル作業のための複雑さである。
【0007】
それらの機械的特性が調節でき、はんだ付け可能な被着体を必要としないので、ポリマー接着剤ははんだ付けの一般的な代替手段である。一般に、純ポリマー接着剤の熱伝導率(k)は低く(典型的には0.2〜0.3W/m°K)、ほとんどのポリマー材料は電気絶縁体である。ポリマー接着剤の熱および電気伝導率を増加させるために、導電性充填剤粒子を接着剤配合物に加えることができる。熱および電気的に伝導性の接着剤配合物の主な利点は、それらが容易に適用され処理され、界面のほぼ100%を覆うということである。主な欠点は、電気および/または熱界面、およびバルクな電気および/または熱伝導率が、粒子−粒子接触に依存しているということである。パーコレーションしきい値では、1粒子あたり平均1.5の接点が典型であり、これらの接点は環境劣化により影響を受けやすい。
【0008】
更なる傾向は、揮発有機化合物と鉛を含む、環境障害と毒素の低減と最終的な除去である。かつて遍在した鉛の除去は、電子装置の製造を複雑にしている。スズ−鉛の置き換えとして高スズ合金を使用した。高スズ合金は、それらが置き換えるスズ−鉛合金よりもほぼ30℃高い溶融温度を有し、構成要素アセンブリ処理温度の対応する増加をもたらし、きめ細い電気相互接続のときに熱力学的応力を高めることができる。
【0009】
半導体パッケージングおよびプリント基板製造の収束として、新しいアーキテクチャと処理体制の厳しさに耐えることができる材料の創造に実質的な技術的努力がささげられた。例えば、微細回路を製造するのに使用される銅箔のミクロ構造が高度に制御される。回路基板を作成するのに使用される複合材積層は、流動特性、ガラス転移温度、熱膨張係数、および高品質の孔形成を制御するために大規模な商品開発を受けた。また、表面処理化学とプライマーコーティングは、広範に特徴付けられ、最適化された。境界層金属と表面仕上は現在では、厳しい許容度が適用される。ドープ剤は、現在、はんだ接続の機械的特性を変更し、スズホイスカなどの望ましくないミクロ構造が形成されるのを防ぐために加えられる。
【0010】
これらの対策にもかかわらず、電子装置の中の重要な接点のための、安価で、頑丈で、低温プロセスで、信頼できる電気的および熱的内部接続の必要性が残っている。
TLPS
【0011】
プリント板内部結線の信頼できて多能な導電ペースト溶液への挑戦として、およそ20年前に過渡的液相焼結(Transient liquid phase sintering :TLPS)の材料が紹介された。主として鉛ベースの合金類はフラキシングバインダー中で銅粒子と混合された。組成物は従来の鉛スズはんだのように処理することができ、はんだが濡らすことができる表面に、頑丈な冶金学的な結合を形成することができる。しかしながら、はんだと異なって、TLPS組成物は処理の間、「熱硬化」金属を作成した。そのためTLPSペースト材料は回路基板の上または中で、はんだ付け工程が典型的に必要とされる操作で使用され、処理された組成物は元の処理温度で再び溶融しない。
【0012】
これらの初期のTLPSの材料のための要件は、それらが冶金的に反応して電気的に伝導性の内部接続を形成し、引き続く熱処理において固体であって、自己不活性であり、適度にはんだ付け可能な表面を提供するということであった。形成された金属ネットワークと周囲の有機マトリックスのミクロ構造は、そのような電気伝導率特性に関してのみ最適化され、接着性が改良された。内部接続のサイズは比較的大きく、処理されたTLPSはめったに220℃を超える次の熱サイクルにかけられなかった。
【0013】
初期のTLPS材料は低処理温度、銅の素晴らしい濡れ、良好な電気および熱伝導率および延性、支配的な鉛、硬化しているTLPS組成物内における銅−スズ金属間化合物でおおわれた銅粒子の間のブリッジのため大いに鉛に頼っていた。鉛の除去は、TLPS技術の実現化のための重要な挑戦であった。
【0014】
TLPS組成物は、電子部品のアセンブリ、平面内回路トレース、異なる面の回路トレース間の内部接続、パッケージング要素上の非パッケージ集積回路ダイのアセンブリをはじめとする従来の広範な電気的および/または熱伝導性物質の置き換えとして使用されてきた。米国特許第6,716,036;5,980,785;5,948,533;5,922,397;5,853,622;5,716,663および5,830,389を参照されたい。それらの内容の全体は本明細書中に参考として援用する。
【0015】
現代のエレクトロニックパッケージングにおける増大した要求を満たすために、用途特定複合材料として慎重にTLPS相互接続材料を設計しなければならない。TLPS材料中の希望される特性は表1に記載されたものを含む。
表1:TLPS残留の望ましい特性
相互接続された冶金学的なネットワークの形成
250℃未満の温度での処理
冶金学的な組成選択の高い特異性
熱力学的応力への高い寛容度
熱安定性バルクと界面の電気および熱への耐性
望ましくは無鉛
被着体と周囲の材料へ具体的に適用される相互侵入有機ネットワーク(interpenetrating organic network)を含む
【0016】
さらに、TLPSペーストは接着剤としてエレクトロニクス産業で役に立つ場合がある。反応性冶金に伝統的なポリマーベース接着性成分を取り入れることによって、TLPSの金属ネットワークに相互侵入して強化する、熱硬化ポリマーネットワークが形成できる。典型的には200℃未満の処理温度である元素銅とスズの合金の典型的な粒子群のTLPS処理の間、合金粒子は溶融し、本質的にネットワーク構造内に銅粒子を”マイクロソルダ(microsolder)”する。また、TLPSの材料がはんだ付け可能な表面に接触しているとき、これらの表面は合金粉によって濡らされて、合金の界面を作成する。はんだ材料が形成するラメラ界面と異なって、TLPS材料とはんだ付け可能な表面の間の界面は有機接着剤とマイクロソルダジョイントのマトリクスで構成される。
【0017】
電子接着剤の用途にこの技術が有望であるが、それはいくつかの重大な制限を受ける。低処理温度合金を作成するのに典型的に使用されるビスマスは、非常に不良な熱伝導体であり、もろい。その結果、金属ネットワークの創設の間に形成された金属間化合物は、使用されるコア金属よりもろくて不良な導体である。残念ながら、TLPSと共に形成された金属マトリックスは、処理された接着剤の機械的特性を支配する傾向がある。その結果、CTEミスマッチ応力を緩和するために有機マトリックスの調整能力を制限する。
【0018】
したがって、電子接着剤の分野において、バルクで高い熱および電気伝導性を示し、界面の安定した低い熱および電気的抵抗性を示し、高い接着強度、および、被着体の熱膨張係数における相違によってもたらされた応力を緩和する能力を提供する改良された接着材料の必要性が存在している。
【0019】
発明の要約
本発明は以下を含む粒子混合物組成物を提供する:
A.組成物内の金属粒子の全質量に基づいて約35質量%から約60質量%の間の量の、第1の金属を含む第1の金属粒子成分;および
温度Tで第1の金属と金属間化合物を形成する第2の金属を含む第2の金属粒子成分;ここで金属間化合物はTよりも10℃以上高い最低溶融温度を有する。
【0020】
そのような粒子混合物の中では、第2の金属粒子成分は、第1の金属のすべてを金属間化合物に完全に変換するために必要な第2の金属よりも過剰に含まれ、第2の金属粒子成分は第2の金属とキャリヤーの合金を少なくとも約10質量%含む。ここで合金はTで溶融する。例えば、キャリヤーはBiであることができ、金属間化合物はSnおよびCu、SnおよびAgまたは、Sn、およびCuとAgの組み合わせを含むことができる。
【0021】
第1の金属は、Cu、Ag、Au、Pt、Ir、Os、Pd、Pt、Ph、Ru、Ga、In、Al、Re、Zn、Ni、Sn、Bi、Sbまたはそれらの組み合わせであることができる。典型的に、第1の金属はCu、Ag、Au、Pt、In、Ga、およびそれらの組み合わせから選択される。しばしば、第1の金属は、銅、貴金属、またはそれらの組み合わせである。
【0022】
第2の金属はSn、Bi、Pb、Cd、Zn、Ga、In、Te、Hg、Tl、Sb、Se、Poまたはそれらの組み合わせであることができる。ある特定の態様では、第2の金属はSn、Bi、Pb、Ga、In、Zn、およびそれらの組み合わせから選択される。更なる態様では、粒子混合物は鉛を含まない。
【0023】
特に、第2の金属粒子成分は、Tで溶融状態であるかまたはTで第1の合金と可溶性であることを条件として、少なくとも1種の第2の金属の追加の合金を含むことができる。いくつかの実施態様では、第2の金属粒子成分は第2の金属の複数の合金類を含む。これらのそれぞれはTで溶融状態であるか、またはTで別の溶融合金中に可溶性である。
【0024】
本発明の組成物のための処理温度Tは典型的に260℃を超えない。ある特定の実施態様では、Tは約135℃から220℃の範囲内にある。
【0025】
本発明の例示の粒子混合物は、Cuを含む第1の金属と、Snを含む第2の金属を含む。また、ある特定の態様では、第1の金属はAgも含む。たとえばキャリアはBiであることができ、金属間化合物はSn−Cu金属間化合物、Sn−Ag金属間化合物または両方であることができる。
【0026】
本発明のいくつかの態様では、組成物は金属添加物を含むことができ、たとえばB、Al、Ch、Fe、Ni、Zn、Ga、Ag、Pd、Pt、Au、In、Sb、Bi、Te、Mn、P、Coまたはそれらの組み合わせなどを含むことができる。例えば、金属添加物は、粒子、コーティングまたはナノ微粒子であることができる。
【0027】
また、本発明の粒子混合物組成物は、たとえば、溶媒、フラックス、および任意に自己不活性化剤(self-inert)手段、熱可塑性ポリマー、およびポリマー前駆体を含むことができる有機ビヒクルを含むことができる。存在する場合には、フラックスは典型的にはカルボン酸、無機酸、アルカノールアミン、フェノール、ロジン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0028】
また、本発明は本明細書に記載された金属粒子組成物を温度Tに加熱することによって形成された相互接続された冶金学的なネットワークを提供する。得られるネットワークは第1の金属と第2の金属の金属間化合物;および第2の金属とキャリヤーの合金を含む。引き続いてTに加熱される時に、そのようなネットワークは電気的に機械的に安定している。
【0029】
ある特定の実施態様では、ネットワークは以下から選択された1種以上の第2の金属粒子成分を含む:Tで溶ける少なくとも1つの第2の金属合金、第1の反応金属との反応により反応性の第2の金属を消費したときに、溶融状態の反応種を再生する、少なくとも1つの第2の金属またはその合金、および2番目の反応金属のナノ微粒子。そのような実施態様では、Tで形成される反応生成物は、300℃未満で溶融しない熱安定性成分を少なくとも75質量%で含み、220℃以下である温度Tで再溶融する再溶融成分を少なくとも5質量%で含む。再溶融成分の再溶融は、300℃までの多重暴露で、一貫したエネルギーで起こる。再溶融成分はネットワーク中全体に分散され、溶融した時にネットワークから押し出されることはない。再溶融はネットワークのバルクな弾性率を低下させる。ある特定の態様では、反応生成物は再溶融成分を少なくとも10質量%で含んでいる。他の態様では、反応生成物は再溶融成分を約25質量%で含む。
【0030】
また、電気的および熱的に伝導性の内部接続を形成する方法であって、本発明による組成物の所定量を、電気的および熱的に相互接続されることになっている少なくとも2つの部品のアセンブリに適用し、組成物を約135℃から220℃の間の温度Tまで加熱し、第1および第2の金属を結合し、少なくとも1つの金属間化合物を形成することを含む方法を提供する。ある特定の実施態様では、実質的に第1の金属のすべてが金属間化合物に変換される。そのような金属間化合物は、300℃未満で溶融しない内部接続の、熱安定性の金属成分である。
【0031】
本発明のある特定の方法では、熱安定した成分を少なくとも75質量%、および約220℃未満の温度Tで再び溶融する再溶融成分を少なくとも5質量%で含んでいる金属ネットワークが製造される。その結果、再溶融成分がネットワーク中に普く分散される。本発明のいくつかの態様では、得られる金属ネットワークは再溶融成分を少なくとも10質量%で含む。他の態様では、再溶融成分は金属ネットワークの約25質量%である。典型的には、Tは180℃未満であり、しばしば150℃未満である。Tおよび約300℃の間の温度へネットワークを加熱すると、再溶融成分は溶融するが、熱安定成分は溶融しない。そのような再溶融処理は、ネットワークのバルクな弾性率を低下させる。これは、相互接続部分が相互接続組成物と異なるCTEsを有する場合に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は従来の金属粒子組成物から形成された金属ネットワークを示す。パネルAは、過剰な銅とスズ−ビスマス合金を含む従来のTLPS組成物から形成されたネットワークを示している。パネルBは、スズ−ビスマス合金が過剰な、同様のTLPS組成物から形成されたネットワークを示している。
【0033】
【図2】図2はフラキシングエポキシ混合物中に、46質量%Sn(ただ一つの合金ソースから)と40質量%Cuを含むTLPS組成物のDSC曲線を示している。
【0034】
【図3】図3は処理された図2のTLPS組成物のDSC分析を示している。
【0035】
【図4】図4は図2の組成物と元素的に等価である混合された合金の190℃で処理されたDSC曲線を示している。
【0036】
【図5】図5は処理された図4のTLPS組成物のDSC分析を示している。
【0037】
【図6】図6は、残余のBi:Sn合金の安定性を示すDSC曲線を示している。
【0038】
【図7】図7は、連続した熱サイクルの関数としての残余のBi:Sn合金の安定性を示すDSC曲線を示している。
【0039】
【図8】図8は共晶Bi:Sn(58:42)とBi:Sn(80:20)の間のブリッジ範囲を示す。
【0040】
詳細な説明
上述の一般的な説明および以下の詳細な説明は両方とも例示かつ説明のみであり、そして特許請求される本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。本明細書において使用される時、特記のある場合を除き、単数形の使用は複数形を含んでいる。
【0041】
定義
本明細書において使用される時、“または”は特記の無い限り「および/または」を意味する。さらに、「含む」、「包含する」などの用語の使用は、「含む」ものとして理解されて、制限的に使用されない。本明細書に使用されたセクションの見出しは、構成的な目的だけのためにあって、説明した内容を限定するものと解釈されない。明細書および特許請求の範囲においては、それが使用される文脈に応じて、あるものの単数形は複数形も含むものとする。たとえば“a”または“an”は、それが使用される文脈に応じて、1またはそれ以上を意味する。すなわち、「金属」は、少なくとも1つの金属、2つの金属、または複数の金属を意味する場合がある。
【0042】
「約」または「ほぼ」という本明細書に使用される用語は、“約”または「ほぼ」が付された数が、示された数字のプラスマイナス1−10%を含むことを意味する。例えば、約50のヌクレオチドは、45−55のヌクレオチドまたは状況に依存して49−51のヌクレオチドを意味できる。本明細書では、「45−55」などの数値範囲は、範囲内のそれぞれの整数を呼ぶ。例えば、「45−55%」は、割合が45%、46%、などと増え、55%を含むことを意味する。本明細書に記載された範囲内が、たとえば「1.2%から10.5%」のように小数点を含む場合、その範囲は特定の範囲内で示した中で最も小さい増分のそれぞれの少数値について言及する。例えば、「1.2%から10.5%」の場合には、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、等であることができ、10.5%を含む。また「1.20%から10.50%」は、1.20%、1.21%、1.22%、1.23%等であることができ、10.50%を含む。
【0043】
本明細書において使用される時、用語「実質的に」は、大きい範囲または程度をいう。例えば、「実質的にすべて」は、典型的には、少なくとも約90%、しばしばには少なくとも約95%、しばしばには少なくとも99%と、よりしばしばには少なくとも約99.9%をいう。
【0044】
「合金」という用語は、二個以上の金属を含む混合物をいい、任意に追加の非金属を含むことができる。ここで合金中の元素は互いに融合するか、または溶融した時に互いに溶解しあう。
【0045】
「フラックス」という用語は、金属の溶融を促進するために使用される物質をいい、しばしば酸または塩基であり、特には金属酸化物を除去するかまたはその形成を防止する。
【0046】
本明細書に使用される用語「溶融温度」または「融点」は、固体が大気圧で液体になる温度(点)をいう。
【0047】
本明細書に使用される「高い溶融温度の金属」、「高融点金属」または「HMP金属」という用語は、約400℃に等しいかまたはより高い溶融温度を持っている金属を示す。
【0048】
本明細書に使用される「低い溶融温度の金属」、「低融点金属」または「LMP金属」という用語は、約400℃より低い溶融温度を持っている金属を示す。
【0049】
「共晶(eutectic)」という用語は、構成成分が融点ができるだけ低くなる割合で存在し、構成成分が同時に溶融する混合物または合金をいう。従って、共晶合金または混合物はただ一つの温度で固形化する。
【0050】
「非共晶」という用語は共晶の特性を持っていない混合物または合金をいう。従って非共晶合金が固まるとき、成分は異なった温度で固まり、溶融温度範囲を示す。
【0051】
「示差走査熱量計」(「DSC」)という用語は、サンプルと参照の温度を増加させるのに必要である熱量の相違を温度の関数として測定する熱分析の方法を示す。
【0052】
「焼結」という用語は、金属粉末粒子の隣接している表面が加熱で接着される処理を示す。「液相焼結」は固体粉末粒子が液体相と共存する焼結の形式を示す。金属がお互いの内部に拡散して、新しく合金および/または金属間化合物を形成するので、混合物の高密度化と均質化が起こる。
【0053】
「一時的な液相焼結」または「TLPS」においては、金属の均質化の結果、液体が短期間の間にのみ存在し、固体合金および/または金属間化合物の混合物を形成する。液相は、周囲の固相に対する非常に高い溶解牲がある。その結果、急速に固体内に拡散して、最終的には固まる。混合物を平衡溶融温度より上まで加熱しなくとも、拡散均質化は最終組成物を作成する。
【0054】
本明細書に使用される「弾性率」または「ヤング率」は、材料の堅さの尺度である。
弾性の限界内では、弾性率は線形応力と線形歪みとの比率であり、引張り試験の際に作成された応力−ひずみ曲線の傾斜から決定できる。
【0055】
「熱膨張係数」または”CTE”は、物質の熱力学特性について説明する用語である。
CTEは材料の長さ寸法の変化と温度の変化に関連する。本明細書において使用される時,「αCTE」または「α」はTgの前のCTEを示し、「αCTE」はTgの後にCTEをいう。
【0056】
用語の「処理温度」または”T”は2つの反応金属(例えば、CuとSn)が金属間化合物を形成する温度を示す。
【0057】
用語「金属間化合物」または「金属間化合物種」は、ある比率で2以上の金属元素で構成される固体物質であり、その構成金属とは明確に異なる構造を有するものをいう。
【0058】
「バルク抵抗率」という用語は、「バルク」の材料の固有の電気抵抗について言及する。すなわち、形またはサイズにかかわらない。
【0059】
本明細書に使用される「接着剤」または「接着剤化合物」は、2つの物質を一緒に結合するか、または接着できる全ての物質をいう。「接着剤配合物」または「接着剤組成物」の定義に内在することは、組成物または配合物が二以上の種、成分または化合物の組み合わせまたは混合物であることであり、それらは接着剤モノマー、オリゴマー、および/またはポリマー、並びに他の材料を含むことができ、「接着剤化合物」は接着剤ポリマーまたはオリゴマーなどののような単一の種をいう。より詳細には、接着剤組成物とは、混合物を形成する混合物中の個々の成分が元の個々の成分の化学的および物理的な特性を保有している、硬化していない混合物をいう。接着剤組成物は、典型的には可鍛性であり、液体、ペースト、ゲルまたは別の形態であることができ、物質に塗布できて、該物質を互いに結合することができる。
【0060】
材料の誘電損失は「損失正接」と呼ばれる。そして、この量の逆数は「品質因子」、「Q因子」または「Q」と呼ばれる。
【0061】
また、「境界面熱抵抗」としても知られている「界面熱抵抗」は、ヒートフローへの界面の抵抗の尺度である。
【0062】
標準の過渡的液相焼結粉末冶金では、比較的低い融点(LMP)金属合金と比較的高い融点(HMP)金属が微粒子形状で混ぜられる。LMP合金の中の少なくとも1つの元素はHMP金属と反応性である。温度が処理温度に上げられるのに従って、LMP合金粒子タイプは溶融状態になる。吸熱事象として、示差走査熱量計(DSC)でこの遷移状態を観測できる。次にLMP合金中の反応性元素が受容的なHMP金属と反応して金属間化合物を形成するし、残りのLMP合金成分は新しい合金組成物を形成する。DSCにより、発熱事象として金属間化合物種の形成を観測できる。したがって、典型的なTLPS DSC「シグネチャー(signature)」は、吸熱とその後の発熱である。LMP合金と受容的なHMP金属からの反応性元素の拡散と反応は、どちらかの反応剤が完全に減耗され、処理温度における溶融相がもうなくなるか、または反応系が混合物の冷却により冷却されるまで続く。冷却後、次の温度サイクルでは、元の溶融温度を超えても、混合物のオリジナルの溶融シグネチャーを再生しない。これは典型的な低温後処理過渡的液相焼結合金混合物の「シグネチャー」である。
【0063】
しかしながら、上に示唆されるように、TLPSはLMP金属とHMP金属の割合によって制限される。その1つは金属間化合物種への処理の間に、消耗される。LMP金属が過剰であるとき、従来技術では単一のLMP合金TLPS組成物では、残った望ましくない特性を有するキャリア金属(たとえばBi)は、被処理混合物の中に大多量に存在した。逆にHMP金属が過剰の場合には、合金中のLMP金属がいったん枯渇すると、HMP金属とLMP金属の間で追加の金属間化合物を形成する能力も消耗する。
【0064】
本発明は、合金をブレンドまたは混合することにより、形成された望ましい金属間化合物の量を最大にし、処理された最終のTLPSネットワーク内の望ましくない残留するキャリア金属(たとえばBi)の比率を制御できるという発見に基づく。さらに、最終のTLPSネットワーク内に存在する残余の合金の特性が最適化される。たとえば熱的および機械的な応力に対する抵抗力があると同時に、それほど堅くないネットワークが得られる。制御された配合物の予想外の効果は、異種材料に接着されたときのCTEミスマッチ応力(CTE mismatch stress)を吸収する能力を有するある特定の冶金学的なネットワークが形成されることである。
【0065】
本発明に従って形成された冶金学的なネットワークは、電気的構造の中で電気的、熱的、および機械的に要素を結合することに有用である。本発明の組成物が有用な用途の例としては、回路トレースとしての半導体ダイのパッケージング要素への接続、パッケージされた半導体構成要素のプリント板への接続、他の離散要素の電子基体への接続、スタックされたダイの間の接続の形成、電子基体内のホールの充填、プリント回路板および/または半導体パッケージ内の回路層の相互接続、ソーラパネルのためのコレクショングリッドの形成、電気的に導電性のピラー、シリンダもしくはカラムの形成、インタポーザ構造を介した電気サブシステムの電気的相互接続があげられる。
【0066】
また、TLPSは高い溶融温度の金属粉末、低溶融温度の合金粉末、および永久的な接着剤−フラックスポリマーシステムを含む有機物−金属の伝導性組成物も含む。そのようなTLPS組成物は、たとえば、TLPS組成物のパターン堆積物を作成し、次いで比較的低い温度で同時に焼結と組成物の硬化を行うことにより、電気伝導性経路をプリント配線に形成するのに使われる。加熱の間、接着剤−フラックスポリマーシステムは、金属粉をフラックスさせてTLPSが起こるのを可能にする。加熱の後に、接着剤−フラックスは、得られる金属酸化物を化学的に結合させ、それらを無害にする。この理由により、これらの組成物は酸化、腐食、熱膨張および収縮による電気伝導率劣化の機会がほとんど無い良好な電気伝導率を組成物に提供する。
【0067】
処理された従来のTLPS組成物のミクロ構造は、新たに形成された合金の1種以上と金属間化合物の1種以上の「シェル」を有する、高い溶融温度の金属の粒子群の金属ネットワークとして現れる。これはオリジナルの低溶融温度合金の非反応性部分によって相互接続される(図1を参照)。一般に、金属ネットワーク構造のオープンエリアは硬化した高分子結合剤によって充填される。インターメタリックシェルの比率が十分であり、および/または残りの低溶融温度合金が限られている場合には、図1のパネルAに示されるように、金属間化合物は一緒に成長して溶融し相互接続ネットワークを形成することができる。残りの低溶融温度合金が過剰の場合には、図1のパネルBに示されるように、隣接している金属間化合物/元素の高融点金属粒子の間にブリッジを形成できる、
【0068】
任意の金属添加物の存在下で、単一の低溶融温度合金が単一の高溶融温度金属と反応した従来のTLPS組成物と対照的に、本発明のTLPS組成物中に、さまざまなソースからの反応性金属を導入し、高い商業利用性を有する材料を作ることができ、TLPS反応の完了時に最適化された冶金学的なネットワークを製造することができる。本発明のTLPS組成物では、一つまたは複数の第1の反応性金属と一つまたは複数の第2の反応性金属が実質的に元素の状態でまたは合金の状態で組成物中に存在し、本発明のいくつかの態様ではコーティングとして1以上のタイプの粒子群上に存在することができる。第1の反応性金属と第2の反応性金属の間の反応は、加熱した際に形成される新たな合金または金属間化合物への、第1の金属の部分的または完全な消費をもたらすことができる。形成される新たな合金および/または金属間化合物の数とタイプは、金属成分の選択、それらの相対的比率、粒度分布、および処理温度に依存する。TPLS反応後に残る成分(すなわち、第2の反応性金属とその合金)も、これらの要素に依存する。TLPS組成物から形成された結果として得られるネットワークを最適化するために、本発明は1以上の第1の反応性金属および/または1以上の第2の反応性金属を使用し、金属構造物中に複数の最終生産物を実現する。
【0069】
本発明は以下の成分を含む粒子混合物組成物を提供する:
A.組成物内の金属粒子の全質量に基づいて、約35質量%から約60質量%の間の、少なくとも1つの第1の反応性金属を含む第1の金属粒子成分;
B.温度Tで第1の反応性金属と金属間化合物を形成する少なくとも1つの第2の反応性金属を含む第2の金属粒子成分;ここで金属間化合物はTよりも10℃以上高い最低溶融温度を有する。
【0070】
第2の金属粒子成分は、少なくとも1つの第1の金属のすべてを金属間化合物に完全に変換するために必要な量よりも過剰な、少なくとも1つの第2の金属を含む。第2の金属粒子成分は、少なくとも1つの第2の金属とキャリアの合金を、少なくとも約10質量%で含む。ここでこの合金は温度Tで溶融する。
【0071】
本発明を実施するには、一つまたは複数の第1の反応性金属、一つまたは複数の第2の反応性金属、キャリヤー金属、および任意の金属添加物が選択され、過渡的液相焼結反応の生成物が、熱安定性抵抗、延性、高い電気および熱伝導率、周囲の材料と同様の熱膨張係数などの、意図する用途のための属性の最適な組合せが得られるようにされる。
【0072】
第1の反応性金属成分
第1の反応性金属(本明細書では「第1の金属」とも呼ばれる)は、典型的には高融点金属または高融点金属の組み合わせである。成分Aは、単一金属または金属の組み合わせであることができる。組み合わせを達成するためには、例えば、特定割合の金属の希望の組み合わせを製造するために、異種金属の粒子群を混合できる。ある特定の実施態様では、第1の反応性金属は、銅、貴金属、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施態様では、特定用途(例えば、抵抗)のために、異なる金属も有用であり、単独または銅、および/または、貴金属と組み合わせて使用することができる。銅は比較的安価であり、豊富にあり、回路素子に典型的に使用される冶金と互換性があり、1000℃を超える溶融温度で処理可能であり、延性があり、さまざまな粉体形状で容易に利用可能であり、素晴らしい電気および熱の導体である。また、銀、金、プラチナ、インジウム、およびガリウムも、本発明の組成物における使用が企図される。そのような金属は、銅粒子が次の製造プロセス(例えば、銅エッチング)により傷つきやすい用途、またはそのような貴金属の使用がフラックスの必要性を減少させることによって正味の金属充填量をかなり増加させる場合で特に有用かもしれない。本発明のある特定の態様では、第1の反応性金属はアルミニウム、亜鉛、ニッケル、スズ、ビスマスまたはアンチモンを含み、単独でまたは前述の金属と組み合わせて使用できる。
【0073】
第2の反応性金属
第2の反応性金属(「第2の金属」とも呼ばれる)は、典型的には低融点金属または低融点金属の組み合わせ、および/またはそれらの合金である。成分Bは、単一金属、金属合金または金属とそれらの合金の組み合わせである場合がある。組み合わせを達成するためには、例えば、特定割合の金属および金属合金の希望の組み合わせを製造するために、異種金属および金属合金の粒子群を混合できる。
【0074】
第2の反応性金属は、Sn、Bi、Pb、Cd、Zn、Ga、In、Te、Hg、Tl、Sb、SeおよびPoのいずれか、または元素または合金の組み合わせであることができる。また本発明に包含されるものは、他の元素金属を含む組成物とそれの合金類である。そこでは、元素状の第2の金属が1以上の第1の反応性金属と反応性である。例えば、容易に利用可能な元素金属と金属合金の組み合わせを混合することによって、第2の金属の希望の組み合わせを達成できる。一つまたは複数の第2の反応性金属および/または一つまたは複数の第2の反応性金属を含む合金の組み合わせは、選択された処理温度Tで溶ける少なくとも1つのタイプの粒子を与え、それによりTPLS組成物の他の成分との相互作用に利用可能な第2の反応性金属が作られる。本発明のTLPS組成物と組み合わされると、合金および元素状の第2の反応性金属は組み合わされ、その場で希望の合金組成を形成する。
【0075】
第2の反応性金属を含む成分B粒子群の混合物の主要な要件は、少なくとも粒子群の一部が処理温度Tで溶融状態になり、組成物におけるすべてのポリマーの固化以前に、反応に利用可能な粒子混合物内において、反応性種の第1の反応性金属との反応を完了させる。
【0076】
有利なことには、より高温度で溶融する金属、および/または、合金は、処理温度で溶融する合金組成物に可溶性であれば、本発明のTLPS組成物中に存在している第2の金属、および/またはそれらの合金類の全てが、意図される処理温度以下の溶融温度を持たなければならないわけではない。実験的に、第1の反応性金属との反応で第2の金属が消費されるので、第2の反応性金属を含む粒子状種の少なくとも10%が溶融状態になるとき、第2の反応性金属のすべてが溶融状態の第2の金属合金の再生を介して利用可能であることが決定された。第2の金属を含む二種以上の異なったタイプの粒子群のブレンド類を含む組成物の信頼性解析は、少量であっても、すべての第1の反応性金属を金属間化合物に完全に変換するのに必要である量を超えて第2の金属元素が存在している場合には、残りの第2の金属は残りのキャリヤー元素と合金化されたままで残っていることを明らかにした。そのような組成物はさまざまな熱サイクルにわたり、電気抵抗の安定性における実質的で予期していなかった改良を示す。特定の理論によって拘束されることは望まないが、この小さくて、永久的な合金相が、典型的な熱サイクル条件の間に溶融状態になり、応力シンクとして作用し、ネットワークを自己−回復(self-heal)すると考えられている。また、この特性はTLPSネットワークと様々な被着体の間の熱膨張係数における相違によってもたらされた応力を緩和するのにおいても有益である。本発明の1つの態様では、本発明のTLPS組成物は、Tで処理されて第1の反応性金属のすべてが金属間化合物に変換された後に、残りの第2の金属合金相を提供するような比率の金属組成を有する。
【0077】
無鉛の組成物
本発明のある特定の実施態様では、TLPS組成物とそれから処理された結果として得られるネットワークは、無鉛である。そのような実施態様における適当な反応性第2の金属と第2の金属合金の選択は特に興味深い。この選択の第1の限定は処理温度である。エレクトロニクス用途で最も有用なTLPS組成物の処理温度は、電子装置または他のアセンブリの生産に使用される他の材料が破損されないほど低くなければならない。電子装置がポリマー成分を含んでいる場合には、この温度は典型的には約260℃以下である。反応性の第2の金属の候補はしたがって、スズ、ビスマス、鉛、ガリウム、インジウム、および亜鉛であるが、これらは単独ではいずれも完全な選択でない。鉛の元素と合金は有毒物のため除かれる。ガリウムとインジウムの元素および合金は、高価であって、容易に利用可能でない。亜鉛の元素および合金は多くの一般的な回路フィニッシュと非適合性である。スズで支配的に構成される合金類は、希望の最大処理温度を超えた溶融温度を有し、銅または貴金属粒子と共に使用される場合には、排他的なTLPS最終生産物としてもろい金属間化合物を形成するだろう。さらに、そのような組成物には、スズホイスカの形成の可能性がある。
【0078】
ビスマスおよびスズの合金類は適当であり、特性の最も良い総合的な組み合わせを提供できるが、他の元素の添加でこれらの特性も改良できる。Sn/Bi合金は微粒子形成において手頃な費用で容易に利用可能である。ほとんどの一般的なビスマススズ合金の溶融温度は約135℃から約200℃の範囲内であり、エレクトロニクス用途のための限界より十分に低い。ビスマススズ合金中のスズ、およびスズが銅と反応して形成された金属間化合物は、皆非常に良い電気および熱の導体である。その上、残余の元素状のビスマス、銅とSn/Bi合金のTLPS反応で形成された、銅スズ金属間化合物はすべて、次の熱処理およびエレクトロニクス用途におけるテストの典型的な温度範囲外の溶融温度を持っている。スズとビスマスは、毒性であるとは考えられず、多くの一般的な回路フィニッシュと適合性である。
【0079】
残念ながら、ビスマスおよび銅スズ金属間化合物の両者はもろく、力学的応力にさらされると破損しやすい。さらに、元素状のビスマスは、不良な電気伝導性と非常に不良な熱伝導性を有する。最初に195℃以下で処理されると、TLPS反応は合金の組成が80質量%ビスマス達すると、自己クエンチする。引き続く195℃以上での熱処理は、残余の80質量%ビスマス合金を溶融し、TLPS反応が続く。そのような変化は、処理の間許容できるが、「得られる最終」物品は容認できないほど不安定である場合がある。ビスマス/スズ合金と銅粒子によって作成された物品における抵抗の変化は、高温貯蔵と熱衝撃の両方において明白である。これらの変化は鉛−スズ合金と銅粒子によって調製された物品では観測されない。なぜなら、残余のスズ−鉛合金の溶融温度が典型的な熱暴露温度を超えているからである。そのうえ、鉛は、かなり延性があり、熱力学的応力を吸収できる。
【0080】
本発明は不具合を最小にしつつ、銅または貴金属と組み合わせたビスマス/スズ合金の有利な特性を許容する組成物および方法を提供する。不具合は、低い電気および熱伝導率と、ビスマスの脆性である。したがって、TLPS組成物におけるビスマスの割合を最小にすることが望ましい。また、残余のポスト−TLPS合金を延性があり、および/または、伝導性にする他の金属とビスマスを組み合わせることも望ましいかもしれない。共晶および/または他の容易に利用可能なビスマス/スズ合金類に見られない追加の金属を加えるか、またはスズのより高い割合の合金組成物を作ることによって、これを達成できる。希望の割合で希望の元素を一緒に製錬することによってカスタム合金を作成することは、理論的に可能である。しかしながら、実際には、3より多い元素の特定の割合を有する均質の金属粒子を製造するのは、難しい場合がある。さらに、市販の合金類を使用するのは、はるかに簡単であるだろう。したがって、本発明は、様々な合金と元素状のスズ、ビスマス、および他の金属を混合することによって、TLPS組成物内に存在する構成元素をカスタム設計し、特定の冶金学的な組成物を達成するという目標を実現する。
【0081】
スズとビスマスの合金類が例示されるが、特定のミクロ構造を有する所望のTLPS組成物を得るために、様々な合金と金属粒子を混合する本発明のコンセプトは、他の金属系と用途へ広範に適用可能である。
【0082】
本発明のTLPS組成物は、特定の比率の第1の金属または金属の組み合わせ、第2の金属または金属の組み合わせ、キャリヤー金属および添加剤の特定の割合を含み、数個の安定したTLPS生成物が組成物の処理の間に形成されるようにする。本発明の1つの実施態様では、TLPS組成物は、第2の金属の比率が、配合物中の第1の金属のすべてを金属間化合物に完全に変換するために十分であり、第2の金属が過剰で残るようにされる。この実施態様のある特定の態様では、残りの第2の金属の割合は、約120℃から約220℃であることができる広い範囲で溶融したままである金属間化合物含有TLPS生成物の間を、残りの合金がブリッジできる様な割合にされる。
【0083】
したがって、いくつかの態様では、本発明は第1の金属を最も熱力学的に安定した金属間化合物に変換するために十分な量より過剰な、第2の金属の割合をさらに必要とする。したがって、過剰な第2の金属は、組成物中の、たとえばキャリヤー金属である他の1種以上の元素と合金化され、Tで残りの溶融相に残っているようにされる。
【0084】
説明された金属TLPS組成物は、たとえばフレームスプレーにより、またはトナーとして、または引き続く転写のためにキャリアに接着されるような任意の利用可能な方法で、熱または電気の内部接続を形成するために使用できる。析出のための希望の特性を獲得するために、ナノ微粒子などの添加剤、グラファイトのような金属潤滑剤、または有機金属種などを加えることができる。第1の金属が貴金属であるときには、TLPS金属混合物のこのような使用は特に効果がある。
【0085】
コーティング、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ディスペンシングまたは同様のものを必要とする用途では、TLPS組成物はさらに有機ビヒクルを含むことができる。有機ビヒクルは、TLPS組成物の析出を支援するために溶媒、および/または、1種以上の添加剤を含むことができる。ある特定の態様では、有機ビヒクルは、第1の金属を含む金属粒子の表面を清浄化するためにフラックスを含む。特に少なくとも1つの第1の金属が貴金属でないときにはそうである。そのような組成物は、処理の間の揮発が実現可能でない場合(例えば、埋め込みビア)、フラックスを自己不活性化する手段を含む。ある特定の態様では、本発明の組成物は、非金属の表面に組成物を付着させるために熱可塑性ポリマーなどの接着剤を含むことができる。また、Tで処理する前に、本発明のTLPS組成物を予定された形状にすることが望ましい場合には、熱可塑性樹脂を含むことができる。他の実施態様では、反応して、得られるTLPS金属ネットワークに相互侵入する高分子ネットワークを形成するポリマー前駆体を含むことができる。金属ネットワークの慎重に設計された最終的なミクロ構造を保持するために、具体的堆積、処理、接着または他の性能特性を満たすという要件に従って、有機成分を選択できる。
【0086】
一般に、上で説明したように、1種以上の非貴金属を含む組成物は、フラックスの添加を必要とするだろう。フラックスは、金属の表面から酸化物を除去するために有用なものとして当業者に知られている任意の薬剤または化合物であってもよい。フラックス自体、および/または、それの任意の反応生成物は、Tで揮発性であることができ、または実際上Tで不揮発性であることができる。本発明の組成物がプリント配線トレースまたはEMIシールドコーティングなどの非拘束性のフォーマットで使われる用途では、正味の金属充填量とその結果としての処理された組成物の電気伝導率を増加させるために、揮発性のフラックスおよび/または、反応生成物を有利に使うことができる。
【0087】
フラックスとして使用されることが企図される物質としては、カルボン酸、無機酸、アルカノールアミン、フェノール類、ロジン、および同様のものがあげられる。本発明のある特定の態様では、フラックスは、アルカノールアミン、カルボン酸、フェノールまたはそれらの混合物である。
【0088】
半導体ダイ接着用途にTLPS組成物を使用する従前の試みは失敗している。これまで開発されたTLPS組成物は、実質的な比率の溶剤を含み、これはダイの設置後の、組成物の体積と小さな暴露表面積のため、除去するのが困難であった。処理の間の実質的なボイドを避けるため圧力が必要であった。これは典型的なダイ接着剤処理法からの激しい逸脱である。また、化学的に保護された架橋剤、樹脂、およびモノマー成分が多くなる、溶剤を含まない材料を生成する試みも、実質的なボイドをもたらした。
【0089】
本明細書に記載された混合された金属による手法からのインスピレーションを得て、混合された有機ビヒクル手法も調査された。一連の実験が、反応性の第1の金属の特定の粒度分布と割合について、TLPS反応の完了まで駆動するのに必要なフラックス活性の下限を確立した。2番目のセットの実験は、フラックスとしての使用のために、さまざまなカルボン酸含有、フェノール性含有、および第三級アミン含有化合物を利用できることを確証した。揮発成分としてのフラックスを取り除くことは可能ではなく、また実用的でもない。フラックス成分を中和し、不動化するのに十分な量のモノマーまたは樹脂を加えることができる。例えば、フラックス成分は、モノマーまたは樹脂と潜在的に反応性である官能基を有することができる。酸性の部位と第三級アミンにより塩類を形成することが、TLPS組成物の金属と酸化物の存在下でさえ、フラックスをモノマーまたは樹脂に潜在的に反応性にするのに使用できる。これらの例では、モノマー、および/または、樹脂は、フラックス内の酸、および/または、アミン成分と反応し、中和し、不動化するに十分な量で存在し、フラックスを硬化するサブシステムを形成する。具体的TLPS組成物に必要なフラックスを硬化するサブシステムの割合は、フラックスを必要とする反応性第1の金属の表面積から直接誘導することができる。このレベルが任意の特定のフラックス硬化システムと冶金のためにいったん確立されると、バインダーの残り(典型的に少なくとも半分)を、フラックスを硬化するサブシステムで共反応性であるか、または単に混和性である広範な種々の材料から選択できる。
【0090】
混合されたビヒクル手法(3部のカルボン酸/アルカノールアミン塩、2部のビスフェノール Fエポキシ樹脂、5部の脂環式エポキシ樹脂、トレース量のカチオン触媒)を使用して、実質的に無気泡の結合が、4mmの平坦な正方形の銅板と下側のより大きい正方形の銅板の間で達成された。これらの部分へのダイの剪断試験結果は、典型的な有機的ダイ接着剤の材料についての報告より良かった。また、熱伝導率測定値が実質的に改良された。
【0091】
したがって、永久的な有機バインダが有利である用途(例えば、実質的に封入される用途、非金属の被着体への接着を必要とする用途、高い熱力学的応力のある用途)、およびフラックスが必要な用途(例えば、第1の反応性金属が非貴金属を含む用途)では、本発明の組成物は、カルボン酸およびまたはフェノール性官能基を有する化合物と、第三級アミノ官能基(ここでそれぞれの第三級アミン官能基は組み合わされるカルボン酸およびフェノール基の約50%から約150%で、基対基でペアにされる)を有する化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含む、硬化可能なフラックスシステムを有利に含む。また、そのような硬化可能なフラックスシステムは、化学的にフラックスを不動化するために十分な量の反応性モノマー、ポリマーまたは樹脂の少なくとも1つを含んでいる。硬化可能なフラックスシステムは必要に応じて溶剤のような希釈剤;硬化可能なフラックスシステムと混和性または共反応性の樹脂システムを含むことができる。該樹脂システムは1以上の樹脂と適切な硬化剤、および/または、触媒;モノマー;樹脂システム;または硬化可能なフラックスシステムに完全に分散可能であるが共反応しない他の一つまたは複数のポリマー成分を含むことができる。
【0092】
本発明のフラックスシステム内のカルボン酸とフェノール含有部位は、主として反応性第1の金属のフラックスとして作用する。使用に適切な分子は、モノマー性、オリゴマー性またはポリマー性の特性を有することができる。ある特定の実施態様では、フラックスは有機マトリックス全体、特には反応性モノマー、ポリマーまたは樹脂と効率的なタイ−イン(tie-in)を促進する1よりも多い官能基を有することができる。フラックスとして使用されることが企図される分子種は、がカルボン酸、および/または、フェノール性官能基以外の官能基を含むことができる。フラックス活性と他の特性、たとえば粘度、他のシステム成分との混和性、潤滑性、他の有機成分との反応性などの他の特性との最適なバランスをとるため、複数の分子種を混合できる。それぞれのカルボン酸、および/または、フェノール性官能基の酸強度と等量重量の両方が、第1の反応性金属の所定の表面積に必要な量を決定する。現在好ましいと考えられるものは、カルボキシルとフェノール性の官能基の両方、並びに他の官能基を備えたモノマー性およびオリゴマー性種のブレンドである。
【0093】
第三級アミンは、反応性第1の金属と任意の金属被着体のためのフラックスとして作用する。それらは上記のカルボン酸官能基と塩を形成し、金属と金属酸化物の触媒効果のため、他の有機成分との時期尚早な反応を防ぐために使用できる。その結果、組成物が熱処理されるまで、第三級アミン塩は化学的に保護された種を形成する。第三級アミン種は、モノマー性、オリゴマー性またはポリマー性であることができ、また最適な効果を得るために1種以上の分子群の組み合わせも使用できる。また、第三級アミンの官能基は単一分子に存在することができ、たとえばトリエタノールアミンが酸無水物と反応すると、モノ−エステル−酸を形成する。フラックスとしての効力と便利な液体のため、現状では、トリエタノールアミンは好ましい第三級アミンである。
【0094】
モノマー、ポリマーまたは樹脂種は、カルボン酸とフェノール含有部位と反応し、効果的に不動化できる任意の種であることができる。この必要条件を満たす種としては、エポキシ、フェノール類、ノボラック(フェノール性とクレゾール性の両方)、ポリウレタン、ポリイミド、ビスマレイミド、マレイミド、シアン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリエステルおよびポリユリアを含むが、これらに限定されない。カルボン酸またはフェノール含有部位と反応性であるように他の種を変成できる。そのような種の例としては、ポリアクリル、ゴム(ブチルゴム、ニトリルゴムなど)、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル/ポリビニルエステル、ポリオレフィン、シアノアクリレートおよびポリスチレンがあげられる。典型的には、少なくとも以下の官能基の1つを含むように種を変成できるなら、任意のモノマー、ポリマーまたは樹脂種が本発明で機能する:無水物、カルボン酸、アミド、イミド、アミン、アルコール/フェノール、アルデヒド/ケトン、ニトロ化合物、ニトリル類、カルバメート、イソシアネート、アミノ酸類/ペプチド、チオール、スルホンアミド、セミカルバゾン、オキシム、ヒドラゾン、シアノヒドリン、尿素、りん酸エステル/酸、チオりん酸エステル/酸、ホスホン酸エステル/酸、ホスフィト、ホスホンアミド、スルフォン酸エステル/酸、または重合のための反応部位として機能するのが当業者に知られている他の官能基。例えば、ポリオレフィンは、結合のための反応部位が全くなく、不良な密着特性を持っているので、本発明における樹脂として適当でないだろう。しかしながら、フラックス硬化剤の酸性基にマッチすれば、エポキシ末端ポリオレフィンはよく機能するであろう。多官能性エポキシ樹脂が、好ましい。
【0095】
バインダーは、堆積の方法、処理方法、接着、処理後のバルク組成物のバルクの機械特性に関し、用途における具体的な要求を満足するように有機ビヒクルを調整する。例えば、TLPS組成物がフィルムにキャストされる用途においては、大きな割合の溶媒が望ましいかもしれない。対照的に、TLPS組成物が分配されて、すぐに2つの被着体の間でサンドイッチにされる用途では、溶媒の包含は望ましくない。接合されるべき2つの被着体の両者がはんだ濡れ性の表面で金属化されている用途では、バインダシステムの接着特性は無視して良いであろう。対照的に、被着体のどちらかが金属化されていない用途では、バインダーの接着特性はかなり重要になるだろう。応力緩和、粘度、ポットライフ、および同様のもののために、類似する組成物を調製することができる。
【0096】
本発明の硬化可能なフラックスシステムにおける使用のために企図された溶媒は、健康および環境上の危険として規制されてなく、堆積および処理方法に適切であり、本発明組成物において他の有機成分と相溶性である任意の溶剤であることができる。
【0097】
本発明における使用のために企図された共反応性樹脂システムは、硬化可能なフラックスシステムの一部として使用されることが企図される全てのものを包含し、また、樹脂を硬化するために十分な量の潜在性硬化剤または触媒が提供される。この場合、用語「樹脂」はモノマー性、オリゴマー性およびポリマーの分子形態の反応性化合物を包含する。好ましいものは、熱活性化された金属触媒と脂環式エポキシ樹脂である。
【0098】
企図された非共反応性樹脂システムは、硬化可能なフラックスシステムの樹脂システムと酸含有部位の化学的機構により硬化される、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂システムを含む。典型的に、そのような非共反応性種の包含は、実質的に処理された有機システムの機械的特性を変更することが企図され、液体、溶液、懸濁液、または微粒子形成で加えることができる。
【0099】
本発明の組成物は、ニードルディスペンシング、ステンシリング、スクリーン印刷、インクジェット、押出、キャスティング、スプレーまたは当業者に知られている他の方法で適用することができる。一度適用されると、本発明の組成物はオーブン、ホットプレート、ラミネーションプレス、またははんだもしくは充填物を含む有機接着剤の処理に典型的に使われる他の手段により熱処理することができる。具体的な熱的処理条件は用途、およびTLPSシステムと任意の有機結合剤成分の選択に依存する。
【0100】
本発明は、電気的構造中で、電気的、熱的、および/または機械的に要素を接続することを含む。本発明の組成物が有用である用途の例としては以下が挙げられる:半導体ダイのパッケージング要素への接続、パッケージされた半導体構成要素のプリント板への接続、他の離散要素の電子基体への接続、スタックされたダイの間の回路トレースとしての接続の形成、電子基体内のホールの充填、プリント回路板および/または半導体パッケージ内の回路層の相互接続、ソーラパネルのためのコレクショングリッドの形成、電気的に導電性のピラー、シリンダもしくはカラムの形成、インタポーザ構造を介した電気的に相互接続された電気サブシステム。
【0101】
本発明は、TLPS組成物のハイブリッドはんだ接着技術の利点を活用し、堅い金属マトリックスの不都合を克服する手段を提供する。本発明の組成物は故意に金属ネットワーク中でよく分散されて、複数の熱暴露において反復して一貫して溶ける少量の反応生成物を作成する。この少量の反応生成物が反応の後に非溶融相内でよく分散されたままで残っているので、全体のネットワークの弾性率に劇的効果を有する。弾性率の劇的な低下は、さまざまな電子接着剤の用途における、被着体の熱膨張係数の相違を緩和する。
【0102】
したがって本発明は、熱処理されると不可逆的に相互接続された金属ネットワークを形成する、複数の異なったタイプの金属粒子を含むTLPS組成物を提供する。相互接続された金属ネットワークは、次の熱サイクルの間、溶けて再溶融する低融点金属成分の少量を含んでいる。本発明のこの実施態様の鍵となる特色は、少量成分の相互接続された金属ネットワークの弾性率の顕著で不可逆的な低下を引き起こす能力である。その結果、被着体または相互接続された金属ネットワークのどちらにも永久的な損傷を引き起こさずに、異種材料に接着した時の熱膨張係数のミスマッチ応力をネットワークが吸収することを可能とする。
【0103】
先に議論したように、過剰の第2の(低温溶融)反応性金属の、第2の金属粒子成分の配合を介する慎重な添加は、引き続く温度サイクリングおよび高温度貯蔵中、硬化された組成物の電気伝導率の劣化を防ぐ。しかしながら、そのような少量の金属相が、全体の金属ネットワークの弾性率にそのような劇的効果を持っているとは予期されなかった。
【0104】
ある特定の実施態様では、本発明は、約80℃から220℃の間の温度で反応し、以下の驚くほど有利な特性を有する金属ネットワークを形成する金属粒子のTLPS組成物を提供する:
1.ネットワークは連続したネットワーク構造を形成する、冶金的に合金化された複数の反応生成物を含んでいる。
2.金属ネットワーク構造の少なくとも約75%は300℃未満で溶融しない。
3.300℃未満で溶融する金属ネットワークの残りの部分は、最大300℃の複数の熱サイクルでは評価可能なほどには変化せず、複数の熱サイクルにわたり組成物中で完全に分散されたままであり、広い温度領域で溶融される。
4.ネットワークの所定の容積は複数の熱サイクルにわたり一定の溶融エンタルピーを示す。および
5.全体の金属ネットワークのバルク弾性率は、ネットワークの前記残りの溶融部分の溶融の開始のときに著しく低下する。
【0105】
本発明の組成物における使用のために選択された金属種は、3つの要件によって束縛される。最初に、それらは、220℃未満の処理温度Tで組成物内の他の金属成分と不可逆的に反応し、300℃を超える溶融温度の新しい種を作成する過渡的な反応種を含まなければならない。そのような過渡的な反応種は以下であることができる:
1.選択された処理温度で溶融する1種以上の元素または第2の金属を含む合金金属成分;または
2.反応性要素が消耗した時に、(1)で記載された溶融状態の反応種を共生的に再生する(symbiotically to regenerate)ように挙動する、1種以上の元素または第2の金属を含む合金金属成分;または
3.第2の金属の金属ナノ粒子の1以上の種。
【0106】
220℃未満の処理温度で溶融する金属成分の例としては、138℃で溶融を開始するスズ−ビスマス合金があげられる。そのような合金中のスズは、たとえば銅と不可逆的に反応し、銅スズ金属間化合物を形成し、その結果、ビスマスリッチな合金を残す。2つの合金類の融点の間の処理温度Tで、銅粒子とともに使用されると、溶融状態の反応種を共生的に再生するように挙動する第2の金属成分の例としては、スズ−ビスマス合金とスズリッチな合金の組み合わせがあげられる。この場合、スズ−ビスマス合金は溶融状態になり、高スズ合金は溶融合金中に可溶性になり、その結果、スズのすべてを銅との反応に利用可能にする。また、選択された処理温度で典型的に反応しない金属のナノ微粒子バージョンを使うことができた。この状況では、ナノ材料の低融合温度特性を利用でき、その結果そのようなナノ材料を過渡的な反応種としての使用に適するようにする。
【0107】
本発明のこの実施態様による金属種のための2番目の要件は、反応生成物(すなわち、金属間化合物と残りの合金)が、少なくとも75%が300℃未満で溶融しないが、少なくとも5質量%が220℃以下の温度であるTで再び溶融し、そのような再溶融は300℃までの複数回の暴露の間、全て一貫したエネルギーで起こるということである。残りの溶融相は、ネットワーク中に普くよく分散されるのを保証するに十分な量であるが、ネットワークが溶融状態であるときに、それが合体して、押し出さないような十分に限られた量で存在していなければならない。この残りの溶融相の量は5質量%から25質量%の間にあるべきであると実験的に決定された。したがって、本発明のいくつかの態様では、残りの溶融相は処理されたネットワークの約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24または約25重量パーセントを構成する。一般に、残りの溶融相は、約180℃未満、典型的に約150℃未満の溶融開始温度を有する。これらの温度は電子用途に使用される有機ラミネート材料が、熱膨張係数における大きい変化を伴うガラス転移シフトを受けるポイントを表す。
【0108】
希望の反応生成物を得るのに必要な金属成分の割合は、選ばれた成分、粒径、形状(例えば、いくつかの金属間化合物の生成は、厚さを自己制限する)、および処理条件で異なるだろう。
【0109】
本発明のこの実施態様による金属種のための3番目の要件は、選択された金属成分からの再溶融反応生成物が、複数の熱サイクルでの溶融開始のときに組成物のバルクな弾性率をかなり、一貫して低下させなければならないということである。
【0110】
使用のために企図された金属粒子は、球、ロッド、フレーク、ディスク、リボン、および懸濁液であることができる。金属粒子のサイズはナノ微粒子から数十マイクロメータのオーダーの粒子まで及ぶ。
【0111】
また、本発明の組成物は電子接着用途、特にはICダイのために特定の有用性を提供するが、2つの電子的要素が接合される用途、およびマイクロビア−フィル、およびプリント配線トレースなどの用途が想定されると信じられている。
【0112】
この実施態様によると、本発明ははんだと導電性接着剤接合技術のハイブリッドであるTLPS組成物を提供する。電気接続は、反応性第1の金属の粉末と反応性第2の金属の粉末とそれらの合金から、その場で形成された複数の冶金学的な接続により確立される。必要に応じて、本発明の組成物は、上で説明したように、有機ビヒクルを含む。したがって、本発明のTLPS組成物は、固有的に自己回復し、熱膨張ミスマッチによってもたらされたストレスを軽減できる、調整された冶金学的なネットワークを提供する。
【0113】
特許請求の範囲で説明した組成物の、使用方法は当業者に周知である。当業者によって容易に想定されて、また本発明で受け入れられる、開示されなかった代替法も本発明に包含される。
【0114】
上記の発明の詳細な説明において、様々な特徴が開示を能率化する目的のために一つの実施態様で一緒に分類される。開示のこの方法は、本発明の請求された実施態様がそれぞれの請求項で明白に記載されるより多くの特徴を必要とするという意志を反映するとは解釈されない。むしろ、以下の請求項が反映するように、本発明の内容は1つの実施態様で開示されたすべての特徴よりも少ない。したがって、以下の請求項は発明の詳細な説明に組み入れられる。それぞれの請求項は、別個の好適な実施例としてそれ自身で存在する。
【0115】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することにより、より良く理解されるであろう。
【0116】
実施例
実施例1
60質量%のスズと40質量%のビスマスを含む非標準のスズビスマス合金が、元素状の銅粒子、およびフラックス有機結合剤と組み合わされた。すべての実施例に使用されるフラックス有機結合剤は、メチルテトラヒドロフタル酸無水物モノ−グリセリンエステル(1.35g);トリエタノールアミン(1.00g);ブチルカルビトールの50重量%ビスフェノールAの溶液(2.96g);アラルダイト(Araldite)MY721エポキシ樹脂(0.74g)とブチルカルビトール(0.2g)を含む混合物であった。図2は、組成物が室温から190℃まで加熱され、次に10分間最終温度で維持された時のTLPS反応について示す。第1の下向きのピークは非標準合金の吸熱溶融を反映する。そして、次の上向きのピークは銅スズ金属間化合物の発熱的生成である。図3に示されたDSCスキャンは、図2で処理されたサンプルの次の熱サイクルについて示す。新しい反応生成物が形成され、初期の金属と合金を置き換えたので、次の熱サイクルに関して観測されたDSCシグネチャーは、最初のものと実質的に異なっていた。2番目のTLPS組成物は第1のサンプルと同じ元素組成で調製された。しかしながら、スズおよびビスマスの等量比率が、217℃で溶けるスズを支配的に含む粉末と共晶スズビスマス粉末を混合することによって達成された。サンプルは第1のサンプルと同様に処理された。初期過程スキャン(図4)は図2に示されたように、第1のサンプルに関して観測されたものと同様であった。2番目の熱サイクル(図5)の間、観測されたシグネチャーは、第1のサンプルで観測されたものと同様であった(図3)。しかしながら、190℃の処理温度が、スズ合金の溶融温度よりかなり下であったにも関わらず、初期のスズが支配的なスズ合金の証拠がDSCスキャンにほとんどない。この現象は非溶融合金相の溶融合金相への割合が最大で3:1である多くのTLPS組成物で観測された。スズビスマス合金を減少させる能力は、組成物における、望ましくないビスマスの比率の実質的減少を許容する。
【0117】
実施例2
36部の銅、25部の共晶58:42BiSn合金、および26部のSAC305合金(96.5:3.0:0.5 SnAgCu)を含む、実施例2で記載されたTLPS組成物が、様々な構造(凹んでいる曲がりくねったパターン(recessed serpentine patterns)、ガラススライドの上にキャストされた伝導性片、多層電子基板内の埋められたマイクロビア)でテストされ、25℃から280℃で熱サイクルされた。図6は、複数の熱サイクルにわたる残りの合金類の安定性について図説する。図7は、25℃から280℃で繰り返された熱サイクルでプロットされた残りの合金類の安定性について図説する。図8は、広い範囲の溶融温度を有する、共晶Bi:Si(58:42)とBi:Sn(80:20)により取り囲まれた残りの合金組成物の橋かけの性質を示す。
【0118】
実施例3
10個のサンプルが、回路基板に部品を組み立てる際にはんだペーストの代替えとして使用される本発明技術の可能性を調査するために調製された。サンプルのすべてが、スズ合金の状態で、銅−スズと銀−スズの金属間化合物に銅と銀を変換するのに必要であるよりも過剰のスズを含むように設計された。2つの異なった粒度分布における銅粉末、銀粉末、支配的にスズを含む粉末、およびスズ−ビスマス合金粉末を、実施例1で記載されたフラックスエポキシビヒクルと混合し、以下の表2にまとめられた元素割合を得た。
【0119】
配合物により、粒度分布の変化があったので、DSCが処理の後の残りの合金の量を測定するのに使用された。スズ−ビスマスおよび高スズ合金に対応したピークは、統合されていた。これら分析の結果を以下の表に示す。
【0120】
配合物のすべてが銅基板上にコーティングされ、4mm×4mmの正方形の銅板がコーティングの上に置かれた。サンプルは220℃10分間、<50psiでラミネートプレスされ、硬化された。次に、正方形の銅板がコーティングから剪断剥離されて、剪断値が記録され、過剰のスズを含んでいない(26%のスズ、54%の銅)ベンチマーク配合物と比較された。ベンチマーク配合物は、1200psiのせん断強度があった。一方、過剰のスズを含む実験サンプルは、より高いせん断強さを有していた。はんだは典型的に7,500−10,000psiである。
【0121】
【表2】

【0122】
再溶融範囲の中央にある配合物が、最も良い結果を示した。
【0123】
実施例4
実施例3の示差走査熱量計分析の間に作成されたサンプルペレットは、300℃までの複数の熱サイクルにかけられた。分析された材料のすべてに関しては、再溶融エネルギーは10回の再溶融サイクルの間、一貫したままで保持された。サンプルが器具から取り除かれたとき、それらは残りの合金の押出に関する証拠がないかどうか顕微鏡的に調べられた。いかなる残留合金も、ペレットのすべてネズミ色の表面で観察されなかった。これらの結果は、残りの合金相が、残りの合金とその元素成分の融点を超えた温度サイクリングの間中、処理された金属ネットワークの中で分散されたままで残って、ネットワークから押出されなかったことを示した。
【0124】
実施例5
本発明組成物から形成された回路が、実質的に本発明の配合物と異なった熱膨張係数(CTE)を有する基体のケース内に入れられた時、プリント板のための産業標準試験方法に耐えるかどうかを決定するために実験が行われた。試験のために実行された産業標準は、回路の抵抗が10%以上変化しないということである。2つの配合物が、10質量%のフラックスエポキシバインダー(実施例1を参照されたい)、銅粒子、およびスズベースの合金から調製された。配合物はFR4基体上のエポキシ誘電体の、凹んでいる曲がりくねったパターンにインストールされた。曲がりくねったパターンは8−20ミルで線幅が異なり、ラインは長さ数インチであった。
【0125】
配合物は190℃で1時間、ラミネートプレスで硬化された。このようにして作られたカード内の曲がりくねったパターンの抵抗が測定され、記録された。次に、テストカードは260℃に暖められた油への繰り返された浸積に供された。エポキシ誘電体とFR4ボードのガラス転移温度はおよそ180℃である。ガラス転移以下では、エポキシ誘電体は約30ppm/℃のCTEを有し、FR4は約17ppm/℃のCTEを有する。ガラス転移温度以上では、エポキシ誘電体のCTEは100を超えて劇的に増加して、ガラス強化布によって拘束されているにもかかわらず、FR4の中の樹脂のCTEも増加する。本発明の組成物のCTEは、実験の全温度範囲において約22ppm/℃を維持する。曲がりくねったパターンの抵抗が、6浸積サイクルの後に再び測定されて、記録された。配合物の組成物と抵抗の結果を表3に提供する。
【0126】
【表3】

【0127】
過剰のスズ、したがって、残りのスズ合金を含む配合物は要求された仕様内に留まる。
【0128】
実施例6
実施例5の配合物と2つの追加の配合物は熱機械分析にかけられ、温度の関数として処理済み材料の弾性率を決定した。この分析の結果と配合物に関する特徴は以下の表4にまとめられる。
【0129】
【表4】

【0130】
配合物2だけは、プリント板の製造に典型的に使用されるポリマー材料のガラス転移温度付近において、弾性率の大きな変化があった。この温度における弾性率の実質的減少は、プリント板構造にインストールされた時、顕著な再溶融エネルギーを有する配合物が、温度サイクリングに対して安定した抵抗を維持するかを説明できる。
【0131】
実施例7
4つの配合物が多層基板構造中の埋められたビアホールへの実装のために調製された。それぞれの試験板は、板内で銅回路により連続的に接続された、1776の、直径5ミルのビアを有していた。誘電性接着剤はそれぞれの回路層の1つの表面に粘着し、ビアは誘電性接着剤から下層の銅パッドまでレーザー切断された。ビアホールは配合物(試験部品1つあたりの1つの配合物)で満たされた。そして、溶媒は乾燥除去された。誘電性接着剤を有する回路層は次にはさみ込まれて、190℃で1時間、ラミネートプレスで熱処理された。数1,000のビアを有するそれぞれの「デイジーチェイン(daisy chain)」回路の抵抗が測定されて、記録された。次に、試験部品は250℃のピーク温度で6回のはんだリフローサイクルにかけられた。この実験と顕著な配合物の特性の結果は以下の表5にまとめられる。
【0132】
【表5】

【0133】
この実施例は、この用途のためには残りのスズ合金には好適範囲があることを示す。
【0134】
実施例8
金属化された半導体ダイを銀メッキされたリードフレームに取り付けるための配合物が調製された。配合物は35質量%Sn(2つの合金ソースから)、49質量%Cu、14質量%Bi、残部のフラックスエポキシ混合物を含む。処理された時、残りのスズ合金物の再溶融物は、0.08/5.99/3.07(58:42/80:20/SAC305)のJ/g(DSC)になるように計算された。配合物は一時的なステンシルを使用して、リードフレーム上の35マイクロメートルのコーティングとして堆積された。金属化されたダイがその上に置かれ、材料は30分にわたり25℃から205℃に昇温することにより処理され、次いで90分間、205℃で保持された。せん断工具が、調製されたサンプル上のダイを取り外すのに使用された。ダイを取り外すのに必要な力が、それぞれのサンプルについて記録された。
【0135】
サンプルの一部が260℃のピーク温度で3回のはんだリフローサイクルにかけられ、次いでチャンバー内で24時間85℃/85%相対湿度で24時間コンディショニングされた。せん断工具が、調製されたサンプル上のダイを取り外すのに使用された。ダイを取り外すのに必要な力が、それぞれのサンプルについて記録された。コンディショニングを受けていないサンプルは、ダイを取り外すために平均40kgの力を必要とした。コンディショニングされたサンプルは、ダイを取り外すために平均44kgの力を必要とした。260℃で、どちらのサンプルも、ダイを取り外すために13kgの力を必要とした。これは260℃で8kgという、最先端の導電性接着剤の値と比較して非常に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む粒子混合物組成物:
a)組成物内の金属粒子の全質量に基づいて約35質量%から約60質量%の間の量の、第1の金属を含む第1の金属粒子成分;
および
b)温度Tで第1の金属と金属間化合物を形成する第2の金属を含む第2の金属粒子成分;ここで金属間化合物はTよりも10℃以上高い最低溶融温度を有する;
i)第2の金属粒子成分は、第1の金属のすべてを金属間化合物に完全に変換するために必要な量より過剰に第2の金属を含み、
ii)第2の金属粒子成分は、Tで溶融する第2の金属とキャリヤーの合金を少なくとも約10質量%含む。
【請求項2】
第1の金属が、Cu、Ag、Au、Pt、Ir、Os、Pd、Pt、Ph、Ru、Ga、In、Al、Re、Zn、Ni、Sn、Bi、Sbおよびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項3】
第1の金属が、Cu、Ag、Au、Pt、In、Gaおよびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項4】
第1の金属が銅、貴金属、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項5】
第2の金属がSn、Bi、Pb、Cd、Zn、Ga、In、Te、Hg、Tl、Sb、Se、Poおよびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項6】
第2の金属がSn、Bi、Pb、Ga、In、Znおよびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項7】
第2の金属粒子成分は、さらに、Tで溶融状態であるかまたはTで第1の合金に可溶性であることを条件として、少なくとも1種の第2の金属の追加の合金を含む、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項8】
第2の金属粒子成分は、さらに、Tで溶融状態であるかまたはTで第1の合金に可溶性であることを条件として、複数の第2の金属の合金を含む、請求項7記載の粒子混合物組成物。
【請求項9】
粒子混合物が鉛を含まない、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項10】
は260℃を超えない、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項11】
が約135℃から220℃の範囲内にある、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項12】
第1の金属はCuを含み、第2の金属はSnを含む、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項13】
第1の金属がさらにAgを含む、請求項12記載の粒子混合物組成物。
【請求項14】
キャリヤーがBiを含む、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項15】
キャリヤーはBiを含み、金属間化合物がSn−Cu金属間化合物とSn−Ag金属間化合物から成る群から選択された少なくとも1つの金属間化合物を含む、請求項14記載の粒子混合物組成物。
【請求項16】
さらに、金属添加物を含む、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項17】
金属添加物がB、Al、Ch、Fe、Ni、Zn、Ga、Ag、Pd、Pt、Au、In、Sb、Bi、Te、Mn、P、Co、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される金属である、請求項16記載の粒子混合物組成物。
【請求項18】
金属添加物は、粒子またはコーティングである、請求項16記載の粒子混合物組成物。
【請求項19】
金属添加物がナノ微粒子である、請求項18記載の粒子混合物組成物。
【請求項20】
さらに溶剤、フラックス、フラックスを自己不活性化する手段、熱可塑性ポリマー、およびポリマー前駆体から成る群から選択される少なくとも1つの有機ビヒクルを含む、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項21】
フラックスが少なくとも1種のカルボン酸、無機酸、アルカノールアミン、フェノールまたはロジンを含む、請求項1記載の粒子混合物組成物。
【請求項22】
請求項1記載の組成物をTに加熱することによって形成された相互接続された冶金学的なネットワーク:
ここでネットワークは以下を含む;
a)第1の金属と第2の金属の金属間化合物、
および
b)第2の金属とキャリヤーの合金、
ここで、引き続いてTに加熱された時に、ネットワークが電気的および機械的に安定である。
【請求項23】
請求項1記載の組成物をTに加熱することによって形成された相互接続された冶金学的なネットワーク:
ネットワークが以下から成る群から選択される少なくとも1つの第2の金属粒子成分を含む;
で溶融する少なくとも1つの第2の金属合金;
少なくとも1つの第2の金属、またはその合金であって、第1の反応性金属との反応で反応性第2の金属が消耗した時に溶融状態の反応種を再生するもの;および
第2の反応性金属のナノ微粒子;
ここで、反応生成物が以下を含む:
a)少なくとも75質量%の300℃未満では溶融しない熱安定性成分、および
b)少なくとも5質量%の220℃未満である温度Tで再溶融する再溶融成分;
ここで、再溶融がTと300℃の間の温度への複数回の暴露の間、一貫したエネルギーで起こり、再溶融成分はネットワーク中に普く分散され、
再溶融がネットワークのバルクな弾性率を低下させる。
【請求項24】
反応生成物が再溶融成分を少なくとも10質量%で含む、請求項23記載の相互接続された冶金学的なネットワーク。
【請求項25】
反応生成物が再溶融成分を約25質量%で含む、請求項23記載の相互接続された冶金学的なネットワーク。
【請求項26】
以下を含む電気的および熱的に伝導性の内部接続を形成する方法:
a)
請求項1記載の組成物の所定量を少なくとも2つの部材のアセンブリに適用すること;ここで、該少なくとも2つの部材は電気的および熱的に相互接続されることになっている;
b)
組成物を135℃から220℃の間の温度Tまで加熱する;ここで、第1の金属および第2の金属が結合して、少なくとも1つの金属間化合物を形成する。
【請求項27】
実質的に、第1の金属のすべてが金属間化合物に変換される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
金属間化合物が、300℃未満で溶融しない熱安定性金属成分である、請求項26記載の方法。
【請求項29】
該方法が以下を含む金属ネットワークを生成する、請求項28記載の方法:
i)少なくとも75質量%の熱安定性成分、および
ii)少なくとも5質量%の、220℃未満である温度Tで再び溶融する再溶融成分;ここで再溶融成分がネットワーク中に普く分散される。
【請求項30】
金属ネットワークが再溶融成分を少なくとも10質量%で含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
金属ネットワークが再溶融成分を約25質量%で含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
が180℃未満である、請求項29記載の方法。
【請求項33】
が150℃未満である、請求項29記載の方法。
【請求項34】
さらに、以下の工程を含む請求項29記載の方法:
c)Tおよび約300℃の間にネットワークを加熱する工程、ここで再溶融成分は溶融するが、熱安定性成分は溶融しない;その結果、ネットワークのバルクな弾性率を低下させる。
【請求項35】
少なくとも2つの部材が内部接続部材と異なったCTEsを有する、請求項34記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−510240(P2013−510240A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538017(P2012−538017)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/055562
【国際公開番号】WO2011/078918
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511237380)オーメット サーキッツ インク (2)
【Fターム(参考)】