説明

冷凍冷蔵庫及び冷却庫

【課題】除霜時の結露を防止するとともに消費電力を削減できる冷凍冷蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵物を冷蔵保存する冷蔵室2と、貯蔵物を冷凍保存する冷凍室4と、第1冷媒が流通する第1冷凍サイクル10を運転する第1圧縮機11と、第1冷凍サイクル10の低温部に配されて冷蔵室2を冷却する第1蒸発器14と、第2冷媒が流通する第2冷凍サイクル20を運転する第2圧縮機21と、第2冷凍サイクル20の低温部に配されて冷凍室4を冷却する第2蒸発器24とを備え、第1冷凍サイクル10の高温部の熱によって第2蒸発器24を除霜した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵室及び冷凍室をそれぞれ冷却する第1、第2蒸発器を備えた冷凍冷蔵庫に関する。また、温度の異なる第1、第2冷却室をそれぞれ冷却する第1、第2蒸発器を備えた冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍冷蔵庫は特許文献1に開示されている。この冷凍冷蔵庫は圧縮機により冷媒が流通して冷凍サイクルが運転され、冷凍サイクルの低温部に第1、第2蒸発器が並列に配置される。第1蒸発器は冷蔵室の後方に配され、第2蒸発器は冷凍室の後方に配置される。第1蒸発器と熱交換して生成される冷気が冷蔵室を循環し、冷蔵室内が冷却される。また、第2蒸発器と熱交換して生成される冷気が冷凍室を循環し、冷凍室内が冷却される。
【0003】
第1、第2蒸発器の下方にはそれぞれ除霜ヒータが配される。圧縮機を停止して各除霜ヒータの駆動することにより、第1、第2蒸発器の除霜が行われる。
【0004】
また、特許文献2には冷凍サイクルにより蒸発器の除霜を行う冷凍冷蔵庫が開示される。この冷凍冷蔵庫は冷凍サイクルの低温部に蒸発器が配置され、高温部に凝縮器が配置される。凝縮器は冷凍冷蔵庫の金属製の背面板等に設置され、冷凍サイクルの運転によって背面板を介して外気に放熱する。蒸発器は冷凍サイクルの運転によって冷却され、蒸発器と熱交換した冷気によって貯蔵室内が冷却される。
【0005】
蒸発器の除霜時には切替手段によって冷凍サイクルの冷媒を逆方向に流通させる。これにより、蒸発器が冷凍サイクルの高温部に配されて昇温され、除霜が行われるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−122374号公報(第2頁−第7頁、第1図)
【特許文献2】特開2002−340449号公報(第4頁−第5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された冷凍冷蔵庫によると、除霜ヒータにより第1、第2蒸発器を昇温して除霜が行われるため、冷凍冷蔵庫の消費電力が大きくなる問題がある。また、特許文献2に開示された冷凍冷蔵庫によると、除霜ヒータが設けられないため消費電力が低減される。しかし、冷凍サイクルの高温部に配される凝縮器が除霜時には低温部に配され、凝縮器や背面板に結露が発生する問題があった。
【0008】
本発明は、除霜時の結露を防止するとともに消費電力を削減できる冷凍冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の冷凍冷蔵庫は、貯蔵物を冷蔵保存する冷蔵室と、貯蔵物を冷凍保存する冷凍室と、第1冷媒が流通する第1冷凍サイクルを運転する第1圧縮機と、第1冷凍サイクルの低温部に配されて前記冷蔵室を冷却する第1蒸発器と、第2冷媒が流通する第2冷凍サイクルを運転する第2圧縮機と、第2冷凍サイクルの低温部に配されて前記冷凍室を冷却する第2蒸発器とを備え、第1冷凍サイクルの高温部の熱によって第2蒸発器を除霜することを特徴としている。
【0010】
この構成によると、第1、第2圧縮機によって第1、第2冷凍サイクルが運転され、第1、第2冷媒がそれぞれ流通して第1、第2冷凍サイクルの低温部及び高温部が形成される。第1冷凍サイクルの低温部の第1蒸発器には低温低圧の第1冷媒が流入し、第1蒸発器により降温された冷気によって冷蔵室が冷却される。第2冷凍サイクルの低温部の第2蒸発器には低温低圧の第2冷媒が流入し、第2蒸発器により降温された冷気によって冷凍室が冷却される。
【0011】
第2蒸発器の除霜時には第2冷凍サイクルの運転が停止され、第1冷凍サイクルが運転される。第1冷凍サイクルの高温部と第2蒸発器とが熱交換し、第2蒸発器が昇温されて除霜が行われる。
【0012】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、第1冷凍サイクルの高温部に配される第1凝縮器と、第1凝縮器の冷媒流入側に設けられる三方弁と、前記三方弁で分岐して第1凝縮器と並列に配されるとともに第2蒸発器と熱交換を行う除霜用熱交換器と、前記除霜用熱交換器の冷媒流出側に設けられる逆止弁とを備え、第2蒸発器の除霜時に前記三方弁を前記除霜用熱交換器側に切り替えることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、冷蔵室及び冷凍室の冷却時には三方弁によって第1冷媒の流路が第1凝縮器側に切り替えられる。これにより、第1、第2蒸発器が冷却されるとともに第1凝縮器から放熱される。この時、逆止弁によって第1凝縮器の冷媒流出側から除霜用熱交換器への第1冷媒の流入が防止される。第2蒸発器の除霜時には三方弁によって第1冷媒の流路が除霜用熱交換器側に切り替えられる。これにより、第1蒸発器が冷却され、除霜用熱交換器から放熱される。第2蒸発器は除霜用熱交換器と熱交換して昇温され、除霜が行われる。
【0014】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、前記逆止弁を第1凝縮器の冷媒流出側と前記除霜用熱交換器の冷媒流出側との合流点近傍に配置したことを特徴としている。この構成によると、逆止弁と除霜用熱交換器とが離れて配置される。このため、三方弁によって第1冷媒の流路が第1凝縮器側に切り替えられた際に第1凝縮器から流出した高温の第1冷媒による第2蒸発器の昇温が低減される。
【0015】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、第2蒸発器及び前記除霜用熱交換器は第1、第2冷媒がそれぞれ流通する第1、第2冷媒管を有し、第1、第2冷媒管を複数のフィンにより連結したことを特徴としている。この構成によると、第1、第2冷媒管を連結するフィンを介して高温の第1冷媒の熱が第2蒸発器に伝えられる。
【0016】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、第2蒸発器及び前記除霜用熱交換器は第1、第2冷媒がそれぞれ流通する第1、第2冷媒管を有し、第1、第2冷媒管を隣接したことを特徴としている。この構成によると、第1、第2冷媒管の境界壁を介して高温の第1冷媒の熱が第2蒸発器に伝えられる。
【0017】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、前記除霜用熱交換器の冷媒管の断面積を第1蒸発器の冷媒管の断面積の1/2以下にしたことを特徴としている。この構成によると、除霜用熱交換器の冷媒管の内容積を小さくし、除霜後に除霜用熱交換器に多量の冷媒がたまることを防止する。
【0018】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、第2蒸発器の除霜前に第1圧縮機を所定期間停止したことを特徴としている。この構成によると、第1圧縮機が停止して三方弁が除霜用熱交換器側に切り替えられると冷蔵室の室内温度が上昇し、所定期間が経過すると第1圧縮機が駆動される。これにより、除霜用熱交換器に第1冷媒が流通して第2蒸発器が除霜されるとともに冷蔵室が冷却される。該所定期間が経過した後に三方弁を除霜用熱交換器側に切り替えてもよい。
【0019】
また本発明の冷却庫は、第1、第2冷却室と、第1冷媒が流通する第1冷凍サイクルを運転する第1圧縮機と、第1冷凍サイクルの低温部に配されて第1冷却室を冷却する第1蒸発器と、第2冷媒が流通する第2冷凍サイクルを運転する第2圧縮機と、第2冷凍サイクルの低温部に配されて第1冷却室を冷却する第2蒸発器とを備え、第1冷凍サイクルの高温部の熱によって第2蒸発器を除霜することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、第1、第2圧縮機によってそれぞれ第1、第2冷凍サイクルを運転して第1、第2蒸発器により冷蔵室及び冷凍室を冷却するので、冷蔵室を冷却する第1蒸発器の温度を第2蒸発器よりも高く維持して冷却効率が向上し、冷凍冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0021】
また、第1冷凍サイクルの高温部の熱によって第2冷凍サイクルの第2蒸発器を除霜するので、第1冷凍サイクルの第1凝縮器及び第2冷凍サイクルの第2凝縮器が低温にならない。従って、冷凍冷蔵庫の背面板等の結露を防止することができる。また、第2蒸発器を除霜するヒータを別途設ける必要がなく、除霜時のヒータ等による昇温を抑制できる。また、除霜時に第2蒸発器を加熱する熱の大部分が冷蔵室からの熱であり、除霜しながら冷蔵室を冷却することができる。従って、除霜による電力消費を抑制して冷凍冷蔵庫の消費電力を低く維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の冷凍冷蔵庫を示す側面断面図である。冷凍冷蔵庫1は本体部を形成する断熱箱体6の上部に貯蔵物を冷蔵保存する冷蔵室2が配される。冷蔵室2の下方には冷蔵室2よりも高温で野菜の保存に適した温度に維持される野菜室3が断熱壁7を介して設けられる。野菜室3の下方には貯蔵物を冷凍保存する冷凍室4が断熱壁8を介して配される。冷蔵室2の前面は回動式の断熱扉2aにより開閉される。野菜室3及び冷凍室4の前面はそれぞれ収納ケース3b、4bと一体の引き出し式の断熱扉3a、4aにより開閉される。
【0023】
冷凍室4の後方には機械室5が設けられる。機械室5内には詳細を後述する第1、第2冷凍サイクル10、20(図2参照)をそれぞれ運転する第1、第2圧縮機11、21が配される。冷蔵室2の背面には第1圧縮機11に接続される第1蒸発器14が配され、第1蒸発器14の上方には冷蔵室送風機31が配される。冷凍室4の背面には第2圧縮機21に接続される第2蒸発器24が配され、第2蒸発器24の上方には冷凍室送風機32が配される。第1蒸発器14の下方には除霜ヒータ33が設けられる。
【0024】
第1蒸発器14と熱交換して冷却された冷気は冷蔵室送風機31により冷蔵室2に吐出される。該冷気は冷蔵室2内を流通し、冷蔵室2に連通する野菜室3に流入する。野菜室3に流入した冷気は野菜室3内を流通し、第1蒸発器14に戻る。これにより、冷蔵室2及び野菜室3が冷却される。第2蒸発器24と熱交換して冷却された冷気は冷凍室送風機32により冷凍室4に吐出される。冷凍室4に吐出された冷気は冷凍室4内を流通し、第2蒸発器24に戻る。これにより、冷凍室4が冷却される。
【0025】
図2は冷凍冷蔵庫1の冷凍サイクルを示している。冷凍冷蔵庫1は第1圧縮機11により運転される第1冷凍サイクル10と、第2圧縮機21により運転される第2冷凍サイクル20とを有している。第1冷凍サイクル10は冷媒管10aにより接続される第1凝縮器12、第1減圧装置13、第1蒸発器14を有している。冷媒管10a内にはイソブタン等の第1冷媒が矢印S1の方向に流通する。即ち、第1冷媒は第1圧縮機11、第1凝縮器12、第1減圧装置13、第1蒸発器14、第1圧縮機11の順に通って循環する。
【0026】
また、第1凝縮器12と並列に除霜用熱交換器18が配される。第1凝縮器12の冷媒流入側には流路を切り替える三方弁16が設けられ、三方弁16で分岐する冷媒管10aが除霜用熱交換器18に接続される。除霜用熱交換器18の冷媒流出側には逆止弁17が設けられる。逆止弁17は第1凝縮器12の冷媒流出側と除霜用熱交換器18の冷媒流出側との合流点10b近傍に配され、除霜用熱交換器18から離れて配される。
【0027】
三方弁16を除霜用熱交換器18側に切り替えることによって第1冷媒は矢印S1’に示すように流通する。これにより、第1冷媒は第1圧縮機11、除霜用熱交換器18、第1減圧装置13、第1蒸発器14、第1圧縮機11の順に通って循環する。
【0028】
第2圧縮機21により運転される第2冷凍サイクル20は冷媒管20aにより接続される第2凝縮器22、第2減圧装置23、第2蒸発器24を有している。冷媒管20a内にはイソブタン等の第2冷媒が矢印S2の方向に流通する。即ち、第2冷媒が第2圧縮機21、第2凝縮器22、第2減圧装置23、第2蒸発器24、第2圧縮機21の順に通って循環する。
【0029】
除霜用熱交換器18と第2蒸発器24とは互いに熱交換可能に形成される。図3は除霜用熱交換器18及び第2蒸発器24の詳細図を示している。除霜用熱交換器18及び第2蒸発器24の第1、第2冷媒管10a、20aは蛇行して近設され、多数のフィン34によって連結される。これにより、フィン34を介して除霜用熱交換器18と第2蒸発器24とが容易に熱交換される。第1、第2冷媒管10a、20aを隣接して設け、除霜用熱交換器18と第2蒸発器24との境界壁を介して互いに熱交換可能に形成してもよい。
【0030】
また、除霜用熱交換器18の第1冷媒管10aの断面積が第1蒸発器14の第1冷媒管10aの断面積の1/2以下に形成される。これにより、三方弁16を第1凝縮器12側に切り替えた際に除霜用熱交換器18に残留する第1冷媒の量を少なくすることができる。
【0031】
第1、第2凝縮器12、22は冷凍冷蔵庫1の側面や背面等を覆う金属板(不図示)の裏側に接合して設けられる。また、第1、第2凝縮器12、22は断熱箱体6内を延びて断熱壁7、8の扉2a、3a、4a近傍に配される。これにより、十分な放熱面積を確保するとともに、扉2a、3a、4a近傍の結露を防止することができる。
【0032】
第1、第2冷凍サイクル10、20には、第1、第2内部熱交換器15、25が設けられる。第1内部熱交換器15は第1凝縮器12の後段に配された熱交換部15aと第1蒸発器14の後段に配された熱交換部15bとを隣接し、互いに境界壁を介して熱交換可能に形成される。熱交換部15aは第1凝縮器12を流出した高温の第1冷媒が流通し、熱交換部15bは第1蒸発器14を流出した低温の第1冷媒が流通する。第1減圧装置13がキャピラリチューブから成る場合は熱交換部15aを第1減圧装置13と兼ねてもよい。
【0033】
第2内部熱交換器25は第2凝縮器22の後段に配された熱交換部25aと第2蒸発器24の後段に配された熱交換部25bとを隣接し、互いに境界壁を介して熱交換可能に形成される。熱交換部25aは第2凝縮器22を流出した高温の第2冷媒が流通し、熱交換部25bは第2蒸発器24を流出した低温の第2冷媒が流通する。第2減圧装置23がキャピラリチューブから成る場合は熱交換部25aを第2減圧装置23と兼ねてもよい。
【0034】
上記構成の冷凍冷蔵庫1において、冷蔵室2、野菜室3及び冷凍室4の冷却時には第1、第2圧縮機11、21の駆動によって冷媒管10a、20aを第1、第2冷媒が流通する。第1、第2圧縮機11、21は第1、第2冷媒を圧縮して高温高圧にし、第1、第2減圧装置13、23は第1、第2冷媒を減圧、膨張して低温低圧にする。
【0035】
従って、第1、第2冷媒が第1、第2圧縮機11、21を流出して第1、第2減圧装置13、23に流入するまでの間は第1、第2冷凍サイクル10、20の高温部となる。第1、第2冷媒が第1、第2減圧装置13、23を流出して第1、第2圧縮機11、21に流入するまでの間は第1、第2冷凍サイクル10、20の低温部となる。
【0036】
第1圧縮機11で圧縮された高温高圧の第1冷媒は第1凝縮器12で周囲空気に熱を奪われて凝縮する。第1凝縮器12から流出した第1冷媒は逆止弁17によって除霜用熱交換器18への流入が防止される。この時、逆止弁17が除霜用熱交換器18から離れて合流点10bの近傍に配される。このため、第1凝縮器12から流出した高温の第1冷媒から第1冷媒管10aを介した伝熱による第2蒸発器24の昇温を低減することができる。
【0037】
第1凝縮器12で液化した第1冷媒は第1内部熱交換器15に流入し、第1蒸発器14を流出した第1冷媒と熱交換して更に降温される。第1内部熱交換器15で冷却されて過冷却度が大きくなった液体状態の第1冷媒は第1減圧装置13に流入する。第1冷媒は第1減圧装置13で減圧、膨張し、乾き度が低い低温の湿り蒸気となる。
【0038】
低温の湿り蒸気となった第1冷媒は第1蒸発器14に流入し、冷蔵室2の冷気から熱を奪って蒸発して更に乾き度の高い湿り蒸気となる。第1蒸発器14から流出した湿り蒸気状態の第1冷媒は第1内部熱交換器15に流入し、第1凝縮器12を流出した高温の第1冷媒から熱を奪いながら蒸発して過熱蒸気となる。過熱蒸気となった第1冷媒が第1圧縮機11に戻る。これにより、第1冷媒が循環して第1冷凍サイクル10が運転され、冷蔵室2及び野菜室3が冷却される。
【0039】
第2圧縮機21で圧縮された高温高圧の第2冷媒は第2凝縮器22で周囲空気に熱を奪われて凝縮する。第2凝縮器22で液化した第2冷媒は第2内部熱交換器25に流入し、第2蒸発器24を流出した第2冷媒と熱交換して更に降温される。第2内部熱交換器25で冷却されて過冷却度が大きくなった液体状態の第2冷媒は第2減圧装置23に流入する。第2冷媒は第2減圧装置13で減圧、膨張し、乾き度が低い低温の湿り蒸気となる。
【0040】
低温の湿り蒸気となった第2冷媒は第2蒸発器24に流入し、冷凍室4の冷気から熱を奪って蒸発して更に乾き度の高い湿り蒸気となる。第2蒸発器24から流出した湿り蒸気状態の第2冷媒は第2内部熱交換器25に流入し、第2凝縮器22を流出した高温の第2冷媒から熱を奪いながら蒸発して過熱蒸気となる。過熱蒸気となった第2冷媒が第2圧縮機21に戻る。これにより、第2冷媒が循環して第2冷凍サイクル10が運転され、冷凍室4が冷却される。
【0041】
図4は第2蒸発器24の除霜時の動作を示すフローチャートである。ステップ#11では第2蒸発器24の除霜を行うため第2圧縮機21が停止される。ステップ#12では第1圧縮機11が停止される。ステップ#13では三方弁16が除霜用熱交換器18側に切り替えられる。
【0042】
ステップ#14では第1圧縮機11を停止してから所定時間が経過するまで待機する。これにより、冷蔵室2及び野菜室3の温度が上昇する。所定時間が経過して冷蔵室2及び野菜室3が設定温度の上限近傍になると、ステップ#15に移行する。該所定時間が経過した後に三方弁16を除霜用熱交換器18側に切り替えてもよい。また、待機期間は時間に依らなくてもよい。即ち、冷蔵室2または野菜室3に温度センサを設け、温度センサによって設定温度の上限を検知するまで所定期間待機した後にステップ#15に移行してもよい。
【0043】
ステップ#15では第1圧縮機11が駆動される。これにより、第1冷凍サイクル10が運転され、高温部の除霜用熱交換器18との熱交換によって第2蒸発器24を昇温して除霜が行われる。また、冷蔵室2及び野菜室3が冷却される。ステップ#14で予め冷蔵室2及び野菜室3を昇温しておくことで除霜時の冷蔵室2及び野菜室3の過冷却を防止することができる。
【0044】
ステップ#16では所定時間が経過するまで待機する。これにより、第2蒸発器24の除霜が進行し、所定時間が経過して除霜が完了するとステップ#17に移行する。ステップ#17では三方弁16が第1凝縮器12側に切り替えられる。ステップ#18では所定時間が経過するまで待機する。三方弁16の切り替え時に第1圧縮機11を一時停止してもよい。また、該所定時間が経過後に三方弁16を第1凝縮器12側に切り替えてもよい。
【0045】
所定時間が経過するとステップ#19に移行して第2圧縮機21が駆動される。これにより、第2冷凍サイクル20が運転され、冷凍室4が冷却される。
【0046】
冷蔵室2を冷却する第1蒸発器14は第2蒸発器24よりも温度が高いため、第2蒸発器24よりも着霜量が少ない。また、冷蔵室2内の空気の温度が0℃以上である。従って、第1圧縮機11を停止して冷蔵室送風機31を運転させるだけで冷蔵室2の空気の熱により第1蒸発器14を除霜することができる。このため、除霜ヒータ33は通常駆動されず、異常着霜時に駆動される。
【0047】
本実施形態によると、第1、第2圧縮機11、21によってそれぞれ第1、第2冷凍サイクル10、20を運転して第1、第2蒸発器14、24により冷蔵庫2及び冷凍室4を冷却するので、冷蔵室2を冷却する第1蒸発器14の温度を第2蒸発器24よりも高く維持して冷却効率が向上し、冷凍冷蔵庫1の消費電力を低減することができる。
【0048】
また、第1冷凍サイクル10の高温部の熱によって第2冷凍サイクル20の第2蒸発器24を除霜するので、第1冷凍サイクル10の第1凝縮器12及び第2冷凍サイクル20の第2凝縮器22が低温にならない。従って、冷凍冷蔵庫1の側面や背面等の結露を防止することができる。また、第2蒸発器22を除霜するヒータを別途設ける必要がなく、除霜時のヒータ等による昇温を抑制できる。従って、除霜による電力消費を抑制して冷凍冷蔵庫1の消費電力を低く維持することができる。
【0049】
また、第1凝縮器12と除霜用熱交換器18とを並列に配し、冷媒流入側及び冷媒流出側にそれぞれ三方弁16及び逆止弁17を設けるので、第1冷凍サイクル10の高温部の熱によって第2冷凍サイクル20の第2蒸発器24を除霜する冷凍冷蔵庫1を容易に実現することができる。
【0050】
また、逆止弁17を除霜用熱交換器18から離れて合流点10a近傍に配置したので、第1凝縮器12から流出した高温の第1冷媒から第1冷媒管10aを介した伝熱による第2蒸発器24の昇温を低減することができる。従って、冷凍冷蔵庫1の冷却効率を向上することができる。
【0051】
また、第2蒸発器24の除霜前に第1圧縮機11を所定期間停止したので、予め冷蔵室2及び野菜室3を昇温して除霜時の冷蔵室2及び野菜室3の過冷却を防止することができる。
【0052】
また、除霜用熱交換器18の第1冷媒管10aの断面積が第1蒸発器14の第1冷媒管10aの断面積の1/2以下に形成されるため、第2蒸発器24の除霜が終了して三方弁16を第1凝縮器12側に切替えた後に除霜用熱交換器18には多量の第1冷媒が残留しない。従って、第1冷凍サイクル10に封入される冷媒量を抑制することができる。
【0053】
尚、室内温度の異なる第1、第2冷却室にそれぞれ第1、第2蒸発器14、24を配置する第1、第2冷凍サイクルを備えた冷却庫であればどのようなものにも同様に適用が可能である。即ち、家庭用の冷凍冷蔵庫1を中心とする冷凍サイクル応用機器に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によると、冷蔵室及び冷凍室をそれぞれ冷却する第1、第2蒸発器を備えた冷凍冷蔵庫に利用することができる。また、温度の異なる第1、第2冷却室をそれぞれ冷却する第1、第2蒸発器を備えた冷却庫に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫を示す側面断面図
【図2】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫の冷凍サイクルを示す図
【図3】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫の除霜用熱交換器及び第2蒸発器を示す詳細図
【図4】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫の第2蒸発器の除霜時の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0056】
1 冷凍冷蔵庫
2 冷蔵室
3 野菜室
4 冷凍室
10 第1冷凍サイクル
10a 第1冷媒管
11 第1圧縮機
12 第1凝縮器
13 第1減圧装置
14 第1蒸発器
15 第1内部熱交換器
16 三方弁
17 逆止弁
18 除霜用熱交換器
20 第2冷凍サイクル
20a 第2冷媒管
21 第2圧縮機
22 第2凝縮器
23 第2減圧装置
24 第2蒸発器
25 第2内部熱交換器
31 冷蔵室送風機
32 冷凍室送風機
33 除霜ヒータ
34 フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵物を冷蔵保存する冷蔵室と、貯蔵物を冷凍保存する冷凍室と、第1冷媒が流通する第1冷凍サイクルを運転する第1圧縮機と、第1冷凍サイクルの低温部に配されて前記冷蔵室を冷却する第1蒸発器と、第2冷媒が流通する第2冷凍サイクルを運転する第2圧縮機と、第2冷凍サイクルの低温部に配されて前記冷凍室を冷却する第2蒸発器とを備え、第1冷凍サイクルの高温部の熱によって第2蒸発器を除霜することを特徴とする冷凍冷蔵庫。
【請求項2】
第1冷凍サイクルの高温部に配される第1凝縮器と、第1凝縮器の冷媒流入側に設けられる三方弁と、前記三方弁で分岐して第1凝縮器と並列に配されるとともに第2蒸発器と熱交換を行う除霜用熱交換器と、前記除霜用熱交換器の冷媒流出側に設けられる逆止弁とを備え、第2蒸発器の除霜時に前記三方弁を前記除霜用熱交換器側に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項3】
前記逆止弁を第1凝縮器の冷媒流出側と前記除霜用熱交換器の冷媒流出側との合流点近傍に配置したことを特徴とする請求項2に記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項4】
第2蒸発器及び前記除霜用熱交換器は第1、第2冷媒がそれぞれ流通する第1、第2冷媒管を有し、第1、第2冷媒管を複数のフィンにより連結したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項5】
第2蒸発器及び前記除霜用熱交換器は第1、第2冷媒がそれぞれ流通する第1、第2冷媒管を有し、第1、第2冷媒管を隣接したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項6】
前記除霜用熱交換器の冷媒管の断面積を第1蒸発器の冷媒管の断面積の1/2以下にしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項7】
第2蒸発器の除霜前に第1圧縮機を所定期間停止したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項8】
第1、第2冷却室と、第1冷媒が流通する第1冷凍サイクルを運転する第1圧縮機と、第1冷凍サイクルの低温部に配されて第1冷却室を冷却する第1蒸発器と、第2冷媒が流通する第2冷凍サイクルを運転する第2圧縮機と、第2冷凍サイクルの低温部に配されて第1冷却室を冷却する第2蒸発器とを備え、第1冷凍サイクルの高温部の熱によって第2蒸発器を除霜することを特徴とする冷却庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−38516(P2010−38516A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205661(P2008−205661)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】