説明

冷凍冷蔵庫

【課題】冷蔵室の庫内温度の変動を小さくし、消費電力を抑制した冷凍冷蔵庫を得る。
【解決手段】制御装置12は、実測温度Rrが第2冷蔵室設定温度Reより高いか否かを判定し、実測温度Rrが第2冷蔵室設定温度Re以下の場合、バッフル29の開度Aを、ステップS7又はステップS8において設定した開度Aとなるように調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵室を設けた冷凍冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍冷蔵庫として、冷蔵室内下部の急冷室用の温度検出装置、並びに、ダンパー装置及び急冷室用ファンが取り付けられており、この部屋に入れた食品を急冷する制御装置に関し、急冷動作を実施する際に過度に食品を冷やし過ぎないようにファジィー論理演算を行ってダンパー装置のバッフル開度を調整するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、冷凍室用及び冷蔵室用のファンを具備し、冷蔵室に設置したダンパー装置の開閉によって冷蔵室の温度をコントロールし、冷凍室温度が所定値以上となる状態が一定時間続く場合に、そのダンパー装置のバッフル開度を小さくし、冷蔵室用ファンの回転数を下げるように制御するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、冷蔵室用ダンパー装置の制御方法に関し、冷凍室温度及び冷蔵室温度が設定値よりも高い場合には、ファジィー論理演算によってバッフルの開度を調節して冷蔵室の冷却動作を実施し、冷蔵室温度が設定値以下となった場合にはバッフルを閉じるものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
通常、冷蔵室用のダンパー装置は冷蔵室の温度制御を第一の目的とするものであり、検出した冷蔵室温度を演算し、冷蔵室内が所定温度(例えば、平均で約3℃)になるようバッフルの開閉制御を実施する。ここで、冷蔵室扉等に設置される温度操作パネル等によって冷蔵室内の温度を使用者の好みで設定可能なものも当然存在する。その際、冷蔵室内の水物等が氷結しないように、冷蔵室の温度が大きく上下降しないように冷蔵室用ダンパー装置のバッフルの開点温度と閉点温度との差をなるべく小さく設定し、冷却時に冷蔵室内の温度が氷点下にならないようにすることが望ましい。また、食品に与える品質的な影響、例えば、生鮮食品等の鮮度の保持等に関して、冷蔵室内の温度変動が小さい方がその影響も小さい。
【0006】
また、近年の冷蔵庫に求められる機能として省エネ性が挙げられ、風路構造又は冷気量分配制御等を最適化していくことが必須となっており、ダンパー装置のバッフル制御に関する文献は従来から多く報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−43276号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開平4−186081号公報(第3頁、図5)
【特許文献3】特開平10−38435号公報(第4−5頁、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1おいては、冷蔵室内の一部である急冷室内に限定されるものであり、冷却時のバッフル開度を調節して、最終的に全閉とすることによって食品温度を目標温度となるようにするもので、冷蔵庫としての通常使用時の消費電力の低減が考慮されていないという問題点がある。
【0009】
また、特許文献2においては、冷凍室の負荷が極端に増えて冷凍室温度が上がってしまった場合には冷蔵室のダンパー装置のバッフル開度を調整し冷凍室への風量を増加させるものであるが、その間は冷蔵室の温度は高くなってしまうという問題点がある。
【0010】
そして、特許文献3においては、冷蔵室の冷却時の冷蔵室用ダンパー装置のバッフルの開度を調整するものであるが、冷蔵室温度が設定温度になるまでバッフルが半開となることがあるため、冷蔵室の温度が下がらないまま圧縮機が停止して冷蔵室の温度が平均的に高い場合がある。さらに、冷蔵室の温度を下げたい場合には結局バッフルが全開となり、全開全閉を繰り返すだけのサイクルとなってしまうと予測される。また、冷蔵室を循環して冷却器に戻ってくる冷気の温度は比較的高く冷却器の温度を高くしてしまうため、冷凍室に吹き出される冷気温度が若干高めとなり冷凍室の冷却を遅らせてしまい圧縮機の運転が長くなってしまい消費電力を浪費するという問題点がある。それを防止するためには、冷蔵室の冷却は短時間で行う方が効率的であり、冷蔵室を冷却すると判断した場合には冷蔵室用ダンパー装置のバッフルは全開であることが望ましい。以上のような冷蔵室用ダンパー装置のバッフル制御方法では、庫内温度の変動を小さくできるものではなく、また消費電力の低減を見込めない場合があるという問題点もある。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、冷蔵室の庫内温度の変動を小さくし、消費電力を抑制した冷凍冷蔵庫を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る冷凍冷蔵庫は、本体と、該本体に形成され、食品を冷蔵する冷蔵室と、前記本体後部側に形成された冷却室内に配置され、該冷却室を流通する空気を冷却して冷気を生成する冷却器と、前記冷蔵室奥側から前記冷蔵室内へ冷気を送り込むためのダクト部と、該ダクト部に冷気を送り込む送風ファンと、前記冷却室から前記ダクト部へ流れる冷気量を調整する冷蔵室用ダンパー装置と、外気温度を検知する外気温度検知手段と、前記冷蔵室の庫内温度を検知する冷蔵室温度検知手段と、前記送風ファンの動作及び前記冷蔵室用ダンパー装置の開度制御を実施する制御装置と、を備え、該制御装置は、前記外気温度検知手段によって検知された外気温度である外気実測温度に基づいて、前記冷蔵室用ダンパー装置の開度について特定開度を設定し、前記送風ファンを駆動させた状態において、前記冷蔵室温度検知手段によって検知された前記冷蔵室の庫内温度である冷蔵室実測温度と、所定の第1冷蔵室設定温度とを比較し、その比較の結果、前記冷蔵室実測温度が前記第1冷蔵室設定温度よりも高い場合、前記冷蔵室用ダンパー装置の開度を全開状態にし、前記送風ファンを駆動させた状態において、前記冷蔵室実測温度と、前記第1冷蔵室設定温度よりも小さい所定の第2冷蔵室設定温度とを比較し、その比較の結果、前記冷蔵室実測温度が前記第2冷蔵室設定温度より低い場合、前記冷蔵室用ダンパー装置の開度を前記特定開度の状態にするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冷蔵室の庫内温度について、第1冷蔵室設定温度と第2冷蔵室設定温度との温度差を小さく設定することができるので、冷蔵室実測温度を安定的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の温度操作パネル8の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の冷蔵室用ダンパー装置26の構造図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の冷蔵室1の温度制御動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の冷蔵室1の温度制御動作において、冷蔵室用ダンパー装置26のバッフル29の開度を決定するための別のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の冷蔵室用ダンパー装置26のバッフル29の開度を示す状態図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の圧縮機25の動作、冷却器18の温度変化、冷蔵室1及び冷凍室4の実測温度変化、並びに、バッフル29の動作のタイムチャートである。
【図9】従来の冷凍冷蔵庫の圧縮機25の動作、冷却器18の温度変化、冷蔵室1及び冷凍室4の実測温度変化、並びに、バッフル29の動作のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
(冷凍冷蔵庫の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の正面図であり、図2は、同冷凍冷蔵庫のA−A断面図である。
【0016】
図1及び図2で示されるように、本実施の形態に係る冷凍冷蔵庫は、冷蔵室1、製氷室2、切替室3、冷凍室4及び野菜室5の各貯蔵室を備えている。上記各貯蔵室は、断熱仕切り壁6によって仕切られている。また、各貯蔵室は、前面が開閉自在に取り付けられた扉を有している。具体的には、冷蔵室1については冷凍室扉1a、製氷室2については製氷室扉2a、切替室3については切替室扉3a、冷凍室4については冷凍室扉4a、そして、野菜室5については野菜室扉5aが備えられ、各扉を開くことによって、内部に貯蔵物を載置して保存することが可能となっている。また、本実施の形態に係る冷凍冷蔵庫の上面、背面、側面及び下面は、内箱17によって形成されている。
【0017】
なお、各貯蔵室のレイアウトは、図1及び図2で示されるものに限定されるものではなく、例えば、図1及び図2で示されるように、冷蔵室1が最上段に位置しているが、冷凍室4が最上段に位置しているものとしてもよい。
【0018】
冷蔵室1の背面側の内箱17内には、制御装置12が収納されており、この制御装置12は、各貯蔵室に設置されたサーミスターによって検知される信号を温度換算し、この温度に基づいて各貯蔵室の温度制御を実施したり、後述する圧縮機25の運転及び停止等の処理を実施する。また、冷蔵室1の内部は、樹脂製又はガラス製の棚1b〜1dによって区画されている。なお、本実施の形態においては、冷蔵室1内部に設置される棚は3個としているが、これに限定されるものではない。このうち、最下段の棚1dの下には小物収納ケース1eが設置されており、この小物収納ケース1e内は、上部の棚部分よりも1〜2[℃]低い温度となっている。これは、冷蔵室1内の冷気の戻り口(後述する戻り風路42の入口)が小物収納ケース1eの下に形成されており、低温の冷気は、それよりも温度が高い冷気よりも浮力が小さいため下方に滞留しやすいからである。また、冷凍室扉1aの内側には、複数のポケット1f(図2においては3個)が設置されている。また、冷蔵室1の奥部の壁面は、コントロールパネル47によって形成されている。このコントロールパネル47は、意匠面側(庫内側)の樹脂部品48、及び、奥側の発泡ダクト部品49によって形成されている。この発泡ダクト部品49と、冷凍冷蔵庫の背面を形成する内箱17との間には、後述する冷却器18によって生成される冷気が送られてくるダクト部50が形成されている。そして、コントロールパネル47の各棚には、ダクト部50から冷気を取り込むための風路孔56が形成されている。さらに、樹脂部品48の中央近傍には、冷蔵室1の庫内温度を検知する冷蔵室サーミスター51が設置されており、この冷蔵室サーミスター51は、制御装置12に対して、検知した温度情報を送信するため、制御装置12に電気的に接続されている。
【0019】
なお、冷蔵室サーミスター51は、本発明の「冷蔵室温度検知手段」に相当する。
【0020】
製氷室2は、冷蔵室1の下部、かつ、冷凍冷蔵庫の正面視において左側に形成された貯蔵室であり、その内部には自動製氷機(図示せず)が備えられており、その扉である製氷室扉2aは引き出し式となっている。製氷室2内には、製氷室ケース2bが設置されており、この引き出し式の製氷室扉2aを手前に引くことで製氷室ケース2bを引き出すことができる。
【0021】
切替室3は、冷蔵室1の下部、かつ、冷凍冷蔵庫の正面視において右側に形成された貯蔵室であり、その扉である切替室扉3aは引き出し式となっている。切替室3内には、切替室ケース3bが設置されており、この切替室扉3aを手前に引くことで切替室ケース3bを引き出すことができる。また、切替室3内の奥部の壁面には、切替室3の庫内温度を検知する切替室サーミスター52が設置されており、この切替室サーミスター52は、制御装置12に対して、検知した温度情報を送信するため、制御装置12に電気的に接続されている。
【0022】
冷凍室4内には、長期保存(例えば、一ヶ月程度)を目安とした下部大型貯蔵ケース4b、及び、その下部大型貯蔵ケース4bのフランジ部分に載置された浅底の上部浅底ケース4cが設置されている。また、冷凍室4内の奥部の壁面には、冷凍室4の庫内温度を検知する冷凍室サーミスター53が設置されており、この冷凍室サーミスター53は、制御装置12に対して、検知した温度情報を送信するため、制御装置12に電気的に接続されている。
【0023】
なお、冷凍室サーミスター53は、本発明の「冷凍室温度検知手段」に相当する。
【0024】
また、製氷室2、切替室3及び冷凍室4の奥部の壁面は、共通したファングリル16によって形成されている。このファングリル16と冷凍冷蔵庫の背面を形成する内箱17との間には、冷却器18が設置された空間(以下、冷却室という)が形成されている。この冷却室には、冷却器18を除霜するための除霜ヒーター19、及び、冷却器18によって生成された冷気を各貯蔵室に送り込むための送風ファン24が設置されている。また、冷却室の底には、除霜ヒーター19によって溶解された冷却器18のドレン水を、後述する機械室に設置された蒸発皿21に送り込むために形成された冷却室から機械室へ挿通する排水管20が形成されている。また、冷却室には、ダクト部50に冷気を送り込むための開閉機構を有する冷蔵室用ダンパー装置26が備えられており、後述のように、制御装置12によってその開閉動作が制御される。さらに、ファングリル16には、切替室3に冷気を送り込むための開閉機構を有し、冷蔵室用ダンパー装置26と同構造を有する切替室用ダンパー装置27が備えられており、制御装置12によってその開閉動作が制御される。また、同様に、ファングリル16には、冷凍室4に冷気を送り込むための開閉機構を有したダンパー装置(図示せず)が備えられており、制御装置12によってその開閉動作が制御される。
【0025】
また、本実施の形態の冷凍冷蔵庫の背面下部には、機械室が設けられており、この機械室には、前述のように、冷却器18で発生したドレン水が排水管20を経由して排出される蒸発皿21、及び、冷却器18内に冷媒を流通させる圧縮機25が設置されている。
【0026】
野菜室5は、本実施の形態に係る冷凍冷蔵庫において、最も最下段に配置された貯蔵室であり、冷蔵室1よりもわずかに高温であるが、基本的には冷蔵温度帯の貯蔵室である。この野菜室5内には、大きめの野菜等を収納する下部収納ケース5b、及び、その下部収納ケース5bのフランジ部分に載置され、葉物野菜及び小物野菜等を保存するのに適した浅底の上部収納ケース5cが設置されている。また、野菜室5の冷却は、冷蔵室1からの戻り風路42を利用して実施される。この戻り風路42は、冷蔵室1の下部にその入り口が形成されており、切替室3及び冷凍室4の背面を下方に向けて延設され、野菜室5内の壁面の開口部(図示せず)へ接続されている。したがって、戻り風路42に流入した冷蔵室1内の冷気は、戻り風路42を通って、この開口部から野菜室5へ流れ込む。そして、この野菜室5へ流れ込んだ冷気は、冷却室へ連通する別の開口部(図示せず)から吸い込まれて、冷却室へ戻る。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の温度操作パネル8の分解斜視図である。
図3で示されるように、冷蔵室1の扉である冷凍室扉1aには、各貯蔵室の庫内温度を調整操作が可能な温度操作パネル8が設置されている。その温度操作パネル8の内部に設置された基板9には、外気温度を検知する外気温度検知サーミスター10が搭載されている。
なお、温度操作パネル8は、冷凍室扉1aに備えられているものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、冷蔵室1内に備えられるものとしてもよい。
また、基板9上に外気温度検知サーミスター10が搭載されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、冷凍室扉1aの上側ヒンジ装置部11に外気温度検知サーミスター10が設置される構成としてもよい。
また、外気温度検知サーミスター10は、本発明の「外気温度検知手段」に相当する。
【0028】
温度操作パネル8による各貯蔵室の庫内温度の調整操作の例として、冷蔵室温度調整ボタン8aによる冷蔵室1の庫内温度の調整操作、及び、切替室温度調整ボタン8bによる切替室3の庫内温度の調整操作について説明する。冷蔵室温度調整ボタン8a及び切替室温度調整ボタン8bは、いずれも温度操作パネル8の表面側に設置されている。ユーザーは、冷蔵室温度調整ボタン8aを押下することによって、冷蔵室1の庫内温度について、「弱」(例えば、約6[℃])、「中」(例えば、約3[℃])又は「強」(例えば、約1[℃])を切り替えて設定操作することができる。また、ユーザーは、同様に、切替室温度調整ボタン8bを押下することによって、切替室3の庫内温度について、2週間程度の冷凍保存に適した弱めの冷凍(例えば、約−7[℃])、又は、一ヶ月程度の冷凍保存に適した強めの冷凍(例えば、約−18[℃])の2段階に切り替えて設定操作することができる。
【0029】
(冷蔵室用ダンパー装置26の構造)
図4は、本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の冷蔵室用ダンパー装置26の構造図である。このうち、図4(a)は、冷蔵室用ダンパー装置26の正面図、図4(b)は、冷蔵室用ダンパー装置26のB−B断面図、そして、図4(c)は、冷蔵室用ダンパー装置26の分解斜視図である。以下、図4を参照しながら、冷蔵室用ダンパー装置26の構造について説明する。
【0030】
図4(a)で示されるように、冷蔵室用ダンパー装置26は、ギア収納ケース28、バッフル29、冷気漏れ防止シート30及びフレーム31によって構成されている。
【0031】
ギア収納ケース28は、ステッピングモーター34、及び、そのステッピングモーター34の出力をバッフル29へ減速伝達するギア部品35等を収納するものである。また、ギア収納ケース28は、ネジ36によってフレーム31に固定されている。また、ギア収納ケース28から外部に延びたリード線32は、ステッピングモーター34等に電源供給するためのものであり、制御装置12に電気的に接続されている。また、ギア収納ケース28内には、ステッピングモーター34の回転駆動によりギア部品35を介して回転する嵌合部があり、その嵌合部に接続軸33が嵌合されている。この接続軸33の他端は、バッフル29に嵌合されている。
【0032】
バッフル29は、後述するフレーム31の冷気通過部38を開閉する板形状のものであり、嵌合された接続軸33の軸の延長線上の端部に円ボス37が形成されている。この円ボス37は、フレーム31に形成された凹部に嵌合される。つまり、バッフル29は、接続軸33及び円ボス37の中心を軸として回動する。
【0033】
フレーム31は、冷気通過部38が形成されており、この冷気通過部38を介して、冷却器18によって生成された冷気がダクト部50側に送り込まれる。この冷気通過部38は、前述のように、バッフル29が回動することによって、開いたり閉じたりする。また、冷気通過部38の周囲は外枠リブ39によって囲われている。
【0034】
冷気漏れ防止シート30は、発泡ポリウレタン又は発泡ポリエチレン製のシートであり、バッフル29に貼り付けられ、バッフル29の開度が全閉状態の場合には、冷気通過部38の外枠リブ39に密着するようになっている。
【0035】
以上のように、冷蔵室用ダンパー装置26の構造について説明したが、前述のように、切替室用ダンパー装置27も同構造である。しかし、冷気を送り込む貯蔵室の容量によって、冷気通過部38の開口面積を設定することが望ましいため、ダンパー装置の大きさについては、冷蔵室1用の冷蔵室用ダンパー装置26の方が切替室用ダンパー装置27よりも大きなものとなっている。
【0036】
(冷蔵室1の温度制御動作)
図5は、本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の冷蔵室1の温度制御動作を示すフローチャートであり、図6は、同冷凍冷蔵庫の冷蔵室1の温度制御動作において、冷蔵室用ダンパー装置26のバッフル29の開度を決定するための別のフローチャートであり、そして、図7は、同冷凍冷蔵庫の冷蔵室用ダンパー装置26のバッフル29の開度を示す状態図である。以下、図5及び図6を参照しながら、冷蔵室1の温度制御動作について説明する。
【0037】
(S1)
制御装置12は、冷凍室サーミスター53によって検知された冷凍室4の庫内温度である実測温度Frが第1冷凍室設定温度Fsより高いか否かを判定する。その判定の結果、実測温度Frが第1冷凍室設定温度Fsより高い場合、ステップS2へ進む。一方、実測温度Frが第1冷凍室設定温度Fs以下の場合、ステップS2をスキップして、ステップS3へ進む。
【0038】
(S2)
制御装置12は、圧縮機25及び送風ファン24を駆動させる。これによって、冷却器18は冷気を生成する。
【0039】
(S3)
制御装置12は、実測温度Frが第2冷凍室設定温度Fe(Fe<Fs)より高いか否かを判定する。その判定の結果、実測温度Frが第2冷凍室設定温度Feより高い場合、ステップS6へ進む。一方、実測温度Frが第2冷凍室設定温度Fe以下の場合、ステップS4へ進む。
【0040】
(S4)
制御装置12は、冷凍室4の庫内温度が低温状態にあると判断し、冷却器18からの冷気の発生を停止すべく圧縮機25及び送風ファン24の駆動を停止する。そして、ステップS5へ進む。
【0041】
(S5)
制御装置12は、冷蔵室1用の冷蔵室用ダンパー装置26のバッフル29を全閉状態にする。そして、ステップS1へ戻る。
【0042】
したがって、第1冷凍室設定温度Fsは冷凍室4の庫内温度が高く、冷却を必要としていることから冷却運転開始点、つまり、圧縮機25等の運転開始点となる。また、第2冷凍室設定温度Feは冷凍室4の庫内温度が低く、冷却が不要ということから冷却運転終了点、つまり、圧縮機25等の運転終了点ということになる。
【0043】
(S6)
制御装置12は、冷蔵室1の冷却動作が必要であると判断し、外気温度検知サーミスター10によって検知された外気温度である外気実測温度Tgが設定温度Tsより低いか否かを判定する。その判定の結果、外気実測温度Tgが設定温度Tsよりも低い場合、ステップS7へ進む。一方、外気実測温度Tgが設定温度Ts以上である場合、ステップS8へ進む。
【0044】
(S7)
制御装置12は、冷蔵室用ダンパー装置26におけるバッフル29の開度Aを「1」に設定する。ここで、開度Aとは、バッフル29と冷気通過部38の開口面との角度に基づく値を示すものとし、ここでは、例えば、開度A=1の場合、約7度であるものとする。そして、ステップS9へ進む。
【0045】
(S8)
制御装置12は、冷蔵室用ダンパー装置26におけるバッフル29の開度Aを「2」に設定する。ここで、開度A=2の場合、例えば、約21度であるものとする。そして、ステップS9へ進む。
【0046】
上記のステップS7及びS8において、後述するステップS13におけるバッフル29の開度Aを選択設定しているのは、例えば、外気温度が10度以下となった場合には、熱漏洩量が小さくなる、つまり、外気と冷蔵室1内との温度差が小さくなるので熱が冷蔵室1から逃げにくくなるため、冷蔵室1の強い冷却が不要、又は、冷却自体が不要となることがあるからである。
【0047】
なお、上記の開度A=1、2の場合、それぞれの角度を約7度、21度としたが、これは例示であり、その他の値でもよいのは言うまでもない。
【0048】
また、図5で示されるフローチャートにおいては、バッフル29の開度Aを2通りに選択する場合を示しているが、これに限定されるものではなく、図6で示されるように、開度Aを多段階で設定できるようにしてもよい。図6で示されるように、制御装置12は、外気実測温度Tgと比較する温度として、設定温度Ts1〜Ts3(Ts1<Ts2<Ts3)を用い、開度Aを設定する。具体的には、制御装置12は、外気実測温度Tgと、設定温度Ts1〜Ts3とをそれぞれ比較する(ステップS21、S23及びS25)。その比較の結果、制御装置12は、Tg<Ts1と判定した場合、開度Aを「1」に設定する(ステップS22)。また、Ts1≦Tg<Ts2と判定した場合、開度Aを「2」に設定する(ステップS24)。また、Ts2≦Tg<Ts3と判定した場合、開度Aを「3」に設定する(ステップS26)。そして、Tg≧Ts3と判定した場合、開度Aを「4」に設定する(ステップS27)。以上のように、制御装置12が、外気実測温度Tgによってバッフル29の開度Aを「1」〜「4」のように多段階で設定することによって、より細かい温度制御が可能となる。
【0049】
ここで、図7で示されるように、冷蔵室用ダンパー装置26のバッフル29の様々な開度状態について説明する。ここで、例えば、本実施の形態に係る冷凍冷蔵庫の容量を500[L]クラスのものとし、冷蔵室1の容量が270[L]前後、そして、冷蔵室用ダンパー装置26の冷気通過部38の面積が24[mm]×125[mm]=3000[mm2]であるものとする。まず、図7(a)は、バッフル29が全閉の状態、すなわち、バッフル29と冷気通過部38の開口面との角度(以下、単に「バッフル29の角度」という)が0度の状態を示したものである。また、図7(b)は、冷気通過部38の面積の10〜15[%]となるような、バッフル29の角度が約7度の状態(3[mm]×125[mm]=375[mm2])を示したものである。また、図7(c)は、冷気通過部38の面積の25〜30[%]となるような、バッフル29の角度が約14度の状態(6.5[mm]×125[mm]=812.5[mm2])を示したものである。また、図7(d)は、冷気通過部38の面積の37〜43[%]となるような、バッフル29の角度が約21度の状態(9.9[mm]×125[mm]=1237.5[mm2])を示したものである。ここで、例えば、図6で示されるフローチャートの場合、開度A=1の場合、バッフル29の角度を0度(図7(a))、開度A=2の場合、バッフル29の角度を約7度(図7(b))、開度A=3の場合、バッフル29の角度を約14度(図7(c))、そして、開度A=4の場合、バッフル29の角度を約21度(図7(d))のように設定すればよい。
【0050】
また、バッフル29の角度の上限値はあまり大きな角度に設定せず、例えば、約30度以下とする。図7で示されるように、本実施の形態におけるバッフル29は、フレーム31のフランジ部の高さが20[mm]であり、この約30度以下の回動範囲であればバッフル29とフレーム31との間に大きなクリアランスCができないが、図7(e)で示されるようなバッフル29の角度を約60度のような大きな角度に設定すると、ほぼ冷気通過部38の開口面積と同じ面積を開けてしまうことになり、全開状態(90度)のときの冷気流量と変わらなくなるからである。
なお、上記のように、全開状態(90度)と変わらない冷気流量が得られる開度を含めて「全開状態」というものとする。
【0051】
(S9)
制御装置12は、冷蔵室サーミスター51によって検知された冷蔵室1の庫内温度である実測温度Rrが第1冷蔵室設定温度Rsより高いか否かを判定する。その判定の結果、実測温度Rrが第1冷蔵室設定温度Rsよりも高い場合、ステップS10へ進む。一方、実測温度Rrが第1冷蔵室設定温度Rs以下の場合、ステップS10をスキップして、ステップS11へ進む。
【0052】
(S10)
制御装置12は、バッフル29の開度Aを全開状態にする。これは、冷蔵室1の庫内温度が高い状態となっているため、冷蔵室1の冷却を短時間で終了させるようにするためである。そして、ステップS11へ進む。
【0053】
(S11)
制御装置12は、実測温度Rrが第2冷蔵室設定温度Re(Re<Rs)より高いか否かを判定する。その判定の結果、実測温度Rrが第2冷蔵室設定温度Reより高い場合、ステップS12へ進む。一方、実測温度Rrが第2冷蔵室設定温度Re以下の場合、ステップS13へ進む。
【0054】
(S12)
制御装置12は、バッフル29の開度をそのままにする。そして、ステップS1へ戻る。
【0055】
(S13)
制御装置12は、バッフル29の開度Aを、ステップS7又はステップS8において設定した開度Aとなるように調節する。そして、ステップS1へ戻る。
【0056】
したがって、第1冷蔵室設定温度Rsは冷蔵室1の庫内温度が高く、冷却を必要としていることから冷蔵室用ダンパー装置26のバッフル29の全開点を示す。また、第2冷蔵室設定温度Reは冷蔵室1の庫内温度が低く、従来であれば、バッフル29の閉点を示すものであるが、本実施の形態においては、ステップS7又はステップS8で設定した開度を選択できるため「半開点」を示すものとする。
【0057】
図8は、本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の圧縮機25の動作、冷却器18の温度変化、冷蔵室1及び冷凍室4の実測温度変化、並びに、バッフル29の動作のタイムチャートである。また、図9は、従来の冷凍冷蔵庫の圧縮機25の動作、冷却器18の温度変化、冷蔵室1及び冷凍室4の実測温度変化、並びに、バッフル29の動作のタイムチャートである。
【0058】
(区間(1))
図8で示されるように、実測温度Frが第1冷凍室設定温度Fsに達すると、制御装置12によって圧縮機25は運転を開始する。また、このとき、通常、実測温度Rrも第1冷蔵室設定温度Rsに達しているため、バッフル29は全開状態となり、冷蔵室1の冷却が開始される。このとき、冷蔵室1から戻ってくる比較的温度の高い冷気が、冷却器18が設置された冷却室に戻ってくるため、冷却器18は冷媒によって冷却されるものの、その比較的高い温度の冷気によって、所定温度E1において横ばい状態となる。このように、冷却器18の温度が所定温度E1の場合には、当然、冷凍室4へ吹き出される冷気の温度も高めとなるため、実測温度Frも同様に横ばい状態となる。
【0059】
(区間(2))
次に、冷蔵室1が冷却され実測温度Rrが低下してきて第2冷蔵室設定温度Re、すなわち、バッフル29の半開点に達すると、バッフル29は図5におけるステップS7又はステップS8において設定した開度Aに制御される。このとき、バッフル29の開度Aは大きなものではないため、冷凍室4の冷却については支障がなく、実測温度Frが第2冷凍室設定温度Feに達するまで、圧縮機25の運転は継続し、冷凍室4の冷却も続けられる。このとき、実測温度Rrは、図9で示される区間(2)と比較して、バッフル29が開度Aに制御されていることによって冷気が冷蔵室1に送られている効果で、温度が上昇しにくいものとなっている。
【0060】
(区間(3))
そして、冷凍室4の実測温度Frが第2冷凍室設定温度Feに達すると、圧縮機25の駆動は停止するので、冷蔵室1及び冷凍室4の庫内温度は上昇していく。このとき、バッフル29は全閉状態であるため、冷蔵室1及び冷凍室4の庫内温度の温度勾配は、図8及び図9双方の区間(3)において同様である。ただし、図8の方が、区間(3)における実測温度Rrの初期温度が低いため、冷却停止時間が経過した時点、すなわち、実測温度Frが第1冷凍室設定温度Fsに達した時点では、図8の方が冷蔵室1の実測温度Rrは低いものとなっている。
【0061】
以上のことから、図8で示される本実施の形態に係る冷凍冷蔵庫の方が、図9で示される従来の冷凍冷蔵庫よりも、第1冷蔵室設定温度Rsと第2冷蔵室設定温度Reとの温度差を小さく設定することができる。
【0062】
(実施の形態1の効果)
以上の構成及び動作のように、冷蔵室1の庫内温度について、第1冷蔵室設定温度Rsと第2冷蔵室設定温度Reとの温度差を小さく設定することができるので、実測温度Rrを安定的に制御することができる。
【0063】
また、上記のように設定温度差を小さくできることによって、冷蔵室1を冷却する期間である区間(1)を短縮し、圧縮機25の運転時間も短縮することができるため、消費電力を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1 冷蔵室、1a 冷蔵室扉、1b〜1d 棚、1e 小物収納ケース、1f ポケット、2 製氷室、2a 製氷室扉、2b 製氷室ケース、3 切替室、3a 切替室扉、3b 切替室ケース、4 冷凍室、4a 冷凍室扉、4b 下部大型貯蔵ケース、4c 上部浅底ケース、5 野菜室、5a 野菜室扉、5b 下部収納ケース、5c 上部収納ケース、6 断熱仕切り壁、8 温度操作パネル、8a 冷蔵室温度調整ボタン、8b 切替室温度調整ボタン、9 基板、10 外気温度検知サーミスター、11 上側ヒンジ装置部、12 制御装置、16 ファングリル、17 内箱、18 冷却器、19 除霜ヒーター、20 排水管、21 蒸発皿、24 送風ファン、25 圧縮機、26 冷蔵室用ダンパー装置、27 切替室用ダンパー装置、28 ギア収納ケース、29 バッフル、30 冷気漏れ防止シート、31 フレーム、32 リード線、33 接続軸、34 ステッピングモーター、35 ギア部品、36 ネジ、37 円ボス、38 冷気通過部、39 外枠リブ、42 戻り風路、47 コントロールパネル、48 樹脂部品、49 発泡ダクト部品、50 ダクト部、51 冷蔵室サーミスター、52 切替室サーミスター、53 冷凍室サーミスター、56 風路孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
該本体に形成され、食品を冷蔵する冷蔵室と、
前記本体後部側に形成された冷却室内に配置され、該冷却室を流通する空気を冷却して冷気を生成する冷却器と、
前記冷蔵室奥側から前記冷蔵室内へ冷気を送り込むためのダクト部と、
該ダクト部に冷気を送り込む送風ファンと、
前記冷却室から前記ダクト部へ流れる冷気量を調整する冷蔵室用ダンパー装置と、
外気温度を検知する外気温度検知手段と、
前記冷蔵室の庫内温度を検知する冷蔵室温度検知手段と、
前記送風ファンの動作及び前記冷蔵室用ダンパー装置の開度制御を実施する制御装置と、
を備え、
該制御装置は、
前記外気温度検知手段によって検知された外気温度である外気実測温度に基づいて、前記冷蔵室用ダンパー装置の開度について特定開度を設定し、
前記送風ファンを駆動させた状態において、前記冷蔵室温度検知手段によって検知された前記冷蔵室の庫内温度である冷蔵室実測温度と、所定の第1冷蔵室設定温度とを比較し、その比較の結果、前記冷蔵室実測温度が前記第1冷蔵室設定温度よりも高い場合、前記冷蔵室用ダンパー装置の開度を全開状態にし、
前記送風ファンを駆動させた状態において、前記冷蔵室実測温度と、前記第1冷蔵室設定温度よりも小さい所定の第2冷蔵室設定温度とを比較し、その比較の結果、前記冷蔵室実測温度が前記第2冷蔵室設定温度より低い場合、前記冷蔵室用ダンパー装置の開度を前記特定開度の状態にする
ことを特徴とする冷凍冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御装置は、前記外気実測温度が高いほど、前記特定開度を大きく設定する
ことを特徴とする請求項1記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項3】
食品を冷凍する冷凍室と、
該冷凍室の庫内温度を検知する冷凍室温度検知手段と、
前記冷却器に冷媒を送り込む圧縮機と、
を備え、
前記制御装置は、
前記冷凍室温度検知手段によって検知された前記冷凍室の庫内温度である冷凍室実測温度と、所定の第1冷凍室設定温度とを比較し、その比較の結果、前記冷凍室実測温度が前記第1冷凍室設定温度よりも高い場合、前記圧縮機及び前記送風ファンを駆動し、
前記冷凍室実測温度と、前記第1冷凍室設定温度よりも小さい所定の第2冷凍室設定温度とを比較し、その比較の結果、前記冷凍室実測温度が前記第2冷凍室設定温度よりも低い場合、前記圧縮機及び前記送風ファンの駆動を停止し、前記冷蔵室用ダンパー装置の開度を全閉状態にする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の冷凍冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−68379(P2013−68379A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208463(P2011−208463)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】