説明

冷凍米飯パック

【課題】解凍時に食感の良い冷凍米飯パックを提供する。。
【解決手段】冷凍した米飯を電子レンジが解凍するために用いる容器であって、同じ大きさ且つ同じ形状の複数の袋体2が連続し、その複数の袋体が分離線3で個別に分離可能な容器1をプラスチックフィルムで形成し、各袋体内に炊飯済みの米飯、玄米または混ぜ米飯を封印してこれを冷凍するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を冷凍パックして電子レンジで解凍して食する冷凍米飯パックに関し、より詳しくは、同一形状の冷凍米飯を詰めた袋体を複数並べて、この袋体を必要な分だけ1個ずつ容器(パック)から切り離し電子レンジで解凍して食することができるようにした冷凍米飯パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭用冷蔵庫の冷凍室の大型化など冷凍機器の普及が目覚ましく、それに伴い冷凍保存して電子レンジで加熱・解凍して用いる冷凍食品の伸びも比例して拡大している。レトルト食品は、アメリカ軍が缶詰の代わりに開発した携帯食の保存技術を真似たもので、プラスチックフィルムや金属箔を多層に合わせた袋体などの機密性、遮光性を有する容器に、調理した食品(カレー・ライス等)を詰め、熱溶融により密封し加圧・加熱殺菌(レトルト)した殺菌剤、保存剤を使用しない保存食である。
【0003】
一方、レトルト食品の米飯類(おかゆ、炊き込み米飯等)も、計量し容器に充填した後密閉しレトルト処理を行った製品が製造されている。しかし、米飯類のレトルト食品は、食用時の米飯の品質が味、香り、色、風味共に通常にに炊飯された米飯に比べて、かなり劣るものであった。特に、不快なレトルト臭と呼ばれるむれ臭が強く、レトルト臭が影響しないカレーが米飯類レトルト製品の大半を占めると言う現状である。
こうしたレトルト食品の状況から、各種の改良された食品パックが考案・開示されている。ダイエット等を考慮した1回に食する量と炊飯に要する水の量が正確に分かるようにパックされた「米の包装体および米パック」が開示されている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
又、レトルト食品のレトルト臭を改善した「パック食品の加熱調理方法およびその装置」が開示されている(例えば特許文献2を参照)。
図6は従来の米飯パック食品の調理装置の概略ブロック図である。蒸気の逃げ口を開けた滅菌された米と水が所定量充容されたトレー又は、特許文献1に記載されたような包装袋体が搬入口210から搬入ゾーン200に搬入され、搬送コンベアに装着されて、吸水ゾーン300内に搬送され、袋体(トレー)は60〜100℃で約10分間程度加熱される。これで袋体(トレー)内の米は十分に吸水・膨潤して吸水炊飯される。続いて、袋体は炊飯ゾーン400へ搬送され、無菌加圧・加熱エアーにより100℃を超える温度で15〜20分間スチーム炊飯される。袋体は次の蒸らしゾーン500で70〜85℃で蒸らされ、搬出口220から搬出されて封口して米飯の酸化を防止するため、不活性ガスを導入して残存酸素を追い出す最終処理を行って出荷される。製品は、電子レンジ等で袋体ごと加熱して炊き立て風の米飯が食べられるとしている。
【0005】
しかし、このような常温保存方式では、レトルト方式と同じように、残存酸素による米飯類の酸化による劣化と言う問題が完全には解決されていないので、賞味期限の延長が難しく、不活性ガス処理等が設備投資を増加させコスト高になると言う問題がある。従って、米飯パックは冷凍保存方式に移って来た。うるち米を洗米して水中に1時間侵漬した後蒸し煮を20分行い、食用サラダ油を添加して縦型ミキサー処理を行って圧力を加えて液を溶出させ30分放置して、飯盛りを作り−40℃で冷凍する「冷凍米飯類およびその製法」が開示されている(例えば特許文献3を参照)。
【0006】
しかしながら、従来技術では、1つのトレーや袋体の1パック量が、メーカーで決められていたので、個人的には1食分が1パック量の1/3の人も居れば1/2の人もいて、必ずしも1パック分が1食分に相当するとは限らなかった。メーカーで決められた1パック量では、一旦解凍して封を切ってしまうと無駄が出て、望まない出費を強いられた。殊にダイエットやメタボリック症候群などで制限中でカロリー計算が必要な人にとっては、カロリー計算も1パックのカロリー表示から食する分だけ逆算しなければならないので間違いやすく面倒であると言う問題があった。
【0007】
また、最近増加の傾向にある、例えば特許文献3に記載した冷凍保存方式のような場合は、レトルト臭が無い代わりに主成分である澱粉の酸化の問題が発生して電子レンジで解凍した際にパサツキ、ばらけ、硬化などが生じ米飯本来の食感及び食味が著しく低下してしまう。そこで特許文献3は食感を人工的に保持させるために食用サラダ油等の添加物を加えたり、複雑な炊飯工程を行っているが、これでは炊飯工程が複雑過ぎて設備投資によるコストアップが大変である。また、サラダ油等のヌメリ系の添加物でパサツキを抑えているので、飽くまでも疑似食感を再現しているに過ぎず、米飯本来の自然な食感にはほど遠いと言う問題もある。
【0008】
【特許文献1】特開2007−104945号公報
【特許文献2】特開平7ー194353号公報
【特許文献3】特開平6−169709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、1回の食事の量が少ない人、中間食のために量が少なくて良い場合、カロリー制限のために1回の必要量を従来の1パック量の何分の一かで済ませたい人等、いろんなニーズに答えられるように、1パック量を少なくして袋体を小さくし、想定される種々のニーズの最低必要量を単位パック量とし、従来の1パック量を複数の袋体に分割して1容器に併置・収納して、必要な分量だけ、その都度使用できて無駄が出ず、カロリー計算も楽であり、且つ、米飯の冷凍工程で澱粉老化現象の原因となる最大氷結生成温度帯を避けて急速冷凍を行うことで解凍した時のパサツキ、ばらけ等を防止できる冷凍米飯パックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明は、冷凍した米飯を電子レンジが解凍するために用いる容器であって、同じ大きさ且つ同じ形状の複数の袋体が連続し、複数の袋体が分離線で個別に分離可能な容器をプラスチックフィルムで形成し、各袋体内に炊飯済みの米飯、玄米および混ぜ米飯を封印してこれを冷凍することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の冷凍米飯パックを、必要量に合った数の袋体を分離線で容器から切り離しレンジで加熱・解凍して食することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、容器の袋体の形状は、断面が略円形の円筒状で各々同方向に並列に併置されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、容器の袋体の形状は、断面が四角形の角柱状で各々同方向に並列に併置されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、容器の袋体の形状は、断面が三角形の三角柱状で隣同士上下反転して重ね合せ併置されることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、袋体の米飯の冷凍は、氷結晶の生成を抑える急速冷凍方式によることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分割した少量単位の袋体を複数個、1つの容器に併置・収納したので、ユーザーは必要量だけ、その都度使用し食することが出来るので無駄なく最後まで使用できると言う効果があり、また袋体に印刷されたカロリー値がそのまま使用できるので面倒なカロリー計算の必要が無いと言う効果もある。更に、急速冷凍を行うので、冷凍米飯の老化を避けることができると言う効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施例1について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例1に係る冷凍米飯パックの外観斜視図である。
図1(a)において、容器1は従来の1パック量を複数(3個を図示)の同一形状の袋体2に分割して収納し、その袋体2を併置して全体をプラスチックフィルムで生成した容器であり、併置した各袋体を切り離せる分離線3をミシン目等で付けている。この場合の袋体2は断面が略円形で全体が円柱形で内部には、米飯、玄米飯、具材入り米飯(ピラフ、混ぜ米飯等)を詰めて急速冷凍する。又、表面には栄養成分やカロリー表示が印刷されている。製品としては、米飯、玄米飯、混ぜ米飯を1容器に併置した袋体全部に米飯なら、米飯だけ1種類を詰める場合と、1容器の袋体にそれぞれ別の米飯、玄米、混ぜ米飯を詰めた混合飯容器とすることも出来る。なお、図1では袋体2は容器1当たり3個を図示しているが、これに限定されるものでは無く、袋体の数は任意である。
図1(b)は袋体2の後端部を示し、符号4は封止部で米飯を詰めた後、袋体2は熱シール等によりシールされる。なお、封止部4は袋体2の後端部に限らず側面、上部等であってもよい。
ここで袋詰めされる米飯の袋詰工程は、米飯は図6に示した自動炊飯装置を用いた温度制御・圧力制御による全自動型の炊飯工程又は大釜で真下火で炊いた米飯の何れを用いても良く、袋詰工程も自動滅菌型又は手動の米飯詰め工程で詰める方式の何れでもよい。
次に、本発明の実施例2について説明する。
【実施例2】
【0017】
図2は本発明の実施例2に係る冷凍米飯パックの(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
図2の容器5は併置される袋体6が断面四角形で、袋体6は全体が角柱形状をしている。袋体6は図1と同じように分離線7により切り離し可能である。図2の場合は、形状が四角形なので図1の袋体2より安定感が良く、作業がし易い利点がある。その他の封止、米飯詰工程などは実施例1と同じである。
【実施例3】
【0018】
次に、本発明の実施例3について説明する。
図3は本発明の実施例3に係る冷凍米飯パックの(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
図3の容器8は、併置される袋体9が、実施例2の四角形の袋体6を更に上下に2分割した形状で、長さが図2の袋体6の半分の四角柱の袋体9が、上下左右に合計6個併置された例であって、袋体9の1個当たりの米飯の量は、図2の場合の半分の量となる。各袋体9はそれぞれのミシン目から切り離しが可能である。
図3の場合は図2の場合の容量が半分なので、より少ない量が希望の人や、ダイエット中の女性や、幼児などに最適と言う利点がある。
【実施例4】
【0019】
次に、本発明の実施例4について説明する。
図4は本発明の実施例4に係る冷凍米飯パックの(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
図4の容器11は、併置される袋体12が断面三角形の三角柱の例であって、各袋体12は分離線13で切り離せる。
図4の場合は三角柱形の袋体が相互に重ね合されて併置されるので、前実施例に比較して向きが縦型で異なるが、全体の集積度は上がるので、同一面積の場合、より多くの個数の袋体を収納できる利点がある。
【0020】
最後に、各実施例に共通の冷凍工程について説明する。
図5は本発明の冷凍装置の概略ブロック図であり、この冷凍工程に投入される袋詰め米飯は、先述したように全自動方式でも、大釜で炊いた米飯を詰める方式でも、如何なる工程で詰められた袋体でも構わない。
【0021】
図5において、冷凍装置20は断熱材などで包覆されていて、冷却コイル(蒸発器)24と、冷凍機(圧縮機)26を冷凍配管で連結して冷凍サイクルを構成し、温度センサー23で内部空間の温度を検知して−50℃等の低温に温度制御器27で制御する。符号25は冷却コイル24の循環ファンで冷却空気を循環させる。又、磁場発生コイル29、30には交流電源制御部28から交流電源を印加して動磁場を発生させ、永久磁石31、32により静磁場を印加する。動作時は空気の無菌化装置33により無菌化を行う。
【0022】
以上の構成で、内部空間のコンベア21上に冷凍する米飯詰め袋体22を連続載置して、動磁場、静磁場を袋体に印加し米飯内の水分子を振動させて、過電流を発生させ、米飯の水分の氷結温度を降下させて、澱粉老化を生ずる−2℃〜−5℃近辺の最大氷結晶生成温度帯を短時間で通過させ、米飯の冷却温度を−20〜50℃に一気に下げた後、動磁場を停止して米飯を瞬時に凍結・急速冷凍を行うことで、電子レンジで解凍時には、氷結晶による米飯内の水分のドリフトが発生しないので、特許文献3のように添加物や複雑な炊飯工程等によらなくとも電磁場の作用のみで、パサツキ等の無い食感の良い米飯が解凍で得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に係る冷凍米飯パックの外観斜視図である。
【図2】本発明の実施例2に係る冷凍米飯パックの(a)は上面図であり、b)は正面図である。
【図3】本発明の実施例3に係る冷凍米飯パックの(a)は上面図であり、b)は正面図である。
【図4】本発明の実施例4に係る冷凍米飯パックの(a)は上面図であり、b)は正面図である。
【図5】本発明の冷凍米飯パックの冷却装置の概略ブロック図である。
【図6】従来の炊飯装置の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
1、5、8、11 容器
2、6、9、12 袋体
3、7、10、13 分離線
4 封止部
20 冷凍装置
21 ベルトコンベア
22 袋体
23 温度センサー
24 冷却コイル
25 冷却ファン
26 冷凍機
27 温度制御器
28 交流電源制御部
29、30 磁場発生コイル
31、32 永久磁石
33 無菌化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍した米飯を電子レンジで解凍するために用いる容器であって、
同じ大きさ且つ同じ形状の複数の袋体が連続し前記複数の袋体が分離線で個別に分離可能な容器をプラスチックフィルムで形成し、前記各袋体内に炊飯済みの米飯、玄米および混ぜ米飯を封印してこれを冷凍することを特徴とする冷凍米飯パック。
【請求項2】
請求項1記載の冷凍米飯パックを、必要量に合った数の前記袋体を前記分離線で容器から切り離しレンジで加熱・解凍して食することができるようにしたことを特徴とする冷凍米飯パック。
【請求項3】
前記容器の袋体の形状は、断面が略円形の円筒状で各々同方向に並列に併置されることを特徴とする請求項1記載の冷凍米飯パック。
【請求項4】
前記容器の袋体の形状は、断面が四角形の角柱状で各々同方向に並列に併置されることを特徴とする請求項1記載の冷凍米飯パック。
【請求項5】
前記容器の袋体の形状は、断面が三角形の三角柱状で隣同士上下反転して重ね合せ併置されることを特徴とする請求項1記載の冷凍米飯パック。
【請求項6】
前記袋体の米飯の冷凍は、氷結晶の生成を抑える急速冷凍方式によることを特徴とする請求項1記載の冷凍米飯パック。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−6435(P2010−6435A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169356(P2008−169356)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(304004133)
【出願人】(508195567)
【出願人】(508195578)
【出願人】(508195589)
【出願人】(305052425)
【出願人】(508195590)
【出願人】(508194087)
【出願人】(508195604)
【出願人】(508195501)
【Fターム(参考)】