冷凍装置
【課題】冷凍装置に関し、各種電装品が収容された電装品箱と冷媒冷却器との組立性の向上を図る。
【解決手段】空気調和装置は、冷凍サイクルを行う冷媒回路と、該冷媒回路の構成機器を制御する電装品(72,73)が収容された電装品箱(51)と、該電装品箱(51)に取り付けられ、上記冷媒回路(10)を流れる冷媒が流通して該電装品箱(51)に収容された電装品(72)を冷却する冷媒ジャケット(81)とを備えている。冷媒ジャケット(81)は、電装品箱(51)の上面に取り付けられている。
【解決手段】空気調和装置は、冷凍サイクルを行う冷媒回路と、該冷媒回路の構成機器を制御する電装品(72,73)が収容された電装品箱(51)と、該電装品箱(51)に取り付けられ、上記冷媒回路(10)を流れる冷媒が流通して該電装品箱(51)に収容された電装品(72)を冷却する冷媒ジャケット(81)とを備えている。冷媒ジャケット(81)は、電装品箱(51)の上面に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関し、特に、発熱素子を含む各種電装品が電装品箱に収容された電装品ユニットと発熱素子を冷却する冷媒冷却器とを備えた冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置は、空気調和装置等や給湯機等に広く適用されている。通常、冷凍装置は、上記冷媒回路の他、該冷媒回路の構成機器を制御するための各種電装品を備えている。
【0003】
特許文献1には、上記冷凍装置の一例としての空気調和装置が開示されている。該空気調和装置では、上述のような各種電装品は、室外ケーシング内に冷媒回路の構成機器である圧縮機、室外熱交換器及び膨張弁等と共に設けられ、塵埃や雨等の水分の付着を防止するために電装品箱によって覆われている。
【0004】
一方、上記電装品箱内に収容された各種電装品の中にはパワートランジスタやダイオード等の稼働中に高温に発熱する発熱素子があり、該発熱素子に対して何ら対策を講じなければ、該発熱素子が電装品箱内において十分に放熱できないために限界温度を超えて温度上昇し、該発熱素子の故障を招く虞がある。そこで、上記空気調和装置では、電装品箱の表面に、冷媒回路に設けられて冷媒が流通する冷媒冷却器を取り付けて、該冷媒冷却器内を流通する冷媒によって発熱素子を冷却することとしている。
【特許文献1】特開2008−57856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の空気調和装置では、電装品箱における冷媒冷却器の取付位置については何ら言及されていないが、上記電装品箱内に収容された発熱素子を効率よく冷却するためには、該発熱素子と冷媒冷却器とが対向するように、各種電装品が収容された電装品箱と冷媒冷却器との位置を精度良く合わせて両者を固定することが必要となる。
【0006】
しかしながら、冷媒冷却器を電装品箱のどこに取り付けるかによっては該冷媒冷却器と電装品箱との上述のような位置合わせ作業及び固定作業が行い難くなる場合がある。
【0007】
具体的には、例えば、冷媒冷却器を電装品箱の下面に取り付ける場合には、冷媒冷却器よりも大きな電装品箱によって冷媒冷却器が隠れてしまうために該冷媒冷却器の位置が上方から視認できなくなる。そのため、電装品箱と冷媒冷却器とを組付ける際には、作業者が無理な体勢をとって下方から見上げるようにして両者の位置関係を確認しなければならず、その位置合わせ作業及び固定作業が困難となる虞があった。
【0008】
また、冷媒冷却器を電装品箱の側面に取り付ける場合には、上方から冷媒冷却器を覗き見ることはできるものの、上方から覗き見るだけでは、両者の上下方向の位置関係を容易に把握できない。そのため、冷媒冷却器と電装品箱との位置を正確に合わせるには、これらの側方からその位置関係及び固定部分を覗き見なければならず、やはり位置合わせ作業及び固定作業が困難となる虞があった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷凍装置に関し、各種電装品が収容された電装品箱と冷媒冷却器との組立性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、該冷媒回路(10)の構成機器を制御する電装品が収容された電装品箱(51)と、該電装品箱(51)に取り付けられ、上記冷媒回路(10)を流れる冷媒が流通して上記電装品のうちの少なくとも発熱素子(72)を冷却する冷媒冷却器(81)とを備えた冷凍装置であって、上記冷媒冷却器(81)は、上記電装品箱(51)の上面に取り付けられている。
【0011】
第1の発明では、冷媒冷却器(81)を電装品箱(51)の上面に取り付けることとしたことにより、冷媒冷却器(81)が電装品箱(51)の上側に配置される。そのため、作業者は、冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)との位置関係を上方から視認しながら両者の位置合わせ作業及び固定作業を行うことができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記電装品箱(51)の上面には、上記冷媒冷却器(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)が設けられている。
【0013】
ところで、冷凍装置の運転状態によっては、冷媒冷却器(81)の内部を流通する冷媒の温度が該冷媒冷却器(81)の周辺の空気の露点温度を下回り、該冷媒冷却器(81)において結露が生起する虞がある。また、結露が多量に発生すると、電装品箱(51)の上面から溢れて下方に落下して下方に配置された機器や電気配線等に付着する虞がある。
【0014】
そこで、第2の発明では、電装品箱(51)の上面に、冷媒冷却器(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を設けることとした。これにより、冷媒冷却器(81)において生起した結露が電装品箱(51)の上面に至ると、該結露水は規制手段(90)によって四方に流動しないように規制される。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記規制手段(90)は、上記電装品箱(51)の上面の一部又は全部が傾斜してなる傾斜面(91)によって構成されている。
【0016】
第3の発明では、冷媒冷却器(81)が電装品箱(51)の上面に取り付けられているため、冷媒冷却器(81)において生起した結露水は、まず電装品箱(51)の上面に流れ落ちることとなるが、該結露水は、電装品箱(51)の上面の一部又は全部が傾斜してなる傾斜面(91)によって、該傾斜面(91)の下端部に導かれて四方に流動しないように規制される。
【0017】
第4の発明は、第3の発明において、上記冷媒冷却器(81)は、板状に形成されて上記傾斜面(91)に取り付けられている。
【0018】
第4の発明では、冷媒冷却器(81)が傾斜した状態で電装品箱(51)の上面に取り付けられる。これにより、冷媒冷却器(81)において生起した結露水は、該冷媒冷却器(81)の表面において溜まることなく速やかに該表面を傾斜方向の下側に向かって流れて電装品箱(51)の上面の傾斜面(91)に至る。そして、上記結露水は、上記傾斜面(91)によって円滑に所定位置(傾斜面(91)の下端部)に導かれる。
【0019】
第5の発明は、第3の発明において、上記冷媒冷却器(81)は、板状に形成され、上記電装品箱(51)の上面において上記傾斜面(91)に取り囲まれるように形成された水平面に取り付けられている。
【0020】
第5の発明では、冷媒冷却器(81)を電装品箱(51)の上面の水平面部分に取り付けることにより、冷媒冷却器(81)は水平姿勢を保った状態で電装品箱(51)の上面に取り付けられる。
【0021】
第6の発明は、第3乃至5のいずれか1つの発明において、上記冷媒回路(10)の少なくとも熱源側熱交換器(12)が配置された熱交換室(33)と、上記冷媒回路(10)の少なくとも圧縮機(11)が配置された機械室(34)とに内部空間が区画された熱源側ケーシング(31)を備え、上記電装品箱(51)は、上記熱源側ケーシング(31)内において、上記傾斜面(91)によって上記結露水が上記熱交換室(33)に導かれるように設けられている。
【0022】
第6の発明では、冷媒冷却器(81)において生起した結露水は、電装品箱(51)の上面に形成された傾斜面(91)によって熱源側ケーシング(31)の熱交換室(33)に導かれる。そのため、上記結露水が、耐水性の低い部材や機器が比較的多く配置された機械室(34)に浸入しないように規制することができる。
【0023】
第7の発明は、第6の発明において、上記電装品箱(51)は、上記熱源側ケーシング(31)の内部空間を水平方向に並ぶ上記熱交換室(33)と機械室(34)とに仕切る仕切部材(32)の上方に、該熱交換室(33)と機械室(34)とに跨るように設けられ、上記冷媒冷却器(81)は、上記熱交換室(33)側に設けられている。
【0024】
第7の発明では、冷媒冷却器(81)が熱交換室(33)側に設けられているため、該冷媒冷却器(81)において生起した結露水が機械室(34)に浸入し難くなる。
【0025】
第8の発明は、第2の発明において、上記規制手段(90)は、上記電装品箱(51)の上面において上記冷媒冷却器(81)の周囲に形成された溝(93)によって構成されている。
【0026】
第8の発明では、冷媒冷却器(81)において生起した結露水は、まず電装品箱(51)の上面に流れ落ちるが、電装品箱(51)の上面の冷媒冷却器(81)の周囲には溝(93)が形成されているため、結露水は該溝(93)内に捕集され、四方に流動しない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、冷媒冷却器(81)を電装品箱(51)の上面に取り付けることとしたことにより、冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)との位置関係を上方から視認することができる。よって、作業者が無理な体勢(腰を屈めて下方及び側方から固定部分を見上げる姿勢等)をとることなく容易に両者の位置関係を把握することができるため、位置合わせ作業を負担無く容易に行うことができる。また、冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)との固定部分も上方から視認することができるため、固定作業を容易に行うことができる。従って、電装品箱(51)と冷媒冷却器(81)との組立性の向上を図ることができる。
【0028】
また、第2の発明によれば、規制手段(90)を設けたことにより、冷媒冷却器(81)において結露が生起された場合であっても、結露水が四方に流動しないようにその流動を規制することができる。従って、結露水の流動を制御することにより、耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【0029】
また、第3の発明によれば、電装品箱(51)の上面の一部又は全部を傾斜面(91)とすることにより、上記規制手段(90)を容易に構成することができる。
【0030】
また、第4の発明によれば、冷媒冷却器(81)を傾斜した状態で電装品箱(51)の上面に取り付けることにより、冷媒冷却器(81)において生起した結露水を、該冷媒冷却器(81)の表面に溜めることなく円滑に傾斜面(91)の下端部に導くことができる。
【0031】
また、第5の発明によれば、冷媒冷却器(81)が電装品箱(51)の上面において水平に保たれるため、例えばビス等を用いて冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)とを固定する際に、固定作業を容易に行うことができる。よって、冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)との組立性のさらなる向上を図ることができる。
【0032】
また、第6の発明によれば、冷媒冷却器(81)において生起した結露水が、電装品箱(51)の上面に形成された傾斜面(91)によって熱源側ケーシング(31)内の熱交換室(33)に導かれるように電装品箱(51)を配置することによって、該結露水が、耐水性の低い部材や機器が比較的多く配置された機械室(34)に浸入しないように規制することができる。その結果、結露水が、機械室(34)に設けられた圧縮機(11)周りの防音材や電気配線等に付着してこれらの部材等の劣化及び故障を招くことを防止することができる。
【0033】
また、第7の発明によれば、冷媒冷却器(81)を熱交換室(33)側に設けることにより、該冷媒冷却器(81)において生起した結露水の機械室(34)への浸入をより防止することができる。
【0034】
また、第8の発明によれば、電装品箱(51)の上面に溝(93)を形成することにより、結露水を溝(93)内に捕集して該溝(93)以外の箇所に流動しないように規制することができる。これにより、電装品箱(51)の周辺又は下方に配置された耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る冷凍装置の一例として、空気調和装置について説明する。
【0036】
《発明の実施形態1》
−全体構成−
図1に示すように、本発明の実施形態に係る空気調和装置(1)は、室外機(1A)と室内機(1B)とを有し、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えている。該冷媒回路(10)は、圧縮機(11)と室外熱交換器(12)とキャピラリーチューブ(13)と室内熱交換器(14)とが順に冷媒配管によって接続されることにより形成されている。また、冷媒回路(10)は四路切換弁(17)を備え、冷媒循環が可逆に構成されている。
【0037】
圧縮機(11)の吐出側は、高圧ガス管(21)を介して四路切換弁(17)の第1ポート(a)に接続されている。また、四路切換弁(17)の第2ポート(b)には、室外ガス管(22)の一端が接続されている。室外ガス管(22)の他端には、室外熱交換器(12)のガス側端部が接続されている。
【0038】
上記室外熱交換器(12)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。該室外熱交換器(12)には、室外ファン(12a)が近接して配置されている。室外熱交換器(12)の液側端部には、液管(23)の一端が接続されている。液管(23)には、膨張機構としてのキャピラリーチューブ(13)が設けられている。また、液管(23)のキャピラリーチューブ(13)よりも室外熱交換器(12)側には、本発明に係る冷媒冷却器を構成する冷媒ジャケット(81)が設けられている。液管(23)の他端は、室内熱交換器(14)の液側端部に接続されている。
【0039】
上記室内熱交換器(14)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。該室内熱交換器(14)には、室内ファン(14a)が近接して配置されている。室内熱交換器(14)のガス側端部には、ガス連絡管(24)の一端が接続されている。ガス連絡管(24)の他端は、四路切換弁(17)の第4ポート(d)に接続されている。
【0040】
上記四路切換弁(17)は、第1〜第4ポート(a,b,c,d)を備え、第1ポート(a)と第2ポート(b)とを連通させると共に第3ポート(c)と第4ポート(d)とを連通させる第1の状態(図1の実線)と、第1ポート(a)と第4ポート(d)とを連通させると共に第2ポート(b)と第3ポート(c)とを連通させる第2の状態(図1の破線)とに切換可能に構成されている。
【0041】
四路切換弁(17)の第3ポート(c)には、吸入管(25)の一端が接続されている。吸入管(25)の他端は、圧縮機(11)に接続されている。吸入管(25)の中途部には、冷媒中に含まれる液冷媒を除去してガス冷媒のみを圧縮機(11)に吸入させるためのアキュムレータ(15)が設けられている。
【0042】
また、空気調和装置(1)は、上記冷媒回路(10)の構成部品を制御するための各種電装品が組み付けられた電装品ユニット(50)を備えている。以下に詳述するが、冷媒ジャケット(81)は、電装品ユニット(50)の各種電装品(72,73)を覆う電装品箱(51)に取り付けられている。
【0043】
〈室外機の構成〉
図2、図3に示すように、上記室外機(1A)は、筺状のケーシング(31)を備えている。ケーシング(31)内には、上述の冷媒回路(10)の構成部品の一部である圧縮機(11)及び室外熱交換器(12)と、室外ファン(12a)と、複数の電装品(72,73)が組み付けられた電装品ユニット(50)とが収納されている。なお、図2及び図3での図示は省略するが、各種冷媒配管(21,22,23,24,25)、キャピラリーチューブ(13)、四路切換弁(17)及びアキュムレータ(15)もケーシング(31)内に設けられている(図1参照)。
【0044】
図2に示すように、ケーシング(31)内には、室外熱交換器(12)及び室外ファン(12a)が配設された熱交換室(33)と、圧縮機(11)等が配設された機械室(34)とに仕切る仕切部材(32)が設けられている。仕切部材(32)は、ケーシング(31)の前後方向に延びる鉛直板によって形成され、ケーシング(31)の内部空間を水平方向に並ぶ熱交換室(33)と機械室(34)とに仕切っている。
【0045】
上記室外熱交換器(12)は、平面視においてL字状に形成され、ケーシング(31)の熱交換室(33)側の側面及び背面に対向するように設けられている。該室外熱交換器(12)の前側には、上記室外ファン(12a)が設置されている。
【0046】
上記圧縮機(11)は、機械室(34)の下部に設けられている。また、図示は省略しているが、キャピラリーチューブ(13)、四路切換弁(17)及びアキュムレータ(15)等も機械室(34)に設けられている。
【0047】
上記電装品ユニット(50)は、上記仕切部材(32)の上方に設けられ、熱交換室(33)と機械室(34)とに跨るように配置されている。また、上記冷媒ジャケット(81)は、該電装品ユニット(50)の電装品箱(51)の上面の熱交換室(33)側に設けられている。
【0048】
《冷媒ジャケット》
図2〜図4に示すように、上記冷媒ジャケット(81)は、例えば、アルミ等の金属によって厚みのある扁平な板状に形成され、内部に冷媒を流通させるための冷媒流路が形成されている。該冷媒流路は、冷媒配管の一部を挿通させることによって形成されるものであってもよく、管状の貫通孔に冷媒配管が接続されることによって形成されるものであってもよい。本実施形態では、冷媒ジャケット(81)に室外熱交換器(12)とキャピラリーチューブ(13)との間の液管(23)の一部が嵌め込まれることによって上記冷媒流路が形成されている。このような構成により、冷媒ジャケット(81)は、冷媒回路(10)を流れる冷媒を流通可能に構成されている。また、冷媒ジャケット(81)は、アルミ等の金属によって構成されることにより、内部を流通する冷媒の冷熱が外表面まで伝達されるように構成されている。
【0049】
《電装品ユニット》
図3に示すように、電装品ユニット(50)は、複数の電装品(72,73)と、該電装品(72,73)が実装された基板(71)が収納された電装品箱(51)とを備えている。また、電装品箱(51)は、箱本体(53)と、伝熱板(54)とを備えている。
【0050】
上記箱本体(53)は、上板に開口部(52)が形成された横長の筺状体に形成されている。一方、上記伝熱板(54)は、箱本体(53)の上板の開口部(52)を遮蔽するように該箱本体(53)の上面に取り付けられている。このようにして、電装品箱(51)は、略密閉状態に形成されている。
【0051】
なお、ここで言う「略密閉状態」には、電装品箱(51)に塵埃や水分が通過しない程度の通気孔が形成されている場合も含まれる。図3に示すように、本実施形態においても、電装品箱(51)の側壁には、電線等を挿通させるための挿通孔が形成され、該挿通孔には、内外から電線が接続される電線接続部材が設けられている。
【0052】
また、上記伝熱板(54)は、箱本体(53)よりも熱伝導率の高い素材によって形成されている。本実施形態では、箱本体(53)は樹脂製の箱体によって形成される一方、伝熱板(54)はアルミ製の板状体によって形成されている。そして、該伝熱板(54)と箱本体(53)との接合部は、水分の浸入を防ぐため、ゴムやプラスチック等によってシール処理がなされている。
【0053】
電装品箱(51)内に収容された基板(71)には、例えばパワートランジスタやダイオード等のように電力制御や電力変換を行うための素子であって稼動時に高温に発熱するパワー素子(72)やその他の電装品(73)が実装されている。図4に示すように、発熱素子であるパワー素子(72)は、基板(71)の上面に実装される一方、その他の電装品(73)は、基板(71)の下面に実装されている。また、基板(71)は、パワー素子(72)の一部が箱本体(53)の開口部(52)内に位置し、パワー素子(72)の上面が伝熱板(54)の下面と接触するように箱本体(53)に取り付けられている。なお、パワー素子(72)は、熱伝導性グリスを介して伝熱板(54)の下面に取り付けられている。これにより、パワー素子(72)と伝熱板(54)との間における熱伝導が促進される。
【0054】
上記電装品ユニット(50)は、基板(71)に実装されたパワー素子(72)と冷媒ジャケット(81)とが熱交換可能となるように配置されている。具体的には、電装品ユニット(50)は、電装品箱(51)の内部に収容されたパワー素子(72)と冷媒ジャケット(81)とが伝熱板(54)を挟んで対向するように配置されている。つまり、電装品ユニット(50)は、伝熱板(54)の上面が冷媒ジャケット(81)の下面と接触するように設けられている。なお、伝熱板(54)と冷媒ジャケット(81)とは、その接合面に熱伝導性グリスが塗布されてビス(55)によって固定されている。このように電装品ユニット(50)を配置することで、冷媒ジャケット(81)内を流れる冷媒の冷熱が、冷媒ジャケット(81)を介して伝熱板(54)に伝達され、発熱素子であるパワー素子(72)が冷却されることとなる。
【0055】
《規制手段》
ところで、上記空気調和装置(1)の運転状態によっては、冷媒ジャケット(81)の内部を流通する冷媒の温度が該冷媒ジャケット(81)の周辺の空気の露点温度を下回り、該冷媒ジャケット(81)において結露が生起する虞がある。また、結露が多量に発生すると、電装品箱(51)の上面から溢れて下方に落下して下方に配置された圧縮機(11)や電装品箱(51)の側壁に設けられた配線接続部等に付着し、これらの機器を劣化又は故障させてしまう虞がある。
【0056】
そこで、上記電装品ユニット(50)の電装品箱(51)の上面には、上記冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)が設けられている。
【0057】
具体的には、上記規制手段(90)は、電装品箱(51)の上面の一部又は全部が傾斜してなる傾斜面(91)によって構成されている。なお、本実施形態では、図5に示すように、電装品箱(51)の上面全体が後方に向かって下方に傾斜し、上面全体が上記傾斜面(91)を構成している。
【0058】
また、上述のように、冷媒ジャケット(81)は、板状に形成されて電装品箱(51)の上面の一部であって傾斜面(91)の一部を形成する伝熱板(54)に取り付けられている。そのため、冷媒ジャケット(81)も後方に向かって下方に傾斜して配置されている。
【0059】
なお、上述のように、電装品箱(51)の上面の傾斜面(91)は後方に向かって下方に傾斜するように形成される一方、冷媒ジャケット(81)は電装品箱(51)の上面の熱交換室(33)側に設けられている(図3参照)。このように電装品箱(51)が配置されることにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、傾斜面(91)によって後方に導かれ、該電装品箱(51)の上面後端部から下方に落下する。つまり、電装品箱(51)は、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が傾斜面(91)によって熱交換室(33)に導かれるように設けられることとなる。
【0060】
−各種動作−
次に、上記空気調和装置(1)の各種動作を説明する。
【0061】
〈運転動作〉
上記空気調和装置(1)は、四路切換弁(17)を切り換えることにより、冷房運転と暖房運転とを行う。
【0062】
冷房運転では、四路切換弁(17)は第1の状態(図1の実線状態)となり、圧縮機(11)の吐出側と室外熱交換器(12)とが連通し、且つ圧縮機(11)の吸入側と室内熱交換器(14)とが連通する。そして、上記圧縮機(11)及び各ファン(12a,14a)が駆動される。その結果、冷媒は、図1の実線矢印に示す方向に循環し、室外熱交換器(12)が凝縮器、室内熱交換器(14)が蒸発器として機能する蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。
【0063】
一方、暖房運転では、四路切換弁(17)は第2の状態(図1の破線状態)となり、圧縮機(11)の吐出側と室内熱交換器(14)とが連通し、且つ圧縮機(11)の吸入側と室外熱交換器(12)とが連通する。そして、上記圧縮機(11)及び各ファン(12a,14a)が駆動される。その結果、冷媒は、図1の破線矢印に示す方向に循環し、室内熱交換器(14)が凝縮器、室外熱交換器(12)が蒸発器として機能する蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。
【0064】
〈パワー素子の冷却〉
冷媒ジャケット(81)内の冷媒流路には、冷房運転時には、室外熱交換器(12)で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には、室内熱交換器(14)で凝縮した後、キャピラリーチューブ(13)を通過して減圧された冷媒が流れる。冷媒ジャケット(81)を流れる冷媒の温度は、運転条件や外気条件によって異なるが、冷房運転時には例えば50℃程度、暖房運転時には例えば5℃程度になっている。
【0065】
一方、パワー素子(72)は作動時に発熱するため、上記冷媒ジャケット(81)内を流れる冷媒よりも高温となっている。そのため、パワー素子(72)は、伝熱板(54)及び冷媒ジャケット(81)を介して冷媒ジャケット(81)に形成された冷媒流路を流れる冷媒に放熱することによって冷却される。
【0066】
〈結露水の処理〉
上述のように、上記空気調和装置(1)の運転状態によっては、冷媒ジャケット(81)の内部を流通する冷媒の温度が該冷媒ジャケット(81)の周辺の空気の露点温度を下回り、該冷媒ジャケット(81)において結露が生起する虞がある。
【0067】
しかしながら、本空気調和装置(1)では、電装品箱(51)の上面が、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を構成する傾斜面(91)に形成されている。そのため、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、上記傾斜面(91)によって、水分が付着して劣化又は故障する虞のある機器に向かって結露水が流れないようにその流れが規制される。
【0068】
具体的には、本空気調和装置(1)では、板状の冷媒ジャケット(81)は上記傾斜面(91)に設けられて後方に向かって下方に傾斜して配置されている。そのため、該冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、該冷媒ジャケット(81)の傾斜に従って該冷媒ジャケット(81)の上面を後方に向かって流れ、電装品箱(51)の上面に至る。そして、電装品箱(51)の上面に形成された傾斜面(91)の傾斜に従って後方に向かって流れ、電装品箱(51)の後端から熱交換室(33)に流れ落ちる。
【0069】
このようにして、冷媒ジャケット(81)において生起された結露水は、規制手段(90)を構成する電装品箱(51)の上面の傾斜面(91)によって熱交換室(33)に導かれ、水分が付着して劣化又は故障する虞のある機器等が比較的多く設けられた機械室(34)には流れ落ちない。
【0070】
〈冷媒ジャケットと電装品ユニットとの組付動作〉
冷媒ジャケット(81)は、圧縮機(11)、室外熱交換器(12)及び室外ファン(12a)に接続される冷媒配管と共に、電装品ユニット(50)よりも先にケーシング(31)内に配設されている。
【0071】
この状態において、各種電装品(72,73)が実装された基板(71)を予め内部に収容して略密閉状態となるように閉塞された電装品箱(51)を、ケーシング(31)の正面側からからケーシング(31)内に挿入する。このとき、該電装品箱(51)は、冷媒ジャケット(81)の下方において後方に向かって挿入される。
【0072】
次に、電装品ユニット(50)を、電装品箱(51)内のパワー素子(72)が冷媒ジャケット(81)と対向する位置に位置合わせする。なお、上述のように、パワー素子(72)は、その上面が伝熱板(54)の下面と接触するように電装品箱(51)内に設けられている。そのため、伝熱板(54)の上面と冷媒ジャケット(81)の下面とが当接するように電装品箱(51)の位置を合わせることにより、パワー素子(72)は伝熱板(54)を挟んで冷媒ジャケット(81)と対向すると共に冷媒ジャケット(81)の冷媒流路を流通する冷媒と熱交換可能に配置されることとなる。
【0073】
なお、上述したように、電装品箱(51)は、冷媒ジャケット(81)の下方に配置されるため、電装品箱(51)によって冷媒ジャケット(81)が隠されてしまうことがなく、作業者は、上方から冷媒ジャケット(81)の位置を視認しつつ上記位置合わせ作業を行うことができる。
【0074】
そして、パワー素子(72)が冷媒ジャケット(81)と対向する位置に電装品箱(51)を位置合わせした状態において、電装品箱(51)と冷媒ジャケット(81)とをビス(55)によって固定する。なお、このときも、冷媒ジャケット(81)が電装品箱(51)の上方にあるため、作業者は、冷媒ジャケット(81)に形成されたビス穴を上方から視認しつつ上記ビス(55)を締結することができる。
【0075】
−実施形態1の効果−
以上より、本実施形態によれば、冷媒ジャケット(81)を電装品箱(51)の上面に取り付けることとしたことにより、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との組付け作業において、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との位置関係を上方から視認することができる。よって、作業者が無理な体勢(腰を屈めて下方及び側方から固定部分を見上げる姿勢等)をとることなく容易に両者の位置関係を把握することができるため、位置合わせ作業を負担無く容易に行うことができる。また、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との固定部分(ビス(55)が締結されるビス穴)も上方から視認することができるため、固定作業を容易に行うことができる。従って、電装品箱(51)と冷媒ジャケット(81)との組立性の向上を図ることができる。
【0076】
また、上述のように空気調和装置(1)の運転状態によっては、冷媒ジャケット(81)の内部を流通する冷媒の温度が該冷媒ジャケット(81)の周辺の空気の露点温度を下回り、該冷媒ジャケット(81)において結露が生起する虞がある。また、結露が多量に発生すると、電装品箱(51)の上面から溢れて下方に落下して下方に配置された機器や電気配線等に付着する虞がある。
【0077】
しかしながら、本空気調和装置(1)では、電装品箱(51)の上面に、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を設けることとした。これにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が電装品箱(51)の上面に至っても、該結露水が四方に流動しないようにその流動を規制することができる。従って、結露水の流動を制御することにより、耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【0078】
また、本空気調和装置(1)では、電装品箱(51)の上面を傾斜面(91)とし、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を該傾斜面(91)によって構成することとした。よって、本空気調和装置(1)によれば、規制手段(90)を容易に構成することができる。
【0079】
なお、本空気調和装置(1)では、板状の冷媒ジャケット(81)を、電装品箱(51)の上面を構成する傾斜面(91)に取り付けて、冷媒ジャケット(81)自体を傾斜させて配置することとした。これにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水を、該冷媒ジャケット(81)の表面において溜まらせることなく速やかに傾斜方向の下側に向かって流動させることができる。従って、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水を、迅速に電装品箱(51)の上面の傾斜面(91)に至らしめてより円滑に傾斜面(91)の下端部に導くことができる。
【0080】
また、本空気調和装置(1)では、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が、電装品箱(51)の上面に形成された傾斜面(91)によってケーシング(31)内の熱交換室(33)に導かれるように電装品箱(51)が設けられている。具体的には、傾斜面(91)の下端であって冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が至る部分(本実施形態では、傾斜面(91)が後方に向かって下方に傾斜しているため、冷媒ジャケット(81)の真後ろの部分)が熱交換室(33)側に位置するように電装品箱(51)が設けられている。これにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、傾斜面(91)によって後方に流れて熱交換室(33)に流れ落ちることとなる。よって、該結露水が機械室(34)に導かれて圧縮機(11)周りの防音材や電気配線等に付着してこれらの劣化及び故障を招くことを防止することができる。
【0081】
さらに、本空気調和装置(1)では、冷媒ジャケット(81)を熱交換室(33)側に設けることしたため、該冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の機械室(34)への浸入をより防止することができる。
【0082】
《発明の実施形態2》
図6及び図7に示すように、実施形態2は、実施形態1において傾斜して配置されていた冷媒ジャケット(81)を水平に配置したものである。
【0083】
具体的には、実施形態1では、電装品箱(51)の上面全面を傾斜面(91)に形成していたところ、実施形態2では、電装品箱(51)の上面の伝熱板(54)及びその周辺部(56)が水平に形成されている。なお、該伝熱板(54)及びその周辺部(56)は、角度は異なるがいずれも後方に向かって下方に傾斜する4つの傾斜面(91)に取り囲まれるように形成されている。このように形成することにより、板状の冷媒ジャケット(81)が取り付けられる伝熱板(54)の上面は水平面に形成されるため、冷媒ジャケット(81)は、水平姿勢を保った状態で電装品箱(51)の上面に取り付けられることとなる。
【0084】
以上により、実施形態2によっても、冷媒ジャケット(81)は電装品箱(51)の上面に取り付けられるため、両者の位置合わせ作業及び固定作業が容易になり、これらの組付け作業を容易化することができる。
【0085】
また、実施形態2によれば、冷媒ジャケット(81)が電装品箱(51)の上面において水平に保たれるため、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)とを固定する際に、ビス(55)を真上から締結することができる。これにより、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との固定作業をより容易に行うことができ、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との組立性のさらなる向上を図ることができる。
【0086】
また、実施形態2によっても、規制手段(90)を構成する4つの傾斜面(91)によって、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は速やかに所定位置に導かれるため、該結露水が四方に流動しないようにその流動を規制することができる。
【0087】
《発明の実施形態3》
図8及び図9に示すように、実施形態3は、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を、実施形態1及び実施形態2のような傾斜面(91)でなく、電装品箱(51)の上面に形成した溝(93)によって構成したものである。
【0088】
具体的には、電装品箱(51)の上面は水平面によって形成し、伝熱板(54)の周囲に該伝熱板(54)を取り囲み2つの端部が電装品箱(51)の後端に形成されたコ字状の溝(93)を形成し、該溝(93)の底面(93a)を後方に向かって下方に傾斜させている。
【0089】
このように形成することにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、電装品箱(51)の上面に形成された溝(93)の内部に流れ込み、該溝(93)の底面(93a)の傾斜に従って電装品箱(51)の後方に導かれ、やがて溝(93)の端部から熱交換室(33)内に落下する。
【0090】
以上により、実施形態3によれば、電装品箱(51)の上面に溝(93)を形成することにより、結露水を溝(93)内に捕集して該溝(93)以外の箇所に流動しないように規制することができる。また、上記溝(93)を、底面(93a)が後方に向かって傾斜するように形成したことにより、冷媒ジャケット(81)において生起されて溝(93)内に流れ込んだ結露水を、該溝(93)の底面(93a)の傾斜に従って速やかに後方に流動させて熱交換室(33)内に落下させることができる。従って、実施形態3によっても、電装品箱(51)の周辺又は下方に配置された耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【0091】
《発明の実施形態4》
図10及び図11に示すように、実施形態4は、実施形態3の規制手段(90)を構成する溝(93)を、環状に形成すると共に底面を平坦に形成したものである。
【0092】
このように形成することにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、電装品箱(51)の上面に形成された環状の溝(93)の内部に流れ込み、該環状の溝(93)内に捕集される。なお、実施形態3と異なり、該環状の溝(93)の底面は傾斜面によって構成されていないため、該環状の溝(93)内に捕集された結露水は流動しない。しかしながら、電装品箱(51)の上面の表面温度は、内部に収容されたパワー素子(72)の発熱によって冷媒ジャケット(81)の表面温度よりも高くなるため、該環状の溝(93)内に捕集された結露水は、電装品箱(51)の熱を吸収してやがて蒸発することとなる。
【0093】
以上により、実施形態4によっても、電装品箱(51)の上面の冷媒ジャケット(81)の周囲に環状の溝(93)を形成することにより、結露水を該環状の溝(93)内に捕集して該溝(93)以外の箇所に流動しないように規制することができる。従って、電装品箱(51)の周辺又は下方に配置された耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【0094】
《その他の実施形態》
上記各実施形態は、以下のように構成してもよい。
【0095】
上記実施形態1及び実施形態2では、傾斜面(91)は、後方に向かって下方に傾斜するように形成されていたが、傾斜面(91)の傾斜方向はこれに限られない。該傾斜面(91)によって、冷媒ジャケット(81)で生起された結露水の流動方向を耐水性の低い機器に降りかからないように規制することができればいかなる方向に傾斜していていもよい。例えば、機械室(34)側から熱交換室(33)に向かって下方に傾斜するように形成されていてもよい。
【0096】
上記実施形態3及び実施形態4では、溝(93)は、コ字状又は環状に形成されていたが、溝(93)の形状はこれに限られない。冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が電装品箱(51)の上面において耐水性の低い機器等が配置された方向に流動しないように、該溝(93)によって捕集できるように構成されていればいかなる形状であってもよい。
【0097】
また、実施形態3では、コ字状の溝(93)の底面(93a)の傾斜によって結露水が後方に導かれるように形成されていたが、コ字状の溝(93)の向きはこれに限定されない。例えば、該溝(93)の2つの端部が電装品箱(51)の熱交換室(33)側の端部に位置するように形成すると共に、該溝(93)の底面(93a)を機械室(34)側から熱交換室(33)側に向かって下方に傾斜させて、溝(93)の底面(93a)によって該溝(93)内に捕集された結露水が側方に導かれて熱交換室(33)内に落下するように溝(93)を形成してもよい。
【0098】
また、上記各実施形態では、冷媒ジャケット(81)は、冷媒回路(10)の室外熱交換器(12)と室内熱交換器(14)との間の液管(23)のキャピラリーチューブ(13)よりも室外熱交換器(12)側に接続されていた。しかしながら、冷媒ジャケット(81)の接続位置は上述のものに限られず、液管(23)のキャピラリーチューブ(13)の室内熱交換器(14)側に設けられていてもよく、吸入管(25)に設けられていてもよい。
【0099】
さらに、上記各実施形態では、冷媒回路(10)は四路切換弁(17)を備え、冷媒循環が可逆に構成されていたが、冷媒ジャケット(81)が設けられる冷媒回路(10)はこれに限定されず、例えば、冷媒循環が可逆に構成されていなくてもよく、室外熱交換器(12)や室内熱交換器(14)を複数台備えたものであってもよい。
【0100】
また、上記各実施形態では、本発明に係る冷凍装置の一例として空気調和装置(1)について説明したが、本発明に係る冷凍装置はこれに限られない。例えば、冷蔵庫内や冷凍庫内を冷却する冷凍装置であってもよい。
【0101】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上説明したように、本発明は、発熱素子を含む各種電装品が収容された電装品箱と発熱素子を冷却する冷媒冷却器とを備えた冷凍装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係る空気調和装置の構成を示す配管系統図である。
【図2】図2は、実施形態1の空気調和装置の室外機を模式的に示す平面図である。
【図3】図3は、実施形態1の空気調和装置の室外機を模式的に示す正面断面図である。
【図4】図4は、図3の冷媒ジャケットの取付部分周辺の拡大図である。
【図5】図5は、図2のV−V断面図である。
【図6】図6は、実施形態2の冷媒ジャケット及び電装品箱の平面図である。
【図7】図7は、実施形態2の冷媒ジャケット及び電装品箱の側面図である。
【図8】図8は、実施形態3の冷媒ジャケット及び電装品箱の平面図である。
【図9】図9は、実施形態3の冷媒ジャケット及び電装品箱の側面図である。
【図10】図10は、実施形態4の冷媒ジャケット及び電装品箱の平面図である。
【図11】図11は、実施形態4の冷媒ジャケット及び電装品箱の側面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 空気調和装置(冷凍装置)
10 冷媒回路
11 圧縮機
12 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
31 ケーシング(熱源側ケーシング)
32 仕切部材
33 熱交換室
34 機械室
51 電装品箱
55 ビス
72 パワー素子(電装品)
73 電装品
81 冷媒ジャケット(冷媒冷却器)
90 規制手段
91 傾斜面
93 溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関し、特に、発熱素子を含む各種電装品が電装品箱に収容された電装品ユニットと発熱素子を冷却する冷媒冷却器とを備えた冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置は、空気調和装置等や給湯機等に広く適用されている。通常、冷凍装置は、上記冷媒回路の他、該冷媒回路の構成機器を制御するための各種電装品を備えている。
【0003】
特許文献1には、上記冷凍装置の一例としての空気調和装置が開示されている。該空気調和装置では、上述のような各種電装品は、室外ケーシング内に冷媒回路の構成機器である圧縮機、室外熱交換器及び膨張弁等と共に設けられ、塵埃や雨等の水分の付着を防止するために電装品箱によって覆われている。
【0004】
一方、上記電装品箱内に収容された各種電装品の中にはパワートランジスタやダイオード等の稼働中に高温に発熱する発熱素子があり、該発熱素子に対して何ら対策を講じなければ、該発熱素子が電装品箱内において十分に放熱できないために限界温度を超えて温度上昇し、該発熱素子の故障を招く虞がある。そこで、上記空気調和装置では、電装品箱の表面に、冷媒回路に設けられて冷媒が流通する冷媒冷却器を取り付けて、該冷媒冷却器内を流通する冷媒によって発熱素子を冷却することとしている。
【特許文献1】特開2008−57856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の空気調和装置では、電装品箱における冷媒冷却器の取付位置については何ら言及されていないが、上記電装品箱内に収容された発熱素子を効率よく冷却するためには、該発熱素子と冷媒冷却器とが対向するように、各種電装品が収容された電装品箱と冷媒冷却器との位置を精度良く合わせて両者を固定することが必要となる。
【0006】
しかしながら、冷媒冷却器を電装品箱のどこに取り付けるかによっては該冷媒冷却器と電装品箱との上述のような位置合わせ作業及び固定作業が行い難くなる場合がある。
【0007】
具体的には、例えば、冷媒冷却器を電装品箱の下面に取り付ける場合には、冷媒冷却器よりも大きな電装品箱によって冷媒冷却器が隠れてしまうために該冷媒冷却器の位置が上方から視認できなくなる。そのため、電装品箱と冷媒冷却器とを組付ける際には、作業者が無理な体勢をとって下方から見上げるようにして両者の位置関係を確認しなければならず、その位置合わせ作業及び固定作業が困難となる虞があった。
【0008】
また、冷媒冷却器を電装品箱の側面に取り付ける場合には、上方から冷媒冷却器を覗き見ることはできるものの、上方から覗き見るだけでは、両者の上下方向の位置関係を容易に把握できない。そのため、冷媒冷却器と電装品箱との位置を正確に合わせるには、これらの側方からその位置関係及び固定部分を覗き見なければならず、やはり位置合わせ作業及び固定作業が困難となる虞があった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷凍装置に関し、各種電装品が収容された電装品箱と冷媒冷却器との組立性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、該冷媒回路(10)の構成機器を制御する電装品が収容された電装品箱(51)と、該電装品箱(51)に取り付けられ、上記冷媒回路(10)を流れる冷媒が流通して上記電装品のうちの少なくとも発熱素子(72)を冷却する冷媒冷却器(81)とを備えた冷凍装置であって、上記冷媒冷却器(81)は、上記電装品箱(51)の上面に取り付けられている。
【0011】
第1の発明では、冷媒冷却器(81)を電装品箱(51)の上面に取り付けることとしたことにより、冷媒冷却器(81)が電装品箱(51)の上側に配置される。そのため、作業者は、冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)との位置関係を上方から視認しながら両者の位置合わせ作業及び固定作業を行うことができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記電装品箱(51)の上面には、上記冷媒冷却器(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)が設けられている。
【0013】
ところで、冷凍装置の運転状態によっては、冷媒冷却器(81)の内部を流通する冷媒の温度が該冷媒冷却器(81)の周辺の空気の露点温度を下回り、該冷媒冷却器(81)において結露が生起する虞がある。また、結露が多量に発生すると、電装品箱(51)の上面から溢れて下方に落下して下方に配置された機器や電気配線等に付着する虞がある。
【0014】
そこで、第2の発明では、電装品箱(51)の上面に、冷媒冷却器(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を設けることとした。これにより、冷媒冷却器(81)において生起した結露が電装品箱(51)の上面に至ると、該結露水は規制手段(90)によって四方に流動しないように規制される。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記規制手段(90)は、上記電装品箱(51)の上面の一部又は全部が傾斜してなる傾斜面(91)によって構成されている。
【0016】
第3の発明では、冷媒冷却器(81)が電装品箱(51)の上面に取り付けられているため、冷媒冷却器(81)において生起した結露水は、まず電装品箱(51)の上面に流れ落ちることとなるが、該結露水は、電装品箱(51)の上面の一部又は全部が傾斜してなる傾斜面(91)によって、該傾斜面(91)の下端部に導かれて四方に流動しないように規制される。
【0017】
第4の発明は、第3の発明において、上記冷媒冷却器(81)は、板状に形成されて上記傾斜面(91)に取り付けられている。
【0018】
第4の発明では、冷媒冷却器(81)が傾斜した状態で電装品箱(51)の上面に取り付けられる。これにより、冷媒冷却器(81)において生起した結露水は、該冷媒冷却器(81)の表面において溜まることなく速やかに該表面を傾斜方向の下側に向かって流れて電装品箱(51)の上面の傾斜面(91)に至る。そして、上記結露水は、上記傾斜面(91)によって円滑に所定位置(傾斜面(91)の下端部)に導かれる。
【0019】
第5の発明は、第3の発明において、上記冷媒冷却器(81)は、板状に形成され、上記電装品箱(51)の上面において上記傾斜面(91)に取り囲まれるように形成された水平面に取り付けられている。
【0020】
第5の発明では、冷媒冷却器(81)を電装品箱(51)の上面の水平面部分に取り付けることにより、冷媒冷却器(81)は水平姿勢を保った状態で電装品箱(51)の上面に取り付けられる。
【0021】
第6の発明は、第3乃至5のいずれか1つの発明において、上記冷媒回路(10)の少なくとも熱源側熱交換器(12)が配置された熱交換室(33)と、上記冷媒回路(10)の少なくとも圧縮機(11)が配置された機械室(34)とに内部空間が区画された熱源側ケーシング(31)を備え、上記電装品箱(51)は、上記熱源側ケーシング(31)内において、上記傾斜面(91)によって上記結露水が上記熱交換室(33)に導かれるように設けられている。
【0022】
第6の発明では、冷媒冷却器(81)において生起した結露水は、電装品箱(51)の上面に形成された傾斜面(91)によって熱源側ケーシング(31)の熱交換室(33)に導かれる。そのため、上記結露水が、耐水性の低い部材や機器が比較的多く配置された機械室(34)に浸入しないように規制することができる。
【0023】
第7の発明は、第6の発明において、上記電装品箱(51)は、上記熱源側ケーシング(31)の内部空間を水平方向に並ぶ上記熱交換室(33)と機械室(34)とに仕切る仕切部材(32)の上方に、該熱交換室(33)と機械室(34)とに跨るように設けられ、上記冷媒冷却器(81)は、上記熱交換室(33)側に設けられている。
【0024】
第7の発明では、冷媒冷却器(81)が熱交換室(33)側に設けられているため、該冷媒冷却器(81)において生起した結露水が機械室(34)に浸入し難くなる。
【0025】
第8の発明は、第2の発明において、上記規制手段(90)は、上記電装品箱(51)の上面において上記冷媒冷却器(81)の周囲に形成された溝(93)によって構成されている。
【0026】
第8の発明では、冷媒冷却器(81)において生起した結露水は、まず電装品箱(51)の上面に流れ落ちるが、電装品箱(51)の上面の冷媒冷却器(81)の周囲には溝(93)が形成されているため、結露水は該溝(93)内に捕集され、四方に流動しない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、冷媒冷却器(81)を電装品箱(51)の上面に取り付けることとしたことにより、冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)との位置関係を上方から視認することができる。よって、作業者が無理な体勢(腰を屈めて下方及び側方から固定部分を見上げる姿勢等)をとることなく容易に両者の位置関係を把握することができるため、位置合わせ作業を負担無く容易に行うことができる。また、冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)との固定部分も上方から視認することができるため、固定作業を容易に行うことができる。従って、電装品箱(51)と冷媒冷却器(81)との組立性の向上を図ることができる。
【0028】
また、第2の発明によれば、規制手段(90)を設けたことにより、冷媒冷却器(81)において結露が生起された場合であっても、結露水が四方に流動しないようにその流動を規制することができる。従って、結露水の流動を制御することにより、耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【0029】
また、第3の発明によれば、電装品箱(51)の上面の一部又は全部を傾斜面(91)とすることにより、上記規制手段(90)を容易に構成することができる。
【0030】
また、第4の発明によれば、冷媒冷却器(81)を傾斜した状態で電装品箱(51)の上面に取り付けることにより、冷媒冷却器(81)において生起した結露水を、該冷媒冷却器(81)の表面に溜めることなく円滑に傾斜面(91)の下端部に導くことができる。
【0031】
また、第5の発明によれば、冷媒冷却器(81)が電装品箱(51)の上面において水平に保たれるため、例えばビス等を用いて冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)とを固定する際に、固定作業を容易に行うことができる。よって、冷媒冷却器(81)と電装品箱(51)との組立性のさらなる向上を図ることができる。
【0032】
また、第6の発明によれば、冷媒冷却器(81)において生起した結露水が、電装品箱(51)の上面に形成された傾斜面(91)によって熱源側ケーシング(31)内の熱交換室(33)に導かれるように電装品箱(51)を配置することによって、該結露水が、耐水性の低い部材や機器が比較的多く配置された機械室(34)に浸入しないように規制することができる。その結果、結露水が、機械室(34)に設けられた圧縮機(11)周りの防音材や電気配線等に付着してこれらの部材等の劣化及び故障を招くことを防止することができる。
【0033】
また、第7の発明によれば、冷媒冷却器(81)を熱交換室(33)側に設けることにより、該冷媒冷却器(81)において生起した結露水の機械室(34)への浸入をより防止することができる。
【0034】
また、第8の発明によれば、電装品箱(51)の上面に溝(93)を形成することにより、結露水を溝(93)内に捕集して該溝(93)以外の箇所に流動しないように規制することができる。これにより、電装品箱(51)の周辺又は下方に配置された耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る冷凍装置の一例として、空気調和装置について説明する。
【0036】
《発明の実施形態1》
−全体構成−
図1に示すように、本発明の実施形態に係る空気調和装置(1)は、室外機(1A)と室内機(1B)とを有し、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えている。該冷媒回路(10)は、圧縮機(11)と室外熱交換器(12)とキャピラリーチューブ(13)と室内熱交換器(14)とが順に冷媒配管によって接続されることにより形成されている。また、冷媒回路(10)は四路切換弁(17)を備え、冷媒循環が可逆に構成されている。
【0037】
圧縮機(11)の吐出側は、高圧ガス管(21)を介して四路切換弁(17)の第1ポート(a)に接続されている。また、四路切換弁(17)の第2ポート(b)には、室外ガス管(22)の一端が接続されている。室外ガス管(22)の他端には、室外熱交換器(12)のガス側端部が接続されている。
【0038】
上記室外熱交換器(12)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。該室外熱交換器(12)には、室外ファン(12a)が近接して配置されている。室外熱交換器(12)の液側端部には、液管(23)の一端が接続されている。液管(23)には、膨張機構としてのキャピラリーチューブ(13)が設けられている。また、液管(23)のキャピラリーチューブ(13)よりも室外熱交換器(12)側には、本発明に係る冷媒冷却器を構成する冷媒ジャケット(81)が設けられている。液管(23)の他端は、室内熱交換器(14)の液側端部に接続されている。
【0039】
上記室内熱交換器(14)は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。該室内熱交換器(14)には、室内ファン(14a)が近接して配置されている。室内熱交換器(14)のガス側端部には、ガス連絡管(24)の一端が接続されている。ガス連絡管(24)の他端は、四路切換弁(17)の第4ポート(d)に接続されている。
【0040】
上記四路切換弁(17)は、第1〜第4ポート(a,b,c,d)を備え、第1ポート(a)と第2ポート(b)とを連通させると共に第3ポート(c)と第4ポート(d)とを連通させる第1の状態(図1の実線)と、第1ポート(a)と第4ポート(d)とを連通させると共に第2ポート(b)と第3ポート(c)とを連通させる第2の状態(図1の破線)とに切換可能に構成されている。
【0041】
四路切換弁(17)の第3ポート(c)には、吸入管(25)の一端が接続されている。吸入管(25)の他端は、圧縮機(11)に接続されている。吸入管(25)の中途部には、冷媒中に含まれる液冷媒を除去してガス冷媒のみを圧縮機(11)に吸入させるためのアキュムレータ(15)が設けられている。
【0042】
また、空気調和装置(1)は、上記冷媒回路(10)の構成部品を制御するための各種電装品が組み付けられた電装品ユニット(50)を備えている。以下に詳述するが、冷媒ジャケット(81)は、電装品ユニット(50)の各種電装品(72,73)を覆う電装品箱(51)に取り付けられている。
【0043】
〈室外機の構成〉
図2、図3に示すように、上記室外機(1A)は、筺状のケーシング(31)を備えている。ケーシング(31)内には、上述の冷媒回路(10)の構成部品の一部である圧縮機(11)及び室外熱交換器(12)と、室外ファン(12a)と、複数の電装品(72,73)が組み付けられた電装品ユニット(50)とが収納されている。なお、図2及び図3での図示は省略するが、各種冷媒配管(21,22,23,24,25)、キャピラリーチューブ(13)、四路切換弁(17)及びアキュムレータ(15)もケーシング(31)内に設けられている(図1参照)。
【0044】
図2に示すように、ケーシング(31)内には、室外熱交換器(12)及び室外ファン(12a)が配設された熱交換室(33)と、圧縮機(11)等が配設された機械室(34)とに仕切る仕切部材(32)が設けられている。仕切部材(32)は、ケーシング(31)の前後方向に延びる鉛直板によって形成され、ケーシング(31)の内部空間を水平方向に並ぶ熱交換室(33)と機械室(34)とに仕切っている。
【0045】
上記室外熱交換器(12)は、平面視においてL字状に形成され、ケーシング(31)の熱交換室(33)側の側面及び背面に対向するように設けられている。該室外熱交換器(12)の前側には、上記室外ファン(12a)が設置されている。
【0046】
上記圧縮機(11)は、機械室(34)の下部に設けられている。また、図示は省略しているが、キャピラリーチューブ(13)、四路切換弁(17)及びアキュムレータ(15)等も機械室(34)に設けられている。
【0047】
上記電装品ユニット(50)は、上記仕切部材(32)の上方に設けられ、熱交換室(33)と機械室(34)とに跨るように配置されている。また、上記冷媒ジャケット(81)は、該電装品ユニット(50)の電装品箱(51)の上面の熱交換室(33)側に設けられている。
【0048】
《冷媒ジャケット》
図2〜図4に示すように、上記冷媒ジャケット(81)は、例えば、アルミ等の金属によって厚みのある扁平な板状に形成され、内部に冷媒を流通させるための冷媒流路が形成されている。該冷媒流路は、冷媒配管の一部を挿通させることによって形成されるものであってもよく、管状の貫通孔に冷媒配管が接続されることによって形成されるものであってもよい。本実施形態では、冷媒ジャケット(81)に室外熱交換器(12)とキャピラリーチューブ(13)との間の液管(23)の一部が嵌め込まれることによって上記冷媒流路が形成されている。このような構成により、冷媒ジャケット(81)は、冷媒回路(10)を流れる冷媒を流通可能に構成されている。また、冷媒ジャケット(81)は、アルミ等の金属によって構成されることにより、内部を流通する冷媒の冷熱が外表面まで伝達されるように構成されている。
【0049】
《電装品ユニット》
図3に示すように、電装品ユニット(50)は、複数の電装品(72,73)と、該電装品(72,73)が実装された基板(71)が収納された電装品箱(51)とを備えている。また、電装品箱(51)は、箱本体(53)と、伝熱板(54)とを備えている。
【0050】
上記箱本体(53)は、上板に開口部(52)が形成された横長の筺状体に形成されている。一方、上記伝熱板(54)は、箱本体(53)の上板の開口部(52)を遮蔽するように該箱本体(53)の上面に取り付けられている。このようにして、電装品箱(51)は、略密閉状態に形成されている。
【0051】
なお、ここで言う「略密閉状態」には、電装品箱(51)に塵埃や水分が通過しない程度の通気孔が形成されている場合も含まれる。図3に示すように、本実施形態においても、電装品箱(51)の側壁には、電線等を挿通させるための挿通孔が形成され、該挿通孔には、内外から電線が接続される電線接続部材が設けられている。
【0052】
また、上記伝熱板(54)は、箱本体(53)よりも熱伝導率の高い素材によって形成されている。本実施形態では、箱本体(53)は樹脂製の箱体によって形成される一方、伝熱板(54)はアルミ製の板状体によって形成されている。そして、該伝熱板(54)と箱本体(53)との接合部は、水分の浸入を防ぐため、ゴムやプラスチック等によってシール処理がなされている。
【0053】
電装品箱(51)内に収容された基板(71)には、例えばパワートランジスタやダイオード等のように電力制御や電力変換を行うための素子であって稼動時に高温に発熱するパワー素子(72)やその他の電装品(73)が実装されている。図4に示すように、発熱素子であるパワー素子(72)は、基板(71)の上面に実装される一方、その他の電装品(73)は、基板(71)の下面に実装されている。また、基板(71)は、パワー素子(72)の一部が箱本体(53)の開口部(52)内に位置し、パワー素子(72)の上面が伝熱板(54)の下面と接触するように箱本体(53)に取り付けられている。なお、パワー素子(72)は、熱伝導性グリスを介して伝熱板(54)の下面に取り付けられている。これにより、パワー素子(72)と伝熱板(54)との間における熱伝導が促進される。
【0054】
上記電装品ユニット(50)は、基板(71)に実装されたパワー素子(72)と冷媒ジャケット(81)とが熱交換可能となるように配置されている。具体的には、電装品ユニット(50)は、電装品箱(51)の内部に収容されたパワー素子(72)と冷媒ジャケット(81)とが伝熱板(54)を挟んで対向するように配置されている。つまり、電装品ユニット(50)は、伝熱板(54)の上面が冷媒ジャケット(81)の下面と接触するように設けられている。なお、伝熱板(54)と冷媒ジャケット(81)とは、その接合面に熱伝導性グリスが塗布されてビス(55)によって固定されている。このように電装品ユニット(50)を配置することで、冷媒ジャケット(81)内を流れる冷媒の冷熱が、冷媒ジャケット(81)を介して伝熱板(54)に伝達され、発熱素子であるパワー素子(72)が冷却されることとなる。
【0055】
《規制手段》
ところで、上記空気調和装置(1)の運転状態によっては、冷媒ジャケット(81)の内部を流通する冷媒の温度が該冷媒ジャケット(81)の周辺の空気の露点温度を下回り、該冷媒ジャケット(81)において結露が生起する虞がある。また、結露が多量に発生すると、電装品箱(51)の上面から溢れて下方に落下して下方に配置された圧縮機(11)や電装品箱(51)の側壁に設けられた配線接続部等に付着し、これらの機器を劣化又は故障させてしまう虞がある。
【0056】
そこで、上記電装品ユニット(50)の電装品箱(51)の上面には、上記冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)が設けられている。
【0057】
具体的には、上記規制手段(90)は、電装品箱(51)の上面の一部又は全部が傾斜してなる傾斜面(91)によって構成されている。なお、本実施形態では、図5に示すように、電装品箱(51)の上面全体が後方に向かって下方に傾斜し、上面全体が上記傾斜面(91)を構成している。
【0058】
また、上述のように、冷媒ジャケット(81)は、板状に形成されて電装品箱(51)の上面の一部であって傾斜面(91)の一部を形成する伝熱板(54)に取り付けられている。そのため、冷媒ジャケット(81)も後方に向かって下方に傾斜して配置されている。
【0059】
なお、上述のように、電装品箱(51)の上面の傾斜面(91)は後方に向かって下方に傾斜するように形成される一方、冷媒ジャケット(81)は電装品箱(51)の上面の熱交換室(33)側に設けられている(図3参照)。このように電装品箱(51)が配置されることにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、傾斜面(91)によって後方に導かれ、該電装品箱(51)の上面後端部から下方に落下する。つまり、電装品箱(51)は、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が傾斜面(91)によって熱交換室(33)に導かれるように設けられることとなる。
【0060】
−各種動作−
次に、上記空気調和装置(1)の各種動作を説明する。
【0061】
〈運転動作〉
上記空気調和装置(1)は、四路切換弁(17)を切り換えることにより、冷房運転と暖房運転とを行う。
【0062】
冷房運転では、四路切換弁(17)は第1の状態(図1の実線状態)となり、圧縮機(11)の吐出側と室外熱交換器(12)とが連通し、且つ圧縮機(11)の吸入側と室内熱交換器(14)とが連通する。そして、上記圧縮機(11)及び各ファン(12a,14a)が駆動される。その結果、冷媒は、図1の実線矢印に示す方向に循環し、室外熱交換器(12)が凝縮器、室内熱交換器(14)が蒸発器として機能する蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。
【0063】
一方、暖房運転では、四路切換弁(17)は第2の状態(図1の破線状態)となり、圧縮機(11)の吐出側と室内熱交換器(14)とが連通し、且つ圧縮機(11)の吸入側と室外熱交換器(12)とが連通する。そして、上記圧縮機(11)及び各ファン(12a,14a)が駆動される。その結果、冷媒は、図1の破線矢印に示す方向に循環し、室内熱交換器(14)が凝縮器、室外熱交換器(12)が蒸発器として機能する蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。
【0064】
〈パワー素子の冷却〉
冷媒ジャケット(81)内の冷媒流路には、冷房運転時には、室外熱交換器(12)で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には、室内熱交換器(14)で凝縮した後、キャピラリーチューブ(13)を通過して減圧された冷媒が流れる。冷媒ジャケット(81)を流れる冷媒の温度は、運転条件や外気条件によって異なるが、冷房運転時には例えば50℃程度、暖房運転時には例えば5℃程度になっている。
【0065】
一方、パワー素子(72)は作動時に発熱するため、上記冷媒ジャケット(81)内を流れる冷媒よりも高温となっている。そのため、パワー素子(72)は、伝熱板(54)及び冷媒ジャケット(81)を介して冷媒ジャケット(81)に形成された冷媒流路を流れる冷媒に放熱することによって冷却される。
【0066】
〈結露水の処理〉
上述のように、上記空気調和装置(1)の運転状態によっては、冷媒ジャケット(81)の内部を流通する冷媒の温度が該冷媒ジャケット(81)の周辺の空気の露点温度を下回り、該冷媒ジャケット(81)において結露が生起する虞がある。
【0067】
しかしながら、本空気調和装置(1)では、電装品箱(51)の上面が、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を構成する傾斜面(91)に形成されている。そのため、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、上記傾斜面(91)によって、水分が付着して劣化又は故障する虞のある機器に向かって結露水が流れないようにその流れが規制される。
【0068】
具体的には、本空気調和装置(1)では、板状の冷媒ジャケット(81)は上記傾斜面(91)に設けられて後方に向かって下方に傾斜して配置されている。そのため、該冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、該冷媒ジャケット(81)の傾斜に従って該冷媒ジャケット(81)の上面を後方に向かって流れ、電装品箱(51)の上面に至る。そして、電装品箱(51)の上面に形成された傾斜面(91)の傾斜に従って後方に向かって流れ、電装品箱(51)の後端から熱交換室(33)に流れ落ちる。
【0069】
このようにして、冷媒ジャケット(81)において生起された結露水は、規制手段(90)を構成する電装品箱(51)の上面の傾斜面(91)によって熱交換室(33)に導かれ、水分が付着して劣化又は故障する虞のある機器等が比較的多く設けられた機械室(34)には流れ落ちない。
【0070】
〈冷媒ジャケットと電装品ユニットとの組付動作〉
冷媒ジャケット(81)は、圧縮機(11)、室外熱交換器(12)及び室外ファン(12a)に接続される冷媒配管と共に、電装品ユニット(50)よりも先にケーシング(31)内に配設されている。
【0071】
この状態において、各種電装品(72,73)が実装された基板(71)を予め内部に収容して略密閉状態となるように閉塞された電装品箱(51)を、ケーシング(31)の正面側からからケーシング(31)内に挿入する。このとき、該電装品箱(51)は、冷媒ジャケット(81)の下方において後方に向かって挿入される。
【0072】
次に、電装品ユニット(50)を、電装品箱(51)内のパワー素子(72)が冷媒ジャケット(81)と対向する位置に位置合わせする。なお、上述のように、パワー素子(72)は、その上面が伝熱板(54)の下面と接触するように電装品箱(51)内に設けられている。そのため、伝熱板(54)の上面と冷媒ジャケット(81)の下面とが当接するように電装品箱(51)の位置を合わせることにより、パワー素子(72)は伝熱板(54)を挟んで冷媒ジャケット(81)と対向すると共に冷媒ジャケット(81)の冷媒流路を流通する冷媒と熱交換可能に配置されることとなる。
【0073】
なお、上述したように、電装品箱(51)は、冷媒ジャケット(81)の下方に配置されるため、電装品箱(51)によって冷媒ジャケット(81)が隠されてしまうことがなく、作業者は、上方から冷媒ジャケット(81)の位置を視認しつつ上記位置合わせ作業を行うことができる。
【0074】
そして、パワー素子(72)が冷媒ジャケット(81)と対向する位置に電装品箱(51)を位置合わせした状態において、電装品箱(51)と冷媒ジャケット(81)とをビス(55)によって固定する。なお、このときも、冷媒ジャケット(81)が電装品箱(51)の上方にあるため、作業者は、冷媒ジャケット(81)に形成されたビス穴を上方から視認しつつ上記ビス(55)を締結することができる。
【0075】
−実施形態1の効果−
以上より、本実施形態によれば、冷媒ジャケット(81)を電装品箱(51)の上面に取り付けることとしたことにより、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との組付け作業において、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との位置関係を上方から視認することができる。よって、作業者が無理な体勢(腰を屈めて下方及び側方から固定部分を見上げる姿勢等)をとることなく容易に両者の位置関係を把握することができるため、位置合わせ作業を負担無く容易に行うことができる。また、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との固定部分(ビス(55)が締結されるビス穴)も上方から視認することができるため、固定作業を容易に行うことができる。従って、電装品箱(51)と冷媒ジャケット(81)との組立性の向上を図ることができる。
【0076】
また、上述のように空気調和装置(1)の運転状態によっては、冷媒ジャケット(81)の内部を流通する冷媒の温度が該冷媒ジャケット(81)の周辺の空気の露点温度を下回り、該冷媒ジャケット(81)において結露が生起する虞がある。また、結露が多量に発生すると、電装品箱(51)の上面から溢れて下方に落下して下方に配置された機器や電気配線等に付着する虞がある。
【0077】
しかしながら、本空気調和装置(1)では、電装品箱(51)の上面に、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を設けることとした。これにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が電装品箱(51)の上面に至っても、該結露水が四方に流動しないようにその流動を規制することができる。従って、結露水の流動を制御することにより、耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【0078】
また、本空気調和装置(1)では、電装品箱(51)の上面を傾斜面(91)とし、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を該傾斜面(91)によって構成することとした。よって、本空気調和装置(1)によれば、規制手段(90)を容易に構成することができる。
【0079】
なお、本空気調和装置(1)では、板状の冷媒ジャケット(81)を、電装品箱(51)の上面を構成する傾斜面(91)に取り付けて、冷媒ジャケット(81)自体を傾斜させて配置することとした。これにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水を、該冷媒ジャケット(81)の表面において溜まらせることなく速やかに傾斜方向の下側に向かって流動させることができる。従って、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水を、迅速に電装品箱(51)の上面の傾斜面(91)に至らしめてより円滑に傾斜面(91)の下端部に導くことができる。
【0080】
また、本空気調和装置(1)では、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が、電装品箱(51)の上面に形成された傾斜面(91)によってケーシング(31)内の熱交換室(33)に導かれるように電装品箱(51)が設けられている。具体的には、傾斜面(91)の下端であって冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が至る部分(本実施形態では、傾斜面(91)が後方に向かって下方に傾斜しているため、冷媒ジャケット(81)の真後ろの部分)が熱交換室(33)側に位置するように電装品箱(51)が設けられている。これにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、傾斜面(91)によって後方に流れて熱交換室(33)に流れ落ちることとなる。よって、該結露水が機械室(34)に導かれて圧縮機(11)周りの防音材や電気配線等に付着してこれらの劣化及び故障を招くことを防止することができる。
【0081】
さらに、本空気調和装置(1)では、冷媒ジャケット(81)を熱交換室(33)側に設けることしたため、該冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の機械室(34)への浸入をより防止することができる。
【0082】
《発明の実施形態2》
図6及び図7に示すように、実施形態2は、実施形態1において傾斜して配置されていた冷媒ジャケット(81)を水平に配置したものである。
【0083】
具体的には、実施形態1では、電装品箱(51)の上面全面を傾斜面(91)に形成していたところ、実施形態2では、電装品箱(51)の上面の伝熱板(54)及びその周辺部(56)が水平に形成されている。なお、該伝熱板(54)及びその周辺部(56)は、角度は異なるがいずれも後方に向かって下方に傾斜する4つの傾斜面(91)に取り囲まれるように形成されている。このように形成することにより、板状の冷媒ジャケット(81)が取り付けられる伝熱板(54)の上面は水平面に形成されるため、冷媒ジャケット(81)は、水平姿勢を保った状態で電装品箱(51)の上面に取り付けられることとなる。
【0084】
以上により、実施形態2によっても、冷媒ジャケット(81)は電装品箱(51)の上面に取り付けられるため、両者の位置合わせ作業及び固定作業が容易になり、これらの組付け作業を容易化することができる。
【0085】
また、実施形態2によれば、冷媒ジャケット(81)が電装品箱(51)の上面において水平に保たれるため、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)とを固定する際に、ビス(55)を真上から締結することができる。これにより、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との固定作業をより容易に行うことができ、冷媒ジャケット(81)と電装品箱(51)との組立性のさらなる向上を図ることができる。
【0086】
また、実施形態2によっても、規制手段(90)を構成する4つの傾斜面(91)によって、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は速やかに所定位置に導かれるため、該結露水が四方に流動しないようにその流動を規制することができる。
【0087】
《発明の実施形態3》
図8及び図9に示すように、実施形態3は、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)を、実施形態1及び実施形態2のような傾斜面(91)でなく、電装品箱(51)の上面に形成した溝(93)によって構成したものである。
【0088】
具体的には、電装品箱(51)の上面は水平面によって形成し、伝熱板(54)の周囲に該伝熱板(54)を取り囲み2つの端部が電装品箱(51)の後端に形成されたコ字状の溝(93)を形成し、該溝(93)の底面(93a)を後方に向かって下方に傾斜させている。
【0089】
このように形成することにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、電装品箱(51)の上面に形成された溝(93)の内部に流れ込み、該溝(93)の底面(93a)の傾斜に従って電装品箱(51)の後方に導かれ、やがて溝(93)の端部から熱交換室(33)内に落下する。
【0090】
以上により、実施形態3によれば、電装品箱(51)の上面に溝(93)を形成することにより、結露水を溝(93)内に捕集して該溝(93)以外の箇所に流動しないように規制することができる。また、上記溝(93)を、底面(93a)が後方に向かって傾斜するように形成したことにより、冷媒ジャケット(81)において生起されて溝(93)内に流れ込んだ結露水を、該溝(93)の底面(93a)の傾斜に従って速やかに後方に流動させて熱交換室(33)内に落下させることができる。従って、実施形態3によっても、電装品箱(51)の周辺又は下方に配置された耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【0091】
《発明の実施形態4》
図10及び図11に示すように、実施形態4は、実施形態3の規制手段(90)を構成する溝(93)を、環状に形成すると共に底面を平坦に形成したものである。
【0092】
このように形成することにより、冷媒ジャケット(81)において生起した結露水は、電装品箱(51)の上面に形成された環状の溝(93)の内部に流れ込み、該環状の溝(93)内に捕集される。なお、実施形態3と異なり、該環状の溝(93)の底面は傾斜面によって構成されていないため、該環状の溝(93)内に捕集された結露水は流動しない。しかしながら、電装品箱(51)の上面の表面温度は、内部に収容されたパワー素子(72)の発熱によって冷媒ジャケット(81)の表面温度よりも高くなるため、該環状の溝(93)内に捕集された結露水は、電装品箱(51)の熱を吸収してやがて蒸発することとなる。
【0093】
以上により、実施形態4によっても、電装品箱(51)の上面の冷媒ジャケット(81)の周囲に環状の溝(93)を形成することにより、結露水を該環状の溝(93)内に捕集して該溝(93)以外の箇所に流動しないように規制することができる。従って、電装品箱(51)の周辺又は下方に配置された耐水性の低い機器等に対する結露水の付着を防止することができる。
【0094】
《その他の実施形態》
上記各実施形態は、以下のように構成してもよい。
【0095】
上記実施形態1及び実施形態2では、傾斜面(91)は、後方に向かって下方に傾斜するように形成されていたが、傾斜面(91)の傾斜方向はこれに限られない。該傾斜面(91)によって、冷媒ジャケット(81)で生起された結露水の流動方向を耐水性の低い機器に降りかからないように規制することができればいかなる方向に傾斜していていもよい。例えば、機械室(34)側から熱交換室(33)に向かって下方に傾斜するように形成されていてもよい。
【0096】
上記実施形態3及び実施形態4では、溝(93)は、コ字状又は環状に形成されていたが、溝(93)の形状はこれに限られない。冷媒ジャケット(81)において生起した結露水が電装品箱(51)の上面において耐水性の低い機器等が配置された方向に流動しないように、該溝(93)によって捕集できるように構成されていればいかなる形状であってもよい。
【0097】
また、実施形態3では、コ字状の溝(93)の底面(93a)の傾斜によって結露水が後方に導かれるように形成されていたが、コ字状の溝(93)の向きはこれに限定されない。例えば、該溝(93)の2つの端部が電装品箱(51)の熱交換室(33)側の端部に位置するように形成すると共に、該溝(93)の底面(93a)を機械室(34)側から熱交換室(33)側に向かって下方に傾斜させて、溝(93)の底面(93a)によって該溝(93)内に捕集された結露水が側方に導かれて熱交換室(33)内に落下するように溝(93)を形成してもよい。
【0098】
また、上記各実施形態では、冷媒ジャケット(81)は、冷媒回路(10)の室外熱交換器(12)と室内熱交換器(14)との間の液管(23)のキャピラリーチューブ(13)よりも室外熱交換器(12)側に接続されていた。しかしながら、冷媒ジャケット(81)の接続位置は上述のものに限られず、液管(23)のキャピラリーチューブ(13)の室内熱交換器(14)側に設けられていてもよく、吸入管(25)に設けられていてもよい。
【0099】
さらに、上記各実施形態では、冷媒回路(10)は四路切換弁(17)を備え、冷媒循環が可逆に構成されていたが、冷媒ジャケット(81)が設けられる冷媒回路(10)はこれに限定されず、例えば、冷媒循環が可逆に構成されていなくてもよく、室外熱交換器(12)や室内熱交換器(14)を複数台備えたものであってもよい。
【0100】
また、上記各実施形態では、本発明に係る冷凍装置の一例として空気調和装置(1)について説明したが、本発明に係る冷凍装置はこれに限られない。例えば、冷蔵庫内や冷凍庫内を冷却する冷凍装置であってもよい。
【0101】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上説明したように、本発明は、発熱素子を含む各種電装品が収容された電装品箱と発熱素子を冷却する冷媒冷却器とを備えた冷凍装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係る空気調和装置の構成を示す配管系統図である。
【図2】図2は、実施形態1の空気調和装置の室外機を模式的に示す平面図である。
【図3】図3は、実施形態1の空気調和装置の室外機を模式的に示す正面断面図である。
【図4】図4は、図3の冷媒ジャケットの取付部分周辺の拡大図である。
【図5】図5は、図2のV−V断面図である。
【図6】図6は、実施形態2の冷媒ジャケット及び電装品箱の平面図である。
【図7】図7は、実施形態2の冷媒ジャケット及び電装品箱の側面図である。
【図8】図8は、実施形態3の冷媒ジャケット及び電装品箱の平面図である。
【図9】図9は、実施形態3の冷媒ジャケット及び電装品箱の側面図である。
【図10】図10は、実施形態4の冷媒ジャケット及び電装品箱の平面図である。
【図11】図11は、実施形態4の冷媒ジャケット及び電装品箱の側面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 空気調和装置(冷凍装置)
10 冷媒回路
11 圧縮機
12 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
31 ケーシング(熱源側ケーシング)
32 仕切部材
33 熱交換室
34 機械室
51 電装品箱
55 ビス
72 パワー素子(電装品)
73 電装品
81 冷媒ジャケット(冷媒冷却器)
90 規制手段
91 傾斜面
93 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、該冷媒回路(10)の構成機器を制御する電装品が収容された電装品箱(51)と、該電装品箱(51)に取り付けられ、上記冷媒回路(10)を流れる冷媒が流通して上記電装品のうちの少なくとも発熱素子(72)を冷却する冷媒冷却器(81)とを備えた冷凍装置であって、
上記冷媒冷却器(81)は、上記電装品箱(51)の上面に取り付けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記電装品箱(51)の上面には、上記冷媒冷却器(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)が設けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記規制手段(90)は、上記電装品箱(51)の上面の一部又は全部が傾斜してなる傾斜面(91)によって構成されている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記冷媒冷却器(81)は、板状に形成されて上記傾斜面(91)に取り付けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項3において、
上記冷媒冷却器(81)は、板状に形成され、上記電装品箱(51)の上面において上記傾斜面(91)に取り囲まれるように形成された水平面に取り付けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1つにおいて、
上記冷媒回路(10)の少なくとも熱源側熱交換器(12)が配置された熱交換室(33)と、上記冷媒回路(10)の少なくとも圧縮機(11)が配置された機械室(34)とに内部空間が区画された熱源側ケーシング(31)を備え、
上記電装品箱(51)は、上記熱源側ケーシング(31)内において、上記傾斜面(91)によって上記結露水が上記熱交換室(33)に導かれるように設けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記電装品箱(51)は、上記熱源側ケーシング(31)の内部空間を水平方向に並ぶ上記熱交換室(33)と機械室(34)とに仕切る仕切部材(32)の上方に、該熱交換室(33)と機械室(34)とに跨るように設けられ、
上記冷媒冷却器(81)は、上記熱交換室(33)側に設けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項8】
請求項2において、
上記規制手段(90)は、上記電装品箱(51)の上面において上記冷媒冷却器(81)の周囲に形成された溝(93)によって構成されている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項1】
冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、該冷媒回路(10)の構成機器を制御する電装品が収容された電装品箱(51)と、該電装品箱(51)に取り付けられ、上記冷媒回路(10)を流れる冷媒が流通して上記電装品のうちの少なくとも発熱素子(72)を冷却する冷媒冷却器(81)とを備えた冷凍装置であって、
上記冷媒冷却器(81)は、上記電装品箱(51)の上面に取り付けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記電装品箱(51)の上面には、上記冷媒冷却器(81)において生起した結露水の流れを規制する規制手段(90)が設けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記規制手段(90)は、上記電装品箱(51)の上面の一部又は全部が傾斜してなる傾斜面(91)によって構成されている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記冷媒冷却器(81)は、板状に形成されて上記傾斜面(91)に取り付けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項3において、
上記冷媒冷却器(81)は、板状に形成され、上記電装品箱(51)の上面において上記傾斜面(91)に取り囲まれるように形成された水平面に取り付けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1つにおいて、
上記冷媒回路(10)の少なくとも熱源側熱交換器(12)が配置された熱交換室(33)と、上記冷媒回路(10)の少なくとも圧縮機(11)が配置された機械室(34)とに内部空間が区画された熱源側ケーシング(31)を備え、
上記電装品箱(51)は、上記熱源側ケーシング(31)内において、上記傾斜面(91)によって上記結露水が上記熱交換室(33)に導かれるように設けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記電装品箱(51)は、上記熱源側ケーシング(31)の内部空間を水平方向に並ぶ上記熱交換室(33)と機械室(34)とに仕切る仕切部材(32)の上方に、該熱交換室(33)と機械室(34)とに跨るように設けられ、
上記冷媒冷却器(81)は、上記熱交換室(33)側に設けられている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項8】
請求項2において、
上記規制手段(90)は、上記電装品箱(51)の上面において上記冷媒冷却器(81)の周囲に形成された溝(93)によって構成されている
ことを特徴とする冷凍装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−147334(P2010−147334A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324534(P2008−324534)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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