説明

冷却ファン

【課題】半導体デバイスなどの空冷冷却ファンの風量、効率を向上する。
【解決手段】上面給気口211を設けたフレームユニット21、及びフレームユニット内に設置される回転可能なファンホイール22より構成される。
フレームユニットは、下方に排気口が形成された載置底板212、間隔をあけて載置底板の周縁上に設けられた複数の支柱214、及び二つの支柱の間を結合する気流誘導補助板215を具える。
各気流誘導補助板は、ファン回転面を囲む円曲面を形成し、支柱と気流誘導補助板は側面に複数の側面給気口217を形成する。
ファンホイールは、回転可能なシャフトとシャフト外周面の複数の翼かららなり、その回転時に翼縁は気流誘導補助板の内曲面と平行状態を形成して流入する外部の空気に対して良好な気流誘導効果を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスなどの空冷冷却ファンに関してなり、特に軸方向と側面方向より給気し、運転の騒音を効果的に制御する冷却ファンに関してなる。
【背景技術】
【0002】
図1は、中華民国公告第592343号「改良式冷却ファン」新型特許請求案であり、改良式冷却ファン1は、フレームユニット11、及びフレームユニット11内に設置される回転可能なファンホイール12より構成される。ファンホイール12はフレームユニット11より高い位置にある大きなシャフト121、及びシャフト121の外周面に間隔をおいて設置されたフレームユニット11の外部へ突出した多数の翼122を具有する。フレームユニット11の高さを低くして、翼122をフレームユニットの外部へ突出する設計により、翼122側部と外部の空気の接触面積を増加し、外部の空気をフレームユニット11上部と側部より進入させ、全体の給気量と冷却効果を向上させる。
【0003】
翼122側部と外部の空気の接触面積が増加する時、外部の空気は翼122側部とフレームユニット11の上部が相互に相対する箇所から進入し、給気量を向上するが、但し、フレームユニット11上部の気流誘導設計には問題があり、空気がフレームユニット11上部と翼122側部の相対する箇所に流入する時に、乱流が発生し易く、気流が円滑に進入することが困難であり、給気量の向上効果が制限され、全体の静圧値は安定性を維持することが困難である為に低下し、運転時のノイズが大きくなる。
【特許文献1】特開平8−288440号公報
【特許文献2】特開平6−132434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上部と側部から広く給気させることで給気量を向上すると共に、一定の静圧値を維持し、効果的にファンのノイズを低下させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成する為、本発明の冷却ファンは、上面給気口が形成されたフレームユニット、及びフレームユニット内に設置される回転可能なファンホイールより構成される。フレームユニットは排気口の形成された載置底板、間隔を取り載置底板の周縁上に設置される多数の支柱、及びそれぞれ二つの支柱の間に設置される多数の気流誘導補助板を具有してなる。各気流誘導補助板は内曲面を具有してなる。支柱と気流誘導補助板は相互に組み合わさり多数の側面給気口を形成してなる。ファンホイールは載置底板上に設置される回転可能なシャフト、及びシャフト外周面上に間隔を取り設置される複数の翼を具有してなる。各翼が気流誘導補助板を経由して回転運動する時、その翼縁は気流誘導補助板の内曲面と平行状態を形成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の効果は気流誘導補助板と支柱を利用して多数の側面給気口を形成してなり、外部の空気がファンフレームに流動する時、上面、側面給気口を経由して大量に給気され、全体の給気量を効果的に向上させ、ノイズを低減する。同時に、各翼が気流誘導補助板を経由して回転する時、翼縁は気流誘導補助板の気流誘導上面と内曲面と平行状態を形成してなり、向かい側から流入する外部の空気より良好な気流誘導効果を発生してなり、外部の空気の円滑な給気を促進し、効果的に静圧値の安定を維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の前述及びその他の技術的内容、特徴、効果に関して、以下に参照図と実施例を用いて詳細に説明する。
【0008】
図2,3に示すように、本発明の冷却ファン2の第一実施例は、上面給気口211が形成されたフレームユニット21、及びフレームユニット21内に設置される回転可能なファンホイール22より構成される。ファンホイール22は、フレームユニット21中心箇所に設置された回転可能なシャフト221、及びシャフト221外周面上に間隔を取り設置される多数の翼222を具有してなる。本実施例において、翼222は弧片状に傾斜を形成してなる。
【0009】
フレームユニット21は、開放式にてなり、排気口213が形成され、ファンホイール22のシャフト221が設置された載置底板212、載置底板212の四つの角附近にそれぞれ等間隔で設置された四つの支柱214、及びそれぞれ二つの支柱214の間に設置された四つの気流誘導補助板215を具有してなる。四つの支柱214上縁は上面給気口211の境界を定めてなる。二つの相互に隣接する支柱214と相対して連結される気流誘導補助板215の組合せは三つの側面給気口217を形成し、その内、一つの側面給気口217は上面給気口211と相互に通風してなる。
【0010】
図2、図4に示すように、四つの支柱214と四つの気流誘導補助板215は、相互に連結して配列され円形状を形成する。各気流誘導補助板215は、ファンホイール22に相対する内曲面216を有し、各翼222は気流誘導補助板215で形成される円内で回転する時、翼縁223は気流誘導補助板215の内曲面形状と近接して平行にある。本実施例において、各気流誘導補助板215は凹弧形状を形成してその両端はそれぞれ相対する二つの支柱214に連結される。
【0011】
ファンホイール22が高速で回転する時、外部の空気は上面、側面給気口211、217を経由して大量に給気されて冷却空気流を形成し、下方の排気口213から外部へ排出する。外部の空気が側面給気口217から給気されて気流誘導補助板215の作用により、翼222が気流誘導補助板215内で高速で回転する時、翼縁223は気流誘導補助板215の内曲面216と常に平行状態を形成し、側面給気口217から流入した外部の空気に対してより良好な気流誘導効果を得て、外部の空気の円滑な給気を促進する。更に、気流誘導補助板215は凹弧状を形成してなり、側面給気口217と上面給気口211との間には障害物が何も無く、フレームユニット21は完全な開放状態を形成し、ファンホイール22は外部の空気に完全に露出するため、翼222と外部の空気の接触面積は翼222の全体の面積に相当して給気面積を拡大し、相対して全体の給気量を大きく向上させると共に、ノイズを低下させる。
【0012】
したがって、冷却ファン2は実際の使用時において、下記の長所を確実に発揮する。
【0013】
1.全体の給気量が向上し、良好な冷却効果を得ることができる:
フレームユニット21は開放式の設計であって、ファンホイール22の翼222は外部環境に完全に露出して、翼222の全体の面積が外部の空気との接触面積に相当し、最大の給気面積を達成し、外部の空気が上面、側面給気口211、217を経由して大量に給気され、全体の給気量を増加させる。
【0014】
更に、外部の空気が給気口217から給気され、気流誘導補助板215の内曲面216の作用により、翼222は気流誘導補助板215内で高速で回転する時、翼縁223は気流誘導補助板215の内曲面216と平行状態を形成して、側面給気口217から流入する外部の空気に対して良好な気流誘導効果を発揮して外部の空気の円滑な給気を促進し、全体の給気量と排気量を向上し、良好な冷却効果を達成し、公知の改良式冷却ファン1(図1参照)において翼122の一部分が隠れて、乱流が発生し給気量の向上効果が制限される問題を改善する。
【0015】
2.静圧値の安定性を維持し、特定曲線における失速領域を除去し、より良好な動作領域を提供する:
更に、図5の風量と風圧の関係曲線図に示すように、実線の曲線は本考案の冷却ファン2の試験結果を示し、点線の曲線は公知の改良式冷却ファン1の試験結果を示す。冷却ファン2の風量と風圧の関係は安定した変化を形成し、公知の改良式冷却ファン1に比較して、冷却ファン2が回転する時は、一定の静圧値状態を維持して、特性曲線内の失速領域を除去し、良好で安定した操作領域をシステムに提供することができ、この動作領域の条件下で操作する時、冷却ファン2は全体的に風圧と風量のパフォーマンスが公知の改良式冷却ファン1に比べて優れている。
【0016】
2.効果的にノイズを低減する:
前述のように、フレームユニット21は開放式設計であって、ファンホイール22の翼222は完全に外部環境に露出しており、気流誘導補助板215の作用により、翼222は気流誘導補助板215内で高速で回転する時、翼縁223は気流誘導補助板215の内曲面216と平行状態で移動するため流入する外部の空気に対して良好な気流誘導効果を発揮し、外部の空気の円滑な給気を促進し、全体の給気量と排気量を向上し、良好な冷却効果を達成し、静圧の安定性を維持するだけではなく、効果的に回転のノイズを4〜5dBAに低減し、公知の改良式冷却ファン1の乱流によりノイズを発生する問題を改善する。
【0017】
図6に示す本発明の冷却ファン2の第二実施例が第一実施例と異なる点は、ファンホイール22のシャフト221を下軸部224と上軸部225とから構成し、翼222をそれぞれ上軸部225に設けられる上翼片部226と下軸部224に設けられる上翼片部226とから構成して、これらをそれぞれ上下結合して一体とすることにより、成型上の制約にかかわらず隣接する翼222の間に部分的に重ね合わさり部分として導風溝228を形成することができる。
【0018】
このように相互に隣接する翼222の間には重なり合う部分ができ、シャフト221の外周面に増設可能な翼の数量が増加し、単一な翼222の面積も増大し、翼222全体の総面積が向上し、翼222と外部の空気との間の接触面積と給気面積が増大し、相互に隣接する翼222により形成される導風溝228は、全体の給気量と排気量を向上させ、冷却効果を増進することができる。
【0019】
このようにして、第一実施例に比べて、本実施例は静圧値の安定性を維持してノイズを低減するだけではなく、全体の給気量と排気量を更に向上し、冷却効果を更に優れたものにしてなる。
【0020】
図7に示す本発明の冷却ファン2の第三実施例が第一実施例と異なる点は、気流誘導補助板215が、上向きアーチ形状であり、翼222が気流誘導補助板215内で回転する時、翼222の翼縁223は上記と同様に気流誘導補助板215内面と平行状態を形成する。このように、本実施例も第一実施例と同様に良好な給気量と冷却効果を達成し、既定の静圧値を維持し、効果的にノイズを低減することができる。
【0021】
図8に示す本発明の冷却ファン2の第四実施例が第一実施例と異なる点は、気流誘導補助板215はが斜線状であり、翼222が気流誘導補助板215内で回転する時、翼222の翼縁223は同様に気流誘導補助板215内面と平行状態を形成する。このように、本実施例も第一実施例と同様に良好な給気量と冷却効果を達成し、既定の静圧値を維持し、効果的にノイズを低減することができる。
【0022】
図9に示す本発明の冷却ファン2の第五実施例が第一実施例と異なる点は、気流誘導補助板215が左斜線状であり、翼222が気流誘導補助板215内で回転する時、翼222の翼縁223は同様に気流誘導補助板215内面と平行状態を形成する。このように、本実施例も第一実施例と同様に良好な給気量と冷却効果を達成し、既定の静圧値を維持し、効果的にノイズを低減することができる。
【0023】
図10に示す本発明の冷却ファン2の第六実施例が第四実施例と異なる点は、ファンホイール22の各翼222が弧片体229、及び弧片体229の底端から垂直に突出した錘状体220を具有し、翼の形状はあたかも恐竜のプテラノドンの翼の形状に類似する。翼222が気流誘導補助板215内で回転する時、翼222の翼縁223は同様に気流誘導補助板215内面と平行状態を形成する。このように、本実施例も第四実施例と同様に良好な給気量と冷却効果を達成し、既定の静圧値を維持し、効果的にノイズを低減することができる。
【0024】
上述のように、本発明の冷却ファン2は、開放式のフレームユニット21を有して外部の空気がファンホイール22に流動する時、上面、側面給気口211,217を経由して大量に給気され、全体の給気量を効果的に向上させ、ノイズを低減する。同時に、各翼222が気流誘導補助板215内で回転する時、翼222の翼縁223は気流誘導補助板215の気流誘導上面216と内曲面218と平行状態を形成し、外部の空気に対して良好な気流誘導効果を発生してなり、外部の空気の円滑な給気を促進し、全体の給気量と排気量を向上し、良好な冷却効果を達成し、効果的に静圧値の安定を維持し、本発明の目的を達成する。
【0025】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】公知の改良式冷却ファンの断面図である。
【図2】本発明の冷却ファンの第一実施例の立体分解図である。
【図3】第一実施例の断面図である。
【図4】第一実施例の平面図である。
【図5】本発明の第一実施例と公知の改良式冷却ファンの静圧安定性を比較した曲線図である。
【図6】本発明の冷却ファンの第二実施例の断面図である。
【図7】本発明の冷却ファンの第三実施例の断面図である。
【図8】本発明の冷却ファンの第四実施例の断面図である。
【図9】本発明の冷却ファンの第五実施例の断面図である。
【図10】本発明の冷却ファンの第六実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0027】
3 冷却ファン
21 フレームユニット
211 上面給気口
212 載置底板
213 排気口
214 支柱
215 気流誘導補助板
216 内曲面
217 側面給気口
22 ファンホイール
221 シャフト
222 翼
223 翼縁
224 下軸部
225 上軸部
226 上翼片部
227 下翼片部
228 導風溝
229 弧片体
220 錘状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面給気口が形成されたフレームユニット、及びフレームユニット内に設置されて回転可能なファンホイールより構成され、
フレームユニットは、下方に排気口が形成された載置底板、載置底板周縁に間隔をおいて設置された多数の支柱、及びそれぞれ二つの支柱の間に設けられた気流誘導補助板を具え、該各気流誘導補助板はファン回転面を囲む曲面を形成すると共に、支柱と流動補助板の間に複数の側面給気口を形成し、
ファンホイールは、載置底板上で回転可能なシャフト及びシャフト外周面に間隔を空けて複数の翼を設け、各翼が流動補助板の形成する上記曲面内で回転する時、翼縁は気流誘導補助板の内曲面と平行状態を形成してなることを特徴とした、冷却ファン。
【請求項2】
前記フレームユニットの各気流誘導補助板は、凹弧状にてなり、両端はそれぞれ相対する相互に隣接する支柱と連結してなることを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項3】
前記フレームユニットの各気流誘導補助板は、上向きアーチ形状にてなり、両端はそれぞれ相対する相互に隣接する支柱と連結してなることを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項4】
前記フレームユニットの各気流誘導補助板は、左斜線状にてなり、両端はそれぞれ相対する相互に隣接する支柱と連結してなることを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項5】
前記フレームユニットの各気流誘導補助板は、右斜線状にてなり、両端はそれぞれ相対する相互に隣接する支柱と連結してなることを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項6】
前記ファンホイールの翼は、弧片状にてなることを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項7】
前記ファンホイールの翼は、弧片体、及び弧片体の底端から上に突出する錘状体を具有してなることを特徴とした、請求項1に記載の冷却ファン。
【請求項8】
前記ファンホイール22のシャフト221を下軸部224と上軸部225とから構成し、翼222をそれぞれ上軸部225に設けられる上翼片部226と下軸部224に設けられる上翼片部226とから構成して、これらをそれぞれ上下結合して一体とすることにより、成型上の制約にかかわらず隣接する翼222の間に部分的に重ね合わさり部分として導風溝228を形成することを特徴した、請求項1に記載の冷却ファン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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