説明

冷却プレ−ト、及びその製造方法

【課題】 本発明は、冷却管を自由に折曲して好適なレイアウトに埋設配設せしめることが出来るのみならず、全体としてその製作を容易に、かつ安価に行なうことが出来、しかも、非常に効率よく冷却せしめることが出来る冷却プレ−ト、及びその製造方法を提供するものである。
【解決手段】 所要厚さのプレ−ト本体1内に冷却管2が鋳込み状に埋設されてなる冷却プレ−トであって、上記冷却管2は折曲自在な波形管材により所要形状に屈曲配設されている。そして、上記冷却プレ−トは、折曲自在な波形管材を折曲して所要形状の冷却管2を形成せしめ、該冷却管2を鋳込み成型枠7・8内にセットせしめると共に、該鋳込み成型枠7・8内に所要の溶融金属を注湯して鋳込み成型せしめるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として加熱処理せしめた半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、あるいはプラズマディスプレイパネル用基板などの基板を冷却せしめるさいに使用する冷却プレ−ト、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば液晶表示装置の製造工程において、水分を有する基板やフォトレジストを塗付した後の基板を乾燥させる工程や、フォトレジスト膜に対して露光または現象処理を施した後の基板にベ−キング処理を施す工程が含まれる。そこで、液晶表示装置の製造工程においては、基板に加熱処理を施すための加熱処理部と、加熱処理後の基板を冷却せしめる冷却処理部とを有する熱処理装置が用いられる。
【0003】
ところで、上記冷却処理部としては、一般に冷却プレ−トが用いられている。そして、かかる冷却プレ−トとしては、特開平5−13318号公報、特開平10−335200号公報、特開2000−12448号公報などに開示されているように、所要の幅と厚みを備えたプレ−ト本体内に略渦巻状や蛇行状とされたステンレス製冷却管が鋳込み状に埋設されたものが知られており、冷却管の一端より他端に向けて冷却水を通水せしめつつ所要の基板を冷却せしめるものとされている。
【特許文献1】特開平5−13318号公報
【特許文献2】特開平10−335200号公報
【特許文献3】特開2000−12448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の如く構成された従来の冷却プレ−トは、ステンレス製パイプ材を所要形状に折曲して形成せしめた冷却管をプレ−ト本体内に鋳込み状に埋設せしめたものであるから、以下の欠点を有するものである。
【0005】
(1) まず第1に、ステンレス製パイプ材をベンダ−などの作業工具により折曲して冷却管を形成せしめなければならず、その折曲作業が非常に面倒で手間がかかり、極めて作業能率が悪いものであって、ひいては、全体として冷却プレ−トの製作が面倒でコスト高となりやすいものである。また、必然的に大きなア−ルにしか折曲せしめることが出来ないため、冷却管の周回距離を大にすることが出来ないのみならず、埋設冷却管のレイアウトにも大きな制約をうけるものである。
【0006】
(2) 第2に、冷却管の肉厚が一般的に0.5〜1mmとされているため、熱電導率が悪 く、冷却効率が悪いものである。
【0007】
(3) 第3に、冷却管は内周面が平滑な中空状とされているから、通水時の冷却水は層流 状態を呈し、熱電動率が低いものであって、冷却効率が悪いものである。
【0008】
本発明は従来の問題点を解決しようとするもので、冷却管を自由に折曲して好適なレイアウトに埋設配設せしめることが出来るのみならず、全体としてその製作を容易に、かつ安価に行なうことが出来、しかも、非常に効率よく冷却せしめることが出来る冷却プレ−ト、及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1記載の発明は、所要厚さのプレ−ト本体内に冷却管が鋳込み状に埋設されてなる冷却プレ−トであって、上記冷却管は折曲自在な波形管材により所要形状に屈曲配設されてなることを特徴とする、冷却プレ−トを要旨とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、冷却管は保形部材を介して一定形状に保形せしめられてなることを特徴とする、請求項1記載の冷却プレ−トを要旨とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、折曲自在な波形管材を折曲して所要形状の冷却管を形成せしめ
、該冷却管を鋳込み成型枠内にセットせしめると共に、該鋳込み成型枠内に所要の溶融金属を注湯して鋳込み成型せしめることを特徴とする、冷却プレ−トの製造方法を要旨とするものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、冷却管を保形部材により保形せしめて鋳込み成型せしめることを特徴とする、請求項3記載の冷却プレ−トの製造方法を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1記載の発明は上述のように構成されているから、冷却管は波形管材を自由に、しかも容易に折曲して配管レイアウトを自由に設定せしめることが出来るのみならず、その配管距離を大にすることが出来、しかも、冷却管は内周面にひだを有する波形管材により形成せしめられているから、冷却水を通水せしめた場合には冷却水が冷却管内で乱流を生起せしめ、配管距離のアップとも相まって冷却効率を著しくアップせしめることが出来るものである。
【0014】
請求項2記載の発明は上述のように構成されているから、冷却管の型崩れを生じることなく、常に一定形状に保形せしめることが出来るものである。
【0015】
請求項3記載の発明は上述のように構成されているから、冷却管は波形管材を自由に、しかも極めて容易に折曲して配管レイアウトを自由に設定せしめることが出来るのみならず、その配管距離を大にせしめることが出来るものであって、全体として冷却プレ−トの製作を極めて容易に、しかも安価に製作せしめることが出来る。しかも、冷却管は内周面にひだを有する波形管材を折曲して形成せしめるものであるから、冷却水を通水せしめたさいには冷却管内で乱流を生起せしめ、配管距離のアップとも相まって冷却効率を著しくアップせしめることが出来るものである。
【0016】
請求項4記載の発明は上述のように構成されているから、冷却管の型崩れなどを生起せしめることなく一定形状に保持せしめて確実に鋳込み成型せしめることが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に示す一実施例に基づいて説明する

【実施例】
【0018】
図1〜図4は本発明の一実施例を示すもので、同図中、1は所要の外径と厚さを有する円板状のアルミニウム製プレ−ト本体、2は該プレ−ト本体1内にアルミニウム製保形部材3を介して鋳込み状に埋設された略渦巻状の冷却管、4は該冷却管2の両端部に各々取付けられた配管用接続部材である。そして、上記冷却管2は、内径が7.8mm〜10.7mm、厚みが0.15mmの折曲自在な薄肉状ステンレス製スパイラル管材を折曲せしめることにより形成されている(図1及び図3)。また、保形部材3は所要数の取付けア−ム5が放射状に形成されると共に、該各取付けア−ム5には所要数の取付け用嵌合凹部6が異径状に形成されている(図1及び図4参照)。
【0019】
そして、上述の如く構成された実施例は、従来例と同様に、接続部材4を介して所要の冷却水配管(図示略)に接続せしめ、冷却管2内に冷却水を通水せしめつつ所要の基板を冷却せしめる。このさい、冷却管2は薄肉なスパイラル管材を自由に折曲して保形部材3により保形せしめつつ略渦巻き状に設定せしめられているから、その配管距離が非常に大となり、しかも、内周面にひだを有するため、通水時には乱流を生起せしめるものであって、基板の冷却効率を大幅にアップせしめることが出来るものである。
【0020】
次に、上記実施例の製造方法の一例を図5に基づいて説明する。なお、図5中、7は冷却プレ−ト用下型、8は冷却プレ−ト用上型を各々示す。
【0021】
先ず、折曲自在なステンレス製スパイラル管材を略渦巻状に折曲せしめ、冷却管2を形成せしめる。このさい、冷却管2は折曲自在なスパイラル管材を折曲して形成せしめるため、その折曲作業を極めて容易に、しかも、自由に行なうことが出来る。折曲形成せしめた冷却管2は、各取付けア−ム5の嵌合凹部6に嵌合して固定せしめつつ保形部材3に取付け、保形せしめる。次いで、冷却管2を保形部材3に保形せしめつつ下型7内にセットせしめると共に、上型8を下降せしめて下型7上に圧接せしめる。しかるのち、上下型7
・8内に所要の湯口を通して溶融アルミニウムを注湯し、常法により鋳込み成型して生成せしめる。このさい、冷却管2は折曲自在なスパイラル管材を折曲して形成されているが
、保持部材3により保形せしめつつ鋳込み成型せしめるため、常に形崩れなどを生起せしめることなく確実に保形して埋設せしめることが出来るものである。そして、鋳込み成型が終了すると、上型8を上昇作動せしめ、下型7より冷却プレ−トを取出し、製造を完了する。
【0022】
なお、上記実施例は、加熱処理せしめた半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板の冷却に適用せしめるものとされているが、これに限定されるものでなく、これらに類した他の公知の物品の冷却にも適用せしめることが出来るものである。また、冷却管2は折曲自在なステンレス製スパイラル管材を折曲して形成するものとされているが、これに限定されるものでなく、例えば、折曲自在な金属製ジャバラ管材など、内周面にヒダを備えた他の公知の波形管材を用いることが出来るものである。さらに、保形部材3は所要数の取付け用嵌合凹部6付き取付ア−ム5が放射状に形成された構成よりなるが、これに限定されるものでなく、これに類した他の公知の保形部材を用いることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例を示す一部破断平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う階段断面図である。
【図3】実施例の冷却管2を示す一部破砕拡大断面図である。
【図4】実施例の保形部材3を示す平面図である。
【図5】実施例の製造方法の一例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 プレ−ト本体
2 冷却管
3 保形部材
5 取付けア−ム
6 嵌合凹部
7 下型
8 上型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要厚さのプレ−ト本体内に冷却管が鋳込み状に埋設されてなる冷却プレ−トであって
、上記冷却管は折曲自在な波形管材により所要形状に屈曲配設されてなることを特徴とする、冷却プレ−ト。
【請求項2】
上記冷却管は保形部材を介して一定形状に保形せしめられてなることを特徴とする、請求項1記載の冷却プレ−ト。
【請求項3】
折曲自在な波形管材を折曲して所要形状の冷却管を形成せしめ、該冷却管を鋳込み成型枠内にセットせしめると共に、該鋳込み成型枠内に所要の溶融金属を注湯して鋳込み成型せしめることを特徴とする、冷却プレ−トの製造方法。
【請求項4】
上記冷却管を保形部材により保形せしめて鋳込み成型せしめることを特徴とする、請求項3記載の冷却プレ−トの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−78029(P2006−78029A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260530(P2004−260530)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(599113822)株式会社センテック (7)
【Fターム(参考)】