説明

冷却塔用の水回収システム

【課題】冷却塔では、冷却水は、空気と熱伝導的に接触し、空気は冷却水から熱を抽出してプルームまたは蒸気をもたらす。プルームから水を抽出することが望ましく、冷却塔用の水回収システムを提供する。
【解決手段】冷却塔50用の水回収システム40は、1次冷却器または中間冷却器44、第1の回路部46および第2の回路部48を有している。水ストリッパ52は、冷却塔50を通過する空気に含まれる湿気を取り除くかまたは吸収する。第1の回路部46は、抽気19と熱交換関係にある液体乾燥剤を有し、液体乾燥剤は冷却塔50から来る蒸気から湿気を除去する。フラッシュドラム55で水を含んだ液体乾燥剤からの水は、急速に気化(フラッシュ)するかまたは蒸発して、濃縮溶液かまたは水を含まない液体乾燥剤を残す。フラッシュドラム55から出る蒸気は濃縮器100で冷却されて補給水になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている主題は、冷却塔に関し、特に、冷却塔用の水回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は高圧で動作する。発電および機械駆動用ガスタービン等の応用での動作を強化するために、多くのターボ機械は、圧縮機段の間で圧縮空気温度を低下させるように構成される中間冷却器を採用する。圧縮空気の温度を低下させる従来のシステムは、乾式冷却システムおよび湿式冷却システムの両方を含む。
【0003】
乾式冷却システムでは、抽気からの熱が、伝熱面を有する伝熱板または伝熱管内を循環する冷却水に伝達される。冷却水は、熱を吸収した後、乾式冷却塔に送られ、さらなる伝熱板または伝熱管にわたって誘導され、その後、抽気を冷却するために再循環する。湿式冷却システムでは、冷却水は、抽気から熱を吸収した後、冷却塔に送られる。冷却塔では、冷却水は、空気と熱伝導的に接触する。空気は、冷却水から熱を抽出して、プルームまたは蒸気をもたらす。冷却水は、抽気と熱交換するために戻され、プルームは周囲に放出される。代替的な湿式冷却システムでは、水は、乾式システムで採用されるような伝熱板または伝熱管上に噴霧されることにより、閉ループ冷却水をさらに冷却する。閉ループ冷却水は、抽気と熱交換するように戻され、プルームは周囲に放出される。多くの場合、非常に乾燥した環境におけるように、または水が豊富でない場合、プルームから水を抽出することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、冷却塔用の水回収システムは、第1の回路部および第2の回路部を有する中間冷却器を有している。第1の回路部は、液体乾燥剤を受け入れるように構成されかつ配置され、第2の回路部は、冷媒を受け入れるように構成されかつ配置されている。フラッシュドラムが、第1の回路部に流体的に接続された入口と、蒸気出口と、液体乾燥剤出口とを有している。濃縮器が、フラッシュドラムの蒸気出口に流体的に結合されている。濃縮器は、濃縮液出口を有している。冷却塔が、フラッシュドラムの液体乾燥剤出口および濃縮器に流体的に接続されている。冷却塔は、収集器部材を有する水ストリッパと、水ストリッパの下方に配置された冷却器とを有している。収集器部材は、水を含んだ液体乾燥剤を受け入れるように構成されかつ配置され、冷却器は、濃縮器から補給水を受け入れるように構成されかつ配置されている。
【0005】
本発明の別の態様によれば、ターボ機械システムは、抽出出口を有する第1のターボ機械セクションと、第1のターボ機械セクションの抽出出口に流体的に接続された抽出入口を有する第2のターボ機械セクションと、ターボ機械システムに動作的に接続された水回収システムとを有している。水回収システムは、第1の回路部および第2の回路部を有する中間冷却器部材を有している。第1の回路部は、液体乾燥剤を受け入れるように構成されかつ配置され、第2の回路部は、冷媒を受け入れるように構成されかつ配置されている。中間冷却器部材は、抽出出口から出る抽出流体から熱を除去するように構成されかつ配置されている。フラッシュドラムが、第1の回路部に流体的に接続された入口と、蒸気出口と、液体乾燥剤出口とを有している。濃縮器が、フラッシュドラムの蒸気出口に流体的に結合されている。冷却塔が、フラッシュドラムの液体乾燥剤出口および濃縮器に流体的に接続されている。冷却塔は、収集器部材を有する水ストリッパと、水ストリッパの下方に配置された冷却器とを有している。収集器部材は、水を含んだ液体乾燥剤を受け入れるように構成されかつ配置され、冷却器は、濃縮器から水を受け入れるように構成されかつ配置されている。
【0006】
本発明のさらに別の態様によれば、冷却塔によって放出される蒸気から水を抽出する方法は、水を含んだ液体乾燥剤を中間冷却器に通すステップと、水を含んだ液体乾燥剤に熱を吸収して熱を含んだ液体乾燥剤を形成するステップと、熱を含んだ液体乾燥剤をフラッシュドラムに向けるステップと、フラッシュドラムにおいて熱を含んだ液体乾燥剤から水蒸気を抽出して、実質的に水を含まない液体乾燥剤を形成するステップと、冷却塔において実質的に水を含まない液体乾燥剤を湿り空気に導入するステップと、湿り空気から実質的に水を含まない液体乾燥剤に水を吸収して水を含んだ液体乾燥剤を形成するステップと、水を含んだ液体乾燥剤を中間冷却器に戻すステップとを含む。
【0007】
これらのおよび他の利点および特徴は、図面とともに以下の説明からより明らかとなろう。
【0008】
本発明とみなされる主題は、本明細書の末尾の特許請求の範囲において詳細に示され、かつ明確に請求されている。本発明の上述したおよび他の特徴および利点は、添付図面とともに以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的な実施形態による、冷却塔から水を回収するシステムを含むターボ機械システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明は、例として図面を参照して、利点および特徴とともに本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図に最もよく示すように、例示的な実施形態によるターボ機械システムを全体として2で示す。ターボ機械システム2は第1の圧縮機セクション4を有しており、第1の圧縮機セクション4は第2の圧縮機セクション6に動作的に接続されている。第2の圧縮機セクション6は、燃焼器10を介してタービンセクション8に流体的に接続されている。第1の圧縮機セクション4および第2の圧縮機セクション6は、共通の圧縮機/タービンシャフト12を介してタービンセクション8に動作的に接続されている。第1の圧縮機セクション4は、取入口16を介して空気を受け取る入口15を有している。第1の圧縮機セクション4はまた、第2の圧縮機セクション6の抽気入口に抽気19を供給する抽気出口18も有している。第2の圧縮機セクション6を、燃焼器10に流体的に接続されている出口22を有するようにも示す。タービンセクション8を、燃焼器出口(別個には符号を付していない)に流体的に接続されている入口24と、排気筒30に至る出口または排気口26とを有するように示す。図示する例示的な実施形態によれば、抽気入口20に導入される前に抽気19から熱が除去される。熱は水回収システム40によって除去され、水回収システム40はまた、後により十分に説明するように、冷却塔蒸気から水を回収することに加えて、第1の圧縮機セクション4と第2の圧縮機セクション6との間を流れる抽気の温度を低下させる。
【0012】
図示するように、水回収システム40は1次冷却器または中間冷却器44を有し、それは、水ストリッパまたは水吸収器52を有する冷却塔50に至る第1の回路部46および第2の回路部48を有している。水ストリッパ52は、冷却塔50を通過する空気に含まれる湿気を取り除くかまたは吸収する。後により十分に説明するように、中間冷却器44において、第1の回路部46は、第2の回路部48から流体的に隔離されている。第1の回路部46および第2の回路部48は、冷却塔50に流体的に接続されている。第1の回路部46は、抽気19と熱交換関係にある液体乾燥剤を有している。後により容易に明らかとなるように、液体乾燥剤は、冷却塔50から来る蒸気から湿気を除去するように構成されている。例示的な実施形態によれば、液体乾燥剤は、ハロゲン化アルカリ水溶液、硝酸アルカリ水溶液またはグリコールの形態をとる。ハロゲン化アルカリには、臭化リチウム(LiBr)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化亜鉛(ZnCl2)、臭化亜鉛(ZnBr)等が挙げられる。硝酸アルカリには、硝酸カリウム(kNO3)、硝酸リチウム(LiNO3)等が挙げられる。グリコールには、エチレングリコール(C262)等が挙げられる。当然ながら、液体乾燥剤の特定のタイプを容易に変更することができることが理解されるべきである。
【0013】
第1の回路部46は、中間冷却器44からフラッシュドラム55に至る。冷媒または水を含んだ液体乾燥剤は、フラッシュドラム55の入口57から入る。フラッシュドラム55では、水を含んだ液体乾燥剤からの水は、急速に気化(フラッシュ)するかまたは蒸発して、濃縮溶液かまたは実質的に水を含まない液体乾燥剤を残す。実質的に水を含まないとは、フラッシュドラム55から出る液体乾燥剤の含水量が、フラッシュドラム55に入る液体乾燥剤の含水量の少なくとも0.4%未満であることであることが理解されるべきである。蒸気は、蒸気出口60からフラッシュドラム55を出て、実質的に水を含まない液体乾燥剤は、液体乾燥剤出口63からフラッシュドラム55を出る。
【0014】
実質的に水を含まない液体乾燥剤は、液体乾燥剤出口63から熱交換器68に進んだ。熱交換器68は、実質的に水を含まない液体乾燥剤内に含まれる熱を除去する。実質的に水を含まない液体乾燥剤は、熱交換機68から、ポンプ74によって液体乾燥剤噴霧部材71を通るように向けられる。液体乾燥剤噴霧部材71は、実質的に水を含まない液体乾燥剤を、冷却塔50から上方に流れる湿り空気内に分散する。実質的に水を含まない液体乾燥剤は、湿り空気に含まれる湿気を吸収し、水を含んだ液体乾燥剤になり、液体乾燥剤収集器80内に落ちる。ポンプ84が、水を含んだ液体乾燥剤を中間冷却器44の第1の回路46に押し戻す。
【0015】
さらに例示的な実施形態によれば、フラッシュドラム55から出る蒸気は濃縮器100に案内される。蒸気は、冷却されて補給水になる。そして、補給水は、ポンプ106により水噴霧部材104に送られる。この時点で、外部水供給導管108を介して水噴霧部材104に追加の補給水を供給してもよいことが理解されるべきである。補給水は、2次熱交換器または冷却器120上に落ちるかまたは噴霧される。2次冷却器120を用いて、第2の回路部48からの残りの熱が周囲に出るのが防止される。例示的な実施形態の一態様によれば、2次冷却器120は、蒸発性能を向上させるために利用されるウィッキング材料を含む。例示的な実施形態の一態様によれば、2次冷却器120の下方に収集トレー125が配置されている。収集トレーは、2次冷却器120から出る過剰な水を捕えるために配置されている。収集トレー125にはポンプ(図示せず)が流体的に接続され、任意の回収された水をたとえばポンプ106に再循環させるように動作する。別のポンプ130が、冷却水を中間冷却器44の第2の回路部48に押し戻す。この構成により、水回収システム40は、冷却塔から出る水の損失を低減するのみでなく、圧縮機抽出の温度を低下させる冷却も提供する。当然ながら、冷却塔に結合された中間冷却器(または等価の熱交換器)を、蒸気タービン凝縮器システム等の多種多様の施設で採用することができ、ターボ機械抽出を冷却することに限定されるようにみなすべきではないことが理解されるべきである。
【0016】
例示的な実施形態には、代替的な乾式冷却法に比較して利点がある。従来の乾式冷却システムは、中間冷却器を出る高温の冷媒を空冷式熱交換機に供給する。冷媒は、空冷式熱交換器において中間冷却器の必要な戻り温度まで冷却される。この目的で設計された空冷式熱交換器は、多くの場合、空気と冷媒の戻り温度との温度差が小さい、正常より高い温度を含む周囲条件に適するために、非常に大型かつ高価である。対照的に、例示的な実施形態では、空冷式熱交換器を、従来の乾式冷却システムで可能であるより高い出口温度で動作させることができる。たとえば、液体乾燥剤空気冷却器の出口温度は約122°F(50℃)である。これは、約102°F(38.9℃)である必要な中間冷却器戻り温度より大幅に高い。このように温度限界または駆動力が加わることにより、空気冷却器がより小型かつ安価となり、高気温での動作マージンが大きくなる。
【0017】
例示的な実施形態のさらなる利点は、動作条件の柔軟性である。たとえば、液体乾燥剤が冷却塔で用いられる水の略すべてを収集し、それにより必要な補給水が非常にわずかであるように、冷却システムを動作させることができる。しかしながら、本システムを、冷却塔において、液体乾燥剤によって収集されるより多くの水を用いる柔軟性があるように設計することができる。この動作は、システムを、最も困難な条件に対して設計される場合とは対照的に、年間を通じての性能に対して最適化することができるため、高気温において有用であり得る。
【0018】
本発明を、限られた数の実施形態にのみ関連して詳細に説明したが、本発明がこうした開示した実施形態に限定されないことが容易に理解されるはずである。むしろ、本発明を、上述していないが、本発明の趣旨および範囲に対応するさまざまな変形、改変、置換または等価な構成を組み込むように変更することができる。さらに、本発明のさまざまな実施形態について説明したが、本発明の態様は説明した実施形態のいくつかのみを含んでもよいことが理解されるべきである。したがって、本発明は、上述した説明によって限定されるものとみなされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0019】
2 ターボ機械システム
4 第1の圧縮機セクション
6 第2の圧縮機セクション
8 タービンセクション
10 燃焼器
12 共通の圧縮機/タービンシャフト
15、24、57 入口
16 空気取入口
18 抽気出口
19 抽気
20 抽気入口
22 出口
26 出口または排気口
30 排気筒
40 水回収システム
44 1次冷却器または中間冷却器
46 第1の回路部
48 第2の回路部
50 水冷却塔
52 水ストリッパまたは吸収器
55 フラッシュドラム
60 蒸気出口
63 液体乾燥剤出口
68 熱交換器
71 液体乾燥剤噴霧部材
74、84、106 ポンプ
80 液体乾燥剤収集器
100 濃縮器
104 水噴霧部材
108 外部水供給導管
120 2次熱交換器または冷却器
125 収集トレー
130 水ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却塔(50)用の水回収システム(40)であって、
第1の回路部(46)および第2の回路部(48)を有する中間冷却器部材(44)であって、前記第1の回路部(46)が液体乾燥剤を受け入れるように構成されかつ配置され、前記第2の回路部(48)が冷媒を受け入れるように構成されかつ配置される、中間冷却器部材(44)と、
前記第1の回路部(46)に流体的に接続された入口、蒸気出口(60)および液体乾燥剤出口(63)を有するフラッシュドラム(55)と、
前記フラッシュドラム(55)の前記蒸気出口に流体的に結合された濃縮器(100)であって、濃縮液出口を含む濃縮器(100)と、
前記フラッシュドラム(55)の前記液体乾燥剤出口(63)および前記濃縮器(100)に流体的に接続された冷却塔(50)であって、収集器部材を有する水ストリッパ(52)と、前記水ストリッパ(52)の下方に配置された熱交換器(68)とを有し、前記収集器部材が、水を含んだ液体乾燥剤を受け入れるように構成されかつ配置され、前記熱交換器(68)が、前記濃縮器(100)から補給水を受け入れるように構成されかつ配置された、冷却塔(50)と
を具備する水回収システム(40)。
【請求項2】
前記フラッシュドラム(55)の前記乾燥剤出口(63)と前記水ストリッパ(52)との間に流体的に接続された熱交換器(68)であって、前記フラッシュドラム(55)から前記水ストリッパ(52)に流れる液体乾燥剤の温度を低下させるように構成されかつ配置される熱交換器(68)をさらに具備する、請求項1記載の水回収システム(40)。
【請求項3】
前記第1の回路部(46)が、前記中間冷却器(44)において前記第2の回路部(48)から流体的に隔離されている、請求項1記載の水回収システム(40)。
【請求項4】
前記水ストリッパ(52)に配置された乾燥剤噴霧部材(71)であって、前記フラッシュドラム(55)の前記液体乾燥剤出口(63)に流体的に結合されている乾燥剤噴霧部材(71)をさらに具備する、請求項1記載の水回収システム(40)。
【請求項5】
前記水ストリッパ(52)に配置された水噴霧部材(104)であって、前記濃縮器(100)の前記濃縮液出口に流体的に結合されている水噴霧部材(104)をさらに具備する、請求項1記載の水回収システム(40)。
【請求項6】
前記水噴霧部材(104)が、前記補給水を前記熱交換器(68)に向ける、請求項5記載の水回収システム(40)。
【請求項7】
前記収集器部材が、前記第1の回路部(46)に流体的に接続されている、請求項1記載の水回収システム(40)。
【請求項8】
前記熱交換器(68)が、前記第2の回路部(48)に流体的に接続されている、請求項1記載の水回収システム(40)。

【図1】
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【公開番号】特開2012−145326(P2012−145326A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3674(P2012−3674)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】