説明

冷却方法とその器具及び装置

【課題】従来接触凍結器は主に接触率が高く取れる立方体や直方体に成形された加工食品の冷凍に使用されてきた。三枚おろしやコロや柵の魚肉も良質に冷凍できる接触冷凍器が望まれる。
【解決手段】不定型な魚肉でも表面に水の層を形成することで吸熱板との間隙の空気を追い出して高い接触率を得ることができる。また、吸熱板裏面に直接接するアルコール水溶液と厚み方向へ伸ばした放熱フィンとフィンの下端に接する空気を入れたバルンを設けた構造とすることで、アルコール濃度による凝固点温度で氷の融解潜熱を利用できるため小さな金属板でも熱容量を充分大きくすることができ、更に放熱フィンで蓄冷材下部まで氷を融かすことができる。また、バルン内の空気が水溶液凍結時に体積増加分を吸収するため容器内に蓄冷材を密封できる。大きな冷熱容量と小さな熱抵抗で安定して均一に被冷凍物を良質に凍結させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷却に関する技術分野。
【背景技術】
【0002】
現在、接触凍結器は立方体や直方体に成形された加工食品の冷凍に用いられている。しかし肉や魚など不規則な形状の食品の冷凍には、吸熱板に接触する面積を表面積で除した接触率が低いため接触凍結器はほとんど用いられていない。従来接触凍結法では、接触させる薄い吸熱板に接触させた管内に冷媒を循環させて吸熱板を−50℃付近にして被凍結物を包装なしで直接接触させて凍結させている。また同様に家庭用で、冷凍室の凍結用プレート裏面に蓄冷材を設けて接触凍結の効果を利用するものもある。また、特許文献1では、冷蔵室用蒸発器の除霜時の融解潜熱を用いて冷凍室の蒸発器からの冷媒の凝縮を行うことが記されている。また、特許文献2には蓄冷剤を冷凍室内に保持する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2008−45847号 公報
【特許文献2】 特開2010−43830号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の家庭や飲食店用の冷凍庫で品質の良い冷凍を少ない電気使用量で安価に実現できる手段が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の手段では、金属製の吸熱板を設けた接触凍結器であって、被凍結物またはその包装手段表面が乾燥しているものには表層に薄い液層を形成させ、表面に薄い液層を有した被凍結物またはその包装手段表面を被凍結物水分量の凝固熱量以上の冷熱容量を有した吸熱板に接触させて凍結させることを特徴とする。
【0006】
接触凍結器の汎用性が低い最大の理由は、食品の形状が不定形で吸熱板への接触率が低いためと、食品を包装して冷凍する場合が多く、その際、食品の包装手段である樹脂フィルムの熱抵抗が大きいため充分な速度で冷却することができないためである。しかし、本来金属製の吸熱板は氷に比較して充分に熱抵抗が低いため、吸熱側の冷熱容量が被凍結物の凍結に必要な熱量よりも充分大きい場合、接触率を考慮しなければ他の冷却方法に比べて最も速い速度で冷却することができる。肉や魚肉等の食品は弾力性があり、平坦な吸熱板上に置くと吸熱板に沿って変形する。しかし、食品の表面が乾燥している場合は、吸熱板と食品の間隙に空気層ができて実質の接触率を極端に低下させる。そこで、凍結時には包装手段なしで凍結するか、非常に薄い樹脂フィルムで包装するか、或いは金属箔で包装して食品や包装の表面に厚みの薄い水や食塩水や油などの液層を形成させることで食品・吸熱板間隙の空気を追い出して高い接触率を確保できる。また、食品を直接吸熱板に接触させる時に表層の水層が薄すぎると吸熱板に食品がくっついて、剥がす時に食品を損傷する可能性がある。しかし水層を適度に厚くすることで食品表面を保護することができる。
【0007】
第二の手段では、金属製吸熱板裏面に直接接する氷点降下作用のある溶液からなる蓄冷材を設け、吸熱板裏面に厚み方向に伸びる放熱フィンを設けたことを特徴とする。
【0008】
従来の凍結用プレートに蓄冷材(蓄冷剤が入った容器)を貼付けたものは、蓄冷剤を隔離するために金属プレートと蓄冷剤の間に樹脂容器を使用しており、熱抵抗が大きく充分な効果を得ることができない。その理由として食品の凍結は、通常は表面から凍結して氷が内部へ進行する。該プレートの場合、食品・金属プレート・樹脂容器・蓄冷剤で構成され、食品の中心部は凍結開始後常に既凍結の表層の氷を通じて熱の移動を行うため、食品・蓄冷剤間の熱伝達媒体の熱伝達率が食品表層氷の熱伝達率未満であると、熱の移動は高次遅れの熱時定数をもつこととなり、金属プレートの熱容量が小さい場合は、食品を吸熱する速度は樹脂容器壁の熱伝達率で律速される。但し、ここで述べる熱容量または冷熱容量とは、比重と比熱と温度差の積である。また、熱時定数は、熱容量と熱抵抗(熱伝達率と表面積の積の逆数)の積である。そこで、充分大きな熱容量をもった熱抵抗の小さい凍結プレートが望まれている。この課題を解決するためには、金属プレート部の熱容量を十分大きくするという方法もあるが、食品に含まれる水分の潜熱は大きく、家庭用冷蔵庫の冷凍室温度では凍結温度との温度差が小さいために、金属板の重量が非常に大きいものになってしまう。そこで、氷点降下作用がある溶液を凍結させて蓄冷剤とし、その融解潜熱を利用することで全体の重量を大幅に低減できる。さらに、該溶液は0℃未満でできるだけ低い温度で凍結するように濃度調製されているため、純水とは異なり溶液温度による比重変化の特異性がなく、上面から吸熱させて氷を融解させる場合は、氷が壁面に付着している場合が多く、下部壁面に付着した氷を対流による熱伝達で融解させることができない。純水を用いると融解時に対流が発生するが、融解温度は0℃であり、食品の平均的な凍結温度の−2℃以下にはできないため凍結のための吸熱剤として使用できない。この課題は、厚み方向に放熱フィンを配置することで解決できた。
【0009】
第三の手段では、蓄冷材容器内に空気を気密に収納する容器を容器下部に設けたことを特徴とする。
【0010】
また、溶液が水溶液の場合、凍結時の氷生成時に体積膨張するため密閉容器にすることは困難であった。体積膨張を吸収するために単に空気を入れると、空気が容器上部に溜まってしまうため最も温度の高い容器上面からの放熱効果を大きく妨げてしまう。そこで、放熱フィンの下部に容積可変の気密容器内に空気を入れて配置することで解決した。
【0011】
第四の手段では、金属製の落し蓋を凍結器の吸熱板に接触させて予冷して、吸熱板と対向する方向から被凍結物に接触させる接触凍結器であって、該落し蓋と吸熱板の間に、被凍結物の厚みよりも若干薄いスペーサを設けたことを特徴とする。
【0012】
予冷した大冷熱量の金属製落し蓋を食品上面に接触させ、下面からの吸熱板と該落し蓋で挟み込んで吸熱することでより速い速度で凍結させることができる。しかし、落し蓋の熱量を増大させるためには重量を大きくしなければならない。しかし、凍結時に食品が変形するほど圧力を掛けると解凍後のドリップ量が増加することが分った。そこで、凍結物の厚みよりも若干薄いスペーサを設けることで食品の変形を最小にして良質の冷凍を実現できた。
【0013】
第五の手段では、吸熱板上または側面に階段状のスペーサを設け、落とし蓋の側面に階段状スペーサの軸受部に支持されて落し蓋を支える支持具を設けたことを特徴とする。
【0014】
吸熱板上または側面に階段状のスペーサを設け、落とし蓋の側面に階段状スペーサの軸受部に支持されて落し蓋を支える支持具を設けることで落し蓋を前後に移動させるだけで高さの調節ができる。更に多種の厚みのスペーサの保管場所を節約することができる。
【0015】
第六の手段では、スペーサの材質を遠赤外線吸収素材で構成するか、またはスペーサ内壁面に遠赤外線吸収素材を設けたことを特徴とする。
【0016】
多くの冷凍庫内の壁面材質は樹脂製であり、食品表層部の凍結時に放射される遠赤外線を容易に吸収するが、接触凍結器は吸熱板に金属を用いるため遠赤外線を反射して食品表面に戻して凍結速度を落としてしまう。そこで、遠赤外線は金属以外の材質には吸収されてしまうため、スペーサ内壁面に金属以外の材質の層を設けることで解決した。
【0017】
第七の手段では、冷蔵庫や冷凍庫内に設けた冷却手段を有した接触凍結器において、冷却時の吸熱にともなう熱を冷凍庫内の氷または氷と液体の混合物を蓄冷材とし、放熱手段を該蓄冷材に接触させて放熱させることを特徴とする。
【0018】
冷却手段を設けた接触凍結器の冷却時の熱を庫内の氷または氷と液体の混合物に放熱することで、氷の潜熱を利用して大きな吸熱を実現できる。また、氷の潜熱放出時の温度は純水では0℃であり、冷蔵庫の凝縮器が利用する庫外の空気の温度よりも遙かに低いことと、氷や水の比熱が空気よりも大きいため接触凍結器の吸熱板温度を庫内温度よりも大幅に下げることができ、良質の冷凍を実現できる。
【0019】
第八の手段では、蒸発器の除霜時に冷凍サイクルを反転させて除霜する庫内に接触凍結器を設けた冷蔵庫または冷凍庫において、除霜運転時、蒸発器に着霜した霜を蓄冷材とし、冷媒の流れを庫外の凝縮器から庫内に設けた接触凍結器の蒸発器に弁で切り替えて庫内の吸熱板の冷却を行うことを特徴とする。
【0020】
庫内に設けた蒸発器付きの接触凍結器の冷媒の放熱を冷蔵庫や冷凍庫内の蒸発器に着霜した氷の融解潜熱を用いて行うことで、余分な電力を消費せずに良質な冷凍を行うことができる。
【0021】
第九の手段では、着霜量を推測する手段を設け、接触凍結に必要な冷熱容量になると除霜運転を開始することを特徴とする。
【0022】
蒸発器の着霜量の予測は現在、一定の除霜間隔をあけて除霜するか、あるいはドアの開閉を積算して除霜を制御している。更に蒸発器に設けた温度センサで一定時間内の温度変化量を比較して予測している。これらの予測手段を用いて接触凍結に必要な着霜量に達したかどうかを予測して、除霜すると同時に接触凍結器に設けた冷却手段の放熱を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
被凍結物やその包装表面に薄い液層を形成することで、接触凍結器の吸熱板との間隙にある空気層を追い出して接触率を大幅に向上させることができる。また、接触凍結器に冷却手段を設けて冷蔵庫や冷凍庫内の氷に放熱することで、吸熱板を大幅に低温にすることができる。除霜時の潜熱を利用すれば消費電力の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】凍結器具を説明する断面説明図
【図2】凍結装置を説明する説明図
【図3】凍結装置を説明する説明図
【図4】凍結装置を説明する断面説明図
【図5】凍結装置を設けた冷蔵庫の説明図
【図6】凍結装置を説明する断面説明図
【図7】スペーサを設けた凍結装置を説明する説明図
【図8】図7の上面平面図
【図9】スペーサを設けた接触凍結器の断面説明図
【図10】スペーサの上面説明図
【図11】ペルティエユニットと蓄冷材の断面説明図
【図12】接触冷媒の違いによるドリップ率のグラフ
【図13】表面水層の有無によるドリップ率のグラフ
【図14】加圧変形の有無によるドリップ率のグラフ
【図15】エタノール水溶液の濃度と凝固点を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第一の形態を図で説明する。図1は本発明の肉及び魚介類用の接触凍結器具を説明する断面説明図である。101は上面鏡面仕上げの金属製吸熱板、102は蓄冷剤、103は蓄冷材壁面、104は放熱フィン、105はバルン、106は空気である。図12、図13及び図14は1.5重量%の寒天水溶液に水重量に対して7重量%の粉末にした高野豆腐を混合し、冷却固化後直径約1cm、高さ約1cmの円柱形に抜き型で成形したものをドリップ測定用サンプルとし、重量を計測し、各実験条件で袋などの包装手段を用いずに裸で凍結後、凍結状態のままスイングローター式の遠心器で220G・40分間遠心して解凍し、再び重量計測して、初期重量と遠心解凍後の重量の差を初期重量で除した値をドリップ率として比較した。図13は30分間室内で放置して表面を乾燥させた測定用サンプルに一方は綿棒で表層部に水を濡らして−60℃の冷凍庫内に予冷した400gのアルミ板に接触凍結、他方はそのまま該アルミ板に接触凍結させた。図15はエタノール水溶液の濃度と凝固点を示したグラフである。
【0026】
本形態の凍結器具は、家庭用冷蔵庫の冷凍室や飲食店用の冷凍庫等−20℃付近の比較的高い温度で使用する接触凍結器具である。蓄冷剤(102)に22重量%のエタノール水溶液を用いることで凝固点が−15℃付近の蓄冷剤となる。本水溶液は、4℃最密充填の純水とは異なり、より低温の液体密度が大きいため、上部より吸熱した場合に対流による熱の拡散が充分に望めない。しかし、放熱フィン(104)を設けることで下部まで熱を伝えるため生成された下部に付着した氷を融解させることができ、融かし残りが少なくなるため実質利用可能な吸熱容量を大きくすることができる。また、空気(106)を入れたアルミ蒸着バルン(105)を放熱フィン(104)の下部に設けることで、水溶液中に氷が生成することによる体積膨張を吸収するため、吸熱板を変形させずに水溶液を容器内に密封することができる。また、空気を気密性の高いアルミ蒸着バルンに入れることで長期間空気を下部に留めることができる。使用法は、本凍結器具を−20℃付近の家庭用冷蔵庫の冷凍室に入れて蓄冷剤(102)を凍結させる。三枚におろした魚肉を水洗いして軽く水を切り、表層に水の膜ができた状態で皮側を上にして肉側を鏡面仕上げした金属製吸熱板(101)に接触させて凍結させる。凍結完了後、木製のヘラで吸熱板から冷凍品を剥がす。その後、真空包装してから冷凍保管庫に収納する。この折、魚肉を包装用樹脂フィルムで包装し、吸熱板(101)上にコーン油、椿油やクルミ油などの低融点食用油を数滴落としてから吸熱板に接触させて凍結しても良い。表面に液体の薄い層を作ることで接触率が上がり、図13に示す如く水の層を形成させた方がドリップ率が低下した。また、より低温で使用する場合は、図15により使用温度よりも約5℃〜10℃高い凝固点温度になるような蓄冷剤濃度とする。
【0027】
本発明の第二の形態を図で説明する。図2は本発明の凍結装置の冷媒サイクルを示した説明図である。201は凝縮器、202は逆止弁、203は切替弁、204はキャピラリー、205は逆止弁、206はキャピラリー、207は主蒸発器、208は補助凝縮器、209は切替弁、210は圧縮機、211は四方弁、212は切替弁、213は冷凍用蒸発器である。図5は凍結装置を設けた冷蔵庫の説明図である。501は冷蔵室、502は冷凍室、503は製氷室、504は前面操作パネル、505は冷凍保管室である。図6は図2及び図5の冷蔵庫用蒸発器及び冷凍用凝縮器の断面説明図である。601は凍結室蓋、602は吸熱金属板、603は冷凍用蒸発器、604は氷、605は補助凝縮器である。図12は被凍結物に接する冷却媒体の違いによるドリップ率を示した。■は予冷した樹脂板に片面を接触させて凍結させたもののドリップ率、□は予冷した400gのアルミ板に片面を接触凍結させたドリップ率、▲はエタノールブライン中に浸漬して凍結させたドリップ率、△はアイススラリー中に浸漬して凍結させたドリップ率である。
【0028】
本形態では、図5の冷蔵庫中の冷凍室(502)に図6の接触凍結器が設けられている。冷凍室(502)は、冷凍保管室(505)と通風路を共有しており常に冷凍保管庫とほぼ同じ温度に保たれている。冷凍室(502)の蓋(601)は、冷蔵室(501)内右下床に設けられ、蓋(601)内部には上面を鏡面加工した吸熱金属板(602)と図2に示した冷媒サイクルの冷媒を蒸発させる冷凍用蒸発器(603、213)と凍結室下部には氷(604)と補助凝縮器(605、208)が設けられている。冷蔵庫の扉の開閉回数や時間を積算して主蒸発器(207)に着霜したと判断されると四方弁(211)を切り替えると同時に切替弁(212)及び切替弁(203)も切り替えて主蒸発器にホットガスを流して除霜すると同時に冷凍用蒸発器(213、603)で冷媒を蒸発させて吸熱金属板(602)を低温に冷却する。吸熱金属板はできるだけ大きな熱容量を持たせることで初期の吸熱速度を上げることができ、一旦食品表層が凍結すると氷は水の4倍の熱伝導率を持つため凍結時間を短縮することができる。更に、主蒸発器の除霜が終了すると切替弁(209)を切り替えてホットガスを補助凝縮器(208、605)に流すことで冷凍用蒸発器(213,603)を継続して冷却することができる。図12に示した如く、−20℃よりも低い温度帯では金属板接触凍結が樹脂板上での凍結よりもドリップが少なく、包装なしでの凍結のアイススラリーやブラインでの凍結に近い値が得られた。
【0029】
本発明の第三の形態を図で説明する。図3は他の凍結装置の冷媒サイクルを示した説明図である。301は冷蔵庫用凝縮器、302は冷蔵庫用蒸発器、303はキャピラリー、304は除霜用凝縮器、305は補助凝縮器、306はキャピラリー、307は冷凍用蒸発器、308は冷凍機用圧縮機、309は切替弁、310は熱交換器、311は冷蔵雇用圧縮機である。図4は図3の冷蔵庫用蒸発器と熱交換器と除霜用凝縮器及び冷凍用凝縮器の断面説明図である。401は蒸発器+熱交換器+凝縮器、402は霜受け、403は氷、404は凝縮器、405はドレン管である。図5は凍結装置を設けた冷蔵庫の説明図である。
【0030】
本形態では図5の冷蔵庫に図3の冷媒サイクルを組み込んだもので、除霜用凝縮器(304)と蒸発器(302)は同じ熱交換用フィン(310)上に実装されて図4の蒸発器+熱交換器+凝縮器(401)となっている。通常運転時は圧縮機(311)を運転し、蒸発器(302)で冷蔵庫内を冷却している。401に着霜すると圧縮機(308)が運転され凝縮器部(304)にホットガスが流れて熱交換器(310)を通して加熱され除霜される。同時に冷凍用蒸発器(307)で冷媒が蒸発し、蒸発器(307)に接する吸熱板(図示せず)を冷却する。
【0031】
本発明の第四の形態を図で説明する。図5は凍結装置を設けた冷蔵庫の説明図である。図7は図5の冷凍室に設けた凍結器具とスペーサを説明する側面説明図である。701は木製の柄、702は断熱材、703は支持棒、704は金属板、705は被冷却物、706は階段状のスペーサ、707は吸熱金属板である。図8は図7の上面平面図である。801は支持棒、802は階段状のスペーサ、803は木製の柄、804は片面断熱金属板、805は吸熱金属板である。図14は一方に50gの樹脂板を乗せて加圧変形させ、他方は樹脂板を乗せずに接触凍結し、ドリップ率を比較したグラフである。
【0032】
本形態は接触凍結器に設けるスペーサの一例を示す。図14に示したように変形するまで加圧するとドリップが多くなることから、できるだけ変形しないようにしなければならない。そこで、図7、図8のスペーサを設けることで前後に位置をずらすだけで高さの調整が可能となり大きな熱容量即ち重い重量の金属板(704、804)を落し蓋にして食品(705)上部に接触させても大きな変形を防止し、上下両面からの冷却でより速い凍結速度を実現し、良質な冷凍が可能となる。
【0033】
本発明の第五の形態を図で説明する。図5は凍結装置を設けた冷蔵庫の説明図である。図9は図11の吸熱板(1101)上に設けたスペーサを説明する側断面説明図である。901は位置決め穴、902はスペーサ、903は位置決め用貫通棒である。図10は図9の上面平面図である。1001は位置決め穴、1002はスペーサ、1003は樹脂フィルムである。図11は図5の冷凍室に設けたペルティエユニットを用いた接触凍結装置の断面説明図である。1101は吸熱板、1102はペルティエユニット、1103は温度センサ、1104は放熱板、1105は蓄冷剤、1106は蓄冷材壁面、1107は放熱フィン、1108はバルン、1109は空気である。
【0034】
本形態では図5の冷凍室に設けたペルティエユニットを用いた接触凍結装置とスペーサである。吸熱板(1101)上に厚さ4mm、8mm、16mm、32mmのアルミ製スペーサ(902、1002)を貫通棒(903)と位置決め穴(901、1001)で重ねて使用することで4〜60mmまでの厚み調製ができる。食品をスペーサ(902、1002)の樹脂フィルムを貼っていない面に接触させることで、上から金属の落し蓋(図示せず)と下の吸熱板(1101)の3面に接触させることでより接触率を大きくすることができる。また、樹脂フィルム(1003)を貼ることで食品表面の凍結時に放出する遠赤外線の金属面からの反射を吸収することができ、反射した遠赤外線が食品に戻る量を低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
食品や細胞、臓器の冷凍に応用できる。
【符号の説明】
【0036】
101、602、707、805、1101、1104 吸熱板
102、1105 蓄冷剤
103、1106 蓄冷材壁面
104、1107 放熱フィン
105、1108 バルン
106、1109 空気
201、208、301、304、305、404、605 凝縮器
202、205 逆止弁
203、209、212、309 切替弁
204、206、303、306 キャピラリー
207、213、302、307、603 蒸発器
210、308、311 圧縮機
211 四方弁
310 熱交換器
401 蒸発器+熱交換器+凝縮器
402 霜受け
403、604 氷
405 ドレン管
501 冷蔵室
502 冷凍室
503 製氷室
504 前面操作パネル
505 冷凍保管室
601 凍結室壁面
701、803 木製の柄
702 断熱材
703、801 支持棒
704、804 片面断熱金属板
705 被冷却物
706、802、902、1002 スペーサ
901、1001 位置決め穴
903 位置決め用貫通棒
1003 樹脂フィルム
1102 ペルティエユニット
1103 温度センサ
Re ドリップ率
■ 予冷した樹脂板に片面を接触させて凍結させたもののドリップ率
□ 予冷した400gのアルミ板に片面を接触凍結させたドリップ率
▲ エタノールブライン中に浸漬して凍結させたドリップ率
△ アイススラリー中に浸漬して凍結させたドリップ率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の吸熱板を設けた接触凍結器であって、被凍結物またはその包装手段表面が乾燥しているものには表層に薄い液層を形成させ、表面に薄い液層を有した被凍結物またはその包装手段表面を被凍結物水分量の凝固熱量以上の冷熱容量を有した吸熱板に接触させて凍結させることを特徴とする冷却方法とその器具。
【請求項2】
金属製吸熱板裏面に直接接する氷点降下作用のある溶液からなる蓄冷材を設け、吸熱板裏面に厚み方向に伸びる放熱フィンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷却方法とその器具。
【請求項3】
蓄冷材容器内に空気を気密に収納する容器を容器下部に設けたことを特徴とする請求項2に記載の冷却方法とその器具。
【請求項4】
金属製の落し蓋を凍結器の吸熱板に接触させて予冷して、吸熱板と対向する方向から被凍結物に接触させる接触凍結器であって、該落し蓋と吸熱板の間に、被凍結物の厚みよりも若干薄いスペーサを設けたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の冷却方法とその器具。
【請求項5】
吸熱板上または側面に階段状のスペーサを設け、落とし蓋の側面に階段状スペーサの軸受部に支持されて落し蓋を支える支持具を設けたことを特徴とする請求項4に記載の冷却方法とその器具。
【請求項6】
スペーサの材質を遠赤外線吸収素材で構成するか、またはスペーサ内壁面に遠赤外線吸収素材を設けたことを特徴とする請求項4または5に記載の冷却方法とその器具。
【請求項7】
冷蔵庫や冷凍庫内に設けた冷却手段を有した接触凍結器において、冷却時の吸熱にともなう熱を冷凍庫内の氷または氷と液体の混合物を蓄冷材とし、放熱手段を該蓄冷材に接触させて放熱させることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の冷却方法とその装置。
【請求項8】
蒸発器の除霜時に冷凍サイクルを反転させて除霜する庫内に接触凍結器を設けた冷蔵庫または冷凍庫において、除霜運転時、蒸発器に着霜した霜を蓄冷材とし、冷媒の流れを庫外の凝縮器から庫内に設けた接触凍結器の蒸発器に弁で切り替えて庫内の吸熱板の冷却を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の冷却方法とその装置。
【請求項9】
着霜量を推測する手段を設け、接触凍結に必要な冷熱容量になると除霜運転を開始することを特徴とする請求項8に記載の冷却方法とその装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−255640(P2012−255640A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201122(P2011−201122)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(507275604)株式会社ミツヤコーポレーション (10)
【Fターム(参考)】