説明

冷却装置およびそれを用いた発熱体収納装置

【課題】本発明は、熱交換型の冷却装置とそれを用いた発熱体収納装置に関するもので、装置全体の小型化を目的とする。
【解決手段】本体ケース12は、背面側の背板12aと、背板12aに固定された枠体12dと、この枠体12dの前面と底面を覆う前面カバー12bと、送風ファン13を覆うファンケーシング12cとで構成され、前面カバー12bには、第1吹出口9となる開口を設け、この開口の周囲に吹出し下流側に向けた折曲部33を設け、この折曲部33と熱交換器14間で形成された略90度の壁部にコーキング処理(コーキング34)を施したものであるので、熱交換装置本体の防水、防塵性能の向上を図るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換型の冷却装置とそれを用いた発熱体収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話の基地局は、数十アンペア以上の電流が流れることから、ある点では発熱体とも表現される。つまり、冷却をすることがその動作を安定化させるためには極めて重要なものとなる。このような携帯電話の基地局はその冷却を行う為に次のような構成をとっている(図13参照)。
【0003】
すなわち、発熱体となる送・受信機を収納したキャビネットと、キャビネットの開口部に装着された熱交換装置101とを備えた構成となっている。そして、図13に示すように、熱交換装置101の構造としては、外気用の第1吸込口107と第1吹出口108およびキャビネット内用の第2吸込口109および第2吹出口110を有する本体ケース111と、この本体ケース111内に設けられた外気用の第1送風機112およびキャビネット内用の第2送風機113と、前記本体ケース111内において室外空気とキャビネット内空気との熱交換を行う熱交換器114とを備えている。さらには、送風機(第1送風機112、第2送風機113)と制御回路115とを別の区画に設け、制御回路115は、塵埃を含んだ外気空気を送風する第1送風機112側ではなく、キャビネット側の第2送風機113に隣接して設けられていた(なお、これに類似する先行文献としては特開平10−190270号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−190270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の熱交換装置101においては、1つの本体ケース111内に2つの送風機、すなわち、外気用の第1送風機112とキャビネット内用の第2送風機113と、熱交換器114とを収納した構成となっており、携帯電話の基地局の送・受信機116に隣接した構成となっている。一方、送・受信機116は、数十アンペアの電流が流れ、水、粉塵から保護する保護が必要となる為、熱交換装置本体に対しても、防水、防塵性能を確保することが要求されている。
【0006】
そこで、本発明は、熱交換装置本体の防水、防塵性能向上を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成する為に本発明は、
前面に第1環境用の第1吸込口と第1吹出口を設け、背面に第2環境用の第2吸込口および第2吹出口を設けた本体ケースと、この本体ケース内に設けられた第1環境用の送風ファンと、前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、前記本体ケースは、背面側の背板と、前記背板に固定された枠体と、この枠体の前面と底面を覆う前面カバーと、送風ファンを覆うファンケーシングとで構成され、前記前面カバーには、前記第1吹出口となる開口を設け、この開口の周囲に吹出し下流側に向けた折曲部を設け、この折曲部と前記熱交換器間で形成された略90度の壁部にコーキング処理を施したものであり、これにより、所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、
前面に第1環境用の第1吸込口と第1吹出口を設け、背面に第2環境用の第2吸込口および第2吹出口を設けた本体ケースと、この本体ケース内に設けられた第1環境用の送風ファンと、前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、前記本体ケースは、背面側の背板と、前記背板に固定された枠体と、この枠体の前面と底面を覆う前面カバーと、送風ファンを覆うファンケーシングとで構成され、前記前面カバーには、前記第1吹出口となる開口を設け、この開口の周囲に吹出し下流側に向けた折曲部を設け、この折曲部と前記熱交換器間で形成された略90度の壁部にコーキング処理を施したので熱交換装置本体の防水、防塵性能向上を図るものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の設置例を示す斜視図
【図2】同熱交換装置、発熱体収納装置の断面図
【図3】同熱交換装置の斜視図
【図4】同熱交換器の外観斜視図
【図5】同熱交換器の板体の重合状態を表す図
【図6】同熱交換器の板体B、板体Aの平面図
【図7】同熱交換器の板体の重合状態を表す詳細図
【図8】同熱交換装置の本体ケース組図
【図9】同熱交換装置の本体ケース断面図
【図10】同熱交換装置の第1吹出口斜視図
【図11】同熱交換装置の第1吹出口断面図
【図12】同循環ファンの斜視図
【図13】従来の熱交換装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1において、1はビルディングを示し、その屋上2には携帯電話の基地局3が設けられている。基地局3は箱状のキャビネット4とこのキャビネット4内に設けた送・受信機5と前記キャビネット4の前面開口部には、開閉自在のドア7を設け、このドア7に熱交換装置6が取り付けられている。
【0012】
この熱交換装置6は、図2、図3に示すように、外気(第1環境)用の第1吸込口8と第1吹出口9およびキャビネット4内(第2環境、以降、内気と呼ぶ)用の第2吸込口10および第2吹出口11を有する本体ケース12と、この本体ケース12内に設けられた外気用の送風ファン13と、前記本体ケース12内において外気と内気との熱交換を行う熱交換器14とを備えている。
【0013】
図4〜図6に示すように、熱交換器14は、略長方形の合成樹脂製で、2種類の板体(板体A15a、板体B15b)を交互にそれぞれ所定間隔を離した状態で複数枚重合させた構成としている。この板体の表面には、その表面をレーン状に仕切る複数の整流壁(整流壁A21a、整流壁B21b)をそれぞれ設けている。すなわち、板体A15a、板体B15bを重合させたときに、板体間には、整流壁A21a、整流壁B21bによって送風レーンが形成されるのである。
【0014】
さらに詳しく説明する。まず、板体A15a側の送風レーンは、下部短辺側に設けられた流入口(後述する第1流入口14a)から流入し、その表面のL字型の整流壁A21aに沿って上部短辺側に向けて進む。そして、上部短辺側の手前で一方の長辺側に湾曲して、一方の長辺上部側に設けられた流出口(後述する第1流出口14b)につながっている。この板体A15a上に形成される送風レーン内を外気(第1環境の空気)が通過することになる。
【0015】
また、板体B15b表面には、その長辺側を底にしたU字型の整流壁B21bが複数設けられている。つまり、板体B15b表面の送風レーンでは、その表面のU字型の整流壁B21bに沿って、一方の長辺側上部を流入口(後述する第2流入口14c)として流入し、短辺に沿って進んだ後、他方の長辺側で湾曲する。そして、長辺に沿って進み、下部短辺側で湾曲した後、流入口と同じ長辺の下部に設けた流出口(後述する第2流出口14d)から流出する。この板体B15b上に形成される送風レーン内を内気(第2環境の空気)が通過することになる。
【0016】
このような板体(板体A15a、板体B15b)を重合した熱交換器14は、図2、4に示すように、底面を外気側の第1流入口14a(第1環境用空気吸込口)とし、外気側の流出口(第1流出口14b)は、一つの側面上部に設けられ、第1吹出口9と接続されている。第1流出口14bと対向した位置に内気側の第2流入口14c(第2環境用空気吸込口)が形成される。そして、内気側の流出口(第2流出口14d)は、第2流入口14cと同じ面の下部に設けられ、第2吹出口11と接続されている。
【0017】
そして、図2に示すように、外気用の送風ファン13は、第1流入口14aに向けて空気を送り込むような位置に設けられている。一方、キャビネット4内用の空気の第2流入口14cには、キャビネット4の上部に設けられた内気用の循環ファン17からキャビネット4内の暖められた空気が送り込まれる。
【0018】
次に、熱交換装置6の作用について説明する。キャビネット4内で送・受信機5によって高温となった空気(内気)は、キャビネット4内の天面付近に設けられた循環ファン17によって熱交換装置6の第2吸込口10から熱交換器14内へと送り込まれる。キャビネット4の高温空気は、第2吸込口10に流入した後すぐに熱交換器14内に流入する。一方、冷たい外気は、送風ファン13の運転によって第1吸込口8から吸い込まれ、熱交換器14の第1流入口14aへと送られる。熱交換器14では、冷たい外気と高温の内気との間で熱交換が行われ、冷やされた内気は、第2吹出口11からキャビネット4内に吹き出され、外気は、第1吹出口9より再び外気へと放出されることになる。
【0019】
このような構成によれば、長方形の板体(板体A15a、板体B15b)を用いているので、熱交換を行う面積を確保して効率のよい熱交換装置6となっている。そして、U字型の内気側送風レーンによって、キャビネット4側面から高温空気を吸い込んで、キャビネット4側面に吹き出す構成が実現できている。さらに、循環ファン17は、回転軸をキャビネット4の天面に対して鉛直に設けていることもあって、縦方向の大きさを抑えたコンパクトな熱交換装置6となっている。
【0020】
また、図6に示すように、板体B15bには、板体の外周側であって、U字型の送風レーンの外周側となる三辺に遮蔽壁22aが設けられている。そして、残りの一辺(長辺)の中央部に遮蔽壁22bが設けられている。すなわち、この遮蔽壁22aと遮蔽壁22bの間に第2流入口14cと第2流出口14dが形成される。そして、遮蔽壁22aの下部、すなわち、最も外側の送風レーンの第2流出口14dの手前となる部分では、第2流出口14dに向かって登り勾配が設けられ、液溜部23が形成される。
【0021】
このような構成による作用について説明する。キャビネット4内で暖められた高温の内気は、熱交換器14内で外気との熱交換により冷却される。このとき、内気中に含まれる水分が結露することがある。あるいは、循環ファン17によって水分が熱交換器14内に送り込まれることがある。液溜部23は、熱交換器14内の水分をトラップして熱交換器14外へ流出しないようにしている。そして、水の浸入によるキャビネット4内の電子機器が誤動作、あるいは、故障することを防止しているのである。
【0022】
また、板体A15aには、板体の外周側であって、L字型の送風レーンの湾曲外側となる短辺と長辺にわたって遮蔽壁22cが設けられている。そして、もう一方の長辺の一部に遮蔽壁22dが設けられている。すなわち、この遮蔽壁22cと遮蔽壁22dとの間に第1流入口14aと第1流出口14bが形成される。
【0023】
このような板体A15a、板体B15bを重合したときには、送風レーンから熱交換器14外へ空気が漏れないようにその周囲を熱溶着している。すなわち、遮蔽壁22a、遮蔽壁22b、遮蔽壁22c、遮蔽壁22dとが重なり合った部分を熱溶着するのである。このとき、溶着面全体を一度に溶着すると、熱交換器14全体のサイズ精度が悪くなったり、溶着が不十分になる。そこで、図4に示すように、溶着面に、板体の重合方向に直線状の溶着線14eで仮留めした後、溶着面全体を溶着している。このような方法によって、熱交換器14のサイズ精度を確保するとともに、溶着を完全に行って漏れのない熱交換器14を作ることができる。さらに、熱溶着後の接合面には、アクリルウレタン樹脂剤などによって、防水コーティングを施し、熱交換器14内に水分が浸入しないようにしてある。
【0024】
また、熱交換器14は、板体A15a、板体B15bを交互に重合すると前述したが、図5に示すように、重合方向の端部では同じ板体を複数枚連続して重合してもよい。例えば、端部においては板体A15aを2枚重ねる、あるいは、板体B15bを2枚重ねるのである。板体A15a、板体B15bは、合成樹脂製の薄いシートであるため、重合したときに端部の1枚は変形しやすくなっている。そこで、同じ形状の板体を複数枚重ねて構成することによって端部の強度を確保し、変形し難くするのである。
【0025】
また、図7に示すように、板体B15bの遮蔽壁22bは、板体A15aの遮蔽壁22cと嵌合しあう。このとき、遮蔽壁22cには、遮蔽壁22b全体に差し込まれる突起部22c−1が形成され、遮蔽壁22bには、遮蔽壁22cに差し込まれる複数の突起部22b−1が形成されている。突起部22b−1は、少なくとも遮蔽壁22bの両端に設けられている。すなわち、遮蔽壁22bには高い部分(突起部22b−1)と低い部分がある。そして、この遮蔽壁22bと遮蔽壁22cが嵌合するときには、遮蔽壁22bの突起部22b−1の頂部が遮蔽壁22cの突起部22c−1の内側の頂部に当接し、遮蔽壁22cの突起部22c−1の頂部が遮蔽壁22bの低い部分に当接するのである。そして、第2流入口14c、第2流出口14dの遮蔽壁22b側端部では、突起部22c−1と突起部22b−1とが当接して強固な重合状態となり、第2流入口14c、第2流出口14dを精度よく形成しているのである。このような形態は、他の流入口、流出口においても同様の構成となっており、流入口、流出口の端部に強固な重合状態を形成している。
【0026】
次に、本体ケース12について図8〜11を用いて説明する。
【0027】
図8に示すように、本体ケース12は、背面側の背板12aと、前面側(枠体の前面側とも表現できる)に設けられた前面カバー12bと、送風ファン13を覆うファンケーシング12cとで構成されている。背板12aには、熱交換器14をはめ込む枠体12dが設けられている。この枠体12dは熱交換器14の流入口・流出口のない天面、側面を覆っており、熱交換器14の流出口付近の両側面の下方部に水抜き穴12eを備えている。そして、図9に示すように、背板12aには、第2流入口14c、第2流出口14dに対向して第2吸込口10、第2吹出口11が設けられている。第2流入口14c、第2流出口14dと第2吸込口10、第2吹出口11との間にはそれぞれパッキン26、パッキン27を設けて機密性を確保している。さらに、熱交換器14の底面が接する部分には、前面側に下り勾配を持つVリブ28を設ける。また、枠体12dは、前面側の端部に外側に張り出したフランジ形状を有し、前面カバー12bを固定する場合には、前面側から背面側へとネジどめなどで固定する。
【0028】
次に、前面カバー12bは、熱交換器14の前面と底面を覆う形状で、熱交換器14を背板12aに押さえ込むようにして取り付けられる。前面上部には、第1流出口14bに対応して第1吹出口9が設けられ、底面には、第1流入口14aに対応して第1吸込口8が設けられている。前面カバー12bの底面端部には、前述したVリブ28に対応するようにV字曲部29が設けられている。そして、第1吸込口8の外周内面側にはパッキン30が設けられている。
【0029】
このような本体ケース12において、熱交換器14を取り付ける際の作用について説明する。まず、熱交換器14は、底面の背面側の辺をVリブ28の基部に当接するようにして枠体12d内に納められる。そして、前面カバー12bを熱交換器14の前面側から取り付ける。この取り付けの際には、前面カバー12bと枠体12dとをネジ止めなどによって固定するとき、背板12a側に熱交換器14を押し付けるとともに、Vリブ28の前面側の面と、前面カバー12bに設けられたV字曲部29とが当接し、背面側へ押し付ける力を上方側へも分散する。従って、熱交換器14は、背面側、上方側両方向に押し付けられて、パッキン26、パッキン27、パッキン30を押し付けて密閉することになる。
【0030】
また、第1吸込口と第1環境用ファン、第2吸込口と第2環境用ファンが連結されて熱交換器14に空気を送り込む構成である為、本体ケース12の内部は陽圧となる。パッキンの隙間等を通じて本体ケース内に水が侵入したとしても、枠体12dの側面下部に備える水抜き穴から陽圧空気によって水が押し出され、下流に位置する本体ケースの第2吹出口からは、水が流出しないようにしている。そして、水の侵入によるキャビネット内への電子機器が誤動作、あるいは、故障することを防止しているのである。
【0031】
また、枠体12dは、外周側に張り出したフランジ形状を有し、このフランジで前面カバー12bを受けてネジあるいはリベットで固定される。すなわち、ネジ(あるいはリベット)と熱交換器14とは干渉しない位置関係になるので、熱交換器14を傷つけることなく取り付け・取り外しが可能になる。
【0032】
また、図8に示すように、送風ファン13は、台形型のファンケーシング12cで覆われている。このファンケーシング12cは、台形の一面を吸込口とし、台形の長い底辺側の側面を第1流入口14aに向け、これらの2面を開口しているものである。そして、送風ファン13は、ターボ型の遠心送風機であって、回転軸がファンケーシング12cの吸込口(となる面)に鉛直方向に設置されている。このようなファンケーシング12cによれば、遠心型の送風ファン13から吹き出す空気は、ファンケーシング12cの側面に衝突し、下底面(台形の短い辺側)側で昇圧し、上底面(台形の長い辺側)に設けられた第1流入口14aへと空気が流れる。このとき、吹出し側(第1流入口14a側)が拡がった台形状になっているので、空気のよどみを少なくして効率よく熱交換器14へと流入させることになる。
【0033】
また、ファンケーシング12cの底面付近には、ドレン孔31が設けられ、装置内に浸入した水分を排出する。このドレン孔31は送風ファン13の回転方向前方側に設けられ、スムーズに水分を排出できるようになっている。
【0034】
図10、11に示すように、前面カバー12bには、前述したように第1吹出口9が設けられ、熱交換器14の第1流出口14bと連通している。この第1吹出口9には、ルーバー32が取り付けられている。このルーバー32は、吹出し空気が通過するフラップ部32aと、このフラップ部の周囲に設けられた前面カバー12bに取り付ける枠部32bとで構成されている。枠部32bとフラップ部32aとの間には、前面カバー12b側に溝部32cが設けられている。そして、前面カバー12bの第1吹出口9のまわりには、前記溝部32cと嵌合する折曲部33が設けられている。このような第1吹出口9では、折曲部33の頂部がルーバー32に設けた溝部32cの底(ルーバー32の前面側になる)に当接するように、折曲部33が溝部32cに嵌合する。さらに、折曲部33と熱交換器14との間は、コーキング34を施し、前面カバー12b内に水滴が浸入しないようになっている。また、折曲部33と熱交換器14との間には、略90度の壁が形成されているので、コーキング剤の塗り具合が確認できるとともに、密閉度を確保するコーキング作業ができる。
【0035】
また、ルーバー32のネジ止めは、前面カバー12bを通して枠体12dに設けたフランジ部を挟んで行う。このルーバー32のネジ止め時にも熱交換器14を損傷しないことになる。なお、ルーバー32はリベット止めとしてもよい。
【0036】
図12に示すように、循環ファン17は、キャビネット4の天面に設けられ、厚さの薄い箱形のケース41になっている。この循環ファン17は、内部にターボ型の遠心送風機42を備え、下面に循環ファン吸込口43、一つの側面に循環ファン吹出口44が設けられている。循環ファン吹出口44は、格子状に桟が設けられているが、その内部には、吹出し気流を整流する複数の整流板45が設けられている。この整流板45は、循環ファン吹出口44の上流側に、上辺をケース41の天面に接するようにしている。さらに、その向きは、上流側の辺を循環ファン17の羽根車が作り出す気流の高圧側に傾けて設けられる。つまり、回転方向前方を下流側に傾けるのである。このような構成によれば、循環ファン17の羽根車においては、羽根車の主板(循環ファン吸込口43と反対側の面)側で風速が早くなっている。この早い風速の部分に整流板45を設け、比較的遅い風速の部分には整流板45をなくして抵抗を減らすことによって、上下方向の風速の均一化が図れることになる。また、循環ファン吹出口44においては、気流分布の偏りがあるが、整流板45の傾きにより、熱交換器14に均一化した気流が流入することになる。熱交換器14に均一化した空気を送り込むことによって、熱交換器14の性能を引き出し、熱交換効率を向上させるのである。
【0037】
また、図8に示すように、本体ケース12には、熱交換器14の下部にあたる位置(すなわち枠体12dの側面下部)に水抜き穴12eを設ける。送風ファン13、循環ファン17によって熱交換器14に空気を送り込む構成である為、本体ケース12の内部は陽圧となる。パッキンの隙間等を通じて本体ケース12内に水が侵入したとしても、枠体12dの側面下部に備える水抜き穴12eから陽圧空気によって水が押し出され、下流に位置する本体ケースの第2吹出口11からは、水が流出しないようにしている。そして、水の侵入によるキャビネット4内の電子機器が誤動作、あるいは、故障することを防止しているのである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように本発明は、前面に第1環境用の第1吸込口と第1吹出口を設け、背面に第2環境用の第2吸込口および第2吹出口を設けた本体ケースと、この本体ケース内に設けられた第1環境用の送風ファンと、前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、前記本体ケースは、背面側の背板と、前記背板に固定された枠体と、この枠体の前面と底面を覆う前面カバーと、送風ファンを覆うファンケーシングとで構成され、前記前面カバーには、前記第1吹出口となる開口を設け、この開口の周囲に吹出し下流側に向けた折曲部を設け、この折曲部と前記熱交換器間で形成された略90度の壁部にコーキング処理を施したものであるので、例えば、設置面積が限られる通信機器の基地局や、その他屋外設置機器における冷却設備としてきわめて有用なものとなる。
【符号の説明】
【0039】
1 ビルディング
2 屋上
3 基地局
4 キャビネット
5 送・受信機
6 熱交換装置
7 ドア
8 第1吸込口
9 第1吹出口
10 第2吸込口
11 第2吹出口
12 本体ケース
12a 背板
12b 前面カバー
12e 水抜き穴
12c ファンケーシング
12d 枠体
13 送風ファン
14 熱交換器
14a 第1流入口
14b 第1流出口
14c 第2流入口
14d 第2流出口
14e 溶着線
15a 板体A
15b 板体B
17 循環ファン
21a 整流壁A
21b 整流壁B
22a 遮蔽壁
22b 遮蔽壁
22b−1 突起部
22c 遮蔽壁
22c−1 突起部
22d 遮蔽壁
23 液溜部
26 パッキン
27 パッキン
28 Vリブ
29 V字曲部
30 パッキン
31 ドレン孔
32 ルーバー
32a フラップ部
32b 枠部
32c 溝部
33 折曲部
34 コーキング
41 ケース
42 遠心送風機
43 循環ファン吸込口
44 循環ファン吹出口
45 整流板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に第1環境用の第1吸込口と第1吹出口を設け、背面に第2環境用の第2吸込口および第2吹出口を設けた本体ケースと、
この本体ケース内に設けられた第1環境用の送風ファンと、
前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、
前記本体ケースは、
背面側の背板と、
前記背板に固定された枠体と、
この枠体の前面と底面を覆う前面カバーと、
送風ファンを覆うファンケーシングとで構成され、
前記前面カバーには、前記第1吹出口となる開口を設け、
この開口の周囲に吹出し下流側に向けた折曲部を設け、
この折曲部と前記熱交換器間で形成された略90度の壁部にコーキング処理を施した熱交換装置。
【請求項2】
前記第1吹出口に連結するルーバーを設け、
このルーバーは、吹出空気が通過するフラップ部と前記前面カバーと接する枠部と前記折曲部と嵌合する溝部で構成されており、
前記折曲部の頂部が前記溝部の底に当接することを特徴とする請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前面に第1環境用の第1吸込口と第1吹出口を設け、背面に第2環境用の第2吸込口および第2吹出口を設けた本体ケースと、
この本体ケース内に設けられた第1環境用の送風ファンと、
前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、
前記本体ケースは、
背面側の背板と、
前記背板に固定された枠体と、
この枠体の前面と底面を覆う前面カバーと、
送風ファンを覆うファンケーシングとで構成され、
前記枠体の下部側面に水抜き穴を設けた熱交換装置。
【請求項4】
前面に第1環境用の第1吸込口と第1吹出口を設け、背面に第2環境用の第2吸込口および第2吹出口を設けた本体ケースと、
この本体ケース内に設けられた第1環境用の送風ファンと、
前記本体ケース内において第1環境の空気と第2環境の空気との熱交換を行う熱交換器とを備え、
前記本体ケースは、
背面側の背板と、
前記背板に固定された枠体と、
この枠体の前面と底面を覆う前面カバーと、
送風ファンを覆うファンケーシングとで構成され、
前記ファンケーシングは、前記熱交換器の流入口に向けて拡大される台形状の形状をした熱交換装置。
【請求項5】
前記送風ファンは、前記熱交換器の下部に設けられ、
前記ファンケーシングは、下部が狭くなるように配置され、
このファンケーシングの側面と底面の境界部であって、前記送風ファンの回転方向下流側にドレン孔を設けた請求項4記載の熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−220092(P2012−220092A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86035(P2011−86035)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】