説明

冷却装置及びファン制御のための動作方法

【課題】冷却装置のエネルギー効率を改善する。
【解決手段】プラグインコンポーネント3を受ける複数のプラグインの位置4をもつ筐体、プラグインコンポーネントの電気又は電子部品により加熱される空気を引き抜く少なくとも1つの排気装置9、及び冷却のために使用された空気を冷却する少なくとも1つの冷却装置11を備える、サーバラックの冷却装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグインコンポーネントを受ける複数のグラグインの位置を持つ筐体を有する冷却装置に関する。
さらに、本発明は、冷却装置におけるファン制御の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラグインコンポーネントを受ける複数のプラグインの位置を持つ筐体を有する冷却装置は、従来技術から知られている。たとえば、DE 202010007046U1から、第1の筐体の側に隣接するラック筐体の第1の領域における複数のファンレス・プラグインコンポーネントを受ける複数のプラグインの位置を有するラック筐体(rack housing)が知られている。ラック筐体は、第1の領域に隣接するラック筐体の第2の領域における少なくとも1つの低圧室を有しており、低圧室とプラグインの位置との間には、第1の開口が設けられており、この第1の開口は、プラグインコンポーネントにより加熱された空気の低圧室への放出を可能にする。また、既知の冷却装置は、ラック筐体の低圧室に陰圧を導入する排気装置を含む。
【特許文献1】DE 102005005588
【特許文献2】DE 10210417
【特許文献3】DE 69617089
【特許文献4】WO 2010/039120
【特許文献5】DE 202010007046
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これら及び類似の冷却装置は、以下の機能原則に基づいている。1以上の比較的高い性能のファンにより、外気は、個々のプラグインコンポーネントを通して引き出されるか又は吹き飛ばされる。次いで、加熱された空気は、たとえば建造物の取り付け(building installation)の換気装置を介して直接的に外部に放出されるか、又はサービスルームに吹き戻され、この場合、空調システム又は類似の装置により、部屋の更なる冷却が保証される必要がある。
【0004】
特に高性能のプラグインサーバ(plug-in server)にあったサーバラック(server rack)の場合、それらの動作のために必要とされる電力のかなりの部分が、それらの冷却のために直接的又は間接的に供給される。
【0005】
公知の冷却装置の問題は、特にプラグインコンポーネント、筐体、排気装置及びおそらく存在する冷却装置といった異なる機能ユニットが異なる製造業者により供給されること、互いに独立して最適化されることである。たとえば、公知の構成における熱交換器の有効性の度合いは、高い周囲の温度と共に増加し、これは、それらの製造業者が比較的高い周囲の温度での動作をアドバイスすることを意味する。しかし、これは、他の機能的ユニットにとって、特に、プラグインコンポーネントに配置される半導体部分にとって不都合なことである。
本発明の目的は、冷却装置のエネルギー効率を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
動作方法は、複数のプラグインコンポーネントの電気又は電子部品により加熱された空気を引き抜く少なくとも1つの排気装置を有する冷却装置、冷却目的のために使用された空気を冷却する少なくとも1つの冷却装置を有する冷却装置のファン制御について記載される。
【0007】
動作方法は、以下のステップを含む。温度差に依存して少なくとも1つの排気装置及び少なくとも1つの冷却装置の電力消費量を考慮し、サーバラックを冷却するために使用される空気の最適化された第1の温度差を決定するステップ。冷却の目的で使用される空気の少なくとも2つの温度間の少なくとも1つの実際の温度差を測定するステップ。決定された最適化された温度差と測定された実際の温度差との間の差に依存して、少なくとも1つの排気装置のファンの速度を調節するステップ。
【0008】
上述されたステップにより、ファン制御の目的で、少なくとも排気装置及び冷却装置の電力消費量は、使用される冷却媒体における温度差に依存して一緒に考慮することができる。結果的に、ファン装置を制御することで、複数のプラグインコンポーネントを通した空気の流れは、複数のプラグインコンポーネントを冷却するために生成することができ、全体として排気装置及び冷却装置の組み合わせは、最も低い可能性のあるエネルギーの要件又は最も高い可能性のある程度の有効性を有する。
【0009】
有利な実施の形態によれば、測定ステップにおいて、冷却の目的のために使用される空気の少なくとも1つの温度は、電気又は電子部品を通して流れる前後で測定される。部品により加熱される空気における温度差を測定することで、ファン制御のための閉じたフィードバックループを形成することができる。
【0010】
更に有利な実施の形態によれば、測定ステップにおいて、冷却の目的のために使用された空気における少なくとも第2の温度差は、冷却装置を通して流れる前後で測定される。排気装置により冷却された空気における温度差を考慮することで、特に、サーバラックが配置される場所でのファン制御の影響を考慮することができる。たとえば、サーバラックは、その周囲に関して中立な温度であり、すなわち、冷却目的のために使用される温度は、前に受けたのと同じ温度で放出されることが保証される。
【0011】
本発明の第二の態様によれば、冷却装置が記載され、この冷却装置は、プラグインコンポーネントを受ける複数のプラグインの位置を持つ筐体、プラグインコンポーネントの電気又は電子部品により加熱される空気を引き抜くための少なくとも1つの排気装置、冷却目的のために使用された空気を冷却するための少なくとも1つの冷却装置を有する。冷却のアレンジメントは、プラグインの位置に配置されるプラグインコンポーネントが供給される空気の温度に関して冷却される空気で換気されるように、流れの方向において複数のプラグインの位置のアップストリームに冷却装置が配置されることを特徴とする。
【0012】
複数のプラグインの位置の流れの方向のアップストリームにおける冷却装置のアレンジメントは、プラグインコンポーネントの電気又は電子部品の動作の間に低い電力の損失が生じるという利点を有する。これは、特に、コンピュータアレンジメントにおける多くの数で使用される半導体コンポーネントは、温度が増加するときに増加する漏れ電流の損失を有する。冷却の目的のために使用される空気が最初に冷却され、次いでプラグインコンポーネントを冷却するために使用され、その後に放出される場合、使用されるプラグインコンポーネントの電力の損失が減少する一方で、空気を冷却するために使用されるエネルギーは、本質的に保持される。
【0013】
1つの有利な実施の形態によれば、冷却アレンジメントは、開いた冷却系を形成し、この開いた冷却系では、空気は、冷却装置の領域における筐体の周囲から引き込まれるか引き出され、排気装置を通して環境に放出される。このタイプの冷却アレンジメントは、それがセットアップされる個別の換気装置を必要としない。
【0014】
1つの有利な実施の形態によれば、少なくとも1つの冷却装置は、熱交換器を有し、熱交換器は、冷却装置から液体冷却媒体に引き抜かれる熱エネルギーを伝達する。熱交換器の使用により、特に、冷却アレンジメントからの熱エネルギーの効果的な放出、及びたとえばエネルギーの観点で好都合なやり方で建造物の取り付けの加熱装置への供給を可能にする。
【0015】
更に有利な実施の形態によれば、筐体は、複数のプラグインサーバを受ける複数のプラグインの位置をもつサーバラックのためのラックハウジングとして形成される。ラック筐体は、全てのプラグインの位置にとって中央であって、少なくとも1つの排気装置へのフラグインの位置からの加熱された空気の抽出のための少なくとも1つの開口を接続する冷却用のエアサプライを有する。中央の冷却用のエアサプライの使用は、冷却構成及び特に排気装置の構築及び制御を満足させることができる。
【0016】
有利な実施の形態によれば、中央の冷却用のエアサプライは、低圧室を有しており、少なくとも1つの排気装置は、低圧室において陰圧を生成するために構成され、この陰圧は、周囲の空気圧よりも低い、このタイプの構成は、ファンをもたないプラグインコンポーネントの安全な冷却を可能にする。
【0017】
更なる実施の形態によれば、冷却装置は、複数のプラグインの位置のアップストリームに配置される筐体のドアに配置される。筐体のドアの冷却装置の構成は、筐体のラックの簡単なモジュラー構成を可能にし、冷却装置は、物理的な近さで、及び冷却されるプラグインコンポーネントの直接的なアップストリームにある流れの方向で配置される。
【0018】
更なる有利な実施の形態によれば、冷却の構成は、冷却のために使用される空気における第1の温度差を検出する少なくとも2つの温度センサ及び排気装置のファン速度を制御する制御装置により特徴付けされる。制御装置は、第1の温度差を考慮して、排気装置の電力消費レベルと冷却装置の電力消費レベルとに依存して、排気装置を制御するために構成される。このタイプの冷却の構成は、冷却の構成について閉じたフィードバックループの構築を可能にし、個々の冷却コンポーネントの電力消費及び影響は、互いに調整することができる。
【0019】
更なる有利な実施の形態は、例示された実施の形態の以下の詳細な説明及び特許請求の範囲において与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、以下の添付図面を参照して様々な例示的な実施の形態により以下に詳細に記載される。
【図1】第1の冷却構成を例示する図である。
【図2】冷却構成の電力消費量を決定する冷却モデルを例示する図である。
【図3】温度差に依存した冷却構成の冷却性能を例示する図である。
【図4】第二の冷却構成を例示する図である。
【図5】動作温度に依存したサーバインサート(server insert)の電力消費量を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、サーバラックの第一の例示的な冷却構成を示す。
冷却構成は、複数のプラグインコンポーネント3を受けるラックはウイング1を有する。例示的な実施の形態では、プラグインコンポーネント3は、ラック筐体1のプラグインの位置4において上下に配置される。プラグインの位置4は、ラック筐体1の前面2からアクセス可能である。プラグインコンポーネント3は、たとえばこれに配置されるプロセッサ及びメモリモジュールをもつメインボードを有するサーバのプラグインである。有利な実施の形態によれば、個々のプラグインコンポーネントが、アクティブ冷却コンポーネント(active cooling unit)を有する。特に、プラグインコンポーネント3は、冷却用空気を吸い込むための専用のファンを有さない。
【0022】
ラック筐体1における全てのプラグインコンポーネント3の中央の冷却を可能にするため、ラック筐体は、個々のプラグインの位置4と、ラック筐体1に配置される低圧室7との間に開口部6をもつバルクヘッドの壁5を有する。プラグインコンポーネント3の電気又は電子部品を冷却するため、温度T1での外気は、プラグインの位置4及びバルクヘッドの壁5における開口部6を通して低圧室7に引き入れられる。開口部6のサイズは、要求される冷却用空気の流れの簡単な調節を保証する。たとえば、個々の開口部6は、プラグインコンポーネント3が関連されるプラグインの位置4に配置されないときに閉じる。
【0023】
加熱された冷却用空気は、排気装置9の逆流防止用グリル8を通して低圧室7から抽出される。例示される実施の形態では、排気装置9は、図1の断面図において縦に配置される2つのファン10を有しており、それぞれのファンには、ファン10のうちの1つが故障した場合に、抽出の開口を閉じるため、専用の逆流防止のグリル8が割り当てられる。例示的な実施の形態では、ファン10は、ラジアルファンであり、このラジアルファンは、上方に引き出された冷却用空気を、そこに配置される熱交換器12をもつ冷却装置11に向かって吹かせる。熱交換器12は、たとえば冷却コイルを通して流れる液体冷却用媒体を有する冷却コイルである。
【0024】
熱交換器12は、温度T3でラック筐体の上側にある冷却装置11を通過した後に空気が存在するように、温度T2で加熱された空気のエネルギーを液体冷却媒体に伝達する。温度T3は、好ましくは、吸い込まれた外気の温度T1に対応する。
【0025】
ファン10の速度、及びおそらく冷却装置11における温度の制限及び/又は冷却装置11における冷却媒体の流速は、中央制御装置13により予め設定される。十分な冷却を保証するため、例示された実施の形態における制御装置13は、第1の温度センサ14及び第2の温度センサ15に接続される。第1の温度センサは、ラック筐体1のフロントサイド2の領域に配置されており、吸い込まれる外気の温度T1を決定する。第2のセンサ15は、低圧室7に配置され、加熱された冷却用空気の温度T2を決定する。制御装置13は、冷却装置11の空気吹き出し口の領域における任意の第3の温度センサ16に接続される。さらに、制御装置13は、たとえば低圧室7における絶対又は相対的な陰圧のような更なる入力パラメータ、個々のプラグインコンポーネント3の電力消費量又は温度を検出し、ファン10の制御において検出された入力パラメータ、電力消費量又は温度を考慮する。
【0026】
制御装置13は、排気装置9と冷却装置11の結合した電力消費量ができるだけ低くなるように、ファン10のファン速度を調節するために構成される。勿論、十分な冷却は、個々のプラグインコンポーネント3について保証される必要がある。
【0027】
図2は、記載された冷却構成の電力消費量を最適化するために使用されるモデルを示す。図2に示されるように、第1の温度T1での外気は、たとえばラック構成のサーバのプラグインといった、複数のプラグインコンポーネント3を通して引き出される。吸い込まれた外気は、たとえばプラグインコンポーネント3のボードに配置される電気又は電子部品を冷却する役割を果たす。電気又は電子部品の冷却は、図2に示されるモデルに従ってプラグインコンポーネントを通して流れた後、温度T2である、吸い込まれた外気の加熱を同時に招く。
【0028】
図2に示される図では、加熱された空気は、たとえばファン10又は類似の伝達装置を有する排気装置9を通して吸い込まれる。冷却のために使用される空気を吸い込むため、排気装置9は、ファン10の動作のために電力レベルPMを有する。
【0029】
温度T2での排気装置から排出された冷却用空気を外気のレベルに冷却するため、冷却装置11は、図2に示されるモデルにおいて使用される。冷却装置11は、加熱された外気を冷却するために更なる電力レベルPCを選択する。冷却装置を通して流れた後、冷却の目的のために使用された空気は、第2の温度T2よりも低い温度T3であり、環境的に中立な冷却構成の場合、第1の温度T1に対応する。
【0030】
図2に示されるモデルによれば、サーバのラックを冷却するための全体の電力消費量Ptotは、個々の電力レベルPM及びPCの合計となる。
個々のコンポーネント、特にこの場合、排気装置9及び冷却装置11のエネルギー効率は、異なる要素により決定される。
排気装置9の場合、エネルギー効率は、ファンモータの効率、ラック筐体1の筐体の形状、及び冷却用空気の体積流量Vにより決定される。記載される例示される実施の形態では、排気装置9の電力消費量は、たとえばPM=k1×Vmとなり、k1は、筐体に特化した定数を表し、mは、使用されるファンモータの効率の定数を表す。プラグインコンポーネント3を冷却するために要求される体積流量Vは、温度T2で加熱された空気と温度T1での外気との間の温度差に逆比例する。V=k2÷(T2−T1)が適用される。定数k2は、使用されるラックの筐体1の筐体の形状について典型的な定数を表す。
【0031】
値k1=28,000及びm=2.5により、図3における実線で例示される排気装置9の電力消費量は、温度差ΔT=T2−T1に依存して達成される。図3は、電力消費量PMが低い温度差ΔTにつれて強く増加することを示す。逆に、排気装置の電力消費量PMは、温度差ΔTが増加するときに減少する。
【0032】
冷却装置11により消費される電力PCは、それぞれのケースで使用される冷却技術に高く依存する。外気及び中立の熱放散がプラグインコンポーネント3を冷却するために十分である場合、冷却装置11は、全く電力を消費しない。この例において関連しているラック構成であって、複数のプラグインコンポーネント3を有するラック構成の場合、アクティブ冷却装置11が一般に使用され、この電力消費量は、以下のように表すことができる。
【0033】
PC=Q×(T2−T1)÷(T1×E)
Qは、冷却装置11により放出される熱エネルギーに対応する。値Eは、使用される冷却技術の相対的なエネルギー効率に対応する。熱交換器12では、Eの値は、たとえば0.5に対応する。
【0034】
測定値が示されたとき、たとえば15〜25℃の実施において生じる値の絶対の周辺温度T1への依存度は、電力消費量PCに影響を及ぼす他の要素に関して不十分である。図3は、20℃の空気吸い込み口の温度の場合における電力消費量を示す。しかし、温度差ΔT=T2−T1は、このケースにおいて全体として冷却装置11の電力消費量における重要な役割を有する。図3における破線によれば、冷却装置11の電力消費量PCは、温度差ΔTが増加するときに線形に増加する。
【0035】
図3では、排気ユニット9及び冷却装置11の結合された電力消費量Ptotは、破線で例示される。図3に示されるように、中央の領域における曲線は、最も低い全体の電力消費量Ptotに対応する最小値を有する。より大きな温度差ΔT=T2−T1について、電力消費量は、冷却ユニット11の増加するエネルギー要件のために増加する。低い温度差ΔTについて、電力消費量は、排気装置9の強く増加する電力消費量のために増加する。
【0036】
上述された定数による前に記載された例示的な実施の形態では、外気の温度T1と、冷却されるコンポーネントによる外気の加熱後の温度T2との間の12℃の温度差ΔTについて最小値が達成される。
【0037】
制御装置13は、好ましくは、温度T1,T2及びT3を決定し、冷却構成から出力される空気が吸い込まれた外気よりも暖かくなく、又は予め設定された境界値を超える値だけ吸い込まれた外気よりも暖かくないように、同時に、決定された最適な温度差ΔTが維持されるように、ファンモータを調節する。
【0038】
図4に示された、第2の例示される実施の形態によれば、記載されるラック構成の効率を更に改善するため、冷却装置11は、冷却されるプラグインコンポーネント3のアップストリームに流れ方向において配置される。たとえば、冷却装置11は、筐体のドア17の一部として形成される。筐体のドア17の比較的大きな表面のため、冷却装置11は、比較的小さな量のスペースのみが必要とされるように、非常に薄く形成することができる。この場合、空気は、妨げられていない方法で、ファン10を通して上方向に低圧室7から出力される。
【0039】
結果として、冷却目的のために使用される外気は、はじめに、外気の温度T1に関して温度T2に冷却され、次いで、たとえば外気の温度T1といった温度T3にプラグインコンポーネント3を通して加熱される。
【0040】
係る冷却構成の利点は、特に図5に示される。図5では、プラグインの位置4においては位置されるサーバインサート3の電力消費量は、その動作温度を通して示される。プロセッサの動作温度は、たとえばチップ内の温度センサを介して検出される。プロセッサのコアの温度は、プロセッサでの負荷に依存して増加する。さらに、電力消費量は、チップの温度が増加するときに増加する。これは、半導体コンポーネントで生じる漏れ電流が増加するためである。
【0041】
プロセッサに50%の負荷がかかっているとき、サーバインサートの電力消費量は、たとえば、50〜90℃のチップの温度で、約190ワットから約230ワットに増加する。チップ温度は、例示された実施の形態において24℃の温度である、冷却のために使用された空気の体積流量Vに実質的に依存する。空気の流れが遅い場合、サーバインサートのチップの温度は、更に増加し、その電力消費量が増加する。空気の流れが増加する場合、プロセッサの温度が低下し、それらの電力消費量が減少する。
【0042】
図5の上部に示されるように、全負荷がかかったプロセッサによる影響は顕著である。プロセッサが全負荷がかかった状態にあり、同時に、比較的低い冷却用空気の体積流量Vをもつとき、サーバインサートは、300ワットを超える電力消費レベルに最終的に到達し、この電力消費レベルで、プロセッサの内部の保護メカニズムは、その動作サイクルを制限する。結果的に、サーバインサートの電力消費量は、僅かに低下するが、これは、同時に、計算能力における損失に付随して起こる。低下する絶対の電力消費量にも係らず、全体として構成のエネルギー効率は低減される。
【0043】
図5に示されているように、プロセッサ及び他の半導体チップの電力消費量は、チップの温度が低下することができるときに低い。この目的を達成するため、図4に係る例示される実施の形態では、外気は、プラグインコンポーネント3を冷却するために使用される前に、はじめに冷却される。
【0044】
たとえば、冷却装置11が図1に従う冷却構成で使用され、11℃だけ冷却構成を通して流れる空気の温度を低下する場合、プラグインコンポーネント3の個々の部分は、コンポーネント3に対して流れる第1の温度T1での冷却用空気を有する。たとえば温度T1は、25℃の大気温度である。コンポーネントは、たとえば36℃である温度T2に大気を加熱し、次いで、25℃の大気温度に冷却装置11により冷却される。プラグインコンポーネント3における個々の部品の構成に依存して、これらは、25℃と36℃との間の温度で冷却用空気で囲まれる。
【0045】
しかし、図4における冷却構成の実施の形態によれば、冷却目的のために使用される外気は、約14℃の温度で個々のプラグインコンポーネント3に入るように、はじめに11℃に冷却される。冷却目的のために使用される空気がプラグインコンポーネント3を出て、低圧室7に入るとき、たとえば外気の温度に対応する25℃の温度である。このケースでは、プラグインコンポーネント3の個々の構成要素は、それらの漏れ電流の損失が低いように、たとえば14〜25℃の温度で囲まれる。
【0046】
相互に補完するラック構成の冷却効率を改善する記載された検討事項及び概念では、一方で、冷却されるプラグインコンポーネント3のアップストリームにある流れ方向における冷却装置11の有利な構成により、プラグインコンポーネント3の個々の部品の電力の損失が低減され、他方で、排気装置9と冷却装置1の電力消費量の結合された考慮により、全体としての冷却システムの電力消費量が低減される。
【0047】
例示された実施の形態としてサーバラックを参照して冷却システムが記載されたが、特許請求された冷却構成及び動作方法は、他のコンピュータシステムについても適している。たとえば、記載される装置及びプロセスは、たとえばドライバ、メモリモジュール及びプロセッサのような複数の個々のコンポーネントをもつパワフルな個々のサーバ、又はいわゆる共通の筐体における複数のプロセッサ及び他のプラグインをもつブレードサーバについても適している。
【符号の説明】
【0048】
1:ラック筐体
2:前側
3:プラグインコンポーネント
4:プラグインの位置
5:バルクヘッドの壁
6:開口部
7:低圧室
8:逆流防止グリル
9:排気装置
10:ファン
11:冷却装置
12:加熱装置
12:熱交換器
13:制御装置
14:第1の温度センサ
15:第2の温度センサ
16:第3の温度センサ
17:筐体ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプラグインコンポーネントの電気又は電子部品により加熱された空気を引き出す少なくとも1つの排気装置を有すると共に、冷却のために使用された空気を冷却する少なくとも1つの冷却装置とを有する冷却構成のファン制御の動作方法であって、
当該方法は、
温度差に依存して前記少なくとも1つの排気装置と前記少なくとも1つの冷却装置の電力消費量を考慮して、サーバラックを冷却するために使用される空気の最適化された温度差を決定するステップと、
冷却のために使用される空気の少なくとも2つの温度間の少なくとも1つの実際の温度差を測定するステップと、
決定された最適化された温度差と測定された実際の温度差との間の差に依存して前記少なくとも1つの排気装置のファンの速度を調節するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
プラグインコンポーネントを受ける複数のプラグインの位置をもつ筐体と、
前記プラグインコンポーネントの電気又は電子部品により加熱された空気を引き出す少なくとも1つの排気手段と、
冷却のために使用された空気を冷却する少なくとも1つの冷却手段とを備える冷却装置であって、
前記少なくとも1つの冷却手段は、前記複数のプラグインの位置に配置されるプラグインコンポーネントが、供給された空気の温度に関して冷却された空気で換気されるように、流れの方向において前記複数のプラグインの位置のアップストリームに配置され、
当該冷却装置は、空気が、前記冷却手段の領域において筐体の周辺から吸い込まれ、前記排気手段を通して周囲に排出される、開いた冷却系を形成する、
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
前記筐体は、複数のプラグインサーバを受ける前記複数のプラグインの位置をもつサーバラックのラック筐体として形成され、前記ラックハウジングは、全てのプラグインの位置について中央であって、前記複数のプラグインの位置から加熱された空気を抽出するための少なくとも1つの開口部を前記少なくとも1つの排気手段に接続する冷却用の空気源を有し、
前記少なくとも1つの冷却手段は、前記複数のプラグインの位置のアップストリームに配置される前記ラック筐体の筐体のドアに配置される、
請求項2記載の冷却装置。
【請求項4】
冷却のために使用された空気における温度差を検出する少なくとも2つの温度センサと、
温度差を考慮して、前記少なくとも1つの排気手段のファン速度を制御する制御手段であって、前記少なくとも1つの排気手段の電力消費レベルと前記少なくとも1つの冷却手段の電力消費量とに依存して、前記少なくとも1つの排気手段を制御する、
を更に備える請求項2記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−114437(P2012−114437A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250608(P2011−250608)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(510227632)フジツウ テクノロジー ソリューションズ インタレクチュアル プロパティ ゲーエムベーハー (14)
【Fターム(参考)】