説明

冷却装置

【課題】所望の冷却効率を損なうことなく、冷却装置をコンパクトにする。
【解決手段】二次冷却装置70は、凝縮経路47を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部46と、この熱交換部46の下方に配置され、蒸発管52を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする蒸発器EPとを有している。二次冷却装置70は、互いに独立した複数の自然循環回路72を備えている。各自然循環回路72では、液化冷媒を熱交換部46の凝縮経路47から蒸発器EPの蒸発管52へ液配管48を介して流下すると共に、気化冷媒を蒸発器EPの蒸発管52から熱交換部46の凝縮経路47へガス配管50を介して流通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換部と蒸発器との間の温度勾配を利用して、冷媒を自然対流させる自然循環回路を備えた冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒を自然対流させるサーモサイフォンを用いた冷却装置が、冷蔵庫等の貯蔵設備や空調設備に採用されている。図9に示すように、サーモサイフォンを用いた第1従来例の冷却装置は、気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする凝縮器102と、この凝縮器102の下方に配置されて、液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする蒸発器104とを有し、液化冷媒を凝縮器102から蒸発器104へ液配管106を介して流下させると共に、気化冷媒を蒸発器104から凝縮器102へガス配管108を介して流通させる自然循環回路100が構成される。
【0003】
前記凝縮器102および蒸発器104では、内部に設けた冷媒経路102a,104aを流通する冷媒が外気や水等の他の媒体と熱交換することで、冷媒が凝縮または蒸発するようになっている。すなわち、冷却装置の冷却効率は、冷媒と他の媒体との間で交換される熱量に依存するので、図9に示す第1従来例の冷却装置では、凝縮器102および蒸発器104に蛇行状の冷媒経路102a,104aを設けることで、冷媒経路102a,104aと他の媒体との接触面積(以下、熱交換面積という)を大きくしている。また、図10に示す第2従来例の冷却装置のように、1本の液配管106から並行に分岐して2本の冷媒経路104a,104aを蒸発器104に設けると共に、2本の冷媒経路104a,104aを合流させて1本のガス配管108に纏めて凝縮器102に接続する構成も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また図11に示すように、1基の凝縮器102に対して3基の蒸発器104を設けた第3従来例の冷却装置もあり、複数の蒸発器104によって複数の対象物の冷却を図る構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。第3従来例の冷却装置では、凝縮器102に接続する液配管106から各蒸発器104に対応する液支管106aを分岐して、この液支管106aを介して蒸発器104の冷媒経路104aに液化冷媒を供給し、各蒸発器104の冷媒経路104aの流出端に接続するガス支管108aがガス配管108に合流して、ガス配管108で纏められた気化冷媒が凝縮器102に還流するようになっている。
【特許文献1】特開2005−283022号公報
【特許文献2】特開2004−60956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、第1従来例の冷却装置では、所要の冷却効率が得られる熱交換面積を確保するために必要な配管長を設定すると、冷媒経路102a,104aが長くなって該経路102a,104aにおける冷媒の流通抵抗が大きくなると共に、長くなる冷媒経路102a,104aをコンパクトにするのに冷媒経路102a,104aの屈曲部分が多くなるので、冷媒の流通抵抗が更に大きくなる。第1従来例の冷却装置の如くサーモサイフォンを用いた方式では、凝縮器102と蒸発器104との間の温度勾配を利用して冷媒を自然対流する構成であるから、冷媒をポンプ等で強制循環させる方式と比べて冷媒の循環力が弱く、僅かな圧力損失や冷媒に対する流れ抵抗によって、冷媒の円滑な流動が大きく妨げられる。そして、冷媒経路102a,104aにおいて、冷媒の流動が円滑に行なわれなくなると、蒸発器104を含む自然循環回路100内での冷媒の循環が悪くなったり、冷媒が逆流したりして冷熱の運搬能力が低下し、対象を効率よく冷却できない問題が生じる。そこで、第1従来例の冷却装置では、冷却効率を低下させないために冷媒の循環量に応じて冷媒経路102a,104aの断面積を大きく設定して冷媒の流通抵抗を減少させることで、僅かな圧力損失に大きな影響を受ける冷媒の流動状態を安定させる必要がある。しかし、冷媒経路102a,104aを構成する配管が大径化することで、冷媒経路を形成する上での制約が大きくなると共に、凝縮器102や蒸発器104の大型化を招き、コストの上昇に繋がってしまう。
【0006】
また、第2従来例の冷却装置のように、蒸発器104の中で冷媒経路104a,104aが分岐する構成として、冷媒経路104aの屈曲部分を減らすことで圧力損失を小さくすることはできるが、分岐した各冷媒経路104a,104aにバランスよく冷媒を分流させるのが難しい。同様に、第3従来例の冷却装置にように、複数の蒸発器104を並列的に設けた場合であっても、各蒸発器104の冷媒経路104aへバランスよく冷媒を分流させるのが難しい。そして、冷媒経路104aに偏った量の冷媒が循環すると、冷媒の供給量が少なくなった冷媒経路104aで冷却効率が低下するだけではなく、自然循環回路全体の循環バランスに大きく影響して、全体として冷却効率が低下することになる。そこで、第3従来例の冷却装置では、管路を開閉する制御弁110を、蒸発器104に接続する液支管106aに介挿し、蒸発器104の入口側の冷媒温度と蒸発器104の出口側の冷媒温度に基づいて制御手段Cで各制御弁110を開閉制御することで、各蒸発器104の冷媒経路104aに供給される冷媒量を調節している。しかし、第3従来例の冷却装置では、制御弁110、冷媒温度を測定するセンサTHおよび制御手段C等の機器が必要となり、冷却装置の構成が複雑になり、コストの上昇を招く不都合がある。このように、サーモサイフォンを用いた冷却装置では、冷媒経路102a,104aにおける冷媒の流通抵抗を減少させる目的で冷媒経路102a,104aを分流しても、この目的を達成するために必須の条件となる冷媒経路間の均等な冷媒の流通を担保することが非常に難しく、冷媒経路102a,104aを分流することで各冷媒経路102a,104aにおける冷媒の流通抵抗を減らすことは技術的に非常な困難性を伴う。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に係る冷却装置に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、サーモサイフォンを用いて冷媒が自然対流する自然循環回路において、所望の冷却効率を維持したまま、冷媒の流通抵抗、該回路内の冷媒充填量および各経路の断面積の増加を招くことなく、安価でコンパクトな冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の冷却装置は、
凝縮経路を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部と、この熱交換部の下方に配置され、蒸発経路を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする蒸発器とを有し、液化冷媒を熱交換部の凝縮経路から蒸発器の蒸発経路へ液配管を介して流下させると共に、気化冷媒を蒸発器の蒸発経路から熱交換部の凝縮経路へガス配管を介して流通させる自然循環回路を設けた冷却装置において、
互いに独立した複数の自然循環回路を備えていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、夫々の自然循環回路が、経路や配管の分岐を伴わず互いに独立して1つの回路を構成するように、凝縮経路と蒸発経路とが液配管およびガス配管で接続されている。そして、熱交換部および蒸発器において要求される熱交換面積に応じた数の自然循環回路を冷却装置に設けることで、必要とされる凝縮経路および蒸発経路を熱交換部および蒸発器に配置することができ、回路全体として必要とされる熱交換面積が担保される。これにより、凝縮経路および蒸発経路の1本当たりに必要とされる熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路および各蒸発経路の必要長さを抑えることができる。各凝縮経路および各蒸発経路の長さが短くなることから、経路の長さに由来する流通抵抗が小さくなると共に、蛇行させる回数を減らして経路の屈曲部分に由来する流通抵抗を減らすことも可能となる。この結果、従来では流通抵抗が大きくなり過ぎて不可能であった従来と比して小さい断面積で各凝縮経路および各蒸発経路を設定でき、各凝縮経路および各蒸発経路に流通させる冷媒量を減少させることができる。このように、各凝縮経路および各蒸発経路の長さや断面積を減じることが可能であるので、熱交換部や蒸発器をコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、回路の圧力上昇を緩和する膨張タンクの容量等の付帯設備も小さくなるので、全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。しかも、各自然循環回路は互いに独立しているので、冷媒の偏流が生じ難く、冷媒を円滑に自然対流させることができる。
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項2に係る発明の冷却装置は、
凝縮経路を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部と、この熱交換部の下方に配置され、蒸発経路を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする蒸発器とを有し、液化冷媒を熱交換部の凝縮経路から蒸発器の蒸発経路へ液配管を介して流下させると共に、気化冷媒を蒸発器の蒸発経路から熱交換部の凝縮経路へガス配管を介して流通させる自然循環回路を設けた冷却装置において、
前記自然循環回路は、複数の蒸発経路と、該複数の蒸発経路と同数の凝縮経路とを備え、
前記凝縮経路の流出端に接続する液配管を、当該凝縮経路の流入端に連結したガス配管が接続している蒸発経路と別の蒸発経路に接続すると共に、蒸発経路の流出端に接続するガス配管を、当該蒸発経路の流入端に連結した液配管が接続している凝縮経路と別の凝縮経路に接続して、全体として1つの自然循環回路を構成したことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、経路や配管の分岐を伴わず全体として1つの自然循環回路を構成するように、凝縮経路と蒸発経路とが液配管およびガス配管で接続されている。すなわち、熱交換部および蒸発器において要求される熱交換面積に応じた数の凝縮経路および蒸発経路を適宜に配置することができる。これにより、凝縮経路および蒸発経路の1本当たりに必要とされる熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路および各蒸発経路の必要長さを抑えることができる。各凝縮経路および各蒸発経路の長さが短くなることから、経路の長さに由来する流通抵抗が小さくなると共に、蛇行させる回数を減らして経路の屈曲部分に由来する流通抵抗を減らすことも可能となる。この結果、従来では流通抵抗が大きくなり過ぎて不可能であった従来と比して小さい断面積で各凝縮経路および各蒸発経路を設定でき、各凝縮経路および各蒸発経路に流通させる冷媒量を減少させることができる。このように、各凝縮経路および各蒸発経路の長さや断面積を減じることが可能であるので、熱交換部や蒸発器をコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、回路の圧力上昇を緩和する膨張タンクの容量等の付帯設備も小さくなるので、全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。しかも、複数の凝縮経路および複数の蒸発経路を設けても、経路や配管の分岐を伴わずに全体として1つの自然循環回路となっているので、複数の凝縮経路および複数の蒸発経路に対して冷媒がバランスよく流通して、冷媒の偏流が生じず、冷媒を円滑に自然対流させることができる。
【0010】
請求項3に係る発明では、1つまたは複数の熱交換部に対して、1つまたは複数の蒸発器が設けられることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、1つまたは複数の熱交換部に対して1つまたは複数の蒸発器を設ける構成であっても、各熱交換部に設けた凝縮経路および各蒸発器に設けた蒸発経路にバランスよく冷媒を流通させることができる。
【0011】
請求項4に係る発明では、冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路に対して、前記自然循環回路が前記熱交換部を介して熱的に接続されることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、所謂二次ループ式冷凍回路を構成した設備における二次側として自然循環回路を用いることで、所望の冷却効率を損なうことなく、設備全体をコンパクトで安価な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る冷却装置によれば、所望の冷却効率を維持したまま、冷媒の流通抵抗、該回路内の冷媒充填量および各経路の断面積の増加を招くことなく、安価でコンパクトにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
昨今では、冷蔵庫や冷凍庫等の冷却装置を備えた設備において、冷媒としてのフロンの使用が地球温暖化防止の観点から制限されている。特に、業務用冷凍機器等の大型な設備では、フロンの使用量が多いことから、その使用量の削減またはノンフロン化への要望が非常に大きい。そこで、ノンフロン化を推進する上で有利な回路構成である二次ループ式冷凍回路が注目されている。二次ループ式冷凍回路は、冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路とサーモサイフォンを用いて冷媒を自然対流させる二次側の回路との独立した2つの回路を熱交換器を介して接続したものであって、各回路に循環させる冷媒としてフロン以外の熱媒体を用いることができる。しかしながら、従来の二次ループ式冷凍回路は、冷媒としてフロンを使用した機械圧縮式の冷凍回路と比較して、装置全体が大型化して大きな設置面積を要すると共にコストの上昇を伴う欠点を有しており、従来のフロンを用いた設備に対して大きさおよび価格的な競争力がなく、ノンフロン化の促進への妨げになっている。そこで、発明者は、所望の冷却効率を損なうことなく、コンパクトで安価な構成の本発明に係る冷却装置を発明した。例えば、本発明に係る冷却装置を二次ループ式冷凍回路に適用することで、従来のフロンを用いた設備と同等の大きさおよびコストで二次ループ式冷凍回路を備えた設備を設計することが可能となり、前記欠点が解消されて市場での競争力を獲得することができる。すなわち、本発明に係る冷却装置は、地球温暖化防止の観点から重要視されている二次ループ式冷凍回路によるノンフロン化技術の普及を推進する上で、有効な技術的な位置付けを有している。このように、本発明に係る冷却装置は、二次ループ式冷凍回路に適用することで、従来の二次ループ式冷凍回路の大型である欠点や高価である欠点を解消し、一般に普及し得る技術とすることができる非常に有意義な発明である。
【0014】
次に、本発明に係る冷却装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。実施例では、店舗等の業務用途に用いられ、野菜や肉等の物品を多量に収納し得る大型の冷蔵庫を例に挙げ、この冷蔵庫の冷却設備として、本発明に係る冷却装置を二次側の回路に用いた所謂二次ループ冷凍回路を採用した場合について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1に示すように、冷蔵庫10は、収納室14を内部画成した断熱構造の箱体12と、この箱体12の上方に設けられ、金属パネル18により外壁を構成したキャビネット16とを備えている。箱体12には、前側に開放して物品の出し入れ口となる開口部12aが収納室14に連通して開設され、この開口部12aは、図示しないヒンジにより箱体12の前部に開閉可能に支持された断熱扉22で塞がれる。
【0016】
前記キャビネット16の内部には、収納室14を冷却するための冷却設備31の一部および該冷却設備31を制御する制御用電装箱(図示せず)が配設される機械室20が画成される。機械室20の底部には、箱体12の天板12bに載置されて、該機械室20に配設する機器の共通基板となる台板24が設置されている。そして、キャビネット16の外壁をなす金属パネル18には、機械室20に連通する空気流通孔(図示せず)が適宜部位に開設され、この空気流通孔を介して機械室20内の雰囲気と外気とが入替わるようになっている。
【0017】
前記収納室14の上部には、箱体12における天板12bの下面から所定間隔離間して冷却ダクト26が配設され、この冷却ダクト26と、箱体12の天板12bに開設した切欠口12cを介して収納室14側に臨む台板24との間に冷却室28が画成される。この冷却室28は、冷却ダクト26の底部前側に形成した吸込口26aおよび後側に形成した冷気吹出口26bを介して収納室14に連通している。吸込口26aには送風ファン30が配設され、該送風ファン30を駆動することで、吸込口26aから収納室14の空気を冷却室28に取込み、冷気吹出口26bから冷却室28の冷気が収納室14に送出される。天板12bの切欠口12cは、台板24で気密的に塞がれて、収納室14(冷却室28)と機械室20とは、台板24で区切られて互いに独立した空間となっている(図1参照)。
【0018】
図2は、二次側の回路として実施例1に係る二次冷却装置(冷却装置)70を備える冷却設備31を示す概略回路図である。図2に示す如く、冷却設備31は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の一次冷却装置(一次側の回路)34と、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次冷却装置70とを、熱交換器HEを介して熱交換するように熱的に接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。熱交換器HEは、機械室20に設置され、一次冷却装置34を構成する一次熱交換部36と、この一次熱交換部36と別系統に形成されて、二次冷却装置70を構成する二次熱交換部(熱交換部)46とを備えている。すなわち、一次冷却装置34および二次冷却装置70には、独立した冷媒が循環する回路が夫々形成され、二次冷却装置70を循環する二次冷媒(冷媒)としては、毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が採用される。これに対し、一次冷却装置34を循環する一次冷媒としては、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等のHC系の冷媒またはアンモニアなどが採用され、実施例1ではプロパンが用いられている。すなわち、冷却設備31は、冷媒としてフロンを使用する必要はない。なお、熱交換器HEとしては、例えばプレート式、二重管式およびその発展型またはそれに類するものが採用される。
【0019】
前記一次冷却装置34は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機CMと、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器CDと、液相一次冷媒の圧力を低下させる膨張弁EVと、液相一次冷媒を気化する熱交換器HEの一次熱交換部36とを冷媒配管38で接続して構成される(図2参照)。圧縮機CMおよび凝縮器CDは、機械室20において台板24上に共通的に配設され、凝縮器CDを強制冷却する凝縮器ファンFMも、該凝縮器CDに対向して台板24上に配設されている。一次冷却装置34では、圧縮機CMによる一次冷媒の圧縮により、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張弁EV、熱交換器HEの一次熱交換部36および圧縮機CMの順に、一次冷媒が強制循環され、各機器の作用下に一次熱交換部36において所要の冷却を行なうようになっている(図2参照)。
【0020】
前記二次冷却装置70は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化する熱交換器HEの二次熱交換部46と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する蒸発器EPとを備え、二次熱交換部46と蒸発器EPとが1対1の関係で対応している(図2参照)。また二次冷却装置70は、二次熱交換部46と蒸発器EPとを接続する液配管48およびガス配管50を備え、液配管48を介して二次熱交換部46から蒸発器EPへ重力の作用下に液相二次冷媒を供給し、ガス配管50を介して蒸発器EPから二次熱交換部46へ気相二次冷媒を還流させる自然循環回路72が設けられる。そして、実施例1の二次冷却装置70には、互いに独立した複数(図示の例では3回路)の自然循環回路72が並列に構築される。なお、二次熱交換部46は、機械室20に配設される一方、蒸発器EPは、当該機械室20の下方に位置する冷却室28に配設され、台板24を挟んで二次熱交換部46より下方に蒸発器EPが配置される。
【0021】
前記二次熱交換部46には、凝縮経路47(特に区別する場合は、符号47にα,β,γ…を追加する。)が、並列して複数(実施例1では3本)設けられている。また蒸発器EPには、蒸発管(蒸発経路)52が、並列して複数(実施例1では3本であって、特に区別する場合は、符号52にα,β,γ…を追加する。)設けられている。図2では、凝縮経路47をガス配管50に接続する流入端47aから液配管48に接続する流出端47bまで直線的な経路で表わすと共に、蒸発管52を液配管48に接続する流入端52aからガス配管50に接続する流出端52bまで直線的な経路で表わしているが、凝縮経路47および蒸発管52を蛇行させても、直線状に形成してもよい。ここで、二次冷却装置70では、複数の凝縮経路47、複数の蒸発管52、複数の液配管48(特に区別する場合は、符号48にα,β,γ…を追加する。)および複数のガス配管50(特に区別する場合は、符号50にα,β,γ…を追加する。)が同数となる。各自然循環回路72において、液配管48は、上端(始端)を二次熱交換部46における凝縮経路47の流出端47bに接続して台板24を貫通して配管され、冷却室28側に位置する下端(終端)が蒸発器EPにおける蒸発管52の流入端52aに接続される。各自然循環回路72において、ガス配管50は、冷却室28側に位置する下端(始端)が蒸発器EPにおける蒸発管52の流出端52bに接続して台板24を貫通して配管され、機械室20側に位置する上端(終端)が二次熱交換部46における凝縮経路47の流入端47aに接続される。なお、符号74は、各自然循環回路72に冷媒を充填するために設けられた冷媒チャージポートである。
【0022】
前記二次冷却装置70では、各自然循環回路72において、強制冷却される一次熱交換部36との熱交換により冷却される二次熱交換部46と蒸発器EPとの間に温度勾配が形成され、二次冷媒が二次熱交換部46、液配管48、蒸発器EPおよびガス配管50を自然対流して二次熱交換部46に再び戻る冷媒の循環サイクルが形成される。なお、図2では、複数の蒸発管52が上下の関係となっているが、水平方向に並列させてもよい。
【0023】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係る二次冷却装置70を備えた冷却設備31の作用について説明する。冷却設備31では、冷却運転を開始すると、一次冷却装置34および二次冷却装置70の夫々で冷媒の循環が開始される。先ず、一次冷却装置34について説明すると、圧縮機CMおよび凝縮器ファンFMが駆動され、圧縮機CMで気相一次冷媒が圧縮されて、この一次冷媒を冷媒配管38を介して凝縮器CDに供給して、凝縮器ファンFMによる強制冷却により凝縮液化することで液相とする。液相一次冷媒は、膨張手段EVで減圧され、熱交換器HEの一次熱交換部36において二次熱交換部46を流通する二次冷媒から熱を奪って(吸熱)一挙に膨張気化する。このように一次冷却装置34は、熱交換器HEにおいて、一次熱交換部36により二次熱交換部46を強制冷却するように機能している。そして、一次熱交換部36で蒸発した気相一次冷媒は、冷媒配管38を経て圧縮機CMに帰還する強制循環サイクルを繰返す。
【0024】
前記二次冷却装置70では、二次熱交換部46が一次熱交換部36により冷却されているから、各自然循環回路72において二次熱交換部46の各凝縮経路47を流通する過程で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加するので、重力の作用下に二次熱交換部46の各凝縮経路47に沿って液相二次冷媒が流下する。二次冷却装置70では、二次熱交換部46を機械室20に配置する一方、蒸発器EPを機械室20の下方に位置する冷却室28に配設することで、二次熱交換部46と蒸発器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、各自然循環回路72において、液相二次冷媒を、二次熱交換部46の下部に接続した液配管48を介して、蒸発器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、蒸発器EPの各蒸発管52を流通する過程で該蒸発器EPの周囲雰囲気から熱を奪って蒸発して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管50を介して蒸発器EPから二次熱交換部46へ還流し、二次冷却装置70ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、各自然循環回路72において、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0025】
前記送風ファン30により吸込口26aから冷却室28に吸引された収納室14の空気を、冷却された蒸発器EPに吹付けることで、蒸発器EPと熱交換した空気が冷気となる。そして冷気を、冷却室28から冷気吹出口26bを介して収納室14に送出することで、収納室14が冷却される。冷気は、収納室14の内部を循環して、吸込口26aを介して再び冷却室28内に戻るサイクルを反復する。
【0026】
前記二次冷却装置70では、夫々の自然循環回路72が、経路や配管の分岐を伴わず互いに独立して1つの回路を構成するように、凝縮経路47と蒸発管52とが液配管48およびガス配管50で接続されている。このように、各自然循環回路72は、互いに独立しているから、凝縮経路47,47同士および蒸発管52,52同士または凝縮経路47と蒸発管52との間で二次冷媒が偏在することを抑制でき、各凝縮経路47および各蒸発管52を流通する二次冷媒の量を一致させることができる。
【0027】
また、二次冷却装置70に作用する外気温の変動等の外因によって、各自然循環回路72を循環する二次冷媒が凝縮経路47や蒸発管52の何れかに偏在する場合もある。しかるに、各自然循環回路72は、互いに独立したサーモサイフォンが構成されているので、各凝縮経路47および各蒸発管52における二次冷媒の量が一致するように、二次冷媒のバランスが自然に調節される。従って、各凝縮経路47および各蒸発管52において、二次冷媒の偏在自体が起きにくく、例え二次冷媒の偏在が生じても当該凝縮経路47および蒸発管52を流通する二次冷媒の量を一致させるよう調節力が作用するので、二次冷媒のバランスを調節するために弁等の調節手段を設ける必要がなく、二次冷却装置70の構成を簡易にできる。しかも、自然循環回路72において、二次冷媒が円滑に自然対流するから、蒸発器EPにおける冷却効率を向上することができる。そして、熱交換部46および蒸発器EPにおいて要求される熱交換面積に応じた数の自然循環回路72を冷却装置70に設けることで、必要とされる凝縮経路47および蒸発管52を熱交換部46および蒸発器EPに配置することができ、装置全体として必要とされる熱交換面積が担保される。
【0028】
前記二次冷却装置70では、熱交換器46および蒸発器EPの夫々に凝縮経路47および蒸発管52を複数配置することができる。すなわち、1本当たりの凝縮経路47および蒸発管52に要求される熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路47および各蒸発管52の配管長を短くすることが可能となる。これにより、各凝縮経路47および各蒸発管52において、必要とされる配管長を稼ぐために蛇行させる回数を少なくでき、流通抵抗となる屈曲部分を減らせるから、当該凝縮経路47および蒸発管52を流通する二次冷媒の圧力損失を小さくすることができる。また各自然循環回路72は、液配管48、ガス配管50、凝縮経路47および蒸発管52を分岐させることなく、1つの冷媒の経路で構成しているから、配管等の分岐部に起因する圧力損失が発生しない。更に各自然循環回路72では、凝縮経路47と蒸発管52との間で自然対流に必要とされる二次冷媒のヘッド差を小さくできるので、凝縮経路47と蒸発管52との間で要求される落差が小さくなり、二次熱交換部46と蒸発器EPとの上下の配置間隔を狭くすることが可能となり、二次冷却装置70をコンパクトにできる。また、各自然循環回路72において、二次冷媒の圧力損失が小さいので、液配管48およびガス配管50として従来と比較して細い管径を選定しても、同一量の二次冷媒を回路内に循環させることができ、回路全体として充填する二次冷媒の量を削減することが可能となる。
【0029】
このように、各凝縮経路47および各蒸発管52の長さや断面積を減じることが可能であるので、二次熱交換部46や蒸発器EPをコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、自然循環回路72の圧力上昇を緩和する膨張タンク(図示せず)の容量等の付帯設備も小さくなるので、二次冷却装置70全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。また液配管48、ガス配管50および蒸発管52等の配管を細径化することで、これらの配管48,50,52において耐圧性能を確保するために必要な肉厚を減ずることが可能となる。すなわち、各配管48,50,52が細径化したことだけでなく、各配管48,50,52の肉厚が減少することとの相乗によって、配管重量を一層削減することができ、コストを更に低減し得る。
【0030】
ここで、液配管48、ガス配管50および蒸発管52等の配管の細径化によるコストの低減について具体的に説明する。
例えば、耐圧性能Pを有する配管の肉厚tは、以下の式で求められる。なお、σは材料の許容応力であり、Dは配管の外径である。
t=PD/2(σ+P)…(イ)
長さLの配管重量Mは、以下の式で求められる。なお、Cは材料の比重であり、Dは配管の内径である。
M=πLC(D−D)/4…(ロ)
また、D=D−2tと表わすことができるので、これを(ロ)式に代入すると、以下の式が導き出される。
M=πLC(Dt−t)…(ハ)
そして(ハ)式に(イ)式を代入すると、以下の式が導き出される。
M=(1−P/2(σ+P))×πLCPD/2(σ+P)…(ニ)
前記(ニ)式は、耐圧性能Pを有する配管の重量を示している。(ニ)式において、D以外の条件は不変とすると、π、L、C、P、σの条件は定数として扱うことができる。よって、耐圧性能Pを有する配管重量(配管の外径D)は、以下の式で表わすことができる。
M={(1−P/2(σ+P))×πLCP/2(σ+P)}×D…(ホ)
(ホ)式における{ }内は前述の如く定数であるから、M=ADと表わすことができる。
そして、耐圧性能Pを有する外径Dの配管の配管重量MDは、ADであり、耐圧性能Pを有する外径Dの配管の配管重量MDは、ADである。
更に、配管重量MDと配管重量MDとの比は、以下のように表わされる。
MD/MD=D/D…(ヘ)
【0031】
前記(ヘ)式に具体的な数字を当てはめて説明する。一般的な冷却装置では、蒸発管の外径は9.52mmに設定されることが多い。これに対して、実施例1の冷却装置であれば、条件によっても変わるが外径6.35mmの蒸発管を用いることができる。これらの条件を前記(へ)式に当てはめると、以下のようになる。
MDφ6.35/MDφ9.52=(6.35)/(9.52)=0.44
また、実施例1の冷却装置において、外径4.76mmの蒸発管を用いた場合は、以下のようになる。
MDφ4.76/MDφ9.52=(4.76)/(9.52)=0.25
すなわち、配管の重量比は、配管の材料価格の比であるともいえるから、実施例1の二次冷却装置70によれば、従来の冷却装置と比較して配管が細径化することにより大幅なコスト削減を達成し得ることは明らかである。
【0032】
前記冷却設備31は、一次冷却装置34と二次冷却装置70とを熱交換器HEで接続し、この熱交換器HEにおいて、一次冷却装置34の一次冷媒と二次冷却装置70の二次冷媒とが蒸発および凝縮作用下に熱交換を行なう。すなわち、顕熱のみによる熱交換と比べて、非常に高い熱伝達率を持つので、一次冷却装置34と二次冷却装置70との間の伝熱面積を小さくすることができる。また、一次冷媒および二次冷媒は共に、潜熱により熱の輸送を行なうため、比較的少量で、多くの熱量を伝達することができるから、熱交換器HEにおける熱交換量を低下させることなく、一次冷却装置34および二次冷却装置70の内容積を小さくすることが可能となる。従って、一次冷却装置34の一次冷媒量および二次冷却装置70の二次冷媒量を何れも低減でき、コストダウンや、一次冷却装置34および二次冷却装置70の小型化による冷却設備31の省スペース化を図り得る。
【0033】
前記一次冷却装置34に必要とされる一次冷媒量が少ないから、法令等で規定された冷媒の使用上限量以下とすることができ、一次冷媒として使用する冷媒の種類についての選択肢の幅が広がる。また機械室20は、凝縮器CDおよび圧縮機CMを空冷する都合上、空気が入替えられる開放された空間とされる。このような機械室20に一次冷却装置34を配設してあるから、一次冷媒が万が一漏出したとしても、機械室20に留まるおそれはない。また、機械室20は、台板24により閉鎖空間である収納室14と気密的に区切られているから、漏出した一次冷媒が収納室14に流入することはなく、収納室14に収納した物品に由来するアンモニアや硫化水素等の腐食性ガスが、機械室20に流入することもない。しかも、冷却設備31を一次冷却装置34と二次冷却装置70との二次ループ式冷凍回路で構成することで、安全性に優れている二酸化炭素等を二次冷媒として選択することが可能となる。すなわち、二次冷却装置70では、蒸発器EPが収納室14(冷却室28)に臨むが、例えば二次冷媒が収納室14に漏出したとしても、使用者に対する安全を担保し得る。
【0034】
前記一次冷却装置34および二次冷却装置70は、熱交換器HEの一次熱交換部36と二次熱交換部46とで熱的に接続されているが、冷媒の循環経路として互いに独立している。冷却設備31を停止(圧縮機CM:停止)した際に、一次冷却装置34には凝縮器CDから高温の液相一次冷媒が一次熱交換部36に流入する。これにより熱交換器HEは昇温されるものの、二次冷却装置70は独立しているから、蒸発器EPは昇温されることはなく、冷却設備31を停止した際の収納室14の温度上昇が緩やかになる。すなわち、冷却設備31により収納室14を所要の設定温度まで冷却することで、冷却設備31を停止した後、冷却設備31を再度駆動するまでの時間を長くすることができる。よって、冷却設備31の稼働率が低下するので、消費電力量の削減に繋がる。
【0035】
このように、実施例1の二次冷却装置70を二次ループ式冷凍回路からなる冷却設備31に適用することで、従来のフロンを用いた冷却設備と同等の大きさおよびコストで当該冷却設備31を設計することが可能となり、冷媒としてフロンを使用した機械圧縮式の冷凍回路と比較して、装置全体が大型化して大きな設置面積を要すると共にコストの上昇を伴う欠点が解消されて市場での競争力を獲得することができる。すなわち、実施例1に係る二次冷却装置70は、地球温暖化防止の観点から重要視されている二次ループ式冷凍回路によるノンフロン化技術の普及を推進する上で、有効な技術的な位置付けを有している。
【実施例2】
【0036】
図3は、二次側の回路として実施例2に係る二次冷却装置(冷却装置)44を備える冷却設備32を示す概略回路図である。なお、実施例2の冷却設備32は、実施例1で説明した冷蔵庫10に設置される。
【0037】
図3に示す如く、実施例2に係る冷却設備32は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の一次冷却装置(一次側の回路)34と、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次冷却装置(冷却装置)44とを、熱交換器HEを介して熱交換するように熱的に接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。熱交換器HEは、機械室20に設置され、一次冷却装置34を構成する一次熱交換部36と、この一次熱交換部36と別系統に形成されて、二次冷却装置44を構成する二次熱交換部(熱交換部)46とを備えている。すなわち、一次冷却装置34および二次冷却装置44には、独立した冷媒が循環する回路が夫々形成され、二次冷却装置44を循環する二次冷媒(冷媒)としては、毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が採用される。これに対し、一次冷却装置34を循環する一次冷媒としては、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等のHC系の冷媒またはアンモニアなどが採用され、実施例2ではプロパンが用いられている。すなわち、冷却設備32は、冷媒としてフロンを使用する必要はない。なお、熱交換器HEとしては、例えばプレート式、二重管式およびその発展型またはそれに類するものが採用される。
【0038】
前記一次冷却装置34は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機CMと、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器CDと、液相一次冷媒の圧力を低下させる膨張弁EVと、液相一次冷媒を気化する熱交換器HEの一次熱交換部36とを冷媒配管38で接続して構成される(図3参照)。圧縮機CMおよび凝縮器CDは、機械室20において台板24上に共通的に配設され、凝縮器CDを強制冷却する凝縮器ファンFMも、該凝縮器CDに対向して台板24上に配設されている。一次冷却装置34では、圧縮機CMによる一次冷媒の圧縮により、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張弁EV、熱交換器HEの一次熱交換部36および圧縮機CMの順に、一次冷媒が強制循環され、各機器の作用下に一次熱交換部36において所要の冷却を行なうようになっている(図3参照)。
【0039】
前記二次冷却装置44は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化する熱交換器HEの二次熱交換部46と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する蒸発器EPとを備え、二次熱交換部46と蒸発器EPとが1対1の関係で対応している(図3参照)。また二次冷却装置44は、二次熱交換部46と蒸発器EPとを接続する液配管48およびガス配管50を備え、液配管48を介して二次熱交換部46から蒸発器EPへ重力の作用下に液相二次冷媒を供給し、ガス配管50を介して蒸発器EPから二次熱交換部46へ気相二次冷媒を還流させる自然循環回路45が設けられる。前述した如く、二次熱交換部46は、機械室20に配設される一方、蒸発器EPは、当該機械室20の下方に位置する冷却室28に配設され、台板24を挟んで二次熱交換部46より下方に蒸発器EPが配置される。なお、符号74は、自然循環回路45に冷媒を充填するために設けられた冷媒チャージポートであって、実施例2の二次冷却装置44では、自然循環回路45が単一であるから、冷媒チャージポート74および安全弁や膨張タンク(何れも図示せず)等の付帯設備が1組で足りる。
【0040】
前記二次熱交換部46には、凝縮経路47(特に区別する場合は、符号47にα,β,γ…を追加する。)が、並列して複数(実施例2では3本)設けられている。また蒸発器EPには、蒸発管(蒸発経路)52が、並列して複数(実施例2では3本であって、特に区別する場合は、符号52にα,β,γ…を追加する。)設けられている。図3では、凝縮経路47をガス配管50に接続する流入端47aから液配管48に接続する流出端47bまで直線的な経路で表わすと共に、蒸発管52を液配管48に接続する流入端52aからガス配管50に接続する流出端52bまで直線的な経路で表わしているが、凝縮経路47および蒸発管52を蛇行させても、直線状に形成してもよい。ここで、二次冷却装置44では、複数の凝縮経路47、複数の蒸発管52、複数の液配管48(特に区別する場合は、符号48にα,β,γ…を追加する。)および複数のガス配管50(特に区別する場合は、符号50にα,β,γ…を追加する。)が同数に設定されている。液配管48は、上端(始端)を二次熱交換部46における凝縮経路47の流出端47bに接続して台板24を貫通して配管され、冷却室28側に位置する下端(終端)が蒸発器EPにおける蒸発管52の流入端52aに接続される。そして、ガス配管50は、冷却室28側に位置する下端(始端)が蒸発器EPにおける蒸発管52の流出端52bに接続して台板24を貫通して配管され、機械室20側に位置する上端(終端)が二次熱交換部46における凝縮経路47の流入端47aに接続される。
【0041】
前記二次冷却装置44では、凝縮経路47の流出端47bに接続する液配管48を、当該凝縮経路47の流入端47aに連結したガス配管50が接続している蒸発管52と別の蒸発管52に接続するよう構成される。また二次冷却装置44では、蒸発管52の流出端52bに接続するガス配管50を、当該蒸発管52の流入端52aに連結した液配管48が接続している凝縮経路47と別の凝縮経路47に接続して、複数の凝縮経路47、複数の蒸発管52、複数の液配管48および複数のガス配管50によって、全体として1つの自然循環回路45が構成される。そして、二次冷却装置44には、強制冷却される一次熱交換部36との熱交換により冷却される二次熱交換部46と蒸発器EPとの間に温度勾配が形成され、二次冷媒が二次熱交換部46、液配管48、蒸発器EPおよびガス配管50を自然対流して二次熱交換部46に再び戻る冷媒の循環サイクルが形成される。なお、図3では、複数の蒸発管52が上下の関係となっているが、水平方向に並列させてもよい。
【0042】
前記二次冷却装置44に構成される自然循環回路45について、図3を参照してより具体的に説明する。実施例2の二次冷却装置44では、二次熱交換部46に冷媒経路として3本の凝縮経路47α,47β,47γが設けられ、蒸発器EPに冷媒経路として3本の蒸発管52α,52β,52γが設けられている。第1凝縮経路47αの流出端47bには、第1液配管48αの始端が接続され、該第1液配管48αの終端が第1蒸発管52αの流入端52aに接続され、第1凝縮経路47αから第1液配管48αを介して第1蒸発管52αに二次液化冷媒が供給される。第1蒸発管52αの流出端52bには、第1ガス配管50αの始端が接続され、該第1ガス配管50αの終端が第2凝縮経路47βの流入端47aに接続され、第1蒸発管52αから第1ガス配管50αを介して第2凝縮経路47βに二次気化冷媒が戻される。第2凝縮経路47βの流出端47bには、第2液配管48βの始端が接続され、該第2液配管48βの終端が第2蒸発管52βの流入端52aに接続され、第2凝縮経路47βから第2液配管48βを介して第2蒸発管52βに二次液化冷媒が供給される。第2蒸発管52βの流出端52bには、第2ガス配管50βの始端が接続され、該第2ガス配管50βの終端が第3凝縮経路47γの流入端47aに接続され、第2蒸発管52βから第2ガス配管50βを介して第3凝縮経路47γに二次気化冷媒が戻される。第3凝縮経路47γの流出端47bには、第3液配管48γの始端が接続され、該第3液配管48γの終端が第3蒸発管52γの流入端52aに接続され、第3凝縮経路47γから第3液配管48γを介して第3蒸発管52γに二次液化冷媒が供給される。第3蒸発管52γの流出端52bには、第3ガス配管50γの始端が接続され、該第3ガス配管50γの終端が第1凝縮経路47αの流入端47aに接続され、第3蒸発管52γから第3ガス配管50γを介して第1凝縮経路47αに二次気化冷媒が戻され、二次冷媒が自然循環回路45内を一巡する。
【0043】
〔実施例2の作用〕
次に、実施例2に係る二次冷却装置44を備えた冷却設備32の作用について説明する。冷却設備32では、冷却運転を開始すると、一次冷却装置34および二次冷却装置44の夫々で冷媒の循環が開始される。なお、一次冷却装置34の作用は、段落[0023]で説明しているので省略する。
【0044】
前記二次冷却装置44では、二次熱交換部46が一次熱交換部36により冷却されているから、二次熱交換部46の各凝縮経路47を流通する過程で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加するので、重力の作用下に二次熱交換部46の各凝縮経路47に沿って液相二次冷媒が流下する。二次冷却装置44では、二次熱交換部46を機械室20に配置する一方、蒸発器EPを機械室20の下方に位置する冷却室28に配設することで、二次熱交換部46と蒸発器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、液相二次冷媒を、二次熱交換部46の下部に接続した液配管48を介して、蒸発器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、蒸発器EPの各蒸発管52を流通する過程で該蒸発器EPの周囲雰囲気から熱を奪って蒸発して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管50を介して蒸発器EPから二次熱交換部46へ還流し、二次冷却装置44ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0045】
前記二次冷却装置44に構成した自然循環回路45では、複数の凝縮経路47とこの凝縮経路47と同数の蒸発管52とを互い違いに接続することで、1本の凝縮経路47と1本の蒸発管52とに交互に二次冷媒を流通させる1つのサーモサイフォンを形成してある。すなわち、自然循環回路45によれば、液配管48、ガス配管50、凝縮経路47および蒸発管52を分岐させることなく、1つの回路の中に複数の凝縮経路47および複数の蒸発管52を設けることができる。このように、自然循環回路45が全体として1つの冷媒の経路で構成されているから、凝縮経路47,47同士および蒸発管52,52同士または凝縮経路47と蒸発管52との間で二次冷媒が偏在することを抑制でき、各凝縮経路47および各蒸発管52を流通する二次冷媒の量を一致させることができる。
【0046】
また、二次冷却装置44に作用する外気温の変動等の外因によって、自然循環回路45を循環する二次冷媒が凝縮経路47や蒸発管52の何れかに偏在する場合もある。しかるに、自然循環回路45は、1つのサーモサイフォンから構成されているので、各凝縮経路47および各蒸発管52における二次冷媒の量が一致するように、二次冷媒のバランスが自然に調節される。従って、各凝縮経路47および各蒸発管52において、二次冷媒の偏在自体が起きにくく、例え二次冷媒の偏在が生じても当該凝縮経路47および蒸発管52を流通する二次冷媒の量を一致させるよう調節力が作用するので、二次冷媒のバランスを調節するために弁等の調節手段を設ける必要がなく、二次冷却装置44の構成を簡易にできる。しかも、自然循環回路45において、二次冷媒が円滑に自然対流するから、蒸発器EPにおける冷却効率を向上することができる。従って、二次熱交換部46および蒸発器EPに凝縮経路47および蒸発管52を複数設けることができ、凝縮経路47および蒸発管52を屈曲や分岐することなく、熱交換面積を稼ぐことができる。
【0047】
前記二次冷却装置44では、熱交換器46および蒸発器EPの夫々に凝縮経路47および蒸発管52を複数配置することができる。すなわち、1本当たりの凝縮経路47および蒸発管52に要求される熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路47および各蒸発管52の配管長を短くすることが可能となる。これにより、各凝縮経路47および各蒸発管52において、必要とされる配管長を稼ぐために蛇行させる回数を少なくでき、流通抵抗となる屈曲部分を減らせるから、当該凝縮経路47および蒸発管52を流通する二次冷媒の圧力損失を小さくすることができる。また、二次冷却装置44は、液配管48、ガス配管50、凝縮経路47および蒸発管52を分岐させることなく、自然循環回路45を全体として1つの冷媒の経路で構成しているから、配管等の分岐部に起因する圧力損失が発生しない。自然循環回路45では、凝縮経路47と蒸発管52との間で自然対流に必要とされる二次冷媒のヘッド差を小さくできるので、凝縮経路47と蒸発管52との間で要求される落差が小さくなり、二次熱交換部46と蒸発器EPとの上下の配置間隔を狭くすることが可能となり、二次冷却装置44をコンパクトにできる。また、自然循環回路45において、二次冷媒の圧力損失が小さいので、液配管48およびガス配管50として従来と比較して細い管径を選定しても、同一量の二次冷媒を回路内に循環させることができ、回路全体として充填する二次冷媒の量を削減することが可能となる。
【0048】
このように、各凝縮経路47および各蒸発管52の長さや断面積を減じることが可能であるので、二次熱交換部46や蒸発器EPをコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、自然循環回路45の圧力上昇を緩和する膨張タンク(図示せず)の容量等の付帯設備も小さくなるので、二次冷却装置44全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。また液配管48、ガス配管50および蒸発管52等の配管を細径化することで、これらの配管48,50,52において耐圧性能を確保するために必要な肉厚を減ずることが可能となる。すなわち、各配管48,50,52が細径化したことだけでなく、各配管48,50,52の肉厚が減少することとの相乗によって、配管重量を一層削減することができ、コストを更に低減し得る。更に、実施例2の冷却設備32であっても、段落[0030]〜[0035]で説明した作用効果を奏する。
【0049】
実施例2の二次冷却装置44は、単一の自然循環回路45で構成されているので、冷媒チャージポート74や圧力の過剰な上昇を防ぐ安全弁や膨張タンク(何れも図示せず)等の付帯設備を、該自然循環回路45に対応した数だけ設けるだけでよい。すなわち、実施例1の二次冷却装置70の如く、独立した複数の自然循環回路72を備える構成と比較して、二次冷媒の偏流の防止や配管径の細径化等のメリットを維持しつつ、付帯設備がコンパクトになり、コストを低減し得る。また、実施例2の二次冷却装置44は、製造工程やメンテナンスにおける冷媒の充填作業を、単一の自然循環回路45に対し行なうだけなので、作業性およびメンテナンス性を向上し得る。
【0050】
前述した実施例2の二次冷却装置は、以下の如く変更することも可能である。なお変更例において、特に説明しない構成は実施例2の構成が採用される。
【0051】
(1)図4は、変更例1の冷却装置60の概略図である。変更例1の冷却装置60は、複数(3基)の二次熱交換部46A,46B,46Cと、この二次熱交換部46A,46B,46Cと同数(3基)の蒸発器EP1,EP2,EP3を備えている。また、各二次熱交換部46A,46B,46Cには、凝縮経路47が1本ずつ設けられると共に、各蒸発器EP1,EP2,EP3には、蒸発管52が1本ずつ設けられている。変更例1の自然循環回路は、凝縮経路47の流出端47bに接続する液配管48を、当該凝縮経路47の流入端47aに連結したガス配管50が接続している蒸発管52と別の蒸発管52に接続すると共に、蒸発管52の流出端52bに接続するガス配管50を、当該蒸発管52の流入端52aに連結した液配管48が接続している凝縮経路47と別の凝縮経路47に接続して、全体として1つの回路として構成されている。ここで、変更例1の冷却装置60では、液化冷媒の供給を受けた凝縮経路47を有する二次熱交換部46とは別の二次熱交換部46の凝縮経路47へ各蒸発器EPの蒸発管52から気化冷媒を還流するよう構成される。また、変更例1の冷却装置60では、気化冷媒の供給を受けた蒸発管52を有する蒸発器EPとは別の蒸発器EPの蒸発管52へ各二次熱交換部46の凝縮経路47から液化冷媒を供給するようになっている。
【0052】
変更例1の冷却装置60によれば、実施例2で説明した前述の作用効果と同様の作用効果を示す。また、二次熱交換部46および蒸発器EPを複数備えていても、凝縮経路47と蒸発管52とが1対1の関係で液配管48およびガス配管50で接続され、自然循環回路全体に対する各液配管48および各ガス配管50の寸法が短くなり、各液配管48および各ガス配管50における冷媒の流通抵抗が減少するので、圧力損失を小さくすることができる。
【0053】
(2)図5は、変更例2の冷却装置62の概略図である。変更例2の冷却装置62は、1基の二次熱交換部46と、複数(3基)の蒸発器EP1,EP2,EP3を備えている。また、各蒸発器EP1,EP2,EP3には、蒸発管52が1本ずつ設けられると共に、二次熱交換部46には、蒸発管52の総数と同数の凝縮経路47が設けられている。変更例2の自然循環回路は、凝縮経路47の流出端47bに接続する液配管48を、当該凝縮経路47の流入端47aに連結したガス配管50が接続している蒸発管52と別の蒸発管52に接続すると共に、蒸発管52の流出端52bに接続するガス配管50を、当該蒸発管52の流入端52aに連結した液配管48が接続している凝縮経路47と別の凝縮経路47に接続して、全体として1つの回路として構成されている。ここで、変更例2の冷却装置62では、気化冷媒の供給を受けた蒸発管52を有する蒸発器EPとは別の蒸発器EPの蒸発管52へ二次熱交換部46の各凝縮経路47から液化冷媒を供給するようになっている。
【0054】
変更例2の冷却装置62によれば、実施例2で説明した前述の作用効果と同様の作用効果を示す。また、複数の蒸発器EPを設けても、各蒸発器EPの蒸発管52に供給される液化冷媒の量が一致しているから、複数の蒸発器EPによって別々の対象をバランスよく冷却することができる。なお、複数の蒸発器EPに設ける蒸発管52は1本に限られず、図6に示す変更例3の冷却装置64の如く、2本以上の複数本としても、蒸発器EP毎に本数を異ならしてもよい。
【0055】
(3)図7は、変更例4の冷却装置66の概略図である。変更例4の冷却装置66は、複数(3基)の二次熱交換部46A,46B,46Cと、1基の蒸発器EPを備えている。また、各二次熱交換部46A,46B,46Cには、凝縮経路47が1本ずつ設けられると共に、蒸発器EPには、凝縮経路47の総数と同数(3本)の蒸発管52が設けられている。変更例4の自然循環回路は、凝縮経路47の流出端47bに接続する液配管48を、当該凝縮経路47の流入端47aに連結したガス配管50が接続している蒸発管52と別の蒸発管52に接続すると共に、蒸発管52の流出端52bに接続するガス配管50を、当該蒸発管52の流入端52aに連結した液配管48が接続している凝縮経路47と別の凝縮経路47に接続して、全体として1つの回路として構成されている。ここで、変更例4の冷却装置66では、液化冷媒の供給を受けた凝縮経路47を有する二次熱交換部46とは別の二次熱交換部46の凝縮経路47へ蒸発器EPの各蒸発管52から気化冷媒を還流するよう構成される。
【0056】
変更例4の冷却装置66によれば、実施例2で説明した前述の作用効果と同様の作用効果を示す。また、複数の二次熱交換部46を設けても、各二次熱交換部46の凝縮経路47に循環する気化冷媒の量が一致しているから、冷媒が偏在することを回避して、蒸発器EPにおいて対象を効率よく冷却することができる。なお、複数の二次熱交換部46に設ける凝縮経路47は1本に限られず、図8に示す変更例5の冷却装置68の如く、2本以上の複数本としても、二次熱交換部46毎に本数を異ならしてもよい。
【0057】
(4)実施例2および変更例の冷却装置は、1つの自然循環回路を備える構成であるが、独立した複数の自然循環回路を備える構成であってもよい。
【0058】
(イ)本発明の冷却装置は、空調設備等の冷却装置にも適用可能である。
(ロ)蒸発器は、箱体の内部を壁で区切ることで冷媒経路を形成したタイプの蒸発器であってもよい。
(ハ)本発明の冷却装置は、冷凍庫、冷凍・冷蔵庫、ショーケースおよびプレハブ庫等の所謂貯蔵庫に対しても適用し得る。
(ニ)冷却設備の一次冷却装置として、吸収式やその他の冷凍回路も採用することができる。また、本発明に係る冷却装置は、熱交換部をファンによる送風等によって冷却する空冷式であってもよい。
(ホ)熱交換器は、一次熱交換部と二次熱交換部とを別体で構成したり、他の方式の熱交換器であってもよい。
(ヘ)実施例では、一次冷却装置において液化冷媒を減圧する手段として膨張弁を用いたが、これに限られず、キャピラリーチューブまたはその他の減圧手段を採用し得る。
(ト)実施例では、二次ループ式冷凍回路を備える冷却設備の二次側に本発明に係る冷却装置を用いる例を挙げている。前述の如く、二次ループ式冷凍回路を備えた冷却設備の欠点を解消し得ることから、本発明に係る冷却装置を二次ループ式冷凍回路に適用することは非常に有用である。しかし、本発明に係る冷却装置は、二次ループ式冷凍回路に適用することに限定されず、単体で冷却装置として用いることも可能である。
(チ)実施例1の冷却装置において、1つの熱交換部に対して複数の蒸発器を設けてもよい。すなわち、複数の冷媒循環回路の各凝縮経路が1つの熱交換部に設けられると共に、各蒸発器に対応の冷媒循環回路の蒸発経路が設けられる。また実施例1の冷却装置において、複数の熱交換部に対して1つの蒸発器を設けてもよい。すなわち、複数の冷媒循環回路の各蒸発経路が1つの蒸発器に設けられると共に、各熱交換部に対応の冷媒循環回路の凝縮経路が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の好適な実施例1に係る冷却装置を冷却設備の二次回路として備えた冷蔵庫を示す側断面図である。
【図2】実施例1の冷却装置を二次回路として備えた冷却設備の要部を示す概略回路図である。
【図3】実施例2の冷却装置を二次回路として備えた冷却設備の要部を示す概略回路図である。
【図4】変更例1の冷却装置を示す概略回路図である。
【図5】変更例2の冷却装置を示す概略回路図である。
【図6】変更例3の冷却装置を示す概略回路図である。
【図7】変更例4の冷却装置を示す概略回路図である。
【図8】変更例5の冷却装置を示す概略回路図である。
【図9】第1従来例の冷却装置を示す概略回路図である。
【図10】第2従来例の冷却装置を示す概略回路図である。
【図11】第3従来例の冷却装置を示す概略回路図である。
【符号の説明】
【0060】
34 一次冷却装置(一次側の回路),45,72 自然循環回路,
46 二次熱交換部(熱交換部),47 凝縮経路,47b 流出端,47a 流入端,
48 液配管,50 ガス配管,52 蒸発管(蒸発経路),52a 流入端,
52b 流出端,EP 蒸発器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮経路(47)を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部(46)と、この熱交換部(46)の下方に配置され、蒸発経路(52)を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする蒸発器(EP)とを有し、液化冷媒を熱交換部(46)の凝縮経路(47)から蒸発器(EP)の蒸発経路(52)へ液配管(48)を介して流下させると共に、気化冷媒を蒸発器(EP)の蒸発経路(52)から熱交換部(46)の凝縮経路(47)へガス配管(50)を介して流通させる自然循環回路(72)を設けた冷却装置において、
互いに独立した複数の自然循環回路(72)を備えている
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
凝縮経路(47)を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部(46)と、この熱交換部(46)の下方に配置され、蒸発経路(52)を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする蒸発器(EP)とを有し、液化冷媒を熱交換部(46)の凝縮経路(47)から蒸発器(EP)の蒸発経路(52)へ液配管(48)を介して流下させると共に、気化冷媒を蒸発器(EP)の蒸発経路(52)から熱交換部(46)の凝縮経路(47)へガス配管(50)を介して流通させる自然循環回路(45)を設けた冷却装置において、
前記自然循環回路(45)は、複数の蒸発経路(52)と、該複数の蒸発経路(52)と同数の凝縮経路(47)とを備え、
前記凝縮経路(47)の流出端(47b)に接続する液配管(48)を、当該凝縮経路(47)の流入端(47a)に連結したガス配管(50)が接続している蒸発経路(52)と別の蒸発経路(52)に接続すると共に、蒸発経路(52)の流出端(52b)に接続するガス配管(50)を、当該蒸発経路(52)の流入端(52a)に連結した液配管(48)が接続している凝縮経路(47)と別の凝縮経路(47)に接続して、全体として1つの自然循環回路(45)を構成した
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
1つまたは複数の熱交換部(46)に対して、1つまたは複数の蒸発器(EP)が設けられる請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項4】
冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路(34)に対して、前記自然循環回路(45,72)が前記熱交換部(46)を介して熱的に接続される請求項1〜3の何れか一項に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−150588(P2009−150588A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327771(P2007−327771)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】