説明

冷却装置

【課題】冷却能および冷却媒体の流れに関して最適化する冷却装置を提供する。
【解決手段】動作中に熱を発する電気機器用の冷却装置であって、冷却媒体が流れる冷却ダクトを画成する冷却インサート8を有する冷却装置に関する。冷却装置を、特に冷却媒体の冷却能および流れに関して最適化するために、冷却装置1は、冷却インサート8が配置される閉鎖した冷却媒体密封ハウジング2を備え、ハウジング2は、冷却媒体流が出入りするのを可能にする少なくとも2つの開口部15、18を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作中に熱を発する電気機器用の冷却装置であって、冷却媒体が流れる冷却ダクトを画成する冷却インサート(挿入部材)を有する、冷却装置に関する。本発明はまた、この種の冷却装置が配置される空洞を有する電気機器に関する。本発明はさらに、この種の電気機器を有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、冷却空気案内システムを有するスイッチギアキャビネット用の構成キットを開示しており、冷却空気案内システムは、屋根要素の領域に配置される空気案内板を備えている。下記特許文献2は、電気機器用のハウジングを開示しており、電気機器は、それぞれの冷却原理に一致する機械付属品のみと可変ハウジングカバーとを含むさまざまな冷却構成キットを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第10191092B3号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3228368A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102007015293A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102006057796A1号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102005025381A1号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第19704934A1号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第4131739A1号明細書
【特許文献8】米国特許第7516777B2号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2008/0314559A1号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2002/0079095A1号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第5841634A号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第1804014A2号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第1175135A1号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第0798954A1号明細書
【特許文献15】国際公開第2005/080902A1号パンフレット
【特許文献16】特開2008−282969号公報
【特許文献17】特開2008−004667号公報
【特許文献18】特開2006−324647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、請求項1のプリアンブル(前文)による冷却装置を、特に冷却能および冷却媒体の流れに関して最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
動作中に熱を発する電気機器用の冷却装置であって、冷却媒体が流れる冷却ダクトを画成する(形成する)冷却インサート(挿入部材)を有する冷却装置の場合、冷却装置が、冷却インサートが配置される閉鎖した冷却媒体密封ハウジングを備え、ハウジングが、冷却媒体流が出入りするのを可能にする少なくとも2つの開口部を有するため、上記目的が達成される。本発明による冷却装置は、冷却の目的で、電子機器に、あるいは、電子機器内に配置することができる閉鎖型システムを表している。冷却インサートおよび/またはハウジングを、異なる冷却能を達成するために変更することができる。ハウジングは、種々の用途に対して複数の冷却インサートを有することが好ましい。これには、同じハウジングが異なる冷却インサートと使用されるため、さまざまな用途に対して単一の冷却装置を簡単な方法で使用することができる、という利点がある。
【0006】
冷却装置の好ましい例示的な実施形態は、冷却インサートが、冷却ダクトを表す(に相当する)細長い窪みを有するインサート本体を備えるという点で特徴づけられる。インサート本体は、実質的に直方体設計(形状)であることが好ましい。直方体の設計は、ハウジングの設計に一致している。冷却ダクトを、窪みの長さ、深さおよび進路によって、要求に応じて変更することができる。
【0007】
冷却装置のさらなる好ましい例示的な実施形態は、ハウジングが、ハウジングを冷却媒体密封するように(冷却媒体が漏れないように)閉鎖する着脱可能なハウジングカバーを備えるという点で特徴付けられる。その結果、冷却インサートの挿入および交換が簡略化する。ハウジングカバーを、たとえばねじ接続を用いて、好ましくは好適な封止材を介在させることにより、ハウジングに取り付けることができる。
【0008】
冷却装置のさらなる好ましい例示的な実施形態は、冷却インサートが、ハウジングカバーに面する面に、冷却媒体用の入口領域から出口領域まで蛇行して走る窪みを有する、という点で特徴付けられる。窪みは、冷却インサートの全面にわたって延在することが好ましい。その結果、冷却媒体とハウジングカバーとの間の熱伝導が向上する。
【0009】
冷却装置のさらなる好ましい例示的な実施形態は、冷却インサートが、ハウジングカバーから離れる方向に向けられかつハウジングベースに面する面に、冷却媒体用の入口領域から出口領域まで蛇行して走る窪みを有する、という点で特徴付けられる。互いに離れる方向に向けられる冷却インサートの面の窪みは、共通の入口領域から共通の出口領域まで延在することが好ましい。別法として、2つの別個の入口領域および2つの別個の出口領域を、各々に対して設けることも可能である。
【0010】
冷却装置のさらなる好ましい例示的な実施形態は、ハウジングベースおよび/またはハウジングカバーが、冷却ダクトの長手方向に走りかつ冷却インサートの隣接する窪み内に突出する冷却リブを有する、という点で特徴付けられる。冷却媒体とハウジングカバーまたはハウジングベースとの間の熱伝導が、冷却リブによって向上する。
【0011】
冷却装置のさらなる好ましい例示的な実施形態は、ハウジングが、入口領域および出口領域の各々において冷却媒体配管用の接続開口部を有するという点で特徴付けられる。接続開口部には、対応する接続部品にねじ込まれるねじ山が設けられることが好ましい。
【0012】
冷却装置のさらなる好ましい例示的な実施形態は、冷却装置が、要件に応じて、閉鎖したハウジングにおいて種々の冷却能を可能にするさまざまな冷却インサートを備える、という点で特徴付けられる。さまざまな冷却インサートは、好ましくは、外側寸法が同じであり、窪みの設計および寸法に関してのみ異なる。
【0013】
本発明はまた、上述した冷却装置が配置される空洞を有する電子機器に関する。空洞の設計は、冷却装置のハウジングの外側設計に一致することが好ましい。
【0014】
電子機器は、たとえば、電気コンバータ、特に電気ダブルコンバータである。
【0015】
本発明はまた、上述した電気機器を有する自動車に関する。自動車は、電気自動車またはハイブリッド車であることが好ましい。
【0016】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細を、以下の説明から取得することができる。以下の説明では、例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による冷却装置の斜視図を示す。
【図2】図1の線II−IIに沿った断面の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および図2に、ハウジング2を有する冷却装置1を、斜視図および断面図で示す。ハウジング2は、本質的に矩形の板の形態であるハウジングベース3を備えている。ハウジング2において実質的に直方体の空洞を画成(形成)するハウジング側壁4が、ハウジングベース3から延在している。ハウジング2を、図1では透明で示すハウジングカバー5によって閉鎖することができる。
【0019】
ハウジング2は、冷却インサート(挿入部材)8を収容している。冷却インサート8は、冷却媒体用の入口領域11および出口領域12を表す2つの凹部を備えている。使用する冷却媒体は、冷却液、たとえば関連する添加剤を含む水であることが好ましい。
【0020】
入口領域11では、ハウジング2は開口部15を有しており、そこに接続配管16が接続されている。出口領域12では、ハウジング2はさらなる開口部18を有しており、そこにはさらなる接続配管19が接続されている。冷却媒体流が、接続配管16を介して入口領域11に供給され、前記冷却媒体流は、出口領域12から接続配管19を介して排出される。
【0021】
冷却インサート8は、ハウジングカバー5に面する面に細長い窪み21、22を備えており、それらは、入口領域11から延在する冷却ダクトを画成(形成)している。冷却ダクトは、偏向領域24において180度偏向する。さらなる偏向領域25〜28において、冷却媒体流は、出口領域12まで蛇行して偏向する。
【0022】
図2は、冷却インサート8のハウジング床3に面する面に、類似する細長い窪み31、32が形成されていることを示し、前記細長い窪みは、冷却インサート8のハウジングカバー5に面する面と同様に冷却ダクトを表している。ハウジングベース3から細長い窪み31内に、冷却リブ51、52が延在している。ハウジングカバー5から細長い窪み21内に、冷却リブ41、42が延在している。
【0023】
ハウジングカバー5は周方向ウェブ55を有しており、それは、ハウジング2の冷却インサート8とハウジング側壁4との間に係合する。ハウジング側壁4と周方向ウェブ55との間の対応する溝に、封止材56が収容されている。封止材56は、冷却インサート8を収容するハウジング2の内部を周囲の領域から、冷却媒体が密封されるように閉鎖する。
【0024】
本発明による冷却装置1は、たとえば電子部品を冷却するためにさまざまな方法で使用することができる閉鎖型モジュールを提供する。冷却装置1は、有効冷却領域を有し、その冷却能を、上部ではハウジングカバー5においてかつ底部ではハウジングベース3において、さまざまな設計の冷却インサート8によって、種々の用途に一致させることができる。冷却インサート8の設計により、冷却能および冷却能分布をともに、簡単な方法で変更することができ、要件に応じて、冷却領域間で配分することができる。
【0025】
図1および図2に示す冷却ダクトの構成は、非常に均一の冷却能を提供することができる。動作によって引き起こされる圧力の低下を、偏向領域24〜28において流れが最適化された冷却ダクトによって、低く維持することができる。冷却媒体は、冷却ダクト内を両方向に流れることができる。使用する冷却媒体は、たとえば水であり得る。
【符号の説明】
【0026】
1 冷却装置
2 ハウジング
8 冷却インサート(冷却挿入部材)
15 開口部
18 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作中に熱を発する電気機器用の冷却装置であって、冷却媒体が流れる冷却ダクトを画成する冷却挿入部材(8)を有する冷却装置であり、前記冷却挿入部材(8)が配置される閉鎖した冷却媒体密封ハウジング(2)を具備し、前記ハウジング(2)が、冷却媒体流が出入りするのを可能にする少なくとも2つの開口部(15、18)を有する、冷却装置。
【請求項2】
前記冷却挿入部材(8)が、前記冷却ダクトに相当する細長い窪み(21、22;31、32)を有する挿入部材本体を備える、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記ハウジング(2)が、前記ハウジング(2)を冷却媒体を密封するように閉鎖する着脱可能なハウジングカバー(5)を備える、請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却挿入部材(8)が、前記ハウジングカバー(5)に面する面に、前記冷却媒体用の入口領域(11)から出口領域(12)まで蛇行して走る窪み(21、22)を有する、請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却挿入部材(8)が、前記ハウジングカバー(5)から離れる方向に向けられかつハウジングベース(3)に面する面に、前記冷却媒体用の入口領域(11)から出口領域(12)まで蛇行して走る窪み(31、32)を有する、請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記ハウジングベース(3)が、前記冷却ダクトの長手方向に走りかつ前記冷却挿入部材(8)の隣接する前記窪み(31)内に突出する冷却リブ(51、52)を有する、請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記ハウジングカバーが、前記冷却ダクトの長手方向に走りかつ前記冷却挿入部材(8)の隣接する前記窪み(21)内に突出する冷却リブ(41、42)を有する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記ハウジング(2)が、前記入口領域(11)および前記出口領域(12)の各々において冷却媒体配管(16、19)用の接続開口部(15、18)を有する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項9】
要件に応じて、前記閉鎖したハウジング(2)において種々の冷却能を可能にするさまざまな冷却挿入部材(8)を具備する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の冷却装置(1)が配置される空洞を有する電気機器。
【請求項11】
請求項10に記載の電気機器を有する自動車。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−101001(P2011−101001A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−237052(P2010−237052)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】