説明

冷暖房装置

【課題】必要とされる熱媒供給量が大きい場合に所望の冷房や暖房を行うことが可能でありながら、必要とされる熱媒供給量がそれほど大きくない場合には無駄な熱媒の供給を抑制することが可能な冷暖房装置を提供する。
【解決手段】建物の床下に水平方向に間隔をあけて並設される複数の長尺状の床支持部材5にその長手方向に沿う状態で支持される複数の被支持部14Aと、隣接する被支持部14A同士を接続する複数の接続部14Bとを備えて熱媒供給源15から供給される熱媒が循環通流する熱媒通流管14が、被支持部14Aが複数の床支持部材5のうちの1個おきの床支持部材5に支持される状態で支持対象となる床支持部材5が互いに異なり且つ並列に熱媒を通流させる状態で複数備えられ、複数の熱媒通流管14を各別に熱媒が供給される状態と熱媒供給が停止される状態とに切り換え自在な熱媒供給状態切換手段30,31が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒供給源から供給される冷房用又は暖房用の熱媒が循環通流する熱媒通流管が、建物の床下に水平方向に間隔をあけて並設される複数の長尺状の床支持部材にその長手方向に沿う状態でその床支持部材に支持される複数の被支持部と、隣接する前記被支持部同士を接続する複数の接続部とを備えている冷暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記冷暖房装置は、前記熱媒通流管が建物の床下に位置する大引きビーム等の床支持部材に支持される状態で設けられ、熱媒供給源から供給される冷房用又は暖房用の熱媒を熱媒通流管に循環通流することで、床面の上方の居住空間を暖房したりあるいは冷房することができるようにしたものであるが、このような冷暖房装置において、従来では、次のように構成されるものがあった。
【0003】
すなわち、水平方向に間隔をあけて並設される複数の床支持部材の夫々に支持される前記複数の被支持部と隣接する前記被支持部同士を接続する前記複数の接続部とを備えた1本の熱媒通流管が、建物の床下に設けられる構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−195319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、1本の熱媒通流管における複数の被支持部が複数の床支持部材の夫々に支持されるものであるから、熱媒通流管における被支持部が支持されて熱媒による冷房作用又は暖房作用を発揮する箇所が、床面における床支持部材の並び方向において密になるのであり、冷房又は暖房を行うときの冷房負荷又は暖房負荷が大きい場合には、好ましくないものとなる。
【0006】
しかしながら、冷房又は暖房を行うときの冷房負荷又は暖房負荷が小さい場合には、例えば、熱媒通流管に循環通流する熱媒の供給を断続させることにより熱媒供給源から熱媒通流管に与えられる熱量の調整を行うようにしても、冷房作用又は暖房作用を発揮する箇所が、床面における床支持部材の並び方向において密に存在するものであるため、冷房能力又は暖房能力が過剰になるおそれがある。
【0007】
その結果、上記従来構成では、冷房負荷又は暖房負荷が大きく変動する状況で使用するときに良好な冷房又は暖房が行えないものとなる不利があった。
【0008】
本発明の目的は、冷房負荷又は暖房負荷が大きく変動する場合であっても、良好な冷房又は暖房を行うことが可能となる冷暖房装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る冷暖房装置は、熱媒供給源から供給される冷房用又は暖房用の熱媒が循環通流する熱媒通流管が、建物の床下に水平方向に間隔をあけて並設される複数の長尺状の床支持部材にその長手方向に沿う状態でその床支持部材に支持される複数の被支持部と、隣接する前記被支持部同士を接続する複数の接続部とを備えているものであって、その第1特徴構成は、前記被支持部が前記複数の床支持部材のうちの1個おき又は複数個おきの前記床支持部材に支持される状態で配設される前記熱媒通流管が、支持対象となる前記床支持部材が互いに異なり且つ並列に熱媒を通流させる状態で複数備えられ、前記複数の熱媒通流管を各別に熱媒が供給される状態と熱媒供給が停止される状態とに切り換え自在な熱媒供給状態切換手段が備えられている点にある。
【0010】
第1特徴構成によれば、複数の床支持部材のうちの1個おき又は複数個おきの床支持部材に支持される状態で複数の熱媒通流管が備えられており、熱媒供給状態切換手段によって複数の熱媒通流管を各別に熱媒が供給される状態と熱媒供給が停止される状態とに切り換えることができる。
【0011】
そして、冷房又は暖房を行うときの冷房負荷又は暖房負荷が大きい場合には、複数の熱媒通流管の夫々に熱媒を通流させることで、熱媒による冷房作用又は暖房作用を発揮する箇所を床支持部材の並び方向に密になる状態とすることにより、大きい冷房負荷又は暖房負荷に対応できるものとなる。
【0012】
一方、冷房又は暖房を行うときの冷房負荷又は暖房負荷が小さい場合には、複数の熱媒通流管のうちのいずれか一部だけのものに熱媒を通流させることで、その一部の熱媒通流管が配備される床支持部材に対応する箇所だけで熱媒による冷房作用又は暖房作用を発揮させることができ、熱媒による冷房作用又は暖房作用を発揮する箇所が床支持部材の並び方向に沿って間引きされた粗い状態となることにより、小さい冷房負荷又は暖房負荷に対応するように冷房用又は暖房用の熱量を低下させることが可能である。
【0013】
つまり、熱媒供給状態切換手段により複数の熱媒通流管を各別に熱媒が供給される状態と熱媒供給が停止される状態とに切り換えることによって、熱媒供給源から熱媒通流管に与えられる冷房用又は暖房用の熱量を広い範囲で変更させることが可能となる。
【0014】
従って、第1特徴構成によれば、冷房負荷又は暖房負荷が大きく変動する場合であっても、良好な冷房又は暖房を行うことが可能となる冷暖房装置を提供できるに至った。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記被支持部が、
前記床支持部材の長手方向の一端側から他端側に向けて前記床支持部材の横一側面に沿って延びる状態で支持される往路部分と、前記床支持部材の長手方向の他端側にて前記往路部分から前記床支持部材の横他側面側に向けて平面視でループ状に屈曲する水平ループ部分と、前記床支持部材の長手方向の前記他端側から前記一端側に向けて前記床支持部材の横他側面に沿って延びる状態で支持される復路部分とを備えて構成され、
前記被支持部における前記復路部分の前記長手方向の一端側の端部と、それに隣接する前記被支持部における前記往路部分の前記長手方向の一端側の端部とを前記接続部にて接続する状態で、隣接する前記被支持部同士を前記接続部にて接続して一連に連なる熱媒通流経路が形成されている点にある。
【0016】
第2特徴構成によれば、前記熱媒通流管は長尺状の床支持部材の長手方向に沿う状態で床支持部材に支持される複数の被支持部と、隣接する前記被支持部同士を接続する複数の接続部とを備えて構成される。そして、前記床支持部材に支持される被支持部が、床支持部材の長手方向の一端側から他端側に向けて床支持部材の横一側面に沿って延びる状態で支持される往路部分と、その往路部分に連なり且つ床支持部材の長手方向の他端側にて前記往路部分から床支持部材の下側を経由して床支持部材の横他側面側に向けて平面視でループ状に屈曲する水平ループ部分と、その水平ループ部分に連なり且つ床支持部材の長手方向の前記他端側から前記一端側に向けて床支持部材の横他側面に沿って延びる状態で支持される復路部分とを備える。又、互いに隣接する前記被支持部同士を、一方の前記被支持部における前記復路部分の前記長手方向の一端側の端部と、他方の前記被支持部における前記往路部分の前記長手方向の一端側の端部とを前記接続部にて接続されて一連に連なる熱媒通流経路が形成されるのである。つまり、床支持部材に支持される複数の被支持部が接続部にて互いに接続されて一連に連なる状態で蛇行状の熱媒通流経路が形成されることになる。
【0017】
上記したように熱媒通流管における被支持部は、前記往路部分、前記水平ループ部分、及び、前記復路部分の夫々により、床支持部材の長手方向に沿って配備され且つ床支持部材の長手方向の端部にて折り返す往復経路を備えるものであるが、その折り返しの際に、平面視でループ状に屈曲する状態で水平ループ部分が形成されるものであるから、例えば床支持部材の下側の広い空間を利用したり、床支持部材の左右両側の広い空間を利用することで、大きくループ状に屈曲して折り返すことができ、その折れ曲がり部分は大きい曲率半径にて曲げることができる。
【0018】
その結果、熱媒が通流する状態と通流を停止する状態とに切り換わり温度差が発生することにより熱媒通流管が熱収縮を起こすことがあっても、大きい曲率半径で曲げられている湾曲部分において例えば折れ曲がり具合が少し変化するだけでその収縮分を吸収することができ、熱媒通流管に局部的に無理な力がかかることを抑制して、短期間の使用でひび割れが発生する等の不利を回避し易いものとなる。
【0019】
従って、第2特徴構成によれば、熱媒通流管が早期に損傷するおそれが少なく長期にわたり熱媒の通流供給を良好に行うことが可能となる冷暖房装置を提供できるに至った。
【0020】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記床支持部材が、横方向の幅よりも縦方向の幅が広幅となる縦長の断面形状となる状態で設けられ、前記熱媒通流管における前記往路部分及び前記復路部分が、前記床支持部材の横側面における下部側に位置させて支持されている点にある。
【0021】
第3特徴構成によれば、前記床支持部材が横方向の幅よりも縦方向の幅が広幅となる縦長の断面形状となる状態で設けられ、前記床支持部材の上側には居住空間の床部を構成するための床板が載置されて、例えば釘を打ち付けたり接着剤で接着すること等により、床支持部材と床板とが連結固定されることになる。そして、前記熱媒通流管における前記往路部分及び前記復路部分が前記床支持部材の横側面における下部側に位置させて支持されることになるから、上述したような釘等の連結具により床板と床支持部材とを連結する組み付け作業を行う際に、熱媒通流管に連結具が干渉して熱媒通流管を傷つける等のおそれが少ないものになる。
【0022】
従って、第3特徴構成によれば、床板と床支持部材とを連結する組み付け作業によって熱媒通流管を傷つけるおそれが少ない状態で熱媒通流管を配設することが可能な冷暖房装置を提供できるに至った。
【0023】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、前記床支持部材が、上部側に位置する広幅で且つ断面略四角形状の上側受け部と、下部側に位置する広幅で且つ断面略四角形状の下側受け部と、前記上側受け部と前記下側受け部とを接続する幅狭の中間部とを備えて構成され、前記熱媒通流管における前記往路部分及び前記復路部分が、前記下側受け部の横側面に支持されている点にある。
【0024】
第4特徴構成によれば、前記床支持部材は、上部側及び下部側に、夫々、広幅で且つ断面略四角形状の上側受け部及び下側受け部が備えられ、それら上側受け部と下側受け部とを接続する幅狭の中間部とを備えて構成されており、前記床支持部材を、床板に掛かる荷重を十分に大きな支持強度で支持することができ、例えば、無垢の木材等により縦方向全幅にわたり横幅寸法が幅広に形成されるようなものに比べて軽量で安価な部材で構成することが可能なものとなる。
【0025】
そして、このような構成の床支持部材においては、前記上側受け部と前記中間部との間及び前記下側受け部と前記中間部との間の接続部分を接着材により接続補強することがあるが、前記熱媒通流管における前記往路部分及び前記復路部分が、前記下側受け部の横側面に支持されることから、接着材が誤って熱媒通流管に付着して熱媒通流管を損傷するおそれが少ないものにできる。
【0026】
従って、第4特徴構成によれば、床支持部材を安価なものに構成するものでありながら、熱媒通流管を損傷するおそれが少ないものにすることが可能な冷暖房装置を提供できるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る冷暖房装置の実施形態を建物としての木造二階建て住宅に適用した場合について図面に基づいて説明する。
図1に、冷暖房装置が備えられた建物としての木造二階建て住宅の簡略化した縦断側面図を示している。この建物は周知の軸組構法により作成されるものであり、地盤1上の布基礎2が構築され、この布基礎2の上にアンカーボルトにより固定される状態で土台3が設置され、この土台3の上に柱4が立設されている。そして、前記土台3に水平方向に所定間隔をあけて並設される複数の床支持部材5が横架支持される状態で設けられ、この床支持部材5の長手方向の中間部分は地盤1上に束石6を介して立設される複数の床束7により荷重が受け止め支持される構成となっている。又、前記床支持部材5の上側には一階の居住空間S1における床部を形成するための床板8が敷設され、一階の床部が形成されることになる。尚、前記床板8は、例えば釘を打ち付けることにより、あるいは、接着剤で接着させることにより、床支持部材5の上部に固定されることになる。
【0028】
前記柱4の上下中間部には水平方向に延びる横桟部材9が横架支持される状態で固定され、左右の横桟部材9にわたって水平方向に所定間隔をあけて並設される複数の床支持部材5が横架支持される状態で設けられ、これらの複数の床支持部材5の上側には二階の居住空間S2における床部を形成するための床板8が敷設され、二階の床部が形成されることになる。又、二階の複数の床支持部材5は吊り部材10を介して一階の居住空間S1における天井11を吊り下げ支持する構成となっている。
【0029】
前記床支持部材5は、横方向の幅よりも縦方向の幅が広幅となる縦長の断面形状となる状態で設けられている。具体的には、図2及び図6に示すように、上部側に位置する広幅で且つ断面略四角形状の上側受け部5Aと、下部側に位置する広幅で且つ断面略四角形状の下側受け部5Bと、前記上側受け部5Aと前記下側受け部5Bとを接続する幅狭の中間部5Cとを備えて構成されている。
【0030】
説明を加えると、前記床支持部材5は、前記上側受け部5Aと前記下側受け部5Bとが夫々無垢の木材からなる断面形状が略四角形の角材にて構成され、前記中間部5Cは合板からなる板状体にて構成されている。この中間部5Cは上側受け部5Aの下面に形成された凹溝12と下側受け部5Bの上面に形成された凹溝13とにわたって嵌め込み装着される。前記上側受け部5Aや前記下側受け部5Bの凹溝12,13に対して前記中間部5Cは嵌め込み装着されるが、それらの接続強度を向上させるために嵌め込み箇所に接着剤を塗付することもある。
【0031】
そして、この建物には、図1に示すように、建物の一階の居住空間S1の床下及び二階の居住空間S2の床下の夫々に熱媒としての温水が循環通流する熱媒通流管14が配設され、その熱媒通流管14に建物の外に設置された熱媒供給源としての熱源機15から設定温度(例えば80℃)に加熱された温水を循環通流させて、熱媒通流管14からの輻射熱や床支持部材5を通して伝達される伝達熱により床面の上方空間、つまり一階の居住空間S1及び二階の居住空間S2を暖房することができるようになっている。
【0032】
前記熱源機15は、詳述はしないが、湯水を循環通流可能な循環通流路に湯水加熱用の熱交換器が備えられ、内装する循環ポンプにより前記循環通流路及び前記熱媒通流管14を通して熱媒を循環通流することができるように構成され、ガス燃焼式のバーナにより熱交換器を加熱することにより設定温度に加熱された温水を熱媒通流管14に循環通流させることができるように構成されている。
【0033】
前記熱媒通流管14は、例えばポリスチレン等の可撓性を有し且つ伝熱性の良い合成樹脂材にて構成されており、一階の床下及び二階の床下の夫々において、水平方向に間隔をあけて並設される複数の床支持部材5にて順次支持されて平面視で蛇行状に配設される。一階の床下及び二階の床下における熱媒通流管14の配設構造は夫々同じであり、次のように構成されている。
【0034】
前記熱媒通流管14は、建物の床下に水平方向に間隔をあけて並設される複数の長尺状の床支持部材5にその長手方向に沿う状態でその床支持部材5に支持される複数の被支持部14Aと、隣接する前記被支持部14A同士を接続する複数の接続部14Bとを備える状態で設けられている。そして、被支持部14Aが複数の床支持部材5のうちの1個おき床支持部材に支持される状態で配設される熱媒通流管14が、支持対象となる床支持部材5が互いに異なり且つ並列に熱媒を通流させる状態で複数備えられ、複数の熱媒通流管14を各別に熱媒が供給される状態と熱媒供給が停止される状態とに切り換え自在な熱媒供給状態切換手段としての通流本数切換用断続弁30,31が備えられている。
【0035】
具体的には、図3に示すように、熱源機15から供給される温水は、供給ヘッダ16により一階用の熱媒通流管14及び二階用の熱媒通流管14に分配され且つ還流ヘッダ17にて合流するように循環通流させることで、一階用の熱媒通流管14及び二階用の熱媒通流管14に並列状態で供給することができるように構成されている。又、一階の熱媒通流管14及び二階の熱媒通流管14には夫々、運転状態切り換え用の断続弁18,19が備えられ、各別に温水(熱媒)を供給する供給状態と供給を停止する供給停止状態とに切り換え可能に構成されている。
【0036】
一階用の熱媒通流管14及び二階用の熱媒通流管14は夫々、分配ヘッダ28により2本の熱媒通流管14X,14Yに分配され且つ合流ヘッダ29にて合流するように循環通流させることで、2本の熱媒通流管14X,14Yに並列状態で供給することができるように構成され、分配される2本の熱媒通流管14X,14Yには各別に熱媒が供給される状態と熱媒供給が停止される状態とに切り換え自在な通流本数切換用断続弁30,31が備えられている。
【0037】
前記運転状態切り換え用の断続弁18,19及び前記通流本数切り換え用の断続弁30,31は、夫々電磁操作式に構成され、図示しないリモコン装置による指令に基づいて図示しない制御手段からの制御信号に基づいて切り換え操作を行うように構成されている。つまり、1階または2階での暖房運転の開始停止の指令に基づいて運転状態切り換え用の断続弁18,19の切り換え操作を行い、且つ、要求熱量の違いに応じて通流本数切換用断続弁30,31の切り換え操作を行うように構成されている。
【0038】
次に、前記熱媒通流管14の配設構造について説明する。
図2に示すように、前記2本の熱媒通流管14X,14Yは夫々、建物の床下に水平方向に間隔をあけて並設される複数の長尺状の床支持部材5にその長手方向に沿う状態でその複数の被支持部14Aと、隣接する被支持部14A同士を接続する複数の接続部14Bとを備えており、前記被支持部14Aが、床支持部材5の長手方向の一端側から他端側に向けて床支持部材5の横一側面に沿って延びる状態で支持される往路部分L1と、床支持部材5の長手方向の他端側にて前記往路部分L1から床支持部材5の下側を経由して床支持部材5の横他側面側に向けて平面視でループ状に屈曲する水平ループ部分L2と、床支持部材5の長手方向の前記他端側から前記一端側に向けて床支持部材5の横他側面に沿って延びる状態で支持される復路部分L3とを備えて構成されている。
【0039】
説明を加えると、図4に示すように、一方の熱媒通流管14Xは、前記供給ヘッダ16側から延びる温水供給部14Cに連なり、複数の床支持部材5のうちの並び方向の一端側に位置する1番目の床支持部材5に、前記往路部分L1、前記水平ループ部分L2及び前記復路部分L3を備える状態で長手方向に沿う状態で支持されている。そして、前記復路部分L3の前記床支持部材5の長手方向の一端側の端部と、前記並び方向の一端側から数えて3番目の床支持部材5における前記往路部分L1の前記長手方向の一端側の端部とを前記接続部14Bにて接続する状態で、隣接する前記被支持部14A同士を前記接続部14Bにて接続して一連に連なる熱媒通流経路が形成されている。さらに、その後は、前記並び方向の一端側から数えて5番目の床支持部材5、7番目の床支持部材5というように、1個おきの床支持部材5に順次支持される状態で配設される。
【0040】
又、他方の熱媒通流管14Yは、一方の熱媒通流管14Xと同様に、前記並び方向の一端側から数えて2番目の床支持部材5を最初の床支持部材5として、次に前記並び方向の一端側から数えて4番目の床支持部材5、その次に前記並び方向の一端側から数えて6番目の床支持部材5というように、1個おきの床支持部材5に順次支持される状態で配設される。
【0041】
前記各熱媒通流管14X,14Yは、床支持部材5における長手方向の一端部側から他端側に向けてその床支持部材5の横一側面、すなわち、前記並び方向の一端側に位置する側面に沿って延びる状態で往路部分L1が形成される。そして、その往路部分L1に連なり、且つ、床支持部材5の長手方向の他端側箇所にて前記往路部分L1から床支持部材5の下面側を経由して床支持部材5の横他側面側に平面視でループ状に屈曲する状態で延びる水平ループ部分L2が形成される。そして、その水平ループ部分L2に連なり、且つ、床支持部材5の長手方向の前記他端側から前記一端部側に向けて床支持部材5の横他側面、すなわち、前記並び方向の一端側に位置する側面に沿って延びる復路部分L3が形成される。このように、前記往路部分L1、前記水平ループ部分L2及び前記復路部分L3が一連に連なる状態で床支持部材5に支持される被支持部14Aが形成される。
【0042】
前記往路部分L1及び前記復路部分L3は、夫々、図5及び図6に示すように、前記下側受け部5Bの横側面にビス止め状態で固定される保持具20により支持される構成となっており、前記水平ループ部分L2は前記下側受け部5Bの下側面にビス止め状態で固定される保持具20により支持される構成となっている。従って、前記熱媒通流管14における前記往路部分L1及び前記復路部分L3が、横方向の幅よりも縦方向の幅が広幅となる縦長の断面形状となる状態で設けられている前記床支持部材5の横側面における下部側に位置させて支持される構成となっている。
【0043】
そして、並び方向の最終側の床支持部材5に支持される被支持部14Aの復路部分L3に連なる状態で戻り路部分14Dが形成されている。この戻り路部分14Dが、前記各床支持部材5の下側受け部5Bの下側面にビス止め状態で固定される保持具20により支持される状態で且つ前記並び方向に沿って延びる状態で備えられて、この戻り路部分14Dの他端部が合流ヘッダ29に接続される。
【0044】
このようにして、被支持部14Aにおける復路部分L3の床支持部材5の長手方向の一端側の端部と、それに隣接する被支持部14Aにおける往路部分L1の床支持部材5の長手方向の一端側の端部とを接続部14Bにて接続する状態で、隣接する被支持部14A同士を接続部14Bにて接続して一連に連なる蛇行状の熱媒通流経路が形成されることになる。
【0045】
前記熱媒通流管14は、前記水平ループ部分L2が、床支持部材5の下方側の広い空間を利用して大きい曲率半径で曲げることができ、高温の温水が通流する状態と通流を停止して低温になる状態とが交互に繰り返し行われることで熱媒通流管14が熱収縮を起こすことがあっても、大きい曲率半径で曲げられている湾曲部分においてその収縮分を吸収することができる。つまり、湾曲部分における折れ曲がり具合が少し変化することによって収縮分を吸収することが可能となるのであり、熱媒通流管14に局部的に無理な力がかかることを抑制して、短期間の使用でひび割れが発生する等の不利を回避し易いものとなる。
【0046】
さらに、この建物では、前記熱媒通流管14に温水が循環通流されることにより、高温となっている床下の空気(暖気)を居住空間に導くように強制的に通風させる構成となっている。すなわち、図1及び図7に示すように、建物の横側部から外気を吸引し且つ二階の床下に給気する給気ファン21が設けられ、一階の天井11の一部を開口して二階の床下の暖気を一階の居住空間S1に排気する給気口22が形成され、二階の床板8の一部を開口して二階の床下の暖気を二階の居住空間S2に排気する給気口23が形成されている。さらに、二階には建物の側壁との間で二階の床下と連なる空間を形成するように間隔をあける状態で仕切り壁25が形成され、前記仕切り壁25に二階の床下の暖気を二階の居住空間S2に給気する給気口26が形成されている。又、前記各給気口22,23,26を通して暖気が供給される一階の居住空間S1及び二階の居住空間S2の空気は、建物内の図示しない通気経路を通して排気口27に導かれて外部に排気されるようになっており、一階の居住空間S1及び二階の居住空間S2が良好に暖房されることになる。図7では、排気口27を屋根に設ける構成を示しているが、排気口27は別の場所であってもよい。
【0047】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0048】
(1)上記実施形態では、前記被支持部14Aが1個おきの床支持部材5に支持される状態で2本の熱媒通流管14が並列状態で備えられる構成としたが、前記被支持部14Aが複数の床支持部材5のうちの2個おき又は3個おき等、複数個おきの床支持部材5に支持される状態で3本又は4本以上の熱媒通流管14が並列状態で備えられる構成でもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、前記床支持部材5が、上部側に位置する広幅で且つ断面略四角形状の上側受け部5Aと、下部側に位置する広幅で且つ断面略四角形状の下側受け部5Bと、前記上側受け部5Aと前記下側受け部5Bとを接続する幅狭の中間部5Cとを備えて構成されるものを例示したが、このような構成に代えて、図8に示すように、上下方向の略全幅にわたって横幅寸法が同じ形状、つまり断面形状が略縦長矩形状となるものでもよい。又、前記床支持部材としては、木材にて構成されるものに代えて金属材にて構成されるものでもよい。
【0050】
(3)上記実施形態では、建物の横側部から外気を吸引し且つ二階の床下に給気して、二階の床下の暖気を一階の居住空間S1及び二階の居住空間S2に通流させる給気ファンが設けられる構成としたが、このような構成に代えて、図9に示すように、一階の居住空間S1の空気を一階の天井11の一端部に形成した通気口40を通して二階の床下に通気させ、二階の床下の暖気を一階の天井11の他端部に形成した通気口41を通して一階の居住空間S1に通気させ、且つ、二階の床下の暖気を二階の床板8に形成した通気口42、及び、仕切り壁25に形成した通気口43を通して二階の居住空間S2に通気させ、二階の居住空間S2の空気を二階の床板8に形成した通気口44を通して二階の床下に通気させるように、循環通風させる循環ファン45を備える構成としてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、一階の床下及び二階の床下の夫々に熱媒通流管14を備える構成としたが、このような構成に代えて、図10及び図11に示すように、二階の床下のみに熱媒通流管14を備える構成としてもよい。又、一階の床下のみに熱媒通流管14を備える構成としてもよい。
【0052】
(5)上記実施形態では、前記水平ループ部分L2が、前記往路部分L1から前記床支持部材5の下面側を経由して床支持部材5の横他側面側に平面視でループ状に屈曲する状態で延びる構成としたが、このように前記床支持部材の下面側を経由するものに限らず、例えば、床支持部材と土台との間の隙間に形成された挿通孔等を挿通する状態で平面視でループ状に屈曲する状態で延びる構成するものでもよい。
【0053】
(6)上記実施形態では、前記熱媒供給状態切換手段が、床支持部材に支持される熱媒通流管への熱媒供給だけを切り換える構成としたが、この熱媒供給状態切換手段は、床面の上部側に設置される周知構成の熱媒循環式の床暖房パネルへの熱媒供給の切り換えにも適用可能である。
【0054】
(7)上記実施形態では、前記熱媒通流管に前記熱媒供給源としての熱源機から暖房用の熱媒が循環通流する構成としたが、前記熱媒通流管に前記熱媒供給源としての冷水供給機から冷房用の熱媒が循環通流する構成として、その熱媒通流管の周囲の冷気を給気ファンや循環ファンにより居住空間に通気させることで居住空間を冷房する構成としてもよい。
【0055】
(8)上記実施形態では、前記冷暖房装置を建物としての木造二階建て住宅に適用した場合について説明したが、建物としては、木造平屋建て住宅でもよく、又、木造住宅に限らずコンクリートを躯体とする集合住宅にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】建物の縦断側面図
【図2】熱媒通流管の配設状態を示す一部切欠斜視図
【図3】熱媒通流管の配管構成を示す図
【図4】熱媒通流管の支持構成を示す平面図
【図5】熱媒通流管の支持構成を示す側面図
【図6】熱媒通流管の支持構成を示す縦断面図
【図7】建物の換気構成を示す図
【図8】別実施形態の熱媒通流管の支持構成を示す斜視図
【図9】別実施形態の建物の換気構成を示す図
【図10】別実施形態の建物の換気構成を示す図
【図11】別実施形態の建物の換気構成を示す図
【符号の説明】
【0057】
5 床支持部材
5A 上側受け部
5B 下側受け部
5C 中間部
14 熱媒通流管
14A 被支持部
14B 接続部
15 熱媒供給源
30,31 熱媒供給状態切換手段
L1 往路部分
L2 平面ループ部分
L3 復路部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒供給源から供給される冷房用又は暖房用の熱媒が循環通流する熱媒通流管が、建物の床下に水平方向に間隔をあけて並設される複数の長尺状の床支持部材にその長手方向に沿う状態でその床支持部材に支持される複数の被支持部と、隣接する前記被支持部同士を接続する複数の接続部とを備えている冷暖房装置であって、
前記被支持部が前記複数の床支持部材のうちの1個おき又は複数個おきの前記床支持部材に支持される状態で配設される前記熱媒通流管が、支持対象となる前記床支持部材が互いに異なり且つ並列に熱媒を通流させる状態で複数備えられ、
前記複数の熱媒通流管を各別に熱媒が供給される状態と熱媒供給が停止される状態とに切り換え自在な熱媒供給状態切換手段が備えられている冷暖房装置。
【請求項2】
前記被支持部が、
前記床支持部材の長手方向の一端側から他端側に向けて前記床支持部材の横一側面に沿って延びる状態で支持される往路部分と、前記床支持部材の長手方向の他端側にて前記往路部分から前記床支持部材の横他側面側に向けて平面視でループ状に屈曲する水平ループ部分と、前記床支持部材の長手方向の前記他端側から前記一端側に向けて前記床支持部材の横他側面に沿って延びる状態で支持される復路部分とを備えて構成され、
前記被支持部における前記復路部分の前記長手方向の一端側の端部と、それに隣接する前記被支持部における前記往路部分の前記長手方向の一端側の端部とを前記接続部にて接続する状態で、隣接する前記被支持部同士を前記接続部にて接続して一連に連なる熱媒通流経路が形成されている請求項1記載の冷暖房装置。
【請求項3】
前記床支持部材が、横方向の幅よりも縦方向の幅が広幅となる縦長の断面形状となる状態で設けられ、
前記熱媒通流管における前記往路部分及び前記復路部分が、前記床支持部材の横側面における下部側に位置させて支持されている請求項2記載の冷暖房装置。
【請求項4】
前記床支持部材が、
上部側に位置する広幅で且つ断面略四角形状の上側受け部と、下部側に位置する広幅で且つ断面略四角形状の下側受け部と、前記上側受け部と前記下側受け部とを接続する幅狭の中間部とを備えて構成され、
前記熱媒通流管における前記往路部分及び前記復路部分が、前記下側受け部の横側面に支持されている請求項3記載の冷暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−216323(P2009−216323A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61371(P2008−61371)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】