説明

冷気もれ防止方法と装置

【課題】簡単な構造で確実に冷気の外部へのもれ出しを防ぎ、外気侵入による冷気循環効率の悪化を改善することのできる、物品冷却装置における冷気もれ防止方法と装置を提供することが課題である。
【解決手段】物品冷却装置における入口側若しくは出口側開口部周囲を囲繞する如く、被冷却体を搬送するコンベアと対峙する複数の面に回転数可変可能な有圧扇を設け、少なくとも一の面で被冷却体載置側コンベアの周囲空間の冷気を、他の面でリターン側コンベアの周囲空間の冷気をそれぞれ吸い出し、コンベアの表裏両面側より物品冷却装置開口部から流出する冷気の流れの向きを、強制的に変向可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷気もれ防止方法と装置に係り、特に、被冷却体搬送コンベア貫通部の開口部より物品冷却装置外への冷気もれを効果的に防止できるようにした、冷気もれ防止方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種食品の製造工場では、食品を急速凍結することで食品の鮮度を保ち、低温下で保存することで長期間、いつでも新鮮な状態を味わえるよう種々の凍結・冷却設備が導入されている。図5に10で示した概略平面図は、一例として庫内温度を−20℃〜−35℃に保ち、入口側開口部15から出口側開口部16まで設けられたコンベア12により、載置した食品などの被冷却体を物品処理空間内を移動させながら、急速凍結を行うようにした物品冷却装置たるフリーザーである。
【0003】
この図5において、11はフリーザー10内を−20℃〜−35℃に保つための空気処理装置としてのユニットクーラー、12は食品等の被冷却体を載置してフリーザー10内に搬送するコンベアで、このコンベア12はスパイラル部(ドラム部)13でスパイラル状とされている。14はクーラーファン、15はコンベア12上に載置した被冷却体たる製品をフリーザー10内に搬入するための入口側開口部、16は同じく搬出するための出口側開口部、18、19は冷気の流れ方向を示した矢印、121、122はコンベアの進行方向である。
【0004】
このフリーザー10においては、低部側に設けられた入口側開口部15から、矢印121方向に進むコンベア12上に載置された被冷却体たる食品などが搬入され、コンベア12がスパイラル状となっているスパイラル部(ドラム部)13で徐々に上の方に運ばれるとき、ユニットクーラー11で生成されてクーラーファン14で矢印18方向に運ばれる冷気によって冷却され、急速凍結されて上部に設けられた出口側開口部16から矢印122方向に搬出されるようになっている。
【0005】
なお、物品冷却装置としてのフリーザーは、この図5に示したスパイラル式のフリーザー10だけでなく、コンベアがストレート状になっているストレート式、図5の場合とは逆のスパイラル式で低部側に搬出用開口部を有したものなど、種々の形式のフリーザーがある。
【0006】
しかしながらこのようなフリーザ10においては、前記した−20℃〜−35℃という庫内温度により空気の比重量が増加し、冷えた空気が低部に溜まって外気との間に圧力差が生じ、低いところにある搬入用開口部15から矢印19で示したように、冷気がもれ出てしまうという問題がある。なお、搬入用開口部15と搬出用開口部16の高低関係が逆の場合、逆に搬出用開口部16から冷気がもれることになる。
【0007】
こういった冷却室からの冷気のもれだしに対しては、例えば特許文献1に、冷却室の開口の外側に環状空気室を形成し、室内に不活性気体を必裏に応じ与圧して送入し、噴出口より噴出させて気体カーテンを形成せしめて冷却室内部空間への外気の侵入、あるいは冷却室内ガスの外界雰囲気中への放散を防止することが開示されている。
【0008】
また特許文献2には、こういった気体カーテン(エアーカーテン)では、−40℃程度の低温フリーザー設備においては陽圧域と負圧域との差圧が大きく、エアーカーテンのまくれ現象が生じて効果がないため、陽圧域と負圧域とに接するコンベアの導入口と導出口とにコンベアの動きを妨げないようチャンバを設け、そのチャンバをダクトで陽圧域と負圧域とに接続してチャンバ内の圧力を大気圧に近似させ、冷気のもれ出しを防止するようにした物品処理装置が示されている。
【0009】
さらに特許文献3には、被冷却体の搬入口を上部に、搬出口を下部に形成し、搬入口と隣接する装置内に送気ファンを有し、冷却空間内冷気を導入して加圧状態を維持して一部が装置内冷却空間に対し開放されている前室を設け、その前室側の装置内壁側に可撓性閉塞板(のれん)を設けて被冷却体搬入方向に開放可能にし、前室内の加圧力を利用して搬入口を封止可能に構成した垂直型冷却装置が示されている。
【0010】
【特許文献1】特公昭51−2128号公報
【特許文献2】特開昭60−200068公報
【特許文献3】特公平7−117334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に示された気体カーテンにより冷気もれ出しを防ぐ方法では、前記したように−40℃程度の低温フリーザー設備においては陽圧域と負圧域との差圧が大きく、エアーカーテンのまくれ現象が生じて効果が期待できない。また特許文献2に示された物品処理装置では、チャンバと陽圧域と負圧域とを接続するダクトが必要で装置が大がかりでコストもかかる。
【0012】
さらに、特許文献3に示された垂直型冷却装置は、加圧状態とした前室を設けることで被冷却体搬入時、装置内の冷気が直接外部にもれないような構造としているが、可撓性閉塞板(のれん)は、搬入口においては外部から内部への進入を容易として内部から外部への流出を阻止し、搬出口においては内部から外部への流出を容易として内部から外部への進入を阻止する構造となるから、被冷却体搬入時に前室から冷気がもれ出す点は改善されず、さらに低部に設けられた搬出口からは、冷気がそのままもれだしてしまう。
【0013】
そして冷気がもれ出すと冷却効率が落ちてしまうと共に、湿度の多い外気を吸い込むとユニットクーラー11に霜が付着し、クーラーファン14やユニットクーラー11に高負荷運転を強いることになったり、製品の投入量が増大して負荷が増えた場合に製品の凍結不良、フリーザー前後のコンベア12が冷気により凍結し、搬送トラブルが発生する。また付着した霜を取り除くためのデフロストを行なうことにより、製品の製造が停止するなど、種々のトラブルの原因となる。
【0014】
そのため本発明においては、簡単な構造で確実に冷気の外部へのもれ出しを防ぎ、外気侵入による冷気循環効率の悪化を改善し、ノンデフロスト運転を継続することのできる、冷気もれ防止方法と装置を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため本発明になる冷気もれ防止方法は、
断熱壁体の内側に空気処理装置により冷気を生成循環させた物品冷却空間に、コンベアに被冷却体を載置して入口側開口部より出口側開口部に搬送して前記被冷却体を凍結するようにした物品冷却装置における冷気もれ防止方法において、
前記入口側若しくは出口側開口部の内側の前記コンベアの被冷却体戴置側及びリターン側の往復部周囲を囲う複数の面に回転数可変可能な有圧扇を設け、該コンベアの往復部周囲空間の冷気を吸い出し、前記物品冷却空間内に吹き戻すことを特徴とする。
【0016】
そしてこの方法を実施する冷気もれ防止装置は、
入口側開口部より被冷却体を載置して断熱壁体内側の物品冷却空間内を移動し、出口側開口部に搬送するコンベアを有し、前記物品冷却空間内に冷気を通流可能にして前記被冷却体を凍結するようにした物品冷却装置において、
前記物品冷却装置における入口側若しくは出口側開口部の内側の、前記コンベアの被冷却体戴置側及びリターン側の往復部周囲を囲う複数の面に回転数可変可能な有圧扇を具えた冷気もれ防止装置を配設し、
該冷気もれ防止装置は、前記コンベアの往復部周囲空間の冷気を吸い出し、前記物品冷却空間内に吹き戻すことを特徴とする。
【0017】
このように、物品冷却装置における入口側、若しくは出口側開口部の内側のコンベアの被冷却体戴置側及びリターン側の往復部周囲を囲う複数の面に回転数可変可能な有圧扇を設け、該コンベアの往復部周囲空間の冷気を吸い出し、前記物品冷却空間内に吹き戻すことで、コンベア表裏両面側の物品冷却装置開口部から流出する冷気の流れの向きを強制的に変向することができ、物品冷却装置は前記したように装置内の圧力を同じ圧力に保とうとするので、例えば入口側開口部より冷気が流出すると出口側開口部より外気を吸い込むが、流出しようとする冷気を有圧扇で吸い出して流出量を減らすことで、相対して外気吸入側の吸込量が減り、物品冷却装置内での冷気循環効率が大きく高まる。
【0018】
そのため、湿度の多い外気を吸い込むことでユニットクーラーに霜が付着し、クーラーファンや冷凍機が高負荷運転を余儀なくされる場合があったが、このようにすることで負荷が軽減され、使用電力量が低減されると共に、エアーカーテンやチャンバとダクト、可撓性閉塞板(のれん)を有する前室などを設けずとも、入口側、若しくは出口側開口部からもれ出そうとする冷気が有圧扇で物品冷却空間内に戻されるから、簡単な構成で確実に冷気の流出と外気の流入の両方が防止され、外気侵入による冷気循環効率の悪化を改善した物品冷却装置における冷気もれ防止方法を提供することができる。
【0019】
そして、前記複数の有圧扇は、前記被冷却体戴置側コンベアの天井部、および前記コンベアの往復部側面の冷気を吸い出すことで、もれ出ようとした冷気は効果的に物品冷却空間で被冷却体の冷却に有効に使用することができる。
【0020】
また、前記コンベアの往復部側面の有圧扇は、下部コンベアとなるリターン側コンベア面高さの冷気を吸い出すことで、もれ出ようとした冷気を有効に使用することができる。
【0021】
さらに、前記冷気もれ防止装置は、前記物品冷却装置における低部側に設けられた被冷却体入口側開口部若しくは出口側開口部に設けられていることで、通常、前記したように−20℃〜−35℃という庫内温度により空気の比重量が増加するが、それによって冷えた空気が低部に溜まり、外気との間に圧力差が生じて開口から冷気がもれ出すから、効果的に冷気もれを防止することができる。
【0022】
そして、前記有圧扇の回転数を、前記空気処理装置の冷却能力、台数と、前記冷気の流出量とに対応させ、インバータ回路を有した制御回路により制御し、そのために前記物品冷却装置は、前記物品冷却装置を構成するユニットクーラーの冷却能力、台数と、前記冷気の流出量とに対応させて前記有圧扇の回転数を制御するインバータ回路を有した制御回路を備えていることで、冷気の流出量はユニットクーラーの冷却能力、台数や、物品冷却装置内温度によっても変化してくるから、それらに対応させて有圧扇の回転数を制御すれば、効率的に冷気もれを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上記載のごとく本発明になる物品冷却装置の冷気もれ防止方法と装置は、入口側、若しくは出口側開口部の内側の前記コンベアの被冷却体戴置側及びリターン側の往復部周囲を囲う複数の面に回転数可変可能な有圧扇を設け、該コンベアの往復部周囲空間の冷気を吸い出し前記物品冷却空間内に吹き戻すことで、被冷却体載置側コンベアの周囲空間の冷気とリターン側コンベアの周囲空間の冷気の流れの向きを強制的に変向するようにしたから、冷気の流出量が減って相対的に外気の吸込量も減り、物品冷却装置内での冷気循環効率が大きく高まり、従来装置のように、エアーカーテンやチャンバとダクト、可撓性閉塞板(のれん)を有する前室などを設けずとも、簡単な構成で確実に冷気の流出と外気の流入の両方が防止され、外気侵入による冷気循環効率の悪化を改善した物品冷却装置における冷気もれ防止方法と装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明になる冷気もれ防止方法を実施する装置を備えた物品冷却装置10の一実施例の概略平面図、図2は、冷気もれ防止方法を実施する装置の概略正面図(A)と概略側面図(B)、図3は冷気もれ防止方法を実施する装置17を構成するそれぞれの有圧扇が受持つエリアと、通風方向とを示した概略正面図である。
【0026】
図中、前記図5で説明した物品冷却装置たるフリーザー10と同一の構成要素には同一番号を付してあるが、簡単に説明すると、10は物品冷却装置としてのフリーザー、11はユニットクーラー、12はコンベア、121、122はコンベアの進行方向を示す矢印、13はスパイラル状搬送部、14はクーラーファン、15は入口側開口部、16は出口側開口部、17は本発明になる冷気もれ防止装置、18、19は冷気の流れ方向を示す矢印である。
【0027】
本発明になる物品冷却装置10は、コンベア12に被冷却体を載置し、低部側に設けられた入口側開口部15から物品冷却空間内に搬入して、物品冷却空間に配置されたスパイラル状搬送部13で徐々に上部側に搬送し、上部側に設けられた出口側開口部16から外部に搬出するよう構成され、その間に被冷却体を、空気処理装置たるユニットクーラー11で生成されてクーラーファン14で矢印18で示したように、スパイラル状搬送部13に送られる冷気で急速凍結するようになっている。
【0028】
そして本発明においては、低部側に設けられた入口側開口部15からの冷気もれを防ぐため、入口側開口部15の周囲を囲繞するよう設けられた冷気もれ防止装置17により、コンベア12の被冷却体載置側周囲空間の冷気と、リターン側コンベア12の周囲空間の冷気とを吸い出し、コンベア12の表裏両面側の物品冷却装置開口部から流出する冷気の流れの向きを、矢印18で示したように強制的にスパイラル状搬送部13側に変向し、さらにユニットクーラー11に戻るようにして、従来装置のようにエアーカーテンやチャンバとダクト、可撓性閉塞板(のれん)を有する前室などを設けずとも、冷気の流出と外気の流入の両方を防止して、外気侵入により生じる冷気循環効率の悪化を改善したものである。
【0029】
この際、物品冷却装置10は、装置内の圧力を成り行きではあるが常時同じ圧力に保とうとするので、例えば入口側開口部15より冷気が流出すると出口側開口部16より外気を吸い込むが、冷気もれ防止装置17を冷気の流出側に設けて流出量を減らすことで、相対して外気吸入側の吸込量が減り、物品冷却装置10内での冷気循環効率が大きく高まり、上記したように冷気循環効率の悪化を改善することができる。
【0030】
その冷気もれ防止装置17の概略正面図が図2(A)であり、概略側面図が図2(B)である。図中、171は入口側開口部15を囲繞するように設けられ、20、21、22で示した冷気もれ防止装置17を構成する有圧扇を取り付ける囲繞壁、123は被冷却体を載置し、物品冷却装置10の物品冷却空間内に搬入するコンベア12の被冷却体載置側、124はリターン側のコンベアである。このコンベア12はそのベルト両側にチェーンが設けられ、例えば、物品冷却装置10の入口側開口部15、出口側開口部16のそれぞれに設けられた125、126で示したようなスプロケットでこのチェーンが駆動され、スパイラル状搬送部13を経由して、出口側開口部16の122で示した方向に被冷却体を搬出するようになっている。
【0031】
また冷気もれ防止装置17の有圧扇20、21、22は、まず有圧扇20が、入口側開口部15の周囲を囲繞するように設けられた囲繞壁171における製品載置側コンベア123に対峙する位置に、有圧扇21、22は囲繞壁171におけるリターン側コンベア124のそれぞれ左右に対峙する位置に設けられ、コンベア12の表裏両面側から、図5に矢印19で示したように入口側開口部15からもれ出そうとする冷気を、図1に18で示したようにスパイラル状搬送部13方向に送り出す。
【0032】
それぞれの有圧扇20、21、22は、図3に示したように、有圧扇20は被冷却体載置側コンベア123の図上、上側の30で示したハッチングを付した周囲空間の冷気を、有圧扇21、22は、まず有圧扇21がリターン側コンベア124の31で示したハッチングを付した左側周囲空間の冷気を、有圧扇22がリターン側コンベア124の32で示したハッチングを付した右側周囲空間の冷気を、それぞれ吸い出して矢印33、34、35で示した方向に送り出すことで、前記したように図1に18で示したようにスパイラル状搬送部13方向に向かわせる。
【0033】
従って、図5に矢印19で示した入口側開口部15からもれ出そうとする冷気は、もれ出す前に図1に18で示したようにスパイラル状搬送部13方向に送り出される。そのため前記したように、物品冷却装置10が装置内の圧力を常時同じ圧力に保とうとすることで、入口側開口部15より冷気が流出すると出口側開口部16より外気を吸い込むが、冷気もれ防止装置17を冷気の流出側に設けて流出量を減らすことで、相対して外気吸入側の吸込量が減り、湿度の多い外気を吸い込むことでユニットクーラーに霜が付着し、クーラーファンや冷凍機が高負荷運転や頻繁なデフロストを行うといったことが防止されて、物品冷却装置10内での冷気循環効率が大きく高まり、前記したように冷気循環効率の悪化を改善することができる。
【0034】
なお、冷気の流出量はフリーザー10を構成するユニットクーラー11、クーラーファン14の冷却能力と台数によって変わってくるが、例えば入口側開口15、出口側開口部16の面積が概ね0.3〜0.5mとし、冷気もれの風速を平均1.5〜3.0m/secとすると、1つの開口当たりの風量は、27〜90m/min程度になると考えられる。そのため、例えば28〜30m/min(静圧50Pa)程度の有圧扇を3台使うと、吸い出し量が最大90m/minとなるから、ユニットクーラー11とクーラーファン14の冷却能力と台数、及び冷気の流出量とに対応させ、有圧扇20、21、22の回転数を制御するインバータ回路を有した制御回路を設け、状況に応じて回転数を制御することで、効率的に冷気もれ防止装置と物品冷却装置を稼動させることができる。
【0035】
その場合の一例を示したのが図4である。図中40は、制御用のCPU41、有圧扇20、21、22の回転数を制御するインバータ回路42を有した制御回路で、この制御回路40は、ユニットクーラー11、クーラーファン14の稼働状況、フリーザー10内の温度などから有圧扇20、21、22の回転数を制御する。
【0036】
その制御は、例えば予め、ユニットクーラー11、クーラーファン14の稼働状況、フリーザー10内の温度などから、冷気もれを起こさない有圧扇20、21、22の回転数を求め、それを図示していないメモリに記憶しておき、実際のユニットクーラー11、クーラーファン14の稼働状況、フリーザー10内の温度などから対応する有圧扇20、21、22の回転数とする方法がある。また、フリーザー10が目標とする温度とユニットクーラー11、クーラーファン14の稼働状況、フリーザー10内の実際の温度などから、ユニットクーラー11の消費電力が最も小さい状態で目標温度となるよう、有圧扇20、21、22の回転数をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0037】
なお、前記したように物品冷却装置としてのフリーザー10は、この図1に示したスパイラル式のフリーザー10だけでなく、コンベアがストレート状になっているストレート式、図1の場合とは逆のスパイラル式で低部側に搬出用開口部を有したものなど、種々の形式のフリーザーがあり、入口側開口部や出口側開口部を有するものであれば、どのような形式のフリーザーであっても良いことは勿論である。
【0038】
また以上の説明では、冷気もれ防止装置17を入口側開口部15のみに設けた場合を例に説明してきたが、上部側の出口側開口部16にも設けたり、出口側開口部がフリーザー10の低部側に設けられた形式のフリーザーでは、低部側の出口側開口部に設けるようにしても良いことは勿論である。しかしながら前記したように、−20℃〜−35℃という庫内温度で空気の比重量が増加し、それによって冷えた空気が低部側に溜まり、外気との間に圧力差が生じて開口部から冷気がもれ出すことに鑑み、低部側開口部に冷気もれ防止装置を設けることがより好ましく、そうすることで、上部側開口に冷気もれ防止装置を備えなくても効果的に冷気もれを防止することが可能である。
【0039】
以上種々述べてきたように本発明によれば、冷気もれ防止装置により被冷却体載置側コンベアの周囲空間の冷気とリターン側周囲空間の冷気を吸い出し、コンベア表裏両面側の物品冷却装置開口部から流出する冷気の流れの向きを強制的に変向したから、エアーカーテンやチャンバとダクト、可撓性閉塞板(のれん)を有する前室などを設けずとも、入口側、若しくは出口側開口部からもれ出そうとする冷気が有圧扇で物品冷却空間内に戻され、冷気の流出と外気の流入の両方が防止されて、湿度の多い外気吸込みによるクーラーファンや冷凍機の高負荷運転や頻繁なデフロストがなくなり、かつ、外気侵入による冷気循環効率の悪化を改善した物品冷却装置における冷気もれ防止方法と装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、従来は複雑な構造を設けないとできなかった冷気のもれ防止を、簡単な構造で防止することができ、効率良く食品などを急速凍結できる物品冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明になる冷気もれ防止方法を実施する装置を備えた物品冷却装置の一実施例の概略平面図である。
【図2】本発明になる冷気もれ防止方法を実施する装置の概略正面図(A)と概略側面図(B)である。
【図3】本発明になる冷気もれ防止方法を実施する装置を構成するそれぞれの有圧扇が受持つエリアと通風方向を示した概略正面図である。
【図4】本発明になる冷気もれ防止方法を実施する装置を構成する有圧扇の制御回路のブロック図である。
【図5】従来の物品冷却装置の概略平面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 フリーザー
11 ユニットクーラー
12 コンベア
121、122 コンベア進行方向
123 製品載置側コンベア
124 リターン側コンベア
125、126 スプロケット
13 スパイラル状搬送部
14 クーラーファン
15 入口側開口部
16 出口側開口部
17 冷気もれ防止装置
171 囲繞壁
18、19 冷気流れ方向矢印
20、21、22 有圧扇
30 製品載置側コンベア周囲冷気
31 リターン側コンベア周囲左半分冷気
32 リターン側コンベア周囲右半分冷気
33、34、35 冷気進行方向矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁体の内側に空気処理装置により冷気を生成循環させた物品冷却空間に、コンベアに被冷却体を載置して入口側開口部より出口側開口部に搬送して前記被冷却体を凍結するようにした物品冷却装置における冷気もれ防止方法において、
前記入口側若しくは出口側開口部の内側の前記コンベアの被冷却体戴置側及びリターン側の往復部周囲を囲う複数の面に回転数可変可能な有圧扇を設け、該コンベアの往復部周囲空間の冷気を吸い出し、前記物品冷却空間内に吹き戻すことを特徴とする冷気もれ防止方法。
【請求項2】
前記複数の有圧扇は、前記被冷却体戴置側コンベアの天井部、および前記コンベアの往復部側面の冷気を吸い出すことを特徴とする請求項1に記載した冷気もれ防止方法。
【請求項3】
前記コンベアの往復部側面の有圧扇は、下部コンベアとなるリターン側コンベア面高さの冷気を吸い出すことを特徴とする請求項1または2に記載した冷気もれ防止方法。
【請求項4】
前記有圧扇の回転数を、前記空気処理装置の冷却能力、台数と、前記冷気の流出量とに対応させて制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載した冷気もれ防止方法。
【請求項5】
入口側開口部より被冷却体を載置して断熱壁体内側の物品冷却空間内を移動し、出口側開口部に搬送するコンベアを有し、前記物品冷却空間内に冷気を通流可能にして前記被冷却体を凍結するようにした物品冷却装置において、
前記物品冷却装置における入口側若しくは出口側開口部の内側の、前記コンベアの被冷却体戴置側及びリターン側の往復部周囲を囲う複数の面に回転数可変可能な有圧扇を具えた冷気もれ防止装置を配設し、
該冷気もれ防止装置は、前記コンベアの往復部周囲空間の冷気を吸い出し、前記物品冷却空間内に吹き戻すことを特徴とする物品冷却装置。
【請求項6】
前記冷気もれ防止装置は、前記物品冷却装置における低部側に設けられた被冷却体入口側開口部若しくは出口側開口部に設けられていることを特徴とする請求項5に記載した物品冷却装置。
【請求項7】
前記物品冷却装置は、前記物品冷却装置を構成するユニットクーラーの冷却能力、台数と、前記冷気の流出量とに対応させて前記有圧扇の回転数を制御するインバータ回路を有した制御回路を備えていることを特徴とする請求項5または6に記載した物品冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−210209(P2009−210209A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54832(P2008−54832)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】