説明

冷蔵庫及び冷蔵庫の冷却方法

【課題】冷気導入口を有さない貯蔵室を好適に冷却できるようにするとともに、冷気導入口を有する貯蔵室が冷気導入口を有さない貯蔵室から受ける温度影響を低減して、冷気導入口を有する貯蔵室の温度分布を均一化する。
【解決手段】室内に冷気を導入する冷気導入口8〜10を有する第1の貯蔵室2〜4と、当該第1の貯蔵室2〜4に隣接しており、冷気導入口8〜10を有さない第2の貯蔵室5とを有し、第1の貯蔵室2〜4及び第2の貯蔵室5の間の仕切壁W1〜W3に向けて冷気を吹き出す冷気吹出口11〜13が第1貯蔵室2〜4に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫及び冷蔵庫の冷却方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷蔵庫としては、特許文献1に示すように、他の部屋よりも最も温度の高い野菜室と、この野菜室と仕切壁を介して隣接し、野菜室よりも温度の低い冷蔵室、貯氷室及び低温室とを有する冷蔵庫がある。そして、この冷蔵庫では、野菜室を、冷蔵室、貯氷室及び低温室からの伝導熱により仕切壁を介して間接冷却することで、野菜室へ冷気を強制的に導く配管を不要としている。
【0003】
しかしながら、この冷蔵庫では、野菜室に隣接する部屋において、野菜室との仕切壁が、それ以外の側壁に比べて温かくなりやすい。このため、野菜室に隣接する部屋内の温度分布にむらが生じる可能性がある。したがって、野菜室に隣接する部屋において、野菜室との仕切壁に近い場所と多い場所とで食品への温度影響が異なり、安定的に食品を保存することが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−320943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、冷気導入口を有さない貯蔵室を好適に冷却できるようにするとともに、冷気導入口を有する貯蔵室が冷気導入口を有さない貯蔵室から受ける温度影響を低減して、冷気導入口を有する貯蔵室の温度分布を均一化することを主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る冷蔵庫は、庫内を複数の仕切壁により区画して複数の貯蔵室を形成した冷蔵庫であって、室内に冷気を導入する冷気導入口を有する第1の貯蔵室と、当該第1の貯蔵室に隣接しており、前記冷気導入口を有さない第2の貯蔵室とを有し、前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁に向けて冷気を吹き出して当てる冷気吹出口が前記第1貯蔵室に設けられていることを特徴とする。
【0007】
また本発明に係る冷蔵庫の冷却方法は、室内に冷気を導入する冷気導入口を有する第1の貯蔵室と、当該第1の貯蔵室に隣接しており、前記冷気導入口を有さない第2の貯蔵室とを有する冷蔵庫の冷却方法であって、前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁に向けて冷気を吹き出す冷気吹出口を設け、前記冷気吹出口により冷気を前記仕切壁に当てることによって前記仕切壁を冷却し、前記仕切壁を介して前記第2の貯蔵室を冷却することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、冷気導入口を有さない第2の貯蔵室を仕切壁を介して冷却する方式としているので、第2の貯蔵室への冷気導入配管を不要とすることができ、第2の貯蔵室の内容積を増大することができる。また、第1の貯蔵室及び第2の貯蔵室の間の仕切壁に直接冷気を当てて集中冷却することで、前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁が冷却板として機能し、仕切壁を介して第2の貯蔵室を効率良く冷却することができる。さらに、第1の貯蔵室及び第2の貯蔵室の間の仕切壁に冷気を当てることで仕切壁を集中冷却しているので、仕切壁の壁面温度の上昇を抑えることができる。これにより、仕切壁を介して第2の貯蔵室から受ける温度影響を低減して第1の貯蔵室の室内温度分布を均一化することができ、食品の保存を安定的に行うことができる。
【0009】
仕切壁への冷気吹き出し方向を調整可能とし、仕切壁を好適に冷却できるようにするためには、前記冷気吹出口が可動式羽板(可動式Louver)を有していることが望ましい。
【0010】
前記可動式羽板の具体的な動作態様としては、前記可動式羽板が、前記第1の貯蔵室を冷却する第1の貯蔵室冷却運転時においては第1の貯蔵室側を向き又は前記冷気吹出口を閉塞し、前記第2の貯蔵室を冷却する第2の貯蔵室冷却運転時においては、前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁を向くものであることが望ましい。これならば、第2の貯蔵室を冷却する必要がある場合にのみ仕切板に向けて冷気を吹き出す構成となり、過剰に冷却することを防ぐことができる。
【0011】
第1の冷蔵室の構成及び配管の構成を簡単化するためには、前記第1の貯蔵室に設けられた冷気導入口が、前記冷気吹出口を兼ねていることが望ましい。
【0012】
前記第1の貯蔵室が複数の冷気導入口を有する場合には、少なくとも前記第2の貯蔵室に最も近い冷気導入口が前記冷気吹出口として機能することが望ましい。これならば、冷気吹出口として用いる冷気導入口から仕切壁に冷気を当て易くすることができ、効率良く仕切壁及び第2の貯蔵室を冷却することができる。
【0013】
第2の貯蔵室を仕切壁を介して冷却する必要があるか否かを判断するためには、前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁に温度検出部が設けられていることが望ましい。
【0014】
第2の貯蔵室を効率良く冷却するためには、前記第2の貯蔵室に複数の第1の貯蔵室が隣接して形成されていることが望ましい。これならば、第2の貯蔵室を冷却する仕切壁の数が増えることになり第2の貯蔵室を効率良く冷却することができる。また、第2の貯蔵室から各第1の貯蔵室への温度影響をより低減することができる。
【0015】
複数の第1の貯蔵室と隣接するものの場合、第1の貯蔵室の種類によってその設定冷却温度が異なることが考えられる。このため、前記第1の貯蔵室及び第2の貯蔵室の間の仕切壁の厚さが、隣接する第1の貯蔵室の種類毎に異なることが望ましい。
【0016】
瓶(bottle)を収納する貯蔵室はその瓶の容積が大きいことから出来るだけ内容積を大きくしたいという要求がある。このため、前記第2の貯蔵室が、瓶を収納して冷却する瓶室(bottle室)とすることが望ましい。
【0017】
第1の貯蔵室からの伝熱により仕切壁を介して第2の貯蔵室を効率良く冷却するためには、前記第2の貯蔵室が、第1の貯蔵室よりも設定冷却温度が高いことが望ましい。
【0018】
冷蔵庫における各部屋の具体的な構成態様としては、前記第1の貯蔵室が、冷蔵室、冷凍室及び野菜室であり、前記第2の貯蔵室が、瓶(bottle)を収納して冷却する瓶室(bottle室)であり、前記冷蔵室が庫内において最上部に形成されるとともに、前記冷凍室が庫内において最下部に形成されており、前記冷蔵室及び前記冷凍室の間に前記野菜室及び前記瓶室が並んで形成されていることが望ましい。これならば、瓶室をその上壁、下壁及び側壁から好適に冷却することができる。
【0019】
前記瓶室及び前記冷蔵室の間の仕切壁、前記瓶室及び前記冷凍室の間の仕切壁及び前記瓶室及び前記野菜室の間の仕切壁のそれぞれに温度検出部が設けられていることが望ましい。これならば、冷蔵室、冷凍室及び野菜室の各部屋に設けた冷気吹出口から冷気を吹き出すか否かを判断して、第2の貯蔵室を効率良く冷却できるようになるとともに、各仕切壁から各部屋が受ける温度影響をより一層低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、冷気導入口を有さない貯蔵室を好適に冷却できるようにするとともに、冷気導入口を有する貯蔵室が冷気導入口を有さない貯蔵室から受ける温度影響を低減して、冷気導入口を有する貯蔵室の温度分布を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る冷蔵庫の模式的構成を示す正面図。
【図2】同実施形態の可動式羽板の構成を示す模式図。
【図3】同実施形態の可動式羽板の動作を示す模式図。
【図4】同実施形態の通常運転時の冷気の流れを示す図。
【図5】同実施形態のボトル室冷却時の冷気の流れを示す図。
【図6】同実施形態のボトル室冷却動作の手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る冷蔵庫100は、概略直方体形状をなす断熱箱体により形成される庫内を複数の壁により区画して複数の貯蔵室を形成したものである。具体的にこの冷蔵庫100は、図1に示すように、庫内の最上部に冷蔵室2が形成され、庫内の最下部に冷凍室3が形成されるとともに、前記冷蔵室2及び前記冷凍室3の間に野菜室4及び瓶室5(bottle室、以下ボトル室5という。)が左右に並んで形成されている。なお、図1において各部屋2〜4の扉は省略している。この冷蔵庫100における冷蔵室2の背面側及び冷凍室3の背面側にそれぞれ第1の冷却器6及び第2の冷却器7が配置されており、第1の冷却器6により冷蔵室2及び野菜室4が冷却され、第2の冷却器7により冷凍室3が冷却される。また、ボトル室5の設定冷却温度は5℃〜15℃であり、その他の各部屋2〜4よりも設定冷却温度を高くしている。
【0024】
そして、冷蔵室2及び野菜室4は、第1の冷却器6からの冷気を室内に導入するための1又は複数の冷気導入口8、9を有する。この冷気導入口8、9には、冷蔵室2及び野菜室4の背面に設けられ、第1の冷却器6からの冷気を流通させる第1の冷気配管(不図示)が接続されている。図1においては、冷蔵室2が2つの冷気導入口8を有しており、これらが冷蔵室2の上部に左右に並んで形成されたものを示している。また野菜室4が1つの冷気導入口9が形成されたものを示している。なお、冷蔵室2及び野菜室4において冷気導入口8、9の数及び配置位置は適宜設定可能である。
【0025】
冷凍室3は、第2の冷却器7からの冷気を室内に導入するための1又は複数の冷気導入口10を有する。この冷気導入口10には、冷凍室3の背面に設けられ、第2の冷却器7からの冷気を流通させる第2の冷気配管(不図示)が接続されている。図1においては、冷凍室3が2つの冷気導入口10を有しており、これらが冷凍室3の上部に左右に並んで形成されたものを示している。なお、冷凍室3において冷気導入口10の数及び配置位置は適宜設定可能である。
【0026】
一方で、ボトル室5は、第1の冷却器6及び第2の冷却器7のいずれからも冷気を室内に導入するための冷気導入口を有さない。これにより、ボトル室5の背面において冷気配管を不要として、ボトル室5の内容積を可及的に増大させる構成としている。このように本実施形態では冷蔵室2、冷凍室3及び野菜室4が第1の貯蔵室であり、ボトル室5が第2の貯蔵室である。
【0027】
そして本実施形態では、ボトル室5に隣接する冷蔵室2に、ボトル室5及び冷蔵室2の間の仕切壁W1に向けて冷気を吹き出して当てる冷気吹出口11を設けている。また、ボトル室5に隣接する冷凍室3に、ボトル室5及び冷凍室3の間の仕切壁W2に向けて冷気を吹き出して当てる冷気吹出口12を設けている。さらに、ボトル室5に隣接する野菜室4に、ボトル室5及び野菜室4の間の仕切壁W3に向けて冷気を吹き出して当てる冷気吹出口13を設けている。
【0028】
このような構成によりボトル室5は、冷蔵室2との仕切壁W1、冷凍室3との仕切壁W2及び野菜室4との仕切壁W3から間接冷却される。具体的にボトル室5は、背面壁及び左壁が断熱材からなり、正面壁が扉であり、その他の3方向の仕切壁W1〜W3(上壁、下壁及び下壁)が冷気吹出口11〜13により冷却された冷却板となる。
【0029】
そして、冷蔵室2、冷凍室3及び野菜室4に設けられた冷気吹出口11〜13は、各仕切壁W1〜W3の近傍に設けられている。具体的に、冷蔵室2の冷気吹出口11は、仕切壁W1の上部近傍に設けられており、仕切壁W1に直接冷気を吹き当てる。冷凍室3の冷気吹出口12は、仕切壁W2の下部近傍に設けられた冷気導入口10を用いて構成されており、仕切壁W2に直接冷気を吹き当てる。野菜室4の冷気吹出口13は、仕切壁W3の右側近傍に設けられた冷気導入口9を用いて構成されており、仕切壁W3に直接冷気を吹き当てる。
【0030】
そして、このように構成した冷気吹出口11〜13は、図2に示すように、可動式羽板(可動式Louber)Lを有する。この可動式羽板Lは、冷気吹出口11〜13の開閉を切り替え可能なものである。
【0031】
冷気吹出口12、13として用いられる冷凍室3の冷気導入口10及び野菜室4の冷気導入口9においては、その可動式羽板Lは、図3に示すように、冷気導入口9、10を閉塞する閉塞位置(CLOSE)と、冷気導入口9、10から第1の方向に向けて吹き出す第1の吹き出し位置(OPEN 1)と、冷気導入口9、10から第2の方向に向けて吹き出す第2の吹き出し位置(OPEN 2)との3つの位置の間で移動可能に構成されている。ここで、第1の吹き出し位置(OPEN 1)は、ボトル室5の冷却時に仕切壁W2、W3を集中冷却するために、開口部を狭くして風向きを制限することで冷気を仕切壁W2、W3に向けて吹き当てる方向である。また、第2の吹き出し位置(OPEN 2)は、冷気導入口9、10を全開状態とする位置であり、通常運転時に開口部を大きくして室内全体に冷気を導入するための位置である。
【0032】
冷蔵室2の下部に設けられた冷気吹出口11においては、その可動式羽板Lは、冷気吹出口11を閉塞する閉塞位置(CLOSE)と、冷気吹出口11から第1の方向に向けて吹き出す第1の吹き出し位置(OPEN 1)との2つの位置で移動可能に構成されている。なお、第2の吹き出し位置(OPEN 2)に移動可能に構成しても良い。
【0033】
その他、冷気吹出口11〜13として用いられない冷気導入口8〜10にも可動式羽板Lが設けられており、この可動式羽板Lは、冷気導入口8〜10を閉塞する閉塞位置(CLOSE)と、通常運転時に室内全体に冷気を導入するための第2の吹き出し位置(OPEN 2)との間で移動可能に構成されている。
【0034】
また、ボトル室5からの温度影響を、当該ボトル室5に隣接する各部屋2〜4で均等化するために、各仕切壁W1〜W3の熱伝導率を、ボトル室5に隣接する各部屋2〜4の種類毎に異なるように構成している。本実施形態では、各仕切壁W1〜W3の厚さを、ボトル室5に隣接する各部屋2〜4の種類毎に異なるように構成することで、各仕切壁W1〜W3の熱伝導率を異ならせている。具体的には、ボトル室5と隣接する各部屋2〜4との温度差及び/又はその仕切壁W1〜W3の面積に比例して、仕切壁W1〜W3の壁厚を厚くしている。例えば、ボトル室5の内容積を幅120cm、高さ350cm、奥行き660cmとし、2Lのペットボトルを6本収容可能なものとした場合において、各部屋2〜4の設定冷却温度を冷蔵室2が3℃、野菜室4が5℃、冷凍室3が−20℃、ボトル室5が10℃とした場合は、「冷蔵室2との仕切壁W1」:「野菜室4との仕切壁W3」:「冷凍室3との仕切壁W2」=2:1:4である。
【0035】
さらに、冷蔵室2との仕切壁W1のボトル室5側には、第1の温度検出部(R Sensor)14が設けられており、冷凍室3との仕切壁W2のボトル室5側には、第2の温度検出部(F Sensor)15が設けられており、野菜室4との仕切壁W3のボトル室5側には、第3の温度検出部(V Sensor)16が設けられている。各温度検出部14〜16からの検出信号は図示しない制御機器(不図示)に出力される。なお、制御機器はCPU、メモリ等を備えるコンピュータであり、各温度検出部14〜16からの検出信号に基づいて各冷気導入口8〜10及び各冷気吹出口11〜13の可動式羽板Lを制御等する。
【0036】
次にこのように構成した冷蔵庫100の冷却方法について説明する。
【0037】
まず通常運転時(ボトル室5の非冷却時)においては、図4に示すように、冷蔵室2に設けた冷気吹出口11を除き、各部屋2〜4の冷気導入口8〜10に設けた可動式羽板Lを第2の吹き出し位置(全開状態)に移動させて、各部屋2〜4それぞれにおいて一様に冷気が流れるようにしている。なお、このとき冷気吹出口11の可動式羽板Lは閉塞位置にある。
【0038】
一方、ボトル室5の冷却時においては、図5に示すように、各仕切壁W1〜W3近傍に配置された冷気吹出口11〜13を除き、その他の冷気導入口8〜10に設けた可動式羽板Lを閉塞位置に移動させて、冷気導入口8〜10を閉塞する。一方、各仕切壁W1〜W3近傍に配置された冷気吹出口11〜13に設けた可動式羽板Lを、第1の吹き出し位置に移動させて、各仕切壁W1〜W3を集中的に冷却する。
【0039】
以下、ボトル室5の冷却時の具体的手順について図6を参照して説明する。
【0040】
ボトル室5の各仕切壁W1〜W3に設けられた各温度検出部14〜16の温度検出信号をもとに、隣接する各部屋2〜4の冷気導入口8〜10及び冷気吹出口11〜13の可動式羽板Lの位置が決定される。
【0041】
まず、冷凍室3との仕切壁W2に設けた第2の温度検出部(F Sensor)15によりその仕切壁W2の温度を検出する。そして、冷凍室3との仕切壁W2が、ボトル室5の設定冷却温度以下でない場合には、冷凍室3の冷気吹出口12においては、その可動式羽板Lが第1の吹き出し位置(OPEN 1)となり、その他の冷気導入口10においては、その可動式羽板Lが閉塞位置(CLOSE)となる。これにより、冷凍室3との仕切壁W2が集中的に冷却される。
【0042】
この状態を一定時間保った後、冷凍室3との仕切壁W2が設定冷却温度以下となれば、次の工程に移行する。以後、冷蔵室2及び野菜室4をこの順で同様の動作を行い、最終的に3つの温度検出部14〜16の検出温度全てが、ボトル室5の設定冷却温度以下になると、ボトル室5を冷却する動作が終了する。
【0043】
なお、冷却の順番は、冷凍室3→冷蔵室2→野菜室4の順番に限られず、いかなる順番(全6通り存在)であっても良い。また、上記の冷却方法では、仕切壁を集中冷却する際に、仕切壁の冷却に用いないその他の冷気導入口を閉塞しているが、その冷気導入口に設けた可動式羽板を第2の吹き出し位置(全開状態)としても良い。
【0044】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る冷蔵庫100によれば、冷気導入口を有さないボトル室5を仕切壁を介して冷却する方式としているので、ボトル室5への冷気導入配管を不要とすることができ、ボトル室5の内容積を増大することができる。また、ボトル室5及び各部屋2〜4の間の仕切壁W1〜W3に直接冷気を当てて集中冷却しているので、ボトル室5及び各部屋2〜4の間の仕切壁W1〜W3が冷却板として機能し、仕切壁W1〜W3を介してボトル室5を効率良く冷却することができる。さらに、ボトル室5及び各部屋2〜4の間の仕切壁W1〜W3に冷気を当てることで仕切壁W1〜W3を集中冷却しているので、仕切壁W1〜W3の壁面温度の上昇を抑えることができる。これにより、仕切壁W1〜W3を介してボトル室5から受ける温度影響を低減して冷蔵室2、冷凍室3及び野菜室4それぞれの室内温度分布を均一化することができ、食品の保存を安定的に行うことができる。
【0045】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では第1の貯蔵室が冷蔵室2、冷凍室3及び野菜室4であり、第2の貯蔵室がボトル室5であったが、これに限られず、適宜設定可能である。なお、第2の貯蔵室を冷却することを考慮すると、第2の貯蔵室の設定冷却温度が第1の貯蔵室の設定冷却温度よりも高いことが望ましい。
【0046】
また、前記実施形態では、第1の貯蔵室が複数であり、第2の貯蔵室が1つであったが、第2の貯蔵室が複数であっても良い。
【0047】
さらに、前記実施形態では、冷凍室3及び野菜室4に設けた冷気導入口のうち最もボトル室5に近い冷気導入口を冷気吹出口として用いているが、冷気導入口とは別に冷気吹出口を設けても良い。一方、冷蔵室2では、冷気導入口とは別に冷気吹出口を設けているが、仕切壁近傍に冷気導入口を設けて、当該冷気導入口を冷気吹出口として用いても良い。
【0048】
その上、前記実施形態の可動式羽板は、1枚の板から形成されるものであったが、複数枚の板を平行配置して形成するものを用いても良い。これならば、冷気の吹き出し方向の調整をより一層正確に行うことができる。
【0049】
加えて、冷気吹出口を設ける位置に応じて可動式羽板の移動範囲及び仕切板に冷気を当てるための位置は、前記実施形態に限られず適宜設定可能である。
【0050】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
100・・・冷蔵庫
2 ・・・冷蔵室
3 ・・・冷凍室
4 ・・・野菜室
5 ・・・ボトル室
8 ・・・冷蔵室の冷気導入口
9 ・・・野菜室の冷気導入口
10 ・・・冷凍室の冷気導入口
11 ・・・冷蔵室の冷気吹出口
12 ・・・冷凍室の冷気吹出口
13 ・・・野菜室の冷気吹出口
L ・・・可動式羽板
14 ・・・冷蔵室との仕切壁に設けた温度検出部
15 ・・・冷凍室との仕切壁に設けた温度検出部
16 ・・・野菜室との仕切壁に設けた温度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内を複数の仕切壁により区画して複数の貯蔵室を形成した冷蔵庫であって、
室内に冷気を導入する冷気導入口を有する第1の貯蔵室と、当該第1の貯蔵室に隣接しており、前記冷気導入口を有さない第2の貯蔵室とを有し、
前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁に向けて冷気を吹き出して当てる冷気吹出口が前記第1貯蔵室に設けられている冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷気吹出口に可動式羽板が設けられている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記可動式羽板が、前記第1の貯蔵室を冷却する第1の貯蔵室冷却運転時においては第1の貯蔵室側を向き又は前記冷気吹出口を閉塞し、前記第2の貯蔵室を冷却する第2の貯蔵室冷却運転時においては、前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁を向くものである請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1の貯蔵室に設けられた冷気導入口が、前記冷気吹出口を兼ねている請求項1乃至3の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第1の貯蔵室が複数の冷気導入口を有する場合には、少なくとも前記第2の貯蔵室に最も近い冷気導入口が前記冷気吹出口として機能する請求項4記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁が冷却板である請求項1乃至5の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁に温度検出部が設けられている請求項1乃至6の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記第2の貯蔵室に複数の第1の貯蔵室が隣接して形成されている請求項1乃至7の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記第1の貯蔵室及び第2の貯蔵室の間の仕切壁の厚さが、隣接する第1の貯蔵室の種類毎に異なる請求項1乃至8の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記第2の貯蔵室が、瓶を収納して冷却する瓶室である請求項1乃至9の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記第2の貯蔵室が、第1の貯蔵室よりも設定冷却温度が高い請求項1乃至10の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記第1の貯蔵室が、冷蔵室、冷凍室及び野菜室であり、
前記第2の貯蔵室が、瓶を収納して冷却する瓶室であり、
前記冷蔵室が庫内において最上部に形成されるとともに、前記冷凍室が庫内において最下部に形成されており、前記冷蔵室及び前記冷凍室の間に前記野菜室及び前記瓶室が並んで形成されている請求項1乃至11の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記瓶室及び前記冷蔵室の間の仕切壁、前記瓶室及び前記冷凍室の間の仕切壁及び前記瓶室及び前記野菜室の間の仕切壁のそれぞれに温度検出部が設けられている請求項12に記載の冷蔵庫。
【請求項14】
室内に冷気を導入する冷気導入口を有する第1の貯蔵室と、当該第1の貯蔵室に隣接しており、前記冷気導入口を有さない第2の貯蔵室とを有する冷蔵庫の冷却方法であって、
前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁に向けて冷気を吹き出す冷気吹出口を設け、
前記冷気吹出口により冷気を前記仕切壁に当てることによって前記仕切壁を冷却し、前記仕切壁を介して前記第2の貯蔵室を冷却する冷蔵庫の冷却方法。
【請求項15】
前記冷気吹出口に可動式羽板を設けており、
前記可動式羽板が、前記第1の貯蔵室を冷却する第1の貯蔵室冷却運転時においては第1の貯蔵室側を向き又は前記冷気吹出口を閉塞し、前記第2の貯蔵室を冷却する第2の貯蔵室冷却運転時においては、前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁を向くように制御する請求項14に記載の冷蔵庫の冷却方法。
【請求項16】
前記第1の貯蔵室及び前記第2の貯蔵室の間の仕切壁に温度検出部を設けており、当該温度検出部の検出温度が、前記第2の貯蔵室の設定冷却温度以上の場合に、前記冷気吹出口により冷気を前記仕切壁に当てる請求項14又は15に記載の冷蔵庫の冷却方法。
【請求項17】
前記第1の貯蔵室に設けられた冷気導入口が、前記冷気吹出口を兼ねている請求項14乃至16の何れかに記載の冷蔵庫の冷却方法。
【請求項18】
前記第1の貯蔵室が複数の冷気導入口を有する場合には、少なくとも前記第2の貯蔵室に最も近い冷気導入口を前記冷気吹出口として用いる請求項17に記載の冷蔵庫の冷却方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−19609(P2013−19609A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153760(P2011−153760)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】