説明

冷蔵庫

【課題】扉の開閉が行われたときに、貯蔵室内の貯蔵食品が冷え過ぎてしまうことを防止することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫1において、貯蔵室である冷蔵室3の扉3aの開閉を冷蔵用扉スイッチ31で検出し、貯蔵室である冷凍室6の扉6aの開閉を冷凍用扉スイッチ32で検出する。制御装置は、通常の冷却運転時には圧縮機22を冷蔵用温度センサ33および冷凍用温度センサ34の検出信号に基づいた出力で駆動し、冷蔵室3に冷気を供給する冷蔵用冷却ファン13および冷凍室6に冷気を供給する冷凍用冷却ファン19を設定された回転数で駆動し、冷蔵用扉スイッチ31および冷凍用扉スイッチ32の検出信号に基づいて扉3a、6aが閉じられたと判断すると、扉が開いていた側の冷蔵用冷却ファン13または冷凍用冷却ファン19を下位に設定された回転数で所定時間駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却器によって生成された冷気を貯蔵室内に供給する冷却ファンを有する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却器によって生成された冷気を貯蔵室内に供給する冷却ファンを有する冷蔵庫においては、使用者が貯蔵室の開口部を開閉する扉を開けると、貯蔵室内の冷気が貯蔵室外へ放出されるとともに冷蔵庫外の暖気が貯蔵室内に入り、貯蔵室内の温度は上昇してしまう。そのため、扉の開閉時に貯蔵室内の温度が極力上昇しない構成の冷蔵庫が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1の冷蔵庫は、扉の開閉に応じて冷却ファンの駆動のオンオフおよび圧縮機の出力の大きさを制御して貯蔵室内の温度を調整している。すなわち、この冷蔵庫は、通常の冷却運転時において扉が閉じているときには圧縮機を所定の出力で駆動するとともに冷却ファンを駆動して貯蔵室内に冷気を供給して貯蔵室内を冷却している。そして、この冷蔵庫は、扉が開かれると、扉が開いている間は冷却ファンを停止して、貯蔵室内の冷気が貯蔵室外に放出されるのを防いでいる。さらに、この冷蔵庫は、その後、扉が閉じられると、扉が開く前の扉の閉時間の長さおよび扉を閉じたときの庫内温度検出手段の検出信号に基づいて圧縮機の出力の大きさを変更している。この構成によって、貯蔵室内は、扉が閉じられた後に早く冷やされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−271105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の冷蔵庫は、扉が閉じられたときに貯蔵室内の温度が高いほど圧縮機を高い出力で駆動している。そのため、貯蔵室内に暖気が一時的に流入した場合に庫内温度検出手段がこの暖気の温度を検出すると、冷蔵庫は圧縮機を高い出力で駆動する。しかしながら、貯蔵室内に一時的に流入した暖気は、貯蔵室内の貯蔵食品自体の温度をそれほど上昇させるものでもない。そのため、貯蔵室内に暖気が一時的に流入したときに、庫内温度センサがこの一時的な暖気の温度を検出して、冷蔵庫が圧縮機を高い出力で駆動すると、貯蔵室内の貯蔵食品が冷え過ぎてしまう不具合がある。
【0006】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、扉の開閉が行われたときに、貯蔵室内の貯蔵食品が冷え過ぎてしまうことを防止することができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、前面に開口部が形成された貯蔵室と、前記貯蔵室の開口部を開閉する扉と、前記扉の開閉を検出する扉スイッチと、前記貯蔵室内の温度を検出する温度検出手段と、冷気を生成するための冷却器と、前記冷却器とともに冷凍サイクルを構成する圧縮機と、前記冷却器によって生成された冷気を前記貯蔵室内に供給する冷却ファンと、冷却運転を設定する操作パネルと、前記操作パネルからの設定信号、前記温度検出手段および前記扉スイッチの検出信号に基づいて前記圧縮機および前記冷却ファンの駆動を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、通常の冷却運転時には前記圧縮機を前記温度検出手段の検出信号に基づいた出力の制御を行うとともに前記冷却ファンを設定された回転数で駆動する制御を行い、前記冷却ファンが駆動しているときに前記扉スイッチの検出信号に基づいて前記扉が開いたと判断したときには前記冷却ファンを前記扉が開いている間停止させる制御を行い、前記扉スイッチの検出信号に基づいて前記扉が閉じたと判断したときには前記冷却ファンを下位に設定された回転数で所定時間駆動する制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の冷蔵庫によれば、冷却ファンは冷蔵庫の扉が開いている間停止しているので、扉が開いているときに貯蔵室内の冷気が貯蔵室外に放出してしまうことを極力防ぐことができる。そして、扉が閉じられると、冷却ファンは下位に設定された回転数で駆動するので、貯蔵室内に流入した暖気は貯蔵室内を遅い速度で移動して、貯蔵室内で拡散しやすく、貯蔵室内の冷気によって冷やされやすくなる。その結果、貯蔵室内の温度を検出する温度検出手段は、貯蔵室内に流入したときの暖気の温度を一気に検出することはなく、時間遅れをもって該温度よりも低い温度を検出する。したがって、扉が閉じられた後において、貯蔵室内の温度に基づいて駆動する圧縮機の出力は流入した暖気の温度に応じた高さにはならず、これにより、貯蔵室内の貯蔵食品が冷え過ぎてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す冷蔵庫の縦断側面図
【図2】冷凍サイクルの概略を示す模式図
【図3】電気的な概略構成を示すブロック線図
【図4】冷凍室および冷蔵室の温度と冷却ファンの回転数の関係を概略的に示す図
【図5】冷凍室および冷蔵室の温度と圧縮機の出力の関係を概略的に示す図
【図6】冷凍室および冷蔵室の扉の開閉、冷凍室および冷蔵室の扉スイッチのオンオフ、冷凍用および冷蔵用の冷却ファンのオンオフの関係を示すタイムチャート
【図7】冷蔵庫の冷却運転の制御を示すフローチャート
【図8】温度調整判定制御を示すフローチャート
【図9】温度調整制御を示すフローチャート
【図10】本発明の第2の実施形態を示す図9相当図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1実施形態の冷蔵庫について、図1〜図9を参照して説明する。図1において扉側を前面側として説明する。
図1に示す冷蔵庫1は、本体2の内部に貯蔵室として上から順に冷蔵室3、製氷室4、野菜室5および冷凍室6を備えている。冷蔵室3および野菜室5は、図示しない通風路で連通されて、庫内温度がともに約1〜4℃に制御される冷蔵温度空間であり、冷蔵温度帯の貯蔵室を構成している。製氷室4および冷凍室6は、図示しない通風路で連通されて、庫内温度がともに冷蔵温度帯の貯蔵室の温度よりも低い冷凍温度空間であり、冷凍温度帯の貯蔵室を構成している。
【0011】
冷蔵室3、製氷室4、野菜室5および冷凍室6のそれぞれの前面には、開口部が形成されている。冷蔵庫3の開口部には、この開口部を開閉する横開き式の扉3aが設けられ、製氷室4の開口部には、この開口部を開閉する引き出し式の扉4aが設けられ、野菜室5の開口部には、この開口部を開閉する引き出し式の扉5aが設けられ、冷凍室6の開口部には、この開口部を開閉する引き出し式の扉6aが設けられている。
【0012】
冷蔵室3の扉3aの前面には、操作パネル7が設けられている。操作パネル7は、各貯蔵室の温度などを表示する表示器8と、冷却運転の設定・各貯蔵室の設定温度などを入力するためのスイッチ9とを有している。
【0013】
冷蔵室3の後方には、冷蔵用冷却器室11が設けられている。冷蔵用冷却器室11内には、図2にも示すように、冷気を生成するための冷蔵用冷却器12が設けられている。冷蔵用冷却器12の上方には、冷蔵用冷却器12によって生成された冷気を冷蔵室3内および野菜室5内に供給する冷蔵用冷却ファン13が設けられている。
冷蔵用冷却ファン13は、図3に示すように、駆動源をなす冷蔵用冷却ファンモータ13aを有し、冷蔵用冷却ファン13の回転数は、冷蔵用冷却ファンモータ13aの回転数の大きさで制御されている。冷蔵用冷却ファンモータ13aは、例えばブラシレスモータであり、この冷蔵用冷却ファンモータ13aの回転数は、図3に示すインバータ回路13bから出力される周波数の大きさで制御されている。
【0014】
冷蔵室3の奥側で且つ冷蔵用冷却ファン13の前方には、図1に示すように、背面パネル14が設けられている。背面パネル14には、冷蔵用冷却ファン13から供給された冷気を冷蔵室3内に供給するための冷気吹出口15と、冷蔵室3内に供給された冷気を冷蔵用冷却器室11内に戻すための図示しない冷気吸込口とが形成されている。また、野菜室5の側面には、冷蔵用冷却ファン13からの冷気を野菜室5内に供給するための図示しない冷気吹出口と、野菜室5内に供給された冷気を冷蔵用冷却器室11内に戻すための図示しない冷気吸込口とが形成されている。
【0015】
野菜室5の後方には、冷凍用冷却器室17が設けられている。冷凍用冷却器室17内には、図2にも示すように、冷気を生成するための冷凍用冷却器18が設けられている。冷凍用冷却器18の上方には、冷凍用冷却器18によって生成された冷気を製氷室4内および冷凍室6内に供給する冷凍用冷却ファン19が設けられている。
冷凍用冷却ファン19は、図3に示すように、駆動源をなす冷凍用冷却ファンモータ19aを有し、冷凍用冷却ファン19の回転数は、冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数の大きさで制御されている。冷凍用冷却ファンモータ19aは、例えばブラシレスモータであり、この冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数は、図3に示すインバータ回路19bから出力される周波数の大きさで制御されている。
【0016】
上記の冷却ファンである冷蔵用冷却ファン13および冷凍用冷却ファン19の回転数と貯蔵室内の温度の関係を図4に示す。図4の横軸は貯蔵室内の温度であり、縦軸は貯蔵室内の温度に対応した冷却ファンの回転数である。本実施形態では、貯蔵室が冷蔵室3の場合には冷却ファンとして冷蔵用冷却ファン13が対応し、貯蔵室が冷凍室6の場合には冷却ファンとして冷凍用冷却ファン19が対応している。
【0017】
本実施形態の冷蔵用冷却ファン13および冷凍用冷却ファン19の回転数は、貯蔵室内の温度範囲に対応して、もっとも回転数が高い「高速」、「高速」よりも回転数が低い「中速」、「中速」よりも回転数が低い「低速」、および回転数が「低速」よりも低いまたは回転数がゼロである「停止」の4段階に分けられている。すなわち、冷蔵用冷却ファン13および冷凍用冷却ファン19は、回転数が上位の順から「高速」、「中速」、「低速」、「停止」の4段階のうちのいずれかの回転数で駆動する(「停止」の場合は、回転数がゼロで、停止していることもある)。本実施形態の冷蔵用冷却ファン13および冷凍用冷却ファン19は、貯蔵室内の温度が高いほど高回転の段階で駆動する。冷蔵用冷却ファン13の「高速」と冷凍用冷却ファン19の「高速」は、回転数が同じあっても異なっていてもよい。同様に、冷蔵用冷却ファン13の「中速」と冷凍用冷却ファン19の「中速」、冷蔵用冷却ファン13の「低速」と冷凍用冷却ファン19の「低速」、冷蔵用冷却ファン13の「停止」(回転している場合)と冷凍用冷却ファン19の「停止」(回転している場合)の回転数もそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0018】
製氷室4および冷凍室6の側面には、冷凍用冷却ファン19から供給された冷気を製氷室4および冷凍室6に供給するための図示しない冷気吹出口と、製氷室4および冷凍室6に供給された冷気を冷凍用冷却器室17内に戻すための図示しない冷気吸込口とが形成されている。
【0019】
冷凍室6の後方には、機械室21が設けられている。機械室21内には、図1に示すように、圧縮機22、凝縮器23、三方弁24、機械室用ファン25などが設けられている。圧縮機22および凝縮器23は、上述の冷蔵用冷却器12と冷凍用冷却器18とともに、貯蔵室内を循環する空気を冷却する周知の冷凍サイクル(図2参照)を構成している。
【0020】
圧縮機22は、図3に示すように、駆動源をなす圧縮機駆動モータ22aを有している。圧縮機22の出力の大きさは、圧縮機駆動モータ22aの回転数の大きさで制御されている。圧縮機駆動モータ22aはブラシレスモータであり、この圧縮機駆動モータ22aの回転数の大きさは、図3に示すインバータ回路22bから出力される周波数の大きさで制御されている。本実施形態では、図5に示すように、冷蔵室3内の温度および冷凍室6内の温度が高くなるほど、圧縮機22の出力が直線的に高くなるように制御されている。この圧縮機22の出力の制御については、後で詳述する。
【0021】
三方弁24は、図2に示すように、凝縮器23で凝縮された冷媒を冷蔵用冷却器12および冷凍用冷却器18のうちのいずれか一方あるいは双方へ供給するための弁である。三方弁24と冷蔵用冷却器12との間には冷媒を減圧するキャピラリチューブ26が設けられ、三方弁24と冷凍用冷却器18との間にも冷媒を減圧するキャピラリチューブ27が設けられている。この冷凍サイクルの冷蔵用冷却器12および冷凍用冷却器18によって冷却された空気(冷気)が各貯蔵室に供給されることにより、各貯蔵室に貯蔵された貯蔵食品は冷蔵あるいは冷凍保存される。
【0022】
機械室用ファン25は、凝縮器23などを冷やすためのファンであり、図3に示す機械室用ファンモータ25aを有している。機械室用ファンモータ25aは一般的なモータであるが、回転数が変更可能なモータ、例えばブラシレスモータでもよい。例えは、圧縮機22が高出力であるときに機械室用ファンモータ25aの回転数も高くする構成にして、凝縮器23を最適に冷やす構成にしてもよい。
【0023】
また、図1および図3に示すように、冷蔵室3の前面上部には、扉3aの開閉を検出する冷蔵用扉スイッチ31が設けられ、冷凍室6の前面上部には、扉6aの開閉を検出する冷凍用扉スイッチ32が設けられている。冷蔵用扉スイッチ31および冷凍用扉スイッチ32は、各扉3a、6aの開閉によってオンオフするスイッチであり、例えばマイクロスイッチやリードスイッチなどである。冷蔵用扉スイッチ31および冷凍用扉スイッチ32としてリードスイッチを用いた場合、扉3a、6aの内部には、リードスイッチのオンオフを切り換えるための図示しないマグネットが設けられている。
【0024】
冷蔵室3内のうち冷蔵室3の開口部からもっとも離れた位置、例えば冷蔵室3内の奥側下部でより好ましくは冷気吸込口近傍には、冷蔵室3内の温度を検出する温度検出手段である冷蔵用温度センサ33が設けられている。また、冷凍室6内のうち冷凍室6の開口部からもっとも離れた位置、例えば冷凍室6内の奥側中央部でより好ましくは冷気吸込口近傍には、冷凍室6内の温度を検出する温度検出手段である冷凍用温度センサ34が設けられている。冷蔵用温度センサ33および冷凍用温度センサ34は、例えばサーミスタである。
【0025】
本実施形態では、図6に示すように、冷蔵室3の扉3aが開くと冷蔵用扉スイッチ31がオンとなるとともに冷蔵用冷却ファン13もオンとなり、扉3aが閉じると冷蔵用扉スイッチ31がオフとなるとともに冷蔵用冷却ファン13もオフとなる構成である。さらに、本実施形態では、冷凍室6の扉6aが開くと冷凍用扉スイッチ32がオンとなるとともに冷凍用冷却ファン19もオンとなり、扉6aが閉じると冷凍用扉スイッチ32がオフとなるとともに冷凍用冷却ファン19もオフとなる構成である。図6において、冷蔵用冷却ファン13および冷凍用冷却ファン19のオフとは、上述した「停止」のことであり、これらのファン13、19の回転数がゼロである場合または「低速」よりも低い回転数で駆動している場合である。
【0026】
次に、冷蔵庫1の電気的なブロック線図について図3を参照して説明する。
制御手段である制御装置35は、図示しないCPU、ROMおよびRAMなどを有するマイクロコンピュータなどで構成されており、予めROMなどに記憶されているプログラムに基づいて冷蔵庫1の冷却運転を実行する。制御装置35の入力端子には、冷蔵用扉スイッチ31、冷凍用扉スイッチ32、冷蔵用温度センサ33、冷凍用温度センサ34などの各種センサが接続されている。また、制御装置35の出力端子には、インバータ回路13bを介して冷蔵用冷却ファンモータ13aが接続され、インバータ回路19bを介して冷凍用冷却ファンモータ19aが接続され、インバータ回路22bを介して圧縮機駆動モータ22aが接続されている。さらに、制御装置35の出力端子には、駆動回路24aを介して三方弁24が接続され、駆動回路25bを介して機械室用ファンモータ25aが接続されている。制御装置35の入出力端子には、操作パネル7および記憶手段としての例えばEEPROM36が接続されている。制御装置35は、EEPROM36に各種のデータおよび各種センサからの情報を必要に応じて記憶し、EEPROM36から情報を適宜読み出している。
【0027】
次に、上述の冷蔵庫1の冷却運転について説明する。
冷却運転には、「通常の冷却運転」と、通常の冷却運転以外の「強制冷却運転」とがある。
「通常の冷却運転」とは、圧縮機22が所定の出力で安定的・周期的に駆動し、通常の冷凍サイクルを行う制御のことである。具体的には、制御装置35は、「通常の冷却運転」が設定されると、まず、図5に示すように冷蔵用温度センサ33の検出信号が設定下限値(設定下限の温度)に達したかを判断している。すなわち、制御装置35は、冷蔵用温度センサ33の検出温度に基づいて冷蔵室3内の温度が設定下限の温度よりも高い(冷蔵室3が温かい)と判断した場合には、冷媒が冷蔵用冷却器12側に多く(所定量)流れるように三方弁24の出口の開閉度合いを調整し、圧縮機駆動モータ22aの回転数を高くして圧縮機22の出力を高くし、冷却運転、すなわち冷凍サイクルを実行する。これにより、多くの冷媒が冷蔵用冷却器12に流れ、冷蔵用冷却器12によって多くの冷気が生成される。この生成された冷気は、冷蔵用冷却ファン13の駆動によって、冷気吹出口15を介して冷蔵室3内および野菜室5内に供給され、これにより、冷蔵室3内および野菜室5内は早期に冷やされる。冷蔵室3内に供給された冷気は、背面パネル14の図示しない冷気吸込口を介して冷蔵用冷却器室11に戻される。
【0028】
制御装置35は、冷蔵用温度センサ33の検出温度に基づいて冷蔵室3内の温度が設定下限の温度よりも低い(冷蔵室3内で貯蔵食品の冷蔵保存が可能となった)と判断した場合には、次に冷凍用温度センサ34の検出信号が設定下限値(設定下限の温度)に達したかを判断する。そして、制御装置35は、冷凍用温度センサ34の検出温度に基づいて冷凍室6内の温度が設定下限の温度よりも高い(冷凍室6が温かい)と判断した場合、冷媒が冷凍用冷却器18側に多く(所定量)流れるように三方弁24の出口の開閉度合いを調整し、図5に示すように、圧縮機駆動モータ22aの回転数を高くして圧縮機22の出力を高くし、冷凍サイクルを実行する。これにより、多くの冷媒が冷凍用冷却器18に流れ、冷凍用冷却器18によって多くの冷気が生成される。この生成された冷気は、冷凍用冷却ファン19の駆動によって、図示しない冷気吹出口を介して製氷室4内および冷凍室6内に供給され、これにより、製氷室4内および冷凍室6内は早期に冷やされる。冷凍室6内に供給された冷気は、図示しない冷気吸込口を介して冷凍用冷却器室17に戻される。
【0029】
冷蔵用温度センサ33および冷凍用温度センサ34がともに設定下限の温度よりも低くなったとき(冷蔵室3内で貯蔵食品の冷蔵保存が可能になり、且つ冷凍室6内で貯蔵食品の冷凍保存が可能になったとき)は、制御装置35は、圧縮機駆動モータ22aの回転数を低速にして圧縮機22の出力を小さくさせる制御、あるいは圧縮機22の圧縮機駆動モータ22aの回転数をゼロにして圧縮機22を停止させる制御を行う。
【0030】
また、制御装置35は、「通常の冷却運転」において、冷蔵用温度センサ33の検出温度に基づいて冷蔵用冷却ファンモータ13aの回転数を切換えて、冷蔵用冷却ファン13を所定の回転数で駆動している。具体的には、制御装置35は、冷蔵用冷却ファン13を、冷蔵室3内の温度が高い場合に「高速」で駆動する制御を行ない、冷蔵室3内の温度が低くなるにつれて「中速」、「低速」、「停止」で駆動する制御を行う。また、制御装置35は、冷蔵用扉スイッチ31の検出信号に基づいて扉3aが開いたと判断したときには、図6に示すように、冷蔵用冷却ファン13を扉3aが開いている間、すなわち冷蔵用扉スイッチ31がオンの間、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aの回転数を「停止」にする制御を行う。また、後で詳述するが、制御装置35は、冷蔵用扉スイッチ31の検出信号に基づいて扉3aが閉じたと判断したときには、冷蔵用冷却ファン13を下位に設定された回転数、本実施形態では「低速」の回転数で所定時間駆動する制御を行う。
【0031】
さらに、制御装置35は、「通常の冷却運転」において、冷凍用温度センサ34の検出温度に基づいて冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数を切換えて、冷凍用冷却ファン19を所定の回転数で駆動している。具体的には、制御装置35は、冷凍用冷却ファン19を、冷凍室6内の温度が高い場合に「高速」で駆動する制御を行ない、冷凍室6内の温度が低くなるにつれて「中速」、「低速」、「停止」で駆動する制御を行なっている。また、制御装置35は、冷凍用扉スイッチ32の検出信号に基づいて扉6aが開いたと判断したときには、図6に示すように、冷凍用冷却ファン19を扉6aが開いている間、すなわち冷凍用扉スイッチ32がオンの間、冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数を「停止」にする制御を行う。また、後で詳述するが、制御装置35は、冷凍用扉スイッチ32の検出信号に基づいて扉6aが閉じたと判断したときには、冷凍用冷却ファン19を下位に設定された回転数、本実施形態では「高速」、「中速」、「低速」のうち下位である「低速」の回転数で所定時間駆動する制御を行う。
【0032】
「強制冷却運転」は、「通常の冷却運転」とほぼ同様の冷凍サイクルの運転であるが、下記の点で「通常の冷却運転」と異なる。この「強制冷却運転」には、例えば「プルダウン制御」、「強制冷却」、「一気冷凍」、「熱もの冷凍」、「一気製氷」がある。「プルダウン制御」および「強制冷却」は、各種センサの信号に基づいて制御装置35が自動で所定の冷却運転を行い、「一気冷凍」、「熱もの冷凍」および「一気製氷」は、使用者が操作パネル7を操作することにより、制御装置35が操作パネル7からの設定信号に基づいて所定の冷却運転を行う。
【0033】
「プルダウン制御」とは、冷蔵庫1の電源を入れた後において、貯蔵室内を冷蔵および冷凍可能な温度に達するまで自動で冷却する制御のことである。例えば購入した冷蔵庫1を設置し電源を入れると、貯蔵室内の温度は室温であるため、制御装置35は、電源が入れられた後約3〜6時間自動で貯蔵室内を冷却する制御を行う。
【0034】
「強制冷却」とは、貯蔵室内の温度が上限設定の温度以上に達したとき(貯蔵室が温かくなったとき)、貯蔵室内を冷蔵および冷凍可能な温度に達するまで自動で冷却する制御のことであり、「プルダウン制御」とほぼ同じ制御である。
【0035】
「一気冷凍」とは、短時間で冷凍室6内を冷却する制御のことである。例えば冷蔵庫1の使用者が操作パネル7を操作して「一気冷凍」を選択すると、制御装置35は、操作パネル7からの設定信号に基づいて冷凍室6内の温度が設定された温度に達するまで圧縮機22の圧縮機駆動モータ22aを高回転で駆動して圧縮機22の出力を大きくし、多くの冷媒を冷凍用冷却器18に供給する制御を行う。これにより、短時間に冷凍用冷却器18で多くの冷気が生成され、冷凍室6内は短時間で冷やされる。
【0036】
「熱もの冷凍」とは、冷凍室6内に収容された温かい貯蔵食品などを冷凍する制御のことである。例えば冷蔵庫1の使用者が、冷凍室6内に温かい貯蔵食品を収容し、操作パネル7を操作して「熱もの冷凍」を選択すると、制御装置35は、操作パネル7からの設定信号に基づいて冷凍室6内の温度が設定された温度に達するまで圧縮機22の圧縮機駆動モータ22aを高回転で駆動して圧縮機22の出力を大きくし、多くの冷媒を冷凍用冷却器18に供給する制御を行う。これにより、短時間に冷凍用冷却器18で多くの冷気が生成され、冷凍室6内は短時間で冷やされ、冷凍室6内に収容された温かい貯蔵食品は短時間で冷凍される。「熱もの冷凍」は、「一気冷却」とほぼ同じ制御であるが、「一気冷凍」よりも冷凍室6内を冷却する冷却速度が遅く、冷却時間が長い。
【0037】
「一気製氷」とは、短時間で製氷室4内を冷却して、短時間で氷を生成する制御のことである。例えば冷蔵庫1の使用者が、操作パネル7を操作して「一気製氷」を選択すると、制御装置35は、操作パネル7からの設定信号に基づいて圧縮機22の圧縮機駆動モータ22aを高回転で駆動して圧縮機22の出力を大きくし、多くの冷媒を冷凍用冷却器18に供給する制御を行う。これにより、冷凍用冷却器18によって多くの冷気が生成され、生成された多くの冷気は製氷室4内に供給されるようになり、製氷室4内は短時間で冷やされ、短時間で氷を生成することが可能となる。
【0038】
次に、本実施形態の冷蔵庫1の冷却運転中の冷蔵用冷却ファン13および冷凍用冷却ファン19の制御について図7〜図9を参照して説明する。ここで、圧縮機22の制御については、フローチャートで図示していないが、制御装置35は、冷却運転が行われている間、上述したように圧縮機22を冷蔵用温度センサ33および冷凍用温度センサ34の検出信号に基づいて所定の出力で駆動する。例えば、制御装置35は、冷蔵用温度センサ33および冷凍用温度センサ34の検出信号に基づいて冷蔵室3内の温度および冷凍室6内の温度が高いと判断したとき、圧縮機22の出力を高くする制御をしている。
【0039】
まず、使用者が冷蔵庫1の図示しない電源を入れることにより、制御装置35は、図7に示す冷却運転の制御を開始する(スタート)。
制御装置35は、まず、操作パネル7で「通常の冷却運転」または「強制冷却運転」のいずれかの「冷却運転」の選択がされたかを、操作パネル7からの設定信号に基づいて判断する(ステップS1)。制御装置35は、「冷却運転」の選択がされたと判断した場合には(ステップS1:YES)、ステップS2に移行し、操作パネル7の「冷却運転」の選択がないと判断した場合には(ステップS1:NO)、操作パネル7の「冷却運転」の選択がされるまで待機状態となる。
【0040】
制御装置35は、ステップS2で、操作パネル7の操作された内容が操作パネル7からの設定信号に基づいて「通常の冷却運転」であるか、または「強制冷却運転」のどちらであるかを判断する。制御装置35は、「通常の冷却運転」が選択されたと判断した場合には(ステップS2:YES)、「通常の冷却運転」の制御を行う(ステップS3)。「通常の冷却運転」は、例えば使用者が操作パネル7で「通常の冷却運転の条件変更」または「強制冷却運転」を設定するまで繰り返し行われる(ステップS4:NO)。「通常の冷却運転の条件変更」とは、例えば貯蔵室の設定温度の変更、節電モードなどのモードの切り替えなどである。一方、使用者が「通常の冷却運転」中に操作パネル7を操作して「通常の冷却運転の条件変更」または「強制冷却運転」を選択した場合には(ステップS4:YES)、制御装置35は、操作パネル7からの設定信号に基づきステップS2に移行する。
【0041】
制御装置35は、ステップS2で「通常の冷却運転の条件変更」が選択されたと判断した場合には(ステップS2:YES)、その変更条件に基づいて「通常の冷却運転」を行う(ステップS3)。また、制御装置35は、ステップS2で「強制冷却運転」が選択されたと判断した場合には(ステップS2:NO)、「強制冷却運転」の制御を行う(ステップS5)。「強制冷却運転」は、例えば「強制冷却運転」の制御が終了するまで、あるいは使用者が操作パネル7で「強制冷却運転」の強制停止を選択するまで行われる(ステップS6:NO)。制御装置35は、「強制冷却運転」が終了あるいは「強制冷却運転」の強制停止の操作がされたと判断した場合には(ステップS6:YES)、「通常の冷却運転」の制御を行う(ステップS3)。
【0042】
ここで、制御装置35は、図示はしないが、ステップS3の「通常の冷却運転」中、あるいはステップS5の「強制冷却運転」中おいて、扉3a、6aが開閉されたかを、冷蔵用扉スイッチ31からの検出信号および冷凍用扉スイッチ32からの検出信号によって随時割り込みにより判断している。また、制御装置35は、扉3a、6aが開かれたときには、扉3a、6aが開かれた瞬時に冷却運転の種類(「通常の冷却運転」、「強制冷却運転」である「プルダウン制御」、「強制冷却」、「一気冷凍」、「熱もの冷凍」、「一気製氷」などの種類)、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aの回転数、冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数、機械室用ファン25の機械室用ファンモータ25aの回転数などの冷却運転中の状態のデータをEEPROM36に記憶する。すなわち、これらのデータは、扉3a、6aが開かれる直前のデータである。言い換えると、制御装置35が、冷蔵用扉スイッチ31からの検出信号および冷凍用扉スイッチ32からの検出信号に基づいて扉3aまたは扉6aの少なくともいずれか一方が開いたと判断した場合、EEPROM36には扉3a、6aが開く直前の冷却運転中の状態のデータが記憶された状態となっている。さらに、制御装置35は、扉3aが開いている場合には、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aの回転数を扉3aが開いている間「停止」させる制御を行い、一方、扉6aが開いている場合には、冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数を扉6aが開いている間「停止」させる制御を行う。このとき、制御装置35は、扉3a、6aが閉じられている側の冷蔵用冷却ファン13または冷凍用冷却ファン19を引き続き駆動し、圧縮機22の出力すなわち圧縮機22の圧縮機駆動モータ22aの回転数を貯蔵室の温度、具体的には冷蔵用温度センサ33および冷凍用温度センサ34に基づいて変える制御を行っている。
【0043】
次に、制御装置35は、冷蔵用扉スイッチ31からの検出信号および冷凍用扉スイッチ32からの検出信号に基づいて扉3a、6aが閉じたと判断すると、図8に示す温度調整判定制御を行う。
温度調整判定制御において、制御装置35は、EEPROM36に記憶されている扉3a、6aが開く直前の冷却運転中の状態のデータ、本実施形態では扉3a、6aが開く直前の冷却運転の種類、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aの回転数、冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数のデータを読み出し、扉3a、6aが開いたときに「プルダウン制御」中であったかを判断する(ステップS7)。扉3a、6aが開いたときに「プルダウン制御」中であった場合には(ステップS7:YES)、制御装置35は、扉3a、6aが閉じられた後に「プルダウン制御」を続行する制御を行う(リターン)。
【0044】
次に、制御装置35は、扉3a、6aが開いたときに「プルダウン制御」中でなかったと判断した場合には(ステップS7:NO)、扉3a、6aが開いたときに「強制冷却」中であったかを判断する(ステップS8)。扉3a、6aが開いたときに「強制冷却」中であった場合には(ステップS8:YES)、制御装置35は、扉3a、6aが閉じられた後に「強制冷却」を続行する制御を行う(リターン)。
【0045】
次に、制御装置35は、扉3a、6aが開いたときに「強制冷却」中でなかった場合には(ステップS8:NO)、冷蔵室3の扉3aが開閉したか、または冷凍室6の扉6aが開閉かを判断する(ステップS9)。制御装置35は、冷蔵用扉スイッチ31および冷凍用扉スイッチ32の検出信号に基づいて扉6aが開いた状態から閉じた状態になったと判断した場合には(ステップS9:NO)、扉6aが開いたときに「強制冷却運転」の「一気冷凍」中、「熱もの冷凍」中あるいは「一気製氷」中であったかを判断する(ステップS10〜12)。制御装置35は、これらの「強制冷却運転」中に扉6aが開いたと判断した場合には(ステップS10:YES、ステップS11:YES、ステップS12:YES)、扉6aが閉じられた後に、扉6aが開く直前の各種の「強制冷却運転」を続行する制御を行う(リターン)。
【0046】
次に、制御装置35は、扉6aが開いたときに「強制冷却運転」の「一気冷凍」中、「熱もの冷凍」中あるいは「一気製氷」中でなかった場合(ステップS10〜12においてすべてNO)、または冷蔵室3の扉3aが開閉された場合には(ステップS9:YES)、温度調整制御を行う(ステップS13)。
【0047】
本実施形態の温度調整制御を図9に示す。温度調整制御では、制御装置35は、冷蔵室3の扉3aが開閉したか、または冷凍室6の扉6aが開閉かを判断する(ステップS21)。制御装置35は、冷蔵室3の扉3aが開いた状態から閉じた状態になったと判断した場合には(ステップS21:YES)、扉3aが開く直前の冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aが「高速」、「中速」、「低速」、「停止」のいずれであったかをEEPROM36に記憶されているデータに基づいて判断する(ステップS22)。扉3aが開く直前に冷蔵用冷却ファンモータ13aが「高速」、「中速」、「低速」のいずれかで回転していた場合には(ステップS22:YES)、制御装置35は、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aを下位に設定された「低速」で所定時間駆動し(ステップS23)、所定時間経過後に温度調整制御を終了する(リターン)。扉3aが開く直前に冷蔵用冷却ファンモータ13aが「停止」であった場合には(ステップS22:NO)、制御装置35は、温度調整制御を終了し、冷蔵用冷却ファンモータ13aの「停止」を続行する制御を行う(リターン)。
【0048】
制御装置35は、ステップS21において、冷凍室6の扉6aが開いた状態から閉じた状態になったと判断すると(ステップS21:NO)、扉6aが開く直前の冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aが「高速」、「中速」、「低速」のいずれであったかをEEPROM36に記憶されているデータに基づいて判断する(ステップS24)。扉6aが開く直前に冷凍用冷却ファンモータ19aが「高速」、「中速」、「低速」のいずれかで回転していた場合には(ステップS24:YES)、制御装置35は、冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aを「低速」で所定時間駆動し(ステップS25)、所定時間経過後に温度調整制御を終了する(リターン)。扉6aが開く直前に冷凍用冷却ファンモータ19aが「停止」であった場合には(ステップS24:NO)、制御装置35は、温度調整制御を終了し、冷凍用冷却ファンモータ19aの「停止」を続行する制御を行う(リターン)。
【0049】
次に、上記実施形態の効果について説明する。
冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aは、冷蔵室3の扉3aが開いている間「停止」しているので、扉3aが開いているときに冷蔵室3内の冷気が冷蔵室3外に放出してしまうことを極力防ぐことができる。
【0050】
そして、開いていた扉3aが閉じられると、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aは「高速」、「中速」よりも下位に設定された回転数である「低速」で駆動するので、冷蔵室3内に流入した暖気は冷蔵室3内を遅い速度で移動して冷蔵室3内で拡散しやすく、冷蔵室3内の冷気によって冷やされやすくなる。その結果、冷蔵室3内の温度を検出する冷蔵用温度センサ33は、冷蔵室3内に流入したときの暖気の温度を一気に検出することはなく、開閉遅れをもって該温度よりも低い温度を検出する。したがって、扉3aが閉じられた後において、冷蔵室3内の温度に基づいて駆動する圧縮機22の出力は流入した暖気の温度に応じた高さとはならず、これにより、冷蔵室3内の貯蔵食品が冷え過ぎてしまうことを防止することができる。
【0051】
また、冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aは、冷凍室6の扉6aが開いている間「停止」しているので、扉6aが開いているときに冷凍室6内の冷気が冷凍室6外に放出してしまうことを極力防ぐことができる。
【0052】
そして、開いていた扉6aが閉じられると、冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aは「高速」、「中速」よりも下位に設定された回転数である「低速」で駆動するので、冷凍室6内に流入した暖気は冷凍室6内を遅い速度で移動するとともに冷凍室6内で拡散しやすく、冷凍室6内の冷気によって冷やされやすくなる。その結果、冷凍室6内の温度を検出する冷凍用温度センサ34は、冷凍室6内に流入したときの暖気の温度を一気に検出することはなく、開閉遅れをもって該温度よりも低い温度を検出する。したがって、扉6aが閉じられた後において、冷凍室6内の温度に基づいて駆動する圧縮機22の出力は流入した暖気の温度に応じた高さとはならず、これにより、冷凍室6内の貯蔵食品が冷え過ぎてしまうことを防止することができる。
【0053】
また、上述したように、貯蔵室(冷蔵室3、冷凍室6)内に流入した暖気は、貯蔵室内を遅い速度で移動するとともに貯蔵室内で拡散しやすく、貯蔵室内の冷気で冷やされる。そのため、暖気が冷蔵用冷却器室11内または冷凍用冷却器室17内に一気に流入してしまうことを極力防ぐことができ、これにより、冷蔵用冷却器室11内または冷凍用冷却器室17内に暖気が一気に冷却されることによる結露の発生を極力防止することができる。
【0054】
制御装置35は、「強制冷却運転」時に扉3a、6aが開閉され冷蔵用扉スイッチ31および冷凍用扉スイッチ32の検出信号に基づいて扉3a、6aが閉じたと判断したときには、「強制冷却運転」を優先して続行する制御を行う。これにより、「強制冷却運転」をできるだけ早く終了させることができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図10を参照して説明する。尚、上記第1の実施形態と実質的に同一内容については、その内容の説明は省略する。
第2の実施形態の制御装置35は、図8に示す温度調整制御を行う場合(ステップS13)、第1の実施形態の温度調整制御(図9参照)の代わりに、図10に示す温度調整制御を実行する。
【0056】
第2の実施形態の温度調整制御において、制御装置35は、冷蔵室3の扉3aが開閉したか、または冷凍室6の扉6aが開閉かを判断する(ステップS31)。制御装置35は、冷蔵室3の扉3aが開いた状態から閉じた状態になったと判断した場合には(ステップS31:YES)、扉3aが開く直前の冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aが「高速」、「中速」、「低速」、「停止」のいずれであったかを判断する(ステップS32、33、35)。すなわち、扉3aが開く直前に冷蔵用冷却ファンモータ13aが「高速」、「中速」、「低速」のいずれかで回転していた場合には(ステップS32:YES)、制御装置35はステップS33に移行する。扉3aが開く直前に冷蔵用冷却ファンモータ13aが「停止」であった場合には(ステップS32:NO)、制御装置35は、温度調整制御を終了し、冷蔵用冷却ファンモータ13aの「停止」を続行する制御を行う(リターン)。
【0057】
ステップS33では、制御装置35は、扉3aが開く直前の冷蔵用冷却ファンモータ13aが「高速」で回転していたか否かを判断する。扉3aが開く直前に冷蔵用冷却ファンモータ13aが「高速」で回転していた場合には(ステップS33:YES)、制御装置35は、冷蔵用冷却ファンモータ13aを「高速」よりも下位の回転数、この場合「高速」よりも一段階回転数が低い「中速」で所定時間駆動し(ステップS34)、所定時間経過後に温度調整制御を終了する(リターン)。扉3aが開く直前に冷蔵用冷却ファンモータ13aが「高速」以外で回転していた場合、すなわち冷蔵用冷却ファンモータ13aが「中速」または「低速」で回転していた場合には(ステップS33:NO)、制御装置35は、ステップS35に移行する。
【0058】
ステップS35では、制御装置35は、扉3aが開く直前の冷蔵用冷却ファンモータ13aが「中速」で回転していたか否かを判断する。扉3aが開く直前に冷蔵用冷却ファンモータ13aが「中速」で回転していた場合には(ステップS35:YES)、制御装置35は、冷蔵用冷却ファンモータ13aを「中速」よりも下位の回転数、この場合「中速」よりも一段階回転数が低い「低速」で所定時間駆動し(ステップS36)、所定時間経過後に温度調整制御を終了する(リターン)。扉3aが開く直前に冷蔵用冷却ファンモータ13aが「中速」でない場合、すなわち「低速」で回転していた場合には(ステップS35:NO)、制御装置35は、冷蔵用冷却ファンモータ13aを「低速」で所定時間駆動あるいは所定時間「停止」にして(ステップS37)、所定時間経過後に温度調整制御を終了する(リターン)。
【0059】
また、制御装置35は、ステップS31において、冷凍室6の扉6aが開いた状態から閉じた状態になったと判断した場合には(ステップS31:NO)、扉6aが開く直前の冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aが「高速」、「中速」、「低速」、「停止」のいずれでかったかを判断する(ステップS38、39、41)。すなわち、扉6aが開く直前に冷凍用冷却ファンモータ19aが「高速」、「中速」、「低速」のいずれかで回転していた場合には(ステップS38:YES)、制御装置35はステップS39に移行する。扉6aが開く直前に冷凍用冷却ファンモータ19aが「停止」であった場合には(ステップS38:NO)、制御装置35は、温度調整制御を終了し、冷凍用冷却ファンモータ19aの「停止」を続行する制御を行う(リターン)。
【0060】
ステップS39では、制御装置35は、扉6aが開く直前の冷凍用冷却ファンモータ19aが「高速」で回転していたか否かを判断する(ステップS39)。扉6aが開く直前に冷凍用冷却ファンモータ19aが「高速」で回転していた場合には(ステップS39:YES)、制御装置35は、冷凍用冷却ファンモータ19aを「高速」よりも下位の回転数、この場合「高速」よりも一段階回転数が低い「中速」で所定時間駆動し(ステップS40)、所定時間経過後に温度調整制御を終了する(リターン)。扉6aが開く直前に冷凍用冷却ファンモータ19aが「高速」以外で回転していた場合、すなわち冷凍用冷却ファンモータ19aが「中速」または「低速」で回転していた場合には(ステップS39:NO)、制御装置35は、ステップS41に移行する。
【0061】
ステップS41では、制御装置35は、扉6aが開く直前の冷凍用冷却ファンモータ19aが「中速」で回転していたか否かを判断する。扉6aが開く直前に冷凍用冷却ファンモータ19aが「中速」で回転していた場合には(ステップS41:YES)、制御装置35は、冷凍用冷却ファンモータ19aを「中速」よりも下位の回転数、この場合「中速」よりも一段階回転数が低い「低速」で所定時間駆動し(ステップS42)、所定時間経過後に温度調整制御を終了する(リターン)。扉6aが開く直前に冷凍用冷却ファンモータ19aが「中速」でない場合、すなわち「低速」で回転していた場合には(ステップS41:NO)、制御装置35は、冷凍用冷却ファンモータ19aを「低速」で所定時間駆動あるいは所定時間「停止」にして(ステップS43)、所定時間経過後に温度調整制御を終了する(リターン)。
【0062】
次に、上記本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、開いていた扉3aが閉じられると、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aは扉3aが開く直前の回転数よりも下位に設定された回転数、本実施形態では扉3aが開く直前よりも一段階低い回転数で所定時間駆動するので、冷蔵室3内に流入した暖気は冷蔵室3内を遅い速度で移動して冷蔵室3内で拡散しやすく、冷蔵室3内の冷気によって冷やされやすくなる。その結果、冷蔵室3内の温度を検出する冷蔵用温度センサ33は、冷蔵室3内に流入したときの暖気の温度を一気に検出することはなく、開閉遅れをもって該温度よりも低い温度を検出する。したがって、扉3aが閉じられた後において、冷蔵室3内の温度に基づいて駆動する圧縮機22の出力は流入した暖気の温度に応じた高さとはならず、これにより、冷蔵室3内の貯蔵食品が冷え過ぎてしまうことを防止することができる。
【0063】
また、開いていた扉6aが閉じられると冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aは扉6aが開く直前の回転数よりも下位に設定された回転数、本実施形態では扉6aが開く直前よりも一段階低い回転数で所定時間駆動するので、冷凍室6内に流入した暖気は冷凍室6内を遅い速度で移動するとともに冷凍室6内で拡散しやすく、冷凍室6内の冷気によって冷やされやすくなる。その結果、冷凍室6内の温度を検出する冷凍用温度センサ34は、冷凍室6内に流入したときの暖気の温度を一気に検出することはなく、開閉遅れをもって該温度よりも低い温度を検出する。したがって、扉6aが閉じられた後において、冷凍室6内の温度に基づいて駆動する圧縮機22の出力は流入した暖気の温度に応じた高さとはならず、これにより、冷凍室6内の貯蔵食品が冷え過ぎてしまうことを防止することができる。
その他、第2の実施形態の効果は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0064】
尚、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されず、次のような変形、拡張が可能である。
冷蔵室3の扉3aまたは冷凍室6の扉6aのうち一方の扉が先に開いて、この一方の扉が開いているときに他方の扉が開いた場合、あるいは扉3a、6aが同時に開いた場合においては、予め決めておいた扉の閉動作に基づいて温度調整判定制御および温度調整制御を優先して実行してもよい。例えば、最初に開いたと判断した扉の開閉に基づいて、第1または第2の実施形態の制御を行うようにしてもよい。
【0065】
第1および第2の実施形態では、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aおよび冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数が、「高速」、「中速」、「低速」、「停止」の4段階として説明した。しかし、これらの回転数は、3段階以下あるいは5段階以上に分けてもよい。また、これらの回転数が3段階以上に分けられている場合であって扉3a、6aが閉じられた時に第2の実施形態の制御を行う場合には、扉3a、6aが開く直前の回転数の段階よりも複数段階低い回転数で所定時間駆動する制御を行ってもよい。また、冷蔵用冷却ファン13の冷蔵用冷却ファンモータ13aおよび冷凍用冷却ファン19の冷凍用冷却ファンモータ19aの回転数は、貯蔵室の温度に対して比例する関係で制御してもよい。
【0066】
冷蔵用温度センサ33は冷蔵用冷却器室11内に設けてもよく、冷蔵用冷却ファン13の風下に設けることがより好ましい。また、冷凍用温度センサ34は冷凍用冷却器室17内に設けてもよく、冷凍用冷却ファン19の風下に設けることがより好ましい。
【0067】
冷凍サイクルは、一つの冷却器を冷蔵用および冷凍用に共用する構成であってもよい。
記憶手段として、EEPROM36を用いて説明したが、RAMやその他の記憶媒体を用いてもよい。
【0068】
第1および第2の実施形態では、冷蔵用扉スイッチ31および冷凍用扉スイッチ32を用いて説明したが、製氷室4の扉4aの開閉を検出する扉スイッチ、野菜室5の扉5aの開閉を検出する扉スイッチを設け、また、製氷室4内および野菜室5内に温度センサを設けて、第1および第2の実施形態の制御を行うようにしてもよい。
【0069】
第1および第2の実施形態では、貯蔵室として、冷蔵室3、製氷室4、野菜室5、冷凍室6を備える冷蔵庫1を用いて説明したが、これらの以外の貯蔵室を備えた冷蔵庫、例えば冷蔵および冷凍に任意に切り替えることができる切換え室や、第2の冷凍室をさらに設けた冷蔵庫にも適用できる。この場合、切換え室や第2の冷凍室の扉の開閉を検出する扉スイッチを設け、これらの切換え室内や第2の冷凍室内に温度センサを設ける必要がある。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0070】
図面中、1は冷蔵庫、3は冷蔵室(貯蔵室)、4は製氷室(貯蔵室)、5は野菜室(貯蔵室)、6は冷凍室(貯蔵室)、3a,4a,5a,6aは扉、7は操作パネル、12は冷蔵用冷却器(冷却器)、13は冷蔵用冷却ファン(冷却ファン)、18は冷凍用冷却器(冷却器)、19は冷凍用冷却ファン(冷却ファン)、22は圧縮機、31は冷蔵用扉スイッチ(扉スイッチ)、32は冷凍用扉スイッチ(扉スイッチ)、33は冷蔵用温度スイッチ(温度検出手段)、34は冷凍用温度センサ(温度検出手段)、35は制御装置(制御手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部が形成された貯蔵室と、
前記貯蔵室の開口部を開閉する扉と、
前記扉の開閉を検出する扉スイッチと、
前記貯蔵室内の温度を検出する温度検出手段と、
冷気を生成するための冷却器と、
前記冷却器とともに冷凍サイクルを構成する圧縮機と、
前記冷却器によって生成された冷気を前記貯蔵室内に供給する冷却ファンと、
冷却運転を設定する操作パネルと、
前記操作パネルからの設定信号、前記温度検出手段および前記扉スイッチの検出信号に基づいて前記圧縮機および前記冷却ファンの駆動を制御する制御手段とを具備し、
前記制御手段は、通常の冷却運転時には前記圧縮機を前記温度検出手段の検出信号に基づいた出力の制御を行うとともに前記冷却ファンを設定された回転数で駆動する制御を行い、前記冷却ファンが駆動しているときに前記扉スイッチの検出信号に基づいて前記扉が開いたと判断したときには前記冷却ファンを前記扉が開いている間停止させる制御を行い、前記扉スイッチの検出信号に基づいて前記扉が閉じたと判断したときには前記冷却ファンを下位に設定された回転数で所定時間駆動する制御を行うことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御手段は、前記扉スイッチの検出信号に基づいて前記扉が閉じたと判断したときには前記冷却ファンを前記扉が開く直前の回転数よりも下位の回転数で所定時間駆動する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記制御手段は、前記通常の冷却運転時以外の強制冷却運転時に前記扉が開閉され前記扉スイッチの検出信号に基づいて前記扉が閉じたと判断したときには前記強制冷却運転を続行する制御を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−153788(P2011−153788A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16641(P2010−16641)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】