冷蔵庫
【課題】貯蔵室内の湿度検出の信頼性向上を図る。
【解決手段】冷蔵庫は、冷気の吹出し口が形成された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体に設けられて貯蔵室を冷却する冷却器と、冷却器により冷却された冷気を吹出し口から貯蔵室へ供給する送風機と、貯蔵室内に設けられて該貯蔵室内の湿度を検出する湿度センサと、冷蔵庫本体に設けられて、貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を放出する有機性ガス除去手段と、を備える。
【解決手段】冷蔵庫は、冷気の吹出し口が形成された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体に設けられて貯蔵室を冷却する冷却器と、冷却器により冷却された冷気を吹出し口から貯蔵室へ供給する送風機と、貯蔵室内に設けられて該貯蔵室内の湿度を検出する湿度センサと、冷蔵庫本体に設けられて、貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を放出する有機性ガス除去手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に冷蔵庫は、貯蔵物の鮮度を保つために、貯蔵室内をその貯蔵物に適した一定の湿度環境に維持することが望ましい。しかし、貯蔵室の扉の開閉や、貯蔵物の種類、およびその量などによって、貯蔵室内の湿度環境は随時変化する。そのため、近年、このような湿度環境の変化を検出して適切な湿度調整を行うために、湿度センサを備える技術が考えられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−90582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、環境変化の大きい貯蔵室内において、正確な湿度を検出することは難しい。例えば、貯蔵室に貯蔵される青果物つまり野菜や果物などは、呼吸や熟成、腐敗などによって有機性のガスを発生することがある。このような有機性ガスは、湿度センサに悪影響をおよぼして湿度センサの特性を変化させることがある。このような場合、湿度センサは正確な湿度を検出することができず、湿度検出の信頼性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、貯蔵室内の湿度検出の信頼性向上を図った冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の冷蔵庫は、冷気の吹出し口が形成された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を冷却する冷却器と、前記冷却器により冷却された冷気を前記吹出し口から前記貯蔵室へ供給する送風機と、前記貯蔵室内に設けられて該貯蔵室内の湿度を検出する湿度センサと、前記冷蔵庫本体に設けられて、前記貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を放出する有機性ガス除去手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一実施形態における冷蔵庫全体の概略構成を示す縦断側面図
【図2】湿度センサの検出に基づいて制御される制御系を示すブロック図
【図3】湿度センサの検出部の構成を示す分解斜視図
【図4】制御装置による冷却運転中の制御内容を示すフローチャート
【図5】制御装置による湿度センサ復帰制御の制御内容を示すフローチャート
【図6】第二実施形態における野菜室周辺の概略構成を示す縦断側面図
【図7】第三実施形態における図6相当図
【図8】第四実施形態における図6相当図
【図9】第五実施形態における図6相当図
【図10】第五実施形態における図2相当図
【図11】第五実施形態における図5相当図
【図12】第六実施形態における図6相当図
【図13】第六実施形態における図2相当図
【図14】第六実施形態における図5相当図
【図15】第七実施形態における図6相当図
【図16】第七実施形態における図2相当図
【図17】第七実施形態における図5相当図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫を、図面を参照して説明する。なお、各実施形態の説明において、冷蔵庫本体10の前後は、図1の左側を前方とし右側を後方する。また、前方から見た冷蔵庫本体10に対して、左右方向を定義している。そして、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第一実施形態)
まず、第一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1に示すように、冷蔵庫本体10は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体11内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。断熱箱体11は、鋼板製の外箱111および合成樹脂製の内箱112の間に断熱材113を設けて構成されている。断熱箱体11内には、貯蔵室として上段から順に冷蔵室12、野菜室13が設けられ、その下方に製氷室14および図示しない小冷凍室が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室15が設けられている。製氷室14内には、自動製氷装置16が設けられている。
【0010】
冷蔵室12および野菜室13は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、それらの間は、プラスチック製の仕切壁17により上下に仕切られている。この仕切壁17は、後部の一部に連通口18が形成されており、これにより冷蔵室12および野菜室13が連通している。このため、冷蔵室12内の冷気は連通口18から野菜室13へ供給される。通常、冷蔵室12の維持温度は1〜5℃に設定されており、野菜室13の維持温度はそれよりやや高い2〜6℃に設定されている。
【0011】
冷蔵室12内は、複数の棚板19により上下に複数段に区切られている。詳細は図示しないが、冷蔵室12内の最下部、つまり仕切壁17の上部において、右側にはチルド室20が設けられている。チルド室20には、引出し式のチルド容器21が設けられている。そして、チルド室20の左側には、図示しない小物ケースや、自動製氷装置16に供給する水を貯留する貯水タンクなどが設けられている。冷蔵室12の前面部にはヒンジ開閉式の冷蔵室用断熱扉22が設けられ、野菜室13の前面には引出し式の野菜室用断熱扉23が設けられている。野菜室用断熱扉23の背面部には、青果物つまり野菜や果物などを収納する収納容器24が取付けられている。収納容器24は、下部収納容器241および上部収納容器242から構成され、これら下部収納容器241および上部収納容器242は、上側が開口している。
【0012】
製氷室14、冷凍室15、および図示しない小冷凍室は、いずれも冷凍温度帯、例えば−10〜−20℃のマイナス温度帯の貯蔵室であり、野菜室13と、製氷室14および小冷凍室との間は断熱仕切壁25により上下に仕切られている。製氷室14の前面部には、氷用容器26が連結された引出し式の製氷室用断熱扉27が設けられている。また、冷凍室15の前面部にも、貯蔵容器28が連結された引出し式の冷凍室用断熱扉29が設けられている。そして、詳細は図示しないが、小冷凍室の前面部にも貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。
【0013】
冷蔵庫本体10には、詳しくは図示しないが、冷蔵用冷却器30および冷凍用冷却器31を備える冷凍サイクルが組込まれている。冷蔵用冷却器30は、冷蔵庫本体10の後部、具体的には冷蔵室12の下側後部に設けられており、冷蔵室12および野菜室13を冷却するための冷気を生成する。冷凍用冷却器31は、冷蔵庫本体10の後部であって冷蔵用冷却器30の下方、具体的には冷凍室15の後部に設けられており、製氷室14、小冷凍室および冷凍室15を冷却するための冷気を生成する。
【0014】
冷蔵庫本体10の背面下端部には、機械室32が形成されている。機械室32内には、上述の冷凍サイクルを構成する圧縮機33、図示しない凝縮器、これらを冷却する図示しない冷却ファン、および除霜水蒸発皿34などが設けられている。そして、冷蔵庫本体10の背面下部寄り部分には制御装置35が設けられている。制御装置35は、マイコンやタイマ351(図2参照)を有して構成され、冷凍サイクルを含めた全体の制御を行う。
【0015】
冷蔵庫本体10内における冷凍室15の後部には、冷凍用冷却器室36が形成されている。冷凍用冷却器室36内において、下部には冷凍用冷却器31や図示しない除霜用ヒータなどが配設され、上部には冷凍用送風ファン37が配設されている。冷凍用冷却器室36の前面の上下方向の中間部には冷凍用冷気供給口38が形成されており、下端部には戻り口39が形成されている。
【0016】
この構成において、冷凍用送風ファン37が駆動されると、冷凍用冷却器31により生成された冷気は、冷凍用冷気供給口38から製氷室14、図示しない小冷凍室、および冷凍室15内へ供給された後、戻り口39から冷凍用冷却器室36内に戻されるといった循環を行う。これにより、製氷室14、図示しない小冷凍室、および冷凍室15が冷却される。なお、冷凍用冷却器31の下方には、冷凍用冷却器31の除霜時の除霜水を受ける冷凍側排水樋40が設けられている。冷凍側排水樋40が受けた除霜水は機械室32に設けられた除霜水蒸発皿34へ導かれて蒸発する。
【0017】
冷蔵庫本体10内において、冷蔵室12および野菜室13の後部には、冷蔵用冷却器30や、冷蔵用冷却器30により生成された冷気を冷蔵室12および野菜室13内へ供給するための冷気供給ダクト41、そして冷気を循環させるための冷蔵用送風ファン42などが設けられている。
【0018】
具体的には、冷蔵庫本体10における冷蔵室12の最下段の後方、つまりチルド室20の後方には、冷蔵用冷却器室43が形成されている。冷蔵用冷却器30は、この冷蔵用冷却器室43内に配設されている。冷気供給ダクト41は、冷蔵室12の後部であってチルド室20の上方に設けられている。この冷気供給ダクト41は、下端部が冷蔵用冷却器室43に接続されて冷蔵室12の上端部まで延びている。冷気供給ダクト41の前部には、冷蔵室12内に開口する冷蔵用冷気供給口44が複数個設けられている。冷蔵用冷却器室43の前部壁45は、冷気供給ダクト41よりも前方に膨出しており、前部壁45の裏側には断熱性を有する断熱材451が設けられている。前部壁45には、冷蔵用冷却器30の上方に位置して一部が開口した前部連通口452が形成されている。
【0019】
冷蔵用冷却器室43の前側には、ミスト用ダクト部材46が前部壁45に対して脱着可能に設けられている。ミスト用ダクト部材46および冷蔵用冷却器室43の前部壁45の間にはミスト用ダクト47が形成されている。このミスト用ダクト部材46にはチルド容器21の上方に位置してミスト放出口461が形成されていて、これにより、冷蔵用冷却器室43とミスト用ダクト47と冷蔵室12とが連通している。つまり、冷蔵用冷却器室43およびミスト用ダクト47は、前部壁45の前部連通口452によって連通し、ミスト用ダクト47および冷蔵室12は、ミスト用ダクト部材46のミスト放出口461によって連通している。
【0020】
ミスト用ダクト47内には、ミストを発生させる静電霧化装置48が収容されている。静電霧化装置48は、ミスト放出部49、貯水容器50、および図示しない電源装置などから構成されている。ミスト放出部49は、給水部491と、この給水部の先端部に設けられた複数本のミスト放出ピン492(図1には一本のみ図示)などから構成されている。詳細は図示しないが、給水部491の内部には、例えば繊維を絡ませてフェルト状にした、給水性および保水性に優れる保水材が収容されている。
【0021】
ミスト放出ピン492は、例えば、ポリエステル繊維および導電性物質としてのカーボン繊維を混ぜて撚り合せた材料を、ピン状つまり棒状にして構成されている。このミスト放出ピン492は、保水性および水の吸い上げ特性を有するとともに導電性を有し、また、白金ナノコロイドが担持されている。ミスト放出ピン492は、基端部が給水部491内部の保水材に接触しており、先端部がミスト用ダクト47内に露出している。貯水容器50は、冷蔵用冷却器30から滴下する除霜水の一部を受けてこれを貯留する。そして、貯水容器50に貯留された除霜水は、ミスト放出部49の給水部491、詳しくは内部の保水材の毛細管現象によって吸い上げられて、ミスト放出ピン492へ供給される。
【0022】
静電霧化装置48を構成する電源装置は、詳細は図示しないが、高周波の交流電源を直流に変換する高圧トランスを含む整流回路や、昇圧回路などから構成されている。この電源装置は、例えば−6kVの負の高電圧を発生させて、ミスト放出部49内部の保水材に印加する。すると、ミスト放出ピン492は、保水材を介して負の高電圧が印加され、これによりミスト放出ピン492が負に帯電する。このとき、ミスト放出ピン492の先端部には電荷が集中し、ミスト放出ピン492の先端部に含まれる水に表面張力を超えるエネルギーが与えられる。これにより、ミスト放出ピン492の先端部では静電霧化現象が生じて微細なミストとして放出される。なお、冷蔵庫本体10の外箱は、図示しないアース線などを介して接地されている。
【0023】
静電霧化現象によってミスト放出ピン492からミスト状に放出された水粒子は負に帯電しており、そのエネルギーによって生成されたヒドロキシラジカルを含んでいる。ヒドロキシラジカルは、強い酸化作用を有しているため、一般に除菌成分や脱臭成分として作用することが知られている。さらに、このヒドロキシラジカルは、例えば野菜や果物から発せられる、例えばエチレンやアンモニアなどの有機性ガスを分解除去する。そのため、静電霧化装置48から放出されるヒドロキシラジカルを含んだミストは、単にその水粒子が冷蔵室12および野菜室13を加湿する加湿成分として作用するだけでなく、冷蔵室12や野菜室13などの貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分としても作用する。このため、本実施形態において静電霧化装置48は、冷蔵室12および野菜室13を調湿する調湿手段や、冷蔵室12および野菜室13にミストを放出するミスト発生手段として機能し、これに加え、冷蔵室12や野菜室13内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を放出する有機性ガス除去手段としても機能する。
【0024】
冷蔵用冷却器室43内の下部には、冷蔵用冷却器30の下方に位置して、冷蔵用冷却器30からの除霜水を受けて庫外へ排出する冷蔵側排水樋51が設けられている。冷蔵側排水樋51に受けられた除霜水も、冷凍側排水樋40で受けられた除霜水と同様に、機械室32内に設けられた除霜水蒸発皿34へ導かれて蒸発する。
【0025】
野菜室13の後方には、冷蔵側排水樋51の下方に位置して冷蔵用送風ファン42が配設されているとともに、冷蔵用送風ファン42を覆う送風ダクト部材52が設けられている。送風ダクト部材52と、断熱箱体11の内箱112との間には送風ダクト53が形成され、冷蔵用送風ファン42は送風ダクト53内に配設されている。送風ダクト53は、上端部が冷蔵側排水樋51をう回して冷蔵用冷却器室43に接続されている。また、送風ダクト部材52は、下部に開口からなる吸込み口521が形成されており、これにより送風ダクト53は野菜室13下部へ連通している。
【0026】
冷蔵室12の底部を構成する仕切壁17の後部下方には、野菜室13内においてクリスパカバー54が設けられている。このクリスパカバー54は、野菜室13の上部、つまり収納容器24と仕切壁17との間に位置して仕切壁17に形成された連通口18の下方を覆っている。クリスパカバー54は、例えばプラスチックで構成されている。そして、クリスパカバー54と仕切壁17の下面との間において通気路55が形成されている。通気路55は、前端部つまり野菜室用断熱扉23側に、野菜室13へ連通する吹出し口56が形成されている。
【0027】
この構成において、冷蔵用送風ファン42は、冷蔵用冷却器30により冷却された冷気を吹出し口56から野菜室13へ供給する。即ち、冷蔵用送風ファン42が駆動されると、まず、図1の白抜き矢印で示すように、冷蔵用送風ファン42の吸込み作用によって野菜室13内の空気が吸込み口521から送風ダクト53内へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、冷蔵用冷却器室43内へ送風されて冷蔵用冷却器30によって冷却される。そして、この冷気は、冷気供給ダクト41を通って複数の冷蔵用冷気供給口44から冷蔵室12内へ吹き出されるとともに、前部連通口452からミスト用ダクト47内を通って静電霧化装置48で発生するミストを含ませて、ミスト放出口461からチルド室20へ吹き出される。ミスト放出口461からチルド室20へ吹き出された冷気は、ミストを含んで比重が大きくなっているため、チルド容器21内へ流入するとともに、チルド容器21の後面とミスト用ダクト部材46との間を下降する。
【0028】
複数の冷蔵用冷気供給口44から冷蔵室12へ吹き出された冷気は、冷蔵室12内およびチルド室20内を冷却しながら下降する。その後、ミスト放出口461から吹き出されるミストを含んだ冷気と合流し、冷蔵室12の底部となる仕切壁17に形成された連通口18を通って通気路55に入る。そして、通気路55に入った冷気は、クリスパカバー54によって流れ方向が変えられて、吹出し口56から仕切壁17の下面に沿って前方へ吹出される。吹出し口56から野菜室13内へ供給された冷気は、仕切壁17の下面に沿って拡散した後、収納容器24の外周面に沿って下降し、吸込み口521から送風ダクト53内へ吸い込まれる。
【0029】
つまり、吹出し口56から野菜室13内へ吹き出された冷気は、図1の黒矢印で示すように、仕切壁17の下面に沿って、仕切壁17の下面と収納容器24との間を前方および左右方向へ拡散しながら流れる。そして、前方へ流れた冷気は、野菜室用断熱扉23と収納容器24の前面との間を下降し、左右方向へ流れた冷気は、野菜室13の左右側壁と収納容器24の左右側面との間を下降する。野菜室13の下部に達した冷気は、その後、断熱仕切壁25の上面と収納容器24の下面との間を後方へ向かって流れ、吸込み口521から送風ダクト53内へ吸い込まれる。このとき野菜室13内には、吹出し口56から供給された冷気が流れる、黒矢印で示す風路Aが形成されている。このように、冷蔵用冷却器30によって冷却された冷気が、冷蔵室12、野菜室13の順に供給されることによって、これら冷蔵室12および野菜室13が冷却される。
【0030】
仕切壁17の野菜室13側の下面、即ち野菜室13の天井部下面には、風路A上において湿度センサ57が設けられている。湿度センサ57は、野菜室13内の相対湿度RHを検出する。制御装置35は、図2に示すように、湿度センサ57の検出結果を受けて、冷蔵用送風ファン42や静電霧化装置48などを制御する。湿度センサ57は、湿度の検出方式として、例えば抵抗式や静電容量式などがあるが、本実施形態では感湿膜に高分子材料を使用した静電容量式を採用している。
【0031】
ここで、湿度センサ57の構成と検出原理について、図3を参照して簡単に説明する。
湿度センサ57は、検出部58および図示しない回路部から構成されている。検出部58は、図3に示すように、基板581上に下側電極582が敷設され、この下側電極582上に感湿性高分子材を塗布して感湿膜583を形成され、さらに感湿膜583上に網目状の透湿性上側電極584が敷設されて構成されている。この構成において、透湿性上側電極584は、空気中に含まれる水蒸気を透過させる。すると、感湿膜583は、透湿性上側電極584を透過した水蒸気を吸着し、その吸着した水蒸気の量に伴って誘電率が変化する。この場合、感湿膜583の誘電率は、空気の相対湿度RHにほぼ比例して大きくなる。つまり、感湿膜583を挟んだ下側電極582および透湿性上側電極584の間の静電容量の変化から感湿膜583の誘電率を検出することで、空気の相対湿度を計測することができる。このように構成された静電容量式の湿度センサ57は、一般に、応答速度が速く、低温低湿度環境での検出精度がよいことが知られている。この場合、検出部58の静電容量の変化は、図示しない回路部の処理によって例えば電圧の変化として出力される。
【0032】
ちなみに、本実施形態の場合、冷蔵用冷却器30の冷却運転中において、冷蔵用冷却器30により冷却されて乾燥した冷気は、冷蔵室12内および野菜室13内へ供給される。そして、冷蔵室12内および野菜室13内は、冷気により乾燥されて湿度が低下する。そのため、特に野菜室13内は、貯蔵される野菜などの鮮度を保つために、湿度センサ57の湿度検出に基づいて調湿手段としての静電霧化装置48が制御されて高湿に保たれている。この場合、静電霧化装置48が適切に制御されないと、野菜室13内は過剰な湿度状態または乾燥状態となってしまい、かえって野菜などの鮮度を低下させてしまうおそれがある。そのため、湿度センサ57による湿度検出は高い信頼性が要求される。
【0033】
ここで、湿度センサ57による湿度検出の信頼性を低下させる第一の要因として、野菜などから生じる、例えばエチレンやアンモニアなどの有機性ガスがある。湿度センサ57は、検出部58の感湿膜583が高分子材料で構成されているため、この感湿膜583が有機性ガスの影響を受けて劣化すると、湿度検出の特性がずれてしまうおそれがある。
【0034】
また、第二の要因として、検出部58に生じる結露がある。通常、静電容量式の湿度センサ57は、検出部58が結露しても、その結露を取り除くことで再び湿度検出が可能な状態に復帰させることができる。しかし換言すれば、湿度センサ57は、検出部58に結露が生じた場合には、その結露を確実に解消しなければ再び湿度検出が可能な状態に復帰することができないということになる。つまり、湿度センサ57は、結露が生じて検出部58が結露水に覆われると、実際の空気中の湿度に関係なく、検出される相対湿度RHは100%の値に固定されてしまう。このような状態では、正確な湿度検出ができないため、適切な湿度管理が行えないという不具合が生じる。
【0035】
そこで、本実施形態においては、湿度センサ57の湿度検出を信頼性の高いものにして、より確実な湿度管理を行うために以下の動作が行われる。
即ち、制御装置35は、冷蔵用冷却器30の冷却運転中において、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御と、結露有りと判断した場合に湿度センサ57を復帰させる湿度センサ復帰制御とを行う。
【0036】
具体的には、図4に示すように、冷蔵用冷却器30の冷却運転が開始されると(スタート)、制御装置35は、ステップS1において、湿度センサ57により野菜室13内の相対湿度RHを検出する。次にステップS2において、ステップS1で検出した相対湿度RHが所定値、例えば100%より低い場合(ステップS2でYESの場合)は、ステップS3へ移行して結露無しが検出され、さらにステップS4へ移行して野菜室13内を調湿する調湿制御が行われる。本実施形態の場合、調湿制御として、ステップS1で検出した相対湿度RHに基づいて静電霧化装置48を駆動させて、野菜室13内にミストを供給して調湿する制御が行われる。
【0037】
ステップS2において、ステップS1で検出した相対湿度RHが100%となった場合(ステップS2でNOの場合)は、ステップS5へ移行する。ステップS5では、ステップS1で検出した湿度センサ57の検出結果が、所定値を超えているかを判断する。本実施形態の場合、ステップS1において検出した相対湿度RHが100%の値を示すと、制御装置35はタイマ351のカウントを開始する。そして、相対湿度RHが100%の値を示してから一定期間、例えば10分間維持されているかによって、所定値を超えているかを判断する。つまり、制御装置35は、湿度センサ57により検出される相対湿度RHが、最初に100%の値を示してから連続して100%の値が検出される期間が10分を経過したかによって、相対湿度RHが所定値を超えたかを判断する。
【0038】
ステップS5において、湿度センサ57により検出される相対湿度RHが100%となってから10分間経過していない場合(ステップS5でNOの場合)は、ステップS3へ移行して結露無しが検出される。ステップS5において、湿度センサ57により検出される相対湿度RHが100%となってから10分間経過した場合(ステップS5でYESの場合)は、ステップ6へ移行して結露有りが検出される。これは、冷却運転中において野菜室13内の相対湿度が減少傾向にある中で、湿度センサ57により検出された相対湿度RHが一定期間100%の値を示すことは、湿度センサ57に結露が生じて検出部58が結露水に覆われていると考えてよいからである。このように、ステップS1〜S3、S5、S6の処理によって、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御が実行される。
【0039】
ステップS6で湿度センサ57の結露が検出された後、ステップS7において湿度センサ復帰制御が実行される。湿度センサ復帰制御が実行されると、図5に示すように、まず、ステップS10において静電霧化装置48をオフし、静電霧化装置48から放出されるミストを停止して野菜室13内の湿度を低下させる。この場合、静電霧化装置48から放出されるミストの量を低減さて野菜室13内の湿度を低下させてもよい。この状態で、冷却運転を続けると、湿度センサ57は風路A上に設けられているため、静電霧化装置48からのミストが含まれていない、冷却されて乾燥した冷気が湿度センサ57に直接当たる。これにより、湿度センサ57に生じた結露は解消されていく。
【0040】
ステップS11において、湿度センサ57により相対湿度RHを検出し、その後ステップS12において、湿度センサ57により検出された相対湿度RHが所定値例えば80%以下になっているかを判断する。ここで、検出された相対湿度RHが80%以下となっていない場合(ステップS12でNOの場合)は、ステップS11とステップS12とを繰返して結露の解消を継続する。ステップS12で、相対湿度RHが80%以下となっている場合(ステップS12でYESの場合)は、ステップS13へ移行して結露解消が検出される。その後、ステップS14において静電霧化装置48をオンし、再び野菜室13内へミストを供給する。
【0041】
そして、図4に示すように、ステップS4において調湿制御が実行された後、またはステップS7において湿度センサ復帰制御が実行された後は、ステップS8へ移行して冷却運転を終了するかを判断する。この場合、例えば、冷蔵室12および野菜室13の冷却が十分に行われた場合や、冷凍室15内の温度が所定値よりも上昇して冷凍用冷却器31の冷却運転が必要となった場合などに冷却運転終了と判断し(ステップS8でYES)、冷却運転を終了する(エンド)。また、冷却運転を終了しない場合(ステップS8でNOの場合)は、ステップS1へ移行して上述の動作が繰り返される。
【0042】
上記した第一実施形態によれば次のような作用効果を得ることができる。
本実施形態の構成によれば、冷蔵庫本体10内において、冷蔵室12の背面部には静電霧化装置48が設けられている。静電霧化装置48は、有機性ガスを分解除去する有機性ガス分除去成分としてのヒドロキシラジカルを含んだミストを発生する。静電霧化装置48で発生したミストは、ミスト放出口461から冷蔵室12内へ放出され、連通口18を通って吹出し口56から野菜室13内へ吹き出される。このとき、野菜室13内に充満する野菜などから発生した有機性ガスは、吹出し口56から供給されたミストに含まれるヒドロキシラジカルによって分解除去される。そのため、有機性ガスが発生し易い野菜室13内に、有機性ガスの影響を受け易い湿度センサ57を設けた場合であっても、有機性ガスによる湿度センサ57の劣化を防ぐことができる。その結果、湿度検出の信頼性が向上する。
【0043】
また、湿度センサ57は、収納容器24の上方に配置されている。そして、静電霧化装置48で発生して吹出し口56から野菜室13内へ吹き出されたミストは、仕切壁17の下面つまり野菜室13の天井部下面に沿って、湿度センサ57と収納容器24の上側の開口との間を流れる。このため、ヒドロキシラジカルを含んだミストは、湿度センサ57に直接当たり、湿度センサ57の検出部58に付着した有機性ガスを効率よく除去することができる。さらに、ヒドロキシラジカルを含んだミストは収納容器24の開口上方を流れるため、収納容器24内の野菜などから発生して上昇する有機性ガスを、収納容器24の外部へ流れ出ることを効果的に防ぐことができる。そのため、湿度センサ57に触れる有機性ガスの量が減って有機性ガスによる湿度センサ57の劣化をより効果的に防ぐことができ、その結果、湿度検出の信頼性がより向上する。
【0044】
また、湿度センサ57は、感湿膜に高分子材料を使用した静電容量式であるため、応答速度が速く、低温低湿度環境での検出精度がよい。そのため、より信頼性の高い湿度検出をすることができる。
【0045】
さらに、湿度センサ57は、野菜室13内において、冷蔵用冷却器30により冷却された冷気が流れる風路A上に配設されている。このため、より効果的にヒドロキシラジカルを含んだミストを湿度センサ57に当てることができる。さらに、風路Aを流れる冷気によって湿度センサ57の結露を予防してより信頼性の高い湿度検出をすることができる。
【0046】
また、湿度センサ57は、野菜室13内における仕切壁17の下面つまり野菜室13の天井部下面に設けられている。このため、湿度センサ57の上方からゴミなどが落ちてきて、湿度センサ57の検出部58にこのゴミなどが付着することを極力防ぐことができる。さらに、野菜室13内に結露が生じた場合に、結露水が野菜室13の壁面などを伝って湿度センサ57の検出部58に付着することを極力防ぐことができる。これにより、検出部58にゴミや水滴などが付着して湿度センサ57が誤作動することを極力防ぎ、湿度センサ57による湿度検出の信頼性が向上する。
【0047】
そして、制御装置35は、調湿手段およびミスト放出手段となる静電霧化装置48を制御して野菜室13内を調湿する。さらに、制御装置35は、湿度センサ57により検出された相対湿度RHが所定値を超えた場合に、静電霧化装置48をオフしてミストの放出を停止または静電霧化装置48から放出するミストを低減して、野菜室13内の湿度を低減させる。これによれば、野菜室13内を効果的に高湿環境に保つことができるとともに、湿度センサ57が結露した場合にその結露を効果的に解消することができる。そのため、湿度センサ57が結露して正確な湿度検出ができなくなった場合でも、湿度センサ57を使用可能な状態に復帰することができる。その結果、より湿度センサ57による湿度検出の信頼性が向上する。
【0048】
(第二実施形態)
第二実施形態について、図6を参照して説明する。この第二実施形態は、湿度センサ59が、野菜室13の底部上面つまり断熱仕切壁25の上面に設けられている点が、上記第一実施形態と異なっている。この場合、湿度センサ59も、風路A上に設けられている。従って、この第二実施形態の構成によれば、第一実施形態と同様に、静電霧化装置48から発生されるミストにより有機性ガスの付着による湿度センサ59の劣化を極力防ぐとともに、湿度センサ59が結露して正確な湿度検出ができなくなった場合でも、湿度センサ59を使用可能な状態に復帰することができる。なお、湿度センサ59は、湿度センサ57と同じ構成である。
【0049】
(第三実施形態)
第三実施形態について、図7を参照して説明する。この第三実施形態は、湿度センサ60が、クリスパカバー54の上面つまり通気路55内において吹出し口56の延長線上に設けられている点が、上記各実施形態と異なっている。この第三実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、湿度センサ60は、吹出し口56の延長線上に配置されているため、吹出し口56から野菜室13内へ供給される冷気の湿度の変化をいち早く検出することができる。このため、湿度センサ60の検出結果に基づいて静電霧化装置48を制御することにより、野菜室13内へ供給する冷気の湿度状態の変化にいち早く対応することができ、従って、より効果的に野菜室13内を調湿することができる。
【0050】
(第四実施形態)
第四実施形態について、図8を参照して説明する。この第四実施形態は、湿度センサ61が、野菜室13を開閉する野菜室用断熱扉23寄りに位置して野菜室13の側壁面に設けられている点が、上記各実施形態と異なっている。この第四実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、野菜室用断熱扉23が開閉されて外気が流入した場合、野菜室用断熱扉23寄りに設けられた湿度センサ61によって外気の流入による湿度の変化をいち早く検出することができる。このため、湿度センサ61の検出結果に基づいて静電霧化装置48および冷却運転を制御することにより、外気の流入による湿度環境の変化にいち早く対応することができ、従って、より効果的に野菜室13内を調湿することができる。
【0051】
(第五実施形態)
第五実施形態について、図9〜図11を参照して説明する。この第五実施形態は、図9に示すように、静電霧化装置48とは別に、野菜室13の上側背部に超音波霧化装置62が設けられている点が、上記第一実施形態と異なっている。超音波霧化装置62は、冷蔵用冷却器室36内において冷蔵用冷却器30の下方に位置して設けられている。この超音波霧化装置62は、水を超音波振動させてミスト化し、そのミストを通気路55へ向けて放出する。これにより、超音波霧化装置62で発生したミストは、冷蔵室12を通らずに吹出し口56から直接野菜室13内へ供給される。
【0052】
図10に示すように、制御装置35は、湿度センサ57の検出結果を受けて、冷蔵用送風ファン42や静電霧化装置48、および超音波霧化装置62を制御する。制御装置35は、湿度センサ57の検出結果に基づいて超音波霧化装置62を駆動させて、野菜室13内を調湿する。この場合、超音波霧化装置62から発生されるミストは、ヒドロキシラジカルなどの有機性ガス除去成分を含んでいないため、単に野菜室13内を加湿する加湿手段および野菜室13内へミストを放出するミスト放出手段として機能する。
【0053】
このような構成において、制御装置35は、上記第一実施形態と同様に、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御と、結露有りと判断した場合に湿度センサ57を復帰させる湿度センサ復帰制御を行う。
具体的には、図4においてSステップS1〜S3、S5、S6の処理によって、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御が実行される。そして、第一実施形態と同様に、ステップS3において結露無しが検出された後、ステップS4においての調湿制御が実行される。本実施形態の場合、調湿制御として、制御装置35は、ステップS1で検出した相対湿度RHに基づいて超音波霧化装置62を駆動および停止させて、野菜室13内へ供給するミストの量を調節して野菜室13内を調湿する。この場合、ステップS7における湿度センサ復帰制御は、図11に示すように、ステップS10(図5参照)に代えてステップS20を実行し、ステップS14(図5参照)に代えてステップS21を実行する点が、上記第一実施形態と異なっている。
【0054】
本実施形態では、図11に示すように、ステップS20において、超音波霧化装置62をオフし、超音波霧化装置62から放出されるミストを停止して野菜室13内の湿度を低下させる。この場合、超音波霧化装置62から放出されるミストの量を低減して野菜室13内の湿度を低下させてもよい。この状態で冷却運転を続けると、上記第一実施形態と同様に、湿度センサ57は風路A上に設けられているため、湿度センサ57には冷却されて乾燥した冷気が当たる。これにより、湿度センサ57に生じた結露は解消されていく。
【0055】
このような第五実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、静電霧化装置48とは別に超音波霧化装置62が設けられているため、湿度センサ復帰制御が実行されている間であっても、静電霧化装置48を駆動して有機性ガス除去成分が含まれるミストを野菜室13内へ供給することができる。そのため、より効果的に、有機性ガスによる湿度センサ57の劣化を予防することができる。
【0056】
(第六実施形態)
第六実施形態について、図12〜図14を参照して説明する。この第六実施形態は、図12に示すように、ダンパ63が設けられている点が、上記第一実施形態と異なっている。ダンパ63は、仕切壁17の後部に形成された連通口18において、回動可能に設けられている。制御装置35は、図13に示すように、湿度センサ57の検出結果を受けて冷蔵用送風ファン42や静電霧化装置48とともに、ダンパ63を制御する。制御装置35は、ダンパ63を回動させて、連通口18の開口量を増減することによって、吹出し口56から吹き出される冷気の量を増減する。この場合、吹出し口56から野菜室13内へ吹き出される冷気の量は、ダンパ63を開放すると増大し、閉鎖すると減少する。なお、ダンパ63は、吹出し口56に設けて、該吹出し口56の開口量を増減する構成としてもよい。
【0057】
このような構成において、制御装置35は、上記第一実施形態と同様に、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御と、結露有りと判断した場合に湿度センサ57を復帰させる湿度センサ復帰制御を行う。具体的には、図4のステップS7に示す湿度センサ復帰制御は、図14に示すように、ステップS10(図5参照)に代えてステップS30を実行し、ステップS14(図5参照)に代えてステップS31を実行する点が、上記第一実施形態と異なっている。
【0058】
本実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、図14に示すように、ステップS30においてダンパ63を開放すると、吹出し口56から吹き出される冷気の量が増大し、湿度センサ57に当たる冷気の量も増大する。これにより、湿度センサ57の結露がより効果的に解消される。なお、本実施形態において、図4に示すステップS4の調湿制御として、湿度センサ57の検出結果に基づいて、静電霧化装置48およびダンパ63を駆動すればよい。
【0059】
(第七実施形態)
第七実施形態について、図15〜図17を参照して説明する。この第七実施形態は、図15に示すように、第一実施形態の構成に加えて、仕切壁17の下側面つまり野菜室13の天井部下面に小型送風ファン64が設けられている点が、上記第一実施形態とは異なる。小型送風ファン64は、湿度センサ57に対して風路Aの下流側において、湿度センサ57に隣接して設けられている。制御装置35は、図16に示すように、湿度センサ57の検出結果を受けて冷蔵用送風ファン42や静電霧化装置48とともに、小型送風ファン64を制御する。制御装置35は、小型送風ファン64を駆動させて、湿度センサ57に風を積極的に当てることで、湿度センサ57の結露解消を図る。
【0060】
このような構成において、制御装置35は、上記第一実施形態と同様に、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御と、結露有りと判断した場合に湿度センサ57を復帰させる湿度センサ復帰制御を行う。具体的には、図4のステップS7に示す湿度センサ復帰制御は、図17に示すように、ステップS10(図5参照)に代えてステップS40を実行し、ステップS14(図5参照)に代えてステップS41を実行する点が、上記第一実施形態と異なっている。
【0061】
本実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、図17に示すように、ステップS40において小型送風ファン64が駆動されると、湿度センサ57に対して風が積極的に当たり、湿度センサ57の結露が効果的に解消される。
【0062】
以上のように、本実施形態の冷蔵庫は、湿度センサと、有機性ガス除去手段を備えている。湿度センサは、貯蔵室内に設けられてこの貯蔵室内の湿度を検出する。有機性ガス除去手段は、冷蔵庫本体に設けられて、貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を貯蔵室内へ放出する。この構成によれば、有機性ガス除去手段から放出された有機性ガス除去成分によって、貯蔵室内の有機性ガスが除去される。そのため、貯蔵室内の有機性ガスが湿度センサを劣化させることを極力防ぐことができ、その結果、湿度センサによる貯蔵室内の湿度検出の信頼性向上が図られる。
【0063】
なお、上記各実施形態において、湿度センサは野菜室13内に設ける構成としたが、これに限らず、冷蔵室12内に設ける構成としてもよい。
また、上記各実施形態において、湿度センサは静電容量式のものに限られない。例えば、高分子材料からなる感湿膜を一対の櫛型電極で挟んで構成し、感湿膜の吸湿によって変化する櫛型電極間の抵抗により相対湿度RHを検出する抵抗式のものとしてもよい。
さらに、上記各実施形態においては、冷蔵用冷却器30および冷凍用冷却器31の二台の冷却器を備える構成としたが、これに限らず、例えば一台の冷却器で冷蔵温度帯の貯蔵室および冷凍温度帯の貯蔵室を冷却する構成としてもよい。また、冷蔵温度帯の貯蔵室のみを備える構成としてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
図面中、10は冷蔵庫本体、12は冷蔵室(貯蔵室)、13は野菜室(貯蔵室)、22は冷蔵室用断熱扉(扉)、23は野菜室用断熱扉(扉)、24は収納容器、30は冷蔵用冷却器(冷却器)、35は制御装置(制御手段)、42は冷蔵用送風ファン(送風機)、48は静電霧化装置(有機性ガス除去手段、調湿手段、ミスト放出手段)、56は吹出し口、57、59〜61は湿度センサ、62は超音波霧化装置(ミスト放出手段)、63はダンパ、Aは風路を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に冷蔵庫は、貯蔵物の鮮度を保つために、貯蔵室内をその貯蔵物に適した一定の湿度環境に維持することが望ましい。しかし、貯蔵室の扉の開閉や、貯蔵物の種類、およびその量などによって、貯蔵室内の湿度環境は随時変化する。そのため、近年、このような湿度環境の変化を検出して適切な湿度調整を行うために、湿度センサを備える技術が考えられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−90582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、環境変化の大きい貯蔵室内において、正確な湿度を検出することは難しい。例えば、貯蔵室に貯蔵される青果物つまり野菜や果物などは、呼吸や熟成、腐敗などによって有機性のガスを発生することがある。このような有機性ガスは、湿度センサに悪影響をおよぼして湿度センサの特性を変化させることがある。このような場合、湿度センサは正確な湿度を検出することができず、湿度検出の信頼性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、貯蔵室内の湿度検出の信頼性向上を図った冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の冷蔵庫は、冷気の吹出し口が形成された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を冷却する冷却器と、前記冷却器により冷却された冷気を前記吹出し口から前記貯蔵室へ供給する送風機と、前記貯蔵室内に設けられて該貯蔵室内の湿度を検出する湿度センサと、前記冷蔵庫本体に設けられて、前記貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を放出する有機性ガス除去手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一実施形態における冷蔵庫全体の概略構成を示す縦断側面図
【図2】湿度センサの検出に基づいて制御される制御系を示すブロック図
【図3】湿度センサの検出部の構成を示す分解斜視図
【図4】制御装置による冷却運転中の制御内容を示すフローチャート
【図5】制御装置による湿度センサ復帰制御の制御内容を示すフローチャート
【図6】第二実施形態における野菜室周辺の概略構成を示す縦断側面図
【図7】第三実施形態における図6相当図
【図8】第四実施形態における図6相当図
【図9】第五実施形態における図6相当図
【図10】第五実施形態における図2相当図
【図11】第五実施形態における図5相当図
【図12】第六実施形態における図6相当図
【図13】第六実施形態における図2相当図
【図14】第六実施形態における図5相当図
【図15】第七実施形態における図6相当図
【図16】第七実施形態における図2相当図
【図17】第七実施形態における図5相当図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫を、図面を参照して説明する。なお、各実施形態の説明において、冷蔵庫本体10の前後は、図1の左側を前方とし右側を後方する。また、前方から見た冷蔵庫本体10に対して、左右方向を定義している。そして、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第一実施形態)
まず、第一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1に示すように、冷蔵庫本体10は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体11内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。断熱箱体11は、鋼板製の外箱111および合成樹脂製の内箱112の間に断熱材113を設けて構成されている。断熱箱体11内には、貯蔵室として上段から順に冷蔵室12、野菜室13が設けられ、その下方に製氷室14および図示しない小冷凍室が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室15が設けられている。製氷室14内には、自動製氷装置16が設けられている。
【0010】
冷蔵室12および野菜室13は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、それらの間は、プラスチック製の仕切壁17により上下に仕切られている。この仕切壁17は、後部の一部に連通口18が形成されており、これにより冷蔵室12および野菜室13が連通している。このため、冷蔵室12内の冷気は連通口18から野菜室13へ供給される。通常、冷蔵室12の維持温度は1〜5℃に設定されており、野菜室13の維持温度はそれよりやや高い2〜6℃に設定されている。
【0011】
冷蔵室12内は、複数の棚板19により上下に複数段に区切られている。詳細は図示しないが、冷蔵室12内の最下部、つまり仕切壁17の上部において、右側にはチルド室20が設けられている。チルド室20には、引出し式のチルド容器21が設けられている。そして、チルド室20の左側には、図示しない小物ケースや、自動製氷装置16に供給する水を貯留する貯水タンクなどが設けられている。冷蔵室12の前面部にはヒンジ開閉式の冷蔵室用断熱扉22が設けられ、野菜室13の前面には引出し式の野菜室用断熱扉23が設けられている。野菜室用断熱扉23の背面部には、青果物つまり野菜や果物などを収納する収納容器24が取付けられている。収納容器24は、下部収納容器241および上部収納容器242から構成され、これら下部収納容器241および上部収納容器242は、上側が開口している。
【0012】
製氷室14、冷凍室15、および図示しない小冷凍室は、いずれも冷凍温度帯、例えば−10〜−20℃のマイナス温度帯の貯蔵室であり、野菜室13と、製氷室14および小冷凍室との間は断熱仕切壁25により上下に仕切られている。製氷室14の前面部には、氷用容器26が連結された引出し式の製氷室用断熱扉27が設けられている。また、冷凍室15の前面部にも、貯蔵容器28が連結された引出し式の冷凍室用断熱扉29が設けられている。そして、詳細は図示しないが、小冷凍室の前面部にも貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。
【0013】
冷蔵庫本体10には、詳しくは図示しないが、冷蔵用冷却器30および冷凍用冷却器31を備える冷凍サイクルが組込まれている。冷蔵用冷却器30は、冷蔵庫本体10の後部、具体的には冷蔵室12の下側後部に設けられており、冷蔵室12および野菜室13を冷却するための冷気を生成する。冷凍用冷却器31は、冷蔵庫本体10の後部であって冷蔵用冷却器30の下方、具体的には冷凍室15の後部に設けられており、製氷室14、小冷凍室および冷凍室15を冷却するための冷気を生成する。
【0014】
冷蔵庫本体10の背面下端部には、機械室32が形成されている。機械室32内には、上述の冷凍サイクルを構成する圧縮機33、図示しない凝縮器、これらを冷却する図示しない冷却ファン、および除霜水蒸発皿34などが設けられている。そして、冷蔵庫本体10の背面下部寄り部分には制御装置35が設けられている。制御装置35は、マイコンやタイマ351(図2参照)を有して構成され、冷凍サイクルを含めた全体の制御を行う。
【0015】
冷蔵庫本体10内における冷凍室15の後部には、冷凍用冷却器室36が形成されている。冷凍用冷却器室36内において、下部には冷凍用冷却器31や図示しない除霜用ヒータなどが配設され、上部には冷凍用送風ファン37が配設されている。冷凍用冷却器室36の前面の上下方向の中間部には冷凍用冷気供給口38が形成されており、下端部には戻り口39が形成されている。
【0016】
この構成において、冷凍用送風ファン37が駆動されると、冷凍用冷却器31により生成された冷気は、冷凍用冷気供給口38から製氷室14、図示しない小冷凍室、および冷凍室15内へ供給された後、戻り口39から冷凍用冷却器室36内に戻されるといった循環を行う。これにより、製氷室14、図示しない小冷凍室、および冷凍室15が冷却される。なお、冷凍用冷却器31の下方には、冷凍用冷却器31の除霜時の除霜水を受ける冷凍側排水樋40が設けられている。冷凍側排水樋40が受けた除霜水は機械室32に設けられた除霜水蒸発皿34へ導かれて蒸発する。
【0017】
冷蔵庫本体10内において、冷蔵室12および野菜室13の後部には、冷蔵用冷却器30や、冷蔵用冷却器30により生成された冷気を冷蔵室12および野菜室13内へ供給するための冷気供給ダクト41、そして冷気を循環させるための冷蔵用送風ファン42などが設けられている。
【0018】
具体的には、冷蔵庫本体10における冷蔵室12の最下段の後方、つまりチルド室20の後方には、冷蔵用冷却器室43が形成されている。冷蔵用冷却器30は、この冷蔵用冷却器室43内に配設されている。冷気供給ダクト41は、冷蔵室12の後部であってチルド室20の上方に設けられている。この冷気供給ダクト41は、下端部が冷蔵用冷却器室43に接続されて冷蔵室12の上端部まで延びている。冷気供給ダクト41の前部には、冷蔵室12内に開口する冷蔵用冷気供給口44が複数個設けられている。冷蔵用冷却器室43の前部壁45は、冷気供給ダクト41よりも前方に膨出しており、前部壁45の裏側には断熱性を有する断熱材451が設けられている。前部壁45には、冷蔵用冷却器30の上方に位置して一部が開口した前部連通口452が形成されている。
【0019】
冷蔵用冷却器室43の前側には、ミスト用ダクト部材46が前部壁45に対して脱着可能に設けられている。ミスト用ダクト部材46および冷蔵用冷却器室43の前部壁45の間にはミスト用ダクト47が形成されている。このミスト用ダクト部材46にはチルド容器21の上方に位置してミスト放出口461が形成されていて、これにより、冷蔵用冷却器室43とミスト用ダクト47と冷蔵室12とが連通している。つまり、冷蔵用冷却器室43およびミスト用ダクト47は、前部壁45の前部連通口452によって連通し、ミスト用ダクト47および冷蔵室12は、ミスト用ダクト部材46のミスト放出口461によって連通している。
【0020】
ミスト用ダクト47内には、ミストを発生させる静電霧化装置48が収容されている。静電霧化装置48は、ミスト放出部49、貯水容器50、および図示しない電源装置などから構成されている。ミスト放出部49は、給水部491と、この給水部の先端部に設けられた複数本のミスト放出ピン492(図1には一本のみ図示)などから構成されている。詳細は図示しないが、給水部491の内部には、例えば繊維を絡ませてフェルト状にした、給水性および保水性に優れる保水材が収容されている。
【0021】
ミスト放出ピン492は、例えば、ポリエステル繊維および導電性物質としてのカーボン繊維を混ぜて撚り合せた材料を、ピン状つまり棒状にして構成されている。このミスト放出ピン492は、保水性および水の吸い上げ特性を有するとともに導電性を有し、また、白金ナノコロイドが担持されている。ミスト放出ピン492は、基端部が給水部491内部の保水材に接触しており、先端部がミスト用ダクト47内に露出している。貯水容器50は、冷蔵用冷却器30から滴下する除霜水の一部を受けてこれを貯留する。そして、貯水容器50に貯留された除霜水は、ミスト放出部49の給水部491、詳しくは内部の保水材の毛細管現象によって吸い上げられて、ミスト放出ピン492へ供給される。
【0022】
静電霧化装置48を構成する電源装置は、詳細は図示しないが、高周波の交流電源を直流に変換する高圧トランスを含む整流回路や、昇圧回路などから構成されている。この電源装置は、例えば−6kVの負の高電圧を発生させて、ミスト放出部49内部の保水材に印加する。すると、ミスト放出ピン492は、保水材を介して負の高電圧が印加され、これによりミスト放出ピン492が負に帯電する。このとき、ミスト放出ピン492の先端部には電荷が集中し、ミスト放出ピン492の先端部に含まれる水に表面張力を超えるエネルギーが与えられる。これにより、ミスト放出ピン492の先端部では静電霧化現象が生じて微細なミストとして放出される。なお、冷蔵庫本体10の外箱は、図示しないアース線などを介して接地されている。
【0023】
静電霧化現象によってミスト放出ピン492からミスト状に放出された水粒子は負に帯電しており、そのエネルギーによって生成されたヒドロキシラジカルを含んでいる。ヒドロキシラジカルは、強い酸化作用を有しているため、一般に除菌成分や脱臭成分として作用することが知られている。さらに、このヒドロキシラジカルは、例えば野菜や果物から発せられる、例えばエチレンやアンモニアなどの有機性ガスを分解除去する。そのため、静電霧化装置48から放出されるヒドロキシラジカルを含んだミストは、単にその水粒子が冷蔵室12および野菜室13を加湿する加湿成分として作用するだけでなく、冷蔵室12や野菜室13などの貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分としても作用する。このため、本実施形態において静電霧化装置48は、冷蔵室12および野菜室13を調湿する調湿手段や、冷蔵室12および野菜室13にミストを放出するミスト発生手段として機能し、これに加え、冷蔵室12や野菜室13内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を放出する有機性ガス除去手段としても機能する。
【0024】
冷蔵用冷却器室43内の下部には、冷蔵用冷却器30の下方に位置して、冷蔵用冷却器30からの除霜水を受けて庫外へ排出する冷蔵側排水樋51が設けられている。冷蔵側排水樋51に受けられた除霜水も、冷凍側排水樋40で受けられた除霜水と同様に、機械室32内に設けられた除霜水蒸発皿34へ導かれて蒸発する。
【0025】
野菜室13の後方には、冷蔵側排水樋51の下方に位置して冷蔵用送風ファン42が配設されているとともに、冷蔵用送風ファン42を覆う送風ダクト部材52が設けられている。送風ダクト部材52と、断熱箱体11の内箱112との間には送風ダクト53が形成され、冷蔵用送風ファン42は送風ダクト53内に配設されている。送風ダクト53は、上端部が冷蔵側排水樋51をう回して冷蔵用冷却器室43に接続されている。また、送風ダクト部材52は、下部に開口からなる吸込み口521が形成されており、これにより送風ダクト53は野菜室13下部へ連通している。
【0026】
冷蔵室12の底部を構成する仕切壁17の後部下方には、野菜室13内においてクリスパカバー54が設けられている。このクリスパカバー54は、野菜室13の上部、つまり収納容器24と仕切壁17との間に位置して仕切壁17に形成された連通口18の下方を覆っている。クリスパカバー54は、例えばプラスチックで構成されている。そして、クリスパカバー54と仕切壁17の下面との間において通気路55が形成されている。通気路55は、前端部つまり野菜室用断熱扉23側に、野菜室13へ連通する吹出し口56が形成されている。
【0027】
この構成において、冷蔵用送風ファン42は、冷蔵用冷却器30により冷却された冷気を吹出し口56から野菜室13へ供給する。即ち、冷蔵用送風ファン42が駆動されると、まず、図1の白抜き矢印で示すように、冷蔵用送風ファン42の吸込み作用によって野菜室13内の空気が吸込み口521から送風ダクト53内へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、冷蔵用冷却器室43内へ送風されて冷蔵用冷却器30によって冷却される。そして、この冷気は、冷気供給ダクト41を通って複数の冷蔵用冷気供給口44から冷蔵室12内へ吹き出されるとともに、前部連通口452からミスト用ダクト47内を通って静電霧化装置48で発生するミストを含ませて、ミスト放出口461からチルド室20へ吹き出される。ミスト放出口461からチルド室20へ吹き出された冷気は、ミストを含んで比重が大きくなっているため、チルド容器21内へ流入するとともに、チルド容器21の後面とミスト用ダクト部材46との間を下降する。
【0028】
複数の冷蔵用冷気供給口44から冷蔵室12へ吹き出された冷気は、冷蔵室12内およびチルド室20内を冷却しながら下降する。その後、ミスト放出口461から吹き出されるミストを含んだ冷気と合流し、冷蔵室12の底部となる仕切壁17に形成された連通口18を通って通気路55に入る。そして、通気路55に入った冷気は、クリスパカバー54によって流れ方向が変えられて、吹出し口56から仕切壁17の下面に沿って前方へ吹出される。吹出し口56から野菜室13内へ供給された冷気は、仕切壁17の下面に沿って拡散した後、収納容器24の外周面に沿って下降し、吸込み口521から送風ダクト53内へ吸い込まれる。
【0029】
つまり、吹出し口56から野菜室13内へ吹き出された冷気は、図1の黒矢印で示すように、仕切壁17の下面に沿って、仕切壁17の下面と収納容器24との間を前方および左右方向へ拡散しながら流れる。そして、前方へ流れた冷気は、野菜室用断熱扉23と収納容器24の前面との間を下降し、左右方向へ流れた冷気は、野菜室13の左右側壁と収納容器24の左右側面との間を下降する。野菜室13の下部に達した冷気は、その後、断熱仕切壁25の上面と収納容器24の下面との間を後方へ向かって流れ、吸込み口521から送風ダクト53内へ吸い込まれる。このとき野菜室13内には、吹出し口56から供給された冷気が流れる、黒矢印で示す風路Aが形成されている。このように、冷蔵用冷却器30によって冷却された冷気が、冷蔵室12、野菜室13の順に供給されることによって、これら冷蔵室12および野菜室13が冷却される。
【0030】
仕切壁17の野菜室13側の下面、即ち野菜室13の天井部下面には、風路A上において湿度センサ57が設けられている。湿度センサ57は、野菜室13内の相対湿度RHを検出する。制御装置35は、図2に示すように、湿度センサ57の検出結果を受けて、冷蔵用送風ファン42や静電霧化装置48などを制御する。湿度センサ57は、湿度の検出方式として、例えば抵抗式や静電容量式などがあるが、本実施形態では感湿膜に高分子材料を使用した静電容量式を採用している。
【0031】
ここで、湿度センサ57の構成と検出原理について、図3を参照して簡単に説明する。
湿度センサ57は、検出部58および図示しない回路部から構成されている。検出部58は、図3に示すように、基板581上に下側電極582が敷設され、この下側電極582上に感湿性高分子材を塗布して感湿膜583を形成され、さらに感湿膜583上に網目状の透湿性上側電極584が敷設されて構成されている。この構成において、透湿性上側電極584は、空気中に含まれる水蒸気を透過させる。すると、感湿膜583は、透湿性上側電極584を透過した水蒸気を吸着し、その吸着した水蒸気の量に伴って誘電率が変化する。この場合、感湿膜583の誘電率は、空気の相対湿度RHにほぼ比例して大きくなる。つまり、感湿膜583を挟んだ下側電極582および透湿性上側電極584の間の静電容量の変化から感湿膜583の誘電率を検出することで、空気の相対湿度を計測することができる。このように構成された静電容量式の湿度センサ57は、一般に、応答速度が速く、低温低湿度環境での検出精度がよいことが知られている。この場合、検出部58の静電容量の変化は、図示しない回路部の処理によって例えば電圧の変化として出力される。
【0032】
ちなみに、本実施形態の場合、冷蔵用冷却器30の冷却運転中において、冷蔵用冷却器30により冷却されて乾燥した冷気は、冷蔵室12内および野菜室13内へ供給される。そして、冷蔵室12内および野菜室13内は、冷気により乾燥されて湿度が低下する。そのため、特に野菜室13内は、貯蔵される野菜などの鮮度を保つために、湿度センサ57の湿度検出に基づいて調湿手段としての静電霧化装置48が制御されて高湿に保たれている。この場合、静電霧化装置48が適切に制御されないと、野菜室13内は過剰な湿度状態または乾燥状態となってしまい、かえって野菜などの鮮度を低下させてしまうおそれがある。そのため、湿度センサ57による湿度検出は高い信頼性が要求される。
【0033】
ここで、湿度センサ57による湿度検出の信頼性を低下させる第一の要因として、野菜などから生じる、例えばエチレンやアンモニアなどの有機性ガスがある。湿度センサ57は、検出部58の感湿膜583が高分子材料で構成されているため、この感湿膜583が有機性ガスの影響を受けて劣化すると、湿度検出の特性がずれてしまうおそれがある。
【0034】
また、第二の要因として、検出部58に生じる結露がある。通常、静電容量式の湿度センサ57は、検出部58が結露しても、その結露を取り除くことで再び湿度検出が可能な状態に復帰させることができる。しかし換言すれば、湿度センサ57は、検出部58に結露が生じた場合には、その結露を確実に解消しなければ再び湿度検出が可能な状態に復帰することができないということになる。つまり、湿度センサ57は、結露が生じて検出部58が結露水に覆われると、実際の空気中の湿度に関係なく、検出される相対湿度RHは100%の値に固定されてしまう。このような状態では、正確な湿度検出ができないため、適切な湿度管理が行えないという不具合が生じる。
【0035】
そこで、本実施形態においては、湿度センサ57の湿度検出を信頼性の高いものにして、より確実な湿度管理を行うために以下の動作が行われる。
即ち、制御装置35は、冷蔵用冷却器30の冷却運転中において、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御と、結露有りと判断した場合に湿度センサ57を復帰させる湿度センサ復帰制御とを行う。
【0036】
具体的には、図4に示すように、冷蔵用冷却器30の冷却運転が開始されると(スタート)、制御装置35は、ステップS1において、湿度センサ57により野菜室13内の相対湿度RHを検出する。次にステップS2において、ステップS1で検出した相対湿度RHが所定値、例えば100%より低い場合(ステップS2でYESの場合)は、ステップS3へ移行して結露無しが検出され、さらにステップS4へ移行して野菜室13内を調湿する調湿制御が行われる。本実施形態の場合、調湿制御として、ステップS1で検出した相対湿度RHに基づいて静電霧化装置48を駆動させて、野菜室13内にミストを供給して調湿する制御が行われる。
【0037】
ステップS2において、ステップS1で検出した相対湿度RHが100%となった場合(ステップS2でNOの場合)は、ステップS5へ移行する。ステップS5では、ステップS1で検出した湿度センサ57の検出結果が、所定値を超えているかを判断する。本実施形態の場合、ステップS1において検出した相対湿度RHが100%の値を示すと、制御装置35はタイマ351のカウントを開始する。そして、相対湿度RHが100%の値を示してから一定期間、例えば10分間維持されているかによって、所定値を超えているかを判断する。つまり、制御装置35は、湿度センサ57により検出される相対湿度RHが、最初に100%の値を示してから連続して100%の値が検出される期間が10分を経過したかによって、相対湿度RHが所定値を超えたかを判断する。
【0038】
ステップS5において、湿度センサ57により検出される相対湿度RHが100%となってから10分間経過していない場合(ステップS5でNOの場合)は、ステップS3へ移行して結露無しが検出される。ステップS5において、湿度センサ57により検出される相対湿度RHが100%となってから10分間経過した場合(ステップS5でYESの場合)は、ステップ6へ移行して結露有りが検出される。これは、冷却運転中において野菜室13内の相対湿度が減少傾向にある中で、湿度センサ57により検出された相対湿度RHが一定期間100%の値を示すことは、湿度センサ57に結露が生じて検出部58が結露水に覆われていると考えてよいからである。このように、ステップS1〜S3、S5、S6の処理によって、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御が実行される。
【0039】
ステップS6で湿度センサ57の結露が検出された後、ステップS7において湿度センサ復帰制御が実行される。湿度センサ復帰制御が実行されると、図5に示すように、まず、ステップS10において静電霧化装置48をオフし、静電霧化装置48から放出されるミストを停止して野菜室13内の湿度を低下させる。この場合、静電霧化装置48から放出されるミストの量を低減さて野菜室13内の湿度を低下させてもよい。この状態で、冷却運転を続けると、湿度センサ57は風路A上に設けられているため、静電霧化装置48からのミストが含まれていない、冷却されて乾燥した冷気が湿度センサ57に直接当たる。これにより、湿度センサ57に生じた結露は解消されていく。
【0040】
ステップS11において、湿度センサ57により相対湿度RHを検出し、その後ステップS12において、湿度センサ57により検出された相対湿度RHが所定値例えば80%以下になっているかを判断する。ここで、検出された相対湿度RHが80%以下となっていない場合(ステップS12でNOの場合)は、ステップS11とステップS12とを繰返して結露の解消を継続する。ステップS12で、相対湿度RHが80%以下となっている場合(ステップS12でYESの場合)は、ステップS13へ移行して結露解消が検出される。その後、ステップS14において静電霧化装置48をオンし、再び野菜室13内へミストを供給する。
【0041】
そして、図4に示すように、ステップS4において調湿制御が実行された後、またはステップS7において湿度センサ復帰制御が実行された後は、ステップS8へ移行して冷却運転を終了するかを判断する。この場合、例えば、冷蔵室12および野菜室13の冷却が十分に行われた場合や、冷凍室15内の温度が所定値よりも上昇して冷凍用冷却器31の冷却運転が必要となった場合などに冷却運転終了と判断し(ステップS8でYES)、冷却運転を終了する(エンド)。また、冷却運転を終了しない場合(ステップS8でNOの場合)は、ステップS1へ移行して上述の動作が繰り返される。
【0042】
上記した第一実施形態によれば次のような作用効果を得ることができる。
本実施形態の構成によれば、冷蔵庫本体10内において、冷蔵室12の背面部には静電霧化装置48が設けられている。静電霧化装置48は、有機性ガスを分解除去する有機性ガス分除去成分としてのヒドロキシラジカルを含んだミストを発生する。静電霧化装置48で発生したミストは、ミスト放出口461から冷蔵室12内へ放出され、連通口18を通って吹出し口56から野菜室13内へ吹き出される。このとき、野菜室13内に充満する野菜などから発生した有機性ガスは、吹出し口56から供給されたミストに含まれるヒドロキシラジカルによって分解除去される。そのため、有機性ガスが発生し易い野菜室13内に、有機性ガスの影響を受け易い湿度センサ57を設けた場合であっても、有機性ガスによる湿度センサ57の劣化を防ぐことができる。その結果、湿度検出の信頼性が向上する。
【0043】
また、湿度センサ57は、収納容器24の上方に配置されている。そして、静電霧化装置48で発生して吹出し口56から野菜室13内へ吹き出されたミストは、仕切壁17の下面つまり野菜室13の天井部下面に沿って、湿度センサ57と収納容器24の上側の開口との間を流れる。このため、ヒドロキシラジカルを含んだミストは、湿度センサ57に直接当たり、湿度センサ57の検出部58に付着した有機性ガスを効率よく除去することができる。さらに、ヒドロキシラジカルを含んだミストは収納容器24の開口上方を流れるため、収納容器24内の野菜などから発生して上昇する有機性ガスを、収納容器24の外部へ流れ出ることを効果的に防ぐことができる。そのため、湿度センサ57に触れる有機性ガスの量が減って有機性ガスによる湿度センサ57の劣化をより効果的に防ぐことができ、その結果、湿度検出の信頼性がより向上する。
【0044】
また、湿度センサ57は、感湿膜に高分子材料を使用した静電容量式であるため、応答速度が速く、低温低湿度環境での検出精度がよい。そのため、より信頼性の高い湿度検出をすることができる。
【0045】
さらに、湿度センサ57は、野菜室13内において、冷蔵用冷却器30により冷却された冷気が流れる風路A上に配設されている。このため、より効果的にヒドロキシラジカルを含んだミストを湿度センサ57に当てることができる。さらに、風路Aを流れる冷気によって湿度センサ57の結露を予防してより信頼性の高い湿度検出をすることができる。
【0046】
また、湿度センサ57は、野菜室13内における仕切壁17の下面つまり野菜室13の天井部下面に設けられている。このため、湿度センサ57の上方からゴミなどが落ちてきて、湿度センサ57の検出部58にこのゴミなどが付着することを極力防ぐことができる。さらに、野菜室13内に結露が生じた場合に、結露水が野菜室13の壁面などを伝って湿度センサ57の検出部58に付着することを極力防ぐことができる。これにより、検出部58にゴミや水滴などが付着して湿度センサ57が誤作動することを極力防ぎ、湿度センサ57による湿度検出の信頼性が向上する。
【0047】
そして、制御装置35は、調湿手段およびミスト放出手段となる静電霧化装置48を制御して野菜室13内を調湿する。さらに、制御装置35は、湿度センサ57により検出された相対湿度RHが所定値を超えた場合に、静電霧化装置48をオフしてミストの放出を停止または静電霧化装置48から放出するミストを低減して、野菜室13内の湿度を低減させる。これによれば、野菜室13内を効果的に高湿環境に保つことができるとともに、湿度センサ57が結露した場合にその結露を効果的に解消することができる。そのため、湿度センサ57が結露して正確な湿度検出ができなくなった場合でも、湿度センサ57を使用可能な状態に復帰することができる。その結果、より湿度センサ57による湿度検出の信頼性が向上する。
【0048】
(第二実施形態)
第二実施形態について、図6を参照して説明する。この第二実施形態は、湿度センサ59が、野菜室13の底部上面つまり断熱仕切壁25の上面に設けられている点が、上記第一実施形態と異なっている。この場合、湿度センサ59も、風路A上に設けられている。従って、この第二実施形態の構成によれば、第一実施形態と同様に、静電霧化装置48から発生されるミストにより有機性ガスの付着による湿度センサ59の劣化を極力防ぐとともに、湿度センサ59が結露して正確な湿度検出ができなくなった場合でも、湿度センサ59を使用可能な状態に復帰することができる。なお、湿度センサ59は、湿度センサ57と同じ構成である。
【0049】
(第三実施形態)
第三実施形態について、図7を参照して説明する。この第三実施形態は、湿度センサ60が、クリスパカバー54の上面つまり通気路55内において吹出し口56の延長線上に設けられている点が、上記各実施形態と異なっている。この第三実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、湿度センサ60は、吹出し口56の延長線上に配置されているため、吹出し口56から野菜室13内へ供給される冷気の湿度の変化をいち早く検出することができる。このため、湿度センサ60の検出結果に基づいて静電霧化装置48を制御することにより、野菜室13内へ供給する冷気の湿度状態の変化にいち早く対応することができ、従って、より効果的に野菜室13内を調湿することができる。
【0050】
(第四実施形態)
第四実施形態について、図8を参照して説明する。この第四実施形態は、湿度センサ61が、野菜室13を開閉する野菜室用断熱扉23寄りに位置して野菜室13の側壁面に設けられている点が、上記各実施形態と異なっている。この第四実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、野菜室用断熱扉23が開閉されて外気が流入した場合、野菜室用断熱扉23寄りに設けられた湿度センサ61によって外気の流入による湿度の変化をいち早く検出することができる。このため、湿度センサ61の検出結果に基づいて静電霧化装置48および冷却運転を制御することにより、外気の流入による湿度環境の変化にいち早く対応することができ、従って、より効果的に野菜室13内を調湿することができる。
【0051】
(第五実施形態)
第五実施形態について、図9〜図11を参照して説明する。この第五実施形態は、図9に示すように、静電霧化装置48とは別に、野菜室13の上側背部に超音波霧化装置62が設けられている点が、上記第一実施形態と異なっている。超音波霧化装置62は、冷蔵用冷却器室36内において冷蔵用冷却器30の下方に位置して設けられている。この超音波霧化装置62は、水を超音波振動させてミスト化し、そのミストを通気路55へ向けて放出する。これにより、超音波霧化装置62で発生したミストは、冷蔵室12を通らずに吹出し口56から直接野菜室13内へ供給される。
【0052】
図10に示すように、制御装置35は、湿度センサ57の検出結果を受けて、冷蔵用送風ファン42や静電霧化装置48、および超音波霧化装置62を制御する。制御装置35は、湿度センサ57の検出結果に基づいて超音波霧化装置62を駆動させて、野菜室13内を調湿する。この場合、超音波霧化装置62から発生されるミストは、ヒドロキシラジカルなどの有機性ガス除去成分を含んでいないため、単に野菜室13内を加湿する加湿手段および野菜室13内へミストを放出するミスト放出手段として機能する。
【0053】
このような構成において、制御装置35は、上記第一実施形態と同様に、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御と、結露有りと判断した場合に湿度センサ57を復帰させる湿度センサ復帰制御を行う。
具体的には、図4においてSステップS1〜S3、S5、S6の処理によって、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御が実行される。そして、第一実施形態と同様に、ステップS3において結露無しが検出された後、ステップS4においての調湿制御が実行される。本実施形態の場合、調湿制御として、制御装置35は、ステップS1で検出した相対湿度RHに基づいて超音波霧化装置62を駆動および停止させて、野菜室13内へ供給するミストの量を調節して野菜室13内を調湿する。この場合、ステップS7における湿度センサ復帰制御は、図11に示すように、ステップS10(図5参照)に代えてステップS20を実行し、ステップS14(図5参照)に代えてステップS21を実行する点が、上記第一実施形態と異なっている。
【0054】
本実施形態では、図11に示すように、ステップS20において、超音波霧化装置62をオフし、超音波霧化装置62から放出されるミストを停止して野菜室13内の湿度を低下させる。この場合、超音波霧化装置62から放出されるミストの量を低減して野菜室13内の湿度を低下させてもよい。この状態で冷却運転を続けると、上記第一実施形態と同様に、湿度センサ57は風路A上に設けられているため、湿度センサ57には冷却されて乾燥した冷気が当たる。これにより、湿度センサ57に生じた結露は解消されていく。
【0055】
このような第五実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、静電霧化装置48とは別に超音波霧化装置62が設けられているため、湿度センサ復帰制御が実行されている間であっても、静電霧化装置48を駆動して有機性ガス除去成分が含まれるミストを野菜室13内へ供給することができる。そのため、より効果的に、有機性ガスによる湿度センサ57の劣化を予防することができる。
【0056】
(第六実施形態)
第六実施形態について、図12〜図14を参照して説明する。この第六実施形態は、図12に示すように、ダンパ63が設けられている点が、上記第一実施形態と異なっている。ダンパ63は、仕切壁17の後部に形成された連通口18において、回動可能に設けられている。制御装置35は、図13に示すように、湿度センサ57の検出結果を受けて冷蔵用送風ファン42や静電霧化装置48とともに、ダンパ63を制御する。制御装置35は、ダンパ63を回動させて、連通口18の開口量を増減することによって、吹出し口56から吹き出される冷気の量を増減する。この場合、吹出し口56から野菜室13内へ吹き出される冷気の量は、ダンパ63を開放すると増大し、閉鎖すると減少する。なお、ダンパ63は、吹出し口56に設けて、該吹出し口56の開口量を増減する構成としてもよい。
【0057】
このような構成において、制御装置35は、上記第一実施形態と同様に、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御と、結露有りと判断した場合に湿度センサ57を復帰させる湿度センサ復帰制御を行う。具体的には、図4のステップS7に示す湿度センサ復帰制御は、図14に示すように、ステップS10(図5参照)に代えてステップS30を実行し、ステップS14(図5参照)に代えてステップS31を実行する点が、上記第一実施形態と異なっている。
【0058】
本実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、図14に示すように、ステップS30においてダンパ63を開放すると、吹出し口56から吹き出される冷気の量が増大し、湿度センサ57に当たる冷気の量も増大する。これにより、湿度センサ57の結露がより効果的に解消される。なお、本実施形態において、図4に示すステップS4の調湿制御として、湿度センサ57の検出結果に基づいて、静電霧化装置48およびダンパ63を駆動すればよい。
【0059】
(第七実施形態)
第七実施形態について、図15〜図17を参照して説明する。この第七実施形態は、図15に示すように、第一実施形態の構成に加えて、仕切壁17の下側面つまり野菜室13の天井部下面に小型送風ファン64が設けられている点が、上記第一実施形態とは異なる。小型送風ファン64は、湿度センサ57に対して風路Aの下流側において、湿度センサ57に隣接して設けられている。制御装置35は、図16に示すように、湿度センサ57の検出結果を受けて冷蔵用送風ファン42や静電霧化装置48とともに、小型送風ファン64を制御する。制御装置35は、小型送風ファン64を駆動させて、湿度センサ57に風を積極的に当てることで、湿度センサ57の結露解消を図る。
【0060】
このような構成において、制御装置35は、上記第一実施形態と同様に、湿度センサ57の結露を検出する結露検出制御と、結露有りと判断した場合に湿度センサ57を復帰させる湿度センサ復帰制御を行う。具体的には、図4のステップS7に示す湿度センサ復帰制御は、図17に示すように、ステップS10(図5参照)に代えてステップS40を実行し、ステップS14(図5参照)に代えてステップS41を実行する点が、上記第一実施形態と異なっている。
【0061】
本実施形態の構成によれば、上記第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、図17に示すように、ステップS40において小型送風ファン64が駆動されると、湿度センサ57に対して風が積極的に当たり、湿度センサ57の結露が効果的に解消される。
【0062】
以上のように、本実施形態の冷蔵庫は、湿度センサと、有機性ガス除去手段を備えている。湿度センサは、貯蔵室内に設けられてこの貯蔵室内の湿度を検出する。有機性ガス除去手段は、冷蔵庫本体に設けられて、貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を貯蔵室内へ放出する。この構成によれば、有機性ガス除去手段から放出された有機性ガス除去成分によって、貯蔵室内の有機性ガスが除去される。そのため、貯蔵室内の有機性ガスが湿度センサを劣化させることを極力防ぐことができ、その結果、湿度センサによる貯蔵室内の湿度検出の信頼性向上が図られる。
【0063】
なお、上記各実施形態において、湿度センサは野菜室13内に設ける構成としたが、これに限らず、冷蔵室12内に設ける構成としてもよい。
また、上記各実施形態において、湿度センサは静電容量式のものに限られない。例えば、高分子材料からなる感湿膜を一対の櫛型電極で挟んで構成し、感湿膜の吸湿によって変化する櫛型電極間の抵抗により相対湿度RHを検出する抵抗式のものとしてもよい。
さらに、上記各実施形態においては、冷蔵用冷却器30および冷凍用冷却器31の二台の冷却器を備える構成としたが、これに限らず、例えば一台の冷却器で冷蔵温度帯の貯蔵室および冷凍温度帯の貯蔵室を冷却する構成としてもよい。また、冷蔵温度帯の貯蔵室のみを備える構成としてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
図面中、10は冷蔵庫本体、12は冷蔵室(貯蔵室)、13は野菜室(貯蔵室)、22は冷蔵室用断熱扉(扉)、23は野菜室用断熱扉(扉)、24は収納容器、30は冷蔵用冷却器(冷却器)、35は制御装置(制御手段)、42は冷蔵用送風ファン(送風機)、48は静電霧化装置(有機性ガス除去手段、調湿手段、ミスト放出手段)、56は吹出し口、57、59〜61は湿度センサ、62は超音波霧化装置(ミスト放出手段)、63はダンパ、Aは風路を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷気の吹出し口が形成された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を冷却する冷却器と、
前記冷却器により冷却された冷気を前記吹出し口から前記貯蔵室へ供給する送風機と、
前記貯蔵室内に設けられて該貯蔵室内の湿度を検出する湿度センサと、
前記冷蔵庫本体に設けられて、前記貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を放出する有機性ガス除去手段と、を備えることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵室は、野菜を貯蔵する野菜室であって野菜を収納する収納容器を有し、
前記湿度センサは、前記収納容器の上方に配置され、
前記有機性ガス除去手段は、前記湿度センサと前記収納容器の間に前記有機性ガス除去成分を流すことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記湿度センサは、静電容量式であることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵室内には、前記吹出し口から供給された冷気が流れる風路が形成され、
前記湿度センサは、前記風路上に配置されていることを特徴とする請求項1から3いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記湿度センサは、前記吹出し口の延長線上に配置されていることを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記湿度センサは、前記貯蔵室を開閉する扉寄りに配置されていることを特徴とする請求項1から5いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記湿度センサは、前記貯蔵室の天井部下面に配置されていることを特徴とする請求項1から6いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記貯蔵室内を調湿する調湿手段と、
前記調湿手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記湿度センサの検出結果が所定値を超えた場合に前記調湿手段を制御して前記貯蔵室内の湿度を低下させることを特徴とする請求項1から7いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記調湿手段は、前記貯蔵室内にミストを放出するミスト放出手段であって、
前記制御手段は、前記湿度センサの検出結果が所定値を超えた場合に前記ミスト放出手段から放出するミストを低減または停止して前記貯蔵室内の湿度を低下させることを特徴とする請求項8記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記調湿手段は、前記吹出し口から吹き出される冷気の量を増減するダンパであって、
前記制御手段は、前記湿度センサの検出結果が所定値を超えた場合に前記ダンパを開放して前記貯蔵室内の湿度を低下させることを特徴とする請求項8記載の冷蔵庫。
【請求項1】
冷気の吹出し口が形成された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を冷却する冷却器と、
前記冷却器により冷却された冷気を前記吹出し口から前記貯蔵室へ供給する送風機と、
前記貯蔵室内に設けられて該貯蔵室内の湿度を検出する湿度センサと、
前記冷蔵庫本体に設けられて、前記貯蔵室内の有機性ガスを除去する有機性ガス除去成分を放出する有機性ガス除去手段と、を備えることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵室は、野菜を貯蔵する野菜室であって野菜を収納する収納容器を有し、
前記湿度センサは、前記収納容器の上方に配置され、
前記有機性ガス除去手段は、前記湿度センサと前記収納容器の間に前記有機性ガス除去成分を流すことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記湿度センサは、静電容量式であることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵室内には、前記吹出し口から供給された冷気が流れる風路が形成され、
前記湿度センサは、前記風路上に配置されていることを特徴とする請求項1から3いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記湿度センサは、前記吹出し口の延長線上に配置されていることを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記湿度センサは、前記貯蔵室を開閉する扉寄りに配置されていることを特徴とする請求項1から5いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記湿度センサは、前記貯蔵室の天井部下面に配置されていることを特徴とする請求項1から6いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記貯蔵室内を調湿する調湿手段と、
前記調湿手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記湿度センサの検出結果が所定値を超えた場合に前記調湿手段を制御して前記貯蔵室内の湿度を低下させることを特徴とする請求項1から7いずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記調湿手段は、前記貯蔵室内にミストを放出するミスト放出手段であって、
前記制御手段は、前記湿度センサの検出結果が所定値を超えた場合に前記ミスト放出手段から放出するミストを低減または停止して前記貯蔵室内の湿度を低下させることを特徴とする請求項8記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記調湿手段は、前記吹出し口から吹き出される冷気の量を増減するダンパであって、
前記制御手段は、前記湿度センサの検出結果が所定値を超えた場合に前記ダンパを開放して前記貯蔵室内の湿度を低下させることを特徴とする請求項8記載の冷蔵庫。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−220158(P2012−220158A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89137(P2011−89137)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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