説明

冷蔵庫

【課題】冷凍温度帯室を備えた冷蔵庫に係り、冷凍温度帯室の温度変動を抑える冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫本体に区画形成されて夫々食品を収納する冷凍温度帯室を備え、冷凍温度帯室は、製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5からなる収納空間を有し、上部に位置する製氷室3および上段冷凍室4と、下部に位置する下段冷凍室5との間に蓄冷部材を有する蓄冷ユニット110Aを設けた。蓄冷ユニット110Aは、冷凍室前面仕切り40の背部の本来食品が収納されない空間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍温度帯室を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄冷部材を設けた従来の冷蔵庫としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の冷蔵庫が提案されている。特許文献1に記載の冷蔵庫は、青果物の保存を考慮したものであって、食品の収納ケースの内壁面や外壁面、または野菜室(庫内)の内壁面に蓄冷部材を設置している。特許文献2に記載の冷蔵庫は、温かい食品による他の空間への影響を考慮して、冷凍温度帯室内に設置した区画スペースの底面に蓄冷部材を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−192109号公報(請求項2、請求項3、図2、図10参照)
【特許文献2】特開2005−226984号公報(段落0032〜0034、図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷蔵庫では、蓄冷部材の設置箇所が野菜室内の青果物を鮮度良く保存するのに適した場所であり、冷蔵温度帯室への配慮しか行われていない。また、冷凍温度帯室は冷蔵温度帯室に比べて、冷蔵庫庫外との温度差が大きく、温度分布の偏りが発生しやすい。仮に特許文献1に記載の技術で冷凍温度帯室に蓄冷部材を設置した場合、冷凍温度帯室の温度変動を十分抑えることができず、ひいては冷凍食品が解けるといった不具合が生じることがあった。
【0005】
一方、特許文献2に記載の冷蔵庫では、冷凍温度帯室の収納ケースに蓄冷部材が設置され、冷凍温度帯室内の区画スペースに温かい食品を入れた際、温かい食品による他の空間への熱影響を抑えることを目的としている。しかしながら、冷凍温度帯室の区画スペースに多量の温かい食品を入れた場合、区画スペースが高い温度を保持してしまい、冷凍温度帯室全域を適正な温度に保つことができないという問題があった。
【0006】
本発明は以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、冷凍温度帯室を備えた冷蔵庫に係り、冷凍温度帯室の温度変動を抑える冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、冷蔵庫本体に区画形成されて夫々食品を収納する冷凍温度帯室を備え、前記冷凍温度帯室は、2つ以上の収納空間を有し、前記冷凍温度帯室内の前記収納空間の外側に蓄冷部材を設けたことを要旨とする。これにより、冷凍温度帯室の温度変動が少ない冷蔵庫となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷凍温度帯室を備えた冷蔵庫に係り、冷凍温度帯室の温度変動を抑える冷蔵庫を提供できる。また、冷却器による冷却を行っていないときでも、蓄冷部材によって冷凍温度帯室内の温度変動を抑えることが可能な冷蔵庫を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態から第6実施形態に係る冷蔵庫の外観正面図である。
【図2】冷蔵庫の庫内の構成を示す図1のA−A断面図である。
【図3】冷蔵庫の冷気ダクトや冷気吹き出し口の配置などを示す正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2の冷凍温度帯室の拡大図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2におけるB−B断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る冷蔵庫の蓄冷ユニットの構成を示す断面図(図2におけるB−B方向断面)である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る冷蔵庫の蓄冷ユニットの構成を示す断面図(図1におけるA−A方向断面)である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2におけるB−B断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図1のC−C断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫に搭載される蓄冷ユニットを示す断面である。
【図11】(a)は図10のD−D断面図、(b)は図10のE−E断面図、(c)は図10のF−F断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2の冷凍温度帯室の拡大図である。
【図13】本発明の第3実施形態に搭載される蓄冷ユニットを示す断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2の冷凍温度帯室の拡大図である。
【図15】本発明の第4実施形態に搭載される蓄冷ユニットを示す断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2のB−B断面図である。
【図17】本発明の第6実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2のB−B断面図である。
【図18】本発明の第7実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本発明の実施形態に係る冷蔵庫を、図1から図7を参照しながら説明する。なお、図1ないし図3に示す冷蔵庫は、第1実施形態ないし第6実施形態に係る冷蔵庫と共通の構成を図示している。なお、符号1Aは第1実施系知亜に係る冷蔵庫、符号1Fは第6実施形態に係る冷蔵庫であり、各実施形態を問わず、冷蔵庫を総称するときは符号1を用いる。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、食品収納室として、上方から、冷蔵室2、製氷室3(上側に位置する収納空間)、上段冷凍室4(上側に位置する収納空間)、下段冷凍室5(下側に位置する収納空間)、野菜室6を備えている。また、製氷室3と上段冷凍室4は、同じ高さ位置において左右に配置されている。なお、以下本明細書中では、製氷室3と上段冷凍室4と下段冷凍室5の総称として冷凍温度帯室60、冷蔵室2と野菜室6の総称として冷蔵温度帯室61と呼ぶことがある。
【0012】
冷蔵室2は、前面側に、左右に分割された観音開きの冷蔵室扉2a,2bを備え、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。以下では、冷蔵室扉2a,2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを単に扉2a,2b,3a,4a,5a,6aと称する。
【0013】
また、冷蔵庫1は、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの開閉状態をそれぞれ検知する図示しない扉センサと、扉開放状態と判定された状態が所定時間(例えば1分間)以上継続された場合に、使用者に報知する図示しないアラーム、冷蔵室2や野菜室6の温度設定や冷凍温度帯室60の温度設定をする図示しない温度設定器等を備えている。
【0014】
図2に示すように、冷蔵庫1の庫外と庫内は、発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10(冷蔵庫本体)により隔てられている。また、冷蔵庫1の断熱箱体10は真空断熱材25を実装している。
【0015】
冷蔵庫1の庫内は、冷蔵室−冷凍室断熱仕切壁28により冷蔵室2と、上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照)とが隔てられ、冷凍室−野菜室断熱仕切壁29により、下段冷凍室5と野菜室6とが隔てられている。
【0016】
扉2a,2bの庫内側には複数の扉ポケット32が備えられている。また、冷蔵室2は複数の棚36により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
【0017】
上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6は、各室の前部に備えられた扉4a,5a,6aと一体に引き出される、収納容器4b,5b,6bがそれぞれ設けられており、扉4a,5a,6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器4b,5b,6bが引き出せるようになっている。図1に示す製氷室3にも同様に、扉3aと一体に、図示しない収納容器(図2中(3b)で表示)が設けられ、扉3aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器3bが引き出せるようになっている。
【0018】
また、図4に示すように、収納容器3b,4b,5bを引き出しやすくするため、また収納容器3b,4b,5bを支えるため、収納容器3b,4b,5bの左右にはスライドレール71(図5参照)が設置されている。図示していないが収納容器6bの左右にもスライドレールが設置されている。一方、収納容器3b,4b,5bの左右の外側面には、前記スライドレール71によってスライド自在に支持されるスライダ72(図5参照)が形成されている。
【0019】
なお、上段冷凍室4は、急速冷凍室として使用できるように構成されている。急速冷凍性能の向上のために、上段冷凍室4の収納容器4bには図示しないアルミトレーが備えられており、冷凍速度が向上するようになっている。
【0020】
図2に戻って、冷蔵庫1は、扉3a、4a、5aの隙間を埋め、冷凍温度帯室60から外気への冷気漏れ防止のために冷凍室前面仕切り40(図1参照)を備えている。冷凍室前面仕切り40と扉3a、4a、5aは磁力で吸着され、冷凍温度帯室60の密閉度を向上させている。また、収納容器3b,4bの間には、収納容器3b,4bのスライドレール71(図5参照)を設けるための冷凍室中央仕切り41(図5参照)が設けられている。
【0021】
また、冷蔵庫1は、冷却器7、冷却器収納室8、庫内ファン9、暖気貯留スペース26を備えている。冷却器7は、下段冷凍室5の略背部に配置され、冷却器収納室8内に設けられている。冷却器7の上方に設けられた庫内ファン9により、冷却器7と熱交換して冷やされた空気(冷却器冷気、以下、冷却器7で冷やされてできた低温空気を「冷却器冷気」(冷気)と称する)が冷蔵室ダクト11を介して冷蔵室2に送られ、冷凍室ダクト12を介して上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3の各室へ送られる。各室への送風は冷蔵室ダンパ20と冷凍室ダンパ50の開閉により制御される。
【0022】
具体的には、冷蔵室ダンパ20が開状態、冷凍室ダンパ50が閉状態のときには、図3に示すように、冷却器冷気は、冷蔵室ダクト11を経て多段に設けられた吹き出し口2cから冷蔵室2に送られる。冷蔵室2の冷却を終えた冷却器冷気(冷気)は、冷蔵室2の背面右側下部に備えられた冷蔵室戻り口2dから流出し、冷蔵室−野菜室連通ダクト16を介して、野菜室6の背面右側上部に設けられた野菜室吹き出し口6cから野菜室6に流入して野菜室6を冷却する。野菜室6を冷却した冷却器冷気は、冷凍室−野菜室断熱仕切壁29の下部前方に設けられた野菜室戻り口6d(図2参照)から、野菜室戻りダクト18(図2参照)を介して、冷却器7の幅とほぼ等しい幅の野菜室戻り吹き出し口18a(図3参照)から冷却器7に戻る。
【0023】
また、冷凍室ダンパ50が開状態のときには、冷却器7で熱交換された冷却器冷気が庫内ファン9により昇圧され、冷凍室ダクト12を経て各吹き出し口3c,4c,5cからそれぞれ製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5へ送風される。各冷凍室3,4,5を冷却した冷却器冷気は、冷凍室戻り口17(図2参照)から冷却器7に戻る。なお、本実施形態の冷蔵庫1では、冷凍温度帯室60の吹き出し口3c〜5cは、計7個備えられているが、これに限定されず、適宜変更することができる。
【0024】
本実施形態の冷蔵庫1では、冷却器7の上方に庫内ファン9を設け、庫内ファン9の上方に冷凍室ダンパ50を設けている(図2参照)。さらに、冷凍室ダンパ50の上方に冷凍温度帯室60の上段に位置する上段冷凍室4に冷却器冷気を送り出す吹き出し口4cと製氷室3に冷却器冷気を送り出す吹き出し口3cが備えられている。
【0025】
なお、冷却器7が収納された冷却器収納室8の下方には、除霜ヒータ22が備えられている。除霜ヒータ22は、例えば、ガラス管ヒータであり、ガラス管の外周にアルミニウム製の放熱フィン(不図示)を備えたものである。また、除霜ヒータ22の上方には、除霜水が除霜ヒータ22に滴下することを防止するための上部カバー(不図示)が設けられている。
【0026】
図4に示すように、暖気貯留スペース26は、冷却器収納室8の下部前方に設けられている。この暖気貯留スペース26は、冷却器収納室8を構成する前側の壁面に沿って形成され、下端部26aが開口し、上端部26bが閉塞した形状である。したがって、除霜ヒータ22に通電することにより実施される除霜運転中に生じる暖気(上昇気流)が、暖気貯留スペース26に溜まることで、冷凍温度帯室60に流入するのを抑えることができるようになっている。
【0027】
なお、本実施形態の冷蔵庫1では暖気貯留スペース26、冷凍室戻り口17および冷凍室ダクト12の夫々の前面部(冷凍温度帯室60側)は一体成型品となっており、また暖気貯留スペース26、冷凍室戻り口17および冷凍室ダクト12の夫々の背面部(冷却器収納室8側)も一体成型品となっている。この暖気貯留スペース26、冷凍室戻り口17および冷凍室ダクト12を構成する部材を、以後冷凍室背面カバー体70と呼ぶ。また、冷凍室背面カバー体70のうち、冷凍室吹き出し口の最下部である吹き出し口5cより上部を冷凍室ダクト形成部70a、吹き出し口5cより下部を冷凍室戻り口形成部70bと呼ぶ。
【0028】
冷却器7及びその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜は、除霜運転時に融かされ、その際に生じた除霜水は冷却器収納室8の下部に備えられた樋23に流入した後に、排水管27を介して後記する機械室19に配置された蒸発皿21(図2参照)に達し、圧縮機24(図2参照)及び、機械室19内に配設される図示しない凝縮器の発熱により蒸発させられる。
【0029】
また、冷却器7の正面から見て左上部には冷却器7に取り付けられた冷却器温度センサ35、冷蔵室2には冷蔵室温度センサ33、下段冷凍室5には冷凍室温度センサ34がそれぞれ備えられており、それぞれ、冷却器7の温度(以下、冷却器温度と称する)、冷蔵室2の温度(以下、冷蔵室温度と称する)、下段冷凍室5の温度(以下、冷凍室温度と称する)を検知できるようになっている。更に、冷蔵庫1は、庫外の温度を検知する図示しない外気温度センサを備えている。なお、野菜室6にも野菜室温度センサ33aが配置されている。
【0030】
ちなみに、本実施形態では、イソブタンを冷媒として用い、冷媒封入量は約88gと少量にしている。
【0031】
冷蔵庫1の天井壁上面側にはCPU,ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31が配置されている(図2参照)。制御基板31は、前記した外気温度センサ(不図示)、冷却器温度センサ35(図2参照)、冷蔵室温度センサ33(図2参照)、野菜室温度センサ33a(図2参照)、冷凍室温度センサ34(図2参照)、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する前記した扉センサ、冷蔵室2の内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続し、前記ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機24のON,OFF等の制御,冷蔵室ダンパ20及び冷凍室ダンパ50を個別に駆動する図示省略のそれぞれのアクチュエータの制御,庫内ファン9のON/OFF制御や回転速度制御、前記した扉開放状態を報知するアラームのON/OFF等の制御を行う。
【0032】
図4および図5に示すように、第1実施形態の冷蔵庫1Aは、製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5との間であり、かつ、冷凍室前面仕切り40(図4参照)の背面となる箇所に蓄冷ユニット110Aを備えている。この蓄冷ユニット110Aは、外形が板状に形成され、冷蔵庫1Aの左パネル10aから右パネル10bまで延びて形成され(図5参照)、冷凍室前面仕切り40の背面から冷凍室背面カバー体70まで前面まで延びて形成されている(図5参照)。つまり、冷凍温度帯室60が、蓄冷ユニット110Aによって、製氷室3および上段冷凍室4と、下段冷凍室5との間において冷気(流体)が行き来しないように区画されている。
【0033】
図6および図7に示すように、蓄冷ユニット110Aは、蓄冷剤101を封入した蓄冷部材100を備えている。蓄冷剤101を覆う蓄冷部材100の容器は、蓄冷剤101による腐食防止のため樹脂で形成されている。本実施形態の蓄冷剤101の融点は、例えば−15℃である。蓄冷部材100周りの空気が蓄冷剤101よりも温度が低い場合、蓄冷剤101は庫内空気(冷気)により冷却される。また、蓄冷部材100周りの空気が蓄冷剤101よりも温度が高い場合、蓄冷剤101は蓄冷部材100周りの空気を冷却し、その冷気(蓄冷部材冷気、以下、蓄冷部材100で冷やされてできた低温空気を「蓄冷部材冷気」と称する)によって冷凍温度帯室60を冷却することができる。
【0034】
また、蓄冷部材100の形状は、正面側から見たときの縦断面視において、上面および下面に凹凸形状が左右方向に連続して形成され、上面側の凸面100aと、下面側の凸面100bとが対向して配置され、上面側の凹面100cと下面側の凹面100dとが対向して配置された形状である。このように、蓄冷剤101と蓄冷部材冷気との伝熱量の向上のため、凹凸を設け、伝熱面積を拡大させている。
【0035】
また、蓄冷ユニット110Aは、蓄冷部材100の周囲を覆う蓄冷部材カバー200Aを備えている。この蓄冷部材カバー200Aは、蓄冷部材100よりも水平方向に一回り大きく形成されている。すなわち、蓄冷部材カバー200Aは、上下方向の高さが蓄冷部材100とほぼ接する高さに形成され(図6および図7参照)、左右方向の長さ(幅)が蓄冷部材100の幅より若干広く形成され(図6参照)、前後方向の長さ(奥行)が蓄冷部材100の奥行より若干長く形成されている(図7参照)。
【0036】
また、蓄冷部材カバー200Aの高さH1(図7参照)は、冷凍室前面仕切り40の高さH2(図4参照)と同様またはほぼ同様に形成されている。すなわち、蓄冷部材カバー200Aの天井面200cと冷凍室前面仕切り40の上面40aとが面一となり、また蓄冷部材カバー200の底面200dと冷凍室前面仕切り40の下面40bとが面一となるように形成されている。換言すると、蓄冷部材カバー200Aの天井面200cが冷凍室前面仕切り40の上面40aよりも上方へ突出しないように形成され、蓄冷部材カバー200Aの底面200dが冷凍室前面仕切り40の下面よりも下方へ突出しないように形成されている。
【0037】
また、蓄冷部材カバー200Aには、その内部底面に蓄冷剤桶203が設けられている。この蓄冷剤桶203は、蓄冷部剤100の前方と後方に蓄冷剤桶壁204a,204bを有している。なお、蓄冷部材100の左右については、蓄冷部材カバー200A自体の左側面200aおよび右側面200bが蓄冷剤桶壁として機能している。よって、蓄冷部材100の下側には、蓄冷剤桶壁204a,204b、左側面200aおよび右側面200bによって凹状に形成された桶(貯留部)が構成されている。
【0038】
また、蓄冷部材カバー200Aには、蓄冷剤桶壁204bの後方の底面200dと天井面200cとに、循環する蓄冷部材冷気が流入する蓄冷部材カバー流入口201a,201bが形成されている。また、蓄冷部材カバー200Aには、蓄冷剤桶壁204aの前方の底面200dと天井面200cとに、蓄冷部材冷気が流出する蓄冷部材カバー流出口202a,202bが形成されている。
【0039】
なお、製氷室3および上段冷凍室4の容積が下段冷凍室5の容積よりも小さく形成され、循環させる風量も少なくて済むので、蓄冷部材カバー流入口201bおよび蓄冷部材カバー流出口202bの開口面積が、蓄冷部材カバー流入口201aおよび蓄冷部材カバー流出口202aの開口面積よりも小さく形成されている。
【0040】
また、蓄冷剤桶壁204aの高さ寸法をh2とし、蓄冷剤桶壁204bの高さ寸法をh1としたときに、蓄冷部材冷気が流入する蓄冷部材カバー流入口201a,201b側の蓄冷剤桶壁204bを蓄冷剤桶壁204aより低く設定している。また、蓄冷部材カバー200Aは伝熱性能の低い樹脂で形成されている。
【0041】
また、蓄冷部材カバー200Aの内部には、蓄冷剤桶壁204aと蓄冷部材カバー流出口202a,202bとの間に、前記庫内ファン9とは別に、蓄冷部材冷気を循環させるための、蓄冷部材ファン102が設けられている。
【0042】
なお、第1実施形態の冷蔵庫1Aでは蓄冷部材ファン102を蓄冷部材100と近接させ1つのユニットとしたが、蓄冷部材ファン102によって蓄冷部材100周辺に空気を送風することが可能であれば、蓄冷部材ファン102は冷凍温度帯室60又は冷凍室ダクト12内のどの位置に設置しても構わない。
【0043】
蓄冷部材ファン102を稼動させることで、蓄冷ユニット110A(蓄冷部材カバー200A)内の空気と冷凍温度帯室60との間で空気の流入、流出を行えるようになっている。具体的には、蓄冷部材カバー流入口201a,201bから蓄冷ユニット110A内に冷凍温度帯室60の冷気が流入し、蓄冷部材カバー流出口202a,202bから冷凍温度帯室60に冷気が流出する。
【0044】
さらに説明すると、蓄冷部材カバー流入口201aから蓄冷ユニット110A内に下段冷凍室5の空気が流入し、また蓄冷部材カバー流入口201bから蓄冷ユニット110A内に上段冷凍室4および製氷室3内の空気が流入する。そして蓄冷部材100の凹面100c,100dと蓄冷部材カバー200Aとで形成された風路Sを通って、蓄冷部材カバー流出口202aから下段冷凍室5内に、または蓄冷部材カバー流出口202bから上段冷凍室4および製氷室3内に空気が流出する。
【0045】
以上、第1実施形態に係る冷蔵庫1Aの構造を説明したが、以下では第1実施形態に係る冷蔵庫1が奏する効果について説明する。
【0046】
ところで、冷凍温度帯室60に、上下に複数の食品収納空間を持った家庭用冷蔵庫の多くは、下段側の食品収納空間の貯蔵容積を大きくとっており、下段冷凍室5内の食品の冷却及び低温維持に必要な冷却量は他の室(製氷室3、上段冷凍室4)よりも大きくなっている。第1実施形態の冷蔵庫1Aによれば、蓄冷ユニット110A(蓄冷部材100)を下段冷凍室5の上方、つまり製氷室3と上段冷凍室4(上側に位置する収納空間)と、下段冷凍室5(下側に位置する収納空間)との間に配置することで、自然対流で蓄冷部材冷気は下段冷凍室5に向かい、下段冷凍室5を効果的に冷やすことができる。そのため、必要な冷却量が大きい下段冷凍室5を効果的に冷やすことで、冷凍温度帯室60の温度変動を抑えることが可能になる。
【0047】
また、第1実施形態の冷蔵庫1Aによれば、製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5との間で、かつ、冷凍室前面仕切り40の背面となる箇所に蓄冷部材100を設けることにより、蓄冷部材100による貯蔵容積(実際に、食品を収納することができる空間の容積)の減少を抑えることができる。つまり、扉5aを開け、冷凍室前面仕切り40の高さまで収納容器5bに食品を収納した場合、扉5aを閉める際に冷凍室前面仕切り40と食品が接触し、扉5aを閉めることができなくなる。そのため、冷凍室前面仕切り40の背面は、食品を貯蔵できない空間となっている。よって、前記箇所(製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5との間で、かつ、冷凍室前面仕切り40の背面となる箇所)に蓄冷部材100を設けることで、蓄冷部材100を設けていない冷蔵庫と比べて貯蔵容積を減らすことなく蓄冷部材100を設置することができ、スペース効率の高い冷蔵庫となる。
【0048】
また、第1実施形態の冷蔵庫1Aによれば、前記箇所に蓄冷部材100を設けることにより、製氷室3および上段冷凍室4と下段冷凍室5との間(上下の室間)の仕切りとして用いることができ、冷却器7によって冷凍温度帯室60を冷却する際、新たに仕切りを用いることなく、上下の室間の冷気の対流を抑えることが可能になる。ちなみに、上下の室間に仕切りがない場合、自然対流で製氷室3と上段冷凍室4の各冷気は下段冷凍室5に向かう。しかし前記箇所に蓄冷部材100を設けることで上下の室間の冷気の対流を抑え、製氷室3及び上段冷凍室4の温度変動を抑えることができ、冷凍温度帯室60全領域の温度変動を抑えることが可能な冷蔵庫となる。
【0049】
また、第1本実施形態の冷蔵庫1Aによれば、庫内ファン9とは別に、蓄冷部材冷気を循環させるための、蓄冷部材ファン102を備えることにより、冷凍温度帯室60の温度変動を抑えることが可能な冷蔵庫となる。その理由を以下に示す。
【0050】
つまり、冷蔵庫1Aにおいて、蓄冷部材100による冷凍温度帯室60の冷却を行う必要があるのは、主に庫内ファン9によって冷凍温度帯室60の冷気循環を行うことができないときである。蓄冷部材100による冷却を行う必要があるときの1つとしては、冷却器7の除霜時がある。冷却器7を除霜するため、除霜ヒータ22に通電した場合、冷却器収納室8内の空気温度が上昇する。このため、冷却器収納室8内の空気を冷凍温度帯室60に流入させずに冷凍温度帯室60の温度上昇を防ぐには、庫内ファン9を用いず蓄冷部材100による冷却を行う必要がある。
【0051】
また、蓄冷部材100による冷却を行う必要があるときとして、扉3a,4a,5aの開閉後の冷凍温度帯室60の温度上昇時がある。この場合、冷却器7と蓄冷部材100の両方で冷却する方法と、蓄冷部材100のみで冷却する方法とが考えられる。前者の場合は、冷却器冷気を送風するため、庫内ファン9による冷凍温度帯室60内の冷気循環は可能である。しかし、後者の場合は、庫内ファン9による冷気循環は難しい。ここで、後者となる状況を説明する。扉3a,4a,5aの開閉以前に、冷蔵庫1Aの冷却負荷が少ない状態が続いた場合、省エネ等のため圧縮機24を一時的に停止し、冷却器収納室8内の空気温度を上げている時間が存在する。その間に、扉開閉により冷凍温度帯室60内の空気温度が急激に上昇したとしても、まず圧縮機24を稼働させ、冷却器収納室8内の空気温度を下げてから冷却器冷気を冷凍温度帯室60に送風する必要がある。そのため、その冷却器収納室8内の空気温度を下げている間に冷凍温度帯室60を冷やそうとした場合、庫内ファン9を用いず蓄冷部材100による冷却を行う必要がある。
【0052】
また、第1実施形態のように冷凍室ダンパ50を備えた冷蔵庫1Aにおいて、蓄冷部材100による冷却を行う必要があるときとして、冷凍室ダンパ50を閉じ、冷蔵温度帯室61の冷却に冷却器冷気を送風しているときがある。このとき、冷却器冷気は冷凍温度帯室60には入らないため、冷凍温度帯室60の温度上昇を抑えるためには、蓄冷部材100による冷却が必要となるが、冷凍室ダンパ50を閉じているため、蓄冷部材100による冷却を行う際に庫内ファン9を用いることはできない。
【0053】
しかしながら、蓄冷部材100による冷却時には、冷凍温度帯室60内の冷気循環が有効となる。一般に、気体と液体又は気体と固体の伝熱量は、気体と液体又は気体と固体間の温度差と、熱伝達率と、伝熱面積によって決定される。そのため冷凍温度帯室60の冷気が循環しておらず熱伝達率が一定で、伝熱面積が一定であれば、庫内空気と蓄冷部材100の間の伝熱量は庫内空気と蓄冷部材100の温度差で決まる。よって、伝熱量を向上させるためには、強制対流によって熱伝達率を向上させる必要がある。
【0054】
そこで、第1実施形態のように、庫内ファン9とは別に蓄冷部材ファン102を備えることが有効となる。蓄冷部材ファン102を取り付けることで、前記したように庫内ファン9による冷凍温度帯室60の冷気循環を行えない場合にも、蓄冷部材100と庫内空気の間の伝熱量の調整が可能となり、伝熱量の調整を行うことで冷凍温度帯室60の温度変動を抑えることが可能になる。
【0055】
また、庫内ファン9以外の冷気循環ファンがない場合、庫内ファン9を冷凍温度帯室60以外の温度帯室への送風に使用している場合や庫内ファン9を停止させている場合、自然対流によって冷凍温度帯室60の中の庫内空気に温度差が発生してしまう。このとき、第1実施形態のように、蓄冷部材ファン102を冷凍温度帯室60専用のファンとして用いることで、冷凍温度帯室60の中の冷気を循環させることができ、冷凍温度帯室60内の温度分布を均一にし、冷凍温度帯室60内全域の温度変動を抑えることが可能になる。
【0056】
また、第1実施形態のように冷凍温度帯室60に複数の収納空間(製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5)がある冷蔵庫1において、蓄冷部材ファン102によって各収納空間への蓄冷部材冷気の分配を行うことができる。特に、第1実施形態の冷蔵庫1Aの場合、製氷室3及び上段冷凍室4のように、蓄冷部材100よりも上部に設置された収納空間をファンなしで蓄冷部材100によって冷却するには、基本的には自然対流でなく熱伝導による冷却となるが、その場合、製氷室3及び上段冷凍室4の十分な冷却は難しい。しかし、第1実施形態のように蓄冷部材ファン102を設置することで、蓄冷部材冷気を上方空間に送ることが可能となるため、製氷室3及び上段冷凍室4を蓄冷部材100で冷却することができ、冷凍温度帯室60内全域の温度変動を抑えることができる。
【0057】
また、第1実施形態によれば、設置スペースやコスト等の制約により、伝熱面積の小さな蓄冷部材100しか設置できない場合においても、蓄冷部材ファン102を備えることによって熱伝達率を上げることで高い伝熱量を得ることができる。
【0058】
また、蓄冷剤101は融点以上の温度では液体となるため、蓄冷部材100に損傷が発生した場合、蓄冷剤101が流出し、蓄冷剤101と食品とが接触してしまう可能性がある。そこで、第1実施形態の冷蔵庫1Aでは、蓄冷部材カバー200Aに蓄冷剤桶203(図6および図7参照)を設けることで、蓄冷剤101が蓄冷部材100から流出したとしても、蓄冷剤桶203に蓄冷剤101が溜まり、蓄冷剤101と食品の接触を防ぐことができる。これにより、信頼性の高い冷蔵庫1Aとなる。ちなみに、蓄冷剤桶203に溜まった蓄冷剤101は、蓄冷部材100から流出して蓄冷剤桶203に溜まった後も冷却に支障なく利用できる。
【0059】
また、通常、冷凍温度帯室60内を流れる冷却器冷気は乾燥した空気であるため、蓄冷ユニット110A内に霜が付着しても時間が経過すると気化するため、蓄冷剤桶203に霜が大量にたまる可能性は少ないが、扉開閉等の絶対湿度の高い空気が流入することで、一時的に蓄冷剤桶203に霜がたまることが考えられる。そのため、蓄冷剤桶203に霜が溜まっている状態において蓄冷剤101が流入した場合、蓄冷剤桶203に収納しきれない可能性がある。しかし、蓄冷剤桶203の容量を増やすため蓄冷剤桶壁204a,204bの底面200dからの高さ寸法h1,h2(図7参照)を高くしすぎると、蓄冷ユニット110A内の風路を塞ぐ事になる。そのため、蓄冷部材カバー流入口201aは蓄冷剤101の排出口としても機能する。蓄冷剤101が蓄冷剤桶203に収納しきれない場合に、蓄冷部材カバー流入口201aから蓄冷ユニット110A外に排出することで、収納容器5b内の食品に蓄冷剤101が触れることなく冷凍温度帯室60の外部に排出できる。蓄冷剤101が必ず蓄冷部材カバー流入口201aから排出できるよう、蓄冷剤桶壁204a,204bのうち蓄冷部材カバー流入口201a側の蓄冷剤桶壁204bを、蓄冷剤桶壁204aを含む他の壁よりも低くしている(図7参照)。
【0060】
これにより、蓄冷剤桶203で受けきれない蓄冷剤101は、蓄冷部材カバー流入口201aから蓄冷ユニット110A外に流出したとしても、その後収納容器5bと冷凍室背面カバー体70との間の空間を通り、冷凍室戻り口17より冷却器収納室8の下部に備えられた樋23に流入し、排水管27を介して機械室19に配された蒸発皿21に溜まるようになっている。そのため、蓄冷部材100から蓄冷剤101が流出し、蓄冷剤桶203内に蓄冷剤101が収容しきれない場合においても、蓄冷剤101と食品との接触を確実に防ぐことができる。これにより、信頼性の高い冷蔵庫となる。
【0061】
また、第1実施形態の冷蔵庫1では、蓄冷部材カバー200Aが蓄冷部材ファン102による蓄冷部材100への送風風路としての役割も果たしている。第1実施形態の冷蔵庫1のように、蓄冷部材100の表面に凹凸を設けている場合、蓄冷部材100周辺は抵抗が大きく空気が流れ難くなっているため、蓄冷部材カバー200Aを設けないと、蓄冷部材100周辺を流れる空気流量が少なくなってしまう。そこで、第1実施形態のように、蓄冷部材カバー200Aによって蓄冷部材ファン102から蓄冷部材100に送風する風路を形成することで、空気が蓄冷部材100周辺(近傍)を通り、蓄冷部材100と庫内空気の熱交換量を増やすことができる。そのため、冷凍温度帯室60を十分に冷却することが可能となり、冷凍温度帯室60の温度変動を抑えることが可能となる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の冷蔵庫1Bの蓄冷部材100の構成について、図8ないし図11を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。また他の実施形態に共通する効果も省略する。図8は本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2におけるB−B断面図、図9は本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図1のC−C断面図、図10は第2実施形態に係る冷蔵庫に搭載される蓄冷ユニットを示す断面図、図11(a)は図10のD−D断面図、(b)は図10のE−E断面図、(c)は図10のF−F断面図である。
【0063】
図8及び図9に示すように、第2実施形態の冷蔵庫1Bは、蓄冷ユニット110Bが製氷室3と上段冷凍室4との間で、かつ、冷凍室前面仕切り40の背面であり(図9参照)、冷凍室中央仕切り41の上面側となる箇所に設置されるように構成されている。
【0064】
図10に示すように、蓄冷ユニット110Bは、蓄冷部材カバー200B内に、蓄冷部材100および蓄冷部材ファン102を備えている。また、蓄冷部材カバー200Bは、蓄冷部材100の後方において、上部に連通部200eが形成された仕切板200fが、蓄冷部材カバー200B内の底面から上方に延びて形成されている。また、蓄冷部材カバー200Bは、蓄冷部材100の前方において、下部に連通部200gが形成された仕切板200hが、蓄冷部材カバー200B内の天井面から下方に延びて形成されている。
【0065】
蓄冷部材100は、図11(a)に示すように、左右両側面において、上下方向(鉛直方向)に凹凸形状が連続して形成されている。蓄冷部材100の凸面100aが蓄冷部材カバー200Bの内壁面に当接し、凹面100cと蓄冷部材カバー200Bとで形成される空間が蓄冷部材冷気が通流する風路Sとして構成されている。
【0066】
図11(b)に示すように、蓄冷部材カバー200Bの後下部の左右両側面には、循環する蓄冷部材冷気が流入する蓄冷部材カバー流入口201c,201dが形成されている。また、図11(c)に示すように、蓄冷部材カバー200Bの前上部の左右両側面には、蓄冷部材冷気が流出する蓄冷部材カバー流出口202c,202dが形成されている。なお、上段冷凍室4に対向する蓄冷部材カバー流入口201cおよび蓄冷部材カバー流出口202cの開口面積が、製氷室3に対向する蓄冷部材カバー流入口201dおよび蓄冷部材カバー流出口202dの開口面積よりも大きく形成されている。
【0067】
蓄冷部材ファン102を稼動させることにより、蓄冷部材冷気が蓄冷部材カバー流入口201c,201dを介して蓄冷部材カバー200B内に流入し、連通部200e、蓄冷部材100の風路(第1実施形態と同様の風路S)、連通部200eを通って、蓄冷部材カバー200Bの外部に流出する。
【0068】
ところで、冷凍温度帯室60に、上下に複数の食品収納空間を持った家庭用冷蔵庫の多くは、下段側の食品収納空間の貯蔵容積を大きくとっており、下段冷凍室5内の食品の冷却及び低温維持に必要な冷却量は他の室(製氷室3、上段冷凍室4)よりも大きくなっている。第2実施形態の冷蔵庫1Bによれば、蓄冷ユニット110B(蓄冷部材100)を下段冷凍室5の上方、つまり製氷室3と上段冷凍室4との間に配置することで、自然対流で蓄冷部材冷気は下段冷凍室5に向かい、下段冷凍室5を効果的に冷やすことができる。そのため、必要な冷却量が大きい下段冷凍室5を効果的に冷やすことで、冷凍温度帯室60の温度変動を抑えることが可能になる。
【0069】
また、前記箇所(製氷室3と上段冷凍室4との間)に蓄冷ユニット100B(蓄冷部材100)を設けることにより、第1実施形態の冷蔵庫1Aと同様、蓄冷部材100による貯蔵容積(実際に、食品を収納することができる空間の容積)が減少するのを抑えることができる。冷凍室前面仕切り40の背面は、扉の開閉時に冷凍室前面仕切り40と食品が接触して食品を取り出すことができなくなるため、食品を貯蔵できない空間となっている。冷凍室前面仕切り40の背面に蓄冷部材100を設けることで、蓄冷部材100を設けていない冷蔵庫と比べて貯蔵容積を減らすことなく蓄冷部材100を設置することができ、スペース効率の高い冷蔵庫となる。
【0070】
また、前記箇所(製氷室3と上段冷凍室4との間)に蓄冷ユニット110B(蓄冷部材100)を設けることにより、製氷室3と上段冷凍室4との間の仕切りとして用いることができ、冷却器7によって冷凍温度帯室60を冷却する際、新たに仕切りを用いることなく、左右の室間の冷気の対流を抑えることが可能になる。製氷室3と上段冷凍室4のように、左右の室の役割が違う冷蔵庫1Bでは、役割ごとに必要な冷却量も異なる。製氷室3に収納される物体は氷であるため、氷点下以下に保つことができれば製氷室3としての役割を果たすことができるが、上段冷凍室4にて冷却する物体を冷凍するにはより低温な冷気が必要となる。そのため、左右の室間に仕切りがない場合、左右の室間で冷気が交換され、必要な冷却量が少ない室においても、他の室を冷却するために、不要な冷却を行うことになる。しかし前記箇所(製氷室3と上段冷凍室4との間)に蓄冷ユニット110B(蓄冷部材100)を設けることで左右の室間の冷気の対流を抑え、製氷室3と上段冷凍室4、夫々を冷却するのに必要な冷却量のみを与えることが可能になり、より効率的な運転が可能な冷蔵庫1Bとなる。
【0071】
また、第2実施形態の冷蔵庫1Bによれば、第1実施形態の冷蔵庫1Aと同様、庫内ファン9とは別に、蓄冷部材冷気を循環させるための、蓄冷部材ファン102を備えている。製氷室3及び上段冷凍室4のように、蓄冷部材100の左右に設置された収納空間をファンなしで蓄冷部材100によって冷却するには、基本的には自然対流でなく熱伝導による冷却となるが、その場合、製氷室3及び上段冷凍室4の十分な冷却は難しい。そこで、蓄冷部材ファン102を設置することで蓄冷部材冷気を左右方向の空間に送ることが可能となるため、製氷室3及び上段冷凍室4を蓄冷部材100で効果的に冷却することができ、冷凍温度帯室60内全域の温度変動を抑えることができる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の冷蔵庫1Cの蓄冷部材100の構成に関し、図12および図13を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。また他の実施形態に共通する効果も省略する。図12は第3実施形態の冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図1の冷凍温度帯室拡大図、図13は本発明の第3実施形態に搭載される蓄冷ユニットを示す断面図である。
【0073】
図12に示すように、第3実施形態の冷蔵庫1Cは、冷凍室背面カバー体70と収納容器5bとの間に蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)を備えている。
【0074】
図13に示すように、蓄冷ユニット110Cは、蓄冷部材カバー200Cの内部に、蓄冷部材100および蓄冷部材ファン102を備えている。蓄冷部材100は、蓄冷部材冷気が通流する風路Sが形成されている。
【0075】
蓄冷部材カバー200Cは、前後方向に扁平で左右方向に長く形成された形状を呈し、前面の下部に循環する蓄冷部材冷気が流入される蓄冷部材カバー流入口201eが形成され、前面の上部に蓄冷部材冷気が流出する蓄冷部材カバー流出口202eが形成されている。なお、蓄冷部材カバー200Cの底部には、蓄冷部材100から漏れ出た蓄冷剤が貯留される蓄冷剤桶203aが形成されている。
【0076】
第3実施形態の冷蔵庫1Cによれば、蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)を前記箇所(冷凍室背面カバー体70と収納容器5bとの間)に設置することで、冷凍温度帯室60の温度変動を抑える事ができる。理由を以下に示す。
【0077】
圧縮機24(図2参照)の停止時や除霜ヒータ22(図2参照)の通電時等の冷却器7付近の空気が一時的に温度上昇した際、冷却器収納室8から冷凍温度帯室60への熱の流入が起きることが考えられる。前記箇所(冷凍室背面カバー体70と収納容器5bとの間)に蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)を設置することで、蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)がその熱を吸熱するため、冷凍温度帯室60の温度上昇を抑えることが可能になる。特に、冷凍室戻り口17からは、熱伝導による冷凍温度帯室60への熱の流入だけでなく、ヒータで加熱された空気自体の流入が考えられるため、蓄冷ユニット110Cを冷凍室戻り口形成部70bに取り付けることで冷凍温度帯室60の温度上昇を抑える効果が得られる。なお、第3実施形態では冷凍室背面カバー体70と収納容器5bの間に蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)を設けたが、冷凍室背面カバー体70の内側、つまり暖気貯留スペース26内に蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)を設置しても、同様の効果が得られる。
【0078】
また、冷凍室背面カバー体70と収納容器5bとの間の空間は、貯蔵容積拡大のためには小さくすることが望まれる。しかし、冷凍室背面カバー体70と収納容器5bとの間の空間は、冷却器収納室8が温まった際の暖気貯留スペース26及び冷却器収納室8から収納容器5b内への熱流入による収納容器5bの温度上昇を抑える断熱層としての役割を果たしている。そこで、第3実施形態によれば、前記箇所(冷凍室背面カバー体70と収納容器5bとの間)に蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)を設置することで、前記したように冷凍温度帯室60の温度上昇を抑える事ができるため、貯蔵容積(実際に、食品を収納することができる空間の容積)を減らすことなく蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)を設置することができ、スペース効率の高い冷蔵庫1Cとなる。
【0079】
ところで、蓄冷部材ファン102による冷気循環がなくても下段冷凍室5の背面側(冷却器7側)は冷却されるが、製氷室3及び上段冷凍室4のように、蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)よりも上部に設置された収納空間を蓄冷ユニット110C(蓄冷部材100)によって冷却することは、自然対流のみでは難しい。そこで、第3実施形態の冷蔵庫1Cによれば、第1実施形態の冷蔵庫1Aと同様、庫内ファン9とは別に、蓄冷部材冷気を循環させるための蓄冷部材ファン102を設置することで蓄冷部材冷気を上方の空間に送ることが可能となるため、製氷室3及び上段冷凍室4を蓄冷部材100で冷却することができ、冷凍温度帯室60内全域の温度変動を抑えることが可能になる。
【0080】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の冷蔵庫1Dの蓄冷部材100の構成に関し、図14および図15を参照しながら説明する。なお、第3実施形態と同一の部品については、同一符号を付して説明を省略する。また他の実施形態に共通する効果も省略する。図14は第4実施形態の冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図1の冷凍温度帯室拡大図、図15は本発明の第4実施形態に搭載される蓄冷ユニットを示す断面図である。
【0081】
図14に示すように、第4実施形態の冷蔵庫1Dは、冷凍室背面カバー体70内の冷凍室ダクト12内に蓄冷ユニット110D(蓄冷部材100)を備えている。
【0082】
図15に示すように、蓄冷ユニット110Dは、蓄冷部材カバー200Dの内部に、蓄冷部材100および蓄冷部材ファン102を備えている。蓄冷部材100は、蓄冷部材冷気が通流する風路Sが形成されている。
【0083】
蓄冷部材カバー200Dは、前後方向に扁平で左右方向に長く形成された形状を呈し、前面の下部に循環する蓄冷部材冷気が流入される蓄冷部材カバー流入口201eが形成され、前面の上部に蓄冷部材冷気が流出する蓄冷部材カバー流出口202eが形成されている。なお、蓄冷部材カバー200Dの底部には、蓄冷部材100から漏れ出た蓄冷剤が貯留される蓄冷剤桶203aが形成されている。
【0084】
第4実施形態の冷蔵庫1Dによれば、蓄冷ユニット110D(蓄冷部材100)を前記箇所(冷凍室ダクト12内)に設置することで、効率的に蓄冷することができる。理由を以下に示す。
【0085】
蓄冷部材100が冷凍室ダクト12にある場合、冷却器冷気で蓄冷ユニット110Dに蓄冷させる際には、蓄冷部材100周辺の空気は冷凍温度帯室60を冷やす前の冷却器冷気であり、比較的低い温度の空気で蓄冷部材100との温度差が十分大きく取れる。また、冷凍室ダクト12内は、庫内ファン9の稼動時には多くの冷気が流れ、熱伝達率が十分大きくなる。そのため蓄冷部材100を冷凍室ダクト12に設置することで高い交換熱量を得られ、効率的に蓄冷部材100に蓄冷することができる。
【0086】
さらに、蓄冷部材10が冷凍室ダクト12にあることで、収納容器に過度に食品が入っている場合においても省エネ性が高い冷蔵庫となる。蓄冷ユニット110Dが冷凍温度帯室60にあった場合は、ユーザーが収納容器に過度に食品を詰めたときには、貯蔵食品による風路抵抗によって冷凍温度帯室60内の気流が変化して、庫内ファン9の稼動時に蓄冷ユニット110D周辺に十分な冷気が到達せず、蓄冷が不十分となる場合がある。この場合、十分な蓄冷のためには庫内ファン9の稼動と同時に蓄冷部材ファン102を稼動させて、蓄冷ユニット110Dに十分な冷気を送ることが必要となる。この場合、蓄冷のために、庫内ファン9だけでなく蓄冷部材ファン102も稼動させることから、ファン動力が大きくなる。一方、第4実施形態の冷蔵庫1Dでは、蓄冷部材100を冷凍室ダクト12内に配設している。冷凍室ダクト12内は、庫内ファン9の稼動時には多くの冷気が流れ、また、収納容器内の食品の状態の影響を受けにくいため、ユーザーが収納容器に過度に食品を詰めた場合であっても、基本的に庫内ファン9の稼動のみで蓄冷することができる。したがって、蓄冷部材ファン102を稼動しない分だけ省エネ性が高い冷蔵庫となる。
【0087】
ところで、蓄冷部材ファン102による冷気強制循環がない場合には、自然対流により蓄冷部材冷気は蓄冷ユニット110Dよりも下部にある吹き出し口5cから下段冷凍室5に向かい、上部にある吹き出し口3c,4cからは冷凍温度帯室60で暖められた空気が流入する。そのため、下段冷凍室5は冷却できるが、製氷室3および上段冷凍室4を冷却することは難しい。そこで、第4実施形態の冷蔵庫1Dによれば、第1実施形態の冷蔵庫1Aと同様、庫内ファン9とは別に、蓄冷部材冷気を循環させるための蓄冷部材ファン102を設置することで蓄冷部材冷気を上方の空間に送ることが可能となる。そのため、製氷室3および上段冷凍室4を冷やしたい場合は、蓄冷部材ファン102を稼動させ、冷気吹き出し口5cを冷凍温度帯室60からの冷気戻り風路として、冷気吹き出し口3cおよび4cから蓄冷部材冷気を製氷室3および上段冷凍室4に送風し冷却することができる。これにより、冷凍温度帯室60内全域の温度変動を抑えることが可能になる。
【0088】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の冷蔵庫1Eの蓄冷部材100の構成に関し、図16を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の部品については、同一符号を付して説明を省略する。また他の実施形態に共通する効果も省略する。図16は、第5実施形態の冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2におけるB−B断面図である。
【0089】
図16に示すように、第5実施形態の冷蔵庫1Eでは、冷凍温度帯室60の上壁面(冷蔵室−冷凍室断熱仕切壁28の内面)に蓄冷ユニット110E(蓄冷部材100)を設置している。なお、図示していないが、蓄冷ユニット110Eは、前記第1実施形態と同様に、蓄冷部材カバー200A内に、蓄冷部材100および蓄冷部材ファン102を備え、蓄冷部材カバー200Aに蓄冷部材カバー流入口201a,201bおよび蓄冷部材カバー流出口202a,202bを備えて構成されている。
【0090】
第5実施形態の冷蔵庫1Eによれば、前記箇所(冷凍温度帯室60の上壁面)に蓄冷ユニット110E(蓄冷部材100)を設置したので、蓄冷部材100が冷凍温度帯室60の上部に位置することになって、自然対流により蓄冷部材冷気が冷凍温度帯室60の全域を冷やすことが可能になる。その結果、冷凍温度帯室60内全域の温度変動を抑えることが可能になる。
【0091】
また、第5実施形態の冷蔵庫1Eによれば、前記箇所(冷凍温度帯室60の上壁面)に蓄冷ユニット110E(蓄冷部材100)を設置することで、扉2a,2bの開閉などにより冷蔵室2の温度が上がり、冷凍温度帯室60への熱流入が増加した場合であっても、熱容量の高い蓄冷部材100(蓄冷剤101)がその熱を吸収するため、冷凍温度帯室60の温度変動を抑えることが可能になる。
【0092】
また、第5実施形態の冷蔵庫1Eは、第1実施形態の冷蔵庫1Aと同様、庫内ファン9とは別に、蓄冷部材冷気を循環させるための、蓄冷部材ファン102を備えている。ちなみに、前記箇所(冷凍温度帯室60の上壁面)に蓄冷ユニット110E(蓄冷部材100)を設置するが、蓄冷部材ファン102を備えていない場合、蓄冷部材100に蓄冷させるには、熱伝導によって蓄冷部材100を冷却するか、冷却器冷気を蓄冷部材100に送風するように冷凍室ダクト12の吹き出し口3c,4cを調整する必要がある。しかし、前者の方法では蓄冷部材100を冷却するのに長時間要し、また後者の方法では冷蔵室−冷凍室断熱仕切壁28に冷却器冷気を送風するように吹き出し口3c、4cを調整することが必要になるため、冷蔵室2を過度に冷却する可能性がある。そこで、第5実施形態の冷蔵庫1Eによれば、蓄冷部材ファン102を設けることで、必要に応じて庫内冷気を蓄冷ユニット110E内に取り込み、蓄冷部材100に冷却器冷気を送風することができる。そのため、蓄冷部材100は蓄冷しやすくなる。
【0093】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態の冷蔵庫1Fの蓄冷部材100の構成に関し、図17を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の部品については、同一符号を付して説明を省略する。また他の実施形態に共通する効果も省略する。図17は本発明の第6実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2のB−B断面図である。
【0094】
図17に示すように、第6実施形態の冷蔵庫1Fでは、冷凍温度帯室60の下壁面の収納容器5bと冷凍室−野菜室断熱仕切壁29との間に蓄冷ユニット110F(蓄冷部材100)を設置している。前記箇所(収納容器5bと冷凍室−野菜室断熱仕切壁29との間)に蓄冷部材100を設置することで、扉6aの開閉などにより野菜室6の温度が上がり、冷凍温度帯室60への熱流入が増加した場合、熱容量の高い蓄冷剤101がその熱を吸収するため、冷凍温度帯室60の温度変動を抑えることが可能になる。
【0095】
また、第6実施形態の冷蔵庫1Fは、第1実施形態の冷蔵庫1Aと同様、庫内ファン9とは別に、蓄冷部材冷気を循環させるための蓄冷部材ファン102を備えている。冷凍温度帯室60の下壁面(底壁面)に蓄冷ユニット110F(蓄冷部材100)を設置した場合、自然対流のみでは蓄冷部材100付近の食品以外の蓄冷部材100による冷却は難しいが、蓄冷部材100と共に蓄冷部材ファン102を設置することで、冷凍温度帯室60内の空気が循環し、冷凍温度帯室60全体を蓄冷部材100で冷却することが可能となり、冷凍温度帯室60内全域の温度変動を抑えることができる。
【0096】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態の冷蔵庫1Gの蓄冷部材100の構成に関し、図18を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一の部品については、同一符号を付して説明を省略する。また他の実施形態に共通する効果も省略する。図18は本発明の第7実施形態に係る冷蔵庫の冷凍温度帯室の構成を示す図2のB−B断面図である。
【0097】
図18に示すように、第7実施形態の冷蔵庫1Gでは、各スライドレール71を避け、冷凍温度帯室60の左右壁面に蓄冷ユニット110G(蓄冷部材100)を設置している。なお、蓄冷ユニット110Gは、左右壁面の隙間全体に設ける構成に限定されるものではなく、適宜選択して適用できる。
【0098】
ところで、左右壁面にスライドレール71を備えた冷蔵庫1Gにおいて、スライドレール71の上下に食品を入れようと考えた場合、収納容器3b,4b,5bはスライドレール71を避けるような複雑な形状となり、食品収納が難しくなる。そのため、多くの冷蔵庫ではスライドレール71の上下は食品が収納できない空間となっている。そこで、第7実施形態の冷蔵庫1Gによれば、前記箇所のスライドレール71の上下に蓄冷ユニット110G(蓄冷部材100)を設置することで、蓄冷ユニット110G(蓄冷部材100)を設けていない冷蔵庫から貯蔵容積(実際に、食品を収納することができる空間の容積)を減らすことなく蓄冷部材100を設置することができ、スペース効率の高い冷蔵庫となる。
【0099】
また、第7実施形態の冷蔵庫1Gによれば、第6実施形態と同様、冷凍温度帯室60の左右壁面に蓄冷ユニット110G(蓄冷部材100)を設置した場合、自然対流のみでは蓄冷部材100付近の食品以外には蓄冷部材100による冷却は難しいが、蓄冷部材100と共に蓄冷部材ファン102を設置することで、冷凍温度帯室60内の空気が循環し、冷凍温度帯室60全体を蓄冷部材100で冷却することが可能となり、冷凍温度帯室60内全域の温度変動を抑えることができる。
【0100】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、蓄冷ユニット(蓄冷部材)を冷凍室背面カバー体70と、収納容器3b,4bとの間に設置してもよい。また、第1実施形態ないし第7実施形態のうちのいずれかを選択して組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1(1A〜1F) 冷蔵庫
2 冷蔵室
3 製氷室
3a 製氷室扉
3b 収納容器(収納空間)
4 上段冷凍室
4a 上段冷凍室扉
4b 収納容器(収納空間)
5 下段冷凍室
5a 下段冷凍室扉
5b 収納容器(収納空間)
5c 吹き出し口
6 野菜室
7 冷却器
8 冷却器収納室
9 庫内ファン
10 断熱箱体(冷蔵庫本体)
11 冷蔵室ダクト
12 冷凍室ダクト
13 冷気集約ダクト
16 冷蔵室−野菜室連通ダクト
17 冷凍室戻り口
18 野菜室戻りダクト
18a 野菜室戻り吹き出し口
19 機械室
20 冷蔵室ダンパ
21 蒸発皿
22 除霜ヒータ
23 樋
24 圧縮機
26 暖気貯留スペース
27 排水管
28 冷蔵室−冷凍室断熱仕切壁
29 冷凍室−野菜室断熱仕切壁
31 制御基板
33 冷蔵室温度センサ
33a 野菜室温度センサ
34 冷凍室温度センサ
35 冷却器温度センサ
40 冷凍室前面仕切り
41 冷凍室中央仕切り
50 冷凍室ダンパ
53 上部カバー
60 冷凍温度帯室
61 冷蔵温度帯室
70 冷凍室背面カバー体
70a 冷凍室ダクト形成部
70b 冷凍室戻り口形成部
71 スライドレール
72 スライダ
100 蓄冷部材
101 蓄冷剤
102 蓄冷部材ファン
110A〜110F 蓄冷ユニット
200A〜200C 蓄冷部材カバー
201a,201b 蓄冷部材カバー流入口
202a,202b 蓄冷部材カバー流出口
203,203a 蓄冷剤桶
204a,204b 蓄冷剤桶壁
S 風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体に区画形成されて夫々食品を収納する冷凍温度帯室を備え、
前記冷凍温度帯室は、2つ以上の収納空間を有し、前記冷凍温度帯室内の前記収納空間の外側に蓄冷部材を設けたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記収納空間が上下に配置され、
前記蓄冷部材は、上側に位置する前記収納空間と下側に位置する前記収納空間との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記収納空間が左右に配置され、
前記蓄冷部材は、前記冷凍温度帯室の左側に位置する前記収納空間と右側に位置する前記収納空間との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷凍温度帯室内の背部に配置される冷凍室背面カバー体を備え、
前記蓄冷部材は、前記冷凍室背面カバー体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷凍室背面カバー体は、冷気を前記冷凍温度帯室から排出する冷凍室戻り口を形成する冷凍室戻り口形成部を有しており、
前記蓄冷部材は、前記冷凍室戻り口形成部に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷凍室背面カバー体は、冷気を前記冷凍温度帯室に導入する冷凍室ダクトを形成する冷凍室ダクト形成部を有しており、
前記蓄冷部材は、前記冷凍室ダクト形成部に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷凍温度帯室内の背部に配置され、前記冷凍温度帯室に除霜運転中に生じる暖気を貯留する暖気貯留スペースを有する冷凍室背面カバー体を備え、
前記蓄冷部材は、前記冷凍室背面カバー体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記冷凍温度帯室を冷却する冷気が熱交換される冷却器と、前記冷却器を収納する冷却器収納室と、前記冷却器で熱交換された冷気を前記冷凍温度帯室に送風する庫内ファンと、を備え、前記冷凍温度帯室内に、前記蓄冷部材に送風を行う蓄冷部材ファンを設けたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記冷凍温度帯室を冷却する冷気が熱交換される冷却器と、前記冷却器を収納する冷却器収納室と、前記冷却器で熱交換された冷気を前記冷凍温度帯室に送風する庫内ファンと、を備え、
前記冷凍温度帯室の上壁面に蓄冷部材と、前記冷凍温度帯室内に、前記蓄冷部材に送風を行う蓄冷部材ファンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記冷凍温度帯室を冷却する冷気が熱交換される冷却器と、前記冷却器を収納する冷却器収納室と、前記冷却器で熱交換された冷気を前記冷凍温度帯室に送風する庫内ファンと、を備え、
前記冷凍温度帯室の下壁面に蓄冷部材と、前記冷凍温度帯室内に、前記蓄冷部材に送風を行う蓄冷部材ファンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記冷凍温度帯室を冷却する冷気が熱交換される冷却器と、前記冷却器を収納する冷却器収納室と、前記冷却器で熱交換された冷気を前記冷凍温度帯室に送風する庫内ファンと、を備え、
前記冷凍温度帯室の左右壁面の少なくとも何れか一箇所に蓄冷部材と、前記冷凍温度帯室内に、前記蓄冷部材に送風を行う蓄冷部材ファンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記蓄冷部材を収容する蓄冷部材カバーを設けたことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−7759(P2012−7759A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141655(P2010−141655)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】