説明

処理された木製品から水溶性金属殺生物剤の浸出を減らす方法

処理した生分解性製品から水溶性金属含有殺生物剤の浸出を劇的に減少させる戦略。本発明の水性防腐剤組成物は、殺生物活性を有する1種以上の水溶性金属種および生分解性製品に含浸させたときにこれらの金属種の耐浸出性を改善する1種以上の薬剤を含む。これらの薬剤の1種以上の使用は、殺生物剤含浸剤の使用率を、製品含浸時に劇的に引き下げることを可能にする。これらの薬剤の存在により金属殺生物剤の浸出がより少なくなるので、所望の担持量目標を達成するために加えられる殺生物剤の量はより少なくて済む。概して、金属殺生物剤の浸出を減少させる本発明の薬剤は、水溶性であり、水性媒体中で実質的に非イオン性であり、約100より大きな分子量を有し、標準温度で水の蒸気圧より低い蒸気圧を有する。好ましい薬剤は、少なくとも10質量%、より好ましくは少なくとも16質量%、さらに好ましくは少なくとも20質量%の酸素を含むものである。好ましい薬剤の具体例としては、(ポリ)エーテル、および/または分子の主鎖の中におよび/または置換基として1個以上のオキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫、菌類、微生物などによって腐朽しやすい木材、他のセルロース系製品、デンプン系製品などのような基板を保護するのに有用な金属含有防腐剤組成物であって、該組成物の金属成分の少なくとも1つが殺生物剤としての機能するものに関する。特に、本発明は、水溶性金属殺生物剤(特にこれらの金属殺生物剤の水溶性錯体)が、処理された基板から浸出する傾向を減らすのに役立つ薬剤を含む防腐剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
内装または外装用途に使用される木材、デンプン系および他の生分解性製品のような基板は、昆虫、菌類、微生物などによる攻撃に弱い場合がある。これらの攻撃に起因しがちである腐朽を防ぐために、そのような基板は、腐朽から保護しそして寿命を延ばすために防腐剤で処理される場合がある。歴史的に、1つの広く使用されている防腐剤組成物は、CCAの名称で知られている。この名称はクロム酸化ヒ酸銅(chromated copper arsenate)を表わす。CCA組成物は、甲板、柵、造園用木材などに使用される木製品(たとえばサザンイェローパイン)を処理するために広く使用されていた。
【0003】
CCA組成物は、腐朽に対する優れた保護を提供する。しかし、比較的最近、この組成物のヒ素およびクロム含有量に関して、健康および安全の懸念が持ち上がってきた。その結果、EPA規制ガイドラインは、住居用途へのCCAの使用を2004年1月1日に中止させた。その結果、産業界は、CCA組成物の代替品として新しい防腐剤を開発してきたし、開発し続けている。クロムおよびヒ素を含まない有効な代替品の発見への挑戦が続いている。
【0004】
1つのより新しい種類の銅系防腐剤は、水溶性の銅錯体の形態を使用している。多くの態様において、銅はアルカノールアミンのような錯化剤と錯体を形成する。銅錯体を含む防腐剤の例としては、銅ポリアスパラギン酸(copper polyaspartic acid)、アルカリ性第四級銅(alkaline copper quaternary)(ACQ)、銅アゾール(copper azole)、銅ホウ素アゾール(copper boron azole)、アンモニア性クエン酸銅(ammoniacal copper citrate)、ビス(ジメチルジチオカルバミン酸)銅(copper bis(dimethyldithiocarbamate))、およびエタノールアミン炭酸銅(copper ethanolamine carbonate)が挙げられる。一般に、これらはすべて、銅と錯体を形成する窒素塩基および結果として生ずる錯体を安定化する炭酸イオンを有する。アルカノールアミンと錯体を形成した銅を含む防腐剤組成物は、銅アミンの名称で呼ばれ、現在、住居木材用途の防腐剤市場において優位に立っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CCA物質で処理された生分解性製品に比較して、より新しい銅錯体系物質で処理された生分解性製品は、野原への銅の損失がより高い。その錯体の水溶解度のために、銅は、雨または他の水にさらされたときに、処理された生分解性製品からより容易に浸出する傾向がある。銅は哺乳動物に対してはあまり有毒ではないが、銅は水生生物に対しては効き目のある殺生物剤になり得る。さらに、銅の損失が浸出によって起こるだろうという予想は、これらの予想損失に適応させるためにより多くの量の銅で処理する原因になる。これは水生環境の曝露を悪化させるだけでなく、費用がかかり無駄でもある。水生生物種の近くで銅アミンの防腐剤を使用するために、そして銅供給をより効率的に使用するために、浸出を減らす方法を見いだすことは非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
意味深いことに、本発明は、木材、デンプン系および他の生分解性製品のような腐朽しやすい基板の処理品から水溶性金属含有殺生物剤の浸出を劇的に減らす方法を提供する。本発明の水性防腐剤組成物は、殺生物活性を有する1種以上の水溶性金属種および生分解性製品の中に含浸させたときにこれらの金属種の耐浸出性を改善する1種以上の薬剤を含む。これらの薬剤の1種以上の使用は、殺生物剤含浸剤の使用率を、製品含浸時に劇的に引き下げることを可能にする。これらの薬剤の存在により金属殺生物剤の浸出がより少なくなるので、所望の担持量目標を達成するために加えられる金属殺生物剤の量はより少なくて済む(担持量目標は、その産業界では、多くの場合、基板1立方フィートあたりの含浸剤のポンド数(「pcf」と略す。)を基準として表わされる。)。従来は、対照的に、浸出すると予想される金属殺生物剤の相当量を占めるように、ずっと多くの金属殺生物剤が加えられた。これらの薬剤は、また、環境の中に浸出する金属殺生物剤の量を減らすのにも役立つ。
【0007】
金属殺生物剤の浸出を減らす本発明の薬剤は、木製品中の含浸された金属殺生物剤を保持するのをより粘り強く助けるという特性を相乗的に有する。一般に、金属殺生物剤の浸出を減らす本発明の薬剤は、水溶性であり、水性媒体中で実質的に非イオン性であり、約100より大きな分子量を有し、そして水の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有する。驚くべきことに、それ自体が水溶性であったとしても、少なくともこれらの4つの特性の組み合わせを有する配合物が、含浸された生分解性の基板から水溶性の錯体形成した金属殺生物剤の浸出を減らすのに役立つことが発見された。ここで使用するときは、分子量とは、別段の明示がない限り、質量平均分子量をいう。
【0008】
金属殺生物剤の浸出を減らす好ましい薬剤は、少なくとも約4質量%、より好ましくは約4〜約55質量%、さらに好ましくは約20〜約45質量%の酸素を含むものである。これらの好ましい薬剤の例としては、分子の主鎖の中におよび/または分子の置換基として1個以上のオキシアルキレン単位を含む(ポリ)エーテルおよび/または非イオン性界面活性剤が挙げられる。いくつかの実施態様においては、耐浸出性を改善するのに役立つ1種以上の薬剤は、各々そのようなオキシアルキレン基の1個以上を含む(ポリ)エーテルおよび非イオン性界面活性剤の組み合わせを含む。
【0009】
いくつかの実施態様は、また、水溶性錯体の形で防腐剤組成物の中に金属殺生物剤を含むことを必要とするかもしれない。錯体で含まれることは、可溶性にするのを、および/または金属種が溶液中に留まるのを確実にするのに役立ち、または少なくとも所望の保存処理が行なわれるまで、組成物中に、より容易に分散したままである。そのような錯体の形成は、便利なことに、金属殺生物剤を含む源を適切な錯化剤と反応させることによって達成される。さらに組成物の性能を増強するために、下記する追加の省略可能な成分を組成物の中に含んでもよい。
【0010】
1つの態様において、本発明は生分解性基板を処理するための水性防腐剤組成物に関する。その組成物は、金属殺生物剤源;少なくとも一部の金属殺生物剤と水溶性錯体を形成するのに有効な量の錯化剤;および少なくとも約100の分子量を有し、水の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有する、少なくとも1種の水溶性で、実質的に非イオン性の薬剤を含む成分から誘導され、その組成物は、その薬剤を含まないこと以外は同一の組成物に比べて、その組成物を含浸した生分解性基板から錯体金属殺生物剤の浸出を減らすのに有効な量の前記薬剤を含む。
【0011】
別の態様において、本発明は、生分解性基板を処理するための水性防腐剤組成物であって、該組成物は、金属殺生物剤源;少なくとも約100の分子量を有し、水の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有する、第一の水溶性で実質的に非イオン性の薬剤(該組成物は、第一の薬剤を欠く以外は同一の組成物に比べて、該組成物を含浸した生分解性基板から金属殺生物剤の浸出を減らすのに有効な量の第一の薬剤を含む。);および非イオン性界面活性剤を含む第二の水溶性で実質的に非イオン性の薬剤(ただし、前記非イオン性界面活性剤に対する第一の水溶性で実質的に非イオン性の薬剤の質量比は1より大きい。)を含む成分から誘導されることを特徴とする組成物に関する。
【0012】
別の態様において、本発明は、生分解性基板処理組成物の浸出特性を試験する方法に関し、次の工程を含む。
a)遷移金属を含む処理剤組成物を、生分解性基板を含浸するのに使用する工程、
b)含浸した基板を少なくとも一部乾燥する工程、
c)処理剤組成物の1つの成分の少なくとも一部を基板に固定させる工程、
d)含浸した基板を水性媒体の中に浸漬する工程、
e)浸漬工程の少なくとも一部の間、水性媒体を撹拌する工程、および
f)浸漬の少なくとも一部の間に基板から浸出した遷移金属の量を示す情報を決定する工程。
【0013】
別の態様において、本発明は、生分解性基板を処理する方法に関し、次の工程を含む。
a)(ポリ)エーテルを含む成分を用意する工程、
b)Cuおよび錯化剤を含む成分から誘導された木材処理組成物の中に(ポリ)エーテルを含ませる工程、
c)(ポリ)エーテルを加えた後に、前記組成物を、生分解性基板を処理するのに使用する工程。
【0014】
別の態様において、本発明は、生分解性基板を処理する方法に関し、次の工程を含む。
a)(ポリ)エーテルおよび非イオン性界面活性剤を含む成分(ただし非イオン性界面活性剤に対する(ポリ)エーテルの質量比は1より大きい。)を用意する工程、
b)Cuを含む成分をも含む防腐剤組成物の中に(ポリ)エーテルおよび非イオン性界面活性剤を含ませる工程、
c)(ポリ)エーテルを加えた後に、前記組成物を、生分解性基板を処理するのに使用する工程。
【0015】
別の態様において、本発明は、生分解性基板処理組成物の浸出特性を試験する方法に関し、次の工程を含む。
a)遷移金属ならびに水より低い蒸気圧および約100より大きい分子量を有し、そして所望により約4〜約55質量%の酸素を含む水溶性薬剤を含む処理剤組成物を、生分解性基板に含浸させるのに使用する工程、
b)含浸した基板を少なくとも一部乾燥する工程、
c)処理剤組成物の1つの成分の少なくとも一部を基板に固定させる工程、
d)含浸した基板を水性媒体の中に浸漬する工程、
e)浸漬工程の少なくとも一部の間、水性媒体を撹拌する工程、および
f)浸漬の少なくとも一部の間に基板から浸出した遷移金属の量を示す情報を決定する工程。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下に記述する本発明の実施態様は、すべてを網羅するものではなく、また本発明を次の詳細な説明に開示されたまさにその形態に限定するものでもない。むしろ、それらの実施態様は、当業者が本発明の原理および実施を認識しそして理解できるように選ばれ、記載される。
【0017】
本発明の防腐剤組成物に使用することができる金属の例としては、ランタニド系列およびアクチニド系列元素を含む遷移金属元素が挙げられ、たとえば、銅、ストロンチウム、バリウム、ヒ素、アンチモン、ビスマス、鉛、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、亜鉛、クロム、カドミウム、銀、金、ニッケル、モリブデン、これらなどの組み合わせなどが挙げられる。好ましい金属は銅である。現在の規制を配慮すると、住居用途におけるCrおよび/またはAsの使用を制限または回避することが望ましい。したがって、本発明の組成物は、少なくとも実質的にヒ素を含まない、少なくとも実質的にクロムを含まない、または少なくとも実質的にクロムもヒ素も含まないことが望ましい。しかし、本発明の原理が、木製品のような生分解性の基板からCrおよび/またはAsの浸出を減らすのを助けるのに有用であろうこと、そしてそれ故に、いくつかの用途におけるこれらの添加物の一方または両方を含む木材用防腐剤の使用に関連した規制配慮を大いに緩和することができるであろうことは十分に理解される。
【0018】
活性金属殺生物剤が水溶性錯体の中に組み込まれる実施態様においては、防腐剤組成物を形成するために使用される成分は、金属が水性媒体中で錯化剤と錯体を形成することを可能にする1種以上の金属殺生物剤の形を含む。これらの錯体においては、金属イオン源は、純金属であってもよいし、金属イオンであってもよいし、金属化合物であってもよい。銅の場合には、水性媒体中で種々様々の銅錯化剤と容易に反応する多くの適切な銅源が知られている。それらの例としては、適切な反応条件の下で、酸化第一銅、酸化第二銅、水酸化銅、炭酸銅、塩基性炭酸銅、オキシ塩化銅、銅−8−ヒドロキシキノラート、ジメチルジチオカルバミン酸銅、銅オマジン(copper omadine)、ホウ酸銅、銅金属副生成物、硫酸銅、フッ化ホウ素酸銅、フッ化銅、ギ酸銅、酢酸銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩基性リン酸銅、塩基性ホスホル硫酸銅(copper basic phosphor-sulfate)、塩基性硝酸銅、これらの組み合わせなどを挙げることができる。単純化した式Cu(OH)−CuCOによって表わすことができる塩基性炭酸銅は、1つの好ましい銅源の例である。
【0019】
前記組成物の中に含まれる金属殺生物剤の質量%は広い範囲にわたって変わってもよい。少なすぎる量が使用される場合は、前記組成物の殺生物活性は所望の活性より少ないかもしれない。多すぎる金属殺生物剤が使用される場合は、殺生物剤を保持するための基板の飽和水準を超える過剰の殺生物剤は、より浸出しやすい傾向があるであろう。結果的に、飽和水準を超える大量の金属殺生物剤を使用することは、過剰分の浸出により、追加の殺生物性保護を、もしあったとしても、ほとんど提供しないであろう。違う言い方をすれば、より強く殺生物剤を保持する基板の容量の範囲内でより少ない量の金属殺生物剤を使用することは、より多くの量を使用するのとちょうど同じ位の殺生物性保護を提供するが、無駄がないであろう。
【0020】
場合によっては、生産、包装および船積を容易にするために、最初は、より濃縮した形で組成物を配合することが望ましいかもしれない。その後、最終使用者は、木製品を処理するために所望の最終の濃度に組成物を希釈するであろう。その点を配慮すると、本発明の組成物は、組成物の全質量を基準として、約0.02〜約15質量%の殺生物性金属、より好ましくは約0.04〜約11質量%の金属を含んでもよい。一般に、約3質量%の金属、より典型的には約7質量%の金属より高い質量%は、防腐処理前に最終使用者によって希釈されるであろう、より濃縮した態様を表わす。
【0021】
組成物の中に含まれる金属の質量%を計算する際は、金属源の中に金属と共に含まれているかもしれない他の化学種の質量を含まない、金属自体の質量のみが計算を行うために使用される。たとえば、単純化した式Cu(OH)−CuCOを有するとみなされる塩基性炭酸銅15gが、追加の塩基性炭酸銅を含めて全質量が100gである組成物の中に含まれる場合、この組成物中の銅の質量%は8.6質量%である。
【0022】
いくつかの実施態様において、錯化剤は、金属殺生物剤または金属殺生物剤含有化学種を可溶性にするまたは分散するのに役立つ。結果として生ずる錯体は製造、包装、貯蔵、種々の水の供給による希釈、保存処理および/または他の取り扱いの間に沈殿および/または沈降に対してより耐性があるので、Cuが非常によく水に溶ける供給源から供給されたときでさえ、錯化剤の使用は望ましいかもしれない。錯化剤の使用は、水性媒体中で金属殺生物剤を可溶性にしそして基板中の金属殺生物剤のより均一な分布を容易にする簡単で経済的な方法である。
【0023】
錯化剤は、配位化学の分野において、配位子、キレート化剤(chelant)、キレート化剤(chelating agent)または金属イオン封鎖剤とも呼ばれる。錯化剤は、望ましくは、錯化剤の1つ以上の原子を介して、中心金属含有化学種(多くの場合、イオン)に結合するものである。これらの結合は、配位結合および/またはイオン結合のような1種またはそれ以上の異なる種類の結合の組み合わせであってもよい。その結合は、金属種、錯化剤、錯体を形成するために使用される反応条件などを含む因子に依存して、可逆的であってもよいし不可逆的であってもよい。
【0024】
種々様々の錯化剤を本発明の実施に使用することができる。錯化剤としては、アスパラギン酸、クエン酸およびシュウ酸のような有機酸;アンモニア;エチレンジアミンのようなポリアミン官能性化合物;アルカノールアミンのような窒素含有アルコール;これらの組み合わせなどが挙げられる。アルカノールアミンの例としては、モノエタノールアミン;イソプロパノールアミン;1,1−または1,2−ジアミノエタノール;ジエタノールアミン;ジメチルエタノールアミン;トリエタノールアミン;アミノエチルエタノールアミン;これらの組み合わせ;などが挙げられる。アルカノールアミンは、銅との錯体に、特に好ましい。錯化剤は、金属殺生物剤の少なくとも一部と錯体を形成するのに有効な量で使用される。より望ましくは、少なくとも実質的にすべての金属殺生物剤が錯体を形成するのを保証するのに役立つために十分な量の錯化剤が使用される。
【0025】
金属殺生物剤の可溶の状態または容易に分散した状態に関する問題は、これらは雨または他の水の供給源にさらされたときに処理された生分解性基板からより容易に浸出する傾向があるかもしれないということである。好都合なことに、含浸組成物の中に本発明の浸出低減剤を含ませることは、劇的にそのような浸出を減らす。一般に、金属殺生物剤の浸出を減らす本発明の薬剤は、水溶性であり、水性媒体中で実質的に非イオン性であり、約100より大きな分子量(薬剤が分子量分布を有するときは質量平均分子量)を有し、水の蒸気圧より低い蒸気圧を有する。
【0026】
ここで使用するときは、水溶性とは、蒸留水100mLに0.5グラム(いくつかの実施態様においては1.0グラム、そしていくつかの実施態様においては2.0グラムさえ)の薬剤を溶解することによって均一な溶液を調製することができ、その後、結果として生じた溶液を25℃において貯蔵したときに、薬剤の少なくとも90%が少なくとも2時間溶液の中に留まることを意味する。単一の薬剤を使用する予定の場合は、使用される単一の薬剤が水溶解度を評価するために水の中に溶かされる。2種以上の薬剤の混合物を処理溶液に使用する予定の場合は、使用される予定された割合の混合物の適切な試料が、溶解度を評価するために水の中に溶かされる。
【0027】
一般に、分子量は、浸出を防止する薬剤の能力に影響を与える。分子量が低すぎる場合、たとえば約100未満である場合、または約80未満でさえある場合は、物質はまったく浸出を防止することができないかもしれないし、場合によっては浸出を増加しさえするかもしれない。他方、約100より大きい分子量を有する本発明の薬剤は、より大きな浸出防止を提供する傾向がある。確かに、分子量または該当する場合は質量平均分子量が増加するにつれて、浸出防止は増加する傾向がある。これは、より高分子量の薬剤は、一般に、より低分子量の薬剤に匹敵する浸出防止またはそれより良好な浸出防止を提供するために、より低い使用率で使用することができることを意味する。したがって、本発明の浸出低減剤は、望ましくは少なくとも100、より望ましくは少なくとも約150、さらに望ましくは少なくとも約200、さらに望ましくは少なくとも約500の分子量または該当する場合は質量平均分子量を有する。
【0028】
しかしながら、それを超えると薬剤の使用が非実用的になるかもしれない最大の分子量が存在する傾向がある。たとえば、薬剤が大きすぎると、含浸溶液はゲル化しまたはさもないと粘度が高くなりすぎ、および/または含浸ははなはだしく困難になるかもしれない。したがって、本発明の薬剤は、約100,000以下、望ましくは約50,000以下、より望ましくは約30,000以下の分子量(または該当する場合は質量平均分子量)を有することが好ましい。
【0029】
本発明の浸出低減剤は、また、標準温度で水の蒸気圧より低い蒸気圧を有する。これは、製造過程において含浸後の乾燥段階で、および/または含浸された木材製品がその耐用年数の間に水(たとえば雨など)にさらされた後に、浸出低減剤が水よりゆっくり蒸発するのを確実にするのに役立つ。言いかえれば、浸出低減剤は、有機相として、相対的により揮発しやすい水がより速く蒸発するので、水に比べて濃縮する傾向がある。限定されるのは望まないが、相対的に濃縮された有機相は、分配係数効果により、錯体金属殺生物剤が存在する水に溶解する性向を減少させるのに役立つと考えられている。これは、木材が水に比べて金属殺生物剤を保持する能力を増強し、さもないと生じる浸出を減少させる。概略的に述べれば、木材と水の両方は金属殺生物剤を獲得するために競争する。浸出は、水が相対的により強い競争者であるときに生じる傾向が大きい。しかし、本発明の添加物の存在下では、生分解性基板は、それらが、添加物の存在しないときよりも相対的により強い競争者となり、その結果、浸出がより少なくなる。
【0030】
望ましくは、本発明の好ましい浸出低減剤は、25℃で15mmHg未満、好ましくは10mmHg未満、より好ましくは1mmHg未満、さらに好ましくは0.1mmHg未満の蒸気圧を有する。比較として、水は、25℃で約24mmHgの蒸気圧を有する。本発明の浸出低減剤のいくつかの実施態様は、それ自体は、室温において固体の状態であってもよい。そのような物質は、非常にわずかに昇華する傾向があるが、本発明の目的のためには25℃で0.1mmHgよりはるかに小さい無視できる蒸気圧を有するものとして見ることができる。
【0031】
本発明の実質的に非イオン性の浸出低減剤は、場合に応じて、調製されたとき、または商業的な供給源から入手したときに、いくらかの非イオン性および/またはイオン性の不純物を含む傾向がある。そのような不純物の潜在的な存在を考慮すれば、本発明の好ましい実質的に非イオン性の浸出低減剤は、非イオン性および/またはイオン性の不純物を5質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満含むものである。しかし、少なくとも1種のそのような実質的に非イオン性の物質が浸出を防止するのを助けるために使用される限り、もし様々な目的のために望まれるならば、防腐剤組成物は所望により1種以上のイオン種を含んでもよい。そのようなイオン種の例としては、金属塩、第四級アンモニウム塩、その他の無機および/または有機塩、これらの組み合わせなどが挙げられ、たとえば米国特許第5,304,237号明細書および米国特許第5,874,025号明細書に記載されたPEGブロックを含む高分子第四級アンモニウムホウ酸塩が挙げられる。
【0032】
上記の特性の組み合わせに加えて、好ましい浸出低減剤はまた、さらに浸出防止を増強するために、1種以上の追加の特性を、単独でまたは組み合わせて、有していてもよい。たとえば、ある実施態様においては、浸出低減剤は実質的に中性であることが好ましい。ここで使用するときは、「実質的に中性」とは、100mLの蒸留水に0.5グラムの薬剤、好ましくは1.0グラムの薬剤、より好ましくは2.0グラムの薬剤を溶かした溶液が、25℃で約4〜約10、好ましくは約5〜約9、より好ましくは約6〜約8の範囲のpHを有することを意味する。単一の薬剤を使用する予定のときは、使用されるその単一の薬剤がpH特性を評価するために水に溶かされる。2種以上の薬剤の混合物を使用する予定のときは、使用される予定された割合の混合物の適切な試料が、pH特性を評価するために水に溶かされる。
【0033】
もう一つのオプションの望ましい特性として、好ましい浸出低減剤は、少なくとも約4質量%、より好ましくは少なくとも約4〜約55質量%、さらに好ましくは少なくとも約20〜約45質量%の酸素を含むものである。これらの好ましい浸出低減剤の例としては、(ポリ)エーテルおよび/または分子の主鎖中におよび/または置換基として1個以上のオキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤が挙げられる。ここで使用するときは、エーテルに関して用語「(ポリ)」は、そのエーテルが1個のオキシアルキレン単位を有していてもよいし2個以上のオキシアルキレン単位を有していてもよいことを示す。括弧なしの用語「ポリ」は、物質が2個以上のオキシアルキレン反復単位(それらは同一でも異なっていてもよい。)を含むことを示す。ある実施態様においては、耐浸出性を改善するのに役立つ成分は、各々そのようなオキシアルキレン基の1個以上を含む(ポリ)エーテルと非イオン性界面活性剤の組み合わせを含む。本発明の(ポリ)エーテルの代表的な態様は、1つ以上の直鎖、分枝または環状の2価のオキシアルキレン反復単位、またはこれらの組み合わせを含む。その(ポリ)エーテルは、単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合し得る物質の共重合体であってもよい。もし2種以上の共重合し得る物質から作られるときは、異なる物質は(ポリ)エーテルの中にランダムに含まれてもよいしブロックで含まれてもよい。
【0034】
本発明の実施において、2価のオキシアルキレン単位は一般に式−RO−を有する。式中、Rは任意の2価の直鎖、分枝または環状のアルキレンまたはアラルキレン基であり、多くの場合、1〜10個、望ましくは1〜5個、より望ましくは1〜3個の炭素原子を含む。もし望むならば、より大きな炭素原子数の反復単位が(ポリ)エーテルの中に含まれてもよい。しかし、当該単位があまりにも多くの炭素原子を含む場合、または(ポリ)エーテルが比較的大きな炭素原子数を有する反復単位を多すぎる比率で含む場合、または浸出低減剤が大きすぎる場合は、(ポリ)エーテルの水溶解度および/または(ポリ)エーテルによって付与される浸出防止は損なわれるかもしれない。具体例としては、−CHO−、−CHCHO−、−CHCHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−、−CHCH(CHCH)O−、−CH(CHCH)CHO−、−CHCH(CH)CHO−、−CH(CH)CHCHO−、−CHCHCH(CH)O−、−CHCH(CHCH)CHO−、−CH(CHCH)CHCHO−、−CHCHCH(CHCH)O−、オキシアルキレン主鎖の2つ以上の置換基がアルキル基である追加の変形物、これらの組み合わせなどが挙げられる。(ポリ)エーテルは、望ましくは、H、1〜12個の炭素原子のアルキル;1〜12個の炭素原子のアルコキシ;およびこれらの組み合わせから選択される末端基を有する。多くの場合、−RO−反復単位の数が平均で1個より多い実施態様においては、商業的に入手可能な製品は、それらの個々の分子内に2種以上の−RO−基を含むであろう。さらに、商業的に入手可能な製品は、異なる(ポリ)エーテル分子の個数分布を含む場合がある。
【0035】
適切な(ポリ)エーテルは、多くの場合、異なる反復単位数を有する(ポリ)エーテルポリマーの分布およびそれに対応する分子量変動を含む混合物として商業的に入手可能である。この種の好ましい(ポリ)エーテル母集団は、一般に、これらの2価のオキシアルキレン反復単位を平均して少なくとも2個、好ましくは約1〜約3000個有することができる。より好ましい実施態様においては、(ポリ)エーテルは、(ポリ)エーテル物質が少なくとも約100〜約50,000、好ましくは約300〜約30,000、より好ましくは約500〜約20,000の範囲の質量平均分子量を有するのに十分な数のこれらの反復単位を有する。
【0036】
(ポリ)エーテルは好ましくは少なくとも1つの(ポリ)エチレングリコール(PEG)を含む。PEGは、2個以上のオキシエチレン(EO)反復単位を含む直鎖の(ポリ)エーテルポリマーであり、次式によって表わすことができる。
O−(CHCHO)−R
式中、RおよびRは各々独立にHまたは直鎖、分枝または環状のアルキル、好ましくはHまたは1〜12個の炭素原子、多くの場合1〜3個の炭素原子のアルキルであり、そしてnは1〜3000、好ましくはPEGが少なくとも約100〜約50,000、好ましくは約300〜約30,000、より好ましくは約500〜約20,000の範囲の質量平均分子量を有するような数である。
【0037】
本発明の実施に有用な(ポリ)エーテル物質のもう一つの種類は、1個以上のオキシエチレン反復単位および1個以上のオキシプロピレン(PO)反復単位を少なくとも含む次式の共重合体である。
O−(CH(CH)CHO)−(CHCHO)−R
式中、RおよびRは各々独立にHまたは直鎖、分枝もしくは環状のアルキル、好ましくはHまたは1〜12個の炭素原子、多くの場合1〜3個の炭素原子のアルキルであり、mは1〜3000であり、nは1〜3000であり、そしてm+nは好ましくはPEGが少なくとも約100〜約50,000、好ましくは約300〜約30,000、より好ましくは約500〜約20,000の範囲の質量平均分子量を有するような数である。望ましくは、m:nの比は約1:4〜約4:1、好ましくは約1:1.5〜1.5:1の範囲内である。この式において、オキシプロピレンのいかなる他の異性体が存在してもよい。
【0038】
所望により、オキシアルキレン単位に加えて、本発明の実施に使用されるいかなる(ポリ)エーテルも、さらに、70質量%以下、望ましくは25質量%以下、より望ましくは10質量%以下、さらに望ましくは2質量%以下の他の共重合し得る物質を含んでもよい。他のそのような物質の例は、炭素−炭素二重結合のような遊離基重合性官能基を含むモノマーである。これらの物質としては、オレフィン(エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系物質、これらの組み合わせなどのような単量体が挙げられる。
【0039】
PEGポリマーおよびEOとPOのコポリマーを含む(ポリ)エーテルポリマーを調製する方法は、当業者に知られている。さらに、多くの場合EO、PO、ブタノール、グリセロールおよび水素を含む出発原料は、商業的に入手可能である。
【0040】
商業的に入手可能な(ポリ)エーテル物質の具体的な例は、ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Co.)から商業的に入手可能なCARBOWAX PEG 8000(質量平均分子量:約8000)およびCARBOWAX PEG 1000(質量平均分子量:約1000)ポリエチレングリコール製品である。他の例としては、ブトキシトリグリコール、トリプロピレングリコールブチルエーテル、テトラエチレングリコールのようなグリコールエーテル類、ならびにダウ・ケミカル社から商品名CELLOSOLVE(たとえばButyl CELLOSOLVE溶媒およびHexyl CELLOSOLVE溶媒)で入手可能なグリコールエーテル類が挙げられる。
【0041】
防腐剤組成物の中に含まれる浸出低減剤の量は、広い範囲にわたって変化してもよい。代表的な実施態様は、金属殺生物剤1質量部当たり浸出低減剤を約0.01〜約200、望ましくは0.5〜約50質量部含むことができる。前記の組成物中の金属殺生物剤の質量%を計算する場合と同様に、金属に対する浸出低減剤の相対的な質量部は、金属源の中に金属と共に含まれているかもしれない他の化学種の質量を含めないで金属自体の質量を基準とする。
【0042】
浸出低減剤は、また、耐浸出性を促進するのを助けるために1種以上の非イオン性界面活性剤の形態であってもよいし、または、さらに別の薬剤と組み合わせて1種以上の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。特に、(ポリ)エーテルと非イオン性界面活性剤の両方を含む防腐剤組成物の実施態様は、(ポリ)エーテルに比べて非イオン性界面活性剤を相対的に少ない割合で使用したときでさえ、優れた耐浸出性を示す。非イオン性界面活性剤とは、界面活性剤が防腐剤組成物中に溶解または分散したときに個別の陽イオン電荷も陰イオン電荷も持たない少なくとも1つの疎水性部分に結合した少なくとも1つの親水性部分を有する化合物をいう。
【0043】
多種多様の非イオン性界面活性剤を使用することができる。好ましい実施態様においては、非イオン性界面活性剤の親水性は、式−(RO)−のポリオキシアルキレン部分によって付与される。式中、Rは1〜5個の炭素原子のアルキレン、特に−CH−(メチレン)、−CHCH−(エチレン)、プロピレン、イソプロピレン、ブチレンまたはイソブチレンであり、そしてwは多くの場合1〜約100である。Rは好ましくはエチレン、プロピレンまたはイソプロピレンである。このポリオキシアルキレン部分は、水と強い水素結合を形成することができ、望ましい親水性を与える。
【0044】
非イオン性界面活性剤の疎水性は、一般に、親水性部分に結合した無極性部分によって付与される。無極性とは、望ましくは、該部分が少なくとも6個〜100個の炭素原子、好ましくは少なくとも10個〜100個の炭素原子を含み、そして6個の炭素原子当たり、好ましくは10個の炭素原子当たり、より好ましくは15個の炭素原子当たり、O、S、N、Pなどのようなヘテロ原子が2個以下であることを意味する。代表的な実施態様においては、疎水性部分は、線状、直鎖もしくは環状のアルキル、アリール、アラルキル;またはアルコールである。好ましいヒドロキシル基は第二級である。
【0045】
非イオン性界面活性剤の代表的な実施態様は、EOまたはEO/PO(ポリ)エーテルとアルコール(望ましくは第二級アルコール)との付加体である。そのような付加体は次の式を有することができる。
O−(RO)−R
式中、Rは、10〜100個、好ましくは10〜50個の炭素原子の直鎖、分枝または線状の非極性基、環状またはアリールであり、Rは各々独立に1〜4個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子のアルキレン基であり、RはHまたは1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜5個の炭素原子を含む一価の基であり、そしてpは1〜200である。そのような付加体の特に好ましい実施態様は、独立に、次の式を有する。
10O−(CHCHO)−(CH(CH)CHO)−H
10O−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)−H
10O−(CHCHO)−(CH(CHCH)CHO)−H
10O−(CHCHO)−(CHCH(CHCH)O)−H
式中、R10は、各々独立に、10〜50個の炭素原子の炭化水素基であり、kは各々独立に0〜80であり、qは各々独立に0〜40であり、ただしk+qは1以上である。付加体がq反復単位の総数に寄与する分枝のオキシアルキレン単位の混合物を含むような変形またはq反復単位の総数に寄与する1個以上の炭素原子からのペンダントアルキル置換基を2個以上含む分枝のオキシアルキレン単位の変形もまた含まれる。多くの場合、商業的に入手可能な製品は、分子量、kおよびqの値が平均値として表わされるようなそのような付加体の個数分布を含むであろう。そのような混合物においては、分子量とは、別段の明示がない限り、この明細書の全体にわたって、質量平均分子量をいう。
【0046】
浸出を低減させるのを助けるのに有効な非イオン性界面活性剤のいかなる量が防腐剤組成物において使用されてもよい。しかし、非イオン性界面活性剤に対する(ポリ)エーテルの質量比が約1より大きな場合に、耐浸出性が増強されることが見いだされた。したがって、(ポリ)エーテル/非イオン性界面活性剤の質量比は、1/1より大きく、好ましくは約2/1〜約50/1、より好ましくは約3/1〜約20/1である。
【0047】
防腐剤組成物は、さらに組成物の性能を増強するために、1種以上の追加の成分を含んでもよい。たとえば、銅のような金属殺生物剤は、微生物、菌類、害虫などに対して望むほど十分な範囲の殺生物性を有しない場合がある。したがって、より十分な殺生物性の範囲を付与するために、防腐剤組成物の中に1種以上の追加の補助殺生物剤が含まれてもよい。追加の補助殺生物剤としては、殺真菌剤(fungicidal biocide)、殺虫剤(insecticidal biocide)、殺カビ剤(moldicidal biocide)、殺細菌剤(bactericidal biocide)、殺藻剤(algaecidal biocide)などの1種以上を挙げることができる。これらの補助殺生物剤は、水溶性であってもよいし、部分的に水溶性であってもよいし、水に不溶であってもよい。難溶性または不溶性である場合、防腐剤組成物中にこれらを分散させるのを助けるために、分散剤またはキレート化剤を使用してもよい。
【0048】
したがって、多種多様の無機および/または有機の殺生物剤を慣行的実務に従って使用してもよい。適切な殺生物剤の広範囲な目録が、米国特許第5,874,025号明細書、ならびに米国特許出願公開第2006/0086284号明細書、米国特許出願公開第2006/0162611号明細書、米国特許出願公開第2005/02566026号明細書および米国特許出願公開第2005/0249812号明細書などの特許文献に提供されている。これらの特許文献の各々の全体が、すべての目的のために、引用によって本明細書に組み入れられる。特に好ましい補助殺生物剤としては、第四級アンモニウム塩、ならびにトリアゾールおよびイミダゾールなどのアゾール物質が挙げられる。塩化ベンザルコニウムまたは炭酸ベンザルコニウムは一つの好ましい第四級アンモニウム塩であり、塩化ジデシルジメチルアンモニウムまたは炭酸ジデシルジメチルアンモニウムはもう一つの一般によく使用される第四級アンモニウム塩である。典型的なアゾールとしてはテブコナゾールおよびプロピコナゾールが挙げられる。
【0049】
他のオプションの成分も、慣行的実務に従って防腐剤組成物において有益に使用してもよい。たとえば、製造過程において、前記組成物を調製し、輸送し、貯蔵し、または他の方法で接触するために金属容器が使用される場合は、前記組成物は腐食抑制剤を含んでもよい。腐食を抑制する量で使用されるホウ酸のようなホウ素含有抑制剤が適切であることが見いだされた。水に加えて、防腐剤組成物の液体キャリヤーは、他の組成物成分を溶解しまたは分散させるのを助けるために、さらに1種以上のオプションの溶媒を含んでもよい。そのような追加の溶媒は、水と十分に混和するか、または成分間の相分離を回避することが望ましいときは控えめな量で使用されるかのいずれかである。そのようなオプションの溶媒の例としては、エタノールおよびイソプロパノールのようなアルコール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、これらの組み合わせなどが挙げられる。他の補助剤としては、慣行的実務に従って使用される分散剤、乳化剤、結合剤、色止め剤、防水剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、乳化剤、帯電防止剤、乾燥剤;沈殿抑制剤;緩衝液;難燃剤;これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0050】
前記組成物は様々な方法で調製することができる。まず、金属錯体を形成するために、金属源および錯化剤を水の中で混合しながら一般に望まれる濃度で混ぜ合わせることが有益である。次に、追加の成分を、1つまたはそれ以上の工程で、前記錯体と混ぜ合わせてもよい。1つの実施の様式によれば、金属錯体を形成する反応は、室温より低い温度で行ってもよいし、室温で行ってもよいし、室温より高い温度で行ってもよい。錯化剤の熱劣化を回避するために、反応混合物を加熱しすぎないようにすることが望ましい。
【0051】
もし望むならば、防腐剤組成物は、最初に、1つ以上の濃縮物(たとえば一液型または二液型濃縮物)として調製し、貯蔵し、および/または出荷してもよい。その後、濃縮物は、生分解性製品を処理するために、2つ以上が使用される場合は混合され、希釈されることができる。広範囲の濃度/希釈スケジュールが使用されてもよい。たとえば、濃縮物は、実際に生分解性製品を処理するために使用される組成物の希釈状態の少なくとも5倍、望ましくは5〜500倍、より望ましくは5〜50倍、最も望ましくは10〜25倍の濃度であってもよい。希釈の時に、多種多様の液体を希釈のために使用することができる。好ましい希釈液体としては、水および/または水混和性液体が挙げられる。水と混和しない物質は、相分離を回避するために、控え目に使用されるべきである。経済的な理由から、水を単独で使用することが、ほとんどの場合に適切であろう。希釈水が金属殺生物剤または組成物の他の成分の過度の沈殿を誘発する化学種を含む場合は、希釈前に水を処理することが望ましいかもしれない。処理の代表的な例としては、物理的または化学的な濾過、抽出、蒸留、逆浸透、軟化、不純物を除去するための他の物質移動技術などの1つ以上が挙げられる。もし望むならば、組成物中に沈殿抑制剤をも含めてもよい。
【0052】
濃縮物は、従来の方法によって調製することができ、たとえばAWPA標準P5−02(2002年に発行された標準P5のことをいう。)の方法によって調製することができる。その後、含浸処理を行なうために使用される最終濃度に希釈する前に、希釈中に、および/または希釈後の任意の時に、浸出低減剤を濃縮物に加えることができる。浸出低減剤は、濃縮物に直接加えることもできるし、適切な液体キャリヤー(多くの場合、水)であらかじめ溶かし、その後、濃縮物に加えることもできる。浸出低減剤は、素速く加えてもよいし、時間をかけてゆっくり加えてもよく、その時間は10秒〜8時間である。素速く加えようがゆっくりと加えようが、成分は望ましくは十分に混合しながら加えられる。適度の加熱は均一な組成物を得るのを助けるために用いられてもよい。濃縮物は一般に長い貯蔵寿命を有するので、濃縮物は、浸出低減剤を加える前、相当な時間、貯蔵することができる。
【0053】
本発明は、また、生分解性基板(特に木製品)が水溶性の金属含有殺生物剤による含浸のための飽和水準を有する傾向があるという認識を伴う。結果的に、木製品は、防腐剤組成物中の活性金属種と強く関係する有限の容量を有する傾向がある。これを超えて木製品に加えられた過剰分は、ずっと浸出しやすく、結果として、もしあったとしても、ほとんど浸出防止期間を長くしない。特に耐浸出性を改善する成分と組み合わせて、この概念を適用することは、従来のずっと高濃度の処理条件よりも希薄な処理条件で、高水準の長期の腐朽防止が達成されることを可能にする。
【0054】
したがって、実施の形態によっては、本発明の態様は、変則的に希薄な防腐剤組成物で含浸を行なうこと、特に、組成物中に含まれている金属含有殺生物剤を保持するために基板の飽和水準を超えずに基板を含浸することを伴う。この実施は、それ自体、より浸出しやすい過剰の金属含有殺生物剤を減少させまたは回避することによって、浸出を低減するのに役立つ。特に好ましい実施態様においては、これらの希薄な防腐剤組成物は、また、さらに浸出防止を増強するために、本発明の1種以上の浸出低減剤を含む。そのような実施の形態によれば、基板を処理するときの防腐剤組成物は、望ましくは、1リットル当たり約0.2金属原子当量未満、好ましくは約0.1金属原子当量未満、より好ましくは約0.06金属原子当量未満、さらに好ましくは約0.04金属原子当量未満の金属殺生物剤の濃度を有する。そのような実施態様においては、処理溶液中の金属殺生物剤の濃度は、有効な水準の生物学的効能を維持するために1リットル当たり少なくとも約0.01金属原子当量であれば望ましい。そのような処理溶液は、濃縮物または濃縮物成分の希釈によって容易に得られる。
【0055】
たとえば、塩基性炭酸銅Cu(OH)COは塩基性炭酸銅1モル当たり2金属原子当量のCuを有するが、炭酸銅CuCOは炭酸銅1モル当たり1金属原子当量のCuを有する。したがって、塩基性炭酸銅を0.06モル含む1リットル溶液は、1リットル当たり0.12金属原子当量のCuを含む。炭酸銅を0.06モル含む1リットル溶液は、0.06金属原子当量のCuを含む。
【0056】
希薄溶液による処理は、より高濃度の溶液による処理を用いることに関係する過度の浸出または環境への影響なしに、生分解性基板を保護することができるという認識は、有効な防腐処理方法を開発するために実用的に用いることができる。たとえば、あるプロトコルによれば、生分解性基板が金属含有殺生物剤を保持する含浸レベルを示す情報が提供され得る。1つの形においては、この情報は、処理された基板試料からCuのような金属殺生物剤が浸出する度合を、処理溶液中の金属殺生物剤の濃度の関数として表すものであってもよい。実際、具体例は、この種のデータを提供し、そしてさらに単なる希釈によって期待される以上に、希釈がどのように試料からの浸出を減少させるかを示す。所望により、この情報は、さらに、希釈の関数としてバイオ効能データを含むことができる。その後、その情報は、金属含有殺生物剤を含む防腐剤組成物を調製するために用いることができる。
【0057】
たとえば、そのデータは、特定の希釈レベルが、より高い濃度よりもずっと少ない浸出で、匹敵する水準の腐朽防止を与えることを決定するために、検討することができる。その後、直接この特定の希釈レベル、濃縮物の希釈、または他の適切な方法に対応して、防腐剤組成物を調製することができる。その後、防腐剤組成物は生分解性基板を処理するために用いられる。
【0058】
任意の実施態様の本発明の防腐剤組成物は、広範囲の用途において広範囲の天然および合成の生分解性製品を処理するために用いることができる。セルロース系生分解性製品の例としては、紙、厚紙、ロープ、ベニヤ単板、木材、製材、セルロース系複合材、加工木材、ならびに合板、ハードボード、パーティクルボード、チップボード、ファイバーボード、ストランドボード、パネルなどのようなシート物品が挙げられているが、これらに限定されない。代表的な最終用途としては、住居用、商用、工業用、および船舶用の内装または外装用途が挙げられ、たとえば、構築木材、縁飾り、羽目板、甲板、梁、鉄道枕木、枕木、橋部品、桟橋、木製車両、船渠、被覆材、箱、パレット、電話線電柱、窓、ドア、ボートおよび船、下張合板、基礎杭、柱、フェンス、マリーナ建造物、ならびに昆虫、菌類、微生物および/または風化の1つ以上による腐朽に弱いその他の構造物が挙げられる。
【0059】
防腐剤組成物は、様々な処理方法を用いて、生分解性製品を処理するために用いることができる。これらの処理方法としては、噴霧、はけ塗り、浸漬、流し塗りのような流掛方法などのような手動方法が挙げられる。これらの処理方法としては、加圧含浸、交互圧力含浸、真空含浸、二重真空含浸などのような自動方法も挙げられる。合成木材製品のためには、防腐剤組成物は、製品を形成するために用いられる他の成分と混合することもできるし、組み立て前にそのような製品の部品を含浸させるために用いることもできる。1つの例証となる方法によれば、生分解性製品は、AWPA T1−02(2002年の商業処理規格)に従って処理することができる。
【0060】
所望により、木製品から最初に生じる浸出のかなりの部分が飽和水準を超えて存在する過剰の金属殺生物剤に関するものであることを認識すると、もし望むならば、処理された木製品を、たとえば、適切な時間、水と接触させることによって、事前に浸出させることができる。そのような事前浸出は、噴霧、浸漬などによって行うことができる。事前浸出は、周囲条件下で行ってもよいし、高圧もしくは減圧および/または高温もしくは低温で行ってもよい。事前浸出効果を促進するために、撹拌を用いてもよい。例証となる事前浸出時間は20秒から10日の範囲である。
【0061】
本発明の組成物の浸出性能は種々の試験方法によって評価することができる。1つの最新の広く認められた試験方法がAWPA E11−97に説明されている。しかし、この試験方法は、たった1つの試験を完結するのに長い時間(300時間超)と多くの費用を必要する。これらの長い時間と多くの費用の負担は、実際には、経済的に合理的な方法で実行することができる試験の数と割合を制限する。したがって、これらの負担は、木製品の防腐剤組成物の分野において、知識の獲得を制限してきたし、発展を遅らせてきた。
【0062】
好都合に、本発明のもう一つの態様は、セルロース系基板からこれらの組成物の浸出特性を評価するための改善された方法(以下に加速浸出試験という。)を提供する。その試験は迅速で低費用である。加速浸出試験は、比較的少ない費用で短時間に多くの試料のデータを集めるのを経済的にする。加速浸出試験によって得られた浸出データは、AWPA E11−97のより厄介な産業規格試験と相関があり、浸出金属%による試料の同一の格付を基準として非常に高い相関が見いだされた。加速浸出試験は、増加した速さで防腐剤組成物について浸出知識を得る機会を大いに拡大した。浸出データを得る方法の使用は著しい利点である。
【0063】
その方法によれば、調査対象の処理組成物の試料は、セルロース系基板を含浸するために用いられる。処理組成物は、銅のような金属殺生物剤を含んでいてもよく、この加速試験は銅が含浸させた試料からどのように浸出するか評価するために用いることができる。試料の調製および含浸はAWPA規格P5−02によって行うことができる。その後、含浸させた試料ブロックは、室温で一晩乾燥し、続いて、金属殺生物剤のような1種以上の成分の一部を基板に直接または間接的に固定させるのを助けるために、35℃のオーブンの中に5日間置く。用語「固定させる」とは、成分を基板に化学的におよび/または物理的に結合させることを意味する。固定は、たとえば、金属含有殺生物剤が長時間、乾燥した基板に接触しているときに自然に生じる傾向があるが、固定は熱処理によって促進される。
【0064】
固定後、含浸した試料ブロックの6つは、浸出を評価するために撹拌しながら25℃で30分〜72時間の時間、0.300リットルの蒸留水に浸漬する。撹拌はイノバ(Innova)4000定温振盪機によって提供される。撹拌は試験進行を促進するのに役立つ重要な特徴である。浸出期間中に浸漬した試料を撹拌した結果として、試験される試料の浸出特性は、屋外において対応する含浸製品の浸出特性と高い信頼度で相関関係を有することができる。1回以上、たとえば試験を始める前、浸出期間中に1回以上、および/または浸出期間後に、試料からの浸出する度合を評価するために、水のCu濃度を試験することができる。
【0065】
加速浸出試験を用いることは知識の著しい獲得につながった。特に、その試験は、木製品が銅のような金属殺生物剤で含浸するための飽和点を有することを示すために用いられた。実用的な効果において、そのデータは、木製品がCu含浸剤を比較的強く結合する有限の容量を有することを示す。飽和水準を超える過剰のCu含浸剤は、それほど強く結合せず、屋外においてはるかに浸出しがちである。飽和は種々のデータによって示される。裏付けデータの1つの種類は、ほとんどの浸出が最初の22時間以内にリアルタイムで非常に迅速に生じることを示す。その後、浸出の速さは非常に遅くなり、木製品のCu含有量ははるかに安定する。これは、飽和水準を超える過剰のCuは緩く保持され、木材から比較的速く浸出するであろうという見解と一致している。
【0066】
銅のような金属殺生物剤に関して飽和効果があるという認識は、ここで教示されるような(ポリ)エーテルまたは非イオン性界面活性剤と組み合わせた(ポリ)エーテルのような添加物を用いることによって浸出を減少させることができるだけでなく、より低い使用率によっても浸出を減少させることができることを意味する。さらに、飽和効果があるという認識は、殺生物活性をはなはだしく減少させずに、より低い使用率を用いることができることを意味する。飽和水準を超える過剰量も長期間の浸出防止に利用できない傾向があるので、より少ないCu含浸剤を使用することができる。言いかえれば、本発明の実施は、多すぎる活性物質の使用によって提供される性能と同一水準の性能を達成するために、より少ない活性物質を使用することができるという認識につながる。使用率を減少させる簡単な方法は、含浸中により希薄な溶液を使用することである。意味深いことに、これは製造、出荷および処理を簡単にし、また環境をも保護しながら、費用を減少させるであろう。
【0067】
飽和概念の認識から生じるもう一つの利点は、ACQ濃縮物を大幅に希釈することができ、それでもなお、基板の優れた保存を提供することができるという認識に関する。結果として、所与の量のACQはもっと希釈することができ、それによって、もとの濃縮物の単位体積当たりより多くの基板を処理するために使用することができる。したがって、意味深いことに、飽和概念は濃縮物の使用率を拡大する。
【0068】
最適の含浸水準は飽和水準でなく、むしろ飽和水準の何割かであってもよいことに注意されたい。理論に拘束されることは望まないが、これは、Cuのような金属殺生物剤が、時間が経つと、基板上の1つの固定部位から別の部位に移動する傾向を有するという確信による。また、Cuのこの移動性は、若干、バイオ効能に寄与するとも考えられている。飽和水準より下で操作することによって、基板の容量はこの移行効果を適応するために提供される。
【実施例】
【0069】
本発明の種々の態様を、次の例証となる実施例によって説明する。次の実施例中で、パーセントおよび部はすべて、別段の明示がない限り、質量基準である。
【0070】
例1
木材処理濃縮物の典型的な調製
次の成分を用いて、1ガロンの容器の中で、3000グラムの木材処理濃縮物Aを調製する。
765グラムのモノエタノールアミン(MEA)
1554グラムの蒸留水
384グラムの塩基性炭酸銅
159グラムのホウ酸
138グラムのFLUKA 12060(塩化ベンザルコニウム)
その手順としては、列挙された順番に各成分を加える。1つの成分は1度に加え、次の成分を加える前に完全に溶解するように各成分の添加の後、よく混合する。
【0071】
典型的な木材処理溶液の調製
1ガロンの容器の中に270グラムの木材処理濃縮物Aを入れ、1620グラムの蒸留水を加え、そして十分に混合することによって、典型的な処理溶液(「木材処理溶液A」)を調製する。これは、水:濃縮物が6:1の希釈に相当する。撹拌を維持しながら、8.8〜9.2のpHが達成されるまで、COをドライアイスの形態で溶液に加える。典型的には、16〜25グラムのドライアイスが必要とされる。
【0072】
木材ブロックの状態調節
立方体の木材ブロック(3/4インチ)を、サザンイェローパインのセレクトグレード板から切り出す。そのブロックは節または他の欠陥がなく、3〜6本の木目を含む。質量3.3〜3.5グラムのブロックを、試験のために選択し、一定湿度室の中に入れ、一晩〜3日の時間にわたって状態調節する。相対湿度は50%〜60%に維持する。
【0073】
木材ブロックの処理
質量標準偏差が±0.2グラムの状態調節した9個のブロックを、処理のために選択する。そのブロックを500mLの枝付き三角フラスコの底に入れる。後で木材処理溶液Aを加えたときにブロックが沈んだ状態に維持するために、ブロックの上に穿孔された軟質プラスチック秤量皿をくさびで固定する。200mLの木材処理溶液Aを含む250mLの均圧添加漏斗を、三角フラスコの塔頂に連結する。フラスコの枝を真空装置に連結する。250±5mmHgに維持しながら、20分間、減圧に引く。20分後、木材処理溶液Aをブロックに加え、その後、減圧を止める。ブロックを、30分間、木材処理溶液Aの中に留める。30分後、溶液の上澄みを捨て、ブロックを容器から取り出す。ペーパータオルの上に各ブロックの各面を軽く押し当てることによって、ブロックから余分な液体を取り除く。その後、各ブロックの質量を量り、棚に置いて乾燥する。ブロックの各組を室温で一晩乾燥した後、それらを、35±1℃に維持した温度で5日間強制空気対流炉の中に置く。ブロックの乾燥速度を制御するのに役立つように、蒸留水の容器を炉の底に置く。
【0074】
銅浸出試験
5日後、ブロックを炉から取り出す。吸収された処理溶液の最も近い質量を有する1組9個の内の6個のブロックを、1パイントの瓶の中に入れ、蒸留水を300mL加える。6個のブロックを含む瓶を、軌道振盪機の上に置き、150rpmで4時間撹拌し、その後130rpmで18時間撹拌する。
振盪機から取り外した後、得られた浸出液の試料を45μmのナイロン膜を用いて濾過して懸濁した細かい木材粒子を除去し、ICP(誘導結合プラズマ)によって銅を分析する。浸出液中に見いだされたCuの量(ppm)は、ブロックから溶液の中に浸出した銅の量を示す。より高いppm値は、より多くの浸出が生じることを示す。
この例に説明した手順を、1組6個のブロックの合計8組の試料について繰り返す。結果を表1に示す。「銅ppm」の下の値は、6個の対応するブロックすべてからの液体の中の銅の量(質量基準)を表わす。これらの試料のいずれも、本発明の銅浸出防止添加物を含まないことに注意されたい。銅浸出結果の変動は、これらのすべての試料を通じて、5%未満である。
【0075】
【表1】

【0076】
例2
添加物を含む木材処理溶液の調製
この例は、木材処理溶液における本発明の添加物の使用がいかに劇的に銅の浸出を低減させることができるかを示す。各々異なる添加物および/または添加物濃縮物を使用して、一連の木材処理溶液を調製する。使用した添加物およびそれらの略称を次に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
これらの添加物の1種以上を含む試料を調製するために、木材処理濃縮物Aを希釈することによって木材処理溶液Aを調製した後に、所望の添加物を木材処理溶液Aに配合する。配合手順は、8オンスの容器の中に適量の添加物を入れる工程、200グラムの6:1希釈標準処理溶液を加える工程、および完全に溶解するまで攪拌する工程を含む。例1において使用した手順に従って、木材ブロックを状態調節し、処理し、浸出試験に供する(たとえば、9個のブロックを状態調節し処理し、その後、これらのうちの6個を浸出試験のために選択する。)。
各試料について、添加物、添加物を加えた後の結果として生じた木材処理溶液Aの全質量を基準として木材処理溶液Aに加えられた各々の個々の添加物の質量%、溶液Aに加えられたすべての添加物の質量%の合計、および22時間後に浸出したCuの量(ppm)を、表2に示す。水より低い蒸気圧を有しかつ分子量が100より大きい非イオン性水溶性添加物の例はすべて、例1において用いた対照試料に比べて低減された銅浸出を示す。例2uおよび2vは、塩基性(非中性)の錯体形成性アミンの場合は増加した銅浸出が観察されたことを示す。例2ff(1%のメタノール+1%のペンタノール)は、分子量が100未満の非イオン性添加物が感知できるほどの銅浸出低減効果をほとんど示さないことを示す。例2a〜2tから、非イオン性界面活性剤およびPEGは、単独でも組み合わせでも、銅の浸出を低減するのに特に有効であることが分かる。次の表において、質量%は、結果として生じた溶液の全質量を基準とする。
【0079】
【表3】

【0080】
例3
この例は、本発明の添加物がどの程度Cu浸出を防止することができるかに対して木材処理濃縮物Aの希釈が及ぼす影響がどの程度増加するかを示す。溶液調製および試験方法はすべて、木材処理溶液Aの調製を除いて、例1と同じである。この例では、木材処理濃縮物Aを蒸留水で10:1に希釈して、木材処理溶液Aを調製する。また、本発明の添加物は、例2に記載したように、処理溶液に組み入れる。2つの対照標準(Cu浸出防止のための添加物が加えられていないもの)とともに本発明の試料の銅浸出結果を、表3に示す。質量%は、結果として生じた溶液の全質量を基準とする。
【0081】
【表4】

【0082】
本発明の添加物を含まないそれらの試料において、表2は、金属殺生物剤の濃度は例1に比べて38%しか減っていないのに、浸出が約57%〜60%減ったことを示す。浸出のより大きな減少率は、少なくとも一部は、上に説明した飽和効果によると考えられる。より希薄な処理溶液を用いたときは金属殺生物剤の過剰分の存在はより少ないので、より容易に浸出する過剰分の存在はより少ない。本発明の添加物を含む試料は、本発明の添加物を使用したときに浸出の減少がいかに大きいかを示す。これらの同一の傾向は、下記の表4および5に関しても観察される。
【0083】
例4
この例も、本発明の添加物がどの程度Cu浸出を防止することができるかに対して木材処理濃縮物Aの希釈が及ぼす影響がどの程度増加するかを示す。溶液調製および試験方法はすべて、木材処理濃縮物Aを蒸留水で17:1に希釈して木材処理溶液Aを調製する点以外は、例3と同じである。本発明の試料についての銅浸出結果を、2つの標準についての銅浸出結果とともに、表4に示す。質量%は、結果として生じた溶液の質量の合計を基準とする。
【0084】
【表5】

【0085】
例5
この例も、本発明の添加物がどの程度Cu浸出を防止することができるかに対して木材処理濃縮物Aの希釈が及ぼす影響がどの程度増加するかを示す。溶液調製および試験方法はすべて、木材処理溶液Aの調製を除いて、例3と同じである。この例では、木材処理濃縮物Aを蒸留水で28:1に希釈して木材処理溶液Aを調製する。本発明の試料についての銅浸出結果を、2つの標準についての銅浸出結果とともに、表5に示す。質量%は、結果として生じた溶液の質量の合計を基準とする。
【0086】
【表6】

【0087】
例6
AWPA標準P5−02に従って、塩基性炭酸銅、モノエタノールアミン、塩化ベンザルコニウムおよびホウ酸から、8種のACQ−C濃縮物を調製する。PEGおよび/または非イオン性界面活性剤を、希釈前に試料のうちの7種に加える。銅が0.6質量%の処理溶液になるように希釈したとき、8種の試料は次の組成を有する(質量%は結果として生じた溶液の質量の合計を基準とする。)。
6a 標準ACQC、添加物なし
6b +3質量%PEG8000
6c +3質量%15−S−40界面活性剤
6d +1.5質量%PEG8000
6e +1.5質量%15−S−40
6f +1.5質量%PEG8000/1.5質量%15−S−40
6g +1.5質量%PEG8000/1.5質量%15−S−40
6h +2.25質量%PEG8000/2.25質量%15−S−40
試料6gにおいては、濃縮物が変更される。892グラムのMEAを用いるのではなく、844グラムのMEAおよび123グラムのトリエタノールアミン(TEA)を用いる。また、濃縮物のpHは、約7.8〜8.0で、より低い。その他の濃縮物調製条件はすべて同じである。サザンイェローパインの立方体(3/4インチ)をAWPA E7に従って調製し、その後、AWPA E10に従って、上記処理溶液を含浸させる。乾燥および固定後に、AWPA E11に従って、そのブロックを水の中で浸出させる。表6に、0〜312時間の間に浸出した銅のパーセントを示す。試料6bおよび6cが最も良好な結果、すなわち6a(標準)よりも浸出が49%および35%少ない結果を与える。%はすべて、結果として生じた溶液の質量の合計を基準とする質量%である。
【0088】
【表7】

【0089】
例7
次の点以外は例2と同様の手順を用いる。サザンイェローパインのブロックを、不規則にそして木目を考慮せずに選択する。ブロックの水含有量は未知であり、防腐剤で処理する前に湿度を制御する努力はされない。また、浸出のために、より速く、より激しい前後の撹拌(往復運動)を用いる。上記の変更は浸出を減少させる添加物のより迅速なスクリーニングに帰着する。その結果は、例1よりも条件が厳しく、例1ほどきちんと制御しないときでさえ、本発明の原理がCuの浸出を効果的に防止することを示す。
【0090】
【表8】

【0091】
本発明の範囲および精神から外れずに、本発明に種々の変更および修正を加えることは、当業者にとって明らかであろう。当然のことながら、本発明は、ここに示した説明的な実施態様および実施例によって不当に限定されるものではなく、そのような実施例および実施態様は例として提示されるものであり、本発明の範囲はこの後に示す特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性基板を処理するための水性防腐剤組成物であって、
該組成物は、
a)金属殺生物剤の源、
b)金属殺生物剤の少なくとも一部と水溶性錯体を形成するのに有効な量の錯化剤、および
c)少なくとも約100の分子量を有し、25℃で水の蒸気圧より低い蒸気圧を有する少なくとも1種の水溶性かつ実質的に非イオン性の薬剤
を含む成分から誘導され、
該組成物が、前記薬剤を含まないこと以外は同一の組成物に比べて、該組成物を含浸した生分解性基板から、錯体形成した金属殺生物剤の浸出を減少させるのに有効な量の薬剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
金属殺生物剤がCuを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該組成物が、アゾールおよび第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の追加の殺生物剤を含むことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分がさらに腐食抑制剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
浸出低減剤が少なくとも10質量%の酸素を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
浸出低減剤が1つ以上のオキシアルキレン単位を含むことを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
該組成物が銅1質量部あたり約0.01〜約200質量部の浸出低減剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
該組成物が銅1質量部あたり約0.5〜約50質量部の浸出低減剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも実質的にすべての金属殺生物剤を錯体にするのに十分な有効量の錯化剤が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
錯化剤がアルカノールアミンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
錯化剤がモノエタノールアミンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
浸出低減剤が(ポリ)エーテルを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
(ポリ)エーテルが、少なくとも1つのオキシエチレン基を有しかつHおよび線状、分枝または環状アルキルならびにこれらの組み合わせから選択される末端基を含有する(ポリ)エチレングリコールを含むことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
(ポリ)エーテルが式
O−(CHCHO)−R
(式中、RおよびRは各々独立にHまたは直鎖、分枝または環状アルキル、好ましくはHまたは1〜12個の炭素原子のアルキルであり、そしてnは(ポリ)エーテルが100〜50,000の範囲内の質量平均分子量を有するように平均値を有する。)を有することを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
(ポリ)エーテルが約300〜約30,000の範囲内の質量平均分子量を有することを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
(ポリ)エーテルが約500〜約20,000の範囲内の質量平均分子量を有することを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
浸出低減剤がさらに、該組成物を含浸したセルロース系基板から銅が浸出する傾向を減少させるのに役立つのに有効な量の非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
非イオン性界面活性剤が、少なくとも1つのオキシアルキレン単位を含む反応物とアルコールの付加体であることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
アルコールが第二級アルコールであることを特徴とする請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
該組成物は少なくとも実質的にCrを含まないことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
該組成物は少なくとも実質的にAsを含まないことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
該組成物は少なくとも実質的にCrもAsも含まないことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
生分解性基板を処理するための水性防腐剤組成物であって、
該組成物は、
a)金属殺生物剤の源、
b)少なくとも約100の分子量を有し、水の蒸気圧より低い蒸気圧を有する第一の水溶性かつ実質的に非イオン性の薬剤、および
c)非イオン性界面活性剤を含む第二の水溶性かつ実質的に非イオン性の薬剤
を含む成分から誘導され、
該組成物は、第一の薬剤を含まないこと以外は同一の組成物に比べて、該組成物を含浸した生分解性基板から金属殺生物剤の浸出を減少させるのに有効な量の第一の薬剤を含み、
非イオン性界面活性剤に対する水溶性かつ実質的に非イオン性の第一の薬剤の質量比が1よりも大きいことを特徴とする組成物。
【請求項24】
非イオン性界面活性剤が式
−(RO)
(式中、Rは各々独立に1〜5個の炭素原子のアルキレン基であり、そしてwは1〜約100である。)
の親水性ポリオキシアルキレン基を含むことを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
金属殺生物剤がCuを含むことを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
非イオン性界面活性剤が式
O−(RO)−R
(式中、Rは10〜100個の炭素原子の直鎖、分枝または線状の非極性基、環状またはアリールであり、Rは各々独立に1〜4個の炭素原子のアルキレン基であり、RはHまたは1〜10個の炭素原子の1価の基であり、そしてpは1〜200である。)
を有することを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
非イオン性界面活性剤が式
10O−(CHCHO)−(CH(CH)CHO)−H
(式中、R10は10〜50個の炭素原子の炭化水素基であり、kは0〜80であり、qは0〜40であり、ただし、k+qは1以上である。)
を有することを特徴とする請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
第一の水溶性かつ実質的に非イオン性の浸出低減剤と非イオン性界面活性剤の質量比が約2:1〜約50:1の範囲内にあることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
第一の水溶性かつ実質的に非イオン性の浸出低減剤が非イオン性(ポリ)エーテルであり、そして前記(ポリ)エーテルと非イオン性界面活性剤の質量比が約3:1〜約20:1の範囲内にあることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
非イオン性(ポリ)エーテルが約100〜約50,000の範囲内の質量平均分子量を有するポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
非イオン性(ポリ)エーテルが約300〜約30,000の範囲内の質量平均分子量を有するポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
非イオン性の第一の水溶性の浸出低減剤が、約500〜約20,000の範囲内の質量平均分子量を有するポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項33】
生分解性基板処理組成物の浸出特性を試験する方法であって、
a)少なくとも1種の遷移金属を含む処理組成物を、生分解性基板を含浸するのに使用する工程、
b)含浸した基板を少なくとも一部乾燥する工程、
c)処理組成物の1つの成分の少なくとも一部を基板に固定させる工程、
d)含浸した基板を水性媒体の中に浸漬する工程、
e)浸漬工程の少なくとも一部の間、水性媒体を撹拌する工程、および
f)浸漬の少なくとも一部の間に基板から浸出した少なくとも1種の遷移金属の量を示す情報を決定する工程
を含む方法。
【請求項34】
前記決定する工程が、30分〜72時間浸漬した後に行われることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記浸漬する工程が制御された温度の環境において行われることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
生分解性基板を含浸させるために、請求項1〜33のいずれか1項に記載の組成物を使用する工程を含む、生分解性基板を保護する方法。
【請求項37】
a)(ポリ)エーテルを含む成分を用意する工程、
b)Cuおよび錯化剤を含む成分から誘導された木材処理組成物の中に(ポリ)エーテルを含ませる工程、
c)(ポリ)エーテルを加えた後に、該組成物を、生分解性基板を処理するために使用する工程
を含む生分解性基板を処理する方法。
【請求項38】
(ポリ)エーテルを加えた後に該組成物を希釈する工程をさらに含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
工程(a)の成分がさらに非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項40】
a)(ポリ)エーテルおよび非イオン性界面活性剤を含む成分(ただし、非イオン性界面活性剤に対する(ポリ)エーテルの質量比は1より大きい。)を用意する工程、
b)Cuを含む成分をも含む防腐剤組成物の中に(ポリ)エーテルおよび非イオン性界面活性剤を含ませる工程、
c)(ポリ)エーテルを加えた後に、生分解性基板を処理するために該組成物を使用する工程
を含む生分解性基板を処理する方法。
【請求項41】
生分解性基板処理組成物の浸出特性を試験する方法であって、
a)遷移金属と、水より低い蒸気圧および約100より大きい分子量を有し、所望により約4〜約55質量%の酸素を含有する水溶性薬剤とを含む処理組成物を、生分解性基板の含浸に使用する工程、
b)含浸した基板を少なくとも一部乾燥する工程、
c)処理組成物の1つの成分の少なくとも一部を基板に固定させる工程、
d)含浸した基板を水性媒体の中に浸漬する工程、
e)前記浸漬する工程の少なくとも一部の間、水性媒体を撹拌する工程、および
f)浸漬の少なくとも一部の間に基板から浸出した遷移金属の量を示す情報を決定する工程
を含む方法。
【請求項42】
a)生分解性基板が金属含有殺生物剤を保持する含浸水準を示す情報を用意する工程、
b)金属含有殺生物剤を含む防腐剤組成物を調製するために前記情報を使用する工程、および
c)生分解性基板を処理するために防腐剤組成物を使用する工程
を含む、防腐剤組成物で生分解性基板を処理する方法。

【公表番号】特表2011−506444(P2011−506444A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537964(P2010−537964)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/013626
【国際公開番号】WO2009/078945
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(591123001)ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス テクノロジー エルエルシー (85)
【Fターム(参考)】