説明

処理液流れの中に種々の流れを混合するための方法及び装置

本発明は、処理液流れの中に種々の流れを混合するための方法及び装置に関する。本発明の方法及び装置は、特に好適には、製紙で使用されるパルプに種々の化学物質を導入することに適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液流れの中に種々の流れを混合するための方法及び装置に関する。本発明は、すべての工業分野における処理液の処理に使用されるのに適する。本発明の方法及び装置のための特に好適な用途として、紙パルプ産業のパルプ懸濁液、部分的なパルプ(partial pulp)の懸濁液及び繊維懸濁液内に種々の化学物質を導入することが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
以下では、本発明及び本発明の背景技術を製紙に関連させてより詳細に説明する。しかし、これは本発明の種々の用途の単なる一例として理解されなければならない。というのは、混合機の同様の用途及び混合に関する問題を幅広い工業分野において見ることができるからであり、また、それらを解決することが所望されていることを確認することができるからである。製紙では、数え切れないほどの他の工業分野と同様に、物質を混合することが必要である。以下では、この物質をその用語の可能である最も広い意味において化学物質と呼ぶことにし、したがって、この用語は、淡水(より一般的には、液体)、空気(より一般的には、気体又は蒸気)を包含し、さらには、種々の処理化学物質(treatment chemical)及び別の化学物質を排除しない何らかの別の固体物質をパイプフローに導入することも包含する。一部の事例では、化学物質を液体又は気体の流動物質に混合するためには、実際のチューブフロー内での乱流を利用することにより、チューブフローに所望の量の化学物質を流し込むだけで十分である。場合によっては、化学物質が加えられる箇所のわずかに後ろの、静的流れ障害構造(static flow hindrance)、回転混合機、又は、例えば遠心ポンプのいずれかの、乱流発生機械装置が存在するパイプフローの箇所に所望の量の化学物質を排出させる。一部の事例では、化学物質は、プロセス内に配置される比較的大型のタンク内に導入され、これは、直接に行われるか、又は、例えば、物質をタンクに誘導することによって行われ、したがって、必要となる混合機がタンク内に配置される。
【0003】
しかし、多くの事例において、より大幅に迅速で効率的な混合方法が必要とされている。その一例は、例えば、非常に高速の反応を用いてオゾンなどの化学物質をセルロース系繊維懸濁液に混合することである。混合が緩やかに行われる場合、オゾンは、化学物質導入開口部に近接して位置するパルプの部分をスポイルする時間を有するが、オゾンはパルプの一部分に到達する時間を有さないので、パルプの一部分は完全に処理されないままであり、その部分は早く使い切られる。このような化学物質は非常に迅速で完全な混合方法を必要とする。
【0004】
別の例は、例えば、互いに反応して均等なサイズの充填材粒子を生成する、又は例えばパルプの繊維又は微細物質と共にマイクロフロックを形成すると考えられる2つの化学物質をパルプ内に導入することであってもよい。このような用途に緩やかな混合方法が使用される場合、例えば以下のような問題が起こることは明白である。すなわち、
− 両方の化学物質がパルプ内に存在する間中、新しい粒子が生成され、古い粒子のサイズが増大するので、粒子のサイズが広範囲に変わる、
− これは形成後のフロックにも当てはまり、全く同じ理由で、フロックのサイズが変わる、
− さらに、保持化学物質(retention chemical)によりパルプの微細物質を繊維状物質に固着させることが目的であるので、保持化学物質は、混合時間が長くなってもパルプ流れのすべての箇所に確実に十分に存在するような量で導入されなければならない。
【0005】
上述の問題は、Wetend Technologies Oyの特許公開EP−B1−1064427、EP−B1−1219344、FI−B−111868、FI−B−115148及びFI−B−116473でも考察されており、ここでは、導入液体(introduction liquid)を使用する噴射混合が迅速な混合のための解決策として提示されている。小径のパイプに対して1つの混合機で十分となるように、また、わずかに大きいパイプでは同じ円周上にある2つの対向するノズルが使用されるように、また、これよりわずかに大きいパイプでは同じ円周上で120度の間隔で配置される3つのノズルが必要となるように、噴射ノズルをプロセスパイプの円周に適切に配置することで、例えば製紙の保持化学物質の導入及び対応する混合において、動作的に現在最良の混合構成が提供される。
【0006】
一部の用途では、多数の化学物質を実質的に同時に導入することが必要であるので、特許公開FI−B−116473が導入システムを開示しており、ここでは、上述した特許で考察された噴射ノズルに隣接してそのすぐ上流側に開口部が存在し、その開口部から第2の化学物質がちょうど十分な圧力差で所望の量だけフローパイプ/プロセスパイプへ流れることが可能であり、ここでは、上記の第2の化学物質はプロセスパイプの内部表面に沿って噴射ノズルの開口部まで流れ、その開口部から導入液体及び第2の化学物質の高速の噴流が入って第2の化学物質がさらに処理液に混合される。
【0007】
しかし、上述の解決策では、とけわけ以下の問題が見られる。すなわち、
− 多くの過酷な条件においては、混合が所望されるほど効率的ではなく、また、所望されるほど迅速ではない
− 非常に多量の第2の化学物質を混合するには1つの噴射噴流では十分ではない
− 一部の事例では、2つの化学物質の導入箇所の間の距離が比較的長いことが必要であり、すなわち、全体の流れに入る第1の化学物質が十分に均等に混合されるには、2秒以上程度必要である。実際には、このことは例えば、抄紙機の短い循環流において、2つの混合機の間に5メートル以上の距離があることを意味する。
【0008】
上の問題とは別の問題として、一部の化学物質又はそれらの反応生成物がすべての固体物質の表面に沈殿又は固着する傾向があることに言及しておかなければならない。したがって、パルプの繊維の表面又は懸濁液中の別の固体の表面に対する所望の沈殿に加えて、実際のプロセスパイプの表面又はその中に配置される構造物の表面(混合機の種々の表面も含む)に対しても沈殿又は固着が起こる可能性がある。このような沈殿又は固着は決して望ましいものではない。というのは、これらの沈殿又はそこから離れた粒子/部片は、どこかの時点において、最終生成物の生成を何らかの形で阻害するか、又はさらには、最終生成物の品質にとって有害となるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の従来技術の問題の少なくとも一部に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの目的は、容易且つ迅速に反応する化学物質及び多数の化学物質の両方をプロセスフローにほぼ同時に混合するときに高い信頼性で効率的に動作する新規のタイプの混合装置を提供することである。
【0011】
本発明の課題はまた、容易且つ迅速に反応する化学物質及び多数の化学物質の両方が単純な形で効率的にほぼ同時にプロセスフロー内に混合され得る、方法を提供することである。
【0012】
好適な一実施形態によると、処理液流れの中に種々の流れを導入するための、本発明による方法では、プロセスパイプ内を流れる処理液に第1の流れを実質的に垂直に噴射することにより、導入液体により第1の流れが導入されて混合され、また、この方法は以下のことを特徴とする。すなわち、第2の流れが導入されることにより第1の噴射流れによって形成された混合場が強化されるような、第1の流れの導入を基準としたある箇所において第2の流れを処理液に噴射することにより、第2の流れが処理液の流れ方向に対して実質的に垂直に導入される。
【0013】
処理液流れの中に種々の流れを導入するための、本発明の好適な一実施形態による装置は、処理液を運ぶためのプロセスパイプと、処理液の流れ方向に対して実質的に垂直に、プロセスパイプ内に第1の流れを導入して混合するための少なくとも1つの噴射混合機と、を備え、噴射混合機がプロセスパイプの壁に取り付けられるものであり、処理液の流れ方向に対して実質的に垂直に第2の流れを導入して混合するための少なくとも1つの噴射混合機が、下流のプロセスパイプの軸を通って横断する実質的に同一の高さで、第1の流れを導入するための少なくとも1つの噴射混合のから一定の距離のところに配置され、第1の流れ及び第2の流れを導入するためのこられの噴射混合機により噴射混合機ペアが形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明による方法及び装置の特有の別の特徴が、添付の特許請求の範囲と、以下の図に関連させて本発明の最も好適な実施形態を開示する以下の記述とから明らかとなる。
【0015】
試験により、本発明の手段によって達成される利点に以下のことが含まれることが分かった。すなわち、
□ 化学物質が、1秒未満、場合によって0.1秒未満で、ほとんどの目的において十分なくらいに均等に混合される
□ 別の化学物質と反応する2つの化学物質の反応がやはり1秒未満で起こる
□ これらの化学物質(沈降炭酸カルシウム(precipitated calcium carbonate(PCC))など)の反応で生成される結晶の粒度分布、より一般的には生成物の粒度分布が、非常に均等になり、実際には、例えばPCCの任意の既知の生成方法と比較して、より均等になる
□ 本発明の特別な特徴を使用することにより、沈殿の発生範囲が使用可能な洗浄手法にとって現実的な寸法まで縮小されるので、プロセスパイプの表面に対する化学物質(単数又は複数)及び/又はその反応生成物の沈殿及び固着が防止され得る
□ 本発明の効率的且つ迅速な混合装置は、より腐食性の化学物質及び添加物を使用すること又は開発することを可能にする。
【0016】
以下では、本発明による方法、装置及びその動作を、添付の概略図を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1a及び1bは、従来技術のインジェクションフィーダの位置及び動作を概略的に示す図である。
【図2】図2a及び2bは、本発明の好適な一実施形態による化学物質噴射混合装置の構造及び動作を概略的に示す図である。
【図3】本発明の別の好適な他の実施形態を概略的に示す図である。
【図4】本発明の別の好適な他の実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の起点は産業プロセスのプロセスパイプであり、このパイプは処理液をプロセスステップまで運び、このプロセスステップには、最終生成物を生成すること、又は、例えば、さらなる精製のため又は最終用途のために輸送するためのタンクまで処理液を運ぶことが含まれる。上記の処理液は1つ又は複数の液体成分及び/又は気体成分を含むことができ、上記の処理液はまた、1種類又は複数の種類の固体を含むことができる。上記の処理液の選択肢の例には、製紙業の繊維懸濁液、すなわち、少なくとも水と、繊維と、微粉と、充填材粒子とから構成されるパルプが含まれる。以下では、製紙業の一例を参照しながら、沈降炭酸カルシウム(PCC)を生成するための噴射混合機装置の従来技術の使用法と本発明とを比較して、本発明をより詳細に開示する。
【0019】
例えば製紙産業におけるPCCのインライン生成(in−line production)における噴射混合機の好結果の使用法が特許出願WO−A2−2009103854で考察されている。この特許公開は、二酸化炭素及び石灰乳を導入するのに使用される噴射混合機を配置することによりいかにして化学物質が導入されるかを開示しており、ここでは、パイプフローに関連する混合のために確保される距離は5メートルから15メートルであり、これは時間に置き換えるとヘッドボックスアプローチパイプ内の約3m/sから5m/sの流速を基準として約1秒から5秒に相当する。上記の特許出願で開示されている方法は、既に、従来技術と比較して、PCCの非常に高い品質を実現しており、さらにはPCCを均等に分布させることをしているが、それでも、実現される反応時間及び距離の両方さらにはPCCの品質に関して依然として改善の余地がある。
【0020】
製紙産業においても又は任意の別の産業においても、5メートルから25メートルの長さを有する反応器をプロセスパイプライン内に配置することには当然のことながら問題がある可能性がある。特にPCCの生成に関するさらには別の多くの生成物の生成に関する1つの問題は、導入される少なくとも1つの化学物質又はその反応生成物(単数又は複数)がプロセスパイプの表面又はプロセスパイプ内の1つ又は複数の構造物の表面に沈殿するか又はそれらに付着する傾向があることである。特別な洗浄装置を使用してこれを防止することが望まれる場合、洗浄装置の長さを混合/反応ゾーンの全長まで延長しなければならず、その場合、10メートルの長さを有する洗浄装置を配置することには問題があること及びその投資が安価ではないことは明白である。
【0021】
PCCの品質に関する限りでは、そのインライン生成には、二酸化炭素(CO)及び石灰乳(Ca(OH)))を、パルプ、或いは、部分的なパルプ、すなわち、抄紙機のヘッドボックスに向かって流れている製紙に使用される部分的な流れの中に導入して混合することが必要となる。PCCを製紙における充填材として使用する場合、上述したように、紙の品質にとって、PCC結晶が可能な限り均等なサイズ及び形状であることが重要となる。PCCの結晶径の偏差がPCCの結晶化反応がどのくらい長い時間継続するかにほぼ完全に依存することは以前から知られている。言い換えると、結晶化に使用される時間が長くなると、形成される結晶のサイズの偏差が大きくなる。その理由は、単純に、新しい結晶が継続して形成される間も、前に形成された結晶の表面上で結晶化が継続するからである。
【0022】
したがって、PCCの生成において、結晶化反応時間を可能な限り短くすることを試みることが有利であることは明白である。化学反応としての結晶化自体は継続時間が非常に短いので、結晶化反応の全継続時間を考察する場合、何らかの別のファクタを重要視しなければならない。化学反応時間に加えて結晶化の全継続時間に影響する唯一のものが物質移動であり、これはすなわち、炭酸イオン(CO2−)及びカルシウムイオン(Ca2+)が互いをいかにして見つけるかである。我々が実施した試験によると、上記の時間に影響するファクタは、実際には、二酸化炭素の気泡径、石灰乳の粒径、及び、混合の濃さのみである。同じ試験により、混合を可能な限り均等して気泡径及び粒径を非常に小さくする限りにおいては、例えば、所望の量の結晶すなわち使用される化学物質の量(製紙のための充填材を生成する文脈での現実的な量)が反応時間にそれ程影響しないことが分かった。その理由は、導入される化学物質の量が互いを基準に化学量論的である場合、混合が迅速且つ均等に行われれば、物質移動に要する遅延がそれほど大きくならずにそれらの化学物質が互いに反応するからである。
【0023】
したがって、我々が実施した試験の成果は、PCCの生成を一例として、噴射混合機を用いて混合がいかに迅速に行われ得るか、及び、その混合がどのような手段で行われ得るかを確認したことである。当然、このような事例の場合、起点は、噴射混合で何らかの改善を行うことができるかを確認することを重要視した、噴射混合機の動作の綿密な研究でなければならない。
【0024】
図1aは、プロセスパイプ20の長手方向の断面としての、従来技術の噴射混合機10と、処理液を運ぶプロセスパイプ20内の噴射混合機10によって形成される流動場と、の概略図である。一方、図1bは、噴射混合機から吐出される化学物質の噴流がプロセスパイプ内で最大に浸透していると見なされるパイプの断面箇所における、パイプ内の、図1の混合機によって形成される流動場を示している。この箇所以降、実際には、流れの自然な乱流のみによってさらなる混合が起こる。これらの図は、従来技術の方法を使用し、処理液の流れ方向に対して実質的に垂直(処理液に対する直角方向の+/−30度)に噴射することにより化学物質が導入され、且つ、プロセスパイプ20内の処理液の流れ速度と比較して噴射混合機10のノズルから出るときの噴射速度を高く(3倍から12倍)した場合、噴流の運動エネルギーが大きいので噴流が一定距離の間その形状及び方向を維持することを示している。図1a及び1bでは、これは、最大範囲の3分の1から4分の1までの噴流の範囲に相当する。この後、噴流は先ず流れ方向に曲がり始め(図1aの右側)、次いで側方に広がり始める(図1bで確認することができる)。側方に広がることにより、噴流の縁領域では、パイプ内を流れる処理液の運動速度(kinetic velocity)及び噴流の上記処理液との間の剪断力の両方により、噴流の速度が噴流の中央よりも速く低下する。噴流のこの低速の層は(パイプの長手方向において)パイプフロー内に徐々に入っていき、反対方向に螺旋状に混合される2つの渦を形成し、これらの渦は、パイプ内を流れる処理液及びそれらと共に移動する任意の固定及び化学物質を取り込むことができる。噴流全体は、渦の作用により、パイプの断面全体に実質的に広がる傾向があるこれらの2つの渦に徐々に分割され(実際には、これに必要となる混合機の数量はパイプの直径によって決まる)、これは、渦の運動エネルギーがパイプフローを制御しなくなり且つパイプフロー内に概して形成される制御されない乱流を妨げなくなるような大きさになるまで継続する。図1aの垂直線Mは、反対に回転する螺旋が形成される流動場の位置、すなわち、最初に回転し始めた噴流の部分がプロセスパイプの混合機側に戻る方向に入る流動場の位置を示している。実際には、これは、化学物質と導入液体との噴射される混合物が、少し前にそれが導入されたところのパイプの壁の側面に接近する傾向があること意味する。さらに移動して線Mの右側に到達すると、反対に回転する2つの渦は弱まる、すなわち、これらの渦はより明確に一体化されてパイプフローの制御されない全体の乱流内へと消滅する。噴射混合機の上述の正確な動作を、PCCの生成を考察する上述のWO出願に記載される混合機構成と比較したところ、流れの中に入る、各噴射混合機によって形成される効率的に混合されて拡大する特定のタイプの流動場(図1bに示される)が、WO出願の構成においては、プロセスパイプの後方の位置に配置される第2の混合機の前で大部分が減衰する時間を有することに気づいた。
【0025】
1つの噴射ノズルの後ろでの流動場のこのような挙動が詳細に解明されており、第2の化学物質が導入される前に流動場が減衰することが確認されている場合、噴射混合機から吐出される噴流が実質的にプロセスパイプの断面全体に広がる傾向がある領域では混合が非常に強まることが推定される。これは、良好な混合のために十分な渦強度を少なくとも維持するために又はさらにはその強度を増大させるためにより多くのエネルギーを1つの噴射混合機の流動場に与えることができる手法を見出すことを促進する。1つの噴流がパイプの反対側まで及ばないのに対して、反対に回転する渦がパイプの全直径に及ぶように拡大する傾向があることは、強度を増大させることが期待される根拠となった。このための解決策は、第1のノズルによって形成された流動場がそれ程減衰されないように、第2の噴射ノズルを第1のノズルに十分に接近させて配置してみることであった。
【0026】
図2a及び2bに関連して示される以下の実施例は、上で簡単に説明した解決策を使用するPCCのインライン生成を考察する。言い換えると、噴射ノズルがプロセスパイプ内で互いに非常に接近して連続的に配置され、一部の文脈で提示したように円周方向においては並置されない、図2aに示されている解決策が試験された。プロセスパイプの円周上に平行に配置される噴射ノズルは混合の効率を向上させることが予想されたが、流動場の動きを見るための我々の試験により、制御されない非常に強力なカオス(chaos)タイプの混合を引き起こすような、大きなポンプ動力を必要とする非常に強力な噴射を使用しない限り、実際には混合効率が向上しないことが確認された。新規の試験構成は、例えば、図1aに示される、流れの中に噴射される化学物質の流動場を観察した結果であった。
【0027】
図2aは、処理液流れの中に種々の流れを導入するための、本発明の好適な実施形態による装置を概略的に示しており、図2bは上記の装置によって形成される流動場を示している。参照符号20はプロセスパイプを示しており、このプロセスパイプ内では、この実施例ではパルプである処理液が抄紙機のヘッドボックスに向かって右側に流れている。噴射混合機12が上記プロセスパイプ20の壁に固定されており、この混合機は、例えば、PCCを生成する場合にはパルプ内に二酸化炭素を導入するのに使用される。第2の噴射混合機14が、プロセスパイプ20の壁上の、第1の混合機12から非常に短い距離のところに配置され、この第2の噴射混合機14により石灰乳がパルプ内に導入される。本発明による噴射は、Wetend Technologies OyのTrumpJet混合機の場合に一般的であるように、特別な導入液体を使用することによって実施される。というのは、この実施例では、CO、及び、粉末のCa(OH)の水懸濁液である石灰乳、の化学物質が、導入液体を用いて効率的に迅速且つ均等にパルプ内に混合され得るからである。側方流れを捕捉してその側方流れを導入液体としてポンプにより噴射混合機に入れることにより、パイプ20内を既に流れているパルプを使用することに加えて、単にいくつかの代替案に言及すると、抄紙機又はプロセス内の別の場所からの濾過液、或いは、製紙のマス成分又は充填材成分が使用され得る。さらに、本発明による噴射の特徴は、化学物質及び導入液体の一部分が迅速に反応する傾向がある場合、有利には、導入液体を用いて化学物質の導入及び混合が実施され、ここでは、化学物質が導入液体に接触するのと実質的に同時に、それらの組み合わせが処理液内に噴射される。処理液の流れ方向に対して実質的に垂直に噴射が行われることも重要である。「実質的に垂直な方向」という表現は、ここでは、処理液の流れ方向に対して直角の方向又はそこから最大で30度のずれを意味する。所望される場合、化学物質の量を導入液体の量のほんの一部とすることが可能である。というのは、比較的少量の導入液体を使用することにより、非常の少量の化学物質が処理液内深くに確実に浸透してさらには混合されるからである。
【0028】
我々の試験では、最初に、第2のノズル14のための最良の位置が、ノズル12が位置しているパイプ10の軸を通って延びる実質的に同じ高さであることが分かった。というのは、この場合、第2のノズル14の噴流を、前のノズル12によって形成された反対に回転する2つ渦の間に直接に当てることができるからであり、それにより、後者の噴流は、前の噴流によって形成された渦を最も効率的に強化することができ、それらにより多くのエネルギーをそれらの渦に与え、渦が可能な限り広い断面に拡大するのを補助することができる。言い換えると、噴射ノズルはプロセスパイプの壁上で実質的に連続的に配置される。また、この場合の「実質的に連続的に」という表現は、1つずつ正確に順番になっていることに加えて、前の位置からいずれかの方向に最大で20度のところに位置することを意味する。言い換えると、これらの混合機は混合機ペアを形成し、ここでは、第2の流れを導入するための各混合機ペアのうちの噴射混合機14が、第1の混合機12の配置位置のプロセスパイプの軸を通る高さからプロセスパイプ20の円周において最大で20度、より好適には最大で10度ずれる位置に配置される(パイプの円周方向で測定する)。したがって、第2の噴射混合機14は、見方によれば、プロセスパイプ20の長手方向において、40度の区間内(図2bの区間Aとして示される)、好適には20度の区間内に配置され、この区間の直径上には第1の混合機12が配置されている。次に確認されたことは、第2のノズル14が図1aの線Mの近く又は線Mの可能な限り近くに配置されるべきであることである。言い換えると、第2のノズル14は、第1のノズルによって導入される化学物質の噴流が反対に回転する2つの螺旋渦を形成する時間を有するような場所に配置されるべきであるか、又は、それに可能な限り接近させて配置されるべきである。それにより、第2のノズル14の噴流が第1のノズル12の噴流を確実に強化すること、及び、第2のノズル14の噴流の運動エネルギーが第1のノズルによって形成された既に減衰している渦を再加速するために確実に損失されないようにすることが可能となる。したがって、第2の噴射混合機が第1の混合機の後ろで上で定義した角度に位置に合致していない場合、その噴流は側部に当たり、第1の噴流によって形成された渦を部分的に打ち消し、制御されない流動場を形成させて少なくとも一定程度混合効果を低下させてしまう。
【0029】
我々の試験に基づき、PCCのインライン生成では導入ノズルの間の距離は0.2メートルが最も好適な距離であることが分かった。すなわち、流れ速度が3m/s程度である場合、導入位置の間の時間は0.67秒である。ノズル12及び14から放出される化学物質−導入液体の噴流の速度はパイプ内を流れるパルプの速度の約3倍から12倍である。図1b及び2bの流動場を比較すると、第2のノズル14によって発生する渦の強化がパイプの全断面積において化学物質の混合速度を増大させ、その結果、第1の化学物質の導入の約0.15秒後には既に、両方の化学物質がパイプの実質的に全断面に分布していることが確認される。我々の試験では、処理液の粘性の程度によっては、第1の噴流の渦が過度に減衰してしまうため、混合機の間のプロセスパイプの長手方向距離が実質的に2メートルを超えるべきではないことに気づいた。この場合、プロセスパイプの長手方向における噴射ノズル間の距離は0.05メートルから2メートルであるべきであり、好適には0.05メートルから1メートルである。
【0030】
実際の工業規模の処理では、主にパイプの直径を理由として、1つの噴射混合機/混合機ペアを用いて1つの化学物質を導入することは常に可能というわけではない。その場合、プロセスパイプの同じ円周上に複数の噴射混合機/混合機ペアが配置される。小さいパイプを備える、Wetend Technologies Oyによって製造されている標準サイズの噴射混合機を使用する場合、1つのノズルのみを使用することが可能であるが、最も大きいパイプ径では、パイプの断面を十分にカバーするためには、パイプの同じ円周上に4つから6つの混合機が必要となる。したがって、第2の化学物質が第1の化学物質と同じ数の噴射混合機から導入され、それにより形成される混合機ペアがプロセスパイプの円周上で、長手方向での実質的に同じ直径の高さの分布で均等に配置される場合、2つの化学物質を混合する際の最良の混合効果が得られることは明白である。また、プロセスパイプの実質的に同じ円周上に第1の化学物質を導入する混合機、及び、別の円周上に第2の化学物質を導入する混合機が存在することが好適であることは明白である。
【0031】
本発明の解決策の特別な用途として言及すべき1つの解決策は、2つの別個の化学物質が混合されず、代わりに、両方の噴射混合機又は第1の噴射混合機のみのいずれかから導入され得る一方の化学物質のみが混合され、したがって、第2の噴射混合機は処理液流れへの混合を強化するために導入液体の噴流のみを噴射すればよいような、解決策である。
【0032】
上述の発明により、従来と比較して混合が明確により迅速及びより均等になるので、より腐食性且つ効果的な化学物質を使用することが可能となる。しかし、同時に、実際の化学物質(単数又は複数)及びそれらの反応生成物は反応器の壁又は反応器領域内の別の構造物に固着する傾向を有する可能性がある。したがって、反応器の効率的な動作を確実にするためには、反応器の表面又は反応器領域の構造物の表面をクリーンに維持するための手段を備えるべきである。
【0033】
上記において本発明の開発を促すような問題について論じた箇所では、沈殿又は固着する傾向を有する化学物質を混合することに関連して使用される洗浄装置について言及した。図3は、本発明の好適な追加の一実施形態による導入装置及びパイプ洗浄装置30を比較的概略的に示している。実際には、図3は、フランジ32によって制限される直線状の円筒形プロセスパイプ20を含む反応器を示しており、この反応器の壁34は、互いに接近して位置する、上で考察した実施形態において既に説明した2つの化学物質導入ノズル12及び14を具備している。電気伝導性の電極棒36が、実質的に中央において、すなわちプロセスパイプの実質的に軸上において、アーム38によりプロセスパイプ20の内側に対して接続されており、この実施形態では、この電極棒36は一方のアーム38’により制御システム40に電気的に接続されている。ほとんどの事例でそうであるようにプロセスパイプ20が金属で作られている場合、電極棒36はプロセスパイプ20から電気的に絶縁されるべきである。上記の絶縁は、例えば、電極棒36の固定アーム38を電気的に非伝導性の材料から作ることにより、又は、電極棒36を主に電気的に非伝導性の材料から製造して電極棒36を電気伝導性材料で被覆することにより、達成され得る。プロセスパイプ20の内側表面とパイプの中央に配置される電極棒36との間で所望の電圧差を発生させることができるように、第2の電極42がプロセスパイプ20の内側に配置される。当然、上記の第2の電極は、第1の電極と同様に、制御システム40に電気的に接続される。最も単純でありさらには最も一般的な形は金属で作られるプロセスパイプを使用することであり、その場合、プロセスパイプはその全体が電極として機能することができ、別個の電極は必要ない。プロセスパイプが非導電性材料上に作られる場合、好適にはプロセスパイプの円周方向及び反応器の長手方向の両方において均等に分布される、複数の上記第2の電極が存在してもよい。別の代替形態は、プロセスパイプの内側を電気伝導性材料で被覆してその被覆物を電極として機能させることである。
【0034】
制御システム40に接続される第3の構成要素は何らかの種類の測定センサ44であり、この測定センサ44を用いることにより、反応器内の混合の効率及び/又は反応の進行を監視することが可能となる。上記の測定センサ44はトモグラフィに基づいていてもよいが、この測定センサ44は処理液のpH又は導電率を測定してもよい。
【0035】
本発明によると、反応器は、必須ではないが好適には、噴射混合に必要となるすべての導管、パイプライン、ポンプ及び洗浄手段が、フランジ32によって画定される長さ範囲内で、パイプラインの内部に配置されるように、構成されてもよく、それにより、パイプライン内での反応器の設置が可能な限り容易になる。
【0036】
図3に示される反応器壁洗浄システムは、DC電圧が制御システムを介して電極に誘導されるような形で、PCCの生成において機能し、また、この電極は、電極棒がカソードとして機能し且つ反応器の壁がアノードとして機能するような形で、反応器の壁に接続されて配置される。プロセスパイプの壁がアノードである場合、壁に隣接する液体のpHは2から3の値まで低下し、それにより、炭酸カルシウムが壁に固着することが防止される。しかし、炭酸カルシウムは、pHが電極棒の表面の近くで高い場合は電極棒の表面に沈殿/固着する傾向を有する。上記の沈殿により生じる不都合は、その時点でアノードとして機能する電極の近くに形成される酸性液中でカーボネートが迅速に溶解するように、システムの極性を変更するように制御システムをプログラムすることによって容易に排除される。この制御システムは、特定の時間間隔で又はプロセスから受ける制御インパルス(control impulse)によって制御されて極性を変更するようにプログラムされ得る。例えば、カソードとアノードの間の電圧変化を監視することが可能であり、それにより、実際の特定の電圧増加により特定の深さの沈殿層が示される。したがって、制御システムは、特定の電位差でシステムの極性を変更するように較正され得る。それに対応して、電位差が初期レベルにまで低下すると、制御システムが極性を初期状況に戻す。
【0037】
電極棒は図3の上記ではプロセスパイプ/反応器の実質的に中央に設置されて説明されているが、一部の事例では、反応器の軸に基準に傾斜した位置に電極棒を設置することも可能である。このような解決策は、特に、反応器/フローパイプがパイプエルボを形成している場合に可能であり、ここではそれでも反応が進行する。このような事例では、中央で延在する電極棒を、パイプエルボの両側のフローパイプの直線部分に配置することが可能であり、その場合、パイプエルボ内ではそれらの直線部分の間で継続して直線状の電極棒があり、これは、当然、パイプエルボの領域の洗浄に対するその効果が最大になるように設置されることが好ましい。特に広いフローパイプを用いる場合、多数の平行な電極棒を使用することが必要となる可能性がある。その場合、クリーンに維持される表面に近傍の液体のpH値を確実に所望の範囲内にすることが可能である。さらに電極棒に関連させて、以下のことに言及しなければならない。すなわち、沈殿又は固着する傾向を有する反応生成物又は化合物が噴射混合機から導入される化学物質のみによって形成されるか又はそれら両方の化学物質の共通の効果から形成される場合、電極棒は、その第1の端部が第2の噴射混合機14の高さにくるように配置され得る。その場合、その第1の端部は、すべての化学物質が使い切られる位置まで処理液の流れ方向に延在することが好ましい。当然、プロセスパイプの壁などに沈殿又は固着する傾向のみを有する化学物質を導入するのに第1の噴射混合機が使用される場合、電極棒は第1の噴射混合機の高さで始まるように配置されなければならない。
【0038】
図4は、本発明の別の好適な実施形態として、製紙において、カーボネートが反応領域に配置されるいかなる表面にも付着することがないような形で炭酸カルシウムの結晶化反応を実施する別の手法を非常に概略的に示している。この別の方法は、フローパイプ20の周りに永久磁石又は電磁石50を配置する。このような装置は、例えば米国特許明第5,725,778号明細書及び第5,738,766号明細書に開示されている。この永久磁石は、その方向及び強さが一定である磁場を形成する。例えば、フローパイプ20の周りに導電体52を巻いてそのようにして形成されるコイルに電流を誘導することにより、フローパイプに関連させて電磁石50を構成することが可能である。制御ユニット54を用いて、電流の振幅、方向及び/又は周波数を変更することにより、形成される磁場の方向及び強さを所望される通りに変更することができる。さらに、異なる形状の波として、電磁石50のコイルに電流を誘導することが可能である。しかし、磁場が永久磁石又は電磁石によって形成される場合でも、動作原理は常に同じである。フローパイプの内部の磁石によって電界が誘発される。この電界を使用するのを可能にするためには、パイプ内を流れる懸濁液がイオンを含まなければならず、この場合は、カルシウムイオン及びその対イオン(炭酸イオン又は炭酸水素イオン)を含まなければならない。この電界は、その範囲内のイオンを、磁場に対するそれらの電荷によって必要に応じて誘導する。イオンは電界が変化することに応じて誘導される傾向があるので、フローパイプ内の限定された長さのところに単に電界が存在し、特にこの電界の方向を変化させることにより、流れと共にイオンが移動するようになって最終的にイオン結合が解放され、これらのイオンが自由に互いに反応するようになって炭酸カルシウム結晶を形成する。言い換えると、イオンの方向が連続的に変化することにより懸濁液中での混合までもが助けられるので、電界が存在し、特にその電界の方向を変化させることで、イオンの相互の化学反応が加速される。さらに、形成される炭酸カルシウム結晶は、フローパイプの表面に付着したりせずまた沈殿を形成したりしないような段階に迅速に入る。また、炭酸カルシウム結晶が沈殿を形成する場合でも、炭酸カルシウム結晶は、適切な流れ速度で流れ内に迅速に取り込まれるくらいに柔らかくなる。電磁石の位置に関する限りでは、電極のルールに関連させて上で定義された位置のルールが依然として適用される。
【0039】
反応器内部に沈殿が形成されるのを防止するための別の使用可能な手法は、反応器の内部の好適には中央に配置される隔離された反応器を使用することであり、電極が電流源/制御ユニットのみに電気的に接続される。例えば、別の電極は、液体から隔離されるか又は液体に電気接続される反応器の表面である。いずれの場合も、直列に接続される多数の容量性層が形成され、これらの容量性層を介して静電位及び電界の強さが伝達される。言い換えると、この場合、液相中に誘発される電界によっても、沈殿する傾向を通常有する粒子が所望される通りに変化する。この方法は例えば米国特許公開第5,591,317号で考察されている。
【0040】
電極棒の支持アームに関連させて言及してきたように反応領域内に配置されるいかなる表面にも沈殿物が固着しないようにするために、プロセスフロー内の化学物質の結晶化反応を管理するための第4の手法は、そのような部片、すなわち反応領域内のフローパイプとその内部に配置される構造物との両方を、上記の沈殿物が付着することがないような材料から作ることである。多くの用途で使用可能である材料の一例としてポリアミドが挙げられる。PE樹脂、ポリウレタン、Teflon(登録商標)及びエポキシ樹脂が表面又は被覆材料として使用可能である。さらに、この用途には、表面トポグラフィ、好適にはいわゆるナノサーフェスも使用され得る。
【0041】
最も好適な実施形態のうちの数個のみを上で開示したことに留意されたい。したがって、本発明が上述の実施形態のみに限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内で多くの手法で適用され得ることは明白である。したがって、PCCの生成に集中した説明が、単に、化学物質を効率的に混合するための本発明の使用性の良好な例として理解されなければならないことは明白である。というのは、PCCの構成物質の混合及びそれらの互いの迅速な反応は、従来技術の解決策と比較した場合の本発明のプロセスの優れた利点の明確なイメージを与えるからである。また、単一の噴射混合機を用いて1つの化学物質を導入することに加えて、導入され得る2つの化学物質又は化学混合物を供給するという代替形態が考慮されるべきである。同様に、一方又は両方のノズルからの1つの化学物質に加えて、いずれかの一方の混合機又は両方の混合機から多数の化学物質を導入するのに、1つの噴射混合機ペアが使用され得る。さらに、当然、本発明のための上述した3つ以上の混合機を連続的に接続することも可能である。種々の実施形態に関連させて開示した特徴はまた、本発明の範囲内にある別の実施形態に関連させても使用され得、及び/又は、所望され且つ技術的に実現可能である場合、開示される特徴とは異なる組立体が組み合わされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液の流れの中に種々の流れを導入するための方法であって、混合場を形成するために該処理液の流れ方向に対して実質的に垂直に、プロセスパイプ(20)内を移動する該処理液の中に、導入液体を用いて第1の流れを噴射することにより該第1の流れが導入される上記方法において、
第2の流れが、該第2の流れが導入されることにより該第1の噴射流れによって形成された混合場が強化されるような、該第1の流れの流動場の位置において、該第2の流れを該処理液の中に噴射することにより、該処理液の該流れ方向に対して実質的に垂直に導入されることを特徴とする上記方法。
【請求項2】
前記第1の流れの前記混合場が、前記プロセスパイプ内に位置する反対に回転する2つの渦を含むこと、及び、前記第2の流れが実質的に該渦の間に導入されること、を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各流れに対して、少なくとも1つの噴射混合機(12、14)を使用して導入液体を用いて噴射が実施されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1つ又は複数の噴射混合機ペアが前記第1及び第2の流れを導入するための前記噴射混合機(12、14)で形成され、該混合機ペア(12、14)の各々が前記プロセスパイプ(20)の軸に実質的に沿って延びるそれ自体の高さのところに配置されることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
噴射混合機ペア(12、14)の後方の混合機(14)が、その角度が最大で40度である仮想区間A内で前記プロセスパイプ(20)の軸上に配置され、また、該ペアの前記第1の混合機(12)の位置の直径の高さのところにあることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
2つ以上の混合機ペア(12、14)が存在する場合、該混合機ペア(12、14)が前記プロセスパイプ(20)の円周上で実質的に均等に分布していることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記流れを用いて導入される、少なくとも1つの化学物質、又は、該少なくとも1つの化学物質の反応生成物が、前記プロセスパイプ(20)の表面又はその中に配置される構造物に沈殿又は固着することが、該プロセスパイプ(20)の内部に電気式洗浄装置(30)を配置することによって防止されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
沈殿の形成にとって不利なpH値を有する層を形成する電界が、前記洗浄装置(30)により前記プロセスパイプ(20)の内部に形成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記処理液に取り込まれた又はその中に形成された材料が前記プロセスパイプの前記表面(20)又はその中に配置される構造物に付着又は固着するのを防止するための電界又は磁場を構成することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記流れを用いて導入される、前記少なくとも1つの化学物質、又は、該少なくとも1つの化学物質の反応生成物が、前記プロセスパイプ(20)の前記表面又はその中に配置される構造物に沈殿又は固着することが、前記材料が付着又は固着しないような材料から該構造物を製造する又は該構造物をそのような材料で被覆することにより、防止されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
処理液体流れの中に種々の流れを導入するための装置であって、該処理液を運ぶためのプロセスパイプ(20)と、該処理液の流れ方向に対して実質的に垂直に第1の流れを該プロセスパイプ(20)内に導入して混合するための少なくとも1つの噴射混合機(12)と、を備え、該混合機が該プロセスパイプ(20)の壁に取り付けられる、上記装置において、
該処理液の該流れ方向に対して実質的に垂直に第2の流れを導入して混合するための少なくとも1つの噴射混合機(14)が、該プロセスパイプの軸を通って横断する実質的に同一の高さで、該第1の流れを導入するための該少なくとも1つの噴射混合機(12)から下流の一定距離のところの、該プロセスパイプ(20)の壁上に配置され、該第1の流れ及び該第2の流れを導入するための該噴射混合機(12、14)が噴射混合機ペアを形成することを特徴とする上記装置。
【請求項12】
2つ以上の混合機ペア(12、14)が存在する場合、該混合機ペア(12、14)が前記プロセスパイプ(20)の円周上で実質的に均等に分布されることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の流れを導入するための、前記噴射混合機ペア(12、14)の前記噴射混合機(14)が、前記第1の流れを導入するための前記噴射混合機(12)を通る前記プロセスパイプの軸に平行な線から最大で20度ずれる該プロセスパイプ(20)の円周上の位置に配置されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
噴射混合機ペア(12、14)の後方の混合機(14)が、その角度が最大で40度である仮想区間A内で前記プロセスパイプ(20)の軸上に配置され、また、該ペアの前記第1の混合機(12)の位置の直径の高さのところにあることを特徴とする、請求項11、12又は13に記載の装置。
【請求項15】
混合機ペアの前記混合機の間の距離が0.05メートルから2メートル、好適には0.05メートルから1メートルであることを特徴とする、請求項11から14までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記距離が、前記処理液の流れ速度を用いて計算したとき1秒未満に相当する距離であることを特徴とする、請求項11から14までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
プロセスパイプ洗浄装置(30)が前記プロセスパイプ(20)の内部に配置されることを特徴とする、請求項11から16までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記洗浄装置(30)が、前記プロセスパイプ(20)の内部で実質的に中央に配置される電極棒(36)と、該プロセスパイプの表面上に配置される少なくとも1つの電極(42)と、電圧源とを含む制御システム(40)とを含むことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記洗浄装置(30)が、前記プロセスパイプ内の反応の進行を監視するための測定センサ(44)をさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記洗浄装置が反応器(20)の周りに配置される永久磁石又は電磁石(50)であることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセスパイプ(20)の周りに配置される前記電磁石(50)が、前記プロセスパイプ(20)の周りに巻かれる導体(52)と、それに接続される制御システム(54)とを含むことを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセスパイプ(20)又はその内部の構造体が、前記処理液内に取り込まれるか又は導入されるか又はその中に形成される材料が付着しないような材料で作られる又はそのような材料で被覆されることを特徴とする、請求項11から16までのいずれか一項に記載の装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521123(P2013−521123A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556556(P2012−556556)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【国際出願番号】PCT/FI2011/050199
【国際公開番号】WO2011/110742
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(506118559)ウエテンド テクノロジーズ オサケユキチュア (7)
【Fターム(参考)】