説明

処理装置

【課題】機構が簡単で、搬送精度が良く安定した搬送機構を有する小型の処理装置を提供することにある。
【解決手段】電子デバイスやその基板類を搬送し処理するための処理カゴ30と、電子デバイスやその基板類を処理する複数の処理槽20−1〜3と、処理カゴ30がセットされる入力部と、複数の処理槽20−1〜3と、処理カゴ30が取り出される出力部とに配置され、処理カゴ30を上下に移動させる上下移動部40−1〜5と、処理カゴ30を保持し、水平方向に移動するための保持部50と、保持部50に保持された処理カゴ30を、水平方向に移動する水平移動部60とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスやその基板類を処理する処理装置に係り、詳しくは、機構が簡単で、搬送精度が良く、安定した搬送機構を有する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の電子デバイスやその基板類を処理する処理装置を示す処理装置構成図である。図3において、処理装置200は、筐体10、処理槽20−1〜20−3、処理カゴ30、及び、搬送ロボット60を有している。搬送ロボット60は、被洗浄物が処理カゴ30に入れられ、搬送フック65にセットされると、処理槽20−1の位置まで移動し、搬送フック65を降下させる。処理カゴ30は、処理槽20−1中の所定の位置にセットされ、処理が施される。
【0003】
処理槽20−1での処理が終了すると、搬送ロボット60は搬送フック65を処理槽20−2への搬送位置まで処理カゴ30を上昇させる。処理カゴ30が搬送位置まで上昇すると、搬送ロボット60は処理槽20−2へと移動し、所定の処理が同様に行われる。この処理装置200は、搬送ロボット60に所定の処理情報を入力することで連続して処理を実施できる特徴があるが、搬送ロボット60が大型化し、搬送経路のスペースも広くなり、装置全体が大形化し、フックによる搬送のため処理カゴが不安定となる問題があった。
【0004】
図4は、他の従来の電子デバイスやその基板類を処理する処理装置を示す処理装置構成図である。図4において、処理装置300は、筐体10、処理槽20−1〜20−3、処理カゴ30、処理カゴ移動治具70、ガイドレール72、及び、処理カゴ上下動部74−1〜74−3を有している。処理カゴ移動治具70は、被洗浄物が処理カゴ30に入れられガイドレール72にセットされると、処理カゴ30を処理槽20−1の位置まで移動させる。処理カゴ上下動部74−1はこれを検知し、上下動フック75により処理カゴ30を処理槽20−1へと降下させる。このときガイドレール72は、処理カゴ30の通過を妨げないよう両側へ開く。処理カゴ30は、処理槽20−1中の所定の位置にセットされ、処理が施される。
【0005】
処理槽20−1での処理が終了すると、処理カゴ上下動部74−1は、上下動フック75を処理槽20−2への搬送位置まで処理カゴ30を上昇させる。処理カゴ30が搬送位置まで上昇すると、処理カゴ移動治具70は、処理カゴ30を処理槽20−2へと移動させ、所定の処理が同様に行われる。この処理装置300は、搬送機構が簡単で小型化できる特徴があるが、処理カゴ30を処理槽20−1〜20−3へと順次移動させる場合、処理カゴ移動治具70の搬送精度が悪く、処理カゴ上下動部74−1〜74−3との処理カゴ30の受け渡し位置が安定せず、上下動作がフックによっているため処理カゴが不安定となる問題があった。
【0006】
特許文献1には、超音波振動子を固定した洗浄槽を、被洗浄物の搬送ラインに沿って複数列に、且つ搬送ラインと直交する方向に夫々複数個設け、夫々搬送ラインに直交する方向に移動自在に設置し、洗浄槽の上端外周に断面コ字形をした漏れ防止部材を設けた、搬送フックを装着した搬送チェーンの各搬送工程における下降位置を一定にし、一部に洗浄篭を引掛ける搬送フックを傾斜状に移動させるフック移動棒を回動させるフック用モータを設置し、洗浄槽内に洗浄篭を支持して昇降する篭受台を設け、搬送ラインと直交する洗浄槽を移動スピードがサインカーブ的速度になるように制御する超音波洗浄装置について記載されている。
【特許文献1】特開平7−108237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、機構が簡単で、搬送精度が良く安定した搬送機構を有する小型の処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の処理装置は、電子デバイスやその基板類を処理する処理装置であって、
前記電子デバイスやその基板類を搬送し処理するための処理カゴと、
前記電子デバイスやその基板類を処理する複数の処理槽と、
前記処理カゴがセットされる入力部と、前記複数の処理槽と、前記処理カゴが取り出される出力部とに配置され、前記処理カゴを上下に移動させる上下移動部と、
前記処理カゴを保持し、水平方向に移動するための保持部と、
前記保持部に保持された前記処理カゴを、水平方向に移動する水平移動部とを有し、
前記上下移動部は、前記処理カゴがセットされる受け台と、該受け台に設置されたチェーンと、該チェーンを駆動して前記受け台を上下に移動させるモータと、前記受け台をガイドする支柱とを具備し、
前記保持部は、前記処理カゴを保持する保持アームと、該保持アームにより前記処理カゴを挟み込んで保持させるエアシリンダとを具備し、
前記水平移動部は、前記保持部に設置されたボールネジと、該ボールネジを回転させて前記保持部を水平方向に移動させるモータとを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明の処理装置の前記受け台は、処理カゴ傾斜機構を具備し、前記複数の処理槽において、上方向に移動中は、前記処理カゴを所定の角度に傾斜させることを特徴とする。
【0010】
本発明の処理装置の前記複数の処理槽は、超音波部を具備し、前記電子デバイスやその基板類を超音波処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単で、搬送精度が良く、且つ、処理カゴを安定して移動できる搬送機構が可能となるため、この搬送機構による小型で処理能力の高い処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明による処理装置を入力部側からみた構成図である。図2は、本発明による処理装置を後側からみた構成図である。図1において、処理装置100は、筐体10、処理槽20−1〜3、処理カゴ30、上下移動部40−1〜5、保持部50、及び水平移動部60を有している。処理槽20−1〜3は、図2に示されるように配置され、その後側に上下移動部40−1〜3がそれぞれ対応して配置され、且つ、入力部側に上下移動部40−4、出力部側に上下移動部40−5が配置されている。
【0013】
上下移動部40は、処理カゴ30がセットされる受け台42と、受け台42に設置されたチェーン44と、チェーン44を駆動して受け台42を上下に移動させるモータ46と、受け台42をガイドする支柱48とを具備している。保持部50は、処理カゴ30を保持する保持アーム52と、保持アーム52により処理カゴ30を挟み込んで保持させるエアシリンダ54とを具備している。水平移動部60は、保持部50を水平方向に移動させるボールネジ62と、ボールネジ62を回転させるモータ64と、保持部50の水平移動をガイドするLMガイド66とを具備している。
【0014】
図1、2において、入力部側の上下移動部40−4の受け台42に処理カゴ30がセットされると、モータ46はチェーン44を駆動して、受け台42を水平方向の移動位置まで上昇させる。処理カゴ30が水平方向の移動位置まで上昇すると、保持部50のエアシリンダ54は、保持アーム52を駆動し、処理カゴ30を挟み込んで保持させる。保持アーム52が処理カゴ30を保持すると、水平移動部60のモータ64はボールネジ62を回転させ、保持部50をLMガイド66に沿って水平方向に移動させる。
【0015】
保持部50が、処理槽20−1の位置まで来ると、保持部50のエアシリンダ54は、保持アーム52を駆動し、処理カゴ30を開放する。このとき、処理槽20−1の後側の上下移動部40−1のモータ46は、チェーン44を駆動して、受け台42を受け取り位置まで上昇させ、処理カゴ30を受け取る。引き続き上下移動部40−1は、受け台42を降下させ、処理カゴ30を処理槽20−1の所定の位置にセットする。処理カゴ30が処理槽20−1の所定の位置にセットされると処理が開始される。
【0016】
処理が終了すると、上下移動部40−1のモータ46は、再びチェーン44を駆動して、受け台42を受け取り位置まで上昇させ、保持部50に処理カゴ30を渡す。保持部50が処理カゴ30を受け取ると、水平移動部60は再び水平方向に移動を開始し、保持部50を処理槽20−2の位置まで移動させ、処理槽20−1と同様の処理に入る。
【0017】
このようにして処理槽20−3までの処理が終了すると、保持部50は処理カゴ30を出力部側の上下移動部40−5に渡す。上下移動部40−5の受け台42が処理カゴ30を受け取ると、上下移動部40−1のモータ46は、チェーン44を駆動して、受け台42を取り出し位置まで降下させて、全処理工程を終了する。
【0018】
処理槽20−1〜3の後側に配置された上下移動部40−1〜3の受け台42は、処理カゴ傾斜機構を具備しても良い。これにより上方向に移動中に処理カゴ30を所定の角度に傾斜させて、処理液を容易に排出することができる。処理槽20−1〜3は、超音波部を具備しても良い。これにより電子デバイスやその基板類に超音波を印加することで、より効率の良い処理が可能となる。
【0019】
以上説明したように本発明によれば、簡単で、搬送精度が良く、且つ、処理カゴを安定して移動できる搬送機構が可能となるため、この搬送機構による小型で処理能力の高い処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による処理装置を入力部側からみた構成図。
【図2】本発明による処理装置を後側からみた構成図。
【図3】従来の処理装置を示す処理装置構成図。
【図4】従来の他の処理装置を示す処理装置構成図。
【符号の説明】
【0021】
10 筐体
20−1、2、3 処理槽
30 処理カゴ
40−1〜5 上下移動部
42 受け台
44 チェーン
46 モータ
50 保持部
52 保持アーム
54 エアシリンダ
60 水平移動部
62 ボールネジ
64 モータ
66 LMガイド
100 処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスやその基板類を処理する処理装置であって、
前記電子デバイスやその基板類を搬送して処理するための処理カゴと、
前記電子デバイスやその基板類を処理する複数の処理槽と、
前記処理カゴがセットされる入力部と、前記複数の処理槽と、前記処理カゴが取り出される出力部とに配置され、前記処理カゴを上下に移動させる上下移動部と、
前記処理カゴを保持し、水平方向に移動するための保持部と、
前記保持部に保持された前記処理カゴを、水平方向に移動する水平移動部とを有し、
前記上下移動部は、前記処理カゴがセットされる受け台と、該受け台に設置されたチェーンと、該チェーンを駆動して前記受け台を上下に移動させるモータと、前記受け台をガイドする支柱とを具備し、
前記保持部は、前記処理カゴを保持する保持アームと、該保持アームにより前記処理カゴを挟み込んで保持させるエアシリンダとを具備し、
前記水平移動部は、前記保持部を水平方向に移動させるボールネジと、該ボールネジを回転させるモータと、前記保持部の水平移動をガイドするLMガイドとを具備することを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記受け台は、処理カゴ傾斜機構を具備し、前記複数の処理槽において、上方向に移動中は、前記処理カゴを所定の角度に傾斜させることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記複数の処理槽は、超音波部を具備し、前記電子デバイスやその基板類を超音波処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−166975(P2009−166975A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8078(P2008−8078)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】