説明

凹凸補正用油性化粧料

【課題】優れた凹凸補正効果が得られつつも、立体感のある自然な仕上がりが得られる凹凸補正用の油性化粧料を提供する。
【解決手段】化粧料の総量を基準として、(a)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体0.1〜30質量%、及び(b)パール顔料0.5〜10質量%を含有することを特徴とする凹凸補正用油性化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸補正用の化粧料に関し、詳しくは、簡便かつ効果的に毛穴や小じわ等の肌の凹凸を補正し、均一で滑らかな肌の印象を演出し、更に柔らかく、しっとりとした使用感を有する凹凸補正用油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凹凸補正用の化粧料は、毛穴補正等の効果を得るために、球状粉体が用いられており、疎水化処理粉体と球状シリカを配合した固型油中水型乳化化粧料(特許文献1参照)や、親水性の球状粉末と疎水性の板状粉末とを配合した油中水型乳化化粧料(特許文献2参照)等が提案されている。
【0003】
しかしながらこれらの化粧料では、毛穴やニキビ跡、小じわ、色むら、くすみ、シミ等をある程度隠すことができても、立体感がなく、擬似的(マット)な肌に仕上がってしまい、若々しく均一で滑らかな印象に見せることができなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−327527号公報
【特許文献2】特開2007−302583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情において、十分な肌の凹凸補正効果が得られつつも、立体感のある自然な仕上がりが得られる凹凸補正用の化粧料が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記事情に鑑み、鋭意研究した結果、油性化粧料において、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体と、パール顔料とを特定の配合割合で添加することにより、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成したものである。
【0007】
すなわち本発明は、化粧料の総量を基準として、(a)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体0.1〜30質量%、及び(b)パール顔料0.5〜10質量%を含有することを特徴とする凹凸補正用油性化粧料にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、優れた凹凸補正効果が得られつつも、立体感のある自然な仕上がりが得られ、更に柔らかく、しっとりとした使用感を有する凹凸補正用の油性化粧料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いる(a)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体は、平均一次粒子径が1〜100μmの範囲に入るものが挙げられ、一般的には幅広い粒度分布を持っている。オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体は、一次粒子の形状が球状であるが、凝集してぶどうの房状の形態を持っていることが多い。オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の製造方法は、従来公知の方法が挙げられるが、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサンの水素原子に両末端反応性のシリコーン鎖又は炭化水素鎖を付加反応させ、メチルハイドロジェンポリシロキサン分子間で架橋を形成させることで得られる。オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の例としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のトレフィルEシリーズや、信越化学工業社製のKSGシリーズ等が挙げられ、例え
ばトレフィルE−506S、トレフィルE−508、KSG−15、KSG−16等が好ましく用いられる。
【0010】
本発明に用いる(a)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の配合量は、凹凸補正用油性化粧料の総量を基準として、0.1〜30質量%であり、好ましくは1〜10質量%である。当該範囲内においては、肌表面で滑らかに広がり、より優れた凹凸補正効果が得られる。
【0011】
本発明に用いる(b)パール顔料は、化粧料で一般的に使用される光輝性を有する顔料が挙げられる。例えば、魚鱗箔、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆着色雲母、低次酸化チタン被覆雲母、雲母、酸化チタン被覆合成雲母、酸化チタン被覆板状シリカ、中空板状酸化チタン、酸化鉄被覆雲母、板状酸化鉄(MIO)、アルミニウムフレーク、ステンレスフレーク、酸化チタン被覆板状アルミナ、真珠殻、金箔、金蒸着樹脂フィルム、金属蒸着樹脂フィルム等が挙げられるが、平均粒子径が5〜50μmのものが好ましい。当該範囲内において、凹凸をぼかす効果に優れ、自然なつやと凹凸補正効果が得られる。また(b)パール顔料の外観色が、白色ないし赤桃色であると、本発明の効果がより際立って得られ、市販品としては、FLAMENCO SUPER 100(エンゲルハード社製)、FLAMENCO SUPER PEARL 100(エンゲルハード社製)、TIMIRON PEARL FLAKE MP−10(メルク社製)等が挙げられる。
【0012】
本発明に用いる(b)パール顔料の配合量は、凹凸補正用油性化粧料の総量を基準として、0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%である。当該範囲内においては、凹凸をぼかす効果に優れ、自然なつやと凹凸補正効果が得られる。
【0013】
本発明に用いられる(c)無機顔料は、前記(b)成分以外の顔料であり、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、鱗片状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。具体的には、(c−1)体質又は白色顔料として、顔料級酸化チタン、酸化ジルコニウム、顔料級酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、特に無水ケイ酸を使用することで、本発明の効果がより発現される。また(c−2)着色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、並びに体質又は白色顔料とこれらの着色顔料を複合化したものが挙げられる。
【0014】
本発明では、上記各種の無機顔料をそのまま用いても、また従来公知の表面処理を施した処理顔料を用いても構わない。表面処理としては、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる(c)無機顔料の配合量は、凹凸補正用油性化粧料の総量を基準として、0.01〜30質量%であり、好ましくは0.1〜15質量%である。当該範囲内においては、十分な凹凸補正効果が得られつつも、立体感のある自然な仕上がりが得られる。
【0016】
尚、本発明では(c)無機顔料のうち、(c−1)体質顔料及び/又は白色顔料の含有量が、化粧料の総量を基準として3〜15質量%であり、且つ(c−2)着色顔料の含有量が、化粧料の総量を基準として0.01〜2質量%であると、本発明の効果がより発現される。
【0017】
本発明に用いられる(d)の25℃で固形状の油剤は、室温(25℃)では完全に固化しているもので、特に構造性のある結晶性、微結晶性の性質を有するものである。通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、炭化水素類、ロウ類等の固形油が挙げられ、パラフィン、セレシン、合成炭化水素ワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、キャンデリラロウ、ミツロウ、カルナバロウ等を必要に応じて一種又は二種以上用いることができる。
【0018】
本発明に用いられる(d)25℃で固形状の油剤の配合量は、凹凸補正用油性化粧料の総量を基準として、0.5〜30質量%であり、好ましくは5〜15質量%である。当該範囲内では、凹凸補正用油性化粧料として、やわらかく、しっとりとした使用感が付与される。
【0019】
本発明に用いられる(e)揮発性シリコーン油は、室温(25℃)で揮発性を有するシリコーン油で化粧品に一般的に用いられているものであれば、何れのものも使用することができるが、例えば重合度0〜5の直鎖状ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の重合度3〜7の環状シリコーン、一般式[(CHSiO]SiCHで表されるメチルトリメチコン、一般式[(CHSiO]Siで表されるテトラキストリメチルシロキシシラン等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いられる(e)揮発性シリコーン油の配合量は、凹凸補正用油性化粧料の総量を基準として、10〜80質量%であり、好ましくは30〜60質量%である。当該範囲内では、凹凸補正用油性化粧料として、やわらかく、しっとりとした使用感が付与される。
【0021】
本発明の凹凸補正用油性化粧料には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記の必須成分以外にパルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤、(スチレン/ブタジエン)コポリマー、(スチレン/イソプレン)コポリマー、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマー等の増粘剤、ワセリン、オレイン酸フィトステリル、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチル/ベヘニル)等のペースト油、水添ポリイソブテン、スクワラン、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリル、オクチルドデカノール、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ポリヒドロキシステアリン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、不揮発性ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の液状油性成分、赤色104号、赤色102号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、黒色401号
等の有機色素及びそのレーキ化物、ポリメチルシルセスキオキサン、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、アクリル酸アルキルコポリマー等の高分子、防腐剤、香料、植物抽出物、抗酸化剤等を配合することができる。
【0022】
本発明の油性化粧料とは、油性成分を連続相とし、油中に粉体が分散している状態の化粧料を指し、1質量%以下で植物抽出物や水を含むことができる。また本発明の油性化粧料は、溶解、粉体分散、混合等通常の製法に従って半製品を製造した後、充填を行い得ることができる。また本発明の凹凸補正用油性化粧料は、ファンデーション、コンシーラー、化粧下地、ハイライト等のメイクアップ化粧料として用いることができる。
【実施例】
【0023】
次に以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0024】
化粧料の皮膚有用性評価
専門パネラーを各評価項目ごとに20名ずつ用意し(但し、項目によりパネラーが重複する場合もある)、「毛穴補正効果」「外観の滑らかさ」の評価項目に関し、下記に示す絶対評価基準に従って5段階評価を行い、全パネラーの合計点数を算出した。そしてその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0025】
[絶対評価基準]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
基 準 点 数
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
効果が高く感じられる 5
効果が感じられる 4
効果はやや感じられる 3
効果はわずかしか感じられない 2
効果が感じられない 1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0026】
[4段階判定基準]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
判 定 評点の平均点
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
◎ 4点を超える
○ 3点を超え、4点以下
△ 2点を超え、3点以下
× 2点以下
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0027】
実施例1〜2、比較例1〜4
表1に示す処方について、常法に従い部分用下地料を作製した。評価を併せて示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1より、本発明に係る化粧料が、優れた毛穴補正効果が得られつつも、仕上りの滑らかさを付与でき、自然な仕上がりが得られることが明らかである。また本発明に係る化粧料は、柔らかく、しっとりとした使用感を有するものであった。
【0030】
以下に示す実施例3についても、上記評価試験において優れた結果を示すものである。
【0031】
(実施例3)凹凸補正用ハイライト

(成分名) (質量%)
・シクロヘキサシロキサン(e成分) 残 量
・ジメチルポリシロキサン(6cs,25℃) 4.0
・イソノナン酸イソノニル 18.0
・(ジメチコン・ビニルメチコン)クロスポリマー(a成分) 4.0
・水添ポリイソブテン 3.5
・パラフィン(d成分) 5.5
・マイクロクリスタリンワックス(d成分) 1.5
・トリメチルシロキシケイ酸 1.5
・ポリメチルシルセスキオキサン 6.0
・アクリル酸アルキルコポリマー*1 2.5
・シリカ(c−1成分) 3.5
・微粒子酸化チタン(c−1成分) 2.5
・カオリン(c−1成分) 8.0
・ベンガラ/酸化アルミニウム/酸化チタン被覆マイカ(c−2成分) 0.01
・雲母チタン*2(b成分) 8.0

*1;マイクロスフェアーS−102(松本油脂製薬社製)
*2;FLAMENCO SUPER PEARL 100(エンゲルハード社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料の総量を基準として、(a)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体0.1〜30質量%、及び(b)パール顔料0.5〜10質量%を含有することを特徴とする凹凸補正用油性化粧料。
【請求項2】
更に化粧料の総量を基準として、(c)パール顔料を除く無機顔料0.01〜30質量%、(d)25℃で固形状の油剤0.5〜30質量%、及び(e)揮発性シリコーン油10〜80質量%を含有することを特徴とする請求項1記載の凹凸補正用油性化粧料。
【請求項3】
(c)パール顔料を除く無機顔料のうち、(c−1)体質顔料及び/又は白色顔料の含有量が、化粧料の総量を基準として3〜15質量%であり、且つ(c−2)着色顔料の含有量が、化粧料の総量を基準として0.01〜2質量%であることを特徴とする請求項2記載の凹凸補正用油性化粧料。
【請求項4】
(c−1)体質顔料及び/又は白色顔料が、無水ケイ酸であることを特徴とする請求項3記載の凹凸補正用油性化粧料。
【請求項5】
(b)パール顔料の外観色が、白色ないし赤桃色であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸補正用油性化粧料。

【公開番号】特開2010−163370(P2010−163370A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5228(P2009−5228)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】