凹面を有する多層ドーズ
本発明は、対称軸を有し、かつ多層物体を製造するために使用されるドーズに関する。独創的なドーズは、第一の合成樹脂と、前記樹脂中に少なくともその大部分を封入された少なくとも一つの薄い機能性樹脂層を具備し、またその表面の一部が凹面の形に具体化されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層ドーズの圧縮成型により多層物体を実現するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4 876 052号明細書は、機能層3が合成樹脂2の内部に全体的に封入されることを特徴とする、円筒型多層ドーズを記載する(図1)。機能性樹脂と外部樹脂は性質が異なる。例えば、機能性樹脂は、優れたガス防壁特性を有するが、外層を形成する樹脂は、その機械及び衛生特性で選定される。これらの多層ドーズは、多層物体が前記ドーズの圧縮成型により取得されることを可能にする。しかしながら、米国特許第4 876 052号明細書に記載された方法に従って取得された物体は、物体に大きな割合の機能性樹脂を必要とし、それによって第一には高額に設定された価格になっていることと、第二には機械的応力に対する抵抗が低くなっていることの;二つの重大な欠点を生じている。機能性樹脂と外部樹脂との間の接着の欠如は、物体の堅さを低減し、また外層の剥離の危険を引き起す。米国特許第4 876 052号明細書の別の欠点は、樹脂2と3の個々の分量が最適に調整できず、これらの分量が、物体の幾何学的形状により及びドーズの圧縮中の流動により調整されることにある。
【0003】
日本特許第2098415号明細書は、合成樹脂2が機能性樹脂3の側面のみを覆うことを特徴とする、円筒型のドーズ(図2)から開始する圧縮成型による多層物体の実現を提案する。自身の対称軸に沿ったこのドーズの圧縮成型は、合成樹脂2が機能性樹脂3を部分的に封入することを特徴とする多層構造を有する物体を形成する。しかしながら、日本特許第2098415号明細書に記載の二つの樹脂から実現される多層物体は、第一には、機能性樹脂3を、物体の全表面積の少なくとも10%を超える物体の中心の表面領域に晒すことと、第二には、樹脂の全体量の少なくとも30%に達する機能性樹脂3の分量を必要とすることの;二つの重大な欠点を有する。これは、一方では高額に設定された価格を有する物体を、また他方においては主に物体の中心において大幅に改良された機械特性を有する物体を形成する。日本特許第2098415号明細書の別の欠点は、樹脂2と3の個々の分量が最適に調整できず、これらの分量が、物体の幾何学的形状により及びドーズの圧縮中の流動により調整されることにある。
【0004】
日本特許第2098415号明細書には、前述の欠点を部分的に解消するために3層を含む円筒型ドーズ(図3)を使用することが提案されている。このドーズは、ドーズの中心部分を形成する第一の樹脂により、また第一の樹脂の側面のみを覆う機能性樹脂3により、そして機能性樹脂の側面のみを覆う第三の樹脂2により構成される。自身の対称軸に沿うこの複合ドーズの押しつぶしは、多層物体(図3)を生成する。三層ドーズの使用は、使用される機能性樹脂3の分量を低減する利点を有し、また単一樹脂2を含む同一物体に対し僅かに改良された機械特性を有する物体を生成する。この方法は、接着層が異なる性質の樹脂の間に追加されることを可能にし、それによって物体の結合と堅さを改良している。しかしながら、機能性樹脂3は、物体の表面領域の少なくとも10%の表面領域に及ぶ対称軸に近接する防壁性のない多層物体を生成する多層物体の中心部分を覆わない。防壁樹脂層3により覆われない物体のこの中心領域は、物体の防壁性能を弱め、またこの解決法をさほど効果的にしない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、前述の問題を解消することによって、多層物体を圧縮成型により実現することを可能にする。具体的には、この方法は、単層物体を実現するために使用される装置と変わらない圧縮装置の使用を可能にする。
【0006】
本発明は、圧縮成型による多層物体の実現のための対称軸を有し、第一の合成樹脂と、前記第一の樹脂中に封入される少なくとも一つの薄い機能層により構成される多層ドーズから成り、多層ドーズは、その表面の一部が凹面であることを特徴としている。凹面を、ドーズの外表面もしくは内面が穴を含む場合は内表面上に配置できる。穴は場合によっては、通路もしくは空洞になっている。
【0007】
本発明は、管のヘッドなど穴を有する、もしくはプラグなど穴の無い多層物体を実現するために特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
添付の図面により図示される事例の詳細説明から、下記の本発明のさらなる理解が得られる。
【0009】
本発明は、多層物体を実現するために有利である多層ドーズの幾何学的形状を記載する。凹面を有するドーズは、特に有利であると分った。
【0010】
本発明は、自身の表面の少なくとも一部に凹面を有する多層ドーズを記載する。本発明の第一の実施形態に従って、前記ドーズの凹面は穴を形成し、また本発明の第二の実施形態に従って、前記ドーズの凹面は空洞を形成する。本発明は、穴の有無に係らず多様な多層物体を実現することを可能にする。
【0011】
本発明は、前記ドーズを実現するための方法にも関する。
【0012】
本発明は同様に、前記ドーズの圧縮成型により取得された多層物体を記載する。
【0013】
図4は、本発明に対応する多層ドーズの第一の事例を図示する。このドーズ1は、樹脂2中に封入された機能性樹脂3の薄い層により構成される。ドーズ1の幾何学的形状は、前記ドーズの外周を表現する凹面4と、前記ドーズの対称軸上でほぼ心出しされている穴を形成する凹面5とにより規定される。
【0014】
本発明の第一の実施形態に記載のドーズは、物体の穴の直径がドーズの穴の直径以下になっている、穴を有する多層物体を実現するために特に有利である。一般に、実現される物体の穴とほぼ同一の直径である穴のドーズを使用することが有利である。
【0015】
本発明の第一の実施形態に記載のドーズ(図4)は同様に、穴の無い多層物体を有利に実現することを可能にする。日本特許第2098415号明細書には、穴の無い物体を形成するための円筒型多層ドーズの使用法が記載される。しかしながら、日本特許第2098415号明細書に記載されるような多層ドーズは、物体の中心部分に適切に配分される機能層を取得することを可能にしない。実際に、日本特許第2098415号明細書に記載される円筒型ドーズの圧縮は、物体の周縁に向かう流動を引き起し、ひいては機能層を前記物体の周縁に向かって引きずる。従って、機能層を、前記物体の中心に向かって引きずることはできない。本発明の第一の実施形態に記載され、穴を形成する凹面を有するドーズは、物体の周縁と中心とに向かう流動が創出されることを可能にする。機能樹脂層3は同様に、物体の周縁と中心とに向かって一緒に引きずられ、それによって改良された防壁性を有する多層物体を取得できる。
【0016】
ドーズ中の機能性樹脂の薄い層の半径方向位置は、圧縮比と、物体の形状と、樹脂のレオロジと、工程に関連するパラメータの関数であることが分った。ドーズ中の機能層の位置は、物体の表面、即ち周縁と中心が圧縮を受けて最適に被覆されることを可能にする。
【0017】
機能性樹脂3の薄い層は、ガスもしくは香りに対する物体の不透過性を改良する。一般に、価格と使用特性の理由で少量の機能性樹脂を使用することが有利である。機能性樹脂の分量は通常、物体の容積の20%未満であり、またこの分量は10%未満が好ましい。
【0018】
機能性樹脂層3の端部は、前記ドーズの表面と同一平面上に位置できるが、前記機能性樹脂層3は、樹脂2中にほぼ全体的に封入される。
【0019】
図5は、本発明の第一の実施形態に対応するドーズから実現された物体を図示する。この物体は穴7を含む。機能性樹脂層3は、樹脂2中に封入され、また物体の周縁に近接して折り曲げ部を形成する。層3の端部6と6´は、穴7に隣接して配置され、また物体の表面にはほぼ存在せず、層3は樹脂2中に全体的に封入される。本発明の第一の実施形態に記載のドーズは、穴を具備し、また前記物体の少なくとも90%中に配分される機能層3を有する物体の実現を可能にする。
【0020】
図6は、本発明の第二の実施形態に記載の多層ドーズを表す。このドーズ1は、樹脂2中に封入される機能性樹脂3の薄い層により構成される。ドーズ1の幾何学的形状は、前記ドーズの外周を表現する凹面4と前記ドーズの対称軸上でほぼ心出しされている空洞を形成する凹面5とにより規定される。図6に図示されるように、機能性樹脂層3は、端部が、ドーズの表面と同一平面上に配置でき、あるいは樹脂2中に封入される、単一の自由端部6のみを有する。本発明の第二の実施形態に記載の多層ドーズは、穴の無い物体を実現するために特に有利である。図6は、樹脂2中に封入される機能層3を示し、樹脂層2は、ほぼ一定の厚みを有する機能層3の両側にほぼ配置されている。本発明の第二の実施形態は、図6に図示されるドーズ形状に限定されない。前記多層ドーズを実現するために使用される装置に応じて、個々の層の厚みは、必ずしも一定である必要はなく、その結果種々のドーズを生ずると分る。本発明の第二の実施形態に従って取得されたドーズは全て、空洞を形成する凹面5を有する。ドーズ中の機能層の位置は、前記層が圧縮の間に物体の周縁に拡大するように規定される。機能層3がドーズの凹面4の付近に持ち込まれるとき、機能層は物体の周縁に接近する。
【0021】
図7は、本発明の第二の実施形態に従って実現され、ドーズの圧縮により取得された多層物体を図示する。この多層物体は、機能層3が、物体の中心部と周縁部の両方全体に存在するので改良された防壁特性を有する。機能層3は、前記物体の周縁に近接して折り曲げ部を形成する。機能層3は、自身の自由端部6の高さにおいても、樹脂2中に全体的に封入されるのが好ましい。
【0022】
図8は、本発明の第一と第二の実施形態の組み合せから生ずるドーズを図示する。このドーズ1は、樹脂2に封入される機能性樹脂3の薄い層により構成される。ドーズ1の幾何学的形状は、前記ドーズの外周を表現する凹面4と前記ドーズの対称軸上でほぼ心出しされている空洞と穴を形成する凹面5とにより規定される。図8に図示されるように、機能性樹脂層3は、ドーズの表面と同一平面上に配置でき、もしくは樹脂2中に封入される二つの端部6と6´を有する。図8に表されるドーズは、穴の有無に係らず多層物体を実現するために特に有利である。ドーズ中の機能層の位置は、圧縮中に前記層が物体の周縁に拡大するように規定される。機能層3がドーズの凹面4の付近に持ち込まれるとき、機能層は物体の周縁に接近する。穴の直径と空洞の容積は、機能層が前記物体の中心と周縁とに向かって一緒に拡がるように最適化される。
【0023】
図9は、空洞を有し、かつ本発明の第二の実施形態に対応するドーズを図示する。このドーズ1は、樹脂2中に封入される機能性樹脂3の薄い層により構成される。ドーズ1の幾何学的形状は、前記ドーズの外周を表現する凹面4と前記ドーズの対称軸上でほぼ心出しされている空洞と穴を形成する凹面5とにより規定される。図8に図示されるように、機能性樹脂層3は、ドーズの表面と同一平面上に配置でき、もしくは樹脂2中に封入される二つの端部6と6´を有する。図8に表されるドーズは、穴の無い多層物体を実現するために特に有利である。機能層3の端部6´は、前記層中に孔を形成する潜在的な不連続部を形成する。最善の防壁特性を達成するために、この不連続部を除去するもしくは低減するのが有利である。
【0024】
図10は、自身の表面の一部に凹面を有し、かつ穴を形成する多層ドーズから実現された管のヘッドを示す。図11は、自身の表面の一部に凹面を有し、かつ空洞を形成する多層ドーズから実現されたプラグを示す。これらの物体は、機能性樹脂の薄い層を物体の全表面に及ばせ、また自身の周縁の高さに折り曲げ部を形成させる特性を有する。これらの物体は、単層ドーズから同一物体を実現するために使用される圧縮装置に関し何ら変更を必要としない簡単な圧縮装置中で多層ドーズを圧縮することにより取得される。ダイス工具部品を作動させる、より複雑な圧縮装置を、樹脂の流動を一方向に推進するために使用できる。これらの装置を複雑な形状の物体用に、また防壁層の拡大を物体全体に最適化するために利用できる。
【0025】
物体10と11を、ポリウレタン(PE)製樹脂中に封入された防壁樹脂(EVOH)の薄い層を用いて実現した。これらの物体は、酸素もしくは香りに対し大きな不透過性を有する。
【0026】
本発明の説明を平易にするために、図を意図的に、第二の樹脂2中に封入される機能層の一つのみを用いて表した。二つの樹脂のみの結合は一般に、二つの樹脂間の境界で充分な接着を達成できないことは周知である。異なる性質の樹脂を結合することを可能にすると同時に、層間の接着の優れた水準を保証する、接着性中間層を使用することも常習的である。従って、防壁層の両側面上に接着性層を挿入することは、多層物体中の剥離もしくは分離の潜在的な問題を予防する。接着性と防壁性の層は類似していて、また少量である。機能層3を形成する接着層の集合体は、ドーズを形成する全樹脂量のほぼ15%未満の樹脂量、また好ましくは10%未満の量を専有する。本発明は従って、図4と、6と、8と、9に提案されるような三層ドーズに限定されるのではなく、5層以上を含むのがより一般的である。
【0027】
本発明の要旨の範囲内で使用される樹脂は、現在使用されている熱可塑性樹脂、また具体的には包装業界において使用される樹脂に対応する。機能層3を形成するために使用される防壁樹脂のうちで、エチレン・ビニル・アルコール(EVOH)共ポリマと、ナイロン-MXD6などのポリアミドと、アクリルニトリル-メチル・アクリレート共ポリマ(BAREX)と、PVDFなどのフッソ化ポリマを列挙できる。これに関連して、物体の構造2を形成するために使用される数種の樹脂、ポリエチレン(PE)と、ポリプロピレン(PP)と、ポリスチレン(PS)と、ポリアミド(PA)と、ポリエステル(PET)も列挙できる。このリストは網羅的でない。樹脂の選定においては、近似する粘度を有する製品を選定することが重要である。一般的に、操作温度で、10未満の粘度比を有する樹脂を使用するのが好適であり、また3未満の粘度比が選定されるのが好ましい。
【0028】
圧縮成型法は、溶融状態の合成樹脂の多層ドーズをモールドの空洞内に供給する工程と、前記モールドの空洞中で前記ドーズを圧縮成型することにより物体を形成する工程と、物体を冷却する工程と、次にそれをモールドから取除く工程から成る。
【0029】
本発明は、機能層3が物体の容積の5%未満を占有できる、極めて薄い機能層を有する物体の実現を可能にする。
【0030】
本発明に記載の多層物体を実現するための方法は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズが実現されることを必要とする。
【0031】
第一の方法は、図12と13に図示される。この方法は、図12に図示されるような多層管状共押出しを実行する工程から成る。多層流動体は、少なくとも一つのダイス8とマンドレル9を具備するダイス工具に流入する。マンドレル9は、管を周期的に切断し、かつドーズを形成することを可能にする閉止弁をその端部に備える。多層流動体は、周知の方法に従って図12に表されるダイス工具の上流側に創出される。特許出願に基づく試験は、共押出しヘッドに接続された三つの押出し機を用いて実現された。図12は、高さHだけダイスを超えて延び、かつ前記ドーズの空洞の創出を可能にするマンドレルの位置を示す。ダイス工具から抜け出す際に、流動体は、マンドレルの周囲を曲りながら進み、またドーズの形状を改良することを可能にする。
【0032】
マンドレル12の端部周囲の材料流動の曲りは、高さHと、閉止弁の形状と、押出される樹脂と、マンドレル9の移動に従属することが実験的に分った。これらのパラメータを最適化することにより、穴が有る(図4と8)もしくは穴が無い(図6)に係らずドーズを形成できる。
【0033】
図13は、閉止弁の閉鎖とドーズの切断を図示する。閉止弁の開放及び閉鎖の速度と、押出し速度と、温度などのプロセス・パラメータを変更することにより、あるいはダイス工具の幾何学的形状を変更することにより、ドーズの凹面を最適化できる。
【0034】
図14と15は、凹面ドーズの実現のための別のプロセスを図示する。このプロセスは、図14に示されるダイス工具中の管状共押出しを創出する工程から成る。このダイス工具は、少なくとも一つのダイス8とマンドレル9を具備し、マンドレル9は、高さHだけダイス8を超えて延びている。実現されるドーズの幾何学的形状に応じて、マンドレル9は調整され、あるいはドーズの切断に同調し、周期的で、往復する垂直移動により作動される。本発明の説明を平易にするために、図15は、円筒型形状のマンドレルとダイスを表す。本発明は同様に、同一原理に基づく他のダイス工具形状に及び、また自身の表面の一部に凹面を有するドーズを製造することを可能にする。図14と15に図示される本方法は、ダイス工具8と9を通って一定速度で材料を押出す工程と、図15に示されるカッタによってダイス工具から排出される材料を周期的に切断する工程から成る。
【0035】
マンドレルとダイスとの端部間の最大距離に対応する距離Hは、ほぼ1mmと5cmの範囲にある。
【0036】
ドーズの切断を、ドーズが押出し機を離れるときロッドを切断するための、例えば回転式カッタを含む他の周知の方法に従って実現できる。この種のカッタを、ドーズをモールド内に移送するために同時に使用できる。
【0037】
ドーズの移送を、重力もしくは移送装置によるなどの周知の方法により達成できる。圧縮モールド中のドーズの配置は、正確である必要があり、特にドーズの対称軸は、モールドの空洞の対称軸と正確に整列される必要がある。ドーズは、ドーズの対称軸に沿って圧縮される。
【0038】
図17は、自身の表面の一部が凹面であるドーズを実現するための別の方法を図示する。この方法は、管状ドーズを実現する工程と、次に切断の過程もしくは前記ドーズの圧縮モールド内に移送の過程で自身の凹面を改良する工程から成る。図16は、ダイス8とマンドレル9を介する管状多層押出しを示す。この押出しは、一定速度で実施されるのが好ましい。図17は、カッタ10を用いる多層押出し物の切断を図示する。カッタ10の作動は、押出し物を周期的に切断することと、前記ドーズ1の端部を一緒に閉鎖することの効果がある。同様な方法を、ドーズの端部を同時的にもしくは連続的に切断し、かつ閉鎖するために想定できる。
【0039】
多層ドーズは、使用される樹脂に適した温度の溶融状態で押出される。多層ドーズは、圧縮モールド内に移送される工程中は溶融状態のままである。ドーズは、圧縮成型され、また取得された物体は、取り出される前にモールド中で少なくともある程度冷却される。
【0040】
本明細書に提示される事例では、ドーズと物体は単純な幾何学的形状から成るが、本発明はいかなる形状のドーズと物体にも関連するのは明らかである。
【0041】
本発明に従って取得された物体は、物体の周縁の同一高さに少なくとも一つの折り曲げ部を形成する機能層3を含む。物体の対称軸に近接する第二の折り曲げ部を含む物体も、取得できる。ジグザグ形の機能層の配置が、物体中に達成可能である。
【0042】
ドーズ中の機能層3の多くの配置が、可能である。機能層3を、前記機能層3が、対称軸上で心出しされた回転体のシェルを形成するように、ドーズ中に配置することが有利である。対称軸までの機能層3の距離が可変であるとき、有利な多層物体を取得できる。
【0043】
本発明は、ドーズ中に配分される単一の機能層3を用いて記載された。前記ドーズの対称軸上で全てが心出しされている、複数の機能層3を具備するドーズを同様に使用できる。取得された多層物体は、機能層が、一方がもう一方の上部に少なくとも一部置かれ、かつ物体全体に配分されることを特徴とする。
【0044】
食品用に用いる包装体もしくは包装部品の実現は、優れた衛生特性を必要とする。従って、機能層3が充填製品と直接に接触しないことが望ましい場合が多い。機能層3をドーズ中に全体的に封入することが有利であり、その結果前記機能層は物体中に全体的に封入され、もしくは前記機能層は、高い衛生特性を必要とする前記物体のその部分に存在しない。
【0045】
あるいは、防壁層の一端だけが封入されなくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、圧縮成型により多層物体を実現するために、従来技術に記載された多層ドーズを説明する図のうちで、米国特許第4 876 052号明細書に従って実現された二層ドーズを示す。
【図2】図2は、圧縮成型により多層物体を実現するために、従来技術に記載された多層ドーズを説明する図のうちで、日本特許第2098415号明細書に使用された二層ドーズを示す。
【図3】図3は、圧縮成型により多層物体を実現するために、従来技術に記載された多層ドーズを説明する図のうちで、日本特許第2098415号明細書に記載された3層を含むドーズを図示する。
【図4】図4は、本発明の第一の実施形態に記載の多層ドーズを示す。このドーズは、対称軸上で心出しされた穴を形成する凹面を具備する。
【図5】図5は、穴を有し、また図4に図示されたドーズの圧縮から実現された多層物体を示す。
【図6】図6は、本発明の第二の実施形態に記載の多層ドーズを示す。このドーズは、対称軸上で心出しされた空洞を形成する凹面を具備する。
【図7】図7は、図6に図示されたドーズの圧縮から取得された穴の無い多層物体を図示する。
【図8】図8は、本発明の第一と第二の実施形態を組み合わせる多層ドーズを示す。ドーズは、空洞と穴を形成する凹面を具備する。
【図9】図9は、空洞を有し、かつ本発明の第二の実施形態に対応するドーズを図示する。
【図10】図10は、本発明に従って実現された管のヘッドを示す。
【図11】図11は、本発明に従って実現されたプラグを示す。
【図12】図12は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図13】図13は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図14】図14は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図15】図15は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図16】図16は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図17】図17は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層ドーズの圧縮成型により多層物体を実現するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4 876 052号明細書は、機能層3が合成樹脂2の内部に全体的に封入されることを特徴とする、円筒型多層ドーズを記載する(図1)。機能性樹脂と外部樹脂は性質が異なる。例えば、機能性樹脂は、優れたガス防壁特性を有するが、外層を形成する樹脂は、その機械及び衛生特性で選定される。これらの多層ドーズは、多層物体が前記ドーズの圧縮成型により取得されることを可能にする。しかしながら、米国特許第4 876 052号明細書に記載された方法に従って取得された物体は、物体に大きな割合の機能性樹脂を必要とし、それによって第一には高額に設定された価格になっていることと、第二には機械的応力に対する抵抗が低くなっていることの;二つの重大な欠点を生じている。機能性樹脂と外部樹脂との間の接着の欠如は、物体の堅さを低減し、また外層の剥離の危険を引き起す。米国特許第4 876 052号明細書の別の欠点は、樹脂2と3の個々の分量が最適に調整できず、これらの分量が、物体の幾何学的形状により及びドーズの圧縮中の流動により調整されることにある。
【0003】
日本特許第2098415号明細書は、合成樹脂2が機能性樹脂3の側面のみを覆うことを特徴とする、円筒型のドーズ(図2)から開始する圧縮成型による多層物体の実現を提案する。自身の対称軸に沿ったこのドーズの圧縮成型は、合成樹脂2が機能性樹脂3を部分的に封入することを特徴とする多層構造を有する物体を形成する。しかしながら、日本特許第2098415号明細書に記載の二つの樹脂から実現される多層物体は、第一には、機能性樹脂3を、物体の全表面積の少なくとも10%を超える物体の中心の表面領域に晒すことと、第二には、樹脂の全体量の少なくとも30%に達する機能性樹脂3の分量を必要とすることの;二つの重大な欠点を有する。これは、一方では高額に設定された価格を有する物体を、また他方においては主に物体の中心において大幅に改良された機械特性を有する物体を形成する。日本特許第2098415号明細書の別の欠点は、樹脂2と3の個々の分量が最適に調整できず、これらの分量が、物体の幾何学的形状により及びドーズの圧縮中の流動により調整されることにある。
【0004】
日本特許第2098415号明細書には、前述の欠点を部分的に解消するために3層を含む円筒型ドーズ(図3)を使用することが提案されている。このドーズは、ドーズの中心部分を形成する第一の樹脂により、また第一の樹脂の側面のみを覆う機能性樹脂3により、そして機能性樹脂の側面のみを覆う第三の樹脂2により構成される。自身の対称軸に沿うこの複合ドーズの押しつぶしは、多層物体(図3)を生成する。三層ドーズの使用は、使用される機能性樹脂3の分量を低減する利点を有し、また単一樹脂2を含む同一物体に対し僅かに改良された機械特性を有する物体を生成する。この方法は、接着層が異なる性質の樹脂の間に追加されることを可能にし、それによって物体の結合と堅さを改良している。しかしながら、機能性樹脂3は、物体の表面領域の少なくとも10%の表面領域に及ぶ対称軸に近接する防壁性のない多層物体を生成する多層物体の中心部分を覆わない。防壁樹脂層3により覆われない物体のこの中心領域は、物体の防壁性能を弱め、またこの解決法をさほど効果的にしない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、前述の問題を解消することによって、多層物体を圧縮成型により実現することを可能にする。具体的には、この方法は、単層物体を実現するために使用される装置と変わらない圧縮装置の使用を可能にする。
【0006】
本発明は、圧縮成型による多層物体の実現のための対称軸を有し、第一の合成樹脂と、前記第一の樹脂中に封入される少なくとも一つの薄い機能層により構成される多層ドーズから成り、多層ドーズは、その表面の一部が凹面であることを特徴としている。凹面を、ドーズの外表面もしくは内面が穴を含む場合は内表面上に配置できる。穴は場合によっては、通路もしくは空洞になっている。
【0007】
本発明は、管のヘッドなど穴を有する、もしくはプラグなど穴の無い多層物体を実現するために特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
添付の図面により図示される事例の詳細説明から、下記の本発明のさらなる理解が得られる。
【0009】
本発明は、多層物体を実現するために有利である多層ドーズの幾何学的形状を記載する。凹面を有するドーズは、特に有利であると分った。
【0010】
本発明は、自身の表面の少なくとも一部に凹面を有する多層ドーズを記載する。本発明の第一の実施形態に従って、前記ドーズの凹面は穴を形成し、また本発明の第二の実施形態に従って、前記ドーズの凹面は空洞を形成する。本発明は、穴の有無に係らず多様な多層物体を実現することを可能にする。
【0011】
本発明は、前記ドーズを実現するための方法にも関する。
【0012】
本発明は同様に、前記ドーズの圧縮成型により取得された多層物体を記載する。
【0013】
図4は、本発明に対応する多層ドーズの第一の事例を図示する。このドーズ1は、樹脂2中に封入された機能性樹脂3の薄い層により構成される。ドーズ1の幾何学的形状は、前記ドーズの外周を表現する凹面4と、前記ドーズの対称軸上でほぼ心出しされている穴を形成する凹面5とにより規定される。
【0014】
本発明の第一の実施形態に記載のドーズは、物体の穴の直径がドーズの穴の直径以下になっている、穴を有する多層物体を実現するために特に有利である。一般に、実現される物体の穴とほぼ同一の直径である穴のドーズを使用することが有利である。
【0015】
本発明の第一の実施形態に記載のドーズ(図4)は同様に、穴の無い多層物体を有利に実現することを可能にする。日本特許第2098415号明細書には、穴の無い物体を形成するための円筒型多層ドーズの使用法が記載される。しかしながら、日本特許第2098415号明細書に記載されるような多層ドーズは、物体の中心部分に適切に配分される機能層を取得することを可能にしない。実際に、日本特許第2098415号明細書に記載される円筒型ドーズの圧縮は、物体の周縁に向かう流動を引き起し、ひいては機能層を前記物体の周縁に向かって引きずる。従って、機能層を、前記物体の中心に向かって引きずることはできない。本発明の第一の実施形態に記載され、穴を形成する凹面を有するドーズは、物体の周縁と中心とに向かう流動が創出されることを可能にする。機能樹脂層3は同様に、物体の周縁と中心とに向かって一緒に引きずられ、それによって改良された防壁性を有する多層物体を取得できる。
【0016】
ドーズ中の機能性樹脂の薄い層の半径方向位置は、圧縮比と、物体の形状と、樹脂のレオロジと、工程に関連するパラメータの関数であることが分った。ドーズ中の機能層の位置は、物体の表面、即ち周縁と中心が圧縮を受けて最適に被覆されることを可能にする。
【0017】
機能性樹脂3の薄い層は、ガスもしくは香りに対する物体の不透過性を改良する。一般に、価格と使用特性の理由で少量の機能性樹脂を使用することが有利である。機能性樹脂の分量は通常、物体の容積の20%未満であり、またこの分量は10%未満が好ましい。
【0018】
機能性樹脂層3の端部は、前記ドーズの表面と同一平面上に位置できるが、前記機能性樹脂層3は、樹脂2中にほぼ全体的に封入される。
【0019】
図5は、本発明の第一の実施形態に対応するドーズから実現された物体を図示する。この物体は穴7を含む。機能性樹脂層3は、樹脂2中に封入され、また物体の周縁に近接して折り曲げ部を形成する。層3の端部6と6´は、穴7に隣接して配置され、また物体の表面にはほぼ存在せず、層3は樹脂2中に全体的に封入される。本発明の第一の実施形態に記載のドーズは、穴を具備し、また前記物体の少なくとも90%中に配分される機能層3を有する物体の実現を可能にする。
【0020】
図6は、本発明の第二の実施形態に記載の多層ドーズを表す。このドーズ1は、樹脂2中に封入される機能性樹脂3の薄い層により構成される。ドーズ1の幾何学的形状は、前記ドーズの外周を表現する凹面4と前記ドーズの対称軸上でほぼ心出しされている空洞を形成する凹面5とにより規定される。図6に図示されるように、機能性樹脂層3は、端部が、ドーズの表面と同一平面上に配置でき、あるいは樹脂2中に封入される、単一の自由端部6のみを有する。本発明の第二の実施形態に記載の多層ドーズは、穴の無い物体を実現するために特に有利である。図6は、樹脂2中に封入される機能層3を示し、樹脂層2は、ほぼ一定の厚みを有する機能層3の両側にほぼ配置されている。本発明の第二の実施形態は、図6に図示されるドーズ形状に限定されない。前記多層ドーズを実現するために使用される装置に応じて、個々の層の厚みは、必ずしも一定である必要はなく、その結果種々のドーズを生ずると分る。本発明の第二の実施形態に従って取得されたドーズは全て、空洞を形成する凹面5を有する。ドーズ中の機能層の位置は、前記層が圧縮の間に物体の周縁に拡大するように規定される。機能層3がドーズの凹面4の付近に持ち込まれるとき、機能層は物体の周縁に接近する。
【0021】
図7は、本発明の第二の実施形態に従って実現され、ドーズの圧縮により取得された多層物体を図示する。この多層物体は、機能層3が、物体の中心部と周縁部の両方全体に存在するので改良された防壁特性を有する。機能層3は、前記物体の周縁に近接して折り曲げ部を形成する。機能層3は、自身の自由端部6の高さにおいても、樹脂2中に全体的に封入されるのが好ましい。
【0022】
図8は、本発明の第一と第二の実施形態の組み合せから生ずるドーズを図示する。このドーズ1は、樹脂2に封入される機能性樹脂3の薄い層により構成される。ドーズ1の幾何学的形状は、前記ドーズの外周を表現する凹面4と前記ドーズの対称軸上でほぼ心出しされている空洞と穴を形成する凹面5とにより規定される。図8に図示されるように、機能性樹脂層3は、ドーズの表面と同一平面上に配置でき、もしくは樹脂2中に封入される二つの端部6と6´を有する。図8に表されるドーズは、穴の有無に係らず多層物体を実現するために特に有利である。ドーズ中の機能層の位置は、圧縮中に前記層が物体の周縁に拡大するように規定される。機能層3がドーズの凹面4の付近に持ち込まれるとき、機能層は物体の周縁に接近する。穴の直径と空洞の容積は、機能層が前記物体の中心と周縁とに向かって一緒に拡がるように最適化される。
【0023】
図9は、空洞を有し、かつ本発明の第二の実施形態に対応するドーズを図示する。このドーズ1は、樹脂2中に封入される機能性樹脂3の薄い層により構成される。ドーズ1の幾何学的形状は、前記ドーズの外周を表現する凹面4と前記ドーズの対称軸上でほぼ心出しされている空洞と穴を形成する凹面5とにより規定される。図8に図示されるように、機能性樹脂層3は、ドーズの表面と同一平面上に配置でき、もしくは樹脂2中に封入される二つの端部6と6´を有する。図8に表されるドーズは、穴の無い多層物体を実現するために特に有利である。機能層3の端部6´は、前記層中に孔を形成する潜在的な不連続部を形成する。最善の防壁特性を達成するために、この不連続部を除去するもしくは低減するのが有利である。
【0024】
図10は、自身の表面の一部に凹面を有し、かつ穴を形成する多層ドーズから実現された管のヘッドを示す。図11は、自身の表面の一部に凹面を有し、かつ空洞を形成する多層ドーズから実現されたプラグを示す。これらの物体は、機能性樹脂の薄い層を物体の全表面に及ばせ、また自身の周縁の高さに折り曲げ部を形成させる特性を有する。これらの物体は、単層ドーズから同一物体を実現するために使用される圧縮装置に関し何ら変更を必要としない簡単な圧縮装置中で多層ドーズを圧縮することにより取得される。ダイス工具部品を作動させる、より複雑な圧縮装置を、樹脂の流動を一方向に推進するために使用できる。これらの装置を複雑な形状の物体用に、また防壁層の拡大を物体全体に最適化するために利用できる。
【0025】
物体10と11を、ポリウレタン(PE)製樹脂中に封入された防壁樹脂(EVOH)の薄い層を用いて実現した。これらの物体は、酸素もしくは香りに対し大きな不透過性を有する。
【0026】
本発明の説明を平易にするために、図を意図的に、第二の樹脂2中に封入される機能層の一つのみを用いて表した。二つの樹脂のみの結合は一般に、二つの樹脂間の境界で充分な接着を達成できないことは周知である。異なる性質の樹脂を結合することを可能にすると同時に、層間の接着の優れた水準を保証する、接着性中間層を使用することも常習的である。従って、防壁層の両側面上に接着性層を挿入することは、多層物体中の剥離もしくは分離の潜在的な問題を予防する。接着性と防壁性の層は類似していて、また少量である。機能層3を形成する接着層の集合体は、ドーズを形成する全樹脂量のほぼ15%未満の樹脂量、また好ましくは10%未満の量を専有する。本発明は従って、図4と、6と、8と、9に提案されるような三層ドーズに限定されるのではなく、5層以上を含むのがより一般的である。
【0027】
本発明の要旨の範囲内で使用される樹脂は、現在使用されている熱可塑性樹脂、また具体的には包装業界において使用される樹脂に対応する。機能層3を形成するために使用される防壁樹脂のうちで、エチレン・ビニル・アルコール(EVOH)共ポリマと、ナイロン-MXD6などのポリアミドと、アクリルニトリル-メチル・アクリレート共ポリマ(BAREX)と、PVDFなどのフッソ化ポリマを列挙できる。これに関連して、物体の構造2を形成するために使用される数種の樹脂、ポリエチレン(PE)と、ポリプロピレン(PP)と、ポリスチレン(PS)と、ポリアミド(PA)と、ポリエステル(PET)も列挙できる。このリストは網羅的でない。樹脂の選定においては、近似する粘度を有する製品を選定することが重要である。一般的に、操作温度で、10未満の粘度比を有する樹脂を使用するのが好適であり、また3未満の粘度比が選定されるのが好ましい。
【0028】
圧縮成型法は、溶融状態の合成樹脂の多層ドーズをモールドの空洞内に供給する工程と、前記モールドの空洞中で前記ドーズを圧縮成型することにより物体を形成する工程と、物体を冷却する工程と、次にそれをモールドから取除く工程から成る。
【0029】
本発明は、機能層3が物体の容積の5%未満を占有できる、極めて薄い機能層を有する物体の実現を可能にする。
【0030】
本発明に記載の多層物体を実現するための方法は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズが実現されることを必要とする。
【0031】
第一の方法は、図12と13に図示される。この方法は、図12に図示されるような多層管状共押出しを実行する工程から成る。多層流動体は、少なくとも一つのダイス8とマンドレル9を具備するダイス工具に流入する。マンドレル9は、管を周期的に切断し、かつドーズを形成することを可能にする閉止弁をその端部に備える。多層流動体は、周知の方法に従って図12に表されるダイス工具の上流側に創出される。特許出願に基づく試験は、共押出しヘッドに接続された三つの押出し機を用いて実現された。図12は、高さHだけダイスを超えて延び、かつ前記ドーズの空洞の創出を可能にするマンドレルの位置を示す。ダイス工具から抜け出す際に、流動体は、マンドレルの周囲を曲りながら進み、またドーズの形状を改良することを可能にする。
【0032】
マンドレル12の端部周囲の材料流動の曲りは、高さHと、閉止弁の形状と、押出される樹脂と、マンドレル9の移動に従属することが実験的に分った。これらのパラメータを最適化することにより、穴が有る(図4と8)もしくは穴が無い(図6)に係らずドーズを形成できる。
【0033】
図13は、閉止弁の閉鎖とドーズの切断を図示する。閉止弁の開放及び閉鎖の速度と、押出し速度と、温度などのプロセス・パラメータを変更することにより、あるいはダイス工具の幾何学的形状を変更することにより、ドーズの凹面を最適化できる。
【0034】
図14と15は、凹面ドーズの実現のための別のプロセスを図示する。このプロセスは、図14に示されるダイス工具中の管状共押出しを創出する工程から成る。このダイス工具は、少なくとも一つのダイス8とマンドレル9を具備し、マンドレル9は、高さHだけダイス8を超えて延びている。実現されるドーズの幾何学的形状に応じて、マンドレル9は調整され、あるいはドーズの切断に同調し、周期的で、往復する垂直移動により作動される。本発明の説明を平易にするために、図15は、円筒型形状のマンドレルとダイスを表す。本発明は同様に、同一原理に基づく他のダイス工具形状に及び、また自身の表面の一部に凹面を有するドーズを製造することを可能にする。図14と15に図示される本方法は、ダイス工具8と9を通って一定速度で材料を押出す工程と、図15に示されるカッタによってダイス工具から排出される材料を周期的に切断する工程から成る。
【0035】
マンドレルとダイスとの端部間の最大距離に対応する距離Hは、ほぼ1mmと5cmの範囲にある。
【0036】
ドーズの切断を、ドーズが押出し機を離れるときロッドを切断するための、例えば回転式カッタを含む他の周知の方法に従って実現できる。この種のカッタを、ドーズをモールド内に移送するために同時に使用できる。
【0037】
ドーズの移送を、重力もしくは移送装置によるなどの周知の方法により達成できる。圧縮モールド中のドーズの配置は、正確である必要があり、特にドーズの対称軸は、モールドの空洞の対称軸と正確に整列される必要がある。ドーズは、ドーズの対称軸に沿って圧縮される。
【0038】
図17は、自身の表面の一部が凹面であるドーズを実現するための別の方法を図示する。この方法は、管状ドーズを実現する工程と、次に切断の過程もしくは前記ドーズの圧縮モールド内に移送の過程で自身の凹面を改良する工程から成る。図16は、ダイス8とマンドレル9を介する管状多層押出しを示す。この押出しは、一定速度で実施されるのが好ましい。図17は、カッタ10を用いる多層押出し物の切断を図示する。カッタ10の作動は、押出し物を周期的に切断することと、前記ドーズ1の端部を一緒に閉鎖することの効果がある。同様な方法を、ドーズの端部を同時的にもしくは連続的に切断し、かつ閉鎖するために想定できる。
【0039】
多層ドーズは、使用される樹脂に適した温度の溶融状態で押出される。多層ドーズは、圧縮モールド内に移送される工程中は溶融状態のままである。ドーズは、圧縮成型され、また取得された物体は、取り出される前にモールド中で少なくともある程度冷却される。
【0040】
本明細書に提示される事例では、ドーズと物体は単純な幾何学的形状から成るが、本発明はいかなる形状のドーズと物体にも関連するのは明らかである。
【0041】
本発明に従って取得された物体は、物体の周縁の同一高さに少なくとも一つの折り曲げ部を形成する機能層3を含む。物体の対称軸に近接する第二の折り曲げ部を含む物体も、取得できる。ジグザグ形の機能層の配置が、物体中に達成可能である。
【0042】
ドーズ中の機能層3の多くの配置が、可能である。機能層3を、前記機能層3が、対称軸上で心出しされた回転体のシェルを形成するように、ドーズ中に配置することが有利である。対称軸までの機能層3の距離が可変であるとき、有利な多層物体を取得できる。
【0043】
本発明は、ドーズ中に配分される単一の機能層3を用いて記載された。前記ドーズの対称軸上で全てが心出しされている、複数の機能層3を具備するドーズを同様に使用できる。取得された多層物体は、機能層が、一方がもう一方の上部に少なくとも一部置かれ、かつ物体全体に配分されることを特徴とする。
【0044】
食品用に用いる包装体もしくは包装部品の実現は、優れた衛生特性を必要とする。従って、機能層3が充填製品と直接に接触しないことが望ましい場合が多い。機能層3をドーズ中に全体的に封入することが有利であり、その結果前記機能層は物体中に全体的に封入され、もしくは前記機能層は、高い衛生特性を必要とする前記物体のその部分に存在しない。
【0045】
あるいは、防壁層の一端だけが封入されなくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、圧縮成型により多層物体を実現するために、従来技術に記載された多層ドーズを説明する図のうちで、米国特許第4 876 052号明細書に従って実現された二層ドーズを示す。
【図2】図2は、圧縮成型により多層物体を実現するために、従来技術に記載された多層ドーズを説明する図のうちで、日本特許第2098415号明細書に使用された二層ドーズを示す。
【図3】図3は、圧縮成型により多層物体を実現するために、従来技術に記載された多層ドーズを説明する図のうちで、日本特許第2098415号明細書に記載された3層を含むドーズを図示する。
【図4】図4は、本発明の第一の実施形態に記載の多層ドーズを示す。このドーズは、対称軸上で心出しされた穴を形成する凹面を具備する。
【図5】図5は、穴を有し、また図4に図示されたドーズの圧縮から実現された多層物体を示す。
【図6】図6は、本発明の第二の実施形態に記載の多層ドーズを示す。このドーズは、対称軸上で心出しされた空洞を形成する凹面を具備する。
【図7】図7は、図6に図示されたドーズの圧縮から取得された穴の無い多層物体を図示する。
【図8】図8は、本発明の第一と第二の実施形態を組み合わせる多層ドーズを示す。ドーズは、空洞と穴を形成する凹面を具備する。
【図9】図9は、空洞を有し、かつ本発明の第二の実施形態に対応するドーズを図示する。
【図10】図10は、本発明に従って実現された管のヘッドを示す。
【図11】図11は、本発明に従って実現されたプラグを示す。
【図12】図12は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図13】図13は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図14】図14は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図15】図15は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図16】図16は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【図17】図17は、自身の表面の一部に凹面を有する多層ドーズを実現するための方法を図示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮成型による多層物体の実現のための対称軸を有する合成樹脂のドーズであって、
第一の合成樹脂と、前記樹脂中に少なくとも大部分を封入された少なくとも一つの薄い機能性樹脂の層を具備するものにおいて、
その表面の一部が凹面であることを特徴とする、
対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項2】
穴を具備し、前記凹面は、前記穴により形成された内表面の少なくとも一部により構成される、請求項1に記載の対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項3】
前記穴は、前記ドーズを貫く通路を形成する、請求項2に記載の対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項4】
前記穴は、前記ドーズの一方の面上で開放する空洞を形成する、請求項3に記載の対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項5】
前記機能性樹脂の薄い層自体は、二つの接着樹脂層の間に封入される防壁樹脂の層を具備する多層構造を形成することを特徴とする、請求項1−4のいずれか一項に記載の対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項6】
前記機能性樹脂の薄い層は、折り曲げ部を形成する少なくとも一つの部分を含むことを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項7】
対称軸を有し、前記機能性樹脂の薄い層は、前記対称軸の周囲で心出しされた回転体を形成することを特徴とする、請求項1−6のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項8】
前記回転体は、開放していることを特徴とする、請求項7に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項9】
前記回転体は、対称軸上で心出しされた開口を含むことを特徴とする、請求項1−8のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項10】
前記ドーズを貫く通路を形成する穴を含むことを特徴とする、請求項6−9のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項11】
穴を含まないことを特徴とする、請求項6−9のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項12】
前記回転体は、閉鎖されることを特徴とする、請求項7に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項13】
前記樹脂は、同時に、かつ同軸上に、初期には直線方向に押出されることと、押出し方向は次に、前記凹面を形成するように変更されることを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のドーズ用の製造工程。
【請求項14】
前記樹脂の直線状、同時的、同軸上の流動のための通路と、前記凹面を形成するように押出しの方向を変更するための手段を具備することを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のドーズを製造し、また請求項13に記載の工程を使用するための装置。
【請求項1】
圧縮成型による多層物体の実現のための対称軸を有する合成樹脂のドーズであって、
第一の合成樹脂と、前記樹脂中に少なくとも大部分を封入された少なくとも一つの薄い機能性樹脂の層を具備するものにおいて、
その表面の一部が凹面であることを特徴とする、
対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項2】
穴を具備し、前記凹面は、前記穴により形成された内表面の少なくとも一部により構成される、請求項1に記載の対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項3】
前記穴は、前記ドーズを貫く通路を形成する、請求項2に記載の対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項4】
前記穴は、前記ドーズの一方の面上で開放する空洞を形成する、請求項3に記載の対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項5】
前記機能性樹脂の薄い層自体は、二つの接着樹脂層の間に封入される防壁樹脂の層を具備する多層構造を形成することを特徴とする、請求項1−4のいずれか一項に記載の対称軸を有する合成樹脂のドーズ。
【請求項6】
前記機能性樹脂の薄い層は、折り曲げ部を形成する少なくとも一つの部分を含むことを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項7】
対称軸を有し、前記機能性樹脂の薄い層は、前記対称軸の周囲で心出しされた回転体を形成することを特徴とする、請求項1−6のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項8】
前記回転体は、開放していることを特徴とする、請求項7に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項9】
前記回転体は、対称軸上で心出しされた開口を含むことを特徴とする、請求項1−8のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項10】
前記ドーズを貫く通路を形成する穴を含むことを特徴とする、請求項6−9のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項11】
穴を含まないことを特徴とする、請求項6−9のいずれか一項に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項12】
前記回転体は、閉鎖されることを特徴とする、請求項7に記載のドーズから取得された多層物体。
【請求項13】
前記樹脂は、同時に、かつ同軸上に、初期には直線方向に押出されることと、押出し方向は次に、前記凹面を形成するように変更されることを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のドーズ用の製造工程。
【請求項14】
前記樹脂の直線状、同時的、同軸上の流動のための通路と、前記凹面を形成するように押出しの方向を変更するための手段を具備することを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のドーズを製造し、また請求項13に記載の工程を使用するための装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2007−525349(P2007−525349A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501421(P2007−501421)
【出願日】平成17年2月26日(2005.2.26)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050707
【国際公開番号】WO2005/084903
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(504207499)エイサパック ホールディング ソシエテ アノニム (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月26日(2005.2.26)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050707
【国際公開番号】WO2005/084903
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(504207499)エイサパック ホールディング ソシエテ アノニム (8)
【Fターム(参考)】
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