説明

出版グラビア印刷インキ用バインダーおよび出版グラビア印刷インキ

【課題】脂環族有機溶剤の均一な溶液として使用可能であり、かつ、インキの転移性やインキ皮膜の乾燥性、光沢等のバインダー性能をバランスよく発揮できる出版グラビア印刷インキ用バインダーを提供する。
【解決手段】重合ロジン(a1)を5〜34重量%含有するロジン類(A)、脂肪酸類(B)、炭素数10〜20のアルキル基を有するモノアミンおよび/または炭素数10〜20のアルケニル基を有するモノアミンを含むアミン類(C)、ならびに金属化合物(D)を脂環族有機溶剤(E)中で造塩反応させてなる樹脂組成物を用いた、出版グラビア印刷インキ用バインダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は出版グラビア印刷インキ用バインダーおよび出版グラビア印刷インキに関する。
【背景技術】
【0002】
出版グラビア印刷インキは雑誌や週刊誌、広告その他のメディアに使用されており、そのバインダーとしては従来、ロジン類と金属化合物との反応生成物を含有する樹脂組成物が賞用されている。また、近年はインキの転移性や乾燥性、インキ皮膜の光沢といったバインダー性能の更なる向上が要求されており、原料面より種々の改良がなされている。例えば本出願人は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジン、多価アルコール、および金属化合物からなる樹脂酸部分エステル化物を大豆油脂肪酸等で変性してなる、高分子量であり且つ架橋状の樹脂組成物を用いたバインダーを提案している(特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、従来のバインダーには主にトルエン等の芳香族系有機溶剤が使用されていたが、印刷物の臭気などの理由からメチルシクロヘキサン等の脂環族系有機溶剤が利用される傾向にある。しかし、脂環族系有機溶剤は一般に架橋した高分子量の樹脂の溶解力に劣るため、バインダー中に不溶物が発生しやすく、また、そうしたバインダーは性能面でも劣る傾向にある。よって、有機溶剤を芳香族系のものから脂環族系のものに置換する場合には、原料面で適切な樹脂設計を行う必要がある。
【0004】
そこで本出願人は、例えば特許文献2において、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸で変性したロジンと金属化合物との反応物が脂環族系有機溶剤に溶解し、しかも良好なバインダー性能を発揮することを提案したが、昨今は高速印刷化や印刷物に対する高品質化に対する要求が強まっており、性能の更なる向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−279146号公報
【特許文献2】特開2001−234105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、脂環族有機溶剤の均一な溶液として使用可能であり、かつ、インキの転移性やインキ皮膜の乾燥性、光沢等のバインダー性能をバランスよく発揮できる出版グラビア印刷インキ用バインダーを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定の原料を使用して得られる樹脂組成物により前記課題を達成できることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、重合ロジン(a1)を5〜34重量%含有するロジン類(A)、脂肪酸類(B)、炭素数10〜20のアルキル基を有するモノアミンおよび/または炭素数10〜20のアルケニル基を有するモノアミンを含むアミン類(C)、ならびに金属化合物(D)を脂環族有機溶剤(E)中で造塩反応させてなる樹脂組成物を用いた、出版グラビア印刷インキ用バインダー;当該出版グラビア印刷インキ用バインダーを用いてなる、出版グラビア印刷インキ、に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の出版グラビア印刷インキ用バインダーは脂環族有機溶剤の均一な溶液として利用できる。また、顔料分散性や溶剤脱離性等に優れるため、インキの転移性やインキ皮膜の乾燥性、光沢等において、芳香族系有機溶剤を使用した従来品に匹敵する出版グラビア印刷インキを提供できる。
【0010】
また、インキは転移性が良好であることから、例えば、印刷版胴から基材への転移が完了する前にインキが固化してしまう版かぶり現象が減少する。他にもインキ皮膜の乾燥性に優れることから、例えば、多色刷において下塗りインキ皮膜が上塗インキの印刷版胴にとられてしまうバックトラップ現象や、印刷物のブロッキング、裏移り等が低減する。また、皮膜の光沢が良好であること等から、今日の高い品質要求に合致した印刷物を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のバインダーは、重合ロジン(a1)(以下、(a1)成分という)を5〜34重量%含有するロジン類(A)(以下、(A)成分という)、脂肪酸類(B)(以下、(B)成分という)、炭素数10〜20のアルキル基を有するモノアミンおよび/または炭素数10〜20のアルケニル基を有するモノアミンを含むアミン類(C)(以下、(C)成分という)、ならびに金属化合物(D)(以下、(D)成分という)を脂環族有機溶剤(E)(以下、(E)成分という)中で造塩反応させてなる樹脂組成物を用いたものである。
【0012】
(a1)成分としては、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン等の原料ロジン類を公知の手段で重合処理したものが挙げられ、各種のものを特に制限なく使用できる。また、(A)成分における(a1)成分の含有量は通常5〜34重量%、好ましくは10〜25重量%であり、5重量%未満であるとインキ皮膜の光沢が、34重量%を超えると特にインキの転移性と乾燥性が不十分になる。なお、(a1)成分の物性は特に限定されないが、通常、酸価(JIS K 0070)が150〜200程度である。
【0013】
(A)成分には、特にインキ皮膜の乾燥性の観点より、さらにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジン(a2)(以下、(a2)成分という)を含ませることができる。該α,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸や、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸が挙げられる。また、(a2)成分をなすロジンとしては前記した原料ロジン類が挙げられる。(a2)成分は、当該原料ロジン類と前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸とを通常180〜250℃程度の温度でディールス・アルダー反応させることにより得られる。なお、(A)成分における(a2)成分の含有量は通常94〜67重量%程度、好ましくは90〜75重量%である。また、(a2)成分の物性は特に限定されないが、通常、酸価(JIS K 0070)が180〜350程度である。
【0014】
なお、(A)成分とともに、必要に応じて、前記原料ロジン類、その不均化物、および水素化物等を併用できる。その使用量は通常、(A)成分100重量部に対して0〜50重量部程度、具体的には0〜25重量部である。
【0015】
(B)成分としては、各種公知の脂肪酸類を特に制限なく使用できる。具体的には、炭素数6〜20程度(好ましくは14〜18)のアルキル基を有するモノカルボン酸および/または炭素数6〜20程度(好ましくは14〜18)のアルケニル基を有するモノカルボン酸を含む脂肪酸類が好ましい。アルキル基およびアルケニル基の炭素数が6以上であることにより特にインキ皮膜の光沢が、また、20以下であることにより特にインキ皮膜の乾燥性が良好になる傾向にある。なお、当該脂肪酸類における該モノカルボン酸の含有量は特に制限されないが、通常85重量%以上、好ましくは90〜98重量%程度である。また、前記「炭素数」は、各モノカルボン酸が有するアルキル基またはアルケニル基一つについての炭素数を意味する。
【0016】
当該脂肪酸類の具体例としては、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸等が挙げられる。これらの中でも、バインダー性能のバランスを考慮すると大豆油脂肪酸および/またはトール油脂肪酸が、特にインキの転移性を考慮すると大豆油脂肪酸が好ましい。また、該脂肪酸類をなすモノカルボン酸のうち、前記アルキル基を有するものとしては、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸等が、また、前記アルケニル基を有するものとしては、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸等が挙げられる。
【0017】
なお、(B)成分とともに、必要に応じ、ダイマー酸やトリマー酸などのジカルボン酸を含む脂肪酸類を併用してもよい。
【0018】
(C)成分は、炭素数10〜20(好ましくは16〜19)のアルキル基を有するモノアミンおよび/または炭素数10〜20(好ましくは16〜19)のアルケニル基を有するモノアミンを含むアミン類であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。アルキル基およびアルケニル基の炭素数が10未満であると特にインキ皮膜の転移性や乾燥性が、また、20を超えると特にインキ皮膜の乾燥性や光沢が不十分となる。なお、当該アミン類中の該モノアミンの含有量は特に制限されないが、通常65重量%以上、好ましくは70〜99重量%程度である。また、当該アルキル基およびアルケニル基には活性水素基(水酸基、カルボキシル基等)が含まれない。また、前記「炭素数」は、各モノアミンが有するアルキル基またはアルケニル基一つについての炭素数を意味する。
【0019】
当該モノアミンのうち前記アルキル基を有するものとしては、カプリルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン等の第1級脂肪族モノアミンや、ジカプリルアミン、ジラウリルアミン、ジミリスチルアミン、ジステアリルアミン、N−メチルステアリルアミン等の第2級脂肪族モノアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、トリデシルアミン、N,N−ジメチルカプリルアミン、トリカプリルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、トリラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、トリミリスチルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン等の第3級脂肪族モノアミンが挙げられる。また、前記アルケニル基を有するものとしては、ウンデシルアミン、ミリストイルアミン、オレイルアミン、オクタデセニルアミン等の第1級脂肪族モノアミン、ジメチルオレイルアミン等の第3級脂肪族モノアミンなどが挙げられる。(C)成分としては、バインダー性能のバランスを考慮すると、N,N−ジメチルステアリルアミンやオレイルアミンを主成分とするアミン類が好ましい。
【0020】
(D)成分としては、各種の金属化合物を使用できる。具体的には、各種金属(カルシウム、マグネシウム、亜鉛等)の酸化物、水酸化物、有機酸塩類が挙げられる。具体的には、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等が例示できる。これらの中でも、特にインキ皮膜の光沢の観点より、酸化亜鉛、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムの併用が好ましい。
【0021】
(E)成分としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、メチルエチルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらの中でも、特にインキ皮膜の乾燥性の観点より、メチルシクロヘキサンが好ましい。
【0022】
(A)成分〜(C)成分の使用量は特に限定されないが、バインダー性能のバランス、特にインキ皮膜の乾燥性の観点より、(A)成分100重量部に対し、(B)成分および(C)成分の使用量が順に通常5〜15重量部程度(好ましくは8〜12重量部)、10〜20重量部程度(好ましくは12〜18重量部)となる範囲である。
【0023】
(D)成分の使用量も特に制限されないが、特にインキ皮膜の乾燥性の観点より、(A)成分および(B)成分におけるカルボキシル基の合計100モル%に対し通常70〜100モル%程度(好ましくは80〜95モル%)となる範囲である。
【0024】
(E)成分の使用量も特に制限されないが、本発明に係る樹脂組成物の不揮発分が通常45〜60重量%程度となる範囲である。
【0025】
本発明に係る樹脂組成物は、(A)成分〜(D)成分を(E)成分中で造塩反応させることにより得られる。なお、本発明において「造塩反応」とは、酸性物質((A)成分および(B)成分)と塩基性物質((C)成分および(D)成分)とが塩を形成する中和反応を意味する。また、「塩」の構造としては、例えばカルボキシル基−金属イオン−カルボキシル基、カルボキシル基−アミノ基等のイオン結合が挙げられる。当該樹脂組成物をなす樹脂は、(E)成分中でそうしたイオン結合を介したネットワークを形成していると考えられ、おそらくそのため、当該樹脂は比較的高分子量でありながらも(E)成分中で不溶物を発生することなく溶解しているのではないかと考えられる。
【0026】
それゆえ、本発明に係る樹脂組成物においては、従来高分子量化成分として使用されていたグリセリンやペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールを架橋剤(エステル化反応成分)として使用しなくてもよい。
【0027】
造塩反応時の温度は通常60〜140℃程度、好ましくは70〜110℃である。また、(A)成分〜(D)成分を(E)成分に添加する順序も特に限定されず、例えば、[1](A)成分〜(D)成分を一度に同温度で造塩反応させるワンポット反応や、[2](A)成分、(B)成分および(D)成分を(E)成分中で同温度で反応させた後、さらに(C)成分を添加して同温度で造塩反応させる二段階反応を採用できる。後者の方法で得られるバインダーは、インキ皮膜の乾燥性や光沢等の観点より好ましい。
【0028】
当該造塩反応は、反応促進のために水やその他触媒の存在下で実施できる。当該触媒としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、これらの金属塩等が挙げられる。なお、(A)成分〜(D)成分の合計100重量部に対し水の使用量は通常0.5〜5重量部程度、触媒の使用量は通常0.5〜1重量部程度である。
【0029】
こうして得られる樹脂組成物の物性は特に限定されないが、特にインキ皮膜の乾燥性や光沢等の観点より、粘度が通常0.05〜0.5Pa・s程度(B形粘度計を用い25℃、不揮発分55%で測定した値)、融点(JIS K 0064)が通常160〜260℃程度、酸価(JIS K 0070)が通常30〜240程度、アミン価(JIS K 7237)が通常1〜20程度である。
【0030】
本発明の出版グラビア印刷インキ用バインダーは前記方法で得た樹脂組成物を用いたものであり、必要に応じて顔料分散剤や消泡剤等の副資材を配合できる。
【0031】
本発明の出版グラビア印刷インキは、前記出版グラビア印刷インキ用バインダーを用いたものであり、他に各種顔料(黄、紅、藍、墨等)および必要に応じてインキ溶剤やワックス、添加剤等を配合できる。インキ溶剤としては芳香族有機溶剤(トルエン、キシレン等)、各種植物油(大豆油、ひまし油、あまに油等)、石油系溶剤(AF−5号ソルベント、AF−6号ソルベント、0号ソルベント等)が挙げられる他、前記脂環族有機溶剤も好適に利用できる。
【実施例】
【0032】
以下に、製造例、実施例および比較例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら限定されるものではない。尚、部および%は重量基準である。
【0033】
実施例1
撹拌機、温度計、冷却管、分水器および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トール油ロジン(福建省沙縣林産化工廠(株)製、酸価165。以下、トール油ロジンというときは同様である。)1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン(荒川化学工業(株)製、酸価148。以下、重合ロジンというときは同様である。)504部、大豆油脂肪酸(商品名「TOENOL1125」、当栄ケミカル(株)製、酸価195、オレイン酸およびリノール酸を主成分とする。以下、大豆油脂肪酸というときは同様である。)49部、ならびにメチルシクロヘキサン1412部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛47.6部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム95.3部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でN,N−ジメチルラウリルアミンを主成分とするアミン類(製品名「ファーミンDM4098」、花王(株)製。以下、ファーミンDM4098というときは同様である。)を146部加えて15分撹拌し、不揮発分58%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0034】
実施例2
実施例1と同様のフラスコに、トール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン459部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1436部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛46.5部、酢酸カルシウム2部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム93.0部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃で、オレイルアミンを主成分とするアミン類(製品名「ファーミンO」、花王(株)製。以下、ファーミンOというときは同様である。)を147部加えて15分撹拌し、不揮発分57%、粘度0.19Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0035】
実施例3
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン378部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1488部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛44.5部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム88.9部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、不揮発分55%、粘度0.21Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0036】
実施例4
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン257部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム83.3部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンOを147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0037】
実施例5
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.22Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0038】
実施例6
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、トール油脂肪酸(商品名「ハートール FA−1」、ハリマ化成(株)製、酸価194、オレイン酸およびリノール酸を主成分とする。以下、トール油脂肪酸というときは同様である。)49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0039】
実施例7
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃で、N,N−ジメチルステアリルアミンを主成分とするアミン類(製品名「ファーミンDM8098」、花王(株)製。以下、ファーミンDM8098というときは同様である。)を147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.19Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0040】
実施例8
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンOを147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.18Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0041】
実施例9
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃で、N,N−ジメチルデシルアミンを主成分とするアミン類(製品名「ファーミンDM1098」、花王(株)製。以下、ファーミンDM1098というときは同様である。)を147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0042】
実施例10
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン153部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1463部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛38.7部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム77.4部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、不揮発分52%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0043】
実施例11
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン77部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1506部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛36.8部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム73.5部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、不揮発分50%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0044】
実施例12
実施例1と同様のフラスコにガムロジン(荒川化学工業(株)製、酸価170。以下、ガムロジンというときは同様である。)1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0045】
実施例13
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジンを1000部仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジンを62部、大豆油脂肪酸を49部、およびメチルシクロヘキサン1490部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛36.4部、酢酸カルシウム2部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム72.8部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンOを147部加えて15分撹拌し、不揮発分50%、粘度0.21Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0046】
比較例1
実施例1と同様のフラスコに、トール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン575部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1406部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛49.5部、酢酸カルシウム2部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム98.9部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンO147部を加え15分撹拌し、不揮発分59%、粘度0.19Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0047】
比較例2
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン575部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1406部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛49.5部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム98.9部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、不揮発分59%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0048】
比較例3
実施例1と同様のフラスコに、トール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン41部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1528部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛35.8部、酢酸カルシウム2部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム71.7部を加え徐々に昇温後100℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンO147部を加え15分撹拌し、不揮発分49%、粘度0.21Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0049】
比較例4
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融した後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン43部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1530部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛35.9部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム71.8部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、不揮発分49%、粘度0.19Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0050】
比較例5
実施例1と同様のフラスコに、トール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1608部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛34.8部、酢酸カルシウム2部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム69.6部を加え徐々に昇温後100℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でファーミンO147部を加え15分撹拌し、不揮発分47%、粘度0.21Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0051】
比較例6
実施例1と同様のフラスコに、トール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1565部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛34.8部、酢酸カルシウム2部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム69.6部を加え徐々に昇温後100℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却し、不揮発分45%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0052】
比較例7
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、大豆油脂肪酸43部およびメチルシクロヘキサン1530部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛35.9部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム71.8部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った。次いで、80℃でファーミンDM4098を147部加えて15分撹拌し、冷却することにより、不揮発分49%、粘度0.21Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0053】
比較例8
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却することにより、不揮発分53%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0054】
比較例9
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1143部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛36.5部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム72.9部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行い、冷却することにより、不揮発分57%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0055】
比較例10
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃でN,N−ジメチルベヘニルアミンを主成分とするアミン類(製品名「ファーミンDM2285」、花王(株)製。以下、ファーミンDM2285というときは同様である。)を147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.19Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0056】
比較例11
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸31部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、重合ロジン256部、大豆油脂肪酸49部およびメチルシクロヘキサン1500部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛41.3部、酢酸カルシウム2.0部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム82.7部を加え、反応系を徐々に昇温して100℃で2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。次いで、80℃で、N,N−ジメチルオクチルアミンを主成分とするアミン類(製品名「ファーミンDM0898」、花王(株)製。以下、ファーミンDM2285というときは同様である。)を147部加えて15分撹拌し、不揮発分53%、粘度0.21Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0057】
比較例12
実施例1と同様のフラスコに、トール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸27部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、ジペンタエリスルトール4部と大豆油脂肪酸110部を加え250℃にて1時間エステル化を行った。次いでメチルシクロヘキサン1420部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛46.6部、酢酸カルシウム2部および水10部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化カルシウム92.6部を加え徐々に昇温後100℃にて2時間保温し、メチルシクロヘキサン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。不揮発分40%、粘度0.20Pa・sのポリエステル樹脂組成物を得たが、外観が濁っており、不溶物の発生を確認した。
【0058】
参照例1
実施例1と同様のフラスコに、トール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸27部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで、ジペンタエリスルトール4部と大豆油脂肪酸110部を加え250℃にて1時間エステル化を行った。次いでトルエン1420部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛46.6部、酢酸カルシウム2部及び水10部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化カルシウム92.6部を加え徐々に昇温後100℃にて2時間保温し、トルエン還流下に脱水反応を行った後、冷却した。不揮発分40%、粘度0.20Pa・sのポリエステル樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0059】
参照例2
実施例1と同様のフラスコにトール油ロジン1000部を仕込み加熱溶融させた後、フマル酸46部を添加し、200℃で1時間反応させた。次いで大豆油脂肪酸18部及びトルエン920部を加えて溶液となした後、酸化亜鉛38.6部と酢酸カルシウム2部及び水15部を添加して、75℃で1時間保温した。次いで、水酸化マグネシウム77.2部を加え徐々に昇温後110℃にて2時間保温し、トルエン還流下に脱水反応を行い、不揮発分55%、粘度0.20Pa・sの樹脂組成物を得た。外観は透明であり、不溶物は確認できなかった。
【0060】
【表1】

【0061】
表1中、MCHはメチルシクロヘキサンを、DPEはジペンタエリスリトールを意味する。
【0062】
(グラビアインキの調製)
実施例1〜13及び比較例1〜12で得られた樹脂組成物を、いずれも粘度が0.035Pa・s/20℃となるようにメチルエチルヘキサンで希釈した。また、参照例1〜2で得られた樹脂組成物を、いずれも粘度が0.035Pa・s/20℃となるようにトルエンで希釈した。
【0063】
次いで、実施例1に係る樹脂組成物の溶液88部に紅顔料(カーミン6B)を12部混合し、サンドミルを用いて1時間混練した後、メチルエチルヘキサンで希釈して粘度が0.085Pa・s/25℃の紅グラビアインキを得た。実施例2〜13及び比較例1〜12に係る溶液についても同様にして紅グラビアインキを得た。また、参照例1〜2に係る溶液については、希釈溶剤としてトルエンを使用した他は同様にして、紅グラビアインキを得た。
【0064】
<インキの転移性>
簡易グラビア印刷機(製品名「ECGL−SB」、和泉電気(株)製版のインキ孔深さ40μm)により、市販のコート紙に各グラビアインキを塗布した後、印刷面の色の濃さの順によりインキの転移性を目視評価した。5>4>3>2>1の順に良好であることを意味する。その際、参照例2を基準とした。
【0065】
<インキ皮膜の乾燥性>
バーコター#10を用いて各グラビアインキをコート紙に展色し、1分間放置した後、インキ皮膜に人差し指を押しつけた際の指触により、皮膜の乾燥性を評価した。5>4>3>2>1の順に良好であることを意味する。その際、参照例2を基準とした。
【0066】
<インキ皮膜の光沢>
前記乾燥性試験を行なったコート紙におけるインキ皮膜の光沢を目視評価した。5>4>3>2>1の順に良好であることを意味するその際。その際、参照例2を基準とした。
【0067】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合ロジン(a1)を5〜34重量%含有するロジン類(A)、脂肪酸類(B)、炭素数10〜20のアルキル基を有するモノアミンおよび/または炭素数10〜20のアルケニル基を有するモノアミンを含むアミン類(C)、ならびに金属化合物(D)を脂環族有機溶剤(E)中で造塩反応させてなる樹脂組成物を用いた、出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項2】
(A)成分がさらにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジン(a2)を含有する、請求項1の出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項3】
(B)成分が、炭素数6〜20のアルキル基を有するモノカルボン酸および/または炭素数6〜20のアルケニル基を有するモノカルボン酸を含む脂肪酸類である、請求項1または2の出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項4】
(B)成分が大豆油脂肪酸および/またはトール油脂肪酸である、請求項3の出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項5】
(D)成分が酸化亜鉛、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムの併用である、請求項1〜4のいずれかの出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項6】
(E)成分がメチルシクロヘキサンである、請求項1〜5のいずれかの出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項7】
(A)成分100重量部に対し、(B)成分および(C)成分の使用量が順に5〜15重量部、10〜20重量部である、請求項1〜6のいずれかの出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項8】
(D)成分の使用量が、(A)成分および(B)成分におけるカルボキシル基の合計100モル%に対し70〜100モル%である、請求項1〜7のいずれかの出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項9】
造塩反応時の温度が60〜140℃である、請求項1〜8のいずれかの出版グラビア印刷インキ用バインダー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかの出版グラビア印刷インキ用バインダーを用いてなる、出版グラビア印刷インキ。

【公開番号】特開2011−225827(P2011−225827A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59586(P2011−59586)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】