説明

分光光度計を標準化する方法

【課題】分光光度計を標準化する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、分光光度計に当然生じる大気の成分のスペクトルパターンに基づいて赤外分光光度計を標準化するための方法を提供する。本発明はまた、その方法を適用している分光光度計を提供する。その方法は、記録スペクトル中のスペクトルパターンを選択し、パターンの中心などの特徴についての波長依存位置値を決定する。この値は、マスター機器によって記録されたスペクトルから得られうる基準値と比較され、標準化式を決定することができる。2350cm−1のまわりのCO)からの吸収ピークは選択パターンとして好適である。その方法は、不必要な基準サンプルの使用を与えて、関心のあるサンプルのスペクトルの記録と同時に標準化が行なわれることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外分光光度計を標準化する方法およびその方法によって操作可能な赤外分光光度計およびその素子に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプルからの光学スペクトルを生成するための従来の(分散型)分光光度計では、サンプルを光と相互作用させるために問題のサンプルが配置される光路を定める光エミッタと光検知器が設けられている。そのような分光光度計は、典型的には、液体サンプルを保持するためのサンプルキュベットなどのサンプルを保持するための手段をさらに備え、その物質がさらに光と相互作用する。さらに、光を偏向するためにミラーやプリズム、格子、レンズなどが光路に導入されてもよい。
【0003】
光学スペクトルは典型的には吸収スペクトルか透過スペクトルか反射スペクトルである。しかしながら、蛍光スペクトルやラマンスペクトルなどの発光スペクトルもまた使用される。
【0004】
異なる光学素子と光源の状態は時間および/または周囲の状況に応じて変化しうる。そのような変化は、光検知器の出力と、したがって分光光度計によって生成されたスペクトルとに影響を及ぼす。典型的には、分光光度計のドリフトは、同じ波長が二つの別の同様の分光光度計によって等しく表現され得ない原因としての波長ドリフトとして、また、同じサンプルについて同じ波長において二つの別の同様の機器で異なる強度が測定される強度ドリフトとして説明されうる。したがって、分光光度計は一般に、正確なスペクトルを生成するために一定間隔で標準化を必要とする。
【0005】
分光光度計を標準化する多数の方法が先行技術に説明されている。典型的な標準化手順では、分光光度計はマスター機器で標準にされる。マスター機器を使用して既知のサンプルの多数のスペクトルを記録した。それらを再び使用して一以上の波長において与えられた吸収度を物質の量にリンクするデータベースを生成した。このデータベースを使用するために、分光光度計の波長目盛をマスター機器の波長目盛に標準化しなければならない。これをするため、ほとんどの先行技術方法は、標準化手順の中で使用される既知の基準サンプルを利用する。既知の基準サンプルのスペクトルは記録され、マスター機器によって記録された同一のサンプルのスペクトルと比較される。記録スペクトルの波長の食い違いのために修正するのに使用される分光光度計のための標準化式が決定される。
【0006】
フーリエ変換赤外(FTIR)分光法は分光法の一種であり、ある測定技術を使用することによって赤外線スペクトルが集められる。従来の赤外分光光度計では、IR光の波長が変更され、吸収されたエネルギー量が記録される。FTIR分光光度計では、IR源からの光がレーザーからの単色光と一緒に干渉計を通して案内される。IR光がサンプルと相互作用したとき、測定される信号はインターフェログラムである。この信号に数学的フーリエ変換を実行すると、従来の赤外分光法のスペクトルと同一のスペクトルが得られる。従来の機器に対するさまざまな利点のため、今日実用的に使用されている赤外分光光度計はすべてFTIRタイプである。
【0007】
そのようなFTIR機器は、基準としてある波長におけるレーザー発光を利用する。レーザーは温度変化と機械的な影響に耐性がなく、それらは両方とも発光波長にドリフトを引き起こしうる。
【0008】
以前は、FTIR分光光度計で使用される典型的なレーザーは、レーザーが非常に安定している状況下での使用に適用されたHeNeレーザーだった。新しいFTIR分光光度計では、一般により小さく、壊れにくく、HeNeレーザーよりも安い固体レーザーを使用する要望がある。しかしながら、固体レーザーはよりいっそう温度に敏感であり、熱の安定化により高い要求を要し、頻繁な標準化を要求する。
【0009】
「Busch et. al., Applied Spectroscopy, 54, 1321 (2000) (XP001125094)」は、エチンサンプルセルの使用と全米標準・技術研究所によって提供された回転振動バンド値との比較とによるFT−NIR分光光度計の較正を開示している。
【0010】
それらが分光光度計の標準化のための基準サンプルの規則的な導入を要求することは、標準化または較正のための既存の方法の作動時間と精度の点で、明らかな欠点である。基準サンプルは品位を下げるか壊れるか行方不明になるかもしれず、その場合には、分光光度計を標準化することができる前に新しいサンプルを得なければならない。
【0011】
米国特許第6,420,695号は、電磁放射フィルタリング装置(波長フィルター)、ここでは可変同調ファブリー・ペロー干渉計のための波長校正のための方法を開示している。その方法は、中心波長と物理的パラメーター、ここではファブリー・ペロー干渉計の電圧、との間の初期に確立された関係に基づいた分光透過率のチューニングを有している。較正におけるメタンまたはCOの吸収ラインの使用が述べられている。米国特許第6,420,695号は後に説明中で評する。
【特許文献1】米国特許第6,420,695号
【非特許文献1】Busch et. al., Applied Spectroscopy, 54, 1321 (2000) (XP001125094)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記から理解できるように、長くない標準化手順を有する分光光度計の要望があり、そしてそれはたとえば部品の製造の精度や使用温度の要求を緩める。そのような分光光度計は、繰り返し時間を消費する標準化が迷惑であるたとえば実地調査やほかの野ざらしの状況で適用可能かもしれない。
【0013】
したがって、本発明の目的は、標準化のために基準サンプルの使用の必要なしで分光光度計を標準化する方法を提供することである。本発明の別の目的は、より少ない安定条件下、特に変化する温度条件下での使用にふさわしい分光光度計を提供することである。
【0014】
本発明のまた別の目的は、サンプルが導入されるたびに分光光度計を標準化し、それにより分光光度計に導入されたサンプルの生成された光学スペクトルの改善された精度を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、関心のあるサンプルの記録スペクトルを使用して分光光度計を標準化し、それにより標準化用と関心のあるサンプル用の別々のスペクトルを記録しなければならないという欠点を避けることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第一の観点では、本発明は、分光光度計によって記録された光学スペクトルの波長目盛を調節する方法を提供し、
・分光光度計によって記録された、分光光度計中の大気の成分から生じるスペクトルパターンを有する光学スペクトルを用意し、
・分光光度計中の大気の成分から生じるスペクトルパターンを選択し、
・選択スペクトルパターンに関連する波長依存位置値を決定し、
・選択スペクトルパターンの決定値と対応基準値との差に基づいて光学スペクトルの波長目盛を調節する。
【0017】
好ましくは、波長依存位置値を決定するステップが選択スペクトルパターンの中心値を決定することを有している。より好ましくは、中心値を決定することが、選択スペクトルパターンを取り巻いている所定波長範囲内のほかの物質からのスペクトル成分を取り除くことを有している。好ましい実施形態では、スペクトル成分の除去が、
・スペクトルパターンの両側および外側にある、選択スペクトルパターンを有する所定波長範囲内の少なくとも二つのスペクトル値を選択するステップと、
・単純モデル関数を使用してカーブを選択スペクトル値にフィッティングするステップと、
・少なくとも光学スペクトルの所定波長範囲について光学スペクトルからフィットされたカーブを引くステップとを有している。
【0018】
好ましくは、スペクトルは、較正目的に使用される(基準サンプルまたは較正サンプルと典型的に示される)サンプルではなく、そのスペクトルが測定のゴールであるサンプルを意味している、関心のあるサンプルの記録されたスペクトルである。残りの説明において、サンプルとの用語は、特に断らない限り、一般に関心のあるサンプルを指す。好ましくは、サンプルは液体サンプルであるが、方法は固体や気体サンプルに適用されてもよい。さらに、方法は好ましくはFTIR分光法に使用され、その場合、分光光度計はFTIR分光光度計か等価物であるが、任意の種類の分光法に使用されてよい。
【0019】
分光光度計の波長軸を標準化するとき、その真の波長が既知である特徴パターンの記録波長に関する情報を取得することが要求される。特徴パターンは、典型的には、関連分子の量子力学的エネルギー状態間の周知な遷移から生じる一以上の吸収や放射のピークである。他方では、それは複雑な相互作用から生じ、スペクトルの大部分を占めうる。したがって、特徴パターンは、光学スペクトルの一以上の局所的な最大値または最小値、すなわちスペクトルピークを有していることが好ましい。
【0020】
好ましくは、スペクトルパターンは、ガス状CO中の共有結合から生じる二つのピークを有している。一つは非対称ストレッチングモード用であり、一つはベンディングモード用である。これらのピークは2000〜2800cm−1の区間に、およそ2335cm−1と2355cm−1に位置し、正常なCO)量と重なる。したがって、これらの二つのピークから発生するスペクトルパターンの中心周波数は、合成パターンの中心として定められる。また、所定波長範囲は好ましくは2345cm−1に中心があり、所定波長範囲の幅は中心値を決定するための選択過程に依存する。
【0021】
ガス状COの吸収のスペクトルピークはそれ自体温度変動と無関係であるが、波長軸上のそれらの位置はたとえば温度に依存して変動する。これは、FTIR分光光度計に特に当てはまり、基準レーザー源の波長は温度で変動しうる。
【0022】
しかしながら、ガス状CO吸収の前記スペクトルピークの正確なターゲティングは、同じ波長範囲に吸収するほかの成分の欠如に依存する。これはほとんど常に、ミルクやワインやフルーツジュースなどの食物材料の水溶液サンプルを扱うときの状況になる。波長範囲に非常に平らな吸収を有している水(HO)を別にすれば、CO吸収ピークの局在化に影響するほかの成分はない。
【0023】
典型的には、波長のCO吸収の唯一可能な外乱は、サンプル自体中の溶解COaq)から発生する。しかしながら、そのような溶解COは、ガス状COからの吸収ピーク間に位置する一つの吸収ピークを有しているに過ぎない。したがって、この可能な外乱は、以下に確認される事実によって容易に解消される。
【0024】
第一に、より大きな濃度は、COaq)が標準大気圧においてガスの形態で解放されることに帰結するので、溶解COの非常に小さい最大濃度だけがサンプル中に可能である。したがって、溶解COの吸収はCO)からのピークと重なるが、溶解COの吸収はCO)のそれよりも著しく小さく、したがって容易に識別され、標準化計算から除外される。
【0025】
第二に、溶解COの吸収スペクトルは、CO)からのピーク間にほとんど対称的に位置し、前述の最大濃度以下のすべての濃度において非常に狭くなり、CO)ピークの外側「横腹」に影響しない。それが横腹を曲げるならば、それは横腹間の中心をシフトさせないほとんど対称的な歪みになる。したがって、それはガス状COからのピークの形状を変化させるかもしれないが、その中心の位置は変化させない。この用途では、「横腹」は、吸収値が最小吸収値の所定割合と等しい、ガス状COのスペクトルピークの両側の位置として解釈してよい。しかしながら、ほかの定義を適用してもよく、たとえば、「横腹」は、カーブ上の等しい数の傾斜値を有する吸収スペクトル中の位置として定義されうる。
【0026】
分光光度計は雰囲気の自然発生ガス状COを使用して標準化手順を行なうので、標準化の際に分光光度計の中に基準サンプルを配置する必要はない。言い換えれば、基準サンプルは分光光度計の中に常にある。空気中の、したがって分光光度計の中の、CO)の濃度または分圧は典型的に〜0、03である。たとえば、オペレーターが分光光度計に接近して呼吸すれば、この数値は容易に変化しうる。CO)の量は、ピークの高さ/深さに、それによりそれらの横腹にも影響する。二つのスペクトルピークがほとんど同じ高さ/深さにあるとき、中心波長はCO)の量に依存しない。
【0027】
本発明による分光光度計を標準化する方法は、標準サンプルを導入しなければならない従来解決策と比較して非常に短い時間内で実行される。典型的には、選択スペクトルパターンがサンプルのスペクトルと一緒に取得され、続く標準化計算は機器の計算部の支援によって一秒以内に行なうことができる。しかしながら、このプロセスは、平均値の計算によって標準化とサンプルスペクトルの両方の精度を向上させるために所定回数だけ繰り返すことが好ましい。そのために、本発明は、サンプル用の一つと基準サンプル用の一つの代わりに、スペクトルの一つのシリーズだけを記録する必要があるので、多くの時間を節約する。
【0028】
上述したように、分光光度計の標準化は、分光光度計の中に配置されている基準サンプルなしで行なわれてよい。代わりに、本発明による標準化は好ましくは、関心のあるサンプルのスペクトルが記録される、すなわち大気の選択成分のスペクトルとサンプルのスペクトルの両方が同時に記録されるたびに実行される。標準化目的のための成分スペクトルを引き起こす光/物質相互作用はビーム経路中で起こるが、サンプルのスペクトルはサンプルキュベットかコンテナの中で生成される。これは、最終スペクトル中のピークの相対強度が分光光度計の物理的セットアップに依存しうること、たとえば、光を案内するために固体光ファイバーを使用するコンパクト設計が、ピークに関連した、たとえばCO)関連の、多くのより低い大気を示しうることを意味する。
【0029】
したがって、本発明による波長目盛の調整は、関心のあるサンプルのスペクトルに好ましくは生じる選択スペクトルパターンを使用することになる。したがって、波長目盛の調整に使用される選択スペクトルパターンの記録は、関心のあるサンプルのスペクトルとして好ましくは同時に記録される。
【0030】
第二の観点では、本発明は、第一の観点の方法を使用して標準化されるべき赤外分光光度計を提供する。したがって、第二の観点は、測定部と計算部とを有する赤外分光光度計を提供し、測定部は、赤外光を放射するための光源と、赤外光によって照明されるべきサンプルを配置するための手段と、サンプルと相互作用した赤外光を受光するように配置された光検知器と、計算部とを有しており、赤外分光光度計が、
・光検知器からの受け取られたデータから光学スペクトルを生成するための手段と、
・分光光度計中の大気の成分から生じるスペクトルパターンが位置する光学スペクトルの所定波長範囲を定めるデータと、
・選択スペクトルパターンに関連する波長依存位置値を決定するための手段と、
・決定値を対応基準値と比較し、光学スペクトルの標準化式を計算するための手段とを有している。
【0031】
好ましくは、位置値の決定が、選択スペクトルパターンの中心値を決定することを有している。このための手順を単純化するために、計算部が、少なくとも所定波長範囲内の光源およびほかの物質からのスペクトル成分を少なくとも実質的に除去するための手段をさらに有していることが望ましい。
【0032】
第二の観点によれば、分光光度計は、サンプルと相互作用した赤外光を受けるように配置された適切な光検知器を装備している。光検出器は、たとえば、フォトセルや、フォトトランジスター、フォトレジスター、フォトダイオード、特にPINフォトダイオードであってよく、そのようなダイオードは赤外および近赤外波長領域に非常に敏感であるので。
【0033】
計算部は、典型的には標準化計算を行なうためのハードウェアコンポーネントとソフトウエアコンポーネントとを有している。ハードウェアコンポーネントは、本質的に、たとえば結果の即時解析のための時間のない現場で働くときに多数のサンプル結果を格納するための可能拡張記憶媒体を備えたパーソナルコンピュータの相当物であってよい。
【0034】
ソフトウエアコンポーネントは、好ましくは、マスター機器からのあらかじめ格納されたスペクトルおよび/またはたとえばマスター機器によって記録されたスペクトル中の選択スペクトルパターンの位置を定めるデータを有しているとよい。これらのデータは、分光光度計の波長軸を標準化するために新しい各サンプルからのスペクトルを修正するための標準化式を生成する際の基準値としての使用のために供給される。
【0035】
第二の観点による分光光度計は、基準値とほかのデータを決定するために使用されるマスター機器であってよい。
【0036】
ソフトウエアコンポーネントは、本発明の第一の観点に関連して前述した方法と実質的に等しい手法で標準化計算を実行するためのアルゴリズムを含む一以上のコンピュータープログラムをさらに有してもよい。したがって、計算部によって構成される手段は、これらのプログラムの部分であってよい。
【0037】
CO)ピークについてのたとえば中心値を決定するため、それらがスペクトルをひずませうるとき、所定波長範囲内のほかの物質からのスペクトル成分は除去されるべきである。同様に、分光光度計の赤外光源の発光スペクトルが考慮されるべきである。これは多くの方法で行なわれうる。
【0038】
CO)ピークを使用する好ましい実施形態では、スペクトル成分を少なくとも実質的に除去するための手段が、
・スペクトルパターンの両側および外側にある、所定波長範囲内の少なくとも二つのスペクトル値を選択するステップと、
・単純モデル関数を使用してカーブを選択スペクトル値にフィッティングするステップと、
・少なくとも光学スペクトルの所定波長範囲について光学スペクトルからフィットされたカーブを引くステップとを行なうためのアルゴリズムを有している。
【0039】
単純モデル関数は、カーブフィッティングの選択値によってカーブを近似するために使用される数学関数である。ほかの典型的に現在の物質が所定波長範囲中で速く変動するスペクトルを有さないとき、目的は「背景カーブ」をCOピークにフィットさせることであり、したがって、選択値はCOピークの特徴パターンの十分外側に位置すべきである。
【0040】
また、カーブは、COピークの特徴パターンにわたって現実的外挿を生成するように選択点間を滑らかに振る舞うべきである。これは、選択値間で(一次導関数の符号を変化させるなどの)振る舞いを変化させることができない単純モデル関数を選ぶことによって達成することができる。そのようなカーブは二次の多項式であってよい。
【0041】
フィットされたカーブは続いて、少なくとも光学スペクトルの所定波長範囲について光学スペクトルから引かれ、それによってCOよりほかの物質からのスペクトル成分はCOの光学スペクトルと干渉することができない。このアプローチは、ほかの現在の物質がCO)ピークと重なる速く変化するスペクトルを有さないことを仮定する。ゆっくり変化するスペクトルはいずれも、フィットされたカーブの補間によって単にフィルターされる。
【0042】
またCO)ピークを使用する別の実施形態では、波長値を決定するための手段が、
・所定波長範囲内の最小スペクトル値を決定するステップと、
・スペクトルエッジ値が最小値の所定割合であることを確認するステップと、
・中心値はスペクトルパターンの中心についての値である、スペクトルエッジ値の間の中心についての値を決定するステップとを行なうためのアルゴリズムを有している。
【0043】
好ましい実施形態では、分光光度計は、熱赤外光源とレーザーを使用するFTIR分光光度計である。好ましくは、レーザーは、ダイオードレーザーや垂直空洞面発光レーザー(VCSEL)などの固体レーザーである。そのようなレーザーの発光波長は環境の温度に非常に依存し、頻繁な標準化が高く重要である。
【0044】
第一の観点による方法に関連して開示された好ましい仕様は、第二の観点の分光光度計に相応によく適用するとよい。本発明は、配布され、既存の分光光度計の計算部にインストールされるべきソフトウェアパッケージとして実施されてよい。この目的のため、本発明の第三の観点は、
・光周波数データと対応スペクトルデータとから光学スペクトルを生成するためのソフトウェア手段と、
・大気の成分から生じるスペクトルパターンが位置する光学スペクトルの所定波長範囲と、スペクトルパターンの所定特徴の波長依存位置値についての基準値とを定めているデータと、
・光学スペクトル中のスペクトルパターンの所定特徴についての波長依存位置値を決定するためのソフトウェア手段と、
・決定値を基準値と比較して光学スペクトルの標準化式を計算するためのソフトウェア手段とを表わしているデータを保持しているデータ媒体を提供する。
【0045】
データ媒体は、たとえば、ハードディスクや、CD−ROM、USB連結可能記憶装置、任意のほかの適当なデータ媒体であってよい。
【0046】
第一の観点による方法に関連して開示された好ましい仕様は、第三の観点のデータ媒体に相応によく適用されてよい。また、第二の観点による分光光度計の計算部に関連して開示された好ましい仕様は、第三の観点のデータ媒体に適用されてよい。それは、波長フィルターの較正が独立手順で実行されなければならず、したがって、関心のあるサンプルのスペクトルが記録されるのと同時に実行することができないということが、米国特許第6,420,695号で提供される較正方法の欠点である。これとは対照的に、本発明による分光光度計の標準化は、記録スペクトル、好ましくは関心のあるサンプルのスペクトルを使用して実行される。
【0047】
さらに、米国特許第6,420,695号で提供される較正方法は、機器の単数の成分(波長フィルター)の波長校正(λ(V))を提供する。したがって、機器などの標準化を提供しない。したがって、較正サンプルは機器のほかの部品を較正するために使用される。6欄21〜27行は、既知の標準ガス(すなわち較正サンプル)が「メーター」を較正するために使用されなければならないことを示している。同様に、9欄23〜31行と63〜65行は、既知のガス混合物が較正に使用されることを示している。そのために米国特許第6,420,695号は、分光光度計を標準化するためには基準または較正サンプルを必要としないという本発明の利点を提供しない。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明はFTIR分光測定に関し、そこでは波長フィルターは使用されず、その場合には米国特許第6,420,695号の開示は当てはまらない。
【0049】
分光光度計中の大気に基準サンプルの機能を行なわせることが本発明の本質である。この方法は、分光光度計の正確で、速くて、信頼できて、容易な標準化を提供する。本発明の純粋な単純さは、機械的または人的なエラーの機会がより少ないより頻繁な標準化を可能にし、したがってサンプルの光学スペクトルのより正確な測定を提供する。この方法はまた、基準サンプルの使用を不必要にし、関心のあるサンプルのスペクトルの記録と同時に標準化が行なわれることを可能にする。
【0050】
本説明では、「値」および「特徴」との用語が複数を含んでいることを強調しておく。
【0051】
本発明のこれらのおよびさまざまなほかの特徴と観点は、添付図面と共になされる以下の詳細な説明を参照して容易に理解されよう。図では、同様または類似の数字が通して使用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、例示の実施形態と代表的な用途について添付図面を参照しながら説明して本発明の有利な教示を示す。
【0053】
本発明は特定の用途のための例示の実施形態に関連してここでは説明されるが、本発明がそれに制限されないことは理解されるに違いない。この分野の通常の知識を有するものおよびここに提供された教示に通じるものは、その要旨内および本発明が重要に有益な追加の分野内において追加の変更や用途や実施形態を認めるであろう。
【0054】
当然、光学スペクトルは、気体サンプルや、チーズやグラムやミートなどの固体サンプルや、ミルクやミルク製品などの液体サンプルなど、事実上いかなるタイプのサンプルから生成されてもよい。一般に、光学スペクトルは、本発明の好ましい実施形態の場合であるとして、乳製品などの種々様々な製品の特徴を描写する、すなわちその中の成分の濃度を決定するためにしばしば使用される。
【0055】
図1は、本発明による赤外分光光度計1の好ましい実施形態のレイアウトを示している。分光光度計1はFTIR分光光度計で、測定部2と計算部3を有している。
【0056】
測定部2は、と赤外光ビーム6を放射するために熱的赤外光源4と反射体5とを備えている。IRビーム6はビームスプリッター7によって分割され、一次および二次ビーム8および9を生じさせる。一次ビーム8は可動ミラー10によって反射されるが、二次ビーム9は固定ミラー11によって反射される。反射ビームはビームスプリッターで重なり合い、干渉ビーム12を生成する。サンプルを保持するためのキュベットまたはコンテナの13は干渉ビーム12のビーム経路中に配置され、赤外光検出素子14はサンプルと相互作用した赤外光を受けるように配置されている。
【0057】
干渉計はまた、干渉計を通る同じ経路をたどり、その後にレーザー検出器16に遮られ方向付けられる基準レーザー源15を有している。ミラー10の動作に応じて、分光光度計を通るレーザービームなどの可干渉単色光は検出器16に干渉信号を生じさせる。この信号(図2A中のインターフェログラム20)は強め合うおよび弱め合う干渉のためにミラー10の位置Xの関数として振動する。インターフェログラムは、ミラー10の滑らかな動作の間に集められた一連のデータ点(位置対強度)であり、また、別々にモニターされたレーザーインターフェログラム20の最大値(干渉縞)を数えることによって、移動しているミラー10の位置を正確に決定することができる。
【0058】
すなわちIR源4からの多波長スペクトルが干渉計に入ると、多くの異なる周波数と強度の組み合わせが、レーザーからのインターフェログラム20とは非常に異なる図2B中のインターフェログラム21を生成する。小さな経路差では、一次と二次ビームからの同じ波長は干渉して干渉ビーム12の強度に振動を生じさせる。ミラー10がゼロ経路差から遠くに移動されると(大きいX)、光源4の可干渉性の不足が振動を消滅させる。
【0059】
フーリエ変換を使用して、計算部3は、インターフェログラム21に寄与する個々の余弦波のすべてをデコンボリュートし、波長、またはより通常はcm−1の周波数、に対する強度のプロット、すなわち赤外単ビームスペクトル19を生成することができる。インターフェログラム21からのデータ点のすべてと(インターフェログラム20から得られる)ミラー10の正確な動作とがスペクトルを得るために必要である。したがって、計算部3、典型的にはコンピューター18、は、検出器14と16に連結されていて、検出器から受け取られたデータから光学スペクトル19を生成するためのソフトウェア手段を備えている。
【0060】
ミラー10の位置を決定する際、レーザー15の正確な波長が計算部3に知られていなければならない。典型的には、レーザーの製品仕様書からの波長がコンピューター18に格納される。しかしながら、この波長は所定間隔において正確なだけで、レーザー波長はまた温度とともに強く変動する。したがって、真のレーザー周波数は、スペクトル19が計算されるときに計算部3によって与えられる仮定のレーザー周波数とは非常に異なりうる。それは最後にサンプル中の物質の量の間違った読み取りに結びつく。したがって、分光光度計は規則的に標準化されるべきである。
【0061】
先に説明したように、典型的な標準化手順は、既知の基準サンプルのスペクトルを記録することからなり、またそれをマスター機器によって記録された同一サンプルのスペクトルと比較する。スペクトルは重ねられ、分光光度計の標準化式が決定される。本発明は、より容易でより信頼できる方法を提供する。
【0062】
IR分光光度計の中で使用されるIR源は、典型的にはステファン・ボルツマン法則(黒体放射)による発光スペクトルを有する熱源である。典型的には、いくつかのものが、サンプルの物質にかかわらず記録スペクトルに影響する。水溶解サンプルのスペクトルを記録するとき、液体水吸収は記録スペクトルに強烈な影響がある。また、ほとんどの分光光度計では、IRビームは空気を伝搬し、したがって空気の成分と相互作用し、スペクトルに特性パターンを生じさせる。図3は、大気の成分の相対的な吸収スペクトルを示している(J.N. Howard, 1959, Proc. I. R. E. 47, 1459 and G. D. Robinson, 1951, Quart. J. Roy. Meteorol. Soc. 77, 1531から)。底のほとんどのスペクトル29が大気の吸収スペクトルである。水蒸気はいくつかの支配する吸収帯を有し、分光光度計は水蒸気を取り除くために典型的に乾かされる。
【0063】
本発明によれば、分光光度計は、分光光度計の中にある大気の自然に発生する成分から生じる周知のスペクトルパターン(たとえば吸収ピーク)を使用することによって標準化される。これらのピークは、サンプルと相互作用する光は大気を伝搬するので、サンプルのスペクトルにとにかく記録される。スペクトル29は、本発明による標準化に使用できるいくつかの識別可能なピークを示している。標準化のためのスペクトルピークの選択の際に二つの主な基準がある。第一に、位置(波長、周波数)は分光光度計によって記録されたスペクトル内になければならない。第二に、ピークもまた、多くのほかの成分からのスペクトル特徴が現れるサンプルのスペクトル中で識別可能でなければならない。
【0064】
図4は、四つの液体サンプルの典型的なスペクトル(周波数の関数としての透過強度)を示している。すなわち、
スペクトル30−白ワイン
スペクトル31−ブドウジュース
スペクトル32−UHTミルク
スペクトル33−水中のグルコース。
【0065】
本発明の好ましい実施形態によって信頼されるように、そのようなスペクトルは、2350cm−1の周辺に特徴的吸収パターン、すなわち分光光度計に自然に現れるガス状COからの二つの吸収ピークを有している。図5は、図4のスペクトル30〜33からこれらのピークのクローズアップを示している。これらのピークはまた図3のスペクトル29でも認められ、スペクトルはIR光源からの発光スペクトルにコンボリュートされていない。これらのピークは、上述した選択スペクトルパターンに対する基準を、またほとんどのほかのIRスペクトルについても、明らかに満たしている。
【0066】
選択CO)ピークの(波長/周波数中の)真の位置は温度や圧力やほかの変動条件に(少なくとも通常生じる測定環境において)依存しないので、それらはスペクトルと分光光度計の標準化の基準点として使用することができる。
【0067】
コンピューター18は、(CO)または別の成分から生じる)選択スペクトルパターンの記録された(またはローカルな)位置を決定するために使用される。この目的のために、コンピューター18は、選択パターンの中心についての値を決定し、決定中心値をマスター機器から得られる基準値と比較し、分光光度計の標準化式を計算するためのプログラムを保持する。
【0068】
選択スペクトルパターンがスペクトルから目立たなければ、プログラムは、入射光の発光スペクトルはもちろん、ほかの物質からのスペクトル成分から選択ピークを分離することもできる。コンピューター18は、選択スペクトルパターンが見つけられるべき所定波長範囲とマスター機器から得られた基準中心値とに関するデータなどの選択スペクトルパターンに関するデータを保持する記憶装置を有している。
【0069】
以下では、選択スペクトルパターンを確認するための好ましい手順の詳しい説明が、好ましい選択スペクトルパターン、約2350cm−1周辺に位置するガス状COからの二つの吸収ピークに関連して与えられる。この手順は、コンピューター18にインストールされたソフトウェアのアルゴリズムによって行なうことができる。その手順は図6A〜Bと7A〜Bを参照して説明され、下記工程を含んでいる。
【0070】
1)基線を引く。図6Aと7Aにおいて、単純モデル関数40(スプライン、多項式、その他)を、選択パターン44の外側にあるスペクトル42の選択値にフィットする。CO)ピークについて、2250〜2300cm−1と2400〜2450cm−1の範囲中の値を安全に使用することができる。フィットされた関数がオリジナルのスペクトルから引かれ、結果として図6Bと7Bのカーブ46となる。
【0071】
2)カーブ46の2250cm−1〜2450cm−1の間の全体的な最小値を突き止める。この値は示されたYminで、ピークのうちの一つと必ずしも一致しない。
【0072】
3)カーブ46中のディップのエッジ値を突き止める。好ましくは、エッジ値は、Yminの所定の割合か分数、たとえばk・Ymin、k∈[0;1]またはYmin/n、k∈[1;10]であるYminの各サイドの第一の値である。X軸上の二つの対応位置は示されたXleftとXrightである。
【0073】
4)選択スペクトルパターンの中心値は次式によって決定されるスペクトルエッジ値間の中心である。
【0074】
=(Xleft+Xright)/2の+Xleft
あるいは、エッジ値は、所定の傾き、たとえばdy/dx=±a、a∈[0.01;0.02]を備えた46の横腹上の点として決定することができる。この手順は上記のステップ2と3と置き換えることができるが、集められたパターン46上の横腹上の代わりにピーク間のデッィップ上のエッジ値を取らないことに注意するべきである。再び、X軸上の二つの対応位置は示されたXleftとXrightである。
【0075】
上記の手順では、パターンの中心値を決定するために使用されるのがパターンのエッジであることが重要な特徴である。前述したように、COaq)は、CO)からのピークの位置を曲げることができるパターン内に吸収ピークを有している。COaq)からのピークはほとんど対称的に位置し、CO)からのピークより典型的に小さいので、歪みはパターンのエッジの位置をシフトさせない。同様に、大気およびサンプル中のCOの量は重要ではない。量を増加させることは各ピークを対称的に増加させ、それによって横腹は対称的にシフトされる。別の代替案では、COピークの特有の位置は以下の手順によって得ることができる。
【0076】
1)上述したように基線を引く。
【0077】
2)曲線フィッティング手順によって純粋なCO)とCO)のスペクトルを使用してCOaq)とCOaq)の位置を見積もる。
【0078】
今後、ピークのうちの一つの位置は、マスター機器によって記録されたスペクトル中の同様のピーク(または任意のあらかじめ定められた位置)と比較することができる。
【0079】
記録スペクトルの任意の波長λlocalについての訂正された波長目盛λcorrは、ローカルの分光光度計を使用して決定された中心値とマスター機器を使用して決定された基準中心値との比を使用して計算することができる。
【数1】

【0080】
この式が標準化式である。Xは典型的には波長または周波数であるが、マスター機器からの中心値の測定によって使用されるものに一致する限り、X軸の指名は重要でない。
【0081】
決定中心値をマスター機器からの基準中心値と比較することができるために、同じ手順がこれらの中心値を得るのに使用されるべきである。したがって、分光光度計1の計算部3は、マスター機器に使用されるものと同じ手順を使用するべきである。上記の中で紹介した手順では、その正確な値が中心値に影響しうる多くのパラメーター(k、n、a)がある。また、中心値を決定する異なる手順またはアプローチはわずかに異なる結果を産出するかもしれない。使用されたパラメーターまたは異なる手順からの結果が同一かどうかは重要ではないが、同じパラメーターと手順がマスター機器とローカルの分光光度計の両方で使用される。
【0082】
また、選択スペクトルパターンの特性な特徴の値または特徴を決定する多くの異なる手順が上に示されている。当業者は、分光光度計中の大気の成分から生じる選択スペクトルパターンのそのような特有な値の決定に最後に結びつく異なる手順を見つけうる。そのような手順はいずれも本発明の要旨の範囲内にあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態によるFTIR分光光度計の例である。
【図2A】図2Aは、光源と図1のFTIR分光光度計のレーザーのインターフェログラムを示しているグラフである。
【図2B】図2Bは、光源と図1のFTIR分光光度計のレーザーのインターフェログラムを示しているグラフである。
【図3】図3は、大気の成分のスペクトルを示しているグラフである。
【図4】図4は、異なるサンプルのFTIRスペクトルを示しているグラフである。
【図5】図5は、図4のスペクトルの拡大部分を示しているグラフである。
【図6A】図6Aは、本発明の好ましい実施形態による中心値の測定を例示しているグラフである。
【図6B】図6Bは、本発明の好ましい実施形態による中心値の測定を例示しているグラフである。
【図7A】図7Aは、本発明の好ましい実施形態による中心値の測定を例示しているグラフである。
【図7B】図7Bは、本発明の好ましい実施形態による中心値の測定を例示しているグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光光度計によって記録された光学スペクトルの波長目盛を調節する方法であり、
・分光光度計によって記録された、分光光度計中の大気の成分から生じるスペクトルパターンを有する光学スペクトルを用意し、
・分光光度計中の大気の成分から生じるスペクトルパターンを選択し、
・選択スペクトルパターンに関連する波長依存位置値を決定し、
・選択スペクトルパターンの決定値と対応基準値との差に基づいて光学スペクトルの波長目盛を調節する。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、選択スペクトルパターンに関連する波長依存位置値が、選択スペクトルパターンの中心値である。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法において、波長依存値を決定するステップが、選択スペクトルパターンを取り巻いている所定波長範囲内のほかの物質からのスペクトル成分を取り除くことを有している。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、スペクトル成分の除去が、
・スペクトルパターンの両側および外側にある、選択スペクトルパターンを有する所定波長範囲内の少なくとも二つのスペクトル値を選択するステップと、
・単純モデル関数を使用してカーブを選択スペクトル値にフィッティングするステップと、
・少なくとも光学スペクトルの所定波長範囲について光学スペクトルからフィットされたカーブを引くステップとを有している。
【請求項5】
上記請求項のいずれかに記載の方法において、選択スペクトルパターンが、ガス状二酸化炭素(CO))から生じ、2000〜2800cm−1の区間内に位置する。
【請求項6】
上記請求項のいずれかに記載の方法において、光学スペクトルが、分光光度計中に位置する関心のあるサンプルの光学スペクトルをさらに有している。
【請求項7】
測定部と計算部とを有する赤外分光光度計であり、測定部は、赤外光を放射するための光源と、赤外光によって照明されるべき関心のあるサンプルを配置するための手段と、サンプルと相互作用した赤外光を受光するように配置された光検知器と、計算部とを有しており、赤外分光光度計が、
・光検知器からの受け取られたデータから光学スペクトルを生成するための手段と、
・分光光度計中の大気の成分から生じるスペクトルパターンが位置する光学スペクトルの所定波長範囲を定めるデータと、
・選択スペクトルパターンに関連する波長依存位置値を決定するための手段と、
・決定値を対応基準値と比較し、光学スペクトルの標準化式を計算するための手段とを有している。
【請求項8】
請求項7に記載の赤外分光光度計において、計算部が、所定波長範囲内の光源およびほかの物質からのスペクトル成分を少なくとも実質的に除去するための手段をさらに有している。
【請求項9】
請求項7または8に記載の赤外分光光度計において、赤外分光光度計がフーリエ変換赤外(FTIR)分光光度計である。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれかに記載の赤外分光光度計において、スペクトルパターンが、ガス状二酸化炭素(CO)から生じ、2000−2800cm−1の区間内に位置する。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載の赤外分光光度計において、光学スペクトルが、分光光度計中に配置された関心のあるサンプルの光学スペクトルをさらに有している。
【請求項12】
請求項8に記載の赤外分光光度計において、スペクトル成分を少なくとも実質的に除去するための手段が、
・スペクトルパターンの両側および外側にある、所定波長範囲内の少なくとも二つのスペクトル値を選択するステップと、
・単純モデル関数を使用してカーブを選択スペクトル値にフィッティングするステップと、
・少なくとも光学スペクトルの所定波長範囲について光学スペクトルからフィットされたカーブを引くステップとを行なうためのアルゴリズムを有している。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれかに記載の赤外分光光度計において、波長依存位置値が選択スペクトルパターンの中心値として決定される。
【請求項14】
請求項13に記載の赤外分光光度計において、波長依存位置値を決定するための手段が、
・所定波長範囲内の最小スペクトル値を決定するステップと、
・スペクトルエッジ値が最小値の所定割合であることを確認するステップと、
・中心値はスペクトルパターンの中心についての値である、スペクトルエッジ値の間の中心についての値を決定するステップとを行なうためのアルゴリズムを有している。
【請求項15】
・光周波数データと対応スペクトルデータとから光学スペクトルを生成するためのソフトウェア手段と、
・大気の成分から生じるスペクトルパターンが位置する光学スペクトルの所定波長範囲と、スペクトルパターンの所定特徴の波長依存位置値についての基準値とを定めているデータと、
・光学スペクトル中のスペクトルパターンの所定特徴についての波長依存位置値を決定するためのソフトウェア手段と、
・決定値を基準値と比較して光学スペクトルの標準化式を計算するためのソフトウェア手段とを表わしているデータを保持しているデータ媒体。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公表番号】特表2008−524609(P2008−524609A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547179(P2007−547179)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000798
【国際公開番号】WO2006/066581
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(507182221)
【Fターム(参考)】