分光器
【課題】 パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供する。
【解決手段】 分光器1Aは、光入射部6が設けられたパッケージ2と、パッケージ2のうち光入射部6と対向する支持部4を貫通する複数のリードピン8と、パッケージ2内において支持部4上に支持された分光モジュール3Aと、を備える。分光モジュール3Aは、光入射部6から入射した光L1を通過させる光通過部22が設けられた光検出ユニット20と、光検出ユニット20に対して支持部4側に配置されるように光検出ユニット20に固定され、光通過部22を通過した光L1を分光すると共に光検出部26に反射する分光部35を有する分光ユニット30と、を有する。リードピン8は、光検出ユニット20に設けられた嵌め部29に嵌められ、光検出部26と電気的に接続されている。
【解決手段】 分光器1Aは、光入射部6が設けられたパッケージ2と、パッケージ2のうち光入射部6と対向する支持部4を貫通する複数のリードピン8と、パッケージ2内において支持部4上に支持された分光モジュール3Aと、を備える。分光モジュール3Aは、光入射部6から入射した光L1を通過させる光通過部22が設けられた光検出ユニット20と、光検出ユニット20に対して支持部4側に配置されるように光検出ユニット20に固定され、光通過部22を通過した光L1を分光すると共に光検出部26に反射する分光部35を有する分光ユニット30と、を有する。リードピン8は、光検出ユニット20に設けられた嵌め部29に嵌められ、光検出部26と電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を分光して検出する分光器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分光器として、光入射部、分光部及び光検出部がパッケージの壁部に固定されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような分光器では、光入射部から入射した光が、分光部において分光されると共に反射されて、光検出部によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000―298066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、様々な測定システムや分光測定装置に適用される分光器の小型化が進められている。分光器の小型化に際しては、パッケージに設けられた光入射部に対する各構成部の高精度な位置決めが必要となる。特に、光入射部に対してスリット等の光通過部がパッケージ内に設けられる場合には、光入射部に対する光通過部の位置決めが重要となる。
【0005】
そこで、本発明は、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の分光器は、光入射部が設けられたパッケージと、パッケージのうち光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンと、パッケージ内において支持部上に支持された分光モジュールと、を備え、分光モジュールは、光入射部から入射した光を通過させる光通過部が設けられた光検出ユニットと、光検出ユニットに対して支持部側に配置されるように光検出ユニットに固定され、光通過部を通過した光を分光すると共に光検出ユニットの光検出部に反射する分光部を有する分光ユニットと、を有し、リードピンは、光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められ、光検出部と電気的に接続されている。
【0007】
この分光器では、パッケージのうち光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンが、光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められている。これにより、光検出ユニットに設けられた光通過部が、複数のリードピンを介して、パッケージに設けられた光入射部に対し、少なくとも光入射部と支持部とが対向する方向に垂直な方向において位置決めされることになる。よって、この分光器は、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされたものとなる。
【0008】
なお、「光検出ユニットに固定された分光ユニット」とは、分光ユニットが光検出ユニットに直接的に固定されている場合だけでなく、分光ユニットが光検出ユニットに間接的に固定されている場合も含む意味である(ただし、分光ユニットと光検出ユニットとの接続において支持部は介されない)。
【0009】
また、分光モジュールは、光検出ユニットと分光ユニットとの間に配置されたスペーサを更に有し、分光ユニットは、スペーサを介して光検出ユニットに固定されていてもよい。この構成によれば、光通過部と分光部とが、更には、分光部と光検出部とが、スペーサを介して、光入射部と支持部とが対向する方向において位置決めされることになる。
【0010】
このとき、分光モジュールは、光検出ユニットと分光ユニットとの間に配置された遮光部材を更に有し、遮光部材には、光通過部を通過した光、及び分光部において分光されると共に反射された光を通過させる開口部が設けられていてもよい。この構成によれば、迷光が光検出部に入射することを抑制することができる。
【0011】
また、分光ユニットは、光検出ユニットと接触した状態で光検出ユニットに固定されていてもよい。この構成によれば、光通過部と分光部とが、更には、分光部と光検出部とが、直接的に、光入射部と支持部とが対向する方向において位置決めされることになる。
【0012】
また、嵌め部は、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔であり、リードピンは、パッケージ内において嵌め部に挿通されていてもよい。或いは、嵌め部は、分光ユニット側に開口する凹部であり、リードピンの端部は、パッケージ内において嵌め部に配置されていてもよい。これらの構成によれば、少なくとも光入射部と支持部とが対向する方向に垂直な方向において、光入射部に対する光通過部の位置決めが容易に且つ確実に実現される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の分光器の断面図である。
【図2】図1の分光器の平面図である。
【図3】図1の分光器の分光モジュールの断面図である。
【図4】図1の分光器の光検出ユニットの平面図である。
【図5】図1の分光器の分光ユニットの平面図である。
【図6】図1の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図1の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の分光器の変形例の断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の分光器の変形例の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の分光器の断面図である。
【図11】図10の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】図10の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図13】嵌め部の構造の他の例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0016】
図1及び図2に示されるように、分光器1Aは、いわゆるCANパッケージの構成を有するパッケージ2と、パッケージ2内に収容された分光モジュール3Aと、を備えている。分光器1Aは、パッケージ2外からパッケージ2内に入射した光L1を分光して検出するものである。なお、パッケージ2の一辺の長さは、例えば10〜20mm程度である。
【0017】
パッケージ2は、周縁部に段差部が設けられた矩形板状のステム(支持部)4と、直方体箱状のキャップ5と、を有している。ステム4及びキャップ5は金属からなる。キャップ5は、開口端から外側に向かって突出するフランジ5aを有し、このフランジ5aとステム4の段差部とが溶接により接合され、開口部分が塞がれている。これにより、パッケージ2の気密化が図られ、分光器1Aの信頼性の向上が図られている。
【0018】
キャップ5においてステム4と対向する壁部5bには、光入射部6が設けられている。つまり、ステム4は、光入射部6と対向している。光入射部6は、キャップ5の壁部5bに形成された断面円形状の光通過孔5cが、円形板状の窓部材7によって内側から気密に覆われることで、構成されている。なお、窓部材7は、例えば、石英、硼珪酸ガラス(BK7)、パイレックス(登録商標)ガラス、コバール等、光L1を透過させる材料からなる。また、窓部材7には、必要に応じて、AR(Anti Reflection)コートや、不要な波長をカットする波長カットフィルタ(フィルタレジストや誘電体多層膜等)、バンドパスフィルタが施されてもよい。
【0019】
ステム4には、銅等の導電性材料からなる複数のリードピン8が貫通している。各リードピン8は、光入射部6とステム4とが対向する方向(以下、「縦方向」という)に延在しており、遮光性と電気的絶縁性とを有する低融点ガラスからなるハーメティックシール部材9を介して、ステム4の貫通孔4aに固定されている。なお、貫通孔4aは、矩形板状のステム4において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。
【0020】
分光モジュール3Aは、パッケージ2内においてステム4上に支持されている。分光モジュール3Aは、光検出ユニット20と、光検出ユニット20に対してステム4側に配置された分光ユニット30と、光検出ユニット20と分光ユニット30との間に配置された複数のスペーサ11と、を有している。分光ユニット30は、スペーサ11を介して光検出ユニット20に固定されている。
【0021】
図3及び図4に示されるように、光検出ユニット20は、樹脂やセラミック、シリコン、ガラス等からなる矩形板状の基板21を有している。基板21には、所定の方向に延在するスリット(光通過部)22が形成されている。スリット22は、パッケージ2に設けられた光入射部6と縦方向において対向しており、光入射部6から入射した光L1を通過させる。なお、スリット22における分光ユニット30側の端部は、スリット22の延在方向(以下、「奥方向」という)、及び、奥方向に垂直且つ縦方向に垂直な方向(以下、「横方向」という)の両方向において、分光ユニット30側に向かって末広がりとなっている。
【0022】
基板21における分光ユニット30と反対側の表面21aには、光検出素子24が固定されている。光検出素子24は、シリコン等の半導体材料からなる半導体基板25と、半導体基板25における基板21側の面に形成された光検出部26と、を有している。光検出部26は、フォトダイオードアレイ、C−MOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等である。光検出素子24は、基板21に形成された断面矩形状の光通過開口23に光検出部26が対向するように、基板21の表面21aに固定されている。光通過開口23は、横方向においてスリット22と並ぶように形成されている。なお、光通過開口23における分光ユニット30側の端部は、奥方向及び横方向の両方向において、分光ユニット30側に向かって末広がりとなっている。
【0023】
基板21の表面21aには、光検出部26に対する入出力信号等を伝送するための複数の配線27が設けられている。各配線27の一端部は、Auや半田等のバンプ28を介して光検出部26と電気的に接続されている。各配線27の他端部は、パッド部27aとなっており、各パッド部27aは、対応するリードピン8の端部8aと、ワイヤ12によってワイヤボンディングされている。これにより、リードピン8は、光検出部26と電気的に接続されることになる。
【0024】
図3及び図5に示されるように、分光ユニット30は、シリコン、プラスチック、セラミック又はガラス等からなる矩形板状の基板31を有している。基板31における光検出ユニット20側の表面31aには、奥方向及び横方向の両方向において、光検出ユニット20側に向かって末広がりとなる正四角錐台状の凹部32が形成されている。
【0025】
基板31には、光硬化性のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン又は有機・無機ハイブリッド樹脂等のレプリカ用光学樹脂を光硬化させることによって形成された成形層33が、凹部32を覆うように配置されている。成形層33は、凹部32の深さ方向(すなわち、光検出ユニット20側)から見た場合に円形状となっており、成形層33の外縁33dは、凹部32の開口32aの各頂点を通っている。
【0026】
成形層33は、一体的に形成された本体部33a及び乗上げ部33bを有している。本体部33aは、凹部32の深さ方向から見た場合に凹部32内に位置しており、凹部32の底面32b及び側面32cの全体を覆っている。乗上げ部33bは、本体部33aと繋がった状態で基板31の表面31aに位置しており、凹部32の開口32aの各辺の外側に設けられている。つまり、乗上げ部33bは、凹部32を挟んで対向し且つ凹部32を包囲するように複数設けられている。
【0027】
成形層33は、凹部32の所定の内面である底面32bと対向する凹状の曲面33cを有している。曲面33cは、凹部32の底面32bの中心に向かって凹んだ曲面であり、凹部32の開口32aの各辺の中点を通って、本体部33aから各乗上げ部33bに至っている。曲面33cにおける本体部33a上の所定の領域には、鋸歯状断面のブレーズドグレーティング、矩形状断面のバイナリグレーティング、又は正弦波状断面のホログラフィックグレーティング等に対応するグレーティングパターンが形成されている。このグレーティングパターンは、奥方向に延在するグレーティング溝が横方向に複数並設されたものである。
【0028】
成形層33の曲面33c上には、AlやAu等の蒸着膜である反射膜34が形成されている。反射膜34は、曲面33cにおける本体部33a上の所定の領域ではグレーティングパターンに対応するように形成されており、この部分が、反射型グレーティングである分光部35となっている。分光ユニット30が有する分光部35は、光検出ユニット20のスリット22を通過した光L1を分光すると共に、分光した光L2を光検出ユニット20の光検出部26に反射する。
【0029】
図3に示されるように、光検出ユニット20の基板21には、分光ユニット30側からその反対側に貫通する孔(嵌め部)29が複数形成されている。孔29は、矩形板状の基板21において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔29は、分光ユニット30側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分29aと、その部分29aの頂部に接続された円柱状の部分29bと、を含んでいる。
【0030】
また、分光ユニット30の基板31には、光検出ユニット20側からその反対側に貫通する断面円形状の孔36が複数形成されている。孔36は、矩形板状の基板31において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔36は、光検出ユニット20の反対側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分36aと、その部分36aの頂部に接続された円柱状の部分36bと、を含んでいる。
【0031】
スペーサ11は、金属やプラスチック、セラミック、シリコン、ガラス等により円柱状に形成されており、縦方向において対向する基板21の孔29と基板31の孔36との間にそれぞれ配置されている。スペーサ11の一端部11aは、対応する孔29の部分29a内に配置され、接着等により基板21に固定されている。スペーサ11の他端部11bは、対応する孔36の部分36bを覆うように基板31の表面31aに配置され、接着等により基板31に固定されている。各スペーサ11には、縦方向に貫通孔11cが形成されており、各貫通孔11cは、対応する孔29及び孔36と一続きとなっている。
【0032】
図1に示されるように、分光モジュール3Aは、複数のスペーサ13を介して、ステム4におけるパッケージ2内の表面4b上に配置されている。スペーサ13は、金属等により円柱状に形成されており、縦方向において対向するステム4の貫通孔4aと基板31の孔36との間にそれぞれ配置されている。スペーサ13の一端部13aは、対応する孔36の部分36a内に配置され、接着等により基板31に固定されている。スペーサ13の他端部13bは、対応する貫通孔4aを覆うようにステム4の表面4bに配置され、接着等によりステム4に固定されている。各スペーサ13には、縦方向に貫通孔13cが形成されており、各貫通孔13cは、対応する孔36及び貫通孔4aと一続きとなっている。
【0033】
つまり、縦方向において対向するステム4の貫通孔4a、スペーサ13の貫通孔13c、基板31の孔36、スペーサ11の貫通孔11c及び基板21の孔29は、一続きとなっている。これらの貫通孔13c、孔36、貫通孔11c及び孔29の内径は、リードピン8の外径よりも十分に大きくなっている。そして、一続きとなっている貫通孔13c、孔36、貫通孔11c及び孔29のそれぞれには、ステム4を貫通してパッケージ2内に延在するリードピン8が挿通されている。これにより、リードピン8は、パッケージ2内において、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められることになる。孔29の内面(ここでは部分29bの内面)に対するリードピン8の側面の接触状態には、リードピン8の側面の一部のみが孔29の内面に接触する状態や、リードピン8の側面の全部が孔29の内面に接触する状態だけでなく、リードピン8の側面の全部が孔29の内面に接触しない状態も含まれる。
【0034】
以上のように構成された分光器1Aにおいては、光L1は、パッケージ2の光入射部6からパッケージ2内に入射し、光検出ユニット20のスリット22を通過する。スリット22を通過した光L1は、分光ユニット30の分光部35に到達し、分光部35において分光されると共に光検出ユニット20の光検出部26に反射される。分光部35において分光されると共に反射された光L2は、光検出ユニット20の光通過開口23を通過して光検出素子24の光検出部26に到達し、光検出素子24によって検出される。
【0035】
次に、分光器1Aの製造方法について説明する。まず、図6(a)に示されるように、ステム4を準備し、ステム4の各貫通孔4aにリードピン8を固定する。その一方で、図6(b)に示されるように、分光モジュール3Aを準備する。分光モジュール3Aにおいては、光検出ユニット20のスリット22と分光ユニット30の分光部35とが、更には、分光ユニット30の分光部35と光検出ユニット20の光検出部26とが、スペーサ11を介して、縦方向、横方向及び奥方向の三方向において位置決めされている。
【0036】
続いて、図7(a)に示されるように、スペーサ13の貫通孔13cにリードピン8を挿通させ、スペーサ13の他端部13bをステム4に固定する。続いて、分光モジュール3Aにおいて一続きとなっている孔36、貫通孔11c及び孔29にリードピン8を挿通させ、スペーサ13の一端部13aを基板31に固定する。続いて、図7(b)に示されるように、分光モジュール3Aを覆うようにキャップ5をステム4に配置し、ステム4の段差部とキャップ5のフランジ5aとを溶接により接合する。以上により、分光器1Aが製造される。
【0037】
以上説明したように、分光器1Aでは、パッケージ2において光入射部6と対向するステム4を貫通する複数のリードピン8が、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向において位置決めされることになる。特に、分光器1Aでは、スリット22と光検出部26とが並ぶ横方向において複数のリードピン8が所定の距離をとって対向しているため、横方向における位置決めの精度が向上される。よって、分光器1Aは、パッケージ2に設けられた光入射部6に対して、パッケージ2内に設けられたスリット22が位置決めされたものとなる。このように、分光器1Aでは、リードピン8によって、光検出部26とパッケージ2の外部との間の電気的な接続と、光入射部6に対するスリット22の位置決めとが同時に実現される。
【0038】
また、スペーサ13及び分光モジュール3Aにおいて一続きとなっている貫通孔13c、孔36、貫通孔11c及び孔29にリードピン8が挿通されているため、スペーサ13、分光ユニット30、スペーサ11及び光検出ユニット20によってリードピン8が保持された状態となり、リードピン8の端部8aへのワイヤボンディングを容易に且つ確実に行うことができる。
【0039】
次に、第1の実施形態の分光器の変形例について説明する。図8に示されるように、分光器1Bは、分光モジュール3Bが遮光部材14を有している点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
【0040】
遮光部材14は、遮光性の材料により矩形板状に形成されており、光検出ユニット20の基板21の裏面21bに接触した状態で固定されている。遮光部材14には、基板21のスリット22及び光通過開口23に対向するように光通過開口(開口部)14aが形成されている。つまり、光通過開口14aは、スリット22を通過した光L1、及び分光部35において分光されると共に反射された光L2を通過させる。
【0041】
また、遮光部材14には、縦方向において対向する基板31の孔36、スペーサ11の貫通孔11c及び基板21の孔29と一続きとなるように、貫通孔14bが複数形成されている。つまり、各リードピン8は、対応する遮光部材14の貫通孔14bにも挿通させられている。
【0042】
以上のように構成された分光器1Bでは、遮光部材14によって、光検出ユニット20に設けられた光検出部26に迷光が入射することを抑制することができる。また、分光器1B内の多重反射による迷光を低減することができる。
【0043】
なお、遮光部材14は、光検出ユニット20と分光ユニット30との間であれば、光検出ユニット20の基板21の裏面21bに接触した位置以外の位置に配置されていてもよい。また、スリット22を通過した光L1、及び分光部35において分光されると共に反射された光L2を通過させる開口部であれば、光L1を通過させる光通過開口と、光L2を通過させる光通過開口とが遮光部材14に別々に形成されていてもよい。
【0044】
次に、第1の実施形態の分光器の別の変形例について説明する。図9に示されるように、分光器1Cは、光検出ユニット20に設けられた凹部(嵌め部)41にリードピン8の端部8aが配置されている点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
【0045】
凹部41は、縦方向において基板31の孔36、及びスペーサ11の貫通孔11cと対向するように、基板21の裏面21bに複数形成され、分光ユニット30側に開口している。各リードピン8の端部8aは、スペーサ13及び光検出ユニット20において一続きとなっている貫通孔13c、孔36及び貫通孔11cに各リードピン8が挿通された状態で、対応する凹部41に配置され、嵌められている。
【0046】
光検出素子24は、光検出部26が分光ユニット30側に向いた状態で、基板21の裏面21bに固定されている。光検出部26と各リードピン8とは、基板21の裏面21bに設けられた配線を介して電気的に接続されている。より具体的には、基板21の裏面21bに設けられた配線は、各凹部41内に至っており、各リードピン8の端部8aと導電性接着剤等により接続されている。光検出部26と基板21の裏面21bに設けられた配線とはワイヤにて接続されている。
【0047】
以上のように構成された分光器1Cでは、各リードピン8の端部8aが、対応する凹部41に配置され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向においてだけでなく、縦方向においても位置決めされることになる。
[第2の実施形態]
【0048】
図10に示されるように、分光器1Dは、分光モジュール3Dにおいて分光ユニット70が光検出ユニット60と接触した状態で光検出ユニット60に固定されている点で、第1の実施形態の分光器1Aと主に相違している。
【0049】
分光モジュール3Dにおいて、光検出ユニット60は、BK7、パイレックス(登録商標)、石英等の光透過性ガラス、プラスチック等からなる矩形板状の基板61を有している。基板61における分光ユニット70と反対側の表面61aには、複数の配線66が形成されている。各配線66は、AlやAu、CrO等の単層膜、或いはCr−CrO、Cr−Pt−Au、Ti−Pt−Au、Ti−Ni−Au、Cr−Au等の積層膜からなる光反射防止層を基板61の表面61a側に有している。
【0050】
基板61の表面61aには、配線66のパッド部のみを露出させ且つ配線66のその他の部分を覆うように遮光層62が形成されている。遮光層62には、所定の方向に延在するスリット(光通過部)63、及び矩形状の光通過開口64が形成されている。遮光層62は、所定の形状にパターニングされて、ブラックレジスト、フィラー(カーボンや酸化物等)が入った有色の樹脂(シリコーン、エポキシ、アクリル、ウレタン、ポリイミド、複合樹脂等)、CrやCo等の金属又は酸化金属、或いはその積層膜、ポーラス状のセラミックや金属又は酸化金属等によって一体成形される。
【0051】
スリット63は、パッケージ2に設けられた光入射部6と縦方向(光入射部6とステム4とが対向する方向)において対向しており、光入射部6から入射した光L1を通過させる。光通過開口64は、横方向(奥方向(スリット63の延在方向)に垂直且つ縦方向に垂直な方向)においてスリット63と並ぶように形成されている。
【0052】
光検出素子24は、基板61の表面61aに固定されている。光検出素子24は、光通過開口64に光検出部26が対向するように、基板61の表面61aに固定されている。各配線66の一端部は、Au等のバンプ28を介して光検出部26と電気的に接続されている。各配線66の他端部は、パッド部66aとなっており、各パッド部66aは、対応するリードピン8の端部8aと、ワイヤ12によってワイヤボンディングされている。
【0053】
分光ユニット70は、基板61と同一の材料、光透過性樹脂、光透過性の無機・有機ハイブリッド材料、或いはレプリカ成形用の光透過性低融点ガラス、プラスチック等からなる半球状の光透過部材71を有している。光透過部材71における光検出ユニット60側の表面71aは、光検出ユニット60の基板61の裏面61bに光学樹脂材等により固定されている。このように、分光ユニット70は、スペーサ等を介さずに光検出ユニット60と接触した状態で光検出ユニット60に固定されている。
【0054】
光透過部材71における曲面状の外側表面71bには、分光部72が設けられている。分光部72は、光透過部材71の外側表面71bに形成された回折層73と、回折層73の外側表面に形成された反射層74と、を有する反射型グレーティングである。より具体的には、回折層73には、鋸歯状断面のブレーズドグレーティング、矩形状断面のバイナリグレーティング、又は正弦波状断面のホログラフィックグレーティング等に対応するグレーティングパターンが形成されている。このグレーティングパターンにおいては、奥方向に延在するグレーティング溝が横方向に複数並設されている。分光部72は、光検出ユニット60のスリット63を通過した光L1を分光すると共に、分光した光L2を光検出ユニット60の光検出部26に反射する。
【0055】
なお、回折層73は、光硬化性のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、又は有機・無機ハイブリッド樹脂等のレプリカ用光学樹脂を光硬化させることで形成される。反射層74は、回折層73の外側表面にAlやAu等を蒸着することで形成される。
【0056】
光検出ユニット60の基板61には、分光ユニット70側からその反対側に貫通する孔(嵌め部)65が複数形成されている。孔65は、矩形板状の基板61において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔65は、分光ユニット70側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分65aと、その部分65aの頂部に接続された円柱状の部分65bと、を含んでいる。
【0057】
分光モジュール3Dは、複数のスペーサ81を介して、ステム4におけるパッケージ2内の表面4b上に配置されている。スペーサ81は、金属等により円柱状に形成されており、縦方向において対向するステム4の貫通孔4aと基板61の孔65との間にそれぞれ配置されている。スペーサ81の一端部81aは、対応する孔65の部分65a内に配置され、接着等により基板61に固定されている。スペーサ81の他端部81bは、対応する貫通孔4aを覆うようにステム4の表面4bに配置され、接着等によりステム4に固定されている。各スペーサ81には、縦方向に貫通孔81cが形成されており、各貫通孔81cは、対応する孔65及び貫通孔4aと一続きとなっている。
【0058】
これらの貫通孔81c及び孔65の内径は、リードピン8の外径よりも十分に大きくなっている。そして、一続きとなっている貫通孔81c及び孔65のそれぞれには、ステム4を貫通してパッケージ2内に延在するリードピン8が挿通されている。これにより、リードピン8は、パッケージ2内において、光検出ユニット60に設けられた孔65に挿通され、嵌められることになる。
【0059】
以上のように構成された分光器1Dにおいては、光L1は、パッケージ2の光入射部6からパッケージ2内に入射し、光検出ユニット60のスリット63を通過する。スリット63を通過した光L1は、基板61及び光透過部材71を透過して分光ユニット70の分光部72に到達し、分光部72において分光されると共に光検出ユニット60の光検出部26に反射される。分光部72において分光されると共に反射された光L2は、光透過部材71及び基板61を透過し、更に、光検出ユニット60の光通過開口64を通過して光検出素子24の光検出部26に到達し、光検出素子24によって検出される。
【0060】
次に、分光器1Dの製造方法について説明する。まず、図11(a)に示されるように、ステム4を準備し、ステム4の各貫通孔4aにリードピン8を固定する。続いて、図11(b)に示されるように、スペーサ81の貫通孔81cにリードピン8を挿通させ、スペーサ81の他端部81bをステム4に固定する。
【0061】
その一方で、図12(a)に示されるように、分光モジュール3Dを準備する。分光モジュール3Dにおいては、光検出ユニット60のスリット63と分光ユニット70の分光部72とが、更には、分光ユニット70の分光部72と光検出ユニット60の光検出部26とが、スペーサ等を介さずに直接的に、縦方向、横方向及び奥方向の三方向において位置決めされている。続いて、光検出ユニット60の基板61の孔65にリードピン8を挿通させ、スペーサ81の一端部81aを基板61に固定する。続いて、図12(b)に示されるように、分光モジュール3Dを覆うようにキャップ5をステム4に配置し、ステム4の段差部とキャップ5のフランジ5aとを溶接により接合する。以上により、分光器1Dが製造される。
【0062】
以上説明したように、分光器1Dでは、パッケージ2において光入射部6と対向するステム4を貫通する複数のリードピン8が、光検出ユニット60に設けられた孔65に挿通され、嵌められている。これにより、光検出ユニット60に設けられたスリット63が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向において位置決めされることになる。特に、分光器1Dでは、スリット63と光検出部26とが並ぶ横方向において複数のリードピン8が所定の距離をとって対向しているため、横方向における位置決めの精度が向上される。よって、分光器1Dは、パッケージ2に設けられた光入射部6に対して、パッケージ2内に設けられたスリット63が位置決めされたものとなる。
【0063】
また、スペーサ81及び光検出ユニット60において一続きとなっている貫通孔81c及び孔65にリードピン8が挿通されているため、リードピン8がスペーサ81及び光検出ユニット60によって保持された状態となり、リードピン8の端部8aへのワイヤボンディングを容易に且つ確実に行うことができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、分光モジュールの光検出ユニットに設けられ且つリードピンが嵌められる嵌め部は、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔や、分光ユニット側に開口する凹部に限定されない。一例として、嵌め部は、リードピンの端部の横方向及び奥方向への移動を規制するように光検出ユニットの基板の裏面に形成された複数の凸部等であってもよい。ただし、嵌め部が、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔や、分光ユニット側に開口する凹部である場合には、横方向及び奥方向において、光入射部に対する光通過部の位置決めが容易に且つ確実に実現される。
【0065】
嵌め部の構造の他の例について説明する。図13に示されるように、基板21には、裏面21b側から表面21a側に貫通する孔(嵌め部)29が形成されている。孔29は、基板21の表面21aに開口した第1の部分29cと、裏面21bに開口した第2の部分29dとを含んでいる。第1の部分29cは表面21aに向かって末広がりとなる形状(例えば四角錘台状の形状)を有し、第2の部分29dは裏面21bに向かって末広がりとなる形状(例えば四角錘台状の形状)を有する。基板21の表面21a上、第1の部分29cの内面29e上、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上には、絶縁膜91が形成されている。基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に形成された絶縁膜91上には、メタル配線92が形成されている。孔29にはリードピン8が挿通されており、このリードピン8は、第2の部分29dに充填された導電性樹脂93により、メタル配線92に電気的に接続されている。
【0066】
次に、上述した孔29を形成する工程について説明する。まず、基板21の表面21a及び裏面21bにエッチングマスクを形成する。次に、フォトワークによりこのエッチングマスクに開口を設ける。このエッチングマスクは酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等からなる。続いて、エッチングマスクを用いて表面21a側からアルカリエッチングを行う。このエッチングにより基板21に第1の部分29cが形成される。続いて、エッチングマスクを用いて裏面21b側からアルカリエッチングを行う。このエッチングにより基板21に第2の部分29dが形成される。続いて、基板21の表面21a上、第1の部分29cの内面29e上、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に絶縁膜91を形成する。この絶縁膜95は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等の絶縁性を有する材料からなる。続いて、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に形成された絶縁膜91上にマスク蒸着法によりメタル配線92を形成する。以上により、孔29が形成される。この孔29に対してリードピン8が挿通される。そして、第2の部分29dに導電性樹脂93が充填され、リードピン8がメタル配線92に電気的に接続される。このように、表面21a及び裏面21bの両面からエッチングして嵌め部を形成する方法によれば、片面からの貫通アルカリエッチングにより嵌め部を形成する方法に比べ、開口部のエッジ部21c、21dの角度が緩やかになるため、基板21の破損を抑制することができる。なお、基板21の両面からエッチングして嵌め部を形成する上記方法は、光通過部(スリット)22の形成に用いてもよい。これによれば、基板21の破損を抑制することができる。
【0067】
また、光入射部から入射した光を通過させる光通過部は、光検出素子24の半導体基板25に形成されたスリット等、光検出ユニットに設けられたものであればよい。
【0068】
また、分光器の各構成部材の材料及び形状には、前述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、リードピンが十分な強度を有するときには、スペーサを用いることなく、分光モジュールがリードピンにより支持されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1A,1B,1C,1D…分光器、2…パッケージ、3A,3B,3D…分光モジュール、4…ステム(支持部)、6…光入射部、8…リードピン、8a…端部、11…スペーサ、14…遮光部材、14a…光通過開口(開口部)、20,60…光検出ユニット、22,63…スリット(光通過部)、26…光検出部、29,65…孔(嵌め部)、30,70…分光ユニット、35,72…分光部、41…凹部(嵌め部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を分光して検出する分光器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分光器として、光入射部、分光部及び光検出部がパッケージの壁部に固定されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような分光器では、光入射部から入射した光が、分光部において分光されると共に反射されて、光検出部によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000―298066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、様々な測定システムや分光測定装置に適用される分光器の小型化が進められている。分光器の小型化に際しては、パッケージに設けられた光入射部に対する各構成部の高精度な位置決めが必要となる。特に、光入射部に対してスリット等の光通過部がパッケージ内に設けられる場合には、光入射部に対する光通過部の位置決めが重要となる。
【0005】
そこで、本発明は、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の分光器は、光入射部が設けられたパッケージと、パッケージのうち光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンと、パッケージ内において支持部上に支持された分光モジュールと、を備え、分光モジュールは、光入射部から入射した光を通過させる光通過部が設けられた光検出ユニットと、光検出ユニットに対して支持部側に配置されるように光検出ユニットに固定され、光通過部を通過した光を分光すると共に光検出ユニットの光検出部に反射する分光部を有する分光ユニットと、を有し、リードピンは、光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められ、光検出部と電気的に接続されている。
【0007】
この分光器では、パッケージのうち光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンが、光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められている。これにより、光検出ユニットに設けられた光通過部が、複数のリードピンを介して、パッケージに設けられた光入射部に対し、少なくとも光入射部と支持部とが対向する方向に垂直な方向において位置決めされることになる。よって、この分光器は、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされたものとなる。
【0008】
なお、「光検出ユニットに固定された分光ユニット」とは、分光ユニットが光検出ユニットに直接的に固定されている場合だけでなく、分光ユニットが光検出ユニットに間接的に固定されている場合も含む意味である(ただし、分光ユニットと光検出ユニットとの接続において支持部は介されない)。
【0009】
また、分光モジュールは、光検出ユニットと分光ユニットとの間に配置されたスペーサを更に有し、分光ユニットは、スペーサを介して光検出ユニットに固定されていてもよい。この構成によれば、光通過部と分光部とが、更には、分光部と光検出部とが、スペーサを介して、光入射部と支持部とが対向する方向において位置決めされることになる。
【0010】
このとき、分光モジュールは、光検出ユニットと分光ユニットとの間に配置された遮光部材を更に有し、遮光部材には、光通過部を通過した光、及び分光部において分光されると共に反射された光を通過させる開口部が設けられていてもよい。この構成によれば、迷光が光検出部に入射することを抑制することができる。
【0011】
また、分光ユニットは、光検出ユニットと接触した状態で光検出ユニットに固定されていてもよい。この構成によれば、光通過部と分光部とが、更には、分光部と光検出部とが、直接的に、光入射部と支持部とが対向する方向において位置決めされることになる。
【0012】
また、嵌め部は、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔であり、リードピンは、パッケージ内において嵌め部に挿通されていてもよい。或いは、嵌め部は、分光ユニット側に開口する凹部であり、リードピンの端部は、パッケージ内において嵌め部に配置されていてもよい。これらの構成によれば、少なくとも光入射部と支持部とが対向する方向に垂直な方向において、光入射部に対する光通過部の位置決めが容易に且つ確実に実現される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パッケージに設けられた光入射部に対して、パッケージ内に設けられた光通過部が位置決めされた分光器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の分光器の断面図である。
【図2】図1の分光器の平面図である。
【図3】図1の分光器の分光モジュールの断面図である。
【図4】図1の分光器の光検出ユニットの平面図である。
【図5】図1の分光器の分光ユニットの平面図である。
【図6】図1の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図1の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の分光器の変形例の断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の分光器の変形例の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の分光器の断面図である。
【図11】図10の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】図10の分光器の製造方法を説明するための断面図である。
【図13】嵌め部の構造の他の例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0016】
図1及び図2に示されるように、分光器1Aは、いわゆるCANパッケージの構成を有するパッケージ2と、パッケージ2内に収容された分光モジュール3Aと、を備えている。分光器1Aは、パッケージ2外からパッケージ2内に入射した光L1を分光して検出するものである。なお、パッケージ2の一辺の長さは、例えば10〜20mm程度である。
【0017】
パッケージ2は、周縁部に段差部が設けられた矩形板状のステム(支持部)4と、直方体箱状のキャップ5と、を有している。ステム4及びキャップ5は金属からなる。キャップ5は、開口端から外側に向かって突出するフランジ5aを有し、このフランジ5aとステム4の段差部とが溶接により接合され、開口部分が塞がれている。これにより、パッケージ2の気密化が図られ、分光器1Aの信頼性の向上が図られている。
【0018】
キャップ5においてステム4と対向する壁部5bには、光入射部6が設けられている。つまり、ステム4は、光入射部6と対向している。光入射部6は、キャップ5の壁部5bに形成された断面円形状の光通過孔5cが、円形板状の窓部材7によって内側から気密に覆われることで、構成されている。なお、窓部材7は、例えば、石英、硼珪酸ガラス(BK7)、パイレックス(登録商標)ガラス、コバール等、光L1を透過させる材料からなる。また、窓部材7には、必要に応じて、AR(Anti Reflection)コートや、不要な波長をカットする波長カットフィルタ(フィルタレジストや誘電体多層膜等)、バンドパスフィルタが施されてもよい。
【0019】
ステム4には、銅等の導電性材料からなる複数のリードピン8が貫通している。各リードピン8は、光入射部6とステム4とが対向する方向(以下、「縦方向」という)に延在しており、遮光性と電気的絶縁性とを有する低融点ガラスからなるハーメティックシール部材9を介して、ステム4の貫通孔4aに固定されている。なお、貫通孔4aは、矩形板状のステム4において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。
【0020】
分光モジュール3Aは、パッケージ2内においてステム4上に支持されている。分光モジュール3Aは、光検出ユニット20と、光検出ユニット20に対してステム4側に配置された分光ユニット30と、光検出ユニット20と分光ユニット30との間に配置された複数のスペーサ11と、を有している。分光ユニット30は、スペーサ11を介して光検出ユニット20に固定されている。
【0021】
図3及び図4に示されるように、光検出ユニット20は、樹脂やセラミック、シリコン、ガラス等からなる矩形板状の基板21を有している。基板21には、所定の方向に延在するスリット(光通過部)22が形成されている。スリット22は、パッケージ2に設けられた光入射部6と縦方向において対向しており、光入射部6から入射した光L1を通過させる。なお、スリット22における分光ユニット30側の端部は、スリット22の延在方向(以下、「奥方向」という)、及び、奥方向に垂直且つ縦方向に垂直な方向(以下、「横方向」という)の両方向において、分光ユニット30側に向かって末広がりとなっている。
【0022】
基板21における分光ユニット30と反対側の表面21aには、光検出素子24が固定されている。光検出素子24は、シリコン等の半導体材料からなる半導体基板25と、半導体基板25における基板21側の面に形成された光検出部26と、を有している。光検出部26は、フォトダイオードアレイ、C−MOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等である。光検出素子24は、基板21に形成された断面矩形状の光通過開口23に光検出部26が対向するように、基板21の表面21aに固定されている。光通過開口23は、横方向においてスリット22と並ぶように形成されている。なお、光通過開口23における分光ユニット30側の端部は、奥方向及び横方向の両方向において、分光ユニット30側に向かって末広がりとなっている。
【0023】
基板21の表面21aには、光検出部26に対する入出力信号等を伝送するための複数の配線27が設けられている。各配線27の一端部は、Auや半田等のバンプ28を介して光検出部26と電気的に接続されている。各配線27の他端部は、パッド部27aとなっており、各パッド部27aは、対応するリードピン8の端部8aと、ワイヤ12によってワイヤボンディングされている。これにより、リードピン8は、光検出部26と電気的に接続されることになる。
【0024】
図3及び図5に示されるように、分光ユニット30は、シリコン、プラスチック、セラミック又はガラス等からなる矩形板状の基板31を有している。基板31における光検出ユニット20側の表面31aには、奥方向及び横方向の両方向において、光検出ユニット20側に向かって末広がりとなる正四角錐台状の凹部32が形成されている。
【0025】
基板31には、光硬化性のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン又は有機・無機ハイブリッド樹脂等のレプリカ用光学樹脂を光硬化させることによって形成された成形層33が、凹部32を覆うように配置されている。成形層33は、凹部32の深さ方向(すなわち、光検出ユニット20側)から見た場合に円形状となっており、成形層33の外縁33dは、凹部32の開口32aの各頂点を通っている。
【0026】
成形層33は、一体的に形成された本体部33a及び乗上げ部33bを有している。本体部33aは、凹部32の深さ方向から見た場合に凹部32内に位置しており、凹部32の底面32b及び側面32cの全体を覆っている。乗上げ部33bは、本体部33aと繋がった状態で基板31の表面31aに位置しており、凹部32の開口32aの各辺の外側に設けられている。つまり、乗上げ部33bは、凹部32を挟んで対向し且つ凹部32を包囲するように複数設けられている。
【0027】
成形層33は、凹部32の所定の内面である底面32bと対向する凹状の曲面33cを有している。曲面33cは、凹部32の底面32bの中心に向かって凹んだ曲面であり、凹部32の開口32aの各辺の中点を通って、本体部33aから各乗上げ部33bに至っている。曲面33cにおける本体部33a上の所定の領域には、鋸歯状断面のブレーズドグレーティング、矩形状断面のバイナリグレーティング、又は正弦波状断面のホログラフィックグレーティング等に対応するグレーティングパターンが形成されている。このグレーティングパターンは、奥方向に延在するグレーティング溝が横方向に複数並設されたものである。
【0028】
成形層33の曲面33c上には、AlやAu等の蒸着膜である反射膜34が形成されている。反射膜34は、曲面33cにおける本体部33a上の所定の領域ではグレーティングパターンに対応するように形成されており、この部分が、反射型グレーティングである分光部35となっている。分光ユニット30が有する分光部35は、光検出ユニット20のスリット22を通過した光L1を分光すると共に、分光した光L2を光検出ユニット20の光検出部26に反射する。
【0029】
図3に示されるように、光検出ユニット20の基板21には、分光ユニット30側からその反対側に貫通する孔(嵌め部)29が複数形成されている。孔29は、矩形板状の基板21において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔29は、分光ユニット30側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分29aと、その部分29aの頂部に接続された円柱状の部分29bと、を含んでいる。
【0030】
また、分光ユニット30の基板31には、光検出ユニット20側からその反対側に貫通する断面円形状の孔36が複数形成されている。孔36は、矩形板状の基板31において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔36は、光検出ユニット20の反対側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分36aと、その部分36aの頂部に接続された円柱状の部分36bと、を含んでいる。
【0031】
スペーサ11は、金属やプラスチック、セラミック、シリコン、ガラス等により円柱状に形成されており、縦方向において対向する基板21の孔29と基板31の孔36との間にそれぞれ配置されている。スペーサ11の一端部11aは、対応する孔29の部分29a内に配置され、接着等により基板21に固定されている。スペーサ11の他端部11bは、対応する孔36の部分36bを覆うように基板31の表面31aに配置され、接着等により基板31に固定されている。各スペーサ11には、縦方向に貫通孔11cが形成されており、各貫通孔11cは、対応する孔29及び孔36と一続きとなっている。
【0032】
図1に示されるように、分光モジュール3Aは、複数のスペーサ13を介して、ステム4におけるパッケージ2内の表面4b上に配置されている。スペーサ13は、金属等により円柱状に形成されており、縦方向において対向するステム4の貫通孔4aと基板31の孔36との間にそれぞれ配置されている。スペーサ13の一端部13aは、対応する孔36の部分36a内に配置され、接着等により基板31に固定されている。スペーサ13の他端部13bは、対応する貫通孔4aを覆うようにステム4の表面4bに配置され、接着等によりステム4に固定されている。各スペーサ13には、縦方向に貫通孔13cが形成されており、各貫通孔13cは、対応する孔36及び貫通孔4aと一続きとなっている。
【0033】
つまり、縦方向において対向するステム4の貫通孔4a、スペーサ13の貫通孔13c、基板31の孔36、スペーサ11の貫通孔11c及び基板21の孔29は、一続きとなっている。これらの貫通孔13c、孔36、貫通孔11c及び孔29の内径は、リードピン8の外径よりも十分に大きくなっている。そして、一続きとなっている貫通孔13c、孔36、貫通孔11c及び孔29のそれぞれには、ステム4を貫通してパッケージ2内に延在するリードピン8が挿通されている。これにより、リードピン8は、パッケージ2内において、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められることになる。孔29の内面(ここでは部分29bの内面)に対するリードピン8の側面の接触状態には、リードピン8の側面の一部のみが孔29の内面に接触する状態や、リードピン8の側面の全部が孔29の内面に接触する状態だけでなく、リードピン8の側面の全部が孔29の内面に接触しない状態も含まれる。
【0034】
以上のように構成された分光器1Aにおいては、光L1は、パッケージ2の光入射部6からパッケージ2内に入射し、光検出ユニット20のスリット22を通過する。スリット22を通過した光L1は、分光ユニット30の分光部35に到達し、分光部35において分光されると共に光検出ユニット20の光検出部26に反射される。分光部35において分光されると共に反射された光L2は、光検出ユニット20の光通過開口23を通過して光検出素子24の光検出部26に到達し、光検出素子24によって検出される。
【0035】
次に、分光器1Aの製造方法について説明する。まず、図6(a)に示されるように、ステム4を準備し、ステム4の各貫通孔4aにリードピン8を固定する。その一方で、図6(b)に示されるように、分光モジュール3Aを準備する。分光モジュール3Aにおいては、光検出ユニット20のスリット22と分光ユニット30の分光部35とが、更には、分光ユニット30の分光部35と光検出ユニット20の光検出部26とが、スペーサ11を介して、縦方向、横方向及び奥方向の三方向において位置決めされている。
【0036】
続いて、図7(a)に示されるように、スペーサ13の貫通孔13cにリードピン8を挿通させ、スペーサ13の他端部13bをステム4に固定する。続いて、分光モジュール3Aにおいて一続きとなっている孔36、貫通孔11c及び孔29にリードピン8を挿通させ、スペーサ13の一端部13aを基板31に固定する。続いて、図7(b)に示されるように、分光モジュール3Aを覆うようにキャップ5をステム4に配置し、ステム4の段差部とキャップ5のフランジ5aとを溶接により接合する。以上により、分光器1Aが製造される。
【0037】
以上説明したように、分光器1Aでは、パッケージ2において光入射部6と対向するステム4を貫通する複数のリードピン8が、光検出ユニット20に設けられた孔29に挿通され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向において位置決めされることになる。特に、分光器1Aでは、スリット22と光検出部26とが並ぶ横方向において複数のリードピン8が所定の距離をとって対向しているため、横方向における位置決めの精度が向上される。よって、分光器1Aは、パッケージ2に設けられた光入射部6に対して、パッケージ2内に設けられたスリット22が位置決めされたものとなる。このように、分光器1Aでは、リードピン8によって、光検出部26とパッケージ2の外部との間の電気的な接続と、光入射部6に対するスリット22の位置決めとが同時に実現される。
【0038】
また、スペーサ13及び分光モジュール3Aにおいて一続きとなっている貫通孔13c、孔36、貫通孔11c及び孔29にリードピン8が挿通されているため、スペーサ13、分光ユニット30、スペーサ11及び光検出ユニット20によってリードピン8が保持された状態となり、リードピン8の端部8aへのワイヤボンディングを容易に且つ確実に行うことができる。
【0039】
次に、第1の実施形態の分光器の変形例について説明する。図8に示されるように、分光器1Bは、分光モジュール3Bが遮光部材14を有している点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
【0040】
遮光部材14は、遮光性の材料により矩形板状に形成されており、光検出ユニット20の基板21の裏面21bに接触した状態で固定されている。遮光部材14には、基板21のスリット22及び光通過開口23に対向するように光通過開口(開口部)14aが形成されている。つまり、光通過開口14aは、スリット22を通過した光L1、及び分光部35において分光されると共に反射された光L2を通過させる。
【0041】
また、遮光部材14には、縦方向において対向する基板31の孔36、スペーサ11の貫通孔11c及び基板21の孔29と一続きとなるように、貫通孔14bが複数形成されている。つまり、各リードピン8は、対応する遮光部材14の貫通孔14bにも挿通させられている。
【0042】
以上のように構成された分光器1Bでは、遮光部材14によって、光検出ユニット20に設けられた光検出部26に迷光が入射することを抑制することができる。また、分光器1B内の多重反射による迷光を低減することができる。
【0043】
なお、遮光部材14は、光検出ユニット20と分光ユニット30との間であれば、光検出ユニット20の基板21の裏面21bに接触した位置以外の位置に配置されていてもよい。また、スリット22を通過した光L1、及び分光部35において分光されると共に反射された光L2を通過させる開口部であれば、光L1を通過させる光通過開口と、光L2を通過させる光通過開口とが遮光部材14に別々に形成されていてもよい。
【0044】
次に、第1の実施形態の分光器の別の変形例について説明する。図9に示されるように、分光器1Cは、光検出ユニット20に設けられた凹部(嵌め部)41にリードピン8の端部8aが配置されている点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
【0045】
凹部41は、縦方向において基板31の孔36、及びスペーサ11の貫通孔11cと対向するように、基板21の裏面21bに複数形成され、分光ユニット30側に開口している。各リードピン8の端部8aは、スペーサ13及び光検出ユニット20において一続きとなっている貫通孔13c、孔36及び貫通孔11cに各リードピン8が挿通された状態で、対応する凹部41に配置され、嵌められている。
【0046】
光検出素子24は、光検出部26が分光ユニット30側に向いた状態で、基板21の裏面21bに固定されている。光検出部26と各リードピン8とは、基板21の裏面21bに設けられた配線を介して電気的に接続されている。より具体的には、基板21の裏面21bに設けられた配線は、各凹部41内に至っており、各リードピン8の端部8aと導電性接着剤等により接続されている。光検出部26と基板21の裏面21bに設けられた配線とはワイヤにて接続されている。
【0047】
以上のように構成された分光器1Cでは、各リードピン8の端部8aが、対応する凹部41に配置され、嵌められている。これにより、光検出ユニット20に設けられたスリット22が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向においてだけでなく、縦方向においても位置決めされることになる。
[第2の実施形態]
【0048】
図10に示されるように、分光器1Dは、分光モジュール3Dにおいて分光ユニット70が光検出ユニット60と接触した状態で光検出ユニット60に固定されている点で、第1の実施形態の分光器1Aと主に相違している。
【0049】
分光モジュール3Dにおいて、光検出ユニット60は、BK7、パイレックス(登録商標)、石英等の光透過性ガラス、プラスチック等からなる矩形板状の基板61を有している。基板61における分光ユニット70と反対側の表面61aには、複数の配線66が形成されている。各配線66は、AlやAu、CrO等の単層膜、或いはCr−CrO、Cr−Pt−Au、Ti−Pt−Au、Ti−Ni−Au、Cr−Au等の積層膜からなる光反射防止層を基板61の表面61a側に有している。
【0050】
基板61の表面61aには、配線66のパッド部のみを露出させ且つ配線66のその他の部分を覆うように遮光層62が形成されている。遮光層62には、所定の方向に延在するスリット(光通過部)63、及び矩形状の光通過開口64が形成されている。遮光層62は、所定の形状にパターニングされて、ブラックレジスト、フィラー(カーボンや酸化物等)が入った有色の樹脂(シリコーン、エポキシ、アクリル、ウレタン、ポリイミド、複合樹脂等)、CrやCo等の金属又は酸化金属、或いはその積層膜、ポーラス状のセラミックや金属又は酸化金属等によって一体成形される。
【0051】
スリット63は、パッケージ2に設けられた光入射部6と縦方向(光入射部6とステム4とが対向する方向)において対向しており、光入射部6から入射した光L1を通過させる。光通過開口64は、横方向(奥方向(スリット63の延在方向)に垂直且つ縦方向に垂直な方向)においてスリット63と並ぶように形成されている。
【0052】
光検出素子24は、基板61の表面61aに固定されている。光検出素子24は、光通過開口64に光検出部26が対向するように、基板61の表面61aに固定されている。各配線66の一端部は、Au等のバンプ28を介して光検出部26と電気的に接続されている。各配線66の他端部は、パッド部66aとなっており、各パッド部66aは、対応するリードピン8の端部8aと、ワイヤ12によってワイヤボンディングされている。
【0053】
分光ユニット70は、基板61と同一の材料、光透過性樹脂、光透過性の無機・有機ハイブリッド材料、或いはレプリカ成形用の光透過性低融点ガラス、プラスチック等からなる半球状の光透過部材71を有している。光透過部材71における光検出ユニット60側の表面71aは、光検出ユニット60の基板61の裏面61bに光学樹脂材等により固定されている。このように、分光ユニット70は、スペーサ等を介さずに光検出ユニット60と接触した状態で光検出ユニット60に固定されている。
【0054】
光透過部材71における曲面状の外側表面71bには、分光部72が設けられている。分光部72は、光透過部材71の外側表面71bに形成された回折層73と、回折層73の外側表面に形成された反射層74と、を有する反射型グレーティングである。より具体的には、回折層73には、鋸歯状断面のブレーズドグレーティング、矩形状断面のバイナリグレーティング、又は正弦波状断面のホログラフィックグレーティング等に対応するグレーティングパターンが形成されている。このグレーティングパターンにおいては、奥方向に延在するグレーティング溝が横方向に複数並設されている。分光部72は、光検出ユニット60のスリット63を通過した光L1を分光すると共に、分光した光L2を光検出ユニット60の光検出部26に反射する。
【0055】
なお、回折層73は、光硬化性のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、又は有機・無機ハイブリッド樹脂等のレプリカ用光学樹脂を光硬化させることで形成される。反射層74は、回折層73の外側表面にAlやAu等を蒸着することで形成される。
【0056】
光検出ユニット60の基板61には、分光ユニット70側からその反対側に貫通する孔(嵌め部)65が複数形成されている。孔65は、矩形板状の基板61において対向する一対の側縁部のそれぞれに、複数ずつ配置されている。各孔65は、分光ユニット70側に向かって末広がりとなる四角錐台状の部分65aと、その部分65aの頂部に接続された円柱状の部分65bと、を含んでいる。
【0057】
分光モジュール3Dは、複数のスペーサ81を介して、ステム4におけるパッケージ2内の表面4b上に配置されている。スペーサ81は、金属等により円柱状に形成されており、縦方向において対向するステム4の貫通孔4aと基板61の孔65との間にそれぞれ配置されている。スペーサ81の一端部81aは、対応する孔65の部分65a内に配置され、接着等により基板61に固定されている。スペーサ81の他端部81bは、対応する貫通孔4aを覆うようにステム4の表面4bに配置され、接着等によりステム4に固定されている。各スペーサ81には、縦方向に貫通孔81cが形成されており、各貫通孔81cは、対応する孔65及び貫通孔4aと一続きとなっている。
【0058】
これらの貫通孔81c及び孔65の内径は、リードピン8の外径よりも十分に大きくなっている。そして、一続きとなっている貫通孔81c及び孔65のそれぞれには、ステム4を貫通してパッケージ2内に延在するリードピン8が挿通されている。これにより、リードピン8は、パッケージ2内において、光検出ユニット60に設けられた孔65に挿通され、嵌められることになる。
【0059】
以上のように構成された分光器1Dにおいては、光L1は、パッケージ2の光入射部6からパッケージ2内に入射し、光検出ユニット60のスリット63を通過する。スリット63を通過した光L1は、基板61及び光透過部材71を透過して分光ユニット70の分光部72に到達し、分光部72において分光されると共に光検出ユニット60の光検出部26に反射される。分光部72において分光されると共に反射された光L2は、光透過部材71及び基板61を透過し、更に、光検出ユニット60の光通過開口64を通過して光検出素子24の光検出部26に到達し、光検出素子24によって検出される。
【0060】
次に、分光器1Dの製造方法について説明する。まず、図11(a)に示されるように、ステム4を準備し、ステム4の各貫通孔4aにリードピン8を固定する。続いて、図11(b)に示されるように、スペーサ81の貫通孔81cにリードピン8を挿通させ、スペーサ81の他端部81bをステム4に固定する。
【0061】
その一方で、図12(a)に示されるように、分光モジュール3Dを準備する。分光モジュール3Dにおいては、光検出ユニット60のスリット63と分光ユニット70の分光部72とが、更には、分光ユニット70の分光部72と光検出ユニット60の光検出部26とが、スペーサ等を介さずに直接的に、縦方向、横方向及び奥方向の三方向において位置決めされている。続いて、光検出ユニット60の基板61の孔65にリードピン8を挿通させ、スペーサ81の一端部81aを基板61に固定する。続いて、図12(b)に示されるように、分光モジュール3Dを覆うようにキャップ5をステム4に配置し、ステム4の段差部とキャップ5のフランジ5aとを溶接により接合する。以上により、分光器1Dが製造される。
【0062】
以上説明したように、分光器1Dでは、パッケージ2において光入射部6と対向するステム4を貫通する複数のリードピン8が、光検出ユニット60に設けられた孔65に挿通され、嵌められている。これにより、光検出ユニット60に設けられたスリット63が、複数のリードピン8を介して、パッケージ2に設けられた光入射部6に対し、横方向及び奥方向において位置決めされることになる。特に、分光器1Dでは、スリット63と光検出部26とが並ぶ横方向において複数のリードピン8が所定の距離をとって対向しているため、横方向における位置決めの精度が向上される。よって、分光器1Dは、パッケージ2に設けられた光入射部6に対して、パッケージ2内に設けられたスリット63が位置決めされたものとなる。
【0063】
また、スペーサ81及び光検出ユニット60において一続きとなっている貫通孔81c及び孔65にリードピン8が挿通されているため、リードピン8がスペーサ81及び光検出ユニット60によって保持された状態となり、リードピン8の端部8aへのワイヤボンディングを容易に且つ確実に行うことができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、分光モジュールの光検出ユニットに設けられ且つリードピンが嵌められる嵌め部は、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔や、分光ユニット側に開口する凹部に限定されない。一例として、嵌め部は、リードピンの端部の横方向及び奥方向への移動を規制するように光検出ユニットの基板の裏面に形成された複数の凸部等であってもよい。ただし、嵌め部が、分光ユニット側からその反対側に貫通する孔や、分光ユニット側に開口する凹部である場合には、横方向及び奥方向において、光入射部に対する光通過部の位置決めが容易に且つ確実に実現される。
【0065】
嵌め部の構造の他の例について説明する。図13に示されるように、基板21には、裏面21b側から表面21a側に貫通する孔(嵌め部)29が形成されている。孔29は、基板21の表面21aに開口した第1の部分29cと、裏面21bに開口した第2の部分29dとを含んでいる。第1の部分29cは表面21aに向かって末広がりとなる形状(例えば四角錘台状の形状)を有し、第2の部分29dは裏面21bに向かって末広がりとなる形状(例えば四角錘台状の形状)を有する。基板21の表面21a上、第1の部分29cの内面29e上、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上には、絶縁膜91が形成されている。基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に形成された絶縁膜91上には、メタル配線92が形成されている。孔29にはリードピン8が挿通されており、このリードピン8は、第2の部分29dに充填された導電性樹脂93により、メタル配線92に電気的に接続されている。
【0066】
次に、上述した孔29を形成する工程について説明する。まず、基板21の表面21a及び裏面21bにエッチングマスクを形成する。次に、フォトワークによりこのエッチングマスクに開口を設ける。このエッチングマスクは酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等からなる。続いて、エッチングマスクを用いて表面21a側からアルカリエッチングを行う。このエッチングにより基板21に第1の部分29cが形成される。続いて、エッチングマスクを用いて裏面21b側からアルカリエッチングを行う。このエッチングにより基板21に第2の部分29dが形成される。続いて、基板21の表面21a上、第1の部分29cの内面29e上、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に絶縁膜91を形成する。この絶縁膜95は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等の絶縁性を有する材料からなる。続いて、基板21の裏面21b上及び第2の部分29dの内面29f上に形成された絶縁膜91上にマスク蒸着法によりメタル配線92を形成する。以上により、孔29が形成される。この孔29に対してリードピン8が挿通される。そして、第2の部分29dに導電性樹脂93が充填され、リードピン8がメタル配線92に電気的に接続される。このように、表面21a及び裏面21bの両面からエッチングして嵌め部を形成する方法によれば、片面からの貫通アルカリエッチングにより嵌め部を形成する方法に比べ、開口部のエッジ部21c、21dの角度が緩やかになるため、基板21の破損を抑制することができる。なお、基板21の両面からエッチングして嵌め部を形成する上記方法は、光通過部(スリット)22の形成に用いてもよい。これによれば、基板21の破損を抑制することができる。
【0067】
また、光入射部から入射した光を通過させる光通過部は、光検出素子24の半導体基板25に形成されたスリット等、光検出ユニットに設けられたものであればよい。
【0068】
また、分光器の各構成部材の材料及び形状には、前述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、リードピンが十分な強度を有するときには、スペーサを用いることなく、分光モジュールがリードピンにより支持されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1A,1B,1C,1D…分光器、2…パッケージ、3A,3B,3D…分光モジュール、4…ステム(支持部)、6…光入射部、8…リードピン、8a…端部、11…スペーサ、14…遮光部材、14a…光通過開口(開口部)、20,60…光検出ユニット、22,63…スリット(光通過部)、26…光検出部、29,65…孔(嵌め部)、30,70…分光ユニット、35,72…分光部、41…凹部(嵌め部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射部が設けられたパッケージと、
前記パッケージのうち前記光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンと、
前記パッケージ内において前記支持部上に支持された分光モジュールと、を備え、
前記分光モジュールは、
前記光入射部から入射した光を通過させる光通過部が設けられた光検出ユニットと、
前記光検出ユニットに対して前記支持部側に配置されるように前記光検出ユニットに固定され、前記光通過部を通過した光を分光すると共に前記光検出ユニットの光検出部に反射する分光部を有する分光ユニットと、を有し、
前記リードピンは、前記光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められ、前記光検出部と電気的に接続されていることを特徴とする分光器。
【請求項2】
前記分光モジュールは、前記光検出ユニットと前記分光ユニットとの間に配置されたスペーサを更に有し、
前記分光ユニットは、前記スペーサを介して前記光検出ユニットに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項3】
前記分光モジュールは、前記光検出ユニットと前記分光ユニットとの間に配置された遮光部材を更に有し、
前記遮光部材には、前記光通過部を通過した光、及び前記分光部において分光されると共に反射された光を通過させる開口部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の分光器。
【請求項4】
前記分光ユニットは、前記光検出ユニットと接触した状態で前記光検出ユニットに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項5】
前記嵌め部は、前記分光ユニット側からその反対側に貫通する孔であり、
前記リードピンは、前記パッケージ内において前記嵌め部に挿通されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光器。
【請求項6】
前記嵌め部は、前記分光ユニット側に開口する凹部であり、
前記リードピンの端部は、前記パッケージ内において前記嵌め部に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光器。
【請求項1】
光入射部が設けられたパッケージと、
前記パッケージのうち前記光入射部と対向する支持部を貫通する複数のリードピンと、
前記パッケージ内において前記支持部上に支持された分光モジュールと、を備え、
前記分光モジュールは、
前記光入射部から入射した光を通過させる光通過部が設けられた光検出ユニットと、
前記光検出ユニットに対して前記支持部側に配置されるように前記光検出ユニットに固定され、前記光通過部を通過した光を分光すると共に前記光検出ユニットの光検出部に反射する分光部を有する分光ユニットと、を有し、
前記リードピンは、前記光検出ユニットに設けられた嵌め部に嵌められ、前記光検出部と電気的に接続されていることを特徴とする分光器。
【請求項2】
前記分光モジュールは、前記光検出ユニットと前記分光ユニットとの間に配置されたスペーサを更に有し、
前記分光ユニットは、前記スペーサを介して前記光検出ユニットに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項3】
前記分光モジュールは、前記光検出ユニットと前記分光ユニットとの間に配置された遮光部材を更に有し、
前記遮光部材には、前記光通過部を通過した光、及び前記分光部において分光されると共に反射された光を通過させる開口部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の分光器。
【請求項4】
前記分光ユニットは、前記光検出ユニットと接触した状態で前記光検出ユニットに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
【請求項5】
前記嵌め部は、前記分光ユニット側からその反対側に貫通する孔であり、
前記リードピンは、前記パッケージ内において前記嵌め部に挿通されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光器。
【請求項6】
前記嵌め部は、前記分光ユニット側に開口する凹部であり、
前記リードピンの端部は、前記パッケージ内において前記嵌め部に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分光器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−29327(P2013−29327A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163641(P2011−163641)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
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