分光用の回折格子構造体
【課題】回折格子構造体において0次透過を0%近くに抑制し、また、太陽電池組立体は回折格子構造体との結合により吸収率が改善されること。
【解決手段】基材及び回折格子から成る回折格子構造体であって、前記回折格子が、交互に並んだリッジ部と溝とを含み、該リッジ部と溝とが、長方形状であり、且つ、0次透過が0%近くに抑制されるように選択されるフィルファクタ及び回折格子の高さを画成する、回折格子構造体、及び、光を吸収して電気エネルギーに変換するための吸収層と、該吸収層の第1側部上に配設される第1回折格子層と、前記吸収層の第2側部上に配設される第2回折格子層とを含む太陽電池組立体であって、前記第2側部が前記第1側部とは反対側にある、太陽電池組立体。
【解決手段】基材及び回折格子から成る回折格子構造体であって、前記回折格子が、交互に並んだリッジ部と溝とを含み、該リッジ部と溝とが、長方形状であり、且つ、0次透過が0%近くに抑制されるように選択されるフィルファクタ及び回折格子の高さを画成する、回折格子構造体、及び、光を吸収して電気エネルギーに変換するための吸収層と、該吸収層の第1側部上に配設される第1回折格子層と、前記吸収層の第2側部上に配設される第2回折格子層とを含む太陽電池組立体であって、前記第2側部が前記第1側部とは反対側にある、太陽電池組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して分光用の回折格子構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の回折格子構造体が産業界において導入されてきた。典型的には、回折格子は、光を回折する格子線の列を有する。一般的には、回折光は、多くの回折次数を形成する回折パターンに分散される。回折格子の一つの種類が透過型回折格子である。典型的には、透過型回折格子は、透明材料にエッチングされた溝を具備する。入射スペクトルの光成分は、溝にぶつかると回折され、この結果、種々の角度に分けられる。
【発明の概要】
【0003】
本出願の一つの態様では、改良された分光用の回折格子構造体が提供される。
【0004】
太陽電池の用途において、吸収層は、光が水平に進みまたは吸収層と同一面内を進むとき、最も高い吸収効率を有する。吸収層に対して垂直に受容される光の水平方向の進行を促進するために、吸収層と同一面内により多くの光を回折させるように回折格子が吸収層と結合して使用されることがある。しかしながら、典型的な透過型回折格子について、ほとんどの光は回折格子を通して0次透過の方向に進む。ここで、0次透過が抑制されるように回折格子を設計することができ、これによって、光エネルギーは、より大きな回折角度を有する1次透過または高次透過の方向にその向きが変えられる。
【0005】
一つの構成では、回折格子構造体は、交互に並んだリッジ部(ridge)と溝とを含む。リッジ部と溝とは、1次透過の角度が、少なくとも40°、例えば約50°であるように構成される。
【0006】
別の態様では、0次モードの振幅寄与及び1次モードの振幅寄与がおおよそ同じ大きさであり且つそれらの位相が180°異なる。
【0007】
本明細書の一部を形成する添付の図面及び特許請求の範囲を参照して以下の記述を検討した後、本発明の更なる目的、特徴、及び利点が当業者に容易に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は透過型回折格子の側面図である。
【図2】図2は、透過型回折格子の斜視図である。
【図3A】図3Aは、回折格子を生産する方法を示すフローチャートである。
【図3B】図3Bは、回折格子を生産する方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、回折格子のフィルファクタ(fill factor)に対する、光の各モードについての有効屈折率を示すグラフである。
【図5】図5は、回折格子のフィルファクタに対する、0次透過への、各モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図6】図6は、回折格子のフィルファクタに対する、1次透過への、各モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図7】図7は、回折格子のフィルファクタに対する、2次透過への、各モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図8】図8は、回折格子の高さに対する、0次透過、1次透過、及び2次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図9】図9は、1次透過の角度に対する、0次透過への、0次モード及び1次モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図10】図10は、1次透過の角度に対する、0次透過、1次透過、及び2次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図11】図11は、回折格子のフィルファクタに対する、0次モードと1次モードとの間または0次モードと2次モードとの間の、0次透過への振幅寄与の差を示すグラフである。
【図12】図12は、有効屈折率の差と回折格子のフィルファクタとを示すグラフである。
【図13】図13は、回折格子の高さに対する、s偏光及びp偏光についての各回折次数の回折効率を示すグラフである。
【図14】図14は、40°の1次透過を有する回折格子の一つの実施形態の側面図である。
【図15】図15は、50°の1次透過を有する回折格子の一つの実施形態の側面図である。
【図16】図16は、屈折率に対する、0次透過への、各モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図17】図17は、屈折率に対する、0次透過及び1次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図18】図18は、図14における回折格子について、回折格子の高さに対する、0次透過及び1次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図19】図19は、図15における回折格子について、回折格子の高さに対する、0次透過及び1次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図20】図20は、太陽電池組立体の側面図である。
【図21】図21は、規格化された波長に対する、s偏光及びp偏光についての透過率を示すグラフである。
【図22】図22は、規格化された波長に対する、s偏光及びp偏光についての吸収率を示すグラフである。
【図23】図23は、s偏光についての磁場を示す、太陽電池組立体の側面図である。
【図24】図24は、回折格子及び反射器を含む太陽電池組立体の側面図である。
【図25】図25は、規格化された波長に対する透過率を示すグラフである。
【図26】図26は、規格化された波長に対する吸収率を示すグラフである。
【図27】図27は、結合部(coupler)の側面図である。
【図28】図28は、結合部の側面図であって、光の波の伝播を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、透過型回折格子11を含むシステム10が提供される。透過型回折格子11は、石英/空気界面を備えた石英ガラス透過型回折格子であってよい。ここで、空気は石英構造体12を取り囲み且つ参照番号14によって示される。石英構造体12は固体状の石英ガラスの基材16を含む。石英ガラスは透明度が非常に高く且つ非常に広い帯域の光を透過させる。更に、石英ガラスは、広範囲の温度条件に亘って使用されることができる非常に安定した材料を提供する。加えて、石英ガラスの回折格子は、多くの用途について必要とされる様々な回折格子特性を提供すべく容易にエッチングされる。石英ガラスは、約1の屈折率を有する空気と比較して、約1.45の屈折率を有する。符号nαが空気の屈折率を示すのに用いられ、符号nβが石英ガラスの屈折率を示すのに用いられる。本明細書において記述される回折格子及び用途について、考えられる入射光は概してλ=350nm〜1600nmの範囲である。しかしながら、特定の場合において、青色、緑色、及び赤色を強めるためにλ=450nm、550nm、及び700nm、またはカップリング(coupling)用途のためにλ=1550nmが考えられる。
【0010】
突起部18が基材16から延在し且つ基材16と一体である。また、基材16と一体である突起部18も石英ガラスから形成される。突起部18は、各突起部18の間に配置される溝20を形成する。溝20は空気14で満たされ、このことによって、回折格子層22に亘って空気/石英ガラス界面が提供される。回折格子層22は、光源から透過型回折格子11の方向に向けられた光を種々の回折次数に回折する。突起部18の各々はリッジ部39を形成でき、リッジ部39は、図2において線40によって示されるような一様な線構造を提供するように延在する。突起部18は上面42及び側面44を有することができる。側面44は、種々の外形を有することができ、または、ほぼ真っ直ぐであって上面42と直角を形成してもよい。
【0011】
再び図1を参照すると、矢印30によって示されるように、光が透過型回折格子11に提供される。本明細書において記述されるシステムについて、光30は所定の角度を有し、この角度は回折格子の突起部18の主軸線31とほぼ平行である。加えて、入射光30は種々の偏光を含んでよい。例えば、入射光はs偏光成分30A及びp偏光成分30Bを含む。S偏光は、電場が光の伝播面に対して垂直である状態を示す。P偏光は、電場が光の伝播面に対して平行である状態を示す。入射光30は、回折格子層22と交わるとき、Rによって示される反射成分と、Tによって示される透過成分とを形成するであろう。
【0012】
反射成分は、複数の回折次数から成る回折パターンを形成することができる。例えば、0次回折の反射成分Rn=0は矢印32によって示される。同様に、1次回折の反射成分Rn=1は矢印33によって示され、−1次回折の反射成分Rn=-1は矢印34によって示される。−1次回折についての角度はθr,-1であり、一方、1次回折についての角度はθr,1である。
【0013】
また、透過成分も、複数のモードから成る回折パターンを形成することができる。例えば、0次回折の透過成分Tn=0は矢印36によって示される。同様に、1次回折の透過成分Tn=1は線37によって示され、−1次回折の透過成分Tn=-1は線38によって示される。2次回折の透過成分Tn=2は線23によって示され、−2次回折の透過成分Tn=-2は線25によって示される。−1次回折についての角度はθt,-1であり、一方、1次回折についての角度はθt,1である。同様に、−2次回折についての角度はθt,-2であり、一方、2次回折についての角度はθt,2である。
【0014】
反射成分の特性及び透過成分の特性を生じさせる因子は、材料の屈折率(n)、回折格子の周期(p)、回折格子のフィルファクタ(r)、及び回折格子の高さ(h)である。回折格子の周期は一つの溝の始端部から次の溝の始端部までの距離である。透過型回折格子11の周期は、参照番号24によって示される。フィルファクタ(r)は、回折格子の周期に対する、リッジ部の幅の比率または溝の幅の比率として定義され、参照番号26によって示される。回折格子の高さ(h)は、突起部18の上端から溝20の下端までの距離であり、図1における参照番号28によって示される。一つの実施形態において、回折格子は、長方形状の溝及び長方形状のリッジ部を有する長方形状の回折格子である。しかしながら、他の実施形態において、溝20と突起部18とは正確な直角を形成しなくてもよく、種々の外形が突起部18の縁42に沿って使用されてよいことが容易に理解されるであろう。この結果、フィルファクタ(r)または回折格子の高さ(h)についての定義は、突起部18及び溝20の形状に応じて僅かに修正される。このとき、突起部18の重心及び溝20を基準にしてこれら値を決定できる。
【0015】
モード解析によって、空気/石英ガラス界面を有する透過型回折格子11によって形成される光路を解析することができる。モード解析は、±1次透過についての高い効率と、抑制された、0次回折への透過率とを同時に提供するように導出されうる。回折格子のフィルファクタを選択するために、0次透過に対する、各モードの振幅寄与を用いることができる。その後、溝の高さを選択するために、各回折次数の回折効率を用いることができる。この条件を満たす回折格子構造体は、40°よりも大きい角度において、通常光についての90%よりも大きい透過率を示すことができる。
【0016】
解析方法に関して、厳密結合波解析は、種々の溝形状に適合するという利点を有する。いくつかの形状、例えば、半円、長方形、三角形、及び曲面のような溝を使用することができる。結合波解析は典型的には回折格子を設計するのに使用されるが、この方法は、種々の前提条件のせいで、前述されたパラメータを特定しないであろう。結合波解析は数値解析であって、伝播モードとエバネッセント(evanescent)モードとの結合を想定していない。一方、モード解析は、種々の溝形状に適するような柔軟性が小さいが、回折現象の物理的洞察を提供することができる。
【0017】
回折格子が発光ダイオード(LED)のような無偏光の光について使用されるときは、設計にあたってp偏光もs偏光も同時に考慮されるべきである。特に、−1次透過及び+1次透過を使用することによって、光を基板内に閉じ込めるために光が大きく曲げられるので、光学装置、光学部品、及びアッセンブリ光学系についての設計自由度が広げられる。
【0018】
しかしながら、本明細書に記載される方法に従って、1次透過についての高い透過率と、0次透過についての非常に低い透過率とを同時に提供するように、長方形状の回折格子がモード解析を通して得られる。モード解析は、0次モードによる、0次透過への振幅寄与と、別モードによる、0次透過への振幅寄与とがほぼ等しくなるフィルファクタを特定することができる。これによって、ほぼ等しい振幅寄与を有する0次モードと他のモードとの間にキャンセル効果を生成する回折格子の高さを選択することができる。
【0019】
太陽電池組立体を形成するために、吸収層に回折格子11を結合させることができる。この結果、回折格子11は、吸収を増加させるために、伝播する光の向きを吸収層内において水平向きに変えることができる。更に、吸収層の反対側に回折格子11と似た特性を有する別の回折格子を結合させることができ、これによって、吸収層の反対側の方向に透過される光の向きが吸収層内において水平向きに変えられる。
【0020】
図3Aを参照すると、一つの実施形態に係る回折格子を生産する方法が一連の作業300において提供される。ブロック310において、光の波長域を設定する。更に、回折格子に対して垂直に入射光の角度を設定する。ブロック312において、所望の回折角度を設定し、例えば、1次透過角度を50°とする。ブロック314において、所望の回折角度及び設計波長に基づいて回折格子の周期を設定する。ブロック316において、0次透過への、各モードについての振幅寄与を解析し、図5に示されるように、0次モードの振幅寄与が、別モード、例えば1次モードの振幅寄与にほぼ等しいときのフィルファクタの値を特定する。ブロック318において、その選択したフィルファクタにおける、回折格子の高さに対する回折効率を各回折次数について解析する。モード間の位相関係を制御するのに、このことを用いることができる。図8に示されるように、0次透過における回折効率が最小となる回折格子の高さを選択する。一般的には、これは、位相が180°異なる0次モードと1次モードとに対応する。ブロック324において、上述されたステップにおいて決定されたパラメータに基づいて、回折格子を例えばエッチングによって製造できる。
【0021】
図3Bを参照すると、一つの実施形態に係る回折格子を生産する方法が一連の作業350において提供される。ブロック310において、光の波長域を設定する。更に、回折格子に対して垂直に入射光の角度を設定する。ブロック312において、所望の回折角度を設定し、例えば、1次透過角度を50°とする。ブロック314において、所望の回折角度及び設計波長に基づいて回折格子の周期を設定する。ブロック330において、s偏光及びp偏光の両方について、0次モードと他モードとの間の、0次透過への振幅寄与における差を解析することによって、フィルファクタを選択する。上述されたように、0次モードについての振幅寄与と、1次モードについての振幅寄与とが同じになるようにフィルファクタを選択することができる。その後、0次透過が最小となるように、0次モードと1次モードとの間の位相シフトを制御することができる。ここで、図11に示されるように、0次モードと別モード(例えば1次モード)との間の振幅差の、s偏光及びp偏光についての平均値が最小となるフィルファクタを選択する。ブロック332において、図13に示されるように、0次透過における回折効率の、s偏光及びp偏光についての平均値が最小となる回折格子の高さを選択する。ブロック324において、上述されたステップにおいて決定されたパラメータに基づいて、回折格子を例えばエッチングによって製造できる。
【0022】
ここで図4を参照すると、回折格子のフィルファクタに対する、各モードについての有効屈折率のグラフが提供される。線410が、回折格子のフィルファクタに基づいた、0次モードについての有効屈折率を示す。線412が、フィルファクタに対する、1次モードについての有効屈折率である。線414が、フィルファクタに対する、2次モードについての有効屈折率である。同様に、線416が、フィルファクタに対する、3次モードについての有効屈折率であり、一方、線418が、フィルファクタに対する、4次モードについての有効屈折率である。各線は有効屈折率の実部を示し、パワー(power)が所定のフィルファクタについて各モードを通して伝達されることが示唆される。
【0023】
図5は、回折格子のフィルファクタに係る、0次透過に寄与する各モードについての振幅を示す。線510は、フィルファクタに係る、0次透過への0次モードの振幅寄与である。線512は、フィルファクタに基づいた、0次透過への1次モードの振幅寄与である。線514は、フィルファクタに基づいた、0次透過への2次モードの振幅寄与である。同様に、線516は、フィルファクタに基づいた、0次透過への3次モードの透過であり、線518は、フィルファクタに基づいた、0次透過への4次モードの振幅寄与である。図5の考察において、各モードについての振幅に関わらず、回折格子の高さによって、互いに対する各モードの位相を制御できることを理解することが重要である。従って、0次モード及び別モードが同一の振幅値を有する場合、二つのモードの振幅がおおよそ等しくなるようにフィルファクタを選択し、その後、二つのモードの位相が180°異なるように二つのモードを制御することによって、0次(n=0)への透過は抑制される。このとき、各モードからの寄与はキャンセルされ、このことによって、法線方向に対応する0次透過における光の量が抑制される。設定によって光が0次透過において抑制される場合、光は他の次数に透過され、このことによって、1次透過及び2次以上の透過に対応する角度で透過される光の量が最大となる。今回の場合、1次モードは0.25よりも僅かに小さいフィルファクタで0次モードにおおよそ等しい。同様に、2次モードは0.25よりも僅かに大きいフィルファクタで0次モードにおおよそ等しい。
【0024】
図6は、1次透過への各モードの振幅寄与を示す。ここで、線610が、回折格子のフィルファクタに基づいた、1次透過への0次モードの振幅寄与である。同様に、線612が、フィルファクタに基づいた、1次透過への1次モードの振幅寄与である。線614が、フィルファクタに係る、1次透過への2次モードの振幅寄与である。同様に、線616が、フィルファクタに係る、1次透過への3次モードの振幅寄与であり、線618は、フィルファクタに係る、1次透過への4次モードの振幅寄与である。この場合、0次透過を抑制することによって、1次透過の振幅は必然的に高められる。
【0025】
図7は、2次透過への各モードの振幅寄与を示す。この結果、線710が、回折格子のフィルファクタに基づいた、2次透過への0次モードの振幅寄与である。同様に、線712が、フィルファクタに基づいた、2次透過への1次モードの振幅寄与である。線714が、フィルファクタに係る、2次透過への2次モードの振幅寄与である。同様に、線716が、フィルファクタに係る、2次透過への3次モードの振幅寄与であり、線718が、フィルファクタに係る、2次透過への4次モードの振幅寄与である。フィルファクタが0.5よりも小さいとき、2次透過及び3次以上の透過は極めて小さいので回折格子の設計にほとんど影響しない。特に光電セルの場合、増加せしめられた透過角度は光電セルの吸収率を増加させるであろう。
【0026】
ここで、図8を参照すると、回折格子の高さに関して、各次数の透過についての回折効率のグラフが提供される。線810が、回折格子の高さに係る、0次透過の回折効率である。線812が、回折格子の高さに基づいた、1次透過の回折効率である。更に、線814が、回折格子の高さに基づいた、2次透過の回折効率である。図8におけるグラフは0.25のフィルファクタに基づいており、このとき、0次透過への0次モードの振幅寄与は0次透過への1次モードの振幅寄与におおよそ等しい。ここで、0次透過が、約1.35λの回折格子の高さにおいて、おおよそ0に等しいことが分かる。更に、線812によって示される1次透過が、ほぼ同じ値のときに最大であることが分かる。2次透過814が、回折格子の高さに基づいて変化するが、回折格子の1次透過の回折効率に対して比較的小さい値のままである。
【0027】
図9は、回折格子に対する入射角度に基づいた、0次透過への各モードの振幅寄与を示す。この例において、角度0°は回折格子表面に対して垂直であるだろう。線910が、0次透過への0次モードの最小の振幅寄与を表す。同様に、線912が、入射角度に基づいた、0次透過への1次モードの最大の振幅寄与を示す。図5に関して記されたように、理想的には、0次透過への0次モードの振幅寄与は、0次透過への1次モードの振幅寄与または0次透過への2次モードの振幅寄与のどちらかとおおよそ等しいだろう。このとき、0次モードの寄与をキャンセルするように、1次または2次モードの位相を操作することができる。しかしながら、1次透過の角度が増加するにつれて、0次モードの振幅は増加するが、1次モードの振幅は減少する。このことは、1次透過角度が大きいとき、法線方向(n=0)の光を抑制するのが困難であることを示唆する。
【0028】
図10は、1次透過の角度に対する、各次数の透過についての回折効率のグラフである。線1010が、1次透過の角度に係る、0次透過の回折効率である。線1012が、1次透過の角度に基づいた、1次透過の回折効率である。更に、線1014が、1次透過の角度に係る、2次透過の回折効率である。この図から理解されるように、回折格子に対して法線方向に透過される光は、1次透過の角度が増加するにつれて増加する。
【0029】
図11は、回折格子のフィルファクタに対する、0次モードと1次モードとの間または0次モードと2次モードとの間の、0次透過への振幅寄与の差を示すグラフである。加えて、光の透過はs偏光及びp偏光について解析される。線1110が、p偏光についての、0次透過に寄与する、0次モードと1次モードとの間の振幅差である。線1112が、p偏光についての、0次透過に寄与する、0次モードと2次モードとの間の振幅差である。ここで、線1110は0〜0.25のフィルファクタの範囲で示され、一方、線1112は0.25よりも大きいフィルファクタの範囲で示される。更に、線1114が、s偏光についての、0次透過への、0次モードと1次モードとの間の振幅寄与の差である。線1116が、s偏光についての、0次透過への、0次モードと2次モードとの間の振幅寄与の差である。図11を詳細に検討すると、0.25のフィルファクタにおいてs偏光についての振幅差が最小であり、且つおおよそ0.34のフィルファクタにおいてp偏光についての振幅差が最小であることが示される。従って、s偏光及びp偏光の両方についての振幅差が同時に最小となるように、点を計算することができる。ここで、0.34のフィルファクタを選択することができる。平均値または加重平均値に基づいて、選択されるフィルファクタを計算することができるが、他の方法を使用してもよい。例えば、この場合、Ad,m=0-2,n=0(S)とAd,m=0-2,n=0(P)との平均値が最小となるフィルファクタが使用される。
【0030】
ここで、図12を参照すると、フィルファクタに対する有効屈折率の差のグラフが提供される。線1210が、s偏光についての、0次透過と1次透過との間の有効屈折率の差である。線1212が、s偏光についての、0次透過と2次透過との間の有効屈折率の差である。線1214が、p偏光についての、0次透過と1次透過とについての有効屈折率の差であり、一方、線1216が、p偏光についての、0次透過と2次透過との間の有効屈折率の差である。更に、1次透過はs偏光及びp偏光について0.25よりも小さいフィルファクタの範囲で示され、一方、2次透過は0.25よりも大きいフィルファクタの範囲に用いられる。有効屈折率の差は0.34のフィルファクタでs偏光及びp偏光について閉値(close value)を示すが、それらは値が僅かに異なる。0.34のフィルファクタにおけるs偏光についての有効屈折率とp偏光についての有効屈折率との平均値は、約1.3λの回折格子の高さに対応する。
【0031】
図13は、回折格子の高さに関して、回折効率を示す。線1310が、p偏光についての0次透過の回折効率である。線1312が、p偏光についての1次透過の回折効率である。線1314が、回折格子の高さに対する、p偏光についての2次透過の回折効率である。線1316が、回折格子の高さに対する、s偏光についての0次透過の回折効率である。線1318が、回折格子の高さに対する、s偏光についての1次透過の回折効率である。線1320が、回折格子の高さに対する、s偏光についての2次透過の回折効率である。この結果は、振幅差を最小にするために、周期1.84λ及びフィルファクタ0.34について提供される。更に、有効屈折率の差の平均値に対応する1.3λの回折格子の高さにおいて、このグラフを解析することは有益である。また、これは、0次透過についての回折効率の、s偏光とp偏光との最小の平均値にも対応することができる。従って、s偏光についての0次透過の回折効率は2.4%である。s偏光についての1次透過の回折効率は40.8%であり、一方、s偏光についての2次透過の回折効率は僅か6.7%である。同様の結果がp偏光についても得られる。p偏光についての0次透過の回折効率は2.5%である。1次透過についての1次回折効率は45.3%である。更に、2次透過についての回折効率は僅か2.4%である。
【0032】
図14は、1次透過角度が40°またはそれよりも大きい状態の回折格子を示す。透過型回折格子1411が、石英ガラスの基材1416と、誘電材料から形成された突起部1418とを有することができる。突起部1418は誘電材料/空気界面を形成することができる。ここで、空気は突起部1418を取り囲み且つ参照番号1414によって示される。突起部1418は、各突起部1418の間に配置された溝1420を形成する。溝1420は空気1414で満たされる。回折格子層1422が、光源から透過型回折格子1411の方向に向けられた光を種々の回折モードに回折する。
【0033】
矢印1430によって示されるように、光が透過型回折格子1411に提供される。光1430は、回折格子面に対して概して垂直な角度から提供される。加えて、光1430は種々の偏光を含んでよい。入射光1430は、回折格子層1422と交わるとき、Rによって示される反射成分と、Tによって示される透過成分とを形成するであろう。
【0034】
反射成分の特性及び透過成分の特性を生じさせる因子は、材料の屈折率(n)、回折格子の周期(p)、回折格子のフィルファクタ(r)、及び回折格子の高さ(h)である。透過型回折格子1411の周期は参照番号1424によって示される。フィルファクタ(r)は参照番号1426によって示される。回折格子の高さ(h)は、突起部1418の上端から溝1420の下端までの距離であり、参照番号1428によって示される。一つの実施形態において、長方形状の(すなわち長方形状の溝及び長方形状の突起部を有する)回折格子を生じさせるために、溝1420と突起部1418とは直角に形成される。しかしながら、容易に理解されるように、溝1420と突起部1418とは正確な直角を形成しなくてもよく、種々の外形が突起部1418の縁に沿って使用されてよい。
【0035】
太陽電池組立体について、吸収層1450を基材1416に結合させることができる。この結果、基材1416は、吸収層1450と隣接しまたは吸収層1450上に形成され、回折格子1411から吸収層1450に光エネルギーを伝達させるための直接的な接合部を生み出す。更に、回折格子1411と似た特性を有する別の回折格子が吸収層1450の反対側に結合され、これによって、吸収層の反対側の方向に透過される光の向きが吸収層1450内において水平向きに変えられる。
【0036】
図15は、約50°の1次透過角度を有する回折格子を示す。透過型回折格子1511が、石英ガラスの基材1516と、二酸化チタンから形成された突起部1518とを有することができる。突起部1518は二酸化チタン/空気界面を形成できる。ここで、空気は突起部1518を取り囲み且つ参照番号1514によって示される。突起部1518は、各突起部1518の間に配置される溝1520を形成する。溝1520は空気1514で満たされる。回折格子層1522が、光源から透過型回折格子1511の方向に向けられた光を種々の回折モードに回折する。
【0037】
矢印1530によって示されるように、光が透過型回折格子1511に提供される。光1530は、回折格子面に対して概して垂直な角度から提供される。加えて、光1530は種々の偏光を含んでよい。入射光1530は、回折格子層1522と交わるとき、Rによって示される反射成分と、Tによって示される透過成分とを形成するであろう。
【0038】
反射成分の特性及び透過成分の特性を生じさせる因子は、材料の屈折率(n)、回折格子の周期(p)、回折格子のフィルファクタ(r)、及び回折格子の高さ(h)である。透過型回折格子1511の周期は参照番号1524によって示される。フィルファクタ(r)は参照番号1526によって示される。回折格子の高さ(h)は、突起部1518の上端から溝1520の下端までの距離であり、参照番号1528によって示される。一つの実施形態において、長方形状の(すなわち長方形状の溝及び長方形状の突起部を有する)回折格子を生じさせるために、溝1520と突起部1518とは直角に形成される。しかしながら、容易に理解されるように、溝1520と突起部1518とは正確な直角を形成しなくてもよく、種々の外形が突起部1518の縁に沿って使用されてよい。
【0039】
太陽電池組立体について、吸収層1550を基材1516に結合させることができる。この結果、基材1516は、吸収層1550と隣接しまたは吸収層1550上に形成され、回折格子1511から吸収層1550に光エネルギーを伝達させるための直接的な接合部を生み出す。更に、回折格子1511と似た特性を有する別の回折格子が吸収層1550の反対側に結合され、これによって、吸収層の反対側の方向に透過される光の向きが吸収層1550内において水平向きに変えられる。
【0040】
図16は、図14において示される回折格子についての屈折率に対する、1次モードの振幅及び0次モードの振幅のグラフを示す。線1610が、屈折率に対する、0次モードの振幅である。線1620が、屈折率に対する、1次モードの振幅である。m=0の最小振幅は、屈折率が増加するにつれて減少する。m=1の最大振幅は、屈折率が増加するにつれて増加する。このことは、回折格子に対して垂直な角度(n=0)で受容される光が大きな屈折率によってかなり抑制されることを示唆し、これによって、0次モードと1次モードとの間の振幅差は小さくなる。
【0041】
図17は、図14における回折格子について、(回折格子に対して垂直な)0次透過及び1次透過の、屈折率に対する回折効率を示すグラフを提供する。線1710が、(回折格子に対して垂直な)0次透過についての、屈折率に対する回折効率である。線1712が、(図14における回折格子について40°の)1次透過についての、屈折率に対する回折効率である。グラフから示されるように、0次透過の回折効率は、屈折率が増加するにつれて減少する。これは、ほぼ等しい振幅を有し且つ位相が180°シフトした0次モードと1次モードとの結果である。
【0042】
図18は、図14における回折格子についての0次透過及び1次透過について、回折格子の高さに対する回折効率を示すグラフを提供する。線1810が回折格子の高さに対する0次透過である。線1812が回折格子の高さに対する1次透過である。1次透過がピークに達するとき、0次透過は0に近い回折効率を有する。0次透過及び1次透過の両方が振動するが、それらは位相が180°だけ異なる。この結果は、nγ=2の屈折率、p=1.07λの周期、γ=0.22のフィルファクタ、及びh=0.59λの回折格子の高さについて提供される。この構成において、0次透過の透過効率はθt,0=0°でTn=0=0.9%である。加えて、1次透過はθt,1=(θt,-1)=40°でTn=1=(Tn=-1)=48.8%である。
【0043】
更に、図19は、図15における回折格子についての0次透過及び1次透過について、回折格子の高さに対する回折効率を示すグラフを提供する。線1910が回折格子の高さに対する0次透過である。線1912が回折格子の高さに対する1次透過である。1次透過がピークに達するとき、0次透過は0に近い回折効率を有する。0次透過及び1次透過の両方が振動するが、それらは位相が180°だけ異なる。この結果は、nγ=2.38(TiO2、600nm)の屈折率、p=0.9λの周期、γ=0.29のフィルファクタ、及びh=0.28λの回折格子の高さについて提供される。しかしながら、p=0.87λ〜0.93λの回折格子の周期、γ=0.24〜0.34のフィルファクタ、及びh=0.23λ〜0.33λの回折格子の高さが使用されてもよい。この構成において、0次透過の透過効率はθt,0=0°でTn=0=0.7%である。加えて、1次透過はθt,1=(θt,-1)=50°でTn=1=(Tn=-1)=49.5%である。
【0044】
図20は、太陽電池組立体2012の一つの実施形態を示す。組立体2012は、第1回折格子層2014、吸収層2022、及び第2回折格子層2020を含む。吸収層2022は第1回折格子層2014と第2回折格子層2020との間にサンドイッチされる。光2010、例えば太陽からの光が組立体2012上に受容される。一般的には、直射日光は屋根の上部または車の上部のような多くの表面に対して垂直に受容される。しかしながら、吸収層2022に対して垂直な光は、吸収層2022と同一面内を進む光ほどの高い効率では吸収されない。
【0045】
第1回折格子層2014は、交互に並ぶ第1部分及び第2部分から製造される。第1部分2016は第1無損失誘電体であってよく、第2部分2018は第2無損失誘電体であってよい。第1無損失誘電体は約2.25の誘電率εa,rを有することができる。第2無損失誘電体は約6.25の誘電率εb,rを有することができる。一つの実施形態において、第1部分2016は石英ガラスであり且つ第2部分2018はTiO2であってよい。更に、吸収層は約16+j0.1の誘電率εc,rを有することができる。上述されたように、第1無損失誘電体は回折格子層2014に亘って第2無損失誘電体と交互に並ぶ。交互に並んだ部分は、図1及び図2における回折格子のリッジ部及び溝と同じ手段で光を回折する。矢印2024によって示されるように、第1無損失誘電体の部分及び第2無損失誘電体の部分の各々は約0.16λの幅を有してもよい。この結果、矢印2026によって示されるように、回折格子の周期は0.32λである。更に、矢印2028及び2032によって示されるように、第1回折格子層2014の厚さ及び第2回折格子層2020の厚さはそれぞれ0.12λであってよい。更に、矢印2030によって示されるように、吸収層2022の厚さは3/32λであってよい。吸収層が誘導波長(guided wavelength)の半分((1/2×(λ/4)=(1/8)λ)を有するとき、吸収層は共鳴(resonance)を有する。この結果、(1/8)λよりも小さい厚さを有する薄い吸収層が好まれる。更に、無損失誘電体(例えばεb,r=6.25及び0.04λの厚さを有する第2無損失誘電体2018)を上側及び下側に加えることも共鳴を与えることができる。この結果は図25及び図26において見られる。
【0046】
図25は、(1/8)λよりも小さい厚さを有する吸収層と、二つの一様な誘電体層の間にサンドイッチされた吸収層とについて、規格化された波長に対する透過率のグラフを示す。線2510が、(1/8)λよりも小さい厚さを有する吸収層のみについて、規格化された波長に対する透過率を示す。線2512が、二つの一様な誘電体層(例えばεb,r=6.25及び0.04λの厚さ)の間にサンドイッチされた吸収層について、規格化された波長に対する透過率を示す。更に、図26は、(1/8)λよりも小さい厚さ(例えば(3/32)λ)を有する吸収層と、二つの誘電体層の間にサンドイッチされた吸収層とについて、規格化された波長に対する吸収率のグラフを示す。線2610が、(1/8)λよりも小さい厚さを有する吸収層のみについて、規格化された波長に対する吸収率を示す。線2612が、二つの誘電体層(例えばεb,r=6.25及び0.04λの厚さ)の間にサンドイッチされた吸収層について、規格化された波長に対する吸収率を示す。
【0047】
吸収層のみは0.75λにおいて共鳴を有し、0.75λは誘導波長の半分に相当する。誘電体層のサンドイッチされた態様はλにおいて共鳴を与える。両方の場合について、吸収率は共鳴時に約4%のピーク値を示す。
【0048】
図21は、図20における組立体について、入射光の規格化された波長に対する、s偏光及びp偏光の透過率を示すグラフである。線2110が、規格化された波長に対する、S偏光の光の透過率である。線2112が、規格化された波長に対する、P偏光の光の透過率である。同様に、図22は、図20における組立体について、規格化された波長に対する、s偏光及びp偏光の吸収率を示すグラフである。線2210が、規格化された波長に対する、S偏光の光の吸収率である。線2212が、規格化された波長に対する、P偏光の光の吸収率である。グラフから分かるように、吸収率の鋭いピークがS偏光及びP偏光の両方について存在する。S偏光はλ付近に約50%の吸収率のピークを有する。P偏光は0.8λ付近に約30%の吸収率のピークを有する。
【0049】
図23は、図20における組立体の側面図であって、二つの周期について、S偏光についての磁場を示す。磁場はλについて示される。各矢印の方向は磁場の局所的な方向を表し、一方、矢印の大きさは磁場の大きさを表す。共鳴によって、強い磁場が吸収層2022において観察される。
【0050】
図24は、入射光からみて吸収層の反対側に使用される回折格子組立体の一つの実施形態を提供する。ここで、前述された透過型回折格子のいずれかが、光を受容する側の吸収層上に設置され、且つ以下に記述される回折格子が吸収層のそれとは反対側に設置される。反射型回折格子2411が、石英/空気界面を有する石英ガラス透過型回折格子であってよい。ここで、空気は石英構造体2412を取り囲み且つ参照番号2414によって示される。石英構造体2412が固体状の石英ガラスの基材2416を含む。石英ガラスは透明度が非常に高く且つ非常に広い帯域の光を透過させる。更に、石英ガラスは、広範囲の温度条件に亘って使用されることができる非常に安定した材料を提供する。加えて、石英ガラスの回折格子は、多くの用途について必要とされる様々な回折格子特性を提供すべく容易にエッチングされる。石英ガラスは、約1の屈折率を有する空気と比較して、約1.45の屈折率を有する。符号nαが空気の屈折率を示すのに用いられ、符号nβが石英ガラスの屈折率を示すのに用いられる。
【0051】
突起部2418は基材2416から延在し且つ基材2416と一体である。また、基材2416と一体である突起部2418は石英ガラスから形成される。突起部2418は、各突起部2418の間に配置される溝2420を形成する。溝2420は空気2414で満たされ、このことによって、回折格子層2422に亘って空気/石英ガラス界面が提供される。回折格子層2422は、光源から反射型回折格子2411の方向に向けられた光を種々の回折モードに回折する。
【0052】
矢印2430によって示されるように、光が回折格子2411に提供される。光2430は回折格子の表面に対して概して垂直な角度から提供される。加えて、入射光2430は種々の偏光を含んでよい。例えば、入射光はs偏光成分及びp偏光成分を含む。入射光2430は、回折格子層2422と交わるとき、Rによって示される反射成分を形成するであろう。
【0053】
反射成分の特性及び透過成分の特性を生じさせる因子は、材料の屈折率(n)、回折格子の周期(p)、回折格子のフィルファクタ(r)、及び回折格子の高さ(h)である。回折格子の周期は一つの溝の始端部から次の溝の始端部までの距離である。透過型回折格子2411の周期は、参照番号2424によって示される。フィルファクタ(r)は、回折格子の周期に対する、リッジ部の幅の比率または溝の幅の比率として定義され、参照番号2426によって示される。回折格子の高さ(h)は、突起部2418の上端から溝2420の下端までの距離であり、参照番号2428によって示される。一つの実施形態において、長方形状の(すなわち長方形状の溝及び長方形状の突起部を有する)回折格子を生じさせるために、溝2420と突起部2418とは直角に形成される。しかしながら、容易に理解されるように、溝2420と突起部2418とは正確な直角を形成しなくてもよく、種々の外形が突起部2418の縁に沿って使用されてよい。この結果、フィルファクタ(r)または回折格子の高さ(h)についての定義は、突起部2418及び溝2420の形状に応じて僅かに修正される。このとき、突起部2418の重心及び溝を基準にしてこれら値を測定できる。
【0054】
加えて、サンドイッチ構造2450の上端の上に石英ガラスの基材2416を形成することができる。サンドイッチ構造2450は、二酸化チタンの第1層2452、石英ガラスの層2454、及び二酸化チタンの第2層2456を含む。第1層2452は基材2416と石英ガラスの層2454との間に配置される。石英ガラスの層2454は第1層2452と第2層2456との間に配置される。基材2416及びサンドイッチ構造2450は、回折格子の下方に配置される分布ブラッグ反射器(distributed Bragg reflector)を形成する。
【0055】
図27及び図28は、回折格子の別の実施形態を示す。この実施形態は、太陽電池に使用されることができるが、カップリング用に使用されてもよい。この実施形態において、組立体2710は基板2712及び回折格子2714を含む。回折格子は、前述された回折格子のいずれかに対応し、例えば図15の回折格子である。この例において、回折格子の幅は、光が反射して基板の上面に戻る距離よりも小さくなるように選択される。このことは、回折格子による回折によって生じる、基板を通して進む光の方向を表す矢印2716を参照すると、より理解されるであろう。光は最初に50°の1次透過角度の方向に向けられる。角度が約43.6°よりも大きければ、光エネルギーは基板内において内部反射して基板内において水平方向に伝播するであろう。それ故に、矢印2716は、光が水平に伝播するときに基板の上面と下面との間で跳ね返る光を示す。
【0056】
更に、カップリング用途について、回折格子の幅が重要であることに留意することが有益である。例えば、回折格子によって回折された光が基板内において内部反射して回折格子に戻る場合、光の未吸収部分は回折格子によって基板から抜け出すことができる。この結果、回折格子の幅は、内部反射された光が基板の上面から底面に進み再び上面に戻るのに必要な距離の二倍よりも小さくなるように選択される。更に具体的には、回折格子の幅wgは、基板の厚さtsに第1次透過角度θt,1の正接(tan)を掛けた値の二倍よりも小さい(wg<2ts(tan(θt,1)))。
【0057】
一つの具体例が図28に示される。線2812によって示されるように、組立体2810に提供されるビームの幅は5λである。回折格子の幅は9.9λ(0.9λ11周期分)であるように選択される。ここで、線2818によって示されるようにビームの進行距離は5λであり、線2816によって示されるように基板の高さは5λである。回折格子が、内部反射された光が上面に到達する幅を超えて延在するのであれば、回折格子は多くの光を基板から抜け出させ、このことによって、吸収効率が著しく減少せしめられるであろう。
【0058】
当業者が容易に理解するように、上記の記述は本出願の原理の例示を意味する。本記述は発明の範囲または用途を制限することを意図しておらず、本記述における本発明は、以下の特許請求の範囲において定義されるような本発明の思想を逸脱することなく、修正、変更、及び変化が可能である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して分光用の回折格子構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の回折格子構造体が産業界において導入されてきた。典型的には、回折格子は、光を回折する格子線の列を有する。一般的には、回折光は、多くの回折次数を形成する回折パターンに分散される。回折格子の一つの種類が透過型回折格子である。典型的には、透過型回折格子は、透明材料にエッチングされた溝を具備する。入射スペクトルの光成分は、溝にぶつかると回折され、この結果、種々の角度に分けられる。
【発明の概要】
【0003】
本出願の一つの態様では、改良された分光用の回折格子構造体が提供される。
【0004】
太陽電池の用途において、吸収層は、光が水平に進みまたは吸収層と同一面内を進むとき、最も高い吸収効率を有する。吸収層に対して垂直に受容される光の水平方向の進行を促進するために、吸収層と同一面内により多くの光を回折させるように回折格子が吸収層と結合して使用されることがある。しかしながら、典型的な透過型回折格子について、ほとんどの光は回折格子を通して0次透過の方向に進む。ここで、0次透過が抑制されるように回折格子を設計することができ、これによって、光エネルギーは、より大きな回折角度を有する1次透過または高次透過の方向にその向きが変えられる。
【0005】
一つの構成では、回折格子構造体は、交互に並んだリッジ部(ridge)と溝とを含む。リッジ部と溝とは、1次透過の角度が、少なくとも40°、例えば約50°であるように構成される。
【0006】
別の態様では、0次モードの振幅寄与及び1次モードの振幅寄与がおおよそ同じ大きさであり且つそれらの位相が180°異なる。
【0007】
本明細書の一部を形成する添付の図面及び特許請求の範囲を参照して以下の記述を検討した後、本発明の更なる目的、特徴、及び利点が当業者に容易に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は透過型回折格子の側面図である。
【図2】図2は、透過型回折格子の斜視図である。
【図3A】図3Aは、回折格子を生産する方法を示すフローチャートである。
【図3B】図3Bは、回折格子を生産する方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、回折格子のフィルファクタ(fill factor)に対する、光の各モードについての有効屈折率を示すグラフである。
【図5】図5は、回折格子のフィルファクタに対する、0次透過への、各モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図6】図6は、回折格子のフィルファクタに対する、1次透過への、各モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図7】図7は、回折格子のフィルファクタに対する、2次透過への、各モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図8】図8は、回折格子の高さに対する、0次透過、1次透過、及び2次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図9】図9は、1次透過の角度に対する、0次透過への、0次モード及び1次モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図10】図10は、1次透過の角度に対する、0次透過、1次透過、及び2次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図11】図11は、回折格子のフィルファクタに対する、0次モードと1次モードとの間または0次モードと2次モードとの間の、0次透過への振幅寄与の差を示すグラフである。
【図12】図12は、有効屈折率の差と回折格子のフィルファクタとを示すグラフである。
【図13】図13は、回折格子の高さに対する、s偏光及びp偏光についての各回折次数の回折効率を示すグラフである。
【図14】図14は、40°の1次透過を有する回折格子の一つの実施形態の側面図である。
【図15】図15は、50°の1次透過を有する回折格子の一つの実施形態の側面図である。
【図16】図16は、屈折率に対する、0次透過への、各モードについての振幅寄与を示すグラフである。
【図17】図17は、屈折率に対する、0次透過及び1次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図18】図18は、図14における回折格子について、回折格子の高さに対する、0次透過及び1次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図19】図19は、図15における回折格子について、回折格子の高さに対する、0次透過及び1次透過についての回折効率を示すグラフである。
【図20】図20は、太陽電池組立体の側面図である。
【図21】図21は、規格化された波長に対する、s偏光及びp偏光についての透過率を示すグラフである。
【図22】図22は、規格化された波長に対する、s偏光及びp偏光についての吸収率を示すグラフである。
【図23】図23は、s偏光についての磁場を示す、太陽電池組立体の側面図である。
【図24】図24は、回折格子及び反射器を含む太陽電池組立体の側面図である。
【図25】図25は、規格化された波長に対する透過率を示すグラフである。
【図26】図26は、規格化された波長に対する吸収率を示すグラフである。
【図27】図27は、結合部(coupler)の側面図である。
【図28】図28は、結合部の側面図であって、光の波の伝播を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、透過型回折格子11を含むシステム10が提供される。透過型回折格子11は、石英/空気界面を備えた石英ガラス透過型回折格子であってよい。ここで、空気は石英構造体12を取り囲み且つ参照番号14によって示される。石英構造体12は固体状の石英ガラスの基材16を含む。石英ガラスは透明度が非常に高く且つ非常に広い帯域の光を透過させる。更に、石英ガラスは、広範囲の温度条件に亘って使用されることができる非常に安定した材料を提供する。加えて、石英ガラスの回折格子は、多くの用途について必要とされる様々な回折格子特性を提供すべく容易にエッチングされる。石英ガラスは、約1の屈折率を有する空気と比較して、約1.45の屈折率を有する。符号nαが空気の屈折率を示すのに用いられ、符号nβが石英ガラスの屈折率を示すのに用いられる。本明細書において記述される回折格子及び用途について、考えられる入射光は概してλ=350nm〜1600nmの範囲である。しかしながら、特定の場合において、青色、緑色、及び赤色を強めるためにλ=450nm、550nm、及び700nm、またはカップリング(coupling)用途のためにλ=1550nmが考えられる。
【0010】
突起部18が基材16から延在し且つ基材16と一体である。また、基材16と一体である突起部18も石英ガラスから形成される。突起部18は、各突起部18の間に配置される溝20を形成する。溝20は空気14で満たされ、このことによって、回折格子層22に亘って空気/石英ガラス界面が提供される。回折格子層22は、光源から透過型回折格子11の方向に向けられた光を種々の回折次数に回折する。突起部18の各々はリッジ部39を形成でき、リッジ部39は、図2において線40によって示されるような一様な線構造を提供するように延在する。突起部18は上面42及び側面44を有することができる。側面44は、種々の外形を有することができ、または、ほぼ真っ直ぐであって上面42と直角を形成してもよい。
【0011】
再び図1を参照すると、矢印30によって示されるように、光が透過型回折格子11に提供される。本明細書において記述されるシステムについて、光30は所定の角度を有し、この角度は回折格子の突起部18の主軸線31とほぼ平行である。加えて、入射光30は種々の偏光を含んでよい。例えば、入射光はs偏光成分30A及びp偏光成分30Bを含む。S偏光は、電場が光の伝播面に対して垂直である状態を示す。P偏光は、電場が光の伝播面に対して平行である状態を示す。入射光30は、回折格子層22と交わるとき、Rによって示される反射成分と、Tによって示される透過成分とを形成するであろう。
【0012】
反射成分は、複数の回折次数から成る回折パターンを形成することができる。例えば、0次回折の反射成分Rn=0は矢印32によって示される。同様に、1次回折の反射成分Rn=1は矢印33によって示され、−1次回折の反射成分Rn=-1は矢印34によって示される。−1次回折についての角度はθr,-1であり、一方、1次回折についての角度はθr,1である。
【0013】
また、透過成分も、複数のモードから成る回折パターンを形成することができる。例えば、0次回折の透過成分Tn=0は矢印36によって示される。同様に、1次回折の透過成分Tn=1は線37によって示され、−1次回折の透過成分Tn=-1は線38によって示される。2次回折の透過成分Tn=2は線23によって示され、−2次回折の透過成分Tn=-2は線25によって示される。−1次回折についての角度はθt,-1であり、一方、1次回折についての角度はθt,1である。同様に、−2次回折についての角度はθt,-2であり、一方、2次回折についての角度はθt,2である。
【0014】
反射成分の特性及び透過成分の特性を生じさせる因子は、材料の屈折率(n)、回折格子の周期(p)、回折格子のフィルファクタ(r)、及び回折格子の高さ(h)である。回折格子の周期は一つの溝の始端部から次の溝の始端部までの距離である。透過型回折格子11の周期は、参照番号24によって示される。フィルファクタ(r)は、回折格子の周期に対する、リッジ部の幅の比率または溝の幅の比率として定義され、参照番号26によって示される。回折格子の高さ(h)は、突起部18の上端から溝20の下端までの距離であり、図1における参照番号28によって示される。一つの実施形態において、回折格子は、長方形状の溝及び長方形状のリッジ部を有する長方形状の回折格子である。しかしながら、他の実施形態において、溝20と突起部18とは正確な直角を形成しなくてもよく、種々の外形が突起部18の縁42に沿って使用されてよいことが容易に理解されるであろう。この結果、フィルファクタ(r)または回折格子の高さ(h)についての定義は、突起部18及び溝20の形状に応じて僅かに修正される。このとき、突起部18の重心及び溝20を基準にしてこれら値を決定できる。
【0015】
モード解析によって、空気/石英ガラス界面を有する透過型回折格子11によって形成される光路を解析することができる。モード解析は、±1次透過についての高い効率と、抑制された、0次回折への透過率とを同時に提供するように導出されうる。回折格子のフィルファクタを選択するために、0次透過に対する、各モードの振幅寄与を用いることができる。その後、溝の高さを選択するために、各回折次数の回折効率を用いることができる。この条件を満たす回折格子構造体は、40°よりも大きい角度において、通常光についての90%よりも大きい透過率を示すことができる。
【0016】
解析方法に関して、厳密結合波解析は、種々の溝形状に適合するという利点を有する。いくつかの形状、例えば、半円、長方形、三角形、及び曲面のような溝を使用することができる。結合波解析は典型的には回折格子を設計するのに使用されるが、この方法は、種々の前提条件のせいで、前述されたパラメータを特定しないであろう。結合波解析は数値解析であって、伝播モードとエバネッセント(evanescent)モードとの結合を想定していない。一方、モード解析は、種々の溝形状に適するような柔軟性が小さいが、回折現象の物理的洞察を提供することができる。
【0017】
回折格子が発光ダイオード(LED)のような無偏光の光について使用されるときは、設計にあたってp偏光もs偏光も同時に考慮されるべきである。特に、−1次透過及び+1次透過を使用することによって、光を基板内に閉じ込めるために光が大きく曲げられるので、光学装置、光学部品、及びアッセンブリ光学系についての設計自由度が広げられる。
【0018】
しかしながら、本明細書に記載される方法に従って、1次透過についての高い透過率と、0次透過についての非常に低い透過率とを同時に提供するように、長方形状の回折格子がモード解析を通して得られる。モード解析は、0次モードによる、0次透過への振幅寄与と、別モードによる、0次透過への振幅寄与とがほぼ等しくなるフィルファクタを特定することができる。これによって、ほぼ等しい振幅寄与を有する0次モードと他のモードとの間にキャンセル効果を生成する回折格子の高さを選択することができる。
【0019】
太陽電池組立体を形成するために、吸収層に回折格子11を結合させることができる。この結果、回折格子11は、吸収を増加させるために、伝播する光の向きを吸収層内において水平向きに変えることができる。更に、吸収層の反対側に回折格子11と似た特性を有する別の回折格子を結合させることができ、これによって、吸収層の反対側の方向に透過される光の向きが吸収層内において水平向きに変えられる。
【0020】
図3Aを参照すると、一つの実施形態に係る回折格子を生産する方法が一連の作業300において提供される。ブロック310において、光の波長域を設定する。更に、回折格子に対して垂直に入射光の角度を設定する。ブロック312において、所望の回折角度を設定し、例えば、1次透過角度を50°とする。ブロック314において、所望の回折角度及び設計波長に基づいて回折格子の周期を設定する。ブロック316において、0次透過への、各モードについての振幅寄与を解析し、図5に示されるように、0次モードの振幅寄与が、別モード、例えば1次モードの振幅寄与にほぼ等しいときのフィルファクタの値を特定する。ブロック318において、その選択したフィルファクタにおける、回折格子の高さに対する回折効率を各回折次数について解析する。モード間の位相関係を制御するのに、このことを用いることができる。図8に示されるように、0次透過における回折効率が最小となる回折格子の高さを選択する。一般的には、これは、位相が180°異なる0次モードと1次モードとに対応する。ブロック324において、上述されたステップにおいて決定されたパラメータに基づいて、回折格子を例えばエッチングによって製造できる。
【0021】
図3Bを参照すると、一つの実施形態に係る回折格子を生産する方法が一連の作業350において提供される。ブロック310において、光の波長域を設定する。更に、回折格子に対して垂直に入射光の角度を設定する。ブロック312において、所望の回折角度を設定し、例えば、1次透過角度を50°とする。ブロック314において、所望の回折角度及び設計波長に基づいて回折格子の周期を設定する。ブロック330において、s偏光及びp偏光の両方について、0次モードと他モードとの間の、0次透過への振幅寄与における差を解析することによって、フィルファクタを選択する。上述されたように、0次モードについての振幅寄与と、1次モードについての振幅寄与とが同じになるようにフィルファクタを選択することができる。その後、0次透過が最小となるように、0次モードと1次モードとの間の位相シフトを制御することができる。ここで、図11に示されるように、0次モードと別モード(例えば1次モード)との間の振幅差の、s偏光及びp偏光についての平均値が最小となるフィルファクタを選択する。ブロック332において、図13に示されるように、0次透過における回折効率の、s偏光及びp偏光についての平均値が最小となる回折格子の高さを選択する。ブロック324において、上述されたステップにおいて決定されたパラメータに基づいて、回折格子を例えばエッチングによって製造できる。
【0022】
ここで図4を参照すると、回折格子のフィルファクタに対する、各モードについての有効屈折率のグラフが提供される。線410が、回折格子のフィルファクタに基づいた、0次モードについての有効屈折率を示す。線412が、フィルファクタに対する、1次モードについての有効屈折率である。線414が、フィルファクタに対する、2次モードについての有効屈折率である。同様に、線416が、フィルファクタに対する、3次モードについての有効屈折率であり、一方、線418が、フィルファクタに対する、4次モードについての有効屈折率である。各線は有効屈折率の実部を示し、パワー(power)が所定のフィルファクタについて各モードを通して伝達されることが示唆される。
【0023】
図5は、回折格子のフィルファクタに係る、0次透過に寄与する各モードについての振幅を示す。線510は、フィルファクタに係る、0次透過への0次モードの振幅寄与である。線512は、フィルファクタに基づいた、0次透過への1次モードの振幅寄与である。線514は、フィルファクタに基づいた、0次透過への2次モードの振幅寄与である。同様に、線516は、フィルファクタに基づいた、0次透過への3次モードの透過であり、線518は、フィルファクタに基づいた、0次透過への4次モードの振幅寄与である。図5の考察において、各モードについての振幅に関わらず、回折格子の高さによって、互いに対する各モードの位相を制御できることを理解することが重要である。従って、0次モード及び別モードが同一の振幅値を有する場合、二つのモードの振幅がおおよそ等しくなるようにフィルファクタを選択し、その後、二つのモードの位相が180°異なるように二つのモードを制御することによって、0次(n=0)への透過は抑制される。このとき、各モードからの寄与はキャンセルされ、このことによって、法線方向に対応する0次透過における光の量が抑制される。設定によって光が0次透過において抑制される場合、光は他の次数に透過され、このことによって、1次透過及び2次以上の透過に対応する角度で透過される光の量が最大となる。今回の場合、1次モードは0.25よりも僅かに小さいフィルファクタで0次モードにおおよそ等しい。同様に、2次モードは0.25よりも僅かに大きいフィルファクタで0次モードにおおよそ等しい。
【0024】
図6は、1次透過への各モードの振幅寄与を示す。ここで、線610が、回折格子のフィルファクタに基づいた、1次透過への0次モードの振幅寄与である。同様に、線612が、フィルファクタに基づいた、1次透過への1次モードの振幅寄与である。線614が、フィルファクタに係る、1次透過への2次モードの振幅寄与である。同様に、線616が、フィルファクタに係る、1次透過への3次モードの振幅寄与であり、線618は、フィルファクタに係る、1次透過への4次モードの振幅寄与である。この場合、0次透過を抑制することによって、1次透過の振幅は必然的に高められる。
【0025】
図7は、2次透過への各モードの振幅寄与を示す。この結果、線710が、回折格子のフィルファクタに基づいた、2次透過への0次モードの振幅寄与である。同様に、線712が、フィルファクタに基づいた、2次透過への1次モードの振幅寄与である。線714が、フィルファクタに係る、2次透過への2次モードの振幅寄与である。同様に、線716が、フィルファクタに係る、2次透過への3次モードの振幅寄与であり、線718が、フィルファクタに係る、2次透過への4次モードの振幅寄与である。フィルファクタが0.5よりも小さいとき、2次透過及び3次以上の透過は極めて小さいので回折格子の設計にほとんど影響しない。特に光電セルの場合、増加せしめられた透過角度は光電セルの吸収率を増加させるであろう。
【0026】
ここで、図8を参照すると、回折格子の高さに関して、各次数の透過についての回折効率のグラフが提供される。線810が、回折格子の高さに係る、0次透過の回折効率である。線812が、回折格子の高さに基づいた、1次透過の回折効率である。更に、線814が、回折格子の高さに基づいた、2次透過の回折効率である。図8におけるグラフは0.25のフィルファクタに基づいており、このとき、0次透過への0次モードの振幅寄与は0次透過への1次モードの振幅寄与におおよそ等しい。ここで、0次透過が、約1.35λの回折格子の高さにおいて、おおよそ0に等しいことが分かる。更に、線812によって示される1次透過が、ほぼ同じ値のときに最大であることが分かる。2次透過814が、回折格子の高さに基づいて変化するが、回折格子の1次透過の回折効率に対して比較的小さい値のままである。
【0027】
図9は、回折格子に対する入射角度に基づいた、0次透過への各モードの振幅寄与を示す。この例において、角度0°は回折格子表面に対して垂直であるだろう。線910が、0次透過への0次モードの最小の振幅寄与を表す。同様に、線912が、入射角度に基づいた、0次透過への1次モードの最大の振幅寄与を示す。図5に関して記されたように、理想的には、0次透過への0次モードの振幅寄与は、0次透過への1次モードの振幅寄与または0次透過への2次モードの振幅寄与のどちらかとおおよそ等しいだろう。このとき、0次モードの寄与をキャンセルするように、1次または2次モードの位相を操作することができる。しかしながら、1次透過の角度が増加するにつれて、0次モードの振幅は増加するが、1次モードの振幅は減少する。このことは、1次透過角度が大きいとき、法線方向(n=0)の光を抑制するのが困難であることを示唆する。
【0028】
図10は、1次透過の角度に対する、各次数の透過についての回折効率のグラフである。線1010が、1次透過の角度に係る、0次透過の回折効率である。線1012が、1次透過の角度に基づいた、1次透過の回折効率である。更に、線1014が、1次透過の角度に係る、2次透過の回折効率である。この図から理解されるように、回折格子に対して法線方向に透過される光は、1次透過の角度が増加するにつれて増加する。
【0029】
図11は、回折格子のフィルファクタに対する、0次モードと1次モードとの間または0次モードと2次モードとの間の、0次透過への振幅寄与の差を示すグラフである。加えて、光の透過はs偏光及びp偏光について解析される。線1110が、p偏光についての、0次透過に寄与する、0次モードと1次モードとの間の振幅差である。線1112が、p偏光についての、0次透過に寄与する、0次モードと2次モードとの間の振幅差である。ここで、線1110は0〜0.25のフィルファクタの範囲で示され、一方、線1112は0.25よりも大きいフィルファクタの範囲で示される。更に、線1114が、s偏光についての、0次透過への、0次モードと1次モードとの間の振幅寄与の差である。線1116が、s偏光についての、0次透過への、0次モードと2次モードとの間の振幅寄与の差である。図11を詳細に検討すると、0.25のフィルファクタにおいてs偏光についての振幅差が最小であり、且つおおよそ0.34のフィルファクタにおいてp偏光についての振幅差が最小であることが示される。従って、s偏光及びp偏光の両方についての振幅差が同時に最小となるように、点を計算することができる。ここで、0.34のフィルファクタを選択することができる。平均値または加重平均値に基づいて、選択されるフィルファクタを計算することができるが、他の方法を使用してもよい。例えば、この場合、Ad,m=0-2,n=0(S)とAd,m=0-2,n=0(P)との平均値が最小となるフィルファクタが使用される。
【0030】
ここで、図12を参照すると、フィルファクタに対する有効屈折率の差のグラフが提供される。線1210が、s偏光についての、0次透過と1次透過との間の有効屈折率の差である。線1212が、s偏光についての、0次透過と2次透過との間の有効屈折率の差である。線1214が、p偏光についての、0次透過と1次透過とについての有効屈折率の差であり、一方、線1216が、p偏光についての、0次透過と2次透過との間の有効屈折率の差である。更に、1次透過はs偏光及びp偏光について0.25よりも小さいフィルファクタの範囲で示され、一方、2次透過は0.25よりも大きいフィルファクタの範囲に用いられる。有効屈折率の差は0.34のフィルファクタでs偏光及びp偏光について閉値(close value)を示すが、それらは値が僅かに異なる。0.34のフィルファクタにおけるs偏光についての有効屈折率とp偏光についての有効屈折率との平均値は、約1.3λの回折格子の高さに対応する。
【0031】
図13は、回折格子の高さに関して、回折効率を示す。線1310が、p偏光についての0次透過の回折効率である。線1312が、p偏光についての1次透過の回折効率である。線1314が、回折格子の高さに対する、p偏光についての2次透過の回折効率である。線1316が、回折格子の高さに対する、s偏光についての0次透過の回折効率である。線1318が、回折格子の高さに対する、s偏光についての1次透過の回折効率である。線1320が、回折格子の高さに対する、s偏光についての2次透過の回折効率である。この結果は、振幅差を最小にするために、周期1.84λ及びフィルファクタ0.34について提供される。更に、有効屈折率の差の平均値に対応する1.3λの回折格子の高さにおいて、このグラフを解析することは有益である。また、これは、0次透過についての回折効率の、s偏光とp偏光との最小の平均値にも対応することができる。従って、s偏光についての0次透過の回折効率は2.4%である。s偏光についての1次透過の回折効率は40.8%であり、一方、s偏光についての2次透過の回折効率は僅か6.7%である。同様の結果がp偏光についても得られる。p偏光についての0次透過の回折効率は2.5%である。1次透過についての1次回折効率は45.3%である。更に、2次透過についての回折効率は僅か2.4%である。
【0032】
図14は、1次透過角度が40°またはそれよりも大きい状態の回折格子を示す。透過型回折格子1411が、石英ガラスの基材1416と、誘電材料から形成された突起部1418とを有することができる。突起部1418は誘電材料/空気界面を形成することができる。ここで、空気は突起部1418を取り囲み且つ参照番号1414によって示される。突起部1418は、各突起部1418の間に配置された溝1420を形成する。溝1420は空気1414で満たされる。回折格子層1422が、光源から透過型回折格子1411の方向に向けられた光を種々の回折モードに回折する。
【0033】
矢印1430によって示されるように、光が透過型回折格子1411に提供される。光1430は、回折格子面に対して概して垂直な角度から提供される。加えて、光1430は種々の偏光を含んでよい。入射光1430は、回折格子層1422と交わるとき、Rによって示される反射成分と、Tによって示される透過成分とを形成するであろう。
【0034】
反射成分の特性及び透過成分の特性を生じさせる因子は、材料の屈折率(n)、回折格子の周期(p)、回折格子のフィルファクタ(r)、及び回折格子の高さ(h)である。透過型回折格子1411の周期は参照番号1424によって示される。フィルファクタ(r)は参照番号1426によって示される。回折格子の高さ(h)は、突起部1418の上端から溝1420の下端までの距離であり、参照番号1428によって示される。一つの実施形態において、長方形状の(すなわち長方形状の溝及び長方形状の突起部を有する)回折格子を生じさせるために、溝1420と突起部1418とは直角に形成される。しかしながら、容易に理解されるように、溝1420と突起部1418とは正確な直角を形成しなくてもよく、種々の外形が突起部1418の縁に沿って使用されてよい。
【0035】
太陽電池組立体について、吸収層1450を基材1416に結合させることができる。この結果、基材1416は、吸収層1450と隣接しまたは吸収層1450上に形成され、回折格子1411から吸収層1450に光エネルギーを伝達させるための直接的な接合部を生み出す。更に、回折格子1411と似た特性を有する別の回折格子が吸収層1450の反対側に結合され、これによって、吸収層の反対側の方向に透過される光の向きが吸収層1450内において水平向きに変えられる。
【0036】
図15は、約50°の1次透過角度を有する回折格子を示す。透過型回折格子1511が、石英ガラスの基材1516と、二酸化チタンから形成された突起部1518とを有することができる。突起部1518は二酸化チタン/空気界面を形成できる。ここで、空気は突起部1518を取り囲み且つ参照番号1514によって示される。突起部1518は、各突起部1518の間に配置される溝1520を形成する。溝1520は空気1514で満たされる。回折格子層1522が、光源から透過型回折格子1511の方向に向けられた光を種々の回折モードに回折する。
【0037】
矢印1530によって示されるように、光が透過型回折格子1511に提供される。光1530は、回折格子面に対して概して垂直な角度から提供される。加えて、光1530は種々の偏光を含んでよい。入射光1530は、回折格子層1522と交わるとき、Rによって示される反射成分と、Tによって示される透過成分とを形成するであろう。
【0038】
反射成分の特性及び透過成分の特性を生じさせる因子は、材料の屈折率(n)、回折格子の周期(p)、回折格子のフィルファクタ(r)、及び回折格子の高さ(h)である。透過型回折格子1511の周期は参照番号1524によって示される。フィルファクタ(r)は参照番号1526によって示される。回折格子の高さ(h)は、突起部1518の上端から溝1520の下端までの距離であり、参照番号1528によって示される。一つの実施形態において、長方形状の(すなわち長方形状の溝及び長方形状の突起部を有する)回折格子を生じさせるために、溝1520と突起部1518とは直角に形成される。しかしながら、容易に理解されるように、溝1520と突起部1518とは正確な直角を形成しなくてもよく、種々の外形が突起部1518の縁に沿って使用されてよい。
【0039】
太陽電池組立体について、吸収層1550を基材1516に結合させることができる。この結果、基材1516は、吸収層1550と隣接しまたは吸収層1550上に形成され、回折格子1511から吸収層1550に光エネルギーを伝達させるための直接的な接合部を生み出す。更に、回折格子1511と似た特性を有する別の回折格子が吸収層1550の反対側に結合され、これによって、吸収層の反対側の方向に透過される光の向きが吸収層1550内において水平向きに変えられる。
【0040】
図16は、図14において示される回折格子についての屈折率に対する、1次モードの振幅及び0次モードの振幅のグラフを示す。線1610が、屈折率に対する、0次モードの振幅である。線1620が、屈折率に対する、1次モードの振幅である。m=0の最小振幅は、屈折率が増加するにつれて減少する。m=1の最大振幅は、屈折率が増加するにつれて増加する。このことは、回折格子に対して垂直な角度(n=0)で受容される光が大きな屈折率によってかなり抑制されることを示唆し、これによって、0次モードと1次モードとの間の振幅差は小さくなる。
【0041】
図17は、図14における回折格子について、(回折格子に対して垂直な)0次透過及び1次透過の、屈折率に対する回折効率を示すグラフを提供する。線1710が、(回折格子に対して垂直な)0次透過についての、屈折率に対する回折効率である。線1712が、(図14における回折格子について40°の)1次透過についての、屈折率に対する回折効率である。グラフから示されるように、0次透過の回折効率は、屈折率が増加するにつれて減少する。これは、ほぼ等しい振幅を有し且つ位相が180°シフトした0次モードと1次モードとの結果である。
【0042】
図18は、図14における回折格子についての0次透過及び1次透過について、回折格子の高さに対する回折効率を示すグラフを提供する。線1810が回折格子の高さに対する0次透過である。線1812が回折格子の高さに対する1次透過である。1次透過がピークに達するとき、0次透過は0に近い回折効率を有する。0次透過及び1次透過の両方が振動するが、それらは位相が180°だけ異なる。この結果は、nγ=2の屈折率、p=1.07λの周期、γ=0.22のフィルファクタ、及びh=0.59λの回折格子の高さについて提供される。この構成において、0次透過の透過効率はθt,0=0°でTn=0=0.9%である。加えて、1次透過はθt,1=(θt,-1)=40°でTn=1=(Tn=-1)=48.8%である。
【0043】
更に、図19は、図15における回折格子についての0次透過及び1次透過について、回折格子の高さに対する回折効率を示すグラフを提供する。線1910が回折格子の高さに対する0次透過である。線1912が回折格子の高さに対する1次透過である。1次透過がピークに達するとき、0次透過は0に近い回折効率を有する。0次透過及び1次透過の両方が振動するが、それらは位相が180°だけ異なる。この結果は、nγ=2.38(TiO2、600nm)の屈折率、p=0.9λの周期、γ=0.29のフィルファクタ、及びh=0.28λの回折格子の高さについて提供される。しかしながら、p=0.87λ〜0.93λの回折格子の周期、γ=0.24〜0.34のフィルファクタ、及びh=0.23λ〜0.33λの回折格子の高さが使用されてもよい。この構成において、0次透過の透過効率はθt,0=0°でTn=0=0.7%である。加えて、1次透過はθt,1=(θt,-1)=50°でTn=1=(Tn=-1)=49.5%である。
【0044】
図20は、太陽電池組立体2012の一つの実施形態を示す。組立体2012は、第1回折格子層2014、吸収層2022、及び第2回折格子層2020を含む。吸収層2022は第1回折格子層2014と第2回折格子層2020との間にサンドイッチされる。光2010、例えば太陽からの光が組立体2012上に受容される。一般的には、直射日光は屋根の上部または車の上部のような多くの表面に対して垂直に受容される。しかしながら、吸収層2022に対して垂直な光は、吸収層2022と同一面内を進む光ほどの高い効率では吸収されない。
【0045】
第1回折格子層2014は、交互に並ぶ第1部分及び第2部分から製造される。第1部分2016は第1無損失誘電体であってよく、第2部分2018は第2無損失誘電体であってよい。第1無損失誘電体は約2.25の誘電率εa,rを有することができる。第2無損失誘電体は約6.25の誘電率εb,rを有することができる。一つの実施形態において、第1部分2016は石英ガラスであり且つ第2部分2018はTiO2であってよい。更に、吸収層は約16+j0.1の誘電率εc,rを有することができる。上述されたように、第1無損失誘電体は回折格子層2014に亘って第2無損失誘電体と交互に並ぶ。交互に並んだ部分は、図1及び図2における回折格子のリッジ部及び溝と同じ手段で光を回折する。矢印2024によって示されるように、第1無損失誘電体の部分及び第2無損失誘電体の部分の各々は約0.16λの幅を有してもよい。この結果、矢印2026によって示されるように、回折格子の周期は0.32λである。更に、矢印2028及び2032によって示されるように、第1回折格子層2014の厚さ及び第2回折格子層2020の厚さはそれぞれ0.12λであってよい。更に、矢印2030によって示されるように、吸収層2022の厚さは3/32λであってよい。吸収層が誘導波長(guided wavelength)の半分((1/2×(λ/4)=(1/8)λ)を有するとき、吸収層は共鳴(resonance)を有する。この結果、(1/8)λよりも小さい厚さを有する薄い吸収層が好まれる。更に、無損失誘電体(例えばεb,r=6.25及び0.04λの厚さを有する第2無損失誘電体2018)を上側及び下側に加えることも共鳴を与えることができる。この結果は図25及び図26において見られる。
【0046】
図25は、(1/8)λよりも小さい厚さを有する吸収層と、二つの一様な誘電体層の間にサンドイッチされた吸収層とについて、規格化された波長に対する透過率のグラフを示す。線2510が、(1/8)λよりも小さい厚さを有する吸収層のみについて、規格化された波長に対する透過率を示す。線2512が、二つの一様な誘電体層(例えばεb,r=6.25及び0.04λの厚さ)の間にサンドイッチされた吸収層について、規格化された波長に対する透過率を示す。更に、図26は、(1/8)λよりも小さい厚さ(例えば(3/32)λ)を有する吸収層と、二つの誘電体層の間にサンドイッチされた吸収層とについて、規格化された波長に対する吸収率のグラフを示す。線2610が、(1/8)λよりも小さい厚さを有する吸収層のみについて、規格化された波長に対する吸収率を示す。線2612が、二つの誘電体層(例えばεb,r=6.25及び0.04λの厚さ)の間にサンドイッチされた吸収層について、規格化された波長に対する吸収率を示す。
【0047】
吸収層のみは0.75λにおいて共鳴を有し、0.75λは誘導波長の半分に相当する。誘電体層のサンドイッチされた態様はλにおいて共鳴を与える。両方の場合について、吸収率は共鳴時に約4%のピーク値を示す。
【0048】
図21は、図20における組立体について、入射光の規格化された波長に対する、s偏光及びp偏光の透過率を示すグラフである。線2110が、規格化された波長に対する、S偏光の光の透過率である。線2112が、規格化された波長に対する、P偏光の光の透過率である。同様に、図22は、図20における組立体について、規格化された波長に対する、s偏光及びp偏光の吸収率を示すグラフである。線2210が、規格化された波長に対する、S偏光の光の吸収率である。線2212が、規格化された波長に対する、P偏光の光の吸収率である。グラフから分かるように、吸収率の鋭いピークがS偏光及びP偏光の両方について存在する。S偏光はλ付近に約50%の吸収率のピークを有する。P偏光は0.8λ付近に約30%の吸収率のピークを有する。
【0049】
図23は、図20における組立体の側面図であって、二つの周期について、S偏光についての磁場を示す。磁場はλについて示される。各矢印の方向は磁場の局所的な方向を表し、一方、矢印の大きさは磁場の大きさを表す。共鳴によって、強い磁場が吸収層2022において観察される。
【0050】
図24は、入射光からみて吸収層の反対側に使用される回折格子組立体の一つの実施形態を提供する。ここで、前述された透過型回折格子のいずれかが、光を受容する側の吸収層上に設置され、且つ以下に記述される回折格子が吸収層のそれとは反対側に設置される。反射型回折格子2411が、石英/空気界面を有する石英ガラス透過型回折格子であってよい。ここで、空気は石英構造体2412を取り囲み且つ参照番号2414によって示される。石英構造体2412が固体状の石英ガラスの基材2416を含む。石英ガラスは透明度が非常に高く且つ非常に広い帯域の光を透過させる。更に、石英ガラスは、広範囲の温度条件に亘って使用されることができる非常に安定した材料を提供する。加えて、石英ガラスの回折格子は、多くの用途について必要とされる様々な回折格子特性を提供すべく容易にエッチングされる。石英ガラスは、約1の屈折率を有する空気と比較して、約1.45の屈折率を有する。符号nαが空気の屈折率を示すのに用いられ、符号nβが石英ガラスの屈折率を示すのに用いられる。
【0051】
突起部2418は基材2416から延在し且つ基材2416と一体である。また、基材2416と一体である突起部2418は石英ガラスから形成される。突起部2418は、各突起部2418の間に配置される溝2420を形成する。溝2420は空気2414で満たされ、このことによって、回折格子層2422に亘って空気/石英ガラス界面が提供される。回折格子層2422は、光源から反射型回折格子2411の方向に向けられた光を種々の回折モードに回折する。
【0052】
矢印2430によって示されるように、光が回折格子2411に提供される。光2430は回折格子の表面に対して概して垂直な角度から提供される。加えて、入射光2430は種々の偏光を含んでよい。例えば、入射光はs偏光成分及びp偏光成分を含む。入射光2430は、回折格子層2422と交わるとき、Rによって示される反射成分を形成するであろう。
【0053】
反射成分の特性及び透過成分の特性を生じさせる因子は、材料の屈折率(n)、回折格子の周期(p)、回折格子のフィルファクタ(r)、及び回折格子の高さ(h)である。回折格子の周期は一つの溝の始端部から次の溝の始端部までの距離である。透過型回折格子2411の周期は、参照番号2424によって示される。フィルファクタ(r)は、回折格子の周期に対する、リッジ部の幅の比率または溝の幅の比率として定義され、参照番号2426によって示される。回折格子の高さ(h)は、突起部2418の上端から溝2420の下端までの距離であり、参照番号2428によって示される。一つの実施形態において、長方形状の(すなわち長方形状の溝及び長方形状の突起部を有する)回折格子を生じさせるために、溝2420と突起部2418とは直角に形成される。しかしながら、容易に理解されるように、溝2420と突起部2418とは正確な直角を形成しなくてもよく、種々の外形が突起部2418の縁に沿って使用されてよい。この結果、フィルファクタ(r)または回折格子の高さ(h)についての定義は、突起部2418及び溝2420の形状に応じて僅かに修正される。このとき、突起部2418の重心及び溝を基準にしてこれら値を測定できる。
【0054】
加えて、サンドイッチ構造2450の上端の上に石英ガラスの基材2416を形成することができる。サンドイッチ構造2450は、二酸化チタンの第1層2452、石英ガラスの層2454、及び二酸化チタンの第2層2456を含む。第1層2452は基材2416と石英ガラスの層2454との間に配置される。石英ガラスの層2454は第1層2452と第2層2456との間に配置される。基材2416及びサンドイッチ構造2450は、回折格子の下方に配置される分布ブラッグ反射器(distributed Bragg reflector)を形成する。
【0055】
図27及び図28は、回折格子の別の実施形態を示す。この実施形態は、太陽電池に使用されることができるが、カップリング用に使用されてもよい。この実施形態において、組立体2710は基板2712及び回折格子2714を含む。回折格子は、前述された回折格子のいずれかに対応し、例えば図15の回折格子である。この例において、回折格子の幅は、光が反射して基板の上面に戻る距離よりも小さくなるように選択される。このことは、回折格子による回折によって生じる、基板を通して進む光の方向を表す矢印2716を参照すると、より理解されるであろう。光は最初に50°の1次透過角度の方向に向けられる。角度が約43.6°よりも大きければ、光エネルギーは基板内において内部反射して基板内において水平方向に伝播するであろう。それ故に、矢印2716は、光が水平に伝播するときに基板の上面と下面との間で跳ね返る光を示す。
【0056】
更に、カップリング用途について、回折格子の幅が重要であることに留意することが有益である。例えば、回折格子によって回折された光が基板内において内部反射して回折格子に戻る場合、光の未吸収部分は回折格子によって基板から抜け出すことができる。この結果、回折格子の幅は、内部反射された光が基板の上面から底面に進み再び上面に戻るのに必要な距離の二倍よりも小さくなるように選択される。更に具体的には、回折格子の幅wgは、基板の厚さtsに第1次透過角度θt,1の正接(tan)を掛けた値の二倍よりも小さい(wg<2ts(tan(θt,1)))。
【0057】
一つの具体例が図28に示される。線2812によって示されるように、組立体2810に提供されるビームの幅は5λである。回折格子の幅は9.9λ(0.9λ11周期分)であるように選択される。ここで、線2818によって示されるようにビームの進行距離は5λであり、線2816によって示されるように基板の高さは5λである。回折格子が、内部反射された光が上面に到達する幅を超えて延在するのであれば、回折格子は多くの光を基板から抜け出させ、このことによって、吸収効率が著しく減少せしめられるであろう。
【0058】
当業者が容易に理解するように、上記の記述は本出願の原理の例示を意味する。本記述は発明の範囲または用途を制限することを意図しておらず、本記述における本発明は、以下の特許請求の範囲において定義されるような本発明の思想を逸脱することなく、修正、変更、及び変化が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材及び回折格子から成る回折格子構造体であって、
前記回折格子が、交互に並んだリッジ部と溝とを含み、該リッジ部と溝とが、長方形状であり、且つ、0次透過が0%近くに抑制されるように選択されるフィルファクタ及び回折格子の高さを画成する、回折格子構造体。
【請求項2】
前記回折格子の屈折率が前記基材の屈折率よりも高い、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項3】
前記回折格子構造体の1次透過の角度が30°〜60°である、請求項2に記載の回折格子構造体。
【請求項4】
前記1次透過の角度が約50°であり、前記回折格子が二酸化チタンであり且つ前記基材が石英ガラスである、請求項3に記載の回折格子構造体。
【請求項5】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=0.87λ〜0.93λの回折格子の周期、r=0.24〜0.34のフィルファクタ、及びh=0.23λ〜0.33λの回折格子の高さを画成する、請求項4に記載の回折格子構造体。
【請求項6】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=0.9λの回折格子の周期、r=0.29のフィルファクタ、及びh=0.28λの回折格子の高さを画成する、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項7】
青色を強めるためにλが約450nmである、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項8】
緑色を強めるためにλが約550nmである、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項9】
赤色を強めるためにλが約700nmである、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項10】
カップリング用途のためにλが約1550nmである、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項11】
前記基材が石英ガラスであり、前記交互に並んだリッジ部と溝とが前記基材から延在し且つ石英ガラス/空気界面を形成する、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項12】
0次モードの振幅寄与及び1次モードの振幅寄与がおおよそ同じ大きさであり且つそれらの位相が180°異なる、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項13】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=1.81λ〜1.87λの回折格子の周期、r=0.29〜0.39のフィルファクタ、及びh=1.25λ〜1.35λの回折格子の高さを画成する、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項14】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=1.84λの回折格子の周期、r=0.34のフィルファクタ、及びh=1.3λの回折格子の高さを画成する、請求項13に記載の回折格子構造体。
【請求項15】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=1.81λ〜1.87λの回折格子の周期、r=0.20〜0.30のフィルファクタ、及びh=1.30λ〜1.40λの回折格子の高さを有する、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項16】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=1.84λの回折格子の周期、r=0.25のフィルファクタ、及びh=1.35λの回折格子の高さを画成する、請求項15に記載の回折格子構造体。
【請求項17】
前記リッジ部と溝とに結合される基板を更に具備し、前記回折格子の幅が、前記回折格子構造体の1次透過角度で進む光が前記基板の上面から該基板の下面まで進み且つ該基板の上面へ反射して戻るのに必要とされる水平距離の二倍よりも小さい、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項18】
前記回折格子の幅が、前記基板の厚さに前記1次透過角度の正接を掛けた値の二倍よりも小さい、請求項17に記載の回折格子構造体。
【請求項19】
光を吸収して電気エネルギーに変換するための吸収層と、
該吸収層の第1側部上に配設される第1回折格子層と、
前記吸収層の第2側部上に配設される第2回折格子層と
を含む太陽電池組立体であって、
前記第2側部が前記第1側部とは反対側にある、太陽電池組立体。
【請求項20】
前記第1回折格子層、前記第2回折格子層、及び前記吸収層がサンドイッチ構造を形成し、該吸収層が前記第1回折格子層と前記第2回折格子層との間に配置される、請求項19に記載の太陽電池組立体。
【請求項21】
前記第1回折格子層及び第2回折格子層が無損失誘電体を含む、請求項19に記載の太陽電池組立体。
【請求項22】
前記第1回折格子層が、交互に並んだ第1無損失誘電体の部分と第2無損失誘電体の部分とによって形成される、請求項19に記載の太陽電池組立体。
【請求項23】
前記第1無損失誘電体が前記第2無損失誘電体とは異なる誘電率を有する、請求項22に記載の太陽電池組立体。
【請求項24】
前記第1無損失誘電体が約2.25の誘電率を有し、前記第2無損失誘電体が約6.25の誘電率を有する、請求項23に記載の太陽電池組立体。
【請求項25】
長方形状の溝と長方形状のリッジ部とを備えた回折格子を提供することと、
該回折格子に対してほぼ垂直な光ビームを提供することと、
該光ビームの0次透過が0%近くに抑制されるように無偏光の光ビームを分けることと
を含む、光ビームを分ける方法。
【請求項26】
1次透過の角度が少なくとも40°である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
1次透過の角度が約50°である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記0次モードの振幅寄与及び1次モードの振幅寄与がおおよそ同じ大きさであり且つそれらの位相が180°異なる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
光の波長を設定することと、
1次透過角度に基づいて、回折格子構造体の回折格子の周期を決定することと、
0次透過への、各モードについての振幅寄与を決定することと、
別モードの振幅寄与におおよそ等しい前記0次モードの振幅寄与に基づいてフィルファクタを特定することと、
前記0次透過の回折効率に基づいて前記回折格子の高さを決定することと、
前記回折格子の、周期、フィルファクタ、及び高さに基づいて前記回折格子をエッチングすることと
を含む回折格子構造体を生産する方法。
【請求項30】
s偏光についての有効屈折率とp偏光についての有効屈折率との差を解析することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
s偏光及びp偏光についての回折効率を解析することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項1】
基材及び回折格子から成る回折格子構造体であって、
前記回折格子が、交互に並んだリッジ部と溝とを含み、該リッジ部と溝とが、長方形状であり、且つ、0次透過が0%近くに抑制されるように選択されるフィルファクタ及び回折格子の高さを画成する、回折格子構造体。
【請求項2】
前記回折格子の屈折率が前記基材の屈折率よりも高い、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項3】
前記回折格子構造体の1次透過の角度が30°〜60°である、請求項2に記載の回折格子構造体。
【請求項4】
前記1次透過の角度が約50°であり、前記回折格子が二酸化チタンであり且つ前記基材が石英ガラスである、請求項3に記載の回折格子構造体。
【請求項5】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=0.87λ〜0.93λの回折格子の周期、r=0.24〜0.34のフィルファクタ、及びh=0.23λ〜0.33λの回折格子の高さを画成する、請求項4に記載の回折格子構造体。
【請求項6】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=0.9λの回折格子の周期、r=0.29のフィルファクタ、及びh=0.28λの回折格子の高さを画成する、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項7】
青色を強めるためにλが約450nmである、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項8】
緑色を強めるためにλが約550nmである、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項9】
赤色を強めるためにλが約700nmである、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項10】
カップリング用途のためにλが約1550nmである、請求項5に記載の回折格子構造体。
【請求項11】
前記基材が石英ガラスであり、前記交互に並んだリッジ部と溝とが前記基材から延在し且つ石英ガラス/空気界面を形成する、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項12】
0次モードの振幅寄与及び1次モードの振幅寄与がおおよそ同じ大きさであり且つそれらの位相が180°異なる、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項13】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=1.81λ〜1.87λの回折格子の周期、r=0.29〜0.39のフィルファクタ、及びh=1.25λ〜1.35λの回折格子の高さを画成する、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項14】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=1.84λの回折格子の周期、r=0.34のフィルファクタ、及びh=1.3λの回折格子の高さを画成する、請求項13に記載の回折格子構造体。
【請求項15】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=1.81λ〜1.87λの回折格子の周期、r=0.20〜0.30のフィルファクタ、及びh=1.30λ〜1.40λの回折格子の高さを有する、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項16】
前記交互に並んだリッジ部と溝とが、p=1.84λの回折格子の周期、r=0.25のフィルファクタ、及びh=1.35λの回折格子の高さを画成する、請求項15に記載の回折格子構造体。
【請求項17】
前記リッジ部と溝とに結合される基板を更に具備し、前記回折格子の幅が、前記回折格子構造体の1次透過角度で進む光が前記基板の上面から該基板の下面まで進み且つ該基板の上面へ反射して戻るのに必要とされる水平距離の二倍よりも小さい、請求項1に記載の回折格子構造体。
【請求項18】
前記回折格子の幅が、前記基板の厚さに前記1次透過角度の正接を掛けた値の二倍よりも小さい、請求項17に記載の回折格子構造体。
【請求項19】
光を吸収して電気エネルギーに変換するための吸収層と、
該吸収層の第1側部上に配設される第1回折格子層と、
前記吸収層の第2側部上に配設される第2回折格子層と
を含む太陽電池組立体であって、
前記第2側部が前記第1側部とは反対側にある、太陽電池組立体。
【請求項20】
前記第1回折格子層、前記第2回折格子層、及び前記吸収層がサンドイッチ構造を形成し、該吸収層が前記第1回折格子層と前記第2回折格子層との間に配置される、請求項19に記載の太陽電池組立体。
【請求項21】
前記第1回折格子層及び第2回折格子層が無損失誘電体を含む、請求項19に記載の太陽電池組立体。
【請求項22】
前記第1回折格子層が、交互に並んだ第1無損失誘電体の部分と第2無損失誘電体の部分とによって形成される、請求項19に記載の太陽電池組立体。
【請求項23】
前記第1無損失誘電体が前記第2無損失誘電体とは異なる誘電率を有する、請求項22に記載の太陽電池組立体。
【請求項24】
前記第1無損失誘電体が約2.25の誘電率を有し、前記第2無損失誘電体が約6.25の誘電率を有する、請求項23に記載の太陽電池組立体。
【請求項25】
長方形状の溝と長方形状のリッジ部とを備えた回折格子を提供することと、
該回折格子に対してほぼ垂直な光ビームを提供することと、
該光ビームの0次透過が0%近くに抑制されるように無偏光の光ビームを分けることと
を含む、光ビームを分ける方法。
【請求項26】
1次透過の角度が少なくとも40°である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
1次透過の角度が約50°である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記0次モードの振幅寄与及び1次モードの振幅寄与がおおよそ同じ大きさであり且つそれらの位相が180°異なる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
光の波長を設定することと、
1次透過角度に基づいて、回折格子構造体の回折格子の周期を決定することと、
0次透過への、各モードについての振幅寄与を決定することと、
別モードの振幅寄与におおよそ等しい前記0次モードの振幅寄与に基づいてフィルファクタを特定することと、
前記0次透過の回折効率に基づいて前記回折格子の高さを決定することと、
前記回折格子の、周期、フィルファクタ、及び高さに基づいて前記回折格子をエッチングすることと
を含む回折格子構造体を生産する方法。
【請求項30】
s偏光についての有効屈折率とp偏光についての有効屈折率との差を解析することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
s偏光及びp偏光についての回折効率を解析することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2011−128619(P2011−128619A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−279843(P2010−279843)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(507342261)トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド (135)
【出願人】(508298123)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (2)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279843(P2010−279843)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(507342261)トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド (135)
【出願人】(508298123)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (2)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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