説明

分子イメージングのためのターゲティング剤

この発明は、分子イメージング、並びにターゲティング診断及び治療のためのターゲティング造影剤の合成方法、さらにターゲティング造影剤及びターゲティング治療剤、並びにそれらの使用を開示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲティング造影剤(targeting contrast agents)及びターゲティング治療剤(targeting therapeutic agents)、それらの製造方法並びにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
医学診断法で相当な重要性を有する周知のイメージング技術は、ポジトロン断層法(PET)、コンピューター断層撮影(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、単一光子放射断層撮影(SPECT)及び超音波(US)である。今日のイメージング技術は良好に発展しているが、それらのほとんどは、非特異性、巨視的、物理的、生理的、又は通常の組織から病理学的に分化する、代謝変化に依存する。
【0003】
ターゲティング分子イメージング(MI)は、医学診断法における新次元に到達する可能性を有する。“ターゲティング”という用語は、インビトロ(in vitro)又はインビボ(in vivo)で、関心がある分子(分子目標)に対して、天然若しくは合成リガンド(バインダー)の選択的であり、かつ、高度に特異的な結合に関連する。
【0004】
MIは、完全に生きている有機体内において、細胞レベル及び準細胞レベルで生物学的プロセスの視覚的表示、特徴描写及び定量化として定義される、急速に勃興してきた生医学的な研究分野である。MIは新しい多くの専門にわたる分野である。そこにおいて得られる画像は、疾患の原因になる分子の事象を識別することよりも、むしろ、生理的に確実な環境範囲内に存在する疾患の細胞経路及び分子経路並びにインビボ(in vivo)でのメカニズムを反映する。
【0005】
今日、幾つかの異なる造影増強剤は公知であり、それらの非特異的で、又は非ターゲティング(non-targeting)形態は、すでに臨床において日常的である。幾つかの例が、下記に列記の文献に報告される。
【0006】
W.クラウゼ(W. Krause)による“造影剤I(Contrast Agent I)”によると、例えば、Gd−コンプレックスはMRIにおける造影剤として使用できる(Springer Verlag 2002,1頁以降)。さらに、超常磁性粒子は造影増強ユニットの他の実施例であり、それがまた、MRIのための造影剤として使われることができる(Textbook of Contrast Media, Superparamagnetic Oxides, dawson, Cosgrove and Grainger Isis Medical Media Ltd, 1999, 373頁以降)。W.クラウゼ(W. Krause)による“造影剤II(Contrast Agent II)”(Springer Verlag 2002,73頁以降)に記載があるように、ガスで充填されたマイクロバブルが超音波のための造影剤として同様に使用できる。さらに、W.クラウゼ(W. Krause)による“造影剤II(Contrast Agent II)”(Springer Verlag 2002,151頁以降)は、X線イメージングのための造影剤としてヨード化リポソーム又は脂肪酸の使用が報告されている。
【0007】
機能的イメージング(functional imaging)に用いることができる造影増強剤は、主に、PET及びSPECTにおいて発展された。
【0008】
それらの造影剤の一例は、デソキシグルコース(desoxyglucose)などの18F標識分子である(Beuthien-Baumann B, et al., (2000), Carbohydr. Res., 327, 107)。PETのための造影剤としてそれら標識分子の活用は、W.クラウゼ(W. Krause)による“造影剤II(Contrast Agent II)”(Springer Verlag 2002,201頁以降)に記載されている。しかしながら、それらは、いかなる従来の特定の細胞相互作用がなく、腫瘍組織に溜まるだけである。さらに、抗体やペプチドのような99Tc標識分子は、SPECTにおけるターゲティング造影剤として利用できる(Verbruggen A.M., Nosco D.L., Van Nerom C.G. et al., 99mTc-L,L-ethylenedicysteine: a renal imaging agent, Nucl. Med. 1992,33,551-557)が、そのような複合分子の標識は非常に困難で経費がかかる。
【0009】
これは、例えば、L−DOPA(ドーパミンレセプター、パーキンソン(Parkinson))(Luxen A., Guillaume M, Melega WP, Pike VW, Solin O, Wagner R, (1992) Int.J.Rad.Appl.Instrum.B 19, 149):セロトニンの類似体(セロトニンレセプター)(Dyck CH, et al., 2000, J.Nucl.med., 41, 234):ソマトスタチンの類似体(ソマトスタチン、腫瘍学)(Maecke, H.R. et al., Eur.J.Nucl.Med.Mol.Imaging, 2004,Mar.17):インテグリンレセプターのためのペプチド(血管形成)(Wicklinde, S.A. et al., Cancer Res., 2003 Sep.15, 63(18), 5838-43; Wicklinde, S.A. et al., Circulation 2003 Nov.4, 108, (18), 2270-4)などのPET/SPECTでの使用において、すでに存在しているいくつかの他のリガンドについても同様である。
【0010】
WO 01/09193 A1及びUS 6437095 B1は、キメラなポリペプチド(chimeric polypeptide)、ペプチドとジスルフィド結合形成の導かれた会合(directed association)による製造方法、マルチメリックな(multimeric)薬剤のためのそれの使用(治療)を請求している。S.A.Richter et al., Protein Engineering, 2001, vol.14, no.10, pp775-783に記載のように静電的相互作用は、2つの合成ペプチドの導かれた会合と、次のジスルフィド結合形成を促進する。
【0011】
しかしながら、疾患の原因になる特定分子の事象の識別は、医学における重要性を増やすことである。したがって、インビボ(in vivo)又はインビトロ(in vitro)で、特に、特定の組織で造影増強物質を濃縮し、分子病理学に対する洞察を可能にする、分子認識メカニズムを備えるターゲティング剤は、診断及び将来の治療にとって、同様に重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、本発明の目的は、鑑別診断と同様に高感度で特異性が高く、早期診断を可能にする、改善された新世代の造影剤を提供し、さらに、費用が少なく、かつ、時間が掛からないで、上記の改善された造影剤を製造する方法を供給することである。またここで、製造工程を提供し、かつ、これにより製造されるターゲティング剤を提供することは有利であり、それは、解決されなければならない、実際に発生している問題に対して、低コスト及び低労働力を伴い短時間で、容易に適合できる。イメージング診断法に対するそれらの可能性とは別に、ターゲティング造影剤は、また、新規な治療法の発達において、重要な役割を果たすであろう。このようなターゲティング造影剤は、現在まだ利用できない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の目的は、請求項及び実施例で後述するように、本発明により有利に解決される。好適な変形が図面に記載されて、本発明の説明のために使われるが、本発明はこれに制限されない。
【0014】
本発明は、ターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の製造のための方法の一つの有利な変形に関係し、その方法は下記のステップ:
a)コアの提供;
b)コアに対するシェルの添加;
c)少なくとも一つのシステインを有する少なくとも第一ポリペプチドを取り付けることによるシェルの修飾;
d)少なくとも一つのシステインを有する第二の相補的ポリペプチドを保持するリガンドの提供;及び
e)システイン間の少なくとも一つのジスルフィド結合形成から生じる、上記第一ポリペプチドと上記第二の相補的ポリペプチドとの間の静電会合(electrostatic association)によって形成される、結合ユニットを介して、上記シェルに対する少なくとも一つのリガンドの結合
を有する。
【0015】
上記方法のさらなる実施態様において、ステップb)で、一つより多いシェルがコアに対して付加される。又は、換言すると、アウターシェルは、一つから幾つかのインナーシェルによって、コアから分離できる。本発明の好ましい実施態様において、コアは、1から100までのインナーシェル(一つ又は複数)によって、より好ましくは、1から50までのインナーシェル(一つ又は複数)によって、アウターシェルから分離できる。このようにして、シェル(一つ又は複数)は単層又は多層を含むことができる。それらのシェル(本発明の好ましい実施態様で適切な物質の単層又は多層を含むことができる)の各シェルは、約0.5nm乃至100nmの厚さを有する。本発明の好ましい実施態様において、各シェルは約0.5nm乃至500nmの厚さを有する。さらに、各シェル、又はさらに幾つかのシェルは、同一物質又は異なる物質を含むことができる。
【0016】
本発明のさらなる変形において、シェル(一つ又は複数)は少なくとも部分的にコアを覆うことができる。好ましくは、これは、例えば、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール/PEG、ポリビニルアルコール/PVA、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリウレア)、末端の官能基を有する有機ポリマー(例えば、1.2−ジステアロイル(Distearoyl)−sn−グリセロ(Glycero)−3−フォスフォエタノールアミン(Phosphoethanolamine)−N−[カルボキシ(Carboxy)(ポリエチレングリコール(polyethylene glycol))2000]アンモニウム塩(ammonium salt))、バイオポリマー(例えば、デキストラン、キシレン、グリコーゲン、ペクチン、セルロースなどの多糖類又はコラーゲン、グロブリンなどのポリペプチド)、システイン又はシステイン含有が高いペプチドあるいはリン脂質がシェル(一つ又は複数)として用いられる場合である。本発明において、コアに対してシェルを添加することは、コアを完全に囲むことを意味し、単に幾つかの異なった領域を覆い、好ましくは、これらの状況間の全ての範囲を覆う。
【0017】
特別な適用において、コアに対して一つ以上のシェルを添加しないことが適切である。このように、本発明はまた、ターゲティング造影剤の製造のための変形方法に関し、その方法は下記のステップ:
a)コアの提供;
b)少なくとも一つのシステインを有する少なくとも第一ポリペプチドを取り付けることによるコアの修飾;
c)少なくとも一つのシステインを有する第二の相補的ポリペプチドを保持するリガンドの提供;及び
d)システイン間のジスルフィド結合形成から生じる、上記第一ポリペプチドと上記第二の相補的ポリペプチドとの間の静電会合によって形成される、結合ユニットを介して、上記コアに対する少なくとも一つのリガンドの結合
を有する。
【0018】
ターゲティング造影剤又はターゲティング治療薬の製造のための本方法の有利な変形は、従属項により記載される。
【0019】
詳細には、本発明は下記で述べる、幾つかの特定の有利な変形を有する。
【0020】
コアは、本ターゲティング造影剤の造影増強部分及び/又は治療部分として、適切な物質を意味する。結合ユニットとして使用するポリペプチドの特定構造のために、上記コアはリガンドに対して共有、かつイオン結合される。
【0021】
本発明において、用語としてのリガンドは、バインダの同義語、又は好ましくは生物学上活性なリガンドの同義語として使用できる。
【0022】
用語としての結合ユニットは、製造工程における少なくとも2つのポリペプチドの会合(association)を意味する。
【0023】
有利に、第一ポリペプチドは、1乃至3のシステインと、アルギニン、リジン及びオルニチンからなる群から選択される4乃至12の塩基性アミノ酸、又はグルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選択される4乃至12の酸性アミノ酸とを有し、第二の相補的ポリペプチドは、1乃至3のシステインと、グルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選択される4乃至12の酸性アミノ酸、又はアルギニン、リジン及びオルニチンからなる群から選択される4乃至12の塩基性アミノ酸とを有し、ここで第一ポリペプチドと第二ポリペプチドにおいて選択される塩基性アミノ酸の群は異なる。
【0024】
結果として、相補的配列は、塩基性アミノ酸若しくは酸性アミノ酸、又はそれらの静電荷に関して互いに反して相互作用する他のアミノ酸を意味する。
【0025】
シェル(一つ又は複数)は、ターゲティング造影剤の良好な分散ができる物質を意味し、その毒性を減じることができるか、又は、副作用を予防することができ、それに依存して、物質がシェルとして用いられる物質を意味する。ナノ粒子がコアとして使用される場合、適切なシェル(例えば、ZnSのシェル)の使用は、ナノ粒子の表面欠陥の数を減少できる。これらの欠陥は、ナノ粒子によって生じるコントラストを多大に減じる。したがって、欠陥の数を減じることは、より良好なターゲティング造影増強剤を導く。
【0026】
上述したポリペプチド間のイオン、かつ共有結合は、水性媒体の穏やかな反応条件下で生成でき、よって、好ましくは、リガンドはその完全な生物学的活性を保持する。これは、2つの相補的ポリペプチド間の静電的相互作用が、特に穏やかな条件下でジスルフィド結合の形成をするために可能であり、かつ、結合ユニット及び造影増強コア(又は、結局のところ、コア/シェル(一つ又は複数)のアセンブリ)の両者が水溶性であるために可能である。
【0027】
穏やかな条件は、好ましくは、リガンドが、その活性及び特性をそれぞれ保持する、例えば、水溶液又は血液若しくは血漿などの溶液での条件、室温での生理pH値など、従来の条件を意味する。
【0028】
結合は、コア及び/又はシェル(一つ又は複数)あるいはリガンドに対して、それぞれ付加される、上述のポリペプチドのシステインで、部位特異的に成される。上述のポリペプチドをリガンド(又はコア/シェル(一つ又は複数))に対して固定することが、直接的に制御されて、かつ高度に選択的な手法において可能であるので、リガンドの特異的な結合のための触媒の中心若しくは調節の中心又は認識部位は、その自然な活性を保持するか、又はリガンドの非活性化を回避する。
【0029】
用語としての取り付けることによるコア/シェル(一つ又は複数)の修飾は、リガンドに対する上述のポリペプチドの固定と同じ手法であることが理解される。
【0030】
シェル(一つ又は複数)はさらなる構成要素を有することができ、例えば、その構成要素は、生体適合性を増大するか又は毒性を減少させる、例えば、細胞膜(例えば、HIV−tatペプチドなど)による完全なターゲティング剤の通過を可能にするタンパク質である。
【0031】
本発明に開示の方法は、いかなるリガンド及びいかなる造影増強物質又は治療物質にも潜在的に適用でき、いかなる種類のターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の調製において非常に用途が広く、容易に適合できるシステムを提供する。
【0032】
本発明はさらに、ターゲティング造影剤及びターゲティング治療剤ならびにそれらの使用に関する。
【0033】
本ターゲティング造影剤は、下記に記載の特徴を有するが、本発明はこれに限定されない。:
造影増強物質に依存して、ターゲティング造影剤は、MRI、US、SPECT、CT、PET、オプティカルイメージング(optical imaging)又はPET/CT等のマルチモダリット(multimodalit)アプローチなどの異なるイメージング手法に適用できる。
【0034】
ターゲティング造影剤は、造影増強コア(例えば、磁気ナノ粒子)、安定性及び/又は生体適合性を改善して、及び/又はインビボ(in vivo)で毒性を減らすために一つ以上のシェルによって覆うことができる治療的コア(例えば、PEGシェル)を有する。
【0035】
ナノ粒子がコアとして使用される場合、それら粒子のサイズは約1nm乃至200nmにおいて可変であってよい。本発明の好ましい実施態様において、粒子のサイズは1nm乃至100nmにおいて可変であってよい。
【0036】
ポリマーがシェル(一つ又は複数)として使用される場合、それらポリマーの分子量は、200g/mol乃至200000g/molにおいて可変であってよい。本発明の好ましい実施態様において、それらポリマーの分子量は、200g/mol乃至100000g/molにおいて可変であってよい。
【0037】
ターゲティング造影剤はターゲティング・リガンドを有する。
【0038】
本ターゲティング造影剤の最も好ましい変形は、コアと、少なくとも一つの結合ユニットと、及び少なくとも一つのリガンドとを有する。
【0039】
さらに、本発明は、コアと、少なくとも一つのシェルと、少なくとも一つの結合ユニットと、及び少なくとも一つのリガンドとを有するターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の有利な仕様に関する。
【0040】
本発明の目的は、記載の方法又は請求された方法のいずれか一つによって生成される、さらなるターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤である。
【0041】
本ターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤は、診断又は治療、好ましくはターゲティング分子イメージングでの使用において適している。
【0042】
また、CT、MRI、PET、SPECT又はUSで使用するためのターゲティング造影剤も本発明に含まれる。
【0043】
さらに、診断又は治療で適切な化合物の製造のための本ターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の使用は、ターゲティング分子イメージングで適切な化合物の製造のための本ターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の使用と同様に本発明の目的である。加えて、本発明は、CT、MRI、PET、SPECT又はUSで適切な化合物の生成のための本ターゲティング造影剤の使用に関する。
【0044】
本ターゲティング造影剤の最も好ましい変形は、図1に概要して記載される。
【0045】
図の詳細な記載:
図1:
コア(1):例えば、(これに限らないが)下記の造影増強物質;又は治療物質である:
MRI:例えば、(これらに限らないが)強磁性、反強磁性、フェリ磁性若しくは超常磁性物質(鉄(Fe)、酸化鉄、γ−Fe若しくはFe)又はスピネル型構造を有するフェライトMFe(M=Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Cd)、又はグラナ(granat)構造を有するフェライトMFe12(M=Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)又はマグネットプランビット(magnetoplumbit)構造を有するフェライトMFe1219(M=Ca、Sr、Ba、Zn)又は、例えば、BaFe1222などの他の六角形フェライト構造(M=Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Mg);すべての場合において、コアは、追加的な0.01乃至5.00mol%のMn、Co、Ni、Cu、Zn又はFでドープできる。
【0046】
常磁性イオン(例えば、ランタニド、マンガン、鉄、銅)に基づく造影増強ユニット、例えば、Gd(DTPA)、Gd(BMA−DTPA)、Gd(DOTA)、Gd(DO3A)などのガドリニウム・キレート;オリゴマー構造;アルブミンGd(DTPA)20−35、デキストランGd(DTPA)、Gd(DTPA)−24−カスケードポリマー、ポリリジン−Gd(DTPA)、MPEGポリリジン−Gd(DTPA)などのマクロ分子構造;ランタニドのデンドリマー構造(dendrimeric structure)に基づく造影増強ユニット;Mn(DPDP)、Mn(EDTA−MEA)、ポリMn(EED−EEA)及びポリマー構造などのマンガンに基づく造影増強ユニット;常磁性イオンのキャリアとしてのリポソーム(例えば、リポソーマルGd(DTPA));非陽子イメージング剤;
オプティカル(optical):例えば、(これらに限らないが)発光物質(例えば、ナノフォスファー(nanophosphore)(例えば、希土類でドープされたYPO若しくはLaPO)又は半導性ナノクリスタル(いわゆる、量子ドット(quantum dots);例えば、CdS、CdSe、ZnS/CdSe、ZnS/CdS));カルボシアニン染料;テトラピロールに基づく(tetrapyrrole-based)染料(ポルフィリン、コロリン(chlorins)、フタロシアニン及び関連した構造);デルタアミノレブリン酸;蛍光ランタニド・キレート;フルオレセイン又は5−アミノフルオレセイン又はフルオレセイン−イソチオシアネート(fluorescein-isothiocyanate)(FITC)又はオレゴングリーン(Oregon Green)、ナフトフルオレセインなどの他のフルオレセイン関連の発蛍光団(fluorophors);
US:例えば(これらに限らないが)、シェル(例えば、タンパク質、脂質、界面活性剤又はポリマー)カプセル化されたガス(例えば、空気、過フッ化プロパン、ドデカフルオロカーボン、六フッ化硫黄、ペルフルオロカーボン)バブル(オプチソン(Optison)アマシャム(Amersham)レボビスト(Levovist)シェリング(Schering)など);シェル(例えば、タンパク質、脂質、界面活性剤又はポリマー)カプセル化された液滴;ナノ粒子(例えば、プラチナ、金、タンタル);
X線:例えば(これらに限らないが)、ヨード化造影増強ユニット(例えば、2,4,6−トリ−ヨードベンゼンのイオン又は非イオンの誘導物など);硫酸バリウムに基づいた造影増強ユニット;金属イオンキレート(例えば、ガドリニウムに基づいた化合物);ヨウ素を高比率で有するホウ素クラスタ;ヨード化多糖類、ポリマートリヨードベンゼン(polymeric triiodobenzenes)などのポリマー;低水溶性のヨード化化合物からの粒子;ヨード化化合物を含有するリポソーム;トリグリセリド、脂肪酸などのヨード化脂質;
PET:例えば(これらに限らないが)、11C、13N、15O、66/8Ga、60Cu、52Fe、55Co、61/2/4Cu、62/3Zn、70/1/4As、75/6Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、120/4I、122Xe及び18Fに基づくトレーサー(例えば、18F−FDG(糖代謝));11C−メチオニン、11C−チロシン、18F−FMT、18F−FMT又は18F−FET(アミノ酸);18F−FMISO、64Cu−ATSM(低酸素);18F−FLT、11C−チミジン、18F−FMAU(増殖);
SPECT:例えば(これらに限らないが)、放射性ヌクレオチド(例えば、99mTc、123/5/131I、67Cu、67Ga、111In、201TI)に基づいた造影増強ユニット;
治療物質:例えば(これらに限らないが)、毒素、放射性同位元素及び化学療法薬;UV−C照射ナノ粒子(例えば、YPO:Prなど);フォトダイナミック(photodynamic)治療(PDT)剤(例えば、拡張されたポルフィリン(expanded porphyrin)構造に基づく化合物など);放射線治療のためのヌクレオチド(例えば、157Sm、177Lu、212/3Bi、186/8Re、67Cu、90Y、131I、114mIn、At、Ra、Ho);
スマート造影増強ユニット(smart contrast-enhancing units):例えば(これらに限らないが)、ケミカル・エクスチェンジ・サチュレーション・トランスファー(chemical exchange saturation transfer)(CEST);感熱性MRI造影剤(例えば、リポソーマル);pHに感受性があるMRI造影剤;酸素圧力又は酵素応答性MRI造影剤;金属イオン濃度依存型MRI造影剤。
【0047】
複数の様相(multi-modality):上述したものの組み合わせ。
【0048】
シェル(一つ又は複数)(2):例えば(これらに限らないが)、カルボン酸、酸性ハロゲン化物、アミン、酸性無水物、活性化エステル類、マレイミド、イソチオシアネート、アミン、金、SiO、ポリリン酸塩(たとえば、ポリリン酸カルシウム)、アミノ酸(例えば、システイン)、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール/PEG、ポリビニルアルコール/PVA、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリ尿素)、官能末端基を伴う有機ポリマー(例えば、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−フォスフォエタノールアミン−N−[カルボキシ(ポリエチレングリコール)2000]アンモニウム塩)、バイオポリマー(例えば、デキストラン、キシレン、グリコーゲン、ペクチン、セルロースなどの多糖類、又は、コラーゲン、グロブリンなどのポリペプチド)、システイン又はシステイン含有が高いペプチドあるいはリン脂質を有する。
【0049】
シェル(一つ又は複数)(3):例えば(これらに限らないが)、1乃至3のシステイン並びにアルギニン、リジン及びオルニチンからなる群から選択されるか、又はグルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選択される4乃至12の塩基性アミノ酸で構成されるポリペプチド鎖を有するか、あるいは、付加される。さらに加えて、例えば、細胞膜で完全な全体の通過を可能にするか、又は生体適合性を増やすか若しくは毒性を減少させる、タンパク質などの生体分子が組み込まれることができる(例えば、HIV−tatペプチドなど)。上記ポリペプチドが造影増強ユニットに付加される場合(例えば、造影増強物質で生成されたコア)、シェル(一つ又は複数)は必要ない。
【0050】
コアは、1乃至100のインナーシェル(一つ又は複数)(2)によって、アウターシェル(3)から分離できる。本発明の好ましい実施態様において、コアは、1乃至50のインナーシェル(一つ又は複数)によって、アウターシェルから分離できる。それら各シェル(本発明の好ましい実施態様で適切な物質の単層又は複数層から構成できる)は、約0.5nm乃至100nmの厚さを有する。本発明の好ましい実施態様において、各シェルは約0.5nm乃至500nmの厚さを有し、異なる物質又は同じ物質で生成できる。さらに、シェルは少なくとも部分的にコアを覆うことができる。
【0051】
結合ユニット(4)
例えば(これに限らないが)、1乃至3システインに基づくジスルフィド架橋を介して化学結合している第一及び第二ポリペプチド鎖を有するキメラなポリペプチドユニット。
【0052】
例えば(これに限らないが)、1乃至3システイン並びにアルギニン、リジン及びオルニチンからなる群から選択される4乃至12の塩基性アミノ酸で構成される第一ポリペプチド鎖。
【0053】
例えば(これに限らないが)、1乃至3システイン並びにグルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選択される4乃至12の酸性アミノ酸で構成される第二ポリペプチド鎖。
【0054】
例えば(これに限らないが)、一つのペプチド鎖が、そのペプチド鎖のC−又はN−末端で造影増強ユニット又はアウターシェルに対して結合され、もう一方のポリペプチド鎖はリガンドに結合される。
【0055】
例えば(これに限らないが)、キメラなポリペプチドユニットは、1乃至3システインに基づくジスルフィド架橋によって化学結合される。
【0056】
リガンド(5)
例えば(これに限らないが)、リガンドであり、その特定の認識メカニズムにより、異なった組織又は興味があるターゲット領域で造影剤の強化を誘発する(例えば、抗原抗体の相互作用によって)。
【0057】
例えば(これに限らないが)、このリガンドは、1乃至3のシステイン、並びにアルギニン、リジン及びオルニチンからなる群から選択される4乃至12の塩基性アミノ酸、又はグルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選択される4乃至12の酸性アミノ酸で構成されるポリペプチド鎖が付加される。
【0058】
リガンドは、限定されないが、下記であり、例えば、:
抗体(モノクローナル、ポリクローナル、マウス、マウス−ヒトのキメラ、ヒト、単鎖、二重特異性抗体(diabodies)など)、例えば、トラツヅマブ(Trastuzumab)(乳癌)、リツキマブ(Rituximab)(非ホジキンリンパ腫)、アレンツヅマブ(Alemtuzumab)(慢性リンパ性白血病);ゲンツヅマブ(Gemtuzumab)(急性骨髄遺伝子白血病);エドレコロマブ(Edrecolomab)(大腸癌);イブリツモマブ(Ibritumomab)(非ホジキンリンパ腫);セツキマブ(Cetuximab)(大腸癌);トシツモマブ(Tositumomab)(非ホジキンリンパ腫);エプラツヅマブ(Epratuzumab)(非ホジキンリンパ腫);べバシズマブ(Bevacizumab)(肺及び大腸癌);抗CD33(急性骨髄遺伝子白血病);ペンツモマブ(Pemtumomab)(卵巣及び胃癌);ミツモマブ(Mittumomab)(肺及び皮膚癌);抗MUC1(腺癌);抗CEA(腺癌);抗CD64(プラーク)など。
【0059】
ペプチド、ポリペプチド、ペプチドミメティック(peptidomimetics)、例えば、ソマトスタチンの類似体、血管作用性ペプチドの類似体、ニューロペプチドY、RGDペプチドなど。
【0060】
タンパク質、例えば、アネキシンブイ(Annexin V)、組織プラスミノゲン活性因子タンパク質、輸送体タンパク質など。
【0061】
マクロ分子、例えば、ヒャルロナン(Hyaluronan)、アプシタイド(Apcitide)、デルマタン硫酸(Dermatan sulfate)。
【0062】
核酸、例えば、アパタマルス(Apatamers)、アンチセンスDNA/RNA/PNA,スモールインターフェリング(smallinterfering)RNAなど。
【0063】
脂質、例えば、リン脂質など。
【0064】
レクチン、例えば、白血球刺激型レクチン(Leukocyte stimulatiry lectin)など。
【0065】
糖類。
【0066】
図2:
o-アクリソウレア(o−Acylisourea)中間物を形成するために、1−エチル(Ethyl)−3−(ジメチルアミノプロピル(dimethylaminopropyl))カルボジイミド(carbodiimide) ハイドロクロライド(hydrochloride)(EDC)で、造影増強ユニットに結合される、カルボン酸のワンポット合成(one pot reaction)によって、Cys−Glu−Glu−Glu−Glu−Glu−Glu−Glu−Glu(=Cys−Glu8)の基を有する、造影増強ユニットの表面修飾のための反応スキーム(室温、およそpH5)。この中間物はスルホ(sulfo)-NHSと反応して、スルホ-NHS−エステル中間物を提供する。過剰なEDCは、2−メルカプトエタノールの添加によってクエンチされる。最後に、Cys−Glu8を含有する第一級アミンでの反応は、所望のアミノ結合を導く(室温、およそpH7)。
【0067】
コア(1)=造影増強ユニット:CdSe/ZnS量子ドット
シェル(一つ又は複数)(2):カルボン酸
シェル(一つ又は複数)(3):アミノ末端のCys−Glu8のポリペプチド鎖
図3:
酸化剤GSSG(酸化グルタチオン)を添加することで、ジスルフィド結合形成によって生じる、Cys−Glu8とCys−Glu8の基を保持する造影増強物質のワンポット反応により、Cys−Glu8の基を保持する造影増強物質に対するCys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys(=Cys−Lys8)の結合のための反応スキーム。
【0068】
コア(1)=造影増強ユニット:CdSe/ZnS量子ドット
シェル(一つ又は複数)(2):カルボン酸
シェル(一つ又は複数)(3):アミノ末端のCys−Glu8のポリペプチド鎖
【実施例】
【0069】
CdSe/ZnS量子ドット(造影増強ドット)が、一端がカルボン酸の基を保持し、もう一端が1.2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−フォスフォエタノールアミンの基を保持する水溶性ポリマーにより、酸によって、カルボン酸の基にて表面修飾される。
【0070】
COOHでコーティングされた量子ドットは、下記を混合することによって得られる(50℃で4時間):
100μlCdSE/ZnS(クロロホルム中、1w/v%)
100μlクロロホルム
200μlDPPC(5mM)−DPPC=1.2−ジパルミトイル(Dipalmitoyl)−sn−グリセロ(Glycero)−3−フォスフォコリン(phosphocholine)
200μlDSPE−PEG2000−COOH(5mM)−DSPE−PEG2000−COOH:1.2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−フォスフォエタノールアミン−N−[カルボキシ(ポリエチレングリコール)2000]アンモニウム塩。
【0071】
最後に、真空でクロロホルムを除去して、超音波処理によって水で、COOHでコーティングされた量子ドットを分散する。
【0072】
1.2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−フォスフォエタノールアミン−N−[カルボキシ(ポリエチレングリコール)2000]アンモニウム塩は、1.2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−フォスフォエタノールアミン末端基による疎水的相互作用(又は吸着)によって、ナノ粒子の表面に結合される。さらに、1.2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−フォスフォエタノールアミン−N−[カルボキシ(ポリエチレングリコール)2000]アンモニウム塩はカルボキシル基を提供し、それは、酸性pHでプロトン化されて、カルボン酸を得る。
【0073】
DPPCは、ナノ粒子に固定されたCOOH基間に空間を残すために、ダミー(又はスペーサー)として使用される。実際、単にCOOH基によってナノ粒子の全表面を覆うことは、相互作用により、副作用をもたらす可能性があり、したがって、身体の所望でない組織又は所望でない領域では対照的である。
【0074】
造影増強ユニットは、酸を介した結合によって、Cys−Glu8基で表面が修飾される。
【0075】
他の実施例は、例えば、活性化エステル、マレイミド又はイソチオシアネートを介した結合であってよい。
【0076】
これは、下記によって成すことができる:
(1)水溶性CdSe/ZnS量子ドットの修飾(図2):
55μl 水
40μl 10xPBS溶液(PBS=リン酸塩緩衝液:0.01Mリン酸塩バッファー、0.0027M塩化カリウム、0.137M塩化ナトリウム、pH7.4)
100μl 0.1MEDC溶液(EDC=1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロライド)
5μl 20mM スルホ−NHS溶液(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド ナトリウム塩(N-Hydroxysulfosuccinimide sodium salt))
200μl 2μM CdSe/ZnS量子ドット(COOH末端)溶液
室温でインキュベーション(30分間)
10μl 2−メルカプトエタノール
15分間で混合
50μl 20mM Cys−Glu8
室温で混合(2時間)
遠心分離による量子ドットの分離
(2)造影増強ユニット、つまり量子ドット−Cys−Glu8ユニットへのCys−Lys8の結合(図3):水溶液は下記を有する:
50μM Cys−Lys8
5μM 量子ドット−Cys−Glu8
2mM EDTA
2.5mM 酸化グルタチオン(GSSG)
室温でインキュベーション(5時間)
超遠心分離による量子ドット−コンジュゲート(conjugates)の分離
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明のターゲティング造影剤の最も好ましい変形を示す図である。
【図2】o-アクリソウレア中間物を形成するために、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロライド(EDC)で、造影増強ユニットに結合される、カルボン酸のワンポット合成によって、Cys−Glu−Glu−Glu−Glu−Glu−Glu−Glu−Glu(=Cys−Glu8)基を有する、造影増強ユニットの表面修飾のための反応スキーム(室温、およそpH5)を示す図である。
【図3】酸化剤GSSG(酸化グルタチオン)を添加することで、ジスルフィド結合形成によって生じる、Cys−Glu8とCys−Glu8基を保持する造影増強物質のワンポット合成により、Cys−Glu8基を保持する造影増強物質に対するCys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys(=Cys−Lys8)の結合のための反応スキームを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の製造方法であって、該方法は:
a)コアの提供ステップ;
b)前記コアに対するシェルの添加ステップ;
c)少なくとも一つのシステインを有する少なくとも第一ポリペプチドを取り付けることによる前記シェルの修飾ステップ;
d)少なくとも一つのシステインを有する第二の相補的ポリペプチドを保持するリガンドの提供ステップ;及び
e)前記システイン間の少なくとも一つのジスルフィド結合形成から生じる、前記第一ポリペプチドと前記第二の相補的ポリペプチドとの間の静電会合によって形成される結合ユニットを介して、前記シェルに対する少なくとも一つのリガンドの結合ステップ
を有する方法。
【請求項2】
前記ステップb)で一つより多いシェルが前記コアに添加される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シェル(一つ又は複数)は、単層又は多層を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シェルは夫々同一物質又は異なる物質を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シェル(一つ又は複数)は、少なくとも部分的に前記コアを覆う請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の製造方法であって、該方法は:
a)コアの提供ステップ;
b)少なくとも一つのシステインを有する少なくとも第一ポリペプチドを取り付けることによる前記コアの修飾ステップ;
c)少なくとも一つのシステインを有する第二の相補的ポリペプチドを保持するリガンドの提供ステップ;
d)前記システイン間のジスルフィド結合形成から生じる、前記第一ポリペプチドと前記第二の相補的ポリペプチドとの間の静電会合によって形成される結合ユニットを介して、前記コアに対する少なくとも一つのリガンドの結合ステップ
を有する方法。
【請求項7】
a)前記第一ポリペプチドは、1乃至3のシステインと、アルギニン、リジン及びオルニチンからなる群から選択される4乃至12の塩基性アミノ酸、又はグルタミン酸、アスパラギン酸からなる群から選択される4乃至12の酸性アミノ酸とを有し、
b)前記第二の相補的ポリペプチドは、1乃至3のシステインと、グルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選択される4乃至12の酸性アミノ酸、又はアルギニン、リジン及びオルニチンからなる群から選択される4乃至12の塩基性アミノ酸とを有し、
前記第一及び第二ポリペプチドにおいて選択される塩基性アミノ酸の群は異なる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第一ポリペプチドは前記シェル又はコアに対して該第一ポリペプチドのC若しくはN末端で結合され、かつ、前記第二の相補的ポリペプチドは前記リガンドに対して該第二の相補的ポリペプチドのC若しくはN末端で結合される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コアとして使用される物質は、強磁性、反強磁性、フェリ磁性若しくは超常磁性物質(鉄(Fe)、酸化鉄、γ−Fe若しくはFe)又はスピネル型構造を有するフェライトMFe(M=Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Cd)、又はグラナ構造を有するフェライトMFe12(M=Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)又はマグネットプランビット構造を有するフェライトMFe1219(M=Ca、Sr、Ba、Zn)又は、例えば、BaFe1222などの他の六角形フェライト構造(M=Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Mg);すべての場合において、コアは、追加的な0.01乃至5.00mol%のMn、Co、Ni、Cu、Zn又はFでドープできる;常磁性イオン(例えば、ランタニド、マンガン、鉄、銅)に基づく造影増強ユニット、例えば、Gd(DTPA)、Gd(BMA−DTPA)、Gd(DOTA)、Gd(DO3A)などのガドリニウム・キレート;オリゴマー構造;アルブミンGd(DTPA)20−35、デキストランGd(DTPA)、Gd(DTPA)−24−カスケードポリマー、ポリリジン−Gd(DTPA)、MPEGポリリジン−Gd(DTPA)などのマクロ分子構造;ランタニドのデンドリマー構造に基づく造影増強ユニット;Mn(DPDP)、Mn(EDTA−MEA)、ポリMn(EED−EEA)及びポリマー構造などのマンガンに基づく造影増強ユニット;常磁性イオンのキャリアとしてのリポソーム(例えば、リポソーマルGd(DTPA));非陽子イメージング剤から選択される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コアとして使用される物質は、発光物質(例えば、ナノフォスファー(例えば、希土類でドープされたYPO若しくはLaPO)又は半導性ナノクリスタル(いわゆる、量子ドット;例えば、CdS、CdSe、ZnS/CdSe、ZnS/CdS));カルボシアニン染料;テトラピロールに基づく染料(ポルフィリン、コロリン、フタロシアニン及び関連した構造);デルタアミノレブリン酸;蛍光ランタニド・キレート;フルオレセイン又は5−アミノフルオレセイン又はフルオレセイン−イソチオシアネート(FITC)又はオレゴングリーン、ナフトフルオレセインなどの他のフルオレセイン関連の発蛍光団から選択される請求項1乃至5及び7乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コアとして使用される物質は、カプセル化されたガス(例えば、空気、過フッ化プロパン、ドデカフルオロカーボン、六フッ化硫黄、ペルフルオロカーボン)バブル(オプチソン(アマシャム)レボビスト(シェリング));カプセル化された液滴;ナノ粒子(例えば、プラチナ、金、タンタル)から選択される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記コアとして使用される物質は、ヨード化造影増強ユニット(例えば、2,4,6−トリ−ヨードベンゼンのイオン又は非イオンの誘導物など);硫酸バリウムに基づいた造影増強ユニット;金属イオンキレート(例えば、ガドリニウムに基づいた化合物);ヨウ素を高比率で有するホウ素クラスタ;ヨード化多糖類、ポリマートリヨードベンゼンなどのポリマー;低水溶性のヨード化化合物からの粒子;ヨード化化合物を含有するリポソーム;トリグリセリド、脂肪酸などのヨード化脂質から選択される請求項1乃至5及び7乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コアとして使用される物質は、11C、13N、15O、66/8Ga、60Cu、52Fe、55Co、61/2/4Cu、62/3Zn、70/1/4As、75/6Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、120/4I、122Xe及び18Fに基づくトレーサー(例えば、18F−FDG(糖代謝));11C−メチオニン、11C−チロシン、18F−FMT、18F−FMT又は18F−FET(アミノ酸);18F−FMISO、64Cu−ATSM(低酸素);18F−FLT、11C−チミジン、18F−FMAU(増殖)から選択される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コアとして使用される物質は、放射性ヌクレオチド(例えば、99mTc、123/5/131I、67Cu、67Ga、111In、201TI)に基づいた造影増強ユニットから選択される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記コアとして使用される物質は、毒素、放射性同位元素及び化学療法薬;UV−C照射ナノ粒子(例えば、YPO:Prなど);フォトダイナミック治療(PDT)剤(例えば、拡張されたポルフィリン構造に基づく化合物など);放射線治療のためのヌクレオチド(例えば、157Sm、177Lu、212/3Bi、186/8Re、67Cu、90Y、131I、114mIn、At、Ra、Ho)から選択される請求項1乃至5及び7乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記コアとして使用される物質は、ケミカル・エクスチェンジ・サチュレーション・トランスファー(CEST);感熱性MRI造影剤(例えば、リポソーマル);pHに感受性があるMRI造影剤;酸素圧力又は酵素応答性MRI造影剤;金属イオン濃度依存型MRI造影剤から選択される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記コアとして使用される物質は、二つ以上の物質の組み合わせである請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記シェル(一つ又は複数)として使用される物質は、カルボン酸、酸性ハロゲン化物、アミン、酸性無水物、活性化エステル類、マレイミド、イソチオシアネート、アミン、金、SiO、ポリリン酸塩(例えば、ポリリン酸カルシウム)、アミノ酸(例えば、システイン)、有機ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール/PEG、ポリビニルアルコール/PVA、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリ尿素)、官能末端基を伴う有機ポリマー(例えば、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−フォスフォエタノールアミン−N−[カルボキシ(ポリエチレングリコール)2000]アンモニウム塩)、バイオポリマー(例えば、デキストラン、キシレン、グリコーゲン、ペクチン、セルロースなどの多糖類、又は、コラーゲン、グロブリンなどのポリペプチド)、システイン又はシステイン含有が高いペプチドあるいはリン脂質から選択される請求項1乃至5及び7乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
さらなる構成要素が前記シェル(一つ又は複数)に対して組み込みできる請求項1乃至5及び7乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記結合ユニットの前記ポリペプチドは1乃至3のシステインベースのジスルフィド結合を介して化学結合される請求項1乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記リガンドとして使用される物質は、抗体(モノクローナル、ポリクローナル、マウス、マウス−ヒトのキメラ、ヒト、単鎖、二重特異性抗体など)、例えば、Trastuzumab(乳癌)、Rituximab(非ホジキンリンパ腫)、Alemtuzumab(慢性リンパ性白血病);Gemtuzumab(急性骨髄遺伝子白血病);Edrecolomab(大腸癌);Ibritumomab(非ホジキンリンパ腫);Cetuximab(大腸癌);Tositumomab(非ホジキンリンパ腫);Epratuzumab(非ホジキンリンパ腫);Bevacizumab(肺及び大腸癌);抗CD33(急性骨髄遺伝子白血病);Pemtumomab(卵巣及び胃癌);Mittumomab(肺及び皮膚癌);抗MUC1(腺癌);抗CEA(腺癌);抗CD64(プラーク);ペプチド、ポリペプチド、ペプチドミメティック、例えば、ソマトスタチンの類似体、血管作用性ペプチドの類似体、ニューロペプチドY、RGDペプチド;タンパク質、例えば、アネキシンブイ、組織プラスミノゲン活性因子タンパク質、輸送体タンパク質;マクロ分子、例えば、ヒャルロナン、アプシタイド、デルマタン硫酸;核酸、例えば、アパタマルス、アンチセンスDNA/RNA/PNA,スモールインターフェリングRNA;脂質、例えば、リン脂質;レクチン、例えば、白血球刺激型レクチン;糖類から選択される請求項1乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
コア、少なくとも一つの結合ユニット及び少なくとも一つのリガンドを有するターゲティング造影剤。
【請求項23】
コア、少なくとも一つのシェル、少なくとも一つの結合ユニット及び少なくとも一つのリガンドを有するターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤。
【請求項24】
請求項1乃至21のいずれか一項に記載の方法で製造されたターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤。
【請求項25】
診断又は治療で使用するための請求項22乃至24のいずれか一項の記載によるターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤。
【請求項26】
ターゲティング分子イメージングで使用するための請求項22乃至25のいずれか一項の記載によるターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤。
【請求項27】
CT、MRI、PET、SPECT及びUSで使用するための請求項22乃至25のいずれか一項の記載によるターゲティング造影剤。
【請求項28】
診断又は治療で適切な化合物の製造のための請求項22乃至25のいずれか一項の記載によるターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の使用。
【請求項29】
ターゲティング分子イメージングで適切な化合物の製造のための請求項22乃至25のいずれか一項の記載によるターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の使用。
【請求項30】
CT、MRI、PET、SPECT及びUSで適切な化合物の製造のための請求項22乃至25のいずれか一項の記載によるターゲティング造影剤又はターゲティング治療剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−524203(P2008−524203A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546267(P2007−546267)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/IB2005/054187
【国際公開番号】WO2006/064453
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】