説明

分子生物学的分析用および診断用の自己アドレス可能な自己組立て超小型電子システムおよびデバイス

【課題】顕微鏡形式において複数工程かつ複合した反応を能動的に行うことができる自己アドレス可能な自己組立て超小型電子システムの設計、製造および使用。
【解決手段】自己アドレス可能で、自己アセンブリング超小型電子方式デバイスを設計し製造して、複数工程かつ複合した分子生物学的反応を顕微鏡形式で有効に行い制御する。これらの反応には、核酸ハイブリダイゼーション、抗体/抗原反応、診断および生体高分子の合成が含まれる。アドレスされた特異的微細-位置への特異的結合体の輸送および付着を電子工学的に制御し、分析物および反応物を濃縮し、非特異的結合分子を除去し、DNAハイブリダイゼーション反応に厳格な制御を供し、かつ分析物の検出を改善することができる。該デバイスは、電子工学的に複製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡形式において複数工程かつ複合した反応を能動的に行うことができる自己アドレス可能な自己組立て超小型電子システムの設計、製造および使用に関する。特に、これらの反応には、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、試料調製、抗体/抗原反応、臨床的診断、および生体高分子合成のごとき分子生物学的反応が含まれる。
【背景技術】
【0002】
分子生物学は核酸および蛋白質の分析のための広範囲の技術よりなり、そのうちの多くは、臨床的診断アッセイの基礎を形成する。これらの技術には、核酸ハイブリダイゼーション分析、制限酵素分析、遺伝子配列分析、ならびに核酸および蛋白質の分離および精製が含まれる(例えば、ジェイ・サムブルック(J.Sambrook)、イー・エフ・フリッシュ(E.F.Fritsch)およびティー・マニアティス(T.Maniatis)、「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」第2版、ニューヨーク州、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor,New York)のコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)社、1989年)。
【0003】
多くの分子生物学的技術には、非常に多くの試料につき膨大な数の操作を行うことが含まれている。それらは、しばしば、複雑で時間がかかり、一般に高い精度が要求される。多くの技術は、感度、特異性または再現性の欠如によってその適用が制限されている。例えば、感度および特異性に伴う問題は、これまで、核酸ハイブリダイゼーションの実際的な適用を制限したきた。
【0004】
核酸ハイブリダイゼーション分析には、一般的に、大量の非標的核酸の中から非常に少数の特異的標的核酸(DNAまたはRNA)をプローブで検出することが含まれる。高い特異性を維持するためには、通常は、温度、塩、洗剤、溶媒、カオトロピック剤および変性剤の種々の組合せにより達成される最も厳格な条件下でハイブリダイゼーションを行う。
【0005】
複数試料の核酸ハイブリダイゼーション分析は、種々のフィルターおよび固体支持体の形式で行われてきた(ジイ・エイ・ベルツ(G.A.Beltz)ら、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)第100巻 B部、アール・ウー(R.Wu)、エル・グロスマン(L.Grossman)、ケイ・モルダブ(K.Moldave)編、ニューヨーク(New York)、アカデミック・プレス(Academic Press)社、第19章、266-308頁、1985年)。1つの形式、いわゆる「ドットブロット」ハイブリダイゼーションには、フィルターへ標的DNAを非共有結合させ、引き続いてこれをラジオアイソトープで標識したプローブ(群)とハイブリダイズさせることが含まれる。「ドットブロット」ハイブリダイゼーションは広範囲の用途を獲得しており、多くのバージョンが開発された(エム・エル・エム・アンダーソン(M.L.M.Anderson)およびビイ・ディー・ヤング(B.D.Young)、「核酸ハイブリダイゼーション-実践的アプローチ(Nucleic Acid Hybridization-A Practical Approach)」ビイ・ディー・ハーメス(B.D.Hames)およびエス・ジェイ・ヒギンズ(S.J.Higgins)編、ワシントンDC(Washington D.C.)、アイアールエル・プレス(IRL Press)社、第4章、73-111頁、1985年参照)。「ドットブロット」ハイブリダイゼーションは、さらに、ゲノム突然変異の多重分析用(ディー・ナニブシャン(D.Nanibhushan)およびディー・ラビン(D.Rabin)、1987年7月8日、欧州特許出願第0228075号)ならびに重複クローンの検出用およびゲノム地図作製用(ジイ・エイ・エバンス(G.A.Evans)、1993年6月15日、米国特許第5,219,726号)にも開発されている。
【0006】
もう1つの形式、いわゆる「サンドイッチ」ハイブリダイゼーションには、固体支持体にオリゴヌクレオチド・プローブを共有結合させ、次いでそれを用いて複数の核酸標的を捕捉し検出することが含まれる(エム・ランキ(M.Ranki)ら、ジーン(Gene)第21巻、77-85頁、1983年;エイ・エム・パルバ(A.M.Palva)、ティー・エム・ランキ(T.M.Ranki)およびエイチ・イー・ソーダールンド(H.E.Soderlund)、1985年10月2日、英国特許出願GB2156074A号;ティー・エム・ランキ(T.M.Ranki)およびエイチ・イー・ソーダールンド(H.E.Soderlund)、1986年1月7日、米国特許第4,563,419号;エイ・ディー・ビイ・マルコム(A.D.B.Malcolm)およびジェイ・エイ・ランデール(J.A.Langdale)、1986年7月3日、PCT WO 86/03782;ワイ・スタビンスキー(Y.Stabinsky)、1988年1月14日、米国特許第4,751,177号;ティー・エイチ・アダムス(T.H.Adams)ら、1990年2月22日、PCT WO90/01564;アール・ビイ・ワラス(R.B.Wallace)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)第11巻、3543頁、1979年;およびビイ・ジェイ・コナー(B.J.Connor)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第80巻、278-282頁、1983年)。これらの形式の複合バージョンは「リバース・ドット・ブロット(reverse dot blot)」と呼称されている。
【0007】
最近の核酸ハイブリダイゼーション形式および厳格な制御方法を用い、最も高感度のレポーター基(酵素、蛍光発色団、ラジオアイソトープ等)および結合検出系(フルオロメーター、ルミノメーター、フォトン・カウンター、シンチレーション・カウンター等)を用いる場合でさえ、低コピー数(すなわち、1-100,000個)の核酸標的を検出することは依然困難である。
【0008】
この困難さは、直接的プローブ・ハイブリダイゼーションに関連して生じる幾つかの問題によって引き起こされる。1つの問題は、ハイブリダイゼーション反応の厳格な制御に関連している。ハイブリダイゼーション反応は、ハイブリダイゼーションの特異性を達成するために、通常、厳格な条件下で行われる。厳格な制御の方法には、第一義的には、ハイブリダイゼーションにおける温度、イオン強度および変性剤の最適化、および続く洗浄法が含まれる。残念なことには、これらの厳格な条件を適用すると、検出するためのハイブリダイズ・プローブ/標的複合体の数の顕著な減少が起こる。
【0009】
もう1つの問題は、大部分の試料、特にヒトゲノムDNA試料中のDNAが非常に複雑なことに関連する。試料が、特異的標的配列に酷似した膨大な数の配列よりなる場合には、最もユニークなプローブ配列でさえ、非-標的配列と多数の部分的ハイブリダイゼーションを起こす。
【0010】
第3の問題は、プローブとその特異的標的との間の好ましくないハイブリダイゼーション動力学に関連する。最良の条件下でさえ、大部分のハイブリダイゼーション反応は、相対的に低濃度のプローブおよび標的分子で行われる。加えて、プローブはしばしば標的核酸に対する相補鎖と競合する。
【0011】
現在の大部分のハイブリダイゼーション形式に関する第4の問題は、高レベルの非-特異的バックグラウンド・シグナルである。これは、ほとんどいずれの物質にもDNAプローブが親和性を有することによって引き起こされる。
【0012】
これらの問題が個々に、または組み合わさって、前記形式の核酸ハイブリダイゼーションの感度および/または特異性を喪失させる。大部分の核酸を基礎とする臨床的診断アッセイには低コピー数の核酸標的を検出することが必要であるため、このことは残念である。
【0013】
低コピー数の核酸標的を検出することが困難なために、研究コミュニティーは標的核酸配列を増幅させるためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に大きく依存している(エム・エイ・イニス(M.A.Innis)ら、「PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications」、アカデミック・プレス(Academic Press)社、1990年)。たとえ、どんなに長期を要し厄介な工程であっても、PCR反応によって作製した膨大な数の標的核酸配列によって、続いての直接的核酸プローブ技術が改善される。
【0014】
直接的プローブで低コピー数の標的核酸を検出することの一般的な困難さに対する特徴的な例外は、イン・サイチュ・ハイブリダイゼーション技術である。この技術によって、低コピー数のユニークな核酸配列を個々の細胞で検出することができる。イン・サイチュ形式においては、比較的高い局所濃度で細胞(〜20-50μm)または核(〜10μm)の領域に標的配列が自然に制限される。さらに、プローブ/標的ハイブリダイゼーション・シグナルは、顕微鏡的および形態学的に異なった領域に制限され;このことによって、固体支持体上におけるハイブリダイゼーションよりも、人工的または非特異的シグナルから陽性シグナルを容易に区別することができる。
【0015】
ある種の態様でイン・サイチュ・ハイブリダイゼーションを模倣することによって、超微細形式化した複合装置またはマトリックス装置(例えば、DNAチップ)にて多重試料核酸ハイブリダイゼーション分析を行う新しい技術が開発されている(エム・バリナガ(M.Barinaga)、サイエンス(Science)第253巻、1489頁、1991年;ダブリュ・ベインズ(W.Bains)、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)第10巻、757-758頁、1992年参照)。これらの方法は、通常、DNAチップの超微細ウェルのごとき固体支持体の非常に小さな特異的領域に特異的DNA配列を結合させる。これらのハイブリダイゼーション形式は、従来の「リバース・ドット・ブロット」および「サンドイッチ」ハイブリダイゼーション系の超微細スケールのバージョンである。
【0016】
超微細形式化ハイブリダイゼーションを用いれば、「ハイブリダイゼーションによる配列決定」(SBH)(エム・バリナガ(M.Barinaga)、サイエンス(Science)第253巻、1489頁、1991年;ダブリュ・ベインズ(W.Bains)、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)第10巻、757-758頁、1992年参照)を行うことができる。SHBは、全ての可能なn-ヌクレオチド・オリゴマー(n重体)を使用して、未知のDNA試料中のn重体を同定することができ、続いてそれをアルゴリズム分析によって並べて、DNA配列を作製する(アール・ドーマナック(R.Drmanac)およびアール・クルクベンジャコフ(R.Crkvenjakov)、ユーゴスラビア国特許出願#570/87、1987年;アール・ドーマナック(R.Drmanac)ら、ゲノミクス(Genomics)第4巻、114頁、1989年;ステレゾスカ(Strezoska)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第88巻、10089頁、1991年;およびアール・ドーマナック(R.Drmanac)およびアール・ビイ・クルクベンジャコフ(R.B.Crkvenjakov)米国特許第5,202,231号、1993年4月13日)。
【0017】
SBHを行うには2つの様式がある。1つの形式には、支持体上に全ての可能なn重体アレイを作製し、次いで、これを標的配列とハイブリダイズさせることが含まれる。これは、リバース・ドット・ブロットのバージョンである。もう1つの形式には、標的配列を支持体に結合させ、これを全ての可能なn重体で順次釣り上げることが含まれる。両形式とも、直接的プローブ・ハイブリダイゼーションの基本問題および複合ハイブリダイゼーションに関するさらなる困難性を有している。
【0018】
サザン(Southern)、英国特許出願GB8810400号、1988年;イー・エム・サザン(E.M.Southern)ら、ゲノミクス(Genomics)第13巻、1008頁、1992年では、DNAを分析しまたはDNAを配列決定するのに「リバーズ・ドット・ブロット」形式を使用することが提案されている。サザン(Southern)は、PCR増幅させたゲノムDNAを用いて既知の単一点突然変異を同定した。また、サザンは、SHB用の固体支持体上にオリゴヌクレオチドのアレイを合成する方法も記載している。しかしながら、サザンは、アレイ上の各オリゴヌクレオチドに対して、最適な厳格な条件をどのようにして達成するかについては触れていない。
【0019】
フォドール(Fodor)ら、ネイチャー(Nature)第364巻、555-556頁、1993年では、固体支持体上の1,024の8重体のオリゴヌクレオチドのアレイを用いてDNA配列を決定している。この場合において、標的DNAは、AおよびC塩基のみを含有する蛍光標識した一本鎖の12重体オリゴヌクレオチドであった。アレイ上の8重体オリゴマーとのハイブリダイゼーションには、1pmol濃度(〜6×1011分子)の12重体標的配列が必要であった。この結果は多くの誤対合を示した。サザンと同様に、フォドール(Fordor)らも、複合ハイブリダイゼーションについての厳格な制御のごとき、直接的プローブ・ハイブリダイゼーションの基本的な問題には触れていなかった。これらの問題は、大量の単純12重体標的の必要性と合わさって、このSHB形式がかなり制限されることを示している。
【0020】
最近、ドーマナック(Drmanac)ら、サイエンス(Science)第260巻、1649-1652頁、1993年は、前記した第2形式を用いて幾つかの短かい(116bp)DNA配列を配列決定した。標的DNAは膜支持体に結合させた(「ドット・ブロット」形式)。各フィルターを272の標識した10重体および11重体オリゴヌクレオチドと順次ハイブリダイズさせた。広範な厳格条件を用いて、各n重体プローブの特異的ハイブリダイゼーションが達成された;洗浄時間は5分間〜一晩、温度は0℃〜16℃で変化させた。大部分のプローブは、16℃にて3時間洗浄することが必要であった。ハイブリダイゼーション・シグナルを検出するため、フィルターは2〜18時間感光させる必要があった。標的配列が単純であり、オリゴマーの設定を減少させ、かつ利用できる最も厳格な条件を用いたにも拘わらず、総じての偽陽性ハイブリダイゼーション率は5%であった。
【0021】
フォードール(Fodor)ら、サイエンス(Science)第251巻、767-773頁、1991年は、写真平板技術を用いてマトリックス上にオリゴヌクレオチドを合成した。ピルング(Pirrung)ら、米国特許第5,143,854号、1992年9月1日は、シリコン基板上のアレイ様式にてのポリペプチドの大規模写真平板固相合成法を教示している。
【0022】
マトリックス・ハイブリダイゼーションのもう1つのアプローチにおいて、ビーティエ(Beattie)ら、「1992年サンジエゴ会議:遺伝子認識(The 1992 San Diego Conference:Genetic Recognition)」1992年11月では、超微細ロボット工学システムを用いて、特異的DNA配列を含有する微小液滴をガラス基体上の個々の超微細加工試料ウェルに滴下させた。各試料ウェルにおけるハイブリダイゼーションは、交流(AC)電場で各個別超微小ウェルを取り囲んだ、ミニチュア電極試験固定体を応答指令信号を送ることによって検出する。
【0023】
形式に拘わらず、全ての現行の超微細スケールのDNAハイブリダイゼーションおよびSHBのアプローチは、核酸ハイブリダイゼーション反応に関連する基本的な問題を克服していない。それらは、非常に高レベルの比較的短い一本鎖標的配列またはPCR増幅DNAを必要とし、最も厳格な条件下でさえ高レベルの偽陽性ハイブリダイゼーション・シグナルを生じる。短かいオリゴヌクレオチド配列のアレイを用いた複合形式の場合においては、いずれの従来アプローチを用いても各個別の配列につき厳格な条件を最適化することはできない。何故ならば、これらの形式に用いるアレイまたはデバイスでは、他の位置に比して個別の位置で温度、イオン強度または変性剤を変化させまたは調整できないからである。従って、共通の厳格な条件をデバイス上の全ての配列に用いなければならない。このことによって、多数の非-特異的および部分的ハイブリダイゼーションが生じ、デバイスの適用が非常に限定される。アレイ上の異なる配列の数が増加し、配列長が10重体以下まで減少するか、20重体以上まで増加するに従い、問題はより複雑となる。このことは、多数の短鎖オリゴヌクレオチド・プローブを必要とするSBHについては特に厄介である。
【0024】
異なったサイズ、電荷または立体構造の核酸は、電場におけるそれらの異なった移動度によりハイブリダイゼーション種を区別できる電気泳動技術によって、日常業務的に分離される。パルスフィールド電気泳動は、媒質(例えば、ゲル)の周りの複数の電極配列を用いて、従来のゲル電気泳動系によっては分離できない非常に大きなDNA断片を分離する(アール・アナンド(R.Anand)およびイー・エム・サザン(E.M.Southern)、「核酸のゲル電気泳動-実践的アプローチ(Gel Electrophoresis of Nucleic Acids-A Practical Approach)」第2版、ディー・リックウッド(D.Rickwood)およびビイ・ディー・ハーメス(B.D.Hames)編、ニューヨーク(New York)のアイアールエル・プレス(IRL Press)社、101-122頁、1990年参照)。
【0025】
ペース(Pace)、米国特許第4,908,112号、1990年3月13日は、超微細加工技術を用いてシリコン基板上にキャピラリー・ゲル電気泳動系を作製することを記載している。複数電極は、該系に組み込まれていて、該デバイス内の分離媒質を通して分子を移動させる。
【0026】
ソアネ(Soane)およびソアネ(Soane)、米国特許第5,126,022号、1992年6月30日は、多数の電極を用いれば、管中に含まれるゲル分離媒質を通して混合物中の荷電分子の線形移動を制御することができることを記載している。分離媒質中の分子の移動および位置を制御するには、電極を管内に設置しなければならない。
【0027】
ワシズ,エム(Washizu,M.)およびクロサワ,オウ(Kurosawa,O.)アイイーイーイー・トランザクションズ・オン・インダストリー・アプリケーションズ(IEEE Transactions on Industry Applications)第6巻、1165-1172頁、1990年は、高周波数交流(AC)電場を用いて、超微細加工電極間に生じる電場列(line)の方向にDNAを向けた。しかしながら、直流(DC)電界をそれらの研究に使用することはできない。ワシズ(Washizu)、ジャーナル・オブ・エレクトロスタティクス(J.Electrostatics)第25巻、109-123頁、1990年)には、二重電気泳動(dielectrophoresis)を用いた細胞および生物分子の操作が記載されている。細胞を融合でき、超微細-電極構造間のAC電圧によって生じた電場列に沿って生物分子を方向付けることができる。しかしながら、二電気泳動工程には、非常に高周波数のAC(1MHz)電圧と低導電率の媒質とが必要である。これらの技術は、AC電場列に沿って異なったサイズのDNA分子を方向付けることができるが、それは同じサイズのハイブリダイゼーション複合体同志を区別することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
前記より明らかなごとく、複数工程かつ複合の分子生物学的反応を行う有効な技術を提供するために、膨大な試行がなされてきた。しかしながら、前記の理由によって、これらの技術は不十分であることが証明された。有効な技術に対する要望が長い間認識されてきたにも拘わらず、今まで満足のいく解法は提唱されていない。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、顕微鏡形式において制御された複数工程かつ複合の反応を能動的に行うことができる、プログラム可能で、自己アドレス可能な自己組立て超微細電子システムおよびデバイスの設計、製造および使用に関する。これらの反応には、限定するものではないが、核酸ハイブリダイゼーション、抗体/抗原反応、および関連する臨床的診断のごとき大部分の分子生物学的反応が含まれる。加えて、特許請求するデバイスは、多工程の組み合わせ生体高分子合成も行うことができ、それらには、限定するものではないが、特異的超微小位置での異なったオリゴヌクレオチドまたはペプチドの合成が含まれる。
【0030】
特許請求するデバイスは、超微細リソグラフィーおよび超微細加工技術の両方を用いて製造する。該デバイスはアドレス可能な顕微鏡位置のマトリックスをその表面に有しおり;各個別の超微細位置は、特異的に結合する物質(例えば、核酸、抗体)のそれ自体への輸送および結合を電子工学的に制御し指定できる。全ての超微細位置は、それらの特異的結合物質に関してアドレス可能である。これらのデバイスを用いれば、該システムは最小限の外部介入にて自己組立て可能である。
【0031】
該アドレス・デバイスは、種々のアッセイおよび反応を制御することができ、かつ能動的に行うことができる。分析物または反応物は、自由フィールド電気泳動によっていずれかの特異的超微細-位置まで輸送でき、そこでその分析物または反応物は効率的に濃縮され、特異的結合物質と反応する。特異的な分析物または反応物を検出する感度は、濃縮効果のために改善される。いずれの非-結合分析物または反応物も、超微細-位置の極性を逆転させることによって除去することができる。かくして、当該デバイスはアッセイおよび反応の特異性も改善する。
【0032】
該デバイスの能動的な特性によって、各特異的超微細-位置で生じるハイブリダイゼーション反応(またはいずれかの他の親和性反応)の全ての態様にわたる独立した電子工学的制御が供される。これらのデバイスによって、電子工学的厳格制御(ESC)と呼称されるハイブリダイゼーション反応に影響する新たな機構が提供される。異なった厳格条件を要するDNAハイブリダイゼーション反応については、ESCによって従来のアレイ技術の本来有する限界が克服される。本発明の能動的デバイスは、各超微細-位置で「異なった厳格条件」を電子工学的に作り出すことができる。かくして、全てのハイブリダイゼーションは、同一のバルク溶液中で最適に行うことができる。これらの能動的デバイスは、従来の複合ハイブリダイゼーション・アレイおよびDNAチップとは基本的に異なる。従来のアレイは、各部位に位置する異なったプローブまたは標的DNAを有するにも拘わらず;アレイ上の全部位は温度、緩衝液、塩濃度およびpHの共通した反応もしくは厳格条件を有している。反応もしくは厳格条件におけるいずれの変化も、該アレイ上の全部位に影響する。複雑化した写真平板技術を用いてアレイを作製し、あるいは超小型電子検知素子を検出用に組み込むことができるが、従来のデバイスは受動的であり、かつ現実のハイブリダイゼーション工程を制御しまたは影響を与えない。本発明の能動的なデバイスは、各超微細-位置を完全に独立した試験もしくは分析部位として機能させる(すなわち、それらは各位置において同等の「試験管」を形成する)。複合的ハイブリダイゼーション反応が、最少の外部物理学的操作で行うことができる。加えて、緩衝液を交換するために温度を変化させる必要がなく、複数回洗浄する工程の必要性がなくなる。
【0033】
かくして、特許請求するデバイスでは、多工程かつ複合した反応を完全かつ正確な電子工学的制御で、好ましくは全体マイクロプロセッサー制御で行う(すなわち、コンピューターによって行う)ことができる。多工程かつ複合した反応の速度、特異性および感度は、特許請求するデバイス上の各特異的超微細-位置で顕著に改善されている。
【0034】
また、デバイスは、組み合わせた光学的(蛍光、化学ルミネッセンス、または分光光度測定)なイメージング検出系を用いることによって、各超微細-位置でハイブリダイズした複合体を容易に検出できる。直接的にDNAを検出する集積オプトエレクトロニクスまたは電子工学的センシング素子も、そのデバイス本体に組み込むことができる。
【0035】
所望により、特異的結合性物質でアドレスされたマスターデバイスは、もう1つの基盤デバイスに電子工学的に複製またはコピーできる。
【0036】
本発明は、本発明の目的と一致するいずれのサイズまたは形態の超微細-位置にも利用することができる。本発明の好ましい具体例において、サブ-ミリメートル範囲の超微細-位置を用いる。
【0037】
「特異的結合物質」とは、一般的に、共有結合または非共有結合を介して他の分子、高分子または細胞に対して特異的な親和性を有する生物学的分子または合成分子を意味する。好ましくは、特異的結合物質には、それを超微細-位置表面の共通官能基に共有結合または非共有結合させ得る(自然にまたは修飾による)官能化学基(第一級アミン、スルヒドリル、アルデヒド等)、共通配列(核酸)、エピトープ(抗体)、ハプテンまたはリガンドが含まれる。特異的結合物質には、限定するものではないが:デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、合成オリゴヌクレオチド、抗体、蛋白質、ペプチド、レクチン、修飾多糖、細胞、合成複合高分子、機能性ナノ構造物、合成ポリマー、修飾/ブロックしたヌクレオチド/ヌクレオシド、修飾/ブロックしたアミノ酸、蛍光発色団、発色団、リガンド、キレートおよびハプテンが含まれる。
【0038】
「厳格な制御」とは、幾つかの物理学的パラメーターを変化させることによって、特異的および非特異的な結合相互作用を区別できる能力を意味する。核酸ハイブリダイゼーションの場合、温度制御を厳格性にしばしば用いる。反応は、特定の二本鎖ハイブリッド対の融点(Tm)またはその付近で行う。
【0039】
かくして、本発明の第一かつ最も重要な態様は、電子工学的にプログラム可能で自己アドレス指定可能な顕微鏡位置のアレイを有するデバイスである。各顕微鏡位置には、基板によって支持される下部作動性直流(DC)超微細-電極が含まれる。各超微細-位置の表面は、小さな対イオンが自由に輸送される浸透層、および特異的結合物質が共有カップリングする付着層を有する。これらのユニークな設計特徴は、該デバイスに以下の重要な特性を提供する:(1)制御可能な機能性DC電極を超微細位置の下側に維持できること;(2)電気泳動的輸送を維持できること;および(3)電極(金属)インターフェースで起こる電気化学反応および逆電解反応から親和性反応または結合反応を分離すること。これらのデバイスに用いられる超微細-電極の主機能が、結合物質および反応物質を特異的位置に向ける電気泳動的推進力を供することである。
【0040】
「アレイ」または「マトリックス」とは、デバイス上のアドレス指定可能な位置の配列を意味する。該位置は、二次元アレイ、三次元アレイ、または他のマトリックス形式で配置することができる。位置の数は、数個から少なくとも数十万までの範囲とすることができる。各位置は、全体的に独立した反応部位を表している。
【0041】
第2の態様において、本発明は、結合物質をデバイス上のいずれかの特異的超微細-位置に輸送する方法をその要旨とする。活性化されれば、超微細-位置は、いずれの荷電した機能性特異的結合物体のそれ自体までの自由フィールド電気泳動的輸送にも影響を及ぼすことができる。特異的超微細-位置と接触すると、機能化された特異的結合物質が直ちにその特異的超微細-位置の付着層表面に共有結合する。他の超微細-位置も、荷電分子に対して反対の電位にそれらを維持することによって、同時に保護することができる。該工程は、全超微細-位置がそれらの特異的結合性物質でアドレスされるまで、迅速に繰り返すことができる。
【0042】
「荷電機能化特異的結合物質」とは、化学反応性(すなわち、位置に共有結合できる)であって、正味荷電(+または−のいずれか)に帯電していることを意味する。
【0043】
第3の態様において、本発明はデバイス上のいずれかの特異的超微細-位置で分析物または反応物を濃縮させ、反応させる方法をその要旨とする。特異的結合物質が付着した後も、各超微細-位置の下部超微細電極は直流(DC)モードで機能し続ける。このユニークな特徴によって、溶液中に遊離した比較的希薄な荷電分析物または反応物分子を、該分析物または該反応分子に対して反対の電荷に維持されているいずれの特異的超微細-位置でも順次または平行様式で、迅速に輸送し、濃縮し、反応させることができる。特異的超微細-位置は、分析物または反応物分子と同じ電荷でそれを維持することによって保護または遮断することができる。選択した超微細-位置で希薄な分析物または反応分子を濃縮するこの能力によって、これら超微細-位置における反応速度を顕著に加速することができる。
【0044】
所望の反応が完了したら、超微細-電極の電位を逆転させて、該超微細-位置から非特異的分析物または未反応分子を除去することができる。
【0045】
特異的分析物または反応生成物は、いずれの超微細-位置からも放出し、さらなる分析のために他の位置に輸送することができ;あるいは、他のアドレス可能な位置に保存でき;あるいは、該システムから完全に除去することができる。
特異的超微細-位置における分析物の続く分析も、これらの位置から非特異的物質を反発させる能力によって、顕著に改善される。
【0046】
第4の態様において、本発明は:
-ハイブリダイゼーションが起こる特異的超微細-位置(群)で、希薄標的DNAおよび/またはプローブDNA配列を迅速に濃縮し;
-ハイブリダイゼーションが起こった特異的超微細-位置(群)から、非-特異的に結合した標的DNA配列を迅速に除去し;
-ハイブリダイゼーションが起こった特異的超微細-位置(群)から、競合性の相補的標的DNAを迅速に除去し;
-電子的厳格制御(ESC)を調整して、部分的にハイブリダイズしたDNA配列(1塩基を超える誤対合)を除去し;
-ESCを調整して、8重体〜21重体の範囲のプローブを用いた単一誤対合ハイブリダイゼーションの解析能を改善し(例えば、それにより点突然変異を同定する);
-ESCを用いて、従来の方法で用いていた範囲外のオリゴヌクレオチド点突然変異プローブ(例えば、21重体より長いプローブおよび8重体より短いプローブ)を効率的にハイブリダイズさせ;
-同一バルク溶液中、同一温度で起こる個々のハイブリダイゼーション事象に独立したESCを適用し;次いで
-ESCを用いて、捕捉オリゴヌクレオチド・プローブのアレイに非増幅標的DNA配列がハイブリダイズするのを改善する
工程よりなる、核酸ハイブリダイゼーション反応の厳格制御を改善する方法をその要旨とする。
【0047】
第5の態様において、本発明は、超微細-位置において生体高分子を組合せ合成する方法をその要旨とする。
【0048】
第6の態様において、本発明は、マスターデバイスを複製する方法をその要旨とする。
【0049】
第7の態様において、本発明は、試料の調製およびそのデバイスの分析構成要素までの輸送を電子工学的に行うデバイスをその要旨とする。
【0050】
第8の態様において、本発明は、最小限の流体工学しか用いずに試薬および反応物を電子工学的にデリバリーするデバイスをその要旨とする。
【0051】
第9の態様において、本発明は、分子生物学的反応およびDNA増幅反応(例えば、制限切断反応;およびDNA/RNAポリメラーゼおよびDNAリガーゼ標的増幅反応)を行うデバイスをその要旨とする。
【0052】
第10の態様において、本発明は、制限断片を電子工学的にサイズ決定し、同定できる(例えば、電子工学的な制限断片長多型分析およびDNA指紋分析)デバイスをその要旨とする。
【0053】
第11の態様において、本発明は、抗体-抗原および免疫診断反応を行うデバイスをその要旨とする。
【0054】
第12の態様において、本発明は、オリゴヌクレオチドおよびペプチドの組合せ合成を行うことができるデバイスをその要旨とする。
【0055】
第13の態様において、本発明は、選択的に細胞に結合し、細胞をハイブリダイゼーション用に加工し、細胞からDNAを取り出し、または細胞内でイン-サイチュ・ハイブリダイゼーションを行うデバイスをその要旨とする。
【0056】
第14の態様において、本発明は、関連する光学的、オプトエレクトロニクス的または電子工学的な検出システムを有する自己-アドレス指定された超小型電子技術デバイス、または統合された光学的、オプトエレクトロニクス的または電子工学的な検出システムを有する自己-アドレス指定された超小型電子技術デバイスを用いて、アドレス指定された超微細-位置で起こる反応を検出し分析する方法をその要旨とする。
【0057】
本発明のデバイスは能動的にプログラム可能な電子工学的マトリックス(active programmable electronic matrices)であるため、頭字語「APEX」を用いてこれらのデバイスのユニークな性質を記載または示す。APEX頭字語は、マイクロリソグラフィーにより作製した「チップ」および超微細加工デバイスの双方に用いる。
【0058】
APEX超小型電子技術デバイスおよびチップの能動的な性質によって、広範な種々の分子生物学的反応を行う新たな機構を創出することができる。これらには、標的DNA分子およびRNA分子の線形および指数関数的な増加または増幅の両方を達成する新規な方法が含まれている。
【0059】
該デバイスは:(1)室温(例えば、そのTmよりかなり下)の共通緩衝液中でDNAハイブリッドを選択的に変性し;(2)2またはそれを超える超微細-位置の間でDNAを迅速に往ったり来たりして輸送または移動させ;および(3)所望の超微細-位置で特異的反応物、試薬および酵素を選択的に濃縮させることができる電子工学的メカニズムを提供する。これら全てには、分子生物学的および標的増幅型反応を行う新たな物理学的指標が含まれている。
【0060】
多数の電子工学的に制御された分子生物学的反応の例が開発され、これらには:(1)特異的ds-DNA配列の電子工学的指向制限酵素切断;(2)電子工学的制限断片分析;(3)DNAポリメラーゼによる標的DNAの電子工学的増加;(4)DNAおよびRNAリガーゼによる標的DNA配列の電子工学的連結および増加;および(5)RNAポリメラーゼによる標的DNAの電子工学的増加が含まれる。これらの例は、APEXデバイス上で行うことができる分子生物学的反応および方法の代表的な型である。
本発明の他の要旨および利点は以下の発明の詳細な説明および請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
本発明のデバイスおよび関連する方法論によって、分子生物学的反応および診断反応を「完全な電子制御」下に行うことができる。本発明にいう「電子工学的制御」の意味は、該語の従来の本来的な意味を越えている。ほとんどの慣用的な超微細電子工学的デバイス、機器および検出システムは、電子工学的制御下で常にあるレベルである。本発明の超小型電子技術デバイスは、慣用的な電子工学的制御のみならず、さらに重要なことには、それらが分子生物学的反応および診断反応を行う物理学的態様の直接的電子工学的制御をさらに提供する。本発明の基本的概念は、プログラム可能であってアドレス指定可能な顕微鏡位置を有する超小型電子技術デバイスである。各超微細-位置は、特異的結合物質が共有結合する誘導化された上面(すなわち、付着層)、中間浸透層、および下部直流(DC)超微細電極を有している。基本超小型電子技術構造を最初に作製した後、該デバイスは特異的結合性物質で各特異的超微細-位置のアドレッシングを自己指定することができる。この意味において、該デバイスはそれ自体を自己組立てする。自己アドレスされたデバイスは、続いていずれかのその超微細-位置で個々の複数工程で組合せ反応を能動的に行うことができる。デバイスは、複合の反応を行うことができるが、重要な利点は各反応が真に独立した試験部位で同等に起こることである。デバイスは、そのいずれの超微細-位置への、またはそこからの分析物および反応物の迅速な移動および濃縮を、電子工学的に指定し制御することができる。種々の反応の動的態様を電子工学的に制御するデバイスの能力によって、多数の新しい機構ならびに重要な利点および改善点が提供される。
【0062】
本発明の概念および具体例を3つのセクションで記載する。第1のセクション「基本デバイスの設計および加工」は、基本的な下部超小型電子技術デバイスの設計、およびマイクロリソグラフィーおよびマイクロ-マシーン加工技術の双方を用いた該デバイスの加工を記載している。第2のセクション「デバイスの自己指定されたアドレッシング」は、デバイスの自己アドレッシングおよび自己組立て、特に各超微細-位置への特異的結合物質の迅速な輸送および付着を記載している。第3のセクション「デバイスの適用」は、デバイスが種々の複数工程の、組合わされた、複合の反応をいかに電子制御するかを記載している。また、このセクションは、デバイスの種々の用途および適用を記載している。
【0063】
I.基本デバイスの設計および加工
デバイスに複数工程かつ複雑な反応を行わせるために、その電子部品は水溶液中で能動的な作動を維持できなければならない。この要件を満たすために、各超微細-位置は下部の制御可能かつ機能性のDCモードの超微細-電極を有していなければならない。しかしながら、活性なDC電極表面上で起こる電解反応によって結合反応および親和性反応が影響されないということは、デバイス性能、特に感度(ノイズに対するシグナルの比)に重要である。デバイスの設計および加工に関する他の考慮には、限定するものではないが、物質適合性、特異的結合物質および続く反応物および分析物の性質、および超微細-位置の数が含まれる。
【0064】
「制御可能かつ機能性のDCモード超微細電極」とは、制御可能な様式で荷電した特異的結結合物質、反応物、または分析物を該デバイスのいずれかの位置に、またはそこから、あるいは試料溶液からの自由フィールド電気泳動輸送に影響するか、またはそれを引き起こすことができる、直流モード(連続またはパルスのいずれか)で操作される、正または負のいずれかに偏倚した超微細電極を意味する。
【0065】
本発明の範囲内で、分子の自由フィールド電気泳動輸送は、絶縁材によって結合されるか、または制限されて作り出される電場に実際には依存していない。従来の電気泳動分離技術には、絶縁(非-導電性)材によって電界列が制限されているか、または閉じ込められていることが必要であった。自由フィールド電気泳動輸送の場合には、荷電分子が1つの超微細位置から他のいずれかの超微細位置へ移動するか、またはバルク溶液から特異的超微細位置に移動する。従って、絶縁材による特殊な配置または制限は、本発明のこの態様には必要でない。
【0066】
デバイスは、2つくらいの少ないアドレス可能な超微細位置、または数十万ほど多くの超微細位置を有するように設計することができる。一般的には、多数の超微細位置を有する複合デバイスは、マイクロリソグラフィー技術を用いて加工される。加工は、ケイ素、またはガラス、二酸化ケイ素、プラスティックもしくはセラミック材のごとき他の適当な基板材料上で行う。これらの超小型電子技術「チップ」の設計は、考慮された大規模のアレイまたは複合分析デバイスであろう。少数の超微細位置またはマクロ位置を有するデバイスは、マイクロマシーン加工技術を用いて加工されよう。
【0067】
アドレス可能な超微細位置は、いずれの形状とすることもでき、好ましくは、円形、正方形または長方形とすることができる。アドレス可能な超微細位置のサイズは、いずれのサイズとすることもでき、好ましくは、サブミクロン(〜0.5μm)〜数センチメートル(cm)で、マイクロリソグラフィー技術を用いて作製するデバイスには5μm〜100μmが最も好ましい範囲で、マイクロマシーン加工技術を用いて作製するデバイスには100μm〜10mmが最も好ましいサイズである。マイクロリソグラフィー法の分解能よりも小さな超微細位置を作製するためには、電子ビーム・リソグラフィー、イオンビーム・リソグラフィーまたは分子ビーム・エピタクシーのごとき技術が必要であろう。顕微鏡位置は分析および診断型の適用には望ましいが、限定するものではないが、分取スケールの生体高分子合成、試料調製、試薬の電子工学的調剤のごとき適用には、より大きなアドレス可能な位置またはマクロ-位置(例えば、5mmより大きい)が望ましい。
【0068】
マイクロリソグラフィーおよび/またはマイクロマシーン加工技術を用いることによって超微細位置を作製した後に、化学修飾、重合反応、またはなおさらにマイクロリソグラフィー加工技術を用いて、特別の付着層および浸透層を作る。これらの重要な層は、電極の金属表面から結合物質を隔離する。これらの重要な構造によって、各超微細位置表面下のDCモードの超微細電極が:(1)特異的(荷電)結合物質が1の超微細位置表面から他の超微細位置表面への、あるいはバルク溶液から特異的超微細位置への自由フィールド電気泳動輸送に影響するか、またはそれを引き起こすことができ;(2)特異的結合物質を特異的超微細位置の特別に修飾された表面へ濃縮し共有結合させることができ;(3)他の反応物および分析物が制御された様式にて超微細位置へ、またはそこから輸送されるように、特異的結合物質を付着させた後にDCモードで能動的に機能させ続けることができ;かつ、(4)電気化学反応および生成物との結合反応または親和性反応に悪影響しないようにすることができる。
【0069】
I(a) 設計パラメーター(マイクロリソグラフィー)
図1はマイクロリソグラフィー技術を用いて加工した自己アドレス可能な超微細位置の基本設計を示す。3つの超微細位置(10)(ML-1、ML-2、ML-3)が、絶縁材層/基板材上に沈着させてある金属部位(12)上の表面に形成されている。金属部位(12)は下部超微細電極構造(10)として作用する。絶縁材は、金属部位(12)を相互に隔離する。絶縁材には、限定するものではないが、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガラス、レジスト、ポリイミド、ゴム、プラスチックまたはセラミック材が包含される。
【0070】
図2はマイクロリソグラフィーにより作製した金属部位(12)上に形成させた個々の超微細位置(10)の基本的特徴を示している。アドレス可能な超微細位置が金属部位(12)上に形成され、酸化層(20)、浸透層(22)、付着層(24)および結合物質層(26)を組み込んでいる。浸透層の共有結合カップリングのために、金属酸化物層は、ベースを供する。表面コーティング化学の当業者に知られている金属酸化物およびヒドロキシル基(単独または組み合わせ)、ならびに他の材は、そこから浸透層が構築または支持される共有結合部位を供することができる。浸透層が実際に金属電極表面に共有結合していることは絶対に必須ではない。浸透材の物理的重複は、本発明の範囲内にある別法を表している。
【0071】
浸透層によって、金属表面および付着および/結合物質層の間に間隔が供され、これは、溶媒分子、小さな対イオン、および電解反応ガスが金属表面へ、またはそこからから自由に通過できるようにする。電解反応の物理学的および化学的に不利な効果を減少させることができる浸透層材には、限定するものではないが、Hに対するパラジウムのごとき酸化還元反応捕捉物質、ならびにOおよび過酸化物に対する鉄錯体を含ませることができる。マイクロリソグラフィーにより作製したデバイスの浸透層の厚さは、約1ナノメートル(nm)〜100マイクロメートル(μm)、最も好ましくは2nm〜10μmの範囲とすることができる。
【0072】
付着層によって、結合物質の共有結合用の基板が提供される。マイクロリソグラフィーにより作製したデバイスの付着層の厚さは、0.5nm〜5μm、最も好ましくは1nm〜500nmとすることができる。ある種の場合においては、該浸透層および付着層は、同一の材から形成させることができる。結合物質のカップリングのためにさらに活性化できるある種の浸透層材も本発明の範囲内に包含される。
【0073】
特異的結合物質は、付着層に共有結合し、特異的結合物質層を形成する。理想的には、該特異的結合物質層は、通常、単層の特異的結合分子である。しかしながら、ある場合においては、該結合物質層は数層または多層の結合分子を有することができる。
【0074】
浸透層および付着層のある種の設計および機能態様は、物理的(例えば、サイズおよび形)および特異的結合性物質分子の特性によって指示される。また、それらは、続いて超微細位置まで輸送され、それに結合するであろう反応物および分析物分子の物理学的および化学的特性によってある程度指示される。例えば、オリゴヌクレオチド結合物質は、DCモード機能の損失を引き起こすことなしに、1つの型の超微細位置表面に付着することができ、すなわち、該下部超微細電極は、下部電気泳動輸送は、オリゴヌクレオチド結合性物質が付着する表面に、またはそこから他の分子の迅速な自由フィールド電気泳動輸送をまだ引き起こすことができる。しかしながら、大きな球状蛋白質結合物質(例えば、抗体)が同じ型の表面に付着する場合、それらは、表面を絶縁し、DC様式機能の低下または完全な喪失を引き起こし得る。大きな結合物質(例えば、大きな球状蛋白質)の数が減少するか、または表面上の結合物質間をとるよう、付着層の適当な修飾は行わなければならないであろう。
【0075】
超微細位置間の間隔は、作製の容易さ、超微細位置間の検出分解能の要件、および装置上の望ましい超微細位置数によって決定される。しかしながら、超微細位置(すなわち、下部超微細電極)のいずれの組合せでも完全なデバイス領域上で操作できる点において、超微細位置間の特定の間隔、または超微細位置の空間配置もしくは構造は、デバイス機能に必要でない。あるいは、誘電体または絶縁遮断材でデバイスを封じ込める、または超微細位置を完全に隔離することも実際必要ではない。このことは、複合電子フィールドのパターンまたは誘電体境界が、いずれかの電極間の空間または媒質中で特異的的分子を選択的に移動し、分離し、固定し、または方向付ける必要がないためである。特異的結合分子ならびに続く分析物および反応物がアドレス可能な超微細位置の表面に付着することによってデバイスはこのことを達成する。自由フィールド電気泳動の推進力によって、デバイス上のいずれかの位置および全位置の間のいずれの荷電分子の迅速かつ直接的な;またはバルク溶液から超微細位置への輸送が供される。しかしながら、流体容器およびバイオハザード目的のためにデバイスを取り囲むであろうことは指摘しなければならない。
【0076】
数百個を超えて超微細位置の数が増加するにしたがって、該超微細位置の下部回路の複雑性も増大する。この場合においては、超微細位置のグルーピングパ
ターンを変化させ、空間距離も比例的に増加させなければならず、あるいは複層回路を基礎デバイスに作製することができる。
【0077】
特異的結合物質でアドレスした超微細位置に加えて、他の機能を供する非-分析超微細位置およびマクロ位置が該デバイスには含まれているであろう。これらの超微細位置またはマクロ位置を用いて試薬を保存し、反応物、分析物もしくは細胞を一時的に保存することができ;かつ、過剰量の反応物、分析物または試料中の他の阻害成分のための一回使用ユニット(すなわち、試薬調剤系および試料調製系)として用いることができる。他の非アドレス超微細位置をアドレスされた超微細位置と組み合わせて使用して、これらの特異的超微細位置で生じる反応に作用または影響することができる。これらの超微細位置は、デバイス間およびデバイス内の活性および制御の双方に付加される。かくして、2つの離れたデバイスの間で相互作用し輸送することも超微細位置には可能である。このことによって、保存デバイスからの結合物質または反応物で作動デバイスをロードする機構、試料調製の機構、およびデバイスをコピーまた複製する機構が提供される。
【0078】
図3は、64個のアドレス可能な超微細位置(30)を含有するマトリックス型のデバイスを示している。64個の超微細位置デバイスは簡便な設計である。それは、標準的な超小型電子技術チップ・パッケージング構成要素と嵌合する。かかるデバイスは、64個の超微細位置を含有する750μm×750μmの中枢領域で、約1.5cm×1.5cmのケイ素チップ基板上に作製する。各超微細位置(32)は、近隣の超微細位置と50μm離れている約50μmである。各個々の下部超微細電極用の接続回路は、金属接触パッド(300μm)(34)の外側周辺部(10mm×10mm)を走っている。せり上がった内側周辺部は、超微細位置を有する領域および接触パッドの間に形成でき、約2〜10μlの試料溶液を保持できるキャビティーを形成する。「チップ」は標準クアドパッケージ中にマウントすることができ、チップ接触パッド(34)は該クアドパッケージのピンに配線する。1を超えるチップおよびさらなるパッケージングおよび周辺構成要素を含有するシステムは、臨床診断、すなわち試料物質の添加、流体の移動およびバイオハザード物質の封じ込めに関連する問題を扱うように設計することができる。次いで、パッケージングしたチップは、該デバイスを制御し操作できるマイクロプロセッサー制御DC電力供給源およびマルチメーター器具に接続することができる。互いに実質的に挟まれるであろう3種の基本構成要素の取り込みがデバイス製造(アドレッシング前)に最終的に含まれるであろうということが本発明によって意図される。それに結合物質が付着する基本チップデバイスは中間位置にあるであろう;試料または流体容器構成要素は基本チップデバイスの頂点上でアニーリングされるであろう;超小型電子技術検出器および外部コントローラー構成要素は基本チップデバイスの底部にアニーリングされるであろう。この戦略により、作製技術および物質和合性に関連する多数の問題が解決される。
【0079】
I(b) マイクロリソグラフィー作製法
I(b)(1)作製工程
一般的なマイクロリソグラフィー技術または写真平板技術を、膨大な数の小さな超微細位置を有する複合「チップ」型デバイスの作製に用いることができる。デバイスの作製には複雑写真平板技術は必要でないが、材の選択、および水溶液中で電子工学的デバイスを有効に機能させるという要件には特別な配慮がまさに必要である。
【0080】
図3に示す64個の超微細位置デバイス(30)は、相対的に単純なマスク設計および標準的なマイクロリソグラフィー技術を用いて作製することができる。一般的に、基板材は1〜2cmのシリコン・ウェハーまたは厚さ0.5μmのチップであろう。シリコンチップは、プラズマ加熱化学蒸気沈着(PECVD)によって適用する、厚さ2μmの二酸化ケイ素(SiO)絶縁コートで最初に保護膜形成する。
【0081】
次工程において、真空蒸発によって0.2〜0.5μmの金属層(例えば、アルミニウム)を沈着させる。また、スパッタリング技術によって金属を沈着させることもできる。アルミニウムに加えて、回路に適当な金属および材料には、金、銀、スズ、チタン、銅、白金、パラジウム、ポリケイ素、炭素および種々の金属の組合せが含まれる。絶縁基板材(SiO)に適当に粘着させる特別な技術は異なる金属で用いる。例えば、周辺接触パッド用にアルミニウム、相互連結回路用にポリケイ素、超微細電極用に貴金属(金または白金)を用いるように、異なる金属および他の材をデバイスの異なる導電性構成要素に用いることができる。
【0082】
次いで、チップを正荷電のフォトレジスト(シプレー(Shipley)、マイクロポジットAZ1350J)で保護膜形成し、回路パターンでマスク(明場(light field))し、露光し現像する。該フォト溶解したレジストを除去し、露光アルミニウムをエッチングする。今度は、アルミニウム回路パターンをチップ上に残しつつ、レジストのアイランドを除去する。これには、金属接触パッドの外側周辺部、接続回路(配線)、およびアドレス可能な超微細位置の下部基板として供される超微細電極の中枢アレイが含まれる。
【0083】
PECVDを用いると、該チップを最初に0.2〜0.4μmのSiO層で、次いで0.1〜0.2μmの窒化ケイ素(Si)層で保護膜形成する。次いで、チップを正のフォトレジストで被覆し、接触パッドおよび超微細電極位置用にマスクし、露光し現像する。フォト溶解したレジストを除去し、SiOおよびSi層をエッティングしてアルミニウム接触パッドおよび超微細電極を露光する。次いで、周囲のアイランド・レジストを除去すると、接触パッドおよび超微細電極の間の接続配線がSiOおよびSi層によって絶縁されたまま残る。
【0084】
SiOおよびSi層は該デバイスの機能性に重要な特性を供する。第二のSiO層はアルミニウム回路とのより良好な接触および改善された密閉性を供する。また、レジスト材を用いて絶縁し密閉することもできる。このことによって、超微細電極が作動開している際の電解効作用による回路の掘削が防がれる。Siを、被覆する最終表層として用いる。なぜなら、特異的結合物質に付着する超微細電極表面を修飾するのに使用する続く試薬とそれが顕著に反応性が低いためである。
【0085】
I(b)(2) 浸透層および付着層形成工程
この時点で、デバイス上の超微細電極位置は、特殊化した浸透層および付着層で修飾する準備ができている。このことは本発明の重要な態様である。目的は、選択的な拡散特性を有する中間浸透層および最適な結合特性を有する付着表面層を超微細電極上に作製することである。
【0086】
最適には、該付着層は特異的結合物質が付着するために、μm当たり10〜10個の官能基化位置を有する。特異的結合物質の付着は、官能化から下部超微細電極が保護されるよう、表面を保護膜形成または絶縁してはならない。官能化デバイスには、ある画分(〜5%ないし25%)の能動的金属超微細電極表面が溶媒(HO)分子に依然として接近でき、かつ対イオン(例えば、NaおよびCl)および電解ガス(例えば、OおよびH)の拡散が生じ得ることが必要である。
【0087】
また、中間浸透層も拡散が生じるように設計されている。加えて、該浸透層は、超微細電極表面との物理学的接触から大きな結合物質、反応物および分析物を阻害または妨害するポア限界特性を有していなければならない。浸透層は、超微細位置の結合物質とは物理学的に異なる能動的超微細電極表面を維持している。
【0088】
この設計によって、電気泳動輸送に要する電解反応を超微細電極表面上で生じさせることができるが、結合物質、反応物および分析物に対する不利な電気化学効果が回避される。
【0089】
また、浸透層は、電解反応で生成する有害な物質(H、O、フリーラジカル等)をスキャベンジする物質を含むよう設計することもできる。この目的のために、浸透層の亜層を設計することができる。
【0090】
種々の設計および技術を用いて浸透層を作製することができる。一般的な設計には:(1)「ローン(Lawn)」、(2)「メッシュ(Mesh)」および(3)「ポーラス(Porous)」構造が包含される。
【0091】
ローン型浸透層には、繁茂した芝草に類似した方法で、金属表面から垂直方向に線状分子またはポリマーを配列させることが含まれる。これらの構造は、垂直構造の間に最小限の架橋を有しつつ、線状またはポリマー性の疎水性分子を金属表面に直接付着させることによって形成できる。理想的には、これらの疎水性線状分子は、金属パッドへ共有結合するのに適した1個の末端、および結合物質の共有結合に適したもう1個の末端を有する二官能基分子である。
【0092】
メッシュ型浸透層には、架橋の程度によって決定される平均ポアサイズを有するメッシュ様構造を形成するポリマー性分子の不規則な配列が含まれる。これらの構造は、限定するものではないが、ポリアクリルアミド、アガロース、および重合し架橋できる他の生物学的材および非生物学的材のごときハイドロゲル型材によって形成できる。
【0093】
ポアー型浸透層には、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリスルホンまたはガラス材を含む、層表面の頂点から金属パッドまで直接的にチャンネルまたは孔を形成できる材の使用が含まれる。全ての場合において、該浸透層は、物理学的または化学的に金属表面に固定されていなければならず、官能基を含んでいるか、結合物質がその表面へ付着することができるよう官能化できなければならない。
【0094】
ローン型構造を作製する1つの好ましい方法には、アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)を使用する金属超微細電極表面の誘導化が含まれる。APSは、金属およびシリコン表面上で酸化物および/またはヒドロキシル基と容易に反応する。APSは、結合物質の続く共有カップリングのための第一級アミン基で、浸透層および付着層を結合させる。表面結合部位によって、APSは、わずかに酸化されたアルミニウム表面上に相対的に高いレベルの官能化(すなわち、多数の第一級アミン)、SiO表面上に中間レベルの官能化、およびSi表面の非常に制限された官能化を作製する。
【0095】
APS反応は、全デバイス(例えば、チップ)表面をトルエン中の10%APS溶液で50℃にて30分間処理することによって行う。次いで、該チップをトルエン、エタノール中で洗浄し、次いで50℃にて1時間乾燥する。該超微細電極金属表面は、多数の第一級アミン基(10〜10/μm)で官能化する。今度は、結合物質を、誘導化した超微細電極表面に共有結合することができる。この「ローン型」浸透層の深さは、ポリオキシエチレン=ビス(アミン)、ビス(ポリオキシエチレン=ビス(アミン))、および他のポリエチレングリコールまたは同様の化合物を用いることによって増加することができる。
【0096】
APS法はオリゴヌクレオチド結合物質の付着によく作用する。図4は、3'-末端アルデヒド誘導化オリゴヌクレオチド(40)をAPS官能化表面(42)へ付着させる機構を示している。これは1つのアプローチを表しているが、浸透層および付着層を形成する種々の他のアプローチも可能である。これらには、塩基電極自体が:(1)塩基超微細電極に電気メッキすることにより二次金属層を形成する;(2)超微細電極位置への電気重合により浸透層を形成する、または(3)自由フィールド電気泳動工程によって活性化ポリマーおよび試薬を超微細電極表面に輸送し、続く浸透層および付着層を形成することによる自己-指定アドレッシングの使用が包含される。
【0097】
I(c).マイクロマシーン加工デバイスの設計および作製
このセクションでは、マイクロマシーン加工技術(例えば、穿孔、粉砕等)または非リソグラフィー技術をいかに用いてデバイスを作製するかを記載する。一般的に、これらのデバイスは、マイクロリソグラフィーによって作製されるものよりも相対的に大きな超微細位置(>100μm)を有する。これらのデバイスは、分析適用、ならびに生体高分子合成、試料調製、試薬調剤機、保存容器および廃棄処分のごとき、分取型の適用に用いることができる。大きなアドレス可能な位置は、多量の結合物質を運搬するために三次元形式(例えば、管またはシリンダー)で作製することができる。かかるデバイスは、限定するものではないが、プラスチック、ゴム、シリコン、ガラス(例えば、超微細チャンネル、マイクロキャピラリー等)またはセラミックスを包含する種々の材を用いて作製することができる。低い蛍光性材が分析適用により理想的である。マイクロマシーン加工デバイスの場合、接続回路および大きな電極構造は、当業者に知られている標準的な回路ボード・プリンティング技術を用いて材上にプリントすることができる。
【0098】
アドレス可能な超微細位置デバイスは、マイクロマシーン加工技術を用いて比較的容易に作製することができる。図5は、96個の超微細位置デバイスの模式図である。この超微細位置デバイスは、材を通して均整をとって間隔を空けた96個の孔(直径1mm)を穿孔することによって、適当な材料台材(2cm×4cm×1cm)から作製する。電極回路ボード(52)は、超微細位置構成要素(54)の上面に正確に嵌合する薄シートのプラスチック材台材上に形成する。回路ボードの下面には、各超微細位置(55)への個々の配線(プリント回路)が含まれる。短い白金電極構造(〜3-4mm)(62)は、個々の超微細位置チャンバー(57)まで延びるよう設計されている。該プリント回路配線は、適当な防水性絶縁材で被覆されている。プリント回路配線はソケットに収束し、これにより複合スイッチ・コントローラー(56)およびDC電力供給源(58)に接続される。デバイスは共通緩衝液貯蔵器(59)中に部分的に浸漬しており、その中で作動する。マイクイロマシーン加工技術およびマイクロリソグラフィー技術によって作製したデバイス中の超微細位置の主機能は同一であるが、それらの設計は異なっている。マイクロリソグラフィーによって作製したデバイスにおいては、浸透層および付着層を下部金属超微細電極上に直接的に形成する。マイクロマシーン加工技術によって作製したデバイスにおいては、浸透層および付着層は、個々のチャンバーまたは容器(57)中の緩衝溶液によって、それらの個々の金属電極構造(62)から物理的に離されている(図6参照)。マイクロマシーン加工デバイスにおいては、該浸透層および付着層は、官能化親水性のゲル、膜、または他の適当な多孔性材を用いて形成できる。
【0099】
一般的に、結合した浸透層および付着層の厚さは、10μm〜30mmの範囲である。例えば、20%〜35%の(0.1%ポリリジンを有する)ポリアクリルアミド修飾親水性ゲルを用いて、デバイス中の各個々の超微細位置チャンバーを部分的に充填する(〜0.5mm)ことができる。これらのゲル濃度は、ポア限界2nm〜10nmを有する理想的な浸透層を形成する。ゲル中に取り込まれたポリリジンによって、特異的結合物質の続く付着のための第一級アミン官能基が供される。この型のゲル浸透層によって、DC様式で電極を能動的に機能させることができる。電極が活性化された場合には、ゲル浸透層は、それを通して小さな対イオンは通すが、大きな特異的結合物質分子は外側表面上に濃縮される。ここに、それらが第一級アミンの外側層に共有結合し、これが効率的に付着層となる。 浸透層および付着層の形成のための別の技術は、各超微細位置チャンバーの塩基に多孔性の膜材料に組み込むことである。次いで、膜の外側表面を化学官能基で誘導化し付着層を形成させる。このアプローチを行うのに適当な技術および材は、当業者に知られている。
【0100】
マイクロリソグラフィーおよびマイクロマシーン加工デバイスの両方の設計および作製についての上記記載は、基本デバイスの他の変形または形態を限定することを意味するものでは決してない。より多数または少数のアドレス可能な超微細位置を有するデバイスの多くの変形、またはデバイスの組み合わせ、異なった分析および分取の適用とすることができる。より大きなアドレス可能な位置を有するデバイスの変形は、分取用生体高分子合成への適用、試料分取、セル・ソーティング系、イン・サイチュ・ハイブリダイゼーション、試薬調剤、保存系および廃棄処理系用に設計することができる。
【0101】
II. デバイスの自己指定アドレッシング
本発明のデバイスは、特異的結合物質で各超微細位置を電子工学的に自己アドレスすることができる。デバイス自体が、荷電特異的結合物質の特異的超微細位置への運搬に直接影響するか、またはそれを引き起こす。結合物質は、それが付着層に容易に反応し共有結合するように、一般的に官能化されている。デバイスは、ある程度まで外部工程、機構または器具を必要としないで、特異的超微細位置で特異的結合物質を物理的に方向付け、位置決定し、または設置する。この自己-アドレッシング工程は、迅速かつ特異的であり、連続様式または平行様式で行うことができる。
【0102】
デバイスは、DCモードかつ特異的結合物質のものの反対の電荷(電位)に選択した超微細位置を維持することによって、特異的結合物質で連続してアドレスすることができる。結合物質が正味負の電荷を有する場合には、結合物質が運搬されるべき超微細位置が正に偏倚されよう。反対に、負電荷の超微細位置を用いて正に荷電した結合物質が運搬されるであろう。連続アドレッシング工程中の残りの超微細位置を偏倚させる選択には:反対の電荷(アドレスする超微細位置に対して反対)に全ての他の超微細位置を偏倚させること;反対の電荷に制限された群の超微細位置を偏倚させること;または、反対の電荷で超微細位置(または他の電極)を1個のみ偏倚させることが包含される。ある場合においては、反対の電荷で1またはそれを超える超微細位置を強く偏倚させることが望ましいが、他の群の超微細位置は弱く偏倚させることが望ましいであろう。この工程によって、残りの超微細位置をアドレスする間に、保護すべき超微細位置をあらかじめアドレスすることができる。結合物質が結合位置上の付着部位に過剰にない場合には、1個の他の超微細位置のみに影響して特異的超微細位置まで自由フィールド電気泳動運搬させる必要があり得る。特異的結合物質は、バルク溶液を通して迅速に運搬でき、それが付着層の特殊表面に迅速に共有結合する特異的超微細位置(群)で直接濃縮することができる。運搬速度は、結合物質のサイズおよび電荷、ならびに超微細位置間に用いる電圧および電流のレベルに依存する。一般的に、運搬速度は数秒から数分の範囲とすることができる。特異的超微細位置(72)上に結合物質、反応物、または分析物(72)を電子工学的に濃縮する能力を図7に示す。全ての他の超微細位置は、特異的結合物質アドレッシング工程の間、保護し、未作用のまま残すことができる。いずれの未反応物質も、特異的超微細位置の極性を反対にし、それを廃棄位置まで電気泳動することによって除去される。全ての所望の超微細位置がそれらの特異的結合物質でアドレスされるまで該サイクルを繰り返す。図8は、特異的オリゴヌクレオチド結合物質(82、84、86)で特異的超微細位置(81、83、85)をアドレスするための連続工程を示している。
【0103】
超微細位置をアドレスする平行工程には、同一の特異的結合物質を輸送し、濃縮し、1を超える特異的超微細位置と反応するよう、1個の超微細位置(特定基)を同時に活性化することが含まれる。続く平行加工も連続工程と同様である。
【0104】
III. デバイスの適用
デバイスが特異的結合物質で自己アドレスされれば、種々の分子生物学型の複数工程かつ複合の反応および分析をデバイス上で行うことができる。本発明のデバイスは、多数の重要な反応指標上の能動的かつ動的な制御を電子工学的に供する。この電子工学的制御によって、制御している反応に新たな物理学的機構が誘導され、反応速度、特異性および感度が顕著に改善される。デバイス能力から発生するこれらのパラメーターにおける改善点は:(1)付着した特異的結合物質を含有する超微細位置への反応物または分析物の迅速な輸送;(2)反応物または分析物の濃縮による、特異的超微細位置表面上での特異的結合物質との反応速度の上昇;(3)超微細位置からの未反応および非特異的結合成分の迅速かつ選択的な除去;および(4)最適結合条件の厳格性の電子工学的な制御および直接的作用である。
【0105】
本発明の自己アドレスされたデバイスは、種々の超微細形式化した複数工程および/または複合の反応および方法;限定するものではないが:
-従来形式のDNAおよびRNAハイブリダイゼーション工程および分析;
例えば、付着標的DNA/プローブDNA、付着プローブDNA/標的DNA、付着捕捉DNA/標的DNA/プローブDNA;
-連続および平行の両様式の複数または複合ハイブリダイゼーション反応;
-制限断片および一般的DNA/RNA断片サイズ分析;
-分子生物学的反応、例えば、制限酵素反応および分析、リガーゼ反応、キナーゼ反応、およびDNA/RNA増幅;
-大きいまたは小さい抗原およびハプテンを含有する抗原/抗体反応;
-診断アッセイ、例えば、ハイブリダイゼーション分析(イン-サイチュー・ハイブリダイゼーションを含む)、遺伝子解析、指紋印刷および免疫診断;
-試料調製、細胞のソーティング、選抜、および分析;
-生物分子結合法(すなわち、蛍光、化学ルミネッセント、比色基(colorimetric)およびラジオアイソトープを包含するレポーター基での核酸、酵素、蛋白質または抗体の共有結合および非共有結合標識);
-生体高分子合成、例えば、オリゴヌクレオチドまたはペプチドの組合せ合成;
-水溶性合成ポリマーの合成、例えば、炭化水素または線状ポリアクリル酸;ならびに
-高分子分子およびナノ構造(ナノメーター・サイズの粒子および構造)合成および作製
を迅速に行うことができる。
【0106】
III(a) 核酸ハイブリダイゼーション
核酸ハイブリダイゼーションを本発明の主な例として用いた。なぜならば、それらの診断における重要性、およびそれが1を超える困難な型の結合(親和性)反応の特性を表すためである。このことは、各個々のハイブリダイゼーション反応が異なる厳格条件を要する複合様式でそれを行う場合には特に正しい。
特許請求するデバイスおよび方法によって、従来および新たな種々の様式で核酸ハイブリダイゼーションを行うことができる。反応パラメーターを電子工学的に制御するデバイスの能力は、核酸ハイブリダイゼーション分析、特に電子工学的な厳格制御(ESC)をアレイ上の各個々の超微細位置に供する。
【0107】
「核酸ハイブリダイゼーション」なる語は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを包含する全ての天然および合成形態の核酸ならびに核酸誘導体の間の全てのハイブリダイゼーション反応を包含することを意味する。
【0108】
「ドット・ブロット」ハイブリダイゼーションおよび「サンドイッチ」ハイブリダイゼーションのごとき従来のハイブリゼーション形式は、特許請求するデバイスならびに大スケールのアレイまたはマトリックス形式で行うことができる。例としては、DNAハイブリダイゼーション分析用のアペックスデバイスを設計し、作製し、以下の様式で用いる。超微細位置のアレイは、マイクロリソグラフィー(またはマイクロマシーン加工)技術を用いて最初に製作される。アレイ上のアドレス可能な超微細位置の数は、最終的な用途に依存する。該デバイスは、特異的オリゴヌクレオチド群と連続様式で迅速に自己アドレスする。この場合、特異的オリゴヌクレオチドは、6重体〜100重体の範囲の3'-末端アルデヒド官能化オリゴヌクレオチドであるが、所望により、さらに長いポリヌクレオチドを付着することができる。アルデヒド官能基は、特異的超微細位置付着表面に共有結合させることができる(図4参照)。この群の特異的オリゴヌクレオチドは、従来技術を用いた従来のDNAシンセサイザー上で容易に合成することができる。各特異的オリゴヌクレオチドの合成は、リボヌクレオチド制御された孔ガラス(CPG)支持体から開始する。かくして、3'-末端位置にはリボヌクレオチドが含有され、次いでこれは末端ジアルデヒド誘導体へ合成され、精製された後に過ヨウ素酸酸化によって容易に転化される。オリゴヌクレオチド(40)を含有するアルデヒドは、シフ(Schiff)塩基反応工程によって、超微細位置表面上の第一級アミン官能基と容易に反応するであろう。
【0109】
特異的オリゴヌクレオチドとデバイスとの電子工学的アドレッシングを図8に示す。第1の特異的超微細位置(ML-1)(81)とその特異的配列オリゴヌクレオチド(SSO-1)(82)とのアドレッシングは、特異的微小電極(ML-1)を正のDC電位に維持する一方で、全ての他の微小電極を負の電位に維持することにより達成する(図8(A))。水性緩衝液中のアルデヒド官能基化特異的配列
(SSO-1)は、ML-1アドレスまで自由フィールド電気泳動され、そこでそれを濃縮(>10倍)すると直ちにML-1(81)の表面に共有結合する。全ての他の超微細電極は負に維持されており、SSO-1配列(82)との反応から依然として保護または遮断されている。次いで、ML-1電位を負(−)に逆転させていずれの非処理SSO-1も廃棄系まで電気泳動する。サイクルは、全ての所望の超微細位置がそれらの特異的DNA配列でアドレスされるまで、SSO-2(84)--→ML-2(83)、SSO-3(86)--→ML-3(85)、SSO-n--→ML-nを繰り返す(図8(D))。
【0110】
デバイスをアドレスするもう1つの方法は、電子工学的試薬供給デバイスから特異的オリゴヌクレオチドのごとき特異的結合物質を輸送することである。この供給デバイスは大量の結合物質または試薬を保持し、分析的デバイスを負荷するのに用いられるであろう。結合物質は、2つのデバイス間で電子工学的に輸送されるであろう。この系により、マイクロビペット添加、およびデバイス内またはデバイス間の複雑な流体デリバリー系のごとき物理的操作の必要がなくなった。
デバイスをアドレスするさらにもう1つの方法は、特異的超微細位置で特異的オリゴヌクレオチドの組合せ合成を行うことである。組合せ合成は後のセクションで記載する。
【0111】
特異的DNA配列でデバイスをアドレスした後も、アレイデバイス上の超微細位置の下側の超微細電極が独立作動性直流(DC)電極のままであることが重要である。下部超微細電極は化学的または物理学的に絶縁されないように電極表面へ付着させるため、このことは可能である。各超微細電極は、超微細位置表面へのおよびそこからの他の荷電DNA分子の自由フィールド電気泳動輸送に必要な強い直流を各超微細電極は依然として作り出すことができる。かくして、DNAアレイ・デバイスは、DNAハイブリダイゼーションの全ての態様およびいずれの他の続く反応にわたり完全に電子制御する。
【0112】
電子工学的に制御されたハイブリダイゼーション工程の一例を図9に示す。この場合において、各アドレス可能な超微細位置は特異的捕捉配列(90)を有する。標的DNA(92)を含有する試料溶液を該デバイスに付する。全ての超微細位置が活性化され、該超微細位置で試料DNAが濃縮される(図9(B))。希釈溶液からの標的DNA分子が超微細位置に高濃度に濃縮されるようになったことにより、表面上の特異的相補DNA配列に非常に迅速にハイブリダイゼーションさせることができる。超微細電極電位をが逆転させると、全ての非-ハイブリダイゼーションDNAは超微細位置から反発するが、標的DNAはハイブリダイズしたままである(図9(C))。同様な様式において、続く工程でレポーター・プローブをハイブリダイズさせて、ハイブリダイズした複合体を検出する。
【0113】
ハイブリダイゼーション工程の電子工学的制御は、全体のハイブリダイゼーション効率を向上し、かつ微細位置領域から非-特異的DNAを除去することによって、標的DNA分子の続く検出を改善する。非-増幅ゲノムDNAにおいて10,000〜100,000コピーの標的配列が検出できると予想される。この型のハイブリダイゼーション反応は、プローブTmよりかなり低い等温条件下;最小限の外部操作(すなわち、従来の洗浄工程は完全に除去される)で数分またはそれ未満で行うことができる。
【0114】
もう1つのDNAハイブリダイゼーションアッセイの通常の形式には、表面上に固定化した標的DNAを有すること、および次いで特異的プローブをこれらの標的DNAにハイブリダイズさせることが含まれる。この形式には、複数位置の同一の標的DNA、または特異的位置の異なる標的DNAのいずれかを含むことができる。図10は、この連続ハイブリダイゼーション形式の改善バージョンを示している。この場合において、超微細位置(101-107)は異なる捕捉DNAでアドレスされる。これらは、オリゴヌクレオチドに特異的な異なる配列と連続様式でハイズリダイズする(108、109)。超微細位置は、順次、正に偏倚させて、分子をそれ自体に輸送し、次いで、負に偏倚させて該分子を次ぎの超微細位置に輸送する。適当な電極電位では、特異的にハイブリダイズしたDNAプローブは超微細位置に残るが、非-ハイブリダイズプローブは次の超微細位置に輸送される。配列特異的オリゴヌクレオチド・プローブは、蛍光発色団のごとき適当なレポーター基で標識することができる。
【0115】
特許請求するデバイスは、電子工学的な厳格条件を供することができる。厳格制御は、ハイブリダイゼーション特異性に必要であり、点突然変異における一塩基誤対合の解読には特に重要である。図11は、電子工学的厳格制御を一塩基誤対合分析にいかに用いることができるかを示している。電子工学的厳格制御は、複数-塩基-誤対合の分析にも適用することができる。図11(A)において、完全対合DNAハイブリッド(110)は、誤対合DNAハイブリッド(112)よりも僅かに安定である。超微細位置を負に偏倚させ(図11(B))、所定量の電気泳動電力を記載された時間に流すことによって、この誤対合DNAハイブリッドを変性または除去しつつ、完全対合DNAハイブリッドを保持することが可能である(図11(C))。図15は、電子工学的厳格制御を利用した電子工学的ハイブリダイゼーション工程と従来のハイブリダイゼーション工程との結果を比較している。ハイブリダイゼーションには、Ras12オンコジーン突然変異に関する15重体のGおよびA点突然変異プローブが含まれる。電子工学的ハイブリダイゼーションの結果は、顕著に改善されたハイブリダイゼーション効率と、従来法を上回る一塩基誤対合に関する非常に大きな識別比とを示している。
【0116】
さらなる改善において、特許請求するデバイスは、該デバイス上で生じる各特異的ハイブリダイゼーション反応に個別の厳格制御を供する。効果において、各ハイブリダイゼーションは独立反応である。従来または受動アレイ形式では、同一ハイブリダイゼーション溶液中に生じる全てのハイブリダイゼーション事象について最適な厳格性を達成することは不可能である。しかしながら、本発明の能動的アレイ・デバイスは、それらが同一のバルクハイブリダイゼーション溶液中で生じる場合でさえ、異なる超微細位置におけるハイブリダイゼーションに異なる電子工学的厳格性を供することができる。このことは、従来のマトリックスまたはアレイ・ハイブリダイゼーション形式、ハイブリダイゼーション形式による配列決定(SBH)、および他の複合分析の生来の限界を克服するのに貢献している。
【0117】
ハイブリダイゼーションの特異性(すなわち、識別比)および(単一の点突然変異の検出のごとき)感度を改善することに加えて、電子工学的厳格制御によって、通常の範囲外のオリゴヌクレオチドをこれらの適用に用いることができる。8重体〜21重体の範囲のオリゴヌクレオチドは、従来のハイブリダイゼーション法で点突然変異検出が可能と考えられる。従来のハイブリダイゼーション法を用いた最近の実践においては、10重体〜19重体のオリゴヌクレオチドを、厳格制御の温度および塩濃度を利用するこれらの従来法で最も頻繁に用いている。10重体よりも短いオリゴヌクレオチドは、複合ハイブリダイゼーションに許容できなく;8重体よりも短い配列は、ハイブリダイゼーション効率が不足しているため、使用さえ考えられないことが判明した。21重体を超える長い配列も用られない。なぜなら、対合および誤対合のプローブ間の識別比をそれらが非常に少ししか有していないためである。配列長が21重体を超えて長くなるにしたがい、対合および誤対合プローブ間のハイブリダイゼーション・シグナルの差を識別する能力は顕著に低下する。
【0118】
本発明者らは、電子工学的厳格制御を有するAPEXデバイス上でのハイブリダイゼーションを、非常に高い識別比で短い(7重体およびそれ未満のもの)および長い(22重体およびそれを超えるもの)両方のオリゴヌクレオチドにも用いることができることを発見した。短いオリゴヌクレオチド配列(7重体またはそれ未満のもの)は、ハイブリダイゼーションによる配列決定(SHB)に利点を有している。短い長さの配列は、このSBHについて用いるべき少数のオリゴヌクレオチド(8重体=65,536、7重体=16,384、6重体=4,096)と整列させることができる。長い配列(22重体およびそれを超えるもの)を電子工学的厳格突然変異分析と共に用いると、より感度が高く、選択的な突然変異分析を行うことができる。より長いプローブを使用することにより、非常に複雑なDNA試料において高感度を提供することができ、また高い全体ハイブリダイゼーション効率を提供することもできる。
【0119】
電気ハイブリダイゼーション技術を用いてイン-サイチュ・ハイブリダイゼーションを行うことができる。イン-サイチュとは、細胞から標的DNA(またはRNA)は除去されるが、その内側を直接検出するという基本的に異なったハイブリダイゼーション形式を表す。イン-サイチュ・ハイブリダイゼーション法は一般的には複雑で、時間がかかり、かつ短い標的配列(すなわち、単一の点突然変異)を検出することはほとんど不可能である。電子工学的に制御されたイン-サイチュ・ハイブリダイゼーションは、当該デバイスの活性表面上で直接細胞に付着し、加工するAPEXデバイス上で行うことができる(試料調製技術については実施例14参照)。しかしながら、細胞からDNAを抽出するよりもむしろ、該APEXデバイスはレポーター・プローブを細胞内のDNAに直接的に電子工学的にハイブリダイズさせる。電子工学的厳格制御を用いれば、非-特異的結合を大部分除去し、全体のハイブリダイゼーション効率を改善することによって、選択性および感度の双方が向上する。また、電子工学的厳格制御がハイブリダイゼーションに供する能力は、レポーター基標識DNAプローブを用いることなくDNAハイブリダイゼーションを検出する新たな機構も提供する。それは、ハイブリダイゼーション工程自体のさらに直接的に検出する方法を提供する。蛍光色素検出工程を図12に示し、実施例4および6に記載する。DNAハイブリッドの直接検出は、臭化エチジウムのごときDNA結合色素を用いることによって達成できる。該色素は二本鎖および一本鎖DNAの双方に結合するが、前者により大きな親和性を有する。図12(B)において、正に電荷した色素(122)は、負に偏倚した超微細位置に輸送される。該色素は、ハイブリダイズした(120)および非-ハイブリダイズ(121)のDNA配列の双方に結合する(図12(C))。超微細位置を正に偏倚し、所定量の電力を所定時間流すことによって、該色素分子が非-ハイブリダイズ超微細位置に結合して選択的に除去される。DNAハイブリッドに有害に作用しない適当な電流量を供することができる。次いで、色素分子と結合したハイブリダイズDNAを、結合または集積光学システムを用いて蛍光検出する。
【0120】
本発明のデバイスによって、以下の反復する重要な利点が核酸ハイブリダイゼーション反応および反応に供される:
(1)希釈された標的DNAおよび/またはプローブDNA配列の、ハイブリダイゼーションが起こる特異的超微細位置(群)への迅速な輸送。この工程は、5〜120秒の範囲で起こすことができる。
(2)希釈された標的DNAおよび/またはプローブDNA配列の、ハイブリダイゼーションが起こる特異的超微細位置(群)での濃縮。濃縮効果は、恐らくは百万倍(>10)をはるかに超える。
(3)非-特異的結合標的DNA配列の、ハイブリダイゼーションが起こる特異的超微細位置(群)からの迅速な除去。この工程は、5〜120秒の範囲で起こすことができる。
(4)競合する相補的標的DNA配列の、ハイブリダイゼーションが起こる特異的超微細位置(群)からの迅速な除去。この工程は、5〜120秒の範囲で起こすことができる。
(6)多数の独立したハイブリダイゼーション反応を数分間で行うことができる能力。
(7)プローブのTmよりはるかに低い等温条件かつ、最小限の外部操作または洗浄工程でハイブリダイゼーション工程を行うことができる能力。
(8)部分ハイブリダイズDNA配列を除去するための電子工学的厳格制御(ESC)の使用。
(9)1,000〜100,000コピー範囲の非増幅ゲノム標的DNA配列のハイブリダイゼーション分析を行うことができる能力。
(10)単一塩基誤対合ハイブリダイゼーション(点突然変異)の識別比(すなわち、分解能)および感度を改善するためのESCの使用。
(11)従来のハイブリダイゼーション法で用いられていたものよりも短い(7重体およびそれ未満のもの)または長い(22重体またはそれを超えるもの)かのいずれかの単一点突然変異プローブを使用できる能力。
(12)マトリックス・ハイブリダイゼーションに個々の厳格制御を供するためのESCの使用。
(13)非-特異的バックグラウンド成分を除去することによるハイブリダイゼーション事象の検出を改善すること。
(14)固定化細胞で電子工学的イン-サイチュ・ハイブリダイゼーションを行うことができる能力。
(15)ハイブリダイゼーションを検出するために共有的に標識したレポータープローブまたは標的DNAを用いる必要性がない検出方法の開発。
【0121】
III(b) デバイスの再現性
特異的結合物質で個々のデバイスを別々にアドレッシングすることに加えて、特異的結合物質を他のデバイスにコピーできるマスターデバイスを作製することも可能である。このことは、デバイスの作製または製造のもう1つの方法を表している。デバイス複製の工程を図13に示す。特異的結合配列でアドレスされた超微細位置を含むマスターデバイスを、各々の相補的DNA配列(130)とハイブリダイズさせる。これらの相補的配列は活性化され、それ故、超微細位置付着層に共有結合できる。
【0122】
付着層を含有する非アドレス姉妹デバイス(132)を、ハイブリダイズしたマスターデバイスと比較した(図13(B))。マスターデバイスの超微細位置は負に偏倚しており、姉妹デバイスの超微細位置は正に偏倚している。DNAハイブリッドを電子工学的に変性し、活性化DNA配列が超微細位置に共有結合する姉妹デバイスまで輸送する(図13(C))。超微細位置間のクロストークが最小限化されるようなデバイス構造に依存して、該工程は平行または連続で行うことができる。ハイブリッドは、十分な負電位を適用することによって、または正に電荷したカオトロピック剤または変性剤を用いることによって変性することができる。
【0123】
III(c) 構成要素デバイスおよび集積APEXシステム
多くの別々のAPEXデバイスまたはチップを組み合わせて集積APEXシステムを構築することができる。APEX型のデバイスは多くの異なる機能を実行することができ、かつ反応物を自由フィールド電気泳動によって移動させることができるため、集積システムを開発することができる。例えば:(1)選択的に結合し細胞を溶解し、(2)試薬を電子工学的に調剤し、(3)プレ-ハイブリダイゼーションを行い、(4)廃棄処理ユニットとして作用させ、(5)DNA断片を保存し、および(5)ハイブリダイゼーション分析を行う別々のAPEXデバイスまたはチップを組み合わせて試料調製およびハイブリダイゼーション分析システムを構築することができる(実施例14および図19参照)。これらの集積APEX超小型電子工学システムは、完全な臨床分析器またはプログラム可能な分子生物学研究室と同等である(すなわちチップ上の研究室)。しかしながら、それが試料、試薬および反応物の最小限の流体工学または物理的操作しか要しない点において、それは自動制御(ロボット工学)または他の微細分析デバイスを超えている。集積APEXシステムのさらなる型には、限定するものではないが、イン-サイチュ・ハイブリダイゼーションを行うことができるもの、セル・セレクターおよびプロセッサー・システム、ならびに免疫診断分析器が包含されよう。
【0124】
III(d) 検出システムおよびレポーター基
蛍光標識レポーター基を含む結合反応の場合、結合反応を分析するためにエピ蛍光型の顕微鏡検出システムをAPEXデバイス上で使用することができる。該システムの全体的な感度は、組み合わせた検出構成要素(冷却電荷結合デバイス(CCD)、増強電荷結合デバイス(ICCD)、マイクロチャネル・プレート検出器、またはフォトン計数フォト乗算機(PMT)システム)に依存する。別法として、高感度CCDチップ検出器またはアバランシェ・フォトダイオード(APD)検出器をAPEXデバイスとさらに直接的に組み合わせることもできる。これらのシステムは、複合光学の必要性を幾分減じるものであろう。さらに進歩したシステムには、APEXチップへオプト・エレクトロニクス的または電子工学的検出素子を組み込むことが含まれるであろう。DNAの光学的および直接的電子工学的検出の双方が、これらのシステムで可能である。最も進歩したバージョンには、究極的に超小型電子検出器と共にオン-ボード・コントローラー構成要素を基本APEXチップ構成要素にサンドイッチすることが含まれよう。電子工学的および光学的(導波管)な回路は、APEX構成要素の底部を通して直接的に作製されるであろう。この戦略によって、APEX構成要素を使い捨てとするための作製技術、材料和合性、およびコスト効率に関連する多数の問題が解決される。 DNAプローブ、標的DNAまたは抗体を標識するのに用いることができる種々の蛍光色素およびレポーター基に加えて;他の型の標識またはレポーター基も用いることができる。これらには、化学ルミネッセンス標識、非-線形光学(周波数ダブラー)材料、ビオチン/アビジン複合体および種々の酵素が包含される。
【0125】
III(e) 組合せ生体高分子合成
本発明のデバイスは、オリゴヌクレオチドおよびペプチドのごとき生体高分子の組合せ合成を行うこともできる。かかる工程によって、外部の検出、影響または機械運動を全く必要としないで自己指定の合成を行うことができる。組合せ合成の他の工程には、顕微鏡位置において実際の合成を行うために、物理的保護および複合フォトリソグラフィー法、試薬デリバリーのためのマイクロロボット・ピペッティング・システム、またはコンポーネントの複雑な物理運動が必要である。本発明に開示した組合せ合成によって、非常に多数の配列をデバイス上で合成することができる。組合せ合成の基本概念には、輸送してデリバリーし、濃縮し、モノマーを反応させ、デバイス上の特異的アドレス可能な微細-微細位置で試薬をカップリングし、または試薬を脱ブロッキングするための自由フィールド電気泳動を使用することが含まれる。該概念はデバイスの本来の能力を利用して、近隣の試薬および反応物の作用から他の超微細位置を電子工学的に保護する。1またはそれを超える反応物が正味正または負に荷電するか、またはこれらの工程に適したかかる試薬を作り出すかのいずれかであるこれらの化学合成工程における選択工程の同定も該概念に重要である。
【0126】
組合せオリゴヌクレオチド合成の1つの方法を図14に示す。この方法は、1セットの選択的にアドレス可能な超微細位置(140)で開始し、該超微細位置の表面はブロックされた第一級アミン(X-NH-)基(142)で誘導化されている。該工程における最初の工程には、電荷脱ブロッキング試薬(144)を用いた超微細位置の選択的脱ブロッキングが含まれる。この場合において、該試薬は正(+)電荷に帯電しているであろう。該工程は、脱-ブロックしたそれら超微細位置に負電位を適用し、正電位を保護されたままの超微細位置に適用することによって行う(図14(B))。正および負電位を選択電極に適用することによって、他の超微細位置からの試薬を排除しつつ、荷電試薬を試薬デリバリー部位から移動させ、脱-ブロックすべき所望の超微細位置に濃縮する。
【0127】
第二工程において、システムをホスホルアミダイト試薬(x-C)(146)に単に暴露することによって、最初の塩基、この場合にはシトシンの脱ブロック超微細位置への化学カップリングが行われる。(C)ヌクレオチドは脱-ブロックされた超微細位置表面にはカップリングするが、ブロックされた電極表面には全くカップリングしない(図14(C)および(D))。この時点で通常のホスホルアミド化学が次の脱-ブロッキング工程まで行われる。
【0128】
第二脱ブロッキング工程で(図14(D))、次の塩基でカップリングすべき電極位置を負とし、保護したままの位置を正とする。今度は、カップリングすべき次の塩基に該システムを暴露し、この場合(x-A)(148)では、脱-ブロッキングした超微細位置への選択的なカップリングが達成される(図14(E)および(F))。カップリングおよび脱-ブロッキング法は、異なるDNA配列の全部が各アドレス可能な超微細位置表面上で合成されるまで繰り返される。
【0129】
前記の例は、核酸合成の1つの可能なアプローチを表している。もう1つのアプローチには、完全水溶性DNA合成が含まれる。この場合において、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCA)のごとき荷電した水溶性カップリング剤を用いて、水溶性核酸誘導体と共にオリゴヌクレオチド合成を行う。このアプローチは、塩基の広範なブロッキングを要する現在の有機溶媒に基づく技術を上回る重要な利点を有するであろう。水溶性合成は、より安価で、かつ現在の有機溶媒に基づく工程で用いる多くの有害な物質の使用がなくなるであろう。第三のアプローチ、再水溶性合成には、荷電モノマーおよび酵素の使用が含まれる。
【0130】
III(e)(1) ターミナル・トランスフェラーゼを用いたオリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドの組合せ合成に関するこのアプローチには、核酸重合酵素を使用することが含まれる。このアプローチはターミナルトランスフェラーゼ、5'-デオキシリボヌクレオチド三リン酸の3'-モノリン酸エステル、およびホスファターゼを利用する。ターミナル・トランスフェラーゼを用いてヌクレオチドをカップリングする。該3'-リン酸エステルは、各カップリング工程において2個以上のヌクレオチドが付加するのを防ぐブロッキング基として作用する。次のカップリング工程のために、3'-ホスファターゼを用いて3'-リン酸エステルを除去する。
【0131】
全ての試薬は水溶性であり荷電しているため、この組合せ合成法の全ての工程に一般的なAPEX技術を用いることができる。このアプローチにおいては、それらの5'-ヒドロキシル位を介してデバイス上の適当な数のアドレスされた超微細位置に連結しているA、T、GおよびCヌクレオチドを有するAPEXマトリックスを用いる。第一のヌクレオチドは標準的APEXアドレス技術に連結する。 カップリング反応の第1ラウンドは、その第二位でAヌクレオチドとカップリングされるべき全ての超微細位置を正に偏倚させ、次いでターミナル・トランスフェラーゼおよびデオキシアデノシン三リン酸の3'-リン酸エステルを含有する2つの電子工学的な試薬調剤器を負に偏倚させることによって開始する。該試薬は適当な超微細位置に自由フィールド電気泳動され、マトリックス上で、ターミナル・トランスフェラーゼによってAヌクレオチドが最初のヌクレオチドにカップリングされる。ヌクレオチド三リン酸はその3'位でリン酸基でエステル化されるため、ターミナル・トランスフェラーゼは1個のみのヌクレオチドを同時に付加する。
【0132】
ヌクレオチド・カップリングが完了した後、該超微細位置を負に偏倚し、廃棄処理系を正に偏倚すると、酵素および消費された試薬が除去される。該工程を、全ての超微細位置がカップリングされるまで、G、CおよびTヌクレオチドの第1ラウンドカップリングの間、繰り返す。
【0133】
カップリングの第1完全ラウンド(A、T、GおよびC)が完了する時に、全ての超微細位置を正に偏倚し、3'-ホスファターゼ酵素を有する試薬調剤器を負に偏倚させる。3'-ホスファターゼ酵素は、超微細位置まで自由フィールド電気泳動され、そこでそれは3'-リン酸エステルを加水分解する。リン酸エステルを除去すると3'-リン酸エステルが残り、次のラウンドのカップリング反応の準備ができる。該カップリング反応は、所望のオリゴヌクレオチド配列がAPEXデバイス上で完了するまで行う。
DNA合成に加えて、同様な工程をRNA合成、ペプチド合成、および他の複合ポリマーに発展させることができる。
【0134】
III(f) 電子工学的に制御された分子生物学反応および増幅反応
標的DNAおよびRNA分子の線形および指数関数的な増加および増幅を包含する種々の分子生物学的反応を、APEX超小型電子デバイスおよびチップで行うことができる。
【0135】
制限酵素切断反応およびDNA断片分析は、完全な電子工学的制御下で行うことができる。APEXデバイスを用いた核酸の増加および増幅反応は、従来の増幅方法(PCR、LCR等)用の基本的には受動的な微細-マトリックス支持体である他の「DNAチップ」デバイスとは異なる。増幅の新規な機構は、APEXデバイスの能動的な性質から直接的に生じる。能動的なデバイスによって:(1)等温反応条条件かつそのTm点よりもはるかに低い温度(熱溶解温度)下でDNAハイブリッドを選択的に変性させ;(2)2またはそれを超える超微細位置間にDNAを前後に迅速に輸送または移動させ;および(3)限定するものではないが、制限エンドヌクレアーゼ、DNAまたはRNAポリメラーゼ、ならびにリガーゼのごときDNA修飾酵素を、デバイス上のいずれかの所望の超微細位置で選択的に濃縮するユニークな電子工学的機構が提供される。APEXデバイス上で行うことができる電子工学的に制御された分子生物学的反応および増幅反応をの例には:(1)ds-DNA配列の電子工学的に指向された制限酵素切断;(2)DNAポリメラーゼによる標的DNAの電子工学的増幅;(3)DNAおよびRNAリガーゼによる標的DNA配列の電子工学的な連結および増幅;および(4)RNAポリメラーゼによる標的DNAの電子工学的な増加が包含される。
【0136】
III(g) 電子工学的な制限断片分析
ds-DNAの制限酵素切断を行うことに加えて、APEXデバイスおよび電子工学的技術は、DNA断片の相対的サイズを分析し測定するのに用いることができる。このことは、異なる長さのDNA断片が個々の超微細位置上の共通捕捉配列にハイブリダイズできる場合に可能である。あるいは、異なる長さのDNA断片が異なる捕捉配列にハイブリダイズできる場合、その全てが同一のハイブリダイゼーションまたは結合エネルギーを有する。これらの場合には、電子工学的厳格条件を用いて、それらの非-ハイブリダイズ配列または重複配列の長さにより、異なるDNA断片を選択的に脱-ハイブリダイズさせることができる。長い重複配列を有する断片上の電気泳動力は、短い重複配列を有する断片の前にそれらを脱-ハイブリダイズさせる。かくして、断片が検出用に標識され、特異的超微細位置にアドレスされている場合には、それらを超微細位置から脱-ハイブリダイズさせるのに要する電気泳動電位または電力レベルによって、それらのサイズを測定することができる。同等の電子工学的な制限断片長の多形分析を行うことも可能であろう。
【0137】
APEXデバイスの製造および適用に関する以下の無制限の実施例に参照することによって、ここに本発明をさらに詳細に記載する。
【0138】
以下の実施例中の緩衝液、溶液および培地の処方は、ジェイ・サムブルック(J.Sambrook)、イー・エフ・フリッシュ(E.F.Fritsch)、およびティー・マニアティス(T.Maniatis)「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」第2版、ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)のコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)社、1989年に記載されている。
【実施例】
【0139】
IV.実施例
実施例1: オリゴヌクレオチドの合成および修飾
合成DNAプローブは、アプライド・バイオスステムズ(Applied Biosystems)自動DNAシンセサイザー上で、慣用的なホスホルアミダイト化学を用いて作製した。オイゴマーは、5'-アミノまたは3'-リボヌクレオシドのいずれかを含有するように設計した。5'-官能基はABIアミノリンク(Aminolink)2試薬を用いることによって導入し、3'官能基はRNA CPG支援からの合成を開始することによって導入した。3'-リボヌクレオチド末端は、第一級アミンと反応してシフ塩基を形成できる過ヨウ素酸酸化法によって末端ジアルデヒドに転化できる。 反応条件は以下の通りである:20-30C.D.オリゴマーを水中に最終濃度1OD/μlまで溶解する。1容量の0.1M酢酸ナトリウム、pH5.2および1容量の0.45M過ヨウ素酸ナトリウム(水に新たに調製する)を添加する。その反応物を暗所下、室温にて少なくとも2時間撹拌しインキュベートする。反応混合物を、0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.4で平衡化したセファデックスG-10カラム(パスツール・ピペット、0.6×5.5cm)上に負荷する。200μ立l画分を採取し、2μlのアリコートを薄層クロマトグラフィー(TLC)上にスポットし、紫外線(UV)吸収画分を保存する。
【0140】
以下のオリゴマーが3'-リボヌクレオシド末端(U)を含有している:
【0141】
【表1】

【0142】
5'アミン基を含有するオリゴマーは、一般的にテキサス・レッド(TR、590nm励起、610nm蛍光)のごとき蛍光団と反応する。塩化スルホニルは第一級アミンに対して非常に反応性が高く、安定なスルホンアミド結合を形成する。
【0143】
テキサス・レッド-DNAコンジュゲートは以下のごとく作製する:テキサス・レッド塩化スルホニル(モレキュラー・プローブス(Molecular Probes)社)をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、最終濃度50mg/ml(80mM)とした。オリゴマーを0.4M重炭酸ナトリウム、pH9.0-9.1に溶解して最終濃度1O.D./μl(21重体では5.4mM)とした。微小試験管中で、オリゴマー10μlおよびテキサス・レッド20μlを合わせた。暗所下にて1時間反応させた。アンモニアまたはヒドロキシルアミンで反応をクエンチし、試料を凍結乾燥し、PAGEによって精製した(サムブルック(Sambrook)ら、1989年、前掲)。
【0144】
以下のオリゴマーには5'-アミノ末端が含まれている:
【0145】
【表2】

【0146】
実施例2: 微細加工した試験デバイス上の電子工学的にアドレス可能な超微細位置-ポリリジン法
超微細位置は微小毛細管(0.2mm×5mm)から加工した。0.1-1.0%ポリリジンを含有する18-26%ポリアクリルアミドで毛細管を満たし、重合させた。過剰な毛細管を刻みを付け、空気泡を該管内にトラップされないように除去し、管の長さを標準化した。毛細管が共通の上部緩衝液容器を分かち、個々の下部緩衝液容器を有するように毛細管をマウントした。各下部緩衝液貯蔵器には、白金配線電極が含まれていた。
【0147】
上部貯蔵器中の微細毛細管の上部表面をアドレス可能な超微細位置であると考えた。上部および下部貯蔵器を0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.4で満たし、バイオラド(BioRad)500/1000電力供給機を用いて、0.05mA一定で10分間プレ-作動させた。過ヨウ素酸酸化ET-12R捕捉配列約2μl(0.1O.D.)を電源を入れた上部貯蔵器にピペットで添加し、一定電流で2-5分間電気泳動した。該ET-12R捕捉配列が濃縮され、超微細位置表面の第一級アミンに直ちに共有結合する。次いで、今度は試験毛細管が負に偏倚されるように極性を反対にし、さらに2-5分間電気泳動した。共有結合したDNAは超微細位置に残るが、残存している非-結合DNA配列はいずれも弾かれた。
【0148】
上部緩衝液貯蔵器を吸引し緩衝液で濯いだ。器具は分解して、新たな関係試験デバイスをマウントした。該貯蔵器を再充填し、蛍光標識した相補的DNA配列、すなわちET-10AL-TRを添加した。正に偏倚した試験超微細位置において、0.05mA定電流で2-5分間オリゴマーを電気泳動的に濃縮した。極性を反対にし、非結合相補鎖を除去した。該試験デバイスを除去し、エピ蛍光顕微鏡によって検鏡した。非-特異的結合についての負の対照は、ET-10AL-TRを非-相補的DNA配列ET-21A-TRに代えて、前記のごとく行った。
【0149】
毛細管超微細位置表面の断面は、ハママツICCDカメライメージング・システム(Hamamatsu ICCD camera imaging system)を備えたジェナ(Jena)エピ蛍光顕微鏡下にて検査した。蛍光分析の結果は、相補的ET-10AL-TR配列が結合物体にハイブリダイズし/配列を捕捉し、電位を負に偏倚させた場合でさえハイブリダイズしたままであることを示した。ET-21A-TR非-相補的配列は、電位を反対にした場合には試験デバイス表面に保持されなかった。
【0150】
実施例3: 微細加工試験デバイス上の電子工学的にアドレス可能な超微細位置-スクシンイミジルアクリル酸法
【0151】
この実施例では、オリゴヌクレオチドの5'-末端に共有結合する別の付着化学を記載する。ポリリジンを1%アクリル酸スクシンイミジル(モレキュラー・プオーブス(Molecular Probes)社)に代える以外は前記のごとく、毛細管を加工した。第一級アミンを反応させるのに用いるスクシンイミジルエステルは相対的に、特にpH8.0を超える領域にて不安定であるため、該毛細管は新鮮に仕上げた。該毛細管を前記のごとくマウントし、貯蔵器を0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.4で満たした。該毛細管を0.05mAにてプレ-作動させた。5'-アミノ末端を含有するET-10AL(0.1O.D.)約2μlを電源を点けながら上部貯蔵器にピペットで添加し、2-5分間電気泳動輸送を行った。試験デバイスが負に偏倚するように極性を反対にし、さらに2-5分間電気泳動を行った。非-結合DNAは反発したが、共有結合したDNAは超微細位置に残留した。
【0152】
上部緩衝液貯蔵器を吸引し、緩衝液で濯いだ。参照試験デバイスを外し、新たな参照デバイスをマウントした。貯蔵器を再度満たして、蛍光標識相補的オリゴマーET-11AL-TRを添加し、前記のごとく電気泳動を行った。非-特異的結合の負の対照は、ET-11AL-TRを非-相補的DNA配列ET-21A-TRに代えて前記のごとく行った。
【0153】
各試験デバイスの蛍光分析は、相補的ET-11AL-TRが捕捉配列(ET-10AL)にハイブリダイズし、極性を負に変化させた場合でさえハイブリダイズしたままであることを示した。非-相補的配列ET-21A-TRは、極性を反対にした場合には超微細位置に残存していなかった。
【0154】
実施例4: 電子工学的に制御された蛍光DNA/色素検出工程
エチジウムブロミド(EB)のごとき特定の色素は、二本鎖DNAに結合した(インターカレーション)場合に非常に蛍光性になる。二本鎖DNAに結合した場合に蛍光性および結合親和性は大きいが;該色素は一本鎖DNAにも幾分親和性を有し、結合した場合に低レベル蛍光を出す。以下の例では、電子工学的に制御されたDNA/色素検出工程をいかにして開発できるかを示している。
【0155】
実施例2および3に記載のごとく毛細管試験デバイスを調製し、ハイブリダイズさせた。エチジウムブロミド(EB)を緩衝溶液(〜0.05mM EB最終濃度)に添加し、試験デバイスを負に偏倚させて、ハイブリダイズおよび非ハイブリダイズした超微細位置の双方でEB(正に荷電)を濃縮した。試験デバイスは、550nm励起および600nm蛍光にてエピ蛍光顕微鏡によって観察した。ハイブリダイズおよび非-ハイブリダイズした双方の超微細位置は、濃縮されたEBから強い赤蛍光を示した。
【0156】
試験デバイスを再度マウントし、0.05mA、0.03ボルト-時間の正の定電位に偏倚してEBを選択的に除去した。ハイブリダイズしなかった超微細位置の蛍光は減じられたが、ハイブリダイズした超微細位置は非常に高レベルのEB蛍光を保持していた。以下のごとき結果が得られた:

捕捉 標的 標準化シグナル
ET-10AL ET-11AL(正) 200>
ET-10AL ET-21A(負) 1
【0157】
蛍光シグナルは、ICCDイメージング・カンラシステムを用いて測定し、ピークの蛍光強度を表した。ノイズに対するシグナルの比は、全体の蛍光シグナル面積を積算した場合には1000倍を超えるであろう。このことは、ノイズに対するシグナルの比を上昇させ、インターカレーティング色素を用いたDNAアッセイの動的範囲について方法を証明している。
【0158】
実施例5: 金属基板上の電子工学的にアドレス可能な位置
アルミニウム(Al)および金(Au)配線(0.25mm、アルドリッチ(Aldrich)社)をトルエン中の10% 3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)と反応させた。APS試薬は金属表面上のオキシドおよび/ヒドロキシル基と容易に反応して、オキシドおよび/またはヒドロキシル基と第一級アミンとの間に結合を形成した。アルミニウムは予め処理する必要はない。金配線を5×SSC溶液中の電解に付して酸化層を形成させた。別法として、金属配線は過塩素酸浴によって酸化することができる。
【0159】
APS反応は以下のごとく行った:配線を3インチに切断し、ガラス板に置いた。トルエンを添加して該配線を完全に覆い、加熱プレート上で温度を50-60℃とした。APSを添加して最終濃度10%とした。溶液を混合し、反応を20分間続けた。豊富な容量のトルエンで3回濯ぎ、次いで豊富な容量のアルコールで3回濯いで、50℃オーブン中で乾燥した。
【0160】
次いで、APS処理配線は、アルデヒドを反応させてシフ塩基を形成させることができる。結合物体ET-12Rは、明細書の他の場所に記載したごとく過ヨウ素酸酸化した。電極は脱気した水の貯蔵器中に設置した。電力は、.05mA一定で約30秒供給した。活性化ET-12Rは直ちに添加した。電力を供給し、液体を吸引して新鮮な水を添加し、再度吸引した。試験(正に偏倚)および対照の電極は、蛍光標識成分DNA、ET-10-TRを含有するハイブリダイゼーション緩衝液(HB、5×SSC、0.1%SDS)中に設置した。2分後に電極を各1分間洗浄緩衝液(1×SSC、0.1%SDS)で3回洗浄し、蛍光によって観察した(励起590nm、蛍光610nm)。
【0161】
結果は、ET-12Rが特異的に試験金属の表面に特異的にカップリングしたことを示している。試験電極は蛍光性であったが、対照電極はそうではなかった。金属に対するDNAの非特異的吸着はハイブリダイゼーション緩衝液中のSDSが存在することによって阻害された。電解による金基板への付着および続くAPS処理が有効であった。得られたシグナルは、非-酸化金で観察したものよりも顕著に強かった。さらに重要なことには、この実施例では、金属表面を結合物体で化学的に官能基付加し、かつ誘導化することができ、溶液から絶縁されることないことが示された。APS法は、DNA-金属コンジュゲートを形成させる多くの利用可能な化学のうちの1種を表している。
【0162】
実施例6: 電子工学的に制御された蛍光色素検出工程-金属配線
DNA-アルミニウム電極基板を調製し実施例5に記載のごとくハイブリダイズさせた。対照として、ハイブリダイズしたおよびハイブリダイズしなかったDNA-Al電極を非誘導化Al配線で処理した。エチジウムブロマイド(EB)を添加し、その溶液および試験DNA電極を負に偏倚させて色素を誘引した。その溶液を吸引し、新たな緩衝液を添加した。金属表面を顕微鏡下で検鏡した。
【0163】
デバイスを再マウントし、所定の電圧-時間、正の電位を供給する。緩衝液を吸引し、エピ蛍光によって電極を観察した。このことは、ハイブリダイズしたおよびハイブリダイズしなかった金属表面の間の蛍光に有意な差が生じるまで繰り返した。

捕捉 標的 標準化シグナル
ET-12R ET-10AL(正) >140
ET-12R なし(負) 1
【0164】
ハイブリダイズしなかった金属表面の蛍光性は減じたが、ハイブリダイズした金属表面は蛍光性を保持していた。蛍光シグナルは、ICCDカメラ・イメージングシステムを用いて測定し、ピークの蛍光強度を表した。全体の蛍光シグナル面積を積算した場合には、ノイズに対するシグナルの比は>>1000倍となるであろう。この実施例では、この方法が、ノイズに対するシグナル比を上昇すること、それ故にアッセイの範囲が動的であることを示している。同様な結果が毛細管ゲル立体構造を用いても得られるということは、電気化学効果がアッセイの性能に顕著に影響しないことを示している。
【0165】
実施例7: 能動的プログラム可能な電子工学的マトリックス(APEX)-マイクロマシーン加工
6個のアドレス可能な250μm毛細管位置の放射状配列は、プラスティック基板材から微細-加工した。該デバイスは、共通の上部貯蔵器と、各超微細位置を個々にアドレス可能なように分離した下部貯蔵器を有している。ユニークなオリゴマー配列結合物体は、前記した方法によって高度に架橋したポリアクリルアミドから製作した特異的超微細位置に位置させ、結合している。試験超微細位置は正の電荷を有しているが、他の位置は非-特異的相互作用を防ぐために負の電位を有している。
【0166】
該配列は洗浄し、次いで相補的な蛍光標識したDNAプローブとハイブリダイズさせる。該配列を洗浄して過剰なプローブを除去し、次いでエピ蛍光顕微鏡下で観察した。特異的にアドレスした超微細位置のみが蛍光性であった。この工程は、他の1箇所にて他の結合物体で繰り返し、他の蛍光基で標識したプローブとのハイブリダイゼーションによって確認する。
【0167】
DNA配列は、他の位置との無視してよい架橋で所定の位置に特異的に設置された。このことによって、数個〜数百個のユニークな配列を有するマイクロマトリックスを所定の位置に加工することができる。
【0168】
低バックグラウンドの適当なプラスチック基板を選択するために、それらの600nmにおける蛍光特性について、異なる基板を試験した。プラスチックは、エピ蛍光顕微鏡イメージングシステムおよびフルオロメーターによって試験した。基板のリストおよびLS50Bフルオロメーターから得た蛍光判読値を以下の表に記載する:
【0169】
【表3】

【0170】
本実験は、黒色アクリル、ABSおよびポリカーボネートが最も低いバックグラウンドレベルを有することを示している。
【0171】
実施例8: 能動的でプログラム可能な電子工学的マトリックス(APEX)-マイクロリソグラフィー加工
シリコン・ウエハー上の8×8のマトリックス(64部位)の50μm四方微細位置(図3参照)を設計し、加工し、スイッチ・ボックスと共にパッケージングした(詳細についてはデバイス加工セクション参照)。いかに記載する数種の材料および工程の改良を行って、APEXDNAチップデバイスの感度および能動性を向上させた。
【0172】
8a) 最上層コートの選択
APS(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)工程には、チップの全表面を反応させることが含まれる。この初期機能化工程の感度は、チップ表面上の種々の物質の相対反応性に依存する。超微細位置を囲む領域への官能基化および二次DNA付着を減少させるためにSiOまたは金属酸化物よりも反応性の低い材料が必要である。フォトレジストおよび窒化ケイ素を試験した。異なった最上層コートを窒化ケイ素チップに付した。該チップは、エピ蛍光によって検査し、次いでAPSで処理した後、過ヨウ素酸酸化ポリ-A RNA配列(シグマ(Sigma)社、分子量100,000)を共有結合させた。該チップは、ハイブリダイゼーション緩衝液中のテキサスレッド標識20重体(T2-TR)の200nM溶液と37℃にて5分間反応させた。そのチップは洗浄緩衝液中で3回、1×SSC中で1回洗浄した。そのチップを590nm励起および610nm蛍光の蛍光性によって検査した。
【0173】
二酸化ケイ素に比してAPSに対し非常に低い反応性、およびフォトレジスト材料のように本来は蛍光性でないため、窒化ケイ素を選択した。また、バックグラウンド面積のUV焼損のごとき他の方法を可能である。
【0174】
8b) APEXの物理学的特性
仕上げたマトリックスチップは、ビイ・アンド・エル顕微鏡およびCCDカメラを付けたプローブ・テスト・ステーション(Probe Test Station)(マイクロマニュピュレーター・モデル6000)を用いて目視検査した。試験パッドおよび外部接触パッドの間の連続性につき、チップを試験した。これは、パッドと、マルチメーターに連結したマニュピュレーター・プローブ・チップとを接触させることにより行った。連続性によって、該パッドが金属表面にエッチングされていることが確認された。次いで、電子工学的環境下での安定性についてパッドをチェックした。金属配線は、通常の乾燥条件下では1mAまで扱えると評価された。
【0175】
1滴(1-5μl)の緩衝化溶液(1×SSC)を8×8マトリックスにピペットで添加した。表面張力によって液体は、外部接触パッド領域を乾燥させつつ同じ場所に維持される。1個のプローブ・チップを接触パッドに接触させ、もう1個のプローブ・パッドを液体と接触させた。HP6625A電力供給機およびHP3458Aデジタルマルチメーターを用いて最大電圧50Vにて、電流を50nAまで段階的に上昇させた。
【0176】
第一の加工は、ケイ素基板、二酸化ケイ素絶縁層、アルミニウム沈着およびパターニング、ならびに窒化ケイ素最上層よりなる。
【0177】
第二の加工工程には、アルミニウム金属および窒化ケイ素の層の間の二酸化ケイ素層が含まれる。二酸化ケイ素およびAlは、より和合性の物理特性を有し、より良好な化学インターフェースを形成して、第一の加工工程によって製作したものよりも、より安定かつ丈夫なチップを提供する。
【0178】
8(c) DNA付着
8×8のマトリックス・チップを、実施例5記載のAPS試薬で機能化した。次いで、そのチップを過ヨウ素酸酸化ポリ-A RNA(シグマ(Sigma)社、平均分子量100,000)で処理した。チップを洗浄緩衝液(WB)中で洗浄して過剰なおよび結合しなかったRNAを除去した。この工程によって、捕捉配列によりチップ全体がコートされるが、窒化物でカバーした領域よりも暴露した金属表面に非常に高い密度が存在した。そのチップを、ハイブリダイゼーション緩衝液(HB)中のT2-TRの200nM溶液と37℃にて5分間ハイブリダイズさせた。次いで、WB中にて3回、1×SSC中にて1回、各々常温で1分間洗浄した。チップは、590nm励起および610nm蛍光の蛍光性によって検査した。 広げられた金属領域は蛍光に光り、50μm四方のパッド(超微細位置)の形状を有していた。低い蛍光強度および/または不定形の境界は、幾つかのパッドが完全に広がっていなかったことを示した。このような場合には、プラズマエッチングをさらに数回行うことが推奨されるであろう。
【0179】
8(d) 電子工学的に制御されたハイブリダイゼーション
能動的ハイブリダイゼーションは、実施例8cからのチップを用い、1個の特異的超微細位置を正に偏倚させることによって行った。これは、残存した超微細位置を負に自動的に偏倚もするスイッチ・ボックスを用いるか、外部溶液有の電極を用いることによって行う。3μlの緩衝液をマトリックス・パッド(超微細位置)上のみに置いた。〜1-5nAの電流を数秒間流し、0.1ピコモルのT2-TRを該溶液に添加した。液体を除去し、チップを乾燥して、590nm励起および610nm蛍光のテキサス・レッド蛍光性について検査した。正に偏倚した特異的超微細位置のみが蛍光性であった。APEXチップ上の他の特異的超微細位置を用いて、この実験を数回繰り返した。加えて、1個の超微細位置の蛍光性DNAを電子工学的に脱-ハイブリダイズさせ、次いで、最初の位置を負に、かつ目的の超微細位置を正に偏倚させることによって、もう1個の超微細位置に移動させた。
【0180】
8e) 電子工学的に制御するアドレッシングおよびデバイスの加工
8×8APEXマトリックスを、前記のごとくAPSで機能化した。オリゴヌクレオチド結合物体CP-1は、過ヨウ素酸酸化法によって活性化した。4つの超微細位置をマトリックス内で正に偏倚させ、残存するものを負に偏倚させた。緩衝液2μlをマトリックスに置き、電流を流した。結合物体CP-1を添加し、示した位置に電子工学的に濃縮した。液体を除去し、該チップを緩衝液で簡単に洗浄し、緩衝液2μlを該チップ上に置いた。再度、電流を数秒間流し、T2-TR2ピコモルを添加した。短時間の後に、液体を除去して該チップ全体をWBで3回洗浄した。チップを乾燥し蛍光性について検査した。
【0181】
結果は、4個の正に偏倚した超微細位置は全て蛍光性であることを示している。この実施例は、特異的結合物体での超微細位置の選択的なアドレッシング、付着配列の微細位置への位置付けおよび共有結合、ならびに相補的標的配列の誘導化超微細位置への特異的ハイブリダイゼーションを示す。
【0182】
8f) APEXチップの遺伝的タイピング
多形性のHLA遺伝子dQaに特異的な3'-リボヌクレオシド末端を有するDNA結合物体を合成した。該結合物体は、前記のごとき過ヨウ素酸酸化によって活性化した。反対の相補性物は、前記のごとく、5'-アミノ末端で合成し、テキサス・レッド、ローダミンまたがボジピー色素のごとき蛍光団とコンジュゲートさせた。超微細位置は、前記のごとく、APSで処理することによって第一級アミンで機能化する。
【0183】
数μlの溶液を8×8マトリックス上に置いた。特異的超微細位置は、超微細位置を正に偏倚させることによってアドレスし、〜0.1ピコモルの過ヨウ素酸酸化DNAオリゴマーを添加し、その位置に移動させ共有結合させた。極性を反転させ、結合しなかった結合物体分子を除去した。これは、全てのユニーク付着結合物体がチップに結合するまで、他のアドレスされた超微細位置の他の結合物体について繰り返す。次いで、チップを個々の蛍光標識相補的配列にハイブリダイズさせて、カップリング反応の特異性を決定すると同時に、全てのアドレスされた超微細位置を視覚化した。電子工学的に変性させて相補的オリゴマーを除去した(0.05%SDS中、90℃にて10分間)同一のチップ上にて、アドレスした超微細位置が非標識標的DNAまたはゲノムDNAと共にハイブリダイズする。検出は、明細書に前記したごとく、蛍光色素検出アッセイを介した。
【0184】
超微細位置がユニークな結合物体と共に特異的にアドレスされたことを結果は示すであろう。負に偏倚させた超微細位置への非特異的結合は、無視できるであろう。該デバイスおよび連結した結合物体化学は、変性条件下でも安定であり、それ故にアドレスされ加工されたデバイスは再利用することができる。ハイブリッドを変性させる電子工学的方法は、電流を上昇させおよび/またはそれを流す時間を増加させるであろう。
【0185】
実施例9: 電子工学的厳格制御
9A) 15重体 Ras-12プローブでの単一点突然変異
高レベルの電子工学的厳格制御に影響するデバイスの能力は、15重体プローブを用いたRas-12オンコジーン・モデル系で証明した。DNA二本鎖における単一の塩基対の誤対合は、対合した二本鎖に比して僅かな不安定性しかハイブリッド対に生じない。この僅かな不安定性が、誤対合二本鎖を引き起こして、対合した二本鎖よりも僅かに低いTmで変性させる。該対(対合および誤対合)が両方とも対合した対に対して最適な厳格でハイブリダイズする場合、誤対合した対はより低い効率でしかハイブリダイズしないであろう。誤対合からのハイブリダイゼーション・シグナルは、対合した対からのシグナルよりも幾分低いであろう。従来のハイブリダイゼーション法では、単一の点突然変異分析は、8重体〜21重体範囲のプローブで行う。10重体〜20重体範囲のプローブが最も頻繁に用いられる。突然変異プローブが8重体よりも短いか、20重体よりも長い場合、いずれの信頼できる方法を用いても、誤対合から対合したものを識別することは極めて困難となる。これは、対合および誤対合した対の間のハイブリダイゼーション・シグナルにほとんど差異がないためである。点突然変異分析で使用するハイブリダイゼーション・厳格制御の典型的な方法は、温度および塩濃度をあてにしている。本発明者らは、厳格制御が電気泳動電位によっても影響されるということを見い出した。
【0186】
Ras-12の例において、15重体点突然変異特異的プローブを試験デバイス上の超微細位置に付着した30重体標的配列に電子工学的にハイブリダイズさせた。超微細位置の極性を負に偏倚させ、完全に対合したものには影響せずに誤対合したものを変性させる所定の電力レベルを供する一定電流に所定の時間該ハイブリッドを付した。
【0187】
以下の配列を、各々250μm表面超微細位置を有する3セットの試験構造上で合成し試験した。
付着配列は:
【0188】
【表4】

【0189】
である。
レポーター・プローブ配列(テキサス・レッドで標識)は:
【0190】
【表5】

【0191】
である。
デバイスは、明細書に前記したごとく、毛細管から加工した。付着配列Ras-GおよびRas-Tを過ヨウ素酸酸化し、アドレスされた超微細位置に共有結合させた。
【0192】
次いで、Ras-G超微細位置をRas-1、Ras-2またはRas-3とハイブリダイズさせた。Ras-1はRas-Gに完全に対合した。Ras-2は1塩基対が誤対合である(G-A)。Ras-3は2塩基対誤対合である(G-AおよびG-T)。G-A誤対合はDNA二本鎖に対して最も低い不安定性しか生じず、それ故、完全な対合から識別することが最も困難である。
【0193】
慣用的なハイブリダイゼーションを最初に行って超微細位置を蛍光的に検査し、どのくらいの範囲の相補的配列がハイブリダイズしているのかを測定した。試験デバイス(微細毛細管)を再マウントし、次いで電子工学的ハイブリダイゼーションを行った。完全に対合したハイブリッドに大きな影響を及ぼすことなく誤対合したハイブリッドが完全に除去されるまで、負の電位(一定電流)でそれらを偏倚させることによって同一の電子工学的厳格に試験デバイスを全て付した。方法および結果を以下に示す:
【0194】
従来のハイブリダイゼーション法
-40℃にて15分間5×SSC中でハイブリダイズさせ、
-各々20℃にて5分間、1×SSC中で3回洗浄し、
-蛍光分析を行い、
-1bp誤対合(Ras-G/Ras-2)に対する完全対合(Ras-G/Ras-1)のシグナル比を観察する:約10対1。
【0195】
電子工学的厳格制御(ESC)法
-20℃にて5分間、5×SSC中でハイブリダイズさせ、
-「洗浄工程なし」
-150ボルト(V)にて0.15ミリアンペア(mA)の電子工学的厳格を4分間(20℃)適用し、
-蛍光分析を行い、
-1bp誤対合(Ras-G/Ras-2)に対する完全対合(Ras-G/Ras-1)のシグナル比を観察する:>100対1
【0196】
全実験についての完全な結果を図(15)にグラフ的に示す。これらの結果は、DNAハイブリダイゼーション反応における厳格制御には電気泳動電位のみしか使用できないことを示している;しかし、ESCによって、従来のハイブリダイゼーション法よりも高いハイブリダイゼーション効率および高い識別比が供されることも示している。加えて、ESCは各個々の超微細位置に適用することができ、同一のバルク溶液中で独立した厳格制御が供される。
【0197】
(9B) 7重体および22重体プローブを用いた単一点突然変異分析
点突然変異分析で通常用いる正常なサイズ範囲とはかけ離れた7重体および22重体の両方のプローブを調製し、さらに電子工学的ハイブリダイゼーションおよびESCの利点を証明した。以下に掲載する点突然変異特異的オリゴマー・プローブは、得られるハイブリッドが0、1または2塩基の誤対合を有するように対形成させることができる。前記のごとく、相補的オリゴマー配列を超微細位置にカップリングさせ、ハイブリダイズさせた。超微細位置で極性を反転させ(負に偏倚)、そのハイブリッドを、完全対合を除去することなく誤対合を変性させる所定の電力レベルを供する一定電流に所定の時間付した。
Ras-GまたはRas-GAオリゴマー(以下に示す)が超微細位置の付着し、これらを標的配列として用いた。以下に示す22重体および7重体のRas特異的オリゴマーのシリーズを、本明細書のいずこかに記載したごとく、テキサス・レッド発蛍光団で標識した。「下線を引いた塩基および太字の塩基」は、誤-対合および/または誤-対合する可能性のある位置を示している:
【0198】
【表6】

【0199】
試験デバイスは、本明細書中にて前記したごとく、毛細管から加工した。オリゴマー標的Ras-GまたはRas-GAは、超微細位置に共有結合した。次いで、1個の超微細位置を、テキサス・レッドで標識した完全な22重体の相補的Ras-22C-TRとハイブリダイズさせた。第二の超微細位置は、1塩基対が誤対合している(G-A)22重体であるRas-22A-TR;または、2塩基が誤対合している(G-AおよびG-T)22重体であるRas-22-TAとハイブリダイズした。
【0200】
本明細書において前記した試験デバイスは、両方の超微細位置が同一の電流または電力レベルを同時に経験する二重チャンネル様式で同時に作動させた。試験デバイスを最初に従来法によってハイブリダイズさせ、超微細位置を蛍光的に検査してハイブリダイズした相補的配列の量を測定した。対で、試験デバイスを用いて電子工学的ハイブリダイゼーションを行い、完全対合ハイブリッドには大きく影響を及ぼさずに誤対合ハイブリッドが除去されるまで、一定電流で時間を制御した。バイオ-ラド(Bio-Rad)1000/500電力供給機は、典型的には、0.02〜0.1mAに設定し、0.02〜0.04ボルト-時間で一定電流で実験を行った。デバイスを分離し、ケイ素強化CADカメラ(ハママツ(Hamamatsu)社)を付けたジェナ(Jena)顕微鏡上でエピ蛍光によって試験デバイスを観察した。そのイメージをハママツ・アーガス10イメージ・プロセッサー(Hamamatsu 10 image processor)によって加工し、ソニー・ビデオプリンター(Sony Video Printer)によって記録した。さらなる電子工学的厳格を要する場合には、該毛細管を再作動させた。
【0201】
単一の塩基対誤対合の識別は、前記のごとく7重体で行った。しかしながら、その低Tmにより、室温よりもむしろ4-6℃の冷却ボックス中でデバイスを作動させた。
【0202】
電子工学的ハイブリダイゼーションおよび厳格制御が、7重体および22重体の両方を用いた単一の塩基対誤対合を識別できることを結果は示した。対合:誤対合比は100:1またはそれよりも大きかった。このシグナル:ノイズ比は、温度およびイオン濃度を用いて厳格条件を制御するいずれかのハイブリダイゼーション法によって報告されたものよりも一般的に良好であった。
【0203】
たとえ、二本鎖を安定化できるAとの水素結合にGのイミノのプロトンが参加することができるためにG-A誤対合が最も安定な誤対合であっても、電子工学的厳格制御は、完全対合から1塩基G-Aの誤対合を識別することができた。
【0204】
電力の消費計算値および測定値は、温度においては無視できる変化しか示さず、厳格は超微細位置での温度変化によって引き起こされないことが証明された。前記のごとき受動的にハイブリダイズする超微細位置が対合および誤対合の間の識別を示さなかったことは、拡散性が識別を引き起こさないことを証明している。 また、これらの例は、各微細位置が個々の厳格制御を有することができ、従って単一の普通の厳格レベルに限定される大スケールの複合ハイブリダイゼーション技術に対する主要な障害を克服できる。また、電子工学的な厳格電力レベルを熱的融点(Tm)データと関連付けて、予想電気融点(Em)曲線および等式を作成することもできる。
【0205】
(9C) 高いゲノム・バックグラウンドにおける電子工学的ハイブリダイゼーション
実施例の標的DNA配列は、通常はゲノムDNA試料中の非常に小さい比率の総DNAのみからなる。APEX・デバイス上の非常に小さな位置で総DNAを濃縮することによって、本発明は、過剰なヘテロDNAの存在下にて標的ハイブリダイゼーションの効率を向上させる。
【0206】
この例において、5'-アミン基を載せている付着配列を、22%PAGE、1%アクリル酸スクシンイミジルを含有する試験デバイスに付着させた。毛細管は、ET-23ALまたはET-11AL捕捉配列のいずれかで誘導化した。標的プローブET-12Rはテキサス・レッドで標識した。ET-12R-TRは、各々試験および対照の配列である、ET-23ALにはハイブリダイズするであろうが、ET-11AL捕捉配列にはハイブリダイズしないであろう。
【0207】
ヘテロゲノムDNA、子ウシ胸腺DNA(CT DNA、シグマ(Sigma)社)を溶解して最終濃度1mg/mlの水とし、超音波処理し加熱して該DNAを変性させた。試料は、0、0.1μgまたは1.0μgの変性CT DNAと共に1010コピーのET-12R-TR標的を含有する最終容量100μlの0.5×TBE中に調製した。これは、標的DNAに比して0、1,000または10,000倍の過剰なCT DNAを表していた。
【0208】
試験デバイスは、バイオ-ラド(Bio-Rad)1000/500電力供給機を用いて0.5×TBE中、0.03mAにて5分間プレ-作動させた。試験および対照の毛細管が厳密に同一条件下で同時に作動できるよう試験デバイスを設定した。試料を付し(100μl)、毛細管を0.03mAにて5分間、正の電位に偏倚させてDNAを誘引した。極性を反転させ、同一の電力を流してハイブリダイズしなかった全てのET-12R-TR標的を試験デバイス表面から除去した。緩衝液を吸引し、ケイ素強化CADカメラを付けたジェナ顕微鏡(ハママツ(Hamamatsu)社)上で蛍光性によって試験デバイスを観察した。イメージは、ハママツ・アーガス10イメージ・プロセッサーを用いて加工し、ソニー・ビデオ・プリンターによって記録した。
【0209】
100μl当たり0.1μg CT DNAの存在または不存在における絶対ハイブリダイゼーションシグナルおよびシグナル/ノイズ比の間には差異がなかった。シグナル強度は同等であり、シグナルは有効領域にわたって均等に分布していた。100μl当たり1μgのCT DNAのレベルで、シグナルが毛細管の周辺に優先して分布しているということは、捕捉配列がブロッキングまたは飽和していることを示している。この人工物は、ハイブリダイゼーション工程の間に極性を振動させることによって容易に切り抜けられた。このことによって、総DNAが有効領域に向けて、またはそこからパルスされ、より効率的かつ均等に標的をハイブリダイズさせることができるであろう。
【0210】
(9D) 受動ハイブリダイゼーション-対-電子工学的制御ハイブリダイゼーション
電子工学的制御ハイブリダイゼーションは、受動ハイブリダイゼーションよりもより効率が良く迅速である。なぜならば、電子工学的制御ハイブリダイゼーションにおける電気効果のためである。
【0211】
毛細管試験デバイスは、各々試験および対照デバイスとして、ET-23ALおよびET-11AL付着配列で仕上げた。CT DNA1μgと共に1×1010コピーのET-12R-TRを含有する総容量100μlのハイブリダイゼーション溶液を作製した。
【0212】
受動ハイブリダイゼーション
【0213】
1セットの試験および対照デバイスを、50℃のハイブリダイゼーション溶液100μlを入れた小さな試験管に置き、15分間ハイブリダイズさせた。次いで、試料を1×SSC、0.1%SDSで3回、各45℃にて5分間洗浄した。
【0214】
電子工学的制御ハイブリダイゼーション
試験デバイスをマウントし、0.06mAにて5分間プレ-作動させた。次いで、緩衝液を吸引し、ハイブリダイゼーション溶液100μlを添加した。試験デバイスは、0.06mAにて3分間正に偏倚させ、次いで30秒間極性を反転させ、当該デバイスが再度正になるよう3分間再度反転させた。試験デバイスは3分間負に偏倚させて電子工学的に洗浄した。
【0215】
ハイブリダイゼーションの効率および程度は、受動形式よりも能動形式での方が非常に良好であった。能動(電気)形式における絶対シグナルは、受動形式におけるシグナルよりも100倍を超えて高かった。能動形式におけるシグナル/ノイズ比は、受動形式におけるシグナルよりも10倍上昇した。能動的ハイブリダイゼーション・アッセイは、最小限の操作で10分以下で完了する。受動形式は、〜30分間管および緩衝液の数種の操作を要する。
【0216】
典型的なハイブリダイゼーション法では、90%の反応完了には、3回のC0tで2.5nMのプローブを15分間用いる。本発明者らの0.17nMのプローブの実験濃度は、受動ハイブリダイゼーション反応動力学では普通〜4時間を要するであろう。
【0217】
能動的ハイブリダイゼーションによって、低バックグラウンドとなる低プローブ濃度で使用することができる。典型的な方法は、拡散性に依存しており、従ってより高濃度を用いて反応動力学を動かさなければならない。能動的な方法によって、試料を非常に少量に濃縮することができ、このことは非常に局所的なプローブ濃度となり、続いて非常に迅速なハイブリダイゼーション反応動力学とすることができる。
【0218】
実施例10: 蛍光DNAナノ-構造でのハイブリダイゼーション
通常、非-増幅型のハイブリダイゼーション・アッセイの全体の感度は、非特異的結合からのバックグラウンドによって制限される。このことは、複数のレポーター基または複数のレポーター基との二次複合体を用いてDNAプローブを標識する場合には、しばしば主要な問題である。従って、しばしば、レポーター標識(群)の実際または固有の検出限界が到達するよりもかなり低い所までしかアッセイ検出限界が到達しない。
【0219】
電子工学的制御ハイブリダイゼーション法を用いることによって、本発明者らは、非常に蛍光性の強いサブ-ミクロンまたはナノ-スケールのビーズを、付着DNAプローブと共に超高感度アッセイに用いることを見い出した。本発明者らは、自由フィールド電気泳動を用いて、DNAプローブ-蛍光性ナノ構造物の運動を制御することができた。電子工学的厳格制御によってハイブリダイズしなかった構造からハイブリダイズしたものを高いレベルで識別できるため、DNA プローブ-蛍光性ナノ構造物は顕著にハイブリダイゼーション感度を上昇することができる。電子工学的厳格制御によって、本発明者らは、増幅する必要なしに、これらの高い蛍光性のナノ構造物または他の複数の標識モデルを低コピー数(50〜1000標的)で検出できる。現在に至るまで、このことは、従来のハイブリダイゼーション法および工程では不可能であった。
【0220】
蛍光性のナノ粒子、フルオロフォアは、モレキュラー・プローブズ・インコーポレイテッド(Molecular Probes,Inc.)社から購入した。該粒子は、テキサス・レッドまたはフルオレセインのごとき蛍光性色素を載せたカルボキシメチル・ラテックススフェアおりなる。該ラテックス・スフェアは、アミンまたはアルデヒドのごときその表面の異なる官能基で得ることができる。該粒子は、直径0.01〜5μmのサイズで利用できる。
【0221】
1)蛍光性ナノ粒子の特徴付け
非修飾、アミン修飾またはアルデヒド修飾されたナノ粒子は、正味正の電荷を有している。電界においては、これらの粒子は負に偏倚させた超微細位置に向けて移動する。
【0222】
2)フルオロスフェアへのDNA付着化学
アミン修飾中止は、末端アルデヒド基を有する核酸にカップリングすることができる。次いで本明細書中において前記した過ヨウ素酸法によって酸化される3'-末端リボシドでDNAプローブを合成することによって生成させることができる。
【0223】
粒子は、蒸留水中の2%懸濁液として保存した。0.02-1.0μmのアミン修飾赤色蛍光性のフルオロフォアのアリコットを、0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.4中にピペット添加し、再懸濁した。過剰量の過ヨウ素酸酸化ポリリボ-Aをその懸濁液に添加した。室温にて反応させて、90分間インキュベートした。1×SSC、0.1%SDS(0.15mM、塩化ナトリウム、0.015mMクエン酸ナトリウム、0.1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム、pH7.0)中で該粒子を洗浄しピペット添加して、結合しなかったおよび非特異的に結合したポリリボ-Aを除去した。
【0224】
緩衝溶液中のDNA-フルオロスフェアを直流電界に置いた。該DNA-フルオロスフェアが正電極に向かって移動することが観察され、これは今やその正味の電荷が負に変化していることを示している。これは、DNAカップリング反応が成功したかを決定するのに単純かつ簡便な方法である。粒子からの強烈な蛍光性がいずれかのハイブリダイゼーションシグナルによって妨害されるであろうため、伝統的なハイブリダイゼーション法では、放射性同位体標識レポーター・プローブを用いることが必要であろう。
【0225】
3) 試験デバイスへのDNA付着
試験デバイスは、続いて5'-アミン末端化DNAプローブと反応させることができる、1%アクリル酸スクシンイミジルを含有する高度に架橋したポリアクリルアミドで重合させた。捕捉配列、オリゴ-Tの付着性は、蛍光標識した相補的プローブ、CP-1-TRとのハイブリダイゼーションによって証明した。試験デバイス表面は非常に蛍光性であり、このことは該表面が捕捉配列で誘導体化されたことを示している。
【0226】
4) DNA-フルオロスフェアの電子工学的ハイブリダイゼーションおよび検出ハイブリダイゼーション反応は、共通の上部貯蔵器および独立の下部貯蔵器を分かち合って有する2つの毛細管試験デバイスを支持する構造中で行った。反応性の表面を共通の上部貯蔵器に暴露した。
【0227】
試験デバイスを該構造にマウントし、0.05mAの0.5×TBE中で15分間プレ-作動させた。1つの試験デバイスはT2相補的付着配列を有しており、もう1つはET-10AL非-相補的付着配列を有している。DNA-フルオロフェア1μlを上部貯蔵器に添加した。試験デバイスを.02mAで正に5分間偏倚させ、DNA-フルオロスフェア(蛍光性のナノ粒子)を誘引させた。該粒子が表面上に存在することを確認するために該試験デバイスを精査した。試験デバイスが今度は負に偏倚され、ハイブリダイズしなかったDNA-フルオロスフェアが弾かれるように極性を反転させた。
試験および対照デバイスの間に差異はなかった。該粒子は、流した電力量にも拘わらず、繰り返し試みた後でも除去することができなかった。
【0228】
5) DNA-フルオロスフェアの受動ハイブリダイゼーションおよび検出
いずれの理論および仮定にもとらわれずに、本発明者らは、粒子の電子工学的ハイブリダイゼーションが、試験デバイスの表面ゲルマトリックス中の粒子を固定または捕捉すると考えた。かくして、ゲル表面上の付着性配列に受動的にハイブリダイズするDNA-フルオロスフェアは、電子工学的な脱-ハイブリダイゼーションによってより容易に除去されなければならない。
【0229】
新しい試験デバイスを前記のごとくマウントした。DNA-フルオロスフェアの0.05%懸濁液を上部貯蔵器にピペット添加し、5分間受動的にハイブリダイズさせた。その緩衝液を吸引し、新たな1×TBE緩衝液を添加した。今度は試験デバイスを負に偏倚させて粒子を弾いた。試験デバイスは、0.02mAにて5分間操作し、次いで蛍光によって検査した。
【0230】
今度は、室温にて合計10分間ECSを行った後の試験および対照のデバイスの間に顕著な識別性があった。シグナルは試験表面にわたって均一に分布していなかったが、単一のポケットに濃縮された。このことは、表面付着性配列の有効性が制限されることを示しているのかもしれない。疎水性、親水性または混合された特性を有するより長いスペーサー・アームを用いて改善できる。かかるスペーサーは、例えば、ジアミノヘキサン、無水ケイ皮酸、ならびに当該分野でよく知られている種々の他のスペーサー基を用いて作製することができる。
【0231】
実施例11: 特異的ds-DNA配列の電子工学的な指向性制限酵素切断
2つの例を用いて、APEXデバイスがds-DNA配列の制限エンドヌクレアーゼ切断を選択的に行うことができる能力を証明する。M13mp18(XbaI制限部位を有する)およびM13mp8(XbaI制限部位を有していない)ベクターをこれらの実施例に用いた。これらのベクターは多くのクローニングおよびDNA配列決定工程に普通に用いられている。
【0232】
第1の例では:(1)試験デバイス上の特異的微細位置に対するM13mp配列の電子工学的ハイブリダイゼーション、(2)微細位置へのXbaI制限酵素の自由フィールド電気泳動輸送、および(3)他の微細位置における切断断片の二次捕捉を証明する。該例では、特異的結合物体(オリゴヌクレオチド捕捉配列、他)で自己アセンブル可能な該デバイスの能力も証明する。
【0233】
方法における基本工程を図(16)に示す。オリゴヌクレオチド捕捉配列に共有結合する4つの特異的超微細位置(ML-1、ML-2、ML-3およびML-4)を用いた。試薬(オリゴヌクレオチド、制限酵素、他)をデリバリーするため、および反応物を処理するためには、電子工学的デリバリーシステムを用いる。
【0234】
第一の工程には、M13-1オリゴヌクレオチド捕捉配列のML-1およびML-2微細位置までの輸送およびそこへの共有結合、ならびにM13-2オリゴヌクレオチド捕捉配列のML-3およびML-4微細位置への輸送および付着が含まれる。核酸はpH>4で負に荷電しているため、pH5-9の範囲の緩衝溶液中で電気泳動した場合、それらは常に正に荷電した電極に向かって動く。
【0235】
第二の工程には、ML-1超微細位置におけるM13mp18配列のM13-1捕捉配列への、ならびにML-2微細位置におけるM13mp8配列の該M13-1配列への自由フィールド電気泳動輸送およびハイブリダイゼーションが含まれる。
【0236】
第三の工程には、XbaI制限酵素もML-I(M13mp18)超微細位置およびML-2(M13mp8)超微細位置への輸送が含まれる。XbaIはML-1のM13mp18を切断するが、ML-2のM13mp8は切断しない。ML-1からの切断断片は、ML-3のM13-2配列に輸送され、それにハイブリダイズする。実験の制御としては、ML-2およびML-4の間で自由フィールド電気泳動を行った。ML-2のM13mp8配列は切断されていないため、ML-4では断片が全く検出されない。
【0237】
本実施例で用いた種々のM13付着配列およびプローブ配列は、本明細書中において前記したごとく調製する。これらの配列を以下に示す:
【0238】
【表7】

【0239】
工程-1-M13捕捉配列の付着
この工程には、アミン活性化高架橋(26%)ポリアクリルアミド表面またはポリカーボネート(5-10nm)多孔性膜表面の200μm超微細位置を有するAPEX試験装置を用いる。
【0240】
M13-C1捕捉配列は、3'-リボヌクレオチドを含有する31重体のDNAオリゴヌクレオチドである。M13-C1配列は、M13mp18およびM13mp8一本鎖(+)ベクターの3'-末端に相補的である。M13-C1捕捉配列は、全ての非切断M13ベクターにハイブリダイズし、強く結合するように設計されている。
【0241】
M13-C2配列は、3'-リボヌクレオチドを含有する31重体 オリゴヌクレオチドである。M13-C2は、XbaI制限部位を含有するクローニング部位から上流のM13配列の部位に相補的である。M13-C2捕捉配列は、XbaI切断M13断片にハイブリダイズし、強く結合するように設計されている。M13-C1およびM13-C2捕捉配列は、APEX超微細位置上のアミン誘導体にカップリングさせるために、行列酸化によって活性化する。3'リボヌクレオチド末端は、第一級アミンと反応してシフ塩基を形成できる行列酸化によって末端アルデヒドに転化される。
【0242】
反応条件は以下の通り:
10-20O.D.のM13-C1またはM13-C2オリゴマーを水中に溶解して最終濃度1OD/μlとする。0.1M酢酸ナトリウム、pH5.2を1容量、および0.45M行列ナトリウム塩(水中に新たに作製)を1容量添加する。暗所下、常温にて少なくとも2時間、撹拌しインキュベート反応する。0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.4で平衡化したセファデックスG-10カラム(パスツール・ピペット、0.6×5.5cm)に反応混合物を負荷する。200μl画分を採取し、アリコット2μlを薄層クロマトグラフィー(TLC)上にスポットし、紫外線(UV)吸収画分を保存する。
【0243】
APEX試験デバイスの4上面は、アドレス可能な超微細位置ML-1、ML-2、ML-3およびML-4と示される。
【0244】
M13-C1は、以下の工程によってML-1およびML-2超微細位置に共有結合する:
上部および下部貯蔵器を0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.4で満たし、バイオラド(BioRad)500/1000電力供給機を用いて0.05mA定電流で5分間プレ作動される。〜0.1O.D.単位の行列酸化M13-C1オリゴヌクレオチドを含有する電子工学的デリバリーシステムのチップを下部貯蔵器に設置する。電子工学的デリバリーシステムは、白金電極内側において特異的に修飾したプラスティック・ピペットチップである。0.1mAにて、電子工学的デリバリーシステムは負(−)に偏倚されており、超微細位置ML-1およびML-2は正(+)に偏倚されている。M13C-1は、定電流にて2分間ML-1およびML-2に電気泳動し、そこで表面と共有結合する。反応しなかったM13-C1をML-1およびML-2超微細位置から除去されるように、4分間極性を反転させる。
M13C-2配列は、前記と同一の工程で、ML-3およびML-4超微細位置に結合する。
【0245】
工程 2-M13ベクター、相補的配列、および蛍光性レポーター・プローブのハイブリダイゼーション
制限エンドヌクレアーゼは切断するために二本鎖DNAを必要とするため、一本鎖M13mp18のクローニング/制限部位セグメント(6240〜6280)およびM13mp8(6230〜6270)は相補的DNA配列とハイブリダイズしなければならない。電子工学的ハイブリダイゼーションを用いて、各々、40重体相補的断片(MP18-40C配列)をML-1/M13C-1超微細位置上のM13mp18ベクターにハイブリダイズさせ;40重体相補的断片(MP8-40C配列)をML-2/M13C-1超微細位置上のM13mp8ベクターにハイブリダイズさせた。
【0246】
電子工学的ハイブリダイゼーションは、0.1mAにて2分間、0.05O.D.単位のM13mp18を含有する電子工学デリバリーシステムを負(−)に偏倚させ、かつML-1/MP13C-1超微細位置を正(+)に偏倚させることによって行う。極性を4分間反転させ、ハイブリダイズしなかったM13mp18を超微細位置から除去する。同一の工程を用いて、M13mp8ベクターをML-1/M13C-1超微細位置に電子工学的にハイブリダイズさせる。
【0247】
次いで、M13mp18およびM13mp8配列を、2種の異なる蛍光レポーター・プローブと電子工学的にハイブリダイズさせる。ML-1/M13C-1超微細位置上のM13mp18ベクターは、24重体テキサス・レッド標識レポーター・プローブ(MP18-R1配列)と電子工学的にハイブリダイズさせ、これはクローニング/制限部位の5'-末端にハイブリダイズする。M13mp8ベクターは、24重体フルオレセイン標識レポーター・プローブ(MP8-R2配列)と電子工学的にハイブリダイズさせ、これはクローニング/制限部位の5'-末端にハイブリダイズする。
【0248】
工程-3-XbaI制限酵素を用いたM13mp18ベクターの制限切断
それらの等電点(pI)に依存して、pH5-9の範囲で、多くの蛋白質および酵素を負(pH>pI)に、中性(pH=pI)に、または正(pH<pI)に荷電させることができる。数多くの制限エンドヌクレアーゼは、6-7の範囲内にpIを有する。pIより高いpHでは、これらの酵素は負の電荷を運んでいるであろう。従って、pH>7の緩衝溶液中で自由フィールド電気泳動を行う場合、これらの酵素は正に荷電した超微細位置に移動するであろう。
【0249】
制限エンドヌクレアーゼのような多くのDNA修飾酵素の場合、迅速な電気泳動移動度と最適酵素活性とが釣り合うpHを供する緩衝溶液を選択するのが常に望ましい。ある場合においては、pIより上およびそれより以下の両方の合理的酵素活性を有することが可能である。これらの酵素は、選択したpHに応じて、正または負のいずれかに偏倚した超微細位置に向かって移動することがきる。
【0250】
ML-1におけるM13mp18ベクターのXbaI切断は以下のように行う。電子工学デリバリー・システムを用いて、最初にXbaIエンドヌクレアーゼをML-1/M13mp18超微細位置まで自由フィールド電気泳動させる。0.1mAにて2分間、pH7.6の緩衝液中に100ユニットのXbaIを含有する電子工学デリバリー・システムを負に偏倚させ、ML-1/M13mp18超微細位置を正に偏倚させる。次いで、電流を0.02mAに3分間低下させる。電子工学デリバリー・システムは切るが、0.1mAにて5分間、ML-1/M13mp18超微細位置は負に偏倚させ、ML-3/M13C-2超微細位置は正に偏倚させる。今度は、Xba1およびハイブリダイズしなかった断片をML-3/M13C-2超微細位置から除去するために、ML-3/M13C-2超微細位置を負に偏倚させ、電子工学デリバリー・システムを切り、0.1mAにて2分間正に偏倚させる。
【0251】
エピ蛍光顕微鏡による観察は、ML-1/M13mp18超微細位置における赤色蛍光シグナルの消失、およびML-3/M13C-2超微細位置における赤色蛍光シグナルが存在することを示し、M13mp18ベクターがXbaI切断されたことを証明している。同一の基本XbaI切断法を今度は、負対照として供する、ML-2/M13mp8超微細位置について繰り返す。M13mp8ベクターはXbaI部位を有していないため、断片の切断および生成は不可能である。かくして、ML-2/M13mp18超微細位置はその緑色蛍光シグナルを維持するが、ML-4/M13C-2超微細位置では蛍光シグナルは全く認められない。
【0252】
第二の実施例には、デバイス上のアドレス可能な超微細位置に共有結合する制限酵素で行う制限切断反応が含まれる。この場合において、制限エンドヌクレアーゼは誘導化され、APEXデバイス上のアドレス可能な超微細位置まで自由フィールド電気泳動され、そこでそれらは共有結合するであろう。制限酵素を固形指示体に誘導化させ、共有結合させる方法は当業者に知られている。種々の異なる制限酵素をAPEXデバイスにアドレスすることができた。特異的切断反応は、自由フィールド電気泳動を用いて、所望の制限エンドヌクレアーゼを含有する超微細位置にds-DNAベクターまたはDNA試料を濃縮することによって行われるであろう。ds-DNAを切断し、次いでデバイス上の他の超微細位置まで断片を移動させる。その際に、所望の、または有用な他のDNA修飾酵素をAPEX・デバイス上のアドレス可能な超微細位置にカップリングすることができる。また、この実施例はDNA修飾酵素に限定するものではなく、大部分の他の酵素をAPEX・デバイス上のアドレス可能な超微細位置に付着させることができる。
【0253】
実施例12: 電子工学増幅法
標的配列のコピー数が非常に少ない場合(例えば、HIV、敗血症感染、他)には、精製標的DNAおよび/またはRNAを直接的にAPEX・デバイス上で増幅させることによって、標的DNA配列の複製または増幅により感度を改善することができるであろう。また、増幅によって、ハイブリダイゼーション分析を行う前に非常に高収率の分取工程を行う必要性も減じられるであろう。
【0254】
APEX増幅プロトコールによって、DNA運動、変性および合成反応の完全な電子工学的制御が提供される。最も重要なことは、高温の使用または高熱耐性ポリメラーゼまたは他の熱安定性酵素を使用することなく、DNAハイブリッドを電子工学的に変性させることである。
【0255】
第一の実施例として、DNAポリメラーゼ(大きな方のクレノー断片)を用い、かつ熱サイクルの必要性なしに、DNA合成を非常に忠実に行うことができる。この実施例においては、超微細位置に共有結合させたままの方法で1本のDNA鎖が複製される。この工程は、以下の様式で行う:1)アドレスされた超微細位置上の公知の配列の捕捉プローブに公知の標的配列を電子工学的にハイブリダイズさせ、2)捕捉プローブにより鋳型化されたDNAポリメラーゼ鋳型化によって発生しようとする相補的DNA鎖(−)を合成を行い、3)新たに合成したDNAハイブリッドを電子工学的に変性させ、4)標的DNAを非-伸長捕捉プローブにアニーリングさせ、−鎖相補的プローブを発生しようとしている−鎖DNAにアニーリングさせ、5)発生しようとしている標的DNA(+)鎖をDNAポリメラーゼによって合成し、2と同様に−鎖DNAを同時に合成し、それによって+および−鎖の数を倍加させ、各回にこの工程を繰り返し、次いで6)特異的に設計した相補的プローブにハイブリダイズさせることによって増幅標的をサイズ選択する。図17に示す完全な工程を以下にさらに詳細に記載する:
【0256】
工程1)捕捉プローブへの標的配列の付着
標的配列を(1)共有結合した捕捉プローブを含有する超微細位置に光電子工学的に輸送する。標的配列は、非-標的(ゲノム)配列中に存在するかもしれないが、アニーリングっせてプローブを捕捉する前に変性させなければならない。最初に捕捉されるであろう標的配列は種々の長さであろう。
【0257】
工程2)標的に相補的なDNAの合成
DNAポリメラーゼおよびdNTPを超微細位置1に光電子工学的に輸送する。捕捉プローブはDNAポリメラーゼに3'末端を、捕捉標的配列は鋳型を提供する。合成に影響を受けやすい試薬の濃度を維持するのに十分な電流を流す。電流は定電流または変調電流とすることができる。これらの指標を操作すれば、異なった範囲の長さの発生しようとする相補的(−)鎖を得ることができる。
【0258】
工程3)新たに合成した鎖の電子工学的変性
超微細位置1の極性を反転させ、電位をかけて2本鎖を分離させる。電位およびかけた時間の量は、ハイブリッドDNA複合体の長さおよび塩基組成に依存するであろう。これらの指標は、経験的、または電子工学変性曲線から計算して決定することができる。
【0259】
工程4)プライマー(捕捉および相補的プローブ)のDNA鎖へのアニーリング+および−DNA鎖の両方にアニーリングさせてDNAポリメラーゼ用のプライマーを得るにはオリゴが必要である。標的または+鎖については、このことを非-伸長捕捉プローブまでの+鎖の電子工学的輸送によって達成される。このことにより、過剰に伸長し、共有結合した−鎖DNAと同じくらいの長さの非-伸長捕捉プローブを発生させるであろう。相補的プローブを超微細位置まで電気泳動して−鎖DNAに共有結合させる。今度は、+および−の両方の鎖がそれらに結合するプライマーを有し、合成を触媒する鋳型DNAポリメラーゼである(図参照)。
【0260】
相補的プローブの結合性は非共有結合−鎖DNAで発生させることもできるが、これらのハイブリッドは電子工学的に変性され、それ故全体的な増幅にはほとんど影響を有してはならない。
【0261】
工程5)2本の新しいDNA鎖の合成
工程2を繰り返し、+および−鎖が鋳型形成を開始した時から、配列特異的DNAの量は倍加する。DNA量におけるこの幾何学的増加は、繰り返したこれらの工程の各回で起こるであろう。
【0262】
工程6)増幅標的配列のサイズ選抜
相補的プローブのヌクレオチド配列は、増幅標的DNAのサイズおよび配列を決定するであろう。従って、増幅DNAは慣例設計して、二次分析および/または操作の効率の向上させることができる。
【0263】
他の酵素を本発明の増幅法用いることができ、それらには、限定するものではないが、他のDNAポリメラーゼ、T7またはSP6 RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、DNAリガーゼおよびポリヌクレオチド・ホスホリラーゼ、ならびに他の核酸修飾酵素(エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、他)との組合せが含まれる。
【0264】
実施例13:電子工学コントローラーおよびデータ・システム
APEX・チップまたはマイクロマシーン加工デバイスのいずれであろうと、全てのデバイスは、超微細位置(またはマクロ-位置)のアドレス可能なアレイの性質であろう。コンピューター・コントロール/データ収集システムは、電子工学電位をアレイ中のいずれのパッドにも独立して流せるよう、微細位置-電極システムを結果として流れた電流が測定されるように設計されている。コンピューター制御/データ収集インターフェースによって:
a)超微細位置のアレイの表示
高いレベルおよび低いレベルの表示によって、最も高いレベルにおける遮断を解決するために、および低いレベルにおける超微細位置の遮断を十分に解決するために、全超微細位置の図が提供される。
b)超微細位置上をクリックすると超微細位置の特性を説明する超微細位置のウインド図が立ち上がり、種々の形態、電位の大きさおよび様子の信号の時間配列他、他の超微細位置のものに重複する制御配列の表示、他で超微細位置の制御が設定できるであろう。また、該システムは、他の超微細位置を形成するデータとの統計学および比較で超微細位置につき収集したデータおよび信号も表示する。一覧表によって、制御設計、認められた実際の制御信号および収集したデータについての解析、分類システムおよび保管文書機能が提供される。
【0265】
c)ソフトウェアによって、b)に記載したアレイ制御ソフトウェアからのインプットによって制御されるハードウェア・インターフェイスを通して全てのスイッチングおよびデータ収集が提供される。
d)別々のハードウェアおよびソフトウェアシステムによって、イメージ収集および処理能力が提供される。このシステムは、超微細位置のアレイを映し、活性超微細位置におけるDNA結合相互作用からの蛍光信号を記録して、DNA結合実験の結果を読み出す。イメージ処理ソフトウェアによって、これらのイメージを定量的に処理し、定量的なアッセイ結果を抽出することができる能力が提供される。このソフトウェアは、アレイ制御/データ収集ソフトウェアと完全にインターフェースで接続されており、APEXデバイス制御/電極の電流データおよびイメージング・データからのアッセイ結果を全て記録する集中システムを提供し、該データを解析してこれらの結果の整合性および信頼性に関する補助的な情報と一緒にアッセイに関する結果を減少させて、全てのデータおよび解析を保管する。
e)APEXコントローラーには、このソフトウェア、および「アッセイ中」および「結果」の表示のみを提供する上層と、要すればa)ないしc)の機能にアクセスするボタンが組み込まれるであろうが、a)ないしc)は全ての場合において収集され、保管されるであろう。
【0266】
f)開発対象に用いるべき初期バージョンのコントローラーはホスト・コンピュータとしてマッキントッシュ・クアドラ(Macintosh Quadra)950を用い、該クアドラ950と接続したナショナル・インスツルメンツ(National Instruments)ボードを用いて前記のハードウェア・インターフェースを提供する。これらのボードは種々の電流をAPEX超微細位置に流し、結果として電極システムを流れる電位を測定する。このコントローラーで用いるナショナル・インスツルメンツ(National Instruments)ボードは、ハイ・レソルーション・マルチファンクション(High Resolution Multifunction)I/Oボード、NB-MIO-16XL-18、アナログ・アウトプット(Analog Output)・ボード、NB-AO-6、タイミング・インプット/アウトプット(Timing Input/Output)・ボード、NB-TIO-10、ブロック・モード(Block Mode)DMA・アンド・GPIBインターフェイス(Interface)・ボード、NB-DMA2800、ならびにアナログ・シグナル・コンディショニング・モジュール(Analog Signal Conditioning Modules)・ボードおよび熱電対用のモジュール、ならびに他の環境センサー5bシリーズである。クアドラ中のNuBusボードおよびAPEXデバイス間の接続は、SCXI-1001フレームに収められたSCXI 16-チャンネルSPDTリレイ・モジュール・ボードを通されるであろう。
【0267】
実施例14: 電子工学制御試料の調製およびハイブリダイゼーション分析-集中APEXシステム
試料調製には、通常細胞の選抜;細胞性物質の破砕(例えば、消化)、ならびに一連の分離工程および親和性反応が含まれる。試料調製は、分子生物学的反応にとって重要である。例えば、試料調製工程における非効率により実際の標的DNA配列量が多量に失われるため、ハイブリダイゼーション・アッセイはしばしば制限される。
【0268】
電子工学制御の基本的なAPEX概念は、DNAハイブリダイゼーション・アッセイにおける試料調製に用いることができる。電子工学的な方法によって、APEX部品の活性な電子工学システム上で行うべき試料調製、細胞選抜および分析が可能であろう。試料調製は、細胞の選抜および消化、ならびに試料中の細胞性および異質の物質からのDNAの粗分離で開始するであろう。電子工学的デバイスは、該試料DNAを電子工学的に処理して、他の物質を除去しつつ、デバイスの分析部品に向けて効率的に移動させる。該システムは、標的DNAの効率的加工用の適当なスケーリング因子を提供する。ヒトゲノム解析について、電子工学的試料調製には、大部分の非-特異的DNAが標的DNAから分離されるであろう高効率プレ-ハイブリダイゼーション工程が含まれるであろう。
【0269】
試料調製については、集中デバイスまたは完全APEXシステムは、相対的に粗試料(血液、痰、尿他)を採取し、最小限の機械的操作および流体工学でそれを処理し、次いで標的DNAを該デバイスの分析部品に電子工学的にデリバリーする。この「活性電子工学加工」は、一般的には手動の工程および技術の機械的バージョンである自動制御またはロボティクス加工とは異なる。
【0270】
DNA試料調製および分析のための集中APEX・システムは、全て一般APEX概念に基づく多数の部品を用いて加工することができる。システムの構成要素には(1)電子工学細胞セレクター・ユニット;(2)電子工学試薬調剤ユニット;(3)電子工学不要の一回使用ユニット;(4)粗DNAセレクター・ユニット;(5)第二DNAまたは制限断片セレクター・ユニット;(6)DNA断片保存ユニット;および(7)APEX分析ユニット(チップ)が含まれる。集中APEXシステムを図18に示す。
【0271】
かかるシステムは、大きなケイ素ウェハー上に加工することができる。別法として、個々の構成要素は、微細リソグラフィーまたはマイクロマシーン加工技術によって加工でき、特別に設計したプラットフォームユニットを配置する(例えば、接続する)ことができる。完全なシステムの構成要素は、それらの有効領域が相対的な試料のサイズおよび(細胞のごとき)該試料中の物質の量に対して一定の比率で拡大(縮小)されるように設計されている。例えば、セル・ソーター有効領域は、一般的に粗DNAセレクター有効領域よりも大きいであろうし、次ぎにそれは制限断片APEX分析チップ有効領域よりも大きいであろうし、APEXチップ有効領域よりも大きいであろう。
【0272】
実施例として、該セル・ソーター「有効面積」は数cmのオーダーとすることができるが、64超微細位置APEX分析構成要素についての合計「有効面積」は1mm未満であろう。プラットフォーム・ユニットは、密閉共通緩衝液貯蔵器中の全ての構成要素ユニットを支持するように設計されている。数百μlにのぼる適当な試料は、セルセレクター構成要素付近の試料添加口を通して該システムに添加する。セル・セレクター構成要素は、異なる細胞型につき1またはそれを超える選択親和性を有することができる大きなスケールのAPEXデバイスである。これらの親和性の選択は、細胞表面電荷、ハプテンおよび抗原に基づいて行うことができる。
【0273】
実施例として、全血液試料の親和性選択は、白血球細胞(リンパ球、他)を赤血球細胞から選択することができる。高い選択工程を用いて、肉体的血液試料から胎児細胞を選択することができる。また、感染性微生物(公募、カビ、最近およびウイルス)について親和性選択をすることもできる。選択された細胞がセル・セレクター構成要素付着して残るのに対して;全ての他の細胞および蛋白質物質は消費一回使用ユニットに輸送される。この時点で、荷電した洗浄剤、および/またはカオトロピック剤、および/または適当な消化酵素および蛋白質分解酵素(リゾチーム、プロテインキナーゼK、ペプシン、他)の電子工学試薬調剤ユニットからセル・セレクター・ユニット上の細胞までの自由フィールド電気泳動輸送によって細胞を消化することができる。電子工学消費一回使用システムを適当に偏倚させることによって、ある種の消化消費物質を除去することができる。粗DNAセレクター・ユニットを正に偏倚させることによって、今度はこの構成要素まで粗核酸(DNA/RNA)物質を輸送することができる。
【0274】
粗DNAセレクターは、DNAに対して一般的な親和性を有するAPEXデバイスである。この親和性は、正に荷電した表面、または共通または反復性のDNA配列を含有する表面である。例えば、Alu繰り返し捕捉配列は、ヒト細胞から抽出した大部分の粗DNAを効率的に捕捉するであろう。感染症分析が対象である場合には、共通または属に共通の細菌またはウイルス配列を用いることができる。DNAから外来物質を除去することに加えて;該APEX・システムは、試料DNAの複合性を減少させるようにも設計されている。このことは、制限酵素を用いて、粗DNAセレクター・ユニットでDNAを選択的に切断することによって達成することができる。該制限酵素は、試薬調剤ユニットから輸送される。切断制限断片は、今度は、それを正に偏倚することによって、第二DNAまたは制限断片セレクター・ユニットから輸送される。このユニットは、その表面上の適当な捕捉配列を用いて、大きな断片のDNAに選択的に結合するように設計されている。
【0275】
この時点で、選択されたDNA断片は、ハイブリダイゼーション分析のためにAPEX分析チップまで輸送される。また、DNA断片は貯蔵ユニット、あるいはシステムの外部にさえ輸送することができる。前記の実施例は、試料調製および複数ハイブリダイゼーション分析に可能なシナリオのほんの幾つかを示している。構成要素の結合親和性がプログラム可能なこと、および結合した異なる構成要素および機能の融通性によって、広範な種々の工程を行うことができる。
【0276】
DNAを第一の例として用いたが、前記のデバイスおよび方法は、標的RNA分子、蛋白質、多糖、脂質および他の巨大分子の加工および分析にも用いることができる。
【0277】
各刊行物に掲載されている核酸配列およびアミノ酸配列を含む、参照した全ての刊行物は出典明示して本明細書の一部とみなす。
他の具体例も以下の請求の範囲の範囲内である。
【0278】
配 列 表

(1)一般情報:
(i)出願人: マイケル・ジェイ・ヘラー(Michael J.Heller)
ユージン・チュー(Eugene Tu)
グレン・エイ・エバンス(Glen A.Evans)
ロナルド・ジイ・ソスノウスキー(Ronald G.Sosnoeski)
(ii)発明の名称:分子生物学的分析および診断用の自己アドレス指定可能な超小型電子システムおよびデバイス
(iii)配列の数:45
(iv)通信住所:
(A)受信人: ライオン・アンド・ライオン(Lyon & Lyon)
(B)通り: ウエスト・シックスス・ストリート611番
(C)都市: ロスアンゼルス
(D)州: カリフォルニア州
(E)国籍: 合衆国
(F)郵便番号: 90017
(v)コンピューター判読形式:
(A)媒体の型: 3.5'ディスケット、1.44Mb保存
(B)コンピューター: IBMコンパチブル
(C)オペレーティング・システム:IBM P.C.DOS(バージョン5.0)
(D)ソフトウェア: ワードパーフェクト(バージョン5.1)
(vi)最新出願データ:
(A)出願番号: 08/271,882
(B)出願日: 1994年7月7日
(C)分類:
(vii)先の出願データ:
(A)出願番号: 08/146,504
(B)出願日: 1993年11月1日
(viii)代理人/代理事務所情報:
(A)氏名: マーフィー,デイビッド・ビイ
(Murphy,David B.)
(B)登録番号: 31,125
(C)参照/ファイル番号 207/263
(ix)電信電話通信情報:
(A)電話番号: (213)489-1600
(B)ファックス番号: (213)955-0440
(C)テレックス番号: 67-3510
【0279】
(2)配列番号:1に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 24
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:1:
【0280】
【表8】

【0281】
(2)配列番号:2に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 21
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:2:
【0282】
【表9】

【0283】
(2)配列番号:3に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 34
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:3:
【0284】
【表10】

【0285】
(2)配列番号:4に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 20
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:4:
【0286】
【表11】

【0287】
(2)配列番号:5に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 20
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:5:
【0288】
【表12】

【0289】
(2)配列番号:6に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 18
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:6:
【0290】
【表13】

【0291】
(2)配列番号:7に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 20
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:7:
【0292】
【表14】

【0293】
(2)配列番号:8に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 18
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:8:
【0294】
【表15】

【0295】
(2)配列番号:9に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 22
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:9:
【0296】
【表16】

【0297】
(2)配列番号:10に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 20
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:10:
【0298】
【表17】

【0299】
(2)配列番号:11に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 20
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:11:
【0300】
【表18】

【0301】
(2)配列番号:12に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 20
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:12:
【0302】
【表19】

【0303】
(2)配列番号:13に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 20
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:13:
【0304】
【表20】

【0305】
(2)配列番号:14に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 18
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:14:
【0306】
【表21】

【0307】
(2)配列番号:15に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 18
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:15:
【0308】
【表22】

【0309】
(2)配列番号:16に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 19
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:16:
【0310】
【表23】

【0311】
(2)配列番号:17に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 33
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:17:
【0312】
【表24】

【0313】
(2)配列番号:18に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 19
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:18:
【0314】
【表25】

【0315】
(2)配列番号:20に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 19
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:20:
【0316】
【表26】

【0317】
(2)配列番号:21に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 17
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:21:
【0318】
【表27】

【0319】
(2)配列番号:22に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 19
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:22:
【0320】
【表28】

【0321】
(2)配列番号:23に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 17
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:23:
【0322】
【表29】

【0323】
(2)配列番号:24に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 21
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:24:
【0324】
【表30】

【0325】
(2)配列番号:25に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 19
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:25:
【0326】
【表31】

【0327】
(2)配列番号:26に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 19
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:26:
【0328】
【表32】

【0329】
(2)配列番号:27に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 19
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:27:
【0330】
【表33】

【0331】
(2)配列番号:28に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 30
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:28:
【0332】
【表34】

【0333】
(2)配列番号:29に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 30
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:29:
【0334】
【表35】

【0335】
(2)配列番号:30に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 15
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:30:
【0336】
【表36】

【0337】
(2)配列番号:31に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 15
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:31:
【0338】
【表37】

【0339】
(2)配列番号:32に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 15
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:32:
【0340】
【表38】

【0341】
(2)配列番号:33に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 30
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:33:
【0342】
【表39】

【0343】
(2)配列番号:34に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 29
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:34:
【0344】
【表40】

【0345】
(2)配列番号:35に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 22
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:35:
【0346】
【表41】

【0347】
(2)配列番号:36に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 22
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:36:
【0348】
【表42】

【0349】
(2)配列番号:37に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: ?
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:37:
【0350】
【表43】

【0351】
(2)配列番号:38に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 7
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:38:
【0352】
【表44】

【0353】
(2)配列番号:39に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 7
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:39:
【0354】
【表45】

【0355】
(2)配列番号:40に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 31
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:40:
【0356】
【表46】

【0357】
(2)配列番号:41に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 31
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:41:
【0358】
【表47】

【0359】
(2)配列番号:42に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 40
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:42:
【0360】
【表48】

【0361】
(2)配列番号:43に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 40
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:43:
【0362】
【表49】

【0363】
(2)配列番号:44に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 24
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:44:
【0364】
【表50】

【0365】
(2)配列番号:45に関する情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ: 24
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー 直鎖状
(ii)配列:配列番号:45:
【0366】
【表51】

【図面の簡単な説明】
【0367】
【図1】図1はマイクロリソグラフィー技術を用いて作製した3つの自己アドレス指定可能な超微細-位置の断面図である。
【図2】図2はマイクロリソグラフ的に作製した超微細-位置の断面図である。
【図3】図3は実際に作製し、オリゴヌクレオチドでアドレス指定し、試験した自己アドレス指定可能な64の超微細-位置チップの模式図である。
【図4】図4は特異的なオリゴヌクレオチドを超微細-位置の付着表面に迅速に共有結合させる特定の付着化学過程を示している。
【図5】図5は超微細-機械加工した96の超微細-位置デバイスの引き延ばしたダイアグラムである。
【図6】図6は超微細-機械加工したデバイスの断面図である。
【図7】図7は特定の超微細-位置で分析物または反応分子を電子工学的に濃縮するのに使用するデバイスの機構を示している。
【図8】図8は3つの特異的オリゴヌクレオチド結合物質(SSO-A、SSO-BおよびSSO-C)を有するデバイスの自己指定された組立てを示している。
【図9】図9は特異的DNA捕捉配列を含有する超微細-位置で濃縮される試料/標的DNAの電子工学的に制御されたハイブリダイゼーション工程を示している。
【図10】図10は電子工学的に指定された逐次ハイブリダイゼーション工程を示している。
【図11】図11は単一の点突然変異を決定するハイブリダイゼーション工程の電子工学的な厳格制御(ESC)を示している。
【図12】図12は標識DNAプローブを用いることなく、すなわち電子工学的に制御された蛍光染料検出プロセスによって、ハイブリダイズしたDNAを検出するスキームを示している。
【図13】図13はデバイスの電子工学的に制御された複製のスキームを示している。
【図14】図14はオリゴヌクレオチドの電子工学的に指向された組合せ合成のスキームを示している。
【図15】図15は電子工学的な厳格制御および従来技術を用いて行った15重体Ras12点突然変異ハイブリダイゼーションの結果を比較するグラフを示す。
【図16】図16はDNAの電子工学的に制御制限断片切断のスキームを示している。
【図17】図17はDNAポリメラーゼを用いたDNAの電子工学的に制御された増幅のスキームを示している。
【図18】図18は試料調製およびDNA分析を行うよう設計したAPEXデバイスのダイアグラムを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を含む電子工学的にアドレス可能な位置を供し;
基質を該位置と接触させ;
該位置を基質に対して反対の電荷に置き、それにより、該基質を該位置に濃縮し;
該基質を該位置に付着させ;
該酵素を該位置と接触させ;
該位置を該酵素と反対の電荷に置き、それにより該酵素を該位置に濃縮し;
該酵素を該位置の該基質と反応させる工程を含むことを特徴とするアドレス可能な位置において電子工学的に制御された酵素反応を行う方法。
【請求項2】
該基質が核酸を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
該酵素が制限酵素、リガーゼ、プロテイナーゼ、グリコシダーゼまたはホスホリラーゼを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
該酵素がDNAポリメラーゼを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
該酵素がRNAポリメラーゼを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
該酵素反応が核酸の酵素消化を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
該酵素反応が核酸の合成を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
該酵素反応がポリペプチドの合成を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
(1)電極を含む電子工学的にアドレス可能な位置を供し;
(2)該位置に付着したオリゴヌクレオチドプライマーYを供し;
(3)一本鎖核酸Xを、該プライマーYが該核酸Xに特異的にハイブリダイズする該位置と接触させ;
(4)該位置を該核酸Xに対して反対の電荷に置き、それにより、該位置に該核酸Xを濃縮し、該核酸Xを該プライマーYにハイブリダイズさせ;
(5)核酸ポリメラーゼを該位置と接触させ;
(6)該位置を該ポリメラーゼに対して反対の電荷に置き、それにより、該ポリメラーゼを該位置に濃縮し、該ポリメラーゼが該位置で該プライマーYから核酸Yを合成するのを可能とし;
(7)該位置を十分な時間、負の電位に置いて、該核酸Xを該位置から除去し;
(8)オリゴヌクレオチドプライマーXを、該プライマーXは該核酸Yに特異的にハイブリダイズする該位置と接触させ;
(9)該位置を該プライマーXに対して反対の電荷に置き、それにより、該プライマーXを該位置に濃縮し、該プライマーXを該核酸Yにハイブリダイズさせ;
(10)該位置を該ポリメラーゼと反対の電荷に置き、それにより、該ポリメラーゼを該位置に濃縮し、それにより、該ポリメラーゼが該位置の該プライマーXから核酸を合成するのを可能とする工程を含むことを特徴とする核酸の電子工学的に制御された増幅を行う方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−20568(P2007−20568A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184471(P2006−184471)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【分割の表示】特願平8−504426の分割
【原出願日】平成7年7月5日(1995.7.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Macintosh
2.マッキントッシュ
【出願人】(399030381)ナノゲン・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】NANOGEN,INC.
【Fターム(参考)】