説明

分岐鎖アミノ酸を含有する医薬用懸濁剤

【課題】苦みの強い分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有する懸濁製剤の苦みを緩和した服用し易い医薬用懸濁製剤を提供する。
【解決手段】イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、かつ酸味剤として有機酸(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びアスコルビン酸等)の少なくとも1種を含有することを特徴とする医薬用懸濁剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有する、服用し易い懸濁製剤に関する。特に本発明は、苦みの強いイソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有する懸濁製剤の苦みを緩和して服用し易くした懸濁製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を含有する医薬用製剤は肝硬変に有効な治療薬であるが、現在市販されている製剤は顆粒剤が主体である。
上記3種の分岐鎖アミノ酸を含有する顆粒製剤の場合、その1回の服用量が約5gと一般の製剤に比較して著しく多く、しかも苦みが強いことから服用しにくいという難点がある。
通常、医薬品の苦味等はショ糖等などの甘味剤を加えることにより味を隠蔽でき、苦味が残留性の場合、サッカリン、グリチルリチン酸等の残効性の強い甘味料を併用することにより隠蔽効果を与えることができる。
【0003】
一方、1回の服用量が多くて服用しにくい薬剤を、服用時に水を必要とせず咽喉越しもよい懸濁剤とすることも行われている。しかし、市販の懸濁製剤の場合、その懸濁剤の主薬濃度は10%以下であり、イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる分岐鎖アミノ酸を主薬とする肝硬変治療薬のように、通常の懸濁製剤の1回の服用量で必要量を摂ろうとすると通常の懸濁製剤よりも遙に高い濃度の懸濁製剤を調製しなければならない例は多くはない。
【0004】
イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる分岐鎖アミノ酸を主薬とする肝硬変治療薬の場合、通常の懸濁製剤の濃度の上限値に近い10%程度又はそれ以上とすると、懸濁製剤の保存中に主薬の沈殿が生じ、該沈殿物がやがてケーキングを起こして再分散性の乏しい状態となるため、このようなケーキングを防止し、再分散性を維持するための手段を講じなければならない。
以上のような理由から、苦みが強く、しかも1回の服用量が著しく多いイソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を含有する製剤は、懸濁製剤とすることが難しく、現在まで該3種の分岐鎖アミノ酸を主薬とする懸濁製剤は開発されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、苦みの強い分岐鎖アミノ酸薬剤の1回の服用量を医薬品として適切な量とした懸濁製剤において、分岐鎖アミノ酸の苦みを緩和したイソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を含有する懸濁製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成することができる本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、かつ酸味剤として有機酸を少なくとも1種含有することを特徴とする医薬用懸濁剤。
【0007】
(2)イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、かつ酸味剤として、好ましくはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする医薬用懸濁剤。
【0008】
(3)サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸、アスパルテーム、マンニトール及びトレハロースからなる群から選ばれた甘味剤及び/又はメントール、エタノールのうち少なくとも1種類からなる矯味剤をさらに含有することを特徴とする(1)項又は(2)項記載の医薬用懸濁剤。
【0009】
(4)医薬用懸濁剤のpHが2.5〜6.0であることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の医薬用懸濁剤。
【0010】
(5)前記イソロイシン及びロイシンの粒度D50が3〜350μm、特に50〜350μmであることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の医薬用懸濁剤。
【0011】
(6)前記粒度D50が100μm以下、特に3〜50μmであるイソロイシン及びロイシンに腸溶性コーティング、水不溶性コーティング及び胃溶性コーティングから選ばれるコーティングが施されていることを特徴とする(5)項記載の医薬用懸濁剤。
【0012】
(7)前記腸溶性コーティング、水不溶性コーティング又は胃溶性コーティングのコーティング基材は、メタアクリル酸コポリマー類、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー類及びエチルセルロース類から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする(6)項記載の医薬用懸濁剤。
【0013】
(8)医薬用懸濁剤がその1回の服用量が5〜50mlであることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の医薬用懸濁剤。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、服用の容易な薬用懸濁剤を調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の肝硬変治療用の懸濁製剤は、日本薬局方に記載されている懸濁剤及びシロップ剤を意味しており、その濃度も日本薬局方に規定されている範囲のものである。
【0016】
本発明の懸濁製剤における有効成分は、イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸である。
イソロイシンは日本薬局方の規格を満たすものである限り特に限定されるものではないが、通常は発酵法で製造されている1mm程度又はそれ以下の粒度のものを粉砕し、D50が3〜350μm、特に50〜350μmに調製されているものが使用されるが、このような由来のものに限定されるものではない。
同様に、ロイシンは日本薬局方の規格を満たすものである限り特に限定されるものではないが、通常は発酵法又は抽出法で製造されている1mm程度又はそれ以下の粒度のものを粉砕し、D50が3〜350μm、特に50〜350μmに調製されているものが使用されるが、このような由来のものに限定されるものではない。
同様に、バリンは日本薬局方の規格を満たすものである限り特に限定されるものではないが、通常は発酵法又は合成法で製造されている1mm程度又はそれ以下の粒度のものを粉砕し、使用されるが、このような由来のものに限定されるものではない。
【0017】
イソロイシン/ロイシン/バリンの配合割合は、一般的にはイソロイシンを1とした場合、ロイシン(1.9〜2.2)、バリン(1.1〜1.3)の範囲であるが、この配合割合に限定されず、互いの配合量は適宜増減することが可能である。
上記したように、イソロイシン、ロイシン及びバリンの粒径はD50が3〜350μm、特に50〜350μmであることが望ましいが、500μm程度までの粒径のものであれば使用可能である。
【0018】
本発明の懸濁製剤に使用される酸味剤は無水クエン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、D−酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、L−グルタミン酸塩酸塩、酢酸、乳酸等の有機酸である。
特に、好ましくは無水クエン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、D−酒石酸、アスコルビン酸等が挙げられる。一般に良く使用される塩酸等の無機酸の酸味剤ではイソロイシン等の独特の苦味や特異臭の矯味効果は不十分である。
酸味剤の添加量はイソロイシン等の独特の苦みや特異臭の矯味効果が発揮される量であれば特に制限はなく、通常、懸濁製剤全量に対して0.05%(W/V)〜5%(W/V)、3種の分岐鎖アミノ酸に対して0.25%(W/W)〜25%(W/W)の範囲に選択される。
【0019】
本発明の懸濁製剤には、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ゼラチン、寒天及びトラガント末からなる群から選ばれる少なくとも1種の懸濁化剤が使用される。
セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム等が挙げられる。
【0020】
懸濁化剤の使用量の範囲は、懸濁製剤全容量に対して0.1〜5.0%(W/V)、好ましくは0.3〜3.0%(W/V)であり、対アミノ酸では0.5〜25.0%(W/W)、好ましくは1.5〜15.0%(W/W)である。
また、通常の医薬用懸濁剤に懸濁化剤として使用されるカルボキシルビニルポリマー、ポリビニルアルコールの部分ケン化物又は完全ケン化物、ポリビニルピロリドン類のような合成高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルのような天然高分子等も使用することができる。
外に、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ステアリン酸ポリオキシル40のような界面活性剤、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸のような無機物質も使用することができる。
【0021】
本発明の懸濁製剤には、安全性、主薬である分岐鎖アミノ酸との配合性等を考慮した上で、通常の懸濁製剤に使用される保存剤を使用することができる。使用できる保存剤の例としては、ソルビン酸及びその塩類、安息香酸及びその塩類、パラオキシ安息香酸及びそのエステル類等が挙げられる。
【0022】
甘味剤、芳香剤、着色剤等の各種矯味剤なども使用することができる。懸濁製剤の場合、イソロイシン、ロイシン、バリンからなる分岐鎖アミノ酸は、通常よく使用するショ糖、果糖等の甘味剤を使用すると保存中にメイラード反応により着色が生じることから使用を避けることが望ましい。エリスリトール、キシリトール等でも着色等の問題が発生した。また一般によく用いられる塩酸等の無機酸の酸味剤では、分岐鎖アミノ酸が有するその独特な苦味・特異臭の矯味効果は十分ではなかった。
【0023】
本発明の懸濁製剤は、前記粒径のイソロイシン、ロイシン及びバリン粒子を前記配合割合で使用し、前記懸濁化剤と共に水と混合して調製される。懸濁製剤を調製するための混合手段に特に制限はなく、均一な懸濁液が得られる限り、混合のメカニズム、機種を問わない。各種のホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等の高圧乳化機、コロイドミル等が好ましく使用されるが、ニーダー等の万能混合機やポットミル、乳鉢等でも使用可能である。
【0024】
懸濁製剤に使用する分岐鎖アミノ酸粒子の粒度の測定は、次のように行うことができる。
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA-920)を使用し、2−プロパノール約200mlを循環層に入れ、撹絆、超音波照射を行いながら、2分間循環させた後、ブランク(測定中は超音波照射なし)を行う。 引き続いて、測定アミノ酸試料を透過率が85±5%の範囲内になるように投入する。撹絆、超音波照射しながら2分間循環させ、超音波照射を停止した1分後に測定を行う。平均粒径は体積基準のメジアン径とする。
【0025】
本発明によれば、イソロイシン、ロイシン、バリンを含んでなる医薬用懸濁製剤を製するにあたり酸味剤及び必要により矯味剤、甘味剤を添加することにより、分岐鎖アミノ酸の本来有する苦味・特異臭を低減化、マスキングして患者が服用しやすくコンプライアンスの向上に多大な貢献をする懸濁製剤を供給することを可能にしたものである。
【実施例】
【0026】
実施例1
精製水約350mlにヒドロキシプロピルメチルセルロース3.50g及び結晶セルロース・カルメロースナトリウム0.25gを加え、ディスパーサー(IKA-Labortechnik URTRA-TURRAX25)で分散させた。この分散液に酸味剤として酒石酸2.50g、甘味剤としてアスパルテーム0.30gを加え、消泡剤としてジメチルポリシロキサン1.00g、防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.03g、パラオキシ安息香酸プロピル0.03g、粘稠剤としてポリエチレングリコール400 2.50gを加え、前記ディスパーサーで溶かした。この液に粒径D50が10μmのイソロイシン23.80g、ロイシン47.60g、バリン28.60gを加え、前記ディスパーサーで懸濁させ、さらに精製水を追加し、全量500mlとしてこの液にヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、マイクロフルイダイザー〔月島機械(株)製M-110Y〕により均一に懸濁させ、pH3.7の医薬用懸濁剤を調製した。
【0027】
実施例2
精製水約450mlにヒドロキシプロピルメチルセルロース4.90g及び結晶セルロース・カルメロースナトリウム0.35gを加え、前記ディスパーサーで分散させた。この分散液に酸味剤として酒石酸3.50g、甘味剤としてサッカリンナトリウム0.28g、トレハロース35.00g、消泡剤としてジメチルポリシロキサン1.40g、防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.04g、パラオキシ安息香酸プロピル0.04gを加え、前記ディスパーサーで溶かした。この液に粒径D50が10μmのイソロイシン33.32gロイシン66.64g、バリン40.04gを加え、前記ディスパーサーで懸濁させ、さらに精製水を追加し、全量を700mlとした。この液にヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、前記マイクロフルイダイザーにより均一に懸濁させ、pH3.7の医薬用懸濁剤を調製した。
【0028】
実施例3
精製水約350mlにポリビニルアルコール4.50gを加え、前記ディスパーサーで分散させた。この分散液に酸味剤として無水クエン酸1.50g、甘味剤としてサッカリンナトリウム0.20g、マンニトール25.00g、消泡剤としてジメチルポリシロキサン1.00g、防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.03g、パラオキシ安息香酸プロピル0.03gを加え、粘稠剤としてポリエチレングリコール400 2.50gを加え、前記ディスパーサーで溶かした。この液に粒径D50が10μmのロイシン47.60g、バリン28.60gを加え、さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、前記マイクロフルイダイザーにより懸濁させた。この液に腸溶性コーティングを施したイソロイシン28.55gを加え、前記ディスパーサーで均一に懸濁させ、さらに精製水を追加し、全量500mlとし、今一度良くディスパーサーで分散させpH3.7の医薬用懸濁剤を調製した。
【0029】
イソロイシンの腸溶性コーティングは、粒径D50が15μmのイソロイシン200.0g/メタクリル酸コポリマーLDのコーティング液(オイドラギットL30D-55/ポリエチレングリコール6000/精製水=250.0g/7.5g/328.5g)を流動層造粒コーティング装置〔フロイント産業(株)FLO-1型〕で常法に従いコーティングした〔コーティング量20%(W/W)〕。
【0030】
実施例4
精製水約350m1にヒドロキシプロピルメチルセルロース3.50g及び結晶セルロース・カルメロースナトリウム0.25gを加え、前記ディスパーサーで分散させた。この分散液に酸味剤として酒石酸2.50g、甘味剤としてアスパルテーム0.30gを加え、消泡剤としてジメチルポリシロキサン1.00g、防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.03g、パラオキシ安息香酸プロピル0.03gを加え、粘稠剤としてポリエチレングリコール400 2.50gを加え、前記ディスパーサーで溶かした。この液にバリン28.60gを加え、さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、前記マイクロフルイダイザーにより均一に懸濁させた。この液に腸溶性コーティングを施したイソロイシン28.55g、ロイシン52.36gを加え、ディスパーサーで均一に懸濁させ、さらに精製水を追加し、全量500mlとし、今一度良くディスパーサーで分散させ、pH3.7の医薬用懸濁剤を調製した。
【0031】
イソロイシンの腸溶性コーティングは実施例1と同等な方法で実施した。
ロイシンの腸溶性コーティングは粒径D50が15μmのロイシン200gにメタクリル酸コポリマーLDのコーティング液(オイドラギットL30D-55/ポリエチレングリコール6000/精製水=250g/7.5g/382.5g)を流動層造粒コーティング装置(フロイント産業FLO-1型)で常法に従い、コーティングした〔コーティング量10%(W/W)〕。
【0032】
実施例5
精製水約350m1にヒドロキシプロピルセルロース3.50gを加え、ディスパーサーで分散させた。この分散液に酸味剤として酒石酸2.50g、甘味剤としてサッカリンナトリウム0.20g、マンニトール25.00gを加え、ディスパーサーで溶かした。この溶液にロイシン47.60g、バリン28.60gを加え、ディスパーサーで懸濁させ、さらに水不溶性コーティングを施したイソロイシン26.66gを加え、ディスパーサーで均一に懸濁させた。この液にヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、精製水を追加し、全量を500mlとし、今一度良くディスパーサーで分散させpH3.7の医薬用懸濁剤を調製した。
【0033】
イソロイシンの水不溶性コーティングは粒径D50が15μmのイソロイシン200gにエチルセルロースのコーティング液(エチルセルロース/クエン酸トリエチル/エタノール/精製水=100g/30.0g/1309.9g/561.0g)を前記流動層造粒コーティング装置で常法に従い、コーティングした〔コーティング量5%(W/W)〕。
【0034】
実施例6
精製水約380mlにゼラチン10.00gを加え、60℃に加温し攪拌しながら溶かした。この溶液を25℃に冷却後、酒石酸5.00g、サッカリンナトリウム1.00g、マンニトール100.00g、パラオキシ安息香酸メチル0.05g、パラオキシ安息香酸プロピル0.05gを加え、攪拌し溶かした。この溶液にイソロイシン(粒度D50:94μm)95.20g、ロイシン(粒度D50:94μm)190.40g、バリン114.40gを加え、ヘラを用い攪拌し懸濁化した。精製水を加え、全量1250mlとした。さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、混合しpH3.4である医薬用懸濁剤を調製した。
【0035】
実施例7
精製水約380mlにゼラチン10.00gを加え、60℃に加温し攪拌しながら溶かした。この溶液を25℃に冷却後、酒石酸5.00g、サッカリンナトリウム1.00g、マンニトール100.00g、パラオキシ安息香酸メチル0.05g、パラオキシ安息香酸プロピル0.05gを加え、攪拌し溶かした。この溶液にイソロイシン(粒度D50:285μm)95.20g、ロイシン(粒度D50:313μm)190.40g、バリン114.40gを加え、ヘラを用い攪拌し懸濁化した。精製水を加え、全量1250mlとした。さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、混合しpH3.4である医薬用懸濁剤を調製した。
【0036】
実施例8
精製水約240mlにゼラチン8.00gを加え、60℃に加温し攪拌しながら溶かした。この溶液を25℃に冷却後、酒石酸4.00g、サッカリンナトリウム1.60g、L−メントール0.08g、パラオキシ安息香酸メチル0.04g、パラオキシ安息香酸プロピル0.04gを加え、攪拌し溶かした。この溶液にイソロイシン(粒度D50:285μm)76.16g、ロイシン(粒度D50:313μm)152.32g、バリン91.52gを加え、ヘラを用い攪拌し懸濁化した。精製水を加え、全量800mlとした。さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、混合しpH3.6である医薬用懸濁剤を調製した。
【0037】
実施例9
精製水約100m1に寒天1.20gを加え、加熱煮沸し攪拌しながら溶かした。この溶液を25℃に冷却後、酒石酸1.20g、サッカリンナトリウム0.24g、トレハロース40.00gを加え、攪拌し溶かした。この溶液にイソロイシン(粒度D50:285μm)23.80g、ロイシン(粒度D50:313μm)47.60g、バリン28.60gを加え、ヘラを用い攪拌し懸濁化した。精製水を加え、全量250mlとした。さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、混合しpH3.5である医薬用懸濁剤を調製した。
【0038】
実施例10
精製水約35m1にゼラチン1.00gを加え、60℃に加温し攪拌しながら溶かした。この溶液を25℃に冷却後、酢酸0.20g、サッカリンナトリウム0.10g、マンニトール10.00g、パラオキシ安息香酸メチル0.005g、パラオキシ安息香酸プロピル0.005gを加え、攪拌し溶かした。この溶液にイソロイシン(粒度D50:285μm)9.52g、ロイシン(粒度D50:313μm)19.04g、バリン11.44gを加え、ヘラを用い攪拌し懸濁化した。精製水を加え、全量125mlとした。さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、混合しpH4.0である医薬用懸濁剤を調製した。
【0039】
実施例11
精製水約380mlにゼラチン10.00gを加え、60℃に加温し攪拌しながら溶かした。この溶液を25℃に冷却後、グルタミン酸塩酸塩0.70g、サッカリンナトリウム1.00g、マンニトール100.00g、パラオキシ安息香酸メチル0.05g、パラオキシ安息香酸プロピル0.05gを加え、攪拌し溶かした。この溶液にイソロイシン(粒度D50:285μm)95.20g、ロイシン(粒度D50:313μm)190.40g、バリン114.40gを加え、ヘラを用い攪拌し懸濁化した。精製水を加え、全量1250mlとした。さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、混合しpH3.3である医薬用懸濁剤を調製した。
【0040】
比較例1
精製水約450mlにヒドロキシプロピルメチルセルロース4.90g及び結晶セルロース・カルメロースナトリウム0.35gを加え、ディスパーサーで分散させた。この分散液に甘味剤としてサッカリンナトリウム0.28g、トレハロース35.00g、消泡剤としてジメチルポリシロキサン1.40g、防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.04g、パラオキシ安息香酸プロピル0.04gを加え、ディスパーサーで溶かした。この液に粒径D50が10μmのイソロイシン33.32g、ロイシン66.64g、バリン40.04gを加え、ディスパーサーで懸濁させ、さらに精製水を追加し、全量を700mlとした。この液にグレープフルーツエッセンス及びヨーグルトエッセンスを微量添加し、マイクロフルイダイザーにより均一に懸濁させ、pH5.8の医薬用懸濁剤を調製した。
【0041】
比較例2
精製水約450mlにヒドロキシプロピルメチルセルロース4.90g及び結晶セルロース・カルメロースナトリウム0.35gを加え、ディスパーサーで分散させた。この分散液に甘味剤としてサッカリンナトリウム0.56g、トレハロース35.0g、消泡剤としてジメチルポリシロキサン1.40g、防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.04g、パラオキシ安息香酸プロピル0.04gを加え、ディスパーサーで溶かした。この液に粒径D50が10μmのイソロイシン33.32g、ロイシン66.64g、バリン40.04gを加え、ディスパーサーで懸濁させ、さらに精製水を追加し、全量を700mlとした。この液にグレープフルーツエッセンス及びヨーグルトエッセンスを微量添加し、マイクロフルイダイザーにより均一に懸濁させpH5.8の医薬用懸濁剤を調製した。
【0042】
比較例3
精製水約380mlにゼラチン10.00gを加え、60℃に加温し攪拌しながら溶かした。この溶液を25℃に冷却後、サッカリンナトリウム1.00g、マンニトール100.00g、パラオキシ安息香酸メチル0.05g、パラオキシ安息香酸プロピル0.05gを加え、攪拌し溶かした。この溶液にイソロイシン(粒度D50:285μm)95.20g、ロイシン(粒度D50:313μm)190.40g、バリン114.40gを加え、ヘラを用い攪拌し懸濁化した。精製水を加え、全量1250mlとした。さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、混合しpH5.8である医薬用懸濁剤を調製した。
【0043】
比較例4
精製水約380mlにゼラチン10.00gを加え、60℃に加温し攪拌しながら溶かした。この溶液を25℃に冷却後、サッカリンナトリウム2.00g、マンニトール100.00g、パラオキシ安息香酸メチル0.05g、パラオキシ安息香酸プロピル0.05gを加え、攪拌し溶かした。この溶液にイソロイシン(粒度D50:285μm)95.20g、ロイシン(粒度D50:313μm)190.40g、バリン114.40gを加え、ヘラを用い攪拌し懸濁化した。精製水を加え、全量1250mlとした。さらにヨーグルトエッセンス、グレープフルーツエッセンスを微量加え、混合しpH5.8である医薬用懸濁剤を調製した。
【0044】
実験例1
実施例1〜11で得た医薬用懸濁剤、比較例1〜4で得た医薬用懸濁剤において、ブラインド性を確保した状態で成人男性5名のパネラーに服用させて官能評価を行った。服用のしやすさ、服用後の分岐鎖アミノ酸の苦味、分岐鎖アミノ酸の後味の残り具合について評価を行った。
判断基準は次の通りである。
◎:良好、もしくは全く気にならない
○:あまり気にならない
△:やや気になる、もしくはやや苦い
×:飲みにくい、もしくは苦い
【0045】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、かつ酸味剤として有機酸を少なくとも1種含有することを特徴とする医薬用懸濁剤。
【請求項2】
イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、かつ酸味剤としてクエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする医薬用懸濁剤。
【請求項3】
サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸、アスパルテーム、マンニトール及びトレハロースからなる群から選ばれた甘味剤及び/又はメントール及びエタノールのうちの少なくとも1種類からなる矯味剤をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬用懸濁剤。
【請求項4】
医薬用懸濁剤のpHが2.5〜6.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬用懸濁剤。
【請求項5】
前記イソロイシン及びロイシンの粒度D50が3〜350μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬用懸濁剤。
【請求項6】
前記粒度D50が100μm以下であるイソロイシン及びロイシンに腸溶性コーティング、水不溶性コーティング及び胃溶性コーティングから選ばれるコーティングが施されていることを特徴とする請求項5記載の医薬用懸濁剤。
【請求項7】
前記腸溶性コーティング、水不溶性コーティング又は胃溶性コーティングのコーティング基材は、メタアクリル酸コポリマー類、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー類及びエチルセルロース類から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項6記載の医薬用懸濁剤。
【請求項8】
医薬用懸濁剤は、その1回の服用量が5〜50mlであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬用懸濁剤。

【公開番号】特開2007−77173(P2007−77173A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348581(P2006−348581)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【分割の表示】特願2000−309087(P2000−309087)の分割
【原出願日】平成12年10月10日(2000.10.10)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】