説明

分散剤の製造方法

【課題】顔料濃度が高い場合にも粘度の増大及び貯蔵安定性の低下が防止され、優れた透明性及び色品位を有するカラフィルーの製造が可能なカラーフィルター用着色組成物を提供すること。
【解決手段】置換基を有してもよい銅フタロシアニンをクロルスルホン酸中で塩化チオニルと反応させてクロルスルホン化銅フタロシアニンとし、該クロルスルホン化銅フタロシアニンにアミンを反応させることを特徴とする下記一般式(I)又は一般式(II)で表される顔料分散剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶カラーディスプレイ、撮像素子等の製造に使用されるカラーフィルター用着色組成物及びこれを用いたカラーフィルターに関する。更に詳しくは透明性、流動性、貯蔵安定性に優れたカラーフィルター用着色組成物及びこれを用いたカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等に使用されるカラーフィルターは、現在フォトレジストに顔料を分散させた着色組成物を、スピンコート法、コーティング法、電着法或いは転写法により基板に塗布後、フォトマスクを介して露光及び現像してパターン化して画素を形成させる顔料分散法により主に作製されている。
その際、青色カラーフィルター形成用の顔料として、通常、ε型銅フタロシアニンブルーが用いられているが、顔料と樹脂、溶剤等を通常の分散機で分散させるだけでは、顔料が充分に分散しないことから透明性に欠け、カラーフィルターとして透過率が不十分であり、上記青色顔料はカラーフィルター用着色組成物用の顔料としては不満足なものであった。
【0003】
又、フォトレジストに一般的に使用される樹脂としては、アルカリ水溶液がパターニングの現像液に使用できることから、酸価が高いアクリル系レジストが主に採用されている。しかしながら、上記の顔料と高酸価アクリル系樹脂からなる顔料分散液では、顔料の凝集が起こってレジストの粘度が高くなりやすく、又、経時でレジストが増粘し、レジストの貯蔵安定性が悪くなる場合が多い。
以上のような困難さを伴った顔料分散法により、カラーフィルターを作製する場合、使用する着色組成物はスピンコート法により基板に塗布されるが、着色組成物の粘度が高かったり、顔料が凝集してチクソトロピックな粘性を示す場合には、塗布面の中央部が盛り上がり、大画面のカラーフィルターを作製する場合には基板の中央部と周辺部では色相にむらや濃度差が発生する原因となっている。
【0004】
従って、カラーフィルター用着色組成物は、通常、顔料分が5〜10重量%の範囲にあるにもかかわらず、その分散状態は顔料粒子同士が凝集せず、且つ一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比べて粘度が低く(例えば、5〜20cP(5〜20mPa・s)程度)、貯蔵安定性に優れたものでなければならない。
上記の要求を満たすために、従来、顔料がフタロシアニン化合物の場合には、該化合物に下記の一般式〔1〕又は〔2〕で表されるフタロシアニン誘導体を添加したり又は該化合物を該誘導体で処理する方法が提案されている
【0005】

(但し、式中のPcはフタロシアニン骨格、R1は水素、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基、R2はアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はアミノアルキル基、Aはアルキレン基、R3は水素原子又はアルキル基をそれぞれ表し、nは1〜4の整数である。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−136333号公報
【特許文献2】特開昭51−133323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、カラーフィルターの更なる性能向上の要請から、透明性の改善や、コントラストを上げるために顔料分を高める必要が生じてきた。しかしながら、上記顔料誘導体を使用することによっては、顔料の分散性向上による透明性の改良や、顔料濃度が高くなることによる粘度の増大及び貯蔵安定性の低下を防止することは困難であり、又、カラーフィルターの青色画素は、上記誘導体の使用量増加により、その最大吸収波長が長波長側にシフトしてカラーフィルターとしての色品位が低下することから、これらの改善が要望されている。
【0008】
本発明者らは高顔料濃度における上記顔料誘導体使用の上記の問題点を解決し、カラーフィルター用着色剤の色品位の向上及び低粘度化を可能にする顔料改質剤を開発すべく鋭意研究した結果、特定なフタロシアニン化合物がより少ない量で優れた分散性向上処理剤として作用し、着色組成物の低粘度化が達成でき、且つ貯蔵時の増粘ゲル化の防止及びカラーフィルターとして最も重要な透明性も向上させることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、置換基を有してもよい銅フタロシアニンをクロルスルホン酸中で塩化チオニルと反応させてクロルスルホン化銅フタロシアニンとし、該クロルスルホン化銅フタロシアニンにアミンを反応させることを特徴とする下記一般式(I)又は一般式(II)で表される顔料分散剤の製造方法を提供する。
【0010】

【0011】

【0012】
(但し、式中のMは水素、銅、コバルト、ニッケル、又は鉄を、R1は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、窒素原子を含んでもよい芳香族基、又は窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の複素環の基を、R2は窒素原子を含む飽和又は不飽和の複素環の基を、nは0.5〜3の数で、化合物へのスルホンアミド基の平均導入個数を、mは0〜2の数で、化合物への塩素の平均導入個数を表す。)
【発明の効果】
【0013】
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、上記の一般式(I)又は(II)で表される顔料誘導体を顔料改質剤とし、従来の顔料改質剤よもり少ない使用量で、特異的に顔料粒子の凝集を防止することが可能となる。従って、顔料改質剤の添加により最大吸収波長が長波長側にシフトすることが抑制され、カラーフィルターとして望ましい色品位が得られ、さらに分散が良くなることにより透明性が向上する。又、着色組成物の構造粘性が低減され、低い粘度が発現する。その結果、着色組成物の増粘、ゲル化が抑制され、貯蔵安定性も向上する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用し、主として本発明を特徴づける顔料改質剤である上記フタロシアニン誘導体の合成について一例を挙げると、例えば、銅フタロシアニンを従来公知の方法に従ってクロロスルホン酸とチオニルクロライドと反応させてスルホニルクロライド化し、これと特定の複素環式アミン類と反応させることにより下記の一般式(I)又は(II)で表される化合物を得ることができる。
【0015】

【0016】

(但し、式中のM、R1、R2、n及びmの定義は前記と同じである。)
【0017】
上記の式(I)の置換基R1の置換基を有してもよいアルキル基は、置換基としては水酸基や水酸基を有する炭素数が1〜4のアルコキシ基等が、アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、シクロアルキル基及び複素環の基の炭素数は6以下が好ましい。又、上記の式(II)の置換基R2の複素環の基の炭素数は、6以下が好ましい。
上記のフタロシアニンに導入する複素環式アミンとしては、例えば、ピペラジン、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−フェニルピペラジン、1−(2−ピリジル)ピペラジン、1−(2−ピリミジル)ピペラジン等のピペラジン類、4−ピロリジノピピペリジン、4−ピペリジノピペリジン等のピペリジン類等が挙げられる。
【0018】
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、顔料、上記の顔料改質剤及び樹脂ワニスから構成される。
本発明で使用する顔料は、青色顔料としては、例えば、ε型銅フタロシアニンブルーが、緑色顔料としては、例えば、ブロム化フタロシアニングリーン等が、黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。顔料の使用量は特に限定されないが、通常、後述の樹脂ワニスの樹脂バインダー100重量部に対し5〜500重量部の割合で使用される。
本発明で使用する前記の顔料の改質剤は、顔料100重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の割合で使用される。使用量が0.5重量部未満では改質効果は不十分であり、一方、50重量部を超えて使用しても使用する量に見合った効果は得られない。
【0019】
本発明において顔料を分散させて着色組成物にするための樹脂ワニスとしては、従来からカラーフィルター用着色組成物に使用されている公知の樹脂ワニスが用いられ、特に限定されない。又、媒体として樹脂ワニスに適切な溶剤、水系媒体が使用される。又、必要に応じて従来公知の添加剤、例えば、分散助剤、平滑化剤、密着化剤等が適宜添加使用される。
樹脂ワニスとしては、感光性の樹脂ワニスと非感光性樹脂ワニスが使用される。感光性樹脂ワニスとしては、例えば、紫外線硬化性インキ、電子線硬化インキ等に用いられる感光性樹脂ワニスが挙げられ、非感光性樹脂ワニスとしては、例えば、凸版インキ、平版インキ、凹版グラビヤインキ、孔版スクリーンインキ等の印刷インキに使用する樹脂ワニス、インクジェットプリンティングに使用する樹脂ワニス、電着塗装に使用する樹脂ワニス、電子印刷や静電印刷の現像剤に使用する樹脂ワニス、熱転写フィルム又はリボンに使用する樹脂ワニス等が挙げられる。
【0020】
感光性樹脂ワニスの具体例としては、例えば、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂等、及び不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等のワニス、或いはこれらに更に反応性希釈剤としてモノマーが加えられたワニスが挙げられる。上記感光性樹脂ワニスの中で好適な樹脂としては、アルカリ現像可能な分子中にフリーのカルボン酸を有するアクリレート系の樹脂が望ましい。
【0021】
非感光性の樹脂ワニスの具体例としては、例えば、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレン系(共)重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂変性ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルポリオールウレタン系樹脂、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の水溶性塩、水溶性アミノアルキッド系樹脂、水溶性アミノポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂等が挙げられ、これらは単独或いは2種以上を組み合わせて使用される。
【0022】
本発明の上記の各成分から構成される着色組成物の製造方法は、特に制限されないが、例えば、下記の方法等が挙げられる。
(イ)硫酸等に顔料及び顔料改質剤を溶解した後、水中に析出させ、両者を固溶体にして樹脂ワニスに添加して練肉する方法。
(ロ)水又は有機溶媒中に顔料を均一に懸濁させ、顔料改質剤を含有する溶液を添加し、使用する顔料表面に顔料改質剤を沈着させたものを樹脂ワニスに加えて練肉する方法。
(ハ)使用する顔料と顔料改質剤とをアトライター、ボールミル等の湿式媒体分散機で微分散し、樹脂ワニスに添加して練肉する方法。
(ニ)樹脂ワニス中に顔料と顔料改質剤とをプレミキシング時に添加し、湿式媒体分散機で分散処理する方法。
【0023】
本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いてカラーフィルターを製造するに際しては、樹脂ワニスとして感光性の樹脂ワニスを使用する場合には、該組成物にベンゾインエーテル、ベンゾフェノン等の従来公知の光重合開始剤を加え、従来公知の方法で煉肉することにより調製された感光性着色組成物として使用される。又、上記の光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を使用して熱重合性着色組成物として使用することもできる。
【0024】
上記の感光性着色組成物を用いて基板上にカラーフィルターのパターンを形成する場合には、透明基板上に該感光性着色組成物を、例えば、スピンコーター、低速回転コーターやロールコーターやナイフコーター等を用いて全面コーティングを行うか、或いは各種の印刷方法による全面印刷又はパターンよりやや大きな部分印刷を行い、予備乾燥後フォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を使用して露光を行ってパターンを焼き付けする。次いで現像及び洗浄を行い、必要に応じポストベークを行うことによりカラーフィルターのパターンを形成することができる。これらのカラフィルターのパターン形成方法自体は公知であり、本発明においてはカラーフィルターのパターン形成方法は特に限定されない。
【0025】
非感光性の樹脂ワニスを使用した本発明のカラーフィルター用着色組成物(非感光性着色組成物)を用いてカラーフィルターのパターンを形成する場合には、透明基板上に該非感光性着色組成物を、例えば、カラーフィルター用印刷インキとして上記した各種の印刷方法にて直接基板に着色パターンを印刷する方法、カラーフィルター用水性電着塗装組成物として電着塗装により基板に着色パターンを形成させる方法、インクジェット用インキとしてインクジェットプリンティングにより基板に着色パターンを形成させる方法、電子印刷方法や静電印刷方法を用いたり、或いは転写性基材に上記の方式等で一旦着色パターンを形成させてからカラーフィルター用基板に転写する方法等が挙げられる。次いで常法に従い、必要に応じてベーキングを行ったり、表面平滑化のための研磨を行ったり、表面保護のためのトップコーティングを行う。又、常法に従いブラックマトリックスを形成させて、RGBのカラーフィルターを得ることができる。これらのカラフィルターの製造方法自体は公知であり、本発明においてはカラフィルターの製造方法は特に限定されない。
【実施例】
【0026】
次に合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中の部又は%とあるのは重量基準である。
【0027】
合成例1
クロルスルホン酸100部に銅フタロシアニン10部を溶解した後、塩化チオニル20部を加え、4時間かけて100℃まで昇温し、2時間100〜110℃に保った。放冷後、氷水に投入して、ろ過した後、氷水で洗浄した。
得られたクロルスルホン化銅フタロシアニンの水ペーストを水100部と氷50部の混合物に攪拌分散し、次に1−メチルピペラジン7部を加え10時間攪拌した後、60℃で1時間加熱した。反応終了後、ろ過、水洗、乾燥して13.8部の青色粉末(顔料改質剤1)を得た。この青色粉末を元素分析した結果、置換基が約2個導入されたジ(4−メチル−ピペリジノ−1−スルホニル)銅フタロシアニンの分析値に近似していた。
【0028】
合成例2〜5
合成例1と同様にして、1−メチルピペラジンの代わりに下記表1の複素環式アミンを使用して、顔料改質剤2〜5を得る。置換基の導入個数はいずれも約 2個である。
【0029】

【0030】
顔料処理例1
ε型銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)のプレスケーキ(固形分45%)を顔料分が100部になるように取り、水2000部を加え充分に解膠する。これに顔料改質剤1の10%希酢酸溶液50部を加え1時間攪拌する。5%炭酸ナトリウム水溶液をアルカリ性になるまで徐々に滴下し、その後1時間攪拌して濾過する。中性になるまで充分に水洗し、80℃で乾燥して104部の処理顔料1を得た。
【0031】
顔料処理例2
ε型銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)のプレスケーキ(固形分45%)を顔料分が100部になるように取り、水2000部を加え充分に解膠する。これに顔料改質剤2の5%希硫酸溶液100部を加え1時間攪拌する。5%炭酸ナトリウム水溶液を徐々に滴下しアルカリ性になるまで加える、その後1時間攪拌して濾過する。中性になるまで充分に水洗し、80℃で乾燥して103部の処理顔料2を得た。
【0032】
実施例1
アクリル樹脂ワニス(メタクリル酸/ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルアクリレート=25/50/15/10のモル比で重合させたもの。分子量12000、固形分30%)50部にε型銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)20部と合成例1で得られた顔料改質剤1を1部及び溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)(以下PGMAcと略す。)を20部配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散し、カラフィルター用の青色のベースカラー(着色組成物)を得た。
【0033】
実施例2〜5
顔料処理例1で使用した顔料改質剤1の代わりに合成例2〜5で得られた顔料改質剤2〜5をそれぞれ使用して実施例1同様にして青色のベースカラーを得た。
【0034】
実施例6、7
実施例1で使用した顔料と顔料改質剤の代わりに、それぞれ顔料処理例1及び2で得られた処理顔料1及び処理顔料2をそれぞれ20部使用し、実施例1と同様にして青色のベースカラーを得た。
【0035】
合成例6(比較例顔料改質剤)
1−メチルピペラジンの代わりにN,N−ジメチルプロピレンジアミンを使用し、合成例1と同様にしてジ−(3−ジメチルアミノプロピレンアミノ−1−スルホニル)銅フタロシアニン(顔料誘導体1)を13部得た。
【0036】
顔料処理例3
顔料処理例1と同様にして、顔料改質剤1の代わりに顔料誘導体1を使用して処理顔料3を105部得た。
【0037】
比較例1
顔料改質剤1に代えて顔料誘導体1を使用したことを除いて実施例1と同様にして、青色のベースカラーを得た。
【0038】
比較例2
実施例6と同様にして、処理顔料1の代わりに処理顔料3を使用して青色のベースカラーを得た。
【0039】
上記の実施例1〜7及び比較例1、2のベースカラーをそれぞれスピンナーでガラス基板に塗布し、乾燥後、塗膜の最大透過率を測定した。又、ベースカラーを室温で1ヶ月間貯蔵し、粘度の変化を測定した。粘度はB型粘度計を用い、ローターの回転数6rpmで測定した。その結果を表2に示す。
【0040】

【0041】
表2から明らかなように実施例1〜7のカラーフィルター用着色組成物、比較例1、2の該組成物に比べて最大光透過率は高く、初期粘度、貯蔵後の粘度(1ヶ月後)も低く、カラーフィルター用着色組成物として優れた性質を有している。
【0042】
実施例8
実施例1で使用した青色顔料の代わりにブロム化フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン36)を使用し、実施例1と同様の操作にて緑色のベースカラーを得た。この緑色ベースカラーも、初期粘度、貯蔵後の粘度(1ヶ月後)も低く、カラーフィルター用着色組成物として優れた性質を有している。
【0043】
実施例9
実施例1で使用した青色顔料の代わりにカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)を使用し、実施例1と同様の操作にて黒色のベースカラーを得た。この黒色のベースカラーも、初期粘度、貯蔵後の粘度(1ヶ月後)も低く、カラーフィルター用着色組成物として優れた性質を有している。
【0044】
参考例1
実施例1で使用したアクリル樹脂ワニス50部にアンスラキノニルレッド顔料(C.I.ピグメントレッド177)20部と顔料改質剤として2,4−ビス[アンスラキノニル(−1′)−アミノ]−6−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアミノ−s−トリアジンを2部及びPGMAcを20部配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散し、赤色のベースカラーを得た。
【0045】
参考例2
参考例1で使用したアンスラキノニルレッドに代えてブロム化フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン36)を使用し、参考例1と同様の操作にて緑色のベースカラーを得た。
【0046】
実施例10
RGBのカラーフィルターを作製するために、下記の表3の配合処方によりR、G及びBの感光性顔料分散液を得た。
【0047】

【0048】
シランカップリング剤処理を行ったガラス基板をスピンコーターにセットし、表3のRのカラーフィルター用感光性顔料分散液を最初300rpmで5秒間、次いで1200rpmで5秒間の条件でスピンコートした。次いで80℃で10分間プリベークを行い、モザイク状のパターンを有するフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を用い100mJ/cm2の光量で露光を行った。次いで専用現像液及び専用リンスで現像及び洗浄を行い、ガラス基板上に赤色のモザイク状パターンを形成させた。
引き続いて緑色モザイク状パターン及び青色モザイク状パターンを表3のG及びBのカラーフィルター用感光性顔料分散液を用いて上記の方法に準じて塗布及び焼き付けを行って形成し、RGBのカラーフィルターを得た。得られたカラーフィルターは優れた分光カーブ特性を有し、耐光性、耐熱性等の堅牢性に優れ、又、光の透過性にも優れた性質を有し、液晶カラーディスプレイ用カラーフィルターとして優れた性質を示した。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上記本発明によれば、フタロシアニン顔料誘導体をカラーフィルターの青色パターン形成用着色組成物等に分散性向上処理剤として添加して使用することにより、着色組成物の製造の工程においても安定に製造することができ、又、最終的にカラーフィルター用着色組成物として使用される際にも優れた分光カーブ特性を有し、鮮明で冴えた、透明感の高い、しかも耐光性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性等の諸堅牢性に優れたカラーフィルターを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換基を有してもよい銅フタロシアニンをクロルスルホン酸中で塩化チオニルと反応させてクロルスルホン化銅フタロシアニンとし、該クロルスルホン化銅フタロシアニンにアミンを反応させることを特徴とする下記一般式(I)又は一般式(II)で表される顔料分散剤の製造方法。


(但し、式中のMは水素、銅、コバルト、ニッケル、又は鉄を、R1は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、窒素原子を含んでもよい芳香族基、又は窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の複素環の基を、R2は窒素原子を含む飽和又は不飽和の複素環の基を、nは0.5〜3の数で、化合物へのスルホンアミド基の平均導入個数を、mは0〜2の数で、化合物への塩素の平均導入個数を表す。)

【公開番号】特開2010−7084(P2010−7084A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227495(P2009−227495)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願2000−244331(P2000−244331)の分割
【原出願日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】