説明

分散型電源システム

【課題】 激しく周期的に変動する消費電力に発電装置の発電電力が追従できるか否かを判定し、その判定結果に応じた発電を発電装置に実行させることにより、高効率発電であり、購入電力をできるだけ抑制し、かつ環境にやさしい分散型電源システムを提供する。
【解決手段】 分散型電源システムの運転制御装置30は、電力計22によって検出された消費電力のデータを記憶するメモリ31と、メモリ31に記憶されている消費電力のデータに基づいて第1の追従制御が実行可能であるか否かを判定する消費電量振動判定手段32とを備え、この判定手段32が第1の追従制御が実行可能であると判定した場合には第1の追従制御を実行し、判定手段32が第1の追従制御が実行可能でないと判定した場合には第1の追従制御と異なりかつ発電装置10の出力応答性能を考慮した第2の追従制御を実行することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
分散型電源システムは、従来からある発電所で一度に多量の電力を生成しユーザである家庭、ビル、工場などに電線を介して送電する集中型電源システムに対して開発されたものである。このシステムは、発電所に比べて小規模な電源(発電装置)を例えばユーザ先に設置するなどしてユーザの近くに設けることにより電源を分散して配置し、ユーザの電力消費に応じた電力をそれぞれ生成して供給するシステムである。電源としては、太陽光発電装置、風力発電装置、マイクロガスタービン発電装置、ガスエンジン発電装置、燃料電池発電装置などがある。
【0003】
分散型電源システムとしては、発電装置と、この発電装置から供給される電力で稼動する負荷装置と、この負荷装置にて消費された消費電力を検出する検出手段と、この検出手段によって検出された消費電力に発電装置の出力電力を追従させる追従制御を実行する制御装置とを備えたものが知られている。
【0004】
このような分散型電源システムの一例としては、特許文献1に示されている燃料電池発電システムがある。特許文献1に示されているように、燃料電池発電システム10は、燃料電池36を備えた燃料電池発電装置12と、この発電装置12から供給される電力で稼動する外部負荷26と、この外部負荷26にて消費された消費電力を検出する電力計110と、この電力計110によって検出された消費電力に燃料電池発電装置12の出力電力を追従させる追従制御を実行するコントローラ100を備えている。コントローラ100は、メモリ106に外部負荷26の消費電力の変化に応じた設定値の変化パターンを記憶している。コントローラ100内蔵のマイコン102は、燃料電池36によって発電する電力が、この設定値となるように制御する。これにより、外部負荷の消費電力に応じた電力が発電可能となると共に、この発電電力を外部負荷の消費電力の変化に応じて変化させるようになっている。
【0005】
また他の一例としては、特許文献2に示されている負荷変動追従型電力供給システムがある。特許文献2に示されているように、負荷変動追従型電力供給システムは、燃料電池セル10を備えた発電装置1と、この発電装置1から供給される電力で稼動する負荷装置2と、この負荷装置2の起動・停止を行うスイッチの入り切りのタイミングに対応して負荷増減の予告信号を発生させる手段と、負荷増減する負荷装置2を特定するための認識信号を発生させる手段と、予告信号と認識信号に基づいて発電装置1の運転を制御する運転制御装置15と、この運転制御装置15と負荷装置2とを接続して予告信号と認識信号を伝送する無線通信手段3とを備えている。運転制御装置15は、発電装置1から供給される電力で稼動する負荷装置2の起動・停止をスイッチで行う場合に、そのスイッチの入り切りのタイミングに対応して負荷増減の予告信号を発生させると共に、負荷増減する負荷装置2を特定するための認識信号を発生させる。予告信号と認識信号は、通信手段3を介して運転制御装置22に送信され、運転制御装置22は、予告信号と認識信号に基づいて発電装置の運転を制御する。これにより、予告信号および認識信号に基づいて、発生電力の基準値を与えて運転制御装置15で発電装置1の運転を制御すれば、予告された状態で実際の負荷変動に先駆けて対応可能となるため負荷の起動・停止スイッチの入り切りに伴う瞬時の電圧変動や周波数変動を起こすことなく効率的で安定な電力を供給するようになっている。
【特許文献1】特開2002−93442号公報(第3−6頁、図1−4)
【特許文献2】特開2003−189469号公報(第5頁、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の燃料電池発電システムにおいては、発電電力を外部負荷の消費電力の変化に応じて変化させるようになっているが、燃料電池発電装置12の出力応答性能を超えて消費電力が激しく周期的に変動するような場合、例えば電気コタツ、電気カーペット、エアコン、冷蔵庫など自動的に電源がオン・オフされる電気器具が外部負荷である場合において、電気器具の電源のオン・オフが燃料電池発電装置12の出力応答性能を超えて繰り返される場合には、激しく周期的に変動する消費電力に発電電力が追従できなくなり、燃料電池発電装置12の発電量が不足するという問題があった。またこの場合その不足分を系統電源(一般の電力会社の電源)から電受(買電)して補っているので、購入電力が増加するという問題もあった。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載の負荷変動追従型電力供給システムにおいては、負荷の起動・停止スイッチの入り切りに伴う瞬時の電圧変動や周波数変動を起こすことなく効率的で安定な電力を供給するようになっているが、前述した燃料電池発電システムと同様に、発電装置1の出力応答性能を超えて消費電力が激しく周期的に変動するような場合には、この消費電力の変動に発電電力が追従できなくなり、発電装置1の発電量が不足するとともに購入電力が増加するという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した各問題を解消するためになされたもので、激しく周期的に変動する消費電力に発電装置の発電電力が追従できるか否かを判定し、その判定結果に応じた発電を発電装置に実行させることにより、高効率発電であり、購入電力をできるだけ抑制し、かつ環境にやさしい分散型電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、発電装置と、この発電装置から供給される電力で稼動する負荷装置と、この負荷装置にて消費された消費電力を検出する検出手段と、この検出手段によって検出された消費電力に対して発電装置の出力電力を追従させる第1の追従制御を実行する制御装置とを備えた分散型電源システムにおいて、制御装置は、検出手段によって検出された消費電力のデータを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶されている消費電力のデータに基づいて第1の追従制御が実行可能であるか否かを判定する判定手段とを備え、この判定手段が第1の追従制御が実行可能であると判定した場合には、制御装置は第1の追従制御を実行し、判定手段が第1の追従制御が実行可能でないと判定した場合には、制御装置は第1の追従制御と異なりかつ発電装置の出力応答性能を考慮した第2の追従制御を実行することである。
【0010】
また請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、判定手段は、記憶手段に記憶されている消費電力のデータをフィルタ処理するフィルタ処理手段と、このフィルタ処理手段によってフィルタ処理された処理値と所定値を比較する比較手段とを備え、処理値が所定値未満である場合には第1の追従制御が実行可能であると判定し、処理値が所定値以上である場合には第1の追従制御が実行可能でないと判定することである。
【0011】
また請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、第2の追従制御は、記憶手段に記憶されている消費電力のデータを減衰処理したものに対して出力電力を追従させる制御であることである。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、制御装置は、判定手段が第1の追従制御が実行可能であると判定した場合には、第1の追従制御を実行し、判定手段が第1の追従制御が実行可能でないと判定した場合には、第1の追従制御と異なりかつ発電装置の出力応答性能を考慮した第2の追従制御を実行する。したがって、負荷装置の消費電力が発電装置の出力応答性能内で変動する場合には、制御装置は第1の追従制御が実行可能であると判定して第1の追従制御を実行し、一方負荷装置の消費電力が発電装置の出力応答性能を超えて激しく周期的に変動するような場合には、制御装置は第1の追従制御が実行可能でないと判定して第2の追従制御を実行する。これにより、激しく周期的に変動する消費電力に発電装置の発電電力が追従できるか否かを判定し、その判定結果に応じた発電制御を発電装置に実行させることにより、高効率発電であり、購入電力をできるだけ抑制し、かつ環境にやさしい分散型電源システムを提供する。
【0013】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1に係る発明において、フィルタ処理手段が、記憶手段に記憶されている消費電力のデータをフィルタ処理し、比較手段が、フィルタ処理手段によってフィルタ処理された処理値と所定値を比較し、判定手段が、処理値が所定値未満である場合には第1の追従制御が実行可能であると判定し、処理値が所定値以上である場合には第1の追従制御が実行可能でないと判定することにより、上述した判定を確実かつ的確に実行することができる。
【0014】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1に係る発明において、第2の追従制御は、記憶手段に記憶されている消費電力のデータを減衰処理したものに対して出力電力を追従させる制御であるので、消費電力のトレンドに沿って出力電力を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明による分散型電源システムの一実施の形態について説明する。図1はこの分散型電源システムの概要を示す概要図である。この分散型電源システムは、発電装置10と、この発電装置10から供給される電力で稼動する負荷装置21と、この負荷装置21にて消費された消費電力を検出する検出手段である電力計22と、この電力計22によって検出された消費電力に対して発電装置10の出力電力を追従させる第1の追従制御を実行する制御装置である運転制御装置30とを備えている。
【0016】
発電装置10は、燃料電池発電装置であり、直流電力を発生する発電器11と、発電器11から供給された直流電力を交流電力に変換して出力する変換器(例えばインバータ)12とを備えている。
【0017】
発電器11は、改質装置、一酸化炭素低減装置(以下CO低減装置という)および燃料電池から構成されている。改質装置は、燃料供給装置13から供給される燃料を水供給装置14から供給される水で水蒸気改質して水素リッチな改質ガスを生成してCO低減装置に導出するものである。CO低減装置は、改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減して燃料電池に導出するものである。燃料電池は、燃料極に供給された改質ガス中の水素および空気極に供給された酸化剤ガスである空気を用いて発電するものである。
【0018】
変換器12は、ユーザ先である電力使用場所20に設置されている複数の負荷装置21に送電線15を介してそれぞれ接続されており、変換器12から出力される交流電力は必要に応じて各負荷装置21に供給されている。負荷装置21は、電灯・アイロン・テレビ・洗濯機などの電気器具であり、電気コタツ、電気カーペット、エアコン、冷蔵庫など自動的に電源がオン・オフされる電気器具も含む。なお、変換器12と電力使用場所20とを接続する送電線15には電力会社の系統電源16も接続されており、発電装置10の発電量より負荷装置21の総消費電力が上回った場合、その不足電力を系統電源16から受電して補うようになっている。電力計22は、電力使用場所20で使用される全ての負荷装置21の合計消費電力を検出している。
【0019】
運転制御装置30は、図2に示すように、電力計22によって検出された負荷装置21の消費電力のデータを入力して記憶する記憶手段であるメモリ31と、メモリ31に記憶されている消費電力のデータを用いて、発電装置10の発電量(出力電力)が消費電力に追従できるか否かを判定し、その判定結果を発電量指示値切替手段であるスイッチ34に出力する消費電力振動判定手段32と、メモリ31に記憶されている消費電力のデータを入力し平準化してスイッチ34に出力する平準化手段33と、メモリ31に記憶されている消費電力のデータを直接入力してその値を発電量指示値として発電器11に指示する状態と、平準化手段33によって平準化された消費電力のデータを入力して値を発電量指示値として発電器11に指示する状態とを消費電力振動判定手段32から入力した判定結果に応じて切り替えるスイッチ34を備えている。
【0020】
運転制御装置30は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、図3のフローチャートに対応したプログラムを実行して、電力計22によって検出された消費電力を入力し、その消費電力に基づいて発電装置の発電量(出力電力)を制御している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
【0021】
なお、分散型電源システムは発電装置10に付設される貯湯槽17を備えており、この貯湯槽17は水供給装置14から供給された水を発電器11の排熱(例えば燃料電池からの排熱)を利用して温水にしたものを貯水するものであり、必要に応じてこの温水を温水使用場所18に供給するものである。
【0022】
次に、上述した分散型電源システムの作動について図3を参照して説明する。運転制御装置30は、発電器11が発電可能な状態となると、図3に示すプログラムを所定の短時間毎(例えば、60秒)に実行する。運転制御装置30は、電力計22を使用して電力使用場所20の消費電力を計測し(ステップ102)、計測した消費電力をメモリ31に記憶する(ステップ104)。
【0023】
そして、消費電力振動判定手段32において、メモリ31に記憶されている消費電力のデータをフィルタ処理し(フィルタ処理手段であるステップ106)、このフィルタ処理手段によってフィルタ処理された処理値と所定値を比較する(比較手段であるステップ108)。このとき、処理値が所定値未満である場合には「YES」と判定し第1の追従制御が実行可能であると判定して判別信号を0に設定し(ステップ110)、処理値が所定値以上である場合には「NO」と判定し第1の追従制御が実行可能でないと判定して判別信号を1に設定する(ステップ112)。第1の追従制御とは、消費電力と同一となるように発電装置10の出力電力を追従させる制御であり、第1の追従制御が実行可能であるとは、消費電力の変動が発電装置10の出力応答性能の範囲内であって第1の追従制御が実行できることである。
【0024】
具体的には、ステップ106において、フィルタ処理として、発電装置10の出力応答性能の範囲内である消費電力の周波数成分すなわち発電装置10の出力電力が追従できる周波数成分のみを通過させて発電装置10の出力電力が追従できない高い周波数成分を除去している。すなわち、現時点のデータおよびメモリ31に記憶されている過去数件分(本実施の形態においては2件分)のデータあるいは最近の所定時間分のデータに基づいて下記数1によってフィルタ処理を実行している。
【数1】

【0025】
なお、u[k]およびy[k]は現時点でのデータ例えば時刻kの入力データおよび出力値(処理値)であり、zは遅れ演算子であり、a0,a1,a2,b0,b1,b2は定数である。
【0026】
図4に示すように、領域A1、A2およびA3において発電装置10の出力応答性能を超えて消費電力が激しく周期的に変動するような場合、例えば電気コタツ、電気カーペット、エアコン、冷蔵庫など自動的に電源がオン・オフされる電気器具が外部負荷である場合において、電気器具の電源のオン・オフが燃料電池発電装置12の出力応答性能を超えて繰り返される場合には、激しく周期的に変動する消費電力に発電電力が追従できない。しかし、このような消費電力のデータを上述したステップ106によってフィルタ処理すると、図5に示すように、高周波成分が除去されて比較的低周波な変動となる。これにより、フィルタ処理後の処理値と所定値Cとを容易に比較することが可能となり、発電電力が追従できない領域A1、A2およびA3を確実かつ的確に判定することができる。そして、ステップ108、110、112によって処理すると、図6に示すように、処理値が所定値未満である場合には第1の追従制御が実行可能であると判定して判別信号を0に設定し、処理値が所定値以上である場合には第1の追従制御が実行可能でないと判定して判別信号を1に設定する。
【0027】
そして、運転制御装置30は、判別信号が0である場合には、第1の追従制御を実行し(ステップ114,116)、判別信号が1である場合には、第1の追従制御と異なりかつ発電装置10の出力応答性能を考慮した第2の追従制御を実行する(ステップ114,118)。具体的には、運転制御装置30は、発電量が追従できる消費電力である場合には、スイッチ34を、メモリ31に記憶されている消費電力のデータを直接入力してその値を発電量指示値として発電器11に指示する状態に切り替え、発電量が電力使用場所20で計測された消費電力に追従するように制御する(ステップ116)。一方、発電量が追従できない消費電力である場合には、スイッチ34を、平準化手段33によって平準化された消費電力のデータを入力して値を発電量指示値として発電器11に指示する状態に切り替え、発電量が平準化した消費電力に追従するように制御する(ステップ118)。なお第2の追従制御は、メモリ31に記憶されている消費電力のデータを減衰処理したもの(本実施の形態においては平準化したもの)に対して出力電力を追従させる制御であり、発電装置10の出力応答性能の範囲内となるようになっている。
【0028】
したがって、発電量が追従できない消費電力である場合における本発明による発電量は、図7にて細い実線で示される激しく周期的に変動する消費電力を平準化して振動が抑制(減衰)されたものに追従されるので、図7にて太い実線で示されるように制御される。図7においては上述した領域A1を拡大して示している。図7から明らかなように、発電量は消費電力の平均値をとるように変動している。一方、発電量が追従できない消費電力である場合における従来技術による発電量は、激しく変動する消費電力にできるだけ追従するように制御されるので、図8にて太い実線で示されるように消費電力の下側に沿うように制御される。したがって、本発明によれば、発電量が追従できない消費電力である場合、従来と比べて発電量を多くすることができるので、電力会社から購入する電力を少なく抑えることができる。また、発電量の振動を抑制することができるので発電量増加時の先行燃料投入量を少なく抑えることができるため、これにより二酸化炭素の発生も少なく抑えることができる。
【0029】
上述した説明から明らかなように、本実施の形態においては、運転制御装置30は、消費電力振動判定手段32が第1の追従制御が実行可能であると判定した場合には、第1の追従制御を実行し、消費電力振動判定手段32が第1の追従制御が実行可能でないと判定した場合には、第1の追従制御と異なりかつ発電装置10の出力応答性能を考慮した第2の追従制御を実行する。したがって、負荷装置21の消費電力が発電装置10の出力応答性能内で変動する場合には、制御装置は第1の追従制御が実行可能であると判定して第1の追従制御を実行し、一方負荷装置21の消費電力が発電装置10の出力応答性能を超えて激しく周期的に変動するような場合には、運転制御装置30は第1の追従制御が実行可能でないと判定して第2の追従制御を実行する。これにより、激しく周期的に変動する消費電力に発電装置10の発電電力が追従できるか否かを判定し、その判定結果に応じた発電制御を発電装置10に実行させることにより、高効率発電であり、購入電力をできるだけ抑制し、かつ環境にやさしい分散型電源システムを提供する。
【0030】
また、ステップ106が、メモリ31に記憶されている消費電力のデータをフィルタ処理し、ステップ108が、ステップ106によってフィルタ処理された処理値と所定値を比較し、ステップ106〜112が、処理値が所定値未満である場合には第1の追従制御が実行可能であると判定し(ステップ108,110)、処理値が所定値以上である場合には第1の追従制御が実行可能でないと判定する(ステップ110,110)ことにより、上述した判定を確実かつ的確に実行することができる。
【0031】
また、第2の追従制御は、メモリ31に記憶されている消費電力のデータを減衰処理したものに対して出力電力を追従させる制御であるので、消費電力のトレンドに沿って出力電力を制御することができる。
【0032】
なお、上述した実施の形態においては、発電装置10として燃料電池発電装置を採用したが、これに代えて、太陽光発電装置、風力発電装置、マイクロガスタービン発電装置、ガスエンジン発電装置などを採用するようにしてもよい。
【0033】
また、発電装置10としては、発電器11が交流電力を発生して交換器12を介さずに直接出力するものもある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による分散型電源システムの一実施の形態の概要を示す概要図である。
【図2】図1に示す運転制御装置をブロック線図化した概要図である。
【図3】図1に示した運転制御装置にて実行される制御プログラムのフローチャートである。
【図4】本発明によって処理される激しく周期的に変動する消費電力を示すグラフである。
【図5】図4に示す消費電力を本発明のフィルタ処理したグラフである。
【図6】図5に示すグラフを使用して発電量が消費電力に追従できるか否かの信号を示すグラフである。
【図7】本発明によって処理される激しく周期的に変動する消費電力および本発明による発電量を示すグラフである。
【図8】本発明によって処理される激しく周期的に変動する消費電力および従来技術による発電量を示すグラフである。
【符号の説明】
【0035】
10…発電装置、11…発電器、12…変換器、13…燃料供給装置、14…水供給装置、15…送電線、16…系統電源、17…貯湯槽、18…温水使用場所、20…電力使用場所、21…負荷装置、22…電力計、30…運転制御装置、31…メモリ、32…消費電力振動判定手段、33…平準化手段、34…スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置と、
該発電装置から供給される電力で稼動する負荷装置と、
該負荷装置にて消費された消費電力を検出する検出手段と、
該検出手段によって検出された消費電力に対して前記発電装置の出力電力を追従させる第1の追従制御を実行する制御装置とを備えた分散型電源システムにおいて、
前記制御装置は、
前記検出手段によって検出された消費電力のデータを記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶されている消費電力のデータに基づいて前記第1の追従制御が実行可能であるか否かを判定する判定手段とを備え、
該判定手段が前記第1の追従制御が実行可能であると判定した場合には、前記制御装置は前記第1の追従制御を実行し、前記判定手段が第1の追従制御が実行可能でないと判定した場合には、前記制御装置は前記第1の追従制御と異なりかつ前記発電装置の出力応答性能を考慮した第2の追従制御を実行することを特徴とする分散型電源システム。
【請求項2】
請求項1において、前記判定手段は、
前記記憶手段に記憶されている消費電力のデータをフィルタ処理するフィルタ処理手段と、
該フィルタ処理手段によってフィルタ処理された処理値と所定値を比較する比較手段とを備え、
前記処理値が所定値未満である場合には前記第1の追従制御が実行可能であると判定し、前記処理値が所定値以上である場合には前記第1の追従制御が実行可能でないと判定することを特徴とする分散型電源システム。
【請求項3】
請求項1において、前記第2の追従制御は、前記記憶手段に記憶されている消費電力のデータを減衰処理したものに対して前記出力電力を追従させる制御であることを特徴とする分散型電源システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−50790(P2006−50790A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228385(P2004−228385)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】