分析対象物を検出する非侵襲性経皮システム
【課題】組織液のような、皮膚内のまたは皮膚の下層の生物学的液体からの分析物抽出およびその分析物の検出のための、非浸襲性経皮システムおよび方法。
【解決手段】湿潤化学成分および乾燥化学成分から構成される非浸襲性経皮パッチに関する。湿式化学成分は皮膚内または皮膚の下層の生物学的液体から該乾式化学成分まで、関連分析物の抽出および液体架橋移送のための、ゲル層の形での液体移送媒体である。該乾燥化学成分は、関連分析物と相互作用して指示薬分子を生成させ、即ちカラー変化を生成させて分析物の検出およびその使用方法を確認するための、試薬システムを担持する優れた感度、即ち調節された膜である。指示薬分子は各使用者、により視覚的に観察されるかまたは検出のための反射分光光度計のような、電子解釈コンポーネントにより観察される。
【解決手段】湿潤化学成分および乾燥化学成分から構成される非浸襲性経皮パッチに関する。湿式化学成分は皮膚内または皮膚の下層の生物学的液体から該乾式化学成分まで、関連分析物の抽出および液体架橋移送のための、ゲル層の形での液体移送媒体である。該乾燥化学成分は、関連分析物と相互作用して指示薬分子を生成させ、即ちカラー変化を生成させて分析物の検出およびその使用方法を確認するための、試薬システムを担持する優れた感度、即ち調節された膜である。指示薬分子は各使用者、により視覚的に観察されるかまたは検出のための反射分光光度計のような、電子解釈コンポーネントにより観察される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織液(interstitial fluid)のような皮膚内部または皮膚下部の生物学的体液から、分析対象物(analyte)を採取する非侵襲性経皮システム(noninvasive transdermal systems)およびその方法、並びに当該分析対象物を検出する前記システムおよびその方法に関する。本発明は特に、皮膚内部または皮膚下部にある生物学的体液から、分析対象とする分析対象物を採取し、分析対象物と相互作用して分析対象物の検出を確認する指示薬分子生成用の乾燥化学成分(a dry chemistry component)に提示するための、湿潤化学成分(a wet chemistry component)を含む非侵襲性経皮パッチ、およびその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
各個人の生理的な状態の判断は、体液中にある分析対象物の存在および/または濃度レベルを化学的に分析することによって助けられることが多いものである。こうしたことは糖尿病の診断やこの病気の管理に日常茶飯事である。血糖値は、一日のうちでも時間がたつにつれ、また、個々人最後の食事消費から時間の経過に従って、一般に大きく変動する可能性がある。従って、糖尿病の管理にはその相対的糖値を測定するため糖尿病患者血の頻繁なサンプリング(試料抽出)と分析とを要することが多い。糖尿病患者によるこの病気の管理は、彼/彼女自身の血液をサンプリングして得られた試料をその相対糖値について自己分析するのが典型的であり、指示された糖値に応じてインスリンを投与したり糖を摂取したりしている。
【0003】
血糖値を測定するため、現在は糖尿病患者が一日に何回か血液を採取している。現在の血糖値モニター方法にはあいにく多くの欠点がある。現在の方法は、一般に指をランセットで突いて血糖値をモニターすることに頼るものであるが、この方法は誰にも簡単とは言い難く、特に若年の子供たちや老人にとっては簡単ではない。さらに、血液が絡んでいるため、常にエイズのような血液由来の病気に感染したり、これを伝播するおそれにさらされている。さらにまた、その血液を取り扱ったり廃棄したりするための特別な手続やシステムが必要となる。そうした人たちの血糖値が適正に維持されない場合、彼らは失明や循環障害、冠状動脈病、腎不全のような多くの生理学的困難を受けやすくなる。これらの理由により、血糖値をモニターする非侵襲性方法には多くの満たされていないニーズがある。体液中のスピーシーズの濃度が非侵入的に測定されるならば、糖尿病のような慢性疾患に罹患している人たちのクオリティ・オブ・ライフを実質的に改善することができるであろう。
【0004】
血糖値を自分でテストする際に糖尿病患者を補助してくれる多くの装置が市場に出回っている。オーディオバイオニクス社(現社名Garid,Inc.)が開発し、1986年12月9日に認可された米国特許第4,627,445号(特許文献1)に記載のそうした一装置は、全血試料を採取する多層エレメントであって、試料を該エレメントに塗布したポイントから多孔性膜に移送し、血液試料の糖値を多孔性膜内のドライ化学反応試薬系によって分析するための多層エレメントを含む装置を使用するものである。
【0005】
ダンジェロ(J.P.D'angelo)らの米国特許第5,462,064号(特許文献2)および第5,443,080号(特許文献3)に記載されたさらに他の装置は、体液成分を採取・分析する多くの部分に分かれたシステムを使用することからなる。ダンジェロらのシステムは、特に別の活性ゲル層とこの活性ゲル層の下に配置された別の採取ゲル層、分析対象物液の採取を行うエチルエーテルのような浸透圧流エンハンサー、および、測定しようとする分析対象物の肉眼によるまたは電子的測定を補助する化学検出方法論を含む、多層ゲルマトリックスに頼っている。しかしながら、エチルエーテルは、可燃性・爆発性の皮膚刺激物であることが知られている。
【0006】
シェーンドルファー(D.W.Schoendorfer)らの米国特許第5,203,327号(特許文献4)に記載されたさらに他の装置は、汗の中に存在する予め選択された一以上の分析対象物を非侵入的に測定する方法および装置からなる。シェーンドルファーらにおいては、体液を皮膚濃縮パッチに採取し、体熱により実質的な水分フラクション部分を除くことによって体液を濃縮し、最も望ましくは分析対象物と固定化特異的結合パートナーとの複合体を生成して分析対象物存在の証拠を肉眼により検知するものである。
【0007】
同様なその他の装置は、ペック(Peck)の米国特許第4,960,467号(特許文献5)、第4,909,256号(特許文献6)、第4,821,733号(特許文献7)、第4,819,645号(特許文献8)および第4,706,676号(特許文献9)に記載されている。これらの特許によれば、ペックの装置は、皮膚物質採取装置(dermal substance collection device: DSCD)からなり、皮膚の上部または内部にある組織液や汗のいずれかまたは両方に検出可能な量存在する化学物質を、非侵入的かつ即座に継続してモニターすることができる。特にペックの経皮物質採取装置は、以下に挙げる三つの必須要素からなる。すなわち、(1)物質結合貯蔵部、(2)液体によって湿潤性となることで溶解性物質を皮膚表面から結合用貯蔵部へ移送する液体ブリッジ移送を可能にする液体移送媒体、および(3)吸蔵カバーであり、上記貯蔵部は(2)の液体移送媒体によって湿潤化することができる。
【0008】
典型的なその他の系は、以前は、例えば糖尿病患者を管理するのに必要であるように、血中の糖をモニターするものとして提案されていた。これは例えば、カイザー(Kaiser)の米国特許第4,169,676号(特許文献10)、ミューラー(Muller)の米国特許第4,427,889号(特許文献11)、ダーネ(Dahne)らの欧州特許公告第0 160 768号(特許文献12)、バウアー(Bauer)ら,Analytica Chimica Acta,197(1987),pp.295−301(非特許文献1)に記載されている。
【0009】
カイザーでは、中赤外領域の単一周波数において、干渉性ビームを発生する二酸化炭素レーザー源で血液試料を照射することにより血中の糖を測定している。このレーザー源由来の赤外ビームは、血液試料に接触させるための減衰全反射水晶体により、該試料とカップルになっている。この装置では、二重ビーム手段を使用して試料の存在下および不存在下における単一周波数の吸収差を調べている。
【0010】
ミューラーは、中赤外領域における二種類の周波数で作動するレーザーからの単一ビームエネルギーで血液試料を照射することにより、血中の糖を定量するシステムを開示している。赤外照射は、試料に対して直接行うかまたはインビトロサンプリング用の減衰された全反射水晶体により行っている。試料を照射する一方の周波数は10.53〜10.6マイクロメーターの範囲内にあり、もう一方の周波数は9.13〜9.17マイクロメーターの範囲内である。最初の周波数における照射は、試料によるベースラインの吸収を定めるのに対し、試料による糖吸収は第二の波長において試料により生じる強度減少に基づいて測定される。第一および第二の周波数での試料による吸収比によって試料の糖が定量されるものである。
【0011】
ダーネらは、被験者の指または耳朶により近赤外スペクトルの光学エネルギーを非侵襲的に伝達する近赤外分光分析法を使用している。また組織内深部から拡散反射される近赤外エネルギーを使用することも論じている。二つの異なる波長で被験者の糖を定量するための応答が得られる。この波長のうち一つは、バックグラウンドの吸収を測定するのに使用され、もう一方の波長は糖吸収を測定するのに使用される。二つの相異なる波長で得られる強度の比が、分析対象物体液試料中にある糖の量を決定する。
【0012】
バウアーらは、フーリエ変換赤外分光分析を使用することによって糖をモニターすることを開示しており、そこにはいくつかの吸光度対波長曲線が示されている。糖濃度対吸光度のキャリブレーション曲線は、一つの波長、好ましくは1035cm−1と記載されている波長で、試料によって吸収された赤外エネルギーの強度に応答して、既知濃度をもついくつかの試料から作られる。
【0013】
上記にも拘わらず、体液中の分子物質濃度測定に最もよく使用されるシステムでは酵素的、化学的および/または免疫学的方法が用いられてきた。しかしながら、一般に、これらの技術は被験者から血液試料を採取する侵襲性方法を必要とする。典型的には、現在糖尿病患者が使っているような指刺しで日に数回血液を採取し、普通は化学反応に続いて呈色比較試験を行うことにより、外部的に糖値を測定しなければならない。例えば、糖尿病患者による糖の測定では、そのような侵襲性手法は現在の技術を用いて行わなければならないのである。
【0014】
先行技術の侵襲性手法は痛みを伴うので、患者たちは血糖を測定しないことが多い。糖尿病患者にとって、指示に基づく血糖測定を行わないということは非常に危険である。さらにまた、血管を突き刺すことに頼る侵襲性手法では、病気の伝播や感染に高いリスクが産まれてしまう。
【0015】
従って、組織液のような体液中の予め選択された分析対象物を非侵襲的に痛みを伴うことなく測定するシステムであって、予め選択された分析対象物の存在を検出するのに利用できるシステムの多様な実用化に対する必要性は依然として求められている。糖尿病患者の場合、糖尿病の管理に、より侵襲性の低い糖値分析用システムを提供することが非常に望ましいのは明らかである。システムは低コストでなければならず、また、医療関係者ではない人の簡便な使用に適するものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第4,627,445号
【特許文献2】米国特許第5,462,064号
【特許文献3】米国特許第5,443,080号
【特許文献4】米国特許第5,203,327号
【特許文献5】米国特許第4,960,467号
【特許文献6】米国特許第4,909,256号
【特許文献7】米国特許第4,821,733号
【特許文献8】米国特許第4,819,645号
【特許文献9】米国特許第4,706,676号
【特許文献10】米国特許第4,169,676号
【特許文献11】米国特許第4,427,889号
【特許文献12】欧州特許公告第0 160 768号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】バウアー(Bauer)ら,Analytica Chimica Acta,197(1987),pp.295−301
【発明の概要】
【0018】
簡潔に述べると、本発明は、従来標準的であった痛みを伴う侵襲性手法に頼ることなく、体液中の興味のある分析対象物を検出するための新規な経皮システムおよびそのシステムに関する方法を発見したことにより、上記の欠点および欠陥のうちのいくつかを克服するものである。本発明によれば、新規な非侵襲性経皮システムは、簡単で使用に容易な形で試料を採取・検出するための、低コストで非医療者の簡便な使用に適切な一体化システムを提供するものである。さらに、本発明の新規な経皮システムは、従来一般に用いられてきた、例えば、指刺しや指突き(a finger prick or finger lance)などの侵襲性手法に比べて、非侵襲性であり無痛であるため、使用者の使いやすさが改善されることになり、また病気の伝播および感染も減少することになる。
【0019】
上記に留意し他の目的を考慮すれば、本発明は、皮膚内部または皮膚下部の生物学的体液中にある分析対象物を採取し検出する非侵襲性経皮システムを提供するものである。概説すると、本発明の非侵襲性経皮システムは、必要不可欠な二要素、すなわち、(1)乾燥化学成分および(2)湿潤化学成分からなる。乾燥化学成分は、分析対象とする一またはそれ以上の分析対象物との反応に特異的な化学的試薬の全必要成分を含有する超高感度または目的適合膜(a supersensitive or conditioned membrane)からなる。一または複数の分析対象物と上記化学的試薬の相互反応は、体液中に一または複数の分析対象物が存在することの指標となる指示薬分子の放出または生成、例えば、色変化によって顕在化する。分析対象である分析対象物感受性で分析対象物に接触させる超高感度または目的適合膜は比較的稠密であり、そのため一般に分析対象物と化学的試薬との反応および/またはリポーター分子の検出と干渉するおそれのある、細胞、粒子および/またはその他分子の影響を受けることがない。一方、超高感度または目的適合膜の反対表面は、実質的に低い稠密性(より多孔性)をもっており、それによって、生成中の試薬システムの注入、分析対象物の存在および体液中の濃度値を示すリポーター分子または指示薬分子の生成、拡散および可視化に備えるものである。本発明の超高感度または目的適合膜は、少なくとも約5mg/dlまたは約5mcg/ml程度の非常に低い濃度中、例えば、約25mclといった極めて少ない試料容量の分析対象物を検出できるユニークな能力をもっている。
【0020】
本発明の湿潤化学成分は一般的には液体の移送媒体を含んでおり、この媒体は、関心のある分析対象物を皮膚内部または皮膚下部の体液から、体液中の分析対象物存在の指標となるリポーターまたは指示薬分子(the reporter or indicator molecule)を放出するかまたは生成する試薬との反応のために、超高感度または目的適合膜へ液体ブリッジ移送または抽出を行うものである。
【0021】
さらに詳細には、そして本発明によれば、膜を合目的化するのに必要な全試薬は、化学的反応剤および特に分析対象物に対して提供される発色剤を含む。また本発明によれば、液体移送媒体は、皮膚内部または皮膚下部の体液から超高感度または目的適合膜の反応サイトへ、分析対象とする可溶性分析対象物の液体移送または抽出することができるゲル層またはゲルマトリックス層の形態をとる。ゲル層は、皮膚に対して不活性、非炎症性、非刺激性の疎水性ゲルであることが好ましい。特に好ましい本発明の疎水性ゲルは、商品名カーボポールTMと(Carbopol)して市販されているカルボキシポリメチレンを配合し、さらに脱イオン水(18megohm)を約0.5%から約2.0%、好ましくは約1%の濃度で配合したゲルである。
【0022】
本発明のさらに他の態様によれば、上記ゲルは、皮膚内部または皮膚下部の体液から、反応・検出用の超高感度または目的適合膜に対する分析対象物の液体移送または抽出を高めるよう、検出すべき分析対象物について選択された浸透皮膚増進剤(a permeation skin enhancer)を含有する。本発明による好ましい皮膚浸透増進剤は、不活性、非炎症性、非刺激性であって、かつ、関心のある分析対象物と干渉することなく、また超高感度または目的適合膜への分析対象物の移送および分析対象物と化学試薬との相互反応と干渉することがない。本発明によれば、好ましい皮膚浸透増進剤は、約5%〜約20%の濃度で十分にゲルと混合した、特に約10%の濃度でゲルに混合したプロピレングリコールである。従って、特に好ましい本発明のゲルは、脱イオン水(18meg ohm)中、約1%のカルボキシポリメチレン、例えば、カーボポールTMおよび約10%のプロピレングリコールを含んでなる。
【0023】
あるいはそしてまた本発明によれば、皮膚浸透増進剤は、移送媒体またはゲルを適用する標的となる皮膚領域にまず直接適用することができる。本発明は、移送媒体ゲルとは別に、あるいはこれに付加して浸透増進剤を使用するものであるが、驚くべきことに、皮膚浸透増進剤を移送媒体またはゲルに混合しておけば、本発明の新規な非侵襲性経皮システムを適用前に皮膚浸透増進剤を直接に適用する必要がないことが分かった。
【0024】
また本発明によれば、新規な非侵襲性経皮システムは、皮膚内部または下部にある体液中の分析対象物を採取・検出する非侵襲性経皮パッチとして形成することもできる。非侵襲性経皮パッチの形態をとる場合、乾燥化学成分および湿潤化学成分は、使用前は別々に隔離しておき、使用に際して、超高感度または目的適合膜と移送媒体だけが、膜上および/または内部に拡散された化学試薬と関心のある分析対象物の唯一のアクセス手段となるように構成されている。
【0025】
本発明の好ましい実施態様によれば、分析対象物が経皮抽出できる体液は組織液である。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、体液中の分析対象物の存在および分析対象物と化学試薬との反応によって生成する、リポーターまたは指示薬分子、例えば、色変化の検出には電子的な読み取り要素を利用することもできる。電子読み取り要素は、指示薬分子を発光させる光源、指示薬分子からの反射強度を読み取る光センサー、および測定された反射率強度を読み取って読み取り結果に関する情報を提供するシステムを含んでいなければならない。
【0027】
それでもなお、例えば、約500nm〜約930nmの波長、約30°〜約90°の反射角そして約200mV〜約1mVの電圧において、約±0.1mVの感度で色変化を読み取ることが可能な市販の反射計であればいずれも、本発明の新規な非侵襲性経皮システムに従って使用することができる。そのような反射計の読み取りヘッドは、好ましくは、当該新規非侵襲性経皮システムの乾燥化学成分へ導くくぼみと、あるいは開口部を通して、正確にインタフェースするような形態としなければならない。好ましくは、反射計の読み取りヘッドは、色合わせセンサー(matching sensor)と約650nm〜約670nmの波長域において、約35°〜約45°の反射角、そのような色の反射率を読み取ることができる発光ダイオード(LED)をもっていなければならない。9図は、乾燥化学成分、すなわち、膜に導くくぼみまたは開口部をもつ正確なインタフェースに合わせた形態の読み取りヘッドをもつ本発明による反射計の一例を示すものである。図9に示す反射計はさらに、この反射計による検出結果を伝達する視覚的なディスプレイを含む。図10は、分析対象物検出用色度を読むための約40°の反射角において、本発明の経皮パッチとインタフェースする図9に記載の反射計の断面図である。
【0028】
上記目的からみて、本発明によれば、分析対象物と反応してその存在を示す必要十分な化学試薬を含む乾燥化学成分および、分析対象物を皮膚内部または下部の体液から化学試薬へ抽出・移送する湿潤化学成分の形態で、個々人または被験者の体液分析対象物を非侵襲性かつ経皮的に採取するコレクター要素が提供される。本発明はまた、特に、使用前には乾燥化学成分と湿潤化学成分とを互いに影響しないよう分離した状態を保っているが、テスト中には両者が互いに密接に係わり合って、湿潤化学成分によるテストの最中に乾燥化学成分が継続して均一に湿潤化され、化学試薬と相互反応を行うように、皮膚内部または下部の体液から超高感度、すなわち、稠密な膜へ関心のある分析対象物を抽出・移送して、分析対象物の存在を確認するリポーターまたは指示薬分子、例えば、色変化を生成することができる構成(configuration)を提供する。体液としては、分析対象物が経皮的、非侵襲的に抽出・採取される組織液が好ましい。
【0029】
換言すれば、本発明の新規な非侵襲性経皮システムは、三つの主要な作業成分を含んでなる。第一の成分は、分析対象物を、皮膚内部または下部にある体液から乾燥化学成分へ移送する液体ブリッジとして機能する湿潤化学成分であり、第二の成分は、分析対象分析対象物と特異的に相互反応してその存在を検出する化学反応系を受け入れる乾燥化学成分、そして第三の成分は、不使用時には湿潤および乾燥化学成分が分離されているが、システム使用時には直接に継続して確実に接触した状態となる形態をとり、各ユーザーがシステムを物理的に保持し、迅速かつ有意な方法で、得られたデータを検討できる支持体またはハウジングである。さらに、本発明の新規な非侵襲性経皮システムは、目的とする皮膚領域に新規な非侵襲性経皮システムを適用するに先立って、湿潤化学成分中に混合し、および/または、その皮膚領域において、皮膚浸透増進剤を使用することを含む。さらにまた、本発明の新規な非侵襲性経皮システムは、特に乾燥化学成分と正確にインタフェースするような形態をとり、その結果、読み取りヘッドが、約650nm+約10nmの好ましい波長域において、約40°の反射角、約±0.1mVの感度精度で色度変化を読み取ることができる電子読み取り要素も含むものである。換言すれば、本システムの電子読み取り要素は、視覚的な障害が生じた場合やより正確な数値が必要とされる場合にはそのフォーマットで情報を提供するべく、上記パッチ要素を読み取るように構成されている。
【0030】
皮膚から、または皮膚を通して、その化学反応テストが進行するに十分な量の関心のある分析対象物を非侵襲的・経皮的に抽出した後、極めて短時間、例えば、数分間でその結果を読み取り記録させることができるような方法で、治療技術に公知のテスト化学反応要素と組織液採取媒体とを結合する新規な方法について以下に記載する。これは本発明の主な目的の一つである。
【0031】
好ましい態様によれば、本発明は、糖などの分析対象物を検出するのに使用する、反射計つきの小型ディスポーザブル経皮パッチを提供する。本発明によれば、この小型ディスポーザブル経皮パッチは非侵襲的に血糖値を測定するものである。実際、本発明の小型ディスポーザブル経皮パッチは、血中の糖濃度と直接相関する組織液の糖値を検出するユニークな能力をもっている。簡単に説明すると、しかし以下の説明に限定されるものではないが、本発明の方法は以下のように進行すると考えられる。目的に合わせてターゲットの皮膚領域に置かれた本発明の小型ディスポーザブル経皮パッチは、皮膚を通して痛みを伴うことなく組織液から糖を採取する。糖は、角質層(上皮の上層)を通って糖を輸送することができるゲルと組み合わせた皮膚浸透増進剤により輸送される。次いで組織液中の糖は、乾燥化学成分のサイトにおいて、グルコース特異的な生化学反応を受けるのであるが、その生化学反応はパッチのドライ化学反応膜内に含まれている。生化学反応により得られた発色は反射計で測定されるが、これは血糖値と直接相関している。本発明の膜をベースとする技術は、非常に少量の体液、例えば、約25mcl中の極めて低濃度の分析対象物、例えば、約5mg/dl、すなわち、5mcg/ml程度の濃度検出について、現在指突きまたは指刺し技術と共に用いられているものの感受性よりは、400〜500倍とまではいかなくても、少なくとも100倍は高いと思われる。従ってまた本発明によれば、抽出・検出過程では小さなパッチと小型の持ち運び可能な反射計が必要なだけである。それに血液がからむことがないので、通常糖モニターに伴う痛みおよび感染や病気伝播のおそれが排除されている。その上、もはや特別な取扱い手順も特別な廃棄系も要しないのである。
【0032】
本発明の非侵襲性経皮システムは、血液よりもむしろ組織液中の分析対象物を分析するものである。組織液は、体組織内の細胞間にある栄養液である。体内にある組織液の容量は血液量の3倍以上もあり、組織液の各種成分の濃度は、血中のこれら同一成分の濃度と平衡にあるのが一般的である。本発明によれば、組織液にある少量の分析対象物は、皮膚浸透増進剤と協力するゲルの助けにより、新規な非侵襲性経皮システムに拡散していくと思われる。組織液から一旦本発明のシステム内部に入った、例えば糖などの関心のある分析対象物は酵素反応を受け、発色した指示薬物質を生成する。生成した色は、組織液中の分析対象物濃度に比例し、順に血中の分析対象物濃度に比例すると考えられる。この色を、例えば、固定波長光学計による表面反射率で測定し、次いで内蔵されたキャリブレーション値と比べる。検出された分析対象物の結果は通常mg/dl単位で表示される。
【0033】
本発明の必須な構成要素は、本システムを臨床分析対象物用非侵襲性皮膚テストとして機能させる経皮パッチである。さらに付言すれば、本明細書には種々の形態が示され記載されており、そのすべては、非侵襲的・経皮的に抽出した体液から化学的な分析対象物を測定する今までにない新規なシステムとして共働するものである。
【0034】
本発明の特徴と考えられるその他の態様は請求の範囲に記載されている。
本発明は、生体成分物質用の一体化非侵襲性経皮システムに具体化されたものとして図示し記載したものであるが、本発明の精神から逸脱することなく、また請求の範囲内およびその均等の範囲内において、種々の変更および構造上の変化を行うことができる以上、本発明は上記記載に限定されるものではない。
しかしながら、本発明の構成は、その追加目的・利点を合わせ、添付図面および実施例に照らして読むとき、特定の実施態様についての以下の記載から最もよく理解されるところである。
以上本発明の態様および利点は、以下に続く詳細な記載および実施例を参照すればよりよく理解されるところである。本発明を説明する特定の方法および処方は例示にとどまるものであり、本発明を限定するものではないことも理解されるべきである。
【0035】
(本発明の詳細)
本発明とその多数の付随する利点を例証して、より完全な理解をもたらすように、下記の詳細な説明及び実施例は新規な方法、処方物及び形状物について与えられている。
【0036】
ここに、図面、特に、まず、図1A、図1B、図1Cおよび図2を引用して、丸みのある矩形のクラムシェル(clam shell)形状を有する、包括的に1として示された、本発明に従う多層複合構造の非浸襲性経皮パッチ(noninvasive transdermal patch)の模範的例を記述する。非浸襲性経皮パッチ1は2つの個別のハウジング30、32と、デバイス1の前面側にある外部プルタブ層4を有している。従って、似た形状のパッチ、たとえば、隅が四角い矩形の形状のパッチも同様に本発明によって意図されている。外部プルタブ層4と個別ハジング30及び32は、湿潤化学成分(wet chemistry component)10と乾燥化学成分(dry chemistry component)20が使用されない間は互いに分離し、乾燥しかつ汚染されないようにさせておく作用をする。外部プルタブ4は感圧接着剤層5を添付された一番外側の保護層としても作用する。外部プルタブ層4は、3Mファーム.によって名称スコッチパック(Scotch pak)製品番号1006KG90008で供給される厚さが約0.010インチであるピンクホイル(pink foil)のような、空気、湿気及び光を遮断する材料から形成されていてもよい。接着剤層5はライナー上の両面塗布メディアム(Medium)テープ、製品番号3M1522796Aそしてサンシャインテープ(Sunshine Tape)から得られる、のような感圧接着剤であってもよく、それは厚さが約0.005インチである。外部プルタブ層4には2つの個別ハウジング30、32が貼り付けられており、各々はヒンジ35よってつながれている。図1B及び図2に描かれているように、ハウジング30は湿潤化学成分10を受け入れ維持するための貫通開口(through aperture)31を含有しており、他方、ハウジング32は乾燥化学成分20を見えるようにするための貫通開口33を含有している。上に指摘した通り、開口33は分析対象物を検出するために色強度を読み取るための反射計の能力を最大にするように使用中にそれらが正確に接続するような寸法を有しているべきであり読み取りヘッドはそのように構成されているべきである。ハウジング30の貫通開口31の中に湿潤化学成分10を受け入れることに加えて、ハウジング30は開口31の中に湿潤化学成分10を維持する作用をするので、湿潤化学成分10は使用中には乾燥化学成分20と接触したままになる。これに関しては、本発明のゲルは貯蔵及び使用中に開口31の中にゲルを保つのに且つ分析対象物が検出のために乾燥膜へと通過するのを可能にするのに十分なゲル稠度(gel consistensy)をもって処方されているべきであるということが理解されるはずである。従って、本発明のゲルが粘稠すぎると、検出を妨げるであろう。他方、ゲルが十分に粘稠でないと、試験中にパッチから簡単に漏れ出して分析対象物の検出を妨げるであろう。
【0037】
ハウジング32の中の貫通開口33の作用は与えられた分析対象物のために用いられた色差測定化学(differential colorimetric chemistry)に基づいた化学反応の可視化を可能にすることである。更に、ハウジング32の貫通開口33は上に指摘した通り色差測定化学に基づいた検査反応を電子的に可視化するために反射分光光度計のような電子インタープリテーション部品(electronic interpretation component)を収容する作用をする。貫通開口31と33の寸法はあらゆる適する大きさのものであってよいが、本発明による一つの例では、直径約3/16インチから約4/16インチの大きさである。好ましくは、ハウジング30と32は不透湿性の、架橋した独立気泡スポンジによってつくられている。より具体的には、架橋した独立気泡スポンジはポリエチレンフォーム、密度12ポンド、タイプA、製品番号GL−187アクリルpsa、3Mファームによって供給されている、である。代わりに、ハウジング30、32はその他のいずれの適する材料、例えば、ナイロン、ゴム、等、からもつくることができる。
【0038】
各ハウジング30、32には、接着剤41を介して、連続したホワイトマイラーシート40が貼り付けられている。適するホワイトマイラーシートはフレクスコン社(Flexcon Co.,Inc.)によって供給されるデルマフレックス(Dermaflex)PM500である。デルマフレックスPM500は、印刷適性をよくするためのTC200と接着剤#525を塗布されているホワイトマイラーシートである。マイラーシート40とハウジング32の間に乾燥化学膜20が挟まれている。デルマフレックスPM500マイラーシート材料の接着剤#525は、ホワイトマイラー膜40の表面に隣接し、そして乾燥化学成分膜21と接している。デルマフレックスPM500ナイロンシートもやはり両面に接着剤#525を塗布されている。ホワイトマイラーシート40は50K6ライナーも含めて約0.05インチの厚さを有する。ホワイトマイラーシート40は貫通開口55と56を備えている。貫通開口55と56はハウジング30と32がヒンジ35のところを折って合わされたときには湿潤化学成分10が乾燥化学成分20と連続的に接触するのを可能にする。ホワイトマイラーシート40の適用部側41には下部プルカバー70が貼り付けられている。下部プルカバー70は外部プルタブ層4と同様に、空気、湿気及び光のバリヤとしても作用する類似のピンクホイルから形成されている。
【0039】
図1A、図1B及び図1Cに描かれているような非浸襲性経皮パッチ1を使用するためには、好ましくは、まず、テストパッチデバイスを適用されることになる皮膚の領域を清浄にする。たとえば、脱イオン水で洗うことによって皮膚を清浄にする。皮膚を適切かつ完全に清浄にし、そして乾燥したら、その清浄になった領域に皮膚浸透増進剤を直接適用してもよい。しかしながら、上に指摘したように、皮膚浸透増進剤が湿潤化学成分10の中へ含まれていれば、皮膚に皮膚浸透増進剤を適用する必要もない。清浄皮膚領域に非浸襲性経皮パッチ1を適用する前に、外部プルタブ4と下部プルタブカバー70を両方とも取り除く。外部プルタブ4と下部プルタブカバー70を取り除いたら、乾燥化学成分又は超高感度又は目的適合膜 20の連続的かつ均一な湿潤化を確実にするため、図1Cに描かれている通り、湿潤化学成分10が今や乾燥化学成分20と接触した状態になるように、ハウジング30、32のそれぞれの表面36、37を互いに直接接触させるようにハウジング30と32をヒンジ35に沿って折り畳む。即ち、ハウジング30の貫通開口31とハウジング32の貫通開口33は今や完全に整合した状態になる。次いで、化学反応指示薬分子の生成及び分析対象物検出のために皮膚の中又は下の生物学的流体例えば組織液から分析対象物を乾燥化学成分20へ移送(transfer)させるために検査中に湿潤化学成分10が清浄皮膚領域と不断の接触状態にあるように、ハウジング30の前部表面38を清浄皮膚領域に直接適用する。図1A、図1Bまたは図1Cに描かれているが、前部表面38は検査中にパッチを皮膚に接着させるための感圧接着剤を含んでいてもよい。
【0040】
図1Cに描かれているように折り畳まれた操作可能状態にあるときの非浸襲性経皮パッチ1の寸法の例は次の通りである。幅は約0.750インチ、そして長さは約0.75インチであり、貫通開口31、32の直径は約0.1875インチ〜約0.25インチであり、高さ又は厚さは約0.125インチである。
【0041】
代わりに、丸みのある矩形のクラムシェル形状の非浸襲性経皮パッチ1は更に、図2に描かれているように、外部プルタブ層4とハウジング30の前部表面38及びハウジング32の前部表面39との間にそれぞれ挟まれた下部及び上部プルタブ80、81を含んでいてもよい。かかる上部及び下部プルタブ80、82が利用される場合には、使用中の作業の順序は次の通りである。皮膚を清浄にした後、外部プルタブ層4と下部プルタブカバー70を上記の通り取り除く。しかしながら、それから、下部プルタブ80を取り除き、そしてハウジング30の前部表面38を清浄皮膚領域に適用する。約3分〜約15分の時間の後に、上部プルタブ81を取り除き、そして正式な指示薬分子(色変化)の可視的観察を使用者によるか又は上記のように分析対象物の存在を確認するための電子的検出部材によるかどちらかによって行う。下部及び上部プルタブ80、81は上に引用した膜40と似たようなホワイトマイラーシート材料からつくられてもよい。
【0042】
図1A、図1B及び図1Cに描かれているパッチは丸みのある矩形の形状に記載されているが、これらの図1A、図1B及び図1Cのパッチは本発明によって意図されているパッチの一例である。
【0043】
本発明の非浸襲性経皮テストパッチデバイスが適用されなければならない時間の長さは決まってはいないが、信頼できる検出及び定量化のために妥当な分析対象物の移送と反応を出現させるのには、一般的には、約3〜15分、好ましくは、約4〜6分、最も好ましくは、約5分が、十分であると考えられている。さらに、本発明の非浸襲性経皮テストパッチは、皮膚の中又は下の生物学的流体からの関心分析対象物を皮膚から検出できるそのいずれの適する皮膚領域、例えば、腕、腋の下、耳の後、脚、脚の内側部分、指先、胴体など、にも適用することができるが、毛のない皮膚の領域に、例えば、前腕、特に、前腕の右又は左の手のひらと同じ側の部分に、非浸襲性経皮パッチを置くことが好ましい。
【0044】
図2〜8に描かれている形状物は本発明の非血型経皮パッチの更なる代替例の形態を構成する。たとえば、図3はハウジング320の中心に示された乾燥化学膜310から構成された外部シェル300を含む本発明の丸い形の平坦パッチを描いている。乾燥化学膜310は関心分析対象物と相互作用してそれを検出するための化学試薬システムによって飽和されている膜である。使用においては、目標皮膚領域を予め清浄にし、次いで場合によっては皮膚浸透増進剤によって処理する。次いで、乾燥剤入りのホイル包装(図示されていない)から平坦パッチ300を取り出し、そして選ばれた湿潤化学ゲル成分(図示されていない)を膜310の裏側に適用し、次いで、それを清浄皮膚領域に適用して分析対象物検出のために皮膚の中又は下の生物学的流体から乾燥化学膜310への分析対象物移送を増強させるのに十分な時間適用しておく。
【0045】
図4は本発明の非血型経皮パッチの更に別の例を描いている。図4には、上部ハウジング410と下部ハウジング420を含むクラムシェルパッチ400が開示されている。上部ハウジング410は乾燥化学成分412を収容し、そして下部ハウジング420は湿潤化学成分又はゲル422を収容している。ハウジング410と420は好ましくはヒンジ430によってつながれており、そして各々がそれぞれ凹形内面411と421を含んでおり、互いに相補関係にある。使用においては、目標皮膚領域を予め清浄にし、そして場合によっては皮膚浸透増進剤によって処理する。皮膚の予めの処理に続いて、クラムシェルパッチ400からカバー(図示されていない)を取り除き、そして閉じる、そうすると、乾燥化学膜412は今や湿潤化学成分又はゲル422と接触していて乾燥化学膜412の連続的かつ均一な湿潤化を確実にする。次いで、湿潤化学成分又はゲル422の下部423を、予め処理した皮膚領域に適用して、検査下の分析対象物と乾燥化学膜412の上に飽和された化学試薬システムとの間の相互作用を可能にするのに十分な時間適用しておく。
【0046】
次に、図5に転じると、そこには、2つの個別ハウジング510と521を含んでいる、スクイーザ(squeezer)パッチ500が開示されている。両方のハウジング510と520は円形の形状であり、そして各々がそれぞれ凹形内面511と521を有しており、互いに相補関係にある。ハウジング510は乾燥化学成分512を収容し、そしてハウジング520は湿潤化学成分522を収容している。加えて、湿潤化学成分又はゲル522は押しつけられた(squeeze)ときに化学作用を活性化する小さな孔523を含んでいる。使用においては、目標皮膚領域を予め清浄にし場合によっては皮膚浸透増進剤で処理する。乾燥剤入りホイル包装(図示されてない)からスクイーザデバイス500を取り出し、そしてハウジング510をハウジング520の中に挿入する、そうすると、乾燥化学成分512と湿潤化学成分又はゲル522は互いに接触する。2つのハウジング510と520を押しつけて化学作用を活性化しそして乾燥化学膜512を連続的かつ均一に湿潤化する。湿潤化学成分又はゲル522の下部を予め処理した皮膚領域に適用して、分析対象物検出のために皮膚の中又は下の生物学的流体から分析対象物を乾燥化学膜512へ移送させるのに十分な時間適用しておく。
【0047】
図6は別の代替物としてスライダー(slider)パッチ600を描いている。本発明によれば、スライダーパッチ600は上部ハウジング610と下部ハウジング620を含んでいる。プルダブ630が上部と下部のハウジング610と620の間に挟まれている。ハウジング610は乾燥化学成分612を含んでおり、そして下部ハウジング610は湿潤化学成分又はゲル622を含有している。プルタブ630は不使用中には乾燥化学成分612と湿潤化学成分又はゲル622の間の不透過性バリヤを維持するいずれの適する材料からもつくることができる。好ましくは、ハウジング610と620のそれぞれの内面611と621は凹形の形状であり、そしてプルタブ630が取り除かれたときに乾燥化学成分612と湿潤化学成分622が乾燥化学成分612を連続的かつ均一に湿潤化するために不変の接触状態になるように互いに整合している。使用するためには、目標皮膚領域を予め清浄にし、そして必要ならば皮膚浸透増進剤によって処理する。次いで、乾燥剤入りホイル包装(図示されてない)からスライダーパッチ600を取り出し、そしてプルタブ630を取り除いて乾燥及び湿潤成分612と622の間の化学作用を活性化する。湿潤化学成分の下部623を予め処理した皮膚領域に適用して、皮膚の中又は下にある生物学的流体の中の分析対象物の分析対象物検出に十分な時間適用しておく。
【0048】
図7には本発明によるピアサー(piecer)パッチ700が図解されている。ピアサーパッチ700はハウジング710と720、及びピアサーディスク730を含んでいる。ハウジング710は乾燥化学成分712を含み、そして720は湿潤化学成分又はゲル722を含有している。ピアサーディスク730は、湿潤化学成分722が包まれ貯蔵されているホイル(図示されていない)を傷つけて湿潤化学成分722を放出させて乾燥化学成分712を連続的かつ均一に湿潤させるための鋭い先端(sharp points)731を含んでいる。ピアサーディスク730及び鋭い先端731は金属又はプラスチックのようないずれの適する材料からでもつくることができる。使用においては、乾燥剤入りホイル包装(図示されてない)からピアサーパッチ700を取り出し、そして目標皮膚領域を予め清浄にし場合によって皮膚浸透増進剤で処理する。鋭い先端がハウジング710と720の間のホイル(図示されていない)に孔をあけて湿潤化学成分を放出させて互いに接触した状態にするようにハウジング710と720を合わせて加圧することによって、ピアサーパッチ700を活性化させる。湿潤化学成分722の下部表面を皮膚領域に分析対象物検出に十分な時間適用する。
【0049】
次に図8に転じると、そこには、2つの個別ハウジング810と820を含んでいる放射フロー(radial flow)免疫検定パッチ800が開示されている。両方のハウジング810と820は円形の形状であり、そして各々がそれぞれ凹形内面811と821を有しており、互いに相補関係にある。ハウジング810は乾燥化学膜812とドーナツ状の吸収剤材料813例えばシュライクル アンド シュール(Schleichr and Schull)によって供給される診断薬ペーパー#470、を含み、そしてハウジング820は湿潤化学成分822を含有している。湿潤化学成分822はコンジュゲート ディスク モノクロナール抗体、たとえば、アンチ−BHCG、によって予め湿潤されている。加えて、乾燥化学成分又はゲル812はその上に小さなスポット状の抗体、たとえば、AHCGを、抗原を検出するために含んでいる。使用においては、目標皮膚領域を予め清浄にし、そして場合によって皮膚浸透増進剤で処理する。乾燥剤入りホイル包装(図示されてない)からデバイス800を取り出し、そして乾燥化学成分812と湿潤化学成分又はゲル822が互いに接触するようにハウジング810をハウジング820の中に挿入する。2つのハウジング810と820を一緒に押しつけて化学成分812を活性化させる。湿潤化学成分又はゲル812の下部表面を予め処理した皮膚領域に、分析対象物を皮膚の中又は下の生物学的流体から乾燥化学膜812へ分析対象物検出のために移送させるのに十分な時間適用する。
【0050】
当業者には、図3〜8に描かれた上記代替パッチは本発明の多様なパッチ形状物の例を表すということが理解されるはずである。更に、例としてのこれらパッチ形状物は本発明によって意図されたパッチのバリエーションだけを構成しているのではなく、むしろ本発明は当該発明の目的を遂行するあらゆるパッチ形状物を意図しているということが理解されるはずある。更に、図3〜8に描かれた例としてのパッチ形状物は、例えば、ここに記述した材料及び化学試薬システム又はその他の、当業者の範囲内のいずれか適する材料からつくることができるということが理解されるはずである。
【0051】
上記の通り、本発明の非浸襲性経皮システムは、生物学的流体の中の分析対象物の存在を表示するレポーター又は指示薬分子(色変化)を放出又は生成するための化学試薬との生物学的反応のために皮膚の中又は下の生物学的流体から乾燥化学成分への関心のある分析対象物の液体ブリッジ移送(liquid bridge transfer)を可能にする移送媒体(transfer medium)から構成された湿潤化学成分を含んでいる。本発明によれば、湿潤化学成分はゲル層の形態であって、そしてパッチの中に約20mcls〜約35mclsの量で存在し、そして約25mclsの量が好ましい。好ましい態様においては、ゲル層は疎水性ゲルである。好ましい疎水性ゲルはカルボキシポリメチレン、カーボポール(Carbopol)(登録商標)によって、約0.5%〜約2%の濃度で形成されたものである。本発明による好ましい疎水性ゲルは約1%のカルボキシポリメチレン、カーボポール(登録商標)、である。カルボキシポリメチレンゲルマトリックスが好ましいが、適する粘度を有しそして分析対象物移送又は検出を妨害しない限りは、たとえば、dH2Oの中の、1%カルボキシメチレンセルロース、アガロース、10%グリセリン及び1%カルボキシメチレン、dH2Oの中の1%カルボキシポリメチレンの中の10%ポリエチレングリコール、及びdH2Oの中の1%カルボキシポリメチレンの中の10%ラウリル硫酸ナトリウム、等、のような他のいずれか適するゲルが利用されてもよい。
本発明の別の局面においては、湿潤化学成分は皮膚浸透増進剤を含んでいてもよい。湿潤化学成分中に含まれていてもよい皮膚浸透増進剤の例はポリエチレングリコール、蒸留水、脱イオン水、DMSO、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、1:1の水:アセトアニリド、1:1:1のエタノール:プロピレングリコール:dH2O、1:1のエタノール:プロピレングリコール、70:25:5のエタノール:dH2O:オレイン酸、70:25:5のエタノール:dH2O:パルミチン酸イソプロピル、1:1のエタノール:水、イソプロピルアルコール中の75%乳酸、90%乳酸と10%ツイーン80、dH2Oの中の50%イソプロピルアルコールの中の20%サリチル酸、1:1:1の酢酸エチル:イソプロピルアルコール:dH2O、等、である。
【0052】
本発明の湿潤化学成分の調製においては、一般的には、例えば、疎水性ゲルを製造するときは、カルボキシポリメチレンのような疎水物を泡立たないようにゆっくり混合しながら点散(sprinkle)させ、その後で真空によって脱気することが好ましい。適する場合には滅菌用にオートクレーブを利用してもよい。
【0053】
その中に皮膚浸透増進剤を組み込まれている特に好ましい疎水性ゲルは約1%のカルボキシポリメチレン、例えば、カーボポールと、約10%のポリプロピレングリコールを含む。かかる好ましい疎水性ゲルは約10%のプロピレングリコールを含有する全体で約100mLの脱イオン水(18MΩ)の中に約1gのカーボポール(登録商標)1342(BFグッドリッチ)をゆっくり点散させ混合することによって製造することができる。混合中、泡立ちを避けるべきである。混合後、このゲルを真空によって脱気する。
【0054】
皮膚浸透増進剤を含有する移送媒体は好ましいが、必ずしも皮膚浸透増進剤を移送媒体の中に組み入れる必要はないということは当業者に理解されるはずである。代わりに、本発明は皮膚浸透増進剤を含有しない移送媒体、例えば、疎水性ゲルの使用をもくろんでいる。かかる移送ゲルの例は上記のように1%カルボキシポリメチレンゲル又は1%カルボキシメチルセルロースゲルである。皮膚浸透増進剤が移送媒体の中に包含されているときは、非浸襲性経皮パッチの適用前の皮膚への別個の皮膚浸透増進剤の使用は任意である。しかしながら、本発明による湿潤化学成分10のように、皮膚浸透増進剤を含有しない移送媒体が選ばれた場合には、皮膚は好ましくは皮膚浸透増進剤によって予め処理される。本発明によって意図されている好ましい皮膚浸透増進剤はプロピレングリコール、または、3つの成分を単に混合することによってつくることができるイソプロピルアルコールと脱イオン水(18MΩ)と酢酸エチルの1:1:1の混合物である。本発明に従って使用されてもよいその他の皮膚浸透増進剤は、DMSO、エチルアルコール、蒸留水、脱イオン水(18MΩ)、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、乳酸、酢酸エチル、カルボニルメチルセルロース、ツイーン80、サリチル酸(脱イオン水/イソプロピルアルコール50/50の中の20%)、リモネン、イソプロピルアルコールの中の乳酸10%、90:5:5のイソプロピルアルコール:ツイーン80:リモネン、イソプロピルアルコール中の10%乳酸と90%乳酸と10%ツイーン80、等、を包含する。勿論、皮膚浸透増進剤が選ばれた場合には、その皮膚浸透増進剤が組織液のような生物学的流体の中の関心分析対象物の移送又は本発明の乾燥化学成分20による検出を支援するのに有効な仕方で作用するならば、非浸襲性経皮システムの適用に先立ってそれを十分な量及び十分な時間で検査を受けようとする皮膚領域に前もって適用すべきであるということが理解されるはずである。量及び時間は選ばれる皮膚浸透剤に依存して変動するであろうが、皮膚浸透増進剤は目標皮膚部位での過剰の蓄積を避けるために短時間で速やかに乾燥することを可能にする仕方で適用されるべきである。皮膚浸透増進剤が本発明における使用のために選ばれた場合には、ともかくも関心分析対象物に又はその検出に干渉するであろう皮膚浸透剤が選ばれないように調査下の分析対象物には考慮をはらうべきであるということも認識されるはずである。例えば、調査下の分析対象物がグルコースである場合には、セルロースタイプの皮膚浸透増進剤は多分不適合であろう。
【0055】
本発明の乾燥化学成分20は、全血中の分析対象物を検出するのに現在使用されている乾燥化学成分よりも一般的には少なくとも約100倍、そして400〜500倍にもなる、新規な超高感度または目的適合膜(乾燥化学膜)から構成されている。実際、全く驚くべきことに、この超高感度または目的適合膜は調査下の分析対象物をそれらが非常に小さな濃度例えば約5mg/dL又は5mcg/mLで少量例えば25mclのサンプルであっても検出しそして正確かつ迅速に定量化する能力を有していることが発見された。さらに、本発明のセンサーは、HPLC法による検出のために概して小さくされたサンプルサイズの中の分析対象物を検出する能力を有する。一般的に言うと、HPLC法が調査下の分析対象物を検出するためには、少なくとも約200mclのサンプルサイズが必要とされる。本発明の超高感度または目的適合膜の基材としては、いずれか適する材料、たとえば、マイラー(mylar)材料、ポールゲルマン(Paul Gelman)によって供給される類似のビオダイン(BioDyne)AまたはビオダインB、が利用されてもよいが、特に、好ましい材料はゲルマン サイエンシズ(Gelman Sciences)によって製品名スポル450(Supor450)(登録商標)で配給されるポリエーテルスルホンである。この特殊ポリエーテルスルホン材料は約0.45ミクロンの孔径を有する。この特殊ポリエーテルスルホン材料は好ましいが、それにもかかわらず、約0.8ミクロンの孔径を有するナイロンのような他のポリエーテルスルホン材料が利用されてもよいということが信じられる。
【0056】
本発明による代表的な超高感度または目的適合膜は非浸襲性経皮グルコースパッチ用にグルコース反応性処方物を含む。グルコース反応性処方物は次の通りの基本調剤と酵素成分を含んでいる:
【表1】
【0057】
グルコース反応性処方物は次のように調製できる。第一に、上記成分を互いに均質に混ぜ合わせることによって基本調剤を調製する。第二に、O−トリジンを脱イオン水の中に溶解するまで混合する。第三に、酵素溶液を次のように調製する。適する大きさの清浄な容器に、算定された酵素溶液を計り入れる。基本溶液に調製済みO−トリジンをゆっくり加えながら溶液が透明になるまで混合する。混合しながら、20%ガントレックスを加え、そして約15〜20分間混合する。その後に、DOSSを添加しながら混合し、そして更に15〜10分間混合を継続する。pHをNaOHを使用して6.8〜6.9に調節する。この時点で、溶液は透明なはずである。その後に、この透明溶液にGODを添加しながら混合し、GODを添加してしまったら、混合を止め、そしてPODを加える。PODが溶解したら、更に15〜20分間混合する。このグルコース反応性溶液はもう使用できるようになっている。調製中、混合はBSAを変質させないために泡立たないように行うべきである。当業者には、グルコース反応性処方物が酵素及び発色団O−トリジンの両方の過剰量を含有しているので過剰量の発色団O-トリジン及び酵素を溶解するためには調製に基本調剤が必要とされないということが認識されるはずである。
【0058】
超高感度または目的適合のグルコース反応性膜は次のように製造されてもよい。ポリエーテルスルホン又はその他の材料のシートを、先に製造した通りのグルコース反応性溶液の中に、約45°の角度で沈めて、グルコース反応性溶液を膜材料の中に導入させながら膜材料から空気を追い出す。膜材料に含浸させるために溶液の中をゆっくり膜材料を引っ張る。次いで、この湿った飽和された膜材料を通常の10フィート長さの乾燥機に少なくとも約41℃の温度で約2フィート/分の速度で又は約5分間通すことによって乾燥する。乾燥したら、この超高感度または目的適合膜の先端と後端はその先端と後端では含浸が不均一であるので取り除かれるべきである。超高感度または目的適合膜はもう本発明の乾燥化学膜20として使用できるようになっている。
【0059】
代替の反応性グルコース膜は次のように製造されてもよい:
乾燥化学ストリップは、本発明に従って、上記と似たような濃度の次の材料及び成分から製造される:
【表2】
【0060】
上記試薬の各々は試薬級化学薬品と脱イオン水から新たに調製される。基本調剤は上記成分を混合することによって調製される。次いで、指示薬を、続いて、カクテルを添加する。調製されたら、その中に膜を均一に湿潤されるまで手短に(約30秒)浸す。それから、それを37℃で約15分間自然乾燥する。その乾燥した膜を水分と光から防護された乾燥剤と一緒に貯蔵する。この乾燥化学膜をストリップに切断し、そして、後でデバイスに貼り付けられるマイラーをコートされた接着剤のくぼみの中に包む(即ち、糊付けする)ことができる。この代替グルコース処方物及び方法が選ばれる場合には、約2リットルで200平方フィートのビオダイン(BioDyne)A膜ような膜を有効に塗布するであろう。
【0061】
驚くべきことには、上記のグルコース反応性膜は組織液から湿潤化学成分の中に拡散された約5mg/dL〜約5mcg/dLのような少量のグルコースを検出する特異な能力を有することが判明した。今や、当業者は、本発明の新規な非浸襲性経皮パッチが対象の中のグルコースを正確かつ確実に定量的に検出できるということを容易に認めることができる。更に、本発明の新規な非浸襲性経皮パッチは今まで利用されてきた組織を傷つけ痛みを伴う手法の必要性を解消しながら、医療訓練を受けてない者にも簡単かつ容易に使用される。従って、当業者は本発明の新規な非浸襲性経皮パッチが体液分析対象物の収集と検出に関して従来のシステム及び技術よりも有意に進歩していることを容易に認めるはずである。
【0062】
本発明の乾燥化学膜20をここでは特定のグルコース膜に関連して説明しているが、それにもかかわらず、その他のいずれの適する膜、例えば、本願明細書の中に全てを組み入れられる米国特許第4,774,192号に記載され例証されているもの、は本発明に従って使用されてもよいということが理解されるはずである。当業者にはまた、上記の超高感度または目的適合膜は発色団O−トリジンをもって製造されているが、他のあらゆる適する発色団、たとえば、テトラメチルベンジジン(TMB)、が使用されてもよいということが理解されるはずである。更に、本発明の目的を無効にしない限りは、本発明の無血システムによって分析対象物を検出するのに他の指示薬システム、例えば、フルオロフォア類(fluorphores)又はポーラログラフィー電極若しくは酵素電極を使用してもよいということが認められるはずである。
【0063】
更に、当業者には、組織液のグルコース分析に関する上記説明を、組織液のような生物学的流体サンプルの中に典型的に見いだせるその他の広く多様な分析対象物の検出のための超高感度または目的適合膜の製造及び検出用臨床アッセイの性能にまで、類推によって、容易に拡大できるということが理解されるはずである。従って、本発明の超高感度または目的適合膜システムは、例えば、コレステロール、トリグリセリド、ビリルビン、クレアチニン、尿素、α−アミラーゼ、L−乳酸、アラニンアミノ基転写酵素(ALT/GPT)、アスパラテートアミノ基転写酵素(AST/GOT)、アルブミン、尿酸、フルクトースアミン、カリウム、ナトリウム、クロライド、ピルビン酸脱水素酵素、フェニルアラニン水素添加酵素、プリンヌクレオチド酵素、及びフェニルアラニン水酸化酵素又はその置換物、例えば、フェニル−アラニン、フェニル−ピルベート又はフェニル-ラクテート、の臨床分析に応用可能である。アッセイフォーマットは上記グルコースのためのものと本質的に同じである、又は場合によってはコンディショニングされた膜/試薬システムと一つ又はそれ上の追加の層(即ち、均展層、輻射線遮断層、半透性拡散膜、等)との組合せを伴う。
【0064】
目的適合膜を上記分析対象物のそれぞれのための乾燥化学試薬システムを組み入れて製造することは本質的には、グルコース特異性の乾燥化学試薬システムの製造について記載したのと同じ方法に従う(例えば、膜を流れ調節剤でコンディショニングする及び指示薬/試薬カクテルの吸収)。従って、膜のコンディショニングは乾燥化学試薬システムの一つ又はそれ以上の成分との接触の前に又はそれと同時に行うことができる。
【0065】
一般的に言うと、アラニンアミノ基転写酵素(ALT/GPT)検定においては、酵素はアラニン及びα−ケトグルタレートと反応してピルベート及びグルタメートを生じる。生じるピルベートは490〜520nmに着色する2,4−ジニトロ−フェニルヒドラジンと反応する。高レベルのアラニンアミノ基転写酵素は肝炎およびその他の肝疾患と関連している。アスパラテートアミノ基転写酵素(AST/GOT)検定においては、酵素はアスパラテート1及び2−オキソグルタレートと反応してオキサロアセテート及びグルタメートを生じる。生じるオキサロアセテートは490〜520nmに着色する2,4−ジニトロ−フェニルヒドラジンと反応する。高レベルのオキサロアセテートは筋ジストロフィー皮膚筋炎ばかりでなく、心筋梗塞、肝炎及びその他の肝疾患と関連している。アルブミン検定においては、ブロモクレゾール パープルが、600nmに最大吸収をもつ安定な複合体を形成するヒト血清アルブミンと定量的に結合する。低レベルのヒト血清アルブミンは肝疾患、ネフローゼ症候群、栄養障害およびタンパク性腸疾患と関連している。高レベルの血清アルブミンは脱水と関連している。プレアルブミンは糖尿病および栄養障害の診断値であろう。正常値は3〜5g/dL(30〜50g/L)である。子供の臨界限界は最低値10〜25g/L又は最高値60〜80g/Lである。ビリルビン検定においては、ジアゾ化スルファニル酸が、560nmに最大吸収をもつアゾビリルビンを生成する共役ビリルビンと定量的に反応する。高レベルのビリルビンは胆管閉塞及び肝細胞疾患と関連している。ジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下では抱合(直接)及び非抱合(遊離)ビリルビンはどちらも反応しそして成人および新生児の溶血性疾患の指標となる。臨界限界は最高値が成人では5〜30mg/dL(86〜513マイクロモル/L)、そして子供では86〜342マイクロモル/Lであり;正常レベルは結合された血清の1dL当たり0.3mgまでであるが、新生児では1〜12mg/dL(96〜308マイクロクーロン/L)である。本発明によるパッチは数分後にこれら値の50分の1を読みだすであろう。クロライド検定においては、チオイソシアン酸第二水銀がクロライドイオンと反応して塩化第二水銀を与え、生成されたチオシアネートが鉄と反応して赤みがかった褐色生成物を与える。低レベルのクロライドイオンは胃腸又は塩類喪失性腎炎、アジソン病と関連している。高レベルは心臓病及びクッシング症候群と関連している。臨界限界は60〜90ミリモル/Lである(その50分の1は本発明のパッチにおいて期待されるものである)。正常レベルは95〜103mEq./Lである。コレステロール トータル検定においては、コレステロールエステルをコレステロールエステラーゼと反応させる。総遊離コレステーロルを更にコレステロール酸化物と反応させ、転じて、着色染料O−トリジンにカップリングされた過酸化酵素によって検出される過酸化物を生じる。増加したレベルのコレステロールはアテローム性動脈硬化、ネフローゼ、真性糖尿病、粘液水腫、及び閉塞性黄疸と関連している。減少したレベルのコレステロールは甲状腺機能亢進症、貧血、吸収不良及び瘠痩症候群の中で観察される。正常レベルは150〜250mg/dLである(食事および年齢と共に変動する)。200mg/dLを越す値は医師に相談することを示唆するものである。フルクトースアミン検定においては、フルクトースアミンがアルカリ性pHでニトロテトラゾリウムブルーを低下させる。フルクトースアミンは真性糖尿病の管理に有効である。レベルはグルコースコントロールの指標である。乳酸アッセイにおいては、ブタ由来ラクテート脱水素酵素(ボリンジャー マンハイム(Boehringer Mannehim))がニコチンアミドアデニニンジヌクレオチド(NAD)の存在下でラクテートと反応してNADH(還元されたNAD)とピルベートを生成する。次いで、NADHは酵素ジアホラーゼ(ユニチカ)を使用してテトラゾリウム塩と反応させて着色ホルマザンを生成することによって検出される。生成された色は乳酸濃度に正比例している。乳酸は臨界ケア状況においては死亡率を予測する支持療法の成功の尺度として有効である。高レベルは臨床結果の厳しさと相関関係にある。血中ラクテートは心筋梗塞の患者が生き残る余後指示薬になってきており、そして厳しい新生児仮死の指示薬としても使用さる。乳酸アシドーシスは真性糖尿病や肝不全の患者にも見られる。持久力と適応度を評価するスポーツ医学に使用できる。正常値は静脈血液中で5〜20mg/dLである;動脈血液中ではもっと低い(3〜7mg/dL)。臨界限度は最高値20.7〜45mg/dL(2.3〜5.0ミリモル/L)である。カリウム検定においては、イオン特異電極は数分間の皮膚接触後にパッチに期待されるレベル(臨界限度は血中にみられるそれの50分の1である;即ち、0.05〜0.07ミリモル/L)を検出するために使用されるように十分に安定かつ敏感になってきている。カリウムは臨界ケア状況においては死亡率を予測する支持療法の成功の尺度として有効である。高レベルのカリウムは臨床結果の厳しさと相関関係にある。血中カリウムは急性心筋梗塞の患者が生き残る余後指示薬になってきている。正常値は血漿では3.8〜5.0mEq/L(ミリモル/Lとしても同じ)である;臨界限度は最低値2.5〜3.6ミリモル/L又は最高値5〜8ミリモル/Lである。ナトリウム検定においては、イオン特異電極は数分間の皮膚接触後にパッチに期待されるレベル(臨界限度は血中にみられるそれの50分の1である)を検出するために使用されるように十分に安定かつ敏感になってきている。正常値は血漿では136〜142mEq/L(ミリモル/Lとしても同じ)である;臨界限度は最低値110〜137ミリモル/L又は最高値145〜170ミリモル/Lである。トリグリセリド検定においては、トリグリセリドはリポタンパクリパーゼと反応してグリセロールを与え、それが燐酸化されたときにグリセロール燐酸酸化酵素の存在下で過酸化物を生成する。これは本発明の非浸襲性経皮システムによる着色染料と過酸化酵素によって検出できる。高レベルのトリグリセリドはネフローゼ症候群、冠状動脈疾患、糖尿病及び肝疾患によって伴われる。正常値は血清では10〜190mg/dLである。尿酸検定においては、尿酸はウリカーゼと反応して尿膜と、適する手段によって検出される過酸化物とを生成する。高レベルの尿酸は痛風、白血病、妊娠中毒症及び厳しい腎臓悪化と関連している。正常値は男性で2.1〜7.8Mg/gLであり;女性で2.0〜6.4mg/dLである。臨界限度は最高値10〜15mg/dL(595〜892マイクロモル/L)である。
【0066】
次に、本発明に従って製造することができる超高感度または目的適合膜のかかる例を例証する。
尿素のための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、適切な濃度の、尿素分解酵素、緩衝剤、及びpHの変化に対して感受性の指示薬を吸収させることによって製造できる。全血サンプルを膜のサンプル受容性表面と接触させると、血清は膜によって吸収される。血清の中に存在する尿素が尿素分解酵素によって消化され、それによって溶液の中にアンモニアを遊離する。次いで、アンモニアは適する指示薬(即ち、プロトン化されたメロシアニド染料)と反応することができる。膜のpHは約8.0に緩衝されてアンモニアの平衡濃度を相対的に低い方に保つ。指示薬は520nmで監視される。この特異性試薬システムのこれ以上の詳細は公開された文献の中に記載されており、例えば、スペイド,アール.ダブリュー.(Spayd,R.W.)等の、クリニカル ケミストリー(Clin.Chem.)24(8):1343を参照。
【0067】
α−アミラーゼのための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、適切な濃度の、誘導体化された基質(即ち、澱粉)と緩衝剤を吸収させることによって製造できる。全血サンプルをテストストリップのサンプル受容性表面に適用すると、血清が膜の中へと吸収され、従って、誘導体化さた基質がサンプル中のα−アミラーゼによって消化され始める。基質のこの消化は許容される技術及び容易に入手できる装置に従って監視することができる発色団又はフルオロフォアを放出する。この特異性試薬システムのこれ以上の詳細は先に引用したスペイドの刊行物の中にやはり見られる。
【0068】
ビリルビンのための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、適切な濃度の、或る種のカチオン性ポリマー(即ち、ポリマー性第4級塩)と燐酸塩緩衝液(pH約7.4)を吸収させることによって製造できる。間質サンプルをテストストリップのサンプル受容性表面に適用すると、この流体が膜の中へと吸収され、それによって、ビリルビンとカチオン性ポリマーの相互作用を開始させる。かかる相互作用は結果としてビリルビンの最大吸収を440nmから460nmにシフトさせる。この特異性試薬システムのこれ以上の詳細は先に引用したスペイドの刊行物の中にやはり見られる。
【0069】
トリグリセリド(トリアクリルグリセロール)のための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、界面活性剤、脂肪分解酵素、アデノシン三燐酸(APT)、グリセロールキナーゼ及びL−α−グリセロール燐酸塩酸化酵素、及びトリアリールイミダゾールロイコ染料を吸収させることによって製造できる。簡単にいうと、界面活性剤はリポタンパク複合体の解離を助けるので、リパーゼはトリグリセリドと反応することができグリセロールと脂肪酸を生成させる。それから、グリセロールはグリセロールキナーゼ酵素の存在下でアデノシン三燐酸によってホスホリル化される。こうして生成されたL−α−グリセロール燐酸はそれからL−α−グリセロール燐酸オキシダーゼによって酸化されてジヒドロキシアセトン燐酸と水酸化酵素になる。過酸化水素はロイコ染料を酸化して640nmにピーク吸収を有する着色指示薬を生成させる。この特異性試薬システムのこれ以上の詳細は先に引用したスペイドの刊行物の中に見られる。
【0070】
トリグリセリド分析のための代替の好ましい化学試薬システムは、コンディショニングされた膜の中に、リパーゼ、グリセロール脱水素酵素、p−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット(INT)及びジアホラーゼを吸収させることによって製造できる。血清トリグリセリドは最初に化学試薬システムと相互作用して遊離グリセロールと脂肪酸に加水分解される。遊離グリセロールは今やグリセロール脱水素酵素によって、NADの存在下で、ジヒドロキシアセトンに転化される。かかる転化と同時に、INT(無色)はNADHの存在下でジアホラーゼによって還元されて赤色染料(最大γ=500nm)になる。変化は500nmにおけるテストストリップの吸収であり、それは血清トリグリセリドの濃度に正比例する。
【0071】
組織液の中の総コレステロールを測定するための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、ロイコ染料及び過酸化酵素を吸収させることによって製造できる。全血サンプルをテストストリップのサンプル受容性表面に適用すると、血清は膜に吸収され、それによって、コレステロールエステルのコレステロールへの転化を開始し、コレステロールの酸化がコレステロール酸化酵素によって遂行され、それによって、過酸化物を遊離する。次いで、過酸化物とロイコ染料は過酸化酵素の存在下で相互作用して目視で又は機器の使用によって監視できる高度に着色した指示薬を生成する。この特異性試薬システムに関するこれ以上の詳細は公開された文献の中に見られる、ダッペン,ジー.エヌ.(Dappen,G.N.)等のクリニカル ケミストリー(Clin.Chem.)第28巻第5号(1982年)第1159頁を参照。
【0072】
組織液の中の総コレステロールを検出するための代替の超高感度膜は、本発明に従って、次の材料及び試薬から製造できる:
【表3】
【0073】
上記試薬の各々は試薬級化学薬品と脱イオン水から新たに調製される。それらは一つの均質溶液として一緒に混合され、そしてその中に膜を均一に湿潤されるまで手短に(約30秒)浸す。それから、それを37℃で約15分間自然乾燥する。これを水分と光から防護された乾燥剤と一緒に貯蔵する。この乾燥化学膜をストリップに切断し、そして、後でデバイスに貼り付けられるマイラーをコートされた接着剤のくぼみの中に包み込む(即ち、糊付けする)。
【0074】
コレステロール検出のためのコレステロール反応性処方物のための更に別の代替の超高感度または目的適合膜は、次の酵素性溶液調剤から製造できる。酵素性溶液調剤はグルコースパッチのためのグルコース反応性処方物のために、先に記載した基本調剤と配合できる。
【0075】
【表4】
【0076】
かかるコレステロール反応性処方物が製造されたら、それは、適する膜材料、たとえば、ゲルマン サイエンシズによって供給されるポリエーテルスルホン膜スポル(Supor)450、またはポール ゲルマンによって供給されるビオダイン(BioDyne)AまたはビオダインB膜、の上に自然乾燥させることができ、そして本発明の湿潤化学成分10、例えば、約1%のカルボキシポリメチレンと約10%のプロピレングリコールを含む疎水性ゲル、と一緒に使用される。
【0077】
ラクテート検出用の超高感度または目的適合膜は、例えば、次の処方物から、それを、グルコースパッチ用のグルコース反応性処方物のために先に記載した基本調剤と混合し、次いで、ゲルマン サイエンシズによって供給されるポリエーテルスルホン スポル450膜やポール ゲルマンによって供給されるビオダインAまたはビオダインB膜のような適する膜材料の中に含浸させて、製造することができる。
【0078】
【表5】
【0079】
クレアチニンのための優れた感受性の、即ち調節された膜は、適当な濃度のクレアチニンイミノ加水分解酵素およびアンモニア指示薬(即ちブロモフェノールブルー)を調節された膜中に吸収させることにより造られることが出来る。その膜の受容性表面に組織液サンプルを適用した際に、組織液サンプルは膜中に吸収され、それによりクレアチニンおよび酵素のクレアチニンアミノ加水分解酵素の相互作用を開始して、アンモニアの遊離を生ずる。それによりアンモニアは指示薬と反応しそして色発現が視覚的にまたは慣用の計器を用いて監視される。この特定の試薬に関する追加の詳細は公開文献に示されており、例えば Toffaietti,J等による、Clin.Chem.,Vol.29,No.4(1983)第684頁を参照。この発明の乾式化学試薬システムはニューヨーク州ロチェスターのイーストマンコダックカンパニーにより開発されたタイプの多重層試験スライドにおいて使用される(以後“コダック形式”)ことがまた意図される。浸透性材料(即ち展延層)が処理される膜のサンプル受容性表面と隣接して接触して置かれる場合、そのような接触は膜中を通過して移送された組織液の速度および量に影響し(変化させ)そしてしたがって膜内の分析物特定成分により仲介された反応の速度および程度に影響するだろう。一層高い血液分析物水準で、膜を横切るサンプルの移送は、過多の分析物を生じそしてしたがって、測定の使用出来る範囲の短縮を生じるだろう。
【0080】
Liottaの米国特許第4,446,232号(この特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)において記載されたタイプの変位免疫学的検定(displacement immunoassay)への膜の適合化がまた本発明により意図される。形状において、膜の受容表面は酵素標識化抗原または抗体を用いてコーティングされる(以下、“酵素標識化共役”)。受容表面のコーティングの適用のその方法は膜のマトリックス中へのコーティング材料の浸透に対して保証する。免疫化学薬剤システムの残り、特に酵素のための色素形成性または蛍光形成性基質は、表面コーティングからのその物理的分離を維持するように、調節された膜中に組み込まれる。膜の表面上のコーティングとのサンプルの接触は酵素標識化材料の変位を生ずる。酵素標識化共役の変位はサンプル中の分析物の存在により起こされる動的平衡および表面コーティング中の分析物擬体への結合のための共役との競合に基づいている。
【0081】
サンプルの液体分画の一部と共に、この変位酵素標識化共役は、膜のマトリックス中に吸収される。この共役の酵素部分は酵素について特異な基質と相互作用しそしてそれにより、関係する分析物の表示である色または蛍光における識別出来る変化を生ずる。この変化は(色変化の場合において)視覚的にあるいはその目的のために設計された機器により観察されることが出来る。
【0082】
本発明の実施にあたって、試験のための標的の皮膚領域はまず十分に清浄化されるべきである。これはリンスすることにより水でその領域を十分に洗浄しそして乾燥させることにより行なわれることが出来る。いったん清浄化されたならば、皮膚浸透増進剤は、もし別々に使用される場合は、十分な量で且つ十分な時間にわたって皮膚のその領域に適用されるべきである。典型的には、予かじめ規定された量はないが、しかし適用される量は本明細書において記載されたとおりに有効であるべきである。時間は、組織液のような体液の抽出を助力するために、皮膚浸透増進剤が皮膚を浸透させるのに十分であるべきである。これは一般にほんの数秒かかるだけである。勿論、皮膚浸透増進剤が選ばれる場合、それはどんな方法であっても、調べている分析物を妨げるべきでない。その後、図1A、図1B、図1Cまたは図2に描かれたパッチのような非浸襲性経皮システムは、湿潤化学成分10が、(皮膚浸透増進剤で予備処理されていてもよいまたはそれで予備処理されていなくてもよい)清浄化された皮膚領域と直接且つ連続接触しておりそして乾燥化学成分20が該湿式化学成分10と直接且つ連続接触しているように、直ちに適用されるべきである。好ましくは、そのような適用は約3〜15分、好ましくは約4〜約6分、そしてさらに好ましくは約5分の期間であるべきである。また、信頼出来る分析物検出が行なわれることが出来るように、乾燥化学成分20を連続的に且つ均一に湿潤させる目的のために、皮膚適用の直前に、湿潤化学成分10と乾燥化学成分20とはおたがいに接触して置かれるべきである。
【0083】
作用の特定の理論またはメカニズムに何ら限定することを希望しないけれども、パッチの基本的なメカニズムは以下のとおりであると信じられる。第一に、パッチ中の化学薬品は角質層の最上層の死んだ細胞をシールする皮膚の脂質衝壁を一時的に溶解する。これは角質層を半透過性膜に転換することにより角質層の浸透を生じ、該半透過性膜中を通過して、グルコース含有組織液が取り出される。本件移送媒体といっしょになって組織液からのグルコースは、グルコース特異反応体を含有する膜上の化学反応の部位まで、皮膚を通過して拡散する。約3〜4分後に、高感度の反射率計により光学的に測定される終点着色反応を生ずる生化学的平衡に到達する。
【0084】
(発明を実施するための最良の形態)
さて、本発明の種々の態様の例は、以下の例に関してさらに例示されるだろう。
特定の例において他のように述べられない限り、以下の例において、標的皮膚領域は以下のとおりにして処置されそして乾式化学膜は以下のとおりにして造られる。
【0085】
乾式グルコース化学膜を造るために、100mlの基礎製剤が最初に造られる。この基礎製剤は下記の材料を含有する:
約60グラムのポリビニルピロリドンK−30(分子量40,000);
約1.2グラムのくえん酸三ナトリウム塩;
約0.1グラムのくえん酸−水和物;
約0.28グラムのNaBH4(ホウ水素化ナトリウム);
約0.1グラムのウシ血清アルブミン(BSA)。
【0086】
基礎溶液のための成分を溶解しそして完全に混合する。いったん基礎溶液が造られるならば、以下の量の調節用流動剤および安定剤および指示薬が加えられる:
約0.546グラムのO−トリジン(O−Tolidine)(約5.9〜約6.0にpHを調節);
約2.0mlの10%ガントトレツS−95(Ganttrez S−95)(10.0グラム/100ml)が加えられそしてpHがNaOHで約5.9〜約6.0に調節される;
約4.0グラム/lの75%DOSS(0.533グラム)。
【0087】
調節用流動剤、安定剤(BSA)および指示薬(O−トリジン)を溶解しそして基礎製剤中に十分に混合する。いったんそれらの化学剤および指示薬が基礎製剤中に均一にブレンドされるならば、グルコースとの反応のための特定の酵素が加えられる:
約121.0mgのグルコースオキシダーゼ(60D)150u/ml[150u*100ml/124u/mg];
約38.53mgの西洋わさびペルオキシダーゼ(POD)100u/ml[100u*100ml/259.55u/mg]。
【0088】
酵素を加えそして十分にかき混ぜる。
膜を造るために、Biodyne A膜(約0.45ミクロンの細孔径)を、均一に湿潤されるまで調製酵素カクテル中に約30秒間しばらく浸漬させる。次にそれを約15分間約37℃で空気乾燥させる。水分および光から保護された乾燥器を用いて、乾燥膜を貯蔵した。乾燥グルコース化学膜は、約3/16インチの露出された試験用面積を有する約0.75インチの寸法の細片にカットされることが出来そしてカットされた細片は、図3において例示されるような、パッチ形状内で、Dermaflex PM500のような接着剤被覆マイラー(mylar)の折りたたみ内にカプセル化されるかまたは接着されることが出来る。約5リットルの酵素カクテルは200平方フィートの Biodyne A膜を有効に処理すると信じられる。
【0089】
実験を行なうまえに、標的皮膚領域および使用者の手は、他のように特定しない限り、以下の通りにして処置される。
【0090】
まず、使用者は脱イオン水(18メガオーム)を用いて彼/彼女の手および標的皮膚領域を十分に清浄する。標的皮膚領域および手は脱イオン水でリンスされてよくあるいは脱イオン水で湿らした非漂白紙タオルでぬぐってもよい。清浄化皮膚領域および手は次に非漂白紙タオルで乾燥する。使用者は漂白紙タオルおよび塩素含有水の使用を避けるべきである。
【0091】
もし標的皮膚領域が皮膚浸透増進剤で予かじめ処理されるべきであるならば、次に清浄化且つ乾燥標的皮膚領域は、選ばれた浸透増進剤の約0.5mlで湿潤されている Kim WipeRで1回またはそれ以上の回数でぬぐわれる。0.5mlの皮膚浸透増進剤の適用のための適当な寸法の Kim WipeRは5×5cmの寸法にされる。Kim WipeRが使用されるけれども、他の任意の極めて清浄なけばだちのない非漂白紙タオルが使用されることが出来る。Kim WipeR類は Kimberly Clarke により供給される。
【0092】
いったん予かじめ清浄化された標的皮膚領域が皮膚浸透増進剤で処理されたならば、皮膚上に過剰の皮膚浸透増進剤が存在しないことを確実にするために精査される。あまりにも多く適用されたならば、パッチ接着剤が付着しない可能性がある。したがって、すべての過剰の皮膚浸透増進剤は、パッチを適用するまえに、例えば Kim WipeRを用いて最初に除去されるべきである。
【0093】
もしイソプロピルアルコールまたは酢酸エチルのような有機溶媒タイプの皮膚浸透増進剤が選ばれるならば、有機溶媒タイプの皮膚浸透増進剤と膜上の化学試薬との間の潜在的なマイナスの相互作用を避けるために、処理皮膚領域にパッチを適用するまえに、その有機溶媒をまず乾燥させるかまたは蒸発させることが好ましい。もし選ばれた皮膚浸透増進剤が有機溶媒でないならば、そのような皮膚浸透増進剤を用いての皮膚領域の処理のすぐ後に、パッチが適用されてよい。
【0094】
パッチが適用されるまえに、それは1グラムの乾燥剤を有するそのホイル包封から取り出される。取り出し後、選ばれた移送媒体、即ちゲルは膜を均一に且つ連続的に湿潤するためにパッチの底の孔中に装入される。いったん膜がゲルで湿潤されたならばその後の5〜10分以内に試験が行なわれるべきである。また湿潤された膜は明るい光に露出されるべきでない。
【0095】
いったんパッチが標的皮膚領域に配置されたならば、グルコースの存在を検出するために反射率計により色変化が読み取られる時間のための約5分間放置される。
【0096】
また、他のように特定されない限り、使用される湿式化学ゲルは脱イオン水(18メガオーム)中の約1%カルボキシメチルセルロースである。
【0097】
例 1:
以下の2種の数値は本発明に従ってグルコースパッチを用いて得られたデータを表わす。グルコース膜はすぐ上に記載された膜と同様にして造られる。
【0098】
図11は3時間にわたって糖尿病でない被験者について行なわれた耐糖能試験の結果を示す。図11におけるこれらの結果はグルコースパッチと現在ポピュラーなフィンガースティック(finger stick)法との間の高い相関関係を示す。この例において、ワイプ(wipe)はプロピレングリコールである。
【0099】
例 2:
図12は21日間にわたってタイプエインシュリン依存性糖尿病患者について行なわれる一連の試験の結果である。無作為の方法で−1日のサンプル採取時間についてまたは患者のインシュリンに関連してコントロールなしで、1日あたり1つのサンプルが採取される。
【0100】
例 3:
図13はグルコースの増大させていく濃度に対してのグルコースパッチ反応化学の直線性を試験する一連の実験からのデータを描いている。4回のグルコース測定が一連の標準について毎日行なわれそして4日間の試験後にそれらの結果は相関連していた。これらの結果は、本検出膜が微少量のグルコースを測定することが出来ることを示している。
【0101】
図14はグルコースパッチについての実際の校正曲線を描いている。そのデータは図15Aにおいて描かれている。各々の標準について9つのパッチを用いる、校正標準を用いて一組のこれらのグルコースパッチが評価される。5分の反応時間後に標準曲線について0.99のγ−値を有する変動係数は4%未満に平均化された。
【0102】
例 4:
以下はボランティアーの経口耐糖能試験から生ずるデータである。それらの試験は他の会社からの“当業界の状態”の毛細管血糖法に対して、本グルコースパッチを用いて得られた結果を比較するようにデザインされる。本明細書において記載されたとおりにして反射率計を用いてパッチ反射率データが得られる。これらの人々は試験前の12時間食事をしていなかった。はじめのグルコース測定の後に、5分以内に100グラムのグルコースの溶液を被験者は飲んだ。比較試験を1.5〜3時間のコースにわたって続ける。毛細管血糖値は30〜50分でピーク水準に上昇しそして次に糖尿病でないと予想されるときは“正常”に戻る。そのパッチ反射率値は毛細管血糖値と平行でありそして一層容易に得られる。
【0103】
すべての血液の結果は、推奨される方法により各々の試験および細片について示された製造者の電子計を用いるFDA(米国食品医薬品局)“承認”の標準フィンガースティック(finger stick)毛細管血糖法を用いて得られる。
【0104】
被験者1は100グラムのグルコース摂取後3時間空腹時水準で試験される正常人(老年の白人男性)である。
【表6】
【0105】
被験者2は100グラムのグルコース摂取後3時間空腹時水準で試験される正常人(老年の白人男性)である。
【表7】
【0106】
被験者3は朝食、昼食、軽い運動および軽食後3時間試験される正常人(若年白人女性)である。
【表8】
【0107】
被験者4は2時間絶食して試験される正常人(若年アフリカアメリカ人男性)である。
【表9】
【0108】
被験者5は数種の異なる抽出配合物により22回試験されるタイプI糖尿病患者(老年白人男性)である。
【表10】
【0109】
被験者6は2時間の過程にわたって試験される正常人(若年アフリカアメリカ人男性)である。
【表11】
【0110】
被験者7は、朝食、昼食、軽い運動および軽食の後に2時間半にわたって試験される正常人(若年白人女性)である。
【表12】
【0111】
被験者8は100グラムのグルコース摂取後空腹水準の後2時間試験される正常人(老年白人男性)である。
【表13】
【0112】
被験者9は朝食、昼食および軽食後に2時間試験される正常人(若年アジア系人の女性)である。
【表14】
【0113】
被験者10は朝食、次にグルコース供給後、2時間試験される正常人(若年白人男性)である。
【表15】
【0114】
要点:
N=正常; D=糖尿病タイプI; O=老年; M=中年齢(試験せず); Y=若年; C=白人; A=アフリカアメリカ人; A=アジア系人; M=男性; F=女性。
【0115】
耐糖能試験を受けるグルコースパッチ被験者との標準のフィンガースティック法の比較の結果が図16、図17および図18に描かれる。1人のタイプI糖尿病患者の被験者(#5)が含まれる。比較のために2つの異なる“非ワイプ”フィンガースティック法がまた使用される。被験者#9(図11参照)は試験の間に幾つかの広範な手仕事に従事しており、そして描かれているように、彼女はグルコース供給を受けているにもかかわらず、彼女のグルコース水準は減少している。彼女はまたあとで耐糖能試験を始めそして試験期間の終わるまえに昼食を食べている。
【0116】
被験者5(図18の上方のグラフ参照)は、あとで種々の皮膚部位で22回の試験を行なう糖尿病患者の被験者である。他の9人の被験者に関してのようなグルコース供給を受ける代りにこの糖尿病患者はインシュリン投与を遅らせ、次に、インシュリンを受けるまえ、およびインシュリンを受けた後の両方の2つの別別の、4つの試験期間にわたって試験する。図18の上方のグラフ中の比較#8〜22は、インシュリン投与前に行なわれる、異なる皮膚の部位を用いる6つの同時パッチそして食事の後だが糖尿病の注射のまえにその日の遅くに行なわれる、あとでの同じ部位上の5つの同時パッチそして最後に、インシュリンが糖尿病患者のグルコース水準を低下させるのに十分な時間与えた後の異なる部位の4つの同時パッチからなる1日の一連の試験を反映する。
【0117】
図19は、フィンガースティックに対するパッチを用いての、8人の糖尿病でない被験者の血液グルコース(血糖)水準の比較の結果を例示する。それは商標銘柄細片および一般的な細片の両方を用いる異なるフィンガースティック試験を比較するγ2=0.53〜0.93の範囲でフィンガースティック試験および血漿グルコースの間の相関関係を確認する。
【0118】
例 6:
糖尿病患者の被験者に関して同様な一連の実験が行なわれる。図20参照。図20は、パッチ血液グルコース水準とフィンガースティック血液グルコース水準とが測定係数γ2=0.791およびp=0.001の有意水準を有する高度に有意義な様式で相関することを示している。これらの結果は数か月にわたって1人の被験者について得られる。このデータは100〜300mg/dlのグルコース範囲にわたって良好な相関関係を示す。試験期間を通じて糖尿病治療またはインシュリン投与において変化がない。糖尿病患者のデータの一部分は各々の腕上に3つのパッチを有する一人の被験者として分散性を規定する。
【0119】
例 7:
2人の個人、MMおよびJMは、本発明に従う優れた感度、即ち調節されたグルコース膜と組み合わせて、5種の異なるゲルおよび6種の異なるワイプを試験するために志願した。
【0120】
基本型グルコース膜は、別のグルコース反応性膜に関して、本明細書のはじめの方に記載されたとおりにして造られる。
グルコース膜が中に入れられるグルコースパッチは図3において描かれたパッチに類似している。
【0121】
ゲル:
5種のゲルは以下の通りである:
1.脱イオン水中の約1%のカルボポール;
2.脱イオン水中の約10%のグリセリンおよび約1%のカルボポール;
3.脱イオン水中の約10%ポリエチレングリコールおよび約1%のカルボポール;
4.脱イオン水中の約10%のプロピレングリコールおよび約1%のカルボポール;
5.約10%のラウリル硫酸ナトリウムおよび約1%のカルボポール。
ゲルは本明細書において記載されたとおりにして、成分を一緒に単に、十分に混合することにより造られる。
【0122】
ワイプ:
6種のワイプは次のとおりである:
1.脱イオン水中の約10%グリセリン;
2.脱イオン水(18メガオーム)中の約10%のポリエチレングリコール;
3.脱イオン水(18メガオーム)中の約10%のプロピレングリコール;
4.脱イオン水(18メガオーム)中の約10%のラウリル硫酸ナトリウム;
5.1:1:1のエチルアルコール:イソプロピルアルコール:脱イオン水;
6.1:1:1の酢酸エチル:イソプロピルアルコール:脱イオン水(18メガオーム)。
【0123】
ワイプは次のとおりにして造られる:混合しそして十分にかき混ぜそして汚染および蒸発を最少にするためにテフロンを裏張りしたキャップを有するこはく製のボトル中に貯蔵する。
【0124】
各々の個人の血液グルコース(血糖)は試験の時間でLSII法により測定される。MMの血液グルコースは96mg/dlとして測定されそしてJMの血液グルコースは100mg/dlである。グルコースパッチからの反射率を詳述するにあたって、本明細書において記載された明細を有する反射率計が使用される。
【0125】
その方法を実施するにあたって、パッチが適用される各個人の標的皮膚領域は脱イオン水を用いてぬぐうことにより、まず十分に清浄化される。清浄化後に、1つの試験において、ワイプでまずぬぐうことなしに、5種の異なるゲルのグルコースパッチを清浄化皮膚領域に直接適用する。他のすべての試験において、清浄化皮膚領域は6種のワイプの1種でまず予かじめ処理される。皮膚領域を予かじめ処理するにあたって、自由な量のワイプが Chem WipeTMにより適用される。もしあまりにも多く適用されたならば、その過剰量のワイプは乾燥 Chem WipeTMを用いて除去される。
【0126】
次に、ワイプ後10秒以内に、5種の異なるゲルのグルコースパッチがワイプ皮膚領域に適用される。清浄化皮膚領域にゲルを適用する前に、乾式化学グルコース膜をゲルと連続接触させてその乾式化学グルコース膜を均一に湿潤させる。パッチを約5分間清浄化皮膚領域と接触させ、その時間に膜の色変化をメーターによる反射率により読み取ってMMおよびJMの組織液中のグルコースを検出する。各々のゲルおよびワイプに関するMMおよびJMについての反射率値はそれぞれ以下の表上、図21、図22、図23、図24および図25に描かれた棒グラフに挙げられる。本明細書に示されるゲルおよびワイプについての番号は図21、図22、図23、図24および図25における番号に相当する。
【表16】
【表17】
【0127】
例 8:
以下の皮膚浸透増進剤が浸透増進能力について試験される。皮膚は以下の浸透増進剤配合物の1種で湿潤されたパッドでまずぬぐわれる。次にガラスシリンダーがO−リングシールにより、皮膚のぬぐわれた領域に対して固定されそして規定量の蒸留水がガラスシリンダーの内側に加えられる(図26参照)。水を皮膚と5分接触させた後に、水を取り出しそしてそのグルコース濃度を、Bioanalytical Systems,Inc.の酵素検出システムを有する高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析する。蒸留水ぬぐい(対照)を用いて検出された量に対しての、検出されたグルコースの比は各配合物の浸透増進能力を評価するために用いられる。HPLC結果は以下のとおりである:
【表18】
【0128】
例7のクロマトグラフィ研究と平行して、或る種の浸透増進剤配合物は、実際のグルコース監視用パッチと組み合わせてのプレワイプ(prewipe)としてそれをオーディションすることにより評価される。或る種の浸透増進剤配合物の性能は蒸留水プレワイプを用いて得られた結果と比較することにより評価される。その配合物は図27において示されるように、反復測定において再現可能な結果を提供した。
【0129】
例 9:
次に、種々の経皮パッチを用いて得られた被験者の結果が市販のフィンガースティック血液グルコースモニターを用いて得られた結果と比較される。経口耐糖能試験が行なわれる(即ち、基線読み取りが、グルコースの50〜75gを飲んだ絶食しているボランティアーについて行なわれそして次に3時間の過程にわたってそれらのボランティアーが周期的に試験される。その基線測定およびその後の測定の両方は、グルコースパッチに関してそして市販のフィンガースティック血液グルコースシステムに関して行なわれる。図28参照。この実験においてグルコースパッチのゲルは脱イオン水(18メガオーム)中の1%のカルボポールR(CarbopolR)および10%のプロピレングリコールである。
【0130】
例10:
いったん組織液からのグルコースがパッチマトリックス材料中に拡散したならば、それは、好ましくはポリエーテルスルホン膜上のグルコースオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを用いて、酵素的に定量化される。ペルオキシダーゼ反応の着色生成物、O−トリジンは次に、光学反射率計により測定される。この測定は時間間隔での光学濃度における変化を測定することにより速度論的に行われることが出来るかあるいはさもなければ5分の1つの固定時間終点において測定されることが出来る。後者の方法が本明細書において使用される方法である。酵素カスケードおよび色発現システムは本明細書において十分に特徴づけられている。この化学システムは肉眼によりまたは反射率計により評価される場合に正確な且つ再現可能な結果を提供するそしてその安定性は一年を超えることが示されている。光度計ミリボルト読み取りをmg/dlとして表わされるグルコース濃度に変換するために記憶校正が用いられることが出来ることを示す、再現可能なスロープが標準曲線のために得られる。その仕組の感度は、図29に示されるように約0.5mg/dlであるように思われる。
【0131】
試験されそして図29において示されるグルコース濃度は次のとおりにして造られる。まず1000mg/dlの原料グルコース溶液が造られる。次にこの原料溶液のサンプルがdH2O(18メガオーム)中に希釈されて所望のグルコース濃度を達成される。造られた各グルコース濃度が試験されそして図29に例示される。次に各グルコース濃度が試験のための本発明の1%カルボキシポリメチレンおよび10%プロピレンのゲル中に1:50で希釈される。図29によれば、本発明のグルコースシステムの感度は上に示され且つ図29に示されるように約0.5mg/dl、即ち5meg/mlであるように思われる。
【0132】
例11:
標準のフィンガープリック(finger prick)をグルコースパッチ被験者と比較する結果が図30〜図33において描かれる。ゲルは1%カルボポールR(CarbopolR)である。グルコースパッチの適用前に、標的皮膚領域はプロピレングリコールでぬぐわれる。
【0133】
図30における被験者は最初のグルコース水準試験が行なわれた約10分後に、グルコース供給を受ける。予期したように、グルコース供給後、この被験者のグルコース水準は、標準のフィンガープリック法およびグルコースパッチの両方により、図30に示されるように上昇する。
【0134】
図31における被験者は最初のグルコース水準試験が行なわれた約20分後に高い糖分の食事を取る。図31に示されるように、高い糖分の食事の消費後に、この被験者のグルコース水準に上昇がある。
【0135】
図32におけて、被験者は最初のグルコース試験の約50分後に食事をとる。図32においてグルコース水準におけるわずかな上昇が観察される。
【0136】
図33において、被験者は最初のグルコース試験の約20分後にグルコース供給を受ける。恐らくは試験中に被験者が従事していたはげしい仕事に起因して、図33においるグルコースパッチおよび標準のフィンガープリック法の両方に示されるようにグルコース水準における上昇がほとんど観察されない。
【0137】
これらの結果は、50〜200mg/dlのグルコース範囲にわたって、グルコースパッチと標準のフィンガープリック法との間の良好な相関関係を示す。
【0138】
例12:
2種の標準のフィンガースティック法、即ち Blood LSPおよび Blood LSIIをグルコースパッチの被験者と比較する結果が図34〜図45に描かれる。図37および図44〜図45に描かれた被験者以外のすべての被験者においてワイプは使用されない。図37および図44〜図45における被験者はプロピレンワイプで予かじめぬぐわれた。この例12のグルコースパッチ中へ装入されたゲルは脱イオン水(18メガオーム)中の1%のカルボポールR(CarbopolR)および10%のプロピレングリコールである。それらの結果は、約75mg/dl〜約350mg/dlのグルコース範囲にわたって、2種の標準のフィンガースティック法、即ち Blood LSPおよび Blood LSIIと、グルコースパッチとの間での良好な相関関係を示している。
【0139】
例13:
3種の異なるゲルが、浸透および拡散増進について6人の被験者において試験される。3種のゲルは1%カルボポールR(CAR);脱イオン水(18メガオーム)中1%カルボポールRおよび10%プロピレングリコール(CARPG);および脱イオン水(18メガオーム)中1%カルボポールRおよび10%ラウリル硫酸ナトリウムである。ゲルを試験するにあたって、それらはグルコースパッチに装入されそして化学反応および検出のための膜へのグルコース拡散のために約5分間皮膚と接触させて置かれる。それらの結果は図46に示され、すべての3種のゲルが有効であるけれども、図46はほとんどの患者において、1%カルボポールRおよび10%プロピレングリコールのゲルが一層有効であることを示している。
【0140】
本明細書に記載された本発明は、本明細書を読んだ当業者に明らかであるようなすべての修正および変更にまで及び、そしてこの記載および添付図面の特徴の組み合せおよび準組み合せにまでまた及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1Aは本発明の一態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。図1Bは図1Aの非侵襲性経皮パッチにおける1A−1Aの断面図である。図1Cは、図1Aに示す非侵襲性経皮パッチの斜視図であるが、閉じている状態を示す。
【図2】図2は、本発明による図1Aの他の非侵襲性経皮パッチの分解正面図である。
【図3】図3は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図4】図4は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図5】図5は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの分解正面図である。
【図6】図6は、本発明の他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図7】図7は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの分解正面図である。
【図8】図8は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの分解正面図である。
【図9】図9は、本発明による反射計の斜視図である。
【図10】図10は、図9の反射計の読み取りヘッドの断面図である。
【図11】図11は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、APG法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較した経口糖耐性テストのデータをプロットしたものである。
【図12】図12は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、APG法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較した経口糖耐性テストのデータをプロットしたものである。
【図13】図13は、糖濃度を増加した場合に本発明の糖パッチにおける糖パッチ反応化学の直線性試験結果のデータをプロットしたものである。
【図14】図14は、本発明の非侵襲性経皮糖パッチに対する実際のキャリブレーション曲線を示すデータグラフである。
【図15】図15Aは、図14のキャリブレーション曲線データを示す表である。図15Bは、図11に対応するデータ表である。
【図16】図16は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットを示す。
【図17】図17は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットを示す。本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図18】図18は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットを示す。本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図19】図19は、本発明の非侵襲性経皮パッチ間の結果と、標準的な方法を用いて毛細血管の糖から得られた結果との間の相関を示すデータのプロットである。
【図20】図20は、本発明の非侵襲性経皮パッチ間の結果と、標準的な方法を用いて毛細血管の糖から得られた結果との間の相関を示すデータのプロットである。
【図21】図21は、異なるワイプ(wipes)で試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図22】図22は、異なるワイプで試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図23】図23は、異なるワイプで試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図24】図24は、異なるワイプで試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図25】図25は、異なるワイプで試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図26】図26は、本発明による皮膚浸透増進剤の浸透増強力を試験する一般的な方法を示す。
【図27】図27は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図28】図28は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図29】図29は、本発明の非侵襲性経皮糖パッチの感度を示すデータのプロットである。
【図30】図30は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって血糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図31】図31は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって血糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図32】図32は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって血糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図33】図33は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって血糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図34】図34は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図35】図35は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図36】図36は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図37】図37は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図38】図38は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図39】図39は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図40】図40は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図41】図41は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図42】図42は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図43】図43は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図44】図44は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図45】図45は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図46】図46は、本発明の非侵襲性経皮パッチにおいて、ワイプを使用しない場合の異なるゲルの有効性を示すデータの棒グラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織液(interstitial fluid)のような皮膚内部または皮膚下部の生物学的体液から、分析対象物(analyte)を採取する非侵襲性経皮システム(noninvasive transdermal systems)およびその方法、並びに当該分析対象物を検出する前記システムおよびその方法に関する。本発明は特に、皮膚内部または皮膚下部にある生物学的体液から、分析対象とする分析対象物を採取し、分析対象物と相互作用して分析対象物の検出を確認する指示薬分子生成用の乾燥化学成分(a dry chemistry component)に提示するための、湿潤化学成分(a wet chemistry component)を含む非侵襲性経皮パッチ、およびその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
各個人の生理的な状態の判断は、体液中にある分析対象物の存在および/または濃度レベルを化学的に分析することによって助けられることが多いものである。こうしたことは糖尿病の診断やこの病気の管理に日常茶飯事である。血糖値は、一日のうちでも時間がたつにつれ、また、個々人最後の食事消費から時間の経過に従って、一般に大きく変動する可能性がある。従って、糖尿病の管理にはその相対的糖値を測定するため糖尿病患者血の頻繁なサンプリング(試料抽出)と分析とを要することが多い。糖尿病患者によるこの病気の管理は、彼/彼女自身の血液をサンプリングして得られた試料をその相対糖値について自己分析するのが典型的であり、指示された糖値に応じてインスリンを投与したり糖を摂取したりしている。
【0003】
血糖値を測定するため、現在は糖尿病患者が一日に何回か血液を採取している。現在の血糖値モニター方法にはあいにく多くの欠点がある。現在の方法は、一般に指をランセットで突いて血糖値をモニターすることに頼るものであるが、この方法は誰にも簡単とは言い難く、特に若年の子供たちや老人にとっては簡単ではない。さらに、血液が絡んでいるため、常にエイズのような血液由来の病気に感染したり、これを伝播するおそれにさらされている。さらにまた、その血液を取り扱ったり廃棄したりするための特別な手続やシステムが必要となる。そうした人たちの血糖値が適正に維持されない場合、彼らは失明や循環障害、冠状動脈病、腎不全のような多くの生理学的困難を受けやすくなる。これらの理由により、血糖値をモニターする非侵襲性方法には多くの満たされていないニーズがある。体液中のスピーシーズの濃度が非侵入的に測定されるならば、糖尿病のような慢性疾患に罹患している人たちのクオリティ・オブ・ライフを実質的に改善することができるであろう。
【0004】
血糖値を自分でテストする際に糖尿病患者を補助してくれる多くの装置が市場に出回っている。オーディオバイオニクス社(現社名Garid,Inc.)が開発し、1986年12月9日に認可された米国特許第4,627,445号(特許文献1)に記載のそうした一装置は、全血試料を採取する多層エレメントであって、試料を該エレメントに塗布したポイントから多孔性膜に移送し、血液試料の糖値を多孔性膜内のドライ化学反応試薬系によって分析するための多層エレメントを含む装置を使用するものである。
【0005】
ダンジェロ(J.P.D'angelo)らの米国特許第5,462,064号(特許文献2)および第5,443,080号(特許文献3)に記載されたさらに他の装置は、体液成分を採取・分析する多くの部分に分かれたシステムを使用することからなる。ダンジェロらのシステムは、特に別の活性ゲル層とこの活性ゲル層の下に配置された別の採取ゲル層、分析対象物液の採取を行うエチルエーテルのような浸透圧流エンハンサー、および、測定しようとする分析対象物の肉眼によるまたは電子的測定を補助する化学検出方法論を含む、多層ゲルマトリックスに頼っている。しかしながら、エチルエーテルは、可燃性・爆発性の皮膚刺激物であることが知られている。
【0006】
シェーンドルファー(D.W.Schoendorfer)らの米国特許第5,203,327号(特許文献4)に記載されたさらに他の装置は、汗の中に存在する予め選択された一以上の分析対象物を非侵入的に測定する方法および装置からなる。シェーンドルファーらにおいては、体液を皮膚濃縮パッチに採取し、体熱により実質的な水分フラクション部分を除くことによって体液を濃縮し、最も望ましくは分析対象物と固定化特異的結合パートナーとの複合体を生成して分析対象物存在の証拠を肉眼により検知するものである。
【0007】
同様なその他の装置は、ペック(Peck)の米国特許第4,960,467号(特許文献5)、第4,909,256号(特許文献6)、第4,821,733号(特許文献7)、第4,819,645号(特許文献8)および第4,706,676号(特許文献9)に記載されている。これらの特許によれば、ペックの装置は、皮膚物質採取装置(dermal substance collection device: DSCD)からなり、皮膚の上部または内部にある組織液や汗のいずれかまたは両方に検出可能な量存在する化学物質を、非侵入的かつ即座に継続してモニターすることができる。特にペックの経皮物質採取装置は、以下に挙げる三つの必須要素からなる。すなわち、(1)物質結合貯蔵部、(2)液体によって湿潤性となることで溶解性物質を皮膚表面から結合用貯蔵部へ移送する液体ブリッジ移送を可能にする液体移送媒体、および(3)吸蔵カバーであり、上記貯蔵部は(2)の液体移送媒体によって湿潤化することができる。
【0008】
典型的なその他の系は、以前は、例えば糖尿病患者を管理するのに必要であるように、血中の糖をモニターするものとして提案されていた。これは例えば、カイザー(Kaiser)の米国特許第4,169,676号(特許文献10)、ミューラー(Muller)の米国特許第4,427,889号(特許文献11)、ダーネ(Dahne)らの欧州特許公告第0 160 768号(特許文献12)、バウアー(Bauer)ら,Analytica Chimica Acta,197(1987),pp.295−301(非特許文献1)に記載されている。
【0009】
カイザーでは、中赤外領域の単一周波数において、干渉性ビームを発生する二酸化炭素レーザー源で血液試料を照射することにより血中の糖を測定している。このレーザー源由来の赤外ビームは、血液試料に接触させるための減衰全反射水晶体により、該試料とカップルになっている。この装置では、二重ビーム手段を使用して試料の存在下および不存在下における単一周波数の吸収差を調べている。
【0010】
ミューラーは、中赤外領域における二種類の周波数で作動するレーザーからの単一ビームエネルギーで血液試料を照射することにより、血中の糖を定量するシステムを開示している。赤外照射は、試料に対して直接行うかまたはインビトロサンプリング用の減衰された全反射水晶体により行っている。試料を照射する一方の周波数は10.53〜10.6マイクロメーターの範囲内にあり、もう一方の周波数は9.13〜9.17マイクロメーターの範囲内である。最初の周波数における照射は、試料によるベースラインの吸収を定めるのに対し、試料による糖吸収は第二の波長において試料により生じる強度減少に基づいて測定される。第一および第二の周波数での試料による吸収比によって試料の糖が定量されるものである。
【0011】
ダーネらは、被験者の指または耳朶により近赤外スペクトルの光学エネルギーを非侵襲的に伝達する近赤外分光分析法を使用している。また組織内深部から拡散反射される近赤外エネルギーを使用することも論じている。二つの異なる波長で被験者の糖を定量するための応答が得られる。この波長のうち一つは、バックグラウンドの吸収を測定するのに使用され、もう一方の波長は糖吸収を測定するのに使用される。二つの相異なる波長で得られる強度の比が、分析対象物体液試料中にある糖の量を決定する。
【0012】
バウアーらは、フーリエ変換赤外分光分析を使用することによって糖をモニターすることを開示しており、そこにはいくつかの吸光度対波長曲線が示されている。糖濃度対吸光度のキャリブレーション曲線は、一つの波長、好ましくは1035cm−1と記載されている波長で、試料によって吸収された赤外エネルギーの強度に応答して、既知濃度をもついくつかの試料から作られる。
【0013】
上記にも拘わらず、体液中の分子物質濃度測定に最もよく使用されるシステムでは酵素的、化学的および/または免疫学的方法が用いられてきた。しかしながら、一般に、これらの技術は被験者から血液試料を採取する侵襲性方法を必要とする。典型的には、現在糖尿病患者が使っているような指刺しで日に数回血液を採取し、普通は化学反応に続いて呈色比較試験を行うことにより、外部的に糖値を測定しなければならない。例えば、糖尿病患者による糖の測定では、そのような侵襲性手法は現在の技術を用いて行わなければならないのである。
【0014】
先行技術の侵襲性手法は痛みを伴うので、患者たちは血糖を測定しないことが多い。糖尿病患者にとって、指示に基づく血糖測定を行わないということは非常に危険である。さらにまた、血管を突き刺すことに頼る侵襲性手法では、病気の伝播や感染に高いリスクが産まれてしまう。
【0015】
従って、組織液のような体液中の予め選択された分析対象物を非侵襲的に痛みを伴うことなく測定するシステムであって、予め選択された分析対象物の存在を検出するのに利用できるシステムの多様な実用化に対する必要性は依然として求められている。糖尿病患者の場合、糖尿病の管理に、より侵襲性の低い糖値分析用システムを提供することが非常に望ましいのは明らかである。システムは低コストでなければならず、また、医療関係者ではない人の簡便な使用に適するものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第4,627,445号
【特許文献2】米国特許第5,462,064号
【特許文献3】米国特許第5,443,080号
【特許文献4】米国特許第5,203,327号
【特許文献5】米国特許第4,960,467号
【特許文献6】米国特許第4,909,256号
【特許文献7】米国特許第4,821,733号
【特許文献8】米国特許第4,819,645号
【特許文献9】米国特許第4,706,676号
【特許文献10】米国特許第4,169,676号
【特許文献11】米国特許第4,427,889号
【特許文献12】欧州特許公告第0 160 768号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】バウアー(Bauer)ら,Analytica Chimica Acta,197(1987),pp.295−301
【発明の概要】
【0018】
簡潔に述べると、本発明は、従来標準的であった痛みを伴う侵襲性手法に頼ることなく、体液中の興味のある分析対象物を検出するための新規な経皮システムおよびそのシステムに関する方法を発見したことにより、上記の欠点および欠陥のうちのいくつかを克服するものである。本発明によれば、新規な非侵襲性経皮システムは、簡単で使用に容易な形で試料を採取・検出するための、低コストで非医療者の簡便な使用に適切な一体化システムを提供するものである。さらに、本発明の新規な経皮システムは、従来一般に用いられてきた、例えば、指刺しや指突き(a finger prick or finger lance)などの侵襲性手法に比べて、非侵襲性であり無痛であるため、使用者の使いやすさが改善されることになり、また病気の伝播および感染も減少することになる。
【0019】
上記に留意し他の目的を考慮すれば、本発明は、皮膚内部または皮膚下部の生物学的体液中にある分析対象物を採取し検出する非侵襲性経皮システムを提供するものである。概説すると、本発明の非侵襲性経皮システムは、必要不可欠な二要素、すなわち、(1)乾燥化学成分および(2)湿潤化学成分からなる。乾燥化学成分は、分析対象とする一またはそれ以上の分析対象物との反応に特異的な化学的試薬の全必要成分を含有する超高感度または目的適合膜(a supersensitive or conditioned membrane)からなる。一または複数の分析対象物と上記化学的試薬の相互反応は、体液中に一または複数の分析対象物が存在することの指標となる指示薬分子の放出または生成、例えば、色変化によって顕在化する。分析対象である分析対象物感受性で分析対象物に接触させる超高感度または目的適合膜は比較的稠密であり、そのため一般に分析対象物と化学的試薬との反応および/またはリポーター分子の検出と干渉するおそれのある、細胞、粒子および/またはその他分子の影響を受けることがない。一方、超高感度または目的適合膜の反対表面は、実質的に低い稠密性(より多孔性)をもっており、それによって、生成中の試薬システムの注入、分析対象物の存在および体液中の濃度値を示すリポーター分子または指示薬分子の生成、拡散および可視化に備えるものである。本発明の超高感度または目的適合膜は、少なくとも約5mg/dlまたは約5mcg/ml程度の非常に低い濃度中、例えば、約25mclといった極めて少ない試料容量の分析対象物を検出できるユニークな能力をもっている。
【0020】
本発明の湿潤化学成分は一般的には液体の移送媒体を含んでおり、この媒体は、関心のある分析対象物を皮膚内部または皮膚下部の体液から、体液中の分析対象物存在の指標となるリポーターまたは指示薬分子(the reporter or indicator molecule)を放出するかまたは生成する試薬との反応のために、超高感度または目的適合膜へ液体ブリッジ移送または抽出を行うものである。
【0021】
さらに詳細には、そして本発明によれば、膜を合目的化するのに必要な全試薬は、化学的反応剤および特に分析対象物に対して提供される発色剤を含む。また本発明によれば、液体移送媒体は、皮膚内部または皮膚下部の体液から超高感度または目的適合膜の反応サイトへ、分析対象とする可溶性分析対象物の液体移送または抽出することができるゲル層またはゲルマトリックス層の形態をとる。ゲル層は、皮膚に対して不活性、非炎症性、非刺激性の疎水性ゲルであることが好ましい。特に好ましい本発明の疎水性ゲルは、商品名カーボポールTMと(Carbopol)して市販されているカルボキシポリメチレンを配合し、さらに脱イオン水(18megohm)を約0.5%から約2.0%、好ましくは約1%の濃度で配合したゲルである。
【0022】
本発明のさらに他の態様によれば、上記ゲルは、皮膚内部または皮膚下部の体液から、反応・検出用の超高感度または目的適合膜に対する分析対象物の液体移送または抽出を高めるよう、検出すべき分析対象物について選択された浸透皮膚増進剤(a permeation skin enhancer)を含有する。本発明による好ましい皮膚浸透増進剤は、不活性、非炎症性、非刺激性であって、かつ、関心のある分析対象物と干渉することなく、また超高感度または目的適合膜への分析対象物の移送および分析対象物と化学試薬との相互反応と干渉することがない。本発明によれば、好ましい皮膚浸透増進剤は、約5%〜約20%の濃度で十分にゲルと混合した、特に約10%の濃度でゲルに混合したプロピレングリコールである。従って、特に好ましい本発明のゲルは、脱イオン水(18meg ohm)中、約1%のカルボキシポリメチレン、例えば、カーボポールTMおよび約10%のプロピレングリコールを含んでなる。
【0023】
あるいはそしてまた本発明によれば、皮膚浸透増進剤は、移送媒体またはゲルを適用する標的となる皮膚領域にまず直接適用することができる。本発明は、移送媒体ゲルとは別に、あるいはこれに付加して浸透増進剤を使用するものであるが、驚くべきことに、皮膚浸透増進剤を移送媒体またはゲルに混合しておけば、本発明の新規な非侵襲性経皮システムを適用前に皮膚浸透増進剤を直接に適用する必要がないことが分かった。
【0024】
また本発明によれば、新規な非侵襲性経皮システムは、皮膚内部または下部にある体液中の分析対象物を採取・検出する非侵襲性経皮パッチとして形成することもできる。非侵襲性経皮パッチの形態をとる場合、乾燥化学成分および湿潤化学成分は、使用前は別々に隔離しておき、使用に際して、超高感度または目的適合膜と移送媒体だけが、膜上および/または内部に拡散された化学試薬と関心のある分析対象物の唯一のアクセス手段となるように構成されている。
【0025】
本発明の好ましい実施態様によれば、分析対象物が経皮抽出できる体液は組織液である。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、体液中の分析対象物の存在および分析対象物と化学試薬との反応によって生成する、リポーターまたは指示薬分子、例えば、色変化の検出には電子的な読み取り要素を利用することもできる。電子読み取り要素は、指示薬分子を発光させる光源、指示薬分子からの反射強度を読み取る光センサー、および測定された反射率強度を読み取って読み取り結果に関する情報を提供するシステムを含んでいなければならない。
【0027】
それでもなお、例えば、約500nm〜約930nmの波長、約30°〜約90°の反射角そして約200mV〜約1mVの電圧において、約±0.1mVの感度で色変化を読み取ることが可能な市販の反射計であればいずれも、本発明の新規な非侵襲性経皮システムに従って使用することができる。そのような反射計の読み取りヘッドは、好ましくは、当該新規非侵襲性経皮システムの乾燥化学成分へ導くくぼみと、あるいは開口部を通して、正確にインタフェースするような形態としなければならない。好ましくは、反射計の読み取りヘッドは、色合わせセンサー(matching sensor)と約650nm〜約670nmの波長域において、約35°〜約45°の反射角、そのような色の反射率を読み取ることができる発光ダイオード(LED)をもっていなければならない。9図は、乾燥化学成分、すなわち、膜に導くくぼみまたは開口部をもつ正確なインタフェースに合わせた形態の読み取りヘッドをもつ本発明による反射計の一例を示すものである。図9に示す反射計はさらに、この反射計による検出結果を伝達する視覚的なディスプレイを含む。図10は、分析対象物検出用色度を読むための約40°の反射角において、本発明の経皮パッチとインタフェースする図9に記載の反射計の断面図である。
【0028】
上記目的からみて、本発明によれば、分析対象物と反応してその存在を示す必要十分な化学試薬を含む乾燥化学成分および、分析対象物を皮膚内部または下部の体液から化学試薬へ抽出・移送する湿潤化学成分の形態で、個々人または被験者の体液分析対象物を非侵襲性かつ経皮的に採取するコレクター要素が提供される。本発明はまた、特に、使用前には乾燥化学成分と湿潤化学成分とを互いに影響しないよう分離した状態を保っているが、テスト中には両者が互いに密接に係わり合って、湿潤化学成分によるテストの最中に乾燥化学成分が継続して均一に湿潤化され、化学試薬と相互反応を行うように、皮膚内部または下部の体液から超高感度、すなわち、稠密な膜へ関心のある分析対象物を抽出・移送して、分析対象物の存在を確認するリポーターまたは指示薬分子、例えば、色変化を生成することができる構成(configuration)を提供する。体液としては、分析対象物が経皮的、非侵襲的に抽出・採取される組織液が好ましい。
【0029】
換言すれば、本発明の新規な非侵襲性経皮システムは、三つの主要な作業成分を含んでなる。第一の成分は、分析対象物を、皮膚内部または下部にある体液から乾燥化学成分へ移送する液体ブリッジとして機能する湿潤化学成分であり、第二の成分は、分析対象分析対象物と特異的に相互反応してその存在を検出する化学反応系を受け入れる乾燥化学成分、そして第三の成分は、不使用時には湿潤および乾燥化学成分が分離されているが、システム使用時には直接に継続して確実に接触した状態となる形態をとり、各ユーザーがシステムを物理的に保持し、迅速かつ有意な方法で、得られたデータを検討できる支持体またはハウジングである。さらに、本発明の新規な非侵襲性経皮システムは、目的とする皮膚領域に新規な非侵襲性経皮システムを適用するに先立って、湿潤化学成分中に混合し、および/または、その皮膚領域において、皮膚浸透増進剤を使用することを含む。さらにまた、本発明の新規な非侵襲性経皮システムは、特に乾燥化学成分と正確にインタフェースするような形態をとり、その結果、読み取りヘッドが、約650nm+約10nmの好ましい波長域において、約40°の反射角、約±0.1mVの感度精度で色度変化を読み取ることができる電子読み取り要素も含むものである。換言すれば、本システムの電子読み取り要素は、視覚的な障害が生じた場合やより正確な数値が必要とされる場合にはそのフォーマットで情報を提供するべく、上記パッチ要素を読み取るように構成されている。
【0030】
皮膚から、または皮膚を通して、その化学反応テストが進行するに十分な量の関心のある分析対象物を非侵襲的・経皮的に抽出した後、極めて短時間、例えば、数分間でその結果を読み取り記録させることができるような方法で、治療技術に公知のテスト化学反応要素と組織液採取媒体とを結合する新規な方法について以下に記載する。これは本発明の主な目的の一つである。
【0031】
好ましい態様によれば、本発明は、糖などの分析対象物を検出するのに使用する、反射計つきの小型ディスポーザブル経皮パッチを提供する。本発明によれば、この小型ディスポーザブル経皮パッチは非侵襲的に血糖値を測定するものである。実際、本発明の小型ディスポーザブル経皮パッチは、血中の糖濃度と直接相関する組織液の糖値を検出するユニークな能力をもっている。簡単に説明すると、しかし以下の説明に限定されるものではないが、本発明の方法は以下のように進行すると考えられる。目的に合わせてターゲットの皮膚領域に置かれた本発明の小型ディスポーザブル経皮パッチは、皮膚を通して痛みを伴うことなく組織液から糖を採取する。糖は、角質層(上皮の上層)を通って糖を輸送することができるゲルと組み合わせた皮膚浸透増進剤により輸送される。次いで組織液中の糖は、乾燥化学成分のサイトにおいて、グルコース特異的な生化学反応を受けるのであるが、その生化学反応はパッチのドライ化学反応膜内に含まれている。生化学反応により得られた発色は反射計で測定されるが、これは血糖値と直接相関している。本発明の膜をベースとする技術は、非常に少量の体液、例えば、約25mcl中の極めて低濃度の分析対象物、例えば、約5mg/dl、すなわち、5mcg/ml程度の濃度検出について、現在指突きまたは指刺し技術と共に用いられているものの感受性よりは、400〜500倍とまではいかなくても、少なくとも100倍は高いと思われる。従ってまた本発明によれば、抽出・検出過程では小さなパッチと小型の持ち運び可能な反射計が必要なだけである。それに血液がからむことがないので、通常糖モニターに伴う痛みおよび感染や病気伝播のおそれが排除されている。その上、もはや特別な取扱い手順も特別な廃棄系も要しないのである。
【0032】
本発明の非侵襲性経皮システムは、血液よりもむしろ組織液中の分析対象物を分析するものである。組織液は、体組織内の細胞間にある栄養液である。体内にある組織液の容量は血液量の3倍以上もあり、組織液の各種成分の濃度は、血中のこれら同一成分の濃度と平衡にあるのが一般的である。本発明によれば、組織液にある少量の分析対象物は、皮膚浸透増進剤と協力するゲルの助けにより、新規な非侵襲性経皮システムに拡散していくと思われる。組織液から一旦本発明のシステム内部に入った、例えば糖などの関心のある分析対象物は酵素反応を受け、発色した指示薬物質を生成する。生成した色は、組織液中の分析対象物濃度に比例し、順に血中の分析対象物濃度に比例すると考えられる。この色を、例えば、固定波長光学計による表面反射率で測定し、次いで内蔵されたキャリブレーション値と比べる。検出された分析対象物の結果は通常mg/dl単位で表示される。
【0033】
本発明の必須な構成要素は、本システムを臨床分析対象物用非侵襲性皮膚テストとして機能させる経皮パッチである。さらに付言すれば、本明細書には種々の形態が示され記載されており、そのすべては、非侵襲的・経皮的に抽出した体液から化学的な分析対象物を測定する今までにない新規なシステムとして共働するものである。
【0034】
本発明の特徴と考えられるその他の態様は請求の範囲に記載されている。
本発明は、生体成分物質用の一体化非侵襲性経皮システムに具体化されたものとして図示し記載したものであるが、本発明の精神から逸脱することなく、また請求の範囲内およびその均等の範囲内において、種々の変更および構造上の変化を行うことができる以上、本発明は上記記載に限定されるものではない。
しかしながら、本発明の構成は、その追加目的・利点を合わせ、添付図面および実施例に照らして読むとき、特定の実施態様についての以下の記載から最もよく理解されるところである。
以上本発明の態様および利点は、以下に続く詳細な記載および実施例を参照すればよりよく理解されるところである。本発明を説明する特定の方法および処方は例示にとどまるものであり、本発明を限定するものではないことも理解されるべきである。
【0035】
(本発明の詳細)
本発明とその多数の付随する利点を例証して、より完全な理解をもたらすように、下記の詳細な説明及び実施例は新規な方法、処方物及び形状物について与えられている。
【0036】
ここに、図面、特に、まず、図1A、図1B、図1Cおよび図2を引用して、丸みのある矩形のクラムシェル(clam shell)形状を有する、包括的に1として示された、本発明に従う多層複合構造の非浸襲性経皮パッチ(noninvasive transdermal patch)の模範的例を記述する。非浸襲性経皮パッチ1は2つの個別のハウジング30、32と、デバイス1の前面側にある外部プルタブ層4を有している。従って、似た形状のパッチ、たとえば、隅が四角い矩形の形状のパッチも同様に本発明によって意図されている。外部プルタブ層4と個別ハジング30及び32は、湿潤化学成分(wet chemistry component)10と乾燥化学成分(dry chemistry component)20が使用されない間は互いに分離し、乾燥しかつ汚染されないようにさせておく作用をする。外部プルタブ4は感圧接着剤層5を添付された一番外側の保護層としても作用する。外部プルタブ層4は、3Mファーム.によって名称スコッチパック(Scotch pak)製品番号1006KG90008で供給される厚さが約0.010インチであるピンクホイル(pink foil)のような、空気、湿気及び光を遮断する材料から形成されていてもよい。接着剤層5はライナー上の両面塗布メディアム(Medium)テープ、製品番号3M1522796Aそしてサンシャインテープ(Sunshine Tape)から得られる、のような感圧接着剤であってもよく、それは厚さが約0.005インチである。外部プルタブ層4には2つの個別ハウジング30、32が貼り付けられており、各々はヒンジ35よってつながれている。図1B及び図2に描かれているように、ハウジング30は湿潤化学成分10を受け入れ維持するための貫通開口(through aperture)31を含有しており、他方、ハウジング32は乾燥化学成分20を見えるようにするための貫通開口33を含有している。上に指摘した通り、開口33は分析対象物を検出するために色強度を読み取るための反射計の能力を最大にするように使用中にそれらが正確に接続するような寸法を有しているべきであり読み取りヘッドはそのように構成されているべきである。ハウジング30の貫通開口31の中に湿潤化学成分10を受け入れることに加えて、ハウジング30は開口31の中に湿潤化学成分10を維持する作用をするので、湿潤化学成分10は使用中には乾燥化学成分20と接触したままになる。これに関しては、本発明のゲルは貯蔵及び使用中に開口31の中にゲルを保つのに且つ分析対象物が検出のために乾燥膜へと通過するのを可能にするのに十分なゲル稠度(gel consistensy)をもって処方されているべきであるということが理解されるはずである。従って、本発明のゲルが粘稠すぎると、検出を妨げるであろう。他方、ゲルが十分に粘稠でないと、試験中にパッチから簡単に漏れ出して分析対象物の検出を妨げるであろう。
【0037】
ハウジング32の中の貫通開口33の作用は与えられた分析対象物のために用いられた色差測定化学(differential colorimetric chemistry)に基づいた化学反応の可視化を可能にすることである。更に、ハウジング32の貫通開口33は上に指摘した通り色差測定化学に基づいた検査反応を電子的に可視化するために反射分光光度計のような電子インタープリテーション部品(electronic interpretation component)を収容する作用をする。貫通開口31と33の寸法はあらゆる適する大きさのものであってよいが、本発明による一つの例では、直径約3/16インチから約4/16インチの大きさである。好ましくは、ハウジング30と32は不透湿性の、架橋した独立気泡スポンジによってつくられている。より具体的には、架橋した独立気泡スポンジはポリエチレンフォーム、密度12ポンド、タイプA、製品番号GL−187アクリルpsa、3Mファームによって供給されている、である。代わりに、ハウジング30、32はその他のいずれの適する材料、例えば、ナイロン、ゴム、等、からもつくることができる。
【0038】
各ハウジング30、32には、接着剤41を介して、連続したホワイトマイラーシート40が貼り付けられている。適するホワイトマイラーシートはフレクスコン社(Flexcon Co.,Inc.)によって供給されるデルマフレックス(Dermaflex)PM500である。デルマフレックスPM500は、印刷適性をよくするためのTC200と接着剤#525を塗布されているホワイトマイラーシートである。マイラーシート40とハウジング32の間に乾燥化学膜20が挟まれている。デルマフレックスPM500マイラーシート材料の接着剤#525は、ホワイトマイラー膜40の表面に隣接し、そして乾燥化学成分膜21と接している。デルマフレックスPM500ナイロンシートもやはり両面に接着剤#525を塗布されている。ホワイトマイラーシート40は50K6ライナーも含めて約0.05インチの厚さを有する。ホワイトマイラーシート40は貫通開口55と56を備えている。貫通開口55と56はハウジング30と32がヒンジ35のところを折って合わされたときには湿潤化学成分10が乾燥化学成分20と連続的に接触するのを可能にする。ホワイトマイラーシート40の適用部側41には下部プルカバー70が貼り付けられている。下部プルカバー70は外部プルタブ層4と同様に、空気、湿気及び光のバリヤとしても作用する類似のピンクホイルから形成されている。
【0039】
図1A、図1B及び図1Cに描かれているような非浸襲性経皮パッチ1を使用するためには、好ましくは、まず、テストパッチデバイスを適用されることになる皮膚の領域を清浄にする。たとえば、脱イオン水で洗うことによって皮膚を清浄にする。皮膚を適切かつ完全に清浄にし、そして乾燥したら、その清浄になった領域に皮膚浸透増進剤を直接適用してもよい。しかしながら、上に指摘したように、皮膚浸透増進剤が湿潤化学成分10の中へ含まれていれば、皮膚に皮膚浸透増進剤を適用する必要もない。清浄皮膚領域に非浸襲性経皮パッチ1を適用する前に、外部プルタブ4と下部プルタブカバー70を両方とも取り除く。外部プルタブ4と下部プルタブカバー70を取り除いたら、乾燥化学成分又は超高感度又は目的適合膜 20の連続的かつ均一な湿潤化を確実にするため、図1Cに描かれている通り、湿潤化学成分10が今や乾燥化学成分20と接触した状態になるように、ハウジング30、32のそれぞれの表面36、37を互いに直接接触させるようにハウジング30と32をヒンジ35に沿って折り畳む。即ち、ハウジング30の貫通開口31とハウジング32の貫通開口33は今や完全に整合した状態になる。次いで、化学反応指示薬分子の生成及び分析対象物検出のために皮膚の中又は下の生物学的流体例えば組織液から分析対象物を乾燥化学成分20へ移送(transfer)させるために検査中に湿潤化学成分10が清浄皮膚領域と不断の接触状態にあるように、ハウジング30の前部表面38を清浄皮膚領域に直接適用する。図1A、図1Bまたは図1Cに描かれているが、前部表面38は検査中にパッチを皮膚に接着させるための感圧接着剤を含んでいてもよい。
【0040】
図1Cに描かれているように折り畳まれた操作可能状態にあるときの非浸襲性経皮パッチ1の寸法の例は次の通りである。幅は約0.750インチ、そして長さは約0.75インチであり、貫通開口31、32の直径は約0.1875インチ〜約0.25インチであり、高さ又は厚さは約0.125インチである。
【0041】
代わりに、丸みのある矩形のクラムシェル形状の非浸襲性経皮パッチ1は更に、図2に描かれているように、外部プルタブ層4とハウジング30の前部表面38及びハウジング32の前部表面39との間にそれぞれ挟まれた下部及び上部プルタブ80、81を含んでいてもよい。かかる上部及び下部プルタブ80、82が利用される場合には、使用中の作業の順序は次の通りである。皮膚を清浄にした後、外部プルタブ層4と下部プルタブカバー70を上記の通り取り除く。しかしながら、それから、下部プルタブ80を取り除き、そしてハウジング30の前部表面38を清浄皮膚領域に適用する。約3分〜約15分の時間の後に、上部プルタブ81を取り除き、そして正式な指示薬分子(色変化)の可視的観察を使用者によるか又は上記のように分析対象物の存在を確認するための電子的検出部材によるかどちらかによって行う。下部及び上部プルタブ80、81は上に引用した膜40と似たようなホワイトマイラーシート材料からつくられてもよい。
【0042】
図1A、図1B及び図1Cに描かれているパッチは丸みのある矩形の形状に記載されているが、これらの図1A、図1B及び図1Cのパッチは本発明によって意図されているパッチの一例である。
【0043】
本発明の非浸襲性経皮テストパッチデバイスが適用されなければならない時間の長さは決まってはいないが、信頼できる検出及び定量化のために妥当な分析対象物の移送と反応を出現させるのには、一般的には、約3〜15分、好ましくは、約4〜6分、最も好ましくは、約5分が、十分であると考えられている。さらに、本発明の非浸襲性経皮テストパッチは、皮膚の中又は下の生物学的流体からの関心分析対象物を皮膚から検出できるそのいずれの適する皮膚領域、例えば、腕、腋の下、耳の後、脚、脚の内側部分、指先、胴体など、にも適用することができるが、毛のない皮膚の領域に、例えば、前腕、特に、前腕の右又は左の手のひらと同じ側の部分に、非浸襲性経皮パッチを置くことが好ましい。
【0044】
図2〜8に描かれている形状物は本発明の非血型経皮パッチの更なる代替例の形態を構成する。たとえば、図3はハウジング320の中心に示された乾燥化学膜310から構成された外部シェル300を含む本発明の丸い形の平坦パッチを描いている。乾燥化学膜310は関心分析対象物と相互作用してそれを検出するための化学試薬システムによって飽和されている膜である。使用においては、目標皮膚領域を予め清浄にし、次いで場合によっては皮膚浸透増進剤によって処理する。次いで、乾燥剤入りのホイル包装(図示されていない)から平坦パッチ300を取り出し、そして選ばれた湿潤化学ゲル成分(図示されていない)を膜310の裏側に適用し、次いで、それを清浄皮膚領域に適用して分析対象物検出のために皮膚の中又は下の生物学的流体から乾燥化学膜310への分析対象物移送を増強させるのに十分な時間適用しておく。
【0045】
図4は本発明の非血型経皮パッチの更に別の例を描いている。図4には、上部ハウジング410と下部ハウジング420を含むクラムシェルパッチ400が開示されている。上部ハウジング410は乾燥化学成分412を収容し、そして下部ハウジング420は湿潤化学成分又はゲル422を収容している。ハウジング410と420は好ましくはヒンジ430によってつながれており、そして各々がそれぞれ凹形内面411と421を含んでおり、互いに相補関係にある。使用においては、目標皮膚領域を予め清浄にし、そして場合によっては皮膚浸透増進剤によって処理する。皮膚の予めの処理に続いて、クラムシェルパッチ400からカバー(図示されていない)を取り除き、そして閉じる、そうすると、乾燥化学膜412は今や湿潤化学成分又はゲル422と接触していて乾燥化学膜412の連続的かつ均一な湿潤化を確実にする。次いで、湿潤化学成分又はゲル422の下部423を、予め処理した皮膚領域に適用して、検査下の分析対象物と乾燥化学膜412の上に飽和された化学試薬システムとの間の相互作用を可能にするのに十分な時間適用しておく。
【0046】
次に、図5に転じると、そこには、2つの個別ハウジング510と521を含んでいる、スクイーザ(squeezer)パッチ500が開示されている。両方のハウジング510と520は円形の形状であり、そして各々がそれぞれ凹形内面511と521を有しており、互いに相補関係にある。ハウジング510は乾燥化学成分512を収容し、そしてハウジング520は湿潤化学成分522を収容している。加えて、湿潤化学成分又はゲル522は押しつけられた(squeeze)ときに化学作用を活性化する小さな孔523を含んでいる。使用においては、目標皮膚領域を予め清浄にし場合によっては皮膚浸透増進剤で処理する。乾燥剤入りホイル包装(図示されてない)からスクイーザデバイス500を取り出し、そしてハウジング510をハウジング520の中に挿入する、そうすると、乾燥化学成分512と湿潤化学成分又はゲル522は互いに接触する。2つのハウジング510と520を押しつけて化学作用を活性化しそして乾燥化学膜512を連続的かつ均一に湿潤化する。湿潤化学成分又はゲル522の下部を予め処理した皮膚領域に適用して、分析対象物検出のために皮膚の中又は下の生物学的流体から分析対象物を乾燥化学膜512へ移送させるのに十分な時間適用しておく。
【0047】
図6は別の代替物としてスライダー(slider)パッチ600を描いている。本発明によれば、スライダーパッチ600は上部ハウジング610と下部ハウジング620を含んでいる。プルダブ630が上部と下部のハウジング610と620の間に挟まれている。ハウジング610は乾燥化学成分612を含んでおり、そして下部ハウジング610は湿潤化学成分又はゲル622を含有している。プルタブ630は不使用中には乾燥化学成分612と湿潤化学成分又はゲル622の間の不透過性バリヤを維持するいずれの適する材料からもつくることができる。好ましくは、ハウジング610と620のそれぞれの内面611と621は凹形の形状であり、そしてプルタブ630が取り除かれたときに乾燥化学成分612と湿潤化学成分622が乾燥化学成分612を連続的かつ均一に湿潤化するために不変の接触状態になるように互いに整合している。使用するためには、目標皮膚領域を予め清浄にし、そして必要ならば皮膚浸透増進剤によって処理する。次いで、乾燥剤入りホイル包装(図示されてない)からスライダーパッチ600を取り出し、そしてプルタブ630を取り除いて乾燥及び湿潤成分612と622の間の化学作用を活性化する。湿潤化学成分の下部623を予め処理した皮膚領域に適用して、皮膚の中又は下にある生物学的流体の中の分析対象物の分析対象物検出に十分な時間適用しておく。
【0048】
図7には本発明によるピアサー(piecer)パッチ700が図解されている。ピアサーパッチ700はハウジング710と720、及びピアサーディスク730を含んでいる。ハウジング710は乾燥化学成分712を含み、そして720は湿潤化学成分又はゲル722を含有している。ピアサーディスク730は、湿潤化学成分722が包まれ貯蔵されているホイル(図示されていない)を傷つけて湿潤化学成分722を放出させて乾燥化学成分712を連続的かつ均一に湿潤させるための鋭い先端(sharp points)731を含んでいる。ピアサーディスク730及び鋭い先端731は金属又はプラスチックのようないずれの適する材料からでもつくることができる。使用においては、乾燥剤入りホイル包装(図示されてない)からピアサーパッチ700を取り出し、そして目標皮膚領域を予め清浄にし場合によって皮膚浸透増進剤で処理する。鋭い先端がハウジング710と720の間のホイル(図示されていない)に孔をあけて湿潤化学成分を放出させて互いに接触した状態にするようにハウジング710と720を合わせて加圧することによって、ピアサーパッチ700を活性化させる。湿潤化学成分722の下部表面を皮膚領域に分析対象物検出に十分な時間適用する。
【0049】
次に図8に転じると、そこには、2つの個別ハウジング810と820を含んでいる放射フロー(radial flow)免疫検定パッチ800が開示されている。両方のハウジング810と820は円形の形状であり、そして各々がそれぞれ凹形内面811と821を有しており、互いに相補関係にある。ハウジング810は乾燥化学膜812とドーナツ状の吸収剤材料813例えばシュライクル アンド シュール(Schleichr and Schull)によって供給される診断薬ペーパー#470、を含み、そしてハウジング820は湿潤化学成分822を含有している。湿潤化学成分822はコンジュゲート ディスク モノクロナール抗体、たとえば、アンチ−BHCG、によって予め湿潤されている。加えて、乾燥化学成分又はゲル812はその上に小さなスポット状の抗体、たとえば、AHCGを、抗原を検出するために含んでいる。使用においては、目標皮膚領域を予め清浄にし、そして場合によって皮膚浸透増進剤で処理する。乾燥剤入りホイル包装(図示されてない)からデバイス800を取り出し、そして乾燥化学成分812と湿潤化学成分又はゲル822が互いに接触するようにハウジング810をハウジング820の中に挿入する。2つのハウジング810と820を一緒に押しつけて化学成分812を活性化させる。湿潤化学成分又はゲル812の下部表面を予め処理した皮膚領域に、分析対象物を皮膚の中又は下の生物学的流体から乾燥化学膜812へ分析対象物検出のために移送させるのに十分な時間適用する。
【0050】
当業者には、図3〜8に描かれた上記代替パッチは本発明の多様なパッチ形状物の例を表すということが理解されるはずである。更に、例としてのこれらパッチ形状物は本発明によって意図されたパッチのバリエーションだけを構成しているのではなく、むしろ本発明は当該発明の目的を遂行するあらゆるパッチ形状物を意図しているということが理解されるはずある。更に、図3〜8に描かれた例としてのパッチ形状物は、例えば、ここに記述した材料及び化学試薬システム又はその他の、当業者の範囲内のいずれか適する材料からつくることができるということが理解されるはずである。
【0051】
上記の通り、本発明の非浸襲性経皮システムは、生物学的流体の中の分析対象物の存在を表示するレポーター又は指示薬分子(色変化)を放出又は生成するための化学試薬との生物学的反応のために皮膚の中又は下の生物学的流体から乾燥化学成分への関心のある分析対象物の液体ブリッジ移送(liquid bridge transfer)を可能にする移送媒体(transfer medium)から構成された湿潤化学成分を含んでいる。本発明によれば、湿潤化学成分はゲル層の形態であって、そしてパッチの中に約20mcls〜約35mclsの量で存在し、そして約25mclsの量が好ましい。好ましい態様においては、ゲル層は疎水性ゲルである。好ましい疎水性ゲルはカルボキシポリメチレン、カーボポール(Carbopol)(登録商標)によって、約0.5%〜約2%の濃度で形成されたものである。本発明による好ましい疎水性ゲルは約1%のカルボキシポリメチレン、カーボポール(登録商標)、である。カルボキシポリメチレンゲルマトリックスが好ましいが、適する粘度を有しそして分析対象物移送又は検出を妨害しない限りは、たとえば、dH2Oの中の、1%カルボキシメチレンセルロース、アガロース、10%グリセリン及び1%カルボキシメチレン、dH2Oの中の1%カルボキシポリメチレンの中の10%ポリエチレングリコール、及びdH2Oの中の1%カルボキシポリメチレンの中の10%ラウリル硫酸ナトリウム、等、のような他のいずれか適するゲルが利用されてもよい。
本発明の別の局面においては、湿潤化学成分は皮膚浸透増進剤を含んでいてもよい。湿潤化学成分中に含まれていてもよい皮膚浸透増進剤の例はポリエチレングリコール、蒸留水、脱イオン水、DMSO、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、1:1の水:アセトアニリド、1:1:1のエタノール:プロピレングリコール:dH2O、1:1のエタノール:プロピレングリコール、70:25:5のエタノール:dH2O:オレイン酸、70:25:5のエタノール:dH2O:パルミチン酸イソプロピル、1:1のエタノール:水、イソプロピルアルコール中の75%乳酸、90%乳酸と10%ツイーン80、dH2Oの中の50%イソプロピルアルコールの中の20%サリチル酸、1:1:1の酢酸エチル:イソプロピルアルコール:dH2O、等、である。
【0052】
本発明の湿潤化学成分の調製においては、一般的には、例えば、疎水性ゲルを製造するときは、カルボキシポリメチレンのような疎水物を泡立たないようにゆっくり混合しながら点散(sprinkle)させ、その後で真空によって脱気することが好ましい。適する場合には滅菌用にオートクレーブを利用してもよい。
【0053】
その中に皮膚浸透増進剤を組み込まれている特に好ましい疎水性ゲルは約1%のカルボキシポリメチレン、例えば、カーボポールと、約10%のポリプロピレングリコールを含む。かかる好ましい疎水性ゲルは約10%のプロピレングリコールを含有する全体で約100mLの脱イオン水(18MΩ)の中に約1gのカーボポール(登録商標)1342(BFグッドリッチ)をゆっくり点散させ混合することによって製造することができる。混合中、泡立ちを避けるべきである。混合後、このゲルを真空によって脱気する。
【0054】
皮膚浸透増進剤を含有する移送媒体は好ましいが、必ずしも皮膚浸透増進剤を移送媒体の中に組み入れる必要はないということは当業者に理解されるはずである。代わりに、本発明は皮膚浸透増進剤を含有しない移送媒体、例えば、疎水性ゲルの使用をもくろんでいる。かかる移送ゲルの例は上記のように1%カルボキシポリメチレンゲル又は1%カルボキシメチルセルロースゲルである。皮膚浸透増進剤が移送媒体の中に包含されているときは、非浸襲性経皮パッチの適用前の皮膚への別個の皮膚浸透増進剤の使用は任意である。しかしながら、本発明による湿潤化学成分10のように、皮膚浸透増進剤を含有しない移送媒体が選ばれた場合には、皮膚は好ましくは皮膚浸透増進剤によって予め処理される。本発明によって意図されている好ましい皮膚浸透増進剤はプロピレングリコール、または、3つの成分を単に混合することによってつくることができるイソプロピルアルコールと脱イオン水(18MΩ)と酢酸エチルの1:1:1の混合物である。本発明に従って使用されてもよいその他の皮膚浸透増進剤は、DMSO、エチルアルコール、蒸留水、脱イオン水(18MΩ)、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、乳酸、酢酸エチル、カルボニルメチルセルロース、ツイーン80、サリチル酸(脱イオン水/イソプロピルアルコール50/50の中の20%)、リモネン、イソプロピルアルコールの中の乳酸10%、90:5:5のイソプロピルアルコール:ツイーン80:リモネン、イソプロピルアルコール中の10%乳酸と90%乳酸と10%ツイーン80、等、を包含する。勿論、皮膚浸透増進剤が選ばれた場合には、その皮膚浸透増進剤が組織液のような生物学的流体の中の関心分析対象物の移送又は本発明の乾燥化学成分20による検出を支援するのに有効な仕方で作用するならば、非浸襲性経皮システムの適用に先立ってそれを十分な量及び十分な時間で検査を受けようとする皮膚領域に前もって適用すべきであるということが理解されるはずである。量及び時間は選ばれる皮膚浸透剤に依存して変動するであろうが、皮膚浸透増進剤は目標皮膚部位での過剰の蓄積を避けるために短時間で速やかに乾燥することを可能にする仕方で適用されるべきである。皮膚浸透増進剤が本発明における使用のために選ばれた場合には、ともかくも関心分析対象物に又はその検出に干渉するであろう皮膚浸透剤が選ばれないように調査下の分析対象物には考慮をはらうべきであるということも認識されるはずである。例えば、調査下の分析対象物がグルコースである場合には、セルロースタイプの皮膚浸透増進剤は多分不適合であろう。
【0055】
本発明の乾燥化学成分20は、全血中の分析対象物を検出するのに現在使用されている乾燥化学成分よりも一般的には少なくとも約100倍、そして400〜500倍にもなる、新規な超高感度または目的適合膜(乾燥化学膜)から構成されている。実際、全く驚くべきことに、この超高感度または目的適合膜は調査下の分析対象物をそれらが非常に小さな濃度例えば約5mg/dL又は5mcg/mLで少量例えば25mclのサンプルであっても検出しそして正確かつ迅速に定量化する能力を有していることが発見された。さらに、本発明のセンサーは、HPLC法による検出のために概して小さくされたサンプルサイズの中の分析対象物を検出する能力を有する。一般的に言うと、HPLC法が調査下の分析対象物を検出するためには、少なくとも約200mclのサンプルサイズが必要とされる。本発明の超高感度または目的適合膜の基材としては、いずれか適する材料、たとえば、マイラー(mylar)材料、ポールゲルマン(Paul Gelman)によって供給される類似のビオダイン(BioDyne)AまたはビオダインB、が利用されてもよいが、特に、好ましい材料はゲルマン サイエンシズ(Gelman Sciences)によって製品名スポル450(Supor450)(登録商標)で配給されるポリエーテルスルホンである。この特殊ポリエーテルスルホン材料は約0.45ミクロンの孔径を有する。この特殊ポリエーテルスルホン材料は好ましいが、それにもかかわらず、約0.8ミクロンの孔径を有するナイロンのような他のポリエーテルスルホン材料が利用されてもよいということが信じられる。
【0056】
本発明による代表的な超高感度または目的適合膜は非浸襲性経皮グルコースパッチ用にグルコース反応性処方物を含む。グルコース反応性処方物は次の通りの基本調剤と酵素成分を含んでいる:
【表1】
【0057】
グルコース反応性処方物は次のように調製できる。第一に、上記成分を互いに均質に混ぜ合わせることによって基本調剤を調製する。第二に、O−トリジンを脱イオン水の中に溶解するまで混合する。第三に、酵素溶液を次のように調製する。適する大きさの清浄な容器に、算定された酵素溶液を計り入れる。基本溶液に調製済みO−トリジンをゆっくり加えながら溶液が透明になるまで混合する。混合しながら、20%ガントレックスを加え、そして約15〜20分間混合する。その後に、DOSSを添加しながら混合し、そして更に15〜10分間混合を継続する。pHをNaOHを使用して6.8〜6.9に調節する。この時点で、溶液は透明なはずである。その後に、この透明溶液にGODを添加しながら混合し、GODを添加してしまったら、混合を止め、そしてPODを加える。PODが溶解したら、更に15〜20分間混合する。このグルコース反応性溶液はもう使用できるようになっている。調製中、混合はBSAを変質させないために泡立たないように行うべきである。当業者には、グルコース反応性処方物が酵素及び発色団O−トリジンの両方の過剰量を含有しているので過剰量の発色団O-トリジン及び酵素を溶解するためには調製に基本調剤が必要とされないということが認識されるはずである。
【0058】
超高感度または目的適合のグルコース反応性膜は次のように製造されてもよい。ポリエーテルスルホン又はその他の材料のシートを、先に製造した通りのグルコース反応性溶液の中に、約45°の角度で沈めて、グルコース反応性溶液を膜材料の中に導入させながら膜材料から空気を追い出す。膜材料に含浸させるために溶液の中をゆっくり膜材料を引っ張る。次いで、この湿った飽和された膜材料を通常の10フィート長さの乾燥機に少なくとも約41℃の温度で約2フィート/分の速度で又は約5分間通すことによって乾燥する。乾燥したら、この超高感度または目的適合膜の先端と後端はその先端と後端では含浸が不均一であるので取り除かれるべきである。超高感度または目的適合膜はもう本発明の乾燥化学膜20として使用できるようになっている。
【0059】
代替の反応性グルコース膜は次のように製造されてもよい:
乾燥化学ストリップは、本発明に従って、上記と似たような濃度の次の材料及び成分から製造される:
【表2】
【0060】
上記試薬の各々は試薬級化学薬品と脱イオン水から新たに調製される。基本調剤は上記成分を混合することによって調製される。次いで、指示薬を、続いて、カクテルを添加する。調製されたら、その中に膜を均一に湿潤されるまで手短に(約30秒)浸す。それから、それを37℃で約15分間自然乾燥する。その乾燥した膜を水分と光から防護された乾燥剤と一緒に貯蔵する。この乾燥化学膜をストリップに切断し、そして、後でデバイスに貼り付けられるマイラーをコートされた接着剤のくぼみの中に包む(即ち、糊付けする)ことができる。この代替グルコース処方物及び方法が選ばれる場合には、約2リットルで200平方フィートのビオダイン(BioDyne)A膜ような膜を有効に塗布するであろう。
【0061】
驚くべきことには、上記のグルコース反応性膜は組織液から湿潤化学成分の中に拡散された約5mg/dL〜約5mcg/dLのような少量のグルコースを検出する特異な能力を有することが判明した。今や、当業者は、本発明の新規な非浸襲性経皮パッチが対象の中のグルコースを正確かつ確実に定量的に検出できるということを容易に認めることができる。更に、本発明の新規な非浸襲性経皮パッチは今まで利用されてきた組織を傷つけ痛みを伴う手法の必要性を解消しながら、医療訓練を受けてない者にも簡単かつ容易に使用される。従って、当業者は本発明の新規な非浸襲性経皮パッチが体液分析対象物の収集と検出に関して従来のシステム及び技術よりも有意に進歩していることを容易に認めるはずである。
【0062】
本発明の乾燥化学膜20をここでは特定のグルコース膜に関連して説明しているが、それにもかかわらず、その他のいずれの適する膜、例えば、本願明細書の中に全てを組み入れられる米国特許第4,774,192号に記載され例証されているもの、は本発明に従って使用されてもよいということが理解されるはずである。当業者にはまた、上記の超高感度または目的適合膜は発色団O−トリジンをもって製造されているが、他のあらゆる適する発色団、たとえば、テトラメチルベンジジン(TMB)、が使用されてもよいということが理解されるはずである。更に、本発明の目的を無効にしない限りは、本発明の無血システムによって分析対象物を検出するのに他の指示薬システム、例えば、フルオロフォア類(fluorphores)又はポーラログラフィー電極若しくは酵素電極を使用してもよいということが認められるはずである。
【0063】
更に、当業者には、組織液のグルコース分析に関する上記説明を、組織液のような生物学的流体サンプルの中に典型的に見いだせるその他の広く多様な分析対象物の検出のための超高感度または目的適合膜の製造及び検出用臨床アッセイの性能にまで、類推によって、容易に拡大できるということが理解されるはずである。従って、本発明の超高感度または目的適合膜システムは、例えば、コレステロール、トリグリセリド、ビリルビン、クレアチニン、尿素、α−アミラーゼ、L−乳酸、アラニンアミノ基転写酵素(ALT/GPT)、アスパラテートアミノ基転写酵素(AST/GOT)、アルブミン、尿酸、フルクトースアミン、カリウム、ナトリウム、クロライド、ピルビン酸脱水素酵素、フェニルアラニン水素添加酵素、プリンヌクレオチド酵素、及びフェニルアラニン水酸化酵素又はその置換物、例えば、フェニル−アラニン、フェニル−ピルベート又はフェニル-ラクテート、の臨床分析に応用可能である。アッセイフォーマットは上記グルコースのためのものと本質的に同じである、又は場合によってはコンディショニングされた膜/試薬システムと一つ又はそれ上の追加の層(即ち、均展層、輻射線遮断層、半透性拡散膜、等)との組合せを伴う。
【0064】
目的適合膜を上記分析対象物のそれぞれのための乾燥化学試薬システムを組み入れて製造することは本質的には、グルコース特異性の乾燥化学試薬システムの製造について記載したのと同じ方法に従う(例えば、膜を流れ調節剤でコンディショニングする及び指示薬/試薬カクテルの吸収)。従って、膜のコンディショニングは乾燥化学試薬システムの一つ又はそれ以上の成分との接触の前に又はそれと同時に行うことができる。
【0065】
一般的に言うと、アラニンアミノ基転写酵素(ALT/GPT)検定においては、酵素はアラニン及びα−ケトグルタレートと反応してピルベート及びグルタメートを生じる。生じるピルベートは490〜520nmに着色する2,4−ジニトロ−フェニルヒドラジンと反応する。高レベルのアラニンアミノ基転写酵素は肝炎およびその他の肝疾患と関連している。アスパラテートアミノ基転写酵素(AST/GOT)検定においては、酵素はアスパラテート1及び2−オキソグルタレートと反応してオキサロアセテート及びグルタメートを生じる。生じるオキサロアセテートは490〜520nmに着色する2,4−ジニトロ−フェニルヒドラジンと反応する。高レベルのオキサロアセテートは筋ジストロフィー皮膚筋炎ばかりでなく、心筋梗塞、肝炎及びその他の肝疾患と関連している。アルブミン検定においては、ブロモクレゾール パープルが、600nmに最大吸収をもつ安定な複合体を形成するヒト血清アルブミンと定量的に結合する。低レベルのヒト血清アルブミンは肝疾患、ネフローゼ症候群、栄養障害およびタンパク性腸疾患と関連している。高レベルの血清アルブミンは脱水と関連している。プレアルブミンは糖尿病および栄養障害の診断値であろう。正常値は3〜5g/dL(30〜50g/L)である。子供の臨界限界は最低値10〜25g/L又は最高値60〜80g/Lである。ビリルビン検定においては、ジアゾ化スルファニル酸が、560nmに最大吸収をもつアゾビリルビンを生成する共役ビリルビンと定量的に反応する。高レベルのビリルビンは胆管閉塞及び肝細胞疾患と関連している。ジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下では抱合(直接)及び非抱合(遊離)ビリルビンはどちらも反応しそして成人および新生児の溶血性疾患の指標となる。臨界限界は最高値が成人では5〜30mg/dL(86〜513マイクロモル/L)、そして子供では86〜342マイクロモル/Lであり;正常レベルは結合された血清の1dL当たり0.3mgまでであるが、新生児では1〜12mg/dL(96〜308マイクロクーロン/L)である。本発明によるパッチは数分後にこれら値の50分の1を読みだすであろう。クロライド検定においては、チオイソシアン酸第二水銀がクロライドイオンと反応して塩化第二水銀を与え、生成されたチオシアネートが鉄と反応して赤みがかった褐色生成物を与える。低レベルのクロライドイオンは胃腸又は塩類喪失性腎炎、アジソン病と関連している。高レベルは心臓病及びクッシング症候群と関連している。臨界限界は60〜90ミリモル/Lである(その50分の1は本発明のパッチにおいて期待されるものである)。正常レベルは95〜103mEq./Lである。コレステロール トータル検定においては、コレステロールエステルをコレステロールエステラーゼと反応させる。総遊離コレステーロルを更にコレステロール酸化物と反応させ、転じて、着色染料O−トリジンにカップリングされた過酸化酵素によって検出される過酸化物を生じる。増加したレベルのコレステロールはアテローム性動脈硬化、ネフローゼ、真性糖尿病、粘液水腫、及び閉塞性黄疸と関連している。減少したレベルのコレステロールは甲状腺機能亢進症、貧血、吸収不良及び瘠痩症候群の中で観察される。正常レベルは150〜250mg/dLである(食事および年齢と共に変動する)。200mg/dLを越す値は医師に相談することを示唆するものである。フルクトースアミン検定においては、フルクトースアミンがアルカリ性pHでニトロテトラゾリウムブルーを低下させる。フルクトースアミンは真性糖尿病の管理に有効である。レベルはグルコースコントロールの指標である。乳酸アッセイにおいては、ブタ由来ラクテート脱水素酵素(ボリンジャー マンハイム(Boehringer Mannehim))がニコチンアミドアデニニンジヌクレオチド(NAD)の存在下でラクテートと反応してNADH(還元されたNAD)とピルベートを生成する。次いで、NADHは酵素ジアホラーゼ(ユニチカ)を使用してテトラゾリウム塩と反応させて着色ホルマザンを生成することによって検出される。生成された色は乳酸濃度に正比例している。乳酸は臨界ケア状況においては死亡率を予測する支持療法の成功の尺度として有効である。高レベルは臨床結果の厳しさと相関関係にある。血中ラクテートは心筋梗塞の患者が生き残る余後指示薬になってきており、そして厳しい新生児仮死の指示薬としても使用さる。乳酸アシドーシスは真性糖尿病や肝不全の患者にも見られる。持久力と適応度を評価するスポーツ医学に使用できる。正常値は静脈血液中で5〜20mg/dLである;動脈血液中ではもっと低い(3〜7mg/dL)。臨界限度は最高値20.7〜45mg/dL(2.3〜5.0ミリモル/L)である。カリウム検定においては、イオン特異電極は数分間の皮膚接触後にパッチに期待されるレベル(臨界限度は血中にみられるそれの50分の1である;即ち、0.05〜0.07ミリモル/L)を検出するために使用されるように十分に安定かつ敏感になってきている。カリウムは臨界ケア状況においては死亡率を予測する支持療法の成功の尺度として有効である。高レベルのカリウムは臨床結果の厳しさと相関関係にある。血中カリウムは急性心筋梗塞の患者が生き残る余後指示薬になってきている。正常値は血漿では3.8〜5.0mEq/L(ミリモル/Lとしても同じ)である;臨界限度は最低値2.5〜3.6ミリモル/L又は最高値5〜8ミリモル/Lである。ナトリウム検定においては、イオン特異電極は数分間の皮膚接触後にパッチに期待されるレベル(臨界限度は血中にみられるそれの50分の1である)を検出するために使用されるように十分に安定かつ敏感になってきている。正常値は血漿では136〜142mEq/L(ミリモル/Lとしても同じ)である;臨界限度は最低値110〜137ミリモル/L又は最高値145〜170ミリモル/Lである。トリグリセリド検定においては、トリグリセリドはリポタンパクリパーゼと反応してグリセロールを与え、それが燐酸化されたときにグリセロール燐酸酸化酵素の存在下で過酸化物を生成する。これは本発明の非浸襲性経皮システムによる着色染料と過酸化酵素によって検出できる。高レベルのトリグリセリドはネフローゼ症候群、冠状動脈疾患、糖尿病及び肝疾患によって伴われる。正常値は血清では10〜190mg/dLである。尿酸検定においては、尿酸はウリカーゼと反応して尿膜と、適する手段によって検出される過酸化物とを生成する。高レベルの尿酸は痛風、白血病、妊娠中毒症及び厳しい腎臓悪化と関連している。正常値は男性で2.1〜7.8Mg/gLであり;女性で2.0〜6.4mg/dLである。臨界限度は最高値10〜15mg/dL(595〜892マイクロモル/L)である。
【0066】
次に、本発明に従って製造することができる超高感度または目的適合膜のかかる例を例証する。
尿素のための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、適切な濃度の、尿素分解酵素、緩衝剤、及びpHの変化に対して感受性の指示薬を吸収させることによって製造できる。全血サンプルを膜のサンプル受容性表面と接触させると、血清は膜によって吸収される。血清の中に存在する尿素が尿素分解酵素によって消化され、それによって溶液の中にアンモニアを遊離する。次いで、アンモニアは適する指示薬(即ち、プロトン化されたメロシアニド染料)と反応することができる。膜のpHは約8.0に緩衝されてアンモニアの平衡濃度を相対的に低い方に保つ。指示薬は520nmで監視される。この特異性試薬システムのこれ以上の詳細は公開された文献の中に記載されており、例えば、スペイド,アール.ダブリュー.(Spayd,R.W.)等の、クリニカル ケミストリー(Clin.Chem.)24(8):1343を参照。
【0067】
α−アミラーゼのための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、適切な濃度の、誘導体化された基質(即ち、澱粉)と緩衝剤を吸収させることによって製造できる。全血サンプルをテストストリップのサンプル受容性表面に適用すると、血清が膜の中へと吸収され、従って、誘導体化さた基質がサンプル中のα−アミラーゼによって消化され始める。基質のこの消化は許容される技術及び容易に入手できる装置に従って監視することができる発色団又はフルオロフォアを放出する。この特異性試薬システムのこれ以上の詳細は先に引用したスペイドの刊行物の中にやはり見られる。
【0068】
ビリルビンのための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、適切な濃度の、或る種のカチオン性ポリマー(即ち、ポリマー性第4級塩)と燐酸塩緩衝液(pH約7.4)を吸収させることによって製造できる。間質サンプルをテストストリップのサンプル受容性表面に適用すると、この流体が膜の中へと吸収され、それによって、ビリルビンとカチオン性ポリマーの相互作用を開始させる。かかる相互作用は結果としてビリルビンの最大吸収を440nmから460nmにシフトさせる。この特異性試薬システムのこれ以上の詳細は先に引用したスペイドの刊行物の中にやはり見られる。
【0069】
トリグリセリド(トリアクリルグリセロール)のための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、界面活性剤、脂肪分解酵素、アデノシン三燐酸(APT)、グリセロールキナーゼ及びL−α−グリセロール燐酸塩酸化酵素、及びトリアリールイミダゾールロイコ染料を吸収させることによって製造できる。簡単にいうと、界面活性剤はリポタンパク複合体の解離を助けるので、リパーゼはトリグリセリドと反応することができグリセロールと脂肪酸を生成させる。それから、グリセロールはグリセロールキナーゼ酵素の存在下でアデノシン三燐酸によってホスホリル化される。こうして生成されたL−α−グリセロール燐酸はそれからL−α−グリセロール燐酸オキシダーゼによって酸化されてジヒドロキシアセトン燐酸と水酸化酵素になる。過酸化水素はロイコ染料を酸化して640nmにピーク吸収を有する着色指示薬を生成させる。この特異性試薬システムのこれ以上の詳細は先に引用したスペイドの刊行物の中に見られる。
【0070】
トリグリセリド分析のための代替の好ましい化学試薬システムは、コンディショニングされた膜の中に、リパーゼ、グリセロール脱水素酵素、p−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット(INT)及びジアホラーゼを吸収させることによって製造できる。血清トリグリセリドは最初に化学試薬システムと相互作用して遊離グリセロールと脂肪酸に加水分解される。遊離グリセロールは今やグリセロール脱水素酵素によって、NADの存在下で、ジヒドロキシアセトンに転化される。かかる転化と同時に、INT(無色)はNADHの存在下でジアホラーゼによって還元されて赤色染料(最大γ=500nm)になる。変化は500nmにおけるテストストリップの吸収であり、それは血清トリグリセリドの濃度に正比例する。
【0071】
組織液の中の総コレステロールを測定するための超高感度または目的適合膜は、コンディショニングされた膜の中に、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、ロイコ染料及び過酸化酵素を吸収させることによって製造できる。全血サンプルをテストストリップのサンプル受容性表面に適用すると、血清は膜に吸収され、それによって、コレステロールエステルのコレステロールへの転化を開始し、コレステロールの酸化がコレステロール酸化酵素によって遂行され、それによって、過酸化物を遊離する。次いで、過酸化物とロイコ染料は過酸化酵素の存在下で相互作用して目視で又は機器の使用によって監視できる高度に着色した指示薬を生成する。この特異性試薬システムに関するこれ以上の詳細は公開された文献の中に見られる、ダッペン,ジー.エヌ.(Dappen,G.N.)等のクリニカル ケミストリー(Clin.Chem.)第28巻第5号(1982年)第1159頁を参照。
【0072】
組織液の中の総コレステロールを検出するための代替の超高感度膜は、本発明に従って、次の材料及び試薬から製造できる:
【表3】
【0073】
上記試薬の各々は試薬級化学薬品と脱イオン水から新たに調製される。それらは一つの均質溶液として一緒に混合され、そしてその中に膜を均一に湿潤されるまで手短に(約30秒)浸す。それから、それを37℃で約15分間自然乾燥する。これを水分と光から防護された乾燥剤と一緒に貯蔵する。この乾燥化学膜をストリップに切断し、そして、後でデバイスに貼り付けられるマイラーをコートされた接着剤のくぼみの中に包み込む(即ち、糊付けする)。
【0074】
コレステロール検出のためのコレステロール反応性処方物のための更に別の代替の超高感度または目的適合膜は、次の酵素性溶液調剤から製造できる。酵素性溶液調剤はグルコースパッチのためのグルコース反応性処方物のために、先に記載した基本調剤と配合できる。
【0075】
【表4】
【0076】
かかるコレステロール反応性処方物が製造されたら、それは、適する膜材料、たとえば、ゲルマン サイエンシズによって供給されるポリエーテルスルホン膜スポル(Supor)450、またはポール ゲルマンによって供給されるビオダイン(BioDyne)AまたはビオダインB膜、の上に自然乾燥させることができ、そして本発明の湿潤化学成分10、例えば、約1%のカルボキシポリメチレンと約10%のプロピレングリコールを含む疎水性ゲル、と一緒に使用される。
【0077】
ラクテート検出用の超高感度または目的適合膜は、例えば、次の処方物から、それを、グルコースパッチ用のグルコース反応性処方物のために先に記載した基本調剤と混合し、次いで、ゲルマン サイエンシズによって供給されるポリエーテルスルホン スポル450膜やポール ゲルマンによって供給されるビオダインAまたはビオダインB膜のような適する膜材料の中に含浸させて、製造することができる。
【0078】
【表5】
【0079】
クレアチニンのための優れた感受性の、即ち調節された膜は、適当な濃度のクレアチニンイミノ加水分解酵素およびアンモニア指示薬(即ちブロモフェノールブルー)を調節された膜中に吸収させることにより造られることが出来る。その膜の受容性表面に組織液サンプルを適用した際に、組織液サンプルは膜中に吸収され、それによりクレアチニンおよび酵素のクレアチニンアミノ加水分解酵素の相互作用を開始して、アンモニアの遊離を生ずる。それによりアンモニアは指示薬と反応しそして色発現が視覚的にまたは慣用の計器を用いて監視される。この特定の試薬に関する追加の詳細は公開文献に示されており、例えば Toffaietti,J等による、Clin.Chem.,Vol.29,No.4(1983)第684頁を参照。この発明の乾式化学試薬システムはニューヨーク州ロチェスターのイーストマンコダックカンパニーにより開発されたタイプの多重層試験スライドにおいて使用される(以後“コダック形式”)ことがまた意図される。浸透性材料(即ち展延層)が処理される膜のサンプル受容性表面と隣接して接触して置かれる場合、そのような接触は膜中を通過して移送された組織液の速度および量に影響し(変化させ)そしてしたがって膜内の分析物特定成分により仲介された反応の速度および程度に影響するだろう。一層高い血液分析物水準で、膜を横切るサンプルの移送は、過多の分析物を生じそしてしたがって、測定の使用出来る範囲の短縮を生じるだろう。
【0080】
Liottaの米国特許第4,446,232号(この特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)において記載されたタイプの変位免疫学的検定(displacement immunoassay)への膜の適合化がまた本発明により意図される。形状において、膜の受容表面は酵素標識化抗原または抗体を用いてコーティングされる(以下、“酵素標識化共役”)。受容表面のコーティングの適用のその方法は膜のマトリックス中へのコーティング材料の浸透に対して保証する。免疫化学薬剤システムの残り、特に酵素のための色素形成性または蛍光形成性基質は、表面コーティングからのその物理的分離を維持するように、調節された膜中に組み込まれる。膜の表面上のコーティングとのサンプルの接触は酵素標識化材料の変位を生ずる。酵素標識化共役の変位はサンプル中の分析物の存在により起こされる動的平衡および表面コーティング中の分析物擬体への結合のための共役との競合に基づいている。
【0081】
サンプルの液体分画の一部と共に、この変位酵素標識化共役は、膜のマトリックス中に吸収される。この共役の酵素部分は酵素について特異な基質と相互作用しそしてそれにより、関係する分析物の表示である色または蛍光における識別出来る変化を生ずる。この変化は(色変化の場合において)視覚的にあるいはその目的のために設計された機器により観察されることが出来る。
【0082】
本発明の実施にあたって、試験のための標的の皮膚領域はまず十分に清浄化されるべきである。これはリンスすることにより水でその領域を十分に洗浄しそして乾燥させることにより行なわれることが出来る。いったん清浄化されたならば、皮膚浸透増進剤は、もし別々に使用される場合は、十分な量で且つ十分な時間にわたって皮膚のその領域に適用されるべきである。典型的には、予かじめ規定された量はないが、しかし適用される量は本明細書において記載されたとおりに有効であるべきである。時間は、組織液のような体液の抽出を助力するために、皮膚浸透増進剤が皮膚を浸透させるのに十分であるべきである。これは一般にほんの数秒かかるだけである。勿論、皮膚浸透増進剤が選ばれる場合、それはどんな方法であっても、調べている分析物を妨げるべきでない。その後、図1A、図1B、図1Cまたは図2に描かれたパッチのような非浸襲性経皮システムは、湿潤化学成分10が、(皮膚浸透増進剤で予備処理されていてもよいまたはそれで予備処理されていなくてもよい)清浄化された皮膚領域と直接且つ連続接触しておりそして乾燥化学成分20が該湿式化学成分10と直接且つ連続接触しているように、直ちに適用されるべきである。好ましくは、そのような適用は約3〜15分、好ましくは約4〜約6分、そしてさらに好ましくは約5分の期間であるべきである。また、信頼出来る分析物検出が行なわれることが出来るように、乾燥化学成分20を連続的に且つ均一に湿潤させる目的のために、皮膚適用の直前に、湿潤化学成分10と乾燥化学成分20とはおたがいに接触して置かれるべきである。
【0083】
作用の特定の理論またはメカニズムに何ら限定することを希望しないけれども、パッチの基本的なメカニズムは以下のとおりであると信じられる。第一に、パッチ中の化学薬品は角質層の最上層の死んだ細胞をシールする皮膚の脂質衝壁を一時的に溶解する。これは角質層を半透過性膜に転換することにより角質層の浸透を生じ、該半透過性膜中を通過して、グルコース含有組織液が取り出される。本件移送媒体といっしょになって組織液からのグルコースは、グルコース特異反応体を含有する膜上の化学反応の部位まで、皮膚を通過して拡散する。約3〜4分後に、高感度の反射率計により光学的に測定される終点着色反応を生ずる生化学的平衡に到達する。
【0084】
(発明を実施するための最良の形態)
さて、本発明の種々の態様の例は、以下の例に関してさらに例示されるだろう。
特定の例において他のように述べられない限り、以下の例において、標的皮膚領域は以下のとおりにして処置されそして乾式化学膜は以下のとおりにして造られる。
【0085】
乾式グルコース化学膜を造るために、100mlの基礎製剤が最初に造られる。この基礎製剤は下記の材料を含有する:
約60グラムのポリビニルピロリドンK−30(分子量40,000);
約1.2グラムのくえん酸三ナトリウム塩;
約0.1グラムのくえん酸−水和物;
約0.28グラムのNaBH4(ホウ水素化ナトリウム);
約0.1グラムのウシ血清アルブミン(BSA)。
【0086】
基礎溶液のための成分を溶解しそして完全に混合する。いったん基礎溶液が造られるならば、以下の量の調節用流動剤および安定剤および指示薬が加えられる:
約0.546グラムのO−トリジン(O−Tolidine)(約5.9〜約6.0にpHを調節);
約2.0mlの10%ガントトレツS−95(Ganttrez S−95)(10.0グラム/100ml)が加えられそしてpHがNaOHで約5.9〜約6.0に調節される;
約4.0グラム/lの75%DOSS(0.533グラム)。
【0087】
調節用流動剤、安定剤(BSA)および指示薬(O−トリジン)を溶解しそして基礎製剤中に十分に混合する。いったんそれらの化学剤および指示薬が基礎製剤中に均一にブレンドされるならば、グルコースとの反応のための特定の酵素が加えられる:
約121.0mgのグルコースオキシダーゼ(60D)150u/ml[150u*100ml/124u/mg];
約38.53mgの西洋わさびペルオキシダーゼ(POD)100u/ml[100u*100ml/259.55u/mg]。
【0088】
酵素を加えそして十分にかき混ぜる。
膜を造るために、Biodyne A膜(約0.45ミクロンの細孔径)を、均一に湿潤されるまで調製酵素カクテル中に約30秒間しばらく浸漬させる。次にそれを約15分間約37℃で空気乾燥させる。水分および光から保護された乾燥器を用いて、乾燥膜を貯蔵した。乾燥グルコース化学膜は、約3/16インチの露出された試験用面積を有する約0.75インチの寸法の細片にカットされることが出来そしてカットされた細片は、図3において例示されるような、パッチ形状内で、Dermaflex PM500のような接着剤被覆マイラー(mylar)の折りたたみ内にカプセル化されるかまたは接着されることが出来る。約5リットルの酵素カクテルは200平方フィートの Biodyne A膜を有効に処理すると信じられる。
【0089】
実験を行なうまえに、標的皮膚領域および使用者の手は、他のように特定しない限り、以下の通りにして処置される。
【0090】
まず、使用者は脱イオン水(18メガオーム)を用いて彼/彼女の手および標的皮膚領域を十分に清浄する。標的皮膚領域および手は脱イオン水でリンスされてよくあるいは脱イオン水で湿らした非漂白紙タオルでぬぐってもよい。清浄化皮膚領域および手は次に非漂白紙タオルで乾燥する。使用者は漂白紙タオルおよび塩素含有水の使用を避けるべきである。
【0091】
もし標的皮膚領域が皮膚浸透増進剤で予かじめ処理されるべきであるならば、次に清浄化且つ乾燥標的皮膚領域は、選ばれた浸透増進剤の約0.5mlで湿潤されている Kim WipeRで1回またはそれ以上の回数でぬぐわれる。0.5mlの皮膚浸透増進剤の適用のための適当な寸法の Kim WipeRは5×5cmの寸法にされる。Kim WipeRが使用されるけれども、他の任意の極めて清浄なけばだちのない非漂白紙タオルが使用されることが出来る。Kim WipeR類は Kimberly Clarke により供給される。
【0092】
いったん予かじめ清浄化された標的皮膚領域が皮膚浸透増進剤で処理されたならば、皮膚上に過剰の皮膚浸透増進剤が存在しないことを確実にするために精査される。あまりにも多く適用されたならば、パッチ接着剤が付着しない可能性がある。したがって、すべての過剰の皮膚浸透増進剤は、パッチを適用するまえに、例えば Kim WipeRを用いて最初に除去されるべきである。
【0093】
もしイソプロピルアルコールまたは酢酸エチルのような有機溶媒タイプの皮膚浸透増進剤が選ばれるならば、有機溶媒タイプの皮膚浸透増進剤と膜上の化学試薬との間の潜在的なマイナスの相互作用を避けるために、処理皮膚領域にパッチを適用するまえに、その有機溶媒をまず乾燥させるかまたは蒸発させることが好ましい。もし選ばれた皮膚浸透増進剤が有機溶媒でないならば、そのような皮膚浸透増進剤を用いての皮膚領域の処理のすぐ後に、パッチが適用されてよい。
【0094】
パッチが適用されるまえに、それは1グラムの乾燥剤を有するそのホイル包封から取り出される。取り出し後、選ばれた移送媒体、即ちゲルは膜を均一に且つ連続的に湿潤するためにパッチの底の孔中に装入される。いったん膜がゲルで湿潤されたならばその後の5〜10分以内に試験が行なわれるべきである。また湿潤された膜は明るい光に露出されるべきでない。
【0095】
いったんパッチが標的皮膚領域に配置されたならば、グルコースの存在を検出するために反射率計により色変化が読み取られる時間のための約5分間放置される。
【0096】
また、他のように特定されない限り、使用される湿式化学ゲルは脱イオン水(18メガオーム)中の約1%カルボキシメチルセルロースである。
【0097】
例 1:
以下の2種の数値は本発明に従ってグルコースパッチを用いて得られたデータを表わす。グルコース膜はすぐ上に記載された膜と同様にして造られる。
【0098】
図11は3時間にわたって糖尿病でない被験者について行なわれた耐糖能試験の結果を示す。図11におけるこれらの結果はグルコースパッチと現在ポピュラーなフィンガースティック(finger stick)法との間の高い相関関係を示す。この例において、ワイプ(wipe)はプロピレングリコールである。
【0099】
例 2:
図12は21日間にわたってタイプエインシュリン依存性糖尿病患者について行なわれる一連の試験の結果である。無作為の方法で−1日のサンプル採取時間についてまたは患者のインシュリンに関連してコントロールなしで、1日あたり1つのサンプルが採取される。
【0100】
例 3:
図13はグルコースの増大させていく濃度に対してのグルコースパッチ反応化学の直線性を試験する一連の実験からのデータを描いている。4回のグルコース測定が一連の標準について毎日行なわれそして4日間の試験後にそれらの結果は相関連していた。これらの結果は、本検出膜が微少量のグルコースを測定することが出来ることを示している。
【0101】
図14はグルコースパッチについての実際の校正曲線を描いている。そのデータは図15Aにおいて描かれている。各々の標準について9つのパッチを用いる、校正標準を用いて一組のこれらのグルコースパッチが評価される。5分の反応時間後に標準曲線について0.99のγ−値を有する変動係数は4%未満に平均化された。
【0102】
例 4:
以下はボランティアーの経口耐糖能試験から生ずるデータである。それらの試験は他の会社からの“当業界の状態”の毛細管血糖法に対して、本グルコースパッチを用いて得られた結果を比較するようにデザインされる。本明細書において記載されたとおりにして反射率計を用いてパッチ反射率データが得られる。これらの人々は試験前の12時間食事をしていなかった。はじめのグルコース測定の後に、5分以内に100グラムのグルコースの溶液を被験者は飲んだ。比較試験を1.5〜3時間のコースにわたって続ける。毛細管血糖値は30〜50分でピーク水準に上昇しそして次に糖尿病でないと予想されるときは“正常”に戻る。そのパッチ反射率値は毛細管血糖値と平行でありそして一層容易に得られる。
【0103】
すべての血液の結果は、推奨される方法により各々の試験および細片について示された製造者の電子計を用いるFDA(米国食品医薬品局)“承認”の標準フィンガースティック(finger stick)毛細管血糖法を用いて得られる。
【0104】
被験者1は100グラムのグルコース摂取後3時間空腹時水準で試験される正常人(老年の白人男性)である。
【表6】
【0105】
被験者2は100グラムのグルコース摂取後3時間空腹時水準で試験される正常人(老年の白人男性)である。
【表7】
【0106】
被験者3は朝食、昼食、軽い運動および軽食後3時間試験される正常人(若年白人女性)である。
【表8】
【0107】
被験者4は2時間絶食して試験される正常人(若年アフリカアメリカ人男性)である。
【表9】
【0108】
被験者5は数種の異なる抽出配合物により22回試験されるタイプI糖尿病患者(老年白人男性)である。
【表10】
【0109】
被験者6は2時間の過程にわたって試験される正常人(若年アフリカアメリカ人男性)である。
【表11】
【0110】
被験者7は、朝食、昼食、軽い運動および軽食の後に2時間半にわたって試験される正常人(若年白人女性)である。
【表12】
【0111】
被験者8は100グラムのグルコース摂取後空腹水準の後2時間試験される正常人(老年白人男性)である。
【表13】
【0112】
被験者9は朝食、昼食および軽食後に2時間試験される正常人(若年アジア系人の女性)である。
【表14】
【0113】
被験者10は朝食、次にグルコース供給後、2時間試験される正常人(若年白人男性)である。
【表15】
【0114】
要点:
N=正常; D=糖尿病タイプI; O=老年; M=中年齢(試験せず); Y=若年; C=白人; A=アフリカアメリカ人; A=アジア系人; M=男性; F=女性。
【0115】
耐糖能試験を受けるグルコースパッチ被験者との標準のフィンガースティック法の比較の結果が図16、図17および図18に描かれる。1人のタイプI糖尿病患者の被験者(#5)が含まれる。比較のために2つの異なる“非ワイプ”フィンガースティック法がまた使用される。被験者#9(図11参照)は試験の間に幾つかの広範な手仕事に従事しており、そして描かれているように、彼女はグルコース供給を受けているにもかかわらず、彼女のグルコース水準は減少している。彼女はまたあとで耐糖能試験を始めそして試験期間の終わるまえに昼食を食べている。
【0116】
被験者5(図18の上方のグラフ参照)は、あとで種々の皮膚部位で22回の試験を行なう糖尿病患者の被験者である。他の9人の被験者に関してのようなグルコース供給を受ける代りにこの糖尿病患者はインシュリン投与を遅らせ、次に、インシュリンを受けるまえ、およびインシュリンを受けた後の両方の2つの別別の、4つの試験期間にわたって試験する。図18の上方のグラフ中の比較#8〜22は、インシュリン投与前に行なわれる、異なる皮膚の部位を用いる6つの同時パッチそして食事の後だが糖尿病の注射のまえにその日の遅くに行なわれる、あとでの同じ部位上の5つの同時パッチそして最後に、インシュリンが糖尿病患者のグルコース水準を低下させるのに十分な時間与えた後の異なる部位の4つの同時パッチからなる1日の一連の試験を反映する。
【0117】
図19は、フィンガースティックに対するパッチを用いての、8人の糖尿病でない被験者の血液グルコース(血糖)水準の比較の結果を例示する。それは商標銘柄細片および一般的な細片の両方を用いる異なるフィンガースティック試験を比較するγ2=0.53〜0.93の範囲でフィンガースティック試験および血漿グルコースの間の相関関係を確認する。
【0118】
例 6:
糖尿病患者の被験者に関して同様な一連の実験が行なわれる。図20参照。図20は、パッチ血液グルコース水準とフィンガースティック血液グルコース水準とが測定係数γ2=0.791およびp=0.001の有意水準を有する高度に有意義な様式で相関することを示している。これらの結果は数か月にわたって1人の被験者について得られる。このデータは100〜300mg/dlのグルコース範囲にわたって良好な相関関係を示す。試験期間を通じて糖尿病治療またはインシュリン投与において変化がない。糖尿病患者のデータの一部分は各々の腕上に3つのパッチを有する一人の被験者として分散性を規定する。
【0119】
例 7:
2人の個人、MMおよびJMは、本発明に従う優れた感度、即ち調節されたグルコース膜と組み合わせて、5種の異なるゲルおよび6種の異なるワイプを試験するために志願した。
【0120】
基本型グルコース膜は、別のグルコース反応性膜に関して、本明細書のはじめの方に記載されたとおりにして造られる。
グルコース膜が中に入れられるグルコースパッチは図3において描かれたパッチに類似している。
【0121】
ゲル:
5種のゲルは以下の通りである:
1.脱イオン水中の約1%のカルボポール;
2.脱イオン水中の約10%のグリセリンおよび約1%のカルボポール;
3.脱イオン水中の約10%ポリエチレングリコールおよび約1%のカルボポール;
4.脱イオン水中の約10%のプロピレングリコールおよび約1%のカルボポール;
5.約10%のラウリル硫酸ナトリウムおよび約1%のカルボポール。
ゲルは本明細書において記載されたとおりにして、成分を一緒に単に、十分に混合することにより造られる。
【0122】
ワイプ:
6種のワイプは次のとおりである:
1.脱イオン水中の約10%グリセリン;
2.脱イオン水(18メガオーム)中の約10%のポリエチレングリコール;
3.脱イオン水(18メガオーム)中の約10%のプロピレングリコール;
4.脱イオン水(18メガオーム)中の約10%のラウリル硫酸ナトリウム;
5.1:1:1のエチルアルコール:イソプロピルアルコール:脱イオン水;
6.1:1:1の酢酸エチル:イソプロピルアルコール:脱イオン水(18メガオーム)。
【0123】
ワイプは次のとおりにして造られる:混合しそして十分にかき混ぜそして汚染および蒸発を最少にするためにテフロンを裏張りしたキャップを有するこはく製のボトル中に貯蔵する。
【0124】
各々の個人の血液グルコース(血糖)は試験の時間でLSII法により測定される。MMの血液グルコースは96mg/dlとして測定されそしてJMの血液グルコースは100mg/dlである。グルコースパッチからの反射率を詳述するにあたって、本明細書において記載された明細を有する反射率計が使用される。
【0125】
その方法を実施するにあたって、パッチが適用される各個人の標的皮膚領域は脱イオン水を用いてぬぐうことにより、まず十分に清浄化される。清浄化後に、1つの試験において、ワイプでまずぬぐうことなしに、5種の異なるゲルのグルコースパッチを清浄化皮膚領域に直接適用する。他のすべての試験において、清浄化皮膚領域は6種のワイプの1種でまず予かじめ処理される。皮膚領域を予かじめ処理するにあたって、自由な量のワイプが Chem WipeTMにより適用される。もしあまりにも多く適用されたならば、その過剰量のワイプは乾燥 Chem WipeTMを用いて除去される。
【0126】
次に、ワイプ後10秒以内に、5種の異なるゲルのグルコースパッチがワイプ皮膚領域に適用される。清浄化皮膚領域にゲルを適用する前に、乾式化学グルコース膜をゲルと連続接触させてその乾式化学グルコース膜を均一に湿潤させる。パッチを約5分間清浄化皮膚領域と接触させ、その時間に膜の色変化をメーターによる反射率により読み取ってMMおよびJMの組織液中のグルコースを検出する。各々のゲルおよびワイプに関するMMおよびJMについての反射率値はそれぞれ以下の表上、図21、図22、図23、図24および図25に描かれた棒グラフに挙げられる。本明細書に示されるゲルおよびワイプについての番号は図21、図22、図23、図24および図25における番号に相当する。
【表16】
【表17】
【0127】
例 8:
以下の皮膚浸透増進剤が浸透増進能力について試験される。皮膚は以下の浸透増進剤配合物の1種で湿潤されたパッドでまずぬぐわれる。次にガラスシリンダーがO−リングシールにより、皮膚のぬぐわれた領域に対して固定されそして規定量の蒸留水がガラスシリンダーの内側に加えられる(図26参照)。水を皮膚と5分接触させた後に、水を取り出しそしてそのグルコース濃度を、Bioanalytical Systems,Inc.の酵素検出システムを有する高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析する。蒸留水ぬぐい(対照)を用いて検出された量に対しての、検出されたグルコースの比は各配合物の浸透増進能力を評価するために用いられる。HPLC結果は以下のとおりである:
【表18】
【0128】
例7のクロマトグラフィ研究と平行して、或る種の浸透増進剤配合物は、実際のグルコース監視用パッチと組み合わせてのプレワイプ(prewipe)としてそれをオーディションすることにより評価される。或る種の浸透増進剤配合物の性能は蒸留水プレワイプを用いて得られた結果と比較することにより評価される。その配合物は図27において示されるように、反復測定において再現可能な結果を提供した。
【0129】
例 9:
次に、種々の経皮パッチを用いて得られた被験者の結果が市販のフィンガースティック血液グルコースモニターを用いて得られた結果と比較される。経口耐糖能試験が行なわれる(即ち、基線読み取りが、グルコースの50〜75gを飲んだ絶食しているボランティアーについて行なわれそして次に3時間の過程にわたってそれらのボランティアーが周期的に試験される。その基線測定およびその後の測定の両方は、グルコースパッチに関してそして市販のフィンガースティック血液グルコースシステムに関して行なわれる。図28参照。この実験においてグルコースパッチのゲルは脱イオン水(18メガオーム)中の1%のカルボポールR(CarbopolR)および10%のプロピレングリコールである。
【0130】
例10:
いったん組織液からのグルコースがパッチマトリックス材料中に拡散したならば、それは、好ましくはポリエーテルスルホン膜上のグルコースオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを用いて、酵素的に定量化される。ペルオキシダーゼ反応の着色生成物、O−トリジンは次に、光学反射率計により測定される。この測定は時間間隔での光学濃度における変化を測定することにより速度論的に行われることが出来るかあるいはさもなければ5分の1つの固定時間終点において測定されることが出来る。後者の方法が本明細書において使用される方法である。酵素カスケードおよび色発現システムは本明細書において十分に特徴づけられている。この化学システムは肉眼によりまたは反射率計により評価される場合に正確な且つ再現可能な結果を提供するそしてその安定性は一年を超えることが示されている。光度計ミリボルト読み取りをmg/dlとして表わされるグルコース濃度に変換するために記憶校正が用いられることが出来ることを示す、再現可能なスロープが標準曲線のために得られる。その仕組の感度は、図29に示されるように約0.5mg/dlであるように思われる。
【0131】
試験されそして図29において示されるグルコース濃度は次のとおりにして造られる。まず1000mg/dlの原料グルコース溶液が造られる。次にこの原料溶液のサンプルがdH2O(18メガオーム)中に希釈されて所望のグルコース濃度を達成される。造られた各グルコース濃度が試験されそして図29に例示される。次に各グルコース濃度が試験のための本発明の1%カルボキシポリメチレンおよび10%プロピレンのゲル中に1:50で希釈される。図29によれば、本発明のグルコースシステムの感度は上に示され且つ図29に示されるように約0.5mg/dl、即ち5meg/mlであるように思われる。
【0132】
例11:
標準のフィンガープリック(finger prick)をグルコースパッチ被験者と比較する結果が図30〜図33において描かれる。ゲルは1%カルボポールR(CarbopolR)である。グルコースパッチの適用前に、標的皮膚領域はプロピレングリコールでぬぐわれる。
【0133】
図30における被験者は最初のグルコース水準試験が行なわれた約10分後に、グルコース供給を受ける。予期したように、グルコース供給後、この被験者のグルコース水準は、標準のフィンガープリック法およびグルコースパッチの両方により、図30に示されるように上昇する。
【0134】
図31における被験者は最初のグルコース水準試験が行なわれた約20分後に高い糖分の食事を取る。図31に示されるように、高い糖分の食事の消費後に、この被験者のグルコース水準に上昇がある。
【0135】
図32におけて、被験者は最初のグルコース試験の約50分後に食事をとる。図32においてグルコース水準におけるわずかな上昇が観察される。
【0136】
図33において、被験者は最初のグルコース試験の約20分後にグルコース供給を受ける。恐らくは試験中に被験者が従事していたはげしい仕事に起因して、図33においるグルコースパッチおよび標準のフィンガープリック法の両方に示されるようにグルコース水準における上昇がほとんど観察されない。
【0137】
これらの結果は、50〜200mg/dlのグルコース範囲にわたって、グルコースパッチと標準のフィンガープリック法との間の良好な相関関係を示す。
【0138】
例12:
2種の標準のフィンガースティック法、即ち Blood LSPおよび Blood LSIIをグルコースパッチの被験者と比較する結果が図34〜図45に描かれる。図37および図44〜図45に描かれた被験者以外のすべての被験者においてワイプは使用されない。図37および図44〜図45における被験者はプロピレンワイプで予かじめぬぐわれた。この例12のグルコースパッチ中へ装入されたゲルは脱イオン水(18メガオーム)中の1%のカルボポールR(CarbopolR)および10%のプロピレングリコールである。それらの結果は、約75mg/dl〜約350mg/dlのグルコース範囲にわたって、2種の標準のフィンガースティック法、即ち Blood LSPおよび Blood LSIIと、グルコースパッチとの間での良好な相関関係を示している。
【0139】
例13:
3種の異なるゲルが、浸透および拡散増進について6人の被験者において試験される。3種のゲルは1%カルボポールR(CAR);脱イオン水(18メガオーム)中1%カルボポールRおよび10%プロピレングリコール(CARPG);および脱イオン水(18メガオーム)中1%カルボポールRおよび10%ラウリル硫酸ナトリウムである。ゲルを試験するにあたって、それらはグルコースパッチに装入されそして化学反応および検出のための膜へのグルコース拡散のために約5分間皮膚と接触させて置かれる。それらの結果は図46に示され、すべての3種のゲルが有効であるけれども、図46はほとんどの患者において、1%カルボポールRおよび10%プロピレングリコールのゲルが一層有効であることを示している。
【0140】
本明細書に記載された本発明は、本明細書を読んだ当業者に明らかであるようなすべての修正および変更にまで及び、そしてこの記載および添付図面の特徴の組み合せおよび準組み合せにまでまた及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1Aは本発明の一態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。図1Bは図1Aの非侵襲性経皮パッチにおける1A−1Aの断面図である。図1Cは、図1Aに示す非侵襲性経皮パッチの斜視図であるが、閉じている状態を示す。
【図2】図2は、本発明による図1Aの他の非侵襲性経皮パッチの分解正面図である。
【図3】図3は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図4】図4は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図5】図5は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの分解正面図である。
【図6】図6は、本発明の他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図7】図7は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの分解正面図である。
【図8】図8は、本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの分解正面図である。
【図9】図9は、本発明による反射計の斜視図である。
【図10】図10は、図9の反射計の読み取りヘッドの断面図である。
【図11】図11は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、APG法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較した経口糖耐性テストのデータをプロットしたものである。
【図12】図12は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、APG法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較した経口糖耐性テストのデータをプロットしたものである。
【図13】図13は、糖濃度を増加した場合に本発明の糖パッチにおける糖パッチ反応化学の直線性試験結果のデータをプロットしたものである。
【図14】図14は、本発明の非侵襲性経皮糖パッチに対する実際のキャリブレーション曲線を示すデータグラフである。
【図15】図15Aは、図14のキャリブレーション曲線データを示す表である。図15Bは、図11に対応するデータ表である。
【図16】図16は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットを示す。
【図17】図17は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットを示す。本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図18】図18は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットを示す。本発明のさらに他の態様による非侵襲性経皮パッチの斜視図である。
【図19】図19は、本発明の非侵襲性経皮パッチ間の結果と、標準的な方法を用いて毛細血管の糖から得られた結果との間の相関を示すデータのプロットである。
【図20】図20は、本発明の非侵襲性経皮パッチ間の結果と、標準的な方法を用いて毛細血管の糖から得られた結果との間の相関を示すデータのプロットである。
【図21】図21は、異なるワイプ(wipes)で試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図22】図22は、異なるワイプで試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図23】図23は、異なるワイプで試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図24】図24は、異なるワイプで試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図25】図25は、異なるワイプで試験した異なるゲル構成をもつ、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を示すデータの棒グラフである。
【図26】図26は、本発明による皮膚浸透増進剤の浸透増強力を試験する一般的な方法を示す。
【図27】図27は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図28】図28は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的なLSII法を用いて毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図29】図29は、本発明の非侵襲性経皮糖パッチの感度を示すデータのプロットである。
【図30】図30は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって血糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図31】図31は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって血糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図32】図32は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって血糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図33】図33は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって血糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図34】図34は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図35】図35は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図36】図36は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図37】図37は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図38】図38は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図39】図39は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図40】図40は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図41】図41は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図42】図42は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図43】図43は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図44】図44は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図45】図45は、本発明の非侵襲性経皮パッチから得られた結果を、標準的な方法によって毛細血管の糖から得られた結果と比較したデータのプロットである。
【図46】図46は、本発明の非侵襲性経皮パッチにおいて、ワイプを使用しない場合の異なるゲルの有効性を示すデータの棒グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚または皮膚下部から抽出した組織液中の分析対象物を検出するための非浸襲性経皮システムであって、この非浸襲性経皮システムは乾燥化学成分と湿潤化学成分とを含んでおり、
前記乾燥化学成分は、分析対象物と相互作用するための成分であり、組織液から抽出した分析対象物を検出することのできる感度を有しており、
前記湿潤化学成分は、皮膚中または皮膚下部の組織液からの分析対象物を検出できるような十分な量で乾燥化学成分に移送するための成分であることを特徴とするシステム。
【請求項2】
湿潤化学成分がゲルである請求項1に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項3】
ゲルがカーボポール及びプロピレングリコールを含む請求項2に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項4】
ゲルが1%のカーボポール及び10%のプロピレングリコールから本質的に成る請求項2に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項5】
対象の皮膚または皮膚下部から抽出した生物学的液体中の分析対象物を検出するための非浸襲性経皮システムであって、この非浸襲性経皮システムは乾燥化学成分と湿潤化学成分とを含んでおり、
前記乾燥化学成分は、分析対象物と相互作用する成分であり、組織液から抽出した分析対象物を検出することのできる感度を有しており、
前記湿潤化学成分は、皮膚中または皮膚下部の組織液からの分析対象物を約15分またはそれ以下の時間で検出できるような十分な量で前記乾燥化学成分に移送するための成分であり、本質的にゲル及び皮膚浸透増進剤とから成ることを特徴とする非浸襲性経皮システム。
【請求項6】
生物学的液体が組織液である請求項5に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項7】
分析対象物がグルコースである請求項5に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項8】
湿潤化学成分がカーボポールを含むゲルであり、皮膚浸透増進剤がプロピレングリコールである請求項5に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項1】
対象の皮膚または皮膚下部から抽出した組織液中の分析対象物を検出するための非浸襲性経皮システムであって、この非浸襲性経皮システムは乾燥化学成分と湿潤化学成分とを含んでおり、
前記乾燥化学成分は、分析対象物と相互作用するための成分であり、組織液から抽出した分析対象物を検出することのできる感度を有しており、
前記湿潤化学成分は、皮膚中または皮膚下部の組織液からの分析対象物を検出できるような十分な量で乾燥化学成分に移送するための成分であることを特徴とするシステム。
【請求項2】
湿潤化学成分がゲルである請求項1に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項3】
ゲルがカーボポール及びプロピレングリコールを含む請求項2に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項4】
ゲルが1%のカーボポール及び10%のプロピレングリコールから本質的に成る請求項2に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項5】
対象の皮膚または皮膚下部から抽出した生物学的液体中の分析対象物を検出するための非浸襲性経皮システムであって、この非浸襲性経皮システムは乾燥化学成分と湿潤化学成分とを含んでおり、
前記乾燥化学成分は、分析対象物と相互作用する成分であり、組織液から抽出した分析対象物を検出することのできる感度を有しており、
前記湿潤化学成分は、皮膚中または皮膚下部の組織液からの分析対象物を約15分またはそれ以下の時間で検出できるような十分な量で前記乾燥化学成分に移送するための成分であり、本質的にゲル及び皮膚浸透増進剤とから成ることを特徴とする非浸襲性経皮システム。
【請求項6】
生物学的液体が組織液である請求項5に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項7】
分析対象物がグルコースである請求項5に記載の非浸襲性経皮システム。
【請求項8】
湿潤化学成分がカーボポールを含むゲルであり、皮膚浸透増進剤がプロピレングリコールである請求項5に記載の非浸襲性経皮システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公開番号】特開2009−195702(P2009−195702A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37281(P2009−37281)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【分割の表示】特願2000−511068(P2000−511068)の分割
【原出願日】平成10年9月11日(1998.9.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508167494)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【分割の表示】特願2000−511068(P2000−511068)の分割
【原出願日】平成10年9月11日(1998.9.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508167494)
【Fターム(参考)】
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