説明

分析結果可視化装置及び分析結果可視化方法及び分析結果可視化プログラム

【課題】多次元のパラメータの分析結果について全体的に俯瞰することができ、効率的に特異点を抽出することができる分析結果可視化装置を提供する。
【解決手段】比較処理部102が、分析対象期間内の分析対象データと比較対象データとをエリアIDかつデータ種別毎に比較してエリアIDかつデータ種別毎比較値を算出し、算出したエリアIDかつデータ種別毎比較値をエリアID毎に集計したエリアID毎比較値と、所定の閾値とを比較して、所定の閾値よりも高い値を示すエリアID毎比較値を特異エリアID比較値とし、3次元空間モデル表示部103が、2次元座標により所定の領域を表わすとともに、1次元座標により分析対象期間を表す3次元空間モデルであって、3次元空間モデルの中で、2次元座標が特異エリアID比較値に対応するエリアを示す3次元空間の範囲を特異範囲として特定の模様で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析結果可視化装置及び分析結果可視化方法及び分析結果可視化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、情報処理装置では、分析対象のデータとして、日常の業務データや人の移動ログ、環境データの変化など、多次元のパラメータ(複数のデータ種類のデータ)からなる大量データが蓄積されている。このような大量データを様々な視点から眺めて分析するための可視化インタフェースが提供されている。
【0003】
非特許文献1の従来技術(Table Lens)は、多次元データを数値のグラフで表現し、項目名の代わりに色や点の位置で表現するなど、グラフと記号を融合した可視化インタフェースであり、ユーザが見たいデータに焦点をあてた拡大表示が可能である。しかし、例えば、1年ごとに大量のデータが蓄積されるような場合、ある年と他の年とを比べたデータの傾向の比較などが困難であり、着目点を見極めるのに手間と時間が掛かる。特に、パラメータ(データの種別)が膨大な場合に、一つの画面では表現しきれない。また、位置や時間の関係性を考慮した表現について開示されていない。
【0004】
これに対して、特許文献1の従来技術(IDS)は、各部分データの重要度(特異性)を視覚的に強調表示することで、ユーザに分析すべきポイントを提示して、試行ごとの手間を軽減し、無用の試行を回避することが可能である。しかし、多次元(複数のデータ種別)のうち2つの次元(データ種別)を選んで2次元グラフとして表示して比較するため、他の変数との関係性がわかりにくく、全体的な傾向を直感的に把握するのが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−339548号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】The Table Lens: Merging Graphical and Symbolic Representations in an Interactive Focus+Context
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、既存の可視化インタフェースは、ユーザが視点を変えて見ることが可能だが、次元数が多いと、部分的に見ていくことになるので、重要なポイントにたどり着くまで時間が掛かるという課題がある。
【0008】
また、多次元(複数のデータ種別)のうち、2つか3つの次元を選んで2次元グラフや3次元グラフとして表示して比較するため、その他の変数との関係性がわかりにくいという課題がある。
【0009】
また、分析の対象となるデータの関係性が多すぎる場合、それぞれの次元においてどのような問題点や特異性があったのかを正確に記憶し、全体の関係性と合わせて最も重要なデータを判断したり抽出したりすることが困難であるという課題がある。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、多次元のパラメータの分析結果について全体的に俯瞰することができるように可視化するとともに、その結果、特異性があると判断された部分については多次元のパラメータの関係性を可視化することができ、無用な分析試行を省き、迅速且つ確実に問題点を抽出することができる効率的な分析結果可視化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る分析結果可視化装置は、
エリアを有する所定の領域において取得される複数のデータについて分析し、分析した結果を可視化する分析結果可視化装置において、
前記複数のデータの各データを、当該データが取得された日時と当該データが取得されたエリアを識別するエリアIDと当該データのデータ種別とに対応付けてデータ管理情報として記憶装置に記憶するデータ管理情報記憶部と、
前記データ管理情報記憶部により記憶された前記データ管理情報から分析の対象となるデータを生成するための分析対象期間を入力装置により入力する分析条件入力部と、
前記データ管理情報の中から前記日時が前記分析条件入力部により入力された前記分析対象期間内にあるデータを処理装置により抽出し、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、エリアIDかつデータ種別が異なる複数の分析対象データを生成して記憶装置に記憶する分析対象データ生成部と、
前記分析対象データ生成部により生成された前記複数の分析対象データと、前記複数の分析対象データと比較するデータとして予め記憶装置に記憶されているエリアIDかつデータ種別が異なる複数の比較対象データとを、エリアIDかつデータ種別毎に各々比較してエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出し、算出したエリアIDかつデータ種別毎の比較値をエリアID毎に処理装置により集計し、エリアID毎比較値として記憶装置に記憶するエリアID毎比較値算出部と、
前記エリアID毎比較値算出部により算出された前記エリアID毎比較値と、予め記憶装置に記憶されている所定の閾値とを処理装置により比較して、前記所定の閾値よりも高い値を示すエリアID毎比較値を特異エリアID比較値として記憶装置に記憶する特異エリアID比較値記憶部と、
X軸とY軸とからなる2次元座標により前記所定の領域を表わすとともに、Z軸からなる1次元座標により前記分析対象期間を表す3次元空間モデルを表示装置に表示する3次元空間モデル表示部であって、前記3次元空間モデルの中で、前記2次元座標が前記特異エリアID比較値記憶部により記憶された前記特異エリアID比較値に対応するエリアを示す3次元空間の範囲を特異範囲として特定の模様で表示する3次元空間モデル表示部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る分析結果可視化装置は、エリアを有する所定の領域において取得される複数のデータについて分析し、分析した結果を可視化する分析結果可視化装置であって、
データ管理情報記憶部が、前記複数のデータの各データを、当該データが取得された日時と当該データが取得されたエリアを識別するエリアIDと当該データのデータ種別とに対応付けてデータ管理情報として記憶装置に記憶し、
分析対象データ生成部が、前記データ管理情報の中から前記日時が前記分析対象期間内にあるデータを処理装置により抽出し、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、エリアIDかつデータ種別が異なる複数の分析対象データを生成して記憶装置に記憶し、
エリアID毎比較値算出部が、前記複数の分析対象データと、予め記憶装置に記憶されているエリアIDかつデータ種別が異なる複数の比較対象データとを、エリアIDかつデータ種別毎に各々比較してエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出し、エリアID毎に処理装置により集計し、エリアID毎比較値として記憶装置に記憶し、
特異エリアID比較値記憶部が、前記エリアID毎比較値と、予め記憶装置に記憶されている所定の閾値とを処理装置により比較して、前記所定の閾値よりも高い値を示すエリアID毎比較値を特異エリアID比較値として記憶装置に記憶し、
3次元空間モデル表示部が、X軸とY軸とからなる2次元座標により前記所定の領域を表わすとともに、Z軸からなる1次元座標により前記分析対象期間を表す3次元空間モデルであって、前記3次元空間モデルの中で、前記2次元座標が前記特異エリアID比較値に対応するエリアを示す3次元空間の範囲を特異範囲として特定の模様で表示するので、複数のデータ種別の分析対象データについて分析結果を全体的に俯瞰することができるように可視化することができ、無用な分析試行を省くことができ、迅速且つ確実に特異点を抽出することができる効率的な分析結果可視化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係る多次元情報可視化装置の機能ブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る多次元情報可視化装置の外観の一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る多次元情報可視化装置のハードウェア資源の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1における多次元情報可視化処理を示すフロー図である。
【図5】実施の形態1において、エリアの設定に必要となる部分だけを取り出した所定の領域の地図図面データを示す図である。
【図6】実施の形態1における空間定義部による空間定義画面の一例を示す図である。
【図7】実施の形態1における空間定義DB(エリア属性情報テーブル)の一例である。
【図8】実施の形態1における蓄積データDBに蓄積された蓄積データの一例を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る多次元情報可視化装置の表示画面を示す図である。
【図10】実施の形態1における多次元情報可視化装置の表示画面に表示されたグラフの関係をイメージ的に模式化した図である。
【図11】実施の形態3における分析1詳細データ表示処理及び分析2詳細データ表示処理の表示画面の一例を示す図である。
【図12】実施の形態3に係る多次元情報可視化装置の分析結果3次元空間モデルの特異範囲表示の一例を示す図である。
【図13】実施の形態4において蓄積データDBに蓄積されている蓄積データの一例を示す図である。
【図14】実施の形態4において蓄積データDBに蓄積されている蓄積データの一例を示す図である。
【図15】実施の形態5に係るパラメータ(変数)を設定するインタフェース(ユーザ設定パラメータ表示)の一例を示す。
【図16】実施の形態5に係るパラメータ(変数)を設定するインタフェース(ユーザ設定パラメータ表示)の一例を示す。
【図17】実施の形態5において、ユーザ設定の新しいパラメータによる詳細データ条件設定及び新しいパラメータによる詳細データ表示の一例を示す図である。
【図18】実施の形態6に係る多次元情報可視化装置200の表示画面801を示す図である。
【図19】実施の形態7に係る多次元情報可視化装置のブロック構成を示す図である。
【図20】実施の形態7における多次元情報可視化装置の画面表示を示す図である。
【図21】実施の形態8における多次元情報可視化装置の画面表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200の機能ブロック図である。
【0016】
図1を用いて、実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200の機能ブロックについて説明する。多次元情報可視化装置200とは、エリアを有する所定の領域において取得される複数のパラメータ(すなわち、多次元のパラメータ)の情報を分析する場合に、まず、複数のパラメータの分析結果を1つの分析結果にまとめた情報を3次元空間上に表示し、1つの分析結果にまとめた情報をエリアと対応付けて表示し、ユーザが分析結果について全体を俯瞰することができるように可視化するものである。多次元情報可視化装置200とは、エリアを有する所定の領域において取得される複数のデータについて分析し、分析した結果を可視化する分析結果可視化装置の一例である。
【0017】
多次元情報可視化装置200は、データ管理情報記憶部130、データ管理情報データベース(データ管理情報DB153)、条件設定部101、比較処理部102、比較結果データベース(比較結果DB155)、分析結果表示部140を備えている。
【0018】
データ管理情報記憶部130は、蓄積データDB152に蓄積された複数のデータの各データを、当該データが取得された日時と当該データが取得されたエリアを識別するエリアIDと当該データのデータ種別とに対応付けてデータ管理情報として記憶装置(データ管理情報DB153)に記憶する。
【0019】
データ管理情報記憶部130は、データ管理部100、空間定義部110を備えている。また、データ管理情報DB153は、地図データベース(地図DB150)、空間定義データベース(空間定義DB151)、蓄積データデータベース(蓄積データDB152)、場所対応付けデータベース(場所対応付けDB154)を備えている。
【0020】
蓄積データDB152には、日常の業務データや人の移動ログ、環境データの変化など、複数の種類のデータ(多次元のパラメータともいう)からなる大量のデータが蓄積されている。ここでは、所定の領域(例えば、空港ロビーフロア等)で取得された大量のデータが蓄積されているものとする。所定の領域は、一つでも複数でも構わない。地図DB150には、蓄積データDB152に蓄積されたデータが取得された所定の領域(場所)のフロア図(例えば、空港ロビーフロアのフロア図)を含む複数のフロア図のCAD図面が蓄積されている。
【0021】
空間定義部110は、複数のデータが取得された所定の領域のフロア図(地図DB150のデータ)をもとに、人間が通過できない壁、パーティション、ドア等の位置、部屋の位置等の物理的な空間の他、チームごとの座席エリア、受付エリア、打合せコーナー、など、物理的に明確な境界はないが意味のある空間(以下、これらをエリアともいう)をエリアIDにより一意に識別できるように定義し、定義したエリアとエリアIDとを対応付けて空間定義DBに格納する。すなわち、空間定義部110は、複数のデータが取得された所定の領域について、所定の領域内に存在するエリアを一意に識別するエリアIDを定義して、エリアIDとフロア図上の位置とを対応付けて空間定義DBに格納する。詳細については後述する。
【0022】
場所対応付けDB154は、蓄積データDB152に蓄積されている蓄積データが取得されたエリアを示す情報と、空間定義部110により空間定義DBにエリア毎に定義されたエリアIDとを対応付けた情報を記憶する。例えば、場所対応付けDB154は、蓄積データDB152に蓄積されている蓄積データが取得されたエリアを示す情報と、空間定義部110により空間定義DBにエリア毎に定義されたエリアIDとを対応付けるための対応付けテーブル等である。
【0023】
例えば、エリアID=6のエリア6に端末ID=6の端末6が存在するとする。このとき、端末6で取得された蓄積データには、取得した端末(エリア)を示す情報として端末ID=6と設定されている。このままでは、データ管理部100は、いくつのエリアIDのエリアによって取得されたデータであるかわからない。場所対応付けDB154には、端末6(端末ID=6)はエリア6(エリアID=6)に存在するという情報が格納されている。したがって、データ管理部100は、空間定義DB151と、蓄積データDB152と、場所対応付けDB154とを管理することにより、蓄積データDB152に蓄積されている蓄積データをエリアIDに対応付けて管理することができる。
【0024】
データ管理部100は、空間定義DB151と場所対応付けDB154とに基づいて、蓄積データDB152に記憶された複数のデータ(複数のデータ種別のデータ、多次元のデータ)を、当該データが取得された日時と当該データが取得されたエリアを識別するエリアIDと当該データのデータ種別とに対応付けてデータ管理情報として管理する。データ管理部100は、分析対象のデータが必要になった場合に、空間定義DB151と場所対応付けDB154とに基づいて、蓄積データDB152に記憶された複数のデータ(複数のデータ種別のデータ、多次元のデータ)から分析対象のデータを抽出することができるように管理する。
【0025】
条件設定部101は、分析対象のデータを分析するための分析条件を設定する。本実施の形態では、分析条件として、少なくとも分析対象の期間(分析対象期間401)を設定するものとする。また、条件設定部101は、分析対象期間401を所定の数に分割して分析するための単位時間402を設定する。条件設定部101は、データ管理情報記憶部130により記憶されたデータ管理情報(すなわち、データ管理情報記憶部130により管理されているデータ管理情報(空間定義DB151と場所対応付けDB154とに基づいて管理されている蓄積データDB152))から分析の対象となるデータ(分析対象データ404)を生成するための分析条件(分析対象期間401を含む)を入力装置により入力する。条件設定部101は、分析条件入力部の一例である。
【0026】
本実施の形態の多次元情報可視化装置200は、分析対象データ404を比較対象のデータ(比較対象データ405)と比較することにより、分析対象データ404の分析を行う。例えば、多次元情報可視化装置200は、A空港ロビーフロア(所定の領域、分析対象エリア)において2009年11月20日の0時から24時まで(分析対象期間401)に取得されたデータを分析対象データ404とし、B空港ロビーフロアの同じ期間に取得されたデータ(比較対象データ405)と比較することにより分析対象データ404を分析する。あるいは、多次元情報可視化装置200は、分析対象データ404を、同じA空港ロビーフロアにおいて2008年11月20日から2009年11月19日までの1年間(比較対象期間403)に取得されたデータを統括したデータ(比較対象データ405)と比較することにより分析しても良い。さらに、入力された単位時間402が例えば2時間とすると、多次元情報可視化装置200は、2009年11月20日の0時から24時までの分析対象データ404を、2時間毎に比較対象データ405と比較して分析していくことになる。そして、多次元情報可視化装置200は、その分析結果を3次元空間グラフィックにより可視化して表示装置に表示する。
【0027】
条件設定部101は、分析対象のデータと比較するための比較対象条件を設定する。本実施の形態では、比較対象条件として、少なくとも比較対象のデータを設定するための比較対象期間403を設定するものとする。条件設定部101は、データ管理情報記憶部130により記憶されたデータ管理情報(すなわち、データ管理情報記憶部130により管理されているデータ管理情報(空間定義DB151と場所対応付けDB154とに基づいて管理されている蓄積データDB152))から比較の対象となるデータを生成するための比較条件(比較対象期間403を含む)を入力装置により入力する。条件設定部101は、比較条件入力部の一例である。
【0028】
比較処理部102は、蓄積データDB152の中から取得日時が条件設定部101(分析条件入力部)により入力された分析対象期間401内にあるデータを処理装置により抽出し、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、エリアIDかつデータ種別が異なる複数の分析対象データ404を生成する。ここで、単位時間402が入力されている場合には、分析対象期間401が単位時間402により所定の数に分割された複数の分析単位期間406の分析単位期間406毎に、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、分析単位期間406毎の複数の分析対象データ404を生成する。比較処理部102は、分析対象データ生成部の一例である。
【0029】
また、比較処理部102は、蓄積データDB152の中から取得日時が条件設定部101(比較条件入力部)により入力された比較対象期間403内にあるデータを処理装置により抽出し、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、エリアIDかつデータ種別が異なる複数の比較対象データ405を生成する。ここで、単位時間402が入力されている場合には、分析対象期間401が単位時間402により所定の数に分割された複数の分析単位期間406の各分析単位期間406毎に、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、各分析単位期間406毎の複数の比較対象データ405を生成する。比較処理部102は、比較対象データ生成部の一例である。
【0030】
比較処理部102は、生成した分析対象データ404と比較対象データ405(比較対象データ405は予め記憶装置に記憶されていてもよい)とを、エリアIDかつデータ種別毎に各々比較してエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出し、算出したエリアIDかつデータ種別毎の比較値をエリアID毎に処理装置により集計し、エリアID毎比較値として記憶装置(比較結果DB155)に記憶する。
【0031】
詳しくは、比較処理部102は、各分析単位期間406毎の分析対象データ404と、各分析単位期間406毎の比較対象データ405とを、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎に各々比較する。比較処理部102は、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出する。ここで、比較値とは、分析対象データの比較対象データに対する変化率とする。比較処理部102は、算出した分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎の変化率(比較値)を分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701として記憶装置(比較結果DB155)に記憶する。比較処理部102は、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701を、分析単位期間かつエリアID毎に処理装置により集計して、分析単位期間かつエリアID毎変化率702として記憶装置(比較結果DB155)に記憶する。比較処理部102は、エリアID毎比較値算出部の一例である。
【0032】
比較処理部102は、算出されたエリアID毎比較値と、予め記憶装置に記憶されている所定の閾値とを処理装置により比較して、所定の閾値よりも高い値を示すエリアID毎比較値を特異エリアID比較値として記憶装置(比較結果DB155)に記憶する。
【0033】
詳しくは、比較処理部102は、分析単位期間かつエリアID毎変化率702と、所定の閾値とを処理装置により比較して、所定の閾値よりも高い値を示す分析単位期間かつエリアID毎変化率を特異分析単位期間かつエリアID変化率703として記憶装置(比較結果DB155)に記憶する。比較処理部102は、特異エリアID比較値記憶部の一例である。
【0034】
分析結果表示部140は、3次元空間モデル表示部103(3次元空間モデルデータ生成部105、レンダリング部104)と、詳細データ条件設定部121と、詳細データ表示部122と、空間軸表示時間設定部123とを備えている。
【0035】
3次元空間モデル表示部103は、X軸とY軸とからなる2次元座標により所定の領域(例えば、空港ロビーフロア等)を表わし、Z軸からなる1次元座標により分析対象期間401を表す3次元空間モデルを表示装置に表示する。また、3次元空間モデル表示部103は、上述した3次元空間モデルの中で、2次元座標が比較結果DB155に記憶された特異エリアID比較値に対応するエリアを示す3次元空間の範囲を特異範囲として特定の模様で表示装置に表示する。
【0036】
詳しくは、3次元空間モデル表示部103は、3次元空間モデルの中で、2次元座標が比較結果DB155に記憶された特異分析単位期間かつエリアID変化率703に対応するエリアを示し、かつ、1次元座標が特異分析単位期間かつエリアID変化率703に対応する分析単位期間406を示す3次元空間の中の領域範囲を特異範囲として特定の模様で表示する。すなわち、3次元空間モデル表示部103は、分析結果としての3次元空間モデル(以下、分析結果3次元空間モデルと呼ぶ場合もある)を表示装置に表示する。
【0037】
実際には上述した3次元空間モデル表示部103の処理は、3次元空間モデルデータ生成部105とレンダリング部104とにより以下のように行われる。
【0038】
3次元空間モデルデータ生成部105は、X軸とY軸とからなる2次元座標により所定の領域(例えば、空港ロビーフロア等)を表わし、Z軸からなる1次元座標により分析対象期間を表す3次元空間モデルを表示装置に表示するための3次元空間モデルデータを生成する。また、3次元空間モデルデータ生成部105は、3次元空間モデルの中で、2次元座標が比較結果DB155に記憶された特異分析単位期間かつエリアID変化率703に対応するエリアを示し、かつ、1次元座標が特異分析単位期間かつエリアID変化率703に対応する分析単位期間406を示す3次元空間の領域範囲を特異範囲として特定の模様で表示するための3次元空間モデルデータを生成する。
【0039】
レンダリング部104は、3次元空間モデルデータ生成部105が生成した3次元空間モデルデータに基づいて、3次元空間モデルを3次元方向から俯瞰可能な3Dグラフィックとして表示装置に表示して分析結果を可視化する。
【0040】
空間軸表示時間設定部123は、3次元空間モデル表示部により表示された分析結果3次元空間モデルの中から、選択された分析単位期間を入力する。空間軸表示時間設定部123は、分析結果3次元空間モデルを、入力した分析単位期間が示す時間軸で切り取った領域範囲(2次元平面)の層を、時間軸方向(縦方向)から見るような角度で表示装置に表示する。
【0041】
詳細データ条件設定部121は、詳細データ条件を入力装置により入力して記憶装置に記憶する。詳細データ条件とは、3次元空間モデル表示部103により表示装置に特定の模様として表示された特異範囲についての詳細データを表示するための条件である。
【0042】
詳細データ表示部122は、3次元空間モデルの中に表示された特異範囲の中から選択された選択特異範囲を入力装置により入力する。詳細データ表示部122は、選択特異範囲入力部の一例である。詳細データ表示部122は、入力した選択特異範囲に対応する分析単位期間406と選択特異範囲に対応するエリアIDとに基づいて、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701を記憶装置より抽出する。詳細データ表示部122は、抽出した分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701を、記憶装置に記憶した詳細データ条件にしたがってデータ種別毎に表示装置に表示する。詳細データ表示部122は、特異範囲詳細表示部の一例である。
【0043】
図2は、以下の実施の形態に係る多次元情報可視化装置200の外観の一例を示す図である。図2において、多次元情報可視化装置200は、システムユニット910、CRT(Cathode・Ray・Tube)やLCD(液晶)の表示画面801を有する表示装置901、キーボード902(Key・Board:K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・ Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)、プリンタ装置906、スキャナ装置907などのハードウェア資源を備え、これらはケーブルや信号線で接続されている。システムユニット910は、コンピュータであり、ファクシミリ機932、電話器931とケーブルで接続され、また、ローカルエリアネットワーク942(LAN)、ゲートウェイ941を介してインターネット940に接続されている。
【0044】
図3は、以下の実施の形態に係る多次元情報可視化装置200のハードウェア資源の一例を示す図である。図3において、多次元情報可視化装置200は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ装置906、スキャナ装置907、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
【0045】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
【0046】
通信ボード915、キーボード902、スキャナ装置907、FDD904、表示装置901(表示画面801)などは、入力部、入力装置の一例である。また、入力装置としてタッチパネル等を備えていてもよい。また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力部、出力装置の一例である。
【0047】
通信ボード915は、ファクシミリ機932、電話器931、LAN942等に接続されている。通信ボード915は、LAN942に限らず、インターネット940、ISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。インターネット940或いはISDN等のWANに接続されている場合、ゲートウェイ941は不用となる。
【0048】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0049】
上記プログラム群923には、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」、「〜手段」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。ファイル群924には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」、「〜データベース」、「〜データ」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」、「〜データベース」、「〜データ」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリになどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0050】
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disk)等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0051】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以下に述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0052】
図4は、実施の形態1における分析結果可視化処理を示すフロー図である。図4のフロー図に沿って、多次元情報可視化装置200における分析結果可視化処理について説明する。
【0053】
ここでは、ユーザが、所定の領域として空港の出発ロビーのフロア(以下、空港ロビーフロア300)の各エリアにおいて取得され、蓄積データDB152に蓄積された複数のデータについて、多次元情報可視化装置200により分析する場合を想定して説明する。
【0054】
<S1:データ管理情報記憶部130によるデータ管理処理>
S1は、データ管理情報記憶部130によるデータ管理処理である。まず、空間定義部110の空間定義処理について説明する。
【0055】
空間定義部110は、ユーザによる空間定義要求を入力装置により入力することにより起動される。ここでは、所定の領域として空港ロビーフロア300を想定しているが、例えば、複数ある領域からユーザが選択した領域を所定の領域として分析を行うとしてもよい。
【0056】
空間定義部110は、処理装置により、記憶装置に記憶されている地図DB150から所定の領域である空港ロビーフロア300のCADデータを取得する。空間定義要求には、空港ロビーフロア300を指定する情報が含まれているものとする。空間定義部110は、処理装置により、取得したCAD図面データから、建物の外壁や、フロア内の仕切り、部屋などを抽出する。空間定義部110は、処理装置により、空港ロビーフロア300において、壁等の部分だけをCAD図面データから抽出した図面データ(地図図面データという)を記憶装置に記憶する。
【0057】
図5は、空港ロビーフロア300において、エリアの設定に必要となる部分だけを取り出し記憶装置に記憶した地図図面データを示す図である。空間定義部110は、エリアの設定に必要となる部分だけを取り出した地図図面データを用いて、図6に示す空間定義画面350を表示装置901に表示する。表示装置901に表示される空間定義画面350は、ユーザの入力により空間定義を設定することができる入力装置の一例である。
【0058】
図6は、空間定義部110による空間定義画面350の一例を示す図である。空間定義画面350では、ユーザにより空間定義の入力がなされる。例えば、ユーザは、空港ロビーフロア300のCAD図面上には記載がない入口や、パーティションによる仕切り、またはカウンタや端末の設置位置などを、空間定義画面350上の図形データツール504(線分、図形など)により、追加設定することができる。あるいは、ユーザは、通行不可な位置を太線で示すために、図形データツール504から線分や図形を選択して、空間定義画面350上で通行可否の部分を設定することができる。このようにして、ユーザは、例えば、「カウンタや自動端末機があるエリアはその中には入ることができないので通行否の空間と定義する」といった空間定義の設定を空間定義画面350から行うことができる。
【0059】
空間定義部110は、ユーザにより入力された空間定義のデータを、地図図面データ上の頂点データと線分データから成るベクターデータとして記憶装置に記憶(保持)する。
【0060】
図6の空間定義画面350上において、各エリアに設定されている英数字記号がエリアIDである。エリアとは、例えば、空港ロビーフロア300に存在する出入り口エリア、カウンタ端末エリア、発券機エリア、手荷物カウンタエリア等を意味する。エリアIDは、このようなエリアを空間定義画面350上(あるいは、空間定義DB151内)で一意に識別するための識別子である。エリアIDは、ユーザが空間定義を行うことにより自動的に付与されるとしてもよい。あるいは、ユーザが空間定義画面350上において、各エリアに対してエリアIDを入力することにより付与するとしてもよい。
【0061】
空間定義部110は、ユーザからのエリア属性設定要求を入力装置から入力して、各エリアIDに対して属性情報を対応させて空間定義DB151に記憶する。ユーザは、空間定義画面350上のエリア属性設定ツール502を用いて、エリア属性設定要求を入力装置から入力し、各エリアに対して属性情報を設定する。
【0062】
以下に、空間定義部110により設定されるエリアの属性情報の一例について説明する。空間定義画面350において、エリアID1〜5が出発ロビーの出入口、エリアID6〜25がカウンタ端末、エリアID31〜46が自動端末機、エリアIDA1〜C5がセキュリティゲート、エリアIDf1〜f10が搭乗ゲートを示すものとする。ユーザは、各エリアの属性情報(物理的属性:例えば、「座標軸上の位置」、「高さ」、「特定の部屋の一部」等の情報)、(意味的属性:「出発ロビー」、「2階」、「カウンタ」、「自動端末機」、「検査端末」等の情報)、手続のカテゴリ、通行可否等を、エリア属性設定ツール502を用いて定義することができる。
【0063】
図7は、実施の形態1における空間定義DB151(エリア属性情報テーブル)の一例である。エリアIDには、上述したようにエリアを一意に識別する識別子が設定される。「分類」には、エリアの意味的属性、例えば、カウンタ、検査端末、搭乗端末等の分類が設定される。「カテゴリ」には、手続きなどに関するカテゴリが定義(設定)可能であり、例えば、チェックイン、手荷物預け、検査処理、搭乗処理などといったカテゴリが設定される。「次のカテゴリ」には、そのエリアIDでの手続の次に、手続きすることができるカテゴリを定義(設定)可能であり、例えば、チェックインの次には「(手荷物、検査)」が、手荷物の次には「(検査)」が設定される。「アクセス」には、そのエリアに通行アクセスが可能かどうかが設定される。「時間条件」には、時間ごとのアクセスの可・否が設定される。ここでは、時間が入力されている部分のアクセスが可能である。「利用者条件」には、利用者ごとのアクセスの可・否が入力される。
【0064】
以上のように、空間定義部110は、ユーザから入力装置(表示装置901,空間表示画面350)を介して空間定義のためのデータを入力し、エリアIDと属性情報とを対応付けて空間定義DB151(エリア属性情報テーブル)に記憶する。
【0065】
次に、S1の中の、データ管理部100による蓄積データ管理処理について説明する。まず、蓄積データDB152について説明する。空港では、乗客は空港ロビーフロア300で搭乗手続きを行う場合に、処理を行う端末に乗客の登録カードや搭乗券の番号を入力する。また、カウンタでは、カウンタ端末に係員がデータを入力する。自動端末機の場合は、乗客が挿入したカードまたは航空券から各種番号を読み取る。このように端末において取得されたデータ(情報)は、空港システムのホストコンピュータに送信され、乗客の登録ID、予約状況、予約便の運航情報などが取得され、記憶装置(蓄積データDB152)に蓄積される。また、乗客がチェックイン、手荷物預かりなどのそのエリア(場所)で必要な手続きを行うことにより、蓄積データDB152に記憶されている乗客データには処理を行った端末の端末ID等が記憶(保存)される。
【0066】
図8は、蓄積データDB151に蓄積された蓄積データの一例を示す図である。図8は、端末ID6の端末において取得されるデータが蓄積される端末DB602を示す。端末DB602では、データ取得の時間帯として10分間毎でデータを取得している。端末DB602では、10分間に、処理した処理人数、処理にかかった時間である処理時間(総計)、チェックインした人数であるチェックイン数、処理内容による内訳(座席変更関連件数、アップグレード関連件数、手荷物預かり関連件数)、係員対応数等のデータが取得され記憶されている。ここで、処理人数、処理時間、チェックイン数、座席変更関連件数、アップグレード関連件数、手荷物預かり関連件数、係員対応数等をデータ種別501と呼ぶ。本実施の形態では、蓄積データDB152には、空港ロビーフロア300に存在する端末等のすべてのデータ取得手段についてのデータベース(例えば、端末DB602)が蓄積されているものとする。
【0067】
場所対応付けDB154は、空間定義部110により定義された空港ロビーフロア300の各エリアを示すエリアIDと、蓄積データDB152の中でデータの取得場所として格納されているエリアの情報とを対応付けるデータベースである。例えば、エリアID=6のエリア6に、端末ID=6の端末6が存在するとする。このとき、端末6で取得された蓄積データには、取得したエリアを示す情報として端末ID=6と設定されている。このままでは、データ管理部100は、この蓄積データがどのエリアによって取得されたデータであるかわからない。場所対応付けDB154には、端末6(端末ID=6)はエリア6(エリアID=6)に存在するという情報が格納されている。これにより、データ管理部100は、蓄積データがエリアID6(エリア6)で取得されたデータであることを管理できる。データ管理部100は、空間定義DB151と、蓄積データDB152と、場所対応付けDB154とを関連付けて管理することにより、蓄積データDB152に蓄積されている蓄積データをエリアIDに対応付けて管理することができる。
【0068】
例えば、端末自体が固定されておらず移動できる場合で、それぞれの端末の位置がわかる場合は、その処理を行った時点で端末IDだけではなく、エリアID(場所)の情報も記録することで、処理(データ取得)と位置(データ取得エリア)を対応付けできる。
【0069】
データ管理部100は、ユーザが入力装置を用いて入力した場所対応付け要求に基づいて、場所対応付けDB154に場所対応付け情報を記憶・更新する。あるいは、システムとして予め場所対応付け情報を場所対応付けDB154に記憶していてもよい。したがって、データ管理部100は、場所対応付けDB154に記憶された情報に基づいて、蓄積データDB152に蓄積されている端末DB602と、空間定義DB151に定義されているエリアIDとを対応付けて管理することができる。
【0070】
本実施の形態では、エリアを可視化モデルの1つの単位として定義したが、これは部屋単位、オフィスの机単位等、様々な空間単位としてエリアを定義づけることが可能である。また、壁など物理的なものでは仕切られていない論理的な空間も、エリアとして定義可能である。
【0071】
以上のように、蓄積データDB152には、多くの処理が日々空港ごとに処理され、取得されたデータが蓄積される。これらの蓄積データは、エリア(場所)と取得時間(時間)に関連した処理のデータである。多次元情報可視化装置200は、これらの蓄積データを全体的に俯瞰できるように、時間軸と空間軸(2次元の領域)に対応付けて可視化し、多数(多次元)のパラメータ(複数のデータ種類のデータ)の関係性を表現することができ、ユーザが多数(多次元)のパラメータ(複数のデータ種類のデータ)を分析しやすくするものである。
【0072】
<S2:条件設定部による分析条件入力処理・比較条件入力処理>
図4に戻り説明を続ける。S2において条件設定部101により、分析条件入力処理・比較条件入力処理がなされる。
【0073】
ここで、時間と空間(ここではエリアを含む所定の領域を意味する)以外の残りのパラメータ(全データ種別の各データ種別)(以下、R−PAR(remaining parameters))を1つの次元で表すための関数を評価関数(例えば、変化率(比較値の一例))と呼ぶ。R−PARを一つの次元で、時空間上に表現することにより、ユーザは時間と空間の関係性を保った上で、全パラメータ(全種類のデータ)の状態を俯瞰できる。ユーザがどのような観点で俯瞰するかは、ユーザの分析の目的により異なる。したがって、多次元情報可視化装置200では、R−PARの比較の仕方を目的によってユーザが選択することができるインタフェースを設ける必要がある。それが、以下に説明する多次元情報可視化装置200における分析条件入力処理及び比較条件入力処理である。
【0074】
条件設定部101は、入力装置により分析条件を入力する。また、条件設定部101は、入力装置により比較条件を入力する。例えば、条件設定部101は、条件設定画面を表示装置901の表示画面801に表示して、条件設定画面を介してユーザからの分析条件・比較条件を入力する。
【0075】
図9は、実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200の表示画面801を示す図である。本実施の形態に係る多次元情報可視化装置200では、図9(a)から図9(f)の順番で表示画面801が遷移するとしてもよい。あるいは、図9(a)から図9(f)に示す6つのウィンドウが表示画面801に同時に表示されるとしてもよい。また、あるいは、図9(a)から図9(c)に示す3つのウィンドウが表示画面801に同時に表示され、次に、図9(d)から図9(f)に示す3つのウィンドウが表示画面801に同時に表示されるとしてもよい。また、多次元情報可視化装置200は複数の(例えば、6つの、あるいは6つ以上の)表示装置901(表示画面801)を有し、図9(a)から図9(f)に示す6つのウィンドウを、それぞれ別々の表示装置901(表示画面801)に同時に表示するとしてもよい。
【0076】
図9(a)は、条件設定画面を示す図である。分析の対象となる蓄積データDB152には、上述したように、空港ロビーフロア300におけるすべてのデータ取得手段(端末)の端末DB602が蓄積されている。
【0077】
例えば、2008年11月20日の午前6時から8時の時間帯に、2機のフライトの遅延が発生したとする。このとき、多次元情報可視化装置200のユーザは、遅延の原因を追究するために、蓄積データDB152に蓄積されているこの日(2008/11/20)の蓄積データと、その前の過去1年間の蓄積データとを比較するものとする。このとき、ユーザは、分析対象データ404(以下、検証データともいう)として、2008年11月20日のR−PARを2時間ごとに集計したデータとし、比較対象となるデータは、過去1年間の毎日のR−PARを2時間ごとに集計したデータを要約したデータとする。
【0078】
条件設定部101は、処理装置を用いて条件設定画面を表示装置に表示する。ユーザは、キーボード、タッチパネル、マウス等を操作することにより、条件設定画面に分析条件の値を入力(設定)していく。分析対象期間401には、「08/11/20」が入力される。「08/11/20」は、「2008年11月20日の0時から24時」を意味する。単位時間402には、2時間が設定される。比較パラメータには、「ALL」が設定される。デフォルトを「ALL」としてもよい。比較パラメータとは、比較したいデータ種別501を意味し、端末DB602の処理人数、処理時間、チェックイン数、座席変更関連件数、アップグレード関連件数、手荷物預かり関連件数、係員対応数すべてのデータ種別501について比較することを意味する。比較パラメータは、デフォルトでは、すべてのR−PARを使う「ALL」としているが、その中から比較するパラメータを選択して、ここで指定することも可能である。
【0079】
ユーザは、対象とするパラメータの次元(データのデータ種別の数)を減らすことで、分析結果を理解しやすくなる。また、条件設定画面において、ユーザがエリア(空間)についても、あるエリアを対象外として設定することを可能としてもよい。これにより、特異性の高い空間だけを可視化することが可能である。
【0080】
代表関数には、「総計」を設定する。代表関数とは、「2008年11月20日の0時から24時」において単位時間402「2時間」毎のデータをどのように集計するかを示すものである。ここでは、分析対象データとして、2008年11月20日の0時から24時のデータを2時間毎に「総計」したデータで分析することを意味している。
【0081】
ユーザは、キーボード、タッチパネル、マウス等を操作することにより、条件設定画面に比較条件の値を入力(設定)する。比較対象期間403には、「07/11/20−08/11/20」が入力される。「07/11/20−08/11/20」は、「2007年11月20日の0時〜2008年11月20日の24時」を意味する。さらに、ユーザは、条件設定画面により、絞込み条件「無し」、要約関数「平均値」、評価関数「変化率」、評価対象「値」を選択して設定する。
【0082】
上記のように分析条件と比較条件が入力された場合、多次元情報可視化装置200では、分析対象データ404と比較対象データ405との比較単位は2時間であり、全パラメータ(全データ種別)について比較する。
【0083】
比較対象データ405の元のデータ(すなわち、07/11/20−08/11/20の1年間のデータ)は、日々について比較するとデータ取得の間隔等に違いがあり得るが、例えば、1日、半日等の枠組みでまとめるなど、要約関数により要約した一つのデータを求める。また、各々のデータ(各データ種別のデータ)はデータの単位がそれぞれ違うが、検証データと比較対象データの各々のパラメータ同士で評価する関数と対象を決める。例えば、「ある時間ごとの値」「ある時間ごとの傾き」等を評価の対象とし、評価関数を変化率とし、これについて比較してもよい。評価関数としては、変化率に限らず、最大値、最小値、など他の関数でも良い。比較対象も値(X軸ごとのR−PARの差分の絶対値)以外、距離(X軸ごとのY軸の差分の二乗の総和の平方根)、最大値、最小値、傾き、などでも良い。選択可能なものをプルダウンでユーザが選択することができるものとする。
【0084】
比較対象データについては、1年間分の日々のデータを検証データと比較するために、一つの値として要約するのが要約関数である。要約関数が平均値の場合は、1年間の日々のデータを2時間ごと同じ時間帯について総和し、日数で割って平均したものである。要約関数は平均値に限らず、他に、最大値、最小値、標準偏差などその他の関数を選択肢として用意し、ユーザに選択させることが可能である。
【0085】
条件設定部101は、上述したように入力装置により分析条件及び比較条件を入力して、記憶装置に記憶する。
【0086】
<S3:比較処理部による分析対象データ生成処理及び比較対象データ生成処理>
比較処理部102は、処理装置により、蓄積データDB152に記憶されている蓄積データの中からデータ取得日時が分析対象期間401(すなわち、2008/11/20の0時から24時)内にあるデータを抽出する。比較処理部102は、処理装置により、抽出した蓄積データを、分析単位期間406かつエリアIDかつデータ種別501毎に処理装置により集計し、分析単位期間毎の複数の分析対象データ404を生成して記憶装置に記憶する。
【0087】
比較処理部102は、処理装置により、蓄積データDB152に記憶されている蓄積データの中からデータ取得日時が比較対象期間403(すなわち、2007/11/20の0時から2008/11/20の24時まで)内にあるデータを抽出する。比較対象期間403(すなわち、2007/11/20の0時から2008/11/20の24時まで)内にあるデータは、1年分のデータであるためばらつきがある。比較処理部102は、処理装置を用いて、要約関数(ここでは平均値)に基づき1年分のデータを計算し、1日分のデータにまとめる。例えば、要約関数として平均値が指定されているので、比較処理部102は、処理装置により、1年分のデータについて、分析単位期間406毎の平均値を算出する。比較処理部102は、算出した分析単位期間406毎の平均値を、複数の比較対象データ405として記憶装置に記憶する。
【0088】
<S4:比較処理部による比較処理>
<S5:比較処理部による比較結果記憶処理>
比較処理部102(エリアID毎比較値算出部)は、分析単位期間毎の複数の分析対象データ404と、記憶装置に記憶された分析単位期間毎の複数の比較対象データ405(すなわち、算出した分析単位期間406毎の平均値を複数の比較対象データ405としたもの)とを、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎に各々処理装置により比較する。比較処理部102は、比較結果に基づいて、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出する。比較値は、比較条件により入力された評価関数であり、入力された内容により算出方法が異なる。ここでは、評価関数として、変化率が指定されているので比較値は変化率を算出するものとする。
【0089】
比較処理部102は、算出した分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701を記憶装置に記憶する。比較処理部102は、算出した分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701を分析単位期間かつエリアID毎に処理装置により集計する。すなわち、比較処理部102は、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎に算出された分析対象データ404の比較対象データ405に対する変化率を、データ種別501を1つにまとめて集計する。これにより、複数のデータ種別501のデータに関する変化率が、1つのデータに関する変化率にまとめられる。比較処理部102は、集計した変化率を分析単位期間かつエリアID毎変化率702として記憶装置に記憶する。ここで、変化率を集計するとは、例えば、変化率の平均値を算出することである。
【0090】
比較処理部102(特異エリアID比較値記憶部)は、分析単位期間かつエリアID毎変化率702と、所定の閾値とを処理装置により比較する。所定の閾値とは、予めシステム設計上設定されている変化率の閾値でも良いし、あるいは、ユーザにより指定されて記憶装置に記憶されている閾値でも良い。システムとして、変化率に異常があると判断するための変化率の閾値である。比較処理部102は、所定の閾値よりも高い値を示す分析単位期間かつエリアID毎変化率702を判別し、判別した分析単位期間かつエリアID毎変化率702を特異分析単位期間かつエリアID変化率703として記憶装置に記憶する。
【0091】
つまり、多次元情報可視化装置200では、条件設定部101により分析条件・比較条件を設定し、利用する関数(代表関数、評価関数、要約関数等)を決定して、比較処理部102により以下の処理を行って、比較結果を比較結果DB153に格納する。
(1)分析対象データ404を、2時間(分析単位期間)毎、空間定義(エリアID)毎に代表関数(総計)を計算する。
(2)同様に、比較対象データ405についても、2時間(分析単位期間)毎、空間定義(エリアID)毎の代表関数(総計)を1年分求めて、その値を日数で割って平均(要約関数)をとる。
【0092】
さらに、多次元情報可視化装置200では、処理装置を用いて、2時間(分析単位期間)毎に、(1)(2)の値を比較し、分析対象データ404の比較対象データ405に対する変化率(評価関数)を算出する。
【0093】
多次元情報可視化装置200は、例えば、変化率が大きいものを、特異度高として、高・中・低の3種類で分類することが可能である。このとき、多次元情報可視化装置200は、例えば、変化率の閾値を予め記憶装置に記憶しておく。変化率を3種類に分類するためには、3種類の閾値を記憶装置に記憶しておく。
【0094】
あるいは、多次元情報可視化装置200は、評価関数により得られた結果を比較し、全パラメータの変化率を総計して、その値により、大きい方から1/3の範囲、1/3から2/3の範囲、それ以外の3つに分け、それぞれを特異度高・中・低としてもよい。また、変化率の分類の割合を変えても良いし、閾値を設定して分類してもよい。また、(1)(2)の検証においては、変化率以外の算出を利用してもよいし、絞り込み条件等により入力された変数によって重み付けをして比較を行ってもよい。
【0095】
<S6:3次元空間モデル表示処理>
3次元空間モデル表示部103は、X軸とY軸とからなる2次元座標により所定の領域(すなわち空港ロビーフロア300)を表わすとともに、Z軸からなる1次元座標により分析対象期間401(すなわち、2008/11/20の0:00〜24:00)を表す3次元空間モデルを表示装置に表示する。また、3次元空間モデル表示部103は、Z軸からなる1次元座標により分析対象期間401(すなわち、2008/11/20の0:00〜24:00)を分析単位期間406に区切って表示装置に表示する。
【0096】
3次元空間モデル表示部103は、底面が空港ロビーフロア300の地図であり縦軸が分析対象期間の時間軸である時空間の3次元空間モデルの中で、底面(2次元座標)が特異分析単位期間かつエリアID変化率703に対応するエリアを示すとともに時間軸(1次元座標)が特異分析単位期間かつエリアID変化率703に対応する分析単位期間406を示す3次元空間の範囲を特異範囲として特定の模様で表示する。すなわち、3次元空間モデル表示部103は、分析結果を可視化したモデルとして3次元空間モデルを表示装置901に表示する。
【0097】
上述したように、実際には、3次元空間モデルデータ生成部105が、処理装置により、分析結果である3次元空間モデルを表示装置901に表示するための3次元空間モデルデータを生成し、レンダリング部104が、3次元空間モデルデータ生成部105により生成された3次元空間モデルデータに基づいて表示装置901に3次元空間モデルを表示する。以下では、説明の簡単のため、3次元空間モデル表示部103が表示装置901に3次元空間モデルを表示するものとして説明する。
【0098】
図9(b)は、分析結果である3次元空間モデルを表示装置901に表示した状態を示す。つまり、図9(b)は、分析対象データ404(検証データA)の分析結果を可視化したものである。以下に、図9を用いて、3次元空間モデル表示部103の処理についてさらに説明する。
【0099】
図9(a)の条件設定画面において分析条件・比較条件が設定され「比較」ボタンが押されると、表示装置901の表示画面801には図9(b)に示すように、分析結果としての3次元空間モデルが表示される。
【0100】
3次元空間モデル表示部103は、X軸−Y軸からなる2次元平面に分析対象の所定の領域である空港ロビーフロア300の地図図面を表示する。3次元空間モデル表示部103は、空港ロビーフロア300の地図図面上にエリアを区別できるように表示する。3次元空間モデル表示部103は、縦軸を時間軸として表示し、画面の時間軸に対応する位置に分析対象期間401を示す時間帯表示を表示する。3次元空間モデル表示部103は、時間帯表示の分析対象期間401を単位時間402で区切って1つの層の各々を各分析単位期間406として表示画面801に表示する。そして、3次元空間モデル表示部103は、3次元空間モデルを各分析単位期間を1つのレイヤー(層)として表示する。すなわち、1つのレイヤーは、底面が空港ロビーフロア300の地図図面に対応し高さが分析単位期間に対応した層である。3次元空間モデルは、各分析単位期間のレイヤーが分析対象期間分重なって構成されているともいえる。そして、3次元空間モデル表示部103は、分析単位期間かつエリアID毎の領域範囲ごとに異なる模様や色や濃さで区別して表示することができる。
【0101】
3次元空間モデル表示部103は、3次元空間モデルにおいて、特異分析単位期間かつエリアID変化率703に対応する分析単位期間かつエリアIDの領域範囲を、特定の模様(色や濃さを含む)で表示する。図9(b)において、黒く表示されている箇所が特異分析単位期間かつエリアID変化率703を算出した分析単位期間かつエリアIDの領域範囲(特異範囲)である。
【0102】
3次元空間モデル表示部103は、例えば、所定の閾値を越えた特異分析単位期間かつエリアID変化率703の値により、特異範囲の模様を変えてもよい。例えば、変化率が所定の閾値を越えた分を3つの範囲(特異度高、特異度中、特異度低)に分割して、例えば、特異度高の場合は塗りつぶし、特異度中の場合は細かい斜線模様、特異度低の場合は粗いドット模様等の差を付けて表示画面801に表示する。
【0103】
言い換えると、3次元空間モデル表示部103は、比較処理部102により得られ記憶装置に記憶されている空間領域ごとの変化率を、対応する空間領域の色(模様)として3次元空間モデルに表示する3次元空間モデルを生成して表示画面801に表示する。3次元空間モデル表示部103は、分析単位期間406を一つのレイヤー(層)として表示する。各レイヤーについて分析条件・比較条件に沿って得た分析結果を可視化し、2次元平面の地図上に各レイヤーを重ねることにより、2008/11/20の一日分の分析結果を時空間情報として示す。
【0104】
また、3次元空間モデル表示部103は、表示した分析結果3次元空間モデルを、時空間軸での縦方向、横方向の回転をして可視化することを可能とする。従って、ユーザは、一方向だけではなく、斜めから、または横からでも俯瞰することができる。また、ユーザは、図10(b)に示す3次元空間モデル表示を上からみることで、2008/11/28の一日を通した俯瞰も可能である。
【0105】
次に、図9(c)について説明する。ユーザは、図9(b)の表示画面801に表示された3次元空間モデルを俯瞰して、例えば、分析単位期間「6:00〜8:00」のレイヤーに特異度が高い部分が多いので、分析単位期間「6:00〜8:00」のレイヤーについてさらに分析したいと考える。
【0106】
空間軸表示時間設定部123は、ユーザにより表示画面801上の時間帯表示の分析単位期間「6:00〜8:00」が選択され、「実行」ボタンが押下されると、選択された分析単位期間に対応するレイヤー(空間軸)を表示画面801に表示する。図9(c)に示すように、空間軸表示時間設定部123は、分析単位期間「6:00〜8:00」に対応するレイヤー(空間軸)を、2次元平面的に表示画面801に表示する。
【0107】
空間軸表示時間設定部123は、3次元空間モデル表示部103により表示された分析結果3次元空間モデルの中から、選択された分析単位期間を入力する。すなわち、空間軸表示時間設定部123は、ユーザからの分析単位期間レイヤー表示要求を入力装置から入力する。空間軸表示時間設定部123は、分析結果3次元空間モデルを、入力した分析単位期間が示す時間軸で切り取った領域範囲(2次元平面)の層を、上から見るように表示画面801に表示する。
【0108】
多次元情報可視化装置200では、2時間を一つの単位として比較している場合は、この時間帯の中では変化がないため、比較単位ごとに1枚の2次元イメージとして表示可能である。ここでは、模様で違いを表しているが、色違いで表現しても、同じ色で彩度を変えて表現しても良い。多次元情報可視化装置200では、一番下に、空港ロビーフロア300の地図図面があり、その上に、2時間ごとのデータ(レイヤー)を重ねて表示する。図9(b)では、1日のうち、朝方と夕方が、過去1年と比較して特異度が高い傾向にあることを示している。そこで、朝6時〜8時を切り出して朝6時〜8時のレイヤーを地図上に置いた図を表示画面801に表示したものが、図9(c)である。
【0109】
図9(b)に示す3次元空間モデルでは、例えば、特異度が高いものほど不透明にする等によって、ユーザが表示画面801に表示された3次元空間モデルを時空間軸上で俯瞰したときに、ユーザの視点の奥にあるものでも特異度が高いものが見えるため、様々な角度から俯瞰して、全貌を確認することができる。
【0110】
ただし、図9(b)に示す3次元空間モデルで表示された特異度は、過去と比べて、その時間帯のその場所の特異性が高いということを示しているだけであり、どのパラメータ(データ種別)が、どのように特異性を有しているかということまでは示していない。
【0111】
<S7:詳細データ条件設定処理及び詳細データ表示処理>
次に、図9(d),(e),(f)について説明する。図9(d),(e),(f)では、図9(c)の表示画面801の状態から、さらにどのパラメータが、どのように特異かということを詳細に表示する方法(詳細データ表示方法)について説明する。
【0112】
まず、詳細データ表示処理の前提条件として、どのような詳細データを表示するかの詳細データ条件を入力する詳細データ条件設定処理が行われる。
【0113】
詳細データ条件設定部121は、表示画面801等の入力装置から詳細データ条件を入力する。図9(d)は、詳細データ条件設定画面である。ここでは、分析1、分析2の2種類の詳細データ条件を設定できるものとしているが、より多くの詳細データ条件を設定できるようにしてもよい。
【0114】
分析1詳細データ表示は、図9(c)の空間軸(レイヤー)表示画面において、ユーザによりエリアが選択されると、選択されたエリアについての詳細データを表示するものである。また、分析2詳細データ表示は、図9(e)の分析1詳細データ表示画面において、ユーザによりパラメータ(データ種別)が選択されると、選択されたパラメータ(データ種別)についての詳細データを表示するものである。
【0115】
詳細データ条件設定部121は、表示画面801に分析1詳細データ条件設定画面と分析2詳細データ条件設定画面と表示する。分析1詳細データ条件設定画面と分析2詳細データ条件設定画面とは、予め記憶装置に記憶されている。詳細データ条件設定画面の、入力例について説明する。分析1では、グラフ種類、X軸、X軸条件、Y軸、閾値を入力する。分析2では、グラフ種類、X軸、Y軸を入力する。
【0116】
図9(d)の詳細データ条件設定画面の分析1の条件設定では、グラフ種類には、複数種類のグラフ表示がプルダウン等により選択されて設定される。ここでは「棒グラフ」が設定されている。X軸には、「比較パラメータ」が設定されている。X軸条件には、「閾値以上」が設定されている。すなわち、X軸の属性には、比較パラメータのうち、指定された閾値以上の変化率を有する比較パラメータについてX軸に表示することを意味している。Y軸には、「評価関数(ここでは変化率)」が設定されている。閾値には、「1.10」の値が設定されている。
【0117】
また、図9(d)の詳細データ条件設定画面の分析2の条件設定では、グラフ種類には、「折れ線グラフ」が設定されている。X軸には、「時刻」が設定されている。Y軸には、「処理人数」が設定されている。
【0118】
例えば、図9(c)(e)(f)で示した表示の流れがデフォルトとなるように、分析1詳細データ条件設定画面と分析2詳細データ条件設定画面と(図9(d))の網掛け部分に予め設定値を表示してもよい。これらの設定は、ユーザによって変更可能としてもよい。
【0119】
以上のように、詳細データ条件設定部121は、表示画面801の詳細データ条件設定画面を介して詳細データ条件を入力する。詳細データ条件設定部121は、入力した詳細データ条件を記憶装置に記憶する。
【0120】
次に、詳細データ表示部122により、詳細データ表示処理について説明する。
【0121】
詳細データ表示部122は、3次元空間モデルの中に表示された特異範囲(分析単位期間かつエリアID毎の領域範囲)の中から選択された選択特異範囲(ここではエリア6)を入力装置(図9(c)の表示画面801)を介して入力する。詳細データ表示部122は、選択特異範囲入力部の一例である。
【0122】
詳細データ表示部122は、選択された選択特異範囲(ここでは6:00〜8:00のエリア6)に対応する分析単位期間406(6:00〜8:00)とエリアID(6)とを決定する。詳細データ表示部122は、決定した分析単位期間406(6:00〜8:00)でありかつエリアID(6)の分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701を記憶装置から抽出する。
【0123】
詳細データ表示部122は、抽出した分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701を詳細データ表示条件にしたがって、データ種別501毎に表示装置に表示する。詳細データ表示部122は、特異範囲詳細表示部の一例である。
【0124】
上述した詳細データ表示部122の処理を、図9(c)(e)(f)の表示画面801の流れに沿って説明する。
【0125】
まず、ユーザは、図9(c)の表示画面801において、詳細データを表示したいエリアをカーソル等により選択する。ここでは、ユーザによりエリア6(エリアID=6のエリア)が選択され「実行」ボタンが押下される。これにより、詳細データ表示部122は、ユーザからの分析1詳細データ表示要求を入力する。つまり、ユーザがあるエリアを選択して「実行」ボタンを押下するで、分析1詳細データ表示要求が詳細データ表示部122に入力される。
【0126】
詳細データ表示部122は、ユーザからの分析1詳細データ表示要求を入力し、予め記憶装置に記憶されている分析1詳細データ条件にしたがって、詳細データ表示処理を行う。詳細データ表示部122は、X軸に分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701が閾値(1.10)を越えるデータ種別(パラメータ)を表示し、Y軸には対応する分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率701を棒グラフで表示する。この分析1表示により、ユーザは、分析対象期間6:00〜8:00のエリア6(カウンタ6)で取得された分析対象データについて、過去と比較して特異性の高いデータ種別の詳細についてさらに分析することができる。詳細データ表示部122は、エリア6において特異性(701)が高かったデータ種別(パラメータ)を高い順に示す。あるいは低い順に表示してもよい。
【0127】
次に、ユーザは、図9(e)の表示画面801において、さらに詳細データを表示したいデータ種別(パラメータ)をカーソル等により選択する。ここでは、ユーザにより処理人数が選択され「実行」ボタンが押下される。これにより、詳細データ表示部122は、ユーザからの分析2詳細データ表示要求を入力する。つまり、ユーザにより分析1詳細データ表示画面においてグラフのあるパラメータを選択し「実行」ボタンが押下されると、分析2詳細データ表示要求が詳細データ表示部122に入力される。
【0128】
詳細データ表示部122は、ユーザからの分析2詳細データ表示要求を入力し、予め記憶装置に記憶されている分析2詳細データ条件にしたがって、詳細データ表示処理を行う。詳細データ表示部122は、「処理人数」に対する分析2詳細データ表示要求を入力すると、分析2詳細データ条件にしたがって、X軸を分析単位期間(6:00〜8:00)とし、Y軸を処理人数とした詳細時間毎の処理人数の変化を折れ線グラフにして表示画面801に表示する。例えば、詳細データ表示部122は、データ管理情報DB153内を処理装置を用いて検索することにより、エリア6における分析単位期間(6:00〜8:00)の詳細時間毎の処理人数を算出する。
【0129】
なお、多次元情報可視化装置200では、例えば、分析2の詳細データの表示については、1番特異度が高いパラメータを表示し、その後には、このパラメータと相関関係が高いパラメータを表示するなど、ユーザによって、表示の選択が可能とすることもできる。
【0130】
また、多次元情報可視化装置200では、時空間軸(3次元空間モデル)や空間軸(2次元平面)に表示する特異性(変化率)を、図9(d)の詳細データ条件設定画面で設定した閾値の値(ここでは、1.10)を超えたものだけについて評価して、強調表示するとしてもかまわない。例えば、ユーザが、詳細データ条件設定画面において変化率の閾値を1.10と設定したとする。このとき、多次元情報可視化装置200では、パラメータの変化率が閾値を越えた変数(パラメータ、データ種別のデータ)についてのみ変化率の総計を求め、これにより、特異性の程度を分けて可視化することも可能である。
【0131】
図10は、実施の形態1における多次元情報可視化装置200の分析結果表示画面のグラフの関係をイメージ的に模式化した図である。図10(a)は、多次元情報可視化装置200が、分析単位期間かつエリアID毎変化率702を、特異度別に色分け(模様分け)して3次元空間モデル(時空間軸)に表示したグラフである。図10(b)は、多次元情報可視化装置200において、ユーザにより図10(a)のグラフにおいて6:00〜8:00の分析単位期間が選択された際に表示画面801に表示される時間軸6:00〜8:00により切り出された2次元平面(空間軸、レイヤー)である。図10(c)は、図10(b)の2次元平面(空間軸、レイヤー)においてユーザによりエリアが選択されることにより表示された詳細データを表示するグラフ(分析1:棒グラフ、分析2:折れ線グラフ)である。
【0132】
本実施の形態では以下のような特徴を有する多次元情報可視化装置200について説明した。
【0133】
実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200は、多次元のデータの情報を4つの次元(1次元の時間軸と2次元の空間軸と1次元にまとめたパラメータ)に縮退して3次元空間(1次元の時間軸と2次元の空間軸からなる3次元空間)上に表示する多次元情報可視化装置200であり、
(1)データを取得したエリアを示す地図上に、空間を定義する空間定義手段(空間定義部110)と
(2)データと、そのデータを取得位置や関連する位置とを対応付ける場所対応付け手段(場所対応付けDB154)と
(3)蓄積されたデータを管理するデータ管理手段(データ管理部100)と
(4)多次元データの時空間軸(X軸、Y軸からなる2次元平面と時間軸(縦軸)とからなる3次元空間モデル)上で俯瞰するために、検証データ(分析対象データ404)と比較対象データ405の条件を設定する条件設定手段(条件設定部101)と
(5)(4)の分析条件・比較条件の設定に応じて、検証データと比較対象データとを比較する比較処理手段(比較処理部102)と
(6)(5)で比較した結果を時空間軸(分析結果の3次元空間モデル)上に表現するための3Dモデルを生成する時空間3Dモデル生成手段(3次元空間モデルデータ生成部105)と
(7)(6)のモデルを3次元データ(分析結果の3次元空間モデルデータ)として描画するレンダリング手段(レンダリング部104)と
(8)レンダリングした時空間情報から、空間軸(2次元平面、レイヤー)を抽出して表示する際の時間設定を行う空間軸表示時間設定手段と
(9)詳細データの条件設定を行う詳細データ条件設定手段(詳細データ条件設定部121)とを備えることを特徴とする。
【0134】
実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200は、蓄積される処理データが取得された端末や受付の場所等の意味的属性を定義するとともに、地図上のある区画(エリアID)として定義するが、さらに、時間ごとの通行可否、利用者ごとのアクセス可否、及びカテゴリや、次にアクセス可能なカテゴリ等を定義する空間定義手段(空間定義部110)と、蓄積データと、そのデータを取得した地図上の空間(エリアID)とを対応付ける場所対応付け手段(場所対応付けDB154)とを備えることを特徴とする。
【0135】
実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200は、あるデータを検証するために、時間と空間の条件(比較対象期間402等の比較条件)を設定し、それ以外の全データを要約するための一つの関数(例えば平均値等)を設定する条件設定手段(条件設定部101)と、設定した条件(比較対象期間402等の比較条件)をもとに、比較対象データ405を求めて検証データ(分析対象データ404)との比較を行う比較処理手段(比較処理部102)とを備えることを特徴とする。
【0136】
実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200において、時空間3Dモデル生成手段(3次元空間モデル表示部103、3次元空間モデルデータ生成部105)は、比較処理手段によって求められた情報を、検証データの特異度として2次元の地図に重畳する手段であり、空間定義手段で定義した空間IDに対応する、(検証データの)比較単位時間ごとの複数のパラメータの評価関数の算出結果を、その特異度の高さによって色の違いや彩度の違いや模様の違いを持たせて可視化することを特徴とする。
【0137】
実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200において、時空間3Dモデル生成手段(3次元空間モデル表示部103、3次元空間モデルデータ生成部105)は、比較処理手段(比較処理部102)によって求められた情報を、検証データの特異度として2次元の地図に重畳する手段であり、空間定義手段(空間定義部110)で定義した空間ID(エリアID)に対応する、検証データの比較単位ごとの複数のパラメータの評価関数の算出結果のうち、閾値などによって特異度の高いものを抽出し、その特異度がもっとも高いパラメータを代表値として、他のパラメータとは、色の違いや彩度の違いや模様の違いを持たせて可視化することを特徴とする。
【0138】
実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200において、時空間3Dモデル生成手段(3次元空間モデル表示部103、3次元空間モデルデータ生成部105)は、比較結果を時空間軸上に可視化する際に、特異度が高いほど不透明度を高くして表示することにより、複数の特異度が表現されている場合に、様々な視点から俯瞰した場合に、より特異度が高いものが強調される分析結果3次元空間モデルを生成することを特徴とする。
【0139】
実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200において、詳細データ・条件設定手段(詳細データ条件設定部121、詳細データ表示部122)は、空間軸上でユーザが選択した空間ID(エリアID)に対して、その複数のパラメータの評価関数の算出結果を示すための条件として、グラフの種類、グラフを生成する2軸の変数と条件を設定するインタフェース(詳細データ条件設定画面)を提供し、対応したデータを抽出してグラフを生成して表示することを特徴とする。
【0140】
実施の形態1に係る多次元情報可視化装置200において、詳細データ・条件設定手段(詳細データ条件設定部121、詳細データ表示部122)は、蓄積データのパラメータをもとに、ユーザが可視化したい変数を編集するインタフェース(詳細データ条件設定画面)を提供し、その変数に関する評価結果をグラフとして生成して表示することを特徴とする。
【0141】
また、上述した多次元情報可視化装置200は、あるフロア(所定の領域、例えば空港ロビーフロア300等)について分析する多次元情報可視化装置200であって、上述した多次元情報可視化装置200による分析結果3次元モデル表示は、ある時間帯における一つのフロアの比較結果を表示したものである。
【0142】
しかし、本実施の形態の多次元情報可視化装置200は、例えば、建物が複数フロアから成る場合、ある時間帯に関して、各フロアの空間軸の描画イメージを求めて、1階から順番に重ねて表示することができるとしてもよい。このように、ある時間帯に関して各フロアの空間軸の描画イメージを求めて1階から順番に重畳して表示することにより、ある時間帯のその建物全体のどのフロアのどのあたりに特異点があるかを俯瞰することを可能とすることができる。
【0143】
以上のように、多次元情報可視化装置200は、検証したいデータ(分析対象データ404)に対して、比較したいデータ(比較対象データ405)の条件を設定し、時空間軸上に全パラメータの比較結果を可視化することができるので、ユーザは全体の傾向を俯瞰することができる。さらに、多次元情報可視化装置200では、ユーザが全体の傾向を俯瞰した結果、重要と思われる、ある時間のある場所の、パラメータの変化率や関係性を表示装置に表示することができる。これにより、ユーザは、多次元情報可視化装置200を用いることにより、部分的な分析だけではなく全体の状態を考慮した分析が可能となり、重要なデータを見落とさずに、余分な試行を排除することで、効率的な分析を可能とする効果がある。
【0144】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1において説明した多次元情報可視化装置200において、時間軸(分析対象期間軸)を変化させて分析結果を表示する空間軸表示時間設定部123を追加することにより、ユーザがさらに深く分析することができる方法について説明する。本実施の形態では、実施の形態1と異なる点について説明し、説明のない部分は実施の形態1と同様であるものとする。
【0145】
多次元情報可視化装置200では、ユーザにより図9(e)に示す分析1の詳細データ表示画面から「処理人数」を選択し、図9(f)に示す「処理人数」についての分析2の詳細データ表示画面が表示されたものとする。
【0146】
ユーザは、多次元情報可視化装置200の図9(e)(f)の詳細データ表示画面により、特異度の高いところからデータの詳細を見た結果、図9(f)に示す「処理人数」についての分析2の詳細データ表示画面において、7:30〜8:00の間の処理人数が多いと分析する。このことから、ユーザは、多次元情報可視化装置200を用いて、30分単位で分析対象データ404と比較対象データ405との比較を行い、分析結果を可視化したいと考えるものとする。
【0147】
多次元情報可視化装置200では、ユーザにより条件設定画面(図9(a))において単位時間402が30分と設定し直され、ユーザにより再度「比較」ボタンが押下されたものとする。ここで、多次元情報可視化装置200で表示する表示画面には、「条件設定画面へ戻る」等のボタンがあるものとする。多次元情報可視化装置200は、30分単位で、分析対象データ404と比較対象データ405との比較処理を行う。そして、多次元情報可視化装置200は、図9(b)の3次元空間モデルを30分単位のレイヤーを重ねていくことにより、表示画面801に表示する。多次元情報可視化装置200が30分単位の分析結果を表示画面801に表示することにより、ユーザは7:30〜8:00の処理人数が多く特に特異性が高いことを確認することができる。
【0148】
次に、多次元情報可視化装置200では、ユーザにより図9(b)の右側の時間帯表示(スライダー)において7:30〜8:00が選択されると、7:30〜8:00の時間軸により切り取られたレイヤー(空間軸)にこの30分間(7:30〜8:00)の特異性が表示される。
【0149】
ここで、ユーザが時間帯表示(スライダー)をマウス、カーソル等により操作して、7:30〜8:00の選択から6:00〜7:00の間の選択に変更し、実行ボタンが押下されたとする。
【0150】
空間軸表示時間設定部123は、選択された分析単位期間6:00〜7:00に対応する2つのレイヤー(空間軸)である6:00〜6:30のレイヤーと6:30〜7:00のレイヤーとを重畳して表示画面801に表示する。すなわち、空間軸表示時間設定部123では、表示時間6:00〜7:00が設定され、表示時間6:00〜7:00内の2つのレイヤー(空間軸)が選択され、地図図面の上に、表示時間6:00〜7:00の間にある2枚の評価結果画像を重ねて表示する。図9(f)の結果からもわかるように、6時から7時の間は従来の朝との違いがないため、ユーザは特異性が低いことを確認できる。
【0151】
実施の形態2では、以下のような特徴を備えた多次元情報可視化装置200について説明した。
【0152】
実施の形態2に係る多次元情報可視化装置200では、空間軸表示時間設定部123は、時空間軸(3次元空間モデル)から抽出する比較結果の時間帯の幅を設定可能として、その時間帯に対応した比較結果を抽出し、レンダリング部104によって、図面地図上に重畳表示し、ユーザが時間幅を変えるたびに、比較結果の違いを空間軸画面に表示することを特徴とする。
【0153】
実施の形態2に係る多次元情報可視化装置200によれば、ユーザは、レイヤー(空間軸)の時間帯表示の選択時間帯を単位時間以上の幅で選択することができ、複数のレイヤーを重畳して表示させることができる。したがって、ユーザは、表示画面801の表示された分析結果3次元空間モデルが示す特異度の高い場所を深堀りして分析することができ、より効率的な特異点を見つけることが可能である。
【0154】
実施の形態3.
実施の形態1では、分析1詳細データ表示は、図9(c)の空間軸(レイヤー)表示画面において、ユーザによりエリアが選択されると、選択されたエリアについての詳細データを表示するものであり、分析2詳細データ表示は、図9(e)の分析1詳細データ表示画面において、ユーザによりパラメータ(データ種別)が選択されると、選択されたパラメータ(データ種別)についての詳細データを表示するものであった。
【0155】
図11は、実施の形態3における分析1詳細データ表示処理及び分析2詳細データ表示処理の表示画面の一例を示す図である。図11を用いて、本実施の形態では、実施の形態1と異なる点について説明し、説明のない部分は実施の形態1と同様であるものとする。
【0156】
本実施の形態の多次元情報可視化装置200では、図11(c)の空間軸(レイヤー)表示画面において、ユーザは2つのエリアを選択することができるものとする。本実施の形態の多次元情報可視化装置200では、ユーザにより選択された2つのエリアについて分析1詳細データ表示処理及び分析2詳細データ表示処理によって詳細データを表示する処理を行う。
【0157】
詳細データ条件設定部121は、図11(d)に示すように、分析2詳細データ条件設定画面を表示画面801に表示し、ユーザからの入力待ち状態となる。分析2詳細データ条件設定画面は、実施の形態1で説明した分析1詳細データ条件設定画面と同様である。
【0158】
詳細データ表示部122は、ユーザにより図11(c)の空間軸(レイヤー)表示画面において、エリア6(カウンタ6)とエリアB5(検査場B5)の2つのエリアが選択され「実行」ボタンが押下されると、ユーザからの分析1詳細データ表示要求として入力する。詳細データ表示部122は、分析1詳細データ表示要求を入力すると、エリア6についての詳細データを分析1詳細データ条件にしたがって表示画面801に表示する(図11(e))。
【0159】
次に、詳細データ表示部122は、ユーザにより図11(e)の分析1詳細データ表示画面において、「実行」ボタンが押下されると、ユーザからの分析2詳細データ表示要求として入力する。詳細データ表示部122は、分析2詳細データ表示要求を入力すると、エリアB5についての詳細データを分析2詳細データ条件にしたがって表示画面801に表示する(図11(e))。あるいは、図11(c)の画面から直接分析2詳細データ表示画面に遷移するインタフェースを提供してもよい。
【0160】
以上のように、実施の形態3の多次元情報可視化装置200では、詳細データ表示画面に2つの端末(エリア6とエリアB5)の特異度を比較して表示することも可能である。詳細データ表示部122は、分析1詳細データ表示画面と分析2詳細データ表示画面とを交互に表示画面801に表示させて行ってもよいし、同時に分析1詳細データ表示画面と分析2詳細データ表示画面とを表示画面801に表示させることもできるとする。
【0161】
図12は、実施の形態3に係る多次元情報可視化装置の分析結果3次元空間モデルの特異範囲表示の一例を示す図である。図12(b)及び図12(c)に示す表示画面801が特異範囲表示のバリエーションである。
【0162】
実施の形態1の多次元情報可視化装置200では、複数のパラメータ(複数のデータ種別のデータ)を評価した結果を用いて、エリア(エリアID)(空間)ごとに1つの値(変化率)を求め、その値(変化率)に基づいて、値(変化率)の大きさで分類し、分類にしたがって表示する例を示した。これに対して、図12の(b)の分析結果3次元空間モデル表示では、全てのパラメータを利用した結果を表示するのではなく、分析単位期間単位の各エリアにおいて、一番特異度が高いパラメータについて、パラメータ毎に異なる模様や色で可視化してもよい。つまり、多次元情報可視化装置200おいて、予めパラメータ毎に表する色や模様を記憶装置に記憶しておき、分析単位期間単位の各エリアにおいて一番特異度が高く、かつ、表示条件である閾値を越えているものについて表示するとしてもよい。このような表示方式により、ユーザは、着目したい変数(パラメータ、データ種別)や内容の違いを踏まえながら、全体を俯瞰し、重要と思われるデータの深堀りをすることが可能である。
【0163】
実施の形態4.
実施の形態1では、蓄積データDB152に蓄積されている蓄積データは、図8の端末DB602に示すように、乗客の処理を行った処理人数や、係員の人数などを時間帯ごとにカウントした数字のデータを蓄積データとした。しかし、実際には、蓄積データDB152に蓄積されている蓄積データは、空港や駅において取得されるか否かに関わらず、様々な処理を行う端末の処理データとして時系列的に処理を行ったログ情報が蓄積されていく。本実施の形態では、このようなログ情報(ログデータ)を分析可能な蓄積データに変換して管理する多次元情報可視化装置200及び多次元情報可視化装置200のデータ管理部100について説明する。
【0164】
例えば、空港において、乗客が飛行機に乗るためにチケットを買ってから乗り場に行って飛行機に乗るまでの処理について、カウンタや自動端末機で乗客が行った処理、セキュリティゲートにある端末によって係員が乗客の代わりに行った処理等を、蓄積データとして蓄積データDB152に蓄えているものとする。蓄積データDB152には、処理を行った端末の端末IDや係員の係員ID等も記録される。以下に蓄積データDB152に蓄積されている蓄積データの例を示す。
【0165】
図13は、実施の形態4において蓄積データDBに蓄積されている蓄積データの一例を示す図であり、(a)が乗客処理データ、(b)が係員データを示す。また、図14は、実施の形態4において蓄積データDBに蓄積されている蓄積データの一例を示す図であり、(c)が運航データ、(b)が予約データを示す。
【0166】
図13(a)に示すように、乗客処理データには、乗客ID、乗客の氏名、年齢、性別等の個人についての属性情報や、航空会社の予約ID、購入したチケット種類等の情報が記録されている。また、図12(b)に示すように、係員データには、係員ID、日付、ログイン時間、ログアウト時間、端末ID等の情報が記録されている。
【0167】
図13及び図14に示すようなログデータは、乗客ごと、係員ごと、飛行機ごと、予約IDごと等のデータであるが、項目に設定された値には氏名や、予約ID等の文字列データを含むため、一般的には他の項目のデータと合わせて要約するのは困難である。これに対して、値そのものではなく、変数に値がある項目の数、つまり処理が行われたかどうかをカウントしてその違いを可視化することで、端末ごとの処理数の違いや負荷の違いを可視化することも可能である。図15は、実施の形態4において、項目をカウントしたパラメータにより分析結果を表示する例を示す図である。
【0168】
本実施の形態に係る多次元情報可視化装置200のデータ管理部100は、図13及び図14に示すようなログ情報(ログデータ)について、項目に設定された値そのものではなく、値(変数)が設定された項目の数、つまり処理が行われたかどうかを、例えば端末毎にカウントして図8の端末DB602に示すような蓄積データを得て、記憶装置に記憶する。そして、実施の形態1で示したように、多次元情報可視化装置200によって、特異点を可視化することで、例えば端末毎の処理数の違いや負荷の違いを可視化することが可能である。
【0169】
実施の形態5.
図8に示す端末DB602は、図13及び図14の蓄積データ等をカウントすることにより集計したデータであるものとする。つまり、図8に示す端末DB602は、図13及び図14の蓄積データを、端末ごとに、10分ごとに集計したデータである。
【0170】
本実施の形態では、ユーザにより実施の形態4で示したようなログデータを、目的に応じて加工して分析を行うことができる多次元情報可視化装置200について説明する。本実施の形態の多次元情報可視化装置200では、ユーザが、図13及び図14のログデータから評価を行いたいパラメータを簡単に設定してその違いを比較できる環境を提供する。例えば、多次元情報可視化装置200のデータ管理部100が、ユーザが新しいパラメータを設定するインタフェース(ユーザ設定パラメータ表示)を表示画面801に表示するものとする。データ管理部100は、ユーザ設定パラメータ表示において入力されたデータに基づいて、処理装置を用いて新しいパラメータを設定(集計)して記憶装置に記憶する。
【0171】
図16は、実施の形態5に係るパラメータ(変数)を設定するインタフェース(ユーザ設定パラメータ表示)の一例を示す。
【0172】
図16に示すように、ユーザは、ユーザ設定パラメータ表示において、新しいパラメータ名を入力し、対応するデータベースの値と演算子、関数等を使って新しいパラメータを定義する。ユーザは、ユーザ設定パラメータ表示において、新しいパラメータの条件定義も可能である。
【0173】
以下に、ユーザ設定パラメータ表示画面の入力例を示す。
<比較パラメータ関数の例>
(1)残り時間:「出発時間」−「チェックイン時間」
(2)係員交替回数:SUM[係員ID](IF 6:00<「ログイン時間」<8:00、6:00<「ログアウト時間」<8:00)
(3)航空券購入者数:SUM[乗客ID](IF 「チケット種類」=「航空券」)
(4)アクセス可能カウンタ数:SUM[「分類@空間定義」=「カウンタ」](IF 「アクセス@空間定義」=「可」)。
【0174】
図17は、実施の形態5において、ユーザ設定の新しいパラメータによる詳細データ条件設定及び新しいパラメータによる詳細データ表示の一例を示す図である。図17(d)では、詳細データ条件設定画面において、X軸に「ユーザ設定」と入力することができる。この場合には、詳細データ表示部122は、図17(e)(f)に示すように、分析1あるいは分析2の棒グラフのX軸(パラメータ(データ種別))に、ユーザ設定の新しいパラメータを表示する。
【0175】
以下に、ユーザが、本実施の形態の多次元情報可視化装置200を用いて分析を行う場合の一例について説明する。
【0176】
図17(c)において、ユーザが左下のエリア6(カウンタ6)をクリックすると、図17(e)に示す表示画面801により、(処理を行った時間から出発時間までの)「残り時間」、「係員の交替回数」の2つの新しいパラメータの特異度が高かったことがわかる。ユーザが、「残り時間」に関する詳細データを表示させると、単に処理人数が多かっただけではなく、搭乗時間間近にエリア6(カウンタ6)を利用した乗客がいつも以上に多かったことがわかったとする。また、エリアB5(検査場B5)についても同様の結果が得られているものとする。このことから、ユーザは、例えば、遅延が発生した2機の飛行機の搭乗予定者が、エリア6(カウンタ6)を利用し、さらに、エリアB5(検査場B5)を利用したということが推測できる。また、多次元情報可視化装置200の分析結果2次元空間モデル表示(図17(b))あるいは空間軸(レイヤー)表示(図17(c))は、空間的な位置(空港ロビーフロア300内のエリア)に基づいて表示されるため、エリア6(カウンタ6)だけが、いつも以上に出発間近にチェックインしたということから、そのカウンタに近い公共交通機関が遅れたことなどをユーザが推測することができる。また、エリア6(カウンタ6)から、遅延をした飛行機の搭乗ゲート、エリアf8(搭乗ゲートf8)、エリアf9(搭乗ゲートf9)が遠いため、更に移動の時間が掛かったこと等をユーザが推測することができる。
【0177】
このように、本実施の形態の多次元情報可視化装置200によれば、ユーザは、データの関係をユーザ設定して、ユーザが重要と思う視点に関して可視化し、俯瞰して確認することができる。また、時間軸上で確認することで、時間的にどれほど問題が継続したか、などを確認することができる。
【0178】
実施の形態6.
本実施の形態では、各空間の詳細データを見た結果、ユーザがより重要と思うパラメータを中心に可視化し直すことを可能とした多次元情報可視化装置200について説明する。
【0179】
図18は、実施の形態6に係る多次元情報可視化装置200の表示画面801の遷移を示す図である。
【0180】
図18(e)に示すように、本実施の形態の多次元情報可視化装置200では、ユーザが、詳細データとして表示したグラフ画面上で、より重要視したいパラメータに重みをつけることができる。この場合は、ユーザは、時間に関するパラメータに重み付けをつけている。ユーザが、重み付け定義ボタンを押すと、折れ線で重み付け関数を定義できる。ユーザにより実行ボタンが押下されると、比較処理部102は、処理装置により、指定された重み付けにしたがって再度比較結果を評価しなおし、3次元空間モデル表示部103により、時空間軸上と空間軸上に再描画される。あるいは、詳細データ表示部122が、処理装置により、指定された重み付けにしたがって再度比較結果を評価しなおし、時空間軸上と空間軸上に再描画するとしてもよい。
【0181】
実施の形態6に係る多次元情報可視化装置200は、評価関数の算出を行う際に利用するパラメータの重み付けを、比較結果のグラフ上で、重み付けを設定可能とする詳細データ条件設定部121と、その結果を反映して、空間軸上、時空間軸上の可視化データを計算し直す比較処理部102(あるいは、詳細データ表示部122)と、モデルを生成し直す3次元空間モデル表示部103(3次元空間モデルデータ生成部105、レンダリング部104)(あるいは、詳細データ表示部122)とを備えることを特徴とする。
【0182】
実施の形態7.
本実施の形態では、多次元情報可視化装置200を用いて、ユーザが、更に、遅延した2機の飛行機に搭乗した人の状態を分析する例について説明する。
【0183】
図20は、実施の形態7における多次元情報可視化装置の画面表示の遷移を示す図である。本実施の形態では、ユーザは、図20(a)の条件設定画面において、分析対象データ(検証データ)の比較パラメータを「残り時間」とし、さらに比較パラメータの条件として、搭乗端末ID=「f8」or「f9」と設定する。多次元情報可視化装置200は、設定された条件に基づいて、比較分析処理を行い、図20(b)の分析結果3次元空間モデルを表示画面801に表示する。多次元情報可視化装置200は、比較パラメータの条件として搭乗端末ID=「f8」or「f9」が設定されると、搭乗端末ID=「f8」or「f9」に関連するデータについての分析を行う。具体的には、多次元情報可視化装置200は、最終的に搭乗端末ID=「f8」or「f9」を利用する乗客に関して、データを抽出・分析をしてその分析結果を図20(b)の分析結果3次元空間モデルを表示画面801に表示する。ユーザは、多次元情報可視化装置200を用いて、まず全体を俯瞰した後で、このような条件設定を行って再度分析を行い、全体との比較を行うことができる。
【0184】
多次元情報可視化装置200によって、上述した処理をするための機能ブロックについて以下に説明する。
【0185】
図19は、実施の形態7に係る多次元情報可視化装置のブロック構成を示す図である。本実施の形態に係る多次元情報可視化装置200は、図1における実施の形態1の多次元情報可視化装置のブロック構成に加えて、分析状況可視化部160とデータ抽出部161とを備えている。
【0186】
分析状況可視化部160は、ユーザにより、時空間軸(分析結果3次元空間モデル)上、あるいは空間軸(レイヤー(2次元平面))上でエリア(空間)が選択された場合に、選択されたエリアに関連するデータの分析状況を可視化して表示装置901(表示画面801)に表示する。分析状況可視化部160は、例えば、条件設定画面において比較パラメータの条件として搭乗端末ID=「f8」or「f9」が設定された場合に、設定された搭乗端末ID=「f8」or「f9」を利用する乗客に関するデータの分析を行い、分析状況を可視化して表示装置901(表示画面801)に表示する。また、分析状況可視化部160は、分析結果3次元空間モデルの時間帯表示から時間帯が指定されると、図20(c)に示すように指定された時間帯で切り出された空間軸(レイヤー)を表示画面801に表示する。
【0187】
データ抽出部161は、ユーザにより、時空間軸(分析結果3次元空間モデル)上、及び空間軸(レイヤー(2次元平面))上でエリア(空間)が選択された場合に、選択されたエリアに対応する蓄積データを蓄積データDB152から抽出する。すなわち、図20(c)の表示で、ユーザによりカウンタ6〜8が選択され、「データ抽出」ボタンが押下されると、図20(b)で選択した時間帯におけるカウンタ6〜8の端末のログデータだけを抽出することができる。
【0188】
また、ユーザが、空間軸上でデータを分析した結果、今回追求している原因とは関係ないと思われるデータを見つけて排除できるようにすることも重要である。分析状況可視化部160により表示された図20(c)の空間軸(レイヤー)表示上で、ユーザは、データは必要ではなく分析済みのものをマウスで選択し、「分析終了」のボタンを押す。すると、多次元情報可視化装置200の図20(c)の空間軸(レイヤー)表示上では、分析終了として選択したエリアが見た目にも他とは違う印や色となって表示され、分析済みであることを示す。これにより、ユーザが一度見たデータを間違えて何度も見直してしまうことを防ぐことができる。
【0189】
本実施の形態に係る多次元情報可視化装置200によれば、ユーザは、全体的な状況を俯瞰的に見て分析を行った結果をもとに、必要なデータを抽出し、更に、その内容を検証することが可能である。また、追求している原因とは関係ないと思われるデータを見つけて分析終了として示すことができるので、ユーザが一度見たデータを間違えて何度も見直してしまうことを防ぐことができる。
【0190】
実施の形態7の多次元情報可視化装置200において、分析状況可視化部160は、時間軸上、空間軸上の相対関係を確認しながらデータとして更なる分析が必要なものと不必要なものを分類した上で、その分類を、印や色づけなどにより判別可能とすることを特徴とする。
【0191】
実施の形態7の多次元情報可視化装置200において、データ抽出手段161は、時間軸上、空間軸上の相対関係を確認しながらデータとして更なる分析が必要なものを選別した結果、空間IDに対応した蓄積データや、3次元軸上で範囲を指定したデータに関連する蓄積データを抽出することを特徴とする。
【0192】
実施の形態8.
本実施の形態では、比較結果の表示だけでなく、分析対象のデータを可視化表示することのできる多次元情報可視化装置200について説明する。
【0193】
例えば、実施の形態7において、データ抽出部161により抽出したデータを分析した結果、複数のカウンタで処理を行っている乗客がいることがわかったとする。つまり、搭乗端末ID「f8」or「f9」を最終的に利用する乗客に関連する蓄積データを分析した結果、その中に複数のカウンタで処理を行っている乗客がいることがわかったとする。多次元情報可視化装置200は、このときの当該乗客を分析対象のデータとして、当該乗客の処理の流れを時空間軸(3次元空間モデル)上に表示する。
【0194】
図21は、実施の形態8における多次元情報可視化装置の画面表示の遷移を示す図である。分析状況可視化部160は、図21(a)の条件設定画面において、比較パラメータとして「ALL」、比較パラメータの条件として乗客ID「322」を入力する。分析状況可視化部160は、設定された比較パラメータで乗客ID「322」を条件として、時空間上のデータとして可視化する(図21(b))。これにより、乗客「322」は、カウンタに寄った後、自動端末機に寄り、更に別のカウンタに寄ってから検査場に向かったことがわかる。
【0195】
このような人やモノの動きとともに、他の情報を合わせて可視化することも可能である。例えば、気温等の環境情報の時間変化と、人の動きを同時に可視化することで大勢の人の移動が気温に与えた影響などを考慮できる。
【0196】
また、図7の空間定義DB151のように、手続きの手順をカテゴリとして定義して、これを制約条件と設定すれば、チェックインをしていない乗客が、直接検査場に行った場合などを検出して、行動がおかしい乗客がいたことを判定することも可能である。
【0197】
以上のように、実施の形態1〜8の多次元情報可視化装置200によれば、検証したいデータに対して、比較したいデータの条件を設定し、時空間軸上に全パラメータの比較結果を可視化することにより、全体の傾向を俯瞰できる。さらに、全体の傾向を俯瞰した結果、重要と思われる、ある時間のある場所の、パラメータの変化率や関係性を見ることが可能である。これにより、部分的な分析だけではなく、全体の状態を考慮した分析が可能となるため、重要なデータを見落とさずに、余分な試行を排除することで、効率的な分析を可能とする効果がある。
【0198】
また、実施の形態1〜8の多次元情報可視化装置200によれば、比較の単位や対象を変えながら、レンダリングし直す(表示し直す)ことが可能である。したがって、検証データや比較対象データの対象期間を変更して比較表示することで、ある日の問題が以前からあったのか、最近の傾向なのか、一時的なものなのか切り分けを行うための情報を提供できる。
【0199】
また、実施の形態1〜8の多次元情報可視化装置200によれば、空間の相対関係と合わせて、ログのデータを比較表示できるため、ログの数値からはわからない、変数同士の関係性を見つけることができる。
【0200】
また、実施の形態1〜8の多次元情報可視化装置200によれば、特に、データを取得できるのが空間の離散的な場所である場合、実データ上は、それらを関連付けることができない。しかし、それを時空間上に可視化して、ユーザが見ることで、取得データは離散的であるが、それらの位置的な関係性から、数値には表れない要因を推測しやすい。
【0201】
また、実施の形態1〜8の多次元情報可視化装置200によれば、時間・空間軸上で連続性・相対性を目で見て判断することで、時間ごと場所ごとの関連性や繰り返しの現象の発見や、不足部分の補完ができる場合があり、効率的に分析を行える。
【符号の説明】
【0202】
100 データ管理部、101 条件設定部、102 比較処理部、103 3次元空間モデル表示部、104 レンダリング部、105 3次元空間モデルデータ生成部、110 空間定義部、121 詳細データ条件設定部、122 詳細データ表示部、123 空間軸表示時間設定部、130 データ管理情報記憶部、140 分析結果表示部、150 地図DB、151 空間定義DB、152 蓄積データDB、153 データ管理情報DB、154 場所対応付けDB、155 比較結果DB、160 分析状況可視化部、161 データ抽出部、200 多次元情報可視化装置、300 空港ロビーフロア、350 空間定義画面、401 分析対象期間、402 単位時間、403 比較対象期間、404 分析対象データ、405 比較対象データ、406 分析単位期間、501 データ種別、504 図形データツール、502 エリア属性設定ツール、602 端末DB、701 分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎変化率、702 分析単位期間かつエリアID毎変化率、703 特異分析単位期間かつエリアID変化率、801 表示画面、901 表示装置、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、910 システムユニット、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群、931 電話器、932 ファクシミリ機、940 インターネット、941 ゲートウェイ、942 LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリアを有する所定の領域において取得される複数のデータについて分析し、分析した結果を可視化する分析結果可視化装置において、
前記複数のデータの各データを、当該データが取得された日時と当該データが取得されたエリアを識別するエリアIDと当該データのデータ種別とに対応付けてデータ管理情報として記憶装置に記憶するデータ管理情報記憶部と、
前記データ管理情報記憶部により記憶された前記データ管理情報から分析の対象となるデータを生成するための分析対象期間を入力装置により入力する分析条件入力部と、
前記データ管理情報の中から前記日時が前記分析条件入力部により入力された前記分析対象期間内にあるデータを処理装置により抽出し、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、エリアIDかつデータ種別が異なる複数の分析対象データを生成して記憶装置に記憶する分析対象データ生成部と、
前記分析対象データ生成部により生成された前記複数の分析対象データと、前記複数の分析対象データと比較するデータとして予め記憶装置に記憶されているエリアIDかつデータ種別が異なる複数の比較対象データとを、エリアIDかつデータ種別毎に各々比較してエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出し、算出したエリアIDかつデータ種別毎の比較値をエリアID毎に処理装置により集計し、エリアID毎比較値として記憶装置に記憶するエリアID毎比較値算出部と、
前記エリアID毎比較値算出部により算出された前記エリアID毎比較値と、予め記憶装置に記憶されている所定の閾値とを処理装置により比較して、前記所定の閾値よりも高い値を示すエリアID毎比較値を特異エリアID比較値として記憶装置に記憶する特異エリアID比較値記憶部と、
X軸とY軸とからなる2次元座標により前記所定の領域を表わすとともに、Z軸からなる1次元座標により前記分析対象期間を表す3次元空間モデルを表示装置に表示する3次元空間モデル表示部であって、前記3次元空間モデルの中で、前記2次元座標が前記特異エリアID比較値記憶部により記憶された前記特異エリアID比較値に対応するエリアを示す3次元空間の範囲を特異範囲として特定の模様で表示する3次元空間モデル表示部と
を備えることを特徴とする分析結果可視化装置。
【請求項2】
前記分析条件入力部は、さらに、
前記分析対象期間を所定の数に分割する単位時間を入力装置により入力し、
前記分析対象データ生成部は、
前記分析対象期間が前記単位時間により所定の数に分割された複数の分析単位期間の各分析単位期間毎に、前記抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、各分析単位期間毎の前記複数の分析対象データを生成して記憶装置に記憶し、
前記エリアID毎比較値算出部は、
各分析単位期間毎の前記複数の分析対象データと、予め記憶装置に記憶されている各分析単位期間毎の前記複数の比較対象データとを、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎に各々比較して、分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出し、算出した分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎の比較値を分析単位期間かつエリアID毎に処理装置により集計し、分析単位期間かつエリアID毎比較値として記憶装置に記憶し、
前記特異エリアID比較値記憶部は、
前記分析単位期間かつエリアID毎比較値と、前記所定の閾値とを処理装置により比較して、前記所定の閾値よりも高い値を示す分析単位期間かつエリアID毎比較値を特異分析単位期間かつエリアID比較値として記憶装置に記憶し、
前記3次元空間モデル表示部は、
前記3次元空間モデルの中で、前記2次元座標が前記特異分析単位期間かつエリアID比較値に対応するエリアを示すとともに前記1次元座標が前記特異分析単位期間かつエリアID比較値に対応する分析単位期間を示す3次元空間の範囲を前記特異範囲として特定の模様で表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の分析結果可視化装置。
【請求項3】
前記分析結果可視化装置は、さらに、
前記データ管理情報記憶部により記憶された前記データ管理情報から比較の対象となるデータを生成するための比較対象期間を入力装置により入力する比較条件入力部と、
前記データ管理情報の中から前記日時が前記比較条件入力部により入力された前記比較対象期間内にあるデータを処理装置により抽出し、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、エリアIDかつデータ種別が異なる前記複数の比較対象データを生成して記憶装置に記憶する比較対象データ生成部と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の分析結果可視化装置。
【請求項4】
前記エリアID毎比較値算出部は、
前記算出した分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎の比較値を分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎比較値として記憶装置に記憶し、
前記分析結果可視化装置は、さらに、
前記3次元空間モデルの中に表示された前記特異範囲の中から選択された選択特異範囲を入力装置により入力する選択特異範囲入力部と、
前記選択特異範囲入力部により入力された選択特異範囲に対応する分析単位期間と前記選択特異範囲に対応するエリアIDとに基づいて、当該分析単位期間かつエリアIDの分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎比較値を記憶装置より抽出し、抽出した分析単位期間かつエリアIDかつデータ種別毎比較値をデータ種別毎に表示装置に表示する特異範囲詳細表示部と
を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の分析結果可視化装置。
【請求項5】
エリアを有する所定の領域において取得される複数のデータについて分析し、分析した結果を可視化する分析結果可視化装置の分析結果可視化方法において、
データ管理情報記憶部が、前記複数のデータの各データを、当該データが取得された日時と当該データが取得されたエリアを識別するエリアIDと当該データのデータ種別とに対応付けてデータ管理情報として記憶装置に記憶するデータ管理情報記憶ステップと、
分析条件入力部が、前記データ管理情報記憶ステップにより記憶された前記データ管理情報から分析の対象となるデータを生成するための分析対象期間を入力装置により入力する分析条件入力ステップと、
分析対象データ生成部が、前記データ管理情報の中から前記日時が前記分析条件入力ステップにより入力された前記分析対象期間内にあるデータを処理装置により抽出し、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、エリアIDかつデータ種別が異なる複数の分析対象データを生成して記憶装置に記憶する分析対象データ生成ステップと、
エリアID毎比較値算出部が、前記分析対象データ生成ステップにより生成された前記複数の分析対象データと、前記複数の分析対象データと比較するデータとして予め記憶装置に記憶されているエリアIDかつデータ種別が異なる複数の比較対象データとを、エリアIDかつデータ種別毎に各々比較してエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出し、算出したエリアIDかつデータ種別毎の比較値をエリアID毎に処理装置により集計し、エリアID毎比較値として記憶装置に記憶するエリアID毎比較値算出ステップと、
特異エリアID比較値記憶部が、前記エリアID毎比較値算出ステップにより算出された前記エリアID毎比較値と、予め記憶装置に記憶されている所定の閾値とを処理装置により比較して、前記所定の閾値よりも高い値を示すエリアID毎比較値を特異エリアID比較値として記憶装置に記憶する特異エリアID比較値記憶ステップと、
3次元空間モデル表示部が、X軸とY軸とからなる2次元座標により前記所定の領域を表わすとともに、Z軸からなる1次元座標により前記分析対象期間を表す3次元空間モデルを表示装置に表示する3次元空間モデル表示ステップであって、前記3次元空間モデルの中で、前記2次元座標が前記特異エリアID比較値記憶ステップにより記憶された前記特異エリアID比較値に対応するエリアを示す3次元空間の範囲を特異範囲として特定の模様で表示する3次元空間モデル表示ステップと
を備えることを特徴とする分析結果可視化装置の分析結果可視化方法。
【請求項6】
エリアを有する所定の領域において取得される複数のデータについて分析し、分析した結果を可視化するコンピュータである分析結果可視化装置の分析結果可視化プログラムにおいて、
前記複数のデータの各データを、当該データが取得された日時と当該データが取得されたエリアを識別するエリアIDと当該データのデータ種別とに対応付けてデータ管理情報として記憶装置に記憶するデータ管理情報記憶処理と、
前記データ管理情報記憶処理により記憶された前記データ管理情報から分析の対象となるデータを生成するための分析対象期間を入力装置により入力する分析条件入力処理と、
前記データ管理情報の中から前記日時が前記分析条件入力処理により入力された前記分析対象期間内にあるデータを処理装置により抽出し、抽出したデータをエリアIDかつデータ種別毎に処理装置により集計し、エリアIDかつデータ種別が異なる複数の分析対象データを生成して記憶装置に記憶する分析対象データ生成処理と、
前記分析対象データ生成処理により生成された前記複数の分析対象データと、前記複数の分析対象データと比較するデータとして予め記憶装置に記憶されているエリアIDかつデータ種別が異なる複数の比較対象データとを、エリアIDかつデータ種別毎に各々比較してエリアIDかつデータ種別毎の比較値を処理装置により算出し、算出したエリアIDかつデータ種別毎の比較値をエリアID毎に処理装置により集計し、エリアID毎比較値として記憶装置に記憶するエリアID毎比較値算出処理と、
前記エリアID毎比較値算出処理により算出された前記エリアID毎比較値と、予め記憶装置に記憶されている所定の閾値とを処理装置により比較して、前記所定の閾値よりも高い値を示すエリアID毎比較値を特異エリアID比較値として記憶装置に記憶する特異エリアID比較値記憶処理と、
X軸とY軸とからなる2次元座標により前記所定の領域を表わすとともに、Z軸からなる1次元座標により前記分析対象期間を表す3次元空間モデルを表示装置に表示する3次元空間モデル表示処理であって、前記3次元空間モデルの中で、前記2次元座標が前記特異エリアID比較値記憶処理により記憶された前記特異エリアID比較値に対応するエリアを示す3次元空間の範囲を特異範囲として特定の模様で表示する3次元空間モデル表示処理と
を前記コンピュータである分析結果可視化装置に実行させることを特徴とする分析結果可視化装置の分析結果可視化プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−250769(P2010−250769A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102316(P2009−102316)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】