説明

分泌物試験物品

本発明は、pH指示薬ポリマーマトリックス、及び膣分泌物を特定するためにそれを用いる方法を教示する。ヒトから分泌された生物学的流体を吸収するための支持体、並びに正常の緩衝能力を有する身体流体とは異なって低い緩衝能力を有する生物学的流体と反応する少なくとも一つのpH決定試薬を含有する生体適合性pH指示薬ポリマーマトリックスを有する、分泌された生物学的流体の特定のための分泌物モニター物品が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羊水、又は細菌、寄生虫、真菌もしくは酵母菌の感染症に関連する膣分泌物のような分泌物の改良された診断を提供するpH指示薬ポリマーマトリックスを含有する分泌物試験物品に関する。本発明は、さらに分泌物試験物品を製造する及び用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膣分泌物のpHを特定することによるような膣分泌物の化学的及び物理的性質を特定することにより、多くの医学的状態が診断され得る。例えば、米国特許第5,217,444号、第5,823,953号及び第6,106,461号において、pH指示薬を有するパンティーシールドに関するいくつかの器具が当業者に知られている。それらの器具は、使用者により着用され得て、分泌物があるときには必ずpH指示薬により、すぐに検出される。PCT出願公開WO01/13097号には、親水性合成膜支持体に結合された指示薬を有するパンティーシールドのような親水性合成膜支持体に結合された指示薬及び器具が開示されている。
【0003】
しかし、それらのpH指示薬での一般的な問題は、それらのpH指示薬が生物学的流体を乾燥、干渉するときの及び乾燥/湿潤の繰り返されるサイクルにおけるpHの変化による「偽陽性」をしばしば与えてしまうことである。尿の存在によるような類似のpHを有する回収された複数の流体の存在により、しばしば膣分泌物は指示薬によっては絶対的な確実さでは特定され得ない。それらの「偽陽性」読みは使用者にとってストレスが多く、時間が消費される。それらの「偽陽性」読みを最少にする器具が必要とされている。
【0004】
細菌性膣症(BV)は、嫌気性細菌によりもたらされる膣における緩和な感染である。BVは、増大した量の悪臭の膣分泌物の生成により特徴付けられる。BVでの女性の膣分泌物は、水っぽい(低粘性の)オフホワイト−グレー(乳様の粘稠度)の及び均質である(明確にはカード(curd)様でない)と記載されている。細胞外流液の漏出による水含量の増加により、低緩衝能力溶液をもたらす媒質の希釈がもたらされる。BVについての診断基準の一つは、膣分泌物のpHである。BVに罹った患者の膣分泌物は、4.7乃至6.5のpHを有する。健康な患者の尿は、5.0乃至8.0のpHを有するので、pHに基づく指示薬試験を用いるのみで高度な信頼度で、分泌物がBVに起因すると診断することは非常に難しい。本技術分野において知られている一つの解決法は、通常、尿が見出されない膣内からの流体を採取することである。これは不快であり、医療専門家を訪れる必要がある。
【0005】
膣分泌物のpHに基づく診断に影響を与えやすい他の臨床上の状態は、妊娠中の羊水漏出の特定である。妊娠中には、羊膜嚢の一体性が傷つけられ得て、少量の羊水が頸部を通り膣から漏出し得る。そのように診断された場合、患者の静養又は生物学的糊を用いる羊膜嚢の密封のような手段が指示され得る。そのように診断されない場合には、羊膜嚢は後に破れ得て流産をしてしまうか又は女性と乳児の入院を必要とする。乳児が未熟で生まれた場合、死又は深刻な障害が結果となり得る。保育器における乳児の長期の入院がしばしば必要となる。
【0006】
羊水漏出の深刻な結果により、妊娠した女性は、膣付近からの液体の分泌時にしばしば医療専門家を訪ねる。医療専門家は、膣分泌物のpHを調べることにより、6.0乃至8.0のpHレベルを有する羊水の存在を捜す。日常業務的に、顕微鏡を用いて、羊水を示すシダ形状模様の存在についてそのような膣分泌物が検査される。
【0007】
本技術分野において知られているように、通常は、pH指示薬は、紙のような固体の支持体に結合されている。pHを決定することが必要である液体の試料がその支持体に付けられる。色の一つ又は複数の標準と、支持体に存在する指示薬の色とを比較することにより、液体のpHが決定される。指示薬が支持体にどのように結合されるかによっては、液体試料の適用は、支持体から指示薬を浸出させ得る。指示薬の浸出は望ましくなく、従って指示薬は、支持体にしばしば実質的に固定される。浸出した指示薬又は生体適合性でない指示薬の使用は、患者の組織及び患者の健康に有害であり得る。
【0008】
米国特許第6,126,597号(’597特許)、及び’597特許の一部係属出願の米国特許第6,149,590号(’590特許)には、膣分泌物における羊水の存在を特定するために形成されたpH指示薬を有する衛生ナプキンの形態における器具に向けられている。’597特許及び’590特許は、偽陽性結果を与える問題を受けやすい。’590特許の器具は、器具に膣分泌物の一部を集めるように形成された、顕微鏡で視覚化できるスライドをさらに含ませることにより、この問題に取り組んでいる。その指示薬が羊水のpHに相当するpHを示した場合、その使用者は、医療専門家にそのスライドを提出する。その医療専門家は顕微鏡を用いてそのスライドを、羊水の存在を示すシダ形状模様について検査する。
【0009】
この器具に関連する2つの欠点がある。一つは、患者は、陽性と偽陽性とを区別するために医療専門家を訪れることを必要とすることであり、二つ目は、羊水が実際に漏出しているかを決定するために専門家がスライドを検査するのにかなりの時間が失われることである。
【0010】
米国特許第5,897,834号には、尿と、膣症に関連する膣分泌物との又は尿と羊水との区別化のための臨床的設定に有用な器具が開示されている。その器具には、第四アンモニウム基を有する固体のポリマー支持体に固定された陰電荷された基を有する指示薬の使用を含む。さらに、その器具は、気体アミン放出試薬及びアミン指示薬を含んでいる。第四アンモニウム基を有するポリマー支持体の使用は、pH依存性色移行を鋭敏にする利点を有すると開示されている。しかし、そのポリマー支持体は、非臨床的設定においてあまり有用でないことが見出された。乾燥された膣分泌物の示されたpHは、膣症を示すと誤診されるほど十分に低い。従って、米国特許第5,897,834号に開示された器具は、医療専門家が膣分泌物を器具に付け、色の変化を観察する臨床的設定では有用であるが、パンティーシールドのような患者が使用できる器具に一体化される場合、その器具は、十二分に偽陽性結果を与える。
【0011】
米国特許第6,627,394号において、本発明の発明者らは、尿との接触による偽陽性結果を与えることがない膣症又は羊水漏出の検出のための、支持体に結合させた少なくとも一つのpH指示薬、及び支持体に結合させたウレアーゼを含有する試薬を有する診断器具を開示した。
【0012】
例えば米国特許第6,013,036号、第5,738,634号、第5,664,579号、5,577,512号及び5,425,377号に開示されているように、pH指示薬を有する綿棒に関するいくつの器具が本技術分野において知られている。pH指示薬用に綿棒支持体を用いる利点は、膣から直接、膣分泌物のpHをモニターする能力である。先に記載したように、健康な患者からの尿は5.0乃至8.0のpHを有する。細菌性膣症又は寄生虫感染を有する患者からの分泌物も4.7乃至6.5のpHを有する。綿棒を用いて膣から直接、膣分泌物のpHをモニターすることは、尿とのpH指示薬の接触による偽陽性の結果を防ぐ。しかし、それらの公知の綿棒系pH指示薬での一般的問題は、pH指示薬の反応が分泌物の緩衝能力に依存するものではないということである。
【0013】
pH指示薬を含有する綿棒の他の問題は、その指示薬が支持体から浸出する傾向を有するか又は指示薬が生体適合性ではないということである。例えば、綿棒に結合させたニトラジンのような指示薬染料が支持体から浸出する傾向を有する。本技術分野において公知の指示薬物質の他の例は生体適合性でない物質から構成されている。生体適合性は、USP基準による第0度細胞毒性、第0度皮膚刺激性及び第0度感作により決定される。
【0014】
本技術分野で知られているように、pH指示薬でのさらに他の問題は、色の観察はカラースケールを必要とし、膣における細菌性膣症、カンジダ及びトリコモナスの検出のための感度及び特異性度が最適ではないことである。
【0015】
支持体から浸出せず、生体適合性であり、かつ細菌性膣症又は羊水漏出を診断することにおいて高い精度を与える羊水漏出又は細菌性膣症に関連する膣分泌物の検出に適する指示薬系に対する対処されていない要望がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、身体流体のpHの決定のための疎水性ポリマーマトリックスにおいて固定されたpH指示薬の分野に関する。予期しないことに、本発明の指示薬系は、正常の緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する分泌物とでは異なった反応をする。その指示薬系は、分泌された生物学的流体が前記生物学的流体の緩衝能力に依存して所定のpHレベル範囲を超えるpHレベルを有することを特定するために生物学的流体が指示薬系との可能な反応のために接触するような吸収材物質に関連する。
【0017】
本発明による生体適合性pH指示薬ポリマーを含有する物品は、使用者に多くの形態で提供され得る。いくつかの形態は外部の使用に適しており、他の形態は膣内での用途に適合している。一つの態様では、ポリマーマトリックス成分は、生物適合性成分からのみ選ばれる。この組成物は、非常に高い精度で膣内での膣分泌物を特定することができる綿棒又はストリップの形態である態様において好ましい。
【0018】
他の態様によると、本発明による物品は、パンティーシールド、衛生ナプキン又はオムツの形態である。分泌物試験物品が、パンティーシールドである態様では、本発明によるポリマーpH指示薬は、膣分泌物と尿とを区別することができる。
【0019】
男性又は女性、若い人又は老人のいずれの使用者もその物品を用いることができる。本明細書に記載された本発明の特定の例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明が用いられ得る多くの可能な形態を、単に例示し、表わすものである。
【0020】
一つの面において、本発明は、非常に高い精度で、細菌性膣症に関連する分泌物のような膣分泌物を診断することができる少なくとも一つのpH決定試薬を有する生体適合性pH指示薬ポリマーマトリックスを含有する改良された含浸された綿棒又はストリップを提供する。pH決定試薬を含有する綿棒又はストリップは、膣との直接の接触用に適合しており、正常の緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する分泌物とでは異なった反応をすることができる。本発明において用いられる試薬は、USP基準により第0度の細胞毒性及び第0度の感作を有する。従って、本発明のpH指示薬ポリマーマトリックスは、その物品と膣組織とを分離させるためのカバー又は被覆物を必要とせずに用いられ得る。
【0021】
他の面では、本発明のpH指示薬ポリマーは、装着されている間にその流体を吸収するために、長期間、ヒトの膣部付近に維持される物品に結合される。その後に、生物学的流体が回収されヒトの健康状態を決定するために、その物品は取り出され、観察される。本発明によるpH指示薬ポリマーは、プロトン化されたアミンカチオンを含有しない流体と、プロトン化されたアミンカチオンを含有する流体(尿のような)とでは異なった反応をするので、そのpH指示薬ポリマーは膣分泌物と尿とを区別することができる。好ましい物品は、例えば、パンティーシールド、衛生ナプキン又はオムツである。
【0022】
本発明の発明者らは、予期しないことに、本指示薬系が、正常の緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する分泌物(細菌性膣症分泌物のような)とでは異なった反応をすることを見出した。特に、膣分泌物が正常の膣分泌物における正常の緩衝能力を有する(好ましくは、10mMより高いイオン濃度を有する膣分泌物)場合、ニトラジンイエローポリマーマトリックスの色は、膣分泌物のpHが5より高い場合に黄色から緑/青に変化する。しかし、細菌性膣症におけるような緩衝能力が低い(好ましくは、10mMより低いイオン濃度を有する膣分泌物)場合、pH指示薬の色は、膣分泌物のpHが4.3乃至5.0の範囲である場合に黄色から緑/青に変わる。pH5より低いpH値における色の移行は、従来の固定されたpH指示薬が用いられる場合に見落とし得る偽陰性の細菌性膣症の確率を低減することができる。このように、本発明の新規な指示薬系は、膣分泌物の直接の試験を用いて迅速なそして安定した色の応答を有して細菌性膣症ケースの95%を超える特定を可能にする。
【0023】
低い緩衝能力を有する膣分泌物を検出することにおける本発明の指示薬系の増大された感受性に加え、本発明のpH指示薬ポリマーマトリックスは、従来技術を超える付加的な利点を示す。本発明のpH指示薬ポリマーマトリックスは、尿においてのみ実質的な量で存在し、特定すべき他の生物学的流体中には存在しないプロトン化されたアミンカチオンにより、尿とは異なった反応をすることができる。このように、尿のpHは、羊水又はBV分泌物のpHと重複するが、本発明のpH指示薬ポリマーマトリックスは、尿のみにおける多量のプロトン化されたアミンカチオンの存在により、尿と羊水又はBV分泌物とを区別することができる。
【0024】
好ましい態様において、本発明の物品は、ヒトの膣内の身体流体を直接試験するための綿棒又はストリップの先に付けられた吸収材物質及び指示薬系を含有する。綿棒又はストリップの使用は、尿とのその指示薬の接触がその結果を干渉するリスクを低減させる。さらに、生物学的流体が、その流体のpHの即時の信頼性を有する表示が得られるように指示薬系と接触するように、その指示薬系が吸収材物質と結合される。本発明の物品は、その指示薬の毒性又は浸出の懸念なく、女性の膣内の身体流体の直接的な試験に用いられ得る。
【0025】
他の態様において、本発明の物品は、パンティーシールド、衛生ナプキン又はオムツに付けられた吸収材物質及び指示薬系を含有する。この態様により、本発明のpH指示薬ポリマーマトリックスは、物品が装着された間、その流体を吸収するために長時間ヒトの膣部の付近に維持されている物品に付けられる。
【0026】
本発明のpH指示薬は、結果を判断するためにカラースケールを必要としない。膣分泌物との接触のあとに指示薬により生じた色は、1時間以下は安定に維持され、液体と接触した場合でさえ、浸出しない。
【0027】
種々の態様により、本物品は、羊水、又は細菌、寄生虫、真菌又は酵母菌の感染症に関連する分泌物の存在を即時の色応答で示すために用いられ得て、色の変化は、試験された膣分泌物の緩衝能力に依存する。通常、細菌性膣症又はトリコモナス感染症の場合における膣分泌物のpH範囲はpH5を超え、緩衝能力は、10mM未満である。カンジダの場合は、膣分泌物のpHレベルは通常、4.3未満であり、緩衝能力は10mMより高く、BVのカンジダとの混合感染の場合は、緩衝能力は、10mM未満である。指示薬系組成物は、正常の緩衝能力により特徴付けられる正常の又はカンジダにより感染された膣分泌物と、低い緩衝能力により特徴付けられる細菌に感染された膣分泌物とを区別することができる。本発明の物品が、正常よりも低い緩衝能力を有する細菌に又は寄生虫に感染された膣分泌物により接触された場合に、4.3乃至5.0のpH範囲でpH指示薬ポリマーマトリックスの色は変化する。
【0028】
本発明は、さらに分泌物をモニターする物品を製造する及び用いる方法に関する。本発明は、pH指示薬ポリマーマトリックス、及びその指示薬を支持体に含浸させる方法を提供する。本発明は、正常の緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する生物学的流体とでは異なった反応をする指示薬を含有する、分泌物をモニターする物品を用いてヒトの健康状態をモニターする方法をさらに提供する。
【0029】
本発明の物品は、綿棒、ストリップ、ガーゼ、パンティーシールド、衛生ナプキン、オムツの形態であり得るか、専門家による専門病院における又は自己検査のために家庭における使用者により用いられるための他の吸収材構造体であることができる。本明細書に記載された本発明の特定の例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明が用いられ得る多くの可能な形態を単に例示し、表わすものである。
【0030】
好ましくは、本物品は、専門家による専門病院において又は自己検査のために家庭において膣により分泌された流体と接触させるように吸収体を配置するための据付手段を有し、そのような据付手段は、例えば綿棒先端もしくはストリップ、物品に結合された接着性ストリップ又は他の結合部材である。
【0031】
これらの及び他の態様は、以下に記載される詳細な記載及び実施例により明らかになるであろう。
【0032】
詳細な記載
本発明は、分泌物モニター物品、並びに専門家又は訓練されていない使用者の両方に、高精度で細菌性膣症に関連する分泌物のような分泌された生物学的流体をモニターさせる前記物品を用いるための方法を提供する。本発明は、pHポリマーマトリックス、並びにその混合物を支持体に結合させる方法をさらに教示する。好ましい態様において、本物品は、カバー又は親水性被覆物により、ポリマーマトリックス指示薬と膣組織とを分離させる必要なく、膣に直接用い得る含浸された綿棒又はストリップの形態である。
【0033】
細菌性膣症(BV)は、増加した量の悪臭を有する膣分泌物の生成により特徴付けられる。先に記載したように、BVの特徴の一つは、均質な分泌物である。典型的には、BVに罹った女性は、分泌物量における増加を有する。この液体の供給源は、膣壁における上皮細胞を囲んでいる細胞外液(間質液)である。BV分泌物におけるたんぱく質含量及び他の大きな有機分子の低減及び水含量の増加は、分泌物の緩衝能力を低減させる。従って、BVと関連する分泌物は、正常の膣分泌物よりも低い緩衝能力を有する。
【0034】
本発明のpH指示薬ポリマーマトリックスは、従来技術よりも有意な利点を有する。本発明の発明者らは、予期しないことに、本指示薬系は、正常の緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する分泌物(BV分泌物のような)とでは異なった反応をすることを見出した。このように、細菌性膣症におけるような緩衝能力が低い(好ましくは、10mMよりも低いイオン濃度を有する膣分泌物)場合、pH指示薬の色が、膣分泌物のpHが4.3乃至5.0の範囲である場合に変わる。
【0035】
さらに、pH指示薬ポリマーマトリックスは、羊水のような、低濃度のプロトン化されたアミンカチオンを有する他の生物学的流体と反応するのとは異なる仕方で、尿のようなプロトン化されたアミンカチオンを有する流体と反応する特別な組成物から成る。特に、本指示薬系の乾燥過程の間に、尿の指示薬との接触の後に得られる青緑色又は緑色が、乾燥するにつれ消失してしまい、指示薬の色が再び黄色になる。一方、指示薬が羊水と接触したとき、指示薬ストリップは、黄色から緑色又は青緑色に変わり、乾燥したときに消失しない。
【0036】
さらに本発明のpH指示薬ポリマーは、感染された又はたんぱく質含有の尿とは異なって正常の尿と反応する。一つの非限定的な例では、指示薬は、正常の尿(pH5−8)と反応し、色を黄色から緑又は青緑に変える。乾燥過程中、指示薬が乾燥するにつれて正常の尿と接触した指示薬の色の変化は消失し、再び黄色になる。一方、指示薬が、感染された又はたんぱく質含有の尿と接触した場合、指示薬ストリップは色を黄色から緑色又は青緑色に変え、乾燥したときに消失しない。有利なことに、この態様は、すべてのタイプの使用、例えば、小児医学、老年医学及び婦人医学に非常に適しており、使用者に多くの形態で与えられ得る。
【0037】
分泌物モニター物品は、多くの器具及び方法を用いて実施され得る。吸収材物質を含有する本発明の分泌物モニター物品の本体は、例えば、パッド、ガーゼ、綿棒、ファイバーボール、衛生ナプキン、オムツ、パンティーシールド又は唇間構造体の形態で使用者に供給され得る。それらの製造の詳細は、当業者によく知られており、先行技術、例えば米国特許第5,217,444号、第5,897,834号及び第6,149,590号において完全に記載されている。
【0038】
好ましい態様において、本発明の物品は、熟練者又は非熟練使用者のどちらによっても容易に用いられ得る様式で綿棒又はストリップとして与えられ得る。吸収材物質を含有する本発明の分泌物モニター物品の本体は、例えば、綿棒もしくはストリップ、ファイバーボールの形態で、しかし、最も好ましくは綿棒構造体として使用者に供給され得る。いずれの使用者も種々の形態で本物品を用い得る。本明細書に記載されている本発明の特定の例は、本発明の範囲を限定することを意図するものでなく、本発明が用いられ得る多くの可能な形態を単に例示し、表わすものである。
【0039】
さらに、いずれの使用者、男性又は女性、若年者又は老人も本物品を種々の形態で用いることができる。本明細書に記載されている本発明の特定の例は、本発明の範囲を限定することを意図するものでなく、本発明が用いられ得る多くの可能な形態を単に例示し、表わすものである。
【0040】
本指示系のpH決定部材は、どのようなpH決定器具であってもよく、例えば、色が変化する指示薬(例えば、リトマス紙)又は可動性pHプローブとしてであることができる。しかし、pH決定部材は、後に明細書に記載されているpH指示薬混合物から製造され、及び/又はその混合物を支持体に結合させる方法を用いるpH決定部材のような色が変化する指示薬であることが好ましい。一つより多いpH決定部材は、本指示薬系の一部であり得る。pH決定部材は、実質的に異なるpH範囲を決定することができるか、又は異なる生物学的流体と異なって反応することができ、異なる色変化を生じることができなくてはならない。
【0041】
分泌物モニター物品の好ましい態様において、分泌された生物学的流体の回収を容易にするために物品に取り付けるための手段が含まれる。本技術分野でよく知られている取り付け手段の例は、その物品に結合された接着性ストリップである。好ましい態様では、本物品は、一つ以上の接着性ストリップを有する。使用者は、剥離テープを取り除き、物品の接着性ストリップを露出させ、本物品を下着の股部分に配置する。それにより、本物品が通例の使用中に位置からはずれて動くのが防止される。用いられ得る接着性化合物は、本技術分野でよく知られている。
【0042】
pH指示薬ポリマーマトリックスは、多くの物質、例えば、ポリプロピレン、紙又は綿、ポリエステル膜から作られ得る支持体上に含浸され、膜、織物、メッシュ、ガーゼ、糸、繊維及びシートを含む多くの構造から成る。pH指示薬ポリマーマトリックスは、予備形成されたポリマー(セルロースのような)、可塑剤、湿潤剤、イオンバランス試薬及び指示薬の混合物を含有する。いくつかのケースでは、溶媒をその混合物に添加することが好ましい。その混合物への可塑剤、湿潤剤、イオンバランス試薬及び指示薬の添加の後に、ポリマー溶液が重合されることも可能である。例えば、支持体をその混合物中に浸すことにより又はその混合物を支持体上に噴霧するかもしくは塗布することにより、その混合物は支持体に付けられる。付けられた混合物を有する支持体を乾燥させる。乾燥したときに、pH指示薬ポリマーは、支持体に結合される。
【0043】
本発明の一つの態様では、pH指示薬は、適する溶液中のポリマーと混合され得て、次に支持体に付けられ得る。特定の態様によれば、ポリマー溶液は、予備形成されたポリマー、可塑剤、湿潤剤、イオンバランス試薬、溶媒及び指示薬を含有して製造される。
【0044】
特定の態様において、本発明による綿棒又はストリップを含む、膣組織との直接の接触における使用に適するためには、生体適合性の非毒性ポリマーを選ぶことが重要である。綿棒又はストリップに適するpH指示薬ポリマーマトリックス溶液において用いられるポリマーは、ニトロセルロース(CAS 9004−70−0)、酢酸セルロース(CAS 9004−35−7)又はエチルセルロース(CAS 9004−57−3)のようなセルロースポリマーが好ましいが、種々の非毒性ポリマーから選ばれ得る。そのポリマーは、溶液の10重量%乃至40重量%を構成する。好ましくは、ポリマーは、溶液の15重量%乃至35重量%を構成し、より好ましくは、溶液の20重量%乃至33重量%を構成し、最も好ましくは、ポリマーは、溶液の24重量%乃至28重量%を構成する。当業者には明白であるように、一つのポリマー溶液をつくる場合、適するポリマーの組み合わせを使用することも可能である。
【0045】
いずれの非毒性の適する可塑剤も用いられ得るが、ビス(2−エチルヘキシル) セバケート(DOS、CAS 122−62−3)、フタル酸ジエチル(DEP、CAS 84−66−2)、フタル酸ジオクチル(DOP、CAS 117−81−7)が好ましい。可塑剤は、溶液の1重量%乃至30重量%を構成する。可塑剤が溶液の2重量%乃至25重量%を構成するのが好ましく、溶液の3重量%乃至23重量%を構成するのがより好ましく、溶液の4重量%乃至22重量%を構成するのが最も好ましい。当業者には明白なように、ポリマー溶液を製造する場合、適する可塑剤の組み合わせを用いることも可能である。
【0046】
いずれの適する揮発性の湿潤剤も用いられ得るが、トリエチレングリコール(CAS 112−27−6)、エチレングリコール(CAS 107−21−1)又は2−エトキシエタノール(CAS 110−80−5)が好ましい。湿潤剤は、溶液の10重量%乃至40重量%を構成する。湿潤剤が、溶液の15重量%乃至35重量%を構成するのが好ましく、溶液の20重量%乃至33重量%を構成するのがより好ましく、溶液の24重量%乃至28重量%を構成するのが最も好ましい。当業者には明白であるように、ポリマー溶液をつくる場合、適する湿潤剤の組み合わせを用いることも可能である。
【0047】
いずれの適する非毒性のイオンバランス試薬も用いられ得るが、塩化トリドデシルメチルアンモニウム(TDMACl、CAS 7173−54−8)が好ましい。イオンバランス試薬は、溶液の0.1重量%乃至10重量%を構成する。イオンバランス試薬は、溶液の0.5重量%乃至8重量%を構成するのが好ましく、溶液の0.8重量%乃至7重量%を構成するのがより好ましく、溶液の1重量%乃至5重量%を構成するのが最も好ましい。当業者に明白であるように、ポリマー溶液をつくる場合、適するイオンバランス試薬の組み合わせを用いることも可能である。
【0048】
パッド、ガーゼ、ファイバーボールに好ましく適する、しかし、衛生ナプキン、オムツ、パンティーシールド及び唇間(interlabial)構造体として最も好ましく、pH指示薬ポリマーマトリックス溶液において用いられるポリマーは、ニトロセルロース(CAS 9004−70−0)、酢酸セルロース(CAS 9004−35−7)又はエチルセルロース(CAS 9004−57−3)のようなセルロースポリマーが好ましいが、種々の予備形成されたポリマーから選ばれ得る。その予備形成されたポリマーは、溶液の20重量%乃至50重量%を構成する。ポリマーは、溶液の25重量%乃至45重量%を構成するのが好ましく、溶液の30重量%乃至43重量%を構成するのがより好ましく、溶液の33重量%乃至36重量%を構成するのが最も好ましい。当業者には明白であるように、一つのポリマー溶液をつくる場合、適する予備形成されたポリマーの組み合わせを使用することも可能である。
【0049】
いずれの適する可塑剤も用いられ得るが、ビス(2−ブトキシエチル) アジペート(BBPA、CAS 141−18−4)、ビス(2−エチルヘキシル) セバケート(DOS、CAS 122−62−3)、フタル酸ジエチル(DEP、CAS 84−66−2)又はフタル酸ジブチル(DBP、CAS 84−74−2)が好ましい。可塑剤は、溶液の15重量%乃至40重量%を構成する。可塑剤が溶液の20重量%乃至35重量%を構成するのが好ましく、溶液の21重量%乃至31重量%を構成するのがより好ましく、溶液の23重量%乃至26重量%を構成するのが最も好ましい。当業者には明白なように、一つのポリマー溶液をつくる場合、適する可塑剤の組み合わせを用いることも可能である。
【0050】
いずれの適する揮発性の湿潤剤も用いられ得るが、トリエチレングリコール(CAS 112−27−6)、エチレングリコール(CAS 107−21−1)又は2−エトキシエタノール(CAS 110−80−5)が好ましい。湿潤剤は、溶液の15重量%乃至45重量%を構成する。湿潤剤が、溶液の21重量%乃至40重量%を構成するのが好ましく、溶液の26重量%乃至39重量%を構成するのがより好ましく、溶液の33重量%乃至36重量%を構成するのが最も好ましい。当業者には明白であるように、一つのポリマー溶液をつくる場合、適する湿潤剤の組み合わせを用いることも好ましい。
【0051】
いずれの適するイオンバランス試薬も用いられ得るが、塩化トリカプリリルメチルアンモニウム(Aliquat 336、CAS 5137−55−3)、塩化トリドデシルメチルアンモニウム(TDMAC、CAS 7173−54−8)又は塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC、CAS 112−02−7)が好ましい。イオンバランス試薬は、溶液の0.1重量%乃至10重量%を構成する。イオンバランス試薬は、溶液の1重量%乃至8重量%を構成するのが好ましく、溶液の3重量%乃至7重量%を構成するのがより好ましく、溶液の4重量%乃至6重量%を構成するのが最も好ましい。当業者に明白であるように、一つのポリマー溶液をつくる場合、適するイオンバランス試薬の組み合わせを用いることも可能である。
【0052】
溶液の成分の実際の量は、予備形成されたポリマー、可塑剤、湿潤剤及びイオンバランス試薬の重量の合計が100%に等しいように添加されることを理解すべきである。
【0053】
ポリマー溶液の調製の後に、望ましい指示薬がその溶液に添加される。いずれの適する指示薬も用いられ得るが、指示薬分子は、アセテート又はスルホネートのような陰電荷された官能基を有することが好ましい。最も好ましくは、別々に又は組み合わせて用いられる指示薬は、表1に及び米国特許第5,897,834号に記載された指示薬のなかから選ばれる。添加される指示薬の総量は、先に記載されたように、ポリマー溶液の0.05重量%乃至5重量%である。指示薬は、ポリマー溶液の0.05重量%乃至3重量%であるのが好ましく、ポリマー溶液の0.1重量%乃至1重量%であるのがより好ましく、ポリマー溶液の0.2重量%乃至0.5重量%であるのが最も好ましい。
【0054】
pH指示薬ポリマーマトリックス溶液を調製するのにいずれの適する溶媒又は溶媒の混合物も用いられ得るが、好ましい溶媒は、アセトン、酢酸エチル、又はジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルメチルエーテル又はテトラヒドロフランのような実質的に揮発性のエーテルである。溶液に添加される溶媒の量は、いずれかの容易に適用される溶液/指示薬ポリマーマトリックスを製造するのに適する量である。典型的には、900mgの予備形成されたポリマーは、30ml乃至110mlの溶媒中、好ましくは50ml乃至100mlの溶媒中に溶解される。
【0055】
pH指示薬ポリマーマトリックスが用意されたら、適する手段により支持体に付けられる。その混合物は、噴霧もしくは塗布により、又はpH指示薬ポリマーマトリックス中に支持体を浸すことにより、支持体上に付けられ得る。支持体は、ポリエステル膜もしくは織物、ポリプロピレン膜、セルロース膜、紙、綿又は麻のような本技術分野で公知の多くの適する物質であることができる。支持体の構造は、例えば、繊維、メッシュ、ガーゼ、布又は膜であることができる。分泌物モニター物品の本体は、綿棒又はストリップ、ファイバーボールの形態であるのが好ましいが、最も好ましくは、綿棒構造体としてである。混合物の溶媒は、蒸発させる。
【0056】
綿棒の先は、綿棒の棒に巻かれた短いストリップを用いることによるか又は一体化した綿棒の先を被覆することによって作られ得て、その先は、いずれかの網織物から成る。
【0057】
ポリマー溶液の化合物のいくつかは、MSDS[物質安全性データーシート(material safety data sheet)]により毒性として知られているが、分泌物モニター物品を与えるために、その混合物を支持体上に含浸させたら、最終生成物は第0度の細胞毒性、第0度の感作及び第0度の刺激を有する、非毒性、非浸出性及び生体適合性である。
【0058】
指示薬系が含浸される支持体からpH指示薬ポリマーマトリックス成分が実質的に浸出しないことが重要である。支持体への指示薬の結合は、明確に当業者の能力の範囲内である。指示薬系ポリマーマトリックスの一部であるための指示薬としての使用に適する化学的化合物は、スルホンフタレイン系列又はアゾ染料である。適する指示薬には、ニトラジンイエロー、チモールブルー、ブロモチモールブルー、キシレノールブルー、ブロモキシレノールブルー、フェノールレッド、m−クレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、アリザリン、ニュートラルレッド及びクレゾールレッドが含まれる。表1を参照。例えば米国特許第5,897,834号において、他の適する指示薬のリストも見出される。当業者には、本明細書中に特定されて記載されている指示薬は単なる例であり、いずれの適する指示薬も用いられ得ることは明白である。
【0059】
【表1】

【0060】
本発明の特定の態様をより完全に示すために、以下に実施例を記載する。しかし、それらの実施例は、本発明の広範な範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された原則の多くの変更及び改変を想到することが容易にできる。
【実施例】
【0061】
実施例1:ニトラジンイエローpH指示薬ポリマーマトリックスを含有する分泌物試験綿棒の製造
製造方法
1)ポリマーマトリックス指示薬
段階1:アセトン中に酢酸セルロースを24%乃至28%溶解する。
段階2:その溶液にフタル酸ジオクチルを4%乃至22%添加する。
段階3:その溶液に塩化トリドデシルメチルアンモニウムを1%乃至5%添加する。
段階4:その溶液に2−エトキシエタノールを24%乃至28%添加する。
段階5:その溶液に二度蒸留した水24%乃至28%中に溶解したニトラジンイエロー溶液を0.2%乃至0.5%添加する。
段階6:その溶液を綿棒又はストリップに含浸させる。
【0062】
図1は、綿棒の柄に結合されたポリエステルメッシュ1及び指示薬2で構成された綿棒の形態における物品の外観例を提供する。図2において、綿棒の指示薬2は、pHが5より上である場合に、その色が黄色5から青4に変わる。分泌物の緩衝能力が低い場合には、綿棒の指示薬2は、4.3乃至5.0のpH動的範囲においてその色が黄色5から青4に変わる。
【0063】
実施例2:異なる緩衝能力におけるニトラジンイエローpH指示薬ポリマーマトリックスの色の変化
7つの異なるpH値を有する100mMの燐酸塩クエン酸塩緩衝液を調製した。各緩衝液を4つの異なる濃度、50mM、20mM、10mM及び5mMに希釈し、それらのpHを1MのNaOH又は1MのHClを用いて調整した。本発明のニトラジンイエローポリマーマトリックスを各緩衝液中に浸し、色の変化を書きとめ、0=黄色、1=淡緑色、2=緑、3=暗緑色のような数値により表した。表2及び図3にまとめられた結果により示されるように、溶液が50mM又は100mMのイオン濃度を有する場合、pHが5より高い場合に、ニトラジンイエローpH指示薬ポリマーマトリックスは、その色が黄色から緑/青に変わった。イオン濃度が20mMより低い場合、4.3乃至5.0のpH動的範囲において色の変化が生じる。
【0064】
【表2】

【0065】
同じ領域のpH緩衝溶液を用いて市販のニトラジンペーパー[APOTHECON Inc.(ニュージャージ州プリンストン)]を用いて次の実験を行った。ニトラジンペーパーは、どのpH緩衝溶液においても有意には色が変わらなかった。その結果は、市販のニトラジンペーパーは、測定された溶液のpHにおける違いを区別するのに十分に感受性が高くないことを示した。
【0066】
本発明のニトラジンイエローpH指示薬ポリマーマトリックスは、高緩衝能力を有する溶液においてのみpHが5よりも高い場合、その色が黄色から緑/青に変わり、溶液が低い緩衝能力を有する場合、4.3乃至5.0のpH範囲において色の変化が生じ、それについては後に詳細に記載する。
【0067】
市販のニトラジンイエローは、弱酸pHの指示薬であり、水中に溶解した場合に、わずかに解離し、後に記載する共役塩基を生成する。市販のニトラジンペーパーの化学的組成物は親水性であり、ある程度のイオン緩衝能力を有する。従って、市販のニトラジンイエローにおける色の変化は、溶液の緩衝能力に依存性であり、低い緩衝能力を有する溶液においてでさえ、pH5において発現する。
【0068】
市販のニトラジンイエロー指示薬:
【化1】

【0069】
市販の指示薬とは対照的に、本発明のニトラジンイエローpH指示薬ポリマーマトリックスは、有機支持体から構成されているので疎水性であり、従って、イオン性緩衝能力を有しない。従って、本発明のpH指示薬ポリマーマトリックスを用いると、低い緩衝能力を有する溶液において5より低いpHで色の変化を得ることが可能である。従って、本pH指示薬は、その溶液の緩衝能力に依存性である。
【0070】
ニトラジンイエローpH指示薬ポリマーマトリックスの色の変化の機構は、以下の式(ニトラジンイエロー−NY)において記載される:
【化2】

【0071】
本反応は平衡であり、ポリマーの色は、NY錯体に対する遊離のNYの比に依存する。
【0072】
実施例3:膣分泌物の緩衝能力の評価
膣分泌物の緩衝能力を検査するためには、膣分泌物に対する異なる緩衝溶液を0.1NのNaOHで滴定した。
【0073】
膣分泌物を滅菌綿棒で回収した。分泌物採取の前と後に、その滅菌綿棒の重量を化学天秤で計った。次にその分泌物を二度蒸留した水中に溶解し、もう一方の緩衝溶液として0.1MのNaOHで滴定した。膣分泌物の緩衝能力を決定することにおいて、計算における希釈係数をとった。滴定の結果を図4に要約する。
【0074】
図3及び図4に表された結果は、低い緩衝能力特性を有する膣分泌物を検出することにおいて、本発明のニトラジンイエローpH指示薬ポリマーマトリックスは市販のニトラジンペーパーと比較して利点を有することを示している。特に、4.3乃至4.9のpH及び低い緩衝能力を有する感染された膣分泌物は、本発明のpH指示薬ポリマーマトリックスによってのみ検出される。
【0075】
実施例4:羊水漏出と尿失禁によりもたらされる湿潤とを正確に区別することができるパンティーシールド
物品は、埋め込まれた指示薬ストリップを有するシール又はパンティーライナーであることができる。そのストリップは、水溶液中、6.6のpKaを有するpH指示薬ニトラジンイエローを含有する。
【0076】
図5は、ピペット(38)により一滴の液体(40)を浸すことにより、その液滴が微細孔上層(34)の一つの側に吸収され(44)、出てしまわない円錐形状の穴(42)を有する微細孔上層(34)を有するパンティーシールド(32)の一般的な概略透視図である。通常のパンティーシールド(32)のように、吸収材層(36)を有し、女性のパンティーへの結合を支持するための羽(46)を有し得る。
【0077】
図5Aは、吸収材層(3)の上部にpH指示薬ポリマーマトリックス器具(2)を有する本発明の分泌物モニター物品(1)の異なる態様の上面概略図である。
【0078】
図5Bは、色の変化の逆反応時間を速めるために、ミシン目線(5)に沿って吸収材層(3)からpH指示薬ポリマーマトリックス器具(2)を剥ぎ取る尾部(4)によりpH指示薬ポリマーマトリックス器具(2)を引き出すための任意部分を有する本発明の分泌物モニター物品(1)の異なる態様の上面概略図である。
【0079】
図5Cは、尾部(4)によってpH指示薬ポリマーマトリックス器具(2)を引き出すための任意部分を有する本発明の分泌物モニター物品(1)の上面概略図であって、この物品においてpH指示薬は5より高いpHもしくは低緩衝能力の膣分泌物との接触、又は黄色にもどる色の逆反応の前の尿との接触の後で着色されている(6)。
【0080】
図5Dは、5より高いpHもしくは低緩衝能力の膣分泌物、又は黄色にもどる色の逆反応の前の尿との接触の後、尾部(4)を含むpH指示薬ポリマーマトリックス器具(2)のミシン目線に沿って引き出された着色された(6)pH指示薬の上面概略図である。
【0081】
図5Eは、フェルト(7)下部層により10分未満で黄色にもどる尿の着色による色の変化の逆反応時間を速める開放された乾燥箱(11)、並びに箱上部カバー(8)を閉じた後に乾燥箱(11)から蒸気を出させ、上部カバー(8)とフェルト(7)との間の場所にpH指示薬ポリマーマトリックス器具を保持するための止めピン(10)によりその場所を固定させる通気穴(9)を有する上部カバー(8)の位置の異なる態様の上面概略図である。
【0082】
図5Fは、上部カバー(8)を閉めた後に、閉められた乾燥単位器具(11)の中に存在し、通気穴(9)を有する上部カバー(8)とフェルト(7)との間にその場所を固定する尾部(4)を有するpH指示薬ポリマーマトリックス器具(2)の上面概略図である。
【0083】
羊水(pH6乃至8)との指示薬の反応は、その色を黄色から安定した暗青色に変える。尿(pH5乃至8)との指示薬の反応は、その色を、消失する緑又は消失する青緑色に変える。pH5乃至5.5より低いpHを有する尿は、指示薬の色を変えない。
【0084】
羊水との及び尿との指示薬の色の反応間の違いは、2つのパラメーター:流体の化学的組成及び指示薬ポリマーの化学的構造から成る。
【0085】
以下の2つの式は、異なる反応を示す:
【化3】

【0086】
ポリマーマトリックス中のイオンバランス試薬対指示薬の比は、乾燥している間の色の移行点及び色の安定性を制御する。乾燥段階において、イオン対フェノレート(指示薬の活性部位)−イオンバランス試薬は安定であり、そのことにより、色の安定な性能がもたらされる(式1−成分の相対的濃度は変化しない)。ポリマーにおけるイオンバランス試薬の濃度がより高い異なる場合において、指示薬の色は、乾燥している間に暗化する。乾燥中の色の暗化は、イオンバランス試薬の塩基過剰により指示薬のフェノールの持続脱プロトン化による(式1−乾燥中、塩基濃度が高くなり、平衡は右へと変わる)。イオンバランス試薬対指示薬の最適なモル比は10:1である。
【0087】
溶液中のアンモニウムイオンは、イオンバランス試薬のように反応し、フェノレート活性部位と競合する。乾燥中、イオン対フェノレート−アンモニウムは自然に加水分解され、プロトン化された黄色のフェノールを与え(式2)、一方、フェノレート−イオンバランス試薬対は安定である(式1)。
【0088】
媒体がアンモニウムイオンを含有する場合、ポリマー中のイオンバランス試薬と媒体中のアンモニウムイオンの相対的濃度により色の変化が支配される。
【0089】
例えば、25mMのアンモニウムイオンを含有する100mM緩衝溶液において、アンモニウムの濃度が、ポリマー中のイオンバランス試薬よりも二桁高い。それらの差が溶液における青緑色及び乾燥時の退色を支配する。
【0090】
尿は、アンモニウムイオンを30乃至50mMの濃度で含有し、羊水は実質量のアンモニウムイオンを含有せず、従って、尿が退色作用をもたらすように、退色作用をもたらさない。
【0091】
製造方法
段階1:5mlのアセトンに、150mgの酢酸セルロース、107μlのジブチルフタレート、23μlのアリコート、150μlの2−エトキシエタノール、及び150μlのDDW中に溶解した2.4mgのニトラジンイエローを添加する。
段階2:その混合物を数分間攪拌し、完全に溶解させる。
段階3:ポリエステルモノフィラメント網織物にそのポリマー溶液を塗布し、所望の生成物を与える。
【0092】
実施例5:正常の尿と感染した尿とを正確に区別することができる器具
特定の患者における尿路感染症の再発では、その患者が新たな尿路感染症に罹っているか否かについて迅速にかつ容易に診断する必要がある。現在、患者が尿路感染症に罹っているかを決定するために、患者は、予約をし、医師を訪ねなくてはならない。さらに、その患者が尿路感染症の再発を起こしやすい場合、その感染症が再発していないことを確かめるために医院に定期的に行かなくてはならない。使用者が再び尿路感染症に罹っているかを決定することができる器具があるなら、医院を訪れることによるストレスと消費する時間を最少にし、その感染のより迅速な診断がなされ、患者が受ける苦痛を低減させ、感染症のより時宣を得た治療をさせる。
【0093】
本実施例における物品は、正常の尿と感染した尿とを区別することができる指示薬を有するオムツ又はパンティーライナーである。使用者は、尿がその物品と接触することができるように、その物品を装着する。尿(pH5乃至8)との指示薬の反応は、その色を黄色から緑又は青緑色に変える。室温における指示薬ストリップの乾燥段階は短い(10分)。正常な尿が指示薬ストリップと接触する場合、乾燥する間に色の変化は褪せる。その色の変化は完全に可逆性であり、ストリップは再び黄色になる。一方、感染した尿が指示薬ストリップと接触する場合、色が緑又は青緑に変化し、乾燥中に変わらない。
【0094】
色変化の可逆性は、環境の2つの異なる因子に依存する:
1.化学的環境
a.流体のpHレベル−pKaよりも高いpHレベルは安定な色変化を与える。
b.溶液の緩衝能力−
c.溶液中のアンモニウム塩含量
2.生物学的環境
a.尿中のたんぱく質の存在は、安定な色変化を与え、その反応は可逆性ではない。
【0095】
感染した尿は、指示薬に安定な色変化を与え、その色変化は可逆性ではない。さらに、膣分泌物流体中の細菌の存在も安定な色変化を与え、その色変化は可逆性ではない。
【0096】
本発明を特定して記載したが、当業者は、多くの変更及び改変がなされ得ることを認識するであろう。従って、本発明は、特別に記載された態様に限定されると解釈すべきではなく、本発明の範囲、精神及び概念は、特許請求の範囲を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の、分泌物をモニターする綿棒の概略図である。
【図2】本発明の、分泌物をモニターする綿棒の概略的透視図である。
【図3】pHにおける変化に対するポリマーの色における変化を示すグラフであり、カラースケール変換は、0は黄色、1は淡緑色、2は緑、3は暗緑色である。
【図4】膣分泌物の緩衝能力を示すグラフである。本グラフは、添加されるNaOH 0.1Mにより滴定される緩衝液又は分泌物のpHを比較する。
【図5】通常のバンティーシールドにおいて一体化されるようにデザインされた異なる態様の一般的な概略的透視図である。
【図5A】吸収材層(3)の上部にpH指示薬ポリマーマトリックス器具を有する本発明の分泌物モニター物品の異なる態様の上面概略図である。
【図5B】吸収材層からpH指示薬ポリマーマトリックス器具を引き剥がす尾部によりpH指示薬ポリマーマトリックス器具を引き出すための任意部分を有する本発明の分泌物モニター物品の異なる態様の上面概略図である。
【図5C】pH指示薬が、5より高いpH又は低い緩衝能力を有する膣分泌物、又は黄色に戻る色の逆反応の前に尿との接触により着色される、尾部によりpH指示薬ポリマーマトリックスを引き出すための任意部分を有する本発明の分泌物モニター物品の上面概略図である。
【図5D】ミシン目線に沿って器具から引き抜かれた後の引き出されたpH指示薬ポリマーマトリックスの上面概略図である。
【図5E】黄色にもどる尿染色による色の変化の逆反応時間を速める開放された乾燥箱の異なる態様の上面概略図である。
【図5F】閉鎖された乾燥単位器具の内部に尾部を有するpH指示薬ポリマーマトリックス器具の上面概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトから分泌された生物学的流体を吸収するための支持体、並びに少なくとも一つのpH決定試薬及び予備形成されたポリマーを含有する生体適合性のpH指示薬ポリマーマトリックスを含有する、前記の分泌された生物学的流体の特定のための分泌物モニター物品であり、pH指示薬ポリマーマトリックスが、正常な緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する生物学的流体とでは異なった反応をし、前記の分泌された生物学的流体が生物学的流体の緩衝能力に依存して所定のpHレベル範囲を超えるpHレベルを有することを特定するためにpH指示薬ポリマーマトリックスとの可能な反応のために前記の分泌された生物学的流体がpH指示薬ポリマーマトリックスと接触する、物品。
【請求項2】
分泌物モニター物品が、膣分泌物の特定に適する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
分泌物モニター物品が、細菌性膣症、トリコモナス、羊水、寄生虫感染症、真菌感染症又は酵母菌感染症に関連する分泌物を特定するのに適する、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記の分泌された生物学的流体のpH指示薬ポリマーマトリックスとの接触の後に、pH指示薬ポリマーマトリックスが迅速なかつ安定的な着色応答を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
pH指示薬ポリマーマトリックスが、ニトロセルロース、酢酸セルロース及びエチルセルロースから選ばれるポリマーを含有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
pH決定試薬が陰電荷官能基を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
pH決定試薬が、ニトラジンイエロー、チモールブルー、ブロモチモールブルー、キシレノールブルー、ブロモキシレノールブルー、フェノールレッド、m−クレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、アリザリン、ニュートラルレッド及びクレゾールレッドから選ばれる、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
pH決定試薬がニトラジンイエローである、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記物品が、綿棒、ガーゼ、パンティーシールド、衛生ナプキン又はオムツの形態である、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
pH指示薬ポリマーマトリックスが、溶媒、可塑剤、揮発性湿潤剤及びイオンバランス試薬をさらに含有する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
予備形成されたポリマーが約10乃至40%の量であり、可塑剤が約1乃至30%の量であり、揮発性湿潤剤が約10乃至40%の量であり、イオンバランス試薬が約0.1乃至10%の量であり、pH決定試薬が約0.05乃至5%の量であり、パーセントが、この混合物の総重量に基づいており、その混合物の総重量が100%である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
予備形成されたポリマーが約24乃至28%の量であり、可塑剤が約4乃至22%の量であり、揮発性湿潤剤が約24乃至28%の量であり、イオンバランス試薬が約1乃至5%の量であり、pH決定試薬が約0.2乃至0.5%の量である、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
溶媒が、ポリマーを溶解するのに十分な量である、請求項10に記載の物品。
【請求項14】
溶媒が、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル及びテトラヒドロフランから選ばれる、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
約30乃至110mlの溶媒が各900mgの予備形成されたポリマーに添加される、請求項13に記載の物品。
【請求項16】
予備形成されたポリマーが、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース及びエチルセルロースから選ばれる、請求項11に記載の物品。
【請求項17】
可塑剤が、ビス−(2−エチルヘキシル)セバケート、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ビス−(2−ブトキシエチル)アジペート及びフタル酸ジブチルから選ばれる、請求項11に記載の物品。
【請求項18】
イオンバランス試薬が塩化トリドデシルメチルアンモニウム、塩化トリカプリリルメチルアンモニウム及び塩化セチルトリメチルアンモニウムである、請求項11に記載の物品。
【請求項19】
揮発性湿潤剤が、トリエチレングリコール、エチレングリコール及び2−エトキシエタノールから選ばれる、請求項11に記載の物品。
【請求項20】
女性の膣から分泌された流体を吸収するために請求項1に記載の分泌物モニター物品を配置すること及びpH指示薬ポリマーマトリックスの色を調べることを含む、ヒトの健康状態をモニターする方法であり、前記の分泌された生物学的流体が前記の分泌された生物学的流体の緩衝能力に依存して所定のpHレベル範囲を超えるpHレベルを有する場合に、pH指示薬ポリマーマトリックスが前記の分泌された生物学的流体と接触したときに色が変わる、方法。
【請求項21】
分泌物モニター物品が、綿棒、ガーゼ、パンティーシールド、衛生ナプキン又はオムツの形態である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
女性の膣から分泌された流体を吸収するために請求項1に記載の分泌物モニター物品を配置すること及びpH指示薬ポリマーマトリックスの色を調べることを含む、膣分泌物を特定する方法であり、前記の分泌された生物学的流体の緩衝能力に依存して所定のpHレベル範囲を超えるpHレベルを有する場合にpH指示薬ポリマーマトリックスが前記の分泌された流体と接触したときに色が変わり、それによってを特定する、方法。
【請求項23】
膣分泌物が、細菌性膣症、羊水、寄生虫感染症、真菌感染症又は酵母菌感染症に関連する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
細菌性膣症を特定する精度が95%よりも高い、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
分泌物モニター物品が、綿棒、ガーゼ、パンティーシールド、衛生ナプキン又はオムツの形態である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
支持体上にpH指示薬ポリマーマトリックスを付けること及びそのpH指示薬ポリマーマトリックスを乾燥させ、そのpH指示薬ポリマーマトリックスを支持体に結合させることを含む、請求項1に記載の分泌物モニター物品を製造する方法。
【請求項27】
pH指示薬ポリマーマトリックスを支持体上に塗布もしくは噴霧することにより、又は支持体をpH指示薬ポリマーマトリックス中に浸すことにより、支持体上にpH指示薬ポリマーマトリックスを付ける、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
分泌物モニター物品が、綿棒、ガーゼ、パンティーシールド、衛生ナプキン又はオムツの形態である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
膣分泌物を吸収するための支持体、並びに少なくとも一つのpH決定試薬及び予備形成されたポリマーを含有する生体適合性のpH指示薬ポリマーマトリックスを含有する、細菌性膣症の特定のための分泌物モニター物品であり、pH指示薬ポリマーマトリックスが、正常な緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する生物学的流体とでは異なった反応をし、が生物学的流体の緩衝能力に依存して所定のpHレベル範囲を超えるpHレベルを有することを特定するためにpH指示薬ポリマーマトリックスとの可能な反応のためにがpH指示薬ポリマーマトリックスと接触する、物品。
【請求項30】
前記物品が、綿棒、ガーゼ、シールド、衛生ナプキン又はオムツの形態である、請求項29に記載の物品。
【請求項31】
pH指示薬ポリマーマトリックスが、ニトロセルロース、酢酸セルロース及びエチルセルロースから選ばれるポリマーを含有する、請求項29に記載の物品。
【請求項32】
pH決定試薬が陰電荷官能基を有する、請求項29に記載の物品。
【請求項33】
pH決定試薬が、ニトラジンイエロー、チモールブルー、ブロモチモールブルー、キシレノールブルー、ブロモキシレノールブルー、フェノールレッド、m−クレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、アリザリン、ニュートラルレッド及びクレゾールレッドから選ばれる、請求項32に記載の物品。
【請求項34】
pH決定試薬がニトラジンイエローである、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
pH指示薬ポリマーマトリックスが、溶媒、可塑剤、揮発性湿潤剤及びイオンバランス試薬をさらに含有する、請求項29に記載の物品。
【請求項36】
ヒトから分泌された生物学的流体を吸収するための綿棒又はストリップ、並びに少なくとも一つのpH決定試薬及び予備形成されたポリマーを含有する生体適合性のpH指示薬ポリマーマトリックスを含有する、前記の分泌された生物学的流体の特定のための分泌物モニター物品であり、pH指示薬ポリマーマトリックスが、正常な緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する生物学的流体とでは異なった反応をし、前記の分泌された生物学的流体が生物学的流体の緩衝能力に依存して所定のpHレベル範囲を超えるpHレベルを有することを特定するためにpH指示薬ポリマーマトリックスとの可能な反応のために前記の分泌された生物学的流体がpH指示薬ポリマーマトリックスと接触する、物品。
【請求項37】
分泌物を吸収するための支持体、並びに少なくとも一つのpH決定試薬及び予備形成されたポリマーを含有する生体適合性のpH指示薬ポリマーマトリックスを含有する、羊水漏れの特定のための分泌物モニター物品であり、pH指示薬ポリマーマトリックスが、正常な緩衝能力を有する身体流体と低い緩衝能力を有する生物学的流体とでは異なった反応をし、膣分泌物が生物学的流体の緩衝能力に依存して所定のpHレベル範囲を超えるpHレベルを有することを特定するためにpH指示薬ポリマーマトリックスとの可能な反応のためにがpH指示薬ポリマーマトリックスと接触する、物品。
【請求項38】
ヒトから分泌された生物学的流体を吸収するための支持体、並びに少なくとも一つのpH決定試薬及びポリマーを含有するpH指示薬ポリマーマトリックスを含有する、前記の分泌された生物学的流体の特定のための分泌物モニター物品であり、pH指示薬ポリマーマトリックスが、正常な緩衝能力を有する身体流体とは異なって低い緩衝能力を有する生物学的流体の存在下で、より低いpHにおいて色が変化し、前記の分泌された生物学的流体が生物学的流体の緩衝能力に依存して所定のpHレベル範囲を超えるpHレベルを有することを特定するためにpH指示薬ポリマーマトリックスとの可能な反応のために前記の分泌された生物学的流体がpH指示薬ポリマーマトリックスと接触する、物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−504954(P2006−504954A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547958(P2004−547958)
【出願日】平成15年11月2日(2003.11.2)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000907
【国際公開番号】WO2004/040253
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(305045830)コモン センス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】