説明

分注装置

【課題】作業性を向上させることができるようにする。
【解決手段】複数の試料容器をマトリックス状に収容するラックが配設された領域、及び複数の検体容器をマトリックス状に収容するラックが配設された領域が横方向に形成された支持プレート15と、該支持プレート15上において縦方向及び横方向に移動自在に配設された枠体と、該枠体内において、横方向に移動自在に配設され、昇降自在のノズルを備えた複数のヘッドユニットとを有する。この場合、各ノズルを枠体内において横方向に移動させることができる。したがって、各ラックを、いずれも支持プレート15上において縦長に置くことができるので、各ラックの出入れを容易に行うことができ、作業性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液等の液体の試料を検体容器に分注するために分注装置が使用され、該分注装置においては、ノズルを備えた分注ヘッドが移動自在に配設され、前記ノズルの下端にチップが着脱自在に取り付けられる。そして、支持プレート上に親ラック及び子ラックが横方向に配設され、親ラックに試料容器が、子ラックに検体容器がいずれもマトリックス状に収容され、前記試料容器に試料が、検体容器に検体がそれぞれ収容される。そして、分注ヘッドを親ラック側に移動させ、所定のチップを試料容器内に挿入し、ピペット等の吸引作用によって、試料容器に収容された試料を前記ノズル内に吸引した後、前記分注ヘッドを子ラック側に移動させ、吸引した試料を検体容器に注入するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−329692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の分注装置においては、試料を同時に複数の検体容器に分注する場合、分注ヘッドに複数のノズルが取り付けられることになるが、各ノズルの位置を変更して所定の試料容器から試料を吸引し、所定の検体容器に試料を注入する必要が生じる。
【0004】
この場合、各ノズルが縦方向に移動自在に配設されることになるので、親ラック及び子ラックを、いずれも前記支持プレート上において横長に置く必要が生じる。その結果、親ラック及び子ラックの出入れが煩わしくなり、作業性が低下してしまう。
【0005】
本発明は、前記従来の分注装置の問題点を解決して、作業性を向上させることができる分注装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の分注装置においては、複数の試料容器をマトリックス状に収容するラックが配設された領域、及び複数の検体容器をマトリックス状に収容するラックが配設された領域が横方向に形成された支持プレートと、該支持プレート上において縦方向及び横方向に移動自在に配設された枠体と、該枠体内において、横方向に移動自在に配設され、昇降自在のノズルを備えた複数のヘッドユニットとを有する。
【0007】
本発明の他の分注装置においては、さらに、前記各ヘッドユニットは複数のグループに分割される。そして、該各グループは、前記ノズルを対向させて配設される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分注装置においては、複数の試料容器をマトリックス状に収容するラックが配設された領域、及び複数の検体容器をマトリックス状に収容するラックが配設された領域が横方向に形成された支持プレートと、該支持プレート上において縦方向及び横方向に移動自在に配設された枠体と、該枠体内において、横方向に移動自在に配設され、昇降自在のノズルを備えた複数のヘッドユニットとを有する。
【0009】
この場合、支持プレート上において枠体が縦方向及び横方向に移動自在に配設され、枠体内において、複数のヘッドユニットが横方向に移動自在に配設されるので、各ノズルを枠体内において横方向に移動させることができる。
【0010】
したがって、各ラックを、いずれも支持プレート上において縦長に置くことができるので、各ラックの出入れを容易に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態における分注装置の正面図、図2は本発明の実施の形態における分注装置の斜視図、図3は本発明の実施の形態における分注装置の要部を示す平面図、図4は本発明の実施の形態における分注ヘッドの動作を示す斜視図、図5は本発明の実施の形態における分注ヘッドの動作を示す平面図、図6は本発明の実施の形態における分注ヘッドの動作を示す正面図、図7は本発明の実施の形態におけるノズルの配列状態の例を示す図、図8は本発明の実施の形態におけるヘッドユニットの側面図である。
【0013】
図において、11は分注装置、frはフレームであり、該フレームfrは、下枠部12、該下枠部12の後方において上方に向けて立ち上げられた複数の支柱13、該支柱13から前方に向けて突出させて形成され、下枠部12との間に所定の距離を置いて支持された上枠部14、下枠部12の上端部において水平方向に延在させて配設された支持プレート15から成る。前記フレームfrは、下端に配設された支持柱st1、st2によって床面に対して支持されるとともに、キャスタcs1、cs2によって床面に対して移動自在に支持される。なお、前記上枠部14には、透明な窓14aが開閉自在に、かつ、揺動自在に支持される。また、11aは障害物を検出するセンサ、11bは非常停止ボタン、11cはバーコードリーダである。
【0014】
前記支持プレート15上には、該支持プレート15の周縁に沿って矩(く)形の形状を有する第1の案内枠18が形成される。該第1の案内枠18は、前縁a、後縁b及び側縁c、dから成り、前縁a及び後縁bには、一対の案内レール19、21が配設され、該案内レール19、21によって矩形の形状を有する第2の案内枠23が分注装置11の横方向、すなわち、X軸方向に移動自在に支持される。前記第2の案内枠23は、第1の案内枠18より小さく、前縁e、後縁f及び側縁g、hから成り、側縁g、hには一対の案内レール24、25が配設され、該案内レール24、25によって矩形の形状を有する分注ユニット27が分注装置11の縦方向、すなわち、Y軸方向に移動自在に支持される。なお、前記第2の案内枠23を案内レール19、21に沿って移動させるために、第1の駆動部としての図示されないユニット横移動用モータが、分注ユニット27を案内レール24、25に沿って移動させるために、第2の駆動部としての図示されないユニット縦移動用モータが配設される。
【0015】
前記分注ユニット27は、前壁31、後壁32及び側壁33、34から成る枠体35、該枠体35内にX軸方向に移動自在に配設された分注ヘッド36、該分注ヘッド36を移動させるための移動機構41等を備える。そして、前記分注ヘッド36は、前壁31に沿って移動自在に配設された第1のヘッド部としての前側ヘッド部37、及び後壁32に沿って移動自在に配設された第2のヘッド部としての後側ヘッド部38を備え、前記前側ヘッド部37は3個のヘッドユニット43〜45を、後側ヘッド部38は2個のヘッドユニット46、47を備える。また、前記移動機構41は、前記前壁31に配設された第1の機構部としての前側機構部48、及び前記後壁32に配設された第2の機構部としての後側機構部49を備える。なお、ヘッドユニット43〜45によって第1のグループが、ヘッドユニット46、47によって第2のグループが構成される。
【0016】
各ヘッドユニット43〜47は、ケーシング51、該ケーシング51に対して昇降自在に配設されたノズル52、該ノズル52の下端に、着脱自在に取り付けられたチップ53、ノズル52内に試料を吸引したり、ノズル52から試料を吐出したりするためのポンプ54、該ポンプ54を駆動する給排用の駆動部としての給排用モータ55、ノズル52を昇降させるための昇降用の駆動部としての昇降用モータ56、該昇降用モータ56を駆動することによって作動させられる昇降機構57等を備える。そして、前記ヘッドユニット43〜45とヘッドユニット46、47とは前記ノズル52を対向させて配設される。
【0017】
前記各ヘッドユニット43〜47は、それぞれ独立にX軸方向に移動させることができるようになっている。そのために、図5及び6に示されるように、前側機構部48の場合、前壁31の一端、本実施の形態においては、右端において、ヘッドユニット43〜45をX軸方向に移動させるために上下方向に並べて配設された第3の駆動部としてのヘッド横移動用モータ77〜79、該各ヘッド横移動用モータ77〜79の出力軸に取り付けられ、回転自在に支持された駆動側プーリp1〜p3、前壁31の他端、本実施の形態においては、左端において、上下方向に並べて配設された従動側プーリp4〜p6、及び前記駆動側プーリp1〜p3と従動側プーリp4〜p6との間に張設された運動伝達部としてのベルト(タイミングベルト)82〜84を備え、各ベルト82〜84とヘッドユニット43〜45の各ケーシング51とが固定される。
【0018】
同様に、後側機構部49の場合も、後壁32の一端、本実施の形態においては、右端において、ヘッドユニット46、47をX軸方向に移動させるために上下方向に並べて配設された第3の駆動部としてのヘッド横移動用モータ80、81、該各ヘッド横移動用モータ80、81の出力軸に取り付けられ、回転自在に支持された図示されない駆動側プーリ、後壁32の他端、本実施の形態においては、左端において、上下方向に並べて配設された図示されない従動側プーリ、及び前記駆動側プーリと従動側プーリとの間に張設された運動伝達部としての図示されないベルト(タイミングベルト)を備え、各ベルトとヘッドユニット46、47の各ケーシング51とが固定される。
【0019】
また、前記昇降用モータ56を駆動することによって、ノズル52を昇降させることができ、そのために、前記昇降機構57は、昇降用モータ56の出力軸に取り付けられた駆動プーリ91、前記ケーシング51に対して回転自在に、かつ、ケーシング51と平行に延在させて配設されたリードスクリュー92、該リードスクリュー92の上端に取り付けられた従動プーリ93、前記駆動プーリ91と従動プーリ93との間に張設されたタイミングベルト94、前記リードスクリュー92と螺(ら)合させられ、リードスクリュー92の回転に伴って、昇降させられる駆動ブロック96等を備え、該駆動ブロック96にノズル52が取り付けられる。
【0020】
したがって、前記昇降用モータ56を正方向に駆動すると、リードスクリュー92が回転させられ、駆動ブロック96が下降させられ、それに伴って、ノズル52が下降させられる。また、前記昇降用モータ56を逆方向に駆動すると、リードスクリュー92が回転させられ、駆動ブロック96が上昇させられ、それに伴って、ノズル52が上昇させられる。なお、97は駆動ブロック96が下限位置に置かれたことを検出する第1の位置検出部としての位置センサ、98は駆動ブロック96が上限位置に置かれたことを検出する第2の位置検出部としての位置センサ、99はノズル52にチップ53が取り付けられていることを検出するチップ検出部としてのチップセンサである。
【0021】
ところで、前記支持プレート15上には、一端から他端(本実施の形態においては、分注装置11を正面から見て左端から右端)にかけて、第1〜第5の領域AR1〜AR5が設定される。そして、第1の領域AR1に、複数のチップ53をマトリックス状に収容するチップ53用のラックとしてのチップラック61がY軸方向に複数、本実施の形態においては、3個並べて配設される。また、第2の領域AR2に、複数の試料容器71をマトリックス状に収容する試料用のラックとしての親ラック62が、第3の領域AR3に、複数の試料容器71をマトリックス状に収容する試料用のラックとしての親ラック63が、第4の領域AR4にチップ53を廃棄するための廃棄装置64及び監視装置65が、第5の領域AR5に、複数の検体容器72をマトリックス状に収容する検体用のラックとしての子ラック66が配設される。前記監視装置65は、センサから成る撮像装置としてのカメラ73、照明装置としてのLED74及び照明補助具としてのバックライト75を備える。なお、前記各チップラック61、親ラック62、63及び子ラック66において収容される各チップ53、各試料容器71及び各検体容器72のピッチは、いずれも9〔mm〕である。
【0022】
次に、前記構成の分注装置11の動作について説明する。
【0023】
まず、図示されない制御部のヘッド移動処理手段は、ヘッド移動処理を行い、前記ユニット横移動用モータ及びユニット縦移動用モータを駆動して、分注ユニット27をX軸方向及びY軸方向に移動させ、かつ、ヘッド横移動用モータ77〜81を駆動して、枠体35内においてヘッドユニット43〜47をX軸方向に移動させることができる。
【0024】
この場合、前記第1〜第5の領域AR1〜AR5のうちの第4の領域AR4が分注ユニット27の原点位置にされ、まず、前記第4の領域AR4において、各ヘッドユニット43〜47はチップ53が外された状態に置かれる。
【0025】
続いて、前記ヘッド移動処理手段は、ユニット横移動用モータ及びユニット縦移動用モータを駆動して、前記分注ユニット27を第1の領域AR1に移動させ、また、ヘッド横移動用モータ77〜81を駆動して、ヘッドユニット43〜47を移動させて互いに寄せる。続いて、前記制御部のヘッド昇降処理手段は、ヘッド昇降処理を行い、各昇降用モータ56を駆動し、各ノズル52を下降させる。これに伴って、各ノズル52の下端がチップ53の上端に形成された穴内に嵌(かん)入され、チップ53がノズル52に取り付けられる。
【0026】
続いて、前記ヘッド昇降処理手段は、各昇降用モータ56を駆動し、各ノズル52を上昇させ、前記ヘッド移動処理手段は、ユニット横移動用モータ及びユニット縦移動用モータを駆動して、前記分注ユニット27を第2の領域AR2に移動させ、さらに、ヘッド横移動用モータ77〜81を駆動して、枠体35内においてヘッドユニット43〜47をX軸方向に独立に移動させ、各ノズル52を、図4に示されるように、所定の箇所に置く。該所定の箇所には、吸引するべき試料が収容された試料容器71が配設される。
【0027】
次に、前記ヘッド昇降処理手段は、各昇降用モータ56を駆動し、各ノズル52を下降させ、チップ53の下端を試料容器71内に進入させる。そして、前記制御部の給排処理手段は、給排処理を行い、給排用モータを駆動し、試料容器71内の試料を所定の量だけ吸引する。なお、前記第2の領域AR2と同様に第3の領域AR3にも試料容器71が配設され、前記ノズル52を所定の箇所に置き、試料容器71内の試料を吸引することができる。
【0028】
続いて、前記ヘッド昇降処理手段は、各昇降用モータ56を駆動し、各ノズル52を上昇させ、前記ヘッド移動処理手段は、ユニット横移動用モータ及びユニット縦移動用モータを駆動して、前記分注ユニット27を第5の領域AR5に移動させ、さらに、ヘッド横移動用モータ77〜81を駆動して、枠体35内においてヘッドユニット43〜47をX軸方向に独立に移動させ、各ノズル52を所定の箇所に置く。
【0029】
次に、前記ヘッド昇降処理手段は、各昇降用モータ56を駆動し、各ノズル52を下降させ、チップ53の下端を検体容器72内に進入させる。そして、前記給排処理手段は、給排処理を行い、給排用モータを駆動し、各ノズル52及びチップ53内の試料を検体容器72に注入する。
【0030】
このようにして、分注が終了すると、前記ヘッド昇降処理手段は、各昇降用モータ56を駆動し、各ノズル52を上昇させ、前記ヘッド移動処理手段は、ユニット横移動用モータ及びユニット縦移動用モータを駆動して、前記分注ユニット27を第4の領域AR4に移動させる。続いて、前記ヘッド移動処理手段及びヘッド昇降処理手段は、廃棄装置64において、チップ53を廃棄装置64の係止部に係止させ、残留させることによって、ノズル52からチップ53を取り外す。
【0031】
なお、ノズル52から取り外された各チップ53は、図示されない洗浄装置に送られ、洗浄される。そして、洗浄が行われた後のチップ53は、再びチップラック61に整列させてセットされ、保管される。
【0032】
ところで、本実施の形態において、分注ヘッド36は、図5に示されるように、一端側から他端側にかけてヘッドユニット43、46、44、47、45を順に備え、かつ、ヘッドユニット43、46、44、47、45の各ノズル52は、第1、第2のグループごとに対向させられ、しかも、一つの直線上に配設される。したがって、各ヘッドユニット43〜47を互いに寄せると、図7に示されるように、各ノズル52が交互に前方側及び後方側から延在させられ、ほぼ接触し、隣接させられる。このとき、各ヘッドユニット43〜45における各ノズル52のピッチ、及び各ヘッドユニット46、47における各ノズル52のピッチはいずれも18〔mm〕であるが、各ヘッドユニット43〜45における各ノズル52間に、ヘッドユニット46、47における各ノズル52が介在させられるので、ヘッドユニット43〜47の全体においては、各ノズル52のピッチは、いずれも各チップラック61、親ラック62、63及び子ラック66における各チップ53、各試料容器71及び各検体容器72のピッチと同じ9〔mm〕になる。したがって、第1の領域AR1で各ノズル52にチップ53を取り付けたり、第2、第3の領域AR2、AR3で各試料容器71から試料を吸引したり、第5の領域AR5で各検体容器72に試料を注入したりする作業を、分注ユニット27を移動させることなく、すべてのノズル52を利用して行うことができるので、分注のための時間を短くすることができる。
【0033】
なお、各ヘッドユニット43〜47におけるポンプ54、給排用モータ55等が配設された上端の近傍の幅は、各ノズル52のピッチである18〔mm〕より広い。そこで、各ノズル52をほぼ接触させ、隣接させることができるように、ヘッドユニット43の上端部分は左方に、ヘッドユニット45、47の上端部分は右方にオフセットさせられる。したがって、各ヘッドユニット43〜47を互いに寄せても給排用モータ55、昇降用モータ56等が干渉することがないので、給排用モータ55及び昇降用モータ56の容量を大きくすることができる。その結果、試料を吸引したり注入したりする速度を高くすることができるだけでなく、ノズル52を昇降させる速度を高くすることができるので、分注のための時間を一層短くすることができる。
【0034】
また、各ヘッドユニット43〜47を独立して枠体35内の所定の箇所に置くことができるので、図示されない上位コンピュータから制御部に、分注しようとする検体容器72の位置、及び分注しようとする試料の量、すなわち、分注量を送信するだけで、該分注量の試料を各検体容器72に確実に分注することができる。
【0035】
そして、分注ユニット27がX軸方向及びY軸方向に移動自在に配設され、かつ、各ヘッドユニット43〜47が枠体35内においてX軸方向に移動自在に配設されるので、各ノズル52を枠体35内においてX軸方向において移動させることができる。したがって、チップラック61、親ラック62、63、子ラック66をX軸方向において第1〜第3、第5の領域AR1〜AR3、AR5に配設し、縦長に置くことができるので、チップラック61、親ラック62、63、子ラック66の出入れを容易に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0036】
なお、ノズル52を上昇させたときに、チップ53の下端から試料が垂れ落ちるのを防止するために液体落下防止機構を備える。
【0037】
ところで、ノズル52の下端の近傍には、ノズル52とチップ53とをシールするために、Oリングが配設される。ところが、前記チップ53内にノズル52を繰り返し嵌入すると、Oリングとチップ53の内周面との摩擦によってOリングが変形したり、歪(ゆが)んだりしてシール性が低下したり、チップ53が落下したりしてしまう。そこで、前記チップ53内へのノズル52の嵌入を容易にし、Oリングが変形したり、歪んだりするのを防止することができるように、第4の領域AR4(図3)に潤滑装置が配設される。
【0038】
図9は本発明の実施の形態における潤滑装置の概略図、図10は本発明の実施の形態における潤滑装置の動作を示す図である。
【0039】
図において、122は潤滑装置であり、該潤滑装置122は、第4の領域AR4(図3)の所定の箇所に配設され、カバー125に複数の、本実施の形態においては、5個の穴126が形成される。そして、前記潤滑装置122内には、清掃部材としてのスポンジ123が配設され、該スポンジ123に形成された穴128の内周面には、清掃剤としてのシリコングリスが塗布される。
【0040】
また、各ノズル52の下端の近傍には、クロロプレンゴム製のOリング121が配設され、各ノズル52は、下端を前記穴126を介して潤滑装置122内に進入させられ、更に穴128内に進入させられる。その結果、Oリング121は、シリコングリスによって清掃される。
【0041】
したがって、各ノズル52を穴128内に進入させることによって、シリコングリスはノズル52の外周面を清掃し、かつ、潤滑剤として塗布される。その結果、Oリング121とチップ53の内周面との摩擦が小さくなり、前記チップ53内へのノズル52の嵌入を容易にすることができ、Oリング121が変形したり、歪んだりするのを防止することができる。
【0042】
また、前記各ノズル52を、穴128内に進入させたり、穴128から引き抜いたりする際に、スポンジ123による負荷がノズル52に加わるのを防止するために、図11に示されるように、各ノズル52は、タイミングを異ならせて穴128内に進入させられたり、穴128から引き抜かれたりする。
【0043】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態における分注装置の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態における分注装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における分注装置の要部を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態における分注ヘッドの動作を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態における分注ヘッドの動作を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における分注ヘッドの動作を示す正面図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるノズルの配列状態の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるヘッドユニットの側面図である。
【図9】本発明の実施の形態における潤滑装置の概略図である。
【図10】本発明の実施の形態における潤滑装置の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
11 分注装置
15 支持プレート
35 枠体
43〜47 ヘッドユニット
52 ノズル
62、63 親ラック
66 子ラック
71 試料容器
72 検体容器
AR2、AR3、AR5 第2、第3、第5の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の試料容器をマトリックス状に収容するラックが配設された領域、及び複数の検体容器をマトリックス状に収容するラックが配設された領域が横方向に形成された支持プレートと、
(b)該支持プレート上において縦方向及び横方向に移動自在に配設された枠体と、
(c)該枠体内において、横方向に移動自在に配設され、昇降自在のノズルを備えた複数のヘッドユニットとを有することを特徴とする分注装置。
【請求項2】
(a)前記各ヘッドユニットは複数のグループに分割され、
(b)該各グループは、前記ノズルを対向させて配設される請求項1に記載の分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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