説明

分注装置

【課題】流路内において液体同士の接触を避けつつ液体を搬送する。
【解決手段】ロータリーバルブ20は、複数の容器流路42と洗浄液流路52とエア流路62のうちのいずれか一つの流路を選択的に搬送流路10へ接続する。搬送流路10は、その一端側にロータリーバルブ20が接続されて他端側に分注ノズル70が設けられる。チューブポンプ30は、搬送流路10の押圧箇所を順次ずらしながら搾ることにより、ロータリーバルブ20によって選択される試薬、洗浄液またはエアを搬送流路10内に吸引し、さらに搬送流路10内を搬送させて分注ノズル70から吐き出す。搬送流路10内で試薬などを搬送させる際に、図示するように、搬送流路10内において洗浄液、エア、試薬A、エア、洗浄液、エア、試薬B、・・・の配列状態が形成され、その配列状態を維持したまま分注ノズル70まで試薬などが搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体や試薬などの液体を分注する分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検体や試薬などの液体を分注する分注装置が知られている。例えば、特許文献1には、試料容器に収容された試料をプローブにより吸引し、分析処理に必要な量を反応容器内に吐き出す装置が記載されている。
【0003】
分注装置では、複数種類の液体を扱う場合もある。例えば、複数の容器に収容された液体をプローブやノズルにより吸引して反応容器に必要な量を吐き出す場合がある。このように複数種類の液体を扱う場合には、種類の異なる液体同士によるコンタミネーションなどを防止するために、ノズルを交換または洗浄する等の処置が必要になる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−317472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、液体の種類が変わる度にノズル(ノズルチップ)を交換することは、ランニングコストなどの面で好ましくない。また、ノズルを頻繁に洗浄することも洗浄作業の煩雑さなどの問題が残る。
【0006】
こうした状況において、本願発明者らは、複数種類の液体を扱う分注装置に関する改良技術について研究開発を重ねてきた。特に、同じ流路によって複数種類の液体を搬送する技術に注目した。
【0007】
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、流路内において液体同士の接触を避けつつ液体を搬送することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様の分注装置は、複数の容器の各々に接続される複数の容器流路と、気体が吸引される気体流路と、複数の容器流路と気体流路が接続される搬送流路と、各容器から搬送流路内に吸引された液体をノズルへ搬送する搬送ポンプと、を有し、各容器に収容された液体が容器流路を介して搬送流路内に吸引される度に、気体流路を介して搬送流路内に気体が吸引され、搬送流路内において液体と液体の間に気体によるギャップが設けられた状態で液体が搬送されることを特徴とする。
【0009】
望ましい態様において、前記複数の容器流路と気体流路のうちのいずれか一つを選択的に前記搬送流路へ接続するロータリーバルブをさらに有することを特徴とする。
【0010】
望ましい態様において、前記分注装置は、洗浄液が吸引される洗浄液流路をさらに有し、前記ロータリーバルブは、前記複数の容器流路と気体流路と洗浄液流路のうちのいずれか一つを選択的に前記搬送流路へ接続し、前記ロータリーバルブにより流路が適宜選択されて吸引されることにより、前記搬送流路内において洗浄液、気体、液体、気体、洗浄液の配列状態が形成されてこの配列状態で液体が搬送されることを特徴とする。
【0011】
望ましい態様において、前記搬送流路は、チューブによって形成され、前記搬送ポンプは、チューブを押圧して押圧箇所をずらしながらチューブを搾ることによりチューブ内の液体を搬送するチューブポンプであることを特徴とする。
【0012】
望ましい態様において、前記複数の容器流路と気体流路は、各々に対応した個別バルブによって選択的に前記搬送流路へ接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、流路内において液体同士の接触を避けつつ液体を搬送することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1には、本発明に係る分注装置の好適な実施形態が示されており、図1はその主要構成を示した機能説明図である。
【0016】
複数の試薬ボトル40A,40B内には、分析処理に利用される各種の試薬が収容されている。分析処理の一例はハイブリダイゼーション処理である。ハイブリダイゼーション処理は、生体の組織や細胞などについて、特定のDNAやRNAの分布や量などの検出に利用される。例えば、細胞の染色体DNAや組織中のmRNAなどを標的として、RNAプローブやDNAプローブとハイブリッド形成を行うことにより、特定遺伝子の染色体上での存在位置を検出し、あるいは、mRNAの組織中での局在領域を検出するなどの方法が知られている。
【0017】
図1に示す複数の試薬ボトル40A,40B内には、例えば、互いに種類の異なる試薬Aと試薬Bが収容される。同じ種類で濃度の互いに異なる試薬が試薬ボトル40Aと試薬ボトル40B内に収容されてもよい。なお、3つ以上の試薬ボトル40が設けられてもよい。また、複数の試薬ボトル40の他に、洗浄液ボトル50が用意されている。洗浄液ボトル50内には、洗浄液が収容されている。この洗浄液が搬送流路10を通って分注ノズル70から吐き出されることにより、搬送流路10内や分注ノズル70内が洗浄される。
【0018】
複数の試薬ボトル40の各々には、容器流路42が接続されている。例えば、試薬ボトル40Aには容器流路42Aが接続されており、容器流路42Aの一端側が試薬ボトル40A内の試薬A内に挿入されている。同様に、試薬ボトル40Bには容器流路42Bが接続されている。また、洗浄液ボトル50には洗浄液流路52が接続されており、洗浄液流路52の一端側が洗浄液ボトル50内の洗浄液に挿入されている。
【0019】
複数の容器流路42と洗浄液流路52の各々の他端側はロータリーバルブ20に接続される。ロータリーバルブ20には、さらに、大気に通じるエア流路62が接続される。ロータリーバルブ20は、複数の容器流路42と洗浄液流路52とエア流路62のうちのいずれか一つの流路を選択的に搬送流路10へ接続する。
【0020】
搬送流路10は、その一端側にロータリーバルブ20が接続されて他端側に分注ノズル70が設けられる。そして、試薬ボトル40から容器流路42とロータリーバルブ20を介して吸引される試薬が搬送流路10内を通って分注ノズル70まで搬送されて反応処理容器80などへ吐き出される。試薬の吸引や搬送や吐出は、チューブポンプ30によって行われる。
【0021】
チューブポンプ30は、1本のチューブによって形成された搬送流路10の押圧箇所を順次ずらしながらチューブを搾ることにより、ロータリーバルブ20によって選択される試薬、洗浄液またはエアを搬送流路10内に吸引し、さらに搬送流路10内を搬送させて分注ノズル70から吐き出す。
【0022】
本実施形態においては、搬送流路10内で試薬などを搬送させる際に、図1に示すように、搬送流路10内において洗浄液、エア、試薬A、エア、洗浄液、エア、試薬B、・・・の配列状態が形成され、その配列状態を維持したまま分注ノズル70まで試薬などが搬送される。そのため、1本の搬送流路10を利用して互いに種類の異なる試薬Aと試薬Bを搬送することができ、しかも、搬送流路10内において試薬Aと試薬Bの接触を避けつつ搬送することができる。そこで、次に図1の分注装置の動作について説明する。
【0023】
図1の分注装置の動作は、「工程1」容器流路42に試薬を充填する工程、「工程2」分注ノズル70の先端まで洗浄液を充填する工程、「工程3」所定量のエアを吸引する工程、「工程4」所定量の試薬を吸引する工程、「工程5」所定量のエアを吸引する工程、「工程6」洗浄液を吸引して試薬を搬送する工程、の順に行われる。以下に各工程の動作を詳述する。
【0024】
「工程1」容器流路42に試薬を充填する工程
まず、チューブポンプ30を停止させた状態でロータリーバルブ20を駆動して容器流路42Aと搬送流路10を接続する。そして、容器流路42Aと搬送流路10を接続した状態でチューブポンプ30を充填時間t1だけ駆動して試薬ボトル40Aから試薬Aを吸引し、容器流路42Aとロータリーバルブ20の接続点まで試薬Aを充填する。
【0025】
次に、チューブポンプ30を停止させ、ロータリーバルブ20を駆動して容器流路42Bと搬送流路10を接続する。そして、容器流路42Bと搬送流路10を接続した状態でチューブポンプ30を駆動して試薬ボトル40Bから試薬Bを吸引する。容器流路42Bと容器流路42Aの長さが同じであれば、チューブポンプ30を充填時間t1だけ駆動することにより容器流路42Bとロータリーバルブ20の接続点まで試薬Bが充填される。
【0026】
さらに、チューブポンプ30を停止させ、ロータリーバルブ20を駆動して洗浄液流路52と搬送流路10を接続する。そして、洗浄液流路52と搬送流路10を接続した状態でチューブポンプ30を駆動して洗浄液ボトル50から洗浄液を吸引する。洗浄液流路52と容器流路42Aの長さが同じであれば、チューブポンプ30を充填時間t1だけ駆動することにより、洗浄液流路52とロータリーバルブ20の接続点まで洗浄液が充填される。
【0027】
「工程2」分注ノズル70の先端まで洗浄液を充填する工程
チューブポンプ30を停止させた状態でロータリーバルブ20を駆動して洗浄液流路52と搬送流路10を接続する。なお、既に洗浄液流路52と搬送流路10が接続されている場合にはこの接続動作を行う必要がない。そして、洗浄液流路52と搬送流路10を接続した状態でチューブポンプ30を洗浄液充填時間t2だけ駆動して搬送流路10内に洗浄液を吸引し、分注ノズル70の先端まで洗浄液を充填する。なお、洗浄液の充填はチューブポンプ30を超える位置まででもよい。この工程により、図1に示す搬送流路10内に洗浄液<2>が吸引される。
【0028】
「工程3」所定量のエアを吸引する工程
チューブポンプ30を停止させた状態でロータリーバルブ20を駆動してエア流路62と搬送流路10を接続する。そして、エア流路62と搬送流路10を接続した状態でチューブポンプ30をエアギャップ生成時間t3だけ駆動して搬送流路10内にエアを吸引する。こうして搬送流路10内にエアギャップが形成される。なお、エアギャップの長さは、例えば10mm〜数10mm程度である。この工程により、図1に示す搬送流路10内にエア<3>が吸引される。
【0029】
「工程4」所定量の試薬を吸引する工程
チューブポンプ30を停止させた状態でロータリーバルブ20を駆動し、指定の試薬が収容された試薬ボトル40の容器流路42と搬送流路10を接続する。例えば、容器流路42Aと搬送流路10を接続する。そして、容器流路42Aと搬送流路10を接続した状態でチューブポンプ30を指定吸引時間t4だけ駆動して搬送流路10内に所定量の試薬Aを吸引する。この工程により、図1に示す搬送流路10内に試薬A<4>が吸引される。
【0030】
「工程5」所定量のエアを吸引する工程
チューブポンプ30を停止させた状態でロータリーバルブ20を駆動してエア流路62と搬送流路10を接続する。そして、エア流路62と搬送流路10を接続した状態でチューブポンプ30をエアギャップ生成時間t5だけ駆動して搬送流路10内にエアを吸引する。こうして搬送流路10内にエアギャップが形成される。なお、エアギャップの長さは、例えば10mm〜数10mm程度である。また、エアギャップ生成時間t5とエアギャップ生成時間t3が同じ時間であってもよい。この工程により、図1に示す搬送流路10内にエア<5>が吸引される。
【0031】
「工程6」洗浄液を吸引して試薬を搬送する工程
まず、チューブポンプ30を停止させた状態でロータリーバルブ20を駆動して洗浄液流路52と搬送流路10を接続する。そして、洗浄液流路52と搬送流路10を接続した状態でチューブポンプ30を洗浄液吐出時間t6だけ駆動し、図1に示す搬送流路10内の洗浄液<2>を分注ノズル70から廃液槽などに吐き出す。この時、洗浄液流路52と搬送流路10が接続されているため、洗浄液ボトル50から搬送流路10内に洗浄液<6>が吸引される。
【0032】
洗浄液<2>が吐き出されると、ノズル駆動機構などによって分注ノズル70がワークエリアへ移動され、チューブポンプ30が試薬吐出時間t7だけ駆動され、図1に示す搬送流路10内の試薬A<4>が分注ノズル70から反応処理容器80に吐き出される。
【0033】
次に、分注ノズル70が廃液エリアに移動され、チューブポンプ30を洗浄液吐出時間t8だけ駆動し、図1に示す搬送流路10内の洗浄液<6>の一部を分注ノズル70から廃液槽などに吐き出す。
【0034】
「工程6」において、試薬の無駄を少なくする(望ましくは無駄を無くす)ためには、洗浄液吐出時間t6として、分注ノズル70の先端から洗浄液<2>を全て吐き出し、さらにエア<3>の約半分を吐き出すまでの時間を設定する。また、試薬吐出時間t7として、分注ノズル70の先端からエア<3>の残りを吐き出し、さらに試薬A<4>を全て吐き出し、さらにエア<5>の約半分を吐き出すまでの時間を設定する。そして、洗浄液吐出時間t8として、分注ノズル70の先端からエア<5>の残りを吐き出し、さらに洗浄液<6>をある程度吐き出すまでの時間を設定する。
【0035】
また「工程6」において、分注の精度やコンタミネーション防止を重視する場合には、洗浄液吐出時間t6として、分注ノズル70の先端から洗浄液<2>を全て吐き出し、さらにエア<3>を全て吐き出し、さらに試薬A<4>の一部を吐き出すまでの時間を設定する。また、試薬吐出時間t7として、分注ノズル70の先端から試薬A<4>を一部だけ残して吐き出すだけの時間を設定する。そして、洗浄液吐出時間t8として、分注ノズル70の先端から試薬A<4>の残りを吐き出し、さらにエア<5>を全て吐き出し、さらに洗浄液<6>をある程度吐き出すまでの時間を設定する。
【0036】
このように「工程1」から「工程6」により指定の試薬(例えば試薬A)が反応処理容器80に吐き出される。なお、別の試薬を続けて搬送したい場合には、「工程6」の後に「工程3」から「工程6」を再び実行する。例えば、再び実行される「工程3」により図1に示す搬送流路10内にエア<3´>が吸引され、再び実行される「工程4」において、容器流路42Bと搬送流路10を接続することにより、図1に示す搬送流路10内に試薬B<4´>が吸引される。
【0037】
以上説明したように、図1の分注装置により、1本の搬送流路10を利用して互いに種類の異なる試薬Aと試薬Bを搬送することができ、しかも、搬送流路10内において試薬Aと試薬Bの接触を避けつつ搬送することができる。
【0038】
なお、試薬Aと試薬Bとの接触を避けるのであれば、試薬Aと試薬Bとの間にエアのみを挿入して洗浄液を挿入しない搬送形態も可能である。例えば、試薬Aと試薬Bが同じ種類の試薬で互いに濃度のみが異なる場合には、エアのみによって試薬Aと試薬Bを分離するようにしてもよい。
【0039】
また、図1におけるチューブポンプ30をシリンジポンプに置き換えてもよい。但し、シリンジポンプを利用する場合には、シリンジポンプの吸引吐出量が、図1の搬送流路10内における洗浄液やエアや試薬の各量よりも十分小さいことが望ましい。また、シリンジポンプの場合には、エアと試薬の境界部分において、エアと試薬がシリンジ内に吸引されて混合される。その混合による泡などを取り除く場合には、エアと試薬の境界部分を廃液槽に捨てて、反応処理容器80に吐き出さないようにすればよい。
【0040】
また、図1におけるロータリーバルブ20と複数の容器流路42と洗浄液流路52とエア流路62で構成されるロータリーバルブ系を多数設けることも可能である。
【0041】
図2は、ロータリーバルブ系を2つ設けた分注装置を説明するための図である。図2において、2つのロータリーバルブ系(系1と系2)は、分岐ロータリーバルブ24を介して搬送流路10に接続される。なお、搬送流路10の図示しない他端側には、図1の場合と同様に、チューブポンプ30と分注ノズル70が設けられる。
【0042】
図2において、分岐ロータリーバルブ24は、系1のロータリーバルブ20(1)に繋がる分岐流路11と、系2のロータリーバルブ20(2)に繋がる分岐流路12のうちの一方の流路を搬送流路10へ接続する。そして、分岐ロータリーバルブ24によって選択された系を対象として、図1の場合と同様な動作により、試料の吸引や搬送や吐き出しが行われる。なお、試薬ボトル40A、40B,40C、40Dの各々には、試薬A、試薬B、試薬C、試薬Dが収容されている。
【0043】
例えば、分岐ロータリーバルブ24によって分岐流路11と搬送流路10が接続された状態で、洗浄液やエアや試料が吸引されることにより、搬送流路10内に、洗浄液、エア、試薬A、エア、洗浄液、エア、試薬B、・・・の配列状態が形成され、その配列状態を維持したまま図示しない分注ノズルまで試薬などが搬送される。
【0044】
また、例えば、分岐ロータリーバルブ24によって分岐流路12と搬送流路10が接続された状態で、洗浄液やエアや試料が吸引されることにより、搬送流路10内に、洗浄液、エア、試薬C、エア、洗浄液、エア、試薬D、・・・の配列状態が形成され、その配列状態を維持したまま図示しない分注ノズルまで試薬などが搬送される。
【0045】
なお、系1と系2を対称的な構造とすることにより、例えば、分岐流路11と分岐流路12の長さを同じ長さとすることにより、チューブポンプの吸引時間などを系ごとに変更する必要がなくなるため、装置全体としての制御が容易になる。
【0046】
また、分岐ロータリーバルブ24を利用せずに、搬送流路10と分岐流路11と分岐流路12を互いに直接接続して3分岐流路を形成してもよい。さらに、図2においては、2つのロータリーバルブ系について説明したが、分岐ロータリーバルブ24に3つ以上のロータリーバルブ系を接続してもよい。ロータリーバルブ系を増やすことより、比較的容易に試薬ボトル40の個数を増やすことが可能になる。
【0047】
図3は、図1や図2のロータリーバルブに換えて、個別バルブを利用した分注装置を示す図である。
【0048】
図1の場合と同様に、図3の複数の試薬ボトル40A,40B内には、分析処理に利用される各種の試薬が収容されている。例えば、互いに種類の異なる試薬Aと試薬Bが、各々、試薬ボトル40Aと試薬ボトル40B内に収容される。また、洗浄液ボトル50内には、洗浄液が収容されている。
【0049】
図3においては、複数の容器流路42と洗浄液流路52とエア流路62の各々が個別バルブを介して搬送流路10に接続される。つまり、試薬ボトル40Aに繋がる容器流路42Aが個別バルブVAを介して搬送流路10に接続され、試薬ボトル40Bに繋がる容器流路42Bが個別バルブVBを介して搬送流路10に接続され、洗浄液ボトル50に繋がる洗浄液流路52が個別バルブVSを介して搬送流路10に接続され、エアを吸引するエア流路62が個別バルブVαを介して搬送流路10に接続される。
【0050】
そして、個別バルブVSのみを開いて他の個別バルブを閉じてチューブポンプ30を駆動することにより洗浄液が搬送流路10内に吸引され、個別バルブVαのみを開いて他の個別バルブを閉じてチューブポンプ30を駆動することによりエアが搬送流路10内に吸引され、個別バルブVAのみを開いて他の個別バルブを閉じてチューブポンプ30を駆動することにより試薬Aが搬送流路10内に吸引され、個別バルブVBのみを開いて他の個別バルブを閉じてチューブポンプ30を駆動することにより試薬Bが搬送流路10内に吸引される。
【0051】
個別バルブの開閉が適宜制御されて吸引動作が行われることにより、図3に示すように、搬送流路10内において洗浄液、エア、試薬A、エア、洗浄液、・・・の配列状態が形成されて、その配列状態を維持したまま分注ノズル70まで試薬などが搬送されて、試薬が反応処理容器80に吐き出される。
【0052】
なお、複数の容器流路42と洗浄液流路52とエア流路62の各々を搬送流路10に沿って異なる位置に梯子状に接続する場合には、接続位置の相違に伴ってデッドスペースが発生する。そのため、搬送流路10に吸引される洗浄液、エア、試薬Aの各量(体積)は、制御を容易にするために、図3に破線で示される最大デッドスペース以上に設定されることが望ましい。また、個別バルブVαがチューブポンプ30から最も離れた位置に接続され、個別バルブVSがチューブポンプ30から2番目に離れた位置に接続されることが望ましい。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る分注装置の主要構成を示した機能説明図である。
【図2】ロータリーバルブ系を2つ設けた分注装置を説明するための図である。
【図3】ロータリーバルブに換えて個別バルブを利用した分注装置を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10 搬送流路、20 ロータリーバルブ、30 チューブポンプ、40 試薬ボトル、42 容器流路、50 洗浄液ボトル、52 洗浄液流路、62 エア流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器の各々に接続される複数の容器流路と、
気体が吸引される気体流路と、
複数の容器流路と気体流路が接続される搬送流路と、
各容器から搬送流路内に吸引された液体をノズルへ搬送する搬送ポンプと、
を有し、
各容器に収容された液体が容器流路を介して搬送流路内に吸引される度に、気体流路を介して搬送流路内に気体が吸引され、搬送流路内において液体と液体の間に気体によるギャップが設けられた状態で液体が搬送される、
ことを特徴とする分注装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分注装置において、
前記複数の容器流路と気体流路のうちのいずれか一つを選択的に前記搬送流路へ接続するロータリーバルブをさらに有する、
ことを特徴とする分注装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分注装置において、
洗浄液が吸引される洗浄液流路をさらに有し、
前記ロータリーバルブは、前記複数の容器流路と気体流路と洗浄液流路のうちのいずれか一つを選択的に前記搬送流路へ接続し、
前記ロータリーバルブにより流路が適宜選択されて吸引されることにより、前記搬送流路内において洗浄液、気体、液体、気体、洗浄液の配列状態が形成されてこの配列状態で液体が搬送される、
ことを特徴とする分注装置。
【請求項4】
請求項3に記載の分注装置において、
前記搬送流路は、チューブによって形成され、
前記搬送ポンプは、チューブを押圧して押圧箇所をずらしながらチューブを搾ることによりチューブ内の液体を搬送するチューブポンプである、
ことを特徴とする分注装置。
【請求項5】
請求項1に記載の分注装置において、
前記複数の容器流路と気体流路は、各々に対応した個別バルブによって選択的に前記搬送流路へ接続される、
ことを特徴とする分注装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate