説明

分離膜の製造方法およびその分離膜を用いた分離膜モジュールの製造方法

【課題】血液適合性に優れ、タンパク質や有機物の付着が少ない分離膜の製造方法を提供することにある。
【解決手段】分離膜を、分子内に親水性と疎水性を併せ持つような共重合体高分子水溶液で湿潤させ、20〜600%の抱液率の状態で放射線照射させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜を製造する工程において共重合体高分子水溶液を含んだ分離膜の抱液率が20〜600%であり、放射線照射により処理することを特徴とする。本発明は血液適合性やタンパク質や有機物の非付着が要求される用途に好適に用いられる。例えば、血液浄化用の分離膜では血液適合性やタンパク質の非付着が要求されるし、浄水器用膜、上水浄化膜、下水浄化膜、逆浸透膜や、生体成分分離用膜などではタンパク質や有機物の非付着が要求されるため、好適に用いられる。また、これらの分離膜を内蔵したモジュールの製造時にも好適に用いられる。特に、血液適合性が要求される血液浄化用モジュールの製造時には好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
体液や血液と接触する医療用の分離膜は、タンパク質や血小板が付着すると分離膜の性能低下や、生体反応を引き起こす原因となり、深刻な問題となる。また、浄水器などの水処理膜においても、タンパク質や有機物の付着が、分離膜の性能低下を引き起こす。このような問題に対して、分離膜を親水化することによって解決しようとして、様々な検討がなされている。例えば、ポリスルホンに親水性高分子であるポリビニルピロリドンを、製膜原液の段階で混合させて成形することで、膜に親水性を与え、汚れを抑制する方法が特許文献1、特許文献2に開示されている。しかしながら、これらの方法では、表面に親水性を付与するには、製膜原液中の親水性高分子量を多くする必要があることや、基材となる高分子と相溶性のある親水性高分子に限定されることや、材料の使用用途に合わせて、最適な原液組成を検討しなければならないなどの制約を受ける。
【0003】
また、高分子表面に、ラジカル重合性モノマーを作用させて表面にグラフト重合層を形成させる方法も広く用いられている。例えば、A.Henglein, Angew. Chem., 70,461(1955)には、放射線を用いたグラフト重合が、また筏;工材,31,62(1983)には、アルゴンプラズマを用いたポリエチレン表面上へのアクリルアミドのグラフト重合が提案されている。しかしながら、これらの方法は、基材や重合性モノマーに限定があることや、未反応の重合性モノマーが残存することが懸念される。
【0004】
さらに、高分子表面にグロー放電やコロナ放電等によるプラズマ処理で、表面に親水性の官能基を導入する方法も広く用いられている。しかしながら、この方法では官能基しか導入できないため、血液適合性を導入するには不十分であり、さらには、基材の原料や形状などに限定がある。
【0005】
また、血液適合性能を上げるために、ポリスルホン系の分離膜をポリビニルピロリドンなどの親水性高分子溶液と接触させ、物理吸着させる方法(特許文献3)も開示されているが、この方法では血液と接触した際に、親水性高分子が血中に溶出してくる可能性が考えられる。
【0006】
さらには、製膜の工程中で放射線または熱により、水不溶化するポリビニルピロリドンなどの親水性成分を導入する方法(特許文献4)や、ポリスルホン系の分離膜をポリビニルピロリドンなどの親水性高分子溶液と接触させた後、放射線架橋により不溶化した被膜層を形成する方法(特許文献5)が開示されている。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、親水性高分子の被膜層を形成させる方法は、ある程度の改善が認められるが、多くの例外があった。
【0007】
すなわち、簡便にかつ血液適合性を満たす基材の処理法は未だ確立されていない。
【特許文献1】特公平2−18695号公報
【特許文献2】特開昭61−238834号公報
【特許文献3】特開平10−118472号公報
【特許文献4】特公平8−9668号公報
【特許文献5】特開平6−238139号公報
【非特許文献1】A.Henglein, Angew. Chem., 70,461(1955)
【非特許文献2】筏;工材,31,62(1983)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、血液適合性に優れ、タンパク質や有機物の付着が少ない分離膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を達成するため鋭意検討を進めた結果、血液適合性に優れ、タンパク質や有機物の付着が少ない分離膜の製造方法は、下記の(1)〜(11)の構成によって達成される。
(1) 下記一般式(I)で示される繰り返し単位と、疎水性の単位を有し、前記一般式(I)で示される繰り返し単位を1分子中に60モル%以上、99モル%未満含有する共重合体高分子の水溶液を、抱液率20%以上、600%以下の割合で含んだ分離膜を、放射線照射により処理することを特徴とする分離膜の製造方法。
−[C(R)(R)−C(R)((CHOH)]− (I)
但し、式中、R、Rが水素原子、Rが水素原子、メチル基のいずれかを示す。式中nは0〜3までの整数を表す。
(2) 前記一般式(I)で表される繰り返し単位がビニルアルコール(R〜Rが水素原子,n=0)であり、それ以外の繰り返し単位として酢酸ビニルを含有する共重合体高分子を用いることを特徴とする1に記載の分離膜の製造方法。
(3) 前記共重合体高分子の重量平均分子量が100万以下であることを特徴とする分離膜の製造方法。
(4) 前記分離膜が中空糸膜であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
(5) 1〜4のいずれかに記載の方法により製造された分離膜をモジュールに内蔵したことを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。
(6) 前記分離膜モジュールが、医療用モジュールであることを特徴とする5に記載の分離膜モジュールの製造方法。
(7) 前記医療用モジュールが血液浄化用モジュールであることを特徴とする6に記載の分離膜モジュールの製造方法。
(8) 前記医療用モジュールが人工腎臓用モジュールであることを特徴とする6に記載の分離膜モジュールの製造方法。
(9) 前記分離膜モジュール内の酸素濃度が10%以下の状態において、放射線照射することを特徴とする5〜8のいずれかに記載の分離膜モジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法は、分離膜に共重合体高分子溶液が接触した状態で、放射線照射により処理するもので、分離膜に血液適合性やタンパク質・有機物の付着しにくい性質が要求される用途に幅広く用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明でいうところの分離膜とは溶媒中に含まれる物質をろ過・除去する膜のことで、高分子材料が主成分であることが好ましい。高分子材料の例としては、ポリ塩化ビニル、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリマーやポリスチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、セルロース系ポリマーなどが挙げられる。この中でも特にポリスルホンは成形が容易で、膜にしたときの物質透過性能に優れているため、好適に用いられる。
【0012】
しかし、分離膜が医療用分離膜である場合、体液や血液が高分子材料と接触すると、タンパク質の吸着や血栓の形成などの生体反応を引き起こすため、親水性を付与して血液適合性を向上させる必要がある。また、分離膜が水処理用分離膜である場合、タンパク質や有機物などが高分子材料に吸着し、分離能を低下させるおそれがあるため、同様に親水性が要求される。本発明によって処理される分離膜が利用される用途としては、医療用分離膜、特に血液浄化用モジュール、人工腎臓用モジュール、生体成分分離用モジュールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、水処理用分離膜としては、浄水器用膜、上水浄化膜、下水浄化膜、逆浸透膜などが挙げられる。
【0013】
特に、近年は分離膜モジュールの軽量化や、寒冷地での凍結防止を図るため、抱液率の低い湿潤タイプやドライタイプの分離膜が注目されてきている。
【0014】
本発明の方法は、抱液率が20〜600%の分離膜に対して用いることができる。すなわち、分離膜の親水化処理後、膜を再度乾燥させて湿潤状態にする必要がないため、コスト的にも有利である。さらに、医療用分離膜であるならば、本発明の方法は、滅菌と兼ねることができるため好ましい。
【0015】
本発明の方法においては、一般式(I)で示される繰り返し単位を、1分子中に60モル%以上、99モル%未満含有する共重合体高分子の水溶液を、抱液率が20〜600%となるように抱液させた分離膜に放射線照射することにより、該高分子が分離膜に好適に導入され、タンパク質や血小板などの吸着を抑制することができる。
【0016】
また、抱液とは、分離膜に溶媒が含まれる状態をいう。抱液率とは、基材の乾燥重量に対してどの程度の溶媒を含むかを表すもので、分離膜の溶媒量と乾燥重量から、次の計算式で与えられる。ここでいう、乾燥重量とは分離膜を乾燥させて、乾燥中の1時間での重量変化率が2%以内になった状態の重量をいう。
【0017】
抱液率 = (分離膜の溶媒量/分離膜の乾燥重量)×100 [%]
抱液率が小さいと溶出物が増加するため、抱液率は20%以上、さらには100%以上が好ましい。放射線照射時には、水からヒドロキシラジカルが発生し、これが起点となって、共重合体高分子や分離膜の素材もラジカル化し、共重合体高分子が膜へ架橋するものと考えられる。したがって、抱液率が低いと、発生するヒドロキシラジカル量が少ないために架橋反応が不十分になり、溶出物が増加したと考えられる。溶出物は、医療用分離膜の用途において特に問題となる。また、抱液率が600%を越えても、溶出物が増加する。これは、大量の水が存在すると、過剰のヒドロキシラジカルが発生し、架橋反応だけでなく、分解反応も進行するためと考えられる。従って、分離膜の抱液率が20〜600%の範囲に入ることが好ましく、さらには100〜300%の範囲に入ることが好ましい。
【0018】
本発明において、20〜600%の範囲で抱液した分離膜を製造する方法としては、例えば、分離膜をモジュール内に充填した後、モジュール内を水溶液で満たし、次いで分離膜に含まれる水溶液を気体を用いて吹き飛ばす方法が挙げられる。人工腎臓用モジュールの場合には、例えば分離膜をモジュールに充填した後、血液側入り口から血液側出口に水溶液を通液し、次いで透析液側入り口から透析液側出口に通液する順でモジュール内に水溶液を充填する。その後、空気、窒素などの気体を用いて透析液側、血液側の水溶液をそれぞれ吹き飛ばすことにより、水溶液を抱液した分離膜を得ることができる。
【0019】
また、分離膜の抱液率は、減圧乾燥、高温乾燥、低温送風乾燥、ブロー乾燥など、様々な方法によって調整できるが、これらに限定されるものではない。それぞれの条件を変えることによって、20〜600%の抱液率を達成できる。例えば、ブロー乾燥では、気体を用いてモジュール中の水溶液を吹き飛ばす際に、その時間や、強さ(圧力)を調整することによって所定の抱液率を示す分離膜を製造できる。気体による吹き飛ばし時間は、短すぎると十分に溶液が除去できず抱液率が高くなり、長すぎると水溶液を吹き飛ばしすぎて抱液率が低くなる。気体による水溶液の吹き飛ばし時間は10秒以上、5分以下が好適に用いられ、さらには30秒以上、2分以下が望ましい。また、強さに関しても、溶液の残存度合を左右するため、弱すぎても強すぎても目的の抱液率は得られない。気体の強さ(圧力)は、10kPa以上、500kPa以下が好適に用いられ、さらには50.0kPa以上、200kPa以下が好適に用いられる。
【0020】
また、このような分離膜モジュールに放射線を照射すると、モジュールケース内部に存在する空気中の酸素からラジカルが発生し、分離膜素材の高分子材料が分解してしまうと考えられ、溶出物が増加する。従って、酸素濃度はモジュール内に存在する気体中10%以下であることが望ましい。
【0021】
このように湿潤状態をコントロールすることで、溶出物が低く、安全性の高い分離膜が提供できる。
【0022】
また、共重合体高分子溶液中に高分子以外の成分、例えば、抗酸化剤が入っていても良い。
【0023】
抗酸化剤を入れることで、発生するヒドロキシラジカル量を調整することができる。例えば、医療用分離膜で、本発明の放射線照射と滅菌を兼ねる際に、滅菌線量では分離膜などが劣化する場合、それを防止するために抗酸化剤を併用しても良い。抗酸化剤とは、他の分子に電子を与えやすい性質を持つ分子のことを言うが、ポリマーが放射線によりラジカル反応を起こす際、その反応を抑制する性質をもつものである。例えば、ビタミンCなどの水溶性ビタミン類、ポリフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、グルコース、ガラクトース、マンノース、トレハロースなどの糖類、ソジウムハイドロサルファイト、ピロ亜硫酸ナトリウム、二チオン酸ナトリウムなどの無機塩類、尿酸、システイン、グルタチオン、酸素などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの抗酸化剤は単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。本発明の方法を医療用具に用いる際は、その安全性を考慮する必要があるため、抗酸化剤は毒性の低いものが好適に用いられる。
【0024】
抗酸化剤を含有する水溶液の濃度については、含有する抗酸化剤の種類、放射線の照射線量などにより異なる。抗酸化剤の濃度が低すぎると、水から発生するヒドロキシラジカルの消去が十分にできないため、分離膜などの劣化を防ぐことができない。また、抗酸化剤を多量に入れると、ヒドロキシラジカルが十分に消去されてしまうために、共重合体高分子の分離膜への導入効率が落ちるために、溶出物が増加し、タンパク質や血小板などの付着抑制効果も十分に得られない。
【0025】
本発明の共重合体高分子は、一般式(I)で示される繰り返し単位と、疎水性の単位を有し、一般式(I)で示される繰り返し単位を1分子中に60モル%以上、99モル%未満有するポリマーである。
−[C(R)(R)−C(R)((CHOH)]− (I)
但し、R、Rが水素原子、Rが水素原子、メチル基のいずれかを示す。式中nは0〜3までの整数を表す。また、ここでいうところの疎水性の単位とは、疎水性の単位のみでは水に不溶となるものを差し、具体的には、ビニル基、塩化ビニル基、酢酸ビニル基、メタクリル酸メチル基などが挙げられる。
【0026】
共重合体高分子は、入手のしやすさの点から、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体が好ましく用いられる。この場合、疎水性の単位としては、酢酸ビニル以外の単位を併せ用いてもよい。
【0027】
本発明の効果は、代表的な親水性高分子であるポリエチレングリコールや、ポリビニルピロリドンを使用しても、血液適合性やタンパク質付着抑制性を持った分離膜を得ることができない。従って、これらの親水性高分子は、分離膜が水溶液中に含浸された状態、すなわち抱液率が600%より大きい場合では、優れた血液適合性を示すが、本発明のように分離膜の抱液率が低い状態では、効果を発揮しない。ところが、前述したようなビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体では、分離膜の抱液率が低い状態でも、高い効果を示す。このことからも、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体が好ましい。
本発明による処理を行った分離膜が血液適合性やタンパク質付着抑制性に優れているのは、共重合体高分子の親水性と疎水性のバランスにあるものと考えられる。
すなわち、本発明の共重合体高分子を使用することによって血液適合性やタンパク質付着抑制性を示す理由は、次のように考えられる。まず、親水性部分が周囲の水分子と相互作用し、水和層を形成することで、タンパク質などの付着を抑制するものと考えられる。しかしながら、水和層が膜表面全体を覆っていなければ、タンパク質は吸着する。本発明の共重合体高分子は、分子内に疎水性部分も併せ持つため、疎水性部分が、膜表面の疎水性部分と相互作用することで、膜表面の疎水性部分の露出がなくなり、親水性の膜表面を作りだすのではないかと考えられる。つまり、共重合体高分子の疎水性部分が膜表面の疎水性部分に対してのりのような役目を果たすことで、膜表面が効率的に共重合体高分子で覆われ、かつ、共重合体高分子中の親水性部分が水和するために、膜表面全体が水和層で覆われた状態になっているのではないかと考えられる。
【0028】
以上のことから、親水性が強すぎる場合、疎水性が強すぎる場合の両方において、タンパク質などが付着する。したがって、一般式(I)で示される繰り返し単位は60モル%以上、99モル%未満が好ましく、さらには60モル%以上、98モル%未満が好ましい。
【0029】
一般式(I)の場合において、共重合体1分子中の全ての繰り返し単位がビニルアルコールユニットからなるポリマーは結晶化しやすく、水に難溶である。一方、ビニルアルコールユニット以外に酢酸ビニルユニットがあるポリマーは、結晶化しにくく水に比較的易溶である。しかしながら、酢酸ビニルユニットの割合が大きくなると、疎水性部分が多くなるため分離膜を親水化しにくくなる。従って、前に述べたようなタンパク質などの付着抑制効果という点だけではなく、ハンドリング性の点からも、本発明に使用されるビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体におけるビニルアルコールユニットの含有率は60モル%以上99モル%未満、さらに好ましくは60モル%以上98モル%未満の範囲に含まれるものが望ましい。
【0030】
また、上記のような構造を持つ共重合体高分子の重量平均分子量が大きくなりすぎると、水に溶解しにくくなる。対策として、加熱や水以外の溶媒による溶解が考えられるが、加熱操作は製造コストが高くなり、水以外の溶媒への溶解は医療用分離膜としての用途を考えると安全性の面で懸念が残る。また、分子量が小さすぎても、放射線照射による架橋で固定し、血液と接触させたときの溶出が懸念される。このようなハンドリングの善し悪しから、本発明において使用されるビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体の場合、分子量の増大に伴い、水への溶解性は顕著に低下する。したがって、重量平均分子量は好ましくは100万以下、さらに好ましくは20万以下である。
【0031】
なお、上記の主な繰り返し単位がビニルアルコールであり、それ以外の繰り返し単位として酢酸ビニルを有する共重合体高分子と併せて、複数の高分子の混合水溶液を用いれば、分離膜表面に複数の高分子を導入することが可能である。
【0032】
放射線はα線、β線、γ線、X線、紫外線、電子線などが用いられる。また、人工腎臓などの医療用具は滅菌することが必要であり、近年は残留毒性の少なさや簡便さの点から、放射線滅菌法が多用されており、特に、γ線や電子線が好適に用いられている。すなわち、本発明の方法を用いることにより、滅菌を兼ねることができるので、医療用分離膜および分離膜モジュールに用いることは好ましい。例えば、血液浄化用モジュールをγ線で滅菌するには15kGy以上の線量照射が好ましい。ただし、滅菌が不要な用途に用いる場合は、この線量に限定されない。
【0033】
本発明の分離膜は、血液浄化用モジュール、人工腎臓用モジュールなどの医療用分離膜として好適に用いられる。
【0034】
本発明の血液浄化用モジュールとは、血液を体外に循環させる際に、吸着や濾過、拡散によって血中の老廃物や有害物質を取り除く機能を有したモジュールのことをいい、人工腎臓や外毒素吸着カラムなどがある。
【0035】
血液浄化用モジュールに内蔵される分離膜の形態は特に限定されるものではなく、平膜、中空糸膜などの形態で用いられる。しかし、処理効率すなわち血液と接触する表面積の確保などを考慮すると中空糸膜型であることが好ましい。
【0036】
本発明の分離膜となる素材は、特に限定しないが、医療用に用いられている素材が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル、セルロース系ポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリマー、ポリウレタンなどが挙げられる。この中でも特にポリスルホンは成形が容易で、膜にしたときの物質透過性能に優れているため、好適に用いられる。
【0037】
本発明で用いられるポリスルホン系ポリマーは、主鎖に芳香環、スルフォニル基およびエーテル基をもつもので、例えば、次式(1)、(2)の化学式で示されるポリスルホンが好適に使用されるが、本発明ではこれらに限定されない。式中のnは、例えば50〜80の如き整数である。
【0038】
【化1】

【0039】
ポリスルホンの具体例としては、ユーデルポリスルホンP−1700、P−3500(テイジンアモコ社製)、ウルトラソンS3010、S6010(BASF社製)、ビクトレックス(住友化学)、レーデルA(テイジンアモコ社製)、ウルトラソンE(BASF社製)等のポリスルホンが挙げられる。又、本発明で用いられるポリスルホンは上記式(1)及び/又は(2)で表される繰り返し単位のみからなるポリマーが好適ではあるが、本発明の効果を妨げない範囲で他のモノマーと共重合していても良い。特に限定するものではないが、他の共重合モノマーは10重量%以下であることが好ましい。
【0040】
本発明にかかる分離膜モジュールの製造方法としては、その用途により、種々の方法があるが、大まかな工程としては、分離膜の製造工程と、その分離膜をモジュールに組み込むという工程にわけることができる。放射線照射による処理を、分離膜をモジュールに組み込む工程の前に用いてもよいし、分離膜をモジュールに組み込んだ後に用いてもよい。モジュール化した後にγ線照射するのであれば、医療用に用いる場合、滅菌も同時に行うことができるので好ましい。
【0041】
人工腎臓に用いられる中空糸膜モジュールの製造方法についての一例を示す。
【0042】
人工腎臓に内蔵される中空糸膜の製造方法としては、一方法としてつぎのような方法がある。すなわち、ポリスルホンとポリビニルピロリドン(重量比率20:1〜1:5が好ましく、5:1〜1:1がより好ましい)をポリスルホンの良溶媒(N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサンなどが好ましい)および貧溶媒の混合溶液に溶解させた原液(濃度は、10〜30重量%が好ましく、15〜25重量%がより好ましい)を二重環状口金から吐出する際に内側に注入液を流し、乾式部を走行させた後凝固浴へ導く。この際、乾式部の湿度が影響を与えるために、乾式部走行中に膜外表面からの水分補給によって、外表面近傍での相分離挙動を速め、孔径拡大し、結果として透析の際の透過・拡散抵抗を減らすことも可能である。ただし、相対湿度が高すぎると外表面での原液凝固が支配的になり、かえって孔径が小さくなり、結果として透析の際の透過・拡散抵抗を増大する傾向がある。そのため、相対湿度としては60〜90%が好適である。また、注入液組成としてはプロセス適性から原液に用いた溶媒を基本とする組成からなるものを用いることが好ましい。注入液濃度としては、例えばジメチルアセトアミドを用いたときは、45〜80重量%、さらには60〜75重量%の水溶液が好適に用いられる。
【0043】
中空糸膜をモジュールに内蔵する方法としては、特に限定されないが、一例を示すと次の通りである。まず、中空糸膜を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、筒状ケースに入れる。その後両端に仮のキャップをし、中空糸膜両端部にポッティング剤を入れる。このとき遠心機でモジュールを回転させながらポッティング剤を入れる方法は、ポッティング剤が均一に充填されるために好ましい方法である。ポッティング剤が固化した後、中空糸膜の両端が開口するように両端部を切断し、中空糸膜モジュールを得る。
【0044】
本発明の方法を用いるには、上記のようにして得られた中空糸膜を共重合体高分子水溶液で抱液率を20〜600%に調整し、γ線照射したのち、モジュールに組み込んでもよい。また、モジュール化を行った後に、分離膜の抱液率を20〜600%に調整し、γ線照射してもよい。モジュール化の後にγ線照射すれば、滅菌も同時に行うことができるので好ましい。
【0045】
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
以下実施例と比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
1.中空糸膜モジュールの作製
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)16部、ポリビニルピロリドン(インターナショナルスペシャルプロダクツ社;以下ISP社と略す)K30 3部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90)3部をジメチルアセトアミド77部、水1部を加熱溶解し、製膜原液とした。
【0047】
この原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド63部、水37部からなる溶液を吐出させ、中空糸膜を形成させた後、温度30℃、露点28℃の、350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド20重量%、水80重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、60〜75℃90秒の水洗工程、130℃の乾燥工程を2分通過させ、160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を1.6mになるように、ケースに充填し、ポッティングし、端部を両面開口させて、人工腎臓モジュールとした。
2.測定方法
(1)中空糸膜のヒト血小板付着試験方法
18mmφのポリスチレン製の円形フィルムに両面テープを貼り付け、そこに中空糸膜を固定した。貼り付けた中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、中空糸膜の内表面を露出させた。中空糸内表面に汚れや傷、折り目などがあると、その部分に血小板が付着し、正しい評価ができないことがあるのでこのような部分はできるだけ用いないよう注意を要する。筒状に切ったFalcon(登録商標)チューブ(18mmφ、No.2051)に該円形フィルムを、中空糸膜を貼り付けた面が、円筒内部にくるように取り付け、パラフィルムで取り付け部分の隙間を埋めて液が漏れない様にしカップ状の試験サンプルを作成した。この円筒管内を生理食塩水で洗浄後、生理食塩水で満たした。人間の静脈血を採血後、直ちにヘパリンを50U/mlになるように添加した。前記円筒管内の生理食塩水を廃棄後、前記血液を、採血後10分以内に、円筒管内に1.0ml入れ、37℃でミクロミキサーにて1時間振盪させた。その後、中空糸膜を10mlの生理食塩水で洗浄し、2.5体積%グルタルアルデヒドを含有した生理食塩水で血液成分の固定を行い、20mlの蒸留水にて洗浄した。洗浄した中空糸膜を常温0.5Torrにて10時間減圧乾燥した。この中空糸膜を走査型電子顕微鏡の試料台に両面テープで貼り付けた。その後、スパッタリングにより、Pt−Pd(白金−パラジウム)の薄膜を中空糸膜表面に形成させて、試料とした。この中空糸膜の内表面をフィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(日立社製S800)にて、倍率1500倍で試料の内表面を観察し、1視野中(4.3×10μm)の付着血小板数を数えた。中空糸長手方向における中央付近で、異なる10視野での付着血小板数の平均値を血小板付着数(個/4.3×10μm)とした。中空糸の長手方向における端の部分は、血液溜まりができやすいため付着数の計測対象からはずした。
(2)抱液率の測定方法
中空糸膜モジュールから中空糸を取り出し、重量を測定した。その後、常温0.5Torrにて10時間減圧乾燥したのち、乾燥重量を測定した。次にもう1時間同様の方法で減圧乾燥し、重量変化率が2%以内になった状態の重量を絶乾重量とした。下式にて抱液率を求めた。
【0048】
抱液率 = (中空糸膜の水分量/中空糸膜の絶乾重量)×100 [%]
(3)酸素濃度の測定方法
東レ・テクノ(株)にて、中空糸膜モジュールを窒素雰囲気内に入れ、血液側の栓にガスタイトシリンジ針を刺し、モジュール内ガスを採取し、島津製作所社製GC−14Bを用いて、GC−TCD法にて、ケース内の酸素濃度測定を測定した。
【0049】
分析条件を下記に示す。
【0050】
使用機器:島津製作所社製GC−14B
カラム:Molecular sieve 5A 2.0m
カラム温度:60℃
入口温度:150℃
出口温度:200℃
キャリアガス:ヘリウム 0.8kg/cm
ディテクター:TCD
電流:50mA
(4)溶出物の測定方法
中空糸膜モジュールの血液側に初期洗浄液として常温下で水を流量100mL/minで流し、最初に流出してくる50mLをサンプリングした。このサンプルから10mLを取り出し、2.0×10−3mol/L過マンガン酸カリウム水溶液20mL、希塩酸1mLを加え3分間煮沸した。室温まで冷却し、ヨウ化カリウム水溶液1mLを加え、よく撹拌後10分放置し、1.0×10−2mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定した。別途、中空糸膜モジュールを通さなかった水について、測定サンプルと同様の操作をした。中空糸膜モジュールを通さない水の滴定に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液量と、サンプルの滴定に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液量との差を、溶出物により消費された2.0×10−3mol/L過マンガン酸カリウム水溶液量(過マンガン酸カリウム水溶液の消費量)とした。これを溶出物量(mL)とした。
(実施例1)
共重合体高分子にポリビニルアルコール(シグマ・アルドリッチ社製、重量平均分子量10000、親水性単位80モル%)を使用した。ポリビニルアルコール0.1重量%水溶液を中空糸膜モジュールの血液側入口から血液側出口に通液し、次に透析液側入り口から透析液側出口に通液する順で充填した。さらに100kPaの圧縮空気で透析液側から血液側へ充填液を押しだし、次に血液側の充填液を吹き飛ばした。さらに窒素で透析液側、血液側それぞれをブローし、抱液率270%、酸素濃度3%にした。その後、該モジュールにγ線を照射した。γ線照射線量は27kGyであった。該モジュールの中空糸を切り出し、血小板付着試験を行った。結果は表1の通りであった。
付着血小板数が少なく、血液適合性に優れた分離膜を得た。また、溶出物も少なく、安全な人工腎臓モジュールが得られた。
(比較例1)
共重合体高分子にポリビニルアルコール(シグマ・アルドリッチ社製、重量平均分子量10000、親水性単位80モル%)を使用した。ポリビニルアルコール0.1重量%水溶液を中空糸膜モジュールの血液側入口から血液側出口に通液し、次に透析液側入り口から透析液側出口に通液する順で充填した。さらに100kPaの圧縮空気で充填液を吹き飛ばし、常温0.5Torrにて10時間減圧乾燥した。さらに窒素で透析液側、血液側それぞれをブローし、抱液率0%、酸素濃度3%にした。その後、該モジュールにγ線を照射した。γ線照射線量は27kGyであった。該モジュールの中空糸を切り出し、血小板付着試験を行った。結果は表1の通りであった。
付着血小板数も、溶出物も多い分離膜であることがわかった。
(比較例2)
共重合体高分子にポリビニルピロリドン(BASF社製、重量平均分子量10000)を使用した。ポリビニルピロリドン0.1重量%水溶液を中空糸膜モジュールの血液側入口から血液側出口に通液し、次に透析液側入り口から透析液側出口に通液する順で充填した。さらに100kPaの圧縮空気で透析液側から血液側へ充填液を押しだし、次に血液側の充填液を吹き飛ばした。さらに窒素で透析液側、血液側それぞれをブローし、抱液率275%、酸素濃度4%にした。その後、該モジュールにγ線を照射した。γ線照射線量は27kGyであった。該モジュールの中空糸を切り出し、血小板付着試験を行った。結果は表1の通りであった。
【0051】
溶出物は少ないが、付着血小板数が多くなった。共重合体高分子の親水・疎水バランスに偏りがあるためと考えられる。
(比較例3)
共重合体高分子にポリエチレングリコール(日本油脂社製、重量平均分子量2000)を使用した。ポリエチレングリコール0.1重量%水溶液を中空糸膜モジュールの血液側入口から血液側出口に通液し、次に透析液側入り口から透析液側出口に通液する順で充填した。さらに100kPaの圧縮空気で透析液側から血液側へ充填液を押しだし、次に血液側の充填液を吹き飛ばした。さらに窒素で透析液側、血液側それぞれをブローし、抱液率270%、酸素濃度4%にした。その後、該モジュールにγ線を照射した。γ線照射線量は27kGyであった。該モジュールの中空糸を切り出し、血小板付着試験を行った。結果は表1の通りである。
【0052】
溶出物は少ないが、付着血小板数が多くなった。共重合体高分子の親水・疎水バランスに偏りがあるためと考えられる。
(比較例4)
共重合体高分子にポリビニルアルコール(クラレ社製“ポバール PVA−117”、重合度1700、親水性単位99.0%)を使用した。加熱して溶解したポリビニルアルコール0.1重量%水溶液を中空糸膜モジュールの血液側入口から血液側出口に通液し、次に透析液側入り口から透析液側出口に通液する順で充填した。さらに100kPaの圧縮空気で透析液側から血液側へ充填液を押しだし、次に血液側の充填液を吹き飛ばした。さらに窒素で透析液側、血液側それぞれをブローし、抱液率270%、酸素濃度3%にした。その後、該モジュールにγ線を照射した。γ線照射線量は27kGyであった。該モジュールの中空糸を切り出し、血小板付着試験を行った。結果は表1の通りである。
【0053】
溶出物は少ないが、付着血小板数が多くなった。共重合体高分子の親水・疎水バランスに偏りがあるためと考えられる。
(比較例5)
共重合体高分子にポリビニルアルコール(シグマ・アルドリッチ社製、重量平均分子量10000、親水性単位80モル%)を使用した。加熱して溶解したポリビニルアルコール0.1重量%水溶液を中空糸膜モジュールの血液側入口から血液側出口に通液し、次に透析液側入り口から透析液側出口に通液する順で充填した。さらに100kPaの圧縮空気で透析液側から血液側へ充填液を押しだし、次に血液側の充填液を吹き飛ばした。さらに窒素で透析液側、血液側それぞれをブローし、抱液率10%、酸素濃度3%にした。その後、該モジュールにγ線を照射した。γ線照射線量は27kGyであった。該モジュールの中空糸を切り出し、血小板付着試験を行った。結果は表1の通りである。
【0054】
溶出物も、付着血小板数も多い分離膜であることがわかった。抱液率が小さいためと考えられる。
(比較例6)
共重合体高分子にポリビニルアルコール(シグマ・アルドリッチ社製、重量平均分子量10000、親水性単位80モル%)を使用した。加熱して溶解したポリビニルアルコール0.1重量%水溶液を中空糸膜モジュールの血液側入口から血液側出口に通液し、次に透析液側入り口から透析液側出口に通液する順で充填した。さらに自然落下で透析液側および血液側の充填液を抜き出し、さらに窒素で透析液側、血液側それぞれをブローし、抱液率610%、酸素濃度3%にした。その後、該モジュールにγ線を照射した。γ線照射線量は27kGyであった。該モジュールの中空糸を切り出し、血小板付着試験を行った。結果は表1の通りである。
【0055】
付着血小板数は少ないが、溶出物が多い分離膜であることがわかった。抱液率が高いためと考えられる。
【0056】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に用いられる人工腎臓の一態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示される繰り返し単位と、疎水性の単位を有し、前記一般式(I)で示される繰り返し単位を1分子中に60モル%以上、99モル%未満含有する共重合体高分子の水溶液を、抱液率20%以上、600%以下の割合で含んだ分離膜を、放射線照射により処理することを特徴とする分離膜の製造方法。
−[C(R)(R)−C(R)((CHOH)]− (I)
但し、式中、R、Rが水素原子、Rが水素原子、メチル基のいずれかを示す。式中nは0〜3までの整数を表す。
【請求項2】
前記一般式(I)で表される繰り返し単位がビニルアルコール(R〜Rが水素原子,n=0)であり、それ以外の繰り返し単位として酢酸ビニルを含有する共重合体高分子を用いることを特徴とする請求項1に記載の分離膜の製造方法。
【請求項3】
前記共重合体高分子の重量平均分子量が100万以下であることを特徴とする分離膜の製造方法。
【請求項4】
前記分離膜が中空糸膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された分離膜をモジュールに内蔵したことを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記分離膜モジュールが、医療用モジュールであることを特徴とする請求項5に記載の分離膜モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記医療用モジュールが血液浄化用モジュールであることを特徴とする請求項6に記載の分離膜モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記医療用モジュールが人工腎臓用モジュールであることを特徴とする請求項6に記載の分離膜モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記分離膜モジュール内の酸素濃度が10%以下の状態において、放射線照射することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の分離膜モジュールの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−198611(P2006−198611A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369344(P2005−369344)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】