分離装置、分析方法および分離方法
【課題】製作が容易で小型化にも適した分離装置および分離方法等を提供する。また、分離効率や分離精度を向上させることができる分離装置および分離方法等を提供する。
【解決手段】その表面に形成された溝よりなる流路10a、10bを有する基板S1と、流路10aと接続された注入孔3と、その表面に形成された溝よりなる流路20aを有する基板S2と、流路20aと接続された収容部5bと、を有し、流路10aと流路20aが交差するよう、基板S1の表面と基板S2の表面を当接して成る分離装置とする。その結果、流路10aを層流状態で流れる液の液体成分、例えば血液中の血漿を基板S2の流路20aに導入することができ、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。
【解決手段】その表面に形成された溝よりなる流路10a、10bを有する基板S1と、流路10aと接続された注入孔3と、その表面に形成された溝よりなる流路20aを有する基板S2と、流路20aと接続された収容部5bと、を有し、流路10aと流路20aが交差するよう、基板S1の表面と基板S2の表面を当接して成る分離装置とする。その結果、流路10aを層流状態で流れる液の液体成分、例えば血液中の血漿を基板S2の流路20aに導入することができ、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置、分析方法および分離方法に関し、特に、固形成分を含有する液の固形成分もしくは液体成分の分離に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高度な化学分析や化学合成、あるいはバイオ関連の分析要素を小さなマイクロ流体チップに集積化する技術が注目されている。これらの技術は、μTAS(マイクロ総合分析システム:Micro-Total Analysis Systems)もしくはラボ・オン・チップ(Lab-on-a-chip)などと呼ばれ、医療診断や健康チェック、環境や食品のオンサイト分析、医薬品や化学品などの高付加価値物質の生産、バイオ分析の高効率化など広い分野に応用が見込まれており、近年その開発が重要視されている。
【0003】
かかる技術によれば、従来の装置と比べて試料の必要量が少ない、反応時間が短い、検査試薬等の使用量が少ない、廃棄物が少ない、などのメリットがある。
【0004】
例えば、医療分野における血液検査などに適用した場合には、血液など検体の量を少なくすることで患者の負担を軽減でき、また、試薬の量を少なくすることで検査のコストを下げることができる。さらに、検体および試薬の量が少ないことから、反応時間が大幅に短縮され検査の効率化を図ることができる。
【0005】
ここで、例えば下記特許文献1には、血液試験に際して、あらかじめ全血から細胞成分を含まない血漿を得るための技術が開示されている。
【特許文献1】特表2005−505770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、血液中には種々の固形成分が含有しており、精密な検査においては、血液中の液体成分(血漿)を分離し、当該液体成分中の各種微量成分を測定することが必要である。
【0007】
このような液体成分の分離(固形成分の除去)には、遠心分離方法が用いられるが、装置が大型であり、また、分離および検査に時間がかかるといった問題がある。また、POC(Point of Care)検査、即ち、患者の側で行なう臨床検査にそぐわない。
【0008】
一方、小型化が可能な方法としてフィルターろ過方法もあるが、フィルターの素材や孔径の設定が困難であり、血液中のタンパク質によりフィルターの目詰まりが起こるといった問題がある。
【0009】
このように、検査前の血液の処理において上記問題があり、μTAS技術の上記利点が損なわれることがあった。
【0010】
そこで、上記特許文献1に開示されているような分離技術が検討されている。ここでは、流入チャネル(9)、第1排出チャネル(11)および第2排出チャネル(12)を有する分離モジュールにおいて、第1排出チャネル(11)内より早く流体が流れる第2排出チャネル(12)内に血球成分を流入させ、血液からの血球成分の分離を行なう技術が開示されている。なお、括弧内は当該文献中の符号である。
【0011】
しかしながら、上記文献に開示の技術を用いても、第1排出チャネル(11)および第2排出チャネル(12)が同じ面内に形成されている場合、その幅が微細で深い流路(溝)の形成が必要である。よって、当該流路を例えば、ガラス基板や樹脂基板に形成するには、高精度の加工が必要となり、分離モジュールの製造コストが高くなる恐れがある。また、分離効率や分離精度を向上させるには限界があった。
【0012】
そこで、本発明は、製作が容易で小型化にも適した分離装置および分離方法等を提供することを目的とする。また、分離効率や分離精度を向上させることができる分離装置および分離方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係る分離装置は、その第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、上記第1流路と接続された注入部と、その第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、上記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、上記第1流路と上記第2流路が交差するよう、上記第1基板の第1面と上記第2基板の第1面を当接して成ることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2基板の第2流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、2つの基板上に形成される2つの流路を交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離装置の製作が従来の方法に対して容易であり、また、小型化も可能となる。
【0015】
より好ましくは、上記注入部は上記第1流路の一端に接続され、上記第1流路の他端に第2収容部を有する。かかる構成によれば、第2収容部に液中の固形成分を導入することができる。
【0016】
より好ましくは、上記第2流路が複数形成されている。かかる構成によれば、複数の第2流路によって液の液体成分を導入することができるため、分離効率を向上させることができる。
【0017】
より好ましくは、上記第1流路の幅はその深さの5倍以上である。かかる構成によれば、第2流路の幅を広く確保でき、流入液の流量を大きくできるため、分離効率を向上させることができる。
【0018】
例えば、上記分離装置は、血液中の液体成分を分離する装置であって、上記注入孔に試料血液が注入され、上記第2流路に、上記試料血液の血漿成分が導入される。かかる構成によれば、試料血液から血漿成分を分離でき、高精度な血液検査に資することができる。
【0019】
(2)本発明に係る分離装置は、開口部よりなる第1流路を有する第1基板と、上記第1流路と接続された注入部と、その第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、その第1面に形成された溝よりなる第3流路を有する第3基板と、上記第2流路および第3流路と接続された第1収容部と、を有し、上記第1流路と上記第2流路および上記第1流路と上記第3流路がそれぞれ交差するよう、上記第1基板の第1面と上記第2基板の第1面を当接し、上記第1基板の第2面と上記第3基板の第1面を当接して成ることを特徴とする。
【0020】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2および第3流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、3つの基板を積層し、第1基板の上下に配置される2つの基板の流路をそれぞれ第1基板の開口部と交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離装置の製作が従来の方法に対して容易であり、また、小型化も可能となる。
【0021】
より好ましくは、上記注入部は上記第1流路の一端に接続され、上記第1流路の他端に第2収容部を有する。かかる構成によれば、第2収容部に液中の固形成分を導入することができる。
【0022】
より好ましくは、上記第2流路および第3流路がそれぞれ複数形成されている。かかる構成によれば、複数の第2および第3流路によって液の液体成分を導入することができるため、分離効率を向上させることができる。
【0023】
(3)本発明に係る分析装置は、分離部と検査部を有し、上記分離装置を分離部として有することを特長とする。
【0024】
かかる構成によれば、分離された液体成分等の検査を行なうことができる。特に、分離部および検査部を単一分析装置内に組み込むことで、μTASチップへの適用が可能となり、少量の試料や検査薬で、また、短時間での検査が可能となる。また、装置の小型化により、搬送や保管が容易となる。よって、POC検査等、試料の採取地での検査が可能となる。
【0025】
(4)本発明に係る分析装置は、その第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、上記第1流路と接続された注入部と、その第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、上記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、上記第1流路と上記第2流路が交差するよう、上記第1基板の第1面と上記第2基板の第1面を当接して成る分離部を有する。
【0026】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2基板の第2流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、2つの基板上に形成される2つの流路を交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離装置の製作が従来の方法に対して容易であり、また、小型化も可能となる。また、分析時間の短縮や分析精度の向上を図ることができる。また、当該分離部を分析装置に組み込むことで、分離された液体成分等の検査を行なうことができる。特に、分析装置のμTASチップ化が可能となり、少量の試料や検査薬で、また、短時間での検査が可能となる。また、装置の小型化により、搬送や保管が容易となる。よって、POC検査等、試料の採取地での検査が可能となる。
【0027】
(5)本発明に係る分析装置は、その第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、上記第1流路と接続された注入部と、その第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、上記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、上記第1流路と上記第2流路が交差するよう、上記第1基板の第1面と上記第2基板の第1面が当接して配置され、さらに、上記第1収容部に配置されたセンサを有する。
【0028】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2基板の第2流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、2つの基板上に形成される2つの流路を交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離装置の製作が従来の方法に対して容易であり、また、小型化も可能となる。さらに、第1収容部に配置されたセンサにより分離された液体成分の検査を行なうことができる。このようにセンサを配置することで、分析時間の短縮や分析精度の向上を図ることができる。また、分析装置の小型化が可能となり、例えば、μTASチップへの適用が可能となる。よって、少量の試料や検査薬で、また、短時間での検査が可能となる。また、装置の小型化により、搬送や保管が容易となる。よって、POC検査等、試料の採取地での検査が可能となる。
【0029】
(6)本発明に係る分離方法は、第1基板に形成された第1流路に注入された固形成分と液体成分を含有する液の液体成分を、上記第1基板の第1面に当接した第2基板上に形成され、上記第1流路と交差する上記第2流路に導入することによって、上記固形成分と液体成分とを分離するものである。
【0030】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2基板の第2流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、2つの基板上に形成される2つの流路を交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離方法が従来の方法に対して容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
【0032】
図1〜図4は、本実施の形態の第1の分離装置を示す図であり、図1は、本実施の形態の第1の分離装置を構成する基板の平面図であり、図2は、本実施の形態の第1の分離装置の流路を示す平面図である。また、図3は、本実施の形態の第1の分離装置の断面図であり、図4は、本実施の形態の第1の分離装置の流路部の斜視図である。なお、図3(A)は、図2のA−A断面部に、図3(B)は、図2のB−B断面部に対応する。また、図5は、本実施の形態の第1の分離装置による血液(試料血液)の分離状態を模式的に示す斜視図である。
【0033】
図3に示すように、本実施の形態の第1の分離装置(分離モジュール、マイクロデバイス)1は、基板S1および基板S2の積層構造を有する。この分離装置1は、例えば、血液中の血漿成分を分離するものである。
【0034】
図1に示すように、基板S1の表面(第1面)には、x方向に延在する2本の溝が形成され、この溝により流路(第1流路)10a、10bが構成される。また、基板S2の表面(第1面)には、y方向に延在する5本の溝が形成され、この溝により流路(第2流路、分岐流路)20aが構成される。これらの基板は、例えばガラス基板、樹脂基板もしくはシリコン基板等よりなり、上記溝は、例えば、エッチングにより形成される。また、基板S2には、その表面から裏面(第2面)に貫通する開口部が形成され、この開口部により注入孔(注入部、粒子分散液体収容部)3、収容部(粒子濃縮液体収容部)5aおよび収容部(粒子希釈液体収容部)5bが構成される。なお、基板以外に柔軟性を有するシート(フィルム)状の材料を用いてもよい。なお、注入孔3等には図示しないポンプ(シリンジポンプ)が例えば、シリコンチューブ(管)などを介して接続される。
【0035】
例えば、流路10aの幅は約200μm、深さは約20μm、流路10bの幅は約200μm、深さは約12μmである。また、流路20aの幅は約200μm、深さは約200μmである。流路20aのような大きさの溝であれば、樹脂シート(樹脂基板)の射出成型やエンボス加工等により成型することも可能である。
【0036】
上記基板S1およびS2が流路10a、10bと流路20aが交差するよう位置あわせして、貼り合わされることにより本実施の形態の第1の分離装置が形成される。基板の貼り合わせには、基板を位置あわせし、接着剤を用いて接合しても良いし、また、加熱圧着して接合してもよい。図2に示すように、ここでは、流路10a、10bと流路20aは、その注入孔3側のなす角θがほぼ90°となるよう交差している。また、注入孔3は、流路10aの一端と接続され、収容部5aは流路10aの他端と接続される。また、流路10bの一端は最も端の流路20aと接続され、この接続地点から一定の間隔をおいて順次流路20aが流路10bと接続される。さらに、流路10bの他端は、収容部5bと接続される。
【0037】
よって、注入孔3から流れ込む液のルートは、注入孔3から流路10aを経て収容部5aに至るルートと、注入孔3から流路10a、流路20aおよび流路10bを順次通り、収容部5bに至るルートとがある(図2、図4参照)。
【0038】
上記分離装置を用いて試料液を分離することができる。ここでは、血液を分離する場合について説明する。血液検査は、医療の場において、欠かせない検査である。血液中には、赤血球、白血球、血小板などの固形成分(固体成分、細胞成分、血球成分、有形成分)と血漿(血清)と呼ばれる液体成分とが存在する。血液として全身を循環してきた血漿(血清)には、体の中の様々な物質が溶け込んでおり、これらの成分を測定することで、疾患の診断、治療、予防のための情報を得ることができる。よって、検査によっては、全血を用いて検査可能なものもあるが、例えば、微量成分の検出や濃度測定等、高精度な検査においては、血漿を分離して行なわなければならない検査も多い。なお、赤血球の直径は8μm程度、白血球の直径は10〜25μm程度、血小板の長径は2〜3μm程度である。
【0039】
そこで、上述した第1の分離装置によれば、血液中の液体成分である血漿を分離することができる。即ち、図2に示す、注入孔3に血液(全血)を注入し、収容部5a、5b上にパッキンを介してチューブコネクタを接続する。さらに、シリコンチューブを介して収容部5a、5bとシリンジポンプを接続する。シリンジポンプにより減圧し、注入孔3から1〜5μl/分の速度で、流路10a等に血液を送り込む。例えば、流路10aと流路10bとの間には、流路抵抗に4倍の差がある。即ち、流路10bの流路抵抗は流路10aの流路抵抗の4倍になっている。これに対し流路20aの流路抵抗は無視できるほど小さい。この場合、流量の約25%程度の血漿が収容部5bに流れ込むことが期待できる。第1の分離装置においては、5本の流路20aが設けられているため、体積(流量)の5%が流路20aに流れ込む。ここで、流路10a、10bおよび20a内の流れは層流となっており、深さ20μmの5%相当は、1μmであるため、1μm以上の粒子は流路20aには入り込まない。よって、血漿を収容部5bに、血漿が分離されたことで、固形成分の濃度が大きくなった濃縮血液を収容部5aに導入(分離)することができる。
【0040】
上記分離が可能な理由について、図5等を参照しながら説明する。まず、流体の流れる流路が微小化し、数百μmオーダの断面(径、溝の幅、深さ)を持つ流路では流体と流路の壁との間に働く摩擦による影響が大きくなる。よって、このような微小流路では流れを評価する上で重要となるレイノルズ数は200以下となりその流れは層流となる。これらの事項は、微小血管においても確認されている。従って、流路の壁の近傍から流路の中心部にかけて流動抵抗が小さくなり、赤血球などの固形成分(図5の丸部)は、流れの速い中心部へ移動する。その結果、流路の外周(端部、側壁部)には、液体成分である血漿のみが流れる数μmの薄い層(血漿層:plasma layer、cell-free layer)が形成される。
【0041】
従って、図5に示すように、流路10aには注入孔3から全血が流れ込むが、流路10aの上方には、流路20aが交差する方向に配置されているため、流路10aの上面から数μmの血漿層が流路20aに流れ込む(抽出される)。よって、流路20aには、血漿成分が選択的(優先的)に流れ込み、流路10bを介して収容部5bに収容される(図4参照)。一方、流路10aの先にある収容部5aには、血漿成分が少なくなった濃縮血液が収容される。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、流路10aと流路20aを交差させて配置したので、血漿成分を流路20aに導入でき、血漿成分の分離が可能となる。また、流路10aと流路20aをそれぞれ基板S1および基板S2に形成したので、これらの流路形成面を当接し流路を交差させた単純な構成で上記分離を行なうことができる。流路の幅を深さに対し相対的に大きくすることができ、流路10aと流路20aの交差面積を大きくできる。よって、分離速度や分離精度を向上させることができ、分離効率を向上させることができる。また、分離装置の製造工程も簡単であり、安価に大量生産が可能である。すなわち、溝のアスペクト比を小さくできるため、基板の加工が容易となり、また、加工精度を向上させることができる。また、上記の通り微細な流路(溝)により分離が可能であるため、分離装置の小型化が可能である。よって、分離装置をマイクロデバイスとして形成でき、また、μTASチップの分離部として組み込むことも可能となる。
【0043】
ここで、流路10aの幅と深さの比(幅/深さ)は、5以上であることが好ましい。言い換えれば、流路10aの幅はその深さの5倍以上であることが好ましい。
【0044】
また、図2等に示すように、複数の流路20aを流路10aと交差させることにより分離効率を向上させることができる。
【0045】
また、本実施の形態においては、流路10aと流路20aの注入孔3側のなす角θをほぼ90°としたが、かかる数値に限定されるものではなく、これらの流路が交差していれば分離は可能である。また、本実施の形態においては、流路抵抗の差を用いて流路10aと流路20aの流速(流量)を調整したが、複数のポンプで流量を調整する方法でも血漿の分離は可能である。ポンプによる調整は、前述の収容部5a、5b側からの吸引の他、注入孔3側からの加圧により行なってもよい。吸引の場合、収容部5aおよび5bのそれぞれにポンプを接続し、個別に調整を行なうことが可能である。また、上記加圧と吸引を同時に行なってもよい。
【0046】
また、本実施の形態においては、血漿を導入する流路20aが形成された基板S2を基板S1上に配置したが、これらの基板の上下関係は血漿の分離には関係なく、要は、流路10aと流路20aが交差するよう基板S1およびS2が当接していればよい。
【0047】
図6〜図8は、本実施の形態の第2の分離装置を示す図であり、図6は、本実施の形態の第2の分離装置を構成する基板の平面図であり、図7は、本実施の形態の第2の分離装置の断面図であり、図8は、本実施の形態の第2の分離装置の流路部の斜視図である。なお、図7は、図6のA−A断面部に対応する。なお、図1〜図4に示す第1の分離装置と同じ部位には同じ符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0048】
この場合、図7に示すように、基板S2上に基板S1が配置されている。図1に示すように、基板S1の表面(第1面)には、x方向に延在する2本の溝が形成され、この溝により流路(第1流路)10a、10bが構成される。また、基板S2の表面(第1面)には、y方向に延在する5本の溝が形成され、この溝により流路(第2流路)20aが構成される。ここでは、基板S1に、その表面から裏面に貫通する開口部が形成され、この開口部により注入孔3、収容部5aおよび収容部5bが構成される。なお、この第2の分離装置1の流路を示す平面図は、図2と同様である。
【0049】
この第2の分離装置においても第1の分離装置と同様に、流路10aには注入孔3から全血が流れ込むが、流路10aの下方には、流路20aが交差する方向に配置されているため、流路10aの上面から数μmの血漿層が流路20aに流れ込む(抽出される)。よって、流路20aには、血漿成分が選択的(優先的)に流れ込み、流路10bを介して収容部5bに収容される(図5および図8参照)。一方、流路10aの先にある収容部5aには、血漿成分が少なくなった濃縮血液が収容される。
【0050】
また、第1および第2分離装置においては、2つの基板を積層したが、3つの基板を積層して分離装置1を構成してもよい。図9および図10は、本実施の形態の第3の分離装置を示す図であり、図9は、本実施の形態の第3の分離装置を構成する基板の平面図であり、図10は、本実施の形態の第3の分離装置の断面図である。なお、図10は、図9のA−A断面部に対応する。なお、図1〜図4に示す第1の分離装置と同じ部位には同じ符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0051】
この場合、図10に示すように、基板S3上に基板S1が配置され、基板S1上に基板S2が配置されている。図9に示すように、基板S1には、その表面から裏面に貫通し、x方向に延在する2本のスリット(開口部)が形成され、このスリットにより流路(第1流路)10a、10bが構成される。また、基板S2の表面(第1面)には、y方向に延在する5本の溝が形成され、この溝により流路(第2流路)20aが構成される。また、基板S2には、さらに、その表面から裏面に貫通する開口部が形成され、この開口部により注入孔3、収容部5aおよび収容部5bが構成される。また、基板S3の表面(第1面)には、y方向に延在する5本の溝が形成され、この溝により流路(第3流路)30aが構成される。この流路30aは、その平面パターンが流路20aと重ならないよう、流路20a間に位置するように配置されている。
【0052】
この第3の分離装置においても第1の分離装置等と同様に、流路10aには注入孔3から全血が流れ込むが、流路10aの上方には、流路20aが交差する方向に配置され、さらに、流路10aの下方には、流路30aが交差する方向に配置されているため、流路10aの上面もしくは下面から数μmの血漿層が流路20aおよび30aに流れ込む(抽出される)。よって、流路20aおよび30aには、血漿成分が選択的(優先的)に流れ込み、流路10bを介して収容部5bに収容される。一方、流路10aの先にある収容部5aには、血漿成分が少なくなった濃縮血液が収容される。
【0053】
この第3の分離装置においては、第1および第2の分離装置の効果に加え、流路10aと交差する流路20aおよび30aの数が多いため分離効率が向上する。また、流路10aを基板S1中のスリットで構成し、その上下に流路20aおよび30aを配置したので、流路の高集積化が可能となり、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0054】
上記第1〜第3の分離装置においては、分離を主たる処理として行なう分離装置として説明したが、同様の構成要素を分離部としてμTASデバイスのような分析装置に組み込んでもよい。また、上記の収容部(特に5b)に接続する検査部を基板中に設け、検査試薬等と反応させ、検査(判定)を行なえる分析装置としてもよい。
【0055】
また、図11に示すように、分析装置50の収容部5b内にセンサ40を配置し、検査結果を電極(配線)43を介して電気信号として取り出してもよい。図11は、本実施の形態の分析装置を示す平面図および断面図である。なお、断面図は、平面図のB−B断面に対応する。また、センサ40および電極43の構成以外は、第2の分離装置と同じ構成であるため対応する部位には同じ符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0056】
第2の分離装置と同様に、流路10aの先にある収容部5aには、血漿成分が少なくなった濃縮血液が収容される。ここで、収容部5bに収容された血漿成分について、センサにより検査対象成分の検出もしくは濃度測定等を行なう。例えば、検査対象成分の有無や濃度を電気信号に変換し、電極43を介して電気信号として検出する。
【0057】
血液検査センサには、例えば、電気化学センサ、QCMセンサ、SPRセンサや光学センサなどがある。図示のセンサ40は、電気化学センサの一種で、血糖値などの測定を行なう酵素センサ(酵素電極)である。
【0058】
例えば、センサ中にグルコースオキシダーゼとフェリシアン化カリウムを含む酵素電極を準備しておくと、血液中のブドウ糖と特異的に反応し、グルコン酸と電子を発生する。この電子はフェリシアン化カリウムをフェロシアン化カリウムとし、これに一定の電圧を加えることで再びフェリシアン化カリウムとなり、そのとき電流が発生する。この電流が血液中のブドウ糖濃度に比例するため、電流値を測定することで、血糖値を測定することができる。
【0059】
もちろん、上述の他のセンサを組み込んでもよい。以下に、SPRセンサおよびQCMセンサについて説明する。
【0060】
抗体はある特定の分子を選択的に吸着する性質があるため、金属薄膜の上に抗体を並べて反射光をモニタすると、その抗体だけに結合する分子が結合する時に反射光の強度や反射強度のピーク位置が変化する。これは、金属薄膜中の電子雲が生み出す屈折率がかわるためである。この変化を検出するセンサがSPR(Surface plasma resonance)センサである。
【0061】
また、水晶の規則正しい振動発信を利用したセンサがQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサである。即ち、水晶振動子の電極表面に物質が付着すると、その質量に 応じて周波数が変動する(減じる)性質を利用して、きわめて微量(ナノグラムオーダー)の質量変化を計測することができる。
【0062】
このように、分析装置に第1〜第3の分離装置を分離部として組み込んだり、第1〜第3の分離装置にセンサ等の検出部を設けたりして、分析装置として使用することができる。かかる分析装置により、分離された血漿を効率的に検査(分析)することができ、分析時間の短縮や分析精度の向上を図ることができる。また、分析装置の小型化が可能となり、例えば、μTASチップへの適用が可能となる。よって、少量の試料(サンプル)や検査薬で、短時間での検査が可能となる。また、装置の小型化により、搬送や保管が容易となる。よって、POC検査等、試料の採取地での検査が可能となる。
【0063】
なお、分析装置においては、検出部の他、血漿から不要なタンパク質(特に凝固性を有するタンパク質)を取り除く精製部(凝固沈殿部)や他の処理部(試薬混合部、加熱部や反応部、他の分離部等)を設けてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態においては、血液を例に説明したが、血液に限らず、固形成分と液体成分を含有する分散液(試料液、検体、懸濁液)に広く適用可能である。例えば、上記分離装置等を、培養細胞の懸濁液の固形成分と液体成分の分離に用いてもよい。この場合、収容部5aに収容される高濃度細胞液(固形成分)の分離が重要となる。よって、細胞を効率よく採取するため、当該注入孔3から収容部5a、5bまでの分離を複数回行い、即ち、当該注入孔3から収容部5a、5bまでの分離ユニットを複数段準備し、順次細胞成分の濃度を高めてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、例えば、基板S2に溝を設けたが、かかる溝を基板に設けたスリットと、その基板の一面を覆う他の基板や膜で構成してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態においては、分離装置の上部に注入孔および収容部を設けたが、注入や収容は、装置の側面や底面(下面)から行なってもよい。
【0067】
また、上記発明の実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本実施の形態の第1の分離装置を構成する基板の平面図である。
【図2】図2は、本実施の形態の第1の分離装置の流路を示す平面図である。
【図3】図3は、本実施の形態の第1の分離装置の断面図である。
【図4】図4は、本実施の形態の第1の分離装置の流路部の斜視図である。
【図5】図5は、本実施の形態の第1の分離装置による血液の分離状態を模式的に示す斜視図である。
【図6】図6は、本実施の形態の第2の分離装置を構成する基板の平面図である。
【図7】図7は、本実施の形態の第2の分離装置の断面図である。
【図8】図8は、本実施の形態の第2の分離装置の流路部の斜視図である。
【図9】図9は、本実施の形態の第3の分離装置を構成する基板の平面図である。
【図10】図10は、本実施の形態の第3の分離装置の断面図である。
【図11】図11は、本実施の形態の分析装置を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1…分離装置、3…注入孔、5a、5b…収容部、10a、10b…流路、20a…流路、30a…流路、40…センサ、43…電極、50…分析装置、S1、S2、S3…基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置、分析方法および分離方法に関し、特に、固形成分を含有する液の固形成分もしくは液体成分の分離に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高度な化学分析や化学合成、あるいはバイオ関連の分析要素を小さなマイクロ流体チップに集積化する技術が注目されている。これらの技術は、μTAS(マイクロ総合分析システム:Micro-Total Analysis Systems)もしくはラボ・オン・チップ(Lab-on-a-chip)などと呼ばれ、医療診断や健康チェック、環境や食品のオンサイト分析、医薬品や化学品などの高付加価値物質の生産、バイオ分析の高効率化など広い分野に応用が見込まれており、近年その開発が重要視されている。
【0003】
かかる技術によれば、従来の装置と比べて試料の必要量が少ない、反応時間が短い、検査試薬等の使用量が少ない、廃棄物が少ない、などのメリットがある。
【0004】
例えば、医療分野における血液検査などに適用した場合には、血液など検体の量を少なくすることで患者の負担を軽減でき、また、試薬の量を少なくすることで検査のコストを下げることができる。さらに、検体および試薬の量が少ないことから、反応時間が大幅に短縮され検査の効率化を図ることができる。
【0005】
ここで、例えば下記特許文献1には、血液試験に際して、あらかじめ全血から細胞成分を含まない血漿を得るための技術が開示されている。
【特許文献1】特表2005−505770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、血液中には種々の固形成分が含有しており、精密な検査においては、血液中の液体成分(血漿)を分離し、当該液体成分中の各種微量成分を測定することが必要である。
【0007】
このような液体成分の分離(固形成分の除去)には、遠心分離方法が用いられるが、装置が大型であり、また、分離および検査に時間がかかるといった問題がある。また、POC(Point of Care)検査、即ち、患者の側で行なう臨床検査にそぐわない。
【0008】
一方、小型化が可能な方法としてフィルターろ過方法もあるが、フィルターの素材や孔径の設定が困難であり、血液中のタンパク質によりフィルターの目詰まりが起こるといった問題がある。
【0009】
このように、検査前の血液の処理において上記問題があり、μTAS技術の上記利点が損なわれることがあった。
【0010】
そこで、上記特許文献1に開示されているような分離技術が検討されている。ここでは、流入チャネル(9)、第1排出チャネル(11)および第2排出チャネル(12)を有する分離モジュールにおいて、第1排出チャネル(11)内より早く流体が流れる第2排出チャネル(12)内に血球成分を流入させ、血液からの血球成分の分離を行なう技術が開示されている。なお、括弧内は当該文献中の符号である。
【0011】
しかしながら、上記文献に開示の技術を用いても、第1排出チャネル(11)および第2排出チャネル(12)が同じ面内に形成されている場合、その幅が微細で深い流路(溝)の形成が必要である。よって、当該流路を例えば、ガラス基板や樹脂基板に形成するには、高精度の加工が必要となり、分離モジュールの製造コストが高くなる恐れがある。また、分離効率や分離精度を向上させるには限界があった。
【0012】
そこで、本発明は、製作が容易で小型化にも適した分離装置および分離方法等を提供することを目的とする。また、分離効率や分離精度を向上させることができる分離装置および分離方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係る分離装置は、その第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、上記第1流路と接続された注入部と、その第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、上記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、上記第1流路と上記第2流路が交差するよう、上記第1基板の第1面と上記第2基板の第1面を当接して成ることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2基板の第2流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、2つの基板上に形成される2つの流路を交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離装置の製作が従来の方法に対して容易であり、また、小型化も可能となる。
【0015】
より好ましくは、上記注入部は上記第1流路の一端に接続され、上記第1流路の他端に第2収容部を有する。かかる構成によれば、第2収容部に液中の固形成分を導入することができる。
【0016】
より好ましくは、上記第2流路が複数形成されている。かかる構成によれば、複数の第2流路によって液の液体成分を導入することができるため、分離効率を向上させることができる。
【0017】
より好ましくは、上記第1流路の幅はその深さの5倍以上である。かかる構成によれば、第2流路の幅を広く確保でき、流入液の流量を大きくできるため、分離効率を向上させることができる。
【0018】
例えば、上記分離装置は、血液中の液体成分を分離する装置であって、上記注入孔に試料血液が注入され、上記第2流路に、上記試料血液の血漿成分が導入される。かかる構成によれば、試料血液から血漿成分を分離でき、高精度な血液検査に資することができる。
【0019】
(2)本発明に係る分離装置は、開口部よりなる第1流路を有する第1基板と、上記第1流路と接続された注入部と、その第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、その第1面に形成された溝よりなる第3流路を有する第3基板と、上記第2流路および第3流路と接続された第1収容部と、を有し、上記第1流路と上記第2流路および上記第1流路と上記第3流路がそれぞれ交差するよう、上記第1基板の第1面と上記第2基板の第1面を当接し、上記第1基板の第2面と上記第3基板の第1面を当接して成ることを特徴とする。
【0020】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2および第3流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、3つの基板を積層し、第1基板の上下に配置される2つの基板の流路をそれぞれ第1基板の開口部と交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離装置の製作が従来の方法に対して容易であり、また、小型化も可能となる。
【0021】
より好ましくは、上記注入部は上記第1流路の一端に接続され、上記第1流路の他端に第2収容部を有する。かかる構成によれば、第2収容部に液中の固形成分を導入することができる。
【0022】
より好ましくは、上記第2流路および第3流路がそれぞれ複数形成されている。かかる構成によれば、複数の第2および第3流路によって液の液体成分を導入することができるため、分離効率を向上させることができる。
【0023】
(3)本発明に係る分析装置は、分離部と検査部を有し、上記分離装置を分離部として有することを特長とする。
【0024】
かかる構成によれば、分離された液体成分等の検査を行なうことができる。特に、分離部および検査部を単一分析装置内に組み込むことで、μTASチップへの適用が可能となり、少量の試料や検査薬で、また、短時間での検査が可能となる。また、装置の小型化により、搬送や保管が容易となる。よって、POC検査等、試料の採取地での検査が可能となる。
【0025】
(4)本発明に係る分析装置は、その第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、上記第1流路と接続された注入部と、その第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、上記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、上記第1流路と上記第2流路が交差するよう、上記第1基板の第1面と上記第2基板の第1面を当接して成る分離部を有する。
【0026】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2基板の第2流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、2つの基板上に形成される2つの流路を交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離装置の製作が従来の方法に対して容易であり、また、小型化も可能となる。また、分析時間の短縮や分析精度の向上を図ることができる。また、当該分離部を分析装置に組み込むことで、分離された液体成分等の検査を行なうことができる。特に、分析装置のμTASチップ化が可能となり、少量の試料や検査薬で、また、短時間での検査が可能となる。また、装置の小型化により、搬送や保管が容易となる。よって、POC検査等、試料の採取地での検査が可能となる。
【0027】
(5)本発明に係る分析装置は、その第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、上記第1流路と接続された注入部と、その第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、上記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、上記第1流路と上記第2流路が交差するよう、上記第1基板の第1面と上記第2基板の第1面が当接して配置され、さらに、上記第1収容部に配置されたセンサを有する。
【0028】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2基板の第2流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、2つの基板上に形成される2つの流路を交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離装置の製作が従来の方法に対して容易であり、また、小型化も可能となる。さらに、第1収容部に配置されたセンサにより分離された液体成分の検査を行なうことができる。このようにセンサを配置することで、分析時間の短縮や分析精度の向上を図ることができる。また、分析装置の小型化が可能となり、例えば、μTASチップへの適用が可能となる。よって、少量の試料や検査薬で、また、短時間での検査が可能となる。また、装置の小型化により、搬送や保管が容易となる。よって、POC検査等、試料の採取地での検査が可能となる。
【0029】
(6)本発明に係る分離方法は、第1基板に形成された第1流路に注入された固形成分と液体成分を含有する液の液体成分を、上記第1基板の第1面に当接した第2基板上に形成され、上記第1流路と交差する上記第2流路に導入することによって、上記固形成分と液体成分とを分離するものである。
【0030】
かかる構成によれば、第1流路を層流状態で流れる液の液体成分を第2基板の第2流路(第1収容部)に導入することにより、液中の固形成分と液体成分とを分離することができる。このように、2つの基板上に形成される2つの流路を交差させて貼り合わせた構造により、上記液中の成分の分離が可能となる。よって、分離方法が従来の方法に対して容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
【0032】
図1〜図4は、本実施の形態の第1の分離装置を示す図であり、図1は、本実施の形態の第1の分離装置を構成する基板の平面図であり、図2は、本実施の形態の第1の分離装置の流路を示す平面図である。また、図3は、本実施の形態の第1の分離装置の断面図であり、図4は、本実施の形態の第1の分離装置の流路部の斜視図である。なお、図3(A)は、図2のA−A断面部に、図3(B)は、図2のB−B断面部に対応する。また、図5は、本実施の形態の第1の分離装置による血液(試料血液)の分離状態を模式的に示す斜視図である。
【0033】
図3に示すように、本実施の形態の第1の分離装置(分離モジュール、マイクロデバイス)1は、基板S1および基板S2の積層構造を有する。この分離装置1は、例えば、血液中の血漿成分を分離するものである。
【0034】
図1に示すように、基板S1の表面(第1面)には、x方向に延在する2本の溝が形成され、この溝により流路(第1流路)10a、10bが構成される。また、基板S2の表面(第1面)には、y方向に延在する5本の溝が形成され、この溝により流路(第2流路、分岐流路)20aが構成される。これらの基板は、例えばガラス基板、樹脂基板もしくはシリコン基板等よりなり、上記溝は、例えば、エッチングにより形成される。また、基板S2には、その表面から裏面(第2面)に貫通する開口部が形成され、この開口部により注入孔(注入部、粒子分散液体収容部)3、収容部(粒子濃縮液体収容部)5aおよび収容部(粒子希釈液体収容部)5bが構成される。なお、基板以外に柔軟性を有するシート(フィルム)状の材料を用いてもよい。なお、注入孔3等には図示しないポンプ(シリンジポンプ)が例えば、シリコンチューブ(管)などを介して接続される。
【0035】
例えば、流路10aの幅は約200μm、深さは約20μm、流路10bの幅は約200μm、深さは約12μmである。また、流路20aの幅は約200μm、深さは約200μmである。流路20aのような大きさの溝であれば、樹脂シート(樹脂基板)の射出成型やエンボス加工等により成型することも可能である。
【0036】
上記基板S1およびS2が流路10a、10bと流路20aが交差するよう位置あわせして、貼り合わされることにより本実施の形態の第1の分離装置が形成される。基板の貼り合わせには、基板を位置あわせし、接着剤を用いて接合しても良いし、また、加熱圧着して接合してもよい。図2に示すように、ここでは、流路10a、10bと流路20aは、その注入孔3側のなす角θがほぼ90°となるよう交差している。また、注入孔3は、流路10aの一端と接続され、収容部5aは流路10aの他端と接続される。また、流路10bの一端は最も端の流路20aと接続され、この接続地点から一定の間隔をおいて順次流路20aが流路10bと接続される。さらに、流路10bの他端は、収容部5bと接続される。
【0037】
よって、注入孔3から流れ込む液のルートは、注入孔3から流路10aを経て収容部5aに至るルートと、注入孔3から流路10a、流路20aおよび流路10bを順次通り、収容部5bに至るルートとがある(図2、図4参照)。
【0038】
上記分離装置を用いて試料液を分離することができる。ここでは、血液を分離する場合について説明する。血液検査は、医療の場において、欠かせない検査である。血液中には、赤血球、白血球、血小板などの固形成分(固体成分、細胞成分、血球成分、有形成分)と血漿(血清)と呼ばれる液体成分とが存在する。血液として全身を循環してきた血漿(血清)には、体の中の様々な物質が溶け込んでおり、これらの成分を測定することで、疾患の診断、治療、予防のための情報を得ることができる。よって、検査によっては、全血を用いて検査可能なものもあるが、例えば、微量成分の検出や濃度測定等、高精度な検査においては、血漿を分離して行なわなければならない検査も多い。なお、赤血球の直径は8μm程度、白血球の直径は10〜25μm程度、血小板の長径は2〜3μm程度である。
【0039】
そこで、上述した第1の分離装置によれば、血液中の液体成分である血漿を分離することができる。即ち、図2に示す、注入孔3に血液(全血)を注入し、収容部5a、5b上にパッキンを介してチューブコネクタを接続する。さらに、シリコンチューブを介して収容部5a、5bとシリンジポンプを接続する。シリンジポンプにより減圧し、注入孔3から1〜5μl/分の速度で、流路10a等に血液を送り込む。例えば、流路10aと流路10bとの間には、流路抵抗に4倍の差がある。即ち、流路10bの流路抵抗は流路10aの流路抵抗の4倍になっている。これに対し流路20aの流路抵抗は無視できるほど小さい。この場合、流量の約25%程度の血漿が収容部5bに流れ込むことが期待できる。第1の分離装置においては、5本の流路20aが設けられているため、体積(流量)の5%が流路20aに流れ込む。ここで、流路10a、10bおよび20a内の流れは層流となっており、深さ20μmの5%相当は、1μmであるため、1μm以上の粒子は流路20aには入り込まない。よって、血漿を収容部5bに、血漿が分離されたことで、固形成分の濃度が大きくなった濃縮血液を収容部5aに導入(分離)することができる。
【0040】
上記分離が可能な理由について、図5等を参照しながら説明する。まず、流体の流れる流路が微小化し、数百μmオーダの断面(径、溝の幅、深さ)を持つ流路では流体と流路の壁との間に働く摩擦による影響が大きくなる。よって、このような微小流路では流れを評価する上で重要となるレイノルズ数は200以下となりその流れは層流となる。これらの事項は、微小血管においても確認されている。従って、流路の壁の近傍から流路の中心部にかけて流動抵抗が小さくなり、赤血球などの固形成分(図5の丸部)は、流れの速い中心部へ移動する。その結果、流路の外周(端部、側壁部)には、液体成分である血漿のみが流れる数μmの薄い層(血漿層:plasma layer、cell-free layer)が形成される。
【0041】
従って、図5に示すように、流路10aには注入孔3から全血が流れ込むが、流路10aの上方には、流路20aが交差する方向に配置されているため、流路10aの上面から数μmの血漿層が流路20aに流れ込む(抽出される)。よって、流路20aには、血漿成分が選択的(優先的)に流れ込み、流路10bを介して収容部5bに収容される(図4参照)。一方、流路10aの先にある収容部5aには、血漿成分が少なくなった濃縮血液が収容される。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、流路10aと流路20aを交差させて配置したので、血漿成分を流路20aに導入でき、血漿成分の分離が可能となる。また、流路10aと流路20aをそれぞれ基板S1および基板S2に形成したので、これらの流路形成面を当接し流路を交差させた単純な構成で上記分離を行なうことができる。流路の幅を深さに対し相対的に大きくすることができ、流路10aと流路20aの交差面積を大きくできる。よって、分離速度や分離精度を向上させることができ、分離効率を向上させることができる。また、分離装置の製造工程も簡単であり、安価に大量生産が可能である。すなわち、溝のアスペクト比を小さくできるため、基板の加工が容易となり、また、加工精度を向上させることができる。また、上記の通り微細な流路(溝)により分離が可能であるため、分離装置の小型化が可能である。よって、分離装置をマイクロデバイスとして形成でき、また、μTASチップの分離部として組み込むことも可能となる。
【0043】
ここで、流路10aの幅と深さの比(幅/深さ)は、5以上であることが好ましい。言い換えれば、流路10aの幅はその深さの5倍以上であることが好ましい。
【0044】
また、図2等に示すように、複数の流路20aを流路10aと交差させることにより分離効率を向上させることができる。
【0045】
また、本実施の形態においては、流路10aと流路20aの注入孔3側のなす角θをほぼ90°としたが、かかる数値に限定されるものではなく、これらの流路が交差していれば分離は可能である。また、本実施の形態においては、流路抵抗の差を用いて流路10aと流路20aの流速(流量)を調整したが、複数のポンプで流量を調整する方法でも血漿の分離は可能である。ポンプによる調整は、前述の収容部5a、5b側からの吸引の他、注入孔3側からの加圧により行なってもよい。吸引の場合、収容部5aおよび5bのそれぞれにポンプを接続し、個別に調整を行なうことが可能である。また、上記加圧と吸引を同時に行なってもよい。
【0046】
また、本実施の形態においては、血漿を導入する流路20aが形成された基板S2を基板S1上に配置したが、これらの基板の上下関係は血漿の分離には関係なく、要は、流路10aと流路20aが交差するよう基板S1およびS2が当接していればよい。
【0047】
図6〜図8は、本実施の形態の第2の分離装置を示す図であり、図6は、本実施の形態の第2の分離装置を構成する基板の平面図であり、図7は、本実施の形態の第2の分離装置の断面図であり、図8は、本実施の形態の第2の分離装置の流路部の斜視図である。なお、図7は、図6のA−A断面部に対応する。なお、図1〜図4に示す第1の分離装置と同じ部位には同じ符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0048】
この場合、図7に示すように、基板S2上に基板S1が配置されている。図1に示すように、基板S1の表面(第1面)には、x方向に延在する2本の溝が形成され、この溝により流路(第1流路)10a、10bが構成される。また、基板S2の表面(第1面)には、y方向に延在する5本の溝が形成され、この溝により流路(第2流路)20aが構成される。ここでは、基板S1に、その表面から裏面に貫通する開口部が形成され、この開口部により注入孔3、収容部5aおよび収容部5bが構成される。なお、この第2の分離装置1の流路を示す平面図は、図2と同様である。
【0049】
この第2の分離装置においても第1の分離装置と同様に、流路10aには注入孔3から全血が流れ込むが、流路10aの下方には、流路20aが交差する方向に配置されているため、流路10aの上面から数μmの血漿層が流路20aに流れ込む(抽出される)。よって、流路20aには、血漿成分が選択的(優先的)に流れ込み、流路10bを介して収容部5bに収容される(図5および図8参照)。一方、流路10aの先にある収容部5aには、血漿成分が少なくなった濃縮血液が収容される。
【0050】
また、第1および第2分離装置においては、2つの基板を積層したが、3つの基板を積層して分離装置1を構成してもよい。図9および図10は、本実施の形態の第3の分離装置を示す図であり、図9は、本実施の形態の第3の分離装置を構成する基板の平面図であり、図10は、本実施の形態の第3の分離装置の断面図である。なお、図10は、図9のA−A断面部に対応する。なお、図1〜図4に示す第1の分離装置と同じ部位には同じ符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0051】
この場合、図10に示すように、基板S3上に基板S1が配置され、基板S1上に基板S2が配置されている。図9に示すように、基板S1には、その表面から裏面に貫通し、x方向に延在する2本のスリット(開口部)が形成され、このスリットにより流路(第1流路)10a、10bが構成される。また、基板S2の表面(第1面)には、y方向に延在する5本の溝が形成され、この溝により流路(第2流路)20aが構成される。また、基板S2には、さらに、その表面から裏面に貫通する開口部が形成され、この開口部により注入孔3、収容部5aおよび収容部5bが構成される。また、基板S3の表面(第1面)には、y方向に延在する5本の溝が形成され、この溝により流路(第3流路)30aが構成される。この流路30aは、その平面パターンが流路20aと重ならないよう、流路20a間に位置するように配置されている。
【0052】
この第3の分離装置においても第1の分離装置等と同様に、流路10aには注入孔3から全血が流れ込むが、流路10aの上方には、流路20aが交差する方向に配置され、さらに、流路10aの下方には、流路30aが交差する方向に配置されているため、流路10aの上面もしくは下面から数μmの血漿層が流路20aおよび30aに流れ込む(抽出される)。よって、流路20aおよび30aには、血漿成分が選択的(優先的)に流れ込み、流路10bを介して収容部5bに収容される。一方、流路10aの先にある収容部5aには、血漿成分が少なくなった濃縮血液が収容される。
【0053】
この第3の分離装置においては、第1および第2の分離装置の効果に加え、流路10aと交差する流路20aおよび30aの数が多いため分離効率が向上する。また、流路10aを基板S1中のスリットで構成し、その上下に流路20aおよび30aを配置したので、流路の高集積化が可能となり、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0054】
上記第1〜第3の分離装置においては、分離を主たる処理として行なう分離装置として説明したが、同様の構成要素を分離部としてμTASデバイスのような分析装置に組み込んでもよい。また、上記の収容部(特に5b)に接続する検査部を基板中に設け、検査試薬等と反応させ、検査(判定)を行なえる分析装置としてもよい。
【0055】
また、図11に示すように、分析装置50の収容部5b内にセンサ40を配置し、検査結果を電極(配線)43を介して電気信号として取り出してもよい。図11は、本実施の形態の分析装置を示す平面図および断面図である。なお、断面図は、平面図のB−B断面に対応する。また、センサ40および電極43の構成以外は、第2の分離装置と同じ構成であるため対応する部位には同じ符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0056】
第2の分離装置と同様に、流路10aの先にある収容部5aには、血漿成分が少なくなった濃縮血液が収容される。ここで、収容部5bに収容された血漿成分について、センサにより検査対象成分の検出もしくは濃度測定等を行なう。例えば、検査対象成分の有無や濃度を電気信号に変換し、電極43を介して電気信号として検出する。
【0057】
血液検査センサには、例えば、電気化学センサ、QCMセンサ、SPRセンサや光学センサなどがある。図示のセンサ40は、電気化学センサの一種で、血糖値などの測定を行なう酵素センサ(酵素電極)である。
【0058】
例えば、センサ中にグルコースオキシダーゼとフェリシアン化カリウムを含む酵素電極を準備しておくと、血液中のブドウ糖と特異的に反応し、グルコン酸と電子を発生する。この電子はフェリシアン化カリウムをフェロシアン化カリウムとし、これに一定の電圧を加えることで再びフェリシアン化カリウムとなり、そのとき電流が発生する。この電流が血液中のブドウ糖濃度に比例するため、電流値を測定することで、血糖値を測定することができる。
【0059】
もちろん、上述の他のセンサを組み込んでもよい。以下に、SPRセンサおよびQCMセンサについて説明する。
【0060】
抗体はある特定の分子を選択的に吸着する性質があるため、金属薄膜の上に抗体を並べて反射光をモニタすると、その抗体だけに結合する分子が結合する時に反射光の強度や反射強度のピーク位置が変化する。これは、金属薄膜中の電子雲が生み出す屈折率がかわるためである。この変化を検出するセンサがSPR(Surface plasma resonance)センサである。
【0061】
また、水晶の規則正しい振動発信を利用したセンサがQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサである。即ち、水晶振動子の電極表面に物質が付着すると、その質量に 応じて周波数が変動する(減じる)性質を利用して、きわめて微量(ナノグラムオーダー)の質量変化を計測することができる。
【0062】
このように、分析装置に第1〜第3の分離装置を分離部として組み込んだり、第1〜第3の分離装置にセンサ等の検出部を設けたりして、分析装置として使用することができる。かかる分析装置により、分離された血漿を効率的に検査(分析)することができ、分析時間の短縮や分析精度の向上を図ることができる。また、分析装置の小型化が可能となり、例えば、μTASチップへの適用が可能となる。よって、少量の試料(サンプル)や検査薬で、短時間での検査が可能となる。また、装置の小型化により、搬送や保管が容易となる。よって、POC検査等、試料の採取地での検査が可能となる。
【0063】
なお、分析装置においては、検出部の他、血漿から不要なタンパク質(特に凝固性を有するタンパク質)を取り除く精製部(凝固沈殿部)や他の処理部(試薬混合部、加熱部や反応部、他の分離部等)を設けてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態においては、血液を例に説明したが、血液に限らず、固形成分と液体成分を含有する分散液(試料液、検体、懸濁液)に広く適用可能である。例えば、上記分離装置等を、培養細胞の懸濁液の固形成分と液体成分の分離に用いてもよい。この場合、収容部5aに収容される高濃度細胞液(固形成分)の分離が重要となる。よって、細胞を効率よく採取するため、当該注入孔3から収容部5a、5bまでの分離を複数回行い、即ち、当該注入孔3から収容部5a、5bまでの分離ユニットを複数段準備し、順次細胞成分の濃度を高めてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、例えば、基板S2に溝を設けたが、かかる溝を基板に設けたスリットと、その基板の一面を覆う他の基板や膜で構成してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態においては、分離装置の上部に注入孔および収容部を設けたが、注入や収容は、装置の側面や底面(下面)から行なってもよい。
【0067】
また、上記発明の実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本実施の形態の第1の分離装置を構成する基板の平面図である。
【図2】図2は、本実施の形態の第1の分離装置の流路を示す平面図である。
【図3】図3は、本実施の形態の第1の分離装置の断面図である。
【図4】図4は、本実施の形態の第1の分離装置の流路部の斜視図である。
【図5】図5は、本実施の形態の第1の分離装置による血液の分離状態を模式的に示す斜視図である。
【図6】図6は、本実施の形態の第2の分離装置を構成する基板の平面図である。
【図7】図7は、本実施の形態の第2の分離装置の断面図である。
【図8】図8は、本実施の形態の第2の分離装置の流路部の斜視図である。
【図9】図9は、本実施の形態の第3の分離装置を構成する基板の平面図である。
【図10】図10は、本実施の形態の第3の分離装置の断面図である。
【図11】図11は、本実施の形態の分析装置を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1…分離装置、3…注入孔、5a、5b…収容部、10a、10b…流路、20a…流路、30a…流路、40…センサ、43…電極、50…分析装置、S1、S2、S3…基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、
前記第1流路と接続された注入部と、
第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、
前記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路が交差するよう、前記第1基板の第1面と前記第2基板の第1面を当接して成ることを特徴とする分離装置。
【請求項2】
前記注入部は前記第1流路の一端に接続され、前記第1流路の他端に第2収容部を有することを特徴とする請求項1記載の分離装置。
【請求項3】
前記第2流路が複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の分離装置。
【請求項4】
前記第1流路の幅はその深さの5倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか一項に記載の分離装置。
【請求項5】
前記分離装置は、血液中の液体成分を分離する装置であって、前記注入孔に試料血液が注入され、前記第2流路に、前記試料血液の液体成分が導入されることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか一項に記載の分離装置。
【請求項6】
開口部よりなる第1流路を有する第1基板と、
前記第1流路と接続された注入部と、
第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、
第1面に形成された溝よりなる第3流路を有する第3基板と、
前記第2流路および第3流路と接続された第1収容部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路および前記第1流路と前記第3流路がそれぞれ交差するよう、前記第1基板の第1面と前記第2基板の第1面を当接し、前記第1基板の第2面と前記第2基板の第1面を当接して成ることを特徴とする分離装置。
【請求項7】
前記注入部は前記第1流路の一端に接続され、前記第1流路の他端に第2収容部を有することを特徴とする請求項6記載の分離装置。
【請求項8】
前記第2流路および第3流路がそれぞれ複数形成されていることを特徴とする請求項6又は7記載の分離装置。
【請求項9】
第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、
前記第1流路と接続された注入部と、
第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、
前記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路が交差するよう、前記第1基板の第1面と前記第2基板の第1面を当接して成る分離部を有することを特徴とする分析装置。
【請求項10】
第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、
前記第1流路と接続された注入部と、
第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、
前記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路が交差するよう、前記第1基板の第1面と前記第2基板の第1面が当接して配置され、
さらに、前記第1収容部に配置されたセンサを有することを特徴とする分析装置。
【請求項11】
第1基板に形成された第1流路に注入された固形成分と液体成分を含有する液の液体成分を、前記第1基板の第1面に当接した第2基板であって、前記第1流路と交差する第2流路を有する第2基板の前記第2流路に導入することによって、前記固形成分と液体成分とを分離する分離方法。
【請求項1】
第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、
前記第1流路と接続された注入部と、
第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、
前記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路が交差するよう、前記第1基板の第1面と前記第2基板の第1面を当接して成ることを特徴とする分離装置。
【請求項2】
前記注入部は前記第1流路の一端に接続され、前記第1流路の他端に第2収容部を有することを特徴とする請求項1記載の分離装置。
【請求項3】
前記第2流路が複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の分離装置。
【請求項4】
前記第1流路の幅はその深さの5倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか一項に記載の分離装置。
【請求項5】
前記分離装置は、血液中の液体成分を分離する装置であって、前記注入孔に試料血液が注入され、前記第2流路に、前記試料血液の液体成分が導入されることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか一項に記載の分離装置。
【請求項6】
開口部よりなる第1流路を有する第1基板と、
前記第1流路と接続された注入部と、
第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、
第1面に形成された溝よりなる第3流路を有する第3基板と、
前記第2流路および第3流路と接続された第1収容部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路および前記第1流路と前記第3流路がそれぞれ交差するよう、前記第1基板の第1面と前記第2基板の第1面を当接し、前記第1基板の第2面と前記第2基板の第1面を当接して成ることを特徴とする分離装置。
【請求項7】
前記注入部は前記第1流路の一端に接続され、前記第1流路の他端に第2収容部を有することを特徴とする請求項6記載の分離装置。
【請求項8】
前記第2流路および第3流路がそれぞれ複数形成されていることを特徴とする請求項6又は7記載の分離装置。
【請求項9】
第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、
前記第1流路と接続された注入部と、
第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、
前記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路が交差するよう、前記第1基板の第1面と前記第2基板の第1面を当接して成る分離部を有することを特徴とする分析装置。
【請求項10】
第1面に形成された溝よりなる第1流路を有する第1基板と、
前記第1流路と接続された注入部と、
第1面に形成された溝よりなる第2流路を有する第2基板と、
前記第2流路と接続された第1収容部と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路が交差するよう、前記第1基板の第1面と前記第2基板の第1面が当接して配置され、
さらに、前記第1収容部に配置されたセンサを有することを特徴とする分析装置。
【請求項11】
第1基板に形成された第1流路に注入された固形成分と液体成分を含有する液の液体成分を、前記第1基板の第1面に当接した第2基板であって、前記第1流路と交差する第2流路を有する第2基板の前記第2流路に導入することによって、前記固形成分と液体成分とを分離する分離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−39615(P2008−39615A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214982(P2006−214982)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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