説明

分離装置を備える振動式搬送装置

【課題】分離装置を備える振動式搬送装置であるパーツフィーダの小型化およびコスト削減と、分離装置による重合物品の分離効果の向上とを図る。
【解決手段】搬送台が、加振装置により加振されて振動することにより、Oリング7を搬送するパーツフィーダにおいて、分離装置6は、搬送台から伝達される振動により振動する支持部材20と、支持部材20に対して揺動可能な揺動部材40とを有する。揺動部材40は、支持部材20を通じて伝達される搬送台の振動により揺動する。揺動部材40は、揺動部材40の揺動により上下方向に振動する当接部42を有する。当接部42は、重合Oリング70のうちで、下側Oリング7aに重なっている上側Oリング7bに、上下方向および搬送方向での前方向から当接可能である。当接部42は、上側Oリング7bに当接することで、上側Oリング7bを下側Oリング7aから分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動する搬送台により物品を搬送する振動式搬送装置に関し、詳細には、搬送台の搬送路上で重なり合った物品である重合物品を分離する分離装置を備える振動式搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動する搬送台により物品を搬送する振動式搬送装置、例えばパーツフィーダにおいては、部品である物品が搬送台の搬送路上で重なり合う状態になることがある。そのため、物品がパーツフィーダから1つずつ供給先に供給されるように、重なり合った物品である重合物品を分離する分離装置として、一般的には、搬送路との間に1つの物品のみが通過可能な空隙を形成する邪魔板が設けられる。
しかしながら、搬送対象である物品(例えば、Oリングやワッシャ)によっては、物品に付着している物質(例えば、Oリングやワッシャに付着しているオイル)の粘着性や物品同士の摩擦力のために、重合物品の物品同士の密着力が大きい場合、邪魔板での分離が効率よく行われないことがある。
そこで、重合物品の分離を促進するために、重合物品に外力を加える分離装置を備えるパーツフィーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−251918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、重合物品を分離するための外力を発生させるべく、分離装置に専用の駆動源を設けるのでは、分離装置のコストが増加し、パーツフィーダが大型化する。
また、単に、外力を上方向から重合物品に付加するだけでは、重合物品が互いに全周で重なり合っている場合には、重合物品を分離することが困難なことがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、振動する搬送台を備える振動式搬送装置において、重合物品を分離する分離装置を、前記搬送台を駆動源として振動させることにより、分離装置を備える搬送装置の小型化およびコスト削減を図ること、および、分離装置による重合物品の分離効果の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、物品(7)が搬送される搬送路(13)を有する搬送台(2)と、前記搬送台(2)を振動させる加振装置(4)と、前記搬送路(13)の搬送面(14)上で重なり合った前記物品(7)である重合物品(70)を分離する分離装置(6)から構成される分離機構(5)とを備え、前記搬送台(2)が、前記加振装置(4)により加振されて振動することにより、前記物品(7)を搬送する振動式搬送装置において、前記分離装置(6)は、前記搬送台(2)に設けられて前記搬送台(2)から伝達される振動により振動する支持部材(20)と、前記支持部材(20)に対して揺動可能な揺動部材(40)とを有し、前記揺動部材(40)は、前記支持部材(20)を通じて伝達される前記搬送台(2)の振動により揺動し、前記揺動部材(40)は、前記揺動部材(40)の揺動により上下方向に振動する当接部(42)を有し、前記当接部(42)は、前記重合物品(70)のうちで、1つの下側物品(7a)に重なっている1以上の上側物品(7b)に、上下方向および搬送方向での前方向から当接可能であり、前記当接部(42)は、前記上側物品(7b)に当接することで、前記上側物品(7b)を前記下側物品(7a)から分離する振動式搬送装置である。
【0007】
これによれば、振動式搬送装置において、搬送路上での重合物品を分離するための揺動部材は、振動する搬送台を通じて伝達される振動により、搬送台を駆動源として揺動する。この結果、揺動部材を揺動させるための専用の駆動源が不要になるので、揺動部材を有する分離装置の小型化およびコスト削減、ひいては分離装置を備える搬送装置の小型化およびコスト削減が可能になる。
また、揺動部材の揺動により上下方向に振動する当接部が、上側物品に対して、上下方向および搬送方向での前方向から上側物品に当接可能であるので、上側物品に前方から当接することにより、下側物品に対して上側物品を搬送方向での後方に移動させながら、該上側物品に、上方向または下方向から当接して力を加えることができる。この結果、重合物品の物品同士の間に密着力が作用している場合にも、該物品同士の分離を容易化できて、分離装置による分離効果を向上させることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の振動式搬送装置において、前記支持部材(20)は、曲げ弾性により前記搬送方向での前後方向に撓む部材であると共に前記前後方向に振動する前記搬送台(2)に片持ち支持され、前記揺動部材(40)は、前記支持部材(20)の自由端部(24,33)に支持されるものである。
これによれば、支持部材は、搬送台に片持ち支持されると共に搬送方向での前後方向に弾性により曲げ変形するので、支持部材の自由端部には、前後方向に振動する搬送台の振動を増幅した振動を発生させることができる。この結果、支持部材の自由端部に支持される揺動部材を、搬送方向における前後方向での搬送台の振動よりも大きな振幅で前後方向に振動させることが可能になるので、重合物品の物品同士の分離を促進することができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の振動式搬送装置において、前記揺動部材(40)は、前記支持部材(20)に揺動可能に支持される被支持部(41)と、錘部(43)とを有し、前記被支持部(41)は、前記支持部材(20)に形成された挿通空間(35)に遊嵌合すると共に前記挿通空間(35)を前記搬送方向での前後方向に貫通していて、前記挿通空間(35)を規定する周壁(36)を支点部として揺動し、前記当接部(42)は、前記周壁(36)に対して、前記搬送方向で後方向側に配置されるように前記被支持部(41)に設けられ、前記錘部(43)は、前記周壁(36)に対して、前記搬送方向で前方向側に配置されるように前記被支持部(41)に設けられるものである。
これによれば、支持部材の支点部に揺動可能に支持された本体部には、支点部に対して前後方向で当接部とは反対側に錘部が設けられるので、当接部の重量による支点部回りのモーメントを、錘部の重量による支点部回りのモーメントにより減少させるように調整できる。この結果、揺動部材が、したがって当接部が、揺動し易くなるので、搬送台の振動を利用して揺動する揺動部材による重合物品の物品同士の分離効果が向上する。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の振動式搬送装置において、前記揺動部材(40)は、前記当接部(42)および前記錘部(43)が前記前後方向で前記支持部材(20)と当接することにより規定される前記前後方向での移動範囲において、前記支持部材(20)に対して前記前後方向で移動可能であり、前記当接部(42)および前記錘部(43)の少なくとも一方は、前記移動範囲が変更されるように、前記被支持部(41)での位置が調整可能であるものである。
これによれば、被支持部に対して当接部および錘部の少なくとも一方の位置が調整されて、揺動部材の移動範囲が変更されることにより、前後方向での支点部と当接部との間の間隔が変更される。この結果、上下方向での振動幅が変更されるので、分離効果向上の観点から、また物品の種類に応じて、上下方向での当接部の位置および当接部が物品に加える力を、適正な値に容易に設定することができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の振動式搬送装置において、前記搬送台(2)の非振動時に、前記揺動部材(40)が前記搬送方向で前記当接部(42)から前記錘部(43)に向かうにつれて下方向に傾斜するように、前記周壁(36)を中心とする前記当接部(42)および前記錘部(43)によるそれぞれのモーメントが設定されているものである。
これによれば、上下方向に振動する当接部が、上側物品に対して上方向から当接する頻度を高めることができる。この結果、当接部が上側物品に上方向から当接することによる上側物品の分離効果を向上させることができる。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項記載の振動式搬送装置において、前記分離機構(5)は、第1分離装置(6A)と、前記搬送方向で前記第1分離装置(6A)よりも前方向に配置された第2分離装置(6B)とを備え、前記第1分離装置(6A)および前記第2分離装置(6B)は、前記分離装置(6)によりそれぞれ構成され、前記第2分離装置(6B)の前記当接部(42)は、前記重合物品(70)のうちで前記第1分離装置(6A)を通過した特定重合物品(71)の前記上側物品(7b)を前記下側物品(7a)から分離するものである。
これによれば、振動式搬送装置が、搬送方向での前後に配置されると共にいずれも分離装置から構成される第1,第2分離装置を備えることにより、重合物品を下側物品のみにする分離作業が、揺動部材を有する第1,第2分離装置に振り分けられて行われる。この結果、搬送装置による重合物品の分離作業の効率が向上し、物品の搬送効率が向上する。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項記載の振動式搬送装置において、前記揺動部材(40)は、頭部(52)および軸部(51)を有するボルト(50)と、軸部(51)に螺合したナット(53)とから構成され、前記当接部(42)は前記頭部(52)および前記ナット(53)の一方であり、前記錘部(43)は前記頭部(52)および前記ナット(53)の他方であるものである。
これによれば、揺動部材が、汎用部品であるボルトおよびナットにより構成されるので、簡単に、かつ低コストで揺動部材を製作することができる。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項記載の振動式搬送装置において、前記物品(7)は、リング状部材(7)であり、前記当接部(42)の外径は、前記リング状部材(7)の内径よりも小さいものである。
これによれば、当接部の外径はリング状部材の内径よりも小さいので、当接部が、上側リング状部材の一部に上方向から当接することで、上側リング状部材を跳ね上げることが容易になる。この結果、上側リング状部材の跳ね上がりにより、揺動部材による分離効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、振動する搬送台を備える振動式搬送装置において、重合物品を分離する分離装置を、前記搬送台を駆動源として振動させることにより、分離装置を備える搬送装置の小型化およびコスト削減が可能になり、および、分離装置による重合物品の分離効果の向上が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る振動式パーツフィーダの概略正面図である。
【図2】図1のパーツフィーダの概略平面図である。
【図3】図1のIII−III線での要部断面図である。
【図4】図3のIV矢視での要部の図である。
【図5】図4のV線での要部断面に相当し、図1のパーツフィーダの分離機構による分離機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。
図1,2を参照すると、本発明の実施形態である振動式搬送装置としての振動式のパーツフィーダ1は、部品であるOリング7が搬送される搬送路13を有する搬送台2と、搬送台2を振動可能に支持する支持台3と、支持台3に設置されて搬送台2を振動させる加振装置4と、搬送路13の搬送面14上の重合Oリング70(図5も参照)を分離する分離装置6A,6Bから構成される分離機構5と、を備える。
ここで、重合Oリング70は、物品としてのOリング7が、複数個、重なり合った重合物品である。
【0018】
そして、パーツフィーダ1において、搬送台2が加振装置4により加振されて振動することにより、Oリング7は、搬送路13上を移動して搬送され、その途中で分離機構5を通過した後に、搬送台2の供給部12から1つずつ、供給先に供給される。なお、図2の矢印は、搬送路13上でのOリング7の概略の搬送方向を示している。
また、Oリング7は、主にシール部材として使用され、ゴム状弾性を有する弾性材料(例えば、シリコンゴム)から形成されたリング状部材である。
【0019】
搬送台2に駆動連結される加振装置4は、駆動源(例えば、電動機)と、該駆動源が発生する運動を搬送台2に伝達すると共に搬送台2の上下方向での往復運動と前後方向での往復運動とに変換する周知の運動変換機構とを備え、搬送台2に上下方向および前後方向の振動を生じさせる。
なお、明細書および特許請求の範囲において、図5に示されるように、前後方向は、搬送方向および該搬送方向の逆方向を両方向とする方向であるとし、前方向が搬送方向であり、後方向が前記逆方向であるとする。
【0020】
図1〜図4を参照すると、搬送台2は、Oリング7が搬入される搬入部11と、搬出部である供給部12と、搬入部11からのOリング7を供給部12まで搬送する搬送路13と、搬送路13に沿ってOリング7を案内する案内部としての案内壁15と、を有する。
搬入部11は、円筒状の搬送台2の軸線L(図2参照)を中心とする径方向において外方に向かって下方に傾斜する円錐面状の搬入面11aを有する。軸線Lは、搬送台2における周方向での振動(回動による往復運動)の中心線、すなわち回動中心線でもある。
この実施形態において、搬送方向は、軸線Lを中心としたほぼ周方向であり、搬送方向に直交すると共に搬送路13の搬送面14にほぼ平行な方向である搬送直交方向(図4参照)は、ほぼ径方向である。
【0021】
Oリング7が載る平面状の搬送面14を有する搬送路13は、搬入部11の外周縁から供給部12まで、上方向に向かって傾斜すると共に螺旋状に延びている。搬送路13は、搬入部11から供給部12に向かうにつれて次第に大径になる。
搬送路13において、分離機構5が配置された部位および該部位の前後方向での付近の部位を含む搬送区間である分離区間13aには、分離機構5により重合Oリング70から分離されたOリング7、または分離機構5により搬送が阻止された重合Oリング70が搬送路13から落下して搬入部11に戻るための戻り空間16が、分離機構5の前後に渡って設けられている。戻り空間16が形成されているために、分離区間13aは、搬送路13において、径方向での幅が、他の部分に比べて大きくなっている部位である。
搬送路13に連なる案内壁15は、搬送方向での径方向外方側(または、搬送直交方向での一方側)で、搬送面14から上方向に向かって延びて設けられている(図3参照)。
【0022】
図2,図5を参照すると、搬送路13において供給部12付近に配置される分離機構5は、1以上の、ここでは複数としての第1,第2分離装置6A,6Bから構成される。第2分離装置6Bは、搬送方向で第1分離装置6Aよりも前方向に配置される。各分離装置6A,6Bは、同一または同種の部材により構成されることで基本的構造が同一の分離装置6である。
【0023】
以下、図3,図4を参照して、分離装置6について説明する。
分離装置6は、分離区間13a(図1も参照)において、搬送直交方向で戻り空間16を挟んで分離区間13aに対して径方向内方に位置する案内壁15に設けられる支持部材20と、支持部材20に対して揺動可能な揺動部材40とを有する。
そして、分離装置6の支持部材20および揺動部材40は、加振装置4(図1参照)により加振されて振動する搬送台2を通じて伝達される振動により、搬送台2と共に振動する。
【0024】
前後方向から見てコ字状の支持部材20は、搬送路13において分離区間13aよりも搬入部11に近い部位から立ち上がる案内壁15に着脱可能に取り付けられて設けられる第1支持体21と、第1支持体21に位置調整可能に取り付けられて設けられる第2支持体31とから構成される。
第1,第2支持体21,31は、曲げ弾性により前後方向に弾性変形して撓む可撓性部材であり、搬送台2から伝達される振動により前後方向に撓むことで曲げ振動を行う。形成材料としての金属から形成される板材である第1,第2支持体21,31は、それぞれ搬送方向でほぼ均一の厚みを有し、第2支持体31は、第1支持体21よりも薄い厚みを有する。
【0025】
前後方向から見てL字型の第1支持体21は、搬送台2の一部である案内壁15に結合手段としてのボルト29により結合される基部22と、基部22から径方向外方で搬送直交方向にほぼ平行に延びている平板状の延出部23とを有する。
そして、第1支持体21は、基部22が固定端部であり、径方向での延出部23の先端部24が自由端部となるように、案内壁15に片持ち支持されている。
【0026】
前後方向に平たい延出部23は、前後方向での振動である前後振動により、基部22に対して、基部22から径方向で離れている部位ほど前後方向に大きな振幅で振動する。このため、先端部24は、第1支持体21において、案内壁15から伝達される振動により、他の部位に比べて大きな振幅で振動する部位である。
【0027】
前後方向から見てL字型の第2支持体31は、結合手段としてのボルト39により第1支持体21に結合される固定部32と、固定部32から搬送面14に向かって下方に延びていると共に揺動部材40が揺動可能に取り付けられる取付部33とを有する。
【0028】
固定部32には、第1支持体21に対する第2支持体31の、したがって取付部33の、上下方向での位置調整部としての調整用孔である長孔34が設けられる。上下方向に延びている長孔34において、上下方向でのボルト39の挿通位置を変更することにより、第1支持体21に対する、ひいては案内壁15に対する第2支持体31の位置が調整される。
取付部33には、揺動部材40が前後方向に貫通して挿入される挿通空間としての貫通孔35が設けられる。
【0029】
第2支持体31は、第1支持体21よりも厚みが小さいために、第1支持体21に対して前後方向に振動し易い。そして、第1支持体21に対して下方に突出していて自由端部になっている取付部33は、搬送台2に対して振動する振動板でもある支持部材20において、第1支持体21に対して前後方向に振動する。
このように、第1支持体21の先端部24および第2支持体31の取付部33は、案内壁15に片持ち支持される支持部材20の自由端部である先端部を構成し、基部22は、支持部材20の固定端部を構成する。
【0030】
図5に示されるように、第2分離装置6Bにおいて、搬送面直交方向(図3も参照)での取付部33と搬送路13の搬送面14との間の第2通過許容間隔61Bは、第1分離装置6Aにおいて、搬送面直交方向での取付部33と搬送面14との間の第1通過許容間隔61Aよりも小さい。そして、第1通過許容間隔61Aは、正規形態でのOリング7の高さ(搬送面14からのOリング7の高さであり、この実施形態では、Oリング7の断面での外径でもある。)を基準間隔60としたとき、基準間隔60の2倍よりも大きく、かつ基準間隔60の3倍未満の値に設定される。一方、第2通過許容間隔61Bは、基準間隔60よりも大きく、かつ基準間隔60の2倍未満の値に設定される。
ここで、搬送面直交方向とは、搬送面14に直交する方向である。また、Oリング7の正規形態とは、供給部12でのOリング7の搬送形態であり、分離機構5を通過した後の1つずつのOリング7の搬送形態である。
【0031】
このため、重合Oリング70のうち、特定重合Oリング71は、第1分離装置6Aの第1取付部である取付部33Aを通過することができる一方、第2分離装置6Bの第2取付部である取付部33Bを通過できない。第1分離装置6Aを通過した重合Oリング70である特定重合Oリング71には、下側Oリング7aと1つの上側Oリング7bとが搬送面14にほぼ平行な状態で重なり合っている重合Oリング70が含まれ、その特殊な例として、搬送面直交方向から見て、下側Oリング7aと上側Oリング7bとがほぼ全体で重なり合う全体重合Oリング(図5に示されている。)がある。
【0032】
そして、第1分離装置6Aの取付部33Aは、下側Oリング7aに対して傾斜している上側Oリング7bに前方向から当接することで、上側Oリング7bを下側Oリング7aから分離可能である。このため、取付部33Aは、特定重合Oリング71以外の2以上の上側Oリング7bが重なり合っている重合Oリング70に対して、1以上の上側Oリング7bを分離可能である。
【0033】
したがって、第1分離装置6Aの取付部33Aは、特定重合Oリング71および正規形態のOリング7を選別して通過させ、それ以外の重合Oリング70の通過を許容しない第1通過規制部であり、第2分離装置6Bの取付部33Bは、正規形態のOリング7のみを選別して通過させ、重合Oリング70の通過を許容しない第2通過規制部である。
このように、揺動部材40を支持する取付部33が、前記通過規制部を兼ねるので、分離装置の小型化および構造の簡単化が可能になる。
【0034】
図3〜図5を参照すると、揺動部材40は、支持部材20の取付部33に揺動可能に支持される被支持部としての軸部41と、取付部33に対して、搬送方向で後方向側に配置されるように軸部41に設けられる当接部42と、支持部材20に対して、搬送方向で前方側に配置されるように軸部41に設けられる錘部43とを有する。
当接部42および錘部43は、揺動部材40において、軸部41に対して全周に渡って設けられた鍔状または柱状の大径部である。また、当接部42および錘部43のそれぞれ外径、および、軸部41の軸方向(以下、単に「軸方向」という。)における当接部42および錘部43のそれぞれの幅は、Oリング7の内径よりも小さい。
【0035】
この実施形態において、揺動部材40は、頭部を有する雄ネジ部品としてのボルト50と、ボルト50に螺合した雌ネジ部品としてのナット53とから構成される。そして、軸部41はボルト50の軸部51により、当接部42はボルト50の頭部52により、そして錘部43はナット53により、それぞれ構成される。
ここで、軸部41に螺合するナット53により構成される錘部43は、軸部41における前後方向(または、軸方向)での位置が調整可能である。このため、前後方向での錘部43の位置を調整することで、前後方向での当接部42と錘部43との間の間隔を変更することができる。
ナット53は、揺動部材40の揺動に起因する軸部41に対しての移動を防止するために、ロックナットを含む二重ナットで構成されるが、1つのナットであってもよく、その場合、該ナットの移動を防止するための周知の任意の構造が採用され得る。
【0036】
円柱状の軸部41は、取付部33に設けられた貫通孔35に遊嵌合すると共に貫通孔35を搬送方向に貫通した状態で、取付部33に支持される。ここで、遊嵌合とは、取付部33において貫通孔35を規定する周壁36と、軸部41において貫通孔35に挿入されている部分である挿入部位41aとの間に、少なくとも上下方向で、この実施形態では、挿入部位41aの周囲全体に渡って、空隙が形成される嵌合である。そのため、貫通孔35は、挿入部位41aの外径よりも大きい径の孔、ここでは円孔である。そして、揺動部材40は、周壁36を揺動運動の支点部として揺動する。
【0037】
取付部33および周壁36よりも後方向に位置する当接部42は、搬送路13上の重合Oリング70が取付部33Aに達する前に該重合Oリング70に当接可能である。また、取付部33Aおよび周壁36よりも前方向に位置する錘部43は、周壁36に支持される揺動部材40において、当接部42によるモーメントを減少させることにより揺動部材40を揺動し易くするためのバランス部であり、この実施形態では錘部43によるモーメントの大きさが当接部42によるモーメントの大きさよりも、モーメント未満の範囲でやや大きくなるように、軸部41における位置および重量が設定される。このため、搬送台2(図1参照)の非振動時には、図5に実線で示されるように、当接部42から搬送方向に向かうにつれて揺動部材40が下方向に傾斜する位置を占める。
【0038】
そして、揺動部材40が揺動するとき、第2分離装置6Bにおいて、搬送面直交方向での当接部42と搬送面14との間の最小間隔である第2当接側不干渉間隔62Bは、第1分離装置6Aにおいて、搬送面直交方向での当接部42と搬送面14との間の最小間隔である第1当接側不干渉間隔62Aよりも小さい。同様に、揺動部材40が揺動するとき、第2分離装置6Bにおいて、搬送面直交方向での錘部43と搬送面14との間の最小間隔である第2錘側不干渉間隔63Bは、第1分離装置6Aにおいて、搬送面直交方向での錘部43と搬送面14との間の最小間隔である第1錘側不干渉間隔63Aよりも小さい。
ここで、不干渉間隔とは、当接部42または錘部43が、重合Oリング70の上側Oリング7bを分離するための干渉を該上側Oリング7bに対して行わない最大間隔である。
【0039】
第1(第2)当接側不干渉間隔62A(62B)は、第1(第2)通過許容間隔61A(61B)以上の値に設定され、この実施形態では第1(第2)通過許容間隔61A(61B)よりも大きな値に設定される。一方、第1(第2)錘側不干渉間隔63A(63B)は、第1(第2)当接側不干渉間隔62A(62B)よりも小さい値に設定され、しかも第1(第2)通過許容間隔61A(61B)以下の値に設定され、この実施形態では第1(第2)通過許容間隔61A(61B)よりも小さい値に設定される。
ここで、括弧内の記載は、第2分離装置6Bに関してのものである。
そして、揺動部材40の揺動による当接部42および錘部43のそれぞれの搬送面直交方向での振動範囲は、基準間隔60よりも大きく設定される。
【0040】
揺動部材40は、第1,第2支持体21,31を通じて伝達される搬送台2の振動により、上下方向、水平方向、搬送直交方向および搬送面直交方向を含めて、前後方向に直交する方向に3次元的に揺動可能である。
また、揺動部材40は、前後方向に振動する取付部33に支持されることにより、揺動部材40の慣性やOリング7との当接時にOリング7からの反力により、当接部42および錘部43が前後方向(軸部41の軸方向でもある。)で取付部33と当接することにより規定される前後方向での移動範囲において、前後方向にも移動可能である。そして、前記移動範囲は錘部43により調整可能である。
さらに、揺動部材40は、貫通孔35内で、軸部41の軸線を中心とした軸部41の周方向に回動可能である。
【0041】
図5を参照して、分離機構5の分離機能について説明する。
分離機構5において、第1分離装置6Aでは、当接部42は、搬送路13上の重合Oリング70に対して、取付部33に達する前に、特定重合Oリング71以外の重合Oリング70における1以上の上側Oリング7bに、または搬送面14から第1当接側不干渉間隔62Aを超える位置にあるOリングに、上下方向(または、搬送面直交方向)を含めて搬送方向に直交する方向から、および、搬送方向で前方向から、当接可能である。そして、第1分離装置6Aにおいて、当接部42が上側Oリング7bに当接することにより、上側Oリング7bを下側Oリング7aから分離することができる。
【0042】
また、第2分離装置6Bでは、当接部42は、重合Oリング70のうちで第1分離装置6Aを通過した特定重合Oリング71における1つの上側Oリング7bに、または搬送面14から第2当接側不干渉間隔62Bを超える位置にあるOリングに、上下方向(または、搬送面直交方向)を含めて搬送方向に直交する方向から、および、搬送方向で前方向から、当接可能である。そして、第2分離装置6Bにおいて、当接部42が上側Oリング7bに当接することにより、上側Oリング7bを下側Oリング7aから分離することができる。
【0043】
具体的には、第1分離装置6Aにおいて、当接部42は、上方向から上側Oリング7bに当接するとき、上側Oリング7bを跳ね上げることが可能になること、また前方向から上側Oリング7bに当接する場合にも、当接部42が上下方向に振動しながら前後方向に振動することで、上側リングに上方向または下方向から当接して力を加えることで、跳ね上げることが容易になり、しかも揺動部材40が片持ちの支持部材20に支持されてより搬送台2よりも大きな振幅で前後方向に振動することで、この跳ね上げが一層容易になる。
【0044】
このため、重合Oリング70のOリング7同士の間に付着したオイルや摩擦力などにより密着力が作用している場合にも、該密着力に打ち勝って、上側Oリング7bを下側Oリング7aから、または上側Oリング7b同士のうちの上位置の上側Oリング7b2を振り落とすようにして分離すること、または、下側Oリング7aに対して上側Oリング7bを、または上側Oリング7b同士のうちの下位置の上側Oリング7b1に対して上位置の上側Oリング7b2を、後方向または搬送直交方向に大きくずらすことができる。
この結果、当接部42により、上側Oリング7bを下側Oリング7aから、上側Oリング7b同士のうちの上位置の上側Oリング7b2を分離することができる。また、当接部42により、上側Oリング7bを下側Oリング7aに対して前後方向または搬送直交方向に大きくずらすことで、取付部33との当接により、該取付部33との協働により、下側Oリング7aから上側Oリング7bを、または上側Oリング7b同士のうちの下位置の上側Oリング7b1から上位置の上側Oリング7b2を、容易に分離することができる。
そして、取付部33により、特定重合Oリング71以外の重合Oリング70が第1分離装置6Aを通過することが確実に防止される。
【0045】
また、第1分離装置6Aの錘部43は、第1通過許容間隔61Aを通過しつつある重合Oリング70である重合Oリング72(図5に二点鎖線で示される。)において、上側Oリング7bの前部が第1錘側不干渉間隔63Aを超える高さである場合、錘部43が前方向または上方向から上側Oリング7bに当接して、上側Oリング7bを跳ね上げながら、上側Oリング7bを下側Oリング7aに対して後方向に移動させることができる。
この場合、上側Oリング7bの跳ね上がりは、取付部33により抑制される一方で、跳ね上がりにより、両Oリングの間の密着力に打ち勝って、上側Oリング7bを後方向または搬送直交方向にずらすことができる。そして、上側Oリング7bが、下側Oリング7aに対して後方向にずれることにより、第1分離装置6Aの前方向に位置する第2分離装置6Bの当接部42による上側Oリング7bの跳ね上げが容易になり、該上側Oリング7bの分離が容易になる。
【0046】
第2分離装置6Bにおいて、当接部42は、特定重合Oリング71に対して、上方向から上側Oリング7bに当接するとき、また前方向から上側Oリング7bに当接する場合にも、第1分離装置6Aの当接部42と同様に、上側リングを跳ね上げることが可能になる。このため、第1分離装置6Aと同様に、特定重合Oリング71のOリング7同士の間に密着力が作用している場合にも、該密着力に打ち勝って、下側Oリング7aから上側Oリング7bを振り落とすようにして分離すること、または、下側Oリング7aに対して上側Oリング7bを後方向または搬送直交方向に大きくずらすことができる。
この結果、当接部42により、下側Oリング7aから上側Oリング7bを分離することができる。また、当接部42により、上側Oリング7bを下側Oリング7aに対して前後方向または搬送直交方向に大きくずらすことで、密着力の減少が可能になって、取付部33との当接により、下側Oリング7aから上側Oリング7bを容易に分離することができる。
【0047】
さらに、第2分離装置6Bにおいては、Oリング7がゴム状弾性を有することから、当接部42が前記全体重合Oリング71の上側Oリング7bに上方向から当接する(または、上側Oリング7bを上方から叩く)ことにより、上側Oリング7bが上方向に跳ね上がって、下側Oリング7aから分離される。
【0048】
そして、取付部33Bにより、特定重合Oリング71が第2分離装置6Bを通過することが確実に防止され、また取付部33Bの後方側に特定重合Oリング71が滞留することが防止される。このように、第2分離装置6Bでは、第1分離装置6Aを通過した1つの上側Oリング7bを有する特定重合Oリング71が、当接部42の上方向の当接により下側Oリング7aから分離された後、正規形態のOリングとして、供給部12まで搬送される。
そして、各分離装置6A,6Bにより分離された上側Oリング7bは、戻り空間16内または搬送路13上に落下する。
【0049】
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
搬送台2が、加振装置4により加振されて振動することにより、Oリング7を搬送するパーツフィーダ1において、分離装置6は、搬送台2に設けられて搬送台2から伝達される振動により振動する支持部材20と、支持部材20に対して揺動可能な揺動部材40とを有し、揺動部材40は、支持部材20を通じて伝達される搬送台2の振動により揺動し、揺動部材40は、揺動部材40の揺動により上下方向に振動する当接部42を有し、当接部42は、重合Oリング70のうちで、1つの下側Oリング7aに重なっている1以上の上側Oリング7bに、上下方向および搬送方向での前方向から当接可能であり、当接部42は、上側Oリング7bに当接することで、上側Oリング7bを下側Oリング7aから分離する。
【0050】
この構造により、パーツフィーダ1において、搬送路13上での重合Oリング70を分離するための揺動部材40は、振動する搬送台2を通じて伝達される振動により、搬送台2を駆動源として揺動する。この結果、揺動部材40を揺動させるための専用の駆動源が不要になるので、揺動部材40を有する分離装置6の小型化およびコスト削減、ひいては分離装置6を備えるパーツフィーダ1の小型化およびコスト削減が可能になる。
また、揺動部材40の揺動により上下方向に振動する当接部42が、上側Oリング7bに対して、上下方向および搬送方向での前方向から上側Oリング7bに当接可能であるので、上側Oリング7bに前方から当接することにより、下側Oリング7aに対して上側Oリング7bを搬送方向での後方に移動させながら、該上側Oリング7bに、上方向または下方向から当接して力を加えることができる。この結果、重合Oリング70のOリング7同士の間に密着力が作用している場合にも、該Oリング7同士の分離を容易化できて、分離装置6による分離効果を向上させることができる。
【0051】
当接部42の外径はOリング7の内径よりも小さいことにより、当接部42が、上側Oリング7bの一部に上方向から当接することで、上側Oリング7bを跳ね上げることが容易になる。この結果、上側Oリング7bの跳ね上がりにより、揺動部材40による分離効果を高めることができる。
【0052】
支持部材20は、曲げ弾性により搬送方向での前後方向に撓む部材であると共に前後方向に振動する搬送台2に片持ち支持され、揺動部材40は、支持部材20の自由端部である取付部33に支持されることにより、支持部材20は、搬送台2に片持ち支持されると共に搬送方向での前後方向に弾性により曲げ変形するので、支持部材20の取付部33には、前後方向に振動する搬送台2の振動を増幅した振動を発生させることができる。この結果、取付部33に支持される揺動部材40を、搬送方向における前後方向での搬送台2の振動よりも大きな振幅で前後方向に振動させることが可能になるので、重合Oリング70のOリング7同士の分離を促進することができる。
【0053】
揺動部材40は、支持部材20に揺動可能に支持される軸部41と当接部42と錘部43とを有し、軸部41は、支持部材20に形成された貫通孔35に遊嵌合すると共に貫通孔35を搬送方向での前後方向に貫通していて、貫通孔35を規定する周壁36を支点部として揺動し、当接部42は、周壁36に対して、搬送方向で後方向側に配置されるように軸部41に設けられ、錘部43は、周壁36に対して、搬送方向で前方向側に配置されるように軸部41に設けられる。
この構造により、支持部材20の支点部である周壁36に揺動可能に支持された軸部41には、周壁36に対して前後方向で当接部42とは反対側に錘部43が設けられるので、当接部42の重量による周壁36回りのモーメントを、錘部43の重量による周壁36回りのモーメントにより減少させるように調整できる。この結果、揺動部材40、したがって当接部42が、揺動し易くなるので、搬送台2の振動を利用して揺動する揺動部材40による重合Oリング70のOリング7同士の分離効果が向上する。
【0054】
揺動部材40は、当接部42および錘部43が前後方向で支持部材20と当接することにより規定される前後方向での移動範囲において、支持部材20に対して前後方向で移動可能であり、錘部43は、移動範囲が変更されるように、軸部41での位置が調整可能である。
この構造により、軸部41に対して当接部42および錘部43の少なくとも一方の位置が調整されて、揺動部材40の移動範囲が変更されることにより、前後方向での支点部と当接部42との間の間隔が変更される。この結果、上下方向搬送面直交方向当接部42の振動幅が変更されるので、分離効果向上の観点から、またOリング7の種類に応じて、上下方向での当接部42の位置および当接部42がOリング7に加える力を、適正な値に容易に設定することができる。
【0055】
搬送台2の非振動時に、揺動部材40が搬送方向で当接部42から錘部43に向かうにつれて下方向に傾斜するように、周壁36を中心とする当接部42および錘部43によるそれぞれのモーメントが設定されている。
この構造により、上下方向に振動する当接部42が、上側Oリング7bに対して上方向から当接する頻度を高めることができる。この結果、当接部42が上側Oリング7bに上方向から当接することによる上側Oリング7bの分離効果を向上させることができる。
【0056】
分離機構5は、第1分離装置6Aと、搬送方向で第1分離装置6Aよりも前方向に配置された第2分離装置6Bとを備え、第1分離装置6Aおよび第2分離装置6Bは、分離装置6によりそれぞれ構成され、第2分離装置6Bの当接部42は、重合Oリング70のうちで第1分離装置6Aを通過した特定重合Oリング71の上側Oリング7bを下側Oリング7aから分離する。
この構造により、パーツフィーダ1が、搬送方向での前後に配置されると共にいずれも分離装置6から構成される第1,第2分離装置6A,6Bを備えることにより、重合Oリング70を下側Oリング7aのみにする分離作業が、揺動部材40を有する第1,第2分離装置6A,6Bに振り分けられて行われる。この結果、搬送装置による重合Oリング70の分離作業の効率が向上し、Oリング7の搬送効率が向上する。
【0057】
揺動部材40は、頭部52および軸部51を有するボルト50と、軸部51に螺合したナット53とから構成され、当接部42は頭部52であり、錘部43はナット53であることにより、揺動部材40が、汎用部品であるボルト50およびナット53により構成されるので、簡単に、かつ低コストで揺動部材40を製作することができる。
【0058】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
分離装置6において、当接部42がナット53により、錘部43が頭部52により構成され、揺動部材40が、搬送台2の非振動時に当接部42から搬送方向に向かって上方向に傾斜するように支持されて、搬送方向で取付部33に対する頭部52およびナット53の位置が逆に配置されてもよい。
第2分離装置6Bにおいて、第2当接側不干渉間隔62Bが第2通過許容間隔61Bよりも小さくてもよく、これにより特定重合Oリング71の上側Oリング7bを分離する効果がより高められる。
【0059】
分離機構5は、第2分離装置6Bに相当する1つの分離装置6から構成されてもよく、または、第1,第2分離装置6A,6Bを含めて、複数としての3以上の分離装置6から構成されてもよい。
揺動部材40の揺動は、上下方向または搬送面直交方向でのほぼ一直線上での往復運動であってもよい。
揺動部材40は、取付部33に固定されて支持されると共に取付部33に対して揺動可能なもの、例えば、一方の端部が固定端部として取付部33に固定され、他方の端部が自由端部として当接部42を有する板バネから構成されてもよい。
雄ネジ部品は、金属製または合成樹脂製のボルト50以外に、ボルト50の頭部52に相当する部分を有していない軸部のみで構成されもよい。この場合、該雄ネジ部品に螺合される少なくとも2つの雌ネジ部品により当接部42および錘部43がそれぞれ構成される。
リング状部材には、Oリング7以外のシール用リングのほかに、Oリング7のように無端のリング状部材、さらに、切り口により分断された有端のリング状部材(例えば、C形状)が含まれる。
第1支持体21の基部22は、分離区間13aにおいて搬送直交方向での両側の案内壁15のうちの一方側の案内壁15(図3参照)に固定されたが、他方側の案内壁15(分離区間13aの径方向外方の案内壁15)であってもよい。
取付部33と規制部とが別々の部材であってもよい。
戻り空間16は、Oリング7が分離区間13aよりも搬入部11寄りの搬送路13に戻るように形成されてもよい。
搬送路13は、ほぼ同一径の螺旋状であってもよいし、螺旋状以外の形状、例えば螺旋状以外の曲線状でもよく、また直線状でもよい。
パーツフィーダ1は、Oリング7以外の部品を搬送するものであってもよく、搬送装置は、パーツフィーダ以外の搬送装置であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 パーツフィーダ(振動式搬送装置)
2 搬送台
4 加振装置
5 分離機構
6,6A,6B 分離装置
7 Oリング(物品)
7a 下側Oリング(下側物品)
7b 上側Oリング(上側物品)
13 搬送路
14 搬送面
20 支持部材
24 先端部(自由端部)
33 取付部(自由端部)
35 貫通孔(挿通空間)
36 周壁
40 揺動部材
41 軸部(被支持部)
42 当接部
43 錘部
50 ボルト
51 軸部
52 頭部
53 ナット
70 重合Oリング(重合物品)
71 特定重合Oリング(特定重合物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が搬送される搬送路を有する搬送台と、前記搬送台を振動させる加振装置と、前記搬送路の搬送面上で重なり合った前記物品である重合物品を分離する分離装置から構成される分離機構とを備え、前記搬送台が、前記加振装置により加振されて振動することにより、前記物品を搬送する振動式搬送装置において、
前記分離装置は、前記搬送台に設けられて前記搬送台から伝達される振動により振動する支持部材と、前記支持部材に対して揺動可能な揺動部材とを有し、
前記揺動部材は、前記支持部材を通じて伝達される前記搬送台の振動により揺動し、
前記揺動部材は、前記揺動部材の揺動により上下方向に振動する当接部を有し、
前記当接部は、前記重合物品のうちで、1つの下側物品に重なっている1以上の上側物品に、上下方向および搬送方向での前方向から当接可能であり、
前記当接部は、前記上側物品に当接することで、前記上側物品を前記下側物品から分離することを特徴とする振動式搬送装置。
【請求項2】
前記支持部材は、曲げ弾性により前記搬送方向での前後方向に撓む部材であると共に前記前後方向に振動する前記搬送台に片持ち支持され、
前記揺動部材は、前記支持部材の自由端部に支持されることを特徴とする請求項1記載の振動式搬送装置。
【請求項3】
前記揺動部材は、前記支持部材に揺動可能に支持される被支持部と、錘部とを有し、
前記被支持部は、前記支持部材に形成された挿通空間に遊嵌合すると共に前記挿通空間を前記搬送方向での前後方向に貫通していて、前記挿通空間を規定する周壁を支点部として揺動し、
前記当接部は、前記周壁に対して、前記搬送方向で後方向側に配置されるように前記被支持部に設けられ、
前記錘部は、前記周壁に対して、前記搬送方向で前方向側に配置されるように前記被支持部に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の振動式搬送装置。
【請求項4】
前記揺動部材は、前記当接部および前記錘部が前記前後方向で前記支持部材と当接することにより規定される前記前後方向での移動範囲において、前記支持部材に対して前記前後方向で移動可能であり、
前記当接部および前記錘部の少なくとも一方は、前記移動範囲が変更されるように、前記被支持部での位置が調整可能であることを特徴とする請求項3記載の振動式搬送装置。
【請求項5】
前記搬送台の非振動時に、前記揺動部材が前記搬送方向で前記当接部から前記錘部に向かうにつれて下方向に傾斜するように、前記周壁を中心とする前記当接部および前記錘部によるそれぞれのモーメントが設定されていることを特徴とする請求項3または4記載の振動式搬送装置。
【請求項6】
前記分離機構は、第1分離装置と、前記搬送方向で前記第1分離装置よりも前方向に配置された第2分離装置とを備え、
前記第1分離装置および前記第2分離装置は、前記分離装置によりそれぞれ構成され、
前記第2分離装置の前記当接部は、前記重合物品のうちで前記第1分離装置を通過した特定重合物品の前記上側物品を前記下側物品から分離することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の振動式搬送装置。
【請求項7】
前記揺動部材は、頭部および軸部を有するボルトと、軸部に螺合したナットとから構成され、
前記当接部は前記頭部および前記ナットの一方であり、前記錘部は前記頭部および前記ナットの他方であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の振動式搬送装置。
【請求項8】
前記物品は、リング状部材であり、
前記当接部の外径は、前記リング状部材の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の振動式搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−51659(P2012−51659A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193593(P2010−193593)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】