説明

切り花搬送容器

【課題】切り花の包装を茎や葉などを傷めることなく、より簡単に行うことができ、切り花を包装した状態で容器を積み重ねることができる切り花搬送容器を提供する。
【解決手段】切り花搬送容器(A1)は、切り花を差し入れる口部(173)を有する容器本体(1)と、筒状に組み立てて形成可能で容器本体(1)の口部(173)の上方を囲むようにして容器本体(1)に着脱可能な被包シート(2)とを備えている。容器本体(1)には被包シート(2)の下端部を載置可能な載置段部(140)と、容器本体(1)の外面部に設けられている係合穴(15)と、被包シート(2)の上部に容器本体(1)を着脱可能に装着するための係合部(14)を備えている。被包シート(2)には容器本体(1)の係合穴(15)に係合可能で、係合することにより容器本体(1)に被包シート(2)を固定できる下部折込片(28)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器及び該容器を使用した物品の包装方法に関するものである。更に詳しくは、例えば切り花の包装を、茎や葉などを傷めることなく、より簡単に行うことができ、切り花を包装した状態で容器を積み重ねることができる容器及び該容器を使用した物品の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、切り花を搬送または輸送するために様々な容器が使用されている。当初はバケツ状のものが使用されていたが、これでは収容する切り花が長尺である場合、茎が折れるなど切り花が傷みやすい欠点があった。
そこで、近年では長さが異なる切り花を、それぞれに対応し、傷みにくい状態で包装して搬送することができる容器が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の容器は、構造が異なる容器本体と上枠体から構成されている。この容器は、容器本体を単独で使用することにより長さの短い切り花に対応できる。また、容器本体の上部に上枠体を載置して組み合わせて全高を高くすることにより長尺の切り花に対応できるようになっている。なお、容器本体と上枠体を組み合わせて使用する場合は、組み合わせた状態で、上部の口部から切り花を落とし込むように収容する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−326630
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の容器には、次のような課題があった。
まず、前記したように切り花を収容するにあたっては、切り花を容器の上の比較的狭い口部から落とし込むようにして収容するため、切り花の茎や葉が上枠体で擦れて傷むことがないように細心の注意を払う必要があるので、包装作業がやりにくいという課題があった。
【0006】
さらにこの容器は、切り花を包装した状態で容器同士を積み重ねることができないので、保管や搬送の際のスペース効率がきわめて悪かった。また、例えばトラックの荷室等に容器を多段に積むためには、重くて嵩張る棚や棚車が必要になり、その分だけ積載重量が増えてしまう課題もあった。
【0007】
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、切り花の包装を茎や葉などを傷めることなく、より簡単に収容及び搬送を行うことができる容器を提供することである。
さらに他の目的は、前記目的に加え、切り花を包装した状態で容器を積み重ねることができ、搬送作業の際に便利な容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、容器本体(1)と、該容器本体に巻着して同容器本体の上方に自立性を有する筒状体を形成する被包シート(2)を備え、
上記容器本体(1)と被包シート(2)は、巻着した被包シート(2)に加わる荷重を協働して支える第1の係合要素(15,28)(13,29)と、巻着した被包シートに加わる引き上げ力で被包シートが容器本体から離脱するのを協働して防げる第2の係合要素(15,28)を有し、
第1の係合要素(15,28)(13,29)と第2の係合要素(15,28)は、個別にまたは兼用可能に形成されている、容器である。
【0009】
また、本発明は、合成樹脂で成形された容器本体(1)と、該容器本体に巻着して同容器本体の上方に自立性を有する筒状体を形成する紙製の被包シート(2)を備え、
上記被包シート(2)は、被包シートの一部を外側から押圧して内側に突出部を形成する複数の変形部(28,29)を有し、該複数の変形部(28,29)は、支持突出部と係止突出部を含み、
上記容器本体(1)は、上記被包シートの支持突出部を載置する載置部(13)と、係止突出部を受け入れる受入部(15,16)とを有する、容器である。
【0010】
上記本発明の容器は、 一の変形部が支持突出部と係止突出部を兼用し、載置部と受入部が兼用されるものであってもよい。
【0011】
また、上記本発明の容器は、容器本体(1)が、底面に被包シート(2)で形成された筒状体の上部を嵌装する嵌装部(14)を有し、該嵌装部(14)は筒状体の過剰な進入を阻止する阻止手段(140)を有するものであってもよい。
【0012】
更に、上記本発明は、容器本体(1)に物品(3)を収納した後に、該容器本体(1)に被包シート(2)を巻着して物品の周りに筒状体を形成し、更に被包シートの係合要素(28,29)を変形させて容器本体の係合要素(15,16)と係合させる、物品の包装方法である。
【0013】
更に、本発明は、上部に切り花の茎部を差し入れる口部(173)を有する容器本体(1)と、展開したものを筒状に組み立てて形成可能で、容器本体(1)の口部(173)の上方を囲むようにして、容器本体(1)に着脱可能な被包シート(2)と、を備えており、
容器本体(1)には、被包シート(2)を筒状に組み立てた状態で下端部を載置可能な載置部(140)と、容器本体(1)の外面部に所要数設けられている係合穴(15)と、筒状に組み立てた被包シート(2)の上部に、容器本体(1)を着脱可能に装着するための嵌合部(14)と、を備えており、
被包シート(2)には、容器本体(1)の各係合穴(15)に係合可能で、係合することにより各係合穴(15)と協働して容器本体(1)に被包シート(2)を固定できる係合部(28)が設けられている、容器である。
【0014】
上記本発明の容器は、被包シート(2)で形成された筒状体の内部を見ることができる開閉可能な窓部(206)を形成するための窓部形成手段(201)を備えているものであってもよい。
【0015】
また、上記本発明の容器は、被包シート(2)に把手部(210)を備えているものであってもよい。
【0016】
容器本体と被包シートの材料は特に限定はしないが、容器を軽量にし、材料のコストを安価にするためには、例えば合成樹脂や紙(段ボール等)を採用するのが好ましい。これらの材料は、容器本体と被包シートのそれぞれの容器で単独で採用してもよいし、複合して採用してもよい。
【0017】
本明細書及び本特許請求の範囲においては、第1の係合要素(被包シートの変形部を含む)は「下部係合穴、上面部、下部折込片、上部折込片」を、第2の係合要素(被包シートの変形部を含む)は「上部係合穴、下部折込片」を、載置部は「上面部」を、受入部(容器本体の係合要素)は「下部係合穴、上部係合穴」を、嵌装部は「係合部」を、阻止手段は「載置段部」を、容器本体の係合要素は「上部係合穴、下部係合穴」を、物品は「切り花」を含む用語として使用している。また、容器は、切り花の運搬容器として好適に使用される。
【0018】
(作用)
本発明に係る容器の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0019】
容器本体(1)に被包シート(2)を巻着して、同容器本体の上方に自立性を有する筒状体を形成する。
このとき、上記容器本体(1)と被包シート(2)の第1の係合要素(15,28)(13,29)が、巻着した被包シート(2)に加わる荷重を協働して支え、第2の係合要素(15,28)が、巻着した被包シートに加わる引き上げ力で被包シートが容器本体から離脱するのを協働して防ぐ。
【0020】
上記容器本体(1)と被包シート(2)の第1の係合要素(15,28)(13,29)及び第2の係合要素(15,28)が、被包シート(2)の一部を外側から押圧して内側に突出部を形成する複数の変形部(28,29)と、容器本体(1)に設けられた載置部(13)と係止突出部を受け入れる受入部(15,16)であるものは、該部分が巻着した被包シート(2)に加わる荷重を協働して支え、また、巻着した被包シート(2)に加わる引き上げ力で被包シートが容器本体から離脱するのを協働して防ぐ。
【0021】
一の変形部が支持突出部と係止突出部を兼用し、載置部と受入部が兼用されるものは、該部分により巻着した被包シート(2)に加わる荷重を協働して支え、また、巻着した被包シート(2)に加わる引き上げ力で被包シートが容器本体から離脱するのを協働して防ぐ。
【0022】
容器本体(1)の底面に嵌装部(14)及び阻止手段(140)を有するものは、同容器本体(1)の底面に被包シート(2)で形成された筒状体の上部を嵌装したとしても、該阻止手段(140)により筒状体の過剰な進入が阻止される。
【0023】
容器(A)で切り花を包装するにあたっては、まず、容器本体(1)を床面に置き、水を入れる。次に、切り花を容器本体(1)に口部(173)から差し入れる。容器本体(1)はあまり深くはないので、切り花を差し入れるときに、茎や葉が容器本体(1)と擦れて傷付くおそれはあまりなく、従来の容器ほどの細心の注意を払う必要はない。
【0024】
次に、展開した(または開いた)状態の被包シート(2)を筒状に組み立てながら、容器本体(1)の口部(173)の上方にある切り花を囲むようにして、被包シート(2)の下部を容器本体(1)に装着する。このときの操作(手順)においては、切り花を被包シート(2)で外側から包むようにするので、仮に切り花が外側に倒れて広がっていても、被包シート(2)によって茎や葉が傷むことはあまりない。
このように、切り花搬送容器(A)によれば、切り花の包装を茎や葉などを傷めることなく、より簡単に行うことができる。
【0025】
前記のように切り花を収容し包装した容器(A)は、積み重ねることができる。容器を積み重ねるときは、下側の容器(A)の被包シート(2)の上部に、上側となる容器(A)の容器本体(1)を嵌合する等して装着する。このように容器(A)を積み重ねることができるので、保管や搬送時において、スペース効率を高めることができる。
【0026】
被包シート(2)で形成された筒状体の内部を見ることができる開閉可能な窓部(206)を形成するための窓部形成手段(201)を備えているものは、切り花等の物品包むように包装した後でも、被包シート(2)等を容器本体(1)から取り外すことなく、窓部(206)から内部の切り花の種類や状態等の物品を確認することができる。
【0027】
被包シートに把手部(210)を備えているものは、切り花を包装した状態の容器(A)を、被包シート(2)の把手部(210)を持って持ち運ぶことができる。
【発明の効果】
【0028】
(a)本発明によれば、切り花等の物品を容器本体又は容器本体に差し入れた後、被包シートで形成された筒状体で外側から包むように包装することができるので、切り花の茎や葉などの内包物品を傷めることなく、包装をより簡単に行うことができる。
【0029】
(b)切り花等の物品を包装した状態で容器を積み重ねることができる容器は、保管や搬送時において、スペース効率を高めることができる。
【0030】
(c)被包シートで形成された筒状体に、その内部を見ることができる開閉可能な窓部を形成するための窓部形成手段を備えている容器は、切り花等の物品を包むように包装した後でも、被包シート等を容器本体から取り外すことなく、窓部から内部の切り花等の物品の種類や状態を確認することができる。
【0031】
(d)被包シートで形成された筒状体に把手部を備えている容器は、切り花等の物品を包装した状態の容器を、被包シートの把手部を持って持ち運ぶことができるので、取り扱いがしやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明を図に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1は本発明に係る切り花搬送容器の実施の形態を示す分解斜視図、
図2は切り花搬送容器を構成する容器本体の斜視図、
図3は切り花搬送容器を構成する被包シートの展開図である。
【0033】
切り花搬送容器A1は、合成樹脂製の容器本体1と、段ボールで形成された被包シート2により構成されている。容器本体1は、剛性または準剛性を有している。
なお、容器本体1としての後述するような機能性に支障がなければ、例えば撓み性や柔軟性等を備えたものを採用することもできる。また、被包シート2は、筒状に形成したときに自立性を有し、さらに上部に他の切り花搬送容器A1を重ねたときに支えることができる十分な強度を有している。
【0034】
図1、図2を参照し、容器本体1を説明する。
容器本体1は、支持枠10を有している。支持枠10は、外形が平面視四角形状の底面部11を有し、底面部11の各角部である四箇所から脚部12が立ち上がって形成されている。
各脚部12は内方向へやや傾いて設けられ、その上部には底面部11と平行に上面部13が形成されている。
【0035】
各脚部12は、周方向に外側へ膨らむように円弧状に湾曲する板状体で形成されている。各脚部12の下端部には、底面部11とつながるように外側へ膨出した係合部14が設けられている。係合部14の上部には水平な載置段部140が設けられている。係合部14の内側は、中空となっている。
【0036】
各脚部12のうち係合部14のやや上方には、ほぼ四角形状に切欠いて貫通させた下部係合穴15が設けられている。
また、各脚部12のうち下部係合穴15の上方には、下部係合穴15よりやや小さく、同じくほぼ四角形状に切欠いて貫通させた上部係合穴16が設けられている。上部係合穴16の上縁部には、波状に形成された掛かり部160が設けられている。掛かり部160の作用については後述する。なお、各係合部14同士、各下部係合穴15同士及び各上部係合穴16同士は、それぞれ同じ高さ位置に設けられている。
【0037】
前記上面部13の内側には、上面部13につながって容器部17が設けられている。容器部17の上部開口部は口部173となっている。容器部17は、平面視でほぼ四角形状で、底部へ向けてやや窄まるように形成されている。容器部17の側部170は周方向の四箇所で丸められている。
【0038】
容器部17の底部171は水平に設けられ、その高さは底面部11よりやや高くなるように、すなわち容器本体1を平面に置いたときに、底部171と接地面との間に隙間が形成されるように設定されている。また、底部171の内底面には、切り花の茎の切り口を掛けて動きにくいようにする掛止条部172が所要数設けられている。
なお、上記掛止条部の配置は、切り花が動きにくいものであれば特に限定するものではない。
【0039】
図1、図3を参照し、被包シート2を説明する。被包シート2は、図3に示すように平面的に形成したものを図1に示すように立体的(四角筒状)に組み立てて使用する。なお、図3においては、被包シート2の外面側が見える状態で表している。
【0040】
被包シート2は図3のように展開した状態ではほぼ長方形状に形成されている。被包シート2には、幅方向(図2で横方向)に四面の互いに同じ幅である第1の側板20、第2の側板21、第3の側板22、第4の側板23と、一面の受板24が設けられている。受板24は、各側板に比べて狭く形成されている。合計五面の各板は、その間に折曲線25を有し、これら四本の互いに平行な折曲線25によって区画されている。
【0041】
図3において左端の第1の側板20は、高さ方向(図3で縦方向)のほぼ中間部に端辺25aから切り込んで設けられている切込線205によって、上片201と下片202に分けられている。上片201は、窓部形成手段を構成し、被包シート2内部の切り花を確認する際に、開いて窓部206を形成するための可動片である。なお、切込線205の位置は、前記高さ位置に限定されるものではなく、適宜設定が可能であり、形成する窓部206の大きさを適宜設定できる。
【0042】
第2の側板21、第4の側板23の高さ方向の上部側には、横に長い長円状の把手穴210、230が表裏面を貫通して設けられている。
被包シート2の高さ方向の上部側(前記把手穴210、230よりやや低い位置)には、上片201側に位置して、第4の側板23と受板24の間の折曲線25をまたぐように、切込線と折曲線を外形としてロック片26が設けられている。
【0043】
端辺25aから張り出すように、ロック片26と同じ高さに差込片27が設けられている。なお、ロック片26と差込片27は一般的に採用されている公知技術であるので、構造についての詳細な説明は省略する。
【0044】
また、ロック片26と差込片27は、被包シート2の高さ方向の下部側(後述する下部折込片28と上部折込片29の間)にも、下片202に位置して、幅方向の同様の位置に設けられている。
【0045】
被包シート2の高さ方向の下部側には、各折曲線25をまたぐように、切込線と折曲線を外形として下部折込片28が設けられている。各下部折込片28は同じ高さ位置に設けられている。また、端辺25aには各下部折込片28と同じ高さに、内側へ切り欠いて切欠部203が設けられている。
【0046】
被包シート2のうち下部折込片28より上側には、各折曲線25をまたぐように、切込線と折曲線を外形として上部折込片29が設けられている。各上部折込片29は同じ高さ位置に設けられている。上部折込片29は、前記下部折込片28より幅広に形成されている。また、端辺25aには、各上部折込片29と同じ高さに、内側へ切り欠いて切欠部204が設けられている。
【0047】
(作用)
図4は切り花搬送容器に切り花を収容した状態を示す断面説明図、
図5は切り花搬送容器に切り花を収容し、内部の切り花を見るために被包シートの上片を開けた状態を示す斜視説明図である。
図1ないし図5を参照して切り花搬送容器A1の作用を説明する。
【0048】
切り花搬送容器A1で切り花3を包装するにあたっては、まず、容器本体1を床面に置き、容器部17に水を入れる。
次に、切り花3を容器部17に上部の口部173から差し入れる。容器本体1の容器部17は図4に示すようにあまり深くはないので、切り花3を差し入れるときに、茎や葉が容器と擦れて傷付くおそれはあまりない。これにより、従来の比較的深い容器と違い、収容作業においてそれほどの注意を払う必要はない。
【0049】
次に、展開した状態の被包シート2を各折曲線25で内側へ折り曲げて筒状に組み立てながら、容器本体1の口部173の上方にある切り花3を囲むようにして、被包シート2の下部を容器本体1に装着する。
被包シート2の組み立ては、前記のように折り曲げて四角筒状にしたあと、一端部の受板24に他端部の側板20の一部を横から被せるようにして、各ロック片26と各差込片27を係合させて行う。
【0050】
また、被包シート2の容器本体1への装着は、まず被包シート2の下部を容器本体1の支持枠10に外嵌めし、被包シート2下端の四箇所の角部を支持枠10の各脚部12に設けてある係合部14の載置段部140に載せ、さらに被包シート2の各下部折込片28と各上部折込片29を指で押す等して内側へ折り込み、各下部折込片28を容器本体1の各脚部12に設けてある各下部係合穴15と係合させ、各上部折込片29を容器本体1の上面部13に載せて行う(図5及び後述する図8参照)。
【0051】
このときの被包シート2を装着する操作(手順)においては、仮に切り花3が外側に倒れるようにして広がっていても、切り花3を被包シート2で外側から包むようにするので、被包シート2によって茎や葉が傷むことを防止できる。
【0052】
このように、切り花搬送容器A1によれば、切り花3の包装を茎や葉などの傷みを防止しながら、より簡単に行うことができる。なお、被包シート2は段ボールで形成されているので、必要であれば切り花3の高さに合わせて上部側の一部を切り取ることもできる。
なお、被包シート2には把手穴210、230を備えているので、切り花3を包装した状態の切り花搬送容器A1を、被包シート2の把手穴210、230に手を掛けて持ち運ぶことができる。
【0053】
また、前記のように切り花3を包装した状態で、被包シート2の側板20を構成している上片201を開けて窓部206を形成することができる。これによれば、被包シート2の上部開口部から見ただけでは十分でない場合、被包シート2を容器本体1から取り外すことなく、内部に収容されている切り花3の種類や状態を窓部206を通して確認することができる。
【0054】
図6は切り花搬送容器を二段に積み重ねて並べた状態を示す説明図、
図7は積み重ねた切り花搬送容器の接合部の状態を示す断面説明図、
図8は積み重ねた切り花搬送容器の接合部を示し、容器本体と被包シートの係合部の状態を示す断面説明図である。
【0055】
前記のように切り花3を収容し包装した切り花搬送容器A1は、積み重ねることができる。切り花搬送容器A1を積み重ねるときは、下側の切り花搬送容器A1の被包シート2の上部に、上側となる切り花搬送容器A1の容器本体1の支持枠10を外嵌めし、被包シート2上部の四箇所の角部に、係合部14の裏側の載置段部140の内部側の下面(符号省略)を載せる。このようにして、切り花搬送容器A1同士を積み重ねることができ、切り花搬送容器A1の保管や搬送時において、スペース効率を高めることができる。
【0056】
図9は本発明に係る切り花搬送容器の他の実施の形態を示す正面図である。
なお、図面において前記切り花搬送容器A1と同等箇所に同一または同等符号を付して示し、構造について重複する説明は省略する。
【0057】
切り花搬送容器A2は、前記切り花搬送容器A1の容器本体1と同じ構造の容器本体1と、前記被包シート2とは異なる構造の被包シート2aを組み合わせた構成を有する。
被包シート2aは、被包シート2と比較して各側板20aの幅が狭く形成され、四角筒状に組み立てた状態ではやや細くなっている。
【0058】
また、被包シート2aは、上下方向の高さも被包シート2と比較して低く形成されている。さらに、窓部を形成するための可動片となる上片を形成する切込線が設けられていない点でも構造が異なる。なお、図9では見えないが把手穴は被包シート2と同様に設けられている。
【0059】
被包シート2aは、図9に示すように、容器本体1に下部を外嵌めしたあと、各下部折込片28aを内側へ折り込んで、容器本体1の各上部係合穴16に入れて係合し、さらに上部折込片29aを内側へ折り込んで、容器本体1の上面部13に載置して装着することができる。
上部係合穴16に設けられている掛かり部160は、上部係合穴16に下部折込片28aを係合したときに、下部折込片28aの上端が掛かるようにして、特に被包シート2aを持って持ち上げたときに被包シート2aが抜け外れないようにするものである。
【0060】
なお、切り花搬送容器A2は、切り花搬送容器A1で包装する切り花より背の低い切り花の包装に適している。また、積み重ねることができる構造とはなっていないので、保管や搬送をする場合にスペース効率を上げるには、多段に設けられた棚や棚車等を使用するのが好ましい。
【0061】
図10は切り花搬送容器を構成する容器本体の他の実施形態を示す斜視図である。
容器本体1aは、容器部17aが有底円筒形状に形成されている。容器部17a以外の箇所は、図2に示す前記容器本体1と同一の構造を有している。
なお、図において、容器本体1と同一箇所には同一の符号を付して示し、構造について重複する説明は省略する。
【0062】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る切り花搬送容器の実施の形態を示す分解斜視図。
【図2】切り花搬送容器を構成する容器本体の斜視図。
【図3】切り花搬送容器を構成する被包シートの展開図。
【図4】切り花搬送容器に切り花を収容した状態を示す断面説明図。
【図5】切り花搬送容器に切り花を収容し、内部の切り花を見るために被包シートの上片を開けた状態を示す斜視説明図。
【図6】切り花搬送容器を二段に積み重ねて並べた状態を示す説明図。
【図7】積み重ねた切り花搬送容器の接合部の状態を示す断面説明図。
【図8】積み重ねた切り花搬送容器の接合部を示し、容器本体と被包シートの係合部の状態を示す断面説明図。
【図9】本発明に係る切り花搬送容器の他の実施の形態を示す正面図。
【図10】切り花搬送容器を構成する容器本体の他の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0064】
A1 切り花搬送容器
1 容器本体
10 支持枠
11 底面部
12 脚部
13 上面部
14 係合部
140 載置段部
15 下部係合穴
16 上部係合穴
160 掛かり部
17 容器部
170 側部
171 底部
172 掛止条部
173 口部
2 被包シート
20、21、22、23 側板
201 上片
202 下片
203 切欠部
204 切欠部
205 切込線
206 窓部
210、230 把手穴
24 受板
25 折曲線
25a 端辺
26 ロック片
27 差込片
28 下部折込片
29 上部折込片
3 切り花
A2 切り花搬送容器
2a 被包シート
28a 下部折込片
29a 上部折込片
1a 容器本体
17a 容器部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(1)と、該容器本体に巻着して同容器本体の上方に自立性を有する筒状体を形成する被包シート(2)を備え、
上記容器本体(1)と被包シート(2)は、巻着した被包シート(2)に加わる荷重を協働して支える第1の係合要素(15,28)(13,29)と、巻着した被包シートに加わる引き上げ力で被包シートが容器本体から離脱するのを協働して防げる第2の係合要素(15,28)を有し、
第1の係合要素(15,28)(13,29)と第2の係合要素(15,28)は、個別にまたは兼用可能に形成されている、
容器。
【請求項2】
合成樹脂で成形された容器本体(1)と、該容器本体に巻着して同容器本体の上方に自立性を有する筒状体を形成する紙製の被包シート(2)を備え、
上記被包シート(2)は、被包シートの一部を外側から押圧して内側に突出部を形成する複数の変形部(28,29)を有し、該複数の変形部(28,29)は、支持突出部と係止突出部を含み、
上記容器本体(1)は、上記被包シートの支持突出部を載置する載置部(13)と、係止突出部を受け入れる受入部(15,16)とを有する、
容器。
【請求項3】
一の変形部が支持突出部と係止突出部を兼用し、載置部と受入部が兼用される、
請求項2記載の容器。
【請求項4】
容器本体(1)は、底面に被包シート(2)で形成された筒状体の上部を嵌装する嵌装部(14)を有し、該嵌装部(14)は筒状体の過剰な進入を阻止する阻止手段(140)を有する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
上部に切り花の茎部を差し入れる口部(173)を有する容器本体(1)と、
展開したものを筒状に組み立てて形成可能で、容器本体(1)の口部(173)の上方を囲むようにして、容器本体(1)に着脱可能な被包シート(2)と、
を備えており、
容器本体(1)には、
被包シート(2)を筒状に組み立てた状態で下端部を載置可能な載置部(140)と、
容器本体(1)の外面部に所要数設けられている係合穴(15)と、
筒状に組み立てた被包シート(2)の上部に、容器本体(1)を着脱可能に装着するための嵌合部(14)と、
を備えており、
被包シート(2)には、
容器本体(1)の各係合穴(15)に係合可能で、係合することにより各係合穴(15)と協働して容器本体(1)に被包シート(2)を固定できる係合部(28)が設けられている、
容器。
【請求項6】
被包シート(2)は、被包シート(2)で形成された筒状体の内部を見ることができる開閉可能な窓部(206)を形成するための窓部形成手段(201)を備えている、
請求項1乃至5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
被包シート(2)に把手部(210)を備えている、
請求項1乃至6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】
容器本体(1)に物品(3)を収納した後に、該容器本体(1)に被包シート(2)を巻着して物品の周りに筒状体を形成し、更に被包シートの係合要素(28,29)を変形させて容器本体の係合要素(15,16)と係合させる、
物品の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−120228(P2009−120228A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296018(P2007−296018)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(592255095)協伸化成株式会社 (5)
【Fターム(参考)】