説明

切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置及びそれを用いたラミネータ

【課題】 用紙の巾よりも広い巾のラミネートフィルムを使用してラミネートすることを可能にする。
【解決手段】 ラミネータ本体の下部に潜り込ませることが可能な前後左右に移動自在な搬送部と、搬送部の上方に設置された支柱部、該支柱部の上部にラミネータ本体の上方に覆い被さるように配置されたモーターであり、該モーターから突出した回転軸にラミネータ本体のラミネートフィルム供給部において切り落とされるラミネートフィルムを巻き付けてながら順次巻き取るラミネートフィルムの巻き取り部とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷機や印刷物等の表面をラミネートフィルムで被覆する光沢加工機械、すなわちラミネータに使用される切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置とそれを用いたラミネータに関する。
詳しくは繰り出されるラミネートフィルムを2片に切断し、一方のラミネートフィルムを印刷物等の表面に被覆し、廃棄するもう一方のフィルムを巻き取るための切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置とそれを用いたラミネータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラミネータに使用するラミネートフィルムは、被覆する用紙の巾に合わせた巾(用紙の巾よりも若干狭めに設定して用紙からはみ出さないようにする。)に予めカットしたものを巻き取りロール状にして使用していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで前記方法では、用紙のサイズが異なる毎に、各々の用紙のサイズにカットしたラミネートフィルムを用意しなければならない。そのため様々なサイズの用紙に対応しなければならないため当然在庫数量が増えることになり、それに付随して保管場所の確保や保管における経費が掛かり極めて不経済であった。また必要とする巾のラミネートフィルムが手元にない場合に、新たに一から発注していると調達までに時間が掛かり、納期的に間に合わないケースが発生する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明の切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置は、ラミネータ本体の下部に潜り込ませるための前後左右に移動可能な搬送部と、搬送部の一方の端から上方に据え付けられた支柱部と、該支柱部の上部にラミネータ本体の上方に覆い被さるように配置されるモーターから突出した回転軸であり、該回転軸にラミネータ本体のラミネートフィルム供給部において切り落とされるラミネートフィルムを順次巻き取るラミネートフィルムの巻き取り部とからなることを特徴としている。
また、上記課題を解決するために本発明のラミネートフィルムのラミネート手段は、連続して搬送される用紙の表面に連続的に繰り出されるラミネートフィルムを被覆した後に個別に裁断するラミネータにおいて、ラミネータ本体に設置されたロール状のラミネートフィルムを任意の巾に切れ目を入れる工程、前記切れ目により分割されたラミネートフィルムの一方を用紙表面にラミネートする工程及びもう一方の切り落とされたラミネートフィルムを前記切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置で巻き取る巻き取り工程とを含むことを特徴としている。
【0005】
本発明のラミネータ本体に設置されたラミネートフィルムをカットするためのカッターは、ロール状のラミネートフィルムから該ラミネートフィルムが繰り出されてから、ラミネートされる用紙表面でラミネートローラにより整合されて完全接着されるまでの経路の任意の場所に設置すればよい。
【0006】
本発明のラミネートフィルムの巻き取り部を構成するモーターには、好ましくはトルクモータが使用される。
また、前記トルクモータのシャフトは、例えば樹脂や金属等からなるカップリング材等により延長された長軸であっても構わず、ラミネータ本体の上方に覆い被さり、切り落とされたラミネートフィルムを巻き取りやすい位置に配置される。
【0007】
本発明のラミネートフィルムの巻き取り部と搬送部とを連結する役目を果たす支柱部は、例えば金属や樹脂或いは木材等の材質から構成される。しかし、必ずしも一本の支柱で構成される必要はなく、複数の支柱やトラスにより形成されていてもよい。また支柱の高さも固定式ではなく、高さ調整が可能なように上下伸縮可能な形態であっても構わない。
【0008】
本発明のラミネータ本体の下部に潜り込ませるための前後左右に移動自在な搬送部は、例えばキャスターを取り付けた台車や椅子の脚のような形態で、上部に設けたラミネートフィルムの巻き取り部と支柱部をスムーズに前後左右に移動できるものが好適に使用される。また、ラミネータ本体の下部に潜り込ませることが容易なように、できるだけ平らで低い高さのものがよい。さらに、一旦固定する位置が決定した後に、不用意に動いてしまわないようにブレーキ機能が付いていることが好ましいが、必ずしも必要という訳ではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明の切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置によれば、仮に用紙の巾よりも広いラミネートフィルムであっても、代替え用のラミネートフィルムとして任意の巾にカットしてラミネートすることが可能である。
従って、在庫するラミネートフィルムの種類や数量を減らすことが可能になる。
またラミネートフィルムの保管スペースも少なく済むため経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1(A)及び(B)は本発明の流れを示す要部概念側面図と平面図である。なお図(B)では便宜上上部のラミネートフィルムFを破線で示し省略してある。図2は図1の要部概念斜視図である。図3は本発明の切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置の側面図である。
以下図面に沿って本発明をわかりやすく説明する。
まずラミネータの作業流れを説明する。図1(A)に示すように、図中右側の用紙載せ台1に積載された用紙Sは、最上面から一枚ずつ真空吸着盤2(フィードローラ等でも構わない)に吸い上げられて、左側下流の工程へ送り出される。そして下流のラミネートローラ3、3間を通過するのであるが、この際にラミネートローラ3の上方に待機しているロールから繰り出されるラミネートフィルムFとラミネートローラ3、3により整合され、ラミネートフィルムFの用紙Sと接着する側の面に設けられている感熱性接着剤(図示は省略する)により剥離不能に接着されるのである。ラミネートフィルムFによりラミネートされた用紙Sは、さらに下流の切断部のカッター4により一枚ずつ個切りされて最下流の用紙集積台5に順次集積されるのである。
【0011】
次に用紙Sの巾に合わせてラミネートフィルムFを切り落としながらラミネートする手段を説明する。
図3は切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置の側面図である。基板13の四隅にはブレーキ付きキャスター14が設けられており左右前後に自在に移動が可能である。基板13の左側端には支柱12が設置されると共に、その上部にはカップリング10により巻き取り軸6が連結されたトルクモータ11が設置されている。このように構成されたラミネートフィルムの巻き取り装置Mは、図1(A)、(B)及び図2に示すようにラミネータRのヒートローラ3、3の右側に設置される(図においては巻き取り軸6のみで表現している)。そしてシャフト8、9間に設けたカッター7(任意の巾をカットできるよう用紙Sの巾方向に移動自在に設置されている)をフィルムFを切断可能な位置まで押し下げて切り込むことにより連続的に切断するのである。
【0012】
カッター7により切断され二分割されたラミネートフィルムFは、図1及び図2に示すように、幅の広いラミネートフィルムF1が用紙S表面にラミネートされ、もう一方の巾が狭いラミネートフィルムF2は切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置Mの巻き取り軸6に巻き取られていく。巻き取り軸6が連結されているトルクモーター11はその性質上、ラミネートフィルムF2にテンションを掛けると共に、ラミネートフィルムF1の速度に同調しながら回転するため両ラミネートフィルムF1、F2は弛み等により皺を発生することなくそれぞれに予定された方向へと進むのである。
【0013】
このようにして用紙Sの巾よりも広い巾のラミネートフィルムFをカットしながらラミネートすることができるのである。
なお、本発明は、前記実施例に限られるものではない。例えば、カッター7は実施例中の包丁タイプ以外に丸刃のスリッタータイプでも構わない。
また、モーターの回転軸に連結される巻き取り軸6の長さに制限はなく、モーター軸を延長して巻き取り軸6に代えることも可能である。
さらにまた、切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置にカッターが併設されていても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 (A)及び(B)は本発明の流れを示す要部概念側面図と平面図である。
【図2】 図1の要部概念斜視図である。
【図3】 本発明の切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置の側面図である。
【符号の説明】
【0015】
R ラミネータ
F、F1、F2 ラミネートフィルム
M 切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置
1 用紙載せ台
2 真空吸着盤
3 ラミネートローラ
4、7 カッター
5 用紙集積台
6 巻き取り軸
8、9 シャフト
10 カップリング
11 モーター
12 支柱
13 基板
14 キャスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネータ本体の下部に潜り込ませるための前後左右に移動可能な搬送部と、搬送部の一方の端から上方に据え付けられた支柱部と、該支柱部の上部にラミネータ本体の上方に覆い被さるように配置されるモーターから突出した回転軸であり、該回転軸にラミネータ本体のラミネートフィルム供給部において切り落とされるラミネートフィルムを順次巻き取るラミネートフィルムの巻き取り部とからなることを特徴とした切り落としラミネートフィルムの巻き取り装置。
【請求項2】
連続して搬送される用紙の表面に連続的に繰り出されるラミネートフィルムを被覆した後に個別に裁断するラミネータにおいて、ラミネータ本体に設置されたロール状のラミネートフィルムを任意の巾に切れ目を入れる工程、前記切れ目により分割されたラミネートフィルムの一方を用紙表面にラミネートする工程及びもう一方の切り落とされたラミネートフィルムを請求項1に記載のフィルム巻き取り装置で巻き取る巻き取り工程とを含むことを特徴としたラミネートフィルムのラミネート手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−331358(P2007−331358A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189801(P2006−189801)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000105280)ケイディケイ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】