説明

切削工具、およびそれを用いた切削加工物の製造方法

【課題】 ホルダに対する切削インサートの装着安定性を向上させることが可能な切削工具を提供する。
【解決手段】 切削インサート1と、 切削インサート1が固定部材30を用いて装着されるホルダ20とを備え、 切削インサート1は、多角形状の上面2と、上面2と同一形状の下面3と、上面2と下面3との間に位置し、幅方向に第1側面42、第2側面44および第3側面46の順で有する側面4とを有し、 ホルダ20は、切削インサート1の下面3に当接している下装着面204と、切削インサート1の第1側面42に当接している第1装着面201と、切削インサート1の第2側面44に当接している第2装着面202と、切削インサート1の第3側面46に対してクリアランスD1を介して位置している第3装着面203とを有している、切削工具10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削工具、およびそれを用いた切削加工物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正面フライス加工などに用いられるスローアウェイチップを、切削工具本体の底面と壁面(支持面)を用いて支持する切削工具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この切削工具は、図3などに示されているように、切削工具本体の底面に加えて、切削工具本体の3つ以上の壁面(支持面)を用いてスローアウェイチップを支持するものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1のように、3つ以上の部位(壁面)を用いて支持・固定するように設計されていると、スローアウェイチップや切削工具本体の製造精度(形状公差)のばらつき、あるいはスローアウェイチップの取付け精度のばらつきなどによって、3つ以上の全ての部位(壁面)においてスローアウェイチップを設計通りに支持することは困難であった。その結果、例えば、2つの部位(壁面)でのみ支持することになってしまったり、切削工具本体の外周側に位置する壁面などの強度が小さい壁面に大きな切削力が加わったりして、設計通りにスローアウェイチップを支持することができずに、壁面などが欠損するおそれがあった。
【0004】
そこで、ホルダに対する切削インサートの装着安定性を向上させることが可能な切削工具が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−275920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題の一つは、ホルダに対する切削インサートの装着安定性を向上させることが可能な切削工具、およびそれを用いた切削加工物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る切削工具は、 切削インサートと、 前記切削インサートが固定部材を用いて装着されるホルダとを備え、 前記切削インサートは、多角形状の上面と、前記上面と同一形状の下面と、前記上面と前記下面との間に位置し、幅方向に第1側面、第2側面および第3側面の順で有する側面とを有し、 前記ホルダは、前記切削インサートの前記下面に当接している下装着面と、前記切削インサートの前記第1側面に当接している第1装着面と、前記切削インサートの前記第2側面に当接している第2装着面と、前記切削インサートの前記第3側面に対してクリアランスD1を介して位置している第3装着面と、を有している。
【0008】
本発明の実施形態に係る切削加工物の製造方法は、 上記の切削工具を前記ホルダの回転軸を基準に回転させる工程と、 回転している前記切削工具の上切刃を被削材の表面に接触させる工程と、 前記切削工具を前記被削材から離隔する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態に係る切削工具によれば、 切削インサートと、 前記切削インサー
トが固定部材を用いて装着されるホルダとを備え、 前記切削インサートは、多角形状の上面と、前記上面と同一形状の下面と、前記上面と前記下面との間に位置し、幅方向に第1側面、第2側面および第3側面の順で有する側面とを有し、 前記ホルダは、前記切削インサートの前記下面に当接している下装着面と、前記切削インサートの前記第1側面に当接している第1装着面と、前記切削インサートの前記第2側面に当接している第2装着面と、前記切削インサートの前記第3側面に対してクリアランスD1を介して位置している第3装着面とを有している。そのため、ホルダのうち第1装着面および第2装着面の2面に対して精度良く切削インサートを当接させて優れた装着安定性を確保することができる。さらに、切削加工時に加わる切削力によって切削インサートが回転したり切削インサートが第3装着面側に動いてしまうことを、切削インサートの第3側面に対してクリアランスD1を介して位置している第3装着面によって効果的に規制あるいは抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る切削インサートを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図2】図1に示す切削インサートを示す側面図であり、(a)はX1矢視図、(b)はX2矢視図、(c)はX3矢視図である。
【図3】図1に示す切削インサートの一部を拡大して示す平面図である。
【図4】図3に示されている各線に沿って切削インサートを切断した状態を示す断面図であり、(a)はA−A線に沿って切断した断面図、(b)はB−B線に沿って切断した断面図、(c)はC−C線に沿って切断した断面図である。
【図5】図1に示す切削インサートの一部を拡大して示す平面図である。
【図6】図5の切削インサートを第1側面側から見た図であり、(a)は側面図、(b)はD−D線に沿って切断した断面図、(c)はE−E線に沿って切断した断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るホルダを示す図であり、(a)は上面側から見た斜視図、(b)は側面図である、(c)は下面側から見た斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る切削工具を示す図であり、(a)は上面側から見た斜視図、(b)は側面図である、(c)は下面側から見た斜視図である。
【図9】(a)は図7のホルダの切屑ポケットの一部を拡大して示す側面図であり、(b)は図8の切削工具における切削インサートの装着状態を拡大して示す側面図であって切削インサートの上面側から見た図である。
【図10】図8の切削工具における切削インサートの装着状態を拡大して示す側面図であり、(a)は切削インサートを側面から見た図、(b)は切削インサートを上面から見た図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る切削加工物の製造方法を示す工程図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る切削加工物の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る切削工具について、図面を参照して詳細に説明する。この切削工具は、大略、切削インサート(以下、「インサート」と言うことがある。)と、切削インサートが固定部材を用いて装着されるホルダと、を備えている。
【0012】
(切削インサート)
本発明の実施形態に係る切削インサートについて、図1〜図6を参照して詳細に説明する。以下、平面視において六角形状のインサート1を例にとって説明する。
【0013】
本実施形態のインサート1は、図1及び図2に示すように、大略、上面2と、下面3と、上面2および下面3に接続される側面4と、上面2と側面4との交線部に位置する上切刃5と、下面3と側面4との交線部に位置する下切刃5Pと、を備えている。インサート1は、例えば、上面2の1辺が5mm〜100mm、上下面の厚みが3mm〜100mmの大きさとすればよい。なお、図1に示すように、上面2から下面3へと貫通する貫通孔6(取付穴)がそれぞれの面の中央部に形成されている。
【0014】
本実施形態のインサート1は、上述のように、平面視において、図1(b)に示すような六角形状(略六角形)である。そして、インサート1は、第1内角α1を備える3つの主コーナー21と、第1内角α1よりも大きい第2内角α2を備える3つの副コーナー22と、を交互に有している。ここで、六角形状とは、厳密な六角形(正六角形)の場合に限定されるのではなく、機能を発揮できる範囲において若干の変形を含む概念である。例えば、各辺または各頂点部分がわずかな曲線状に設定されている場合を含む。
【0015】
そして、本実施形態のインサート1において、上切刃5は上面2の全周に渡って位置しており、図1(b)に示すように、1つの主コーナー21から、その両側に隣接している2つの副コーナー22、22に向かって、同一形状の切削部5a、5cを有するため、3つの主コーナー21のそれぞれにおいて右勝手および左勝手の双方向に回転させて切削加工を行う事ができる。すなわち、3つの主コーナー21のそれぞれを右勝手および左勝手で用いることによって、実質的に6つの主コーナーを備えるインサート1として使用することが可能となる。ここで、第1内角α1は略直角であり、例えば、90度±3度の範囲内に設定することが好ましい。特に、第1内角α1は、90度よりも大きいことが好ましい。なお、第2内角α2は、140°〜150°の範囲内で設定すればよいである。なお、全ての辺を切削加工に使用しつつ、切削に寄与する切刃の長さを大きく確保する観点からは、各辺の長さが等しいことが好ましい。
【0016】
また、本実施形態のインサート1は、図1(a)および図2(a)に示すように、上面2および下面3の両面のそれぞれをすくいの機能を発揮する面として使用可能な、所謂ネガティブ型のインサートである。従って、下切刃5Pを用いて切削加工を行う場合には、下面3をすくい面、上面2(上載置部26)を着座面(載置部)として使用することができる。すなわち、本実施形態のインサート1は、上面2と下面3とが同一形状を有しており、上下両面を切削加工に用いることができる構成を備えている。そして、上切刃5を用いて切削加工を行う場合には、下面3(下載置部36)はホルダ20に装着するための着座面(載置部)として機能する。以下、特記しない限り、上面2に関する説明は下面3にも適用されるものとする。
【0017】
以下、本実施形態のインサート1の各構成要素について、詳細に説明する。
【0018】
上面2は、切屑を排出するための所謂すくいの機能を有する面であり、上切刃5から内方に向かって順に、下面3側に傾斜しているすくい面23、下面3側に傾斜しているつなぎ面24、および、中心軸S1に略垂直な平面状の上載置部26を有している。本明細書において「内方」とは、上切刃5に対してインサート1の内側であり、貫通孔6側のことを意味する。そして、本実施形態においては、すくい面23、つなぎ面24、および、上載置部26が連続している。これによって、上載置部26の面積をより大きく確保することができるため、ホルダ20への装着の安定性を向上させることができる。すなわち、例えば、上載置部26の頂部26tからコーナー切刃51までの距離、すなわちオーバーハング量を小さくできるため、インサート1が受ける曲げモーメントを低減することができる。その結果、切削加工時にインサート1が損傷を受けることを抑制することが可能となる。
【0019】
すくい面23は、上述のすくいの機能を発揮する主たる部位であって、図1〜図4に示すように、上切刃5に連続しており、上切刃5から中心軸S1に向かうにつれて垂直面S1bを基準にして下面3に向かってすくい角βで傾斜している。本実施形態において、すくい面23は、インサート1の全周に渡って位置している。すくい角βは、10度〜30度に設定されることが好ましい。
【0020】
具体的には、すくい面23は、図3に示すように、副すくい面23bおよび主すくい面23aを有している。図4に示すように、副すくい面23bは、副切刃52に連続しており内方に向かうにつれて垂直面S1bを基準にして下面3に向かって第1すくい角β1で傾斜している。主すくい面23cは、主切刃53に連続しており内方に向かうにつれて垂直面S1bを基準にして下面3に向かって第2すくい角β2で傾斜している。なお、図3において、副すくい面23bおよび主すくい面23aの間の領域は緩やかな曲面状の接続面である。
【0021】
また、すくい面23は、図5および図6に示すように、内方側の端部を中心軸S1方向に沿って切断した断面の形状が、少なくとも副すくい面23bと主すくい面23aとを跨ぐ領域において直線状あるいは凹状である。
【0022】
本実施形態のインサート1は上述のような構成を有することから、後述する上切刃5のうち副切刃52および主切刃53の部位によって生成された凸状の切屑を、すくい面23を通過する過程において直線状あるいは凹状に変形させることができるため、その後の排出過程において切屑を安定的にカールさせることによって優れた切屑排出性を発揮することが可能となる。なお、上述の断面の形状は、図6(c)に示すように、副すくい面23bおよび主すくい面23aの略全域において直線状あるいは凹状であることが好ましい。これによれば、幅広い切込み量の条件下において、上述のような優れた切屑排出性を発揮することが可能となる。また、すくい面23の内方側の端部は、上面視において直線状であることが好ましい。これによって、切屑のカールの安定性をより高めることが可能となる。
【0023】
また、すくい面23の幅W1は、図3に示すように、上面視において、第1コーナー21a側から第2コーナー22a側に向かうにつれて小さくなることが好ましい。すなわち、W1a>W1bとの関係を具備する。これによれば、幅広い切込み量の条件下において、上述のような優れた切屑排出性を発揮することが可能となる。
【0024】
なお、本実施形態において、すくい面23は、図3に示すように、上切刃5側の端部に位置しており垂直面S1bに略平行なランド面231をさらに有している。これによって、上切刃5の強度を向上させることができ、所謂重切削の加工条件においても好適に使用することが可能となる。なお、ランド面231は、垂直面S1bと略平行にすればよい。
【0025】
上載置部26は、図1などに示すように、上面2において、すくい面23よりも内方に位置している平面状の部位である。
【0026】
本実施形態のインサート1において、上載置部26は、全体として見た場合に多角形状、特に六角形状をしている。ここで、多角形状とは、厳密な意味で頂点を有している場合に限られるものではなく、本願所定の作用効果を得るために必要な限度において、例えば辺と辺との接続部分が若干湾曲している構成を含む概念である。
【0027】
また、図1(b)に示すように、上面視において、貫通孔26の外周が、上載置部26のうち3つの主コーナーに対応する頂部26tを結ぶ直線で囲まれる領域の内側に位置している。なお、本明細書において、「頂部」とは、多角形の頂点に対応する部位を言うが
、図に示すように楕円状の点線で囲っている頂点の近辺領域を意味する事がある(以下においても同様である。)。
【0028】
また、上載置部26は、図1(b)に示すように、互いに離隔している3つの分離部26aを有することが好ましい。これによって、ホルダ20に装着する際に、インサート1の3つの分離部26aのそれぞれをホルダ20の対応する当接面(下装着面)24に対して別々に当接させることができるため、ホルダ20への装着の安定性を向上させることが可能となる。例えば、インサート1の製作過程の焼成工程において、上載置部26の形状が湾曲するなど変形した場合においても、3つの分離部26aが互いに独立しているため、研磨加工などの別工程を経ることなく、ホルダ20の当接面(下装着面)24に比較的強く当接させることが可能となる。なお、3つの分離部26aはそれぞれ、平面視において三角形状である。特に、分離部26aの三角形状の1つの頂部が主コーナー21に最も隣接していることが好ましい。これによって、ホルダ20への装着の安定性をより向上させることが可能となる。なお、上切刃5を用いて切削加工する場合には、下面3側の下載置部36がホルダ20に当接する面となる。逆も同様である。
【0029】
また、本実施形態において、上面2の上載置部26は、図2に示すように、側面視において、上切刃5のいずれの部位よりも(下方)下面3側に位置している。これによって、切削加工時に、上切刃5によって生成された切屑が上載置部26に衝突することを低減でき、上載置部26の損傷を抑制することが可能となる。具体的には、上切刃5と上面2の上載置部26との距離を大きく設定することで、切屑を生成するためのスペースを大きく確保することができ、切屑の排出性を向上させることができる。また、例えば、インサート1の製作過程の焼成工程において、上載置部26の形状が湾曲するなど変形した場合には、上載置部26が上切刃5よりも下面3側に位置している場合には研磨加工で整形することが困難であるが、上載置部26に傾斜を設けることで、当該研磨加工を経ることなく、ホルダ20の当接面(下装着面)24に安定的に当接させることが可能となる。
【0030】
なお、下面3側の下載置部36を見てみると、下切刃5P側の端部よりも中心軸S1側の端部が、垂直面S1bを基準にして上面2側に位置している。言い換えれば、下面3において、下載置部36は、中央領域よりも外周領域の方がインサート1の厚み方向において外側に位置している。これによって、上面2をホルダ20の回転方向の前方に向けた状態でホルダ20に装着する際に、下載置部36のうち下切刃5P側の端部をホルダ20の対応する当接面(下装着面)24に対して比較的強く当接させるとともに、中心軸S1側の端部もホルダ20の対応する当接面(下装着面)24に対して比較的弱く当接させることができるため、下切刃5P側の端部によるホルダ20への装着を中心軸S1側の端部によって補助させることによって、ホルダ20に対する装着の安定性を向上させることが可能となる。なお、下載置部36の中央領域から外周領域への傾斜角度は、中心軸S1を基準にして80度〜90度に設定することが好ましい。
【0031】
つなぎ面24は、図1〜図4に示すように、上面2において、すくい面23と上載置部26との間に位置しており、且つ、すくい面23および上載置部26のそれぞれと連続している部位である。つなぎ面24は、すくい面23を通過する切屑の逃げ部として機能するとともに、上載置部26の面積を大きく確保する際に寄与する部位でもある。
【0032】
つなぎ面24は、図4に示すように、内方に向かうにつれて垂直面S1bを基準にして下面3に向かってつなぎ角γで傾斜している。つなぎ面24のつなぎ角γは、副すくい面23bの第1すくい角β1および主すくい面23aの第2すくい角β2のいずれよりも大きい。これによって、上述のような機能を効果的に発揮することが可能となる。
【0033】
なお、つなぎ面24の幅W2は、図3に示すように、上面視において、第1コーナー2
1a側から第2コーナー22a側に向かうにつれて小さくなることが好ましい。すなわち、W2a>W2bとの関係を具備する。これによれば、幅広い切込み量の条件下において、上述のような優れた切屑排出性を発揮することが可能となる。
【0034】
なお、上面2は、図1に示すように、貫通孔6の周囲に上載置部26よりも低い凹部25をさらに有していてもよい。そして、上述の3つの分離部26aは、貫通孔6および凹部25を介して互いに離隔している。これにより、3つの分離部26aのそれぞれを、ホルダ20の対応する当接面(下装着面)24に対してより確実に当接させることができるため、上述のようなホルダ20への装着安定性をより向上させることが可能となる。
【0035】
上切刃5は、図1および図2に示すように、コーナー切刃51、副切刃52および主切刃53を有している。具体的には、本実施形態において、上切刃5は、図1(b)および図2(a)に示すように、3つの主コーナー21のうちの例えば第1主コーナー(第1コーナー)21aから3つの副コーナー22のうちの第1主コーナー21aに隣接する第1副コーナー(第2コーナー)22aに向かって順に、コーナー切刃51、コーナー切刃51から離れるにつれて上下面2、3を貫く中心軸S1に垂直な垂直面S1bを基準にして第1傾斜角θ1で傾斜している副切刃52、および、副切刃52から離れるにつれて垂直面S1bを基準にして副切刃52よりも下面3側に向かって第2傾斜角θ2で傾斜している主切刃53を有している。これにより、上述のように、上切刃5のうち副切刃52および主切刃53の部位によって生成される切屑は凸状となる。なお、副切刃52の第1傾斜角θ1は、垂直面S1bを基準にして上方に向かって傾斜していてもよい。このような上切刃5の各切刃領域の傾斜構成が、上述のような第1内角α1を備える主コーナー21および第2内角α2を備える副コーナー22と相まって、インサート1は低い切削抵抗と優れた耐欠損性を兼ね備えることが可能となる。同様に、第1主コーナー(第1コーナー)21aから3つの副コーナー22のうちの他の隣接する第2副コーナー22bに向かって順に、コーナー切刃51、副切刃52および主切刃53を有している。すなわち、上述のように両勝手で使用可能な構成となっている。
【0036】
コーナー切刃51は、図2に示すように、主コーナー側面41と上面2との交線部に位置しており、切削加工時に加わる切削力によって上切刃5が欠損することを抑制する役割を有する。本実施形態において、コーナー切刃51は、垂直面S1bに平行である。
【0037】
また、本実施形態において、コーナー切刃51は上面視で直線状であることが好ましい。これにより、コーナーRとした場合と比較して、上面視における刃先先端の幅が大きくなるため、高い切刃強度を確保することができる。その結果、主コーナー21で生成される切屑の厚みを薄くすることができ、比較的もろい被削材である鋳鉄の加工においても被削材の端部の欠け、所謂コバ欠けを効果的に抑制することが可能となる。そして、上切刃5のうち隣接する部位(例えば副切刃52)を基準にして約45度で傾斜していることが好ましい。これにより、インサート1を両勝手で使用することができる。
【0038】
副切刃52は、図2に示すように、第1側面42と上面2との交線部のうちコーナー切刃51側に位置しており、図1(b)に示すように、主切刃53とともに主切削部5a、5cとしての役割を有する切刃である。それと同時に、主として被削材100の仕上げ面102の精度を向上させる役割を有する、所謂さらい刃として機能する切刃である。本実施形態において、副切刃52は、図2および図3に示すように、上面視および側面視のいずれにおいても直線状である。
【0039】
ここで、副切刃52は、図2(a)に示すように、コーナー切刃51から離れるにつれて垂直面S1bを基準にして、下面3に向かって、第1傾斜角θ1で傾斜していることが好ましい。これによれば、切削加工時における副切刃52の切削抵抗を低減することが可
能となる。副切刃52の第1傾斜角θ1は、下面3に向かって、3度〜15度に設定することが好ましい。
【0040】
主切刃53は、図2に示すように、第1側面42と上面2との交線部のうち副切刃52よりも第1副コーナー22a側に位置しており、切削加工時において切屑生成に主な役割を有する切刃である。主切刃53の第2傾斜角θ2は、下面3に向かって、7度〜19度に設定することが好ましい。本実施形態において、主切刃53は側面視において凹状である。すなわち、図2(a)や図6(a)に示すように、主切刃53は側面視において下面3側に湾曲している。
【0041】
ここで、図2(a)に示すように、副切刃52の第1傾斜角θ1は、主切刃53の第2傾斜角θ2よりも小さいことが好ましい。副切刃52側で高い切刃強度を有すると同時に、主切刃53側で低い切削抵抗を実現することが可能となる。
【0042】
なお、主切刃53と副切刃52との接続部分は、側面視で凸状、すなわち上面2側にR1.0〜R10.0の範囲内で湾曲するように設定されることが好ましい。
【0043】
なお、本実施形態のインサート1は、図2(a)に示すように、第1主コーナー(第1コーナー)21a側から第1副コーナー(第2コーナー)22a側に向かうにつれてインサート1の厚みが小さくなっているものの、図1(b)に示すように、第1コーナー21aの第1内角α1に対して第2コーナー22aの第2内角α2が大きいことから、上切刃5の各切刃領域において高い切刃強度を確保することが可能となる。
【0044】
なお、上切刃5と同様に、下切刃5Pも、図2(a)に示すように、コーナー切刃51P、副切刃52Pおよび主切刃53Pを有している。
【0045】
側面4は、被削材100との接触を抑制するための所謂逃げ部として機能する面である。本実施形態においては、側面4は、図2に示すように、上面2と下面3とに垂直、すなわち中心軸S1を基準にして垂直である。それ故、側面4が上面2または下面3との間に逃げ角を有するインサートと比較して、中心軸S1に垂直な方向におけるインサート1の肉厚を確保する事ができるため優れた耐欠損性を備えることが可能となる。
【0046】
具体的な構成としては、図2(a)に示すように、六角形状の上面2に接続される側面4は、幅方向、すなわち図2(a)の側面視において横方向である第1主コーナー21aから第2主コーナー21bに向かって、主コーナー側面41、第1側面42、副コーナー側面43および第2側面44を順に有している。なお、第1側面42および第2側面44はいずれも平面である。そして、副コーナー側面43は曲面であるのに対して、主コーナー側面41は平面である。これは主コーナー側面41と上面2との交線部に位置するコーナー切刃51が上面視で直線状であることに対応している。同様に、側面4は、図2(c)に示すように、幅方向である第2主コーナー21bから第3主コーナー21cに向かって、主コーナー側面45、第3側面46、副コーナー側面47および第4側面48を順に有している。なお、第2主コーナー21bにおける第3側面46および第4側面48はそれぞれ、第1主コーナー21aにおける第3側面46および第4側面48と同様の機能を有する。
【0047】
貫通孔6は、図1などに示すように、上面2および下面3を貫通するものであり、インサート1を後述するホルダ20に固定する役割を有する。すなわち、取付ねじ(固定部材)30を、貫通孔6に挿入し、さらにホルダ20の下装着面204に形成されている穴部204aまでねじ込むことによって、インサート1をホルダ20に固定し切削工具10が形成される。なお、貫通孔6の中心軸は、インサート本体の中心軸S1と同じ位置に存在
している。
【0048】
(ホルダおよび切削工具)
次に、本発明の実施形態に係るホルダおよび切削工具について、上述の実施形態と同等の構成を有するインサートを用いた場合を例にとって、図7〜図10を参照して詳細に説明する。
【0049】
本実施形態の切削工具10は、図8に示すように、大略、上述した実施形態に係る複数のインサート1と、これら複数のインサート1が装着されるホルダ20と、を備えている。
【0050】
ホルダ20は、図7に示すように、その外周先端部に複数の切屑ポケット20aを有している。そして、各切屑ポケット20aは、図9(a)に示すように、外周側の部位に、下装着面204、第1装着面201、第2装着面202および第3装着面203を有しており、図9(b)に示すように、この外周側の部位にインサート1が取り付けられている。すなわち、本実施形態では、切削工具10が図11および図12の矢印A方向に回転する場合に、インサート1は、回転方向である矢印Aの前方側に上面(すくい面)2を向けて、ホルダ20の最外周に主切刃53が位置するように装着されている。ここで用いるインサート1は、図2(c)に示すものと同等であって、上面2と下面3とを逆にした構成を有する。すなわち、上面2および下面3に対して、幅方向における第1側面42、第2側面44および第3側面46の順が逆になっている。
【0051】
具体的には、本実施形態の切削工具10において、インサート1は、図2(c)に示したように、多角形状の上面2と、上面2と同一形状の下面3と、上面2と下面3との間に位置し、幅方向に第1側面42、第2側面44および第3側面46の順で有する側面4とを有している。そして、ホルダ20は、図9に示すように、インサート1の下面3に当接している下装着面204と、インサート1の第1側面42に当接している第1装着面201と、インサート1の第2側面44に当接している第2装着面202と、インサート1の第3側面46に対してクリアランスD1を介して位置している第3装着面203とを有している。この構成によれば、ホルダ20のうち第1装着面201および第2装着面202の2面に対してインサート1を精度良く当接させて優れた装着安定性を確保することができる。さらに、切削加工時に加わる切削力によってインサート1が回転したりインサート1が第3装着面203側に動いてしまうことを、インサート1の第3側面46に対してクリアランスD1を介して位置している第3装着面203によって効果的に規制あるいは抑制することができる。ここで、クリアランスD1は、図9(b)に示すようなわずかな間隙であり、0mmよりも大きく0.2mm以下であることが好ましい。これによれば、上述の作用効果をより効果的に得ることができるとともに、インサート1をホルダ20に装着する際にホルダ20の第3装着面203を位置決め用の構成として機能させることが可能となる。
【0052】
さらに、インサート1は、図9(b)などに示すように、固定部材30によって第3側面46と第3装着面203との相対的な距離が可変な状態でホルダ20に装着されており、可変の距離D2(図示せず)がクリアランスD1よりも大きく設定されていることが好ましい。これによれば、ホルダ20のうち第1装着面201および第2装着面202によるインサート1の装着性を、第3装着面203によって補完させること或いは第3装着面203に分散させることができ、より優れた装着安定性を確保することが可能となる。
【0053】
また、ホルダ20は、上述のように、第1装着面201、第2装着面202および第3装着面203を有しており、これらの詳細な構成については図9(a)に示す通りである。以下、順に説明する。
【0054】
第1装着面201は、第2装着面202から遠い側の部位である第1当接部201aと、第2装着面202に近い側の部位である第1非当接部201bとを有している。そして、第1非当接部201bは、第2装着面202側の端部である第1端部201b1を有している。次に、第2装着面202は、第1装着面201から遠い側の部位である第2当接部202aと第1装着面201に近い側の部位である第2非当接部202bとを有している。そして、第2非当接部202bは、第1装着面201側の端部である第2端部202b1を有している。次に、第3装着面203は、第2装着面202から遠い側の端部である第3端部203a1を有している。
【0055】
第1装着面201については、インサート1の第1側面42が、第1装着面201のうち第1当接部201aに当接していることが好ましい。これによれば、第1装着面201との当接部位を第2装着面202との当接部位に対して遠ざけることができるため、インサート1の装着安定性を向上させることが可能となる。そして、インサート1の第1側面42は、ホルダ20の第1装着面201のうち第1端部201b1に当接していないことが好ましい。これによれば、例えばインサート1の取付け精度が低い場合であっても上述の当接部位同士が近くなることを抑制できるため、これによっても装着安定性を確保することができる。なお、当接部位は、図9(b)において点線で囲われた部位のことを意味する。以下においても同様である。
【0056】
第2装着面202については、インサート1の第2側面44が、第2装着面202のうち第2当接部202aに当接していることが好ましい。これによれば、第2装着面202との当接部位を第1装着面201との当接部位に対して遠ざけることができるため、インサート1の装着安定性を向上させることが可能となる。そして、インサート1の第2側面44は、ホルダ20の第2装着面202のうち第2端部202b1に当接していないことが好ましい。これによれば、例えばインサート1の取付け精度が低い場合であっても上述の当接部位同士が近くなることを抑制できるため、これによっても装着安定性を確保することができる。
【0057】
なお、第1当接部201aの面積は第2当接部202aの面積よりも大きいことが好ましい。
【0058】
第3装着面203については、図9(b)に示すように、第2装着面202から遠い側の端部である第3端部203a1が、インサート1の上面2側から見たときに、インサート1の第3側面46の中点よりも第2側面44側に位置していることが好ましい。これによれば、第1装着面201および第2装着面202によるインサート1の装着安定性をサポート可能な第3装着面203を比較的小さくすることができるため、切削加工時における被削材あるいは切屑との接触を抑制することが可能となる。
【0059】
なお、第3装着面203は、インサート1の第3側面46の上面2側から下面3側に向かう方向に線状に延びている凸部203b(図示せず)を有していることが好ましく、この際には、クリアランスD1は凸部203bと第3側面46との間の距離で判断すれば良い。
【0060】
次に、インサート1の上面2側から見たときに、第1装着面201を延長した第1面201aと第2装着面202を延長した第2面202aとが交差した部位が第1交差部205である。ここで、ホルダ20の第1交差部205の内角は、鈍角である。そして、ホルダ20は、インサート1の上面2側から見たときに、第1装着面201と第2装着面202との間に、第1交差部205よりも内方に窪んでいる第1逃げ部205aをさらに有する。第1逃げ部205aは、インサート1とホルダ20との接触を抑制する部位として機
能する。なお、第1面201aおよび第2面202aについては、図9に示すように、第1装着面201および第2装着面202のそれぞれの上辺を延長した直線によって、第1面201aおよび第2面202aのそれぞれの上辺を示すようにしている。
【0061】
また、インサート1の上面2側から見たときに、第2装着面202を延長した第2面202aと第3装着面203を延長した第3面203aとが交差した部位が第2交差部206である。ここで、第2交差部206の内角は略直角である。そして、ホルダ20は、インサート1の上面2側から見たときに、第2装着面202と第3装着面203との間に、第2交差部206よりも内方に窪んでいる第2逃げ部206aをさらに有する。第2逃げ部206aは、インサート1とホルダ20との接触を抑制する部位として機能する。
【0062】
次に、装着の方法として、本実施形態では、取付ねじ(固定部材)30を、インサート1の各々の貫通孔6に挿入してホルダ20の下装着面204に形成されている穴部204aまでねじ込むことによって、図10(b)などに示すように、インサート1をホルダ20にそれぞれ固定している。
【0063】
ホルダ20は、図9(b)に示すように、下装着面204の一部に固定部材30と嵌合する穴部204aを有しており、且つ、インサート1の上面2側から見たときに、貫通孔6の中心軸S1が穴部204aの中心軸S3を基準にして外方側に偏心していることが好ましい。ここで、偏心とは、図9(b)に示すように、貫通孔6の中心軸S1と穴部204aの中心軸S3とが相互にズレて位置していることをいい、その両者間の距離をD3で示す。そして、偏心の方向とは、図9(b)に示す矢印のような、貫通孔6の中心軸S1と穴部204aの中心軸S3とを結ぶ直線方向のことをいう。これによれば、固定部材30をインサート1の貫通孔6およびホルダ20の穴部204aに挿入してねじ込むことによって、インサート1に対して穴部204aの中心軸S3を基準にして内方側に向かって力が加わるため、ホルダ20の第1装着面201および第2装着面202の2面に強く当接させることが可能となる。偏心の距離D3は、0.23mm〜0.47mmに設定されることが好ましい。
【0064】
ここで、インサート1の上面2側から見たときに、第1装着面201を延長した第1面201aと第2装着面202を延長した第2面202aとが交差した部位が第1交差部205である。そして、偏心の方向は、第1交差部205よりも第2装着面202側の部位と、穴部204aの中心軸S3とを結ぶ直線方向である。
【0065】
偏心の距離D3は、上述したクリアランスD1よりも大きく設定されていることが好ましい。偏心の距離D3を比較的大きくすることで、インサート1が可変な状態でホルダ20に装着することができる。
【0066】
本実施形態において、インサート1は、図10(a)に示すように、ホルダ20の回転軸S2に平行な平行面S2aを基準として、上切刃5のうち第1主コーナー21aから隣接する第1副コーナー22aに渡る第1主切削部5aのアキシャルレーキ角θaが正であり、且つ、上切刃5のうち第1副コーナー22aから隣接する第2主コーナー21bに渡る非切削部5bのアキシャルレーキ角θbが負であるような状態で、ホルダ20に装着されている。ここで、第1主切削部5aは副切刃52および主切刃53を含むものであり、本実施形態においては副切刃52および主切刃53のいずれにおいてもアキシャルレーキ角θaが正である。例えば、副切刃52のアキシャルレーキ角は0度〜10度に設定されることが好ましく、主切刃53のアキシャルレーキ角は5度〜20度に設定されることが好ましい。なお、アキシャルレーキ角θaは、例えば主切刃53のように曲線状の切刃については、主切刃53の開始点、すなわち副切刃52側の端部における接線を延長した直線L1を用いて測定すればよい。また、アキシャルレーキ角θbは、例えば非切削部5b
の開始点、すなわち第1副コーナー22a側の端部における接線を延長した直線L2を用いて測定すればよい。
【0067】
また、図10(a)に示すように、インサート1は、上切刃5のうち第1主コーナー21aと第2主コーナー21bとを結ぶ直線のアキシャルレーキ角(図示せず)が負であるような状態で、ホルダ20に装着されている。言い換えれば、上述の第1主切削部5aおよび非切削部5bを含めた全体としてのアキシャルレーキ角(図示せず)が負となっている。
【0068】
以上のように、インサート1をホルダ20に装着することによって、切削工具10が構成されている。このような切削工具10を矢印A方向に回転させることによって、後述するように、被削材100に対して正面フライス加工やプランジ加工などの各種切削加工を行うことができる。
【0069】
例えば、図11(b)に示すように、正面フライス加工を行う場合には、インサート1の第1主切削部5aを用いて被削材100を切削して切削面101を形成するとともに、副切刃52を用いて被削材100を切削して仕上げ面102を形成することができる。この際、ホルダ20の回転軸S2に垂直な垂直面S2bに対して、副切刃52は略平行の関係に設定されている。
【0070】
<切削加工物の製造方法>
次に、本発明に係る切削加工物の製造方法の実施形態について、図11および図12を参照して、詳細に説明する。
【0071】
以下に説明する切削加工物の製造方法は、大略、上述した実施形態に係る切削工具10をホルダ20の回転軸S2を基準に回転させる工程と、回転している切削工具10の上切刃5を被削材100の表面に接触させる工程と、切削工具10を被削材100から離隔する工程と、を備えている。
【0072】
(第1の実施形態)
本発明に係る切削加工物の製造方法の第1の実施形態として、いわゆる正面フライス加工を例にとって、図11を参照して詳細に説明する。本実施形態に係る切削加工物の製造方法は、以下の(i)〜(iii)の工程を備える。なお、以下において、各工程を実行する順序を明記していない場合には、その順序は適宜変更してもよい。
【0073】
(i)図11(a)に示すように、切削工具10をホルダ20(切削工具10)の回転軸S2を中心に矢印A方向に回転させる工程。そして、切削工具10を矢印B方向に動かし、被削材100に近づける。
【0074】
(ii)図11(b)に示すように、回転している切削工具10の上切刃5を、被削材100の表面に接触させる工程。本実施形態においては、本工程は次の3つの工程を有する。
【0075】
第1に、回転している切削工具10を、回転軸S2に対して垂直な方向である矢印C方向に移動させる工程。このように回転軸S2に対して垂直な方向に移動させることによって、被削材100に対して正面フライス加工を行う事ができる。
【0076】
第2に、回転している切削工具10の上切刃5のうち第1主コーナー21aから隣接する第1副コーナー22aに渡る第1主切削部5aを、被削材100の表面に接触させる工程。これによって、第1主切削部5aと接触して切削された被削材100の被削面が、
図11(b)に示すような切削面101となる。
【0077】
第3に、回転している切削工具10の上切刃5のうち第1主コーナー21aと第2副コーナー22bとの間に位置する副切刃52を、第1主切削部5aと接触することによって形成された被削材100の被削面に接触させる工程。これによって、上記工程で第1主切削部5aによって切削された被削材100の被削面のうち第1主切削部5aによって直接切削されずに削り残された部位が、副切刃52によって平滑化されて、図11(b)に示すような仕上げ面102となる。
【0078】
(iii)図11(c)に示すように、切削工具10を矢印C方向にそのまま動かし、切削工具10を被削材100から離隔する工程。
【0079】
以上の各工程を経ることによって、被削材100を、図11(c)に示すような所望の形状に切削してなる切削加工物が製造される。
【0080】
また、切削加工を継続して実行する場合には、例えば、切削工具10を回転させた状態を維持して、被削材100の異なる箇所に切削工具10の上切刃5を接触させる工程を繰り返せばよい。
【0081】
ここで、切削加工に用いている上切刃5の主コーナー21が摩耗した際には、インサート1を貫通孔6の中心軸S1に対して120度回転させることによって、未使用の上切刃5の主コーナー21を用いればよい。あるいは、本実施形態においては、切削工具1の回転方向を矢印Aとは逆向きに回転させることによって、インサート1の1つの主コーナー21を逆勝手の切削加工に変更してもよい。以上のように、3つの主コーナー21のそれぞれを右勝手および左勝手の両方に用いることによって、実質的に6つの主コーナーを備えるインサート1として使用することが可能となる。なお、切削工具1の回転方向を矢印Aと逆向きに変更することによって、第1主切削部5aにおける副切刃52が仕上げ面102を形成する切刃としての役割を有することになる。なお、以上においては、上切刃5について説明したが、下切刃5Pの場合も同様である。
【0082】
なお、上述の各工程は、次のように変更することができる。
【0083】
例えば、上記(i)の工程において、切削工具10を固定しつつ被削材100を回転させるようにしてもよい。また、切削工具10と被削材100とは相対的に近づけばよいため、例えば上述の工程とは逆に被削材100を切削工具10に近づけるようにしてもよい。同様に、上記(iii)の工程では、被削材100と切削工具10とを相対的に遠ざければよいため、例えば所定位置に保持されている切削工具10から被削材100を遠ざけるようにしてもよい。なお、これらの変更については、次に説明する第2の実施形態においても同様に適用することができる。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る切削加工物の製造方法の第2の実施形態として、いわゆるプランジ加工(突き加工)を例にとって、図12を参照して詳細に説明する。本実施形態に係る切削加工物の製造方法は、以下の(i)〜(iii)の工程を備える。なお、以下において、各工程を実行する順序を明記していない場合には、その順序は適宜変更してもよい。
【0085】
(i)図12(a)に示すように、切削工具10をホルダ20(切削工具10)の回転軸S2を中心に矢印A方向に回転させる工程。そして、切削工具10を矢印D方向に動かし、被削材100に近づける。
【0086】
(ii)図12(b)に示すように、回転している切削工具10の上切刃5を、被削材100の表面に接触させる工程。本実施形態においては、本工程は次の3つの工程を有する。
【0087】
第1に、回転している切削工具10を、回転軸S2に対して平行な方向である矢印D方向に移動させる工程。このように回転軸S2に対して平行な方向に移動させることによって、被削材100に対してプランジ加工を行う事ができる。
【0088】
第2に、回転している切削工具10の上切刃5のうち第1主コーナー21aから隣接する第2副コーナー22bに渡る第2主切削部5cを、被削材100の表面に接触させる工程。これによって、第2主切削部5cと接触して切削された被削材100の被削面が、図12(b)に示すような切削面101となる。
【0089】
第3に、回転している切削工具10の上切刃5のうち第1主コーナー21aと第1副コーナー22aとの間に位置する副切刃52を、第2主切削部5cと接触することによって形成された被削材100の被削面に接触させる工程。これによって、上記工程で第2主切削部5cによって切削された被削材100の被削面のうち第2主切削部5cによって直接切削されずに削り残された部位が、副切刃52によって平滑化されて、図12(b)に示すような仕上げ面102となる。
【0090】
(iii)図12(c)に示すように、切削工具10を矢印C方向にそのまま動かし、切削工具10を被削材100から離隔する工程。
【0091】
以上の各工程を経ることによって、被削材100を、図12(c)に示すような所望の形状に切削してなる切削加工物が製造される。
【0092】
また、切削加工を継続して実行する場合には、上述の第1の実施形態において説明した内容と同様の方法を行えばよい。切削加工に用いている切刃部分が摩耗した場合についても上述の第1の実施形態と同様の方法を行えばよい。
【0093】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。
【0094】
例えば、上述の実施形態のインサート1は、平面視において、図1(b)に示すような六角形状(略六角形)であるが、これに代えて、四角形状、五角形状などの各種多角形状のインサートに適用することができる。その場合においても、上述の構成を有することによって上述のような作用効果を発揮することができる。
【0095】
また、上述の実施形態においては、インサート1の上面2と下面3の形状を同一としたが、これに代えて、上面2と下面3とを異なる形状にしてもよい。例えば、上面2の上切刃5での切削加工用のいわゆる片面使いのインサートとして、上切刃5に対応する側面4の逃げ角を大きく確保できるような構成にしてもよい。このような構成は、例えば上面2の面積に対して下面3の面積を小さくすることによって実現することができる。
【0096】
また、上述の実施形態のインサート1は、上面2において、すくい面23と上載置部26との間につなぎ面24を設ける構成としたが、これに代えて、すくい面23と上載置部26との間に、上切刃5から中心軸S1に向かうにつれて垂直面S1bを基準にして上面2に向かって傾斜している立ち上がり面24を有する構成としても良い。これによれば、切屑を排出する際に小径のカール状に変形させることが可能となり切屑排出性を向上させ
ることができる。そして、立ち上がり面24を3つの副コーナー22に対応する部位に設けることが好ましい。この場合、すくい面23は、3つの主コーナー21に対応する部位において上載置部26と連続しているとともに、3つの副コーナー22に対応する部位において立ち上がり面24を介して上載置部26と連続している。また、傾斜角度は、垂直面S1bを基準にして上面2に向かって40度〜70度に設定されることが好ましい。
【0097】
また、上述の実施形態のインサート1において、すくい面23の表面形状は比較的平滑であったが、これに代えて、すくい面23のうちコーナー切刃51に対応する部位にすくい凸部(図示せず)を有するようにしても良い。これによって、低切込み条件下、或いは、低送り条件下において、生成される切屑を、すくい凸部によって比較的小さくカールさせることができるため、仕上げ加工などにおいて優れた切屑排出性を発揮することができる。なお、すくい凸部の全体が、すくい面23の領域内に収まるように配置されることが好ましい。また、すくい凸部のうち最も高い部位が上切刃5よりも低い位置にあることが好ましい。
【0098】
また、上述の実施形態に係るインサート1では、上載置部26が互いに離隔している3つの分離部26aを有する構成について説明したが、これに代えて、同様の効果を得ることができる限りにおいて、3つの分離部26aを相互に隣接する部位において接続するような構成を採用してもよい。
【0099】
また、上述の実施形態に係るインサート1においては特記していないが、上面2および下面3のそれぞれの色を互いに異ならせるようにしてもよい。具体的には、例えばインサート本体が銀色を示す超硬合金である場合に、上面2および下面3のいずれか一方を、例えば金色を示す窒化チタン(TiN)により被覆するのが好ましい。ネガティブ形のインサートにおいては、上面2および下面3は、いずれもすくい面として機能するため、インサートの取付け間違いを生じる場合がある。上面2および下面3のいずれか一方をTiNで被覆すると、TiNで被覆した面と被覆していない面とが異なる色となる。それ故、それぞれの面を明確に区別できるようになり、インサート1を装着する際の誤認を抑制することができる。ここで、上面2および下面3のいずれかの被覆対象面は、その全面を被覆する必要はなく、例えば被覆対象面の一部(例えば切刃以外の部分)にTiNを被覆することによっても同様の効果を得ることができる。なお、上述の被覆に用いる材料としては、上面2及び下面3の色の相違を認識する事ができれば、TiNに限定されるものではない。例えば、インサート本体が超硬合金である場合に、明るい赤褐色を示す炭窒化チタン(TiCN)、暗い赤褐色を示す窒化チタンアルミ(TiAlN)等を採用することもできる。
【0100】
また、上述の実施形態において、偏心の方向を、第1交差部205よりも第2装着面202側の部位と、穴部204aの中心軸S3とを結ぶ直線方向としたが、これに代えて、第1交差部205と穴部204aの中心軸S3とを結ぶ直線方向としてもよい。この際、第1当接部201aの面積は第2当接部202aの面積よりも大きい設定することが好ましい。この構成によれば、インサート1は偏心によって第2当接部202aよりも面積の大きな第1当接部201a側に強く当接させることができるため、より優れた装着安定性を得ることができる。
【0101】
また、上述の実施形態において、第3装着面203が、インサート1の第3側面46の上面2側から下面3側に向かう方向に線状に延びている凸部203bを有するようにしたが、これに代えて、第3装着面203を平面状としつつ第2交差部206の内角を大きく設定してもよい。この構成によれば、第3装着面203のうち第2装着面202側の端部をインサート1の第3側面46に対して線状に当接させることが可能となる。
【符号の説明】
【0102】
1 切削インサート(インサート)
2 上面
21 主コーナー
21a 第1主コーナー(第1コーナー)
21b 第2主コーナー
21c 第3主コーナー
α1 第1内角
22 副コーナー
22a 第1副コーナー(第2コーナー)
22b 第2副コーナー
22c 第3副コーナー
α2 第2内角
23 すくい面
β すくい角
23a コーナーすくい面
23b 副すくい面
β1 第1すくい角
23c 主すくい面
β2 第2すくい角
231 ランド面
24 つなぎ面
γ つなぎ角
25 凹部
26 上載置部(着座面)
26a 分離部
26t 頂部
3 下面
36 下載置部(着座面)
4 側面
41 主コーナー側面
42 第1側面
43 副コーナー側面
44 第2側面
45 主コーナー側面
46 第3側面
47 副コーナー側面
48 第4側面
5 上切刃
51 コーナー切刃
52 副切刃
θ1 第1傾斜角
53 主切刃
θ2 第2傾斜角
5a 第1主切削部(切削部)
θa 第1主切削部のアキシャルレーキ角
5b 非切削部
θb 非切削部のアキシャルレーキ角
5c 第2主切削部(切削部)
5P 下切刃
51P 下コーナー切刃
52P 下副切刃
53P 下主切刃
6 貫通孔
10 切削工具
20 ホルダ
20a 切屑ポケット
201 第1装着面
201a 第1当接部
201b 第1非当接部
201b1 第1端部
201c 第1面
202 第2装着面
202a 第2当接部
202b 第2非当接部
202b1 第2端部
202c 第2面
203 第3装着面
203a1 第3端部
203a 第3面
203b 凸部
204 下装着面
204a 穴部
S3 穴部の中心軸
205 第1交差部
205a 第1逃げ部
206 第2交差部
206a 第2逃げ部
30 固定部材(取付ねじ)
100 被削材
101 切削面
102 仕上げ面
S1 切削インサートの中心軸
S1a S1に平行な平行面
S1b S1に垂直な垂直面
S2 切削工具(ホルダ)の回転軸
S2a S2に平行な平行面
S2b S2に垂直な垂直面
S3 ホルダの穴部の中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサートと、
前記切削インサートが固定部材を用いて装着されるホルダと、を備え、
前記切削インサートは、
多角形状の上面と、
前記上面と同一形状の下面と、
前記上面と前記下面との間に位置し、幅方向に第1側面、第2側面および第3側面の順で有する側面と、を有し、
前記ホルダは、
前記切削インサートの前記下面に当接している下装着面と、
前記切削インサートの前記第1側面に当接している第1装着面と、
前記切削インサートの前記第2側面に当接している第2装着面と、
前記切削インサートの前記第3側面に対してクリアランスD1を介して位置している第3装着面と、を有している、切削工具。
【請求項2】
前記切削インサートは、前記固定部材によって前記第3側面と前記第3装着面との相対的な距離が可変な状態で前記ホルダに装着されており、前記可変の距離D2が前記クリアランスD1よりも大きく設定されている、請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記切削インサートは、前記上面と前記下面との間を貫通している貫通孔をさらに有し、
前記ホルダは、前記下装着面の一部に、前記固定部材と嵌合している穴部を有し、
前記切削インサートの上面側から見たときに、前記貫通孔の中心軸は、前記穴部の中心軸を基準にして外方側に偏心している、請求項1または2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記第1装着面と前記第2装着面とは互いに離隔しており、
前記切削インサートの上面側から見たときに、前記第1装着面を延長した第1面と前記第2装着面を延長した第2面とが交差した第1交差部を構成し、
前記偏心の方向は、前記穴部の前記中心軸と前記第1交差部とを結ぶ直線方向である、請求項3に記載の切削工具。
【請求項5】
前記第1装着面と前記第2装着面とは互いに離隔しており、
前記切削インサートの上面側から見たときに、前記第1装着面を延長した第1面と前記第2装着面を延長した第2面とが交差した第1交差部を構成し、
前記偏心の方向は、前記第1交差部よりも前記第2装着面側の部位と、前記穴部の前記中心軸とを結ぶ直線方向である、請求項3に記載の切削工具。
【請求項6】
前記偏心の距離D3は、前記クリアランスD1よりも大きく設定されている、請求項3〜5のいずれかに記載の切削工具。
【請求項7】
前記切削インサートの前記第1側面は、前記ホルダの前記第1装着面のうち前記第2装着面から遠い側の部位である第1当接部に当接している、請求項1〜6のいずれかに記載の切削工具。
【請求項8】
前記切削インサートの前記第1側面は、前記ホルダの前記第1装着面のうち前記第2装着面に近い側の部位である第1非当接部をさらに有し、前記第1非当接部のうち前記第2装着面側の端部である第1端部に当接していない、請求項7に記載の切削工具。
【請求項9】
前記切削インサートの前記第2側面は、前記ホルダの前記第2装着面のうち前記第1装
着面から遠い側の部位である第2当接部に当接している、請求項1〜8のいずれかに記載の切削工具。
【請求項10】
前記切削インサートの前記第2側面は、前記ホルダの前記第2装着面のうち前記第1装着面に近い側の部位である第2非当接部をさらに有し、前記第2非当接部のうち前記第1装着面側の端部である第2端部に当接していない、請求項9に記載の切削工具。
【請求項11】
前記第1当接部の面積は前記第2当接部の面積よりも大きい、請求項9または10に記載の切削工具。
【請求項12】
前記切削インサートの上面側から見たときに、前記ホルダの前記第3装着面のうち前記第2装着面から遠い側の端部である第3端部は、前記切削インサートの前記第3側面の中点よりも第2側面側に位置している、請求項1〜11のいずれかに記載の切削工具。
【請求項13】
前記ホルダの前記第3装着面は、前記切削インサートの前記第3側面の前記上面側から前記下面側に向かう方向に線状に延びている凸部を有しており、
前記クリアランスD1は、前記凸部と前記第3側面との間の距離である、請求項1〜12のいずれかに記載の切削工具。
【請求項14】
前記第1装着面と前記第2装着面とは互いに離隔しており、
前記切削インサートの上面側から見たときに、前記第1装着面を延長した第1面と前記第2装着面を延長した第2面とが交差した第1交差部を構成し、前記第1交差部の内角は鈍角である、請求項1〜13のいずれかに記載の切削工具。
【請求項15】
前記切削インサートの上面側から見たときに、前記ホルダは、前記第1装着面と前記第2装着面との間に、前記第1交差部よりも内方に窪んでいる第1逃げ部をさらに有する、請求項14に記載の切削工具。
【請求項16】
前記第2装着面と前記第3装着面とは互いに離隔しており、
前記切削インサートの上面側から見たときに、前記第2装着面を延長した第2面と前記第3装着面を延長した第3面とが交差した第2交差部を構成し、前記第2交差部の内角は略直角である、請求項1〜15のいずれかに記載の切削工具。
【請求項17】
前記切削インサートの上面側から見たときに、前記ホルダは、前記第2装着面と前記第3装着面との間に、前記第2交差部よりも内方に窪んでいる第2逃げ部をさらに有する、請求項16に記載の切削工具。
【請求項18】
前記切削インサートは、
前記上面は、第1内角を備えている2つ以上の主コーナーと、前記第1内角よりも大きい第2内角を備えている2つ以上の副コーナーとを交互に有し、
前記2つ以上の主コーナーは前記第1コーナーを含むとともに、前記2つ以上の副コーナーは前記第2コーナーを含む、請求項1〜17のいずれかに記載の切削工具。
【請求項19】
前記上切刃は、前記2つ以上の主コーナーのうちの第1主コーナーから、前記2つ以上の副コーナーのうちの前記第1主コーナーに隣接している第1副コーナーおよび第2副コーナーのそれぞれに向かって順に、コーナー切刃、副切刃および主切刃を有している、請求項18に記載の切削工具。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の切削工具を前記ホルダの回転軸を基準に回転させる工程と、
回転している前記切削工具の前記上切刃を被削材の表面に接触させる工程と、
前記切削工具を前記被削材から離隔する工程と、を備える、切削加工物の製造方法。
【請求項21】
請求項19に記載の切削工具を前記ホルダの回転軸を基準に回転させる工程と、
回転している前記切削工具の前記上切刃を被削材の表面に接触させる工程と、
前記切削工具を前記被削材から離隔する工程と、を備え、
前記上切刃を被削材の表面に接触させる工程は、
回転している前記切削工具を、前記回転軸に対して垂直な方向に移動させる工程と、
回転している前記切削工具の前記上切刃のうち前記第1主コーナーから隣接する前記第1副コーナーに渡る第1主切削部を、被削材の表面に接触させる工程と、
回転している前記切削工具の前記上切刃のうち前記第1主コーナーと前記第2副コーナーとの間に位置する副切刃を、前記第1主切削部と接触することによって形成された前記被削材の被削面に接触させる工程と、を有する、切削加工物の製造方法。
【請求項22】
請求項19に記載の切削工具を前記ホルダの回転軸を基準に回転させる工程と、
回転している前記切削工具の前記上切刃を被削材の表面に接触させる工程と、
前記切削工具を前記被削材から離隔する工程と、を備え、
前記上切刃を被削材の表面に接触させる工程は、
回転している前記切削工具を、前記回転軸に対して平行な方向に移動させる工程と、
回転している前記切削工具の前記上切刃のうち前記第1主コーナーから隣接する前記第2副コーナーに渡る第2主切削部を、被削材の表面に接触させる工程と、
回転している前記切削工具の前記上切刃のうち前記第1主コーナーと前記第1副コーナーとの間に位置する副切刃を、前記第2主切削部と接触することによって形成された前記被削材の被削面に接触させる工程と、を有する、切削加工物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−75346(P2013−75346A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217479(P2011−217479)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】