説明

切削工具および機械加工装置

【課題】加工対象物の加工精度、加工品質を向上させ、かつ切削工具の長寿化する切削工具および機械加工装置を提供する。
【解決手段】
切削工具1が切断ブレードに圧電素子2をエポキシ樹脂により接合した構成であり、この切削工具1が回転軸3の先端に取り付けられた第1のフランジ4aと第2のフランジ4bとで挟持されると共に、回転軸3のねじ部に螺着した締め付け用ナットにより固定される。そして、図示しないモータの電源をいれ回転軸3を約12000回転/毎分の回転させる。次に回転する円盤状の切断ブレードと図示しない加工対象物に冷却水をノズルから与え、加工対象物のガラスを切断または溝入れする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工装置に用いる切削工具に圧電素子を接合し、加工対象物であるガラス、セラミック、シリコーン、超硬金属などの難切削材料、ステンレス、チタンなどの金属材料およびプラスチック材料を加工する機械加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、いわゆる難加工材料を加工するために超音波振動を切削工具または、加工対象物に与え加工する方法が多用されるようになってきた。
このような加工方法は、超音波切削加工と呼ばれており、例えば、非特許文献1に詳しく記載されている。超音波切削加工は、加工対象物と切削工具との摩擦抵抗が、小さくなるため、加工面の熱歪みが低減され、加工精度が高くなり、そして、切削工具の寿命が長くなるなどの利点を有している。
【0003】
さらに、最近ではステンレス、チタンなどの金属材料およびプラスチックを対象に超精密加工がなされている。このような加工においても超音波切削加工は、加工対象物と切削工具との摩擦抵抗が、小さくなるため、加工面の熱歪みが低減され、加工精度が高くなるため用いることが多くなった。
【0004】
超音波を用いる回転機械加工装置は、非特許文献2に詳しく記載されている。図1に示す超音波研削装置も回転軸を回転させるためのモータがあり、その回転軸にスリップリング、超音波振動子が備えられている。さらに、回転軸にはブースタ、ホーンそして切削工具であるダイヤモンド砥石が接続されている。また回転自在に支持するための軸受が配置されている。また超音波交流電圧を超音波振動子に印加するための超音波発振器とブラシを備えている。
【0005】
上記の超音波研削装置の概略の運転方法は以下の通りである。まずモータを動作させるとほぼ同時に超音波発振器からブラシを介して回転するスリップリングに超音波交流電圧を印加する。スリップリングに与えられた交流電圧は超音波振動子に印加され、超音波振動子は超音波振動する。この超音波振動が、ブースタそしてホーンを伝播し、そして切削工具であるダイヤモンド砥石に伝播する。
【非特許文献1】超音波便覧編集委員会、「超音波便覧」、丸善株式会社、平成11年8月、p679−684
【非特許文献2】日本電子機械工業会、「超音波工学」、株式会社コロナ社、1993年、p218−229
【0006】
また、超音波を用いる非回転機械加工装置として、旋盤がある。図2の特許文献1に示す超音波振動を切削工具に印加し、切削加工中にホルダーとワークとの間に発生するびびり振動を抑制し、加工精度が良好で加工能率が良く、工具寿命の長くすることを狙ったものがある。
【0007】
ここで図2の特許文献1に示す超音波加工装置について詳しく説明する。切削工具1は、超音波捻り振動を発生する超音波捻り振動器と、超音波捻り振動器により発生された捻り振動を撓み振動に変換する撓み振動体とを備えている。超音波捻り振動器は、ボルト締めランジュバン型電歪振動子からなり、超音波発振器からの高周波駆動信号により駆動される。
【0008】
また、超音波捻り振動器の先端には、超音波捻り振動器より発生した捻り振動の振幅を拡大して、撓み振動体に伝達する振幅拡大用ホーンがねじ止めされており、超音波捻り振動は該ホーンを通過することにより振動振幅が数倍に拡大される。
【0009】
さらに振幅拡大用ホーンの先端には、捻り振動を撓み振動に変換するための撓み振動体が図示しないネジでねじ止めされており、該撓み振動体の先端には切削チップがねじ止めされている。
【0010】
そして、これら超音波捻り振動器、振幅拡大用ホーン、撓み振動体、切削チップは、超音波捻り振動器の固有振動数とほぼ同一の振動数で定在波が発生し共振する振動系となっている。
【0011】
さらに該捻り振動系は、振幅拡大用ホーンに発生した定在波の節に設けられたフランジによりケースに取付けられている。また、超音波捻り振動器の後方には、該超音波捻り振動器を冷却するファンが設けられている。
【0012】
また、このような切削工具1を旋盤の刃物台に取り付け、ワークの円周切削加工を行う場合には、該切削工具1の取付け手段として防振合金製のホルダーを用いることが好ましいとされている。
【0013】
このような構成の切削工具1によると、加工中のホルダーに発生する振動が、従来の1/10〜1/30に減少し、高精度且つ高能率の切削加工を行うことができ、工具の長寿命化が図られているとされている。
【0014】
【特許文献1】特開平7−164217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、超音波を用いる回転機械加工装置である図1に示す超音波研削装置において、回転軸に超音波振動子を取り付けると回転軸が超音波振動するので軸受にも超音波振動が伝播し、軸受は破損の恐れが生ずる。また回転軸および軸受に異常な磨耗が発生したり、磨耗が大きくなる恐れがある。さらに、回転軸の直径とほぼ等しい超音波振動子であるランジュバン型超音波振動子を回転軸に接合するため、重量が増加して、回転慣性が大きくなり高速回転には不適な構成になる。さらに、回転軸に接合された超音波振動子の形状の誤差、重量のアンバランスにより回転が不安定になり、回転装置が故障し、加工精度が低下する。
別の問題点として、切削工具を保持するチャック装置と切削工具が超音波振動により互いに摩擦し焼き付けが発生する。
さらに、超音波振動子に交流電圧を印加する超音波発振回路が必要である。そして回転する超音波振動子に交流電圧を供給するため、スリップリング又はロータリートランスが必要となる。そしてスリップリング又はロータリートランスと超音波振動子をリード線により接続しなければならない。このリード線には高速回転が加わるため断線の虞が大きい。さらにスリップリング又はロータリートランスと超音波発振回路もリード線で接続しなければならない。
【0016】
超音波を用いる非回転機械加工装置として、図2の旋盤において、切削工具を保持する保持装置である刃物台と切削工具の一部であるホルダーが超音波振動により互いに摩擦し焼き付けが発生する。
【0017】
また超音波振動により、切削工具の一部であるホルダーと保持装置である刃物台の摩擦力が小さくなり、加工時に機械的負荷が切削工其の一部であるホルダーに加わったときに保持装置内でホルダーの位置が変化することにより加工精度が悪化する問題点もある。
【0018】
さらに、超音波振動子の超音波振動が保持装置である刃物台などに伝播してしまい、工具チップに与える超音波振動が小さくなる。所望の大きさの超音波振動を工具チップに印加するためには、保持装置である刃物台など不要な部分に振動を与えるため不要に大きい超音波交流電力を超音波振動子に与える。このため、超音波振動子は、不要な部分に超音波振動を与える分に相当する余分な発熱があり、工具、保持装置などの温度が上昇する。そのため、加工精度、加工能率及び工具の寿命に悪影響を与える。
【0019】
また、超音波振動子に交流電圧を印加する超音波発振回路が必要である。そして超音波振動子と超音波発振回路を接続するためのリード線が必要である。リード線は切削工具の運動ともない動かなければならないので常に断線の恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、回転機械加工装置において、回転する工具に圧電素子が接合されているものである。
【0021】
本発明はまた、前記工具が工具ホルダーの先端に取付けられるチップ形状の工具であるものである。
【0022】
本発明はまた、非回転機械加工装置において、工具に圧電素子が接合されているものである。
【0023】
本発明はまた、前記工具が工具ホルダーの先端に取付けられるチップ形状の工具であるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の第1の実施の形態を図3の正面図、そして図3のA−A線で切断した図4の断面図を用いて示す。ここで切削工具1である切断ブレードは円形基板と電着砥粒層とから構成されている。円形基板は例えば厚さが0.06mm程度で外径が70mm程度の鋼板、アルミなどの金属板からなり、中心部には回転軸に装着するための取り付け穴が形成されている。
【0025】
また、円形基板に電着砥粒層を形成するには、通常の電気メッキ法を用いることができる。すなわち、メッキ槽に収容された硫酸ニッケル液にダイヤモンド砥粒を混入せしめ、この硫酸ニッケル液にダイヤモンド砥粒が混入したメッキ液中で円形基板にニッケルメッキすることにより、ダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固定した複合メッキ層からなる電着砥粒層を形成することができる。この切断ブレード1の円形基板の中心軸と一致させ外径が約60mm、内径が約45mmそして厚さが約0.5mmのリング形状のPZT系圧電セラミックからなる圧電素子2a、2bをエポキシ樹脂により接合する。圧電素子2a、2bは、両側に銀電極が設けられ、かつ板厚方向に分極されている。ここでは、圧電素子2としてPZT系圧電セラミックを用いたが、電極を有する水晶、リチウムナイオベイトの単結晶などでもよいことはもちろんである。
【0026】
図5の平面図とそのA−A線での断面図である図6において、前記圧電素子2をエポキシ樹脂により接合した切削工具1である切断ブレードを切断装置の回転軸3に装着した状態を示す。ここで回転駆動機構、軸受け機構などは図示しない。切断ブレードは回転軸3の先端に取り付けられた第1のフランジ4aと第2のフランジ4bとで挟持されると共に、回転軸3のねじ部に螺着した締め付け用ナットにより固定されている。
【0027】
次に上記の円盤状ブレードを使用した切断装置の運転方法について同じく図6の断面図を用いて説明する。まず図示しないモータの電源をいれ回転軸3を約12000回転/毎分の回転させる。次に回転する円盤状の切断ブレードと図示しない加工対象物に冷却水をノズルから与え、加工対象物のガラスを切断または溝入れする。
【0028】
ブレードが回転し、加工対象物のガラスに接触する。その反作用としてブレードに振動変位が与えられる。そして、ブレードに接合した圧電素子2である円盤状の圧電セラミックに圧電気直接効果により電極上に電圧が発生する。そして圧電気逆効果により円盤状の圧電セラミックの電圧により円盤状の圧電セラミックに応力が発生して、ブレードを振動させる。
【0029】
圧電気直接効果とは、圧電素子に外部応力、振動変位などを与えると、その出力端に電気信号が発生する現象をいう。また、圧電気逆効果とは、圧電素子に外部から電圧を与えると素子に機械的変位を生じる現象を言う。
【0030】
圧電気直接効果と圧電気逆効果については、例えば非特許文献3に詳しく記述してある。
【非特許文献3】谷腰欣司、「超音波とその使い方」、日刊工業新聞社、1994年、p47−53
【0031】
このように外部から電力を供給することなく、ブレードを振動させることができ、その振動により、加工対象物と工具との摩擦抵抗が、小さくなるため、加工面の熱歪みが低減され、加工精度が高くなり、そして、切削工具の寿命が長くなる。
【0032】
圧電気直接効果と圧電気逆効果の作用を確認するため、前記の構成で、圧電素子2の両側に銀電極間をリード線により短絡した。このようにすることで、ブレードが回転し、加工対象物のガラスに接触した際に、反作用としてブレードに振動変位が与えられても、ブレードに接合した円盤状の圧電セラミックの両側の電極間に発生する電圧を中和してゼロにすることができる。その結果、円盤状の圧電セラミックの両側の電極間に電圧は生じないので、圧電気逆効果は発生しない。
【0033】
圧電素子2の両側に銀電極間をリード線により短絡した構成で、図示しないモータの電源をいれ回転軸3を12000回転/毎分の回転させる。次に回転する円盤状の切断ブレードと図示しない加工対象物のガラスに冷却水をノズルから与え、加工対象物を切断または溝入れする。
【0034】
上記の圧電素子2の両側の銀電極間を短絡した条件と、圧電素子2の両側の銀電極間を開放した条件の切断を比較すると、切断ブレードの両側に接合した圧電素子2の両側に銀電極間をリード線により短絡した条件に比較して、切断ブレードの両側に接合した圧電素子2の両側の銀電極間を絶縁した条件は、切断ブレードの消耗量は約1/10になり、そしてチッピングの大きさは、約1/12になった。
【0035】
この結果を考察すると、圧電気直接効果と圧電気逆効果によりブレードが振動する効果により切断ブレードの消耗量は約1/10になり、そしてチッピングの大きさは、約1/12になったと考えられる。
【0036】
図7は、第2の実施の形態を示す基本的な構成を示すフライス盤の正面図である。ステンレス製の回転軸3を回転させるためのモータ5が備えられている。回転軸3を回転自在に支持するための軸受6があり、さらにこの軸受6を固定するための図示しないステンレスのケースがある。そして、その先には回転軸3に回転する切削工具1であるエンドミルを固定するためのチャック装置9がある。そのエンドミルに圧電素子2である円筒状の圧電セラミックを接合した切削工具1を取り付ける。回転する切削工具1の下には、加工対象物7を固定するためのテーブル8と加工対象物7がある。テーブル8にはテーブル8を移動させるためのモータ、ボールネジなどが取付けられているが図面を簡略化するため省略した。
【0037】
回転する切削工具1に圧電素子2である円筒状の圧電セラミックを接合した構成を図8の平面図を用いて説明する。回転する切削工具1は、外径1mmそして長さ50mmの超硬製のエンドミルである。そして、エンドミルにエポキシ樹脂で円筒状の圧電セラミックを接合する。円筒状の圧電セラミックは半径方向に分極されている。そして円筒状形状の内面と外面に銀電極が設けられている。円筒状の圧電セラミックの形状は外径2.0mm、内径1.0mmそして長さ10mmである。
【0038】
次にこの回転機械加工装置の運転方法を、図7を用いて説明する。まずモータ5の電源をいれ回転軸3を回転させる。
【0039】
回転する切削工具1であるエンドミルが回転し、加工対象物7に接触して、その反作用としてエンドミルに振動変位が与えられる。そして、エンドミルに接合した円筒状の圧電セラミックに圧電気直接効果により電極間に電圧が発生する。そして圧電気逆効果により円筒状の圧電セラミックの電圧により円筒状の圧電セラミックに応力が発生して、エンドミルを振動させる。
【0040】
このように外部から電力を供給することなく、エンドミルを振動させることができ、その振動により、加工対象物と切削工具との摩擦抵抗が、小さくなるため、加工面の熱歪みが低減され、加工精度が高くなり、そして、切削工具1の寿命が長くなる。
【0041】
また、エンドミルに接合した円筒状の圧電セラミックに電気配線する必要がないので構成が簡単であり、どのような回転機械加工装置にも取付けることができる。
【0042】
また、当然回転軸3にもほとんど振動が伝播しないので軸受6または回転軸3の振動による損傷の恐れはほとんどない。
【0043】
上記のように、回転する切削工具1及び圧電セラミックだけを振動させることできることにより加工精度の高い、信頼性の高い回転機械加工装置を提供できる。
【0044】
また、回転する切削工具の別の構成として図9の斜視図に示すものがある。回転する切削工具1は、スローアウエイエンドミルと呼ばれるホルダー11に超硬製の切削チップ10を接合したものがある。この超硬製の切削チップ10に圧電素子2を接合する。
【0045】
超硬製の切削チップに圧電素子を接合した構成を図10の平面図とA−A線での断面を示す図11で示す。圧電素子2であるリング状の圧電セラミックを切削チップ10にエポキシ樹脂を用いて接合する。圧電セラミックの両面には銀電極が設けられている。そして両面には銀電極に垂直な方向に圧電セラミックは分極されている。
【0046】
この構成においても圧電気直接効果と圧電気逆効果が生じるので上記と同じ結果が得られる。すなわち回転する切削工具1である超硬製の切削チップ10が回転し、加工対象物7に接触して、その反作用として超硬製の切削チップ10に振動変位が与えられる。そして、超硬製の切削チップ10に接合したリング状の圧電セラミックに圧電気直接効果により電極間に電圧が発生する。そして圧電気逆効果によりリング状の圧電セラミックの電圧により、リング状の圧電セラミックに応力が発生して、それにより超硬製の切削チップ10を振動させる。
【0047】
このように外部から電力を供給することなく、超硬製の切削チップ10を振動させることができ、その振動により、加工対象物と切削工具との摩擦抵抗が、小さくなるため、加工面の熱歪みが低減され、加工精度が高くなり、そして、切削工具1である超硬製の切削チップ10の寿命が長くなる。
【0048】
そして圧電素子を接合して上記と同様な効果を得ることができる回転する切削工具の例として、フライス盤、中ぐり盤、ボール盤、研削盤およびホブ盤に使用する切削工具がある。
【0049】
第3の実施の形態を示す基本的な構成を示す旋盤に用いる切削工具を図12の平面図と図13の側面図で示す。切削工具1は、ホルダー11、そして切削チップ10から構成されている。切削チップ10に圧電素子2である圧電セラミックを接合している。切削チップ10に圧電セラミックを接合した詳細を図14の平面図と図15の側面図を用いて示す。切削チップの中央部にはホルダー11に取付けるための取付け穴12が設けられている。圧電セラミックの両面には銀電極が設けられている。そして両面には銀電極に垂直な方向に圧電セラミックは分極されている。
【0050】
次にこの切削工具を用いる旋盤の運転方法について説明する。まず、モータの回転数および切削工具1の送り速度を設定する。次にモータのスッチを入れ、モータを回転させる。そして加工対象物にホルダーに取付けた切削チップを自動運転で送り込む。
【0051】
加工対象物に切削チップが接触すると切削チップに接合した圧電セラミックに圧電気直接効果により電極に電圧が発生する。そして前記の圧電気直接効果により電極上に発生した電圧により、圧電気逆効果により切削チップに接合した圧電セラミックに応力が発生して、切削チップを振動させる。
【0052】
このように外部から電力を供給することなく、切削チップを振動させることができ、その振動により、加工対象物と切削チップとの摩擦抵抗が小さくなるため、加工面の熱歪みが低減され、加工精度が高くなり、そして、切削チップの寿命が長くなる。
【0053】
旋盤に用いる切削工具の別の例を図16の平面図、図17の側面図を用いて説明する。この切削工具1は工具鋼製であり、ホルダー11と切削工具1が一体となっている。これに圧電素2a、2bである圧電セラミックを接合する。圧電セラミックの両面には銀電極が設けられ、かつ分極方向は板厚方向である。
【0054】
このような構成においても、加工対象物に切削工具1の先端が接触するとホルダー11に接合した圧電セラミックに圧電気直接効果により電極に電圧が発生する。そして前記の圧電気直接効果により電極上に発生した電圧により、圧電気逆効果によりホルダー11に接合した圧電セラミックに応力が発生して、切削工具1を振動させる。
【0055】
このように外部から電力を供給することなく、切削工具1を振動させることができ、その振動により、加工対象物と切削工具1との摩擦抵抗が小さくなるため、加工面の熱歪みが低減され、加工精度が高くなり、そして、切削工具1の寿命が長くなる。
【0056】
圧電素子を接合して上記と同様な効果を得ることができる非回転工具の他の例として、形削り盤、立削り盤、歯車形削り盤そしてブローチ盤の切削工具がある。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の機械加工装置は、工具を使用する様々な加工装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来の超音波研削装置を示す断面平面図である。
【図2】従来の超音波振動を用いた旋盤工具を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す切削工具の正面図である。
【図4】図3で示した切削工具の側面図である。
【図5】図3で示した切削工具である切断ブレードをフランジにより固定した平面図である。
【図6】図5で示した構成の側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示すエンドミルを使用するフライス盤の正面図である。
【図8】エンドミルに圧電素子を接合した切削工具を示す正面図である。
【図9】ホルダーに切削チップを取付けたスローアウエイエンドミルを示す斜視図である。
【図10】図9の切削チップに圧電素子を接合した構成を示す正面図である。
【図11】図9のA−A線での断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態を示す切削工具を示す正面図である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】図12の切削チップに圧電素子を接合した正面図である。
【図15】図14の側面図である。
【図16】ホルダーに圧電素子を接合した切削工具を示す正面図である。
【図17】図16の側面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 切削工具
2 圧電素子
3 回転軸
4 フランジ
5 モータ
6 軸受
7 加工対象物
8 テーブル
9 チャック装置
10 切削チップ
11 ホルダー
12 取付け穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械加工装置において、回転する工具に圧電素子が接合されていることを特徴とする。
【請求項2】
前記工具が工具ホルダーの先端に取付けられるチップ形状の工具であることを特徴とする請求項1に記載の工具。
【請求項3】
非回転機械加工装置において、工具に圧電素子が接合されていることを特徴とする。
【請求項4】
前記工具が工具ホルダーの先端に取付けられるチップ形状の工具であることを特徴とする請求項3に記載の工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−130746(P2007−130746A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355397(P2005−355397)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(500222021)
【Fターム(参考)】