切削工具インサートおよびその作成方法
【課題】非ろう付けインサートにおける増大した複雑さ及び限定された有用性を伴わないで、ろう付けに関連する問題及び費用を取り除く、改善された、安価な、便利な、多用途なインサートシステムを提供する
【解決手段】硬質材料、研削又は超砥粒材料を有する砥石チップ31が、機械的応力によりインサート本体32に接着され、前記機械的応力は、前記砥石チップと前記インサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される。前記方法では、それぞれが互いに結合可能な幾何学的特徴を有する砥石チップとインサート本体とを提供することを含む。前記砥石チップは次に、前記互いに連結可能な機構の少なくとも1つで変形を生じる個別の前記互いに結合可能な幾何学的特徴を介して前記インサート本体に接合される。前記変形は、前記砥石チップを前記インサート本体に保持するのに十分な機械的応力を得る。
【解決手段】硬質材料、研削又は超砥粒材料を有する砥石チップ31が、機械的応力によりインサート本体32に接着され、前記機械的応力は、前記砥石チップと前記インサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される。前記方法では、それぞれが互いに結合可能な幾何学的特徴を有する砥石チップとインサート本体とを提供することを含む。前記砥石チップは次に、前記互いに連結可能な機構の少なくとも1つで変形を生じる個別の前記互いに結合可能な幾何学的特徴を介して前記インサート本体に接合される。前記変形は、前記砥石チップを前記インサート本体に保持するのに十分な機械的応力を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年5月14日に出願された米国仮特許出願第60/470,306号に対して優先権を主張する、2003年10月22日に出願された米国特許出願第10/690,761号に対して優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は切削工具インサートに関するものであり、研削/超砥粒材料を有する砥石(アブレイシブ)チップが、砥石チップおよびインサート本体上の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される機械的応力によって接着されるものである。
【背景技術】
【0003】
機械加工、切削、切断、若しくは穿孔工具は、多くの場合、例えば超硬合金、セラミックス(例えば、Si3N4、TiC−Al2O3合成物)、及び高速度鋼などの従来の材料からなる、取り外し可能なインサートと共に提供される。図1に示されているように、インサート1は、ネジ若しくは他のクランプ機構4によって工具ホルダー5に固定され、ロックされるものである。機械加工作業中、前記インサートは、被研削材に接触するように保持され、最終的に取替えが必要な程度まで摩耗する。インサートは、その名の示すとおり、機械工具システムの使い捨て部分である。
【0004】
ダイヤモンド(例えば、多結晶ダイヤモンド又はPCD)及び/又は立方晶窒化ホウ素(例えば、多結晶立方晶窒化ホウ素、PCBN)を含む超砥粒材料は、従来の材料における加工性能(工具寿命、表面仕上げ、許容限度量など)を向上させ、更に工具インサートとして広く利用されている。超砥粒材料にかかる高材料費のため、インサートにおける超砥粒材料の使用度(mm2において)を減少するように作成技術が発展し、最適化されてきた。そのような技術の1つは、図1にも示したような、先端が付けられたインサートの製造である。前記先端が付けられたインサートは、インサート本体3及び超砥粒材料の砥石(アブレイシブ)チップ2から成り、前記インサート本体は典型的には超硬炭化タングステンから作成されるものである。前記超砥石チップ2は前記インサート本体の角部若しくは端部にろう付け加工により取り付けられるものである。ろう付けは、切削抵抗や切削熱に耐えるのに十分な結合力を提供し、小形の砥石チップを取り付けるのにも便利である。
【0005】
多結晶ダイヤモンド("PCD")及び立方晶窒化ホウ素("PCBN")は、一般に製造されており、超硬合金に接着して一方の側にPCD若しくはPCBNを、他方の側に超硬合金を有する2層のディスクを形成する。これは、ろう付け接着を介したインサートの製造を容易にするために行われる。PCD若しくはPCBNチップのカーバイド側は、カーバイドチップホルダーに容易にろう付けされ、従来技術のろう付けされたインサートを作成する。PCD又はPCBNをカーバイドに直接ろう付けすると、ろう付け金属が広がってしまい、かなりの異種物質を結合してしまう。
【0006】
従来技術のろう付け処理は超砥粒材料インサートを製造する材料費を削減するが、その加工、特にろう付け作業自体は、大きな労働力を要する。図2に示すように、この処理において研磨ディスク11は、EDM、EDG、若しくはその他の処理を介して、砥石チップ12を形成する好ましい形状(例えば、80°三角形)に機械加工される。適切なサイズのポケットがインサート本体13中に研削され、前記砥石チップを取り付けるための部位を形成する。前記砥石チップの底後端は、前記砥石チップが前記インサート本体13に接触する別のとがった角部において応力が増加するのを避けるために、面取りされる。次の工程では、ろう付け用材料14(典型的には、金属ペースト、粉末、又は箔)は、面取りされた砥石チップ15とポケットが形成されたインサート本体16との間に置かれる。融解物質がろう付けの酸化を防ぐために適用される。このアセンブリは、ろう付け材料が溶けて液相になるより高い温度に加熱される。冷却により、前記金属は、前記砥石チップとインサート本体を結合する薄膜として凝結し、半製品インサート17が形成される。次に、前記インサートの先端は最終寸法に、先鋭に研削され、完成インサート18を製造する。このろう付けプロセスは大きな労働力を要するものであり、なぜなら技師は、例えば、砥石チップ、ろう付け接触層、及びインサート本体などの接合部分に細心の注意を払い、良質のろう付けを確実にするため、溶ける際に前記材料を再配置する必要があるためである。前記インサート本体における前記砥石チップの最終的な位置及びろう付けの質は、様々なろう付け金属流量及びこの手動による配置の必要性によって変化しうる。
【0007】
ろう付けプロセスが困難なのは、異なる組成物又は結晶粒サイズの工具材料が、多くの場合例えば、温度、時間、ろう付け金属の組成等において異なるろう付け条件を必要とするからである。また、例えば、立方晶窒化ホウ素チップを超硬合金インサート本体にろう付けするような異なる材料をろう付けする場合、特別なろう付け用合金及び両方の材料を同時に固着できる条件を必要とする。PCBN及びPCDは、例えば、Ti又はFeなどの活性金属が金属組成に組み込まれていなければ、ろう付けで湿らせることは困難であることが知られている。そのような活性金属は酸化しやすく、結合力を高めるために不活性雰囲気若しくは真空炉、又は非常に速い誘導ろう付けの使用が必要になる。それらはまた、超砥粒材料を分解してしまうほどの高温を必要とする。
【0008】
従来のろう付けインサートの更なる不利な点は、一旦形成されると、例えば、インサートの化学気相蒸着(CVD)によるコーティングなどにおける後続の加工工程で、ろう付け金属の昇華温度または液相線温度より高温で加熱することができないことである。例えば、錫、亜鉛などのろう付け用金属で使用される低融点金属は揮発性であり、ろう付け後の熱処理により、ろう付け接着は損なわれるであろうし、さらに/若しくは真空装置部品が汚染されるであろう。また、ろう付け中の熱膨張/熱収縮のサイクルにより砥石チップまたはインサート本体が損傷する可能性があり、それを最小限に保つためのろう付け温度及び時間が要求される。場合によっては、ろう付けの傷を修正したり再研磨するためにチップを再びろう付けすることが不可能である。さらに、切削中にチップに生じる熱により、ろう付け接着が損傷されたり、また前記チップがホルダーからずれてしまうことがあり、これらにより切削作業が中断してしまう。
【0009】
ろう付けに必要な条件を除外する特殊な工具に関し、従来技術として多くの参照文献があり、それらには米国特許第4,909,677号の"Throw Away Cutting Tool"、米国特許第5,154,550号の"Throw Away Tipped Drill Bit"、及び米国特許第4,558,974号の"Tool System for Precision Slotting"が含まれる。それらの全ては、この参照により本明細書に組み込まれるものである。従来技術の教示では、インサートが操作中に工具ホルダーによってしっかり把持されているのを確かなものにするために、インサート及び工具ホルダーの精密で複雑な幾何学構造に依存している。これらの参照文献は、工具ホルダーにインサートを保持するための機械的手段を用いているが、インサート本体それ自体のなかに砥石チップを保持するものではない。
【0010】
先端が付いたインサートのろう付けの必要性を除外するための1つの解決策が、最近商業的に可能となり、それを図3に示している。このインサートシステムは、再使用可能なインサート本体を組み込み、このインサート本体それ自体が砥石チップを保持するためのクランプとして機能する。図に示すように、インサート本体は、中央垂直面の下方へ区切られ、1つの角部上の一組のジョーを反対側の角部の近傍の逃げ孔(リリーフホール)に連通している。前記逃げ孔及び中央垂直カットにより、前記ジョーは、前記インサート本体の水平面内で可逆的に動くことができる。インサートのアセンブリは、特別に設計された工具ホルダーとともに使用され、それによりクランプ機構が締め付けられると、インサートをv−ブロックの中へ戻す力が働き、前記ジョーを前記インサート本体に圧迫して、機械加工作業中適切な位置に砥石チップを固く保持するものである。前記インサートを前記工具ホルダーから取り除くことにより、インサート本体はその元の状態に跳ね返り、前記ジョーが開いた状態になって、前記チップを取り外したり、取り替えたりすることができる。砥石チップは、前記インサート本体の中へ固定する前に、仕上げされている(例えば、面取りされた、砥がれた、及び/又は研がれた状態の)ものである。
【0011】
上述したインサートの再使用可能な性質のため、前記インサート本体の変形及びクランプで締め付ける合成力は、可逆的なものでなければならない。前記インサート本体の前記ジョーがこじ開けられ、または前記ジョーの反対側の角部において前記インサート本体の材質が折り曲げられた場合、前記インサート本体はその元の状態にまで跳ね返らない。そして、砥石チップの取り替えは、前記インサート本体に合致するために漸次より大きな(または、小さな)互いに連結する特徴を伴って製造されなければならず、砥石チップの製造及びインサートシステムの適用に関して重大で複雑な問題をもたらす。別の不利な点は、この設計では、インサート本体は1つの砥石チップのみを保持することに限定される点である。従って、前記インサートは割出しできず、例えば刃先用に別の角部を使用するために工具ホルダー内でインサートを回転させていた。インサート本体は取り外され、取替え砥石チップで再装備されなければならず、作業でのダウンタイム(非稼動時間)が増加する。最後に、前記再使用可能なインサート本体から分離された最終状態の砥石チップと共に、砥石チップ間の寸法差が組み立てられたインサートに生じる。これにより、前記砥石チップを交換する度にワークピース(加工中の製品)に対して刃先の位置を合わせる再較正が必要とされ、さらに、砥石チップの寸法差を機械加工されている部品に与えるリスクが存在し、それらは寸法性能を減少させ、部品のスクラップ発生率を増加させる。
【0012】
従って、先行技術の非ろう付けインサートにおける増大した複雑さ及び限定された有用性を伴わないで、ろう付けに関連する問題及び費用を取り除く、改善された、安価な、便利な、多用途なインサートシステムが必要とされている。また、単純で寸法的に正確なインサートであって、後で寸法をコントロールするための研磨及び研ぐ工程が最小限になるようなインサートが必要とされている。最後に、砥石チップ及びインサート本体材料がそれらのろう付け適合性に関係なく選択されることができ、組み立てられたインサートの研磨が可能であり、高温での後処理(例えば、熱処理を介したCVDコーティング若しくは硬化)が可能であるインサートシステムが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、切削工具インサートに関し、硬質材料を含む砥石チップが機械的応力によりインサート本体に接合されるものである。前記機械的応力は、砥石チップ及びインサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される。
【0014】
さらに、本発明は、研削工具インサートを形成するプロセスに関するものである。前記プロセスは、硬質材料を含む砥石チップを機械的応力によりインサート本体に接合する工程を含み、好ましくは前記砥石チップ及びインサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴を変形することにより接合されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で使われている「インサート」という用語は、タングステンカーバイドの部品、またはダイス若しくは切削工具の所定の位置に機械的に保持され、ろう付けされ、若しくは溶接され、摩滅した際には廃棄されて代替される切削材料をいう。図1に1例が示されている。また、機械加工辞典(A Dictionary of Machining(Eric N.Simmons,Philosophical Library、New York、1972))を参照されたい。
【0016】
本明細書で使われている「工具(バイト)ホルダー」という用語は、適切な位置にインサートを固く保持する剛体を言い、それにより、インサートが、旋回、フライス加工、中ぐり、切削、または穿孔の用途に用いることができる(例として、図1及び5を参照)。
【0017】
本明細書で使われている「先端が付いたインサート」は、本体(インサート本体と言及され、図1の品目3として示してある)と、硬質切削合金(ここでは砥石チップと言及され、図1の品目2として示してある)とから作られた切削工具を言う。また、機械加工辞典を参照のこと。先端が付いたインサートは、切削が困難な物質を切削できるようにするために、高価な材料を経済的に使用することを可能とするのに対して、ソリッドバイト形体ははるかに費用がかかる。
【0018】
本明細書で使われている「互いに結合可能な幾何学的特徴」という用語は、機械的応力によってインサート本体と砥石チップとを接合できる(または接合が可能である)前記インサート本体と砥石チップ上の機構(または表面)を言い、例えば、別の部品のメス特徴内に嵌まるように形作られたオス特徴を有するチップである。互いに結合可能な幾何学的特徴は、例えば、円形メス特徴の内部に嵌まる円形オス特徴のように類似の輪郭であっても、または円形メス特徴の内部にフィットする四角オス特徴のように異なる輪郭であってもよい。寸法が適切であれば、それらの機構は締まり嵌めを生成することができる。
【0019】
本明細書で使われている「締まり嵌め」という用語は、接合したときに1若しくはその両方の形体の変形をもたらす互いに結合可能な幾何学的特徴間のサイズの不一致を言う。弾性及び可逆的変形、または可塑性及び不可逆的変形は、部品間に大きな通常の摩擦力を生成する。
【0020】
本明細書で使われている「可逆的変形」という用語は、本体を有する材料の降伏応力以下の負荷の適用により起こる前記本体の材料フローを言う。前記負荷が取り除かれると(または、例えば圧入された本体が分離すると)、前記本体はその元の寸法に戻る。
【0021】
本明細書で使われている「不可逆的変形」という用語は、本体を有する材料の降伏応力以上の負荷の適用により起こる前記本体の材料フローを言う。前記負荷が取り除かれても(または、例えば圧入された本体が分離されても)、前記本体はその元の寸法に戻らない。
【0022】
本明細書で使われている「相互ロックする幾何学的特徴」という用語は、前記砥石チップとインサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴を言い、前記砥石チップ上の切刃(最先端)に近い、ある距離xでのメス特徴の断面図は、前記砥石チップの切刃からさらに離れたある距離x+yでのメス特徴の断面図より小さい。相互ロックする幾何学的特徴の説明に役立つ実例が図5A、41〜44に示してある。相互ロックされていない互いに結合可能な幾何学的特徴の説明に役立つ実例が図5B、45〜48に示してある。
【0023】
本発明では、砥石チップは、インサート本体と砥石チップ上の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される応力を介してインサート本体に機械的に接着され、旋回、フライス加工、中ぐり、切断、および穿孔の用途に用いられる幅広い種類の工具ホルダーに装着可能な、あらゆる種類の形状、サイズ、または厚さのインサートを作成する。本発明の、新規な機械的に接着されたインサートは、複数の砥石チップを含み(インサート形体によってのみ制限される)、外部の締め付け具、楔本体、若しくは固定具を必要としない。
【0024】
本発明の工具インサートに使用するための砥石チップ。前記砥石チップは、加工、切削、又は穿孔の用途に使用できるあらゆる材料を含み、これに限定されるものではないが、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタンなどのチタン炭化アルミナセラミック、溶融酸化アルミニウム(アルミナ)、セラミック酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、アルミナジルコニア、酸化鉄、炭化タンタル、酸化セリウム、ガーネット、超硬合金(例えば、WC−Co)、合成及び天然ダイヤモンド、酸化ジルコニウム、立方晶窒化ホウ素、それらのラミネート、混合物、及びそれらの複合材料を含む。これらの材料は単結晶又は焼結多結晶体の形体であることができる。一般に、前記砥石チップは、被加工材料からなる材料よりも変形しにくく(固く)、より耐摩耗性があるあらゆる材料であり、典型的には、前記インサート本体の材料より耐摩耗性があるものである。
【0025】
本発明の1実施形態において、砥石チップは、インサート本体の厚さと同様の厚さを有することができる。これにより、1つの機械的に接着した砥石チップにおける刃先の上下部分を使用することが可能である。これらの厚いチップは、単一結晶、焼結多結晶体、又はラミネート体の形体で、このアセンブリの上層及び下層に研磨材料を有することができる(図6Bの72、73、75)。
【0026】
多結晶ダイヤモンド(PCD)又は多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)からなる研磨成形体又は素材は、COMPAX(登録商標)及びBZN(登録商標)の商品名でそれぞれを出している米国オハイオ州WorthingtonのDiamond Innovations,Inc.を含む多数の製造者から商業的に入手可能である。PCD及びPCBN成形体は粘着性があり、約5容量%〜80容量%の適切な結合マトリクスを含めることもある。結合マトリックスは通常、コバルト、鉄、ニッケル、白金、チタン、クロム、タンタル、銅、又はそれらの合金若しくは混合物、及び/又は炭化物、ホウ化物、又は窒化物若しくはそれらの混合物などの金属である。前記マトリックスはさらに、CBN用のアルミニウム又はダイヤモンド用のコバルトなどの再結晶又は成長触媒を含めることもできる。
【0027】
本発明の1実施形態において、前記成形体は、1〜15mmの厚さを有するPCBNディスクである。2番目の実施形態において、前記PCBN成形体は、好ましくは、1.6〜6.4mmの厚さを有する。前記成形体の形成は、放電加工(Electro Discharge Machining:EDM)、放電加工研削(Electro Discharge Grinding:EDG)レーザー、プラズマ、及びウォータージェットを含む、公知の技術を介して行うことができる。切削部品の形状を予め規定し、厳しい精度を維持するようにコンピュータで制御することができる。
【0028】
1実施形態において、前記PCBN素材は、研磨ウォータージェットの手段を介して成形される。本発明の別の実施形態において、前記PCBN素材は、予め規定されたコンピュータ管理パターンに従って表面の選択された位置に、例えば、5.0mmの刃長で80°三角形を形成する2つの側面と、インサート本体に互いに結合可能な幾何学的特徴で、後でかみ合わせるジグザグ形状を形成する残りの長手側とを有する多角形体を成形するよう、レーザーエッチングされる。
【0029】
本発明の1実施形態において、前記砥石チップは、参照されるあらゆる平面で20〜90°の角度を有する、長さ0.5mm〜25.4mmを持つ刃先を有する。2番目の実施形態において、前記砥石チップは、約0.5mm〜7mmの厚さである。前記砥石チップは、円、楕円、八角形、六角形、部分的に若しくは完全な輪状(図8Dの78)、又は切削工具で使用されるあらゆる形状若しくはサイズである。
【0030】
本発明に従った多数チップインサートは、図8Bに示されているように、インサート本体84のメス特徴の反対側から挿入されるチップ74と、個別にはめ込まれた砥石チップと共に形成される。或いは、図6B及び図7で示しているように、インサート本体32の厚さに類似した厚さを有する単一、両サイド、又はソリッド(つまり、支持されていない)砥石チップ31は、前記メス特徴の終わりまで押し通し、前記インサートの上下部分に刃先を形成する。
【0031】
図8Eに示されている別の実施形態において、砥石チップ79は、インサート本体87の中へ、端部又は角部で露出されない穴部に挿入される。切削に曝される硬質チップ材料の量は、最終研磨によって決定されるので、インサートアセンブリの前に前記チップを正確に予め成形する必要性を排除し、研削される必要のある硬質材料の量を最小限にする。
【0032】
本発明の工具インサート。上述した砥石チップは、工具の技術で知られている多数の形状又は3次元形体を有する工具インサートで使用され、前記工具の技術としては、これに限定されるものではないが、図1及び図5に示している四角形のANSIインサート形状指定、三角形、ダイヤモンド(図8Fに示すひし形)、平行四辺形、六角形、八角形、五角形、三角琴、長方形、インサート86と共に図8Dに示している円形、ドーナツ形及びその逆、Trapezoidala、又は一般に使用されるあらゆる厚さ又は内接直径サイズ等が含まれる。
【0033】
1つの実施形態において、工具インサート本体には様々な形状があり、限定せずに、砥石、面取りした面、ワイパー(複数ノーズ半径)、すくい角、逃げ角、及び本技術分野で周知の同様な形状が含まれる。本発明の別の実施形態において、前記工具インサート本体は、チップブレーカパターン、整列された穴、その本体内若しくは本体上の面取りした面を含むことができる。
【0034】
前記インサート本体は、切削作業中に伴う力や熱に曝されても砥石チップを堅固に保持し、その組み立てにおいてひびが入らない程度に十分に強く堅いものである限り、これらに限定されるものではないが、超硬合金、鋼、チタン、プラスチック、又はセラミックスを含むあらゆる材料から作られる。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態において、例えばインサート本体は、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フェノール樹脂などの高熱鋳造可能な熱可塑性材料又は熱硬化性材料を含むものであり、金属切削中、十分な圧縮と共にチップを保持するのに十分な熱物性、延性、及び強度を有するものである。
【0036】
1つの実施形態において、前記インサート本体の材料は、耐熱性で硬く(高弾性率)、高い強度、高い延性を有し、及び正確な寸法及び形状に容易に形成される材料である。さらに別の実施形態において、前記インサート本体は、炭化タングステン粒子、炭化チタン粒子、又は炭化タンタル粒子、若しくはそれらの混合物を含む超硬合金であり、例えばコバルト、ニッケル、又は鉄、若しくはそれらの混合物若しくは合金などの金属の約6〜約25重量%の結合剤と共に接着されるものである。別の実施形態において、前記インサート本体は、例えば工具鋼、ステンレス鋼、又はチタンなどの金属材料を含む。
【0037】
例えば、セラミックス又は固い超硬炭化タングステンなどの固い、硬質材料がインサート本体に使用される場合には、十分に保持する力を生成するのに必要な締まり嵌めのレベルにもよるが、そのような材料にひび割れが起こるかもしれない。そのような場合には、仲介材若しくは機能が使用され、犠牲的に変形し、硬質な砕けやすいインサート本体がアセンブリ上でひび割れる傾向を減少させる。図8Fに示しているように、互いに結合可能な幾何学的特徴90及び91が砥石チップ89とインサート本体88の間に提供される。互いに結合可能な幾何学的特徴は、鋼、チタン、又は前記インサート本体を形成する材料よりさらに大きな強度を有する超硬合金などの材料を含む。
【0038】
本発明のインサート本体及び対応する(メス)特徴は、EDM、EDG、レーザー、プラズマ、スタンピング(プレス加工)、及びウォータージェットを含む、本技術分野で周知のあらゆる処理を介して成形されるものである。本発明の別の実施形態において、ホルダーは、プレアロイ粉末を十分に高い密度の部分に統合する処理である、Rapid Omni Directional Compaction(ROC)と呼ばれる処理を介して成形される。繊細な微細構造で形状を製造する処理に関する前記ROC処理は、米国特許第5,594,931号に開示されている。
【0039】
結合の幾何学的特徴。本発明のインサートにおいて砥石チップをインサート本体に接着するために利用される幾何学的配置は無数にある。前記砥石チップは、切削工程における前記インサートの適用中により激しく酷使されるので、必ずしも要求されないが、例えば、前記砥石チップに突出したオス幾何学的特徴を有し、前記インサート本体に互いに結合可能なメス幾何学的特徴を有することが好ましい。これにより、前記砥石チップ材料を引張力下ではなく圧縮下に置くことができる。
【0040】
図4〜8は、本発明の様々な実施形態を示しており、インサート本体(32、49、83−88)は、砥石チップ(互いに結合可能な幾何学的特徴と共に31、41〜48、72〜82)を受け入れるために開口部若しくはメス特徴を有する。図示しているように、前記互いに結合可能な幾何学的特徴は、相互ロックするか又は相互ロックしないかのいずれかであることができる。図5Bは、相互ロックしない形体(45〜48)の例である。図5A、6、及び7は、相互ロックする形体の例である。多くの用途において、相互ロックする形体は、挿入方向以外の全ての方向に沿って追加的な保持力を提供するので、相互ロックしない形体よりも好ましい。図6Aは、蟻継ぎ形のかみ合わせ形体の例である。
【0041】
本発明の更なる別の実施形態において(図示せず)、砥石チップは口広げほぞ若しくは刃先を有し、それは、前記砥石チップ上の前記刃先を受け入れ、互いに連結可能な結合を形成するためのホルダー上の互いに連結可能なソケットに固く嵌め込まれる。さらに別の実施形態において、結合若しくは互いに連結可能な面は、図6B及び図7に示すように丸い形状又は円形パターンを有し、鋭い角又は狭い半径を排除することにより、前記円形は切削速度及び前記結合の強度を向上させる。別の実施形態では、砥石チップ44は、"くさび形"である。この形体は、鋭い端部又は狭い角部を含まないので、前記インサート本体に対して極めて小形の砥石チップを取り付けるのに好ましい。
【0042】
前記インサート本体に接触する前記砥石チップの領域は、前記チップに対して要求される機械保持力に依存して様々である。低速度高切削率の用途及び軟式の工作機械に関して、より大きな保持力が必要とされる場合がある。大きな力は、砥石チップとインサート本体との間により大きな接触面及び/又はより大きな干渉(締めしろ)が必要である。接触面は、チップを単に保持するために使用される前記チップ部分の形状又は単に寸法で調整される。例えば、形状、角度、サイズ、ノーズ半径などの前記砥石チップの詳細は、前記チップを接着するために使用されるインサート本体接触領域の詳細とは無関係である。例えば、ばり、前記インサート本体のメス特徴中及び前記砥石チップ上の寸法的及びざらざらのでこぼこ(凹凸)は、場合によっては、機械把持力を高める。
【0043】
本発明の1実施形態において、前記砥石チップはテーパー(先細り)であり、例えば、上側又は下側は、その他の部分より寸法的により小さい。テーパーは、圧入又は焼嵌め前に、インサート本体メス特徴において、前記砥石チップの位置合わせを容易にする。テーパーは、10°若しくはそれ以下で、好ましくは0.1〜0.5度を有する。過度のテーパーは、平均機械保持力を低下させ、砥石チップのある特定の領域に前記保持力を集中させる。前記力は、集中しすぎて前記チップにひびを入れるかもしれないし、或いは低すぎて、切削中前記チップを動かしてしまうかもしれない。不十分なテーパーは、予め調整することを困難にし、プレス嵌め又は焼嵌めにおいて前記ホルダーのずれや破壊の可能性を増加させる。前記テーパーは、これに限定されるものではないが、線形、円形若しくは曲線、双線、又はそれの形状の組み合わせを含むあらゆる形状である。
【0044】
図4、6B、及び7に示してあるように、インサート本体のメス特徴は、全体の厚さを通って延出して、穴部又は切断部分を形成し、刃先が前記砥石チップの上下両方の部分より上にでることを許容する。この配置では、単一の砥石チップは、2倍の数の刃先を提供することができ、例えば、図6B及び図7のインサートは2つではなく4つの刃先を有することができる。或いは、2つの砥石チップ74は、図8Bに図示しているように、インサートの上下部に刃先を提供するインサート本体の単一のメス特徴の中に挿入される。図8Cに図示している別の実施形態では、メス特徴(76、77)は、前記インサート本体の一部に(貫通せずに)形成されている。図8Aに図示しているさらに別の実施形態において、メス特徴(72、73)は、前記インサート本体の上下面を貫通していない。
【0045】
互いに連結可能な面は、図8Aで示すようなチップ72とインサート本体83との間の単純な形体であっても、同じ図面で示されているチップ73とインサート本体83との間のネジ式、又はとげを含む例示のようなより複雑な形体であってもよい。前記インサート本体の前記メス特徴と前記砥石チップ(72、73)の対応する形態の互いに連結可能な方向は、図8Aに示しているように水平であっても、又は図7に示しているように垂直であってもよく、又は前記インサートの平面に対して中間のいずれの角度であってもよい。
【0046】
本発明のインサートを形成するプロセス。本発明のプロセスにおいて、インサート本体と砥石チップ上の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される主として"機械的"応力を介して、砥石チップは、前記インサート本体に結合(例えば、機械的応力で接着)される。それは、例えば粘着力などの他の力であってもよく、前記チップを前記インサート本体に結合する工程で提供される若しくは生成されるものである。ただし、それは前記砥石チップを前記インサート本体に確実に保持する主に機械的応力である。前記機械的応力は、多くの技術により生成することができる。
【0047】
本発明の1実施形態においては、図4に図式的に示したような、チップをインサート本体に固定する"プレス嵌め(圧入)"に関する、驚くほどシンプルで効果的な技術が使用される。図示するように、互いに結合可能な幾何学的特徴を有する砥石チップ31とインサート本体32は、前記互いに結合可能な幾何学的特徴を一列に並べ、適用された力を介して前記部品を一緒に押圧することによって機械的に結合する。前記互いに結合可能な幾何学的特徴の正確な寸法制御が、前記砥石チップ31を前記インサート本体32に固く保持するために行われ、半仕上げのインサート33を成形する。次に、前記半仕上げのインサート33は、本技術分野で周知の標準方法により研磨され最終工具形体34になる。
【0048】
前記インサート本体は、最終状態であるか、研磨されるか、又は挿入を助けるために、その形状のでこぼこやざらざらなどを取り除く加工がなされる。前記インサート本体の最終研磨又は形削りは、これに限定されるものではないが、ワイヤーEDM(WEDM)、フライス加工、PM焼結、焼結及び鍛造、鍛造、プレス加工(スタンピング)、鋳造、面取りなどを含むあらゆる処理を使用して実行される。
【0049】
本発明の第2の実施形態において、使用される前記技術は、前記砥石チップと前記インサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴を通じて適用される保持力による"締まり嵌め"である。締まり嵌めに関して、オス特徴の断面領域は、挿入方向に沿ってある程度メス特徴の断面領域より好ましくは幾分大きいものである。締まり嵌めにより、前記締まり嵌め材質のサイズの不一致及び降伏強度の程度に依存して、前記オス及び/又はメス特徴の可逆的若しくは不可逆的変形を引き起こす。実際、塑性変形の量は、このサイズの不一致の適切な選択を介してコントロールされる。
【0050】
ある特定の適用において、インサート本体及び/又は砥石チップの不可逆的変形が結果として起こる締まり嵌めでは、前記砥石チップと前記インサート本体との間の接着力は、全ての変形が弾性的で可逆的である場合よりも強く、より堅実であることが確実となるように選択される。インサート本体の中へ不可逆的にプレス嵌めされた砥石チップが取り外され且つ再挿入された場合、再挿入には、第1回目に要求された力より弱い力が要求される。前記砥石チップ及び/又はインサート本体は、不可逆的に変形し、分解後前記オス特徴とメス特徴の寸法不一致は減少する。
【0051】
注目すべきは、前記砥石チップ及び/又はインサート本体の不可逆的変形は、前記互いに結合可能な幾何学的特徴が凹凸、表面粗さ、ばり、掻き傷、又はその他のでこぼこを有する場合、プレス嵌めにおいても起こることである。これらの不完全さは、材料の降伏強度を超えるような局所的高応力の結果起こり、塑性変形をもたらす。この理由により、ある程度の寸法的な凹凸は、前記互いに結合可能な幾何学的特徴間の接合力を高めるので、望ましい。
【0052】
本発明のさらに第3の実施形態において、砥石チップをインサート本体に結合する機械的応力は、"焼嵌め"技術により生成される。この技術においては、互いに結合可能な幾何学的特徴は、本技術分野で周知の処理を使用して前記インサート本体及び砥石チップに成形される。焼嵌めに関して、メス特徴の寸法は、オス特徴の寸法より幾分小さくされているものである。前記メス特徴は次に、前記オス特徴を互いに連結可能なメス特徴の中へはめ込むのに十分な熱膨張をもたらす温度に加熱される。このアセンブリが室内温度(常温)に冷却する際、前記砥石チップ及びインサート本体は、好ましくは固く接着する。周囲温度(常温)での前記互いに結合可能な幾何学的特徴の寸法の不一致に応じて、焼嵌めはまた、前記インサート本体及び/又は砥石チップの可逆的又は不可逆的のいずれかの変形を生成し、且つその間に保持力を生成する。焼嵌めはまた、相転移による前記砥石チップ及び/又はインサート本体を構成する材料における体積変化の手段により達成される。
【0053】
本発明のさらに第4の実施形態について、前記砥石チップ及びインサート本体は、例えば、共同焼結(co−sintering)若しくは鋳造、挿入若しくはオーバーモールド、又はプレス加工(スタンピング)、鍛造などの本技術分野で周知の処理方法を用いて、1つの作業で同時に成形されてもよい。この技術の1実施形体において、前記インサート本体のメス特徴は、例えば、木("インサート本体")の中の釘("砥石チップ")に類似して、前記砥石チップにより突き抜けられる若しくはスタンプされるので、前記メス特徴を予め正確に成形する必要が無くなる。
【0054】
上述の技術のいずれかの1実施形態において、アセンブルされたインサートは、加熱され更にインサート本体を圧縮し、硬化して、プレス嵌め及び冷却後の圧縮を高める。この処理の1実施形態において、前記インサート本体は予熱され、又は砥石チップは予め冷却されて、プレス嵌めの前にそれらの寸法を変更し、熱−伸縮ひずみにより応力を増大させる。
【0055】
上述の技術のいずれかの1実施形態において、追加の第3体の楔が前記砥石チップとインサート本体との間に追加され、例えば、前記インサート本体から離れようとする前記砥石チップのずれを防ぎ、前記チップの圧力を高める。さらに別の実施形態において、機械的接着が上述した方法を介して構成された後、さらに前記工具チップを固定し、ホルダーに固く保持されるのを確実にするために、スポット溶接(ろう付け又ははんだ付け点)を導入してもよい。
【0056】
上述の技術のいずれかの1実施形態において、薄い接着膜、薄い金属箔若しくはコーティング形体の楔(例えば、鉛(Pb)又は錫(Sn))が前記砥石チップのプレス嵌めの前に前記インサート本体に置かれ、それにより全ての表面で隙間のない接触を確実にし、接着により機械的応力が増大する。薄い金属箔は、約0.0005〜0.003インチ(0.00127〜0.00762センチメートル)若しくはそれ以上の範囲の厚さで、Wesgo、Allied Signal、及びVittaを含む様々な調達先から商業的に入手できる。別の例では、箔の代わりに糊材、ワックス、又は液体が使用され、隙間のない接触を確実にし、前記砥石チップを前記インサート本体の中へ保持する前記機械的応力に接着力を追加する。セラミック接着で使用する接着材料は、Bonadent,GmbHからのDurit(登録商標)Metal−Adhesive Powder/Liquid、及びAremco Products,Inc.からのCeramabond(商標)を含む多数の調達先から商業的に入手可能である。
【0057】
接着、摩擦、凹凸降伏力からの表面力が、前記砥石チップと前記インサート本体との間の接着力を高めるのに利用される。しかしながら、表面力が前記砥石チップ又は前記インサート本体の抗張力を超えると、望ましくないひび割れをもたらしたり、かけたりする。上述した技術のいずれかのさらに1実施形態において、局所的かけやひびをもたらし得る、結果として生じる非均一応力を伴う表面力は、例えば黒鉛、hBN、油、金属せっけんなどの乾燥又は湿った潤滑剤の使用により和らげることができる。これら或いはその他の潤滑剤を使用して、材料歩留まりによる楔作用及び機械的応力を減少せずに、前記インサート本体の中への前記砥石チップの嵌め込みを促すこともできる。
【0058】
本発明の技術の別の実施形体において、前記砥石チップを前記インサート本体に接着するための機械的応力はまた、前記インサート本体に高温成形用ポリマーを使用し、前記インサート本体を前記砥石チップの周囲に直接形作ることにより生成することもできる。回復からの後の化学収縮及び/又は熱収縮が機械的応力を生成し、前記チップを前記インサート本体に固く保持する。前記成形(モールディング)は、鋳造、型込め、及びオーバーモールディング、共同モールディング、若しくは挿入−成形(モールディング)を含む本技術分野で周知のあらゆる処理方法であってよく、水力圧縮により更に向上される。成形工程は、アセンブリ費用及び前記インサート本体及び前記砥石チップの精密成形の費用を削除することができる。上述した技術のいずれかのさらに1実施形態において、前記工具インサートは、例えば少なくとも300°F(149℃)の温度で熱処理される工程を経て、さらに硬くすることもできる。上述の技術のいずれかのさらに別の実施形態において、追加の処理工程は、窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、又はB、Ti、Al、Si、Ga、耐火硬質金属、遷移金属、及び希土類金属から選択される元素の酸化窒化物、若しくはそれらの合成物及び化合物のうち少なくとも1つのものを有するコーティング層と共に、例えば化学気相蒸着技術、物理気相蒸着技術、熱溶射技術、エアースプレーを用いた溶射技術、熱射出技術などの本技術分野で周知のコーティング技術を使って前記工具インサートをコーティングすることを含めることができる。1実施形態において、前記コーティング層は、窒化アルミニウム、窒化チタンアルミニウム、窒化チタン、炭窒化チタンアルミニウム、炭化チタン、炭化ケイ素、及び窒化ケイ素のうち少なくとも1つである。別の実施形態では、前記コーティングは、CVD処理を介して適用された窒化アルミニウムである。
【0059】
本発明の機械的に接着されたインサートの用途。本発明の機械的に接着されたインサートは、切削工具に限定されるものではないが、例えばドリル、リーマー、フライス盤、穴ぐり器(ブローチ)、のこぎり及びシャンク、及び研削工具などの単一点工具、複数点工具を含む多くの工具作業で使用される。これらの用途は、典型的にろう付けの質を含めた多くの理由からインサートを使用できない用途と同様に、ろう付けインサート又は従来型の一体インサート(例えば、炭化物、セラミックスなど)を通常使用する用途も含む。
【0060】
実施例
以下の実施例及び図面で一般に説明されたものは、単に本発明の教示に役立つことを目的としたものであり、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1
【0061】
実施例1。2つの機械的に接着されたインサートが、図6Aに図示されたものと同様の互いに連結可能な及び相互ロックされる蟻継ぎ形状を、プレス嵌めする実施形態により準備された。砥石チップ材料として、米国オハイオ州WorthingtonのDiamond Innovationsから、PCBN層の厚さ0.039" (0.099センチメートル)及び全体の厚さ0.126" (0.320センチメートル)を有する炭化物で支持された形状のBZN(登録商標)HTM2100素材(ブランク)を入手した。次に、切削角80°及び脚長5mmを有する砥石チップを、前記素材からWEDMによって切削する。オスの蟻継ぎ形状を有する幾何学的特徴は、角45°で、幅約0.149" (0.378センチメートル)、深さ0.059" (0.150センチメートル)である。前記蟻継ぎ形体は、0.1°テーパーを有するWEDM研削であり、前記インサート本体の前記メス特徴中への嵌め合いを容易にする。前記テーパーの方向は、PCBN面から炭化物面への方向であり、それのため前記オス特徴の炭化物側は、前記PCBN側より幾らか小さい。前記インサート本体材料は、52〜55のRockwell Hardness Aを有する固くされていないA2工具鋼である。メス特徴を有するインサート本体は、WEDMによって鋼板から厚さ0.126" (0.320センチメートル)又は0.189" (0.480センチメートル)で加工される。前記砥石チップの前記炭化物端部を前記メス特徴の開口部に真正面に手動で位置付けた後、手動心棒(アーバ)プレスでそれら部品を押圧する。
【0062】
比較され得る例として、従来型のろう付けインサートを、超硬炭化カーバイド及び同一のPCBN材料から、当業者によく知られている標準の手段を使って加工する。次に、プレス嵌め及びろう付けインサートが、標準挿入研削技術を介して最終ろう付けされ、面取りした面25°x0.004"(0.010センチメートル)を有するCNGA422及びライトホーン(light hone)のための最終仕様を作成する。
【0063】
前記インサートは、加速回転テストで評価される。全てのインサートは、工作機械タレット中への標準挿入によって標準工具ホルダー上に固定される。4340硬化鋼HRC62−65から作られ、直径6インチ(15.24センチメートル)、長さ2フィート(60.96センチメートル)で6つの切欠きを有する鋼シリンダが、前記インサートの旋削により機械加工される。全てのテストは、切削速度毎分361フィート(毎分11000センチメートル)で、切削の深さ0.010インチ(0.0254センチメートル)、回転毎0.005インチ送り速度(回転毎0.0127センチメートル送り速度)を使って実行される。前記インサートは、1分間隔で鋼被研削材(ワークピース)を切削し、その後、逃げ面摩耗をインチで測定する(工具鈍化又は摩耗の指標、工具切削寿命の推定)。
【0064】
機械加工テストの結果は、図9に図示されており、本発明のプレス嵌めインサートは、性能において従来技術のろう付けされたインサートに匹敵することが示されている。
実施例2
【0065】
実施例2。この例では、図7に図示したものと同様の互いに連結可能な円形形体を有する本発明の複数先端を有する機械的に接着された複数のインサートが、言及されていない限り、実施例1と同じ手段及び材料を使用して準備される。
【0066】
2つの先端を有するインサートが、BZN*HTM2100炭化タングステン及び相対する80°の角において2つの円形オフセット穴部を有するインサート本体とから、7個作成される。前記オフセット穴部は、直径0.088"(0.224センチメートル)で、前記インサート本体の端部から0.026" (0.066センチメートル)でオフセットされている。0.3〜0.5度のテーパーを有する2つの互いに連結可能な砥石チップが各インサート本体の中へプレス嵌めされ、2つの先端を有するインサートを製造する。図6Bに図示された4つの先端を有するインサートはまた、炭化物支持HTM2100砥石チップを、同一の形体で、特別に準備された厚さ0.189" (0.480センチメートル)のソリッド(つまり支持されていない)HTM2100で置き換えることにより加工される。前記インサート本体及び前記砥石チップの正確な寸法は、締めしろのレベルにより変化し、深さ正0.0002" (0.0005センチメートル)及びID(内径)0.0003" (0.0008センチメートル)の前記チップにおける平均締めしろでは、0.1〜25ポンド力の範囲となる。
【0067】
次に、これらのインサートは、ライトホーンを有する面取りした面25°x0.004"(0.010センチメートル)のCNGA432用の最終仕様に仕上げられ、実施例1で説明したのと同一の機械加工テストを受ける。
【0068】
図10では、本発明の機械的に相互ロックされるインサートと従来のろう付け工具との性能データを比較している。その結果はまた、選択された範囲での押し込み力及び(前記砥石チップ/インサート本体はめ込み)ギャップは、正規検定による不確かさの範囲内において、工具寿命に大きな役割を果たしていないことを示している。さらに、本発明のインサートは、テスト中の誤差範囲内で、従来技術のろう付けインサートに匹敵する性能を示している。
実施例3
【0069】
実施例3。実施例2で用いたプレス嵌めアセンブリを、流動アルゴンの中で2時間、800℃で加熱する。煙管から周囲空気が完全に取り除かれないので、インサートは目に見えるほどに酸化されるが、細かく砕けたり、ひび割れたりしない。目視検査では、前記砥石チップは前記インサート本体に未だ強固に保持されている。
【0070】
次に、熱処理されたプレス嵌めインサートは、実施例1で説明したのと同一の旋削回転テストでテストされる。熱処理されたプレス嵌めインサートの摩耗率は、実施例1及び2の熱処理されていないプレス嵌めアセンブリに匹敵し、つまり逃げ面摩耗の有害な増加がないので、本発明の新規なプレス嵌めインサートの熱処理の実行可能性を明らかにしている。
【0071】
好ましい実施形態の幾つかは、説明を目的としてこの開示で説明されてきた。しかしながら、前述の説明は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。従って、様々な修正、応用、及び変更は、請求の範囲の発明概念の本旨及び範囲を逸脱しない範囲内で当業者により気付くことができるものである。
【0072】
上述された特許、特許出願、記事、及び文は、この参照により本明細書に組み込まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、1実施形態の工具設定の上面及び側面図である。
【図2】図2は、先行技術のろう付け工具インサートを形成する複数工程のプロセスを示す図である。
【図3】図3は、先行技術の非ろう付けインサートの図である。
【図4】図4は、本発明の1実施形態の工具インサートを形成するために、砥石チップとインサート本体とを機械的に接着するプロセスを示す図である。
【図5A】図5A及び5Bは、本発明の2実施形態(1つの連動実施形態と1つの非連動実施形態)の上面図である。
【図5B】図5A及び5Bは、本発明の2実施形態(1つの連動実施形態と1つの非連動実施形態)の上面図である。
【図6A】図6A及び6Bは、本発明のプレス嵌めの実施形態により作成されたインサートの斜視図を示す図である。
【図6B】図6A及び6Bは、本発明のプレス嵌めの実施形態により作成されたインサートの斜視図を示す図である。
【図7】図7は、砥石チップとインサート本体が機械的接着のための互いに連結可能な及び相互ロック可能な特徴を有する、本発明の別の実施形態の斜視図である。
【図8A】図8A、8B、及び8Cは、本発明におけるインサートの実施形態の幾つかの断面図を示す。
【図8B】図8A、8B、及び8Cは、本発明におけるインサートの実施形態の幾つかの断面図を示す。
【図8C】図8A、8B、及び8Cは、本発明におけるインサートの実施形態の幾つかの断面図を示す。
【図8D】図8D、8E、及び8Fは、本発明の実施形態の幾つかの上面図を示す。
【図8E】図8D、8E、及び8Fは、本発明の実施形態の幾つかの上面図を示す。
【図8F】図8D、8E、及び8Fは、本発明の実施形態の幾つかの上面図を示す。
【図9】図9は、図5及び6の相互ロック用蟻継ぎ構造を用いてプレス嵌めされたインサートと先行技術のろう付けインサートにおける、側面摩耗0.001" (0.0254センチメートル)当たりに加工されるインチによる切削寿命の比較を示すグラフである。
【図10】図10は、側面摩耗0.001" (0.0254センチメートル)当たり除かれた鋼のインチで測る、本発明(図6及び7を参照)の工具と先行技術の工具との加工性能を比較したグラフである。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年5月14日に出願された米国仮特許出願第60/470,306号に対して優先権を主張する、2003年10月22日に出願された米国特許出願第10/690,761号に対して優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は切削工具インサートに関するものであり、研削/超砥粒材料を有する砥石(アブレイシブ)チップが、砥石チップおよびインサート本体上の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される機械的応力によって接着されるものである。
【背景技術】
【0003】
機械加工、切削、切断、若しくは穿孔工具は、多くの場合、例えば超硬合金、セラミックス(例えば、Si3N4、TiC−Al2O3合成物)、及び高速度鋼などの従来の材料からなる、取り外し可能なインサートと共に提供される。図1に示されているように、インサート1は、ネジ若しくは他のクランプ機構4によって工具ホルダー5に固定され、ロックされるものである。機械加工作業中、前記インサートは、被研削材に接触するように保持され、最終的に取替えが必要な程度まで摩耗する。インサートは、その名の示すとおり、機械工具システムの使い捨て部分である。
【0004】
ダイヤモンド(例えば、多結晶ダイヤモンド又はPCD)及び/又は立方晶窒化ホウ素(例えば、多結晶立方晶窒化ホウ素、PCBN)を含む超砥粒材料は、従来の材料における加工性能(工具寿命、表面仕上げ、許容限度量など)を向上させ、更に工具インサートとして広く利用されている。超砥粒材料にかかる高材料費のため、インサートにおける超砥粒材料の使用度(mm2において)を減少するように作成技術が発展し、最適化されてきた。そのような技術の1つは、図1にも示したような、先端が付けられたインサートの製造である。前記先端が付けられたインサートは、インサート本体3及び超砥粒材料の砥石(アブレイシブ)チップ2から成り、前記インサート本体は典型的には超硬炭化タングステンから作成されるものである。前記超砥石チップ2は前記インサート本体の角部若しくは端部にろう付け加工により取り付けられるものである。ろう付けは、切削抵抗や切削熱に耐えるのに十分な結合力を提供し、小形の砥石チップを取り付けるのにも便利である。
【0005】
多結晶ダイヤモンド("PCD")及び立方晶窒化ホウ素("PCBN")は、一般に製造されており、超硬合金に接着して一方の側にPCD若しくはPCBNを、他方の側に超硬合金を有する2層のディスクを形成する。これは、ろう付け接着を介したインサートの製造を容易にするために行われる。PCD若しくはPCBNチップのカーバイド側は、カーバイドチップホルダーに容易にろう付けされ、従来技術のろう付けされたインサートを作成する。PCD又はPCBNをカーバイドに直接ろう付けすると、ろう付け金属が広がってしまい、かなりの異種物質を結合してしまう。
【0006】
従来技術のろう付け処理は超砥粒材料インサートを製造する材料費を削減するが、その加工、特にろう付け作業自体は、大きな労働力を要する。図2に示すように、この処理において研磨ディスク11は、EDM、EDG、若しくはその他の処理を介して、砥石チップ12を形成する好ましい形状(例えば、80°三角形)に機械加工される。適切なサイズのポケットがインサート本体13中に研削され、前記砥石チップを取り付けるための部位を形成する。前記砥石チップの底後端は、前記砥石チップが前記インサート本体13に接触する別のとがった角部において応力が増加するのを避けるために、面取りされる。次の工程では、ろう付け用材料14(典型的には、金属ペースト、粉末、又は箔)は、面取りされた砥石チップ15とポケットが形成されたインサート本体16との間に置かれる。融解物質がろう付けの酸化を防ぐために適用される。このアセンブリは、ろう付け材料が溶けて液相になるより高い温度に加熱される。冷却により、前記金属は、前記砥石チップとインサート本体を結合する薄膜として凝結し、半製品インサート17が形成される。次に、前記インサートの先端は最終寸法に、先鋭に研削され、完成インサート18を製造する。このろう付けプロセスは大きな労働力を要するものであり、なぜなら技師は、例えば、砥石チップ、ろう付け接触層、及びインサート本体などの接合部分に細心の注意を払い、良質のろう付けを確実にするため、溶ける際に前記材料を再配置する必要があるためである。前記インサート本体における前記砥石チップの最終的な位置及びろう付けの質は、様々なろう付け金属流量及びこの手動による配置の必要性によって変化しうる。
【0007】
ろう付けプロセスが困難なのは、異なる組成物又は結晶粒サイズの工具材料が、多くの場合例えば、温度、時間、ろう付け金属の組成等において異なるろう付け条件を必要とするからである。また、例えば、立方晶窒化ホウ素チップを超硬合金インサート本体にろう付けするような異なる材料をろう付けする場合、特別なろう付け用合金及び両方の材料を同時に固着できる条件を必要とする。PCBN及びPCDは、例えば、Ti又はFeなどの活性金属が金属組成に組み込まれていなければ、ろう付けで湿らせることは困難であることが知られている。そのような活性金属は酸化しやすく、結合力を高めるために不活性雰囲気若しくは真空炉、又は非常に速い誘導ろう付けの使用が必要になる。それらはまた、超砥粒材料を分解してしまうほどの高温を必要とする。
【0008】
従来のろう付けインサートの更なる不利な点は、一旦形成されると、例えば、インサートの化学気相蒸着(CVD)によるコーティングなどにおける後続の加工工程で、ろう付け金属の昇華温度または液相線温度より高温で加熱することができないことである。例えば、錫、亜鉛などのろう付け用金属で使用される低融点金属は揮発性であり、ろう付け後の熱処理により、ろう付け接着は損なわれるであろうし、さらに/若しくは真空装置部品が汚染されるであろう。また、ろう付け中の熱膨張/熱収縮のサイクルにより砥石チップまたはインサート本体が損傷する可能性があり、それを最小限に保つためのろう付け温度及び時間が要求される。場合によっては、ろう付けの傷を修正したり再研磨するためにチップを再びろう付けすることが不可能である。さらに、切削中にチップに生じる熱により、ろう付け接着が損傷されたり、また前記チップがホルダーからずれてしまうことがあり、これらにより切削作業が中断してしまう。
【0009】
ろう付けに必要な条件を除外する特殊な工具に関し、従来技術として多くの参照文献があり、それらには米国特許第4,909,677号の"Throw Away Cutting Tool"、米国特許第5,154,550号の"Throw Away Tipped Drill Bit"、及び米国特許第4,558,974号の"Tool System for Precision Slotting"が含まれる。それらの全ては、この参照により本明細書に組み込まれるものである。従来技術の教示では、インサートが操作中に工具ホルダーによってしっかり把持されているのを確かなものにするために、インサート及び工具ホルダーの精密で複雑な幾何学構造に依存している。これらの参照文献は、工具ホルダーにインサートを保持するための機械的手段を用いているが、インサート本体それ自体のなかに砥石チップを保持するものではない。
【0010】
先端が付いたインサートのろう付けの必要性を除外するための1つの解決策が、最近商業的に可能となり、それを図3に示している。このインサートシステムは、再使用可能なインサート本体を組み込み、このインサート本体それ自体が砥石チップを保持するためのクランプとして機能する。図に示すように、インサート本体は、中央垂直面の下方へ区切られ、1つの角部上の一組のジョーを反対側の角部の近傍の逃げ孔(リリーフホール)に連通している。前記逃げ孔及び中央垂直カットにより、前記ジョーは、前記インサート本体の水平面内で可逆的に動くことができる。インサートのアセンブリは、特別に設計された工具ホルダーとともに使用され、それによりクランプ機構が締め付けられると、インサートをv−ブロックの中へ戻す力が働き、前記ジョーを前記インサート本体に圧迫して、機械加工作業中適切な位置に砥石チップを固く保持するものである。前記インサートを前記工具ホルダーから取り除くことにより、インサート本体はその元の状態に跳ね返り、前記ジョーが開いた状態になって、前記チップを取り外したり、取り替えたりすることができる。砥石チップは、前記インサート本体の中へ固定する前に、仕上げされている(例えば、面取りされた、砥がれた、及び/又は研がれた状態の)ものである。
【0011】
上述したインサートの再使用可能な性質のため、前記インサート本体の変形及びクランプで締め付ける合成力は、可逆的なものでなければならない。前記インサート本体の前記ジョーがこじ開けられ、または前記ジョーの反対側の角部において前記インサート本体の材質が折り曲げられた場合、前記インサート本体はその元の状態にまで跳ね返らない。そして、砥石チップの取り替えは、前記インサート本体に合致するために漸次より大きな(または、小さな)互いに連結する特徴を伴って製造されなければならず、砥石チップの製造及びインサートシステムの適用に関して重大で複雑な問題をもたらす。別の不利な点は、この設計では、インサート本体は1つの砥石チップのみを保持することに限定される点である。従って、前記インサートは割出しできず、例えば刃先用に別の角部を使用するために工具ホルダー内でインサートを回転させていた。インサート本体は取り外され、取替え砥石チップで再装備されなければならず、作業でのダウンタイム(非稼動時間)が増加する。最後に、前記再使用可能なインサート本体から分離された最終状態の砥石チップと共に、砥石チップ間の寸法差が組み立てられたインサートに生じる。これにより、前記砥石チップを交換する度にワークピース(加工中の製品)に対して刃先の位置を合わせる再較正が必要とされ、さらに、砥石チップの寸法差を機械加工されている部品に与えるリスクが存在し、それらは寸法性能を減少させ、部品のスクラップ発生率を増加させる。
【0012】
従って、先行技術の非ろう付けインサートにおける増大した複雑さ及び限定された有用性を伴わないで、ろう付けに関連する問題及び費用を取り除く、改善された、安価な、便利な、多用途なインサートシステムが必要とされている。また、単純で寸法的に正確なインサートであって、後で寸法をコントロールするための研磨及び研ぐ工程が最小限になるようなインサートが必要とされている。最後に、砥石チップ及びインサート本体材料がそれらのろう付け適合性に関係なく選択されることができ、組み立てられたインサートの研磨が可能であり、高温での後処理(例えば、熱処理を介したCVDコーティング若しくは硬化)が可能であるインサートシステムが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、切削工具インサートに関し、硬質材料を含む砥石チップが機械的応力によりインサート本体に接合されるものである。前記機械的応力は、砥石チップ及びインサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される。
【0014】
さらに、本発明は、研削工具インサートを形成するプロセスに関するものである。前記プロセスは、硬質材料を含む砥石チップを機械的応力によりインサート本体に接合する工程を含み、好ましくは前記砥石チップ及びインサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴を変形することにより接合されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で使われている「インサート」という用語は、タングステンカーバイドの部品、またはダイス若しくは切削工具の所定の位置に機械的に保持され、ろう付けされ、若しくは溶接され、摩滅した際には廃棄されて代替される切削材料をいう。図1に1例が示されている。また、機械加工辞典(A Dictionary of Machining(Eric N.Simmons,Philosophical Library、New York、1972))を参照されたい。
【0016】
本明細書で使われている「工具(バイト)ホルダー」という用語は、適切な位置にインサートを固く保持する剛体を言い、それにより、インサートが、旋回、フライス加工、中ぐり、切削、または穿孔の用途に用いることができる(例として、図1及び5を参照)。
【0017】
本明細書で使われている「先端が付いたインサート」は、本体(インサート本体と言及され、図1の品目3として示してある)と、硬質切削合金(ここでは砥石チップと言及され、図1の品目2として示してある)とから作られた切削工具を言う。また、機械加工辞典を参照のこと。先端が付いたインサートは、切削が困難な物質を切削できるようにするために、高価な材料を経済的に使用することを可能とするのに対して、ソリッドバイト形体ははるかに費用がかかる。
【0018】
本明細書で使われている「互いに結合可能な幾何学的特徴」という用語は、機械的応力によってインサート本体と砥石チップとを接合できる(または接合が可能である)前記インサート本体と砥石チップ上の機構(または表面)を言い、例えば、別の部品のメス特徴内に嵌まるように形作られたオス特徴を有するチップである。互いに結合可能な幾何学的特徴は、例えば、円形メス特徴の内部に嵌まる円形オス特徴のように類似の輪郭であっても、または円形メス特徴の内部にフィットする四角オス特徴のように異なる輪郭であってもよい。寸法が適切であれば、それらの機構は締まり嵌めを生成することができる。
【0019】
本明細書で使われている「締まり嵌め」という用語は、接合したときに1若しくはその両方の形体の変形をもたらす互いに結合可能な幾何学的特徴間のサイズの不一致を言う。弾性及び可逆的変形、または可塑性及び不可逆的変形は、部品間に大きな通常の摩擦力を生成する。
【0020】
本明細書で使われている「可逆的変形」という用語は、本体を有する材料の降伏応力以下の負荷の適用により起こる前記本体の材料フローを言う。前記負荷が取り除かれると(または、例えば圧入された本体が分離すると)、前記本体はその元の寸法に戻る。
【0021】
本明細書で使われている「不可逆的変形」という用語は、本体を有する材料の降伏応力以上の負荷の適用により起こる前記本体の材料フローを言う。前記負荷が取り除かれても(または、例えば圧入された本体が分離されても)、前記本体はその元の寸法に戻らない。
【0022】
本明細書で使われている「相互ロックする幾何学的特徴」という用語は、前記砥石チップとインサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴を言い、前記砥石チップ上の切刃(最先端)に近い、ある距離xでのメス特徴の断面図は、前記砥石チップの切刃からさらに離れたある距離x+yでのメス特徴の断面図より小さい。相互ロックする幾何学的特徴の説明に役立つ実例が図5A、41〜44に示してある。相互ロックされていない互いに結合可能な幾何学的特徴の説明に役立つ実例が図5B、45〜48に示してある。
【0023】
本発明では、砥石チップは、インサート本体と砥石チップ上の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される応力を介してインサート本体に機械的に接着され、旋回、フライス加工、中ぐり、切断、および穿孔の用途に用いられる幅広い種類の工具ホルダーに装着可能な、あらゆる種類の形状、サイズ、または厚さのインサートを作成する。本発明の、新規な機械的に接着されたインサートは、複数の砥石チップを含み(インサート形体によってのみ制限される)、外部の締め付け具、楔本体、若しくは固定具を必要としない。
【0024】
本発明の工具インサートに使用するための砥石チップ。前記砥石チップは、加工、切削、又は穿孔の用途に使用できるあらゆる材料を含み、これに限定されるものではないが、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタンなどのチタン炭化アルミナセラミック、溶融酸化アルミニウム(アルミナ)、セラミック酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、アルミナジルコニア、酸化鉄、炭化タンタル、酸化セリウム、ガーネット、超硬合金(例えば、WC−Co)、合成及び天然ダイヤモンド、酸化ジルコニウム、立方晶窒化ホウ素、それらのラミネート、混合物、及びそれらの複合材料を含む。これらの材料は単結晶又は焼結多結晶体の形体であることができる。一般に、前記砥石チップは、被加工材料からなる材料よりも変形しにくく(固く)、より耐摩耗性があるあらゆる材料であり、典型的には、前記インサート本体の材料より耐摩耗性があるものである。
【0025】
本発明の1実施形態において、砥石チップは、インサート本体の厚さと同様の厚さを有することができる。これにより、1つの機械的に接着した砥石チップにおける刃先の上下部分を使用することが可能である。これらの厚いチップは、単一結晶、焼結多結晶体、又はラミネート体の形体で、このアセンブリの上層及び下層に研磨材料を有することができる(図6Bの72、73、75)。
【0026】
多結晶ダイヤモンド(PCD)又は多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)からなる研磨成形体又は素材は、COMPAX(登録商標)及びBZN(登録商標)の商品名でそれぞれを出している米国オハイオ州WorthingtonのDiamond Innovations,Inc.を含む多数の製造者から商業的に入手可能である。PCD及びPCBN成形体は粘着性があり、約5容量%〜80容量%の適切な結合マトリクスを含めることもある。結合マトリックスは通常、コバルト、鉄、ニッケル、白金、チタン、クロム、タンタル、銅、又はそれらの合金若しくは混合物、及び/又は炭化物、ホウ化物、又は窒化物若しくはそれらの混合物などの金属である。前記マトリックスはさらに、CBN用のアルミニウム又はダイヤモンド用のコバルトなどの再結晶又は成長触媒を含めることもできる。
【0027】
本発明の1実施形態において、前記成形体は、1〜15mmの厚さを有するPCBNディスクである。2番目の実施形態において、前記PCBN成形体は、好ましくは、1.6〜6.4mmの厚さを有する。前記成形体の形成は、放電加工(Electro Discharge Machining:EDM)、放電加工研削(Electro Discharge Grinding:EDG)レーザー、プラズマ、及びウォータージェットを含む、公知の技術を介して行うことができる。切削部品の形状を予め規定し、厳しい精度を維持するようにコンピュータで制御することができる。
【0028】
1実施形態において、前記PCBN素材は、研磨ウォータージェットの手段を介して成形される。本発明の別の実施形態において、前記PCBN素材は、予め規定されたコンピュータ管理パターンに従って表面の選択された位置に、例えば、5.0mmの刃長で80°三角形を形成する2つの側面と、インサート本体に互いに結合可能な幾何学的特徴で、後でかみ合わせるジグザグ形状を形成する残りの長手側とを有する多角形体を成形するよう、レーザーエッチングされる。
【0029】
本発明の1実施形態において、前記砥石チップは、参照されるあらゆる平面で20〜90°の角度を有する、長さ0.5mm〜25.4mmを持つ刃先を有する。2番目の実施形態において、前記砥石チップは、約0.5mm〜7mmの厚さである。前記砥石チップは、円、楕円、八角形、六角形、部分的に若しくは完全な輪状(図8Dの78)、又は切削工具で使用されるあらゆる形状若しくはサイズである。
【0030】
本発明に従った多数チップインサートは、図8Bに示されているように、インサート本体84のメス特徴の反対側から挿入されるチップ74と、個別にはめ込まれた砥石チップと共に形成される。或いは、図6B及び図7で示しているように、インサート本体32の厚さに類似した厚さを有する単一、両サイド、又はソリッド(つまり、支持されていない)砥石チップ31は、前記メス特徴の終わりまで押し通し、前記インサートの上下部分に刃先を形成する。
【0031】
図8Eに示されている別の実施形態において、砥石チップ79は、インサート本体87の中へ、端部又は角部で露出されない穴部に挿入される。切削に曝される硬質チップ材料の量は、最終研磨によって決定されるので、インサートアセンブリの前に前記チップを正確に予め成形する必要性を排除し、研削される必要のある硬質材料の量を最小限にする。
【0032】
本発明の工具インサート。上述した砥石チップは、工具の技術で知られている多数の形状又は3次元形体を有する工具インサートで使用され、前記工具の技術としては、これに限定されるものではないが、図1及び図5に示している四角形のANSIインサート形状指定、三角形、ダイヤモンド(図8Fに示すひし形)、平行四辺形、六角形、八角形、五角形、三角琴、長方形、インサート86と共に図8Dに示している円形、ドーナツ形及びその逆、Trapezoidala、又は一般に使用されるあらゆる厚さ又は内接直径サイズ等が含まれる。
【0033】
1つの実施形態において、工具インサート本体には様々な形状があり、限定せずに、砥石、面取りした面、ワイパー(複数ノーズ半径)、すくい角、逃げ角、及び本技術分野で周知の同様な形状が含まれる。本発明の別の実施形態において、前記工具インサート本体は、チップブレーカパターン、整列された穴、その本体内若しくは本体上の面取りした面を含むことができる。
【0034】
前記インサート本体は、切削作業中に伴う力や熱に曝されても砥石チップを堅固に保持し、その組み立てにおいてひびが入らない程度に十分に強く堅いものである限り、これらに限定されるものではないが、超硬合金、鋼、チタン、プラスチック、又はセラミックスを含むあらゆる材料から作られる。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態において、例えばインサート本体は、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フェノール樹脂などの高熱鋳造可能な熱可塑性材料又は熱硬化性材料を含むものであり、金属切削中、十分な圧縮と共にチップを保持するのに十分な熱物性、延性、及び強度を有するものである。
【0036】
1つの実施形態において、前記インサート本体の材料は、耐熱性で硬く(高弾性率)、高い強度、高い延性を有し、及び正確な寸法及び形状に容易に形成される材料である。さらに別の実施形態において、前記インサート本体は、炭化タングステン粒子、炭化チタン粒子、又は炭化タンタル粒子、若しくはそれらの混合物を含む超硬合金であり、例えばコバルト、ニッケル、又は鉄、若しくはそれらの混合物若しくは合金などの金属の約6〜約25重量%の結合剤と共に接着されるものである。別の実施形態において、前記インサート本体は、例えば工具鋼、ステンレス鋼、又はチタンなどの金属材料を含む。
【0037】
例えば、セラミックス又は固い超硬炭化タングステンなどの固い、硬質材料がインサート本体に使用される場合には、十分に保持する力を生成するのに必要な締まり嵌めのレベルにもよるが、そのような材料にひび割れが起こるかもしれない。そのような場合には、仲介材若しくは機能が使用され、犠牲的に変形し、硬質な砕けやすいインサート本体がアセンブリ上でひび割れる傾向を減少させる。図8Fに示しているように、互いに結合可能な幾何学的特徴90及び91が砥石チップ89とインサート本体88の間に提供される。互いに結合可能な幾何学的特徴は、鋼、チタン、又は前記インサート本体を形成する材料よりさらに大きな強度を有する超硬合金などの材料を含む。
【0038】
本発明のインサート本体及び対応する(メス)特徴は、EDM、EDG、レーザー、プラズマ、スタンピング(プレス加工)、及びウォータージェットを含む、本技術分野で周知のあらゆる処理を介して成形されるものである。本発明の別の実施形態において、ホルダーは、プレアロイ粉末を十分に高い密度の部分に統合する処理である、Rapid Omni Directional Compaction(ROC)と呼ばれる処理を介して成形される。繊細な微細構造で形状を製造する処理に関する前記ROC処理は、米国特許第5,594,931号に開示されている。
【0039】
結合の幾何学的特徴。本発明のインサートにおいて砥石チップをインサート本体に接着するために利用される幾何学的配置は無数にある。前記砥石チップは、切削工程における前記インサートの適用中により激しく酷使されるので、必ずしも要求されないが、例えば、前記砥石チップに突出したオス幾何学的特徴を有し、前記インサート本体に互いに結合可能なメス幾何学的特徴を有することが好ましい。これにより、前記砥石チップ材料を引張力下ではなく圧縮下に置くことができる。
【0040】
図4〜8は、本発明の様々な実施形態を示しており、インサート本体(32、49、83−88)は、砥石チップ(互いに結合可能な幾何学的特徴と共に31、41〜48、72〜82)を受け入れるために開口部若しくはメス特徴を有する。図示しているように、前記互いに結合可能な幾何学的特徴は、相互ロックするか又は相互ロックしないかのいずれかであることができる。図5Bは、相互ロックしない形体(45〜48)の例である。図5A、6、及び7は、相互ロックする形体の例である。多くの用途において、相互ロックする形体は、挿入方向以外の全ての方向に沿って追加的な保持力を提供するので、相互ロックしない形体よりも好ましい。図6Aは、蟻継ぎ形のかみ合わせ形体の例である。
【0041】
本発明の更なる別の実施形態において(図示せず)、砥石チップは口広げほぞ若しくは刃先を有し、それは、前記砥石チップ上の前記刃先を受け入れ、互いに連結可能な結合を形成するためのホルダー上の互いに連結可能なソケットに固く嵌め込まれる。さらに別の実施形態において、結合若しくは互いに連結可能な面は、図6B及び図7に示すように丸い形状又は円形パターンを有し、鋭い角又は狭い半径を排除することにより、前記円形は切削速度及び前記結合の強度を向上させる。別の実施形態では、砥石チップ44は、"くさび形"である。この形体は、鋭い端部又は狭い角部を含まないので、前記インサート本体に対して極めて小形の砥石チップを取り付けるのに好ましい。
【0042】
前記インサート本体に接触する前記砥石チップの領域は、前記チップに対して要求される機械保持力に依存して様々である。低速度高切削率の用途及び軟式の工作機械に関して、より大きな保持力が必要とされる場合がある。大きな力は、砥石チップとインサート本体との間により大きな接触面及び/又はより大きな干渉(締めしろ)が必要である。接触面は、チップを単に保持するために使用される前記チップ部分の形状又は単に寸法で調整される。例えば、形状、角度、サイズ、ノーズ半径などの前記砥石チップの詳細は、前記チップを接着するために使用されるインサート本体接触領域の詳細とは無関係である。例えば、ばり、前記インサート本体のメス特徴中及び前記砥石チップ上の寸法的及びざらざらのでこぼこ(凹凸)は、場合によっては、機械把持力を高める。
【0043】
本発明の1実施形態において、前記砥石チップはテーパー(先細り)であり、例えば、上側又は下側は、その他の部分より寸法的により小さい。テーパーは、圧入又は焼嵌め前に、インサート本体メス特徴において、前記砥石チップの位置合わせを容易にする。テーパーは、10°若しくはそれ以下で、好ましくは0.1〜0.5度を有する。過度のテーパーは、平均機械保持力を低下させ、砥石チップのある特定の領域に前記保持力を集中させる。前記力は、集中しすぎて前記チップにひびを入れるかもしれないし、或いは低すぎて、切削中前記チップを動かしてしまうかもしれない。不十分なテーパーは、予め調整することを困難にし、プレス嵌め又は焼嵌めにおいて前記ホルダーのずれや破壊の可能性を増加させる。前記テーパーは、これに限定されるものではないが、線形、円形若しくは曲線、双線、又はそれの形状の組み合わせを含むあらゆる形状である。
【0044】
図4、6B、及び7に示してあるように、インサート本体のメス特徴は、全体の厚さを通って延出して、穴部又は切断部分を形成し、刃先が前記砥石チップの上下両方の部分より上にでることを許容する。この配置では、単一の砥石チップは、2倍の数の刃先を提供することができ、例えば、図6B及び図7のインサートは2つではなく4つの刃先を有することができる。或いは、2つの砥石チップ74は、図8Bに図示しているように、インサートの上下部に刃先を提供するインサート本体の単一のメス特徴の中に挿入される。図8Cに図示している別の実施形態では、メス特徴(76、77)は、前記インサート本体の一部に(貫通せずに)形成されている。図8Aに図示しているさらに別の実施形態において、メス特徴(72、73)は、前記インサート本体の上下面を貫通していない。
【0045】
互いに連結可能な面は、図8Aで示すようなチップ72とインサート本体83との間の単純な形体であっても、同じ図面で示されているチップ73とインサート本体83との間のネジ式、又はとげを含む例示のようなより複雑な形体であってもよい。前記インサート本体の前記メス特徴と前記砥石チップ(72、73)の対応する形態の互いに連結可能な方向は、図8Aに示しているように水平であっても、又は図7に示しているように垂直であってもよく、又は前記インサートの平面に対して中間のいずれの角度であってもよい。
【0046】
本発明のインサートを形成するプロセス。本発明のプロセスにおいて、インサート本体と砥石チップ上の互いに結合可能な幾何学的特徴の変形を介して生成される主として"機械的"応力を介して、砥石チップは、前記インサート本体に結合(例えば、機械的応力で接着)される。それは、例えば粘着力などの他の力であってもよく、前記チップを前記インサート本体に結合する工程で提供される若しくは生成されるものである。ただし、それは前記砥石チップを前記インサート本体に確実に保持する主に機械的応力である。前記機械的応力は、多くの技術により生成することができる。
【0047】
本発明の1実施形態においては、図4に図式的に示したような、チップをインサート本体に固定する"プレス嵌め(圧入)"に関する、驚くほどシンプルで効果的な技術が使用される。図示するように、互いに結合可能な幾何学的特徴を有する砥石チップ31とインサート本体32は、前記互いに結合可能な幾何学的特徴を一列に並べ、適用された力を介して前記部品を一緒に押圧することによって機械的に結合する。前記互いに結合可能な幾何学的特徴の正確な寸法制御が、前記砥石チップ31を前記インサート本体32に固く保持するために行われ、半仕上げのインサート33を成形する。次に、前記半仕上げのインサート33は、本技術分野で周知の標準方法により研磨され最終工具形体34になる。
【0048】
前記インサート本体は、最終状態であるか、研磨されるか、又は挿入を助けるために、その形状のでこぼこやざらざらなどを取り除く加工がなされる。前記インサート本体の最終研磨又は形削りは、これに限定されるものではないが、ワイヤーEDM(WEDM)、フライス加工、PM焼結、焼結及び鍛造、鍛造、プレス加工(スタンピング)、鋳造、面取りなどを含むあらゆる処理を使用して実行される。
【0049】
本発明の第2の実施形態において、使用される前記技術は、前記砥石チップと前記インサート本体の互いに結合可能な幾何学的特徴を通じて適用される保持力による"締まり嵌め"である。締まり嵌めに関して、オス特徴の断面領域は、挿入方向に沿ってある程度メス特徴の断面領域より好ましくは幾分大きいものである。締まり嵌めにより、前記締まり嵌め材質のサイズの不一致及び降伏強度の程度に依存して、前記オス及び/又はメス特徴の可逆的若しくは不可逆的変形を引き起こす。実際、塑性変形の量は、このサイズの不一致の適切な選択を介してコントロールされる。
【0050】
ある特定の適用において、インサート本体及び/又は砥石チップの不可逆的変形が結果として起こる締まり嵌めでは、前記砥石チップと前記インサート本体との間の接着力は、全ての変形が弾性的で可逆的である場合よりも強く、より堅実であることが確実となるように選択される。インサート本体の中へ不可逆的にプレス嵌めされた砥石チップが取り外され且つ再挿入された場合、再挿入には、第1回目に要求された力より弱い力が要求される。前記砥石チップ及び/又はインサート本体は、不可逆的に変形し、分解後前記オス特徴とメス特徴の寸法不一致は減少する。
【0051】
注目すべきは、前記砥石チップ及び/又はインサート本体の不可逆的変形は、前記互いに結合可能な幾何学的特徴が凹凸、表面粗さ、ばり、掻き傷、又はその他のでこぼこを有する場合、プレス嵌めにおいても起こることである。これらの不完全さは、材料の降伏強度を超えるような局所的高応力の結果起こり、塑性変形をもたらす。この理由により、ある程度の寸法的な凹凸は、前記互いに結合可能な幾何学的特徴間の接合力を高めるので、望ましい。
【0052】
本発明のさらに第3の実施形態において、砥石チップをインサート本体に結合する機械的応力は、"焼嵌め"技術により生成される。この技術においては、互いに結合可能な幾何学的特徴は、本技術分野で周知の処理を使用して前記インサート本体及び砥石チップに成形される。焼嵌めに関して、メス特徴の寸法は、オス特徴の寸法より幾分小さくされているものである。前記メス特徴は次に、前記オス特徴を互いに連結可能なメス特徴の中へはめ込むのに十分な熱膨張をもたらす温度に加熱される。このアセンブリが室内温度(常温)に冷却する際、前記砥石チップ及びインサート本体は、好ましくは固く接着する。周囲温度(常温)での前記互いに結合可能な幾何学的特徴の寸法の不一致に応じて、焼嵌めはまた、前記インサート本体及び/又は砥石チップの可逆的又は不可逆的のいずれかの変形を生成し、且つその間に保持力を生成する。焼嵌めはまた、相転移による前記砥石チップ及び/又はインサート本体を構成する材料における体積変化の手段により達成される。
【0053】
本発明のさらに第4の実施形態について、前記砥石チップ及びインサート本体は、例えば、共同焼結(co−sintering)若しくは鋳造、挿入若しくはオーバーモールド、又はプレス加工(スタンピング)、鍛造などの本技術分野で周知の処理方法を用いて、1つの作業で同時に成形されてもよい。この技術の1実施形体において、前記インサート本体のメス特徴は、例えば、木("インサート本体")の中の釘("砥石チップ")に類似して、前記砥石チップにより突き抜けられる若しくはスタンプされるので、前記メス特徴を予め正確に成形する必要が無くなる。
【0054】
上述の技術のいずれかの1実施形態において、アセンブルされたインサートは、加熱され更にインサート本体を圧縮し、硬化して、プレス嵌め及び冷却後の圧縮を高める。この処理の1実施形態において、前記インサート本体は予熱され、又は砥石チップは予め冷却されて、プレス嵌めの前にそれらの寸法を変更し、熱−伸縮ひずみにより応力を増大させる。
【0055】
上述の技術のいずれかの1実施形態において、追加の第3体の楔が前記砥石チップとインサート本体との間に追加され、例えば、前記インサート本体から離れようとする前記砥石チップのずれを防ぎ、前記チップの圧力を高める。さらに別の実施形態において、機械的接着が上述した方法を介して構成された後、さらに前記工具チップを固定し、ホルダーに固く保持されるのを確実にするために、スポット溶接(ろう付け又ははんだ付け点)を導入してもよい。
【0056】
上述の技術のいずれかの1実施形態において、薄い接着膜、薄い金属箔若しくはコーティング形体の楔(例えば、鉛(Pb)又は錫(Sn))が前記砥石チップのプレス嵌めの前に前記インサート本体に置かれ、それにより全ての表面で隙間のない接触を確実にし、接着により機械的応力が増大する。薄い金属箔は、約0.0005〜0.003インチ(0.00127〜0.00762センチメートル)若しくはそれ以上の範囲の厚さで、Wesgo、Allied Signal、及びVittaを含む様々な調達先から商業的に入手できる。別の例では、箔の代わりに糊材、ワックス、又は液体が使用され、隙間のない接触を確実にし、前記砥石チップを前記インサート本体の中へ保持する前記機械的応力に接着力を追加する。セラミック接着で使用する接着材料は、Bonadent,GmbHからのDurit(登録商標)Metal−Adhesive Powder/Liquid、及びAremco Products,Inc.からのCeramabond(商標)を含む多数の調達先から商業的に入手可能である。
【0057】
接着、摩擦、凹凸降伏力からの表面力が、前記砥石チップと前記インサート本体との間の接着力を高めるのに利用される。しかしながら、表面力が前記砥石チップ又は前記インサート本体の抗張力を超えると、望ましくないひび割れをもたらしたり、かけたりする。上述した技術のいずれかのさらに1実施形態において、局所的かけやひびをもたらし得る、結果として生じる非均一応力を伴う表面力は、例えば黒鉛、hBN、油、金属せっけんなどの乾燥又は湿った潤滑剤の使用により和らげることができる。これら或いはその他の潤滑剤を使用して、材料歩留まりによる楔作用及び機械的応力を減少せずに、前記インサート本体の中への前記砥石チップの嵌め込みを促すこともできる。
【0058】
本発明の技術の別の実施形体において、前記砥石チップを前記インサート本体に接着するための機械的応力はまた、前記インサート本体に高温成形用ポリマーを使用し、前記インサート本体を前記砥石チップの周囲に直接形作ることにより生成することもできる。回復からの後の化学収縮及び/又は熱収縮が機械的応力を生成し、前記チップを前記インサート本体に固く保持する。前記成形(モールディング)は、鋳造、型込め、及びオーバーモールディング、共同モールディング、若しくは挿入−成形(モールディング)を含む本技術分野で周知のあらゆる処理方法であってよく、水力圧縮により更に向上される。成形工程は、アセンブリ費用及び前記インサート本体及び前記砥石チップの精密成形の費用を削除することができる。上述した技術のいずれかのさらに1実施形態において、前記工具インサートは、例えば少なくとも300°F(149℃)の温度で熱処理される工程を経て、さらに硬くすることもできる。上述の技術のいずれかのさらに別の実施形態において、追加の処理工程は、窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、又はB、Ti、Al、Si、Ga、耐火硬質金属、遷移金属、及び希土類金属から選択される元素の酸化窒化物、若しくはそれらの合成物及び化合物のうち少なくとも1つのものを有するコーティング層と共に、例えば化学気相蒸着技術、物理気相蒸着技術、熱溶射技術、エアースプレーを用いた溶射技術、熱射出技術などの本技術分野で周知のコーティング技術を使って前記工具インサートをコーティングすることを含めることができる。1実施形態において、前記コーティング層は、窒化アルミニウム、窒化チタンアルミニウム、窒化チタン、炭窒化チタンアルミニウム、炭化チタン、炭化ケイ素、及び窒化ケイ素のうち少なくとも1つである。別の実施形態では、前記コーティングは、CVD処理を介して適用された窒化アルミニウムである。
【0059】
本発明の機械的に接着されたインサートの用途。本発明の機械的に接着されたインサートは、切削工具に限定されるものではないが、例えばドリル、リーマー、フライス盤、穴ぐり器(ブローチ)、のこぎり及びシャンク、及び研削工具などの単一点工具、複数点工具を含む多くの工具作業で使用される。これらの用途は、典型的にろう付けの質を含めた多くの理由からインサートを使用できない用途と同様に、ろう付けインサート又は従来型の一体インサート(例えば、炭化物、セラミックスなど)を通常使用する用途も含む。
【0060】
実施例
以下の実施例及び図面で一般に説明されたものは、単に本発明の教示に役立つことを目的としたものであり、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1
【0061】
実施例1。2つの機械的に接着されたインサートが、図6Aに図示されたものと同様の互いに連結可能な及び相互ロックされる蟻継ぎ形状を、プレス嵌めする実施形態により準備された。砥石チップ材料として、米国オハイオ州WorthingtonのDiamond Innovationsから、PCBN層の厚さ0.039" (0.099センチメートル)及び全体の厚さ0.126" (0.320センチメートル)を有する炭化物で支持された形状のBZN(登録商標)HTM2100素材(ブランク)を入手した。次に、切削角80°及び脚長5mmを有する砥石チップを、前記素材からWEDMによって切削する。オスの蟻継ぎ形状を有する幾何学的特徴は、角45°で、幅約0.149" (0.378センチメートル)、深さ0.059" (0.150センチメートル)である。前記蟻継ぎ形体は、0.1°テーパーを有するWEDM研削であり、前記インサート本体の前記メス特徴中への嵌め合いを容易にする。前記テーパーの方向は、PCBN面から炭化物面への方向であり、それのため前記オス特徴の炭化物側は、前記PCBN側より幾らか小さい。前記インサート本体材料は、52〜55のRockwell Hardness Aを有する固くされていないA2工具鋼である。メス特徴を有するインサート本体は、WEDMによって鋼板から厚さ0.126" (0.320センチメートル)又は0.189" (0.480センチメートル)で加工される。前記砥石チップの前記炭化物端部を前記メス特徴の開口部に真正面に手動で位置付けた後、手動心棒(アーバ)プレスでそれら部品を押圧する。
【0062】
比較され得る例として、従来型のろう付けインサートを、超硬炭化カーバイド及び同一のPCBN材料から、当業者によく知られている標準の手段を使って加工する。次に、プレス嵌め及びろう付けインサートが、標準挿入研削技術を介して最終ろう付けされ、面取りした面25°x0.004"(0.010センチメートル)を有するCNGA422及びライトホーン(light hone)のための最終仕様を作成する。
【0063】
前記インサートは、加速回転テストで評価される。全てのインサートは、工作機械タレット中への標準挿入によって標準工具ホルダー上に固定される。4340硬化鋼HRC62−65から作られ、直径6インチ(15.24センチメートル)、長さ2フィート(60.96センチメートル)で6つの切欠きを有する鋼シリンダが、前記インサートの旋削により機械加工される。全てのテストは、切削速度毎分361フィート(毎分11000センチメートル)で、切削の深さ0.010インチ(0.0254センチメートル)、回転毎0.005インチ送り速度(回転毎0.0127センチメートル送り速度)を使って実行される。前記インサートは、1分間隔で鋼被研削材(ワークピース)を切削し、その後、逃げ面摩耗をインチで測定する(工具鈍化又は摩耗の指標、工具切削寿命の推定)。
【0064】
機械加工テストの結果は、図9に図示されており、本発明のプレス嵌めインサートは、性能において従来技術のろう付けされたインサートに匹敵することが示されている。
実施例2
【0065】
実施例2。この例では、図7に図示したものと同様の互いに連結可能な円形形体を有する本発明の複数先端を有する機械的に接着された複数のインサートが、言及されていない限り、実施例1と同じ手段及び材料を使用して準備される。
【0066】
2つの先端を有するインサートが、BZN*HTM2100炭化タングステン及び相対する80°の角において2つの円形オフセット穴部を有するインサート本体とから、7個作成される。前記オフセット穴部は、直径0.088"(0.224センチメートル)で、前記インサート本体の端部から0.026" (0.066センチメートル)でオフセットされている。0.3〜0.5度のテーパーを有する2つの互いに連結可能な砥石チップが各インサート本体の中へプレス嵌めされ、2つの先端を有するインサートを製造する。図6Bに図示された4つの先端を有するインサートはまた、炭化物支持HTM2100砥石チップを、同一の形体で、特別に準備された厚さ0.189" (0.480センチメートル)のソリッド(つまり支持されていない)HTM2100で置き換えることにより加工される。前記インサート本体及び前記砥石チップの正確な寸法は、締めしろのレベルにより変化し、深さ正0.0002" (0.0005センチメートル)及びID(内径)0.0003" (0.0008センチメートル)の前記チップにおける平均締めしろでは、0.1〜25ポンド力の範囲となる。
【0067】
次に、これらのインサートは、ライトホーンを有する面取りした面25°x0.004"(0.010センチメートル)のCNGA432用の最終仕様に仕上げられ、実施例1で説明したのと同一の機械加工テストを受ける。
【0068】
図10では、本発明の機械的に相互ロックされるインサートと従来のろう付け工具との性能データを比較している。その結果はまた、選択された範囲での押し込み力及び(前記砥石チップ/インサート本体はめ込み)ギャップは、正規検定による不確かさの範囲内において、工具寿命に大きな役割を果たしていないことを示している。さらに、本発明のインサートは、テスト中の誤差範囲内で、従来技術のろう付けインサートに匹敵する性能を示している。
実施例3
【0069】
実施例3。実施例2で用いたプレス嵌めアセンブリを、流動アルゴンの中で2時間、800℃で加熱する。煙管から周囲空気が完全に取り除かれないので、インサートは目に見えるほどに酸化されるが、細かく砕けたり、ひび割れたりしない。目視検査では、前記砥石チップは前記インサート本体に未だ強固に保持されている。
【0070】
次に、熱処理されたプレス嵌めインサートは、実施例1で説明したのと同一の旋削回転テストでテストされる。熱処理されたプレス嵌めインサートの摩耗率は、実施例1及び2の熱処理されていないプレス嵌めアセンブリに匹敵し、つまり逃げ面摩耗の有害な増加がないので、本発明の新規なプレス嵌めインサートの熱処理の実行可能性を明らかにしている。
【0071】
好ましい実施形態の幾つかは、説明を目的としてこの開示で説明されてきた。しかしながら、前述の説明は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。従って、様々な修正、応用、及び変更は、請求の範囲の発明概念の本旨及び範囲を逸脱しない範囲内で当業者により気付くことができるものである。
【0072】
上述された特許、特許出願、記事、及び文は、この参照により本明細書に組み込まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、1実施形態の工具設定の上面及び側面図である。
【図2】図2は、先行技術のろう付け工具インサートを形成する複数工程のプロセスを示す図である。
【図3】図3は、先行技術の非ろう付けインサートの図である。
【図4】図4は、本発明の1実施形態の工具インサートを形成するために、砥石チップとインサート本体とを機械的に接着するプロセスを示す図である。
【図5A】図5A及び5Bは、本発明の2実施形態(1つの連動実施形態と1つの非連動実施形態)の上面図である。
【図5B】図5A及び5Bは、本発明の2実施形態(1つの連動実施形態と1つの非連動実施形態)の上面図である。
【図6A】図6A及び6Bは、本発明のプレス嵌めの実施形態により作成されたインサートの斜視図を示す図である。
【図6B】図6A及び6Bは、本発明のプレス嵌めの実施形態により作成されたインサートの斜視図を示す図である。
【図7】図7は、砥石チップとインサート本体が機械的接着のための互いに連結可能な及び相互ロック可能な特徴を有する、本発明の別の実施形態の斜視図である。
【図8A】図8A、8B、及び8Cは、本発明におけるインサートの実施形態の幾つかの断面図を示す。
【図8B】図8A、8B、及び8Cは、本発明におけるインサートの実施形態の幾つかの断面図を示す。
【図8C】図8A、8B、及び8Cは、本発明におけるインサートの実施形態の幾つかの断面図を示す。
【図8D】図8D、8E、及び8Fは、本発明の実施形態の幾つかの上面図を示す。
【図8E】図8D、8E、及び8Fは、本発明の実施形態の幾つかの上面図を示す。
【図8F】図8D、8E、及び8Fは、本発明の実施形態の幾つかの上面図を示す。
【図9】図9は、図5及び6の相互ロック用蟻継ぎ構造を用いてプレス嵌めされたインサートと先行技術のろう付けインサートにおける、側面摩耗0.001" (0.0254センチメートル)当たりに加工されるインチによる切削寿命の比較を示すグラフである。
【図10】図10は、側面摩耗0.001" (0.0254センチメートル)当たり除かれた鋼のインチで測る、本発明(図6及び7を参照)の工具と先行技術の工具との加工性能を比較したグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサート本体と砥石チップとを有する工具インサートであって、
前記砥石チップと前記インサート本体は互いに結合可能な幾何学的特徴を含み、
前記砥石チップは、当該砥石チップ及び/又は前記インサート本体上の結合可能な幾何学的特徴の不可逆的塑性変形により生じる機械的応力により、主に前記インサート本体に保持されるようになっている、
工具インサート。
【請求項2】
前記不可逆的塑性変形が、前記互いに結合可能な幾何学的特徴のプレス嵌め(圧入)によるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項3】
前記不可逆的塑性変形が、前記互いに結合可能な幾何学的特徴の焼嵌めによるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項4】
前記不可逆的組成変形が、前記互いに結合可能な幾何学的特徴の締まり嵌めによるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項5】
前記幾何学的特徴は、相互ロックするようになっているものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項6】
前記インサート本体に少なくとも1つの追加の砥石チップが保持されており、これにより複合工具インサートを形成するものである、請求項1の工具インサート。
【請求項7】
前記砥石チップが、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、溶融酸化アルミニウム(アルミナ)、セラミック酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、アルミナジルコニア、酸化鉄、炭化タンタル、酸化セリウム、ガーネット、超硬合金、人造及び天然ダイヤモンド、酸化ジルコニウム、立方晶窒化ホウ素、それらのラミネート、混合物、及びそれらの複合材料から成る群より選択される1つの材料からなるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項8】
前記インサート本体が、金属、鋼、合金、熱可塑性高分子、熱硬化性樹脂、セラミックス、超硬合金、サーメット、及びそれらの混合物から成る群より選択される1つの材料からなるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項9】
前記工具インサートが、300℃以上の温度で更に熱処理されるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項10】
前記工具インサートが、窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、又は窒素(B)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、耐火硬質金属、遷移金属、及び希土類金属から選択される元素の酸化窒化物、若しくはそれらの合成物及び化合物から成る群から選択される少なくとも1つのものでコーティングされるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項11】
前記工具インサートは、前記インサート本体に前記砥石チップを保持する保持力を強化する少なくとも1つの追加の手段を有するものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項12】
前記少なくとも1つの追加の手段は、スポット溶接、薄金属膜、箔、粘着箔、楔、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるものである、請求項11記載の工具インサート。
【請求項1】
インサート本体と砥石チップとを有する工具インサートであって、
前記砥石チップと前記インサート本体は互いに結合可能な幾何学的特徴を含み、
前記砥石チップは、当該砥石チップ及び/又は前記インサート本体上の結合可能な幾何学的特徴の不可逆的塑性変形により生じる機械的応力により、主に前記インサート本体に保持されるようになっている、
工具インサート。
【請求項2】
前記不可逆的塑性変形が、前記互いに結合可能な幾何学的特徴のプレス嵌め(圧入)によるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項3】
前記不可逆的塑性変形が、前記互いに結合可能な幾何学的特徴の焼嵌めによるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項4】
前記不可逆的組成変形が、前記互いに結合可能な幾何学的特徴の締まり嵌めによるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項5】
前記幾何学的特徴は、相互ロックするようになっているものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項6】
前記インサート本体に少なくとも1つの追加の砥石チップが保持されており、これにより複合工具インサートを形成するものである、請求項1の工具インサート。
【請求項7】
前記砥石チップが、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、溶融酸化アルミニウム(アルミナ)、セラミック酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、アルミナジルコニア、酸化鉄、炭化タンタル、酸化セリウム、ガーネット、超硬合金、人造及び天然ダイヤモンド、酸化ジルコニウム、立方晶窒化ホウ素、それらのラミネート、混合物、及びそれらの複合材料から成る群より選択される1つの材料からなるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項8】
前記インサート本体が、金属、鋼、合金、熱可塑性高分子、熱硬化性樹脂、セラミックス、超硬合金、サーメット、及びそれらの混合物から成る群より選択される1つの材料からなるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項9】
前記工具インサートが、300℃以上の温度で更に熱処理されるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項10】
前記工具インサートが、窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、又は窒素(B)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、耐火硬質金属、遷移金属、及び希土類金属から選択される元素の酸化窒化物、若しくはそれらの合成物及び化合物から成る群から選択される少なくとも1つのものでコーティングされるものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項11】
前記工具インサートは、前記インサート本体に前記砥石チップを保持する保持力を強化する少なくとも1つの追加の手段を有するものである、請求項1記載の工具インサート。
【請求項12】
前記少なくとも1つの追加の手段は、スポット溶接、薄金属膜、箔、粘着箔、楔、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるものである、請求項11記載の工具インサート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−264586(P2010−264586A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−105098(P2010−105098)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2006−533065(P2006−533065)の分割
【原出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(504174825)ダイヤモンド イノベーションズ、インク. (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105098(P2010−105098)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2006−533065(P2006−533065)の分割
【原出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(504174825)ダイヤモンド イノベーションズ、インク. (12)
【Fターム(参考)】
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